説明

組立補助装置の主筋位置決め治具兼用補強枠及びその鉄筋篭横組み工法。

【課題】 鉄筋篭を補強するための補強枠と、主筋の位置決め治具を兼用することで、組立作業効率とコストの改善を図る主筋位置決め治具兼用補強枠及びその鉄筋篭横組み工法を得ること。
【解決手段】 主筋位置決め治具兼用補強枠を主筋の両端部近傍にそれぞれ配置し、その間に位置調整ネジで移動可能にフープ筋を所定間隔に支持すると共に主筋を移送する誘導移送ローラーを設けた組立補助装置であって、一方の該主筋位置決め治具の、略U字状の曲部径が主筋と略同径で直線部が幅広の主筋保持部材から主筋を挿通すると共に各配設されたフープ筋の内径側を通過させて、他端の主筋位置決め治具まで挿通して各主筋保持部材で保持固定して補強枠として形成し、各フープ筋及び主筋の交差部を取付金具又は溶接で保持固定して鉄筋篭とする組立補助装置の主筋位置決め治具兼用補強枠及びその鉄筋篭横組み工法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋篭を補強するための補強枠と、その横組みする組立補助装置の主筋の位置決め治具とを兼用する鉄筋篭を横組みする組立補助装置の主筋位置決め治具兼用補強枠及びその鉄筋篭横組み工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐震基礎などに使用される鉄筋篭の組立は、多数の鉄筋である主筋とフープ筋を格子状に組み合わせて、円柱状または角柱状に形成する鉄筋籠の組立体を、その建て込み近くで、組立補助装置により横組みすることが汎用に行われている。
【0003】
また、その鉄筋籠の組立は、円柱状または角柱状に形成するための治具又は組立補助装置で、予め主筋及びフープ筋を保持して各格子状に組み合せ、そして該各格子状の交差部を溶接又は市販される取付金具で保持固定して鉄筋籠としている。
【0004】
さらに、耐震基礎などに使用される鉄筋篭の主筋は一般的に太く高重量で、該高重量による鉄筋籠に使用する主筋とフープ筋の座掘変形と、さらには該鉄筋籠を組立移送時の吊り上げに対する変形も防ぐ意味で、該鉄筋籠に対応する補強枠が要所に使用されていた。
【0005】
加えて、鉄筋籠組立補助装置による主筋と補強枠との組立の保持固定は、もっぱら取付金具で固定されることが多く、該組立補助装置により主筋を所定位置に保持してから、該主筋と補強枠とを取付金具で固定している。
【0006】
しかして、鉄筋籠の組立に関連する先行技術として、円周上の中心軸方向に配列される複数の主筋と、
これら主筋の内側に配設される複数の補強枠とを含んで構成される鉄筋籠の組立方法で、前記中心軸方向とほぼ直交する方向に並列配置された鉄筋籠台に、柱部材を複数本ずつ立設する柱部材立設工程と、
前記柱部材に、前記中心軸方向とほぼ直交する水平方向でかつ各主筋の配設高さ位置に棒部材を支持するための支持具を固定する支持具固定工程と、
前記支持具に棒状の主筋受け部材を水平方向に掛け渡して設置する主筋受け棒設置工程と、
同一高さ位置に並列配置された前記主筋受け部材に前記主筋を載置し、かつ起立状態で並列配置された前記補強枠の外側に前記主筋を当接させた状態で、前記主筋を前記各補強枠に固定する工程とを含むとする実施例を示す「鉄筋籠の組立方法、及び該方法に用いられる組立補助用具」がある。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−299380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の鉄筋籠の組立において、例えば、数十本の主筋を円柱状または角柱状に、治具又は組立補助装置に配して、その形状に対応するフープ筋をそれぞれ配して所定形状に組み立てられるが、その所定形状に組立するとき、まず、該主筋を支持する治具又はその組立補助装置を、高重量で数多い主筋を支持するため、その重量及び所定形状に対応させ、且つ組立移送時の変形も防ぐ必要から、予めそれに対応させる治具又はその組立補助装置の組立と、補強枠を組立てる必要があり、その個々の作業が煩雑であり作業性も悪く、また治具又は組立補助装置と補強枠の両方が必要であることからコスト高となり、その改善が求められていた。
【0009】
また、鉄筋篭を補強するための補強枠と該主筋を固定するとき、固定強度を高めるため、取付金具を主筋サイズに合ったUボルトなどの取付金具を使用するが、その主筋にUボルトなどの取付金具を取り付けるとき、主筋サイズと該取付金具のサイズが合っていることから主筋の挿入に余裕がないため、該Uボルトに主筋を嵌め込みにくく、主筋の挿通設置が煩雑となり、その改善も求められていた。
【0010】
而して、先行技術で開示される特許文献1の「鉄筋籠の組立方法、及び該方法に用いられる組立補助用具」は、柱部材を複数本、立設する柱部材立設工程と、その柱部材に、水平方向でかつ各主筋の配設高さ位置に支持具を固定する支持具固定工程と、その支持具に棒状の主筋受け部材を水平方向に掛け渡して設置する主筋受け棒設置工程により、組立補助用具を組み立てていることから、その組立補助用具を鉄筋籠の径サイズなどに合わせて組立てるので、前工程の組立補助用具の煩雑な組立が必要となり、また従来と同様、その組立補助用具とは別に補強枠もそれぞれ設けることから、上述したと同様の一連の改善が求められていた。
【0011】
このような課題から本発明は、鉄筋篭を補強するための強固な補強枠を得ると同時に、その補強枠と鉄筋篭組立補助装置の主筋位置決め治具を兼用し、その補強枠を使用した組立補助装置による鉄筋篭横組み工法で、上述した課題の解決を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を有効に達成するために、第1の解決手段として、主筋位置決め治具兼用補強枠に予め主筋保持部を設けると共に各主筋を該所定位置に配置できるように主筋保持部材を設け、該主筋保持部材に各主筋を挿入保持すると共に配置固定させるとしたことにより、
鉄筋篭を補強するための強固な補強枠と主筋位置決め治具とを兼用して、主筋とフープ筋及び補強枠により強固な鉄筋篭を形成するとしている。
【0013】
また、第2の解決手段として、主筋保持部材を略U字状のUボルトとし、該U字状の曲部径が主筋と略同径で、また該U字状の直線部分の幅が該主筋より幅広で、該主筋が遊嵌できる変形のUボルトとしたことにより、
主筋を主筋保持部材のUボルトに挿通するとき、まずU字状の直線部分の該主筋より幅広の部分に挿通させると共に主筋を保持固定するとき、該U字状の曲部径で強固に保持固定するとしている。
【0014】
さらに、第3の解決手段として、鉄筋篭を構成する主筋の少なくとも両端近傍に主筋位置決め治具兼用補強枠をそれぞれ配設した該主筋位置決め治具の間にフープ筋を所定間隔で支持するフープ筋支持部を所用数それぞれ配設すると共にその所要位置に主筋を移送する誘導移送ローラーを設けたことにより、
主筋位置決め治具兼用補強枠に予め設けられた主筋保持部の主筋保持部材に、主筋を上記誘導移送ローラーにより誘導移送させ、該主筋保持部材で配置固定して鉄筋篭を横組みするとしている。
【0015】
加えて、第4の解決手段として、フープ筋支持部が、位置調整ネジで移動可能に支持されたことにより、
主筋に固定されるフープ筋の所定位置を、予めフープ筋支持部で任意に移動設定するとしている。
【0016】
さらに加えて、第5の解決手段として、鉄筋篭横組み工法が、鉄筋篭を構成する主筋の少なくとも両端近傍位置に、主筋位置決め治具兼用補強枠をそれぞれ配設させ、その該主筋位置決め治具との間にフープ筋支持部を各配設してフープ筋を所定間隔で支持させた状態で、一方の該主筋位置決め治具の主筋保持部材から主筋を挿通すると共に各配設されたフープ筋の内径側を通過させて、他端の主筋保持部材まで挿通することで、該主筋を配置すると共に該主筋位置決め治具に設けられる各主筋保持部材で該主筋を保持固定し、また各フープ筋と主筋が格子状に交差するその交差部を取付金具又は溶接で保持固定することにより、
主筋位置決め治具と補強枠を兼用して使用する、該補強枠及びフープ筋に主筋を格子状に配設して柱状に形成する鉄筋篭横組み工法としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上述したそれぞれの手段によって有効な効果が得られるようにしたもので、特に、第1の解決手段の、主筋に補強枠及びフープ筋を格子状に各配設して柱状に形成する鉄筋篭において、主筋位置決め治具と補強枠が兼用できるように、該補強枠に予め主筋保持部を設けると共に該主筋保持部の配置と配設数が、鉄筋篭を柱状に構成する主筋の各配置位置及び配置数に対応して設けられ、該各主筋を該所定位置に配置すると共に挿入保持固定できるように、該主筋保持部に主筋保持部材を設けたことにより、
主筋とフープ筋及び補強枠により強固な鉄筋篭を形成する補強枠と、主筋を所定の位置に配置してフープ筋とで正確な鉄筋篭を形成するための主筋位置決め治具が兼用できるので、主筋位置決め治具と補強枠を個別に扱うことなく、また鉄筋篭組立の前準備の主筋位置決め治具の組立と補強枠の組立も一度で済むことで、組立作業効率が良く、使用する資材及び組立効率によりコスト低減となる。
【0018】
而して、第2の解決手段の、主筋保持部材が、略U字状のUボルトであって、該U字状の曲部径が主筋と略同径で、また該U字状の直線部分の幅が該主筋より幅広で、該主筋が遊嵌できる変形のUボルトであるとしたことにより、
主筋を主筋保持部材の略U字状のUボルトに挿通するとき、まず該主筋より幅広の直線部分に挿通させることで、主筋を容易に挿通でき、よってその挿通作業の効率化が図れ、また主筋を挿通後、該主筋と補強枠を保持固定するとき、Uボルトを締め付け保持させることで、主筋と略同径の該U字状の曲部径部に該主筋が締め付け嵌合され、主筋と補強枠とが強固に保持固定できるので、固定強度を高めることができ、よって鉄筋籠を組立移送時及び高重量によるフープ筋の変形も防ぐことができる。
【0019】
而して、第3の解決手段の、主筋位置決め治具兼用補強枠が、鉄筋篭を構成する主筋の少なくとも両端近傍に配設され、該主筋位置決め治具の間にフープ筋を支持するフープ筋支持部を、それぞれ所定間隔で所用数配設すると共に該主筋位置決め治具の間の所要位置に主筋を移送する誘導移送ローラーを設けた組立補助装置により、
予め配置された主筋保持部材により、各主筋が予め設定された形状の鉄筋篭に対応する所定位置に配置固定できる主筋位置決め治具を有する鉄筋篭の組立補助装置として使用でき、またそれにより正確な鉄筋篭が容易に形成できると共に該補強枠で強固な鉄筋篭とすることもでき、さらに作業効率が良くコスト低減となる。
【0020】
またフープ筋を所定間隔で支持するフープ筋支持部により、主筋を上記鉄筋篭の主筋位置決め治具兼用補強枠に挿通保持すると同時にフープ筋も所定位置で、該主筋と格子状に保持固定が出来るので、さらに作業効率が良くコスト低減となる。
【0021】
而して、第4の解決手段の、フープ筋支持部が、位置調整ネジで移動可能に支持されたことにより、
主筋に固定されるフープ筋の所定位置を、予めフープ筋支持部で設定できることから、フープ筋を主筋の所定配置位置に、容易に設定することができることで、正確な鉄筋篭が容易に形成でき、作業効率も上がる。
【0022】
而して、第5の解決手段の鉄筋篭横組み工法が、主筋に補強枠及びフープ筋を格子状に各配設して柱状に形成する鉄筋篭の横組み工法において、該鉄筋篭を構成する主筋の少なくとも両端近傍位置に、主筋位置決め治具兼用補強枠をそれぞれ配設すると共に該主筋位置決め治具との間にフープ筋支持部を所用数それぞれ配設してフープ筋を所定間隔で支持する鉄筋篭組立補助装置であって、その一方側の該主筋位置決め治具の主筋保持部材から、主筋を挿通すると共に各配設されたフープ筋の内径側を通過させて、他端側の該主筋位置決め治具の主筋保持部材まで主筋を挿通して配置すると共に該主筋位置決め治具に設けられる各主筋保持部材で、それぞれ主筋を保持固定した後、各フープ筋と主筋が格子状に交差するその交差部を取付金具又は溶接で保持固定することにより、
鉄筋篭の組立補助装置を使用した鉄筋篭横組み工法で、主筋位置決め治具と補強枠を兼用するので、鉄筋篭の横組み作業が早く、正確な鉄筋篭が容易に形成できると共に該補強枠で強固な鉄筋篭とすることができ、さらに作業効率が良くコスト低減となる。
よって、これらのことから本発明は、実用上著大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】 本発明の組立補助装置1の側面図である。
【図2】 本発明の組立補助装置1の要部の正面図である。
【図3】 本発明の組立補助装置1の要部の正面断面図である。
【図4】 本発明のフープ筋支持部5の作動状態を示す要部の正面断面図である。
【図5】 本発明のフープ筋支持部5の作動状態を示す要部の側面図である。
【図6】 本発明の主筋保持部材7のUボルトに主筋8の挿通状態を示す要部の側面図である。
【図7】 本発明の補強枠18と鉄筋篭19の取付状態を示す側面図である。
【図8】 本発明の鉄筋篭19の一部を省略した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
鉄筋篭を構成する主筋の少なくとも両端近傍に主筋位置決め治具兼用補強枠をそれぞれ配設し、該主筋位置決め治具に予め主筋を該所定位置に配置する主筋保持部材を主筋保持部に設けて、該主筋保持部材に各主筋を挿入保持すると共に配置固定させ、また該主筋保持部材を略U字状で、該U字状の曲部径が主筋と略同径で、直線部を幅広にして該主筋が遊嵌できる変形のUボルトとし、上記主筋位置決め治具の間にネジ送り可能に支持するフープ筋支持部を所用数それぞれ配設すると共に該フープ筋支持部にフープ筋を配設し、またその該主筋位置決め治具の間の所定位置に主筋を移送する誘導移送ローラーを設けた鉄筋篭組立補助装置で、一方の主筋保持部材から主筋を挿通すると共に各配列されたフープ筋の内径側を通過させて、他端の主筋保持部材に主筋を挿通して、それぞれ主筋を配置すると共に該主筋位置決め治具に設けられる各主筋保持部材で、それぞれ主筋を保持固定して補強枠とした後、各フープ筋と主筋が格子状に交差する、その交差部を取付金具又は溶接で保持固定して鉄筋篭を形成することにより、組立補助装置の主筋位置決め治具兼用補強枠及びその鉄筋篭横組み工法の提供を実現させた。
【0025】
なお、主筋位置決め治具兼用補強枠は、鉄筋篭組立時は主筋位置決め治具とし、組み上がって鉄筋篭として使用するときは、補強枠と区別して使用され、それぞれ個別の名称で詳述する。
【実施例】
【0026】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、図1及び図2において、1は組立補助装置で、該組立補助装置1は、鉄筋篭組立台2上に、主筋位置決め治具3を支持する、位置決め治具支持部4とそれにフープ筋支持部5,5,…を連設し、該主筋位置決め治具3の背面側に位置決め治具支持部4aを設けている。
【0027】
そこで、主筋位置決め治具3は、図1及び図2に示すように、環状に形成した板状体の周面の所要部に穴部6,6を開設すると共に略U字状の主筋保持部材7を該穴部6,6に挿通してナット7a,7aを螺合し、該所要部は、後述する鉄筋篭の形状に対応して必要数設けられる主筋8,8,…の配置位置とその使用数に対応する。
【0028】
また、該主筋保持部材7は、図1に示すように、該略U字状の曲部径が主筋8,8,…と略同径の主筋保持部9とし、また該U字状の直線部分の幅を該主筋8,8,…より幅広で、該主筋8,8,…が遊嵌できる幅とした主筋遊嵌部10を形成してなる若干変形した市販されているUボルト状としている。
【0029】
そして、図2及び図3に示すように、上記主筋位置決め治具3は、主筋8,8,…の端部近傍であって、位置決め治具支持部4,4aで支持されると共に支持ベース12上に載設され、該位置決め治具支持部4,4aに連設して各フープ筋支持部5,5,…が支持ベース12a上に載設されている。
【0030】
また、該フープ筋支持部5,5,…は、位置調整することでその所定間隔を任意に設定できるように移動可能とし、該移動にあっては、位置調整ネジ11が各フープ筋支持部5,5,…をそれぞれ螺合によって各貫通して各個別に移動可能に該支持ベース12a上で載設され、各フープ筋支持部5,5,…の位置を各個別に調整することでその間隔を任意に設定できるようにしている。
【0031】
そこで、その移動の一例として、図4及び図5に示すように、位置調整ネジ11により移動可能に支持された各フープ筋支持部5,5,…を、図5に示すフープ筋支持部5を位置調整ネジ11に沿って回動させることで、図4に示す矢視方向の左右に移動させ、またその回動させるとき、該回動でフープ筋支持部5が支持ベース12a当接しないように、図5に示すように支持ベース12aを予め移動させ、その位置が決まれば、該支持ベース12aをフープ筋支持部5,5,…の下に戻して支持させる。
【0032】
なお、各フープ筋支持部5,5,…には、図4に示すように、その上部端側に支持溝部14,14,…をそれぞれ形成し、該支持溝部14,14,…で、環状のフープ筋13を支持する。
【0033】
そして、上述した鉄筋篭組立台2上に、位置決め治具支持部4及び所定位置に位置決めされたフープ筋支持部5,5,…をそれぞれ連設し、位置決め治具支持部4及び4aに主筋位置決め治具3を配置し、またフープ筋支持部5,5,…にフープ筋13を、図2及び図3に示すように各連設配置する。
【0034】
また、そのとき主筋保持部材7は、取付けに対し最も上部位置で保持され、その理由として、主筋8を挿入するとき、図3に示すように、主筋8の挿入高さと主筋遊嵌部10とが同一とすることで、挿入幅に余裕を持たせている。
【0035】
なお、上述、最も上部位置で保持させる構成として、図1、図3及び図6に示すように、主筋位置決め治具3に設けられる主筋保持部材7の該U字状の両ネジ部頭を、磁石部15を有する略T字状の簡易保持部材16で保持させるように、該磁石部15を主筋位置決め治具3に磁着し、主筋位置決め治具3の両ネジ部頭を略T字状で保持して、主筋保持部材7の該U字状を上部位置で保持させるとともに該U字状部の主筋遊嵌部10に主筋8が挿入されるまで保持させる。
【0036】
また、略T字状の簡易保持部材16としているが、他の実施例として、主筋位置決め治具3内側の主筋保持部材7の該U字状の両ネジ部(図6の矢印部)に、板状で切り欠きが形成された下がり止めをネジ部に嵌合させて下がり止めとしても良く、要は、主筋保持部材7の主筋遊嵌部10に主筋8を挿通するとき、主筋保持部材7が下がらないように、主筋保持部材7を支持するものであればよい。
【0037】
而して、上述したように、位置決め治具支持部4で主筋位置決め治具3を支持すると共に主筋保持部材7が上部位置で保持され、またフープ筋支持部5,5,…が所定間隔に設定され、且つ該支持溝部14,14,…でフープ筋13,13,…を支持した状態で、図3に示すように、誘導移送ローラー17で主筋8が、図中、矢視方向に案内移送され、該主筋8が主筋保持部材7の主筋遊嵌部10に挿通される。
【0038】
そして、該主筋8が主筋保持部材7の主筋遊嵌部10に挿通されると共にフープ筋13,13,…の内径側に挿通され、図示されないが他端に同様に設けられる主筋位置決め治具3の主筋保持部材7の主筋遊嵌部10まで挿通され、また他の各主筋保持部材7,7,…の主筋遊嵌部10,10,…にそれぞれ同様に主筋8,8,…を挿通して、図1の主筋位置決め治具3にそれぞれ主筋8,8,…がすべて挿通された状態にする。
【0039】
なお、主筋位置決め治具3の主筋保持部材7に主筋8を挿通したとき、主筋保持部材7のナット7a,7aを締込むことで遊嵌状態の主筋8が主筋保持部9で保持固定され、つまり主筋保持部材7の主筋保持部9が主筋8に嵌合して、図7に示すように嵌合保持固定されることで、位置決め治具として機能させていた主筋位置決め治具3を、補強枠18として機能させる。
【0040】
このように補強枠18として形成して、図8に示すように、主筋8,8,…と両端部の補強枠18,18とフープ筋13,13,…で各構成し、主筋8,8,…とフープ筋13,13,…を結束、溶接又は一般市販品の取付金具で保持固定して鉄筋篭19を形成する。
【0041】
なお、主筋8,8,…が、補強枠18,18の内側に設ける実施例としているが、その外側に設けても良く、その組立作業上のほか都合に合わせ適宜変更し、また本実施例では主筋位置決め治具3及び補強枠18を平板状としているが、Lアングルなど他の形状材料として、鉄筋篭の仕様強度に合わせ適宜、変更しても好ましい。
【0042】
また、組立補助装置1の主筋位置決め治具3が、実施例では、主筋8の両端近傍に設けるとしているが、鉄筋篭19の仕様に合わせ、該鉄筋篭19の中央若しくは仕様に合わせた所要部に適宜、追加配置しても好ましいが、図示は省略した。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の組立補助装置の主筋位置決め治具兼用補強枠及びその鉄筋篭横組み工法は、耐震基礎などに使用される鉄筋篭の組立に使用する組立補助装置の主筋位置決め治具と鉄筋篭の補強枠に兼用して使用できる。
【符号の説明】
【0044】
1 組立補助装置
3 主筋位置決め治具
5 フープ筋支持部
7 主筋保持部材
8 主筋
9 主筋保持部
10 主筋遊嵌部
11 位置調整ネジ
13 フープ筋
17 誘導移送ローラー
18 補強枠
19 鉄筋篭。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主筋に補強枠及びフープ筋を格子状に各配設して柱状に形成する鉄筋篭において、主筋位置決め治具と補強枠が兼用できるように、該補強枠に予め主筋保持部を設けると共に該主筋保持部の配置と配設数が、鉄筋篭を柱状に構成する主筋の各配置位置及び配置数に対応して設けられ、該各主筋を該所定位置に配置すると共に挿入保持固定できるように、該主筋保持部に主筋保持部材を設けたことを特徴とする鉄筋篭組立補助装置の主筋位置決め治具兼用補強枠。
【請求項2】
請求項1記載の主筋保持部材が、略U字状のUボルトであって、該U字状の曲部径が主筋と略同径で、また該U字状の直線部分の幅が該主筋より幅広で、該主筋が遊嵌できる変形のUボルトである鉄筋篭組立補助装置の主筋位置決め治具兼用補強枠。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の主筋位置決め治具兼用補強枠が、鉄筋篭を構成する主筋の少なくとも両端近傍に配設され、該主筋位置決め治具の間にフープ筋を支持するフープ筋支持部を、それぞれ所定間隔で所用数配設すると共に該主筋位置決め治具の間の所要位置に主筋を移送する誘導移送ローラーを設けたことを特徴とする鉄筋篭組立補助装置。
【請求項4】
請求項3記載のフープ筋支持部が、位置調整ネジで移動可能に支持された鉄筋篭組立補助装置。
【請求項5】
主筋に補強枠及びフープ筋を格子状に各配設して柱状に形成する鉄筋篭の横組み工法において、該鉄筋篭を構成する主筋の少なくとも両端近傍位置に、主筋位置決め治具兼用補強枠をそれぞれ配設すると共に該主筋位置決め治具との間にフープ筋支持部を所用数それぞれ配設してフープ筋を所定間隔で支持する鉄筋篭組立補助装置であって、その一方側の該主筋位置決め治具の主筋保持部材から、主筋を挿通すると共に各配設されたフープ筋の内径側を通過させて、他端側の該主筋位置決め治具の主筋保持部材まで主筋を挿通して配置すると共に該主筋位置決め治具に設けられる各主筋保持部材で、それぞれ主筋を保持固定した後、各フープ筋と主筋が格子状に交差するその交差部を取付金具又は溶接で保持固定することを特徴とした鉄筋篭の横組み工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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