説明

組立式立体骨組構造

【課題】コンパクト、軽量で簡単な構成を有し安価で、設計の自由度、搬送性、組立て作業効率及び美観性に優れた組立式立体骨組構造を提供する。
【解決手段】組立式立体骨組構造41〜46は、3次元方向に直交し交叉する3本の管状又は棒状の骨組部材Fが挿通する骨組部材挿通孔Pを有し、ねじ部材Bを介して骨組部材と結合される組立式立方体コネクタ20を用いて任意の立体形状に組立てられる。 組立式立方体コネクタ20は、直交する第1面及び第2面にそれぞれ骨組部材が挿通する第1、第2骨組部材挿通孔P1、P2を有する略二等辺アングル部材型に屈曲形成された薄板からなるコネクタ組立部材10を同一形状で3個用いて六面体の略立方体状に組合され、異なるコネクタ組立部材10の第1、第2骨組部材挿通孔が対面状態に配置されて3次元方向に骨組部材挿通孔Pがそれぞれ形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立式立体骨組構造に関し、特にパイプを含む棒状部材からなる骨組部材を三次元方向に結合する組立式立方体コネクタを用いて任意形状の立体骨組構造に組立てる組立式立体骨組構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パイプなどの骨組部材からなる種々のクランプ又はコネクタ類を用いた立体骨組構造が知られている。
【0003】
代表的な第1の例として、図12に示すように、図示しない角パイプの外形に略等しい外形の直交する三次元の垂直方向に延びる角筒基部104と、この角筒基部104の正面及び一側面のそれぞれ直交する水平方向に延びるように突出形成した前記角パイプの外形に略等しい外形の角筒基部105及び106と、これら角筒基部104、105、106の端面からそれぞれ直交する三次元方向に突出形成した前記各角パイプが嵌入できる大きさとした4角の筒体部107、108、109とにより構成し、各筒体部107、108、109の先端外周部にはその外径が次第に小さくなるようにテーパー部110を形成し、その一側面にはコ字状の切り込み111と、この切り込み111によって形成された舌片112と、この舌片112の遊端において三角状に盛り上がる楔状部113とを形成する三叉のジョイント103が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
又、上記各筒体部107、108、109の1つの側面中央部に長さ方向に延びるU字溝114と、リブ115とが設けられている。
【0005】
第2の例として、図13に示すように、異なる部材221、221aを挟持する第1、第2のクランプ部材211、212にそれぞれ形成された第1、第2の接合平坦部213、214を当接させ、且つ第1、第2の接合平坦部213、214を連結部材215で接続した緊結装置210において、連結部材215は、第1の接合平坦部213に基側が固定された軸部231と、軸部231より実質的に拡径して、外周に掛合部232が形成された拡径頭部233を備え、第2のクランプ部材212は、軸部231に回動可能に装着され、第2の接合平坦部214が形成された第2のクランプ部材212の固定フレーム216には、拡径頭部233に向けて雌ねじ部226が設けられ、雌ねじ部226には、その先部を連結部材215の掛合部232に嵌入させる雄ねじ部材229が螺合している緊結装置210が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
連結部材215は、第1の接合平坦部213に基側が固定された軸部231と、軸部231の先側に一体的に形成され、軸部231より実質的に拡径して、外周の4カ所に均等配置された切欠きからなる掛合部232がそれぞれ形成された拡径頭部233を備えている。掛合部232は、入口側、即ち半径方向外側が奥側より徐々に拡大した溝形状に形成され、入口側の周方向両側にそれぞれガイド部234、235が形成されている。連結部材215の拡径頭部233には、軸部231と実質的に同径の半抜き部が形成されている。また、半抜き部内には、管クランプ211の第1の接合平坦部213の取付け孔228に重合する位置に挿入孔237が、拡径頭部233及び軸部231を貫通して形成されている。連結部材215の基側は、管クランプ211の第1の接合平坦部213に、連結部材215を軸方向に貫通する挿入孔237と、第1の接合平坦部213に形成された取付け孔228に挿通される4本のリベット238によって固定されている。
【0007】
第3の例として、図14に示すように、相互に内周面を対峙する一対の円弧状の挟持片330のそれぞれの一端がヒンジ部331を介して回動自在に接続され、これら一対の挟持片330のそれぞれの他端同士を当接させた状態で、それぞれの他端を貫く挿通孔又は切欠き332に設けたボルト・ナット333を強く締め付けることにより、一対の挟持片330の間に挿通した管材302を圧締するパイプクランプ303が提案されている(特許文献3参照)
【0008】
第4の例として、図15に示すように、植物支持棚などの交叉部421において、保持部材の一方であるベース部材425と、保持部材の他方である雄側締結部材としての一対のUボルト427、427とを備え、ベース部材425は、金属板からなり、一側から他側にかけて縦パイプ413の軸方向に沿った屈曲部としての凹部429を有している。凹部429の断面形状は、縦パイプ413の外周部431の断面形状に沿ったものとなっている。凹部429の内面が、縦パイプ413とほぼ同一の曲率を有した半円弧状の円形状に形成されている結合具423が提案されている(特許文献4参照)。
【0009】
Uボルト427の両端部449は、前記中間交叉部445の半円弧形状によって同方向に向いている。両端部449は相互間に隙間を有して対向し、該隙間の寸法は各フランジ部437の貫通孔441、441間及び貫通孔443、443間の寸法とほぼ同一となっている。そして、Uボルト427の両端部449は、締結用の雄ねじ部451を備え、フランジ部437の貫通孔441、441又は貫通孔443、443に挿通し雌側締結部材としてのナットが螺合される。
【0010】
第5の例として、図16、17、18の各(a)、(b)に示すように、それぞれ第1カプラー510、610、第2カプラー520、620及び調整ネジ530からなり、第1カプラー510、610と第2カプラー520、620とは、パイプ(図示せず)の一端に挿入されるように構成された直交する三次元方向に配置される2〜4本の挿入棒512、612及び522、622と、挿入棒512、612及び522、622の一端を単一片として接続する中心体514、614及び524、624とを有し、第1カプラー510、610の挿入棒512、612のそれぞれと第2カプラー520、620の挿入棒522、622とのそれぞれは、空洞の略円筒形状をなし、それぞれの一面が互いに密着するようになっている。この時点では、複数の取付け突出部515、615及び525は、2本の挿入棒512、612及び522、622の接触面の任意の一面又はその両面に形成され、2本の挿入棒512、612及び522、622の接面の内周を支持し、その接続時に正確に位置決めする3種類(立体型3分枝、4分枝、5分枝コネクタ)の組立式展示台用パイプコネクタが提案されている(特許文献4参照)。
【0011】
複数の取り付け突出部515、615及び525は、2〜4本の挿入棒512、612及び522、622の接触面の任意の一面又はその両面にそれぞれ形成され、2〜4本の挿入棒512、612及び522、622の接面の内周をそれぞれ支持し、その接続時に正確に位置決めする。第1カプラー510、610と第2カプラー520、622とがそれらの一面で互いに密着した後にパイプが挿入棒512、612及び522、622内にそれぞれ挿入される。
【0012】
図18(a)、(b)に示す立体型5分枝コネクタは、4本の水平挿入棒612が90°の角度で互いに一平面に配置され、かつ、1本の垂直挿入棒630が水平挿入棒612に対して垂直方向に配置される。
【0013】
垂直挿入棒630の内側に形成された挿入溝632は、その端部分でその直径が細くなるように形成され、スリット636と連通するようになっている傾斜部分634を有し、かつ調整ネジ棒530は、挿入溝632の傾斜部分634に挿入可能になるようにその端部分に形成された傾斜部分531を有する。かくして、調整ネジ棒530が、水平挿入棒612及び622と垂直挿入棒630とがパイプに挿入された状態でレンチを用いて前進させると、調整ネジ棒630の端部は、挿入溝632の内端を押すため、第1カプラー610と第2カプラー620とは互いに離れて間隔が形成される。かくして、2本の水平挿入棒612及び622間に隙間が形成されるようになるので、パイプの内周面がしっかりと支持されると同時に、前記調整ネジ棒530の端部分に形成された傾斜部分531は、挿入溝632の内側に強制的に挿入されて、挿入溝632の端部分に形成された傾斜部分634を押すため、スリット636は拡開されて垂直挿入棒630の外径を大きくする。
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載の三叉のジョイント103では、3本の角パイプが直交する三次元方向に交叉するコーナー交叉部の結合が比較的スマートにできて単一四角形断面の骨組構成が可能であるが、3本の角パイプが三次元方向に相互に交叉する中間交叉部の結合をすることができないので複数四角形断面による複合的な任意形状の立体骨組構成ができず、設計の自由度が無い。また、三叉のジョイント103が複雑で重厚長大な構成であることから製造及び搬送コストも高くなるなどの問題点がある。
【0015】
特許文献2に記載の1個の緊結装置210では、2本のパイプが直交する二次元方向に交叉するコーナー交叉部及び中間交叉部を結合することができるが、三次元方向に交叉する3本のパイプの結合をすることができない。このため、1箇所の三次元方向に交叉するパイプの結合をするためには、2個の緊結装置210を直交方向に隣接して用いる必要があり、スマートさに欠けるとともに設計の自由度が無い。また、緊結装置210が複雑で重厚長大な構成であることから製造及び搬送コストも高くなるなどの問題点がある。
【0016】
特許文献3に記載の1個のパイプクランプ303では、2本の管材302が直交する二次元方向に交叉するコーナー交叉部及び中間交叉部を結合することができるが、三次元方向に交叉する3本のパイプの結合をすることができない。このため、1箇所の三次元方向に交叉するパイプの結合をするためには、2個のパイプクランプ303を直交方向に隣接して用いる必要があり、スマートさに欠けるとともに設計の自由度が無く、手間もかかるとともにコスト高となるなどの問題点がある。
【0017】
特許文献4に記載の1個の結合具423では、2本のパイプ413、415が直交する二次元方向に交叉するコーナー交叉部及び中間交叉部を結合することができるが、三次元方向に交叉する3本のパイプの結合をすることができない。このため、1箇所の三次元方向に交叉するパイプの結合をするためには、2個の結合具423を直交方向に隣接して用いる必要があり、スマートさに欠けるとともに設計の自由度が無く、手間もかかりコスト高となるなどの問題点がある。
【0018】
特許文献5に記載の組立式展示台用パイプコネクタでは、立体型3分枝、4分枝及び5分枝コネクタの3種類を用いて3本のパイプが直交する三次元方向に交叉するコーナー交叉部、中間交叉部の結合が比較的スマートにできて複数四角形断面による複合的な任意形状の立体骨組構成が可能であるが、複雑で重厚長大な構造のコネクタが3種類必要であることから製造及び搬送コストも高くなるなどの問題点がある。
【0019】
このように、従来の立体骨組構造においては、複合的な任意形状の立体骨組構成とするためには複雑で重厚長大な構造のコネクタの種類や数量を多く用いる必要があり、製造及び組立てに手間がかかって製造及び搬送コストも高くなるとともに設計の自由度に欠ける等々の問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平11−251762号公報
【特許文献2】特開2002−188609号公報
【特許文献3】特開2003−328554号公報
【特許文献4】特開2008−157294号公報
【特許文献5】特表2008−531177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、コンパクトで軽量であるとともに簡単な構成を有し安価で、設計の自由度、搬送性、組立て作業効率及び美観性に優れた組立式立体骨組構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するため、本発明の組立式立体骨組構造は、直交する3次元方向に交叉する3本の任意断面形の管状又は棒状の骨組部材がそれぞれ挿通する骨組部材挿通孔を有し、ねじ部材を介して前記骨組部材と結合される組立式立方体コネクタを用いて任意の立体形状に組立てられる組立式立体骨組構造であって、 前記組立式立方体コネクタは、直交する二つの第1面及び第2面にそれぞれ前記骨組部材が挿通する第1、第2骨組部材挿通孔を有する任意幅の略二等辺アングル部材型に屈曲形成された薄板からなるコネクタ組立部材を同一形状で3個用いて六面体の略立方体状に組合され、異なるコネクタ組立部材の第1、第2骨組部材挿通孔が対面状態に配置されて前記骨組部材が挿通する3次元方向に一主軸を有する骨組部材挿通孔がそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0023】
また、前記3個のコネクタ組立部材が前記組立式立方体コネクタに組立てられる際に、一つのコネクタ組立部材の第1面及び第2面の先端面、側端面は他のコネクタ組立部材の第1面及び第2面の側端面、先端面とそれぞれ相互に突合され、前記突合される第1面及び第2面の先端面及び側端面に相互に係合する係合機構を備えることを特徴とする。
【0024】
また、前記コネクタ組立部材の第1面、第2面の少なくとも一方には、前記ねじ部材が挿通するねじ取付孔が少なくとも一個穿設され、前記骨組部材の前記ねじ取付孔に対応する位置に前記ねじ部材が螺合する雌ねじが穿設されることを特徴とする。
【0025】
また、前記係合機構は、前記コネクタ組立部材の第1面、第2面の先端面、側端面にそれぞれ配置され、いずれか一方が任意の凸形状に突設された係合突起で、他方が前記係合突起と係合する凹形状に穿設された係合溝からなることを特徴とする。
【0026】
また、前記棒状部材は、円形、楕円形又は任意の多角形のいずれかの断面形状が選択的に選定される。
【0027】
さらに、前記コネクタ組立部材及び骨組部材は、任意のステンレス金属類を含む金属又は硬質樹脂部材から選択的に選定される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、任意立体形状の組立式立体骨組構造は、直交する3次元方向に交叉する3本の骨組部材がそれぞれ挿通する骨組部材挿通孔を有し、ねじ部材を介して骨組構造のコーナー交叉部及び中間交叉部の3本の交叉する骨組部材と結合される組立式立方体コネクタを用いて任意の立体形状に組立てられることから、設計の自由度を有するとともに組立/解体自在であるため解体状態でのコンパクトな搬送が可能であり、搬送性、現場での組立て作業効率及び美観性に優れた組立式立体骨組構造を提供することができる。
【0029】
また、組立式立方体コネクタは、直交する二つの第1面及び第2面にそれぞれ骨組部材が挿通する第1、第2骨組部材挿通孔を有する薄板からなる任意幅の略二等辺アングル部材型のコネクタ組立部材を同一形状で3個用いて六面体の略立方体状に組合されてなる簡単な構成であることから、一層コンパクト、軽量、安価であるとともに設計の自由度を有する組立式立体骨組構造を提供できる等々の効果がある。
【0030】
また、コネクタ組立部材の第1面及び第2面には、組立式立方体コネクタに組立てられる際にそれぞれ相互に突合される先端面及び側端面に相互に係合する係合機構を備えることから、簡単な構成で組立て作業の効率性及び信頼性が容易に確保される効果がある。
【0031】
また、各骨組部材は組立式立方体コネクタにそれぞれ少なくとも一本のねじ部材により固着されることから、簡単な構成で現場での組立て作業の効率性及び信頼性が一層容易に確保される効果がある。
【0032】
また、係合機構は、コネクタ組立部材の第1面、第2面の先端面、側端面にそれぞれ設けられた任意凸形状の係合突起とこれに係合する係合溝からなることから、一層簡単な構成で現場での組立て作業の効率性及び信頼性が容易に確保される効果がある。
【0033】
また、骨組部材は、円形、楕円形又は任意の多角形のいずれかの断面形状が選択的に選定されることから、各種用途に応じた設計の自由度が広く確保される効果がある。
【0034】
さらに、コネクタ組立部材及び骨組部材は、任意のステンレス金属類を含む金属又は硬質樹脂部材から選択的に選定されることから、さらに広範な設計の自由度が確保される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態のコネクタ組立部材の概念を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態の組立式立体コネクタの組立て又は分解を概念的に説明するための斜視図である。
【図3】図2の組立式立体コネクタを用いた組立式立体骨組構造のコーナー交叉部を概念的に示す要部斜視図である。
【図4】図2の組立式立体コネクタを用いた組立式立体骨組構造の中間交叉部を概念的に示す要部斜視図である。
【図5】図3のU軸方向の側面図である。
【図6】本発明の実施例1の組立式立体骨組構造を概念的に示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例2の組立式立体骨組構造を概念的に示す斜視図である。
【図8】本発明の実施例3の組立式立体骨組構造を概念的に示す斜視図である。
【図9】本発明の実施例4の組立式立体骨組構造を概念的に示す斜視図である。
【図10】本発明の実施例5の組立式立体骨組構造を概念的に示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例6の組立式立体骨組構造を概念的に示す斜視図である。
【図12】従来(特許文献1)の立体骨組構造のジョイントの斜視図である。
【図13】従来(特許文献2)の立体骨組構造の緊結装置の側面図である。
【図14】従来(特許文献3)の立体骨組構造のパイプクランプの斜視図である。
【図15】従来(特許文献4)の立体骨組構造の結合具の斜視図である。
【図16】従来(特許文献4)の組立式展示台用パイプコネクタの立体型3分枝コネクタで、(a)は外観斜視図、(b)は分解図である。
【図17】従来(特許文献4)の組立式展示台用パイプコネクタの立体型4分枝コネクタで、(a)は外観斜視図、(b)は分解図である。
【図18】従来(特許文献4)の組立式展示台用パイプコネクタの立体型5分枝コネクタで、(a)は外観斜視図、(b)は分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の組立式立体骨組構造を実施するための形態の具体例を、添付図面を参照しながら説明する。これらの添付図中、実施例1〜6における骨組部材F、棚板Paなどの一部形状が異なっていても同じ部材には同一の符号を付してある。
【0037】
本発明の組立式立体骨組構造は、そのコーナー交叉部30及び中間交叉部40を図3〜5に示すように、直交する3次元X、Y、Z軸方向に交叉する3本の任意断面形の管状又は棒状の骨組部材Fがそれぞれ挿通する骨組部材挿通孔Pを有し、ねじ部材Bを介して各骨組部材Fと結合される組立式立方体コネクタ20を用いて任意の立体形状に組立てられる。以下、骨組部材Fとして例えば四角型パイプを適用し説明する。
【0038】
本発明の一実施形態の組立式立方体コネクタ20は、図1、2に示すように、直交する二つの第1面11及び第2面12にそれぞれ骨組部材Fが挿通する第1、第2骨組部材挿通孔P1、P2を有する任意幅aの略二等辺アングル部材型に屈曲形成された板厚tの薄板からなるコネクタ組立部材10を同一形状で3個用いて六面体の略立方体状に組合され、異なるコネクタ組立部材10の第1、第2骨組部材挿通孔P1、P2が対面状態に配置されて骨組部材Fが挿通するX、Y、Z軸方向に一主軸を有する骨組部材挿通孔Pがそれぞれ形成される。
【0039】
本発明の一実施形態のコネクタ組立部材10は、図1に示すように、直交する3次元x、y、z軸のz、y軸方向に沿ってx軸方向任意幅aの第1面(z軸面)11及び第2面(y軸面)12を有する略二等辺アングル部材型に屈曲形成された板厚tの薄板からなる。第1、第2面11、12の先端部のx軸方向図示左、右反対側の角部には、x、z軸方向、x、y軸方向の切欠き長さdの第1、第2切欠き部J1、J2がそれぞれ設けられることにより任意の同一x軸方向幅c(=a−d)の第1面、第2面先半部13、14がそれぞれ形成される。
【0040】
第1、第2切欠き部J1、J2は、図2、3に示すように、同一形状のコネクタ組立部材10を3個用いて組立式立方体コネクタ20を組立てた時に3軸X、Y、Z軸方向の内外角部の余肉部分を切除した開口部Jを形成し、これにより組立式立方体コネクタ20の軽量化が図られ美観性が確保されるとともに、開口部Jから組立式立方体コネクタ20の内部を視認することもできる。
【0041】
第1面、第2面先半部13、14内には、四角型パイプの骨組部材Fが挿通するx軸方向幅kで、z、y軸方向長さnの四角形の第1、第2骨組部材挿通孔P1、P2がそれぞれ穿設される。
【0042】
第1面先半部13のz軸方向先端面13a及び第2面12の図示右側の第2面右側端面12aのx軸方向に任意の凸形状例えば各x、y軸方向幅fで、各z、x軸方向長さhの四角形の第1係合突起L1及び第2係合突起L2がそれぞれ突設される。
【0043】
また、第1面11の図示左側の第1面左側端面11b及び第2面先半部14の先端面14aに他のコネクタ組立部材の第1、第2係合突起L1、L2がそれぞれ嵌合する凹形状の各z、x軸方向幅f’で、各x、y軸方向長さh’の四角形の第1係合溝M1及び第2係合溝M2が穿設される。ここで、第1、第2係合溝M1、M2の幅f’、 長さh’は、それぞれ第1、第2係合突起L1、L2の幅f、長さhに対応して嵌合公差Δf、Δh分若干大きめ例えば0.1mmオーダーの値f’=f+Δf、h’=h+Δhに設定される。
【0044】
さらに、第1面11、第2面12の少なくとも一方例えば第2面12には、四角型パイプの骨組部材Fを固着するためのねじ部材Bが挿通するねじ取付孔Qが少なくとも一個穿設される。そして、図3〜5に示すように、骨組部材Fのねじ取付孔Qに対応する位置にねじ部材Bが螺合する雌ねじRが穿設される。
【0045】
ちなみに、一実施形態のコネクタ組立部材10及び組立式立方体コネクタ20は、例えば板厚t=2mmのステンレス鋼板からなり、前記諸元寸法は、例えば次の通りである。
a=38mm、b=40mm、c=23mm、d=15mm、
e=11mm、f=2mm、g=10mm、h=2mm、
k=16.2mm、n=16.2mm
【0046】
また、ねじ部材B、雌ねじRのねじ径は例えばM4で、骨組部材Fは例えば板厚1.2mmのステンレス鋼板から□16mmに屈曲形成した溶接型の四角型パイプである。
【0047】
以上のように構成された同一形状のコネクタ組立部材10を3個用いて組立式立方体コネクタ20を組立てる際に、図2に示すように、隣接する一つ及び他のコネクタ組立部材10の第1、第2面先端面13a、14a及び第1、第2面左、右側端面11b、11aは、次の表1の左右欄内同士が相互に突合された例えば□b=□40mmの略立方体である組立式立方体コネクタ20の6箇所の稜線部が形成される。そして、それぞれ突合される第1、第2面先端面13a、14a及び第1面左側端面11b、第2面右側端面12aに設けられ相互に係合する第1、第2係合突起L1、L2及び第1係合溝M1、M2から係合機構LMが組立式立方体コネクタ20の6箇所の稜線部にそれぞれ構成される。
【0048】
【表1】

【0049】
このような相関関係にある係合機構LM及び骨組部材挿通孔Pを有するコネクタ組立部材10の構成は、本発明の重要なポイントであって、同一形状の3個のコネクタ組立部材10から組立てられる簡単な構成で骨組構造のコーナー交叉部30及び中間交叉部40の3本の交叉する骨組部材Fとねじ部材Bを介して結合される組立式立方体コネクタ20を用いて任意の立体形状に組立てられることから、コンパクト、軽量及び安価であるとともに設計の自由度を有し、組立/解体自在であるため解体状態でのコンパクトな搬送が可能であり、搬送性、現場での組立て作業効率及び美観性に優れた組立式立体骨組構造を提供することができる。
【実施例1】
【0050】
本発明の実施例1の組立式立体骨組構造41は、図6に示すように、直交する3次元X、Y、Z軸方向に3本の任意断面形の管状又は棒状の骨組部材Fが交叉するコーナー交叉部及び中間交叉部にそれぞれ組立式立方体コネクタ20を用いて、いずれもY軸方向に2列で、X軸方向1列×Z軸方向3段にX軸方向2列×Z軸方向1段を接合させた段付立体形状に組立てられる。
【0051】
各段上には木製、硬質樹脂製又は金属製などから選択的に用いられる棚板Paが載置されるとともに、底部の組立式立方体コネクタ20の下端部にはキャスターCaが取付けられ、移動可能な例えば屋内外の物置棚などとして用いられる。
【実施例2】
【0052】
本発明の実施例2の組立式立体骨組構造42は、図7に示すように、直交する3次元X、Y、Z軸方向に3本の任意断面形の管状又は棒状の骨組部材Fが交叉するコーナー交叉部及び中間交叉部にそれぞれ組立式立方体コネクタ20を用いて、いずれもY軸方向に2列で、X軸方向1列×Z軸方向1段、X軸方向1列×Z軸方向2段及びX軸方向1列×Z軸方向3段を順次接合した階段型立体形状に組立てられる。
【0053】
各段上には木製、硬質樹脂製又は金属製の棚板Paが載置されるとともに、底部の組立式立方体コネクタ20下端面が屋内床面又は屋外地面上に接する例えば植木棚や花台などとして用いられる。
【実施例3】
【0054】
本発明の実施例3の組立式立体骨組構造43は、図8に示すように、直交する3次元X、Y、Z軸方向に3本の任意断面形の管状又は棒状の骨組部材Fが交叉するコーナー交叉部及び中間交叉部にそれぞれ組立式立方体コネクタ20を用いて、いずれもX軸方向1列で、Y軸方向2列×Z軸方向5段の一方端部にY軸方向1列×Z軸方向2段を接合した段付立体形状に組立てられる。
【0055】
各段上には木製、硬質樹脂製又は金属製の棚板Paが載置され、底部の組立式立方体コネクタ20の下端部には免震アジャスタなどの防振対策パットPtが取付けられるとともに、壁に接する背側の最上端部の組立式立方体コネクタ20の上端部には転倒防止具Sなどが取付けられ、例えば本立て棚又は他の物置棚などとして用いられる。
【実施例4】
【0056】
本発明の実施例2の組立式立体骨組構造44は、図9に示すように、直交する3次元X、Y、Z軸方向に3本の任意断面形の管状又は棒状の骨組部材Fが交叉するコーナー交叉部及び中間交叉部にそれぞれ組立式立方体コネクタ20を用いて、X軸方向に1列でY軸方向1列×Z軸方向2段及びY軸方向2列×Z軸方向1段の連接体の前者端部に、Y軸方向に1列でX軸方向1列×Z軸方向2段及びX軸方向2列×Z軸方向1段の連接体を接合させた段付立体形状に組立てられる。
【0057】
各段上には木製、硬質樹脂製又は金属製の棚板Paが載置されるとともに、底部の組立式立方体コネクタ20下端面が屋内床面又は屋外地面上に接する例えば植木棚や花台などとして用いられる。
【実施例5】
【0058】
本発明の実施例5の組立式立体骨組構造45は、図10に示すように、直交する3次元X、Y、Z軸方向に3本の任意断面形の管状又は棒状の骨組部材Fが交叉するコーナー交叉部及び中間交叉部にそれぞれ組立式立方体コネクタ20を用いて、X軸方向に1列で、Y軸方向2列×Z軸方向5段の立体形状に組立てられる。
【0059】
各段上には木製、硬質樹脂製又は金属製の棚板Paが載置され、底部の組立式立方体コネクタ20の下端部には免震アジャスタなどの防振対策パットPtが取付けられるとともに、壁に接する背側の最上端部の組立式立方体コネクタ20の上端部には転倒防止具Sなどが取付けられ、例えば本立て棚やその他の物置棚などとして用いられる。
【実施例6】
【0060】
本発明の実施例6の組立式立体骨組構造46は、図11に示すように、直交する3次元X、Y、Z軸方向に3本の任意断面形の管状又は棒状の骨組部材Fが交叉するコーナー交叉部及び中間交叉部にそれぞれ組立式立方体コネクタ20を用いて、いずれもX軸方向に1列で、Y軸方向3列×Z軸方向2段の一方端に、Y軸方向1列×Z軸方向2段が接合された立体形状に組立てられる。
【0061】
各段上には木製、硬質樹脂製又は金属製の棚板Paが載置されるとともに、底部の組立式立方体コネクタ20下端面までZ軸方向に貫通する短足状の骨組部材Flが屋内床面又は屋外地面上に接する例えば植木棚、花台又はその他の物置棚などとして用いられる。
【0062】
以上例示した実施例の他、組立式立方体コネクタ20を用いて多種多様の任意の立体形状の組立式立体骨組構造を組立てることができる。
【0063】
また、骨組部材Fは、円形、楕円形又は任意の多角形のいずれかの断面形状が選択的に選定され、これに対応して、コネクタ組立部材10の係合機構LM、第1、第2骨組部材挿通孔P1、P2及びこれらの諸元寸法を含む形状は、任意の所要形状に選択的に設定することができる。
【0064】
さらに、コネクタ組立部材10及び骨組部材Fは、任意のステンレス金属類を含む金属、硬質樹脂部材あるいは木材などから選択的に選定され、さらに広範な設計の自由度が確保される。
【0065】
なお、コネクタ組立部材10は、金属板の曲げ加工等の他、これらの材質からなる一体型部材から切削加工や硬質樹脂部材の押出し成型などにより製造することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の組立式立体骨組構造は、相関関係にある係合機構LM及び骨組部材挿通孔Pを有する同一形状の3個のコネクタ組立部材10から組立てられる簡単な構成で骨組構造のコーナー交叉部30及び中間交叉部40の3本の交叉する骨組部材Fとねじ部材Bを介して結合される組立式立方体コネクタ20を用いて任意の立体形状に組立てられることから、コンパクト、軽量及び安価であるとともに設計の自由度を有し、組立/解体自在であるため解体状態でのコンパクトな搬送が可能であり、搬送性、現場での組立て作業効率及び美観性に優れた組立式立体骨組構造を提供する効果があり、各種重機械工業やその他の軽工業など広範な産業界、あるいは各種事務所や家庭における各種多様な任意形状の立体骨組構造物に好適に適用できる。
【符号の説明】
【0067】
10:コネクタ組立部材
11:第1面
11a:第1面右側端面
11b:第1面左側端面
11c:第1面右端内面
12:第2面
12a:第2面右側端面
12b:第2面左側端面
12c:第2面左端内面
13:第1面先半部
13a:第1面先端面
14:第2面先半部
14a:第2面先端面
20:組立式立方体コネクタ
30:(組立式立体骨組構造の)コーナー交叉部
40:(組立式立体骨組構造の)中間交叉部
41、42、43、44、45、46:組立式立体骨組構造
a:コネクタ組立部材のx軸方向幅又は第1、第2面内面の各x、y軸方向長さ
b:組立式立方体コネクタの各U、V、Z軸方向の辺長、又は第1、第2面外面の各z、y軸方向長さ
B:ねじ部材
c:第1、第2面先端部のx軸方向幅
d:切欠き長さ(各x、y、z軸方向)
e:第1面先端部側端から第1係合突起又は第1面から第2係合突起までの各x、y軸方向距離
e’:第2面又は第2面先端部側端から第2係合溝までの各z、x軸方向距離
f:第1、第2係合突起の各x、y軸方向幅
f’:第1、第2係合溝の各z、x軸方向幅
F、Fl:骨組部材
g:第1、第2係合突起から第1、第2切欠き部までの各x、y軸方向距離
g’:第1、第2係合溝から第1、第2切欠き部までの各z、x軸方向距離
h:第1、第2係合突起の各z、y軸方向長さ
h’:第1、第2係合溝の各x、y軸方向長さ
J:開口部
J1:第1切欠き部
J2:第2切欠き部
k:第1、第2骨組部材挿通孔のx軸方向幅
n:第1、第2骨組部材挿通孔の各z、y軸方向長さ
L1:第1係合突起
L2:第2係合突起
LM:係合機構
M1:第1係合溝
M2:第2係合溝
P:骨組部材挿通孔
P1:第1骨組部材挿通孔
P2:第2骨組部材挿通孔
Pa:棚板
Q:ねじ取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交する3次元方向に交叉する3本の任意の断面形管状又は棒状の骨組部材がそれぞれ挿通する骨組部材挿通孔を有し、ねじ部材を介して前記骨組部材と結合される組立式立方体コネクタを用いて任意の立体形状に組立てられる組立式立体骨組構造であって、
前記組立式立方体コネクタは、
直交する二つの第1面及び第2面にそれぞれ前記骨組部材が挿通する第1、第2骨組部材挿通孔を有する任意幅の略二等辺アングル部材型に屈曲形成された薄板からなるコネクタ組立部材を同一形状で3個用いて六面体の略立方体状に組合され、異なるコネクタ組立部材の第1、第2骨組部材挿通孔が対面状態に配置されて前記骨組部材が挿通する3次元方向に一主軸を有する骨組部材挿通孔がそれぞれ形成されることを特徴とする組立式立体骨組構造。
【請求項2】
前記3個のコネクタ組立部材が前記組立式立方体コネクタに組立てられる際に、一つのコネクタ組立部材の第1面及び第2面の先端面、側端面は他のコネクタ組立部材の第1面及び第2面の側端面、先端面とそれぞれ相互に突合され、
前記突合される第1面及び第2面の先端面及び側端面に相互に係合する係合機構を備えることを特徴とする請求項1記載の組立式立体骨組構造。
【請求項3】
前記コネクタ組立部材の第1面、第2面の少なくとも一方には、前記ねじ部材が挿通するねじ取付孔が少なくとも一個穿設され、
前記骨組部材の前記ねじ取付孔に対応する位置に前記ねじ部材が螺合する雌ねじが穿設されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の組立式立体骨組構造。
【請求項4】
前記係合機構は、前記コネクタ組立部材の第1面、第2面の先端面、側端面にそれぞれ配置され、いずれか一方が任意の凸形状に突設された係合突起で、他方が前記係合突起と係合する凹形状に穿設された係合溝からなることを特徴とする請求項3記載の組立式立体骨組構造。
【請求項5】
前記骨組部材は、円形、楕円形又は任意の多角形のいずれかの断面形状が選択的に選定されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の組立式立体骨組構造。
【請求項6】
前記コネクタ組立部材及び骨組部材は、任意のステンレス金属類を含む金属又は硬質樹脂部材から選択的に選定されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の組立式立体骨組構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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