説明

組織の細胞外間隙においてデオキシリボ核酸の量が増量することに関連するヒトの病気の治療方法及び該方法を実施するための医薬製剤

本発明は、医薬品に関わり、組織及び器官の細胞外空隙におけるデオキシリボ核酸量の増量に関連するヒトの疾患を治療するための方法に関する。該方法は、DNA酵素を一日体重1kg当たり20,000〜500,000クンツ単位の量で経口的に投与することからなる。組織及び器官の細胞外空隙におけるデオキシリボ核酸量の増量に関連するヒトの疾患を治療するための本発明の調合薬剤の1回の投与量は、DNase酵素の20,000〜500,000クンツ単位を含む。薬剤の上記の重要な投与量を経口的に投与することのみで、その投与量に依存する治療効果が発揮される態様で触媒的に相応な量のDNaseを全身循環へと吸収させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬に関し、組織及び器官の細胞外間隙におけるデオキシリボ核酸の量の増量することに関連する広範囲のヒトの疾患の治療及び予防をするために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
このような病気のスペクトルは広く、以下のものが含まれる。自身の細胞の再生の促進化及び過剰な死滅と関連する増殖性の病気、例えば、腫瘍及び増殖過程;細胞外DNAのレベルが高いということは、このような病気にとっては予後が悪いという点で関連性がある(Lecomte T.,et.al.,「結腸直腸癌患者の血漿中における遊離循環腫瘍関連DNAの検知及びその予後性との関連」、癌国際ジャーナル2002年8月10日、100(5):542−8);
【0003】
バクテリア性、ウィルス性、真菌性、原虫性疾病、異常細菌症等の感染性因子の再成に関連する感染性疾病。これら病気の病因では、細胞外DNAは独立の病原性因子であったり(たとえば、感染がDNA含有ウィルスによって引き起こされる場合)、あるいは細胞外DNAは微生物の生育につながり、それが微生物コロニーの細胞外マトリックスのベースとなったり(バクテリアバイオフィルムの形成に必要とされる細胞外DNA、Cynthia B
Whitchurch et.al., Science, 2002年2月22日;295(5559):1487)、あるいは微生物による形質転換に関与したり(「ヒトの赤血球からDNAの自然的な取り込みと発現によってマラリア原虫の形質転換」、Deitsch K., Driskill C., Wellems T.「核酸研究」、2001年2月1日;29(3):850−3)、あるいは細胞外DNAは化膿壊死塊の原因となることによって疾病経路を複雑としたりする(Zaman S.,et.al.、「ポリメラーゼ連鎖反応を用いてアメーバ肝膿瘍の膿からの赤痢アメーバの直接的増幅」、「寄生虫研究(Parasitol Res.)」2000年9月;86(9)、724−8);(S.Sherry とL.R.Christensen、「患者の化膿肋膜の滲出液中におけるデオキシリボ核タンパク質の存在とその重要性」、「Proc.Soc.Exp.Biol.Med.誌」、1948年68:179−84);
【0004】
あるいは器官あるいは組織において委縮性、退化性及び炎症性が変化することから発生する疾病−例えば、全身性紅斑性狼瘡;ここでは、細胞外DNAは、疾病発症のキーファクターの一つである(Pisetsky D.S.,「全身性紅斑性狼瘡におけるDNAに対する免疫応答」;Isr.Med.Assoc.J.、2001年11月;3(11):850−3);米国特許第6524578B1公報によると、死滅細胞からのDNAは、老化工程と組織委縮を促進する可能性がある。
【0005】
列記した範囲の疾病をある種の酵素を腸から導入することによって治療する方法はよく知られている;特に、カナダ特許第2394856A1号公報は、酵素を腸から導入して、表面たんぱく質、脂質及び炭水化物を破壊して感染性疾患を治療することを記載している。この方法は、生長細胞間マトリックス成長中の微生物の細胞間マトリックスと化膿死骸塊の両方の基礎成分の一つとしてのデオキシリボ核酸を破壊しない。それが、何故この方法が感染性疾患を治療するのに十分には有効ではない理由である。
【0006】
炎症と関連する疾患を治療する方法はよく知られている。この方法は、タンパク質分解及び脂質分解酵素であるブロメラインを経口的に使用することにある、英国特許公開第984464A。上記方法で使用される製剤も、デオキシリボ核酸を破壊する酵素は何も含んでいない。治療効果が低いので、臨床薬理学では、この方法は独立の方法としてではなく補助的な方法として用いられる(「ブロメライン:バイオ化学、薬理学と医療用途」、Maurer H.R.,「Cell
Mol Life Sci」、 2001年8月 58:pp.1234−45)。
【0007】
経口的にあるいは浣腸剤として高い投与量で導入したタンパク質分解酵素組成物の適用に基づいて全身的酵素(SET)治療をする方法は周知である(Wrba,H & Pecher,O.「酵素:未来の医薬」、Ecomed Verlagsgesellschaft AG & Co.,1993年)。
【0008】
また、糖分解、タンパク質分解及び脂質分解酵素並びにデオキシリボ核酸を破壊する酵素(デオキシリボヌクレアーゼ,DNases)を含有する酵素複合体を腸から導入することによって炎症と関連性のあるヒトの疾患を治療する方法も知られている、英国特許公開第1005985A公報。
【0009】
この英国特許公開第1005985A公報は、ストレプトドルナーゼ(連鎖球菌のDNase)及び抗炎症性化学物質を含め、酵素を組み合わせて経口的に導入する炎症性疾患を治療する方法を記載している:この特許には、膵臓から得られたタンパク質分解酵素を使用することが好ましいと指摘されている;また、使用した酵素の投与量は、治療効果に影響を与えないと結論付けている。DNase酵素を腸内で使用することに基づく上記既知の治療方法の中で、本発明に最も近い方法は、ストレプトキナーゼとストレプトドルナーゼ(DNases)とを含むヴァリダーゼ(Varidase)錠剤を摂取することによってDNase酵素を経口的に導入して広範囲の炎症関連疾患を治療する方法である。
【0010】
この治療方法は、一日4−8錠のヴァリダーゼを経口的に導入して、炎症と関連のあるある種の疾患を治療するというものであり(ROTE LISTE Buch2004;ISBN3−87193−286−8、Rote Liste Service GmbH),一般的にこの方法が用いられている。有益でない医薬品(「ヴァリダーゼ」)がパナマで継続的に市場化されている(Lee D.,Lancet 1990年3月、pp.335:667)。
【0011】
この方法の主要な欠点は、胃腸管不調の治療及び他の機関の疾患の治療の両方の治療に対して治療及び予防効果が低いということである。その理由は、酵素が吸収されて全身を循環しないためである。 特に、このことが以下の論文「ストレプトキナーゼの経口的及び直腸内投与、その吸収及び活性の研究」(Oliven A.,Gidron
E.”Pharmacology”、1981年第22巻、pp.135−8)。
【0012】
連鎖球菌酵素ストレプトキナーゼ(タンパク質分解酵素)とストレプトドルナーゼー連鎖球菌酵素デオキシリボヌクレアーゼとを含む経口投与調合薬剤(ヴァリダーゼ)は周知である。この薬剤は、1錠中ストレプトキナーゼ10000単位とストレプトドルナーゼ2500単位を含有する(ROTE LISTE Buch 2004年;ISBN 3−87193−286−8,Rote Liste Service GmbH).
【0013】
この薬剤は、本発明の総合調合薬剤のポロトタイプとして選択される。
【0014】
この製剤の効果が低いということが、ヴァリダーゼ錠剤が製造中止の主要な理由の一つであり、それら錠剤の市場化の認可が世界中の多くの国、特にアメリカで取り消された。議論の一つは、それらは薬理効果が少ないということであった(保健社会福祉省食品医薬局;連邦登録第50巻、N240,1985年12月13日)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
請求項1乃至7に係る発明の基礎は、組織及び器官の細胞外空隙においてデオキシリボ核酸の量が増量することと関連するヒトの疾患を効果的に治療する方法を創造することによって提供されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明(請求項1乃至7)によれば、本課題は、以下のように解決される。
DNaseの腸内投与によって、組織及び器官の細胞外空隙においてデオキシリボ核酸の量が増加することと関連するヒトの疾患を効果的に治療する方法であって、酵素を一日当たり体重1kgにつき20,000〜500,000クンツ(Kunz)単位の投与量で導入する。本方法によれば、DNase酵素を経口的に導入することができる。本方法によれば、投与形態は、口腔内に酵素を放出できるものとすることができる。本方法によれば、投与形態は、胃内部に酵素を放出できるものとすることができる。本方法によれば、投与形態は、小腸内部に酵素を放出できるものとすることができる。本方法によれば、投与形態は、大腸内部に酵素を放出できるものとすることができる。本方法によれば、DNase酵素を直腸内に導入することもできる。
【0017】
請求項8乃至13に係る発明の基礎は、以下のように提供される。すなわち、組織及び器官の細胞外空隙においてデオキシリボ核酸の量が増加することと関連するヒトの疾患を効果的に治療するための調合薬剤は、バイオ活性物質−DNase酵素を含有する。薬剤の一投与におけるDNase酵素の量は、25,000〜5,000,000クンツ(Kunz)単位を含む。請求項8において、該薬剤は、経口投与用の錠剤形状とすることができる。請求項8において、該薬剤は、経口投与用のカプセル形状とすることができる。請求項8において、該薬剤は、肛門坐剤形状とすることができる。請求項8において、該薬剤は、チューインガムあるいは口頬外皮用あるいは舌下用錠剤形状とすることができる。請求項8において、該薬剤は、歯磨きペースト、あるいはゲル歯磨きペースト、あるいは粉末、あるいは口腔リンス剤、チューインガムあるいは口頬外皮用あるいは舌下用錠剤として投与することができる。
【0018】
出願人は、同一の技術的解法についてのデーターを含むこともあり得る情報源は何ら知らない。この事実により、本発明は「新規性」の基準(N)に該当しているという結論に至っている。
【0019】
出願人は、20,000KU/kg/日を超える高い投与量に腸内にDNase酵素を投与するだけで、確実に尿中のDNA加水分解活性を向上させ、かつ尿中の免疫活性のDNase I酵素を増加させることができるということを初めて発見した(表1)。20,000と500,000KU/kg/日の間の投与量範囲で、これらの変化は投与量に対して従属特性を有する。一般には、高い投与量でDNaseを腸内摂取させると触媒的にかなりの量の酵素が全身循環へと吸収されることになることは明らかである。このような発見により、消化システム外部、組織及び器官の細胞外空隙においてデオキシリボ核酸の量が増量することに関連するヒトの疾患を治療するために有効な経口投与形態を創製することが可能となっている。
【0020】
発明の顕著な特徴によって、新たな重要な結果を得ることができる。すなわち、すなわち、消化システム外部の組織及び器官の細胞外空隙においてデオキシリボ核酸の量が増量することに関連する広範囲のヒトの疾患に対して治療効果及び安全性が付与される。さらに、応用(方法及び薬剤の両方)が技術的に簡単であるということが、本方法の重要な特徴である。本出願人は、該特徴によって達成された技術的成果において該特徴による影響についてのデータを含む情報源を何ら発見することはできなかった。出願人の意見では、このことは本願の技術的解法が「進歩性」の基準(IS)に匹敵している証拠である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を、図面には何ら言及することなく、その応用例についての詳細な記載によって詳細に説明する。
【0022】
3,500KU/mg活性の牛の膵臓DNase Iの計算量(Seravac製、南アフリカ共和国)を水で希釈し、24名の健常ボランティアに対して経口的に一度導入した(一投与につき3名のボランティア―)。その後、12時間に渡って全尿を採集した。尿のDNA加水分解活性を粘度測定法を用いて決定した。全DNase I分画において牛DNase Iが存在するかどうかについては、電気泳動画像(等電点電気泳動法によるゲル電気泳動)によって決定した。結果を表1に示す。
【実施例】
【0023】
請求項8−13による本発明の応用例を、以下の実施例で示す。
【0024】
(実施例1)
経口投与用の固形投与形態のDNaseは、以下のものからなる。
乾燥した牛の膵臓DNase 100,000クンツ(Kunz)単位
ステアリン酸マグネシウム 2.5mg
微細結晶セルロース 50mg
ラクトース 200mgの錠剤の調剤のため
【0025】
投与形態は、以下の通り調剤する。活性3500KU/mgの乾燥牛膵臓DNase(Seravac製、南アフリカ共和国)(100,000クンツ単位(1錠当たり約28mg)を基礎にして)をステリン酸マグネシウムと混合し、そして湿らせて造粒する。造粒物を200mgの錠剤を得るのに必要な量のラクトースト及び微粒結晶セルロースと混合し、次に混合物をプレス加工して錠剤を得た。
【0026】
(実施例2)
以下の成分から成る経口投与用DNaseのカプセル投与形態:
乾燥牛膵臓DNase 1,000,000クンツ単位
ステアリン酸マグネシウム 2.5mg
微粒結晶セルロース 40mg
【0027】
投与形状は、以下の通り作製した。活性3,500KU/mgの乾燥牛膵臓DNase(セラバック(Seravac)製、南アフリカ共和国)(1,000,000クンツ単位(1錠当たり約280mg)を基礎にして)をステリン酸マグネシウムと微粒子結晶セルロースとに混合した後、湿らせて造粒する。造粒物をセルロースカプセルに注入する。
【0028】
(実施例3)
直腸使用用の微細投与形状の含有量(1座薬3グラム)
乾燥牛膵臓DNase 5,000,000クンツ単位
固形油脂ベース 1,600mg
【0029】
(実施例4)
経口使用用板状薬剤の投与形状(チューインガム)
牛膵臓DNase 1,000,000クンツ単位
ガムベース 2,500mg
砂糖、D型グルコース、タピオカ、ワックス 3,000mgへとする。
【0030】
本方法の適用については、以下の実施例で説明する。
【0031】
(実施例5)腫瘍疾患の治療
研究には、「乳癌が再発」と診断され臨床外科に入院した9名の患者が含まれていた。全ての患者は、以前に疾患の手術、化学的及び放射線治療を受けていた。入院によって、全ての患者は手術、化学的及び放射線治療に対して禁忌していた。全ての患者は、かなり重篤な肝臓及び/または肺への転移していた。全ての患者は、治療実施について自ら同意をした。治療開始時に、患者の予想寿命期間は3か月以上であった。
【0032】
グループ1(患者3名)は偽薬カプセルにより3か月治療を受けた。
【0033】
グループ2(患者3名)は実施例2のカプセルにより治療を受けた。毎日の投与量は、3ヶ月間5,000,000クンツ単位であった。
【0034】
グループ3(患者3名)は、ヴァリダーゼ錠剤(Wyeth製)を推奨される最大投与量である1日10錠(一日にストレプトドルナーゼ25,000IU)で3ヶ月間治療を受けた。
【0035】
グループ3の患者1名は突然気分がより悪くなったので、治療開始9週間後に入院したが、転移は進行していた。彼女は、入院後3日目に病院で死亡した。
【0036】
治療開始3カ月後、患者を再入院させた。全ての患者は、コンピューター断層撮影を受けた。臨床的及びバイオ化学的に血液を検査した。全身健康状態をカルノフスキー・スケールに従って評価した。
【0037】
グループ1と3の全ての患者は、肝臓と肺で転移性節の大きさが大きくなっており、新しい転位中心が表出した。カルノフスキー指数は、平均30%減少した。5名の患者のうち3名は血液値がかなり悪化した(血清中のアルブミン量の減少、肝臓細胞破壊症候群、貧血症及び炎症バイオ化学的サインの増大)。
【0038】
グループ2の患者に対して繰り返し断層撮影を行ったが、古い移転節の増大の兆候は何ら見られなかった。同様に、新しい節の出現は見られなかった。
【0039】
一例では、カルノフスキー指数は40%増加した。他の2名の患者のカルノフスキー指数は何ら変化がなかった。3名の患者の全ては、血清アルブミン及び血液ヘモグロビンの量が増加していた。
【0040】
(実施例6) EBV DNAウイルスによって起こった伝染性単核球症の治療
研究には、「伝染性単核球症」であると免疫的に確認診断された15〜28歳の患者20名が含まれていた。患者を3つのグループに分けた。
【0041】
グループ1(患者8名)を5日間儀薬錠剤によって治療し、標準的な対処療法
(グルココルチコイドと抗生物質)を行った。
【0042】
グループ2(患者6名)を実施例1の錠剤で治療した。
毎日の投与量を5日間体重1kg当たり25,000クンツ単位とした。
【0043】
グループ3(患者3名)は、ヴァリダーゼ錠剤(Wyeth製)を推奨される最大投与量である1日10錠(一日にストレプトドルナーゼ25,000IU)で5日間治療を受けた。
【0044】
治療結果は第2表を参照。
【0045】
(実施例7)上顎顔面舌蜂巣織炎(maxilla-facial phlegmona)
研究には、顎顔面外科手術病院に入院中の中程度の重篤健康状態の患者15名が含まれていた。診断は、上顎顔面舌蜂巣織炎であった。
【0046】
患者を3つのグループに分けた。
【0047】
グループ1(患者5名)を3日間儀薬錠剤によって治療し、5日間標準的な抗菌治療を行った(一日セフォタキシム3gを筋肉注射)。
【0048】
グループ2(患者5名)を実施例1の錠剤で治療、一日の投与量は3日間1,500,000クンツ単位(15錠剤)とした。同時に、患者は、5日間標準的抗菌治療を受けた(一日セフォタキシム3gを筋肉注射)。
【0049】
グループ3(患者5名)はヴァリダーゼ錠剤(Wyeth製)を推奨される最大投与量である1日10錠(一日にストレプトドルナーゼ25,000IU)で3日間治療をした。同時に、患者は、5日間標準的抗菌治療を受けた(一日セフォタキシム3gを筋肉注射)。
【0050】
治療結果は表3を参照。
【0051】
(実施例8)歯周炎の治療
研究には、中程度の重篤な歯周炎を有する30名の患者が含まれていた。研究の初めに、各患者の歯から歯の沈着物を取り除いた。そして、患者は、標準的方法ー歯ブラシ及び歯間ブラシを用いて清浄するように指示を受けた。患者は、3つのグループに分けられた。
【0052】
グループ1−患者10名は、以後コルゲート歯磨きペーストのみを用いた。
【0053】
グループ2−患者10名は以後コルゲート歯磨きペースト及び実施例4のDNase入りチューインガム(一日4度30分間1/4プレートを噛んだ)を4週間使用した。
【0054】
グループ3−患者10名は、以後コルゲート歯磨きペースト及びヴァリダーゼ口腔錠剤4週間使用した。
【0055】
研究の始まる前及び研究の終わりまで、シルネス−ロエ指標(Silness-Loe index)(口腔 衛生指標)及びムエレルマン指標(Muellermann index)(溝出血指標)を評価した。研究
【0056】
結果は表4を参照。
【0057】
(実施例9)SLEの治療
研究には、「全身性紅斑性狼瘡」及び糸球体腎炎病症(たんぱく尿、血尿)と確認され診断された患者16名が含まれていた。全ての患者は、標準的治療(非ステロイド抗炎症薬、クロロキン)を受けた。 実験グループの患者(8名)は、さらに実施例3の座薬で治療を受けた。投与量は一日体重1kgあたり250,000クンツ単位で15日間とした。血漿のDNA濃度を治療が開始される前及び治療期間の終わりまで観察した。対照群の患者の血漿のDNA量は、信頼性があるようには変化しなかった。15日間の治療工程の終わりまでに、実験グループの患者の血漿中のDNAが2度減少したことが観察された。
【0058】
(実施例10)老人特有の精子運動障害の治療
研究には、18名の健常なボランティアー50〜55歳の男性が含まれていた。 患者を3つのグループに分けた。
【0059】
グループ1(患者7名)は、偽薬カプセルで30日間治療した。
【0060】
グループ2(6名)は、実施例2のカプセルで治療した。
一日の投与量を30日間体重1kg当たり35,000クンツ単位とした。
【0061】
グループ3(患者5名)を ヴァリダーゼ錠剤(Wyeth製)を推奨される最大投与量である1日10錠(一日にストレプトドルナーゼ25,000IU)で5日間治療を受けた。
【0062】
精子の移動性を治療開始前及び治療終了まで3つのグループの患者から得られた精子サンプルについて観察した。治療開始前に、3つのグループの全ての患者の精子サンプル中の移動性のある精子のパーセントは46〜54%であった。グループ1と3の患者は、治療後の精子の移動性に何ら変化が見られなかった。グループ2の患者の精子サンプルは、治療後移動性精子を58−62%含んでいた。
【0063】
(実施例11) 本発明の方法による治療におけるリファンピシン−耐性変異株頻度への影響
リファンピシンで治療した患者(1)及びリファンピシンで治療し同時に上記方法の方法で治療した患者(2)に鼻咽頭ミクロフローラを播種した。播種は、リファンピシンを50ミクロンg/mlを含む寒天培地で行った。寒天培地上で抗生物質なしにクローニングし連続的に希釈することにより、CFU数を評価した。
【0064】
研究結果については表5を参照。
【0065】
同表には、抗生物質で治療し同時に本発明の方法で治療した患者はバクテリア負荷はかなり小さく、種付ミクロフローラ中抗リファンピシンバクテリア性クローンが少量あった。
【0066】
(実施例12)抗ゲンタマイシン変異株を蒔いた患者数への該方法の影響
【0067】
急性腸内感染を治療するためにゲンタマイシンを接種した患者に対して、便(Faeces)の種付けを行った。種付けは、治療終了の次の日に行った。混成培地は、24時間試験管内でプランクトン様成長として成長させた。抗生物質(Km,50ミクロン・ml)を加えた寒天培地にサブクローンして24時間後生育させた後、CFU(コロニー形成ユニット)に従って生存細胞の量を評価した−。表6に、対照患者グループ(グループA:患者3名)と同時に本発明の方法によって治療した患者(グループB:患者3名)に対する、平均結果を示す。
【0068】
同表は、抗生物質で治療しかつ本発明の処理方法によって治療した患者は、抗ゲンタマイシン微生物の負荷はかなり小さかった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
周知の物質を本発明の実施に用いることによって、出願人は、本発明は「産業上利用可能性」基準(IA)に適合すると考える。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNase酵素を腸内投与して組織及び器官の細胞外空隙におけるデオキシリボ核酸量の増量に関連するヒトの疾患を治療する方法であって、該酵素は一日体重1kg当たり20,000〜500,000クンツ単位の投与量で導入する治療方法。
【請求項2】
DNase酵素は、経口的に導入する、請求項1の方法。
【請求項3】
投与形体は、酵素を口腔内で放出するものとする、請求項2の方法。
【請求項4】
投与形体は、酵素を胃内で放出するものとする、請求項2の方法。
【請求項5】
投与形体は、酵素を小腸内で放出するものとする、請求項2の方法。
【請求項6】
投与形体は、酵素を大腸内で放出する、請求項2の方法。
【請求項7】
DNase酵素を直腸に導入する、請求項1の方法。
【請求項8】
組織及び器官の細胞外空隙におけるデオキシリボ核酸量の増量に関連するヒトの疾患を治療するための、バイオ活性物質−DNase酵素を含有する調合薬剤であって、該調合薬剤の一回の投与量は25,000〜5、000,000クンツ単位の酵素活性を有する調合薬剤。
【請求項9】
該薬剤が、経口投与用錠剤形状となっている、請求項8の調合薬剤。
【請求項10】
該薬剤が、経口投与用カプセル形状となっている、請求項8の調合薬剤。
【請求項11】
該薬剤が、肛門坐剤形状となっている、請求項8の調合薬剤。
【請求項12】
該薬剤が、チューインガム、口頬外皮用あるいは舌下用錠剤の形状となっている、請求項8の調合薬剤。
【請求項13】
該薬剤は、歯磨きペースト、あるいはゲル歯磨きペースト、あるいは粉末、あるいは、口腔リンス剤、チューインガムあるいは口頬外皮用あるいは舌下用錠剤として投与する、請求項8の調合薬剤。

【公表番号】特表2010−511039(P2010−511039A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539202(P2009−539202)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【国際出願番号】PCT/RU2006/000642
【国際公開番号】WO2008/066403
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(509149286)
【氏名又は名称原語表記】GENKIN, Dmitry Dmitrievich
【住所又は居所原語表記】RU,197110, Saint−Petersburg, Konstantinovsky pr., d.26, kv.1
【出願人】(509149297)
【氏名又は名称原語表記】TETS, Viktor Veniaminovich
【住所又は居所原語表記】RU,196066, Saint−Petersburg, ul.Lensoveta, d.27, kv.95
【Fターム(参考)】