説明

組成物及び方法

香気組成物を含む有機相を含む組織化組成物であって、該有機相は、付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマー及び尿素及び/又はウレタン結合を含む組織化用ポリマーにより組織化されている。該組織化組成物は空気清浄剤又はローソクとしての使用に特に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン及び/又は尿素結合を含む組織化用ポリマー、及びその、組織化有機相を含む組成物の製造への利用、に関する。該組織化組成物は香気組成物を含み、そして典型的には家庭内用途での使用に適する。
【背景技術】
【0002】
空気清浄剤又は香り(scented)ローソクのような香気(fragrance)用途で使用される組織化、例えばゲル化、組成物はよく知られている。しかし、香気用途で使用される公知の組織化用ポリマーの性質は一般に不満足なものである。特に、公知のゲル中に混和し得る香気の範囲は、一般に香気配合剤(ingredient)の化学成分(constituents)によって制限され、そうしないと該組織化用ポリマーの作用を弱め又は破壊する。
【0003】
或いは、又は加えて、従来公知の組織化用ポリマーを用いた香気の範囲で、実質的に透明なゲルを得ることは困難である。特に、極性及び非極性溶媒の両方をゲル化できるゲル化剤は、とりわけ半透明性又は透明性(clarity)が望まれる場合、入手できない。
【0004】
加えて、従来公知の組織化用ポリマーは該組織化組成物中への効果的な混和にしばしば高温を必要とし、この高温は、香気配合剤のような敏感な配合剤を損傷することがあり、そして、あり得る、高温での揮発性材料の爆発、に関連して特別な安全性のための予防措置を必要とする。香気配合剤の現場(in-situ)重合は従来公知であり、より低い温度であり得るが、毒性の及び/又は化学反応性の配合剤の取扱いを含み、上記のような化学的相互作用のため、使用される香気の範囲への同様な制限を受ける。
【0005】
ゲル化組成物は、少なくともある分野では、それらの魅力的な外観及び触質性(tactile properties)により、特別な商業的興味が持たれる。ワックス状で粘ちょうである液体組成物のような他の組織化組成物もまた、商業的に重要なものである。低極性液体中でゲル及び他の組織化組成物、特に香気組成物を含むもの、を作るのに使用し得る改良された組織化用ポリマーの要望がある。この要望はゲルについて特に重要であるが、他の領域でもまた重要である。
【0006】
ゲル化組成物の望ましい性質は実際の用途によるが、典型的には次を含む;形状又は形(shape or form)の不変性(retention)、物理的なゲル構造の安定性、該物品の存続期間に亘っての均一な香気放出、及び心地よい触質性。これらは室温条件の範囲に亘って望まれる。
【0007】
ゲル化組成物を調製するのに使用される組織化用ポリマーは、望ましくは;
− 広い範囲の様々な香気タイプ(極性、化学性)を持つ透明ゲルを製造する;
− 許容できる触質性、例えばグリース性(greasy)、油性(oily)又は粘着性(tacky)ではない、を持つハードゲルを製造する;
− 安定で、且つ相溶性不良による離液(syneresis)又はブリード(bleeding)、又はポリマーの収縮、を示さないゲルを製造する;
− 広い範囲の温度及び湿度条件で上記した物理的性質を保持するゲルを製造する;及び/又は
− 敏感な香気、香水(perfume)及び他の配合剤への損傷を最小限にする温度でのゲル化組成物の製造を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特に香気配合物を含む組織化組成物を製造するに適した組織化用ポリマーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1態様において、香気組成物を含む有機相を組織化するための使用に適した組織化用ポリマーが提供され、該組織化用ポリマーは付加部分(moieties)を含む脂肪酸のダイマー/トリマーを含み、そして尿素及び/又はウレタン結合を含み、そして該組織化用ポリマーは40〜180℃の融点及び/又は30〜160℃の軟化点を持ち、及び/又は該ウレタン及び尿素結合は7:3又はより大きいモル比である。
【0010】
「有機相」は、実質的に又は全部有機材料を含む液体媒体を意味する。大半の場合、該有機相は油(oil)であろう。「油」という用語は、広い意味で使用され、そして一般に炭素含有量の高い有機液体を含み、それは非極性又は極性であり、典型的には室温(20℃)大気圧(760mmHg)において液体である。
【0011】
「組織化用」及び「組織化」という用語は、該有機相中でのポリマー分子の網状組織(network)の形成を指す。該ポリマー鎖は、典型的には弱い分子内相互作用により結合し、該組織化組成物に固体様の性質を与える可逆的網状組織を形成する。該組織化は、該有機相の粘度の若干の増加から、該油が該ポリマー組織中に本質的に完全に結合した弾性(ゲル)又はワックス状固体までの範囲に亘る。
【0012】
脂肪酸ダイマー又はトリマー(しばしば、単に「ダイマー酸」又は「トリマー酸」と言われる)は、周知の重合生成物であり、典型的には不飽和脂肪酸から誘導される。産業上主として、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸及びそれらの混合物に富む組成物が原料として使用される。該脂肪酸は、典型的には粘土(clay)触媒を用い高められた温度で重合される。
【0013】
脂肪酸ダイマー又はトリマーは、一般には出発した脂肪酸の、夫々およそ2又は3分子に相当する平均分子量を持つ;2量化されたオレイン酸は、従って名目上C36である二酸に相当する平均分子量を持つ。製造される際、ダイマー/トリマー脂肪酸は一般に不飽和であり、典型的には1分子当り1又は2個のエチレン性2重結合に相当するが、これらの2重結合は、本発明の、付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマー、を作るにあたり水素化され得る。
【0014】
本発明における使用に適した、付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマー、は、脂肪酸ダイマー/トリマーから誘導される。
【0015】
該付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーは、脂肪酸ダイマー/トリマーのジオール誘導体(ダイマージオール/トリマージオール)又はジアミン誘導体(ダイマージアミン/トリマージアミン)であり得る。ダイマー/トリマージオールは、脂肪酸ダイマー/トリマー誘導体、通常はメチルエステル、を還元即ち水素化してダイマー/トリマージオールとするか、又は対応する不飽和アルコールの2量化又は3量化により得られる、2価アルコールである。ダイマー/トリマーアミンは、ダイマー/トリマー脂肪酸の、例えばアンモニアによる、二トリル化とそれに続く水素化により商業的に作られる。該トリマー誘導体は、勿論、3個の水酸基又はアミノ基を含み得る(トリオール又はトリアミン)。そのようなトリオール又はトリアミンは、脂肪酸ジオール又はジアミンが2価であるのに対し、3価を持つであろう。
【0016】
より詳しくは、脂肪酸ダイマー及びトリマーは、上記した重合反応からの蒸留留分として商業的に作られ、典型的には小さい比率のモノカルボン酸材料(即ち、非2量化又は非3量化試薬)を含んでいる。そのような1官能性材料の比率は、そのような化合物は該ポリマー中に混和されたとき連鎖停止剤として機能する傾向があるので、望ましくは低い濃度に保持され、又は無視できる濃度まで減少される。一般に、該ポリマーを作るのに使用される材料中のそのような1官能性ヒドロキシル又はアミン化合物残基(residue)の比率は、使用される付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーの全量の約6%重量/重量より多くない、通常は約3重量%より多くない、そして望ましくは1%重量/重量より多くない値である。使用される付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーの全量の0.5〜3%重量/重量、より通常は1〜2%重量/重量の量が、必要なら減少され得るとしても、典型的である。
【0017】
付加部分を含む3価トリマー脂肪酸ダイマー/トリマーは、該ポリマー中に混和されるとき枝分かれしたポリマーのもととなり得る。本発明の組織化用ポリマーを作るのに使用される材料中の、そのような、付加部分を含む3価トリマー脂肪酸ダイマー/トリマーの比率は、一般に、付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマー残基の全量の約80%重量/重量より多くない、より通常は約25%重量/重量より多くない、そして望ましくは約3%重量/重量より多くない値である。使用される付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーの全量の0〜2%重量/重量の量が典型的である。
【0018】
付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーがアミン(amine)基及びヒドロキシル基を含み得ることは全く可能であり、かくてヘテロ2官能性(又はヘテロ3官能性)誘導体を提供する。これは、そのような付加部分を製造するのはより複雑なので、一般にはあまり好ましくない。
【0019】
本発明における使用に適した、他の、付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーは、ダイマー/トリマー酸誘導体を含むポリマーである付加部分を含む、即ち、該付加部分は、該脂肪酸ダイマー/トリマー(又はそのアミン/アルコール誘導体)が、所望により他のモノマー又は付加部分と共に、重合されたポリマーを含む。そのような、ポリマー付加部分は、脂肪酸ダイマー/トリマー、又はそのアルコール又はアミン誘導体、を、対応する多官能性の酸、アルコール、アミン又はイソシアネートと重合することにより都合よく形成され得る。該多官能性の酸、アルコール、アミン又はイソシアネートは、本質的に如何なる大きさでもよいが、多くの実施態様において、比較的小さい分子、例えば2〜10個、特に2〜6個の炭素原子を含む分子、が好まれ得る。
【0020】
1実施態様において、そのようなポリマー付加部分は、ダイマー/トリマー脂肪酸とジオール(例えば、CrodaからのPriplastTM、ポリエステルポリオール)とのポリエステルを含み得る。典型的には、そのようなポリエステルは、例えば15個又はより少ない炭素原子を含む、小さいジオールを含むが、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール又は他の大きい多官能性アルコールのような、より大きいジオールもまた使用され得る。該ポリマー付加部分は、2〜10、より好ましくは2〜5、の脂肪酸ダイマー/トリマーを含み得る。該ポリマーポリエステル付加部分は、典型的には両末端にヒドロキシル基を含み、かくて、事実上該ポリエステルはポリマージオールである。同様なポリマーアミンもまた製造され、使用され得る。
【0021】
他の実施態様において、脂肪酸ダイマー/トリマー及びそれらのアルコール誘導体は、共重合されて、ポリマーである、付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを形成する。
【0022】
本発明における付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーとしての使用に適したダイマー/トリマージオールは、HO-(Da)-OHの構造を持ち、式中(Da)は、脂肪酸ダイマー/トリマー残基であるか又はそれを含む、ジオールの残基である。
【0023】
本発明における付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーとしての使用に適したダイマー/トリマージアミンは、H2N-(Db)-NH2の構造を持ち、式中(Db)は、脂肪酸ダイマー/トリマー残基であるか又はそれを含む、ジアミンの残基である。
【0024】
付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーとしての使用に適した材料は、例えば、Crodaから商品名PripolTM2033で販売されている商品(〜97%重量/重量ダイマージオール)、を含む。
【0025】
付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーとしての使用に適した材料はまた、Crodaから商品名PripolTM1017で販売されている商品(〜80%重量/重量ダイマー酸、〜20%重量/重量トリマー酸)のようなダイマー/トリマー酸と、グリコール、ポリオール及び他のヒドロキシ官能性材料、との反応により形成され得、該組織化用ポリマーのポリマー修飾付加部分として下記したものを含む。付加部分を含むポリエステルポリマー脂肪酸ダイマー/トリマーの商業的な例は、Crodaにより販売されているPriplastTM系列を含む。
【0026】
付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーとしての使用に適した材料はまた、Crodaから商品名PripolTM1017で販売されている商品(〜80%重量/重量ダイマー酸、〜20%重量/重量トリマー酸)のようなダイマー/トリマー酸と、(ポリ)アミン及び他のアミン含有材料、との反応により形成され得、該組織化用ポリマーのポリマー修飾付加部分として下記したものを含む。
【0027】
上記したように、ダイマー又はトリマー脂肪酸が製造されるとき、それらは典型的には共に、ダイマー及びトリマー脂肪酸の混合物を含む。存在するダイマー及びトリマーの品質レベルを制御する、即ちダイマー又はトリマーを精製することは可能であり、かくて、様々な純度のダイマー又はトリマーが得られ得る。しかし、これら製品の殆どの用途については、高純度のダイマー又はトリマー製品を生産することは必要でなく、また経済的でない。従って、殆どの商業的に入手可能なダイマー脂肪酸製品は幾らかのトリマー脂肪酸を含み、比較的純粋なダイマー製品は典型的には95/5(ダイマー/トリマー)であり、より低い純度では80/20であろう。同様に、商業的に入手可能なトリマー脂肪酸製品は幾らかのダイマー脂肪酸を含み、典型的には50/50(トリマー/ダイマー)であろう。本発明の目的のためには、このことは一般に問題でなく、それは、ダイマー及びトリマー脂肪酸のどちらも、又はそれらの誘導体も、本発明に合うからである。しかし、幾つかの実施態様のためには、大部分又は本質的に全部が該ダイマーかトリマーのどちらかであることが多分望ましく、これは常用の精製技術により達成できる。
【0028】
ここで用いる「ポリマー」という用語は、関係する材料の繰り返し単位又は分子量の数の別なく使用され、例えばそれはオリゴマーを含み得る。
【0029】
本発明の組織化用ポリマーはウレタン及び/又は尿素結合を含む。ウレタン結合は、典型的にはイソシアネート基と水酸基との反応で得られる。尿素結合は、典型的にはイソシアネート基とアミン(amine)基との反応で得られる。
【0030】
従って、本発明の組織化用ポリマーは、適切には、イソシアネート分子、より好ましくはジイソシアネート分子、であるモノマーを含み得る。イソシアネート分子は、付加部分を含む脂肪酸トリマー/ダイマーと反応し、該反応はイソシアネート基と該脂肪酸誘導体の水酸基との間のものであり、ウレタン結合が形成される。該反応がイソシアネートとアミンとの間の場合は、尿素結合が形成される。
【0031】
一般に、ジイソシアネートは、式OCN-R-NCO、式中Rは本質的に任意の適切な基(radical)である、を有するものである。適切なイソシアネートは、芳香族イソシアネート,特にジイソシアネート、例えばフェニル ジイソシアネート、メチレン ビス-(4, 4')-フェニル イソシアネート(ジフェニルメタン-4, 4'-ジイソシアネート、即ちMDIとしても知られる)、トルエン ジイソシアネート(TDI)、テトラメチルキシレン ジイソシアネート又はそのような材料の誘導体もしくはバリアント(variant)例えば変性MDI;しかし、より通常は脂環式イソシアネート、特にジイソシアネート、のような非芳香族ジイソシアネート、例えばメチレン ビス-(4, 4')-シクロヘキシル イソシアネート(4, 4'-ジシクロヘキシルメタン ジイソシアネート)、又はイソホロン ジイソシアネート;ダイマー ジイソシアネート;又は、そして特にアルキレン イソシアネート、特にジイソシアネート、より特にC2〜C12、特別にC2〜C8、そして望ましくはC2〜C6アルキレン ジイソシアネート、例えば2, 2, 4-トリメチル-1, 6-ヘキサメチレン ジイソシアネート;そして望ましくは式OCN-(CH2)p-NCOのジイソシアネート、式中pは2〜12、より特に2〜8、そして特別に2〜6、例えば1, 12-ドデカン ジイソシアネート、又は1,6 ヘキサメチレン イソシアネート、を含む。
【0032】
好ましい実施態様において、該イソシアネートは、次のものの1種又はより多くである:
‐ ヘキサメチレン ジイソシアネート(HDI)(特に、商標名Desmodur Hで販売されるHDI)、
‐ HDIトリマー(特に、商標名Desmodur N3600で販売されるトリマー)、
‐ ジシクロヘキサンメタン-4, 4'-ジイソシアネート(特に、商標名Desmodur Wで販売されるもの)、及び/又は
‐ 改質MDI(特に、商標名Desmodur CDで販売されるもの)。
【0033】
該組織化用ポリマーは、1種又はより多くのポリマー改質用付加部分(polymer modifying moiety)を含み得る。これらは、典型的には、多価のアルコール又はアミン、典型的には2価分子、即ちジオール又はジアミンである。これらのポリマー改質用付加部分は、該ポリマーのある点において付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを本質的に置き換える。該ポリマー改質用付加部分は、該ポリマーの性質を変える、例えば該ゲル強度を変える、又は熱安定性を改善する即ち該ゲルが軟化又は融解する温度を高める、ために含められ得る。それらはまた、該ポリマーの枝分かれ又は架橋のための適切な点(points)を提供し得る。
【0034】
ポリマー改質用付加部分としての使用に適したジオールは、アルカンジオール、例えば2-エチルヘキサン-1, 3-ジオール、αω-アルカンジオール、例えばエチレングリコール、1, 3-プロパンジオール及び1, 4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2, 2-ヂメチルプロパン-1, 3-ジオール)、1, 6-ヘキサンジオール及び1, 10-デカンジオール、ポリアルキレングリコール特にエチレン、プロピレン又はブテンを用いて作られたもの、末端が主として水酸基であるポリエステルポリオールポリマーであって、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びダイマー酸、及びそれらの混合物のようなジカルボン酸と上記したようなジオール(ダイマージオールを含む)からのもの、ポリオールの部分脂肪酸エステルであって、グリセロール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール及びそれらのアルコキシル形物が脂肪酸でエステル化されて、2に近い平均水酸基官能性を持つか、又はそれにより該エステルの持つ2つの水酸基が実質的により反応性であるもの、及び、脂肪酸エステルであって、該脂肪酸が水酸基官能性に寄与しているもの、例えばリシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸及び9, 10-ジヒドロキシステアリン酸のグリコール及びポリオールエステル、を含む。グリセロール トリリシノール酸エステル(即ち、ひまし油)が適切に使用され得る。アンモニアのアルコキシル化からのジオール、例えばジエタノールアミン、又はヒドロカルビル(hydrocarbyl),特にアルキル、特に脂肪アルキル(fatty alkyl)、アミン、例えばラウリルアミン及びエポキシ化油脂のジオール誘導体もまた使用され得る。
【0035】
ポリマー改質用付加部分としてポリマージオールを用いて、該ポリマー改質用付加部分の分子量及び相対疎水性度(relative hydrophobicity)を制御することが可能であり、それで、それは、該付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーと同一又は異なるように選択され得る。これは、該有機相への該ポリマーの組織化効果のより微妙な調節を可能にし得る。
【0036】
使用されるとき、ジオールポリマー改質用付加部分は、使用される全ジオール付加部分(即ち、ジオールルポリマー改質用付加部分と付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーとを併せた全量)の、一般に0.1〜75%重量/重量、より通常は0.1〜50%重量/重量、望ましくは0.1〜20%重量/重量である。対応して、使用される付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーの比率は、使用される全ジオール付加部分の、一般に25〜99.9%重量/重量、より通常は50〜99.9%重量/重量、望ましくは80〜99.9%重量/重量である。
【0037】
ポリマー改質用付加部分として使用され得るアミン、即ちそれは該ポリマーのある点において付加部分を含むアミン脂肪酸ダイマー/トリマーを置き換え得るものである、は、ヒドロカルビルジアミン特にアルキレンジアミン、例えばエチレンジアミン、1, 2-及び1, 3-ジアミノプロパン、1, 4-ジ網のブタン、1, 2-ジアミノ-2-メチルプロパン、1,3-及び1, 5-ジアミノペンタン、2, 2-ジメチル-1, 3-プロパンジアミン、1, 6-ヘキサン-ジアミン(ヘキサメチレンジアミン)、2-メチル-1, 5-ペンタンジアミン、1, 7-ジアミノヘプタン、1, 8-ジアミノ-オクタン、2, 5-ジメチル-2, 5-ヘキサンジアミン、1, 9-ジアミノノナン、1, 10-ジアミノデカン及び1, 12-ジアミノドデカン、環状炭化水素性アミン、例えば4, 4-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1, 3-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、アダマンタン ジアミン及び1, 8-ヂアミノ-p-メンタン、芳香族アミン、例えば1, 2-、1, 3-及び/又は1, 4-フェニレンジアミン、2, 4, 6-トリメチル-1, 3-フェニレンジアミン、2, 3, 5, 6-テトラメチル-1, 4-フェニレンジアミン、キシレン及びナフタレンジアミン(全ての異性体)、ジアミノフェナンスレン(9, 10を含む全ての異性体)、2, 7-ジアミノフルオレン、ジアミノナフタレン(1, 5; 1, 8; 及び2, 3を含む全ての異性体)、及び環状アミン、例えば4-アミノ-2, 2, 6, 6-テトラメチル-ピペリジン。そのようなジアミンは、例えば、特にアルキレンオキシ残基における酸素原子のような、ヘテロ-原子を含み得る。そのような材料の例は、いわゆるジェファミン(Jeffamine)ジアミン(Huntsmanからの、ポリ(アルキレンオキシ)-ジアミン)を含み得る。該ジアミンは、ポリアルキレンアミン、それらは典型的には式:NH2-(CH2CH2NH)mCH2CH2=NH2、式中mは1〜約5である、を持ち、例はジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンを含む、におけるような窒素原子を更に含み得る。該更なる窒素原子はまた、特にビス(アミノエチル)-N, N'-ピペラジン及びビス(アミノプロピル)-N, N'-ピペラジンにおけるような環状基中のヘテロ-原子のような、第3級窒素として存在し得る。そのようなジアミンは、N-エチルエチレンジアミン又は1-(2-アミノエチル)ピペラジンにおけるような1個の第1級アミン基及び1個の第2級アミン基を持ち得る。
【0038】
一般に、そのようなジアミンポリマー改質用付加部分が含まれるとき、その量は比較的少なく、それはそれらが反応して(ビス)-尿素結合をもたらし、それはより堅い鎖に導きポリマーは通常、より高い融点を持つことになるからである。もし含まれる場合は、そのようなジアミンポリマー改質用付加部分は、使用される全ジアミン付加部分(即ち、ジアミンポリマー改質用付加部分と付加部分を含むジアミン脂肪酸ダイマー/トリマーとを併せた全量)の、一般に1〜20%重量/重量、より通常は1〜15%重量/重量、望ましくは1〜10%重量/重量である。対応して、使用されるダイマージアミン残基の比率は、使用される全ジアミン付加部分の、一般に70〜100%重量/重量、より通常は85〜100%重量/重量、望ましくは90〜100%重量/重量である。
【0039】
アミノ及び水酸基両方の官能性(即ち、ヘテロ2価性)を提供し製品ポリマー中にウレタン結合及び尿素結合の両方を発生するポリマー改質用付加部分を含むことが可能であり、例は、モノ-及びジ-エタノールアミン及びプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、4-アミノ-1-ブタノール、2-アミノ-2-エチル-1, 3-プロパンジオール、AMPD(2-アミノ-2-メチル-1, 3-プロパンジオール)、2-アミノ-2-メチル-1, 3-プロパンジオール、及び2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1, 3-プロパン-ジオール、を含む。他の適切な材料は、12-ヒドロキシステアリン酸と1モル過剰のエチレンジアミンとの反応から形成されるアミドアミンのような、ヒドロキシ-酸とジ-又はポリアミンとの反応生成物を含む。
【0040】
本発明の組織化用ポリマーは、枝分かれ又は架橋され得る。「枝分かれ」は、該ポリマーの主鎖から伸びたポリマーの枝を含むポリマーを意味する。該枝は、本質的に如何なる長さでもよい。「架橋」は、該ポリマーの主鎖から伸びた少なくとも1つの枝が、ある主鎖、一般には該枝が発生した主鎖の続きではない主鎖、末端位置(distal location)では同じ主鎖であり得るが、に結合しているポリマーを意味する。かくて、枝分かれは、枝が該主鎖から外に伸びているがその枝は他の点で主鎖に結合していない場合に存在し、一方架橋は、枝が両末端で主鎖、通常異なるポリマー分子の主鎖、に結合するときに起こる、と考えられ得る。
【0041】
枝分かれ及び架橋は多くの理由で起こり得る。上記したように、それは付加部分を含む3価トリマー脂肪酸が該ポリマー中に含まれる場合に起こり得る。枝分かれ又は架橋は、3価のポリマー改質用付加部分、例えばトリオール又はトリアミンが含まれる場合にも起こり得る。更に、枝分かれ又は架橋は、該ポリマー中に3価のイソシアネートが存在する場合にも起こり得る。枝は、如何なる3価の付加部分又はモノマーが存在しても起こり得ることが明らかである。枝分かれ又は架橋は、ひまし油(グリセロール トリリシノール酸エステル)がポリマー改質用付加部分として混和される場合にもまた達成された。
【0042】
別に又は更に、枝分かれ又は架橋は、該組織化用ポリマーを形成する反応中に過剰のジイソシアネートが存在する場合に起こり得る。該過剰のジイソシアネートは、適切な触媒の存在下で、反応し、ウレタン又は尿素結合に夫々アロファネート及び/又はビューレット結合を形成する。これは、それにより枝分かれ又は架橋が達成し得る重要な機構を提供する。
【0043】
ポリマー内の架橋は、一般によく知られている。架橋は、材料に応力下での流れへの抵抗性を与えることにより高温下での形状の安定性を増すと、一般に考えられている。架橋は、トリ‐及びより高官能性のモノマーの使用により、及びまたアロファネート及びビューレット副反応の誘導により、可能である。架橋は、多くの点でゲルを改良し得る;よりよい熱安定性、離液の低減、及びよりよいゲル透明性。しかし、過剰な架橋は、熱可逆特性(thermo-reversible character)の低下、低減した油又は溶剤溶解性をもたらし得、そして作業にとっての望ましくない物理的性質をもたらし得る。
【0044】
一般に、組織化組成物中の該組織化用ポリマーの重量の50%又はより少ない量が架橋されるのが好ましい。
【0045】
本発明の組織化用ポリマーは、キャッピング付加部分(moiety)により末端キャッピングされ得る。該末端キャッピングは、処理しにくい(intractable)及び/又は油不溶性のポリマーの生成を避けるため、全体としての分子量及び/又は枝分かれ及び/又は架橋の程度を制御し得る。典型的には、該キャッピング付加部分は、該ポリマーの(又は枝の)末端基に付く1官能性分子であり、かくて、更なる鎖の延長を妨げる。キャッピング付加部分の付加は、該ポリマー末端基の極性を改質し得る;これは、該ポリマーの極性及び他の性質に影響する。害1官能性キャッピング付加部分は、任意の活性基、典型的にはアミン又は水酸基であるが、カルボン酸又はイソシアネートのような他の活性基も適切であり得る。
【0046】
該組織化用ポリマーは、典型的には少なくとも2個のウレタン及び/又は尿素結合を持つ;適切には3個又はより多くのウレタン及び/又は尿素結合。有利には、該ポリマーは少なくとも2個のウレタン結合を持つ。該ポリマーは尿素結合より多くのウレタン結合を含むのが好ましく、従って、付加部分を含むダイマー/トリマーの脂肪酸のより多くがアミン基よりも水酸基を含むのが好ましい。好ましい実施態様において、該組織化用ポリマーは7:3又はより大、より好ましくは8:2又はより大、特には9:1又はより大のモル比でウレタン及び尿素結合を含む。該ポリマーのある好ましい実施態様は、本質的に尿素結合を全く含まないものであり得ると予見される(envisaged)。上記したように、ウレタン結合の比率が高いポリマーは、触質性、安定性及び美的性質のような望まれる性質を持つゲル化組成物の形成を可能にする傾向がある。
【0047】
該組織化用ポリマーのある実施態様は、2〜100個のウレタン又は尿素結合を含み得る。好ましい実施態様は、2〜50個のウレタン又は尿素結合、特には2〜30個のウレタン又は尿素結合を含む。上記したように、ある好ましい実施態様において、これら結合の大部分はウレタン結合であり得る。
【0048】
該組織化用ポリマーのある実施態様は2〜50個の、付加部分を含む脂肪酸トリマー/ダイマーを含む。好ましい組織化用ポリマーは、2〜25個の、付加部分を含む脂肪酸トリマー/ダイマー、特には2〜15個の、付加部分を含む脂肪酸トリマー/ダイマーを含む。
【0049】
該組織化用ポリマーの融点は、典型的には40〜180℃、好ましくは60〜140℃、より好ましくは90〜140℃である。
【0050】
該組織化用ポリマーの軟化点は、典型的には30〜160℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは80〜120℃である。
【0051】
本発明の組織化用ポリマーは、一般に、ClogP値がゼロより大きい油、例えば鉱油、脂肪族又は芳香族アルコール、脂肪酸、エステル油及び植物油、に可溶であり、そして典型的には水に不溶である。
【0052】
該ポリマーは、一般に、1000〜100,000Da、より通常は1500〜10,000Da、特には2000〜8000Daの分子量を持つ。
【0053】
本発明の組織化用ポリマーの好ましい実施態様は、モル等量で示されるおよその相対量で(in the approximate relative quantities indicated in molar equivalents)、次の成分(constituents)を含む:
1) DI=N
2) (N−1)≦(D+d)≦(N+1)
3) EC1=(DI−D−d+1)
4) d<D
式中、
N=2〜10モル等量、好ましくは3〜5
DI=ジイソシアネートのモル等量
D=付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーのモル等量
d=ポリマー改質用付加部分のモル等量
EC1=該ジイソシアネート付加部分とのみ反応する(又は反応される)キャッ
ピング付加部分のモル等量
【0054】
Nは、特定の有機相/香気成分に適するように調節(adjust)され得る。

D、d及びDIは、主として2官能性であるか、又は如何なる場合も平均官能性が2である(be predominantly difunctional, or in any case having an average functionality of 2)、と理解される。1種又はそれより多くの成分がこの値から顕著に外れるとき、D、d及びECIからの反応性基のモル等量の合計は、最終ポリマーが遊離のイソシアネート基を実質的に含まないように、通常DIからの反応性基のモル等量を越えるべきである。
【0055】
そのような組織化用ポリマーは、香気成分を高い充填量で含む有機相か、又は有機相が香気成分のみからなるもの、を組織化するのに特に適する。このタイプの有機相は、典型的には空気清浄剤、特に濃縮ゲル空気清浄剤である。そのような有機相を組織化するとき、典型的には、該組織化用ポリマーは、該全組織化組成物の10〜50%重量/重量、典型的には20〜30%重量/重量の量で含まれる。製造された該組織化組成物は典型的には透明である。更に、該組織化組成物は、一般によい触質性を持ち、そして典型的には非グリース性、非油性又は非粘着性となる。
【0056】
好ましい実施態様において、該組織化用ポリマーの成分は次の通りである:
‐ 90〜100%重量/重量の脂肪酸ダイマージオールを含む、脂肪酸ダイマー/トリマー付加部分(moiety)。
‐ C2〜C10の主鎖を持つ、ジオールポリマー改質用付加部分。
‐ C2〜C10の主鎖を持つジイソシアネート。
‐ C12〜C22の主鎖を持つ一価アルコールである、キャッピング付加部分。
【0057】
特に好ましい実施態様において、該組織化用ポリマーの成分は次の通りである:
‐ ダイマージオール、例えばCrodaからのPripolTM2033(97%重量/重量ダイマージオール)
‐ 1,4-ブタンジオール
‐ ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)
‐ イソステアリルアルコール、例えばCrodaからのPrisorineTM3515
【0058】
別の好ましい実施態様において、本発明の組織化用ポリマーは、モル等量で示されるおよその相対量で、次の成分を含む:
1) DI=N
2) (D+d)=(N+1)
3) 0≦EC2≦2
4) d<D
式中、
N=2〜10モル等量、好ましくは3〜5
DI=ジイソシアネートのモル等量
D=付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーのモル等量
d=ポリマー改質用付加部分(存在する場合)のモル等量
EC2=該ダイマー/トリマー‐含有付加部分及び該ポリマー改質用付加部分とのみ反応する(又は反応される)キャッピング付加部分のモル等量
【0059】
D、d及びDIは、主として2官能性であるか、又は如何なる場合も平均官能性が2である、と理解される。1種又はそれより多くの成分がこの値から顕著に外れるとき、D、d及びECIからの反応性基のモル等量の合計は、最終ポリマーが遊離のイソシアネート基を実質的に含まないように、通常DIからの反応性基のモル等量を越えるべきである。
【0060】
そのような組織化用ポリマーは、比較的低い量、例えば0.1〜10、典型的には2〜5%重量/重量、の芳香剤成分を含む有機相、を組織化するのに特に適する。残りの有機相は油、典型的には鉱油又はエステル油であり得る。このタイプの有機相は、ゲルローソクとして典型的である。そのような有機相を組織化するとき、適切には、該組織化用ポリマーは、該全組織化組成物の5〜45%重量/重量、典型的には15〜40%重量/重量の量で含まれる。製造された該組織化組成物は典型的には透明である。
【0061】
好ましい実施態様において、該組織化用ポリマーの成分は次の通りである:
‐ 90〜100%重量/重量の脂肪酸ダイマージオールを含む、脂肪酸ダイマー/トリマー付加部分(moiety)。
‐ C2〜C10の主鎖を持つ、ジオールポリマー改質用付加部分。
‐ C2〜C10の主鎖を持つジイソシアネート。
‐ C12〜C22の主鎖を持つ一価脂肪酸である、キャッピング付加部分。
【0062】
特に好ましい実施態様において、該組織化用ポリマーの成分は次の通りである:
‐ ダイマージオール、例えばCrodaからのPripolTM2033(97%重量/重量ダイマージオール)
‐ 1,4-ブタンジオール及び/又はエチレングリコール
‐ ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)
‐ イソステアリン酸、例えばCrodaからのPrisorineTM3501
【0063】
一般的な意味において、本発明の好ましい組織化用ポリマーは、90%重量/重量又はより多くの脂肪酸トリマー/ダイマー付加部分が、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)と重合される脂肪酸ダイマージオール付加部分である場合に見出されることが分かった。より好ましくは、該ポリマーは、末端が志望族アルコール又は脂肪酸、特にイソステアリルアルコール又はイソステアリン酸でキャッピングされている。所望により、該ポリマーは、ポリマー改質付加部分として、0.5〜5%重量/重量のブタンジオール(BDO)を含み得る。
【0064】
該組織化用ポリマーは、好ましくは部分的に枝分かれ又は架橋されている。好ましくは、該架橋ポリマーは全組織化用ポリマーの40モル%まで含まれ得る。
【0065】
該ポリマーは、該ポリマーの、付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマー含有量全体当たり、0.5〜20%重量/重量のヒマシ油を含み得る。該3官能性ヒマシ油は、典型的にはウレタン結合による、枝分かれ及び/又は架橋に導く。
【0066】
本発明のある好ましい実施態様において、脂肪酸ダイマージオール(CrodaからのPripolTM2033−2%モノマー、96.5%ダイマー、1.5%トリマー)とヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とから形成され、イソステアリルアルコール(CrodaからのiC18、PrisorineTM3015)で末端キャッピングされたポリマーが提供される。該イソステアリルアルコールは不足量で(in short measure)使用され、そのため、ウレタン反応後、分子の1部はイソシアネートで末端キャッピングされる。遊離のイソシアネートはアロファネート結合を形成するウレタンの第2水素原子(secondary H)と反応するのに任され得る。
【0067】
該ポリマーの正確な構造を予測するのは不可能であるが、およその平均の又は代表的な構造は次のようであろう:
【0068】
枝分かれ又は架橋の無いポリマーについて‐
【化1】

式中
‐ Rは、末端キャップの鎖、好ましくはイソステアリルアルコールからのアルキル鎖、及び
‐ Dは、付加部分を含むダイマージオール脂肪酸のアルキル部分。
【0069】
架橋したポリマーについて‐
【化2】

式中
‐ R及びDは、上に定義したものである。
【0070】
波型の結合は、該アロファネート架橋のポリマー鎖に沿った数と位置が変わることを示す。枝分かれを与える別の構造は、例えば、イソシアネートを末端基とする付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーが該ポリウレタン組織化ポリマーの主鎖に反応するときに、形成され得る。
【0071】
本発明の他の好ましい実施態様において、ダイマージオール(CrodaからのPripolTM2033)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,4-ブタンジオール(BDO)、ヒマシ油から形成され、イソステアリルアルコール(iC18)で末端キャッピングされたポリマーが提供される。
【0072】
上記の実施態様において、該架橋したポリマーは、該非架橋ポリマーは、非架橋ポリマーとの関係で計算して、全ポリマーの約5〜10モル%となるであろう。有機相中に20%重量/重量で添加されたとき、上記両方のポリマーは、非極性(apolar)の及び比較的極性の香気の両方をゲル化するとき、(殆ど)完全に透明なゲルを与える。両タイプとも、より非極性の香気中でより良い性能を示し、その場合、60℃及び時にはより高い温度において、クリープを示さずに保持され得る。極性の香気については、クリープへの安定性の温度限界はおよそ50℃である。
【0073】
上記した組織化用ポリマーは、極性及び非極性の、一般に高レベルの半透明/透明性を持つ、香気組成物をゲル化するきわめて優れた能力を示した。
【0074】
本発明の他の態様によれば、香気組成物を含む有機相を含む組織化組成物が提供され、該有機相は組織化用ポリマーにより組織化され、該組織化用ポリマーは付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを含み、そして尿素及び/又はウレタン結合を含む。
【0075】
該組織化用ポリマーの実施態様は上に示される。
【0076】
好ましい実施態様において、該組織化用組成物はゲルである。組織化組成物の他の形態は、特に組成物がジャー、コップ、ガラス又は同様な保持装置中に含まれる場合、ワックス状組成物又は粘ちょう性液体のようなものが適切であり得る。
【0077】
組織化用ポリマーの組織化効果は、該有機相との関係で含まれる組織化用ポリマーの量に非常に依存し得、該有機相の粘度を少し増す場合から、該有機相が該組織化用ポリマーのマトリックスと本質的に完全に結合しているゲル又はワックス状固体を提供する場合までの範囲に亘り得る。
【0078】
該組織化用ポリマーは、例えば、取扱い及び用途、乳化安定性、濡れ及び表面への接着、及び熱移動特性のような性質を改善するため、該有機相を改質するのに使用され得る。
【0079】
本発明の組織化用ポリマーは、有機相、典型的には油、をゲル化し得、比較的高い降伏応力を持つゲル化組成物を提供し得る。この性質は、固体の懸濁液に見た目の(visual)又は機能的な効果を可能にし、該ゲル化材料が縦方向又は斜め方向の表面において重力又は他の力を受けるときのクリープを妨げる。
【0080】
適切には、該組織化組成物は、空気清浄剤、典型的にはゲル空気清浄剤である。該空気清浄剤は、適切には、支持体、例えば成形ガラス又はプラスチック成型物、の上に取り付けられる(mounted)。
【0081】
別法として、(又は付加的に)該組織化組成物はローソク、好ましくはゲルローソクである。
【0082】
別法として、該組織化組成物はワックス、光沢剤(polish)、皮革保護組成物、溶剤、清浄剤(cleaner)、燃料、グリース、非水性洗剤(detergent)液,潤滑剤、又は接着剤である。
【0083】
該組織化用ポリマーは、固体粒子が有機相中に安定的に懸濁されねばならない用途に使用され得る。例えば、そのような固体粒子は、顔料、研磨用粉、セラミック粉、絶縁材料、鉱物、金属粉、カーボンブラック、有機又は無機塩であり得る。そのような粒子を含む適切な組成物は、インク、ペンキ及び被覆剤、研磨洗浄剤(abrasive cleaners)及び光沢剤、セラミックペースト、瀝青及びアスファルト組成物、ハンダ用ペースト、及びインクジェットプリンターインク、を含む。
【0084】
一般に、該組織化組成物は、全組成物に対して、0.2〜60%重量/重量、より通常は0.5〜35%重量/重量、特には1〜20%重量/重量、の組織化用ポリマーを含む。
【0085】
該有機相は、幾つかの実施態様において、本質的に香気組成物、例えば純香気油又は油類からなる。別法として、該有機相は、1種又はより多種の付加的な有機化合物と一緒である香気組成物を含み得る:これらの付加的な化合物は典型的には油であろう。典型的には、該油は、鉱油、芳香油、他の炭化水素油、植物油、脂肪族アルコール及びエステル油、の1種又はより多種である。香気組成物の高濃度は、空気清浄剤に使用される有機相に典型的である。
【0086】
本発明の組織化用ポリマーを用いて組織化、例えばゲル化、され得る典型的な有機物質は、液体及び比較的短い鎖を含む融解温度の低いアルコール、例えばt-ブタノール及びペンタノール;中程度の鎖のアルコール、例えば2-エチルヘキサノール及び2-エチル-1, 3-ヘキサンジオール;長鎖アルコール、例えばイソデカノール、イソトリデカノール、セチルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール;液状C8〜C32アルコール、例えばIsofol 32 (Sasolから)のようなGuerbetアルコール類;又はベンジルアルコールのような芳香族アルコール;アビエチルアルコールのような多環アルコール、を含む。
【0087】
別法として、枝分かれ液状脂肪族アルコールのような有機物質が本発明の組織化用ポリマーを使用して組織化又はゲル化され得、それらは、オクチルドデカノール又はイソステアリルアルコール(上記)例えばCrodaから商品名PrisorineTM3515(HBSP 17.9)として入手可能なイソステアリルアルコール、及びShell ChemicalsによりNeodolTMとして又はSasolによりNafolTMとして販売されているような合成(石油化学)枝分かれ脂肪族アルコールを含む。
【0088】
本発明のある実施態様において、次の有機物質の1種又はより多種が本発明の組織化用ポリマーを用いて組織化又はゲル化され得る:
‐ エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びより高級のアルキレンオキシドのポリマー、又はそれらの混合物、例えばDow Chemical Companyから入手可能なVoranol 1010(プロピレングリコール MW〜1000);
【0089】
‐ 脂肪酸ポリアルコキシレート、特にプロポキシレート、例えばC12〜C20、特にはC14、C16及びC18脂肪族アルコールのアルコキシレートで、パルミチン酸及びステアリン酸におけるように線状であるか又はイソステアリルアルコール(実際上、ダイマー酸の製造から典型的に分別される製品であり、平均値が約C18である、主として枝分かれしたC14〜C22のアルコールの混合物である)におけるように枝分かれしたもの、であり得、3〜25、特には7〜20のアルコキシレート、特にはエトキシレート、プロポキシレート又はエトキシレート及びプロポキシレートの混合物、単位を持つもの、例えばCrodaから商品名Arlamol E (HBSP 20.8)として入手可能なステアリルアルコール15-ポリプロポキシレート;
【0090】
‐ アルコキシレート化、特にはエトキシレート化されたポリオールエステル、例えばCrodaにより商品名TweenTMで販売されているもののような、エトキシレート化ソルビタンエステル;
【0091】
‐ エステル油特にC2〜C30の線状,枝分かれ又は不飽和脂肪酸と線状,枝分かれ又は不飽和脂肪族アルコールに基づくもので、典型的にはモノカルボン酸(類)とモノヒドロキシアルコール(類);ジ-又はトリ-カルボン酸とモノヒドロキシアルコール(類);又はジ-又はポリ-ヒドロキシアルコール(類)とモノカルボン酸(類)から誘導されたエステルであり、例えばCrodaから商品名EstolTM3609(HBSP 20.4)として入手可能なグリセロール トリス-2-エチルヘキサノエート エステル油、Unigemaから商品名PrisorineTM2021(HBSP 17.7)として入手可能なイソプロピルイソステアレート油、Crodaから商品名PriolubeTM1400(HBSP 17.9)として入手可能なメチルオレエート油、メチルカプリレート、グリセロールトリ-(C8〜C24)エートのような合成トリグリセリドエステル例えばCrodaから入手可能なEstasanTM3596のようなグリセロールトリカプリレート、及びグリセロールトリリシノリエート(triricinoleate)、PEGオレエート及びイソステアレート、イソプロピルラウレート又はイソステアレート、トリメチルプロパン トリエステル例えば混合C8/C10ステアリン又はオレイン酸との;天然トリグリセリド例えばレープシード(canola)油、ダイズ油、ヒマワリ油及び魚油;
【0092】
‐ メチル化天然トリグリセリド、例えばメチル化レープシード油、ダイズ及び/又はヒマワリ油;
‐ 芳香族エステル油、特に安息香酸又はフタル酸とC8〜C18モノヒドロキシアルコール(類)、例えばFinetexからの商品名FinsolveTN(HBSP 19.1)のC12〜C15ベンゾエート油、DOP(ジオクチルフタレート)及びその他;
‐ 枝分かれ液体脂肪族アルコール、イソステアリルアルコール(上記)例えばCrodaから商品名PrisorineTM3515(HBSP 17.9)として入手可能なイソステアリルアルコール、又は合成(石油化学)枝分かれアルコール類例えばShell ChemicalsからNeodolTMとして販売されているもの;
‐ 枝分かれ液体脂肪酸、特にイソステアリン酸及びダイマー酸(2量化脂肪酸、特にオレイン及び/又はリノール酸)、例えばジリノール酸(HBSP 17.8);
【0093】
‐ トルエン、キシレン、を含むタ炭化水素、及び液状パラフィン系材料例えばヘキサン,オクタン、ガソリン、ジーゼル、液状炭化水素ワックス、灯油、パラフィン油例えばSunocoからのSunspray 6N、8N及び11及びQ8からのPuccini 19P、(イソ)-パラフィン油例えばExxonMobilからのIsopar V及びExxol D140、及び芳香鉱油例えばExxonMobilから商標名Solvessoとして入手可能なアルキルベンゼン;及び
‐ 種々の液体例えばイソホロン(3,3,5-トリメチル-2-シクロヘキサン-1-オン)、液状(25℃で)脂肪酸例えばカプリル酸、イソステアリン酸、オレイン酸、及び植物油脂肪酸、メチルエチルケトン(MEK)のようなケトン、ブタナールのようなアルデヒド、ダイマー及びトリマー酸に基づくポリエステルポリオール例えばCrodaから入手可能な1連のPriplastTM
【0094】
該有機相は、勿論、2又はより多くの異なるタイプの有機物質を含み得る。
【0095】
上記のように、該有機相は、実質的完全に1種又はより多種の「純」香気油、即ち該有機相は実質的完全に香気油からなり付加的な「キャリヤー」油は存在しない、からなり得る。しかし、香気組成物は、「純」香気油と表示されたものであっても、一般に少なくとも幾分かの、香気と混合した非香気油を含む。
【0096】
用語「香気(fragrance)」は、望ましいにおい(odour)を持つ化学物質、又は化学物質のブレンドを意味する。香気は、普通に使用されるものであり、公知の香気又は公知の香気のブレンドが本発明により使用され得る。特に、天然の又は合成した香気が使用され得る。該組織化組成物中に使用される香気は、香水、石鹸、洗剤及び類似物のような製品中で知られそして使用される任意の香気材料であり得る。International Flavours & Fragrance(IFF ニューヨーク、N.Y.)は、多数の適切な材料、例えばAphermate、Andrane、Clonal、Diola、及びFraistone(全て商標)、を販売している。
【0097】
ある実施態様において、該香気組成物は、Dowanol TPM、ベンジルアルコール又はカルビトール(carbitol)のようなアルコールを基材とする溶剤を含み得る。別法として、該溶剤は油を基材とする溶剤、特にIsopar V又はIsopar Mのような、パラフィンを基材とする溶剤であり得る。更なる実施態様において、該溶剤は、ミリスチン酸イソプロピル又は(ジ)プロピレングリコールであり得る。
【0098】
本発明の組織化組成物中に含まれる香気組成物の性質及び量は、該香気の望ましい強さ及び該組織化物品からの望ましい香気放射の程度に依存する。該ゲル化物品中に含まれるべき香気の適切な性質と量は、当業者により決定され得る。しかし、一般には、該組織化組成物は、該組織化組成物の全重量を基準として少なくとも2%重量/重量の香気組成物を含む。
【0099】
該組織化用ポリマーは、勿論、該香気組成物と相溶性であるべきである。該組織化用ポリマーの構造は、従って、本発明の組織化用ポリマーはある範囲の様々な香気に対して一般に安定ではあると理解されるべきではあるが、一般に該香気組成物の性質及び構造に依存する。特に、効果的な組織化を達成するための該組織化用ポリマーの末端基の性質は、典型的に、該香気組成物の性質及び構造に依存する。
【0100】
本発明の組織化用ポリマーの構造は、該組織化用ポリマーを形成するのに使用される重合反応を改質することにより、制御され且つ予期し得る仕方で改質できる。特に、該組織化用ポリマーを形成するのに使用する反応体の構造、及び/又は該組織化用ポリマーを形成するのに使用する反応条件、が変えられ得る。別法として、該組織化用ポリマーの末端基が、上記したようなキャッピング工程により改質され得る。従って、該組織化用ポリマーの構造は、広い範囲の様々な香気組成物との相溶性を確保するため変えられ得る。それ自体、本発明の組織化用ポリマーは、広い様々な香気組成物について広い利用性を持ち得る。
【0101】
従来の組織化用ポリマーは、一般に極性及び非極性(apolar)の香気組成物
両方を組織化することが出来ない。香気組成物は極性又は非極性のどちらでもあり得、これは従来の組織化用ポリマーとの相溶性に大きく影響する。従来の組織化用ポリマーは、典型的には、極性か又は非極性の香気組成物、又はある狭い範囲の極性(極性は連続体(continuum)として考慮されるべきである)内の香気組成物、のみをゲル化できる。そのような組織化用ポリマーが好ましい極性範囲外の組成物をゲル化するのに使用されると、典型的には、該ゲルシステムは不透明になり、そして又不安定になる、即ち、低温時又は短時間後に構造を失い又は油状になり、又は実際ゲルを全く形成しないことがあり得る。
【0102】
本発明の組織化用ポリマーは、特にある好ましい実施態様において、極性及び非極性の香気組成物の両方を安定的にゲル化できる。これは、単一のゲル化剤(gellant)が様々な香気について使用できることを意味するので、極めて有利である。
【0103】
CLogP(オクタノール/水中分配係数)は、物質の極性を決定するのに広く使用され、香気及び化粧品産業でよく理解されている。それは又、純材料(及びそれらの混合物)の値が、実験的に測定されるのでなくソフトウェアプログラムを用いて計算され得るという利点を持つ。
【0104】
本発明の好ましい実施態様は、CLogPスケールによる−3〜+6、より好ましくは−1〜+5の極性を持つ香気組成物をゲル化できる。
【0105】
所望により、取扱い性を改良し及び/又は組織化用ポリマーの融点を下げるため、共溶剤及び/又は可塑剤が該組織化用ポリマーと組み合わされ得る。該組織化用ポリマーの流動特性もまた、共溶剤の添加により改質され得、これは、該組織化組成物の流動特性を改質するのに使用され得る。融解範囲を下げるのに特に効果的な共溶剤は次のものを含む:1-フェノキシ-2-プロパノール、3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オール β シトロネロール(citronellol)、3,7-ジ-メチル-2,6-オクタジエン-1-オール、3-ヘキサン-1-オール、シクロヘキサノン、テトラメチル尿素、エチレングリコールモノプロピルエーテル、2-エチル-ヘキサノール、1-ペンタノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、2,4,4-トリメチル-1-ペンタノール、シクロ-ヘキサノール、ヘキシルアルコール、及びエチレングリコールモノイソプロピルエーテル。使用される場合、共溶剤の量は、該組織化用ポリマーを基準として、一般に10〜90重量%、より通常は40〜75重量%であり、配合物全体の、0.5〜45重量%、より通常は1〜10重量%であろう。
【0106】
該共溶剤が正しく選択されると、該軟化点は実質的に、幾つかの例では該ポリマー溶液が室温で存在する点まで、下げられる。それ自体として、本発明のゲル化物品は、一般にポリマー自体の軟化点より実質的に低い温度、典型的には20〜60℃で製造され得、それは、コストと製造の不便さを低減し、損失のリスク無しに熱に敏感な成分、特に香気組成物、を混和することを可能にする。本発明の組織化用ポリマーがそのように低い温度で加工し得、にもかかわらず比較的高い温度においてクリープに抗し得る安定な組織化組成物を形成し得ることは、このポリマーの驚くべき性質である。従来の組織化用ポリマーを含む組織化組成物は、一般に、該組織化用ポリマーの融点に近い加工温度、典型的には80〜120℃、を必要とする。
【0107】
抗酸化剤、精油、防腐剤(preserving agent)、及び同様の材料もまた、該組織化組成物中に含まれ得る。
【0108】
着色剤、染料、顔料、小さい装飾用物品及びアイコン類(icons)及び/又は防虫剤が、所望により該組織化組成物中に含まれ得る。
【0109】
本発明の組織化組成物は、一般に透明又は半透明である。用語「透明(clear)」、「透明性(clarity)」、「透明(transparent)」及び「半透明」は、通常の辞書上の意味を持つ。それ自体として、透明ゲルはその後ろから対象物を見ることを可能にし、一方、半透明ゲルはそれを通した光の通過を可能にするが、光の散乱をもたらす。
【0110】
完全に透明から曇り(hazy)までにわたる、透明性及び半透明性の様々な程度がある。組成物に関係した(associated)パーセントヘーズ(percentage haze)は、室温で、規定の厚さを持つ組成物試料を通して白色光をあて、光の拡散透過と全透過を測定することにより決定し得る。パーセントヘーズは、次の等式により計算され得る:

%ヘーズ=(拡散透過/全透過)×100
【0111】
典型的には、該組織化組成物は実質的に透明である。一般に、該ゲル化物品は、その上における少なくとも50%の可視光入射がそれを通して移動することを可能にする;一般に少なくとも60%;好ましくは少なくとも70%の、その上における可視光入射。
【0112】
適切には、本発明の組織化組成物は、50%より低い;より適切には30%より低い;有利には105より低い関係(associated)パーセントヘーズ値を持つ。
【0113】
好ましくは、該組織化組成物は、よい触質性を持つ剛性(stiff)ゲルの形態である。該組織化組成物は好ましくは比較的非グリース性及び非油性である。例えば、非グリース性又は非油性組成物は油性又はグリース性の目に見える残渣が付くことなく、使用者が触り得る。あるいは、ティッシュペーパーのような吸収性の物質が該組成物に接触して置かれるとき、有機相は該吸収性物質中にしみ出ない。加えて、好ましくは、該組織化組成物は使用者が触ったときべとつきを感じない。
【0114】
該組織化組成物、特にゲル化組成物、は、適切にはそれ自身を支持するに十分硬い(rigid)ものであり得る。有利には、該組織化組成物は、室温でせん断を受けないときその形を保持する自己支持性を持つ。該組織化組成物は、一般に、その降伏値が重力により受けるせん断応力より大きい場合、自己支持性である。該組織化組成物は、適切には支え無しの(free standing)柱(pillar, column)のような支え無し物品の形態であり得る。
【0115】
あるいは、該組織化組成物は、容器のような支持用装置中に備え付けられ得る。
【0116】
有利には、該組織化組成物は経時によるクリープ又は流れを来たさない。典型的には、縦表面(例えばガラス板)への用途において、該組織化組成物は1ヶ月以上クリープの証拠を示さず、これは該ポリマーの降伏応力によるものと考えられる。
【0117】
適切には、本発明のゲル化組成物は、自動的に、又は経時的に離液を受けそして液体とゲルとに分離する(又は「ブリード」する)ことが無く、そして該ゲルの収縮により自動的にコロイド懸濁液を形成することが無いように安定である。
【0118】
該組織化組成物は、室温で少なくとも1ヶ月、高められた温度、典型的には50℃までそして望ましくは60℃まで、で少なくとも2週間、そして室温以下の温度通常少なくとも0℃のように低い温度で8週間まで、組織を安定して保持することが望まれる。典型的には、本発明の組織化組成物は、これらの条件にさらされ、又はこれらの条件の期間的な循環、例えば極端な環境中での日々の室温条件を模したような、にさらされたとき、高い熱安定性を持つ。
【0119】
該組織化組成物は、外部被覆、典型的には固体外部被覆を含み得る。該被覆は、例えば、ポリアミド樹脂又はスチレンアクリレーと樹脂であり得る。1実施態様によれば、該組織化組成物は、該外部被覆の除去、又は部分除去により、活性化されそして香気の放射を開始し得る。或いは、半透過性の被覆又は容器が使用され得る。そのような被覆の他の機能は、使用者がゲルと直接接触してグリース性、油性、ワックス性又はベトツキ性の感覚を受けることを防ぐことであり得る;これは、よい触質性を持つ本発明の組織化組成物に、一般には必要は無いが。
【0120】
1実施態様において、該組織化組成物は、装飾目的のための香りローソクの形であり得る。そのようなローソクは、一般に芯(wick)を含み、該芯の点火により該組織化組成物は活性化され、香気の放射を開始し得る。該組織化組成物は香気を含みそして放射し、そして該ローソクは、かくて、典型的には、香気又は香り(fragrance or scented)ローソクの形である。一般に、該芯が点火され、該組織化組成物の組織化用ポリマーを融かし、該芯のまわりに融けた液体の温かいたまりを形成し、香気はこの温かい溜まりから放出される。
【0121】
本発明の更なる態様によれば、ここに記載された組織化用ポリマーを形成する方法が提供され、該方法は次の工程を含む:
‐ 付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを用意し;そして
‐ 該付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを適切な分子と反応させ、尿素及び/又はウレタン結合を含むポリマーを形成する。
【0122】
適切には、該付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーは、イソシアネート分子、好ましくはジイソシアネート分子と反応される。
【0123】
一般に、該付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーとイソシアネートは、触媒の存在下で重合されて、本発明のポリマーを形成する。ウレタン又は尿素重合のための触媒は、第3塩基、例えばビス-(N,N'-ジメチルアミノ)-ジエチルエーテル、ジメチルアミノシクロヘキサン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、ジアルキル-(b-ヒドロキシエチル)-アミンとモノイソシアネートとの反応生成物、ジアルキル-(b-ヒドロキシエチル)-アミンとジカルボン酸のエステル化生成物、及び1,4-ジアミノビシクロ-(2.2.2)-オクタン、及び金属化合物のような非塩基性物質、例えば鉄ペンタカルボニル、鉄アセチルアセトネート、錫(II)(2-エチルヘキソエート)、ジブチル錫ジラウレート、モリブデングリコレート、オクタン酸第1錫、TBT及びTIPT、であり得る。
【0124】
アロファネート又はビューレット結合による架橋又は枝分かれの形成を促進する適切な触媒は、オクタン酸第1錫、炭酸カリウム(Air ProductsからのDabco k15)及びトリエチルアミン(Air ProductsからのDabco TMR)を含む。
【0125】
合成反応を、溶剤又は希釈剤無しに、原材料のみを使用して行うのが実際的であることが分かった。特に、キャッピング部分を形成するための試薬として含まれるモノカルボン酸エステルのような試薬は、それらがポリマー中に混和されるまでは反応の希釈剤/溶剤としても機能し得る。しかし、上記のように、得られる組織化用ポリマーの取扱いの容易さを改善するため望まれるならば、共溶剤又は希釈剤を使用することが可能である。一般に、反応混合物に実質的に不活性であり、安全に取り扱うことが出来、そして該組織化用ポリマーとその成分を可溶化できそれにより望ましい取扱いの改良が達成される、任意の液体又は低融点の固体が適切であろう。
【0126】
適切な共溶剤又は希釈剤は、アセトン、トルエン、可塑剤エステル、ベンゾエートのような芳香族エステル(例えば、2-エチルヘキシルベンゾエート)、又はイソプロピルミリステートのようなイソプロピルエステル、グリセロールトリオレエートのようなトリグリセリド、N-メチルピロリドン、及びジアルキルカーボネート、を含む。該形成される組織化用ポリマーに添加するのに適し、融解範囲を下げるのに特に効果的な共溶剤は、1-フェノキシ-2-プロパノール、3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オール ベータシトロネロール(citronellol)、3,7-ジ-メチル-2,6-オクタジエン-1-オール、3-ヘキサン-1-オール、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノプロピルエーテル、2-エチルヘキサノール、1-ペンタノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、2,4,4-トリメチル-1-ペンタノール、シクロヘキサノール、ヘキシルアルコール、及びエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、を含む。
【0127】
該方法は、キャッピング部分を持つポリマーにおけるキャッピング工程を含み得る。この工程は、該重合工程の後で、又は同時に行われ得る。該キャッピング部分は、典型的には1価のアルコール、アミン、酸、イソシアネート又はエステルである。反応される末端キャップは、勿論、ポリマーの末端にある基に依存する。
【0128】
適切には、該キャッピング工程は、該組織化用ポリマーの末端水酸基の脂肪酸又は脂肪酸メチルエステルによるエステル化を含み、又は、該組織化用ポリマーの末端のイソシアネーと基はアルコールでキャッピングされ得る。典型的には、該キャッピング工程は、該組織化用ポリマーの末端基のエステル化を含み得る。
【0129】
ポリマーのキャッピング部分は、例えば付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを適切なキャッピング分子(例えば脂肪酸又はアルコール)と反応させ望ましい末端基を形成することにより、重合の前に作られ得る。
【0130】
或いは、該キャッピング部分は、部分形成(part-formed)組織化用ポリマーとキャッピング部分の反応により重合後に付加され得る。部分形成組織化用ポリマーの末端がイソシアネートである場合、該方法は、典型的には、該キャッピング基がアルコールでありそして置換ウレタン末端ポリマーを与えるキャッピング工程を含む。
【0131】
ポリマーの末端がヒドロキシル(ジオール)である場合、該キャッピング反応は次のようであり得る:
‐ アルコール(又は反応性誘導体)と、エステル化条件下で、特に例えば炭酸カリウム、水酸化カリウム水酸化ナトリウム又は水酸化カルシウムのようなエステル化触媒の存在下で、
‐ 又は、シリコーン機能化化合物を含むモノイソシアネート、例えば商標名Silquestで入手可能な3-イソシアナトプロピル-トリメトキシシラン。
‐ 又は、エステル化条件下でのカルボン酸(又は反応性誘導体)、特に例えばテトラブチルチタネート(TBT)、テトライソプロピルチタネート(TIPT)、オクタン酸第1錫例えば商品Tegokat 129、塩基例えば炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム、酸例えばパラトルエンスルホン酸(PTSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)又は硫酸、のようなエステル化触媒の存在下で、より特には、式R1COOR2(式中、R1は任意のヒドロカルビル(hydrocarbyl)基、特にC1〜C60、より通常はC1〜C44の基、特にアルキル基、そしてR2は低級の、特にC1〜C8のアルキル基、特にメチル基)のエステルと、エステル交換条件下、特にTBT、TIPI、オクタン酸第1錫、又は塩基例えば炭酸カリウム又は炭酸ナトリウム、のようなエステル交換触媒の存在下、での反応により。
【0132】
適切には、該キャッピング部分は、重合の前に反応混合物に付加されるが重合中は不活性であり、そして加工と取扱いを改良するように機能する。典型的には、そのようなキャッピング基は、重合反応中希釈剤、シンナー(thinners)及び/又は溶剤として機能する。そのようなキャッピング部分はアルキルエステルを含む。
【0133】
一般に、該部分形成組織化用ポリマーの末端がヒドロキシル又はアミンである(又はあろう)場合、該反応は一般に2段階で行われ、最初は該部分形成組織化用ポリマーの形成であり、次いで該部分形成組織化用ポリマーをキャッピングする。該部分形成組織化用ポリマーの末端がイソシアネートである(又はあろう)場合、特に該キャッピング基ガヒドロキシル化合物(アルコール)又はアミンである場合、該反応は、最初から単一容器中の全ての試薬により1段階で行われ得る。
【0134】
イソシアネートとの反応、重合又はキャッピング反応は、一般に50〜160℃、より通常は60〜140℃の温度で行われる。酸又はエステルとの反応による酸とのエステル又はアミド末端キャップの形成は、一般に110〜270℃、より通常は180〜230℃例えば約225℃、の温度で行われる。直接及び交換エステル化の両方及びアミド化は、大気圧又は中真空で行われ得、例えば600〜10 mBar(60〜1 kPa abs)が通常使用されるであろう。不活性ガス例えば窒素が、該反応混合物からの揮発分の除去を助け、そして空気との接触による該ポリマーの変色を低減するために、大気圧又は減圧で反応混合物を通してスパージ(sparge)され得る。一般に、酸又はエステル(通常メチルエステル)は少し過剰に使用されるであろう。
【0135】
本発明の更なる態様によれば、香気組成物を含む有機相を含む組織化組成物を形成する方法が提供され、該方法は次の工程を含む:
‐ 付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを含みそして尿素及び/又はウレタン結合を含む組織化用ポリマーを用意し;
‐ 香気組成物を含む有機相を用意し;そして
‐ 適切な条件下で該組織化用ポリマーと該有機相を結合して組織化組成物を形成する。
【0136】
該方法に使用するための組織化用ポリマーと有機相の詳細は上に示される。適切には、本発明の方法により形成される該組織化組成物は上記したようなものである。特に、それは空気清浄剤又はゲルローソクである。
【0137】
該組織化用ポリマーは、典型的には、中程度に高められた温度、典型的には50〜140℃、より通常は60〜120℃、普通は80〜110℃で、該有機相と結合される。反応生成物混合物は次いで、典型的には、冷却工程により又は該反応生成物混合物が冷えるのに任せて、室温に冷却する。該組織化効果は、典型的には、冷却により明白になる。該冷却速度が該組織化組成物の性質に影響し得ること、該加工及び完成後の性質を制御する方法として使用され得ること、が分かった。
【0138】
或いは、該組織化用ポリマーは、室温に近い温度、典型的には20〜40℃、好ましくは20〜25℃の温度で該有機相と結合され得る。好ましくは、該組織化用ポリマーが室温に近い温度で該有機相と結合されるとき、結合は取扱い性を改良するため共溶剤の存在下でおこるものであり、適切な共溶剤は上に述べた。
【0139】
該香気組成物は、該ゲルの形成の前の任意の時期に該組織化用ポリマーと混合され得る。多くの香気組成物の揮発性を考慮し、該香気組成物は、一般に、該組織化組成物を形成する方法の間に比較的低温において添加される。該方法が組織化用ポリマーと該有機相との結合の際高められた温度の適用を含む場合、該香気組成物は該冷却工程の間に該有機相に添加され得る。該組織化用ポリマー、共溶剤及び該有機相が室温に近い温度で結合される場合は、該香気組成物は該組織化用ポリマー、共溶剤及び該有機相の混合からの任意の時期に添加され得、即ち、それは初めから該有機相中にあり得る。
【0140】
該組織化組成物が香りローソクである場合、該方法は、該組織化用ポリマーと該有機相を含む混合物を金型に移行し、所望により該混合物中に芯を位置付けそして混合物を冷却する工程を含み得る。該ローソクは金型から外されて冷却され、又は該金型は使用時のローソクのための支持体を提供し得る。
【0141】
本発明の更なる態様によれば、香気組成物を含む有機相を含む組織化組成物、特に空気清浄剤の製造における、付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを含みそして尿素及び/又はウレタン結合を含む組織化用ポリマーの使用を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0142】
本発明は、付属した図面を参照して非限定的な実施例により更に記載されるであろう;
【図1】下記のポリマーSE32から作られた空気清浄剤中の香気の香気放出曲線である。
【図2】下記のポリマーSE32から作られた空気清浄剤中の香気の香気放出曲線である。
【図3】下記のポリマーSE32から作られた空気清浄剤中の香気の香気放出曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0143】
次の材料は、下記の実施例中で引用される。全ての部及びパーセンテージは、断りの無い限り重量による。
材料
【0144】
付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマー
DD1 ダイマージオール(2%モノマー、96.5%ダイマー及び1.5%トリマー)‐PripolTM2033、Crodaから
DD2 トリマートリオール(工業(technical)品質のトリマーから誘導されたポリオールで、2%の1価アルコール、54.5%の2価アルコール及び43.5%の3価アルコールを含む)
DD3 ダイマー酸とエチレングリコールの反応によるヒドロキシル末端オリゴマー
DD4 ダイマージアミン
DD5 ダイマー酸とダイマージオールの反応によるヒドロキシル末端オリゴマー、PriplastTM3197、Crodaから
DD6 トリマー酸、PripolTM1040、Crodaから
DD7 ダイマー酸、PripolTM1017、Crodaから
DD8 ダイマー酸と1,6-ヘキサンジオールの反応によるヒドロキシル末端オリゴマー、PriplastTM3196、Crodaから
【0145】
ポリマー改質用付加部分‐ジオール
D1 1,6-ヘキサンジオール(MP 39〜42℃)
D2 1,4-ブタンジオール
D3 2-エチル-ヘキサン-1,3-ジオール
D4 イソソルバイド(isosorbide)
D5 ビスフェノール-A2.2プロポキシレート
D6 エチレングリコール
D7 トリメチロールプロパン
【0146】
ポリマー改質用付加部分‐ジアミン又は混合アミン/ヒドロキシル
A1 モノエタノールアミン
A2 エチレンジアミン
【0147】
イソシアネート
IC1 ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、Desmodur H、Bayerから
IC2 HDI-トリマー、Desmodur N3600、Bayerから
IC3 ジシクロヘキサンメタン-4,4'-ジイソシアネート、Desmodur W、Bayerから
IC4 改質MDI、Desmodur CD、Bayerから
IC5 3-イソシアナトプロピル-トリメトキシシラン、Silquest、GE Siliconesから
【0148】
キャッピング用付加部分
Est1 メチルイソステアレート、PrisorineTM3769、Crodaから
Est2 メチルステアレート
Est3 メチルオレエート、PriolubeTM1400、Crodaから
Est4 メチルベンゾエート
Est5 イソプロピルミリステート、EstolTM1514、Crodaから

Ald1 ステアリン酸、PrifacTM2979、Crodaから
Ald2 ミリスチン酸、PrifacTM2942、Crodaから

Alc1 ステアリルアルコール
Alc2 イソステアリルアルコール
Alc3 枝分かれC32アルコール、Isofol 32、Sasolから
Alc4 枝分かれC20アルコール、Isofol 20、Sasolから
Alc5 プロピレングリコールモノイソステアレート、PrisorineTM2034、Crodaから

Ami1 牛脂(tallow)アミン
【0149】
ウレタン/尿素反応触媒
UC1 ジ-ブチル第1錫 ジ-ラウレート
UC2 オクタン酸第1錫
【0150】
エステル化/エステル交換触媒
TBT テトラブトキシチタネート[Ti(O-n-C4H9)4]、ジオクチルアゼレート中の20重量%溶液として
SO オクタン酸第1錫、Tegocat 129、Goldschmidtから
【0151】

Oil1 パラフィン(高度液状(highly liquid))、Merkから
【0152】
香気
Frg1 FragranceFG(Apolar fragrance、Givauganから)
Frg2 FragranceBB(Polar fragrance、Givauganから)
Frg3 FragranceMe-BB(Polar fragrance アルコール基なし、Givauganから)
【0153】
溶剤
CoS1 Dowanol TPM、Dow Chemicalsから
CoS2 ベンジルアルコール
CoS3 カルビトール
CoS4 DPG(ジプロピレングリコール)
Cos5 Isopar V、Exxon Mobil Chemicalsから
CoS6 Isopar M、Exxon Mobil Chemicalsから
CoS7 イソプロピルミリステート、EstolTM1514、Crodaから
【実施例】
【0154】
実施例1‐「前エステル化」ルートによるエステル-末端 ポリウレタン組織化用ポリマーの調製
ダイマージオール(DDI)(515.30g;0.95モル)、フレーク状ステアリン酸(Acd1)(111.47g;0.39モル)、フレーク状ミリスチン酸(Acd29(90.22g;0.39モル)、ダイマー酸(DD7)(48.03g;0.079モル)及び所望により1,4-ブタンジオール(D2)(37.58g;0.42モル)及び/又はフレーク状トリメチロールプロパン(D7)(13.43g;0.10モル)が、外部電気ヒーター、窒素導入口、温度計、コンデンサー及び受け器、中央攪拌機及び付加口(addition port)を備えた、2lフランジ付きフラスコ(「反応器」)に装入された。該混合物は、該混合物を通した窒素ガス攪拌下に急速に225℃に加熱され、そしてTBT(440μl)が投与された。450〜350mbarの真空が適用され、該混合物は酸価が0.1mg(KOH)/g又はより小になるまで真空下に225℃に保持された。該混合物は125℃に冷却され、窒素攪拌が停止され、そして、該混合物から水を除去するために完全真空(20〜10mbar)が1時間適用された。害混合物は次いで60℃に冷却され、その間真空は該混合物への窒素ガス攪拌により開放された。1,4-ブタンジオール及び/又はトリメチロールプロパンが該前エステル化の前に添加されなかった場合、これらの成分はこの時点で付加口から添加された。約70℃において触媒UC1(400μl)が添加され、そしてヘキサメチレンジイソシアネート(IC1)(162.69g;0.97モル)が150g/hr/kgの速度で付加口から投与され、そして該混合物は50℃/hrの速度で約140℃の温度まで加熱された。該混合物はヒドロキシル価が10mg(KOH)/g(又はより小)に落ちるまで2〜3時間保持された。生成物は取り出され室温まで放置冷却され、若干黄色の曇ったワックス状固体としてポリマーを得た。
【0155】
この加工ルートの利点は、ポリマー末端基の選択においてそれが提供する柔軟性と顧客志向性である;脂肪酸は安価で、多くの異なる純度で入手でき、アルキル鎖の長さはC8〜C22又はより大である。
【0156】
実施例2‐SE1:「後エステル化」ルートによるエステル-末端 ポリウレタン組織化用ポリマーの調製
ダイマージオール(DD1)(515.3g;0.95モル)、1,4-ブタンジオール(D2)(37.58g;0.42モル)、フレーク状トリメチロールプロパン(D7)(13.43g;0.10モル)、融解メチルステアレート(Est1)(117.02g;0.39モル)及びイソプロピルミリステート(Est5)(105.96g;0.39モル)が、外部電気ヒーター、窒素導入口、温度計、コンデンサー及び受け器、中央攪拌機及び付加口を備えた、2lフランジ付きフラスコ(「反応器」)に装入された。該混合物は不活性窒素雰囲気下(反応を通して保持)で約70℃に加熱された。触媒(UC1)(400μl)が次いで添加されそしてヘキサメチレンジイソシアネート(IC1)(162.69g;0.97モル)が、150g/hr/kgの速度で投入ポンプを用いて付加口から添加された。該混合物は50℃/hrの速度で約180℃の温度に加熱され、そしてダイマー酸(DD7)(48.03g;0.079モル)が投入された。触媒SO(0.8g)が添加され、そして該混合物はヒドロキシル価が10mg(KOH)/g(又はより小)に落ちるまで180℃に保持された。該反応混合物は窒素ガス攪拌下に140〜150℃まで放置冷却され、そして生成物は取り出され、室温まで放置冷却され、若干黄色の曇ったワックス状固体としてポリマーを得た。
【0157】
この例では、該反応の初めに添加された脂肪酸は溶剤及び希釈剤として機能し、それは加工及び取扱いの有利性を提供する。
【0158】
実施例3‐SE2:ウレタン末端ポリウレタン組織化用ポリマーの調製
ダイマージオール(DD1)(567.16g;1.04モル)及びイソステアリルアルコール(Alc2)(199.46g;0.74モル)が、実施例1に記載された反応器に装入され、70℃に加熱された。触媒(UC1)(400μl)が次いで添加され、次いでジイソシアネート(IC1)(233.38g;1.39モル)が実施例1に記載された付加口から添加された(イソシアネート添加の間粘度が上昇する、よって、発熱エネルギーが該混合物を液体に保つのに不十分な場合は、それを液体に十分保つように加熱するのが望ましい)。該混合物は50℃/hrで140℃に加熱され、そして2〜3時間保持されてヒドロキシル価は5mg(KOH)/gより小さくなった。生成物は取り出され、室温まで放置冷却され、白色ゴム状半透明固体としてオリゴマーを得た。
【0159】
実施例4‐SE3:「後エステル化」ルートによるエステル末端ポリウレタン組織化用ポリマーの調製
この実施例は、ベースポリマーの成分としての、より高官能性のポリオールの使用を含む。
トリマージオール(DD2)(613.6g;0.94 モル)、メチルステアレート(Est2)(189.1g;0.65モル)及びステアリルアルコール(Alc1)(44.9g;0.17モル)が、実施例1に記載された反応器に装入された。該混合物は不活性窒素雰囲気下(反応を通して保持)で約70℃に加熱され、触媒(UC1)(400μl)が添加され、そしてジイソシアネート(IC1)(152.4g;1.02モル)が実施例1に記載された付加口から添加され、そして該混合物は50℃/hrの速度で約180℃に加熱された。触媒(UC2)(オクタン酸第1錫)(0.8g)が次いで添加され、圧力は10mbarに低下され、そして該混合物はヒドロキシル価が10mg(KOH)/g(又はより小)に落ちるまで180℃に保持された。反応混合物は140〜150℃に放置冷却され、真空は開放され、生成物は取り出され、室温まで放置冷却され、白色不透明固体として製品オリゴマーを得た。
【0160】
実施例5‐SE4:「後エステル化」ルートによるエステル末端ポリウレタン組織化用ポリマーの調製
この実施例は、ベースポリマーの成分としての、より高官能性のイソシアネートの使用を含む。
ダイマージオール(DD1)(607.3g;1.11モル)及びメチルイソステアレート(Est1)(261.4g;0.85モル)が、実施例1に記載された反応器に装入され、該混合物は不活性窒素雰囲気下(反応を通して保持)で約70℃に加熱され、触媒(UC1)(400μl)が添加され、次いでトリイソシアネート(IC2)(17.66g;0.03モル)が添加された。ジイソシアネート(IC1)(172.4g;1.02モル)が実施例1に記載されたように添加され、該混合物は50℃/hrの速度で225℃まで加熱された。触媒TBT(440μl)が次いで添加され、そして該混合物はヒドロキシル価が10mg(KOH)/g(又はより小)に落ちるまで225℃に保持された。反応混合物は窒素ガス攪拌下で140〜150℃に放置冷却され、生成物は取り出され、室温まで放置冷却された。製品オリゴマーは、淡黄色の半透明固体として得られた。
【0161】
実施例6‐SE5:「後エステル化」ルートによるエステル末端ポリウレタン組織化用ポリマーの調製
この実施例は、ベースポリマーの成分としての、アミン-アルコールの使用を含む。
ダイマージオール(DD1)(530.1g;0.97モル)、メチルイソステアレート(Est1)(244.7g;0.8モル)及びモノエタノールアミン(A1)(28.6g;0.47モル)が、実施例1に記載された反応器に装入され、約70℃に加熱された。触媒(UC1)(400μl)が次いで添加され、ジイソシアネート(IC1)(196.6g;1.17モル)が実施例1に記載されたように添加され、そして該混合物は50℃/hrの速度で225℃まで加熱され、TBT(440μl)が添加され、そして該混合物はヒドロキシル価が10mg(KOH)/g(又はより小)に落ちるまで225℃に保持された。反応混合物は窒素ガス攪拌下で140〜150℃に放置冷却され、生成物は取り出され、淡黄色の半透明固体として、室温まで放置冷却された。
【0162】
実施例7‐SE6:アミド末端ポリ尿素組織化用ポリマーの調製
この実施例において、末端アミノ基のアミド化は、後重合により行われる;該脂肪酸メチルエステルは、初め溶剤及び希釈剤として役立ち、続くアミド化工程において末端アルキル鎖の源となる。
ダイマージアミン(DD4)(627g;1.15モル)及びメチルイソステアレート(Est1)(242.8g;0.79モル)が、実施例1に記載された反応器に装入され、70℃に加熱された。触媒(UC1)(400μl)が次いで添加され、ジイソシアネート(IC1)(130.1g;0.07モル)が実施例1に記載されたように添加され、そして該混合物は60℃/hrの速度で225℃まで加熱され、TBT(440μl)が添加され、そして該混合物はヒドロキシル価が10mg(KOH)/g(又はより小)に落ちるまで225℃に保持された。反応混合物は窒素ガス攪拌下で170〜180℃に放置冷却され、生成物は取り出され、淡褐色の不透明固体として、室温まで放置冷却された。
【0163】
実施例8‐SE20:ウレタン末端ポリウレタン組織化用ポリマーの調製
この実施例は、ベースポリマーの成分としての、ダイマー酸のみから誘導されたオリゴマーポリエステルポリオールの使用を含む。
ダイマージオール(DD1)(152.94g;0.56モル)、ポリエステルポリオールDD5(509.79g;0.25モル)、1,6-ヘキサンジオール(D1)(30.12g;0.25モル)及びイソステアリルアルコール(Alc2)(137.64g;0.51モル)が、実施例1に記載された反応器に装入され、70℃に加熱された。触媒(UC1)(400μl)が次いで添加され、ジイソシアネート(IC1)(169.51g;1.01モル)が実施例1に記載されたように付加口から添加された。(イソシアネート投入の間粘度が上昇する、よって、発熱エネルギーが該混合物を液体に保つのに不十分な場合は、それを液体に十分保つように加熱するのが望ましい。)該混合物は50℃/hrの速度で140℃まで加熱され、そして2〜3時間140℃に保持され、ヒドロキシル価は7mg(KOH)/gより小になった。生成物は取り出され、室温まで放置冷却され、淡褐色のゴム状半透明固体としてオリゴマーを得た。
冷却されたポリマー製品は、例えば極低温遠心ミル中で粉砕し、取扱い及び引続いた配合物への混和が容易な粉状とし得る。
【0164】
更なるポリマーゲル化剤は,一般に下記の表1に示した材料及びモル比を使用して、上記のようにして作られた。
【表1】

【0165】
実施例9‐ゲル化油/香気の調製
表2は、上記表1から選択されたポリマーによりゲル化された幾つかの香気油の組成物を示す。
【表2】

【0166】
実施例10‐空気清浄剤:熱板法
組織化用ポリマーSE33(2g)が、8gの香気 Frg2に添加された。該混合物は熱板により、攪拌下、該ポリマーが完全に溶けるまで、90℃に加熱された。該混合物は次いで
放置冷却され、それによりゲルが形成された。該香気組織化用ポリマー混合物からの揮発分の損失を防ぐため、空気冷却器又は還流カラムが用いられた。離液のない透明で強いゲルが形成され、それは60℃で2週間まで安定でクリープを示さなかった。
【0167】
実施例11‐香気入りゲルローソク:熱板法
後期Frg1(0.5g)及び5gの組織化用ポリマーSE26が、4.5gの油1二点かされた。該混合物は該ポリマーが完全に溶けるまで、攪拌及び還流下で90℃まで加熱された。該組織化用ポリマーが溶けたら、該混合物は放置冷却され、それによりゲル構造を形成する。透明で強いゲルが得られ、それは燃やされ得、香気を放出した。
【0168】
実施例12‐空気清浄剤:電子レンジ(microwave)法
組織化用ポリマーSE21(5g)がペトリ皿(Petri-dish)中で5gの後期Frg1に添加された。該混合物は、600-650ワットで1分間電子レンジ(Moulinex;Y62型)中に置かれた。該混合物は取り出され、均質化され(ポリマーの1部のみ溶けていたので)、再度600-650ワットで1分間電子レンジ中に置かれた。離液のない透明で強いゲルが得られ、それはクリープを示さず60℃で2週間安定であった。電子レンジ加熱は、必要なら、熱板上での攪拌及び/又は加熱を付加し得る。
【0169】
実施例13‐組織化用ポリマー/溶剤混合物の調製
香気油は、典型的には溶剤を含む。これは、例えばベンジルアルコール(CoS2)、ジプロピレングリコール(CoS4)、Dowanol TPM(CoS1)(とりプロピレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(CoS3)(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、Isopar M(CoS6)、Isopar V(CoS5)及びイソプロピルミリステート(CoS7)であり得る。この溶剤の正確な性質は該組織化用ポリマーの性能に著しい影響を与えるので、ポリマータイプの選択における因子である。
【0170】
該組織化用ポリマーの粘度と融点を下げるための共溶剤の使用は、最終製品中の香気の濃度に上限を与える。これは、溶剤/ゲル化剤混合物によるシステム中に添加される共溶剤を補うため、より濃縮型の香気を使用することにより解決し得る。幾つかの場合、香気油中に通常存在するものと同じ共溶剤を使用し得る:ポリマー/溶剤混合物が加熱されるべき温度は該溶剤のタイプ及び濃度に依存する。表3は組織化用ポリマーの軟化点を下げるのに効果的なポリマー/溶剤混合物の幾つかの例を提供する。
【表3】

【0171】
実施例14‐「半低温(semi-cold)」法による組織化空気清浄剤の調製
4gの90℃のM1が、室温で、濃縮型香気であるfrg1(6g)に添加され、強い攪拌と還流下で混合された。該混合物は放置冷却された。離液の無い透明で強いゲルが形成され、60℃までの温度安定性を持ち、クリープは無かった。
【0172】
実施冷15‐「低温(cold)」法による組織化空気清浄剤の調製
幾つかの場合には、香気/油の配合物(溶剤の選択を含む)に依存して、先の実施例に記載したより低い温度において、室温条件においてさえも、組織化用ポリマーを混和することが可能である。これは、還流を必要とせずに該配合物からの揮発成分の損失を低減し、そしてエネルギーと調製時間を低減できるという利点を持つ。それはまた、香気受容体への感熱性成分の混和を可能にする。
【0173】
表3中のM3混合物は、100℃から室温までの冷却を可能にした。幾らかの時間の後該混合物はゲルを形成するが、最初、該混合物は室温で液体のままである。室温における該液体M3混合物(2.67g)は、強い攪拌下、室温で濃縮型香気frg3(7.33g)に添加された。該空気清浄剤は静置され、離液の無い透明で強いゲルが形成され、60℃までの温度安定性を持ち、クリープは無かった。この方法の利点は、該香気から揮発分の損失が全く無いことである。
【0174】
実施例16‐現場重合調製法
現場重合は、香気/溶剤/油マトリックス中でのゲル化剤ポリマーの調製を言い、それにより該ゲル化剤ポリマーを混和するための分離工程を必要としない。潜在的な利点は、プロセスが簡単なこと、コスト低減、また該ゲルの性質を改善するためのより架橋したシステムの使用、を含む。それは、該香気/溶剤/油が、該重合プロセスの成分に不活性な化合物を実質的に含むときにのみ可能である;該成分は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン及び炭化水素を基材とする化合物を含む。
【0175】
該反応体は、ダイマージオール、改質ポリオール及び、アルコール、Alc5のようなエステ(este)-アルコール、又は脂肪酸とモル過剰量のダイマージオールとの間のエステル化生成物、のような末端キャッピング付加部分、である。3つの異なる加工ルートが、ポリマー/溶剤比50/50〜80/20を用いて試験された。

ジイソシアネートを除いた全ての成分が一緒にされた。該ジイソシアネートは投与されて反応させられた。
【0176】
実施例17‐空気清浄剤
2.23g DD1、1.21g Alc2及び0.18g D2が、ペトリ皿中で5gの不活性香気Frg2に添加された。触媒UC1(8μl)が添加され、該混合物は均質化された。IC1(1.37g)が投与され、該混合物は均質化された。該空気清浄剤システムは、オーブン中40℃で24時間反応させられた。24時間後、透明ゲルが形成され、それは60℃の温度安定性に到達しクリープを示さなかった。
【0177】
実施例18‐香気ゲルローソク
4.47g DD1、1.21g Alc2、0.36g D2、2gのFrg3が、50mlビーカー中で8gのOil1に添加された。触媒UC1(8μl)が添加され、該混合物は均質化された。IC1(2.74g)が投与され、該混合物は均質化された。該香気ゲルローソク混合物は、オーブン中60℃で24時間反応させられた。24時間後室温に冷却されて透明ゲルが形成され、それは70℃の温度安定性に到達した。
【0178】
次の各実施例において、配合剤及び比率はゲル化剤ポリマーが広範囲の架橋、それはゲル構造を強めるが温度可逆性を失わせ又は減じる、を示すように選択される。
【0179】
実施例19‐アルコール架橋空気清浄剤
6.15g DD1、0.20g D2、0.61g D7及び触媒UC1(16μl)が、ペトリ皿中で10gの香気Frg3に添加された。該混合物は均質化され、次いで3.04g IC1が添加された。該混合物は均質化され、オーブン中40℃で24時間反応させられた。強いゲルが得られ、それは60℃まで安定で、クリープを示さなかった。
【0180】
実施例20‐イソシアネート架橋空気清浄剤
5.94g DD1、0.20g D2及び触媒UC1(16μl)が、ペトリ皿中で23.34gの香気Frg3に添加された。該混合物は均質化され、次いで1.47g IC1及び2.39g IC2が添加された。該混合物は均質化され、40℃で24時間反応させられた。透明な強いゲルが得られ、それは60℃まで安定で、クリープを示さなかった。


ヒドロキシル-、イソシアネート-、又はアミン-末端 プレポリマー/オリゴマーが、上記の方法により調製される。このプレポリマーは、所望により付加的モノマー及び末端キャッピング剤/連鎖停止剤と共に、該香気中に添加される。
【0181】
実施例21‐ゲルローソクのための組織化用ポリマー製造のための、ヒドロキシ末端ポリマー脂肪酸ダイマー/トリマー付加部分
使用される脂肪酸ダイマー/トリマー付加部分は、タイプSE26であるが、末端キャッピング付加部分の付加はない。9.32gの溶融SE26(T=90℃)、末端キャップなし、が15gの予備加熱した(90℃)パラフィンに添加された。触媒UC1(20μl)が添加され、該混合物は均質化され、そしてIC1(0.68g)が添加され、該混合物は再度均質化された。該混合物は80℃で24時間反応させられた。室温に冷却され、透明な強いゲルが得られた。
【0182】
実施例22‐空気清浄剤のための組織化用ポリマー製造のための、アミン末端ポリマー脂肪酸ダイマー/トリマー付加部分
使用される脂肪酸ダイマー/トリマー付加部分は、タイプSE6であるが、末端キャッピング剤の付加はない。14.1gの溶融SE6(温度70℃)、キャップなし、が15gの60℃のFrg2に添加され、次いで触媒SO(24μl)が添加された。イソシアネートIC1(0.9g)が投与され、該混合物は均質化された。該混合物はオーブン中60℃で反応させられた。若干曇ったゲルが得られ、それは50℃でクリープを示さなかった。
【0183】
実施例23‐ポリマーSE32から作られた空気清浄剤についての香気放出曲線
上記実施例9に概説された調製法を用い、ポリマータイプSE32中における3つの異なる香気(Frg1、Frg2及びFrg3)から濃縮ゲルが作られた。3ケースの全てにおいて、香気対ポリマーの重量比は4:1、即ち8gの香気対2gのポリマーであった。反応混合物からの揮発性香気材料の損失が無いように、調製の間還流コンデンサーが使用された。
【0184】
得られた溶融空気清浄剤ゲルは、直径40mmのガラス皿中に注がれ、各々の皿は3.63±0.02gを含んだ。該ゲルは急速に室温に冷却され、複数の試料が、温度22.5℃±0.5℃、相対湿度50%±5%に調整された耐候室(climate room)中に置かれた。該ガラス皿プラスゲル試料の重量は、Mettler AT200ディジタルスケールを用いて毎日測定された。対応する純品(neat)香気油が実験対照として並行して試験された。概つのゲル配合物についての香気放出曲線は、図1,2及び3に示される。
【0185】
これらの図は、様々な極性の香気を組織化するための単一ポリマーの能力を示す。ゲル中の香気放出の速度は純品香気油についてのそれより低いことが見られ、これは該ポリマーの組織化能力に帰せられることが明らかであり、放出は18日の試験期間中比較的一定に保たれる;香気放出物品の有効期間は、それにより顕著に延長される。
【0186】
この明細書中に引用された全ての資料は、引用によりここに包含される。本発明の記載された実施態様に対する様々な改良及び改変は、本発明の範囲及び本質から外れない限り、当業者に明らかであろう。本発明は特定の好ましい実施態様と結びつけて記載されたが、請求された発明はそのような特定の実施態様に不当に限定されるべきでないと理解されるべきである。実際、当業者に明らかな、本発明を実施する態様の様々な改質は、本発明により包含されると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
香気組成物を含む有機相を含む組織化組成物であって、
‐ 該有機相は、組織化用ポリマーにより組織化され、
‐ 該組織化用ポリマーは、付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを含み、そして尿素及び/又はウレタン結合を含む、
組織化組成物。
【請求項2】
該組織化用ポリマーがウレタン及び尿素結合を含む、請求項1に記載の組織化組成物。
【請求項3】
該全組織化組成物を基準として0.2〜60%重量/重量の組織化用ポリマーを含む、請求項1又は2に記載の組織化組成物。
【請求項4】
該全組織化組成物を基準として少なくとも2%重量/重量の香気組成物を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項5】
該付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーが、脂肪酸ダイマー及び/又はトリマーのポリオール誘導体、脂肪酸ダイマー及び/又はトリマーのポリアミン誘導体、及び/又はダイマー/トリマー酸誘導体を含むポリマー付加部分である、請求項1〜4の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項6】
該組織化用ポリマーが、ジイソシアネート分子から誘導された残基を含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項7】
該組織化用ポリマーが、1個又はより多くのポリマー改質付加部分を含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項8】
該組織化用ポリマーが、少なくとも部分的に枝分かれ又は架橋している、請求項1〜7の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項9】
該架橋した組織化用ポリマーが、全ポリマーの40モル%までである、請求項8に記載の組織化組成物。
【請求項10】
該組織化用ポリマーの組織化用ポリマー枝分かれ又は架橋が、ウレタン又は尿素結合において、アロファネート及び/又はビューレット結合により起こる、請求項8又は9に記載の組織化組成物。
【請求項11】
該組織化用ポリマーの枝分かれ又は架橋が、該組織化用ポリマー中に混和されたひまし油モノマーにより起こる、請求項8又は9に記載の組織化組成物。
【請求項12】
該組織化用ポリマーが、0.5〜20%重量/重量のひまし油付加部分を含む、請求項11に記載の組織化組成物。
【請求項13】
該組織化用ポリマーが、少なくとも部分的に、キャッピング付加部分によりキャップされている、請求項1〜12の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項14】
該組織化用ポリマーが、脂肪族アルコール又は脂肪酸により末端キャップされている、請求項13に記載の組織化組成物。
【請求項15】
該組織化用ポリマーが、2〜100個のウレタン又は尿素結合を含む、請求項1〜14の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項16】
該組織化用ポリマーが、2〜50個の、付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを含む、請求項1〜15の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項17】
該組織化用ポリマーが、1000〜100,000Daの分子量を持つ、請求項1〜16の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項18】
該組織化用ポリマーが、モル等量で示される相対量で次の成分を含む、請求項1〜17の何れか1項に記載の組織化組成物:
1) DI=N
2) (N−1)≦(D+d)≦(N+1)
3) EC1=(DI−D−d+1)
4) d<D
式中、
N=2〜10モル等量
DI=ジイソシアネートのモル等量
D=付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーのモル等量
d=ポリマー改質用付加部分のモル等量
EC1=該ジイソシアネート付加部分とのみ反応する(又は反応される)キャッ
ピング付加部分のモル等量。
【請求項19】
該組織化用ポリマーが、モル等量で示される相対量で、次の成分を含む、請求項1〜17の何れか1項に記載の組織化組成物:
1) DI=N
2) (D+d)=N+1
3) 0≦EC2≦2
4) d<D
式中、
N=2〜10モル等量
DI=ジイソシアネートのモル等量
D=付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーのモル等量
d=ポリマー改質用付加部分のモル等量
EC2=該ダイマー/トリマー‐含有付加部分、及び存在する場合の該ポリマー改質用付加部分、とのみ反応する、又は反応される、キャッピング付加部分のモル等量
【請求項20】
ゲル、ワックス状固体又は粘ちょう性液体である、請求項1〜19の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項21】
空気清浄剤又はゲルローソクである、請求項20に記載の組織化組成物。
【請求項22】
ワックス、光沢剤、皮革保護組成物、溶剤、清浄剤、燃料、非水性洗剤、潤滑剤又は接着剤である、請求項20に記載の組織化組成物。
【請求項23】
懸濁固体粒子を含む、請求項1〜22の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項24】
抗酸化剤、精油、防腐剤、着色剤、染料、顔料、小さい装飾用物品、アイコン及び/又は防虫剤を含む、請求項1〜23の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項25】
一般に透明である、請求項1〜24の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項26】
入射光の少なくとも50%が透過可能な、請求項1〜25の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項27】
関係パーセントヘーズ値が50%未満である、請求項1〜26の何れか1項に記載の組織化組成物。
【請求項28】
香気組成物を含む有機相を組織化するための使用に適した組織化用ポリマーであって、該組織化用ポリマーは付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマー及び尿素及び/又はウレタン結合を含み、そして該組織化用ポリマーは40〜180℃の融点、及び/又は30〜160℃の軟化点を持ち、及び/又は該ウレタン及び尿素結合がモル比7:3又はより高い値にある、組織化用ポリマー。
【請求項29】
少なくとも95%純度のダイマージオール、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ブタンジオール、ひまし油を含み、イソステアリルアルコールで末端キャップされた、脂肪酸ダイマー/トリマー付加部分、から形成された、請求項28に記載の組織化用ポリマー。
【請求項30】
次の工程を含む、請求項28又は29に記載の組織化用ポリマーを形成する方法:
‐ 付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを用意し;そして
‐ 該付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを、尿素及び/又はウレタン結合を含むポリマーを形成するのに適した、1種又はより多種の分子と反応させる。
【請求項31】
該付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーがジイソシアネート分子と反応される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
該付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーとイソシアネートが触媒の存在下で重合して該ポリマーを形成する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
尿素及び/又はウレタン結合を含むポリマーが反応して枝分かれ又は架橋を形成する、請求項30〜32の何れか1項に記載の方法。
【請求項34】
該ポリマーをキャッピング付加部分でキャッピングする、請求項30〜33の何れか1項に記載の方法。
【請求項35】
キャッピング付加部分は重合の前に反応混合物に添加されるが、重合の間は不活性である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
イソシアネートとの反応、重合又は末端キャッピング反応が、50〜225℃の温度で行われる、請求項30〜35の何れか1項に記載の方法。
【請求項37】
香気組成物を含む有機相を含む組織化組成物を形成する方法であって、次の工程を含む方法:
‐ 付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを含みそして尿素及び/又はウレタン結合を含む組織化用ポリマーを用意し;
‐ 香気組成物を含む有機相を用意し;そして
‐ 該組織化用ポリマーを該有機相と適切な条件で一緒にして組織化組成物を形成する。
【請求項38】
該組織化用ポリマーが、該香気組成物を含む有機相と、室温〜140℃の温度で一緒にされる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
該組織化用ポリマーが、該有機相と、共溶剤の存在下で一緒にされる、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
香気組成物を含む有機相を含む組織化組成物の製造における、付加部分を含む脂肪酸ダイマー/トリマーを含みそして尿素及び/又はウレタン結合を含む組織化用ポリマーの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−528127(P2010−528127A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508730(P2010−508730)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003957
【国際公開番号】WO2008/141777
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(500154113)ユニケマ ベスローテン フェンノートシャップ (7)
【Fターム(参考)】