説明

組換え一価抗体

本発明は、興味ある抗体の重鎖可変ドメインとIgGイムノグロブリンのCH2及びCH3ドメインとを含む第1蛋白質の鎖と、興味ある前記イムノグロブリンの軽鎖可変ドメインと前記IgGイムノグロブリンのCH2及びCH3ドメインとを含む第2蛋白質の鎖とを含むヘテロ二量体である組換え一価抗体に関する。
これらの抗体は、特に治療剤として、細胞受容体のようなリガンドへの一価結合を要する全ての場合に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換え一価抗体、特にIgG抗体及びそれらの治療的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体(イムノグロブリン)分子は、ジスルフィド共有結合及び非共有的相互作用によって結合された2つの重鎖(H)及び2つの軽鎖(L)ポリペプチドで構成されるY型四量体蛋白質である。
【0003】
各々の軽鎖は、1つの可変ドメイン(VL)と1つの定常ドメイン(CL)とから構成される。各々の重鎖は、1つの可変ドメイン(VH)及び定常領域を有し、該定常領域は、IgG、IgA及びIgDの場合には、CH1、CH2及びCH3と呼ばれる3つのドメインを含む(IgM及びIgEは第4のドメインCH4を有する)。IgG、IgA及びIgDクラスにおいて、CH1及びCH2ドメインは、長さが可変(一般にIgGにおいて約10〜約60アミノ酸)のプロリン及びシステインリッチなセグメントであるフレキシブルヒンジ領域によって分離されている。
【0004】
可変ドメインは、抗体ごとにアミノ酸組成に相当な変化を示す。VH及びVL可変ドメインの各々は、極度の可変性を有する3つの領域を含み、該領域は相補性決定領域(CDR)と呼ばれ、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより可変性の低い領域によって分離されている。VH領域とVL領域との間の非共有的会合は、前記抗体の2つの抗原結合部位の1つを含むFvフラグメント(「fragment variable」の略)を形成する。遺伝子工学技術によって得ることができるScFvフラグメント(single chain fragment variableの略)は、一本鎖ポリペプチド中で、抗体のVH及びVL領域が、ペプチドリンカーにより分離されて会合している。
【0005】
その他の機能的イムノグロブリンフラグメントは、イムノグロブリン分子の蛋白質分解によるフラグメント化によって得ることができる。パパイン処理によって前記分子は3つのフラグメントに分断される:軽鎖のVL及びCLドメインが重鎖のVH及びCH1ドメインとそれぞれ会合している2つのヘテロ二量体Fabフラグメント並びに軽鎖のCH2及びCH3(そして遂にはCH4)ドメインを含む1つのホモ二量体Fcフラグメント(「fragment crystalline」の略)。ペプシン処理によって、2つのFabフラグメントが結合するF(ab)'2フラグメント及び幾つかの小さな分子が産生される。
【0006】
Fcフラグメントは抗原に結合しないが、特にFc受容体への結合及び補体結合を含む、抗体のエフェクター機能を担う。Fv、Fab及びF(ab)'2フラグメントは、抗体全体の抗原結合能力を保持する。しかしながら、F(ab)'2フラグメントは、イムノグロブリン分子全体と同様に二価であり(すなわち、F(ab)'2フラグメントは2つの抗原結合部位を含み、抗原に結合し沈降させることができる)、Fv及びFabフラグメントは一価である(Fv及びFabフラグメントは1つの抗原結合部位を含み、抗原に結合できるが、抗原を沈降させることはできない)。
【0007】
細胞表面受容体を指向する抗体は、様々な異常及び疾患の治療剤の開発について大きな関心をもたれている。それらは一般に、その特性のために、標的受容体の生物学的リガンドの構造を模倣するのに用いられる。幾つかの場合において、この構造的類似性はアゴニスト効果をもたらし、標的受容体の活性化に導き得る。その他の場合において、それはアンタゴニスト効果をもたらし、標的受容体のブロッキングに導き得る。
【0008】
しかしながら、一価フラグメントとして用いられるときにはアンタゴニストの特性を有する多くの抗体はまた、完全長抗体として用いられるときにはアゴニスト効果を示し得る。これらのアゴニスト効果は、完全長抗体の二価性に起因し、これは、細胞表面の標的受容体の架橋を誘導して、受容体の活性化を導く。この現象は、所望の治療的活性がアンタゴニスト効果に依拠するとき望ましくない。架橋によって活性化される受容体の例は、CD28、CD3 (DAMLEら、J. Immunol., 140, 1753-61, 1988; ROUTLEDGEら、 Eur J Immunol, 21, 2717-25, 1991)、TNF受容体等を含む。
【0009】
Fab又はscFvフラグメントのような一価形態のアンタゴニスト抗体は、アゴニスト活性を欠いている。したがって、それらは、架橋を誘導せずに細胞受容体をブロックする有用な治療剤である。しかしながら、それらの治療的使用には、インビボでの短い半減期が足枷となる。それらは数分以内に除去され、継続的な投与を必要とする。この問題を解決するために、これらの一価フラグメントを水溶性蛋白質(PCT WO02051871)又はポリエチレングリコール(BLICK及びCURRAN, BioDrugs, 21, 195-201; 考察02-3, 2007)のような大きな分子と融合させることが提案されてきた。
【0010】
一価抗体を産生するための別のアプローチは、1つのFabフラグメント(すなわち、軽鎖のVL及びCL領域と、重鎖のVH及びCH1領域とを含むヘテロ二量体)が1つのFcフラグメント(すなわち、重鎖のCH2領域とCH3領域とを含むホモ二量体)と結合している融合蛋白質を構築することである。ROUTLEDGEら(ROUTLEDGEら、Eur J Immunol, 21, 2717-25, 1991)は、ヒンジ、CH2及びCH3ドメインだけをコードする切断型(truncated)Ig重鎖遺伝子を抗体産生細胞に導入することによる一価抗体の構築について記載している。抗体産生細胞におけるこの遺伝子の発現は、(VH及びCH1ドメインを欠いている)N末端切断型重鎖をもたらし、これら同士で結合してFc分子を形成するか、又は抗体産生細胞によって産生される完全長重鎖と結合して完全長軽鎖、完全長重鎖及びN末端切断型重鎖を含む一価抗体分子を形成することができる。PCT WO 2007/048037は、イムノグロブリン重鎖と、イムノグロブリン軽鎖及びFc分子を含む融合蛋白質との結合に起因するヘテロ二量体である一価抗体について記載している。
【0011】
このアプローチの利点は、得られた抗体がIgG Fcドメインを含むことであり、幾つかの場合においてIgG分子のエフェクター機能の幾つかを保持することが望まれるときに有用であり、内皮細胞により発現される新生Fc受容体(FcRn)に分子を標的化させることも可能にする。この受容体は、血流内で抗体を含む幾つかのマクロ分子を盛んにトラップし、分子の血清内での半減期を延長させる。IgG分子へのこの受容体の結合は分子の輸送を容易にし、分解からの分子の保護を可能にする。
【0012】
イムノグロブリンのIgG Fcドメインはまた、抗体以外の分子、例えばサイトカイン、成長因子、可溶性成長因子と融合蛋白質を形成し、血流における分子の半減期を延長させ、また非侵襲経路、例えば肺投与により分子を送達するために利用されてきた(DUMONTら、BioDrugs, 20, 151-60, 2006)。
【0013】
一価抗体の場合において、現在までに記載されてきたIgG Fcドメインを含む融合蛋白質は、CL及び/又はCH1領域も含む。Fabフラグメントの一部であるこれらの領域は、IgG分子の正確な組立てに重要な役割を果たし、抗原/抗体相互作用にも影響を与えることができると一般に考えられている。
【0014】
上記に示されるように、二価抗体による会合の後に刺激されると知られており、幾つかの抗体の特定の一価フラグメントにより効率的にブロックできる細胞表面受容体の1つは、CD28受容体である。例として、Fabフラグメント又はα1‐抗トリプシンと融合された抗CD28モノクローナル抗体CD28.3のscFvフラグメントを含む融合蛋白質を用いて、CD28を効率的にブロックできることが示されている(VANHOVEら、Blood, 102, 564-70, 2003)。このアプローチは、インビトロ並びにマウス及び霊長類における臓器移植において効力を示した(POIRIERら、World Transplant Congress, Sydney, Australia. August 16-21, 2008)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明者らは、CD28.3の一価フラグメントの薬物動態学的特性をさらに改善しようとした。この目的に対して、本発明者らはまずCD28.3のVH及びVLドメインの各々を異種IgG分子のCH1-CH2-CH3ドメインに融合させることによって、先行技術に開示されるものと類似の組換え一価抗体を構築することを試みた。しかしながら、必要とされる抗体活性を有する蛋白質を得るためのこの試みは失敗に終わった。
【0016】
本発明者らは、次いでこれら融合蛋白質のCH1ドメインを除去することを試み、得られた一価抗体が分泌され活性であること及びインビトロでその対応するFabフラグメントのように振舞うことを見出した。さらに、マウスの静脈内注射後、この一価抗体は、Fabフラグメントよりも著しく長くIgG抗体と著しく異ならない排出半減期を示した。
【0017】
これらの結果は、モノクローナル抗体の可変ドメインを、IgG分子の全ての定常ドメインよりもむしろCH2-CH3ドメインのみと組み合わせることによって、Fcフラグメントの存在により延長されたインビボ半減期を有する機能的一価抗体を得ることが可能となることを示す。この形式は、リガンド、例えば細胞受容体への一価結合が必要である全ての場合において治療用抗体を生じさせるのに用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって、本発明の目的は、興味ある抗原を指向する親抗体に由来し、
そのN末端からそのC末端に
イムノグロブリンのVHドメインの構造を有し、前記親抗体の重鎖のCDRを含む領域A及び
ペプチドリンカーとIgGイムノグロブリンのCH2及びCH3ドメインとからなる領域B
から本質的になる第1蛋白質の鎖並びに
そのN末端からそのC末端に
イムノグロブリンのVLドメインの構造を有し、前記親抗体の軽鎖のCDRを含む領域A'及び
第1ポリペプチドの領域Bと同一の領域B
から本質的になる第2蛋白質の鎖とのヘテロ二量体である組換え一価抗体である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
親抗体は、興味ある抗原を指向する任意の抗体であり得る。それは天然型モノクローナル抗体であり得る。それはまた、キメラ抗体、ヒト化抗体のような組換え若しくは合成抗体又はファージディスプレイ若しくはリボソームディスプレイ技術から生じた抗体であり得る。
【0020】
イムノグロブリンのVH又はVLドメインの構造を有する領域は、上記に示されるように、抗原認識特異性に関与する3つの超可変領域又は相補性決定領域(CDR)により連結された4つのフレームワーク領域(FR)を含む。本発明の組換え一価抗体において、領域A及びA'は親抗体の天然型VH又はVLドメインからなり得る。しかしながら、それらは、親抗体のCDRを別の抗体、特にヒト由来の抗体のフレームワーク領域(FR)に、それ自体は公知のCDRグラフティング技術を用いて組み込むことによって得ることができる。
【0021】
領域Bのペプチドリンカーは、0〜16アミノ酸を含み得る。それは好ましくは5〜7アミノ酸を含む。適切なペプチドリンカーの例は、例えばFREUNDら(FEBS Lett. 320, 97-100, 1993)又はSHANら(J Immunol. 162, 6589-95, 1999)により開示されるもののようなscFvフラグメントの構築に用いられるものである。
【0022】
前記ペプチドリンカーはシステイン残基を欠いていてもよいし、1若しくはそれより多いシステイン残基を含んでいてもよい。システイン残基を欠いているペプチドリンカーは、一価抗体が大腸菌(E. coli)ペリプラズムにおいて産生されるならば好ましい。システイン残基を欠いているペプチドリンカーの例は、配列TVAAPS(配列番号5)を有するペプチドである。
【0023】
或いは、システイン残基を含むペプチドリンカーは、ヘテロ二量体の安定化を助長する鎖間ジスルフィド結合の形成を可能にする。システイン残基を含むペプチドリンカーとして、例えば天然に発生するIgGのヒンジ領域を用いることができる。好ましいヒンジ領域は、高い安定性を提供する配列ERKCCVECPPCP(配列番号12)を有するIgG2イムノグロブリンのヒンジ領域である。
【0024】
CH2及びCH3ドメインは、好ましくはIgGアイソタイプのヒト由来のイムノグロブリンのものである。 前記IgGは、IgGサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)のいずれにも属し得る。好ましくは、それはIgG1サブクラス又はIgG4サブクラスに属する。
【0025】
上記に挙げられた必須構成要素のほかに、第1及び/又は第2蛋白質の鎖は、組換え一価抗体の生物学的特性に関与しないが、その検出又は精製を容易にし得る1又はそれより多いポリペプチド配列を任意にさらに含み得る。例えば前記ポリペプチド配列は、ストレプトアビジン結合ペプチド、ヘキサヒスチジン(His6)タグ又はFLAGタグのようなタグポリペプチドであり得る。
第1及び/又は第2蛋白質の鎖はグリコシル化されていてもよいし、グリコシル化されていなくてもよい。
【0026】
本発明の具体的な実施態様によれば、親抗体は、ハイブリドーマCNCM I-2582により産生されたモノクローナル抗体CD28.3である。ハイブリドーマCNCM I-2582はPCT WO02051871に開示され、2000年11月28日のブダペスト条約の約定に従って、CNCM(Collection Nationale de Cultures de Microorganismes, 25 rue du Docteur Roux, 75724 PARIS CEDEX 15)に寄託されている。
【0027】
下記の実施例に詳説される本発明の組換え一価抗体の具体例は、第1蛋白質の鎖のポリペプチド配列が配列番号2であり、第2蛋白質の鎖のポリペプチド配列が配列番号4である抗体である。本発明の組換え一価抗体の別の例は、第1蛋白質の鎖のポリペプチド配列が配列番号13であり、第2蛋白質の鎖のポリペプチド配列が配列番号14である抗体である。
【0028】
本発明の別の目的は、本発明の組換え一価抗体の第1蛋白質の鎖をコードする配列及び/又は第2蛋白質の鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドである。前記ポリヌクレオチドは更なる配列も含み得る。例えば、それらは有利には、前記蛋白質の鎖の分泌を可能にするリーダー配列又はシグナルペプチドをコードする配列を含み得る。それらはまた、1又はそれより多いタグポリペプチドをコードする1又はそれより多い配列を任意に含み得る。
【0029】
本発明はまた、選択された宿主細胞において活性である転写及び翻訳制御因子と結合した本発明のポリヌクレオチドを含む組換えベクター、特に発現ベクターを包含する。本発明による発現ベクターを構築するのに用いることができるベクターはそれ自体公知であり、特に使用を意図される宿主細胞に応じて選択される。
【0030】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドで形質転換された宿主細胞を包含する。好ましくは、前記宿主細胞は、本発明の組換え一価抗体の第1蛋白質の鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドと、本発明の組換え一価抗体の第2蛋白質の鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドとで形質転換されており、前記組換え抗体を発現する。前記ポリヌクレオチドは、同一の発現ベクター又は2つの別々の発現ベクターに挿入され得る。
【0031】
本発明の関係において用いることができる宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり得る。用いることができる真核細胞のうち、特に植物細胞、サッカロミセス属(Saccharomyces)のような酵母からの細胞、ショウジョウバエ属(Drosophila)又はスポドプテラ属(Spodoptera)細胞のような昆虫細胞及びHeLa、CHO、3T3、C127、BHK、COS等の細胞のような哺乳動物細胞が挙げられる。
本発明の発現ベクターの構築及び宿主細胞の形質転換は、分子生物学の慣用の技術によって行われ得る。
【0032】
本発明の更なる別の目的は、本発明の組換え一価抗体を製造する方法である。前記方法は、本発明の組換え一価抗体の第1蛋白質の鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドと、本発明の組換え一価抗体の第2蛋白質の鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドとで形質転換された宿主細胞を培養すること及び培養物から前記組換え一価抗体を回収することを含む。
【0033】
蛋白質が宿主細胞により分泌されるならば、それは培養培地から直接回収できる。そうでないならば、細胞溶解が事前に行われる。前記蛋白質は次いで、それ自体当業者に公知の慣用の手順、例えば分別沈殿、特に硫酸アンモニウムでの沈降、電気泳動、ゲル濾過、アフィニティクロマトグラフィ等によって培養培地又は細胞溶解物から精製できる。
【0034】
本発明の主題はまた、本発明による少なくとも1つの細胞を培養すること及び培養物から蛋白質を回収することを含んでなることを特徴とする、本発明による蛋白質を産生する方法である。
本発明の組換え一価抗体は、医薬製品を得るのに用いることができる。これらの医薬製品はまた、本発明の目的の一部である。
【0035】
例えば、親抗体CD28.3に由来する本発明の組換え一価抗体は、CD28受容体に関連するT細胞活性化現象を選択的にブロックする免疫抑止用医薬製品を得るのに用いることができる。CD28の選択的ブロッキングにより作用するこのような免疫抑止用医薬製品は、特に移植拒絶反応、移植片対宿主病、Tリンパ球媒介自己免疫疾患、例えばI型糖尿病、慢性関節リウマチ又は多発性硬化症及びアレルギー現象に関与するIV型過敏症を含む全てのTリンパ球依存性の病的状態並びに特に病原性物質への感染の後の慢性炎症性疾患(特にハンセン病、結核、リーシュマニア症、リステリア症等)の病原及び病状にも適用される。
【0036】
本発明は、本発明による組換え一価抗体(以下Mono28Fcと称する)の製造及び特性の非限定的な例について言及する、以下に続く更なる記載からより明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1A:Mono28Fc、VH-CH2CH3鎖のヌクレオチド及びアミノ酸配列。 下線:VHドメイン。太字:リンカー。二重下線:IgG1 CH2-CH3ドメイン。図1B:Mono28Fc、VL-CH2CH3鎖のヌクレオチド及びアミノ酸配列。 下線:VLドメイン。太字:リンカー。二重下線:IgG1 CH2-CH3ドメイン。図1C:真核宿主細胞への形質導入後のMono28Fcの発現を可能にする分子構造。 pCMV:サイトメガロウイルスのプロモータ。Igkリーダー:マウスイムノグロブリンκ軽鎖からのシグナル配列。VH:CD28.3 抗体の重鎖可変ドメイン。VL:CD28.3 抗体の軽鎖可変ドメイン。CH2及びCH3はIgG1ヒトイムノグロブリンの対応するドメインを表す。図1D:真核細胞におけるMono28Fcの合成のための発現プラスミド。 A:VH(Hc)-CH2-CH3蛋白質の合成のためのプラスミド。B:VL(Lc)-CH2-CH3蛋白質の合成のためのプラスミド。pCMV:サイトメガロウイルスのプロモータ。Igkリーダー:マウスイムノグロブリンκ軽鎖からのシグナル配列。Hc:CD28.3抗体の重鎖のVL可変ドメイン。Lc:CD28.3抗体の軽鎖のVL可変ドメイン。CH2及びCH3はIgG1ヒトイムノグロブリンの対応するドメインを表す。BGH pA:ウシ成長ホルモンからの、mRNA分子の3'ポリアデニル化開始シグナル。Zeocin、ampicillin:対応する抗生物質の耐性遺伝子。
【図2】pSecVHFc及び pSecVLFc発現のウェスタンブロット解析。 A:示されたプラスミドで形質導入されたCos細胞からの上清を採集し、10 mMのDTTとの100℃における10分間のインキュベーションにより分析前に還元した。 B:還元せず。分子量を左側に示す。
【図3】活性ELISA。組換えCD28をマイクロタイタープレートに固定した。 A:コントロール、形質導入又は同時形質導入Cos細胞からの上清を示された希釈度にて添加し、洗浄し、ウサギ抗VH/VL抗体と抗ウサギイムノグロブリン‐HRPとを用いて検出した。GFP:ネガティブコントロール;無関係のGFPプラスミドを用いて形質導入。Sc28AT:ポジティブコントロール;CD28に対する一本鎖Fvをコードするプラスミドを用いて形質導入。VLFc:pSec-VLFcプラスミドを用いて形質導入。VHFc:pSec-VHFcプラスミドを用いて形質導入。VH-(CH2-CH3) + VL-CH2-CH3:pSec-VLFc及びpSec-VHFcプラスミドを用いて同時形質導入。 B:示された濃度における精製したMono28Fc分子の組換えCD28についての結合ELISA。検出はAのとおりである。点は3回の平均を示す。
【図4】フローサイトメトリー。 CD28+ Jurkat T細胞及びCD28- Raji B細胞を10 mg/mlの精製Mono28Fc又はCD28.3 Fabフラグメントと共に30分間4°Cにてインキュベートし、洗浄し、ウサギ抗VH/VH抗体とFITC標識化ヤギ抗ウサギイムノグロブリンとを用いて検出した(黒のグラフ)。コントロールとして、細胞を、ウサギ抗VH/VH抗体及びFITC標識化ヤギ抗ウサギイムノグロブリンのみと共にインキュベートした(灰色のグラフ)。細胞を次いで洗浄し、固定し、Facsで解析した。
【図5】活性化アッセイ。 ヒトPBMC (105/ウェル) を培地又は10 mg/mlのMono28Fc、sc28AT一価抗体若しくはANC28.1スーパーアゴニスト抗体を加えた培地中で3日間培養した。0.5mCi 3H-チミジンを培養の最後の16時間加えた。ニトロセルロースメンブレンに移動させた後、組み込まれた放射活性をシンチレーションカウンターで評価した。
【図6】マウスにおける薬物動態。 A:示された蛋白質をスイスマウスに静脈内注射し、示された時点後に血液サンプルを採集した。CD28結合活性をELISAによって測定した。各点でN=4であり、点は4回の測定の平均を示す。 B:排出半減期 (T1/2b) をA中の曲線から算出した。
【図7】VH、VLをCH1-CH2-CH3と組み合わせた分子構造は非機能的である。 A: Cos細胞の形質導入後のVH及びVLのmRNA鎖の発現のRT-PCR解析。 B:pSecVH-CH1-CH2-CH3及びpSecVL-CH1-CH2-CH3プラスミドを用いて形質導入したCos細胞の上清(右パネル)及び溶解物(左パネル)のウェスタンブロット解析。検出は図2のようにして行った。 C:pSec-VH-CH1-CH2-CH3及びpSec-VL-CH1-CH2-CH3を用いて形質導入したCos細胞の免疫蛍光解析;抗PEを加えたウサギ抗VH/VL抗体を用いて検出。倍率20x。D:pSecVH-CH1-CH2-CH3とpSecVL-CH1-CH2-CH3とを用いて同時形質導入されたCos細胞の上清の活性ELISA。検出は図3のようにして行った。
【図8】IgG2ヒンジ及びIgG4 CH2CH3ドメインを有するMono28Fcのアミノ酸配列。A:VH-CH2CH3鎖。下線:VHドメイン。太字:リンカー。二重下線:IgG4 CH2-CH3ドメイン。B:VL-CH2CH3鎖。下線:VLドメイン。太字:リンカー。二重下線:IgG4 CH2-CH3ドメイン。
【実施例】
【0038】
実施例1:一価抗体Mono28Fcの構築
ヒトIgG1遺伝子(NCBIアクセッションBC018747)のCH2-CH3ドメインを、NheI/XbaI部位を導入する以下のプライマーを用いて増幅した。
CH2CH3-5':
5'-ATATGCTAGCCCAGCACCTGAACTCCTG-3' (配列番号6);
CH2CH3-3':
5'-ATATTCTAGATTATTTACCCGGAGA-3' (配列番号7)。
得られたフラグメントをpSC-Aベクター(Stratagene, Amsterdam, The Netherlands)に導入し、pSC-A-CH2-CH3ベクターを得た。
【0039】
CD28.3抗体抗ヒトCD28 に対応するVH及びVLドメインを、以前に記載されたCNCM I-2762 scFv cDNA (VANHOVEら、Blood, 102, 564-70, 2003) から増幅し、NheI クローニング部位 を以下のプライマーを用いてPCRにより導入した。
VH:
Hc28.3-5':
5'-ATATGCTAGCGGATCCGATATCGTCAAGCTGCAGCAGTCA-3'(配列番号8);
Hc28.3-3':
5'ATATGCTAGCAGATGGTGCAGCCACAGTTGAGGAGACGGTGACCAT3'(配列番号9);
VL:
Lc28.3-5':
5'-ATATGCTAGCGGATCCGATATCGACATCCAGATGACCCAG-3'(配列番号10);
Lc28.3-3':
5'-ATATGCTAGCAGATGGTGCAGCCACAGTCCGTTTTATTTCCAGCTTGG-3'(配列番号11) 。
【0040】
VH及びVLフラグメントをpSC-A-CH2-CH3ベクターのNheI部位にCH2-CH3ドメインの5'側に個々にクローニングし、VH- pSC-A-CH2-CH3及びVL- pSC-A-CH2-CH3プラスミドを得た。得られたVH-CH2CH3及びVL-CH2CH3構築物のヌクレオチド及びアミノ酸配列を図1A及び1Bにそれぞれ示す。それらは配列番号1及び3としても示される。
【0041】
各構築物を次いでpSecTag2B真核細胞発現pCMVベースプラスミド(Invitrogen, Cergy Pontoise, France)のEcoRV制限部位にサブクローニングし、pSecTag2ベクターにより提供されるマウスIgκ鎖のV-J2-C領域からの分泌シグナルとのN末端における融合を可能にした。構築物をシーケンシングにより校正した。得られた発現カセット並びにこれらの構築物を含むプラスミドpSec-VH-Fc(CH2-CH3)及びpSec-VL-Fc(CH2-CH3) をそれぞれ図1C及び1Dに図式化する。
【0042】
実施例2:Mono28Fcの真核細胞発現
Cos細胞を、製造業者の取扱説明書に従って、Fugeneリポフェクションキット (Roche Diagnostics, Basel, Switzerland) を用いて、pSec-VH-Fc(CH2-CH3) (VH-Fc)若しくはpSec-VL-Fc(CH2-CH3) (VL-Fc)を用いて別々に形質導入するか、又はpSec-VH-Fc(CH2-CH3)とpSec-VL-Fc(CH2-CH3)とを用いて同時形質導入するか、或いはコントロールとして、無関係の緑色蛍光蛋白質(GFP)をコードするプラスミドで形質導入した。 培養物を3日間 37°Cにて維持し、1/3に分割し、さらに3日間の培養に戻し、その後細胞上清を採集し、10%ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動し、ニトロセルロースメンブレンにブロットした。
【0043】
ブロットをウサギ抗CD28.3VH/VL(1:5000希釈度)とHRP結合ロバ抗ウサギIg抗体(Jackson Immuno-Research Laboratories)とを用いて検出し、化学発光により発色させた(Amersham Pharmacia Biotech)。
結果を図2に示す。予想された分子量(還元条件下においてVL-CH2-CH3について42 KDa及びVH-CH2-CH3について44KDa)の免疫反応性蛋白質を細胞上清中で観察できた。非還元条件での併行解析により、ホモ二量体とヘテロ二量体の両方の構成と一致する見かけの分子量を示した。
【0044】
実施例3:ELISAによるMono28Fc結合活性の検出
ホウ酸緩衝液(pH 9.0)中の1μg/mLの組換えヒトCD28(R&D Systems, Abingdon, United Kingdom)を用いて、96ウェルマイクロタイタープレート(Immulon, Chantilly, VA)を一晩4℃にてコートした。これらの固定化されたCD28標的分子は、抗CD28活性を有する免疫反応性分子にのみ結合する。
【0045】
反応部位をPBS中の5%スキムミルクで2時間37°Cにてブロックし、 GFPをコードするプラスミドを用いて形質導入されたコントロール細胞、プラスミドpSec-VH-Fc(CH2-CH3)又はpSec-VL-Fc(CH2-CH3)の一方のみを用いて形質導入された細胞及びpSec-VH-Fc(CH2-CH3)とpSec-VL-Fc(CH2-CH3)とを用いて同時形質導入された細胞からの上清を種々の希釈度にて加え、2時間37°Cにて反応させた。抗28活性を有する結合したFc 融合蛋白質を、ウサギ抗CD28.3VH/VL (1:2000希釈度;Agrobio、Orleans, Franceにて受注調製) とセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ロバ抗ウサギIg抗体(1:500希釈度;Jackson ImmunoResearch Laboratories, Bar Harbor, ME)とを用いた連続インキュベーション(1時間、37°C)により検出した。結合した抗体を、450 nmにて読み取る、TMB基質(Sigma, L'Isle d'Abeau Chesnes, France)を用いた比色法により検出した。
【0046】
結果を図3Aに示す。
(GFPをコードするプラスミドを用いて形質導入された)コントロール細胞又はプラスミドpSec-VH-Fc(CH2-CH3)若しくはpSec-VL-Fc(CH2-CH3)の一方のみを用いて形質導入された細胞からの上清は、検出可能なレベルの免疫反応性分子を全く含まなかった。これは、VH-Fc又はVL-Fcホモ二量体がCD28に結合できないことを示す。対照的に、pSec-VH-Fc(CH2-CH3)とpSec-VL-Fc(CH2-CH3)とを用いて同時形質導入された細胞からの上清は、希釈度依存的なレベルの免疫反応性分子を含んでいた。
【0047】
pSec-VH-Fc(CH2-CH3)とpSec-VL-Fc(CH2-CH3) とを用いて同時形質導入されたCOS細胞の培養物上清からMono28Fcを精製し、3日間 37°Cにて維持した。
上清をG蛋白質セファロースカラム(Amersham)に1 ml/分の速度で通過させた。カラムをPBSでリンスし、グリシン緩衝液(pH 2.8)で蛋白質を溶離させ、ポリエチレングリコール(Fluka, Riedel-de Haen, Germany)を用いた浸透的水回収により濃縮し、PBSに対して4℃にて十分に透析した。
【0048】
精製後、Mono28Fc分子を上記のELISAにより試験した。結果を図3Bに示す。
これらの結果は、CD28への結合活性の50%に、1.16 nMである100 ng/mlの濃度で達し得ることを示す。
【0049】
実施例4:フローサイトメトリーによるMono28Fc結合活性の検出
Mono28Fcの結合は、フローサイトメトリーによって、CD28を発現するCD28+ JurkatヒトT細胞又はCD28を発現しないヒトB細胞株であるRaji細胞を用いて確認した。
Jurkat T細胞又はRaji細胞を、精製されたMono28Fc蛋白質と1時間4°Cにて、又は10 mg/mlの CD28.3(VANHOVEら、Blood, 102, 564-70, 2003)のFabフラグメントと30分間インキュベートした。コントロールとして、細胞を、ウサギ抗VH/VH抗体及びFITC標識化ヤギ抗ウサギイムノグロブリンのみと共にインキュベートした。結合したFc融合単量体を、ウサギ抗CD28.3VH/VLとフルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合ロバ抗ウサギIg抗体(希釈度1:200; Jackson ImmunoResearch Laboratories)とを用いて30分間4°Cにて検出した。細胞を次いで蛍光活性化セルソーティング(FACS)により解析した。
【0050】
結果を図4に示す。mono28Fc及びCD28.3 のFabフラグメントは共にJurkat T 細胞に結合する。対照的に、CD28を発現しないヒトB細胞株であるRaji細胞について、mono28Fc蛋白質の結合は観察できなかった。これらの結果は、mono28FcがCD28+ 細胞に特異的に結合することを示す。
【0051】
実施例5:Mono28FcはヒトT細胞へのアゴニスト活性を有しない。
mono28FcがCD28に結合し、標的T細胞の活性化を誘導しないことを確かめるために、本発明者らは、Mono28Fcの生物学的効果を、スーパーアゴニスト抗体ANC28.1(WAIBLERら、PLoS ONE, 3, e1708, 2008)又はFcドメインを有しない一価抗CD28リガンド であるsc28AT (VANHOVE ら、Blood, 102, 564-70, 2003)のものと比較した。
【0052】
ヒトPBMC (105/ウェル)を、添加物を含まない培養培地(コントロール)又は10 mg/mlのmono28Fc、sc28AT若しくはANC28.1を含む培養培地中で3日間培養した。0.5mCi 3H-チミジンを培養の最後の16時間加えた。ニトロセルロースメンブレンに移動させた後、組み込まれた放射活性をシンチレーションカウンターで評価した。結果を図5に示す。
予想通り、ANC28.1は標的細胞の活発な増殖を誘導した。対照的に、Mono28Fc及びsc28ATは、このアッセイにおいて応答を全く誘導しなかった。
【0053】
実施例6:マウスにおけるMono28Fcの薬物動態
Fcフラグメントと融合された組換え蛋白質及びイムノグロブリンは、内皮及び上皮細胞に存在するFcRn受容体によって認識され、それら分子を血中に戻すリサイクルが可能になるので、インビボで延長された半減期を通常呈する。本発明者らのMono28FC分子も延長された半減期を呈するかどうか決定するために、本発明者らは、マウスにおけるMono28Fcの分布を、一価Fab 28.3抗体フラグメント及び天然型IgG CD28.3抗体と比較して追跡した。
【0054】
試験された各蛋白質(注射毎に288μg) は、雄性スイスマウスの尾静脈内に注射された。血液サンプル (2mL) を種々の時点にて尾静脈から採集した。ELISAによって血液サンプル中のCD28結合活性を測定することにより、蛋白質を定量化した。データをSipharソフトウェア(Simed, Utrecht, The Netherlands) により2‐コンパートメントモデルを用いて解析した。ノンパラメトリックANOVA検定を用いて有意性を評価し、その後Bonferroniの多重比較検定を行った。
【0055】
結果を図6に示す。
分布半減期 (T1/2a)は、 IgG、Fab及びMono28Fcについて、それぞれ2.5 ± 1.1、5.1 ± 0.3及び5.4 ± 1.2 時間であった。排出半減期(T1/2b)は、IgG、Fab及びMono28Fcについて、それぞれ119 ± 19、39 ± 6及び83 ± 26時間であった(図6)。データは、Fabフラグメントと比較してMono28Fcの排出半減期の有意な増加を明らかにしたが、Mono28Fcを二価IgG と比較したとき、統計的な差異は全く指し示されなかった。
【0056】
実施例7:Mono28FcとCH1-CH2-CH3 Ig重鎖ドメインとを含む構造との比較
ヒトIgG1 CH1-CH2-CH3 cDNAは、Dr. S. Birkle (Univ. Nantes, France)によって寄贈された。それをpcDNA3.1のHindIII/BamHI 制限部位に挿入し、pcDNA3.1- CH1-CH2-CH3 プラスミドを得た。CD28.3抗体抗ヒトCD28 (NUNESら、Int Immunol, 5, 311-5, 1993) に対応するVH及びVLドメインを上記実施例1に記載されるようにして増幅し、NheI酵素で消化し、pcDNA3.1- CH1-CH2-CH3プラスミドのNheI部位に別々に挿入した。VH- CH1-CH2-CH3及びVL- CH1-CH2-CH3カセットを次いでEcoRV/XbaI消化により切り出し、EcoRVで消化されたpSecTag2B ベクター (Invitrogen)に実施例1に記載されるようにして挿入した。
【0057】
Cos細胞に形質導入後、2つの鎖に対応するメッセンジャーRNA分子が均等に合成された(図7A)。ウェスタンブロッティングによる蛋白質の解析により、幾つかの対応する分子の合成が明らかとなったが、軽鎖(VL-CH1-CH2-CH3)については細胞内(図7B、左パネル)で、上清中(図7B、右パネル)よりも明白により豊富であった。免疫組織学技術によって、形質導入されたCos細胞による重鎖及び軽鎖の両方の合成が確認できた(図7C)。ELISAによって、上清中(データは示さず)又は形質導入細胞溶解物 (図7D)のいずれにおいてもCD28結合活性を検出できなかった。
【図1A−1】

【図1A−2】

【図1B−1】

【図1B−2】

【図8A】

【図8B】

【図1C】

【図1D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
興味ある抗原を指向する親抗体に由来し、
そのN末端からそのC末端に
イムノグロブリンの重鎖可変ドメインの構造を有し、前記親抗体の重鎖のCDRを含む領域A及び
ペプチドリンカーとIgGイムノグロブリンのCH2及びCH3ドメインとからなる領域B
から本質的になる第1蛋白質の鎖並びに
そのN末端からそのC末端に
イムノグロブリンの軽鎖可変ドメインの構造を有し、前記親抗体の軽鎖のCDRを含む領域A'及び
第1ポリペプチドの領域Bと同一の領域B
から本質的になる第2蛋白質の鎖とのヘテロ二量体である組換え抗体。
【請求項2】
前記ペプチドリンカーが0〜16アミノ酸のペプチド配列である請求項1に記載の組換え一価抗体。
【請求項3】
前記CH2及びCH3ドメインがIgG1サブクラス又はIgG4サブクラスのイムノグロブリンのものである請求項1又は2に記載の組換え抗体。
【請求項4】
前記領域Aが親抗体の重鎖可変ドメインからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の組換え一価抗体。
【請求項5】
前記領域A'が親抗体の軽鎖可変ドメインからなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の組換え一価抗体。
【請求項6】
前記親抗体がハイブリドーマCNCM I-2582によって産生されるモノクローナルイムノグロブリンCD28.3である請求項1〜5のいずれか1項に記載の組換え一価抗体。
【請求項7】
前記第1蛋白質の鎖のポリペプチド配列が配列番号2であり、前記第2蛋白質の鎖のポリペプチド配列が配列番号4である請求項6に記載の組換え一価抗体。
【請求項8】
a)請求項1〜7のいずれか1項に記載の組換え一価抗体の第1蛋白質の鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチド、
b) 請求項1〜7のいずれか1項に記載の組換え一価抗体の第2蛋白質の鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチド
のなかから選択されるポリヌクレオチド。
【請求項9】
請求項8のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項10】
請求項10に記載のポリヌクレオチドa)及びポリヌクレオチドb)で形質転換され、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組換え一価抗体を発現する細胞。
【請求項11】
請求項10に記載の形質転換細胞を培養すること及び培養物から組換え一価抗体を回収することを含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の組換え一価抗体の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の組換え一価抗体を含む医薬製品。
【請求項13】
移植拒絶反応、移植片対宿主病、Tリンパ球媒介自己免疫疾患、アレルギー現象及び慢性炎症性疾患からなる群より選択される病的状態を治療するための請求項6又は7に記載の組換え一価抗体。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−514997(P2012−514997A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545812(P2011−545812)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000196
【国際公開番号】WO2010/082136
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(511170892)
【氏名又は名称原語表記】EFFIMUNE
【住所又は居所原語表記】Faculte de Medecine, 1 rue Gaston Veil, F−44035 Nantes Cedex, FRANCE
【出願人】(500488225)アンスティテュ ナシオナル ド ラ サント エ ド ラ ルシュルシェ メディカル(アンセルム) (26)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DE LA SANTE ET DE LA RECHERCHE MEDICALE(INSERM)
【住所又は居所原語表記】101,rue de Tolbiac,F−75654 Paris Cedex 13 France
【Fターム(参考)】