説明

組成物および検出方法

本発明は、一般的に診断および検出アッセイの分野に関する。より具体的には、本発明は、試料中の1つもしくは複数の分析物の存在を検出する、または1つもしくは複数の分析物を識別するための方法およびバイオチップを含む試薬を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示の全内容物がそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる、2007年4月5日に提出された米国特許仮出願第60/910,373号および2007年4月5日に提出された第60/910,381号の恩典を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に診断アッセイおよび検出アッセイの分野に関する。より具体的には、本発明は、試料中の1つもしくは複数の分析物の存在を検出するための、または試料中の1つもしくは複数の分析物を区別するための方法、およびバイオチップを含む試薬を提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
本明細書の最後に、本明細書において提供される参考文献の書誌詳細を列挙した。
【0004】
本明細書における先行技術についての言及は、いかなる国においても、この先行技術がありふれた一般知識の一部となっていることを認めるものでも示唆するものでもなく、この先行技術がありふれた一般知識の一部となっていることを認めるもの、または示唆するものとみなしてはならない。
【0005】
1回の分析で複数の分析物を検出する迅速かつ信頼性の高いスクリーニング法の必要性は、臨床診断の分野だけでなく、スクリーニング、例えば、環境毒素のスクリーニングおよび薬物スクリーニングにおける用途についても極めて高い。
【0006】
改善したスクリーニング法およびスクリーニング試薬を非常に必要としているこのような分野の1つが感染症の分野である。例えば、世界におけるヒト乳頭腫ウイルス(HPV)などの性感染症の診断検査の使用数は控えめに見積もって年に約20,000,000試験である。
【0007】
感染症の原因についてスクリーニングするための既存の検査の多くは、時間がかかり、労働集約型で、高価であり、多くの場合、1種類の特定の病原体にしか特異的でなく、および/または異なる病原体株を識別することができない。
【0008】
HPVは子宮頚癌の主因となる病原体である。しかしながら、HPV分類群は多くの病原体「株」を含み、これらの一部しか子宮頚癌および他の癌腫の発症と関連していない。従って、HPV株は、典型的には、子宮頚癌症例の約98%を占める13種類の株を含む「高リスク」株、または子宮頚癌の発症と一般的には関連しない「低リスク」株に分類される。
【0009】
現在、子宮頚癌はパパニコラウスミアによって検出される。この技術では、細胞は掻爬または洗浄によって子宮頚部から集められる。次いで、「スミア」を作成するために、これらの細胞を顕微鏡ガラススライドの上に置く。次いで、病理学者がスライドを検査し、異常な細胞を探す。しかしながら、パパニコラウスミアは偽陰性率が約20%であり、「高リスク」分類群と「低リスク」分類群を区別できないので、子宮頚癌リスクをはっきりと確かめるには若干、不満が残るアッセイ法である。
【0010】
HPVを検出するための試薬および/または方法の多くは、高い関連費用および/または完了までにかなりの時間がかかることが欠点である。総費用がより安価でより容易な適用を有するより迅速および/または単純化された分析が必要である。本発明は、これらのおよび他の重要な目的に向けられる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、1種類もしくは複数の種類の分析物を検出することができる、および/または分析物群の中にあるメンバーを識別するアッセイ法を提供する。特に、分析物を特定または区別するために、分析物の特性およびアッセイ法成分の特性に基づく多重分析が用いられる。
【0012】
従って、本発明のある特定の局面は、1種類もしくは複数の種類の分析物を検出するための、および/または分析物群の中にある2種類もしくはそれ以上のメンバーを識別するためのビーズセットを提供する。このビーズセットは複数のビーズファミリーまたはビーズサブセットを含み、
(a)各サブセットのビーズはサイズに関して均一であり;
(b)各サブセットの中のビーズは、試験しようとする試料中の関心対象の特定の分析物と特異的に反応する反応物と連結しており;
(c)各ビーズ上にある反応物は同じ標識で標識され、各ビーズサブセットは、蛍光強度に基づいて不均一なビーズサブセット混合物を生じるように異なる蛍光強度を有し;
(d)ビーズセットを生成するために少なくとも2種類のビーズサブセットが一緒に混合され、サブセットの識別情報、それによって、ビーズと連結している反応物は、サイズ、蛍光強度、および分析物の識別に基づいてフローサイトメトリーによって特定することができる。
【0013】
他の局面において、本発明は、試料中の2種類またはそれ以上の分析物を検出および/または識別するための方法を意図する。前記方法は、以下の工程:
(a)試料と、関心対象の分析物に特異的なビーズセットを接触させる工程;
(b)試料中の分析物がビーズセット中のビーズ上の反応物と特異的に反応するのに十分な時間および条件の下で、ビーズセットを試料とインキュベートする工程;ならびに
(c)ビーズ上の反応物に結合した、試料中の分析物を検出および/または区別する工程を含む。
【0014】
他のいくつかの局面において、反応物は、分析物群の中にあるメンバーのさらなる識別を可能にする1種類または複数の種類の蛍光色素で標識することができる。ある特定の好ましい局面において、本発明は、生物学的試料中の、感染性病原体に特異的な分析物を検出および/または区別することができる方法およびビーズセットを提供する。
【0015】
本明細書において意図される生物学的試料には、血液、血清、唾液、糞便、尿、組織液、精液、滲出物、膿、および呼吸器の液体、ならびに局所潰瘍、癌、および病変からの粘液およびスワブが含まれる。
【0016】
用語「病原体」は、試料に感染またはコロニー形成する微生物またはウイルスを意味する。例示的な病原体には、ウイルス、細菌、菌類、および真核微生物が含まれる。ウイルスには、レンチウイルス(例えば、AIDSウイルス、HIV-I、HIV-II、HTLV-IV)、レトロウイルス、および鳥インフルエンザウイルスが含まれる。いくつかの好ましい態様において、「病原体」は、動物または植物などの多細胞生物に感染する微生物またはウイルスを含む。従って、いくつかの態様において、分析物は動物病原体または植物病原体と見なしてもよい。しかしながら、本発明は、共生生物、内生植物、胃腸にコロニー形成する生物(gastrointestinal colonist)などの、多細胞生物にコロニー形成する非病原性実体の検出および/または識別を包含する。本発明の方法はまた、治療剤または乱用物質の存在を示す、試料中の分析物の検出にも適用することができる。本発明の方法および試薬はまた、動物または植物から単離される生物学的試料に由来しない試料における分析物の検出において使用することができる。従って、本発明の試薬および方法は、前記の生物学的試料に加えて、空気、水、および地球外の土もしくは塵埃もしくは同様の試料を含む土の試料を含む環境試料、産業試料などにおける1種類もしくは複数の種類の分析物の検出および/または分析物の識別にも及ぶ。
【0017】
ある特定の態様において、本発明は、ヒト被験者におけるHPVを対象とし、「高リスク」HPV分類群と「低リスク」HPV分類群を区別するために異なる株を検出および識別することができる診断法および試薬を提供する。従って、いくつかの好ましい態様において、本発明は、複数の異なるHPV株を区別することができるビーズセットを提供する。従って、1つの局面において、分析物は複数のHPV分類群に特異的であり、方法および/または試薬は、複数のHPV分類群に特異的な核酸または抗原または抗体の検出に特異的である。
【0018】
さらにより好ましくは、HPVゲノムの株特異的部分に結合することができる核酸プライマーまたはプローブを、各ビーズサブセットのビーズ上に固定する。次いで、株特異的領域に隣接するHPVゲノム内の保存領域に向けられるプライマーを用いて、HPVゲノムを増幅する。次いで、任意の1つのHPV株に関してそれぞれビーズファミリーまたはビーズサブセットを用いて、HPV株を検出または区別する。
【0019】
本発明の他の局面は、1つもしくは複数のHPV株を検出するための、および/または2つもしくはそれより多くのHPV株を識別するためのビーズセットに向けられ、ビーズセットは、複数のビーズファミリー、またはビーズサブセットを含み、ここで
(a)各サブセットのビーズがサイズに関して均一であり;
(b)各サブセットの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域に結合することができる核酸捕捉プローブまたは任意で対照核酸配列に連結しており;
(c)各ビーズ上にある捕捉プローブが、同じ標識によって標識され、各ビーズサブセットが、蛍光強度に基づいて不均一なビーズ混合物を生じるように異なる蛍光強度を有し;かつ
(d)ビーズセットを生成するために少なくとも2つのビーズサブセットが一緒に混合され、サブセットの識別情報、およびそれによってHPVの株が、サイズ、強度、および配列判別に基づいて、フローサイトメトリーによって特定可能である。
【0020】
本発明の他の局面は、
(a)複数のビーズファミリー、またはビーズサブセットを含むビーズセットを試料に接触させる工程であって:
(i)各サブセットのビーズがサイズに関して均一であり、
(ii)各サブセットの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域に結合することができる核酸捕捉プローブまたは任意で対照核酸配列に連結しており;
(iii)各ビーズ上にある捕捉プローブが、同じ標識によって標識され、各ビーズサブセットが、蛍光強度に基づいて不均一なビーズ混合物を生じるように異なる蛍光強度を有し、かつ
(iv)ビーズセットを生成するために少なくとも2つのビーズサブセットが一緒に混合され、サブセットの識別情報、およびそれによってHPVの株が、サイズ、強度、および配列判別に基づいてフローサイトメトリーによって特定可能である、工程;
(b)プローブが、株特異的領域を含むレプリコンを産生するように増幅されたHPVゲノムに結合するために十分な時間および条件の下で、ビーズセットを試料とインキュベートする工程;
(c)試料中に産生された、ビーズに結合したアンプリコンを検出および/または識別して、2つまたはそれより多くのHPV株を特定または区別する工程
を含む、試料中の2つまたはそれより多くのHPV株を検出および/または識別するための方法を企図する。
【0021】
いくつかの好ましい局面において、ビーズセットの中のビーズは、サイズ、蛍光強度のレベル、蛍光色素のタイプ、および特定の分析物と反応することができる反応物に基づいて区別することができる。
【0022】
他の局面において、本発明は、ビーズセットが、
(a)それぞれのビーズサブセットが少なくともサイズに基づいて他の任意のビーズサブセットと生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのビーズサブセット;または
(b)ビーズサブセットの中のビーズが、互いに関してサイズが均一であり、それぞれが含有する標識レベルに基づいて2つもしくはそれより多くのビーズファミリーに生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのファミリーを有する少なくとも1つのビーズサブセット;または
(c)該ビーズファミリーと該ビーズサブセットの組み合わせ
を有する複数のビーズファミリーまたは複数のビーズサブセットを含む、HPVの株を検出する、および/または2種類もしくはそれより多くのHPV株を識別するためのビーズセットであって、
任意の核酸捕捉プローブまたは対照核酸配列が、ビーズサブセットにおける他の標識された捕捉プローブまたは対照核酸配列と同じ標識によって標識され、かつ任意の1つのビーズサブセットの中で、そのそれぞれのビーズファミリーが異なる蛍光強度を有することを条件として、サブセットのそれぞれのビーズファミリーの中のビーズは、HPVゲノムのHPV株特異的領域に結合することができる任意で標識された核酸捕捉プローブ、または任意で少なくとも1つの対照核酸配列にそれぞれ連結しており、かつ
ビーズセットが、フローサイトメトリーを用いた、少なくとも1つのビーズファミリーもしくはビーズサブセットのビーズサイズの分析、蛍光強度、または配列判別を通して、1つまたは複数の特異的なHPV株を特定することができる、それぞれのビーズファミリーが、ビーズセットにおける他の任意のビーズファミリーとは異なるHPVの株の検出に関して特異的である、ビーズセットに向けられる。
【0023】
本発明はまた部分的に、2つまたはそれより多くのHPV株を識別するためのビーズセットを調製する方法であって、
(a)それぞれのビーズサブセットが少なくともサイズに基づいて他の任意のビーズサブセットと生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのビーズサブセット;または
(b)ビーズサブセットの中のビーズが、互いに関してサイズが均一であり、それぞれが含有する標識レベルに基づいて2つもしくはそれより多くのビーズファミリーに生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのファミリーを有する少なくとも1つのビーズサブセット;または
(c)該ビーズファミリーと該ビーズサブセットの組み合わせ
を提供する工程であって、
任意の核酸捕捉プローブまたは対照核酸配列が、ビーズサブセットにおける他の標識された捕捉プローブまたは対照核酸配列と同じ標識によって標識され、かつ任意の1つのビーズサブセットの中で、そのそれぞれのビーズファミリーが異なる蛍光強度を有することを条件として、サブセットのそれぞれのビーズファミリーの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域に結合することができる任意で標識された核酸捕捉プローブ、または任意で少なくとも1つの対照核酸配列にそれぞれ連結しており、かつ
ビーズセットが、フローサイトメトリーを用いた、少なくとも1つのビーズファミリーもしくはビーズサブセットのビーズサイズの分析、蛍光強度、または配列判別を通して、1つまたは複数の特異的なHPV株を特定することができる、それぞれのビーズファミリーが、ビーズセットにおける他の任意のビーズファミリーとは異なるHPVの株の検出に関して特異的である、
工程を含む、サイズ、蛍光強度、または両方に基づいて複数のビーズファミリーまたはビーズサブセットを選択する工程を含む方法にも向けられる。
【0024】
HPV検出に関連する本発明の方法は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、および16株を含む、2から16株のHPV株を区別するために用いられてもよい。対照の有用性を考慮することにより本発明は2〜17種類の異なるビーズまたはビーズセットを用いることができる。もう1つの態様において、ビーズセットは、HPV株6、11、16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、および68に関して少なくとも16種類のビーズサブセットと、典型的に対照のビーズサブセットとを含む。適した捕捉プローブは表2において記載されるプローブである。
【0025】
16株より多い分析物を試験することが望ましい可能性がある。このように、本発明にはまた、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、および30種類のビーズまたはビーズサブセットを含む、2〜30種類の異なるビーズまたはビーズサブセットを有するビーズセットが含まれる。
【0026】
本発明は部分的に、フォワードおよびリバースプライマーが任意で、プライマーの5'末端にコンジュゲートするヒールを有する、核酸配列を増幅するための多数のPCR技術のいずれかにおいて用いるためのある特定のプライマー対に向けられる。ある特定の態様において、本発明は、腫瘍形成性HPVをターゲティングするためのオリゴヌクレオチド増幅プライマー対に向けられ、対のフォワードプライマーは以下からなる群より選択され:

およびプライマー対のリバースプライマーは、以下からなる群より選択され:

フォワードおよびリバースプライマーはそれぞれ任意で、プライマーの5'末端でヒールにコンジュゲートしている。
【0027】
分析物とビーズ上に存在する反応物とのあいだに結合が起こったかどうかの決定は、ビーズサブセットの中の異なるビーズを識別する任意の方法論を用いて行ってもよい。ある特定の特に好ましい態様において、ビーズセットの中の異なるビーズを識別する方法は、フローサイトメトリーを利用する。
【0028】
本発明はさらに、本発明の試薬および方法に従って用いるための診断キットを企図する。特に、本発明は、ナノアッセイ試薬を産生するために、バイオチップおよびアッセイの固相成分の小型化に及ぶ。1つの態様において、ビーズセットもしくはその一部、または他の試薬は、バイオチップなどの固相に固定される。バイオチップはまた、その上でアッセイの少なくとも一部が行われ、および/または結果が記録される「バイオラボ」と見なされてもよい。
【0029】
本明細書において用いられる略語の一覧を表1に提供する。
【0030】
(表1)略語

【0031】
本明細書において用いられる配列の要約を表2に示す。
【0032】
(表2)配列(5'は左側、3'は右側)




【0033】
本明細書において以下の変化形を用いる:
「K」は、GまたはTに関する変化形であり;
「H」は、ヌクレオチドT、A、またはCに関する変化形であり;
「M」は、ヌクレオチドA、またはCに関する変化形であり;
「Y」は、ヌクレオチドT、またはCに関する変化形であり;
「R」は、ヌクレオチドA、またはGに関する変数であり;
「W」は、ヌクレオチドA、またはTに関する変化形であり;
「D」は、ヌクレオチドA、T、またはGに関する変化形であり;
3Phosは、3'リン酸基であり;
5Phosは、5'リン酸基であり;および
5AmMC6は、リン酸基を通して付着した5'H2N-(CH2)6-基である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】HPV診断法において用いられるDNA抽出プロトコールの例の概略図を示す図である。
【図2】DNA試料からHPVおよびヒトDNAを増幅するために用いることができるPCRプロトコールを示す図である。GP5+およびGP6+は、HPVにおける保存配列(Y)に結合して、HPV株のあいだで可変である領域(X1-16)を含むアンプリコンを産生するユニバーサルHPVプライマーを指す。プライマーLC1_FおよびLC1_Rは、後のハイブリダイゼーション工程における対照として役立つヒトゲノムDNA領域(Z)を増幅する。プライマーGP6+およびLC1_Rは産生されたアンプリコンに組み入れられる蛍光標識を含む。
【図3】サイズに基づくマイクロスフェアの識別を示す図である。直径3.0μm、3.5μm、4.1μm、5.0μm、5.6μm、および6.8μmを含むマイクロスフェアに対応する6個のクラスタを示す。
【図4】蛍光標識強度に基づく同じ大きさのマイクロスフェアの識別を示す図である。0%、4%、20%、および100%のTMR相対強度を明らかに区別することができる。
【図5】アレイにおいて用いることができる結合物質の例を示す概略図である。アレイは、直径3.0μm、3.5μm、4.1μm、5.0μm、5.6μm、および6.8μmを含むマイクロスフェアと、0%、4%、20%、および100%の蛍光標識シグナル強度とを含む。より小さいビーズサイズの場合、すなわち3.0μm、3.5μm、および4.1μmの場合、0%および100%のTMR強度を用い;5.0μmのマイクロスフェアの場合、0%、20%、および100%のTMR強度を用い;ならびに最も大きいマイクロスフェア、すなわち直径5.6μmおよび6.8μmの場合では、全てのシグナル強度を用いた。
【図6】本発明のビーズセットの例を示す。
【図7】それに対してアンプリコンが結合する結合物質アレイの例を示す図である。結果は、ウイルス保存配列、Y、ヒト対照配列Z、およびウイルス株特異的配列X16に対する結合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な説明
本発明は、1つまたは複数の分析物の検出を可能にする、および/または分析物のクラスの中のメンバーを識別するアッセイおよびバイオチップを含む試薬を提供する。特に、分析物は、分析物およびアッセイ成分の特性に基づく多重分析法によって特定または区別される。本発明の診断および検出アッセイおよび試薬は、多細胞真核被験体における病原体感染の診断において特定の用途を有する。1つの特定の態様において、本発明は、ヒト被験体におけるHPVを対象とし、「高リスク」HPV感染と「低リスク」HPV感染とを区別するために、HPV分類群を識別することができる診断アッセイ法を提供する。さらに、本発明はまた、とりわけヒト被験体における子宮頚癌を含む多細胞真核被験体における分析物によって、感染に関連する疾患の発症リスクを診断または評価する方法も提供する。
【0036】
特別の定めのない限り、本発明は、特定の診断またはアッセイプロトコールを変更してもよいことから、そのような診断またはアッセイプロトコールに限定されないと理解される。同様に、本明細書において用いられる用語は、特定の態様の説明のみを目的とし、限定を意図しないことも理解されるはずである。
【0037】
本明細書において用いられるように、単数形「1つの(a)」「1つの(an)」、および「その」には、特に文脈によって既に既定されていない限り、複数の局面が含まれることに留意しなければならない。このように、例えば、「1つの分析物」についての言及には、1つの分析物ならびに2つまたはそれより多くの分析物が含まれ、「生理化学的に区別可能な基体」についての言及には1つの基体ならびに2つまたはそれより多くの基体が含まれ;「1つの標的」についての言及には、1つの標的と共に、2つまたはそれより多くの標的が含まれ;「1回の増幅」についての言及には、1回の増幅と共に多数の増幅工程が含まれ;「そのアンプリコン」についての言及には、1つ、多数の、または複合したアンプリコンが含まれる等である。
【0038】
したがって、1つの局面において、本発明は、以下を含む、試料中の2つまたはそれより多い分析物を検出および/または識別することができるビーズセットを提供する:
(a)各サブセットのビーズはサイズに関して均一であり;
(b)各サブセットの中のビーズは、試験される試料中の関心対象の特定の分析物と特異的に反応する反応物に連結しており;
(c)各ビーズ上にある反応物は、同じ標識によって標識され、各ビーズサブセットは、蛍光強度に基づいて不均一なビーズ混合物を生じるように異なる蛍光強度を有し;かつ
(d)ビーズセットを生成するために少なくとも2つのビーズサブセットが一緒に混合され、
ここで、サブセットの識別情報、およびそれによってビーズに連結している反応物を、サイズ、蛍光強度、および分析物の判別に基づいて、フローサイトメトリーによって特定することができる。
【0039】
いくつかの態様において、反応物は、異なる蛍光色素の組み入れに基づいてビーズのさらなる亜集団を生じるように、さらに異なるように標識されてもよい。
【0040】
他の態様において、本発明は、分析物を検出および/または識別するための方法またはビーズセットを提供する。
【0041】
ある特定の好ましい局面において、本発明の方法またはビーズセットは、病原性分析物を検出および/または識別することができる。
【0042】
本発明はまた、試料中の1種類または複数の種類の分析物を検出および/または識別するための方法であって、以下の工程:
(a)試料と、関心対象の分析物に特異的なビーズセットを接触させる工程;
(b)試料中の分析物がビーズセット中のビーズ上の反応物と特異的に反応するのに十分な時間および条件の下で、ビーズセットを試料とインキュベートする工程;および
(c)ビーズ上の反応物に結合した、試料中の分析物を検出および/または識別する工程を含む方法を提供する。
【0043】
本明細書で使用する用語「病原性分析物」は、試料に感染している、コロニー形成している、または別の方法で試料を汚染していると推定される微生物またはウイルスを意味する。例示的な病原体分析物には、ウイルス、細菌、菌類、および真核微生物が含まれる。好ましい態様において、「分析物」には、動物または植物などの多細胞生物に感染する微生物またはウイルスが含まれる。従って、いくつかの態様において、病原性分析物は動物病原体または植物病原体と見なしてもよい。しかしながら、本発明は、動物の微生物性共生生物(例えば、乳酸桿菌属の種(Lactobacillus spp.)、反芻動物にいる細菌)、昆虫の微生物性共生生物(例えば、ストレプトミセス属の種(Streptomyces spp.)、ウォルバチア属の種(Wolbachia spp.))、海綿動物の微生物性共生生物(例えば、緑藻類、渦鞭毛藻類、ラン藻類)など、植物の内生植物(例えば、菌根、リゾビウム属の種(Rhizobium spp.)、フランキア属の種(Frankia spp.)、ストレプトミセス属の種)などの、多細胞生物にコロニー形成する非病原性分析物の検出および/または識別を包含する。さらに、分析物は、多細胞生物と関連しない分析物でもよい。このような分析物には、土、海洋、淡水、氷、岩、熱水噴出口、および空気などの「天然」環境、病院、病院設備、外科手術機器、医療スタッフの衣服などを含む医療環境、製造施設、医薬品施設、醸造所、ワイナリーなどを含む「産業」環境、発酵槽、培養物、作業台、機器などを含む「実験」環境を含む、特定の環境にコロニー形成する細菌、菌類、ウイルス、原生生物、線虫などが含まれる。
【0044】
従って、本発明によって意図される試料には、空気、水、および土などの産業試料、ならびに血液、血清、唾液、糞便、尿、組織液、精液、滲出物、膿、呼吸器の液体、ならびに局所潰瘍、癌、および病変からの粘液およびスワブなどの生物学的試料が含まれる。さらに、試料は、隕石に由来する試料または別の惑星上の試料などの地球外試料でもよい。後者に関しては、本発明のアッセイ法は、土もしくは塵埃もしくは氷の試料を試験するための、または惑星内のコア物質を試験するための惑星間リモートビークルに使用するように合わせることができる。
【0045】
いくつかの好ましい態様において、分析物は、動物被験体に感染する細菌、菌類、ウイルスおよび/または真核寄生生物を含む。本発明において意図される「動物被験体」には、任意の動物、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、下等霊長類を含む霊長類、さらにより好ましくは、ヒトが含まれる。便宜上、動物はまた、具体的に、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびロバなどの家畜種、ならびにマウス、ラット、ウサギ、モルモット、およびハムスターを含む実験動物も含む。
【0046】
本発明の試薬および方法を用いて検出することができる例示的なヒト分析物には、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、SARSウイルスを含むコロナウイルス、インフルエンザウイルス、鳥インフルエンザウイルス、HIV-I、HIV-IIまたはHLTV-IVを含むHIV、レンチウイルス、一般的には、肝炎ウイルスなどのウイルス;クラミジア、淋病、マイコプラズマ属の種、および梅毒などの性感染症の病原因子;リステリア属の種(Listeria spp.)、サルモネラ属の種(Salmonella spp.)、大腸菌(特に、大腸菌HO567)、赤痢菌属の種(Shigella spp.)、ブルセラ属の種(Brucella spp.)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)などの食事性病原体;メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を含む黄色ブドウ球菌およびバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)を含む腸球菌などの院内病原体;レジオネラ属の種(Legionella spp.)、ジアルジア属の種(Giardia spp.)、クリトスピリジウム属の種(Crytospiridium spp.)、バチルス-アンタシス(Bacillus anthacis)(炭疽菌)などの環境において得られる病原体が含まれる。
【0047】
他の局面において、分析物が検出される試料は、好ましくは、分析物が感染またはコロニー形成していると推定される多細胞被験体に由来する試料である。従って、1つの局面において、試料は好ましくは「生物学的試料」である。本発明を全く限定しない例示的な生物学的試料には、細胞切屑(cell scape)、生検などの組織試料または細胞試料、および血液、尿、リンパ、羊水、脳脊髄液などを含む体液試料が含まれる。
【0048】
ある特定の他の局面において、本発明の方法はまた、多細胞真核生物から得られる試料に限らない試料における「分析物」の検出にも適用することができる。従って、本発明は、環境試料(空気、水、および土試料を含む)、産業試料、実験試料などの試料において分析物の1つまたは複数の特定の分類群または株を検出する、および/または識別することまで及ぶ。例えば、本発明の方法は、土、水、もしくは空気試料、または人工の物体もしくは表面に由来する試料の原核生物ミクロフロラ、真核生物ミクロフロラ、および/またはウイルス量を評価するのに使用することができる。
【0049】
本発明のいくつかの特に好ましい態様において、検出しようとする分析物はHPVまたはその株であり、試料は、好ましくは、ヒト被験者に由来する生物学的試料である。さらに好ましい態様において、生物学的試料は、被験体の1つもしくは複数の細胞、血液または尿を含む。最も好ましくは、生物学的試料は、被験体から集められた子宮頚細胞を含む。HPVは、下記で一部転載されている、Gearhart et al.(www.emedicine.com/MED/topic1037.htm,2004)によって詳細に述べられている。HPVによって、皮膚および粘膜の上皮腫瘍が生じる。100種類を超えるHPV型が検出されており、ほぼ70種類のゲノムが完全に配列決定されている。ゲノム配列の類似性に基づく現在の分類体系は、一般的に、HPVを臨床的に説明するのに用いられる3つのカテゴリー:肛門性器および/または粘膜、非生殖器皮膚、ならびに疣贅状表皮発育異常症(EV)と相関関係がある。HPVゲノム配列のデータベースおよび系統樹は、インターネットを介してHPV Sequence Databaseにおいて利用することができる。
【0050】
粘膜におけるHPV感染は、潜在性(無症候性)、準臨床性または臨床性にさらに分類される。臨床病変は肉眼ではっきりと見えるが、潜在性感染はウイルスDNA検査によってのみ検出される。準臨床性病変は、5%酢酸を塗布し、拡大して検査することによって特定される。ほとんどのHPV感染は潜在性である。臨床的に明らかな感染は、通常、悪性腫瘍ではなく、いぼの原因となる。
【0051】
HPV 6型および11型は、これらの型による感染の腫瘍形成能が低く、通常、コンジロームの形成および低悪性度前癌病変の原因となるので、典型的には低リスクとみなされている。HPV 16型および18型は、癌腫、特に、肛門性器型および/または粘膜型の癌腫に進行し得る大部分の高悪性度上皮内病変の原因となるので、高リスク型HPVとして現れた。
【0052】
HPV感染のみでは感染組織の悪性トランスフォーメーションを引き起こさない。このプロセスには、タバコの使用、紫外線照射、妊娠、葉酸欠乏、および免疫抑制などの補助要因が結び付けられている。表3は様々な疾患および関連するHPVサブタイプを示す。
【0053】
(表3)疾患および関連するHPVサブタイプ


【0054】
乳頭腫ウイルスは高度に種特異的であり、実験室条件下でさえも他の種に感染しない。ヒトは、唯一知られているHPV保有宿主である。
【0055】
乳頭腫ウイルスは、約8000塩基対の二本鎖環状DNAを含むゲノムを72個のキャプソメアが取り囲む、正二十面体対称非エンベロープウイルスである。
【0056】
乳頭腫ウイルスは、2種類の複製、すなわち、基底細胞におけるエピソームゲノムの安定した複製およびラナウェイ(runaway)、または子孫ウイルスを生じるための、より分化した細胞における増殖複製を有すると考えられている。病変の全ての細胞はウイルスゲノムを含んでいるが、ウイルス遺伝子の発現は細胞分化の状態と密接に結び付けられている。ほとんどのウイルス遺伝子は、感染ケラチノサイトが基底層から離れるまで活性化されない。ウイルス粒子の産生は、高度に分化したケラチノサイトでしか起こらない。従って、最終的に細胞が環境に投げ込まれた場合、ウイルス産生は上皮表面でしか起こらない。
【0057】
HPV病変は、感染基底ケラチノサイトの増殖によって生じると考えられている。感染は、典型的には、性交中または軽度の擦り傷の後に起こるような破壊された上皮バリアを通って、基底細胞が感染性ウイルスに曝露された時に起こる。HPV感染は細胞溶解性とは示されておらず、逆に、ウイルス粒子は剥離性細胞が変性した結果として放出される。さらに、HPVウイルスは、宿主なしで何ヶ月間も、低温で生存することができる。
【0058】
ウイルス増殖は一般的に核に限定される。結果として、感染細胞は、通常、高度の核異型を示す。空胞細胞症(空を意味するギリシア語のkoilosに由来する)は、核周囲に何も無いこと(ハロー)と、核濃縮した核または萎縮した(ラシノイド(rasinoid))核の組み合わせを表し、増殖性乳頭腫ウイルス感染の独特の特徴である。
【0059】
HPVゲノムは、良性または低リスクHPV病変、例えば、HPV 6型および11型に典型的に関連する病変において、宿主細胞核と離れた環状エピソームDNAとして存在する。高リスクHPV 16型および18型のゲノムは、典型的には、悪性病変において宿主細胞DNAに組み込まれる。しかしながら、本発明は任意のHPV株に及ぶ。HPV株には、株6、11、16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、および68が含まれるが、これに限定されない。宿主細胞ゲノムへのウイルスゲノムへの組込みは、悪性トランスフォーメーションの顕著な特徴とみなされている。高リスク血清型のHPVタンパク質E6およびE7は、宿主の腫瘍抑制タンパク質p53およびRbを不活性化し、それによって、無秩序な宿主細胞増殖および悪性トランスフォーメーションをもたらすことが示されている。
【0060】
従って、他の局面において、本発明は、生物学的試料における1種類もしくは複数の種類の特定のHPV株を検出および/または識別するための方法を提供する。前記方法は、以下の工程:
(i)ヒト被験者から、HPVを含むと推定される生物学的試料を得る工程;
(ii)試料から核酸を単離する工程;
(iii)各HPV株に特異なアンプリコンを生じるプライマーを用いて、試料から核酸を増幅する工程;
(iv)任意に、対照核酸配列を増幅する工程;
(v)工程(iii)および/または(iv)で説明されたアンプリコンを標識する工程;
(vi)標識されたアンプリコンを、反応物でコーティングされたビーズセットにハイブリダイズさせる工程であって、ビーズセットの各メンバーが、特定のHPV株のヌクレオチド配列または対照ヌクレオチド配列と相補性を有し、生理化学的に区別可能なビーズと結合または別の方法で会合している核酸分子を含む、工程;ならびに
(vii)アンプリコンがどの反応物に結合したかを確かめる工程を含み、アンプリコンと特定の反応物の会合は試料における特定のHPV株の存在を示す。
【0061】
なお他の局面において、ハイブリダイズは少なくとも1つのシグナルオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる。
【0062】
さらに他の局面において、ハイブリダイズは、少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる。
【0063】
本発明は、増幅されたHPV DNAの検出、または逆転写酵素を用いることによって、対応するRNAの検出を可能にする。よって、本発明は、RNA、DNA、またはその化学類似体を伴うビーズを企図する。
【0064】
本発明の方法は一部、試料における本分析物の1種類もしくは複数の種類の特定の株を検出および/または識別することに基づいている。本明細書において「本分析物の特定の株」についての言及は、分析物の種または分類群の任意の変異体を含む。分析物の「株」の例には、分析物の亜種、様々なレベルのビルレンスを有する分析物の変異体、宿主に感染またはコロニー形成した時に異なる予後を示す分析物の変異体、分析物の生化学的変異体などが含まれる。
【0065】
いくつかの好ましい態様において、本発明の方法は、ヒトにおける高いリスクまたは高い腫瘍形成能と関連する特定のHPV株(高リスク株)と、低い癌リスクまたは低い腫瘍形成能と関連する特定のHPV株(低リスク株)の検出および/または識別に合わせることができる。従って、用語「高リスク」HPV株は、ヒト被験者における、子宮頚癌を含む癌腫の発症と関連する任意のHPV株を含む。前記のように、本発明を全く限定しない例示的な高リスクHPV株には、HPV 16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、および68が含まれる。これらのHPV株に対するビーズ上の適切な捕捉プローブを表2に示した。用語「プローブ」および「プライマー」は、この文脈において同義に用いられることがある。「低リスク」HPV株には、ヒト被験者における高い癌腫リスクと関連しない、または弱い関連性しかないものが含まれる。典型的に、低リスクHPV株は、HPV 6およびHPV 11を含む、いぼ形成株である。
【0066】
本発明のビーズは、試料内の関心対象のある特定の分析物と特異的に相互作用する反応物と連結している。いくつかの局面において、本発明の反応物は核酸であり、反応物と特異的に反応する試料内の分析物も核酸である。
【0067】
従って、本発明のこの局面は、HPV株の保存領域に対するプライマーであるが、株特異的ゲノム配列に隣接するプライマーを用いる。株特異的配列は、株間で変化しない保存配列と比較して、株間で異なるので「可変」配列と呼ばれる。増幅されると、アンプリコンはビーズセットの中のビーズサブセットと接触される。ここで、各サブセットの各ビーズは、株特異的アンプリコンにハイブリダイズすることができる捕捉核酸プライマーまたはプローブを担持する。ビーズサイズ、蛍光強度、およびDNA結合特異性を用いて多重化を行うと、HPV株の特定、分取、および区別が可能になる。
【0068】
従って、本発明の他の局面は、1種類もしくは複数の種類のHPV株を検出するための、および/または2種類もしくはそれ以上のHPV株を識別するためのビーズセットを意図する。ここで、ビーズセット複数のビーズサブセットを含み、
(a)各サブセットのビーズはサイズに関して均一であり;
(b)各サブセットの中のビーズは、HPVゲノムのHPV株特異的領域または、任意で、対照核酸配列に結合することができる核酸捕捉プローブと連結しており;
(c)各ビーズ上にある捕捉プローブは同じ標識で標識され、各ビーズサブセットは、蛍光強度に基づいて不均一なビーズ混合物を生じるように異なる蛍光強度を有し;
(d)ビーズセットを生成するために少なくとも2種類のビーズサブセットが一緒に混合され、サブセットの識別情報、それによって、HPV株は、サイズ、蛍光強度、および配列判別に基づいてフローサイトメトリーによって特定することができる。
【0069】
本発明のさらに他の局面は、試料中の2種類またはそれ以上のHPV株を検出および/または識別するための方法を意図する。前記方法は、以下の工程:
(a)試料と、複数のビーズファミリーまたはビーズサブセットを含むビーズセットを接触させる工程であって、
(i)各サブセットのビーズがサイズに関して均一であり;
(ii)各サブセットの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域または、任意で、対照核酸配列に結合することができる核酸捕捉プローブと連結しており;
(iii)各ビーズ上にある捕捉プローブが同じ標識で標識され、各ビーズサブセットが、蛍光強度に基づいて不均一なビーズ混合物を生じるように異なる蛍光強度を有し;かつ
(iv)ビーズセットを生成するために少なくとも2種類のビーズサブセットが一緒に混合され、サブセットの識別情報、それによって、HPV株が、サイズ、蛍光強度、および配列判別に基づいてフローサイトメトリーによって特定することができる、工程;
(b)プライマーが、株特異的領域を含むレプリコンを生じるように増幅されたHPVゲノムに結合するのに十分な時間および条件の下で、ビーズセットを試料とインキュベートする工程;および
(c)ビーズに結合した、試料中に生じたアンプリコンを検出および/または識別して、2種類またはそれ以上のHPV株を特定または区別する工程を含む。
【0070】
核酸捕捉プローブが特異性を示すアンプリコンは蛍光レポーター分子で標識されてもよい。
【0071】
核酸は、試料それ自体および分析物の特性に関して便利な任意の方法を用いて本試料から単離することができる。本明細書で使用する用語「核酸」はDNAおよび/またはRNAを意味する。典型的には、DNAが単離されるが、当業者に明らかなある状況の下では、例えば、関心対象の分析物がRNAウイルスである場合に、RNAを単離する方が望ましい場合がある。RNAは単離されれば、RNA増幅されてもよく、後で増幅および分析するために標準的な方法を用いてcDNAにRNA逆転写されてもよい。
【0072】
好ましくは、「核酸」はDNAである。DNAは、任意の便利な手段を用いて試料から単離することができる。例えば、ヒト細胞試料中のHPVなどのウイルスの場合、グアニジンまたは機能的に等価な薬剤を用いて、細胞を溶解することができる。例示的なグアニジンに基づく細胞溶解法およびDNA抽出法は、Nelson and Krawetz (Anal. Biochem. 207 (1):97-201, 1992)の方法である。グアニジンベースの溶解溶液は、Qiagenなどの供給業者から市販もされている。例えば、QIAamp, PAXgeneなど。しかしながら、溶解法は、試料および分析物の特性に応じて変更することができる。例えば、土または沈殿物試料などの環境試料中の分析物を検出するために、Kuske et al.(Appl. Environ. Microbiol. 64(7):2463-2472, 1998)の方法などのガラスビーズに基づく細胞溶解システムが適している場合がある。どのような事象でも、特定の分析物および試料に適した溶解プロトコールが過度の実験なく当業者によって容易に決められると考えられる。
【0073】
細胞を溶解した後に、DNAは、当業者に容易に明らかな任意の便利な手段によって精製することができる(例えば、市販されている前記のキットを参照されたい)。本発明のある特定の好ましい態様において、DNAは、シリカなどがあるが、これに限定されない限定量のDNA結合剤を用いて精製される。それぞれの場合において回収されるDNAの量は、限定量のDNA結合剤が結合可能なDNAの最大量に等しいので、限定量のDNA結合剤を用いることによって、異なる試料から一定量のDNAを単離することができる。次いで、DNA結合剤に結合したDNAは、任意の便利な手段を用いてDNA結合剤から回収または溶出することができる。
【0074】
DNAが好ましい核酸であるが、RNAもまた、任意の標準的なRNA単離プロトコールを用いて試料から単離することができる。RNA単離は、典型的には、細胞破壊工程およびRNA単離工程を伴う。RNA単離に適した例示的な細胞破壊法には、Ambion Technical Bulletin #183 (www.ambion.com/techlib/tb/tb 183. html)において示される細胞破壊法が含まれる。さらに、広範囲の試料タイプに適した広範囲の例示的なRNA単離キットがwww.ambion.com/techlib/basics/products/rnaisol compchart.htmlに示されている。しかしながら、本発明は、いかようにも、RNA単離および精製のためのこれらの特定の方法およびキットによって限定されず、本発明は当業者に明らかな任意のRNA単離法と適合することが理解されるはずである。
【0075】
ビーズセットは、HPV検出に関して、HPV株と同数のビーズサブセットを含んでもよい。従って、前記のアッセイ法は、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、9種類、10種類、11種類、12種類、13種類、14種類、15種類、または16種類のビーズサブセットを使用してもよく、各ビーズサブセットは、HPV株6、11、16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、および68に対応する。対照のために、さらなるビーズも使用することができる。適切な捕捉プローブを表2に開示する。
【0076】
従って、本発明の他の局面は、1種類もしくは複数の種類のHPV株を検出するための、および/または2種類もしくはそれ以上のHPV株を識別するためのビーズセットに関する。ここで、前記ビーズセットは複数のビーズファミリーまたはビーズサブセットを含み、
(a)各サブセットのビーズはサイズに関して均一であり;
(b)各サブセットの中のビーズは、HPVゲノムのHPV株特異的領域または、任意で、対照核酸配列に結合することができる、表2のリストより選択される核酸捕捉プローブと連結しており;
(c)各ビーズ上にある捕捉プローブは同じ標識で標識され、各ビーズサブセットは、蛍光強度に基づいて不均一なビーズ混合物を生じるように異なる蛍光強度を有し;
(d)ビーズセットを生成するために少なくとも2種類のビーズサブセットが一緒に混合され、サブセットの識別情報、それによって、HPV株は、サイズ、蛍光強度、および配列判別に基づいてフローサイトメトリーによって特定することができる。
【0077】
本発明のなおさらなる局面は、試料中の2種類もしくはそれ以上のHPV株を検出および/または識別するための方法を意図する。前記方法は、以下の工程:
(a)試料と、複数のビーズファミリーまたはビーズサブセットを含むビーズセットを接触させる工程であって、
(i)各サブセットのビーズがサイズに関して均一であり;
(ii)各サブセットの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域または、任意で、対照核酸配列に結合することができる、表2のリストより選択される核酸捕捉プローブと連結しており;
(iii)各ビーズ上にある捕捉プローブが同じ標識で標識され、各ビーズサブセットが、蛍光強度に基づいて不均一なビーズ混合物を生じるように異なる蛍光強度を有し;かつ
(iv)ビーズセットを生成するために少なくとも2種類のビーズサブセットが一緒に混合され、サブセットの識別情報、それによって、HPV株が、サイズ、蛍光強度、および配列判別に基づいてフローサイトメトリーによって特定することができる、工程;
(b)プローブが、株特異的領域を含むレプリコンを生じるように増幅されたHPVゲノムに結合するのに十分な時間および条件の下で、ビーズセットを試料とインキュベートする工程;および
(c)ビーズに結合した、試料中に生じたアンプリコンを検出および/または識別して、2種類またはそれ以上のHPV株を特定または区別する工程を含む。
【0078】
従って、ビーズセットは、2種類、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、10種類、11種類、12種類、13種類、14種類、15種類、16種類のビーズサブセットを含んでもよく、各ビーズサブセットは、表2のリストより選択される核酸分子の1つを有する。表2におけるこれらのHPV株特異的配列についての言及は、これらの配列と少なくとも90%同一性を有する核酸分子、または低ストリンジェンシー下で、これらの配列と、もしくはその相補物とハイブリダイズすることができる核酸分子を含む。少なくとも90%についての言及は、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および100%を含む。
【0079】
本発明の方法は部分的には、本分析物の異なる株間の保存配列に結合するが、分析物の各株に特異なヌクレオチド配列を含むアンプリコンを生じるプライマーを用いて、試料から核酸を増幅することに頼る。実際には、本発明において用いられるプライマーは、本分析物の株間で保存されている配列であって、株間で少なくとも部分的にしか保存されていない、または多型である領域に隣接する配列に結合する。図示すると、分析物の中の増幅領域は、
C-X-C'
の一般構造を有する。
式中、
Cは、分析物の2種類またはそれ以上の株の間で保存されており、「フォワード」プライマーの結合部位であるヌクレオチド配列であり、
Xは、一部または全てが分析物の異なる株間の変化を含むヌクレオチド配列であり
C'は、分析物の2種類またはそれ以上の株の間で保存されており、「リバース」プライマーの結合部位であるヌクレオチド配列である。
【0080】
ある特定の態様において、核酸増幅プロセスを改変するために1つまたは複数のプライマーにヒールを組み入れることが望ましい。好ましくは、これらのヒールは、プライマーの5'末端にコンジュゲートされる。より好ましくは、1つまたは複数のヒールが、任意でヒールの5'末端で5 Phosまたは5AmMC6部分にさらにコンジュゲートされる。ある特定の好ましい態様において、フォワードプライマーにコンジュゲートされるヒールは:caatcagcacaatggaaccagcttattacc、およびctgttから選択され、より好ましくはacaatおよびctgttである。他の好ましい態様において、リバースプライマーにコンジュゲートされるヒールは、actcactataggaatacgactcactataggtctaatacgactcactatagg、およびaattctaatacgactcactataggから選択され、より好ましくはactcactataggおよびtctaatacgactcactataggである。
【0081】
腫瘍形成性HPVをターゲティングするためのオリゴヌクレオチド増幅プライマーに関連するある特定の態様において、プライマー対のフォワードプライマーは、以下からなる群より選択され:

およびプライマー対のリバースプライマーは、以下からなる群より選択される:

。示されるように、プライマーは、大文字で示され、それぞれの例における任意のヒールは、下線をつけた小文字で示される。好ましくは、プライマー対のフォワードプライマーは、

から選択される。他の好ましい態様において、プライマー対のリバースプライマーは、

から選択される。
【0082】
本発明のある特定の局面において、プライマーは、3'鋳型結合プライマー領域の5'端にコンジュゲートした非プライマー結合領域5'外来ヌクレオチド配列を組み入れる。5'外来ヌクレオチド配列は、本明細書において簡便に「ヒール」、「ヒールクランプ」、「ヒール配列」、または「外来ヒール配列」と呼ばれるが、これはいずれにせよ、本発明を制限すると意図されない。
【0083】
ある特定の好ましい態様において、フォワードおよびリバースプライマーの少なくとも1つは、プライマーの5'末端でヒールにコンジュゲートされる。好ましくは、フォワードプライマーがフォワードプライマーの5'末端でヒールにコンジュゲートしている場合、フォワードプライマーヒールは、以下からなる群より選択される:

。好ましくは、リバースプライマーがリバースプライマーの5'末端でヒールにコンジュゲートしている場合、リバースプライマーヒールは、以下からなる群より選択される:

。任意のヒール核酸配列を含有するオリゴヌクレオチド増幅プライマー対のいくつかのより好ましい態様において、プライマー対のフォワードプライマーは、以下からなる群より選択される:
プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

およびプライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

。任意のヒール核酸配列を含有するオリゴヌクレオチド増幅プライマー対のいくつかのより好ましい態様において、プライマー対のリバースプライマーは以下からなる群より選択される:
プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;およびプライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する


【0084】
3'鋳型結合プライマー領域は、その3'部分が鋳型に結合する(たとえば重合をプライミングするための第一のアニール工程の際に)プライマーを指す。先に言及したプライマーの設計によって、初回プライミング事象の後に増幅産物におけるヒール配列の組み入れが起こる。その後、5'ヒール配列は、アンプリコン相同体の全体にわたって増幅効率を均一にするためのクランプとして作用する。
【0085】
外来ヒール配列は、フォワードプライマーまたはリバースプライマーのいずれかに存在してもよい。
【0086】
よって、本発明のある特定の局面は、少なくとも1つのプライマーが、3'鋳型結合プライマー領域にコンジュゲートした非プライマー結合領域5'外来ヌクレオチド配列を含有し、外来ヌクレオチド配列が、初回プライミング後に増幅産物に組み入れられる、フォワードおよびリバースプライマーを用いて、核酸標的の核酸鋳型を増幅に供する工程を含む、核酸標的分子を増幅するための方法を企図する。
【0087】
先に示したように、フォワードまたはリバースプライマーのいずれかが外来配列を含んでもよく、または両方が配列を持っていてもよい。両方が外来配列を持っている場合、ヒールは同じまたは異なっていてもよい。
【0088】
本発明は、おそらく核酸標的相同体の組をプライミングすることができるプライマーに特に応用可能である。
【0089】
本発明はさらに、以下の工程を含む、フォワードおよびリバースプライマーによる増幅によって関連する核酸分子の集団の中に含まれる核酸分子を増幅する改善された方法を企図する:フォワードまたはリバースプライマーの1つまたは両方が、3'鋳型結合プライマー領域にコンジュゲートされた非プライマー結合領域5'外来ヌクレオチド配列を含有するように、フォワードまたはリバースプライマーの1つまたは両方を選択する工程であって、外来ヌクレオチド配列が、初回プライミング後に増幅産物に組み入れられる、工程。
【0090】
よって、「核酸分子」への言及には、相同体核酸分子の群などの関連する核酸分子ファミリーが含まれる。
【0091】
増幅の偏りを低減するためのキットも同様に本発明の一部を形成する。
【0092】
本文書において引用または記述された全ての科学的引用、特許、特許出願、および製造元の技術的仕様書は、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる。
【0093】
特別に定めのない限り、本発明は、特定の試薬、プロセス工程、または応用等を変更してもよいことから、それらに限定されないと理解される。同様に、本明細書において用いられる用語は、特定の態様を記述する目的に限られ、限定を意図するのではないと理解される。
【0094】
本明細書において用いられる核酸化学、生化学、遺伝学、および分子生物学の用語および記号は、当分野の標準的な論文およびテキスト、たとえばKornberg and Baker, DNA Replication, Second Edition (W .H. Freeman, New York, 1992);Lehninger, Biochemistry, Second Edition (Worth Publishers, New York, 1975);Strachan and Read, Human Molecular Genetics, Second Edition (Wiley-Liss, New York, 1999);Eckstein Ed, Oligonucleotides and Analogs: A Practical Approach (Oxford University Press, New York, 1991);Gait Ed, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach (IRL Press, Oxford, 1984)等の用語および記号に従う。
【0095】
「アンプリコン」は、ポリヌクレオチド増幅反応の産物を意味する。すなわち、これは1つまたは複数の開始配列から複製された、通常、二本鎖であるが、必ずしも二本鎖である必要はないポリヌクレオチドの集団である。1つまたは複数の開始配列は、同じ配列の1つもしくは複数のコピーであってもよく、または異なる配列の混合物であってもよい。アンプリコンは、その産物が1つまたは複数の標的核酸の多数の複製物である多様な増幅産物によって生成されてもよい。一般的に、アンプリコンを生成する増幅反応は、ヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドのいずれかである反応物の塩基対形成が、反応産物を生じるために必要な鋳型ポリヌクレオチドにおける相補体を有するという点において「鋳型駆動性」である。1つの局面において、鋳型駆動性反応は、核酸ポリメラーゼによるプライマー伸長、または核酸リガーゼによるオリゴヌクレオチドライゲーションである。そのような反応には、参照により本明細書に組み入れられる以下の参考文献において開示されるPCRリニアポリメラーゼ反応、NASBA、ローリングサークル増幅等が含まれるがこれらに限定されるわけではない:Mullis et al、米国特許第4,683,195号;第4,965,188号;第4,683,202号;第4,800,159号(PCR);Gelfand et al、米国特許第5,210,015号(「Taqman」または「Taq」(登録商標)プローブによるリアルタイムPCR);Wittwer et al、米国特許第6,174,670号;Kacian et al、米国特許第5,399,491号(「NASBA」);Lizardi、米国特許第5,854,033号;Aono et al、日本国特許出願第JP 4-262799号(ローリングサークル増幅)等。
【0096】
増幅反応は、増幅反応が進行するにつれて、検出化学によって反応産物が測定される「リアルタイム」増幅であってもよい。
【0097】
本発明は、広範囲の関連または相同体核酸分子全体にわたって増幅の偏りを低減することに特に関係する。相同体核酸分子の例には、中でもウイルス相同体、多形、関連する癌細胞、細菌相同体、幹細胞相同体が含まれる。本発明の1つの局面は、相同体のあいだでおそらく差がある点でプライマーを選択することである。プライマーは、初回プライミング後に増幅産物に組み入れられる3'鋳型結合プライマー領域にコンジュゲートされた非プライマー結合領域5'外来ヌクレオチド配列を持つよう提唱されている。
【0098】
ヒールまたは5'外来配列は、長さが約1塩基〜約400塩基であってもよく、その全ての組み合わせおよび小組み合わせ(subcombination)であってもよい。好ましくは、ヒールは長さが約3〜約100塩基、より好ましくは約4〜約80塩基、さらにより好ましくは約5〜約40塩基、なおより好ましくは約5〜約25塩基であり、約10〜約20塩基がさらにより好ましい。
【0099】
実際に、5'外来配列は任意で、標的配列に対して一定レベルの相補性を有するが、これは初回プライマー結合工程に実質的に関与しない。ヒールは、コアプライマーに対して95%未満の相補性を有することが望ましい。相補性レベルの追加の例には、90%、85%、80%、75%、70%、65%、および60%未満が含まれうる。相補性は標準的なアルゴリズムによって決定される。
【0100】
本明細書において用いられるように、「増幅する」という用語は、増幅反応を行うことを意味する。「反応混合物」または「反応容器」は、反応を行うために必要な全ての反応物を含有する溶液または区画を意味し、これには、反応のあいだ選択されたレベルでpHを維持するための緩衝剤、塩、共因子、スカベンジャー等が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0101】
「相補的または実質的に相補的な」とは、例としてdsDNA分子の2つの鎖のあいだ、またはオリゴヌクレオチドプライマーと一本鎖核酸上のプライマー結合部位とのあいだなどの、ヌクレオチドまたは核酸のあいだのハイブリダイゼーション、塩基対形成、または二重鎖の形成を指す。相補的ヌクレオチドは、一般的にAおよびT(またはAおよびU)、またはCおよびGである。2つの一本鎖RNAまたはDNA分子は、適当なヌクレオチド挿入または欠失によって最適に整列させて比較した1つの鎖のヌクレオチドが、他の鎖のヌクレオチドの少なくとも約80%と、通常少なくとも約90%〜95%、およびより好ましくは約98%〜100%と対を形成する場合、実質的に相補的であると言われる。または、実質的な相補性は、たとえばDNA鎖が選択的ハイブリダイゼーション条件下でその相補体とハイブリダイズする場合に存在する。典型的に、選択的ハイブリダイゼーションは、少なくとも14〜25ヌクレオチドの範囲にわたって少なくとも約65%の相補性、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約90%の相補性が存在する場合に起こる。その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、Kanehisa Nucleic Acids Res. 12:203, 1984を参照されたい。
【0102】
「二重鎖」とは、完全または部分的に相補的である少なくとも2つのオリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドが、安定な複合体が形成されるように、そのヌクレオチドの全てまたはほとんどにおいてワトソン-クリック型の塩基対形成を受けることを意味する。「アニーリング」および「ハイブリダイゼーション」という用語は、安定な二重鎖の形成を意味するために互換的に用いられる。二重鎖を参照して「完全にマッチした」とは、二重鎖を構成するポリまたはオリゴヌクレオチド鎖が、それぞれの鎖におけるあらゆるヌクレオチドが他の鎖におけるヌクレオチドとワトソン-クリック型の塩基対形成を受けるように互いに二本鎖構造を形成することを意味する。
【0103】
ゲノムまたは標的ポリヌクレオチドを参照して「遺伝子座」または「座」は、ゲノムまたは標的ポリヌクレオチドの近接小領域またはセグメントを意味する。本明細書において用いられるように、遺伝子座または座は、ゲノムにおける遺伝子もしくは遺伝子の一部の位置を指してもよく、またはそれが遺伝子内に存在するかもしくは遺伝子に関連するかによらず、ゲノム配列の任意の近接する部分を指してもよい。好ましくは、遺伝子座は、長さが数十ヌクレオチド、たとえば10〜30、または10〜100ヌクレオチドから長さが数百ヌクレオチド、たとえば100〜1000、または100〜500ヌクレオチドまで、長さが数千ヌクレオチド、たとえば1000〜10,000、または1000〜3000ヌクレオチドまでのゲノム配列の任意の部分を指す。いくつかの文脈において、遺伝子座は、ゲノム内でヌクレオチドの位置を指してもよい。
【0104】
「キット」は、本発明の方法を実行するための材料または試薬を送達するための任意の送達システムを指す。反応アッセイの状況において、そのような送達システムには、反応試薬(たとえば、適当な容器におけるプローブ、酵素等)および/または支持材料(たとえば、緩衝剤、アッセイを行うための書面での説明書等)の1つの位置からもう1つの位置への保存、輸送、または送達を可能にするシステムが含まれる。たとえば、キットには、関連する反応試薬および/または支持材料を含有する1つまたは複数の封入物(たとえば、箱)が含まれる。そのような内容物は、意図されるレシピエントに、一緒にまたは個別に送達されてもよい。たとえば、第一の容器は、アッセイにおいて用いるための酵素を含有してもよく、第二の容器はプローブを含有する。キットはまた、試薬を含有するように適合された区画を含有してもよい。1つの例において、区画は、増幅反応に関与するオリゴヌクレオチド、プライマー、またはポリヌクレオチドがその上に固定された固相マトリクスを含む。固相マトリクスの例はマイクロアレイである。それによって、キットは、試薬成分、核酸成分、ハードウェア成分、および説明書成分を有する総合的な増幅システムの一部であってもよい。
【0105】
「マイクロアレイ」は、アレイのそれぞれのメンバーが、アレイの他のメンバーの位置と重なり合わない、すなわち領域または部位が空間的に離れている、空間的に定義された領域または部位に固定されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの同一のコピーを含む、核酸のアレイを持つ平面表面を有する固相支持体を指す。空間的に定義されたハイブリダイゼーション部位は、固定されたオリゴヌクレオチドのその位置および識別情報がたとえばその使用前に公知である、または既定されているという点において、さらに「位置特定可能」であってもよい。典型的に、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは一本鎖であり、通常、5'端または3'端によって固相支持体に共有結合的に付着される。マイクロアレイにおける核酸を含有する非オーバーラップ領域の密度は、典型的に100個/cm2より大きく、より好ましくは1000個/cm2より大きい。マイクロアレイ技術は、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、以下の参考文献において開示されている:Schena, Ed, Microarrays: A Practical Approach (IRL Press, Oxford, 2000);Southern, Current Opin. Chem. Biol, 2:404-410, 1998。
【0106】
「ランダムマイクロアレイ」は、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの空間的に離れた領域が空間的に位置特定可能でないマイクロアレイを指す。すなわち、付着したオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの識別情報を、少なくとも最初、その位置から見分けることができない。1つの局面において、ランダムマイクロアレイは、それぞれのマイクロビーズが、オリゴヌクレオチドの最少の交叉ハイブリダイズセットからなどの、1種類のハイブリダイゼーションタグ相補体に付着しているマイクロビーズの平面アレイである。同様に、形成後、ランダムアレイにおけるマイクロビーズまたはそのオリゴヌクレオチドは、光学的標識、たとえば蛍光色素比または量子ドット、形状、配列分析等によることを含む、多様な方法で特定され得る。
【0107】
本明細書において用いられる「ヌクレオシド」には、たとえばKornberg and Baker, DNA Replication, 2nd Ed. (Freeman, San Francisco, 1992)において記述されるように、2'-デオキシおよびT-ヒドロキシル型を含む天然のヌクレオシドが含まれる。
【0108】
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」は、DNAの相補鎖の同時のプライマー伸長による特異的DNA配列のインビトロ増幅のための反応を意味する。言い換えれば、PCRは、プライマー結合部位に隣接する標的核酸の多数のコピーまたは複製物を作出するための反応であり、そのような反応は以下の工程の1回または複数回の反復を含む:(i)標的核酸を変性させる工程;(ii)プライマー結合部位にプライマーをアニールさせる工程;および(iii)ヌクレオシド三リン酸の存在下で核酸ポリメラーゼによってプライマーを伸長させる工程。通常、反応は、サーマルサイクラー機器において各工程にとって最適化された異なる温度を通してサイクルされる。特定の温度、各工程の時間、および工程のあいだの変化率は、たとえば参考文献によって例示される当業者に周知の多くの要因に依存する:McPherson et al, (Eds), PCR: A Practical Approach and PCR2: A Practical Approach (IRL Press, Oxford, それぞれ1991および1995)。たとえば、Taq DNAポリメラーゼを用いる従来のPCRにおいて、二本鎖標的核酸を>90℃の温度で変性してもよく、プライマーを35〜90℃の範囲の温度でアニールしてもよい。「PCR」という用語は、RT-PCR、リアルタイムPCR、ネステッドPCR、定量的PCR、多重化PCR、エンハンスド固相PCR等を含むがこれらに限定されるわけではない、反応の派生型を包含する。エンハンスド固相PCRのさらなる詳細に関しては、たとえば、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、Park, et al., Analytical Biochemistry, 375 (2008), pp. 391-393を参照されたい。エンハンスド固相PCRを用いることは、本発明のある特定の態様において、たとえばHPV株に関連する核酸分子の産生および/または増幅にとって好ましい。さらにより好ましいのは、HPV株に関連する核酸分子のエンハンスド固相PCR増幅において、本明細書において記される1つまたは複数のフォワード/リバースプライマー対を用いることである。
【0109】
ESP-PCRフォーマットを用いて、一本鎖アンプリコンは最終的なPCR産物として必要ではないことから、5'リン酸は任意である。5'アミン官能基も同様に、このフォーマットにおいて任意であり、シグナルを産生するためのフルオロフォアによる標識の好ましい手段として用いられてもよい。しかし、任意の官能基または代用官能基の必要がない場合、多くの代用シグナル産生手段も同様に使用してもよい。たとえば、PCRプライマーは、非蛍光標識であってもよく、シグナルにコンジュゲートされている別個の「シグナルオリゴヌクレオチド」を用いてもよい。もう1つの例において、ESP-PCRフォーマットを用いて、官能基を有さない全ての「水溶性」PCRプライマーを用いてもよく、シグナルは代わりに、標識されたヌクレオチド類似体を組み入れることによって導入されうる。ESP-PCRフォーマットを用いる他の態様において、官能基を有さない全ての「水溶性」PCRプライマーを用いてもよく、シグナルは、二本鎖産物の状況においてシグナルが増加するように、標識固相支持体プライマーによって導入されうる。
【0110】
一本鎖アンプリコンを産生するための代用手段には、鎖を分離することによって、または二重鎖の1つの鎖を除去することによって、二本鎖DNAを一本鎖DNAに変換することが含まれる。二重鎖の鎖は、鎖間結合を破壊する熱または化学的手段によって分離することができる。1つの鎖の除去によって、所望の鎖の回復およびその相補鎖の消失が許容され、たとえばNikiforov et al.(米国特許第5,518,900号)は、改変されたプライマーの5'端にホスホロチオエートヌクレオチド誘導体を組み入れることによって、それをエキソヌクレアーゼ消化に対して抵抗性にすることによって、増幅のために用いられる2つのプライマーの1つを改変することを記述した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて標的配列を増幅した後、dsDNAをエキソヌクレアーゼ消化に供する。保護されない鎖は、5'から3'エキソヌクレアーゼによって優先的に消化されて、他の鎖からなる一本鎖産物が残る。類似の戦略は、エキソヌクレアーゼ抵抗性分岐プライマー(Shchepinov et al., Nuc. Acids. Res. 25:4447-4454 1997)、または5'リン酸を有する基体へのラムダエキソヌクレアーゼの選択性(Higuchi et al., Nucl. Acids Res. 25:5685, 1989)を用いた。
【0111】
非対称PCR(Gyllensten and Erlich, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:7652-7656 1998;米国特許第5,066,584号)は、1つのプライマーが限界濃度となるように不均衡なプライマー対濃度を使用することによって、熱サイクリングの際にssDNAを産生する。これは過剰量のプライマーによってプライミングされるssDNA産物にとって有利である。
【0112】
競合プライマー非対称PCR(Gillespie, 1997;米国特許出願第08/628,417号)は、PCR熱サイクリング後でssDNAを産生するためのさらなる熱サイクリングの前に、競合プライマーを個々に付加することを使用する。Kaltenboeck et al., Biotechniques 72:164-171, 1992は、最初にPCRを行ってdsDNAを産生した後、1つのプライマーを使用して第二のリニア増幅のための鋳型として第一のPCRの産物を用いて異なる反応を行うことによりssDNAを生成する方法を記述した。同様に、非同期PCRの例に関しては、米国特許第6,887,664号を参照されたい。
【0113】
反応容積は、数百ナノリットル、たとえば200 nLから数百μL、たとえば200μLまでの範囲である。「逆転写PCR」または「RT-PCR」は、標的RNAを相補的な一本鎖DNAに変換する逆転写反応が先に起こり、その後一本鎖DNAを増幅するPCRを意味し、たとえばその特許の全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、Tecott et al、米国特許第5,168,038号を参照されたい。「リアルタイムPCR」は、反応産物、すなわちアンプリコンの量が、反応が進行するにつれてモニターされるPCRを意味する。リアルタイムPCRには多くの型があり、それらは反応産物のモニタリングのために用いられる検出化学が主に異なり、たとえば、その特許の全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、Gelfand et al、米国特許第5,210,015号(「taqman」);Wittwer et al、米国特許第6,174,670号および第6,569,627号(インターカレート色素);Tyagi et al、米国特許第5,925,517号(分子ビーコン)を参照されたい。リアルタイムPCRの検出化学は、同様にその全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、Mackay et al, Nucleic Acids Research, 30: 1292-1305, 2002において論評されている。「ネステッドPCR」は、第一のPCRのアンプリコンが新しいプライマーセットを用いる第二のPCRの試料となり、その少なくとも1つが第一のアンプリコンの内部の位置に結合する二工程PCRを意味する。
【0114】
初回プライミング事象は、初回プライミング後に外来ヌクレオチド配列が増幅産物に組み入れられる、1つまたは両方が、3'鋳型結合プライマー領域にコンジュゲートした非プライマー結合領域5'外来ヌクレオチド配列を持つフォワードおよびリバースプライマーによって行われると提唱される。
【0115】
プライマー設計として3'鋳型結合プライマー領域にコンジュゲートした非プライマー結合領域5'ヒール配列を用いることによって、初回プライマー結合事象の後に増幅産物へのヒール配列の組み入れが起こる。その後、5'ヒール配列は、相同体全体にわたって増幅効率を均一にするためのクランプとして作用する。そのため、増幅の偏りは初回プライマー結合事象に限定される。「ヒールクランプ」は、必要に応じて、フォワードおよびリバースプライマーのいずれかまたは両方に置くことができる。特定の応用に適合するように「ヒールクランプ」配列がどのような配列を含むかに関しては設計に大きな自由がある。3'鋳型結合プライマー配列は、縮重配列、コンセンサス配列、またはコンセンサス配列と縮重配列のハイブリッドの形をとりうる。関心対象の正確なマッチ配列のプールも同様に使用することができる。これらの全ての場合において、5'「ヒールクランプ」原理を使用することができる。
【0116】
「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は互換的に用いられ、それぞれが、ヌクレオチド単量体の直線的な重合体を意味する。ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを構成する単量体は、ワトソン-クリック型の塩基対形成、塩基のスタッキング、フーグスティーン-または逆フーグスティーン型の塩基対形成等などの、単量体対単量体相互作用の規則正しいパターンによって天然のポリヌクレオチドに対して特異的に結合することができる。
【0117】
ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドが、「ATGCCTG」などの文字配列(大文字または小文字)によって表される場合は常に、特別に定めのない限りまたは本文から明らかである場合を除き、ヌクレオチドは左から右に5'から3'であり、「A」はデオキシアデノシン、「C」はデオキシシチジン、「G」はデオキシグアノシン、および「T」はチミジン、「I」はデオキシイノシン、「U」はウリジンを指すと理解される。
【0118】
「プライマー」は、ポリヌクレオチド鋳型と二重鎖を形成した際に、核酸合成の開始点として作用することができ、伸長した二重鎖が形成されるように鋳型に沿ってその3'端から伸長することができる、天然または合成のオリゴヌクレオチドを意味する。
【0119】
プライマーの伸長は、通常、DNAまたはRNAポリメラーゼなどの核酸ポリメラーゼによって行われる。伸長プロセスにおいて付加されるヌクレオチド配列は、鋳型ポリヌクレオチドの配列によって決定される。通常、プライマーは、DNAポリメラーゼによって伸長される。プライマーは通常、長さが14〜40ヌクレオチドの範囲、または18〜36ヌクレオチドの範囲である。プライマーは、多様な核酸増幅反応、たとえば1つのプライマーを用いるリニア増幅反応、または2つもしくはそれより多いプライマーを用いるPCRにおいて使用される。特定の応用のためのプライマーの長さおよび配列を選択するための指針は、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる以下の参考文献によって証明されるように、当業者に周知である:Dieffenbach (Ed), PCR Primer: A Laboratory Manual, 2nd Edition (Cold Spring Harbor Press, New York, 2003)。
【0120】
「試料」は、標的核酸の検出または測定が求められる生物、環境、医学、または患者源からのある量の材料を意味する。一方、これは、標本または培養物(たとえば、微生物培養物)が含まれることを意味する。一方、これは、生物および環境試料の両方が含まれることを意味する。試料には、合成起源の標本が含まれてもよい。生物試料は、ヒトを含む動物、液体、固体(たとえば、便)、または組織と共に、液体および固体の食品および飼料製品、ならびに乳製品、野菜、肉、肉副産物、および廃棄物などの成分であってもよい。生物試料には、培養物、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、乳汁、リンパ、喀痰、精液、針吸引液等が含まれるがこれらに限定されるわけではない、患者から採取した材料が含まれてもよい。生物試料は、様々な科の家畜動物の全てから得てもよいと共に、有蹄類、クマ、魚類、齧歯類等のような動物が含まれるがこれらに限定されるわけではない野生化または野生動物から得てもよい。環境試料には、表面物質、土壌、水および産業試料などの環境材料と共に、食品および乳製品加工機器、器具、装置、家庭用品、使い捨ておよび非使い捨て製品から得られた試料が含まれる。これらの例は、本発明に応用可能な試料のタイプを限定しないと解釈される。
【0121】
よって、本発明のいくつかの局面は、以下の工程を含む、核酸標的分子を増幅するための方法を提供する:少なくとも1つのプライマーが、3'鋳型結合プライマー領域にコンジュゲートした非プライマー結合領域5'外来ヌクレオチド配列を含有し、外来ヌクレオチド配列が、初回プライミング後に増幅産物に組み入れられる、フォワードおよびリバースプライマーを用いて、核酸標的の一本鎖鋳型を増幅に供する工程。
【0122】
本発明の他の局面は、以下の工程を含む、フォワードおよびリバースプライマーによる増幅によって、関連する核酸分子の集団内が含まれる核酸分子を増幅する改善された方法を企図する:フォワードまたはリバースプライマーの1つまたは両方が、3'鋳型結合プライマー領域にコンジュゲートした非プライマー結合領域5'外来ヌクレオチド配列を含有するように、フォワードまたはリバースプライマーの1つまたは両方を選択する工程であって、外来ヌクレオチド配列が初回プライミング後に増幅産物に組み入れられる、工程。
【0123】
ヒール配列の例には、以下が含まれる:
T7aプロモーター配列25-mer

M13/pUCシークエンシングプライマー(-40)

M13/pUCシークエンシングプライマー(-20)、17-mer

M13/pUCリバースシークエンシングプライマー(-26)、17-mer

M13/pUCシークエンシングプライマー(-40)、17-mer

M13/pUCシークエンシングプライマー(-46)、22-mer

M13/pUCシークエンシングプライマー(-46)、24-mer

SP6プロモーターシークエンシングプライマー、18-mer

SP6プロモーターシークエンシングプライマー、24-mer

T7プロモーターシークエンシングプライマー、20-mer

T3プロモーターシークエンシングプライマー、17-mer

;および
T3プロモーターシークエンシングプライマー、24-mer

【0124】
先に記述した部位などのプライマー部位からの増幅によって、さまざまな株の分析物からXを増幅するためにCおよびC'に結合する、「ユニバーサル」プライマーセットを効率よく用いることができる。その上、ユニバーサルプライマーを用いて増幅されたアンプリコンは、保存領域と可変領域の両方を含む可能性があることに注意すべきである。
【0125】
いくつかの態様において、HPV配列を増幅するプライマーを用いる。より好ましくは、これらのプライマーは、GP5+が

であり、GP6+が

である。これらのプライマーは、保存領域(図2においてYとして定義される)と、異なるHPV株において可変である領域(図2においてXとして定義される)の両方を含むHPVからのアンプリコンを産生する。
【0126】
他の態様において、これらのプライマーは、GP5d2+が

であり、T7aGP6d+が

である。
【0127】
もう1つの態様において、これらのプライマーは、GP5d3+が

であり、T7aGP6d+*

である。
【0128】
他の態様において、プライマー対のフォワードプライマーは、以下からなる群より選択される:
プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;およびプライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;ならびにプライマー対のリバースプライマーは、以下からなる群より選択される:
プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

;およびプライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

。または、フォワードおよびリバースプライマーは、先に記述したプライマーと類似であるが、先に記述したフォワードまたはリバースプライマーとは、3'端での最後のヌクレオチド2個の置換を除外して、異なるHPV株のあいだでヌクレオチド置換が起こる部位で、0〜約5ヌクレオチドの置換によって、好ましくは0〜約2ヌクレオチドの置換によって異なるプライマーの群から選択される。本発明はまた、先に記述したフォワードまたはリバースプライマーに関する置換と類似の、任意のヒール配列に対する置換を企図し、そのような任意のヒールは、先に開示したフォワードまたはリバースプライマーのいずれかの5'末端にコンジュゲートされている。ある特定の好ましい態様において、フォワードプライマーは、プライマーの5'末端にコンジュゲートされた

を任意で有する

およびプライマーの5'末端にコンジュゲートされた

を任意で有する

から選択される。ある特定の他の好ましい態様において、リバースプライマーは、プライマーの5'末端にコンジュゲートされた

を任意で有する

およびプライマーの5'末端にコンジュゲートされた

を任意で有する

から選択される。
【0129】
先の記述は、本発明において有用なプライマー対の例を示す。追加のプライマー対は、異なるフォワード(たとえば、GP5+、GP5d2+等)およびリバースプライマー(たとえば、GP6+、T7aGP6d+等)を互いに対形成することによって形成することができる。
【0130】
本発明のある特定の態様は、開示の任意のプライマーの約20-merの3'コア断片の下限までのプライマー断片の全ての組み合わせおよび小組み合わせが含まれる、本明細書に開示される任意のプライマーの断片に向けられる。本明細書において用いられるように、「断片」は、当初のプライマーからの1つまたは複数のヌクレオチドの欠失によって形成される切断されたプライマーまたはプローブ核酸オリゴマー配列を指す。
【0131】
本発明はまた、対照配列の増幅を企図する。1つの態様において、対照配列には、生物試料が由来する被験体のゲノムの領域が含まれてもよい。しかし、本発明は、これらの特定の対照配列にいかなるようにも限定されず、当業者に明らかである他の対照配列も同様に企図される。その上、本発明の方法は、対照配列を増幅することなく行ってもよい。
【0132】
いくつかの態様において、対照配列は、ヌクレオチド配列

を含むプライマーMLC1_F、および配列

を含むMLC1_Rを用いてヒト被験体のゲノムから増幅される。
【0133】
他の態様において、対照配列は、ヌクレオチド配列

を含むプライマーmlcl_95f、および配列

を含むT7amlcl_275r(HeelMLCR)を用いてヒト被験体のゲノムから増幅される。
【0134】
単離されたDNAは、任意のDNA増幅プロトコールを用いて増幅することができる。本発明をいかようにも限定しない、広範囲の例示的なDNA増幅法は、「DNA Amplification: Current Technologies and Applications」(Demidov and Broude Eds., Horizon Bioscience, 2004)に示されている。
【0135】
単離されたRNAは、当技術分野において公知の任意のRNA法を用いて増幅することができ、多数のRNA増幅技術が開発されている。これらの2つの主要なカテゴリーが、(i)RT-PCRなどのサーマルサイクリングを利用する増幅、ならびに核酸配列に基づく増幅(nucleic acid sequence-based amplification)(NASBA)(Compton, Nature 350:91-92, 1991; Kievits et al., J. Virol. Methods 35:273-286, 1991)および転写を介した増幅(transcription-mediated amplification)(TMA) (Hill, J. Clin. Ligand Assay 19:43-51, 1996)などの等温法である。等温法は、(i)標的配列をコピーおよび増幅するかどうか、例えば、TMA、NASBA、および自己支持複製(self-sustained sequence replication)(3SR)(Guatelli et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 87:1874-1878, 1990; Chadwick et al., J. Virol. Methods 70:59-70, 1998;概説については、Chan and Fox, Rev. Med. Microbiol. 10:185-196, 1999を参照されたい)、または(ii)さらに増幅可能な標的依存的シグナルを生じるかどうか、例えば、インベーダー法(Lyamichev et al., Nat. Biotechnol. 17:292-296, 1999; Ryan et al., Mol. Diagn. 4:135-144, 1999)に基づいてさらに分けることができる。Qβレプリカーゼ(Lizardi et al., Biotechnology (6:1197-1202, 1988)および分岐DNA(Todd et al., J. AIDS Hum. Retrovirol. 10:S35-S44, 1995; Pawlotsky et al., J. Virol. Methods 79:227-235, 1999)などの、これらのカテゴリーに容易に当てはまらない他の様々な増幅技術がある。しかしながら、本発明は、当業者に明らかな任意のRNA増幅法を意図することが理解されるはずである。さらに、本発明は、RNAを、後で増幅することができるDNAに変換するために、逆転写酵素またはその機能的な均等物の使用も意図することが理解されるはずである。
【0136】
本発明によれば、前記方法の工程(iii)および/または(iv)で説明されたアンプリコンは標識される。本発明のアンプリコンは、任意の便利な手段を用いて標識することができる。例示的な方法には、合成前法および合成後法が含まれる。合成前標識法は、後でアンプリコンの増幅に用いられ、それによってPCRを介してアンプリコンに組み込まれるPCRプライマーの標識を含む。この方法では、標識は、典型的には、アンプリコンの増幅に適したプライマーの5'末端に取り付けられるが、3'標識または非末端標識などのプライマー内の他の位置での標識も意図される。
【0137】
標識と、標識されるポリヌクレオチドの間に化学リンカーも使用することができる。当業者によって適切なリンカー配列が容易に確かめられ、C6、C7、およびC12アミノ修飾物質などのリンカーならびにチオール基を含むリンカーを含む可能性が高い。容易に確かめられるように、プライマーはリンカーおよび標識を含んでもよく、リンカーだけを含んでもよく、このリンカーには、後の段階で標識を取り付けることができる。
【0138】
増幅後標識法はニック標識システムを含む。ニック標識システムでは、クレノウポリメラーゼまたはその機能的な均等物を用いて、ランダムプライマーによってアンプリコンから標識ポリヌクレオチドが合成される。合成中に、クレノウポリメラーゼによって合成されたポリヌクレオチドに、標識ヌクレオチドまたはリンカー基を含むヌクレオチドを組み込むことができる。
【0139】
どのような事象でも、他の標識法が当業者に容易に明らかなはずであり、本発明は、標識法の選択によって全く規定も限定もされないことが理解されるはずである。
【0140】
使用される標識は、好ましくは、「蛍光マーカー」または「フルオロフォア」である。多くの異なる蛍光マーカーが当業者によく知られており、蛍光マーカーの選択によって本発明は全く限定されない。本発明の他の好ましい態様において、本発明の蛍光マーカーは、ポリヌクレオチドに取り付けることができ、以下の群より選択される光源を用いて励起可能な任意の蛍光マーカーを含む。
(i)アルゴンイオンレーザー:緑色〜赤色領域において蛍光を発する多くの色素および蛍光色素の励起に適した青色488nmラインを備える。広範囲の波長(458nm、488nm、496nm、515nm、およびその他)で発光する波長可変アルゴンレーザーも利用することができる。
(ii)ダイオードレーザー:635nmの発光波長を有する。現在利用可能な他のダイオードレーザーは532nmで動作する。興味深いことに、この波長はヨウ化プロピジウム(PI)を最適に励起する。PI染色は、DNA分析、生/死のカウント、および倍数性の測定に広く用いられている。476nmのあたりで発光する青色ダイオードレーザーも利用することができる。
(iii)HeNeガスレーザー:赤色633nmラインを用いて動作する。
(iv)HeCdレーザー:325nmで動作する。
(v)100W水銀アークランプ:ヘキストおよびDAPIのようなUV色素を励起するための最も効率的な光源。
【0141】
本発明のより好ましい態様において、蛍光マーカーは、ヒドロキシクマリン、アミノクマリン、メトキシクマリン、カスケードブルー、ルシファーイエロー、NBD、フィクエリトリン(PE)、PerCP、アロフィコシアニン、ヘキスト33342、DAPl、SYTOX Blue、ヘキスト33258、クロモマイシンA3、ミトラマイシン、YOYO-1、SYTOXグリーン、SYTOXオレンジ、7-AAD、アクリジンオレンジ、TOTO-1、To-PRO-1、チアゾールオレンジ、TOTO-3、TO-PRO-3、LDS 751、Alexa Fluro-350、-430、-488、-532、-546、-555、-556、-594、-633、-647、-660、-680、-700、および-750を含むAlexa Fluor色素;BoDipy 630/650およびBoDipy 650/665を含むBoDipy色素;CY色素、特に、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、およびCy7;6-FAM(フルオレセイン);PE-Cy5、PE-Cy7、フルオレセインdT;ヘキサクロロフルオレセイン(Hex);6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン(JOE);488-Xおよび514を含むオレゴングリーン色素;X-ローダミン、リサミンローダミンB、ローダミングリーン、ローダミンレッド、およびROXを含むローダミン色素;TRITC、テトラメチルローダミン(TMR);カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA);テトラクロロフルオレセイン(TET);Red6B、FluorX、BODIPY-FL、SYBRグリーンI色素、ならびにテキサスレッドより選択される。本発明の特に好ましい態様において、マーカーは、本発明の実施に特に便利なCy5である。
【0142】
しかしながら、本発明の別の態様において、アンプリコンを標識するために放射性標識または非放射性標識が用いられてもよい。便利な放射性標識には、32Pおよび3Hが含まれる。これらの標識は、任意の便利な手段を用いてアンプリコンおよび/またはプライマーに取り込ませることができる。広範囲の非放射性標識法も使用することができる。本発明を全く限定しない例示的な非放射性標識法はSpeel (Histochem. Cell Biol. 112:89-113, 1999)に示されている。
【0143】
本明細書で使用する用語「反応物」は、ビーズに固定化されたポリヌクレオチドを含むことが理解されるはずである。より具体的には、それぞれの反応物は、本明細書に記載の方法に従って作成されたアンプリコンに相補的な配列を含み、生理化学的に区別可能なビーズと結合または別の方法で会合しているポリヌクレオチドを含む。反応物はまた、前記で定義された対照配列、すなわち、多細胞生物ゲノムから増幅された配列に相補的な配列(Z)、または分析物の株間で保存されているヌクレオチド配列のアンプリコンに相補的な配列(Y)を含んでもよい。
【0144】
従って、反応物のビーズセットは、

を含んでもよい。
式中、B1...Bn, By, Bzはそれぞれ、生理化学的に区別可能なビーズであり、
cXnは、分析物または本分析物の特定の株に特異的な特定の核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含む、ビーズに固定化されたポリヌクレオチドであり、nは、ビーズセットを用いて検出しようとする分析物または本分析物の特定の株の数であり、
cYは、ビーズセットの任意のメンバーであり、分析物または本分析物の株の間で保存されている配列に相補的なヌクレオチド配列を含む、ビーズに固定化されたポリヌクレオチドであり、
cZは、ビーズセットの任意のメンバーであり、多細胞被験体から増幅された対照配列に相補的なヌクレオチド配列を含む、ビーズに固定化されたポリヌクレオチドである。
【0145】
好ましくは、本分析物はHPVであり、対照DNA配列はヒトゲノムDNA配列である。
【0146】
「相補的な」によって、反応物の固定化されたポリヌクレオチドは、低ストリンジェンシー条件下で、本明細書に記載の方法に従って作成されたアンプリコンにハイブリダイズするはずであるということが理解されなければならない。好ましくは、固定化ポリヌクレオチドは、中ストリンジェンシー条件下で試料および標準に結合するはずであり、最も好ましくは、固定化ポリヌクレオチドは、高ストリンジェンシー条件下で試料および標準に結合するはずである。
【0147】
本明細書における低ストリンジェンシーについての言及は、ハイブリダイゼーションについては、少なくとも約0%〜少なくとも約15%v/vのホルムアミド(1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、および14%v/vホルムアミドを含む)および少なくとも約1M〜少なくとも約2Mの塩、洗浄条件については、少なくとも約1M〜少なくとも約2Mの塩を含み、包含する。一般的に、低ストリンジェンシーは、約25〜30℃から約52℃まで、例えば、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、および52℃である。温度は変更してもよく、ホルムアミドを交換するために、および/または別のストリンジェンシー条件をもたらすために、さらに高い温度を使用してもよい。必要に応じて、中ストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシーなどの別のストリンジェンシー条件を適用してもよい。中ストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーションについては、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、24%、26%、27%、28%、29%、および30%v/vホルムアミドを含む、少なくとも約16%v/v〜少なくとも約30%v/vのホルムアミド、ならびに少なくとも約0.5M〜少なくとも約0.9Mの塩、洗浄条件については、少なくとも約0.5M〜少なくとも約0.9Mの塩を含み、包含する。高ストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーションについては、少なくとも約31%v/v〜少なくとも約50%v/vのホルムアミドおよび少なくとも約0.01M〜少なくとも約0.15Mの塩、洗浄条件については、少なくとも約0.01M〜少なくとも約0.15Mの塩を含み、包含する。一般的に、洗浄は、Tm=69.3+0.41(G+C)%(Marmur and Doty、J. Mol. Biol. 5/109,1962)で実施される。しかしながら、二重鎖DNAのTmは、ミスマッチ塩基対の数が1%増加するごとに1℃低下する(Bonner and Laskey, Eur. J. Biochem. 46: 83, 1974)。ホルムアミドは、これらのハイブリダイゼーション条件では任意である。従って、特に好ましいストリンジェンシーレベルは、以下のように定義される。低ストリンジェンシーは、6xSSC緩衝液、0.1%w/vSDS、25〜42℃であり、中ストリンジェンシーは、2xSSC緩衝液、0.1%w/vSDS、20℃〜65℃の温度であり、高ストリンジェンシーは、0.1xSSC緩衝液、0.1%w/vSDS、少なくとも65℃の温度である。
【0148】
反応物ビーズセットのビーズB1...Bn,By,Bzはそれぞれ、生理化学的に区別可能なビーズである。用語「生理化学的に区別可能な」は、あるビーズ、例えば、B1と、別のビーズ、例えば、B2を識別することができる任意の物理的特性または化学的特性を意味する。従って、生理化学的に区別可能なビーズを用いると、特定の反応物の識別が可能になる。
【0149】
ある特定の好ましい態様において、ビーズは「微小粒子」を含む。当業者に明らかなように、ほとんど全ての材料、均一な材料または他の材料を微小粒子に使用することができる。本発明において意図される微小粒子はまた1種類を超える物質を含んでもよく、従って、有機物質および/または無機物質のシェル、合金、または混合物を含んでもよい。本発明に従って使用することができ、本発明の好ましい態様に相当する特に有用な材料は、シリカ(例えば:石英またはガラス)、ラテックス、チタニア、二酸化スズ、イットリア、アルミナ、および他の二元金属酸化物(例えば、ZnO)、ペロフスカイトおよび他の圧電性金属酸化物(例えば、BaTiO3)、ZnS、スクロース、アガロース、ならびに他の高分子ビーズからなるリストより選択される材料を含む。特に好ましい態様において、微小粒子はシリカを含む。
【0150】
いくつかの好ましい態様において、用語「生理化学的に区別可能な」は、ビーズサイズ、特定の光学的に検出可能な標識の有無、および/または光学的に検出可能な標識の強度のいずれかにおける測定可能な違いを意味する。
【0151】
本発明によって意図されるビーズは、任意の便利な規則的または不規則な3次元形状で生成することができる。しかしながら、一般的に、小さな球または球状の粒子を合成することが実用的である。このような球または球状の粒子は、本明細書において「ビーズ」とも呼ばれる。従って、本発明の好ましい態様において、本発明の「微小粒子」は実質的に球もしくは球状であるか、「マイクロスフェア」を含む。
【0152】
本発明のビーズは「マイクロスフェア」と呼ばれることがあるが、この粒子の実際のサイズは様々な要因に左右され、粒子は、実際には、マイクロメートル範囲の測定値を含んでもよく、含まなくてもよい。いくつかの好ましい態様において、ビーズは、

を含む、約300nm〜約30μmの直径(または非球状粒子では等価な測定値)を含む。より好ましくは、ビーズは、1μm〜10μmの直径(または非球状粒子では等価な測定値)を含む。
【0153】
特に好ましい1つの態様において、ビーズは、Genera Biosystemsによって生成されたAmpaSand(商標:Genera Biosystems)ビーズである。これらのビーズは市販されており、www.generabiosystems.com/generabiosystems/technology/AmpaSandBeads/で説明されている。しかしながら、本発明は、いかようにも、具体的に、これらのビーズの使用に限定されるとみなしてはならない。
【0154】
ビーズは、1つまたは複数の「光学的に検出可能な標識」の有無に基づいて区別することができる。典型的には、ある特定のビーズは、0種類、1種類、2種類、3種類、4種類、5種類の光学的に検出可能な標識を含んでもよい。本明細書で使用する用語「光学的に検出可能な標識」は、蛍光、リン光、および/または白熱を発する、任意の分子、原子、またはイオンを意味する。便利な光学的に検出可能な標識には、紫外線(約350nm〜約3nmの波長帯)、可視光(約350nm〜約800nmの波長帯、近赤外線(NIR)(約800nm〜約1500nmの波長帯)、および/または赤外線(IR)(約1500nm〜約10μmの波長帯)の範囲で発光する標識が含まれる。しかしながら、検出が容易なために、特に好ましい1つの態様では、光学的に検出可能な標識は可視光波長帯において検出することができる。
【0155】
本発明のさらに好ましい態様において、光学的に検出可能な標識は、フルオロフォア、半導体粒子、リン光体粒子、ドープ粒子、またはナノ結晶もしくは量子ドットからなるリストより選択される1種類または複数の種類の標識を含む。
【0156】
本発明のある特定の特に好ましい態様では、光学的に検出可能な標識はフルオロフォアである。本明細書で使用する用語「フルオロフォア」は、蛍光の特性を示す任意の分子を意味する。本明細書での目的のために、用語「蛍光」は、分子が特定の波長の光を吸収し、より長い波長の光を再び発する特性と定義することができる。波長の変化は、このプロセスにおいて起こるエネルギー消失に関連する。用語「フルオロフォア」は、化学フルオロフォアおよび色素ならびに量子ドットなどの広範囲の光学的に検出可能な標識を包含してもよい。
【0157】
本発明に従って使用することができる、特に便利な光学的に検出可能な標識は、半導体の蛍光粒子を埋め込んだ標識である。これらの光学的に検出可能な標識粒子は非常に小さいので、その特性および発光はサイズ依存的になり得る。このような小さな光学的に検出可能な標識粒子は、当技術分野において半導体ナノ粒子、量子ドット、量子ワイヤ、量子ロッド、もしくはナノ結晶、またはQ粒子と呼ばれる。しかしながら、本明細書で使用する用語「量子ドット」または「QD」は、全てのこのような粒子を包含すると理解されるはずである。さらに、QDを含む光学的に検出可能な標識は、ほとんど球もしくは球状の粒子、またはコーティングされた球または球状の粒子を含んでもよい。しかしながら、用語QDは、いかようにも、「ドット」の球、球状、環状、円柱、または他の任意の形態に限定されるとみなしてはならない。例えば、本明細書で使用するQDは、とりわけ、ロッド様粒子、楕円粒子、またはコーティングされたロッド様粒子もしくは楕円粒子を含む他の形態も含んでよい。
【0158】
QDは、半導体材料のナノメートルスケール結晶コアからなる。生物学的に活性なバージョンは、典型的には、保護シェルおよび外部コートに取り囲まれている。例えば、QDは、直径が約2nm〜約30nmの半導体クリスタリットを含んでもよく、結晶の中に約50〜500,000個の原子を含有してもよい。結晶には、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、PbS、PbSe、PbTe、HgS、HgSe、HgTe、Si、ZnOなどの材料を含む発光結晶が含まれる。
【0159】
QDは、広い吸収スペクトルおよび狭い発光スペクトルで蛍光を発する。特有の吸収スペクトルを有する他のフルオロフォアとは異なり、QDは広いスペクトル範囲にわたって光を吸収し、このために、レーザー、アークランプ、またはLEDなどの広範囲の光源を用いて、量子ドットを励起することができる。さらに、異なるQDの集まりを、1種類の励起源しか使用しない多重用途において使用することができる。しかしながら、典型的に、それぞれのドットの発光スペクトルは約30nmの順序で非常に狭く、正確な色は粒子の直径および組成に依存する。さらに、QDの狭い発光スペクトルは、隣接するドットのスペクトル分解を可能にする。前記の恩典に加えて、QDはまた、強い励起の間でも比較的光安定性があり、フルオロフォアより明るい。
【0160】
前記を考慮して、本発明は、異なる大きさのQDの使用を包含することも理解されるはずである。
【0161】
さらに、本発明は、QDが高い量子収量で発光し、長期間、光安定性を改善するように、熱処理、表面修飾、合金化、表面パッシベーション、または表面コーティングによるキャッピング(capping)などの手順を用いて処置されたQDを意図する。
【0162】
QDはQuantum Dot Corp.(QDC)などの会社から市販もされている。Quantum Dot Corp.は、605nmで発光するカドミウム-セレン化物コアを含有するQdot[商標]605ストレプトアビジンコンジュゲートなどのQDを生産している。525nm、565nm、585nm、および655nmで発光するQdotコンジュゲートも入手することができる。しかしながら、本発明は、いかようにも、QDの特定の組成物(または他の任意の光学的に検出可能な標識)に限定されず、任意のQD(市販のQDまたは他のQD)が本発明と適合し得ることが理解されるはずである。
【0163】
本発明に従ってフルオロフォアとして使用することができる、当技術分野において利用可能な多くの蛍光色素もある。その使用の可能性を決める蛍光色素または他のフルオロフォアの重要な特性は、フルオロフォアの励起波長である。フルオロフォアの励起波長は、光源の利用波長と一致しなければならない。しかしながら、多くの異なる蛍光色素および他のフルオロフォアが当業者によく知られており、蛍光マーカーの選択によって本発明は全く限定されない。基体の標識に使用することができる特に便利な蛍光色素には、PCRアンプリコンの標識に関して前述された蛍光色素が含まれる。しかしながら、蛍光標識を選択する時に、結合剤に用いられる蛍光標識の発光スペクトルは、アンプリコンに用いられる標識の発光スペクトルと別個のものでなければならない。
【0164】
ビーズおよびマイクロスフェアを蛍光標識するために、2種類の染色法-内部染色および外部染色(表面標識)が一般に用いられている。これらの2種類の方法によって独特の特性を有するビーズが得られ、これらのビーズはそれぞれ異なる用途に有益である。内部染色によって、典型的に狭い蛍光を有する極めて安定な粒子が得られる。これらのビーズは、多くの場合、高い耐光退色を示す。フルオロフォアはビーズの内部にあるので、リガンド(タンパク質、抗体、核酸など)をビーズ表面に結合するのに表面基を使用することができる。このため、内部標識されたビーズは、典型的に、分析物の検出およびイムノアッセイの用途に用いられる。表面標識は、フルオロフォアとビーズ表面との結合を伴う。フルオロフォアはビーズの表面にあるので、染色細胞上にあるフルオロフォアと同様に、環境と相互作用することができる。結果として、汚染物質の存在またはpH変化などの様々な異なる条件下で、染色細胞試料と同じ励起特性および発光特性を示すビーズ標準になる。表面標識ビーズの「環境応答性」のために、表面標識ビーズは生物学的試料を模倣するのに最適である。外部標識ビーズは、蛍光検出を用いた多くの用途において対照および標準として頻繁に用いられる。しかしながら、本発明は、任意の手段を介したビーズと蛍光標識の会合を意図する。
【0165】
用語「リン光ビーズ」、「リン光体ビーズ」、および「リン光体」は本明細書において同義に用いられる。光学的に検出可能なリン光標識を構成するものは当業者に容易に理解されると思われる。しかしながら、本発明を全く限定しない一例として、適切なリン光体には、ZnS、ZnS:Cu、Eu酸化物、およびディスプレイ装置において用いられる他のリン光体の小さな粒子が含まれる。
【0166】
「ドープビーズ」を含む光学的に検出可能な標識は、Eu、Y、Yb、Smなどの、吸収される量の1種類または複数の種類の希土類イオンを含む粒子を含んでもよい。
【0167】
本明細書で使用する用語「光学的に検出可能な標識」は、複数の光学的に検出可能な標識、光学的に検出可能な標識の混合物、コーティングされたナノ結晶、合金、および当業者に明らかな他の複雑な混合物も包含することが理解されるはずである。このような全ての光学的に検出可能な標識の使用は、本明細書に記載の方法および薬剤の範囲内であるとみなされるはずである。
【0168】
さらに、反応物の光学的に検出可能な標識は、ビーズそれ自体に直接会合しているの標識ではなく、ビーズと結合または別の方法で会合している固定化ポリヌクレオチド配列に組み込まれている光学的に検出可能な標識を含んでもよい。
【0169】
ビーズは、一般的に、固定化された「タグ」またはプローブオリゴヌクレオチドによって標識される。このタグは内部アミン(NH2)を有し、次いで、内部アミンは、色素のスクシンイミジルエステルと結合することによって修飾される。現行のセットにおいて、使用される色素はBODIPY-TMRである。標識タグおよび非標識タグを混合し、次いで、この混合物をビーズに結合することによって、異なる蛍光マーカー濃度を有するビーズクラスを得ることができる。便利に用いられる比は1:5xのシリーズである。すなわち、非標識タグ:標識タグの比を用いることによって、異なるクラスが得られる。この一般例を以下の表4に示した。
【0170】
(表4)非標識タグ:標識タグの比

【0171】
光学的に検出可能な標識は広範囲の濃度または強度でビーズに適用することができ、それによって、特定のビーズが「生理化学的に区別可能」になり得る別の基盤が得られる。例えば、特定の光学的に検出可能な標識のシグナルの検出可能な最大強度が100%と考えられている場合、標識は、0%、2%、4%、6%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、100%の強度をもたらすように広範囲のビーズに適用することができる。
【0172】
1つの態様において、反応物のビーズセットは、3.0μmのビーズ、3.5μmのビーズ、4.1μmのビーズ、5.0μmのビーズ、5.6μmのビーズ、および6.8μmのビーズを含む。ここで、直径3.0μmのビーズ、3.5μmのビーズ、および4.1μmのビーズは0%および100%で標識され、直径5.0μmのビーズは0%、100%、および20%で標識され、直径5.6μmのビーズおよび直径6.8μmのビーズは0%、100%、20%、および4%で標識される。
【0173】
もう1つの態様において、反応物のビーズセットは、3.0μm、3.5μm、3.77μm、5.0μm、5.6μm、および6.8μmのビーズを含む。全てのビーズサイズ(TMRのゼロレベルと高レベルによって分割される3.0μmを除く)は、TMRのそのそれぞれのゼロレベル、中間レベル、および高レベルに従って分割される。
【0174】
他の態様において、TMRレベルは、ビーズのオリゴへのコンジュゲーションの際に、定義された総オリゴ対蛍光標識比を有するオリゴを用いて個別のTMRグループ分けが決定されるように設定される。たとえば、TMRのゼロレベルは、コンジュゲーションに含まれる非標識オリゴを有し;高レベルのTMRは、コンジュゲーションに含まれるオリゴの3:1の総オリゴ対蛍光標識比を有し;および中間レベルのTMRは、ビーズサイズに応じて、コンジュゲーションに含まれるオリゴの150:1から80:1の総オリゴ対蛍光標識比を有する。
【0175】
反応物の固定されたポリヌクレオチド成分、たとえばcXn、cYおよび/またはcZを、任意の都合の良い手段を用いてビーズに結合させてもよい。
【0176】
固定されたポリヌクレオチドは、その生成の際にビーズに封入されてもよく、または生成後にその表面に付着されてもよい。ポリヌクレオチドをビーズに会合させるために用いられる選択法は、当業者によって容易に確認されるであろうように、用いられる材料に依存する。加えて、ビーズに対するポリヌクレオチドの結合を増加させるために、ポリヌクレオチドの付着前に、シラン処理(シランによる基体のコーティング)を含むさらなる処置をビーズに行ってもよい。
【0177】
一般的に、ビーズは、ビーズの表面に共有結合的に付着する、またはそうでなければ吸着する任意の化合物によってコーティングされてもよく、それに加えて、反応物も同様に、チオール、アミン、またはカルボキシル基などの、ポリヌクレオチドを付着させるための化学部分を有すべきである。これらの特徴を有する化合物の非制限的な例には、アミノ-プロピルトリメトキシシランおよびアミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ末端シランと共に、チオプロピルトリメトキシシランおよびチオプロピルトリエトキシシランなどのチオール末端シランが含まれる。シランのほかに、ガラス表面に非共有結合的に付着して、ポリヌクレオチドのリン酸基を静電気的に吸着するポリ-L-リジンなどの化合物も同様に、本発明の範囲内である。それによって、ポリヌクレオチドを表面に付着させるために適した他のシランを含む他の化合物が、当業者によって容易に特定され、かつ本発明は化合物の選択によって限定されない。
【0178】
ポリヌクレオチドは、任意の都合の良い手段を用いてビーズに付着させることができ、これは典型的に、物理的吸着または化学的連結によって行われる。加えて、ビーズは、アミノシランなどのビーズの表面に対するポリヌクレオチドの吸着または付着を促進または増加させる物質によってさらにコーティングされてもよい。しかし、この機能を行う他の物質は、当業者によって容易に特定されるであろう。いくつかの他の態様において、ポリヌクレオチドは、ビーズチオール基と反応するオリゴアクリダイト基によってビーズに共有結合的にコンジュゲートされる。
【0179】
もう1つの態様において、核酸分子は、Universal Anchoring System (UAS)(商標: Genera Biosystems)を介してビーズに結合される。簡単に述べると、このシステムは、「架橋(bridge)」核酸分子を用いて、基体上にある核酸「タグ」配列と標的配列を連結することを伴う。「架橋」配列は、タグ配列に部分的に相補的であり、標的配列に部分的に相補的であり、その結果、架橋配列はタグ配列および標的配列の両方に結合することができ、これらの配列を、タグ配列および標的配列がリガーゼを用いて連結可能な配列に保つ。UASは市販もされており、www.generabiosystems.com/generabiosystems/technology/UAS/で詳細に説明されている。しかしながら、本発明は、いかようにも、核酸分子と基体に連結するこの特定の方法に限定されるとみなしてはならない。
【0180】
アンプリコンと反応物の間で結合が起こったかどうかは、結合したアンプリコン標識が特定の生理化学的に区別可能な反応物に局在化するのを可能にする任意の方法を用いて確かめることができる。特に好ましい態様において、フローサイトメトリーが用いられる。
【0181】
フローサイトメトリーは、粒子または細胞が液体懸濁液中を移動する、または流れる時に、粒子または細胞の特性を測定する技術と定義することができる。この技術をさらに説明するために、実験機器の中でもっとよく知られている品目である顕微鏡との類似点を対比することができる。ほとんどの顕微鏡は、以下の構成要素を有する。
【0182】
光源
典型的な顕微鏡では、物体に光を当てるために電球が用いられる。フローサイトメーターでは、光源はレーザーであることが多い。レーザーは、極めて集束した強い単色光ビームを生じるという理由で用いられる。光の単色特性は蛍光測定において特に重要である。
【0183】
ステージ
顕微鏡では、ステージは、対物レンズの視野領域に物体を通過させるように移動することができる。フローサイトメーターでは、細胞または粒子は液体懸濁液中に存在する。液体は空気圧に応答して対物レンズの向こうに流れ、従って、細胞または粒子は視野領域を通って運ばれる。
【0184】
レンズ
顕微鏡およびフローサイトメーターの両方において、レンズは物体からの光を集める。
【0185】
フィルター
顕微鏡の中には、観測器にとって最も重要な、光の特徴を選択するフィルターを有するものもある。これは蛍光顕微鏡に特に当てはまる。蛍光において、色素分子は独特の波長の光によって励起され、次いで、より長い波長の光を発する。フィルターは、発した光が見られる、または測定されるように励起光を取り除く。
【0186】
検出器
顕微鏡では、光検出器が観測器である。フローサイトメーターでは、光電子増倍管(PMT)と呼ばれる高感度光検出器が用いられる。検出器は、1秒に数千個までの速度で、対物レンズの視野領域を通って1個ずつ移動する細胞または粒子から発したほんの一瞬の光を測定することができなければならない。
【0187】
ほとんどのフローサイトメーターは光散乱および蛍光を両方測定することができる。
【0188】
ある特定の好ましい態様において、ビーズは、フローサイトメトリーを用いて本発明の方法に従って検出および/または分取される。しかしながら、本発明は、前記の特定のフローサイトメトリー法にも装置にも全く限定されない。本実施例は例示のためだけに示され、本発明は、示された実施例による計器または方法に限定されない。
【0189】
フローサイトメトリーを用いて、物体の光散乱によって特定のビーズのサイズを求めることができる。
【0190】
光散乱は光と物の相互作用である。ビーズを含む全ての材料は光を散乱させる。これは、主に、反射または屈折された光からなる。多くの場合、物体を観察する位置によって、物体について分かるものが決まる。フローサイトメーターでは、光散乱検出器は、通常、(細胞または粒子を基準として)レーザーの反対側、および液体の流れ/レーザービームの交点とインラインにあるレーザーの側に位置する。これらの検出器によってなされる測定値は、それぞれ、前方光散乱および側方光散乱と呼ばれる。
【0191】
前方光散乱は、個々の細胞または粒子の相対的なサイズに関する情報を提供するが、側方光散乱は、個々のビーズの相対的な粒状性に関する情報を提供する。これらは、多くの場合、未分離の哺乳動物血液における白血球の異なる主要なカテゴリーを区別するために併用されるが、微小粒子のサイズの測定などの多種多様な他のアッセイ法にも有用である。
【0192】
本発明者らは、フローサイトメトリーが、直径約3.0μm、約3.5μm、約4.1μm、約5.0μm、約5.6μm、および約6.8μmのビーズを区別することができることを決定した。本発明者らはまた、フローサイトメトリーが、直径約3.0μm、約3.5μm、約3.77μm、約5.0μm、約5.6μm、および約6.8μmのビーズを区別することができることを決定した。5.0と5.6、および5.6と6.8などのなお他のビーズクラスを区別することができる。したがって、本発明は、フローサイトメトリーが少なくとも6つまでの異なるビーズサイズを区別することができることを特定した。
【0193】
サイズ検出に加えて、フローサイトメーターは、典型的に、試料中の蛍光を検出するために1つまたは複数のレーザーおよび検出器を有する。蛍光は、分子が特定の波長の光を吸収し、より長い波長の光を再び発する特性である。波長の変化は、このプロセスにおいて起こるエネルギー消失に関連する。これが、蛍光を極めて有用なものにする特徴である。フィルターは、光検出器またはビューアから励起光を除くのに使用することができる。従って、フルオロフォアから生じた光だけが測定される、または見られる。バックグラウンドからの干渉または検出器に当たる迷光は極めて少ない。
【0194】
フローサイトメトリーに有用な多くの蛍光色素がある。蛍光色素は、核酸;タンパク質;特定の細胞膜受容体、核受容体、および細胞質受容体;細胞内イオン分子などの様々な細胞化学成分、ならびにさらに多くの成分に結合する。フローサイトメーター法における使用の可能性を決める蛍光色素の重要な特性は、励起波長である。すなわち、励起波長は、光源の利用波長と一致しなければならない。
【0195】
他の局面において、本発明は、被験体における病原性分析物による感染を診断するための方法を提供する。前記方法は、以下の工程:
(i)被験体から、病原性分析物を含むと推定される生物学的試料を得る工程;
(ii)試料から核酸を単離する工程;
(iii)分析物または分析物の特定の株に特異なアンプリコンを生じるプライマーを用いて、試料から核酸を増幅する工程;
(iv)任意に、被験体から対照核酸配列を増幅する工程;
(v)任意に、工程(iii)および/または(iv)で説明されたアンプリコンを標識する工程;
(vi)標識されたアンプリコンを反応物のビーズセットにハイブリダイズさせる工程であって、ビーズセットの各メンバーが、分析物または分析物の特定の株のヌクレオチド配列または対照ヌクレオチド配列と相補性を有し、生理化学的に区別可能なビーズと結合または別の方法で会合している核酸分子を含む、工程;ならびに
(vii)アンプリコンがどの反応物に結合したかを確かめる工程を含み、アンプリコンと特定の反応物の会合は試料における分析物による感染を示す。
【0196】
他の局面において、ハイブリダイズは、少なくとも1つのシグナルオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる。
【0197】
他の局面において、ハイブリダイズは、少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる。
【0198】
本明細書で使用する用語「被験体」は、別の分析物による感染に対して感受性があり得る任意の生物を意味する。従って、「被験体」は、動物、植物、菌類、および(バクテリオファージに感染し得る)細菌を含むが、これに限定されない。本明細書で使用する用語「動物」は、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、下等霊長類を含む霊長類、さらにより好ましくは、ヒトを含む。しかしながら、用語「動物」はまた、具体的には、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびロバなどの家畜種、ならびに実験動物も含む。実験動物の例には、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、およびハムスターが含まれる。霊長類および下等霊長類と同様に、ウサギ、ならびにラットおよびマウスなどのげっ歯類動物から便利な試験系または動物モデルが得られる。鳥類の種、ゼブラフィッシュ、両生類(オオヒキガエルを含む)、およびキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)などのショウジョウバエ属(Drosophila)の種などの非哺乳動物も意図される。
【0199】
「被験体」は植物などの非動物でもよい。用語「植物」は、具体的には、穀類植物(例えば、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ライムギ、ライコムギ、およびトウモロコシ)、イネ、果樹(例えば、リンゴ、バナナ、マンゴー、およびオレンジ)、サトウキビ、園芸作物植物(例えば、ジャガイモ、ニンジン、およびタマネギ)などの農業に有用な植物を含む。
【0200】
しかしながら、ある特定の好ましい態様において、本発明は、ヒト被験者におけるHPV感染を診断するための方法を提供する。前記方法は、以下の工程:
(i)ヒト被験者から、HPVを含むと推定される生物学的試料を得る工程;
(ii)試料から核酸を単離する工程;
(iii)分析物または分析物の特定の株に特異なアンプリコンを生じるプライマーを用いて、試料から核酸を増幅する工程;
(iv)任意に、ヒト被験者のゲノムDNAから対照核酸配列を増幅する工程;
(v)任意に、工程(iii)および/または(iv)で説明されたアンプリコンを標識する工程;
(vi)標識されたアンプリコンを反応物のビーズセットにハイブリダイズさせる工程であって、ビーズセットの各メンバーは、HPVまたは特定のHPV株のヌクレオチド配列または対照ヌクレオチド配列と相補性を有し、生理化学的に区別可能な基体と結合または別の方法で会合している核酸分子を含む、工程;ならびに
(vii)アンプリコンがどの反応物に結合したかを確かめる工程を含み、アンプリコンと特定の反応物の会合はヒト被験者におけるHPV感染を示す。
【0201】
他の局面において、ハイブリダイズは、少なくとも1つのシグナルオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる。
【0202】
他の局面において、ハイブリダイズは、少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる。
【0203】
いくつかの局面において、本発明はまた、以下の工程を含む、1つまたは複数のHPV株に関連する疾患を発症するヒト被験体のリスクを決定するための方法を企図し:
(i)HPVを含むことが推定されるヒト被験体から生物試料を得る工程;
(ii)該試料から核酸を単離する工程;
(iii)分析物または分析物の特定の株に特異なアンプリコンを産生するプライマーを用いて該試料から核酸を増幅する工程;
(iv)任意で、ヒト被験体のゲノムDNAから対照核酸配列を増幅する工程;
(v)任意で、工程(iii)および/または(iv)に記載されたアンプリコンの標識を行う工程;
(vi)反応物のビーズセットに、標識されたアンプリコンをハイブリダイズさせる工程であって、ビーズセットのそれぞれのメンバーが、生理化学的に区別可能な基体に結合またはそうでなければ会合した、HPVもしくはHPVの特定の株のヌクレオチド配列または対照ヌクレオチド配列に対して相補性を有する核酸分子を含む、工程;および
(vii)アンプリコンがどの反応物に結合したかを決定する工程、
ここで、特定の疾患に関連するHPV株に対して相補的であるポリヌクレオチドを含む特定の反応物とアンプリコンとの会合により、被験体における疾患のリスクの増加が示される。
【0204】
他の局面において、ハイブリダイズは、少なくとも1つのシグナルオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる。
【0205】
他の局面において、ハイブリダイズは、少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる。
【0206】
(v)部で概説したアンプリコンの標識が起こる場合、アンプリコンとビーズはいずれも標識される。
【0207】
1つまたは複数の特定のHPV株に関連する例示的な疾患には、表3に表される疾患が含まれる。したがって、いくつかの局面において、本発明は、どのHPV株が被験体に感染しているかを特異的に特定することによって、特定の疾患を発症する被験体のリスクの増加を診断するための方法を提供する。特定の特に好ましい態様において、方法は、子宮頚癌を発症するヒト被験体のリスクを決定するように適合される。
【0208】
本発明はさらに、ヒト被験体におけるHPV感染を診断する工程および/または子宮頚癌を含むHPV関連疾患を発症するヒト被験体のリスクを評価する工程が含まれる、本明細書において記述される方法に従って用いるための診断キットを企図する。キットは、それぞれが、生理化学的に区別可能な基体に結合またはそうでなければ会合したHPVの特定の株のヌクレオチド配列に対して相補的であるポリヌクレオチドを含む、反応物のビーズセットを含む。任意で、キットはまた、HPVの異なる株において保存された配列に結合するが、HPVのそれぞれの株に特異なヌクレオチド配列を含むアンプリコンを産生するプライマーを含んでもよく、産生されたアンプリコンはキットの1つまたは複数の生理化学的に区別可能なビーズに結合またはそうでなければ会合したポリヌクレオチドに対して相補的であると推定される。
【0209】
いくつかの態様において、反応物のビーズセットは、それぞれが直径約3.0μm、約3.5μm、約4.1μm、約5.0μm、約5.6μm、および約6.8μmのいずれか1つを含む、少なくともビーズの群を含む。さらに好ましい態様において、ビーズのそれぞれのサイズ群は、それぞれが異なる強度範囲で蛍光レベルを有する1つまたは複数のマイクロスフェアの亜群を含む。蛍光標識はTMRであり、約0%、約4%、約20%、および約100%の強度で適用されうる。
【0210】
他の態様において、反応物のビーズセットは、それぞれが直径約3.0μm、約3.5μm、約3.77μm、約5.0μm、約5.6μm、および約6.8μmのいずれか1つを含む、少なくともビーズの群を含む。TMRレベルは、ビーズのオリゴへのコンジュゲーションの際に、定義された総オリゴ対蛍光標識比を有するオリゴを用いて個別のTMRのグループ分けが決定されるように設定される。たとえば、TMRのゼロレベルは、コンジュゲーションに含まれる非標識オリゴを有する;TMRの高レベルは、コンジュゲーションに含まれるオリゴの3:1の総オリゴ対蛍光標識比を有する;および中間レベルのTMRは、ビーズサイズに応じて、コンジュゲーションに含まれるオリゴの150:1から80:1の総オリゴ対蛍光標識比を有する。
【0211】
さらなる態様において、キットは、プライマーGP5+およびGP6+、ならびに任意でプライマーMLC1_FおよびMLC1_Rを含む。
【0212】
なお他の態様において、キットは、プライマーGP5d2+およびT7aGP6d+、ならびに任意でプライマーmlc1_95fおよびT7amlc1_275rを含む。
【0213】
なお他の態様において、キットは、プライマーGP5d3+およびT7aGP6d+*、ならびに任意でプライマーmlc1_95fおよびT7amlc1_275rを含む。
【0214】
本発明には、本明細書において記述される個々のフォワード(たとえば、GP5+、GP5d2+等)およびリバースプライマー(たとえば、GP6+、T7aGP6d+等)が互いに組み合わされる、プライマー対の追加の態様が含まれる。
【0215】
キットはまた、一般にバイオチップと呼ばれている固相チップまたは支持体の形をとってもよい。本アッセイ法において用いられる試薬の全てまたは一部をバイオチップに組み込むか、ナノアッセイ法まで小型化することができる。本アッセイ法の出力の測定ではフローサイトメトリーが特に有用であるが、バイオチップを用いて、ウィスパーリングギャラリーモード法に関連する信号などの他の信号を測定または自動化することができる。
【0216】
蛍光強度が多重化法の好ましい局面であるのにもかかわらず、他の種類の特定も本発明によって意図される。このような代替法の1つはウィスパーリングギャラリーモード(WGM)検出を含む。この態様において、蛍光マーカーは、サブセットのビーズに組み込まれるか、ビーズ表面にあるDNAに取り込まれる、または結合される。この蛍光マーカーは、レーザーもしくは焦点の合っていない白色光源を用いて、またはフィルターにかけられた焦点の合っていない白色光源を用いてWGMを励起することができる。
【0217】
WGMは、粒子から、光のある特定の波長しか発しないようにすることができる。この現象の結果、通常の広い(10〜100nm幅の)発光帯域、例えば、フルオロフォアからの発光帯域は制約され、粒子内の光の持続的モード(standing mode)パターンと有効に対応する一続きの鋭いピークとして現れる。本発明によって、WGMプロファイルは、微小球状粒子の表面での変化に対して極めて感度が高く、WGMプロファイルは、微小球状粒子が環境内で分析物または分子と相互作用する時に変化することが確かめられている。
【0218】
従って、本発明の他の局面は、株特異的配列を含むHPV株からのアンプリコンなどの分析物を検出する方法を意図する。前記方法は、微小球状粒子の少なくとも1つのセットと、分析物を含むと推定される試料を接触させる工程を含む。ここで、微小球状粒子のセットの中にある、それぞれの粒子は、光学的に検出可能な標識、および分析物の固定化された推定結合パートナー(例えば、HPV株からのアンプリコンを結合、捕捉、または別の方法で固定化することができるプライマーまたはプローブ)を含み、それぞれの粒子セットは特定のWGMプロファイルを有し、分析物と、固定化された結合パートナーが結合することによって、微小球状粒子の少なくとも1つのセットのWGMプロファイルが変化し、この変化は分析物の存在を示す。
【0219】
本発明の方法は、微小球状粒子のWGMプロファイルの変調を検出するように適用することができる。ここで、変調は、試料中の分子と、微小球状粒子の表面に固定化された潜在的な結合粒子の結合または他の会合の検出に起因する。WGMプロファイルの高感度の変化に基づく分析物とその結合パートナーとの結合反応の検出によって、分析物の特定および単離が可能になる。
【0220】
本発明の特徴は、広範囲の光源を用いて、微小球状粒子を励起することができ、それによって、多くの異なるWGMプロファイルの測定が容易になることである。
【0221】
「光学的に検出可能な標識」は、蛍光、リン光、および/または白熱を発する任意の分子、原子、またはイオンでよい。本発明のいくつかの他の好ましい態様において、光学的に検出可能な標識はフルオロフォアである。フルオロフォアは、化学フルオロフォアおよび色素ならびに量子ドットなどの広範囲の光学的に検出可能な標識を包含してもよい。
【0222】
いくつかの態様において、本発明は、フルオロフォアまたは量子ドットなどの光学的に検出可能な標識で標識された、直径1μm〜100μmのラテックス粒子またはシリカ粒子を含む、少なくとも1つの微小球状粒子を提供する。さらに、この粒子は、検出しようとする分析物の推定結合パートナーを含む。一例は、株特異的領域に隣接するHPVゲノム保存領域に対する2種類のプライマーを用いた増幅により生じたHPVアンプリコンに結合することができる捕捉核酸分子である。光学的に検出可能な標識は可視波長で検出することができ、微小球状粒子は1種類または複数の種類のWGMプロファイルを示す。分析物が粒子上の固定化された結合パートナーと相互作用する時に、微小球状粒子の1種類または複数の種類のWGMプロファイルは検出可能に変調する。このようなWGMプロファイル変化は、結合パートナーと結合している分析物の存在を示す。
【0223】
ブロックオリゴは、ビーズに対する一本鎖アンプリコンのハイブリダイゼーションの際にビーズと共に含まれうる。ブロックオリゴは、一本鎖アンプリコンの対応するビーズプローブ結合領域から故意に差がある点を有する。混合物におけるそれぞれのビーズ-プローブに関してブロックオリゴが存在しうる。ブロックオリゴは、適切に調整されたフィルターとして作用すると意図される。熱変性の後のゆっくりした温度減少の状況において、最も効率的なハイブリダイゼーション事象が最初に起こる。タイプ特異的アンプリコンは、前もってタイプに従って、マッチするビーズ-プローブに結合する。ブロックオリゴは、熱プロファイルより低いビーズ-プローブに結合して飽和することができる。これは、交叉型ハイブリダイゼーション事象(タイプのあいだにブロックオリゴと比較してプローブ結合領域でより多い差の点が存在する)、またはプライマー-二量体産物を含む他のアンプリコンなどの他の非特異的ハイブリダイゼーションが起こることを防止することができる。ブロックオリゴは、ヒト対照とHPV型について存在しうる。ブロックオリゴの例は、先の表2において記述される。ブロックオリゴと、タイプ特異的ビーズプローブ領域に対する(それに対してブロックするように設計される)相補的配列との類似性のレベルは、40%〜95%の範囲となりうる。類似性レベルのもう1つの例は、75%〜85%である。
【0224】
シグナルオリゴは、シグナルを産生するための直接の蛍光標識PCRプライマーを用いることの代用として用いることができる。シグナルオリゴは、ハイブリダイゼーションの際にビーズ-プローブ/アンプリコン/シグナルオリゴ複合体を生じるようにビーズ-プローブ領域とは異なる部位でアンプリコン産物に結合する蛍光標識プローブである。それらを用いる長所は:生成の際にPCRプライマーを蛍光標識する(および余分に処理する)必要がなくなること、同等の感度に関してかなり少ない蛍光標識オリゴの使用(および費用便益)、洗浄工程なしに高い感度を達成できるように蛍光バックグラウンドが低減されること(処理およびリスクの便益)、ハイブリダイゼーション複合体における余分なレベルの「ネスティング」によるブロックオリゴの非存在下での感度の増加、および「検出」工程でのより多くのPCR産物の推定される使用であると考えられる。これらの便益の全てが「シングルチューブ(single tube)」アプローチを促進するであろう。シグナルオリゴの例は先の表2において記述される。
【0225】
または、SYBERグリーンI色素などの二本鎖DNA特異的色素を、シグナルオリゴと共にまたはその代わりにビーズ上のアンプリコンにシグナルを付着させるやり方として用いてもよい。
【0226】
本発明はさらに、以下の非制限的な例によって記述される。
【0227】
実施例1
HPV診断−DNAの単離および増幅
HPV診断法のためにDNAを単離するために用いられるDNA抽出プロトコールの概要を図1に示す。
【0228】
図2において示されるように、PCRを用いてDNA試料を増幅した。プライマーGP5d2+およびT7aGP6d+を用いて、DNA試料に存在する任意のHPV株に関するアンプリコンを産生した。プライマーT7aGP6d+は、結合物質に対するアンプリコンの結合を後に可視化するために蛍光標識、具体的にはA647を含んだ。産生されたウイルスアンプリコンは、調べた全てのHPV株において保存されている保存領域(Y)と、nがそれぞれのHPV株に関連する可変領域を表す、HPV株のあいだで可変である領域Xn(すなわち株特異的)の両方を含んだ。ビーズ上の固定された結合パートナーは、HPV株特異的ゲノムに対して特異的に結合する。
【0229】
同様に、ヒト被験体ゲノムDNAからのアンプリコンも同様に、対照として役立つように、mlc1_95fおよびT7amlc1_275rプライマーを用いて産生した。この場合、プライマーT7amlc1_275rはまた、A647標識も有していた。
【0230】
実施例2
HPV診断−多重検出
実施例1において産生されたアンプリコンを、それぞれがHPV株6、11、16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、67、および68(X1からX16)のそれぞれから産生された、推定のウイルスアンプリコンの可変領域に対して相補的であるポリヌクレオチドを持つ、結合物質のアレイにハイブリダイズさせた。ビーズに固定された捕捉核酸のヌクレオチド配列に関しては表2を参照されたい。さらに、アレイは任意で、HPVウイルスアンプリコンの保存領域(Y)に対して相補的であるポリヌクレオチドを含む結合物質を含みうる。最後に、ヒト対照アンプリコンの配列に対して相補的であるポリヌクレオチドを含む結合物質が含まれる。捕捉核酸はDNAまたはRNAであってよい。RNAを用いる場合、DNAアンプリコンからRNAを産生するために、逆転写酵素が必要である可能性がある。
【0231】
アレイにおける結合物質のそれぞれは、別個のサイズおよび別個の強度の蛍光(TMR)標識を有するマイクロスフェアまたはビーズを含む。直径3.0μm、3.5μm、3.77μm、5.0μm、5.6μm、および6.8μmを含むビーズは、図4において示されるように、フローサイトメトリーを用いて互いに識別される可能性がある。
【0232】
それぞれの所定の大きさのマイクロスフェアに関して、蛍光標識(TMR)を相対強度0%、およそ150〜80:1(中間)、およびおよそ3:1(高)で組み入れた。これらの標識強度は、フローサイトメトリーを用いて明白に区別されうるであろう。
【0233】
実施例3
多重検出法と従来のHPV診断との比較
以下の表5は、本発明の多重HPV診断法と現在の組織学的なHPV診断法とを比較する概要を提供する。
【0234】
(表5)HPV診断法の比較

【0235】
実施例4
プローブ方法論についての感受性試験

様々なプライマーの組み合わせを用いてHPVタイプ特異的インサート含有プラスミドからの増幅後のPCR産物のアガロースゲル電気泳動分析
各産物5μlをHyperladderIV DNAラダー5μlを含有するレーンに沿ってローディングした。反応は、タイプ特異的プラスミド(レーンの数字はタイプを示す)40000コピーを鋳型として、アニール温度44℃を用いて40回の増幅サイクルに供した。レーンにおける「x」は、PCRの際に蒸発による損失により反応物が分析されなかったことを示す。レーンにおける「-」は、鋳型対照がないことを示している。JurkatヒトゲノムDNA 10 ngと共にタイプ特異的プラスミド200または100コピーを、MLC1_95fおよびT7aMLC1_275rと多重化したGBHPVf3+およびGBHPVr1を使用して、PCRの鋳型として用いた。アニール温度44℃を用いて48回の増幅サイクルを行った。分析は、ラムダエキソヌクレアーゼ消化およびPapTypeプローブビーズとのハイブリダイゼーション後にフローサイトメトリーによって行った。鋳型対照はタイプ全体にわたって陰性結果を生じなかった。調べた全てのタイプ6、11、16、18、31、45、51、52、56、58、59、66、および68は、タイプ特異的プラスミド200コピーを用いて陽性結果を生じた。タイプ51および59を除く上記のタイプは全て、タイプ特異的プラスミド100コピーを用いて陽性結果を生じ、非常に感度が高く比較的偏りのない系を示している。
【0236】
本明細書において、温度または配列におけるヌクレオチド数などの物理的特性に関して範囲を用いる場合、範囲の全ての組み合わせおよび小組み合わせ、ならびにその中の特異的態様も同様に含まれると意図される。
【0237】
当業者は、本明細書において記述される本発明が、具体的に記述される変更および改変以外の変更および改変を受けることを認識するであろう。本発明には、そのような全ての変更および改変が含まれると理解される。本発明にはまた、本明細書において参照または示される工程、特色、組成物、および化合物の全てが個々にまたは集合的に含まれ、ならびに工程または特色の任意の1つまたは複数の全ての組み合わせが含まれる。
【0238】
引用文献


【特許請求の範囲】
【請求項1】
HPVの株を検出するための、および/またはHPVの2つまたはそれより多い株を識別するためのビーズセットであって、
(a)それぞれのビーズサブセットが少なくともサイズに基づいて他の任意のビーズサブセットと生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのビーズサブセット;または
(b)ビーズサブセットの中のビーズが、互いに関してサイズが均一であり、かつそれぞれが含有する標識レベルに基づいて2つもしくはそれより多くのビーズファミリーに生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのファミリーを有する少なくとも1つのビーズサブセット;または
(c)該ビーズファミリーと該ビーズサブセットの組み合わせ
を有するビーズの複数のファミリーまたは複数のサブセットを含み;かつここで、
任意の核酸捕捉プローブまたは対照核酸配列が、ビーズサブセットにおける他の標識された捕捉プローブまたは対照核酸配列と同じ標識によって標識され、かつ任意の1つのビーズサブセットの中で、そのそれぞれのビーズファミリーが異なる蛍光強度を有することを条件として、サブセットのそれぞれのビーズファミリーの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域に結合することができる任意で標識された核酸捕捉プローブ、または任意で少なくとも1つの対照核酸配列にそれぞれ連結しており、かつ
ビーズセットが、フローサイトメトリーを用いた、少なくとも1つのビーズファミリーまたはビーズサブセットのビーズサイズの分析、蛍光強度、または配列判別を通して、1つまたは複数の特異的なHPV株を特定することができる、それぞれのビーズファミリーが、ビーズセットにおける他の任意のビーズファミリーとは異なるHPVの株の検出に関して特異的である、ビーズセット。
【請求項2】
ビーズサイズが、3.0μm、3.5μm、4.1μm、5.0μm、5.6μm、および6.8μmからなる群より選択される、請求項1記載のビーズセット。
【請求項3】
ビーズサイズが、3.0μm、3.5μm、3.77μm、5.0μm、5.6μm、および6.8μmからなる群より選択される、請求項1記載のビーズセット。
【請求項4】
標識されたビーズが、ヒドロキシクマリン、アミノクマリン、メトキシクマリン、カスケードブルー、ルシファーイエロー、NBD、フィクエリトリン(Phyccerythrin, PE)、PerCP、アロフィコシアニン、ヘキスト33342、DAP1、SYTOXブルー、ヘキスト33258、クロモマイシンA3、ミトラマイシン、YOYO-1、SYTOXグリーン、SYTOXオレンジ、7-AAD、アクリジンオレンジ、TOTO-1、To-PRO-1、チアゾールオレンジ、TOTO-3、TO-PRO-3、LDS 751、Alexa Fluro-350、Alexa Fluro-430、Alexa Fluro-488、Alexa Fluro-532、Alexa Fluro-546、Alexa Fluro-555、Alexa Fluro-556、Alexa Fluro-594、Alexa Fluro-633、Alexa Fluro-647、Alexa Fluro-660、Alexa Fluro-680、Alexa Fluro-700、およびAlexa Fluro-750、BoDipy 630/650およびBoDipy 650/665、CY色素Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、およびCy7、6-FAM(フルオレセイン)、PE-Cy5、PE-Cy7、フルオレセインdT、ヘキサクロロフルオレセイン(Hex)、6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン(JOE)、オレゴングリーン色素488-Xおよび514、ローダミン色素X-ローダミン、リサミンローダミンB、ローダミングリーン、ローダミンレッド、およびROX、TRITC、テトラメチルローダミン(TMR)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、テトラクロロフルオレセイン(TET)、Red 6B、FluorX、BODIPY-FL、SYBRグリーンI色素、ならびにテキサスレッドからなる群より選択される蛍光色素によって標識されている、請求項1〜3のいずれか1項記載のビーズセット。
【請求項5】
標識されたビーズがTMRによって標識されている、請求項4記載のビーズセット。
【請求項6】
2〜17種類のビーズファミリーを含む、請求項1記載のビーズセット。
【請求項7】
17種類のビーズファミリーを含む、請求項1〜6のいずれか1項記載のビーズセット。
【請求項8】
2つまたはそれより多いHPV株が、株6、11、16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、および68より選択される、請求項1記載のビーズセット。
【請求項9】
核酸捕捉プローブが表2の配列表から選択される、請求項1記載のビーズセット。
【請求項10】
HPV株の検出、および/または2つまたはそれより多いHPV株の識別において用いるためのビーズセットを調製する方法であって、
(a)それぞれのビーズサブセットが、少なくともサイズに基づいて他の任意のビーズサブセットと生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのビーズサブセット;または
(b)ビーズサブセットの中のビーズが、互いに関してサイズが均一であり、かつそれぞれが含有する標識レベルに基づいて2つもしくはそれより多くのビーズファミリーに生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのファミリーを有する少なくとも1つのビーズサブセット;または
(c)該ビーズファミリーと該ビーズサブセットの組み合わせ
を提供する工程を含む、サイズ、蛍光強度、または両方に基づいて複数のビーズファミリーまたはサブセットを選択する工程であって、かつここで
任意の核酸捕捉プローブまたは対照核酸配列が、ビーズサブセットにおける他の標識された捕捉プローブまたは対照核酸配列と同じ標識によって標識され、かつ任意の1つのビーズサブセットの中で、そのそれぞれのビーズファミリーが異なる蛍光強度を有することを条件として、サブセットのそれぞれのビーズファミリーの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域に結合することができる任意で標識された核酸捕捉プローブ、または任意で少なくとも1つの対照核酸配列にそれぞれ連結しており、かつ
それぞれのビーズファミリーが、ビーズセットにおける他の任意のビーズファミリーとは異なるHPVの株の検出に関して特異的である、工程;ならびに
フローサイトメトリーを用いた、少なくとも1つのビーズファミリーまたはビーズサブセットのビーズサイズの分析、蛍光強度、または配列判別を通して、特異的HPV株の特定を可能にするビーズセットを生成するために少なくとも2つのビーズファミリーまたは少なくとも2つのビーズサブセットを混合する工程
を含む、方法。
【請求項11】
(i)HPVを含むと推定されるヒト被験体から生物試料を得る工程;
(ii)該試料から核酸を単離する工程;
(iii)分析物または分析物の特定の株に特異なアンプリコンを産生するプライマーを用いて該試料から核酸を増幅する工程;
(iv)任意で、ヒト被験体のゲノムDNAから対照核酸配列を増幅する工程;
(v)任意で、工程(iii)および/または(iv)に記載されたアンプリコンの標識を行う工程;
(vi)反応物のビーズセットに、標識されたアンプリコンをハイブリダイズさせる工程であって、ビーズセットのそれぞれのメンバーが、生理化学的に区別可能な基体に結合またはそうでなければ会合した、HPVもしくはHPVの特定の株のヌクレオチド配列または対照ヌクレオチド配列に対して相補性を有する核酸分子を含む、工程;ならびに
(vii)アンプリコンがどの反応物に結合したかを決定する工程
を含む、ヒト被験体におけるHPV感染を診断するための方法であって、
特定の反応物とアンプリコンとの会合により、ヒト被験体におけるHPV感染が示される、方法。
【請求項12】
(i)HPVを含むと推定されるヒト被験体から生物試料を得る工程;
(ii)該試料から核酸を単離する工程;
(iii)分析物または分析物の特定の株に特異なアンプリコンを産生するプライマーを用いて該試料から核酸を増幅する工程;
(iv)任意で、ヒト被験体のゲノムDNAから対照核酸配列を増幅する工程;
(v)任意で、工程(iii)および/または(iv)に記載されたアンプリコンの標識を行う工程;
(vi)反応物のビーズセットに、標識されたアンプリコンをハイブリダイズさせる工程であって、ビーズセットのそれぞれのメンバーが、生理化学的に区別可能な基体に結合またはそうでなければ会合した、HPVもしくはHPVの特定の株のヌクレオチド配列または対照ヌクレオチド配列に対して相補性を有する核酸分子を含む、工程;ならびに
(vii)アンプリコンがどの反応物に結合したかを決定する工程
を含む、1つまたは複数のHPV株に関連する疾患を発症するヒト被験体のリスクを決定するための方法であって、
特定の疾患に関連するHPV株に対して相補的であるポリヌクレオチドを含む特定の反応物とアンプリコンとの会合により、被験体において該疾患のリスクが増加していることが示される、方法。
【請求項13】
(i)HPVを含むと推定されるヒト被験体から生物試料を得る工程;
(ii)該試料から核酸を単離する工程;
(iii)分析物または分析物の特定の株に特異なアンプリコンを産生するプライマーを用いて該試料から核酸を増幅する工程;
(iv)任意で、ヒト被験体のゲノムDNAから対照核酸配列を増幅する工程;
(v)反応物のビーズセットに、標識されたアンプリコンをハイブリダイズさせる工程であって、ビーズセットのそれぞれのメンバーが、生理化学的に区別可能な基体に結合またはそうでなければ会合した、HPVもしくはHPVの特定の株のヌクレオチド配列または対照ヌクレオチド配列に対して相補性を有する核酸分子を含み、かつハイブリダイズが少なくとも1つのシグナルオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる、工程;および
(vi)アンプリコンがどの反応物に結合したかを決定する工程
を含む、ヒト被験体におけるHPV感染を診断するための方法であって、
特定の反応物とアンプリコンとの会合により、ヒト被験体におけるHPV感染が示される、方法。
【請求項14】
反応物のビーズセットが、
(a)それぞれのビーズサブセットが少なくともサイズに基づいて他の任意のビーズサブセットと生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのビーズサブセット;または
(b)ビーズサブセットの中のビーズが、互いに関してサイズが均一であり、かつそれぞれが含有する標識レベルに基づいて2つもしくはそれより多くのビーズファミリーに生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのファミリーを有する少なくとも1つのビーズサブセット;または
(c)該ビーズファミリーと該ビーズサブセットの組み合わせ
を有する複数のビーズファミリー、または複数のビーズサブセットを含み、かつここで
任意の核酸捕捉プローブまたは対照核酸配列が、ビーズサブセットにおける他の標識された捕捉プローブまたは対照核酸配列と同じ標識によって標識され、かつ任意の1つのビーズサブセットの中で、そのそれぞれのビーズファミリーが異なる蛍光強度を有することを条件として、サブセットのそれぞれのビーズファミリーの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域に結合することができる任意で標識された核酸捕捉プローブ、または任意で少なくとも1つの対照核酸配列にそれぞれ連結しており、かつ
ビーズセットが、フローサイトメトリーを用いた、少なくとも1つのビーズファミリーもしくはビーズサブセットのビーズサイズの分析、蛍光強度、または配列判別を通して、1つまたは複数の特異的HPV株を特定することができる、それぞれのビーズファミリーが、ビーズセットにおける他の任意のビーズファミリーとは異なるHPVの株の検出に関して特異的である、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
(i)HPVを含むと推定されるヒト被験体から生物試料を得る工程;
(ii)該試料から核酸を単離する工程;
(iii)分析物または分析物の特定の株に特異なアンプリコンを産生するプライマーを用いて該試料から核酸を増幅する工程;
(iv)任意で、ヒト被験体のゲノムDNAから対照核酸配列を増幅する工程;
(v)反応物のビーズセットに、標識されたアンプリコンをハイブリダイズさせる工程であって、ビーズセットのそれぞれのメンバーが、生理化学的に区別可能な基体に結合またはそうでなければ会合した、HPVもしくはHPVの特定の株のヌクレオチド配列または対照ヌクレオチド配列に対して相補性を有する核酸分子を含み、かつハイブリダイズが少なくとも1つのシグナルオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる、工程;および
(vi)アンプリコンがどの反応物に結合したかを決定する工程
を含む、1つまたは複数のHPV株に関連する疾患を発症するヒト被験体のリスクを決定するための方法であって、
特定の疾患に関連するHPV株に対して相補的であるポリヌクレオチドを含む特定の反応物とアンプリコンとの会合により、被験体において該疾患のリスクが増加していることが示される、方法。
【請求項16】
反応物のビーズサブセットが、
(a)それぞれのビーズサブセットが少なくともサイズに基づいて他の任意のビーズサブセットと生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのビーズサブセット;または
(b)ビーズサブセットの中のビーズが、互いに関してサイズが均一であり、かつそれぞれが含有する標識レベルに基づいて2つもしくはそれより多くのビーズファミリーに生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのファミリーを有する少なくとも1つのビーズサブセット;または
(c)該ビーズファミリーと該ビーズサブセットの組み合わせ
を有する複数のビーズファミリーまたは複数のサブセットを含み、かつここで
任意の核酸捕捉プローブまたは対照核酸配列が、ビーズサブセットにおける他の標識された捕捉プローブまたは対照核酸配列と同じ標識によって標識され、かつ任意の1つのビーズサブセットの中で、そのそれぞれのビーズファミリーが異なる蛍光強度を有することを条件として、サブセットのそれぞれのビーズファミリーの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域に結合することができる任意で標識された核酸捕捉プローブ、または任意で少なくとも1つの対照核酸配列にそれぞれ連結しており、かつ
ビーズセットが、フローサイトメトリーを用いた、少なくとも1つのビーズファミリーもしくはビーズサブセットのビーズサイズの分析、蛍光強度、または配列判別を通して、1つまたは複数の特異的なHPV株を特定することができる、それぞれのビーズファミリーが、ビーズセットにおける他の任意のビーズファミリーとは異なるHPVの株の検出に関して特異的である、
請求項15記載の方法。
【請求項17】
(i)HPVを含むと推定されるヒト被験体から生物試料を得る工程;
(ii)該試料から核酸を単離する工程;
(iii)分析物または分析物の特定の株に特異なアンプリコンを産生するプライマーを用いて該試料から核酸を増幅する工程;
(iv)任意で、ヒト被験体のゲノムDNAから対照核酸配列を増幅する工程;
(v)任意で、工程(iii)および/または(iv)に記載されたアンプリコンの標識を行う工程;
(vi)反応物のビーズセットに、標識されたアンプリコンをハイブリダイズさせる工程であって、ビーズセットのそれぞれのメンバーが、生理化学的に区別可能な基体に結合またはそうでなければ会合した、HPVもしくはHPVの特定の株のヌクレオチド配列または対照ヌクレオチド配列に対して相補性を有する核酸分子を含み、かつハイブリダイズが、少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる、工程;および
(vii)アンプリコンがどの反応物に結合したかを決定する工程
を含む、ヒト被験体におけるHPV感染を診断するための方法であって、
特定の反応物とアンプリコンとの会合により、ヒト被験体におけるHPV感染が示される、方法。
【請求項18】
反応物のビーズセットが、
(a)それぞれのビーズサブセットが少なくともサイズに基づいて他の任意のビーズサブセットと生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのビーズサブセット;または
(b)ビーズサブセットの中のビーズが、互いに関してサイズが均一であり、かつそれぞれが含有する標識レベルに基づいて2つもしくはそれより多くのビーズファミリーに生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのファミリーを有する少なくとも1つのビーズサブセット;または
(c)該ビーズファミリーと該ビーズサブセットの組み合わせ
を有するビーズの複数のファミリーまたは複数のサブセットを含み、かつここで
任意の核酸捕捉プローブまたは対照核酸配列が、ビーズサブセットにおける他の標識された捕捉プローブまたは対照核酸配列と同じ標識によって標識され、かつ任意の1つのビーズサブセットの中で、そのそれぞれのビーズファミリーが異なる蛍光強度を有することを条件として、サブセットのそれぞれのビーズファミリーの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域に結合することができる任意で標識された核酸捕捉プローブ、または任意で少なくとも1つの対照核酸配列にそれぞれ連結しており、かつ
ビーズセットが、フローサイトメトリーを用いた、少なくとも1つのビーズファミリーもしくはビーズサブセットのビーズサイズの分析、蛍光強度、または配列判別を通して、1つまたは複数の特異的HPV株を特定することができる、それぞれのビーズファミリーが、ビーズセットにおける他の任意のビーズファミリーとは異なるHPV株の検出に関して特異的である、
請求項17記載の方法。
【請求項19】
(i)HPVを含むことが推定されるヒト被験体から生物試料を得る工程;
(ii)該試料から核酸を単離する工程;
(iii)分析物または分析物の特定の株に特異なアンプリコンを産生するプライマーを用いて該試料から核酸を増幅する工程;
(iv)任意で、ヒト被験体のゲノムDNAから対照核酸配列を増幅する工程;
(v)任意で、工程(iii)および/または(iv)に記載されたアンプリコンの標識を行う工程;
(vi)反応物のビーズセットに、標識されたアンプリコンをハイブリダイズさせる工程であって、ビーズセットのそれぞれのメンバーが、生理化学的に区別可能な基体に結合またはそうでなければ会合した、HPVもしくはHPVの特定の株のヌクレオチド配列または対照ヌクレオチド配列に対して相補性を有する核酸分子を含み、かつハイブリダイズが、少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる、工程;ならびに
(vii)アンプリコンがどの反応物に結合したかを決定する工程
を含む、1つまたは複数のHPV株に関連する疾患を発症するヒト被験体のリスクを決定するための方法であって、
特定の疾患に関連するHPV株に対して相補的であるポリヌクレオチドを含む特定の反応物とアンプリコンとの会合により、被験体において該疾患のリスクが増加していることが示される、方法。
【請求項20】
反応物のビーズセットが、
(a)それぞれのビーズサブセットが少なくともサイズに基づいて他の任意のビーズサブセットと生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのビーズサブセット;または
(b)ビーズサブセットの中のビーズが、互いに関してサイズが均一であり、かつそれぞれが含有する標識レベルに基づいて2つもしくはそれより多くのビーズファミリーに生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのファミリーを有する少なくとも1つのビーズサブセット;または
(c)該ビーズファミリーと該ビーズサブセットの組み合わせ
を有するビーズの複数のファミリーまたは複数のサブセットを含み、かつここで
任意の核酸捕捉プローブまたは対照核酸配列が、ビーズサブセットにおける他の標識された捕捉プローブまたは対照核酸配列と同じ標識によって標識され、かつ任意の1つのビーズサブセットの中で、そのそれぞれのビーズファミリーが異なる蛍光強度を有することを条件として、サブセットのそれぞれのビーズファミリーの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域に結合することができる任意で標識された核酸捕捉プローブ、または任意で少なくとも1つの対照核酸配列にそれぞれ連結しており、かつ
ビーズセットが、フローサイトメトリーを用いた、少なくとも1つのビーズファミリーもしくはビーズサブセットのビーズサイズの分析、蛍光強度、または配列判別を通して、1つまたは複数の特異的なHPV株を特定することができる、それぞれのビーズファミリーが、ビーズセットにおける他の任意のビーズファミリーとは異なるHPVの株の検出に関して特異的である、
請求項19記載の方法。
【請求項21】
(i)HPVを含むことが推定されるヒト被験体から生物試料を得る工程;
(ii)該試料から核酸を単離する工程;
(iii)分析物または分析物の特定の株に特異なアンプリコンを産生するプライマーを用いて該試料から核酸を増幅する工程;
(iv)任意で、ヒト被験体のゲノムDNAから対照核酸配列を増幅する工程;
(v)反応物のビーズセットに、標識されたアンプリコンをハイブリダイズさせる工程であって、ビーズセットのそれぞれのメンバーが、生理化学的に区別可能な基体に結合またはそうでなければ会合した、HPVもしくはHPVの特定の株のヌクレオチド配列または対照ヌクレオチド配列に対して相補性を有する核酸分子を含み、かつハイブリダイズが、少なくとも1つのシグナルオリゴヌクレオチド配列および少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる、工程;ならびに
(vi)アンプリコンがどの反応物に結合したかを決定する工程
を含む、ヒト被験体におけるHPV感染を診断するための方法であって、
特定の反応物とアンプリコンとの会合により、ヒト被験体におけるHPV感染が示される、方法。
【請求項22】
反応物のビーズセットが、
(a)それぞれのビーズサブセットが少なくともサイズに基づいて他の任意のビーズサブセットと生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのビーズサブセット;または
(b)ビーズサブセットの中のビーズが、互いに関してサイズが均一であり、かつそれぞれが含有する標識レベルに基づいて2つもしくはそれより多くのビーズファミリーに生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのファミリーを有する少なくとも1つのビーズサブセット;または
(c)該ビーズファミリーと該ビーズサブセットの組み合わせ
を有するビーズの複数のファミリーまたは複数のサブセット、かつここで
任意の核酸捕捉プローブまたは対照核酸配列が、ビーズサブセットにおける他の標識された捕捉プローブまたは対照核酸配列と同じ標識によって標識され、かつ任意の1つのビーズサブセットの中で、そのそれぞれのビーズファミリーが異なる蛍光強度を有することを条件として、サブセットのそれぞれのビーズファミリーの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域に結合することができる任意で標識された核酸捕捉プローブ、または任意で少なくとも1つの対照核酸配列にそれぞれ連結しており、かつ
ビーズセットが、フローサイトメトリーを用いた、少なくとも1つのビーズファミリーもしくはビーズサブセットのビーズサイズの分析、蛍光強度、または配列判別を通して、1つまたは複数の特異的HPV株を特定することができる、それぞれのビーズファミリーが、ビーズセットにおける他の任意のビーズファミリーとは異なるHPV株の検出に関して特異的である、
請求項13記載の方法。
【請求項23】
(i)HPVを含むことが推定されるヒト被験体から生物試料を得る工程;
(ii)該試料から核酸を単離する工程;
(iii)分析物または分析物の特定の株に特異なアンプリコンを産生するプライマーを用いて該試料から核酸を増幅する工程;
(iv)任意で、ヒト被験体のゲノムDNAから対照核酸配列を増幅する工程;
(v)反応物のビーズセットに、標識されたアンプリコンをハイブリダイズさせる工程であって、ビーズセットのそれぞれのメンバーが、生理化学的に区別可能な基体に結合またはそうでなければ会合した、HPVもしくはHPVの特定の株のヌクレオチド配列または対照ヌクレオチド配列に対して相補性を有する核酸分子を含み、かつハイブリダイズが、少なくとも1つのシグナルオリゴヌクレオチド配列および少なくとも1つのブロッキングオリゴヌクレオチド配列の存在下で起こる、工程;ならびに
(vi)アンプリコンがどの反応物に結合したかを決定する工程
を含む、1つまたは複数のHPV株に関連する疾患を発症するヒト被験体のリスクを決定するための方法であって、
特定の疾患に関連するHPV株に対して相補的であるポリヌクレオチドを含む特定の反応物とアンプリコンとの会合により、被験体において該疾患のリスクが増加していることが示される、方法。
【請求項24】
反応物のビーズセットが、
(a)それぞれのビーズサブセットが少なくともサイズに基づいて他の任意のビーズサブセットと生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのビーズサブセット;または
(b)ビーズサブセットの中のビーズが、互いに関してサイズが均一であり、かつそれぞれが含有する標識レベルに基づいて2つもしくはそれより多くのビーズファミリーに生理化学的に区別可能である、少なくとも2つのファミリーを有する少なくとも1つのビーズサブセット;または
(c)該ビーズファミリーと該ビーズサブセットの組み合わせ
を有するビーズの複数のファミリーまたは複数のサブセット、かつここで
任意の核酸捕捉プローブまたは対照核酸配列が、ビーズサブセットにおける他の標識された捕捉プローブまたは対照核酸配列と同じ標識によって標識され、かつ任意の1つのビーズサブセットの中で、そのそれぞれのビーズファミリーが異なる蛍光強度を有することを条件として、サブセットのそれぞれのビーズファミリーの中のビーズが、HPVゲノムのHPV株特異的領域に結合することができる任意で標識された核酸捕捉プローブ、または任意で少なくとも1つの対照核酸配列にそれぞれ連結しており、かつ
ビーズセットが、フローサイトメトリーを用いた、少なくとも1つのビーズファミリーもしくはビーズサブセットのビーズサイズの分析、蛍光強度、または配列判別を通して、1つまたは複数の特異的なHPV株を特定することができる、それぞれのビーズファミリーが、ビーズセットにおける他の任意のビーズファミリーとは異なるHPV株の検出に関して特異的である、
請求項13記載の方法。
【請求項25】
プライマー対のフォワードプライマーが以下からなる群より選択され:

かつプライマー対のリバースプライマーが以下からなる群より選択され:

フォワードおよびリバースプライマーがそれぞれ、任意でプライマーの5'末端でヒールにコンジュゲートしている、腫瘍形成性HPVをターゲティングするためのオリゴヌクレオチド増幅プライマー対。
【請求項26】
フォワードおよびリバースプライマーの少なくとも1つがプライマーの5'末端でヒールにコンジュゲートしている、請求項25記載のプライマー対。
【請求項27】
フォワードプライマーヒールが、以下からなる群より選択される、請求項25記載のプライマー対:


【請求項28】
リバースプライマーヒールが、以下からなる群より選択される、請求項25記載のプライマー対:


【請求項29】
プライマー対のフォワードプライマーが、
プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

およびプライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

からなる群より選択される、任意のヒール核酸配列を含有する、
請求項25記載のオリゴヌクレオチド増幅プライマー対。
【請求項30】
プライマー対のリバースプライマーが、
プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

、プライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

、およびプライマーの5'末端にコンジュゲートした

を任意で有する

からなる群より選択される、任意のヒール核酸配列を含有する、
請求項25記載のオリゴヌクレオチド増幅プライマー対。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−523114(P2010−523114A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502147(P2010−502147)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/004441
【国際公開番号】WO2008/124091
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(507192585)ジェネラ バイオシステムズ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】