説明

組立棚及び連結組立棚

【課題】中抜き操作ができ、使用者に圧迫感を与えない組立棚及び連結組立棚を提供することにある。
【解決手段】1〜3本の支柱と、カップリング部材と、凹状係合部を有する棚部材とからなり、2つの部材からなるカップリング部材のそれぞれは、下方に対して漸次拡径した形状で側面に形成された第1テーパと、下方に対して漸次縮小した形状の第2テーパを有し、カップリング材を該支柱に嵌め込んだ際、一方の部材の第1テーパと他方の部材の第2テーパは、正面視でカップリング部材の左右方向に延びる径方向の1/2領域内に配置されるものであり、凹状係合部は、該カップリング部材の一方の部材の第1テーパに当接する第3テーパと該カップリング部材の他方の部材の第2テーパに当接する第4テーパを有し、棚部材の四隅以外の位置に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事務所、家庭、倉庫、店舗等で使用する収納棚、あるいは店舗で使用する陳列棚として使用されるものであり、組み付けと解体が容易な組立棚及び連結組立棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
登録実用新案公報第3057990号には、長手方向に所定の間隔で複数の環状の係止溝が外周面に形成された支柱と、内周面に形成された突条を前記支柱の係止溝に係止して支柱の外周面に取り付けられ、外形が下方に向かうに従って漸次拡径した形状に形成されたテ−パスリ−ブと、該テ−パスリ−ブの外面形状の一部又は全部に略一致するように下方に向かうに従って漸次拡径した内面形状に形成されるとともに、前記支柱の外周面に取り付けられたテ−パスリ−ブの外周面に差し込まれるリングが四隅に固着された棚部とからなる棚部の係止構造であって、前記棚部の左右のリングは棚部に対して左右異なる高さに固着され、前記テ−パスリ−ブの外周面に上下互い違いに差し込まれるように配置され、左右の棚部が同一の支柱を共用して段差なく連結されるようにした棚部の係止構造が開示されている。これら従来の組立棚は、例えば2つの棚部材を長手方向に連結する場合、1本の支柱を共有できるため、見栄えがよく、また組み付けも容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案公報第3057990号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら従来の組立棚は、上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置を変更したい場合(以下、「中抜き操作」とも言う。)、その中間棚部材より上方にある棚部材を必ず取り除く必要があった。このため、組み付けは簡単ではあるが、中抜き操作は不便であり、実質的に中抜きが行なわれないものであった。また、4本の支柱を有する組立棚は、支柱の係合位置が四隅であり、使用者に圧迫感があるという問題があった。また、1〜3本又は5本以上の支柱で支持する組立棚の開発も望まれていた。また、扇形の棚部材を4本の支柱で支持する組立棚の開発も望まれていた。
【0005】
従って、本発明の目的は、組み付けが容易であり、また上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置変更を、他の棚部材はそのままで、当該中間棚部材のみの解体及び組み付けのみで行なうことができ、更に使用者に圧迫感を与えない組立棚及び連結組立棚を提供することにある。また、1〜3本又は5本以上の支柱で支持する簡易な構造の組立棚を提供することにある。また、扇形の棚部材を4本の支柱で支持する組立棚を提供するものである。
【0006】
すなわち、本発明は、上記従来の課題を解決したものであって、長手方向に規則又は不規則の間隔で係止溝又は係止孔を形成した1〜3本、又は5本以上の支柱と、該支柱に装着されるカップリング部材と、該カップリング部材に嵌め込まれる凹状係合部を有する棚部材とからなり、該カップリング部材は、該支柱を両側から抱き込むように互いに嵌り合う2つの部材からなり、該2つの部材のそれぞれは、下方に向かうに従って漸次拡径した形状で側面に形成された第1テーパと、下方に向かうに従って漸次縮小した形状の第2テーパをそれぞれ有し、該カップリング部材を、該第1テーパが正面視で左右両側の外周面に、該第2テーパが正面視で前後両側に表われるようにそれぞれ嵌合し、該カップリング部材を該支柱に嵌め込んだ際、一方の部材の第1テーパと他方の部材の第2テーパは、正面視で該カップリング部材の左右方向に延びる径方向の1/2領域内に配置され、他方の部材の第1テーパと一方の部材の第2テーパは、正面視で該カップリング部材の左右方向に延びる径方向の他の1/2領域内に配置されるものであり、該凹状係合部は、該カップリング部材の一方の部材の第1テーパに当接する第3テーパと該カップリング部材の他方の部材の第2テーパに当接する第4テーパを有し、該棚部材を該カップリング部材の径方向の1/2領域内で支持することを特徴とする組立棚
を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、長手方向に規則又は不規則の間隔で係止溝又は係止孔を形成した4本の支柱と、該支柱に装着されるカップリング部材と、該カップリング部材に嵌め込まれる凹状係合部を有する棚部材とからなり、該カップリング部材は、該支柱を両側から抱き込むように互いに嵌り合う2つの部材からなり、該2つの部材のそれぞれは、下方に向かうに従って漸次拡径した形状で側面に形成された第1テーパと、下方に向かうに従って漸次縮小した形状の第2テーパをそれぞれ有し、該カップリング部材を、該第1テーパが正面視で左右両側の外周面に、該第2テーパが正面視で前後両側に表われるようにそれぞれ嵌合し、該カップリング材を該支柱に嵌め込んだ際、一方の部材の第1テーパと他方の部材の第2テーパは、正面視で該カップリング部材の左右方向に延びる径方向の1/2領域内に配置され、他方の部材の第1テーパと一方の部材の第2テーパは、正面視で該カップリング部材の左右方向に延びる径方向の他の1/2領域内に配置されるものであり、該凹状係合部は、該カップリング部材の一方の部材の第1テーパに当接する第3テーパと該カップリング部材の他方の部材の第2テーパに当接する第4テーパを有し、該凹状係合部の中、少なくとも1つが該棚部材の四隅以外の位置に形成されるものであり、 該棚部材をカップリング部材の径方向の1/2領域内で支持することを特徴とする組立棚を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、長手方向に規則又は不規則の間隔で係止溝又は係止孔を形成した4本の支柱と、該支柱に装着されるカップリング部材と、該カップリング部材に嵌め込まれる凹状係合部を有する扇形の棚部材とからなり、該カップリング部材は、該支柱を両側から抱き込むように互いに嵌り合う2つの部材からなり、該2つの部材のそれぞれは、下方に向かうに従って漸次拡径した形状で側面に形成された第1テーパと、下方に向かうに従って漸次縮小した形状の第2テーパをそれぞれ有し、該カップリング部材を、該第1テーパが正面視で左右両側の外周面に、該第2テーパが正面視で前後両側に表われるようにそれぞれ嵌合し、該カップリング部材を該支柱に嵌め込んだ際、一方の部材の第1テーパと他方の部材の第2テーパは、正面視で該カップリング部材の左右方向に延びる径方向の1/2領域内に配置され、他方の部材の第1テーパと一方の部材の第2テーパは、正面視で該カップリング部材の左右方向に延びる径方向の他の1/2領域内に配置されるものであり、該凹状係合部は、該カップリング部材の一方の部材の第1テーパに当接する第3テーパと該カップリング部材の他方の部材の第2テーパに当接する第4テーパを有し、該凹状係合部の中、少なくとも1つが該棚部材の四隅の位置に形成されるものであり、該棚部材をカップリング部材の径方向の1/2領域内で支持すると共に、該棚部材は扇の要から見て該2つの支柱の軸芯間に配置される組立棚を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、該カップリング部材の他方の部材の第1テーパに当接する第3テーパと該カップリング部材の一方の部材の第2テーパに当接する第4テーパを有する凹状係合部を備える他の棚部材を、前記組立棚のカップリング部材のもう一方の領域内に嵌合し、正面視で左右方向に他の棚部材を連結して得られる連結組立棚を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の組立棚及び連結組立棚によれば、組み付けが容易であり、また上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置変更を、他の棚部材はそのままで、当該中間棚部材のみの取り外し及び付け直しを行なうことができる。また、4本の支柱で支持する組立棚においては、支柱が四隅以外に設置されるため、使用者に圧迫感を与えない。また、1〜3本又は5本以上の支柱で支持する簡易な構造の組立棚を提供することができる。また、扇形の棚部材を4本の支柱で支持する組立棚を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態における組立棚の斜視図である。
【図2】図1の組立棚で使用するカップリング部材の嵌合状態における斜視図である。
【図3】図2のカップリング部材の嵌合を解除した状態の斜視図である。
【図4】図2のカップリング部分を拡大した斜視図である。
【図5】図2のカップリング部材の2つの部材の斜視図である。
【図6】図5の右側の部材の右側面図である。
【図7】図5の右側の部材の左側面図である。
【図8】図5のカップリング部材の2つの部材の平面図である。
【図9】図8のZ−Z線に沿って見た図である。
【図10】図2のカップリング部材の正面図である。
【図11】図2のカップリング部材の平面図である。
【図12】図1に示す組立棚で使用する棚部材の斜視図である。
【図13】図12の棚部材に形成される凹状係合部の平面図である。
【図14】図13の凹状係合部の左側面図である。
【図15】図13のZ−Zに沿って見た図である。
【図16】カップリング部分を正面から見た凹状係合部を断面(Z−Z断面)で示す図である。
【図17】(A)、(B)カップリング部材の作用を説明する図である。
【図18】中間棚部材の中抜き操作を説明する図である。
【図19】本発明の実施の形態における連結組立棚の斜視図である。
【図20】他のカップリング部材の分解斜視図である。
【図21】他のカップリング部材の分解斜視図である。
【図22】図21における他の支柱の斜視図である。
【図23】図22のカップリング部材の嵌合状態における斜視図である。
【図24】他のカップリング部材の分解斜視図である。
【図25】図24のカップリング部材の嵌合状態における斜視図である。
【図26】組立棚のカップリング部材を拡大して示す正面図である。
【図27】連結された組立棚の一部を拡大して示す斜視図である。
【図28】1本支柱の組立棚の組み付け前の斜視図である。
【図29】1本支柱の組立棚の斜視図である。
【図30】1本支柱の組立棚で使用する他の棚部材の斜視図である。
【図31】(A)は2本支柱の組立棚で使用する棚部材の斜視図であり、(B)及び(C)は2本支柱の組立棚で使用する棚部材の他の斜視図である。
【図32】(A)は3本支柱の組立棚で使用する棚部材の斜視図であり、(B)は3本支柱の組立棚で使用する棚部材の他の斜視図である。
【図33】4本支柱の組立棚で使用する棚部材の斜視図である。
【図34】4本支柱の組立棚で使用する他の棚部材の斜視図である。
【図35】図34の棚部材を使用した連結組立棚の簡略図である。
【図36】4本支柱の組立棚で使用する扇形棚部材の斜視図である。
【図37】図36の棚部材を使用した連結組立棚の斜視図である。
【図38】図36の棚部材を使用した連結組立棚の斜視図である。
【図39】本発明の実施の形態における他の連結組立棚の斜視図である。
【図40】本発明の実施の形態における他の連結組立棚の斜視図である。
【図41】本発明の実施の形態における他の連結組立棚の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態における組立棚を図1〜図18を参照して説明する。組立棚10は、長手方向に規則又は不規則の間隔で係止溝又は係止孔を形成した4本の支柱2と、支柱2に装着されるカップリング部材1と、カップリング部材1に嵌め込まれる凹状係合部3を有する棚部材31とからなる。一つの棚部材31を支柱2に固定するには、1つの棚部材31と、4本の支柱2と、4つのカップリング部材1を必要とする。図1の上下3段棚の組立棚10は、3つの棚部材31と、4本の支柱1と、12組のカップリング部材1を必要とする。12組のカップリング部材1とは、2つの部材が12個、すなわち、部材の数としては24個である。本発明において、正面とは凹状係合部3の凹状の内周面が面する方向に直交する方向を言う。
【0013】
カップリング部材1は、支柱2に嵌合し、1つの棚部材31を正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内(図17中、符号X/2の領域内、但し符号Xは左右方向のカップリング部材1の長さ(図1及び図17参照)。)で支持するものである。1つの棚部材31を正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内で支持するため、上下複数段を有する組立棚における中間棚部材の位置変更を、他の棚部材はそのままで、当該中間棚部材の中抜き操作を可能にすることができる。また、他の棚部材の横方向への連結も既設の組立棚はそのままで組み付けることができる。
【0014】
図3及び図5に示すように、カップリング部材1は、支柱2を両側から抱き込むように互いに嵌り合う2つの部材1a、1bからなり、2つの部材1a、1bのそれぞれは、下方に向かうに従って漸次拡径した形状に形成された第1テーパ16a(16b)と、下方に向かうに従って漸次縮小した形状の第2テーパ17a(17b)をそれぞれ有し、カップリング材1を支柱2に嵌め込んだ際、一方の部材1aの第1テーパ16aと他方の部材の第2テーパ17bは、正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内(図17の符号X/2)に配置される。すなわち、正面視でカップリング部材1の径方向とは、正面視で左右方向に延びる径方向を言う。また、カップリング部材1を支柱2に嵌め込んだ際、他方の部材1bの第1テーパ16bと一方の部材の第2テーパ17aは、正面視でカップリング部材1の径方向のもう一方の1/2領域内に配置される。このように、一方の部材1aと他方の部材1bの2つの部材の結合に司る2つのテーパを正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内において配置させたため、中抜き操作が可能となる。なお、符号aは一方の部材に、bは他方の部材にそれぞれ付する。
【0015】
第1テーパ16a(16b)の漸次拡径は、カップリング部材1を支柱2に組み付けた際の支柱2の軸芯を基準としたものである。従って、第1テーパ16a(16b)の漸次拡径は、下方に向けて支柱2の軸芯から離れるような傾斜を言う。また、第2テーパ17a(17b)における漸次縮小は、カップリング部材1を支柱2に組み付けた際の正面視基準で且つ支柱2の軸芯を基準としてものである。従って、図10に示すように、第2テーパ17a(17b)における漸次縮小は、正面視で下方に向けて支柱2の軸芯に近づくような傾斜を言う(単に、正面視で左右方向における傾斜を言う。)。正面とは、棚部材の連結方向を左右方向とする側、すなわち図1の符号F側を言う。なお、棚部材の連結方向長さの1辺が通常は長手方向となるが、必ずしも長手方向となるものではない。また、第2テーパ17a(17b)が形成される壁部の角は平面視点で鋭角となっている(図8参照)。これにより、凹状係合部3の鍔部32が外側に外れることがなくなる。
【0016】
カップリング部材1を形成する2つの部材、すなわち、一方の部材1aと他方の部材1bは、同じ形状及び同じ寸法であってもよい。本例では、一方の部材1aと他方の部材1bは、同じ形状及び同じ寸法であり、一方の部材1aを平面上で180度反転させれば、他方の部材1bとなる。一方の部材1aと他方の部材1bは、同じ形状及び同じ寸法の場合、金型はひとつで済み、製作コストの低減となる。なお、以下の説明においては、一方の部材1aについての説明は、他方の部材1bの説明となる。
【0017】
カップリング部材1における2つの部材1a、1bのそれぞれは、支柱2の側面形状に対応する内周面142(143)を有する本体部11a(11b)と本体部11a(11b)の両側から支柱2の径方向(内側方向)に延びる両腕部12a、13a(12b、13b)とからなる。すなわち、本例では、図4〜図11に示すように、一方の部材1aは、支柱2の周面形状に対応する凹状の内周面142を有する本体部11aと、本体部11aの一方の側(正面視の反正面側)から支柱2の径方向に延びる上下方向において互いに離間する2つの腕部12aと、本体部11aの他方の側(正面視の正面側)の上下方向の中央部から支柱2の径方向に延びる1つの腕部13aとからなり、また、他方の部材1bは、支柱2の周面形状に対応する凹状の内周面143を有する本体部11bと、本体部11bの一方の側(正面視の反正面側)の上下方向の中央部から支柱2の径方向に延びる1つの腕部13bと、本体部11bの他方の側(正面視の正面側)から支柱2の径方向に延びる上下方向において互いに離間する2つの腕部12bとからなる。
【0018】
カップリング部材1を支柱2に嵌め込む場合、一方の部材1aの2つの腕部12a間の空間に他方の部材1bの1つの腕部13bが嵌り、他方の部材1bの2つの腕部12b間の空間に一方の部材1aの1つの腕部13aが嵌ることになる。すなわち、両腕部の一方の腕において、カップリング部材1を支柱2に嵌め込んだ際、一方の部材の腕と他方の部材の腕は互い違いに配置される。
【0019】
本体部11a(11b)は、所定高さ及び所定幅を有する凹板状であって、所定幅と所定高さの外周面が下方に向けて拡径した形状の第1テーパ16a(16b)となっている。所定幅寸法としては、特に制限されないが、概ね側面視で支柱2の直径程度である。これにより、強度が保持でき、且つ支柱2への嵌合強度を高めることができる。第1テーパ16a(16b)のテーパは、概ね2〜3度あれば、十分な締め付け強さを付与できる。
【0020】
また、本体部11a(11b)の内周面142(143)には、更に支柱2に係止する突条14a(14b)又は突起を備える。突条14a(14b)は、支柱2の環状又は部分環状の係止溝22に係止するものであり、内周面142(143)の幅方向の一部又は全部に形成される環状の突条である。突条14a(14b)と係止溝22が係止することで、上下方向の移動を規制することができる。また、突起の場合、支柱2の係止孔に係合することになる(不図示)。係止孔は有底の非貫通孔又は貫通孔である。
【0021】
両腕部12a、13a(12b、13b)は、第2テーパ17a(17b)を形成するためのものである。両腕部12a、13a(12b、13b)の腕の長さは、カップリング部材1を支柱2に嵌め込んだ際、正面視で先端部が支柱2の中心より更に延びて形成されているため、カップリング部材1の径方向の他の1/2領域内に、第2テーパ17a(17b)を形成することができる。
【0022】
図5に示すように、一つの部材1a(1b)における第2テーパ17a(17b)のテーパ形状は、所定の長さと所定の幅寸法の矩形状の平面であり、正面視に表われるものである。すなわち、図8に示すように、第2テーパ17a(17b)は、腕部となる所定厚みの板状物の長さ方向における中央部を厚み方向にくり抜いてできる反本体部側に形成される壁部を言う。第2テーパ17a(17b)のテーパは、概ね2〜3度あれば、十分な締め付け強さを付与できる。
【0023】
なお、所定厚みの板状物の長さ方向における中央部を厚み方向にくり抜いてできる本体部11a(11b)側に形成される壁部18a(18b)は、カップリング部材1を支柱2に組み付けた際、他方の部材の第2テーパ17bより本体部側に位置するように形成される。これにより、カップリング部材1を支柱2に組み付け棚部材31の凹状係合部3を嵌め込んだ際、一方の部材1aの第1テーパ16aと他方の部材1bの第2テーパ17bのみが凹状係合部3のテーパと当接することになり、壁部18a(18b)が組み付けの障害となることがない。
【0024】
図10に示すように、カップリング部材1を支柱2に組み付けた際、正面視で支柱2の軸芯の右側において表われるテーパは、下方に向けて拡がり形状の第1テーパ16aであり、第1テーパ16aとは逆傾斜形状の第2テーパ17b、17bである。正面視に表われる第2テーパ17b、17bは、互いに離間している上下の腕に形成されているため、離間しているが、テーパとしては連続形状である。一方、裏面視に表われる第2テーパ17bは、中央の1本の腕である。正面視で第2テーパ17b、17b間に表われる壁部18aは、一方の部材に形成されたものであり、また第2テーパ17b、17bと連続しておらず、段差となっている。この第2テーパ17b、17bと壁部18aの段差は、引張り代m(図10参照)と称されるもので、2つの部材1a、1bで支柱2を強く抱く締めることを可能としている。引張り代mがゼロの場合、強く抱き締しめる効果は激減する。
【0025】
また、両腕部12a、13a(12b、13b)において、第2テーパ17a、17a(17b、17b)と壁部18a(18b)間に位置する凹面15a(15b)は、下方に向かうに従って漸次拡がりの形状に形成されたテーパ状(第5テーパ)である。この第5テーパは棚部材31の凹状係合部3の第6テーパに対応しており、凹状係合部3をカップリング部材1に嵌め込むことで、カップリング部材1の支柱2への嵌合強度を高めている。第5テーパ15a(15b)のテーパは、概ね2〜3度あれば、十分な締め付け強さを付与できる。
【0026】
カップリング部材1は、金属、樹脂又はこれらの複合物から作製されるものである。この中、樹脂製のものは、組み付けの際、金属音などが発生せず、組み付けも容易となる点で好ましい。樹脂としては、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂などエンジニアリングプラスチックが使用できる。これらの合成樹脂は、耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性に優れる。なお、樹脂には、更にガラス繊維やカーボン繊維等の強化繊維が含まれていてもよい。
【0027】
支柱2としては、長手方向に規則又は不規則の間隔で環状又は部分環状の係止溝を形成したものが使用できる。支柱2の断面形状としては、特に制限されず、円形断面の他、楕円断面、四角形断面、菱形断面、X形及びH形などが挙げられる。部分環状溝には、外周面に対して直線状に切り込んだ、溝中央の溝深さが大で溝端部に向かうにつれて浅くなる溝であってもよい。
【0028】
組立棚10で使用する棚部材31において、凹状係合部3の形成位置は、凹状係合部3の中、少なくとも1つが棚部材31の四隅以外の位置に形成されたものである。棚部材31の四隅とは、凹状係合部3が形成される端部(辺部)の端を言い、棚部材31が平面視で矩形状の場合、矩形の端部(辺部)又はその近傍を言う。本例の凹状係合部3は、端からL分内側に入った位置に形成されたものである(図2参照)。凹状係合部3を内側に設置することで、支柱2が眼に留まり難く、圧迫感がなくなる。また、支柱2の外側に小さなスペースの棚面があるため、従来とは趣の異なった陳列が可能となる。棚部材31の棚本体部分はボード状又は網目状のいずれでもよい。L長さは、少なくとも1本の支柱に適用され、端から少なくとも5cm以上内側に入ったものが好適であり、更に(L/4)±(L/8)程度が特に好適である。
【0029】
また、凹状係合部3は、カップリング部材1の一方の部材1aの第1テーパ16a(16b)に当接する第3テーパ33とカップリング部材1の他方の部材1bの第2テーパ17b、17bに当接する第4テーパ32、カップリング部材1の両腕部12a(12b)、13a(13b)に形成される第5テーパ15a(15b)に当接する第6テーパ36をそれぞれ備える。組立棚10は、カップリング部材1に凹状係合部3を嵌め込んで形成され、棚部材31は、正面視で2つの支柱2、2の軸芯間に配置される。なお、カップリング部材1の第5テーパ15a(15b)及び凹状係合部3の第6テーパ36は任意の構成要素である。
【0030】
図13〜図15に示すように、棚部材31の凹状係合部3は、カップリング部材1の左右側面形状に対応する内周面を有する係合本体部35と、係合本体部35の前端且つ両側から内側に向かって延びる鍔部34を備えるものであり、くりぬき部分311の奥側の内周面(内壁面)33に下方に向けて漸次拡大する第3テーパ322が形成され、鍔部34の第3テーパ側の面32に第4テーパ321が形成されている。すなわち、図13及び図15に示すように、第4テーパ321は、正面視(図13中、符号Z−Z)で表われるものであり、カップリング部材1の第2テーパ17a(17b)の形状に対応した形状となっている。また、第3テーパ322は、カップリング部材1の第1テーパ16a(16b)の形状に対応した形状、本例では下方に向けて拡径となる凹面形状となっている。
【0031】
また、鍔部34の内側面36は、下方に向けて漸次拡がり状のテーパ(第6テーパ)となっている。この第6テーパ36は、カップリング部材1の第5テーパ15a(15b)に対応しており、凹状係合部3をカップリング部材1に嵌め込むことで、第6テーパがカップリング部材1の両腕部12a、13a(12b、13b)を支柱2側へ強く押すため、カップリング部材1の支柱2への嵌合強度が高まる。第6テーパ36のテーパは、概ね2〜3度あれば、十分な締め付け強さを付与できる。
【0032】
また、鍔部34の第3テーパ側の角は、平面視で鋭角となっている。これにより、同様の鋭角に形成された壁部(第2テーパ17a(17b))が係合することで、凹状係合部3の係合が外側に外れることがなくなる。
【0033】
次に、支柱2に棚部材31を固定する方法の一例を以下に説明する。先ず、支柱2にカップリング部材1を介して最下段の棚部材31bを固定する。すなわち、支柱2の高さ方向における下方の所定位置に、カップリング部材1を取り付ける。カップリング部材1の取付けは、2つの部材を互いに対峙させ、支柱2を両側から抱き込むように嵌め込む。この際、支柱2の係止溝22とカップリング部材1の突条14a(14b)を一致させる。これにより支柱2の係止溝22とカップリング部材1の突条14a(14b)は係止状態となり、上下方向の移動を規制する。カップリング部材1の取付けは、4本の支柱2について行う。次に、棚部材31bの凹状係合部3をカップリング部材1に対して上方から下方に向けて押し込む(図17(A))。これにより、棚部材31の第3テーパ322は、カップリング部材1の一方の部材1aの第1テーパ16aに当接し、一方の部材1aを支柱2方向に押圧し(図17(A)符号A方向)、棚部材31の第4テーパ321は、カップリング部材1の他方の部材1bの第2テーパ17bに当接し、他方の部材1bを一方の部材側方向に押圧し(図17(A)符号B方向)、カップリング部材1の2つの部材で支柱2を抱き締めることになる(図17(B))。このように、棚部材31と支柱2は、非接触であり、棚部材31は、カップリング部材1が支持しており、棚部材31の凹状係合部3をカップリング部材1に対して下方側へ押し込むことで、カップリング部材1を支柱2に強く固定することになる。次に、中間棚部材31a及び最上段棚部材31を取り付けるが、取り付けの順序は、どちらが先でもよい。すなわち、先に中間棚部材31aを、その後、最上段棚部材31を取り付けても、先に最上段の棚部材31を、その後、中間棚部材31aを取り付けてもよい。従来の組立棚は、中間棚部材31aを最後に取り付けることができなかったが、本発明の組立棚は、中間棚部材31aを最後に取り付けることができ、作業手順が多様になり、取り付け作業が容易になる。
【0034】
図1に示すような組立棚10を1基(通常は上下多段)とすると、棚部材31は、正面視で2つの支柱2、2の軸芯間に配置される(図1及び図17参照)。すなわち、図26に示すように、棚部材31の正面視における1辺の長さ(l)は、一方(左側)の支柱2の軸芯Yと他方(右側)の軸芯Y間の長さ(l)と同等若しくはわずかに小である。すなわち、1つの棚部材31を正面視でカップリング部材1の径方向の1/2領域内で支持する。図26に示すように、棚部材31の正面視における1辺の長さ(l)を、2つの支柱2、2の軸芯間長さ(l)よりわずかに小とすれば、組立棚10を連結する際、2つの棚部材31の端部(辺部)が接触することがなく、組み付けが容易となる。組み付けられた2つの棚部材31の端部間の隙間、(一つの組立棚支柱2の軸芯と棚部材31の端面間の2倍)(図27中、符号n)は、5mm以内、好適には2mm以内とすることが、棚部材31に載せられた小物の落下を防止できる点で好ましい。棚部材31の端部は、本例では、凹状係合部3の端部である。このように、棚部材31の両端は、正面視で2つの支柱2、2の軸芯を超えて、外側に位置することはない。なお、軸芯Yは、正面視における鉛直方向に延びる支柱2の中心を言う。
【0035】
棚部材31は、カップリング部材1の正面視の径方向における1/2の領域内で支持される。このように、支柱2の半分(カップリング部材1の半分)を使用することにより、組立棚10の2基を、長手方向に連結した際、1本の支柱2を左右の棚部材31、31の固定に際して共有することができる(図16及び図19)。
【0036】
組立棚10で使用する棚部材31において、支柱2は4本に限定されず、例えば2本、3本、又は5本以上であってもよい。この場合、凹状係合部3は少なくとも使用する支柱2の本数以上が棚部材31に形成されることになる。支柱2が2本又は3本あるいは5本以上の場合、棚部材31における凹状係合部3の形成位置は、使用目的、設置安定性及びデザイン等を考慮して適宜の位置に決定される。支柱2が2本又は3本の場合、従来にはない趣のある棚を演出できる。また、支柱2が5本以上の場合、設置強度、設置安定性を高めることができる。
【0037】
次に、連結組立棚を図19を参照して説明する。すなわち、組立棚10において、カップリング部材1の他方の部材1bの第1テーパ16bに当接する第3テーパ322とカップリング部材の一方の部材1aの第2テーパ17aに当接する第4テーパ321を有する凹状係合部3を備える他の棚部材を、組立棚10のカップリング部材1のもう一方の領域内に嵌合して得られるものである。すなわち、連結組立棚20は、カップリング部材1の正面視の径方向(長手方向)における他の1/2の領域内に、組立棚10の長手方向に連結される同じ形状の他の棚部材の凹状係合部3を嵌め込み、2つの棚部材31、31を1つの支柱2を介して連結することで組立棚20を形成できる。すなわち、図19に示すように、組立棚20は1本の支柱1の両側にそれぞれ棚部材31を設けて、2連の組立棚としたものである。組立棚20において、組立棚10と異なる点は、中間の支柱2の固定部分である。すなわち、図1及び図19に示すように、組立棚10で使用していない、カップリング部材1の径方向における他の1/2の領域部分に、新たに連結する棚部材3が取り付けられる。使用する棚部材31及びその取り付け方法は、組立棚10の場合と同じである。
【0038】
組立棚10及び組立棚20において、例えば中間棚部材31aを取り除きたい場合、あるいはその設置位置を変更したい場合(中抜き操作)について図1及び図18を参照して説明する。図1の中間棚部材31aの中抜きは、中間部材31aをそのまま上方に若干持ち上げる。その際、中間部材31aの上方空間Sに障害となるものはないし、カップリング部材1が存在しない部分における支柱2と棚部材31の凹状係合部3とは隙間が十分にある状態となる。少し持ち上がったところで、中間棚部材31aを長手方向に下り傾斜又は上り傾斜となるように傾ける(図18参照)。この傾ける位置は傾けられた中間棚部材31aにおける水平寸法が組立棚10の2つの支柱2、2間の間口より小となる位置である。この中間棚部材31aを傾けた状態から中間棚部材31aをそのままの姿勢で手前に引出せば、中間棚部材31aの中抜きが可能となる。なお、その後、カップリング部材1を取り外すか、若しくは位置を変更して取り付け、中間棚部材31aを再設置すれば、中間棚部材31aの設置位置の変更が可能となる。
【0039】
中間棚部材31aを再設置するには、上記取り除き方法とは逆の操作方法により行なえばよい。このように、組立棚10及び組立棚20は、中抜き操作が容易に行える。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態における組立棚を図20を参照して説明する。図20において、図1及図2と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。なお、図20は、棚部材31や他の3本の支柱などの記載を省略した。すなわち、組立棚10aにおいて、組立棚10と主に異なる点は、カップリング部材1Aの腕部の形状である。
【0041】
組立棚10aのカップリング部材1Aにおいて、一方の部材1cは、支柱2の周面形状に対応する凹状の内周面を有する本体部11cと、本体部11cの一方の側(正面視の反正面側)の上半分から支柱2の径方向(内側)に延びる1つの腕部12cと、本体部11cの他方の側(正面視の正面側)の下半分から支柱2の径方向(内側)に延びる1つの腕部13cとからなり、また、他方の部材1dは、支柱2の周面形状に対応する凹状の内周面を有する本体部11dと、本体部11dの一方の側(正面視の反正面側)の下半分から支柱2の径方向に延びる1つの腕部13dと、本体部11dの他方の側(正面視の正面側)の上半分から支柱2の径方向に延びる1つの腕部12dとからなる。
そして、カップリング部材1Aを支柱2に嵌め込む場合、一方の部材1cの腕部12cの下方空間に他方の部材1dの1つの腕部13dが嵌り、他方の部材1dの腕部12dの下方の空間に一方の部材1cの1つの腕部13cが嵌ることになる。
【0042】
組立棚10aにおいて、カップリング部材1A、支柱2及び棚部材31で形成される嵌合構造は、組立棚10と同様の作用効果を奏する。また、組立棚10aは、組立棚10と同様に中抜き操作をすることができる。また、組立棚10aは、横方向に他の組立棚を連結することもできる。
【0043】
なお、本発明のカップリング部材において、両腕部の一方の腕において、該カップリング部材を該支柱に嵌め込んだ際、一方の部材の腕と他方の部材の腕が互い違いに配置される形態としては、上記第1形態例の1対2(2対1)、上記第2形態の1対1に限定されず、例えば3対3等も含まれる。
【0044】
次に、本発明の第3の実施の形態における組立棚を図21を参照して説明する。図21において、図1及び図2と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、組立棚10bにおいて、組立棚10と主に異なる点は、支柱2aの形状、係止溝22aの形状、カップリング部材1Bの形状及び棚部材の凹状係合部の形状である。
【0045】
組立棚10bにおいて支柱2aは断面が四角形の四角柱である。また、係止溝22aは、四角柱を形成する4面の左右両面221、222に形成されるのみで、正面と裏面には形成されていない。
【0046】
組立棚10bの本体部11e(11f)は、所定高さ及び所定幅を有する平板状であって、所定幅と所定高さの外周面が下方に向けて拡径した形状の第1テーパ16e(16f)となっている。本体部11e(11f)の内幅寸法は、支柱2aの幅寸法である。これにより、支柱2aに隙間なく嵌合できる。また、本体部11e(11f)の裏面には、支柱2aの係止溝22aに係止する水平状に延びる突条14eが形成されている。これにより、柱2aの係止溝22aと突条14eが確実に係止できる。
【0047】
棚部材31の凹状係合部3fは、カップリング部材1Bの径方向(棚部材の長手方向)における約半分を収納する容積に相当する部分311がくり抜かれている。これにより、凹状係合部3fとカップリング部材1Bは隙間なく嵌め込むことができ、両者を一体化できる。
【0048】
組立棚10bにおいて、カップリング部材1B、支柱2a及び棚部材31で形成される嵌合構造は、組立棚10と同様の作用効果を奏する。また、組立棚10bは、組立棚10と同様に中抜き操作をすることができる。また、組立棚10bは、横方向に他の組立棚を連結することもできる。
【0049】
次に、本発明の第4の実施の形態における組立棚を図22及び図23を参照して説明する。図22及び図23において、図21と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、組立棚10cにおいて、組立棚10bと主に異なる点は、係止溝22bの形状である。
【0050】
すなわち、組立棚10cにおいて、係止溝22bは、支柱2bの四角柱を形成する4面の全てに形成されている。
【0051】
組立棚10cにおいて、カップリング部材1B、支柱2b及び棚部材31で形成される嵌合構造は、組立棚10bと同様の作用効果を奏する。また、組立棚10cは、組立棚10bと同様に中抜き操作をすることができる。また、組立棚10cは、横方向に他の組立棚を連結することもできる。
【0052】
次に、本発明の第5の実施の形態における組立棚を図24〜図25を参照して説明する。図24〜図25において、図21及び図22と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、組立棚10dにおいて、組立棚10bと主に異なる点は、支柱2cの形状、カップリング部材1Cの形状及び棚部材の凹状係合部の形状である。
【0053】
組立棚10dにおいて支柱2cは断面が菱形の四角柱である。また、係止溝22cは、支柱2cの四角柱を形成する4面の全てに形成されている。
【0054】
組立棚10dの本体部11g(11h)は、所定高さ及び所定幅を有する内面形状が支柱2cの外形に相当する三角断面であって、所定幅と所定高さの外周面が下方に向けて拡径した形状の第1テーパとなっている。本体部11g(11h)の内幅寸法は、支柱2cの幅寸法である。これにより、支柱2cに隙間なく嵌合できる。また、本体部11g(11h)の裏面には、支柱2cの係止溝22cに係止する水平状に延びる突条14gが形成されている。これにより、支柱2cの係止溝22cと突条14gが確実に係止できる。
【0055】
棚部材31の凹状係合部3gは、カップリング部材1Cの径方向(棚部材の長手方向)における約半分を収納する容積に相当する部分311がくり抜かれている。これにより、凹状係合部3gとカップリング部材1Cは隙間なく嵌め込むことができ、両者を一体化できる。
【0056】
組立棚10dにおいて、カップリング部材1C、支柱2c及び棚部材31で形成される嵌合構造は、組立棚10bと同様の作用効果を奏する。また、組立棚10dは、組立棚10bと同様に中抜き操作をすることができる。また、組立棚10dは、横方向に他の組立棚を連結することもできる。
【0057】
次に、本発明の第6の実施の形態における組立棚を図28及び図29を参照して説明する。図28において、図1と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図28の1本支柱の組立棚において、図1の4本の支柱の組立棚と異なる点は、支柱及びカップリング部材の使用個数をそれぞれ1個とした点、棚部材の形状を略円板形とした点及び凹状係合部を棚部材の略中心に形成した点にある。すなわち、1本支柱の組立棚は、棚部材31aの中央に凹状係合部3を形成し、凹状係合部3の開口方向にカップリング部材1が通る挿入路371を切り欠いて形成したものである。1本支柱の組立棚を組み付けるには、支柱2にカップリング部材1を嵌合し、次いで、カップリング部材1が嵌合した支柱2を挿入路371に通して、カップリング部材1を凹状係合部3に嵌め込めばよい。なお、1本支柱の組立棚で用いる支柱2、カップリング部材1及び凹状係合部3は、4本の支柱の組立棚で使用のものと同じである。
【0058】
1本支柱の組立棚は、上記形態に限定されず、例えば図30のような半円形状の棚部材31bであってもよい。半円形状の棚部材31bを使用する場合、径方向に延びる直線状の端部の中央に凹状係合部3を設けてもよく(図30)、また、径方向に延びる直線状の端部の中央以外の位置に凹状係合部3を設けてもよい。また、1本支柱の組立棚は、1本の支柱に複数の棚部材を設置してもよい。
【0059】
次に、本発明の第7の実施の形態における組立棚を図31(A)を参照して説明する。図31(A)において、図1と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図31の2本支柱の組立棚において、図1の4本の支柱の組立棚と異なる点は、支柱及びカップリング部材の使用個数をそれぞれ2個とした点及び凹状係合部3を棚部材31cの短手方向の端辺部372の略中央とした点にある。すなわち、本例の2本支柱の組立棚においても、簡易な構造で安定な指示ができる。
【0060】
2本支柱の組立棚は、上記形態に限定されず、例えば図31(B)のような長手方向の端辺部に2つの凹状係合部3を形成した片持ち支持の組立棚であってもよい。また、半円形状の棚部材31eの径方向に延びる直線状の端辺部の2箇所に凹状係合部3を設けてもよい(図31(C))。図31(B)、(C)において、長手方向に延びる端辺部における凹状係合部3の形成位置、すなわち、符号Lは、第1の実施の形態例における凹状係合部3の形成位置と同様に、凹状係合部3の少なくとも1つが、端から少なくとも5cm以上が好適であり、更に(L/4)±(L/8)程度が特に好適である。
【0061】
次に、本発明の第8の実施の形態における組立棚を図32(A)を参照して説明する。図32(A)において、図1と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図32(A)の3本の支柱を有する組立棚において、図1の4本の支柱の組立棚と異なる点は、支柱及びカップリング部材の使用個数をそれぞれ3個とした点及び凹状係合部3を棚部材31cの一方の長手方向の端辺部373に2箇所、他方の長手方向の端辺部373の略中央に1箇所形成した点にある。すなわち、本例の3本支柱の組立棚においても、簡易な構造で安定な指示ができる。
【0062】
3本支柱の組立棚は、上記形態に限定されず、例えば図32(B)のような一方の長手方向に延びる端辺部373に3つの凹状係合部3を形成した片持ち支持の組立棚であってもよい。図32(A)、(B)において、長手方向に延びる端辺部373における凹状係合部3の形成位置、すなわち、符号Lは、第1の実施の形態例における凹状係合部3の形成位置と同様に、凹状係合部3の少なくとも1つが、端から少なくとも5cm以上が好適であり、更に(L/4)±(L/8)程度が特に好適である(符号Lは棚部材の長手方向の長さ)。
【0063】
次に、本発明の第9の実施の形態における組立棚を図33を参照して説明する。図33において、図1と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図33の4本の支柱を有する組立棚において、図1の4本の支柱の組立棚と異なる点は、凹状係合部3を棚部材31hの長手方向の端辺部373にそれぞれ2箇所、都合4箇所形成した点にある。すなわち、本例の4本支柱の組立棚においても、第1の実施の形態例の組立棚と同様の効果を奏する。
【0064】
次に、本発明の第10の実施の形態における組立棚を図34を参照して説明する。図34において、図33と同一構成要素には同一符号を付して、その説明を省略し、異なる点について主に説明する。すなわち、図34の4本の支柱を有する組立棚において、図33の4本の支柱の組立棚と異なる点は、凹状係合部3の形成位置である。すなわち、棚部材31iにおいて、1つの端辺部における1つの凹状係合部3をより端側に形成し、他の1つの凹状係合部3をより内側に形成したことにある。本例の4本支柱の組立棚においても、簡易な構造で安定な指示ができる。図34(A)において、長手方向に延びる端辺部373における凹状係合部3の形成位置は、端辺部に1つと、端から内側にL入った位置に1つである。Lは(L/3)±(L/8)程度が特に好適である(符号Lは棚部材の長手方向の長さ)。
【0065】
棚部材31iを使用した連結組立棚20aは、図35に示すように、組立棚をジグザグに配置した形態となり、従来の組立棚とは、趣の異なる棚面を形成することができる。
【0066】
4本の支柱の組立棚は、上記形態に限定されず、例えば図36のような一部が欠落した扇形状のものであってもよい。一方の長手方向に延びる端辺部374に2つの凹状係合部3を形成した組立棚であってもよい。図36において、径方向に延びる端辺部374における凹状係合部3の形成位置は、端から内側にL入った位置である。Lは、第1の実施の形態例における凹状係合部3の形成位置と同様に、端から少なくとも5cm以上が好適であり、更に(L/4)±(L/8)程度が特に好適である(符号Lは径方向に延びる辺部の長さ)。
【0067】
棚部材31jを使用した連結組立棚20bは、図37に示すように、棚部材を平面視でドーナツ形状に配置した中心が空いた円形の棚面を形成でき、従来の組立棚とは、趣の異なる棚面を形成することができる。また、図36の棚部材31jの棚部材のみを使用し、2つの連結棚部材と1つ棚部材を交互に組み付けた連結組立棚20c(図38)は、中心部が空いた湾曲形状の棚面を形成することができる。
【0068】
棚部材31jと矩形状の棚部材31kを使用した連結組立棚20dは、図39に示すように、中心が空いた楕円形の棚面を形成でき、従来の組立棚とは、趣の異なる棚面を形成することができる。
【0069】
図36の扇形の棚部材31jの変形例として、棚部材31jの凹状係合部3の中、少なくとも1つが棚部材31jの略四隅の位置に形成されるものであってもよい。このような棚部材に4本の支柱とカップリング部材を組み付けたものは、棚部材31jがカップリング部材1の径方向の1/2領域内で支持されると共に、棚部材31jは扇の要から見て2つの支柱の軸芯間に配置されることになる。
【0070】
また、図1の組立棚10の変形例として、2つの棚部材31dを中段の棚部材の左右両側にそれぞれ連結した3段の組立棚20e(図40)、4本の支柱の中の2本を長い支柱に代えて、更に1つの棚部材31cを上段に設置した3段の組立棚20f(図41)等が挙げられる。
【0071】
本発明の組立棚は、上記実施の形態例に限定されず、例えば、棚部材の形状は種々の形状のものが使用できる。また、棚部材の使用毎数、すなわち段数についても、使用目的に応じて、適宜決定して使用される。また、棚部材は、左右反転して使用することができる。棚部材を左右反転して使用する場合、左右非対称の棚部材あるいは前後非対称の棚部材であれば、左右反転により、趣の異なる組立棚を演出できる。また、1〜3本あるいは5本以上の支柱を使用する組立棚において、棚部材における凹状係合部の設置個数や設置位置は限定されず、適宜に選択される。また、4本の支柱を使用する組立棚において、凹状係合部の中、少なくとも1つが棚部材の四隅以外の位置に形成されるのであれば、その他の凹状係合部の設置個数や設置位置は限定されず、適宜に選択される。また、本発明の連結組立棚において、組立棚の連結個数や連結位置は特に限定されない。また、連結に関与する支柱は2本に限定されず、1本あるいは3本以上であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の組立棚は、事務所、家庭、倉庫、店舗等において、また店舗において、組み付けと解体が容易な陳列棚として使用できる。また、4本の支柱で支持する組立棚においては、少なくとも1本の支柱が四隅以外の内側に設置されるため、使用者に圧迫感を与えない趣のある棚面が形成できる。また、1〜3本の支柱で支持する簡易な構造の組立棚は、従来には無いユニークな棚面を形成できる。
【符号の説明】
【0073】
1 カップリング部材
1a 一方の部材
1b 他方の部材
2、2a、2b、2c 支柱
3 凹状係合部
10、10a〜10d 組立棚
11a(11b) カップリングの本体部
12a(12b) 一方の腕部
13a(13b) 他方の腕部
14a(14b) 突条
16a(16b) 第1テーパ
17a(17b) 第2テーパ
20、20a〜20c 連結組立棚
322 第3テーパ
321 第4テーパ
22、22a〜22c 係止溝
31、31a〜31j 棚部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に規則又は不規則の間隔で係止溝又は係止孔を形成した1〜3本、又は5本以上の支柱と、
該支柱に装着されるカップリング部材と、
該カップリング部材に嵌め込まれる凹状係合部を有する棚部材とからなり、
該カップリング部材は、該支柱を両側から抱き込むように互いに嵌り合う2つの部材からなり、該2つの部材のそれぞれは、下方に向かうに従って漸次拡径した形状で側面に形成された第1テーパと、下方に向かうに従って漸次縮小した形状の第2テーパをそれぞれ有し、該カップリング部材を、該第1テーパが正面視で左右両側の外周面に、該第2テーパが正面視で前後両側に表われるようにそれぞれ嵌合し、該カップリング部材を該支柱に嵌め込んだ際、一方の部材の第1テーパと他方の部材の第2テーパは、正面視で該カップリング部材の左右方向に延びる径方向の1/2領域内に配置され、他方の部材の第1テーパと一方の部材の第2テーパは、正面視で該カップリング部材の左右方向に延びる径方向の他の1/2領域内に配置されるものであり、
該凹状係合部は、該カップリング部材の一方の部材の第1テーパに当接する第3テーパと該カップリング部材の他方の部材の第2テーパに当接する第4テーパを有し、
該棚部材を該カップリング部材の径方向の1/2領域内で支持することを特徴とする組立棚。
【請求項2】
長手方向に規則又は不規則の間隔で係止溝又は係止孔を形成した4本の支柱と、
該支柱に装着されるカップリング部材と、
該カップリング部材に嵌め込まれる凹状係合部を有する棚部材とからなり、
該カップリング部材は、該支柱を両側から抱き込むように互いに嵌り合う2つの部材からなり、該2つの部材のそれぞれは、下方に向かうに従って漸次拡径した形状で側面に形成された第1テーパと、下方に向かうに従って漸次縮小した形状の第2テーパをそれぞれ有し、該カップリング部材を、該第1テーパが正面視で左右両側の外周面に、該第2テーパが正面視で前後両側に表われるようにそれぞれ嵌合し、該カップリング材を該支柱に嵌め込んだ際、一方の部材の第1テーパと他方の部材の第2テーパは、正面視で該カップリング部材の左右方向に延びる径方向の1/2領域内に配置され、他方の部材の第1テーパと一方の部材の第2テーパは、正面視で該カップリング部材の左右方向に延びる径方向の他の1/2領域内に配置されるものであり、
該凹状係合部は、該カップリング部材の一方の部材の第1テーパに当接する第3テーパと該カップリング部材の他方の部材の第2テーパに当接する第4テーパを有し、該凹状係合部の中、少なくとも1つが該棚部材の四隅以外の位置に形成されるものであり、 該棚部材をカップリング部材の径方向の1/2領域内で支持することを特徴とする組立棚。
【請求項3】
長手方向に規則又は不規則の間隔で係止溝又は係止孔を形成した4本の支柱と、
該支柱に装着されるカップリング部材と、
該カップリング部材に嵌め込まれる凹状係合部を有する扇形の棚部材とからなり、
該カップリング部材は、該支柱を両側から抱き込むように互いに嵌り合う2つの部材からなり、該2つの部材のそれぞれは、下方に向かうに従って漸次拡径した形状で側面に形成された第1テーパと、下方に向かうに従って漸次縮小した形状の第2テーパをそれぞれ有し、該カップリング部材を、該第1テーパが正面視で左右両側の外周面に、該第2テーパが正面視で前後両側に表われるようにそれぞれ嵌合し、該カップリング部材を該支柱に嵌め込んだ際、一方の部材の第1テーパと他方の部材の第2テーパは、正面視で該カップリング部材の左右方向に延びる径方向の1/2領域内に配置され、他方の部材の第1テーパと一方の部材の第2テーパは、正面視で該カップリング部材の左右方向に延びる径方向の他の1/2領域内に配置されるものであり、
該凹状係合部は、該カップリング部材の一方の部材の第1テーパに当接する第3テーパと該カップリング部材の他方の部材の第2テーパに当接する第4テーパを有し、該凹状係合部の中、少なくとも1つが該棚部材の四隅の位置に形成されるものであり、
該棚部材をカップリング部材の径方向の1/2領域内で支持すると共に、該棚部材は扇の要から見て該2つの支柱の軸芯間に配置されることを特徴とする組立棚。
【請求項4】
該係止溝は、環状又は部分環状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組立棚。
【請求項5】
該凹状係合部は、該カップリング部材の左右側面形状に対応する内周面を有する係合本体部と、該係合本体部の前端且つ両側から内側に向かって延びる鍔部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組立棚。
【請求項6】
該第3テーパは、該カップリング部材の左右側面形状に対応する内周面の形状であって、該一方の部材の第1テーパに対応するテーパであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の組立棚。
【請求項7】
該第4テーパは、該凹状係合部の鍔部の該第3テーパ側の面に形成されるものであって、該他方の部材の第2テーパに対応するものであることを特徴とする1〜6のいずれか1項に記載の組立棚。
【請求項8】
該棚部材の第3テーパは、該カップリング部材の一方の部材を該支柱方向に押圧し、該棚部材の第4テーパは、該カップリング部材の他方の部材を該一方の部材側に押圧し、該カップリング部材の2つの部材で該支柱を抱き締めることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の組立棚。
【請求項9】
該カップリング部材の他方の部材の第1テーパに当接する第3テーパと該カップリング部材の一方の部材の第2テーパに当接する第4テーパを有する凹状係合部を備える他の棚部材を、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組立棚のカップリング部材のもう一方の領域内に嵌合し、連結して得られることを特徴とする連結組立棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2012−29867(P2012−29867A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171985(P2010−171985)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(394016874)河淳株式会社 (61)
【Fターム(参考)】