説明

組立優先度付けシステム

【課題】複数のオーダの納期が同じ場合にも、サブユニットラインでのサブユニットの組立優先を指示する組立優先度付けシステムを得る。
【解決手段】コンピュータ3の仕掛数計算プログラム35により、サブユニットの組立実績とメインラインの組立着手情報とに基づいて、サブユニットライン及びメインライン間の仕掛数を計算し、コンピュータ5のオーダ別品揃え率計算プログラム508で、仕掛数に基づいて、各オーダの品揃え率を計算し、次いで、サブユニットライン組立優先度付けプログラム510により、品揃え率の高いオーダの未組立のサブユニットを優先的に組み立てるように優先度を付け、品揃え率が同じであれば、オーダごとの売上金額により優先度を付け、このオーダごとの売上金額も同じであれば、オーダごとの仕掛占有面積により優先度を付けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、最終製品の組立を行うメインラインへサブユニットを供給するサブユニットラインでのサブユニットの組立優先度を付ける組立優先度付けシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、最終製品の生産を行うメインラインに、組立完了したサブユニットを供給するサブユニット組立供給ラインを有する生産管理システムでは、特許文献1にように、サブユニットごとに工程間に滞留する量を設定し、この工程間の仕掛量とメインラインの組立完了を示すデータからサブユニット組立ラインへ部品を投入する作業指示を出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−50370号公報(第3〜5頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の仕組みでは、サブユニット組立ラインでの生産着手順位を決定するものが、出荷日のみであるため、出荷日が同日の場合には、何から着手してよいか判らず、作業者の判断で決定されるという問題があった。
また、多品種のユニットを扱う職場では、オーダごとの売上金額が異なるが、生産指示には、売上金額を考慮していないため、売上金額が高いオーダでも優先的に生産されずに出荷できない場合があった。
さらに、規模の変動やプロダクトミックスの変化に伴い、必要となる仕掛保管スペースが変動するが、従来の生産指示には保管スペースを考慮していないため、限られた仕掛保管スペースを圧迫してしまうという問題もあった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、複数のオーダの納期が同じ場合にも、サブユニットラインでのサブユニットの組立優先を指示する組立優先度付けシステムを得ることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる組立優先度付けシステムにおいては、最終製品の組立をオーダごとに行うメインラインに、組立の完了したサブユニットを供給するサブユニットラインでのサブユニットの組立優先度を付ける組立優先度付けシステムであって、サブユニットの組立実績とメインラインの組立着手情報とに基づいて、サブユニットライン及びメインライン間の仕掛数を計算する仕掛数計算手段、この仕掛数計算手段によって計算された仕掛数を用いて、メインラインに投入されるオーダごとの品揃え率を計算する品揃え率計算手段、及びこの品揃え率計算手段により計算された品揃え率の高いオーダの未組立のサブユニットを優先的に組み立てるように優先度を付けるサブユニットライン組立優先度付け手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以上説明したように、最終製品の組立をオーダごとに行うメインラインに、組立の完了したサブユニットを供給するサブユニットラインでのサブユニットの組立優先度を付ける組立優先度付けシステムであって、サブユニットの組立実績とメインラインの組立着手情報とに基づいて、サブユニットライン及びメインライン間の仕掛数を計算する仕掛数計算手段、この仕掛数計算手段によって計算された仕掛数を用いて、メインラインに投入されるオーダごとの品揃え率を計算する品揃え率計算手段、及びこの品揃え率計算手段により計算された品揃え率の高いオーダの未組立のサブユニットを優先的に組み立てるように優先度を付けるサブユニットライン組立優先度付け手段を備えたので、複数のオーダの納期が同じ場合にも、サブユニットラインへの優先投入を指示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による組立優先度付けシステムを示すハードウェア構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による組立優先度付けシステムを説明するためのイメージ図である。
【図3】この発明の実施の形態1による組立優先度付けシステムのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1による組立優先度付けシステムのサブユニットライン組立優先度付けプログラムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による組立優先度付けシステムを示すハードウェア構成図である。
図1において、組立優先度付けシステムは、それぞれ記憶装置を有するコンピュータ3とコンピュータ5、及びコンピュータ5に接続されたプリンタ6により構成される。
コンピュータ3は、サブユニットライン1での組立完了を示すデータとメインライン4での組立着手を示すデータから、メインライン前のサブユニットの仕掛数を計算する。
コンピュータ5は、コンピュータ3により計算された仕掛数2に基づいて、オーダごとに優先度をつけ、未完了のサブユニットを優先的に組立てるように、サブユニットラインへ作業指示を出す。この作業指示は、プリンタ6により出力される。この優先度にしたがって、未完了のサブユニットの組立が完了し、品揃えが完了したオーダがメインライン4に投入される。
【0010】
図2は、この発明の実施の形態1による組立優先度付けシステムを説明するためのイメージ図である。
図2において、仕掛数2は、複数のサブユニットライン1の組立完了の全サブユニットの合計の数である。この仕掛数2に含まれる組立完了のサブユニットが揃ったオーダが、メインライン4に供給される。
このため、コンピュータ5では、仕掛数から、各オーダについて未完了のサブユニットを抽出し、この未完了のサブユニットに対してサブユニットラインで優先的に組み立てるように優先度を付け、サブユニットライン1では、その優先度にしたがって、サブユニットの組立を行うようにする。コンピュータ5による優先度は、後述するように、品揃え率や、売上金額により付けられる。
図2では、仕掛数2は、コンピュータ5の処理によってオーダごとに分けられたサブユニットを示し、点線部分が未完了のサブユニットである。
【0011】
図3は、この発明の実施の形態1による組立優先度付けシステムのソフトウェア構成を示すブロック図である。
図3において、組立優先度付けシステムは、工程(ライン)間の仕掛数を計算するコンピュータ3と、オーダごとの品揃え率、売上金額、仕掛占有面積を計算し、これらを基にして、サブユニットラインでの生産計画に優先度を付けた作業指示リストを作成するコンピュータ5と、作業指示リストを印刷するプリンタ6とにより構成されている。
コンピュータ3は、サブユニットライン1の組立着手実績31と組立完了実績32、メインラインの組立着手実績33と組立完了実績34を管理する。
コンピュータ3の仕掛数計算プログラム35(仕掛数計算手段)は、サブユニットライン1の組立完了実績32とメインラインの組立着手実績33から、工程間の仕掛数36を計算する。すなわち、各サブユニットラインでのサブユニットの組立完了数の合計を計算する。
仕掛数伝送プログラム37は、コンピュータ3の仕掛数計算プログラム35によって計算された仕掛数36をコンピュータ5へ伝送する。
【0012】
コンピュータ5は、次のように構成されている。
品揃え率計算プログラム508(品揃え率計算手段)は、コンピュータ3から伝送された仕掛数と、予め作られているメインライン生産計画501とユニット構成情報502をもとに、オーダ別の品揃え率509を計算する。
サブユニットライン組立優先度付けプログラム510(サブユニットライン組立優先度付け手段)は、品揃え率509の高いオーダに紐付き、かつ未完了のサブユニットが優先的に組み立てられるようにサブユニットライン生産計画503に優先度を付け、この優先度付けに基づいて、サブユニットライン1の作業指示リスト511を作成する。このとき、優先度を、オーダごとの品揃え率509、売上金額504、仕掛占有面積505に基づいて付ける。
仕掛占有面積計算プログラム506は、仕掛数とサブユニット寸法情報507から仕掛占有面積505を算出する。
作業指示伝送プログラム512は、作業指示リスト511に基づき、作業指示リスト(紙)601をプリンタ6で印刷する。
【0013】
メインライン生産計画501は、予め作成されたデータベースで、メインラインで組み立てられるオーダと製品台数と納期の情報を持っている。ユニット構成情報502は、予め作成されたデータベースで、製品ごとのサブユニット及びその個数を定義したものである。
サブユニットライン生産計画503は、予め作成されたデータベースで、サブユニットラインで組み立てられるオーダごとのサブユニットとその個数と納期の情報を持っている。オーダ売上金額504は、予め作られ、オーダごとの売上金額を格納したデータベースである。サブユニット寸法情報507は、予め作られ、サブユニットごとの幅、奥行き、高さの寸法情報をもつデータベースである。
なお、これらのデータベースは、記憶装置に形成されている。
【0014】
図4は、この発明の実施の形態1による組立優先度付けシステムのサブユニットライン組立優先度付けプログラムの処理を示すフローチャートである。
【0015】
次に、動作について説明する。
コンピュータ3では、サブユニットライン1の組立着手実績31と組立完了実績32、メインライン4の組立着手実績33と組立完了実績34を管理し、サブユニットライン1の組立完了実績32とメインライン4の組立着手実績33から、仕掛数計算プログラム35により、工程間の仕掛数36を計算し、仕掛数伝送プログラム37によって仕掛数36をコンピュータ5へ伝送する。
【0016】
コンピュータ5では、コンピュータ3から伝送された仕掛数とメインライン生産計画501、ユニット構成情報502をもとに、品揃え率計算プログラム508によって、オーダごとの仕掛数÷必要数を計算し、オーダ別の品揃え率509を計算する。
次に、サブユニットライン組立優先度付けプログラム510によって、品揃え率509の高いオーダに紐付き、かつ未完了のサブユニットを優先的に組み立てるようにサブユニットライン生産計画503に優先度を付ける。
この際、複数のオーダで品揃え率が同じ場合には、オーダごとの売上金額504を比較し、売上金額の高いオーダで未完了のサブユニットから優先度を付ける。
さらに、売上金額も同じ場合には、仕掛数とサブユニット寸法情報507から仕掛占有面積計算プログラム506により、各オーダの仕掛占有面積505を算出し、オーダごとに仕掛占有面積505を比較することで、占有面積の高いオーダで未完了のサブユニットから優先度をつける。
そして、この優先度付けに基づいて、サブユニットライン1の作業指示リスト511を作成し、作業指示伝送プログラム512を介して、作業指示リスト(紙)601をプリンタ6で印刷する。
【0017】
次に、図4を用いて、サブユニットライン組立優先度付けプログラム510の処理について説明する。
ステップ701で、サブユニットライン生産計画503に、品揃え率の高いオーダのものから順に優先度を付ける。次いで、ステップ702で、品揃え率が同じ(優先度が同じ)オーダがあるかどうかを判定する。品揃え率が同じオーダが無い場合、ステップ706で、サブユニットライン1の作業指示リスト511を作成する。
品揃え率が同じオーダがある場合、ステップ703で、売上金額の高いオーダから順に優先度を付け、ステップ704で、売上金額が同じオーダがあるかどうかを判定する。
売上金額の同じオーダが無い場合、ステップ706で、サブユニットライン1の作業指示リスト511を作成する。
売上金額の同じオーダがある場合、ステップ705で、仕掛占有面積の大きいオーダから順に優先度を付け、ステップ706で、サブユニットライン1の作業指示リスト511を作成する。
【0018】
実施の形態1によれば、納期が同じ複数のオーダに対しての優先度付けが困難な場合、オーダごとの品揃え状況を比較することで、仕掛数削減の面で効果的なものから優先的に作業指示を出すことができる。
また、仕掛数削減に加え、売上金額でも効果の高いものから、優先的に品揃えをすることができる。
また、仕掛数、売上金額に加えて、保管スペース削減で効果の高いものから、優先的に品揃えをすることができる。
【0019】
なお、上述の説明では、コンピュータ3とコンピュータ5は、別のコンピュータとして説明したが、一つのコンピュータで構成してもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 サブユニットライン
2 仕掛数
3 コンピュータ
4 メインライン
5 コンピュータ
6 プリンタ
31 サブユニットライン投入実績
32 サブユニットライン完了実績
33 メインライン投入実績
34 メインライン完了実績
35 仕掛数計算プログラム
36 仕掛数
37 仕掛数伝送プログラム
501 メインライン生産計画
502 ユニット構成情報
503 サブユニットライン生産計画
504 オーダ売上金額
505 仕掛占有面積
506 仕掛占有面積計算プログラム
507 サブユニット寸法情報
508 オーダ別品揃え率計算プログラム
509 品揃え率
510 サブユニットライン組立優先度付けプログラム
511 作業指示リスト
512 作業指示伝送プログラム
601 作業指示リスト(紙)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終製品の組立をオーダごとに行うメインラインに、組立の完了したサブユニットを供給するサブユニットラインでの上記サブユニットの組立優先度を付ける組立優先度付けシステムであって、
上記サブユニットの組立実績と上記メインラインの組立着手情報とに基づいて、上記サブユニットライン及びメインライン間の仕掛数を計算する仕掛数計算手段、
この仕掛数計算手段によって計算された仕掛数を用いて、上記メインラインに投入されるオーダごとの品揃え率を計算する品揃え率計算手段、
及びこの品揃え率計算手段により計算された上記品揃え率の高いオーダの未組立のサブユニットを優先的に組み立てるように優先度を付けるサブユニットライン組立優先度付け手段を備えたことを特徴とする組立優先度付けシステム。
【請求項2】
上記サブユニットライン組立優先度付け手段は、上記オーダごとの優先度が同じ場合には、オーダごとの売上金額により、上記優先度を付けることを特徴とする請求項1記載の組立優先度付けシステム。
【請求項3】
上記サブユニットライン組立優先度付け手段は、上記オーダごとの売上金額が同じ場合には、オーダごとの仕掛占有面積により上記優先度を付けることを特徴とする請求項2記載の組立優先度付けシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−243234(P2012−243234A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115525(P2011−115525)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】