説明

組織接着剤および封止剤ならびにこれらを使用するための方法

【課題】完全に合成物であり、従ってそのウイルス伝染の問題がなく、特性が高度に一貫した生物学的接着剤および/または封止剤を提供すること。
【解決手段】基材を備える移植物;組織結合末端基および官能基を含む第一の成分であって、上記官能基は、ビオチンおよびアビジンからなる群より選択される、第一の成分;ならびに、基材結合末端基および官能基を含む第二の成分であって、上記官能基は、ビオチンおよびアビジンからなる群より選択される、第二の成分、を備え、上記第一の成分の上記官能基は、上記第二の成分の上記官能基とは異なり、そして上記第一の成分および上記第二の成分のうちの一方が、組織表面に接着し、そして上記第一の成分および上記第二の成分のうちの他方が、上記移植物に接着する、生体適合性構成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国特許出願番号11/712,333(2007年2月28日出願)の一部継続出願であり、米国特許出願番号11/712,333は、米国仮特許出願番号60/777,297(2006年2月28日出願)の優先権および利益を主張する。これらの各々の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、マトリックスを形成し得るマクロマーを含有する組成物、および外科手術用接着剤または封止剤としての、これらのマクロマーを含有する組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
近年、縫合糸を接着による結合で置き換えること、または縫合糸を接着による結合で増強することに、興味が増大している。この興味の増大の理由としては、以下が挙げられる:(1)修復が達成され得る潜在的な速度;(2)結合物質が完全な閉鎖を行い、これにより流体の浸出を防止する能力;および(3)組織の過度の変形なしで結合を形成する可能性。
【0004】
しかし、当該分野における研究は、外科手術用接着剤が外科医により認容されるためには、これらの接着剤が多数の特性を有さなければならないことを明らかにしている。これらの接着剤は、高い初期粘着、および生体組織に迅速に結合する能力を示さなければならず;結合強度は、結合の欠損より前に組織の欠損を引き起こすように充分に強いべきであり;この接着剤は、橋架け(好ましくは、透過性の可撓性の橋架け)を形成するべきであり;そしてこの接着剤の橋架けおよび/またはその代謝産物は、局部的な組織毒性の影響も発癌性の影響も引き起こさないべきである。
【0005】
組織接着剤または組織封止剤として有用な数種の材料が、現在利用可能である。現在入手可能な1つの型の接着剤は、シアノアクリレート接着剤である。しかし、シアノアクリレート接着剤は、これらの接着剤の有用性を制限し得る高い曲げ率を有し得る。現在利用可能な別の型の組織封止剤は、ウシ中の供給源および/またはヒト中の供給源に由来する成分を利用する。例えば、フィブリン封止剤が利用可能である。しかし、あらゆる天然物質の場合と同様に、材料においてばらつき(variability)が頻繁に観察されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
完全に合成物であり、従ってそのウイルス伝染の問題がなく、特性が高度に一貫した生物学的接着剤および/または封止剤を提供することが望ましい。このような組成物は、可撓性かつ生体適合性であるべきであり、そして接着剤または封止剤として使用するのに適切であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
基材を備える移植物;
組織結合末端基および官能基を含む第一の成分であって、該官能基は、ビオチンおよびアビジンからなる群より選択される、第一の成分;ならびに
基材結合末端基および官能基を含む第二の成分であって、該官能基は、ビオチンおよびアビジンからなる群より選択される、第二の成分、
を備え、
該第一の成分の該官能基は、該第二の成分の該官能基とは異なり、そして該第一の成分および該第二の成分のうちの一方が、組織表面に接着し、そして該第一の成分および該第二の成分のうちの他方が、該移植物に接着する、生体適合性構成物。
【0008】
(項目2)
前記移植物が組織工学的構築物である、上記項目に記載の生体適合性構成物。
【0009】
(項目3)
前記組織工学的構築物が、発泡体、フィルム、組織足場、外科用綿撒糸、バットレス、およびメッシュからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0010】
(項目4)
前記第二の成分の前記基材結合末端基が、組織結合末端基である、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0011】
(項目5)
前記第一の成分が生分解性材料である、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0012】
(項目6)
前記第一の成分が、アルギネート、デキストラン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、セルロース、コラーゲン、ゼラチン、フカン、グリコサミノグリカン、ガット、絹、麻、綿、アルブミン、カゼイン、ゼイン、絹、ダイズタンパク質、ならびにこれらのコポリマーおよびブレンドからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0013】
(項目7)
前記第一の成分が、ポリラクチド、ポリ(乳酸)、ポリグリコリド、ポリ(グリコール酸)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(ラクチド−co−(ε−カプロラクトン))、ポリ(グリコリド−co−(ε−カプロラクトン))、ポリカーボネート、ポリ(偽アミノ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリ酸無水物、ポリエステル無水物、ポリオルトエステル、およびこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、ならびに組み合わせからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0014】
(項目8)
前記第二の成分が生分解性である、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0015】
(項目9)
前記第二の成分が、アルギネート、デキストラン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、セルロース、コラーゲン、ゼラチン、フカン、グリコサミノグリカン、ガット、絹、麻、綿、アルブミン、カゼイン、ゼイン、絹、ダイズタンパク質、ならびにこれらのコポリマーおよびブレンドからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0016】
(項目10)
前記第二の成分が、ポリラクチド、ポリ(乳酸)、ポリグリコリド、ポリ(グリコール酸)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(ラクチド−co−(ε−カプロラクトン))、ポリ(グリコリド−co−(ε−カプロラクトン))、ポリカーボネート、ポリ(偽アミノ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリ酸無水物、ポリエステル無水物、ポリオルトエステル、およびこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、ならびに組み合わせからなる群より選択される、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0017】
(項目11)
前記第一の成分の前記組織結合末端基が、高分子の官能基である、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0018】
(項目12)
前記第二の成分の前記基材結合末端基が、高分子の官能基である、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0019】
(項目13)
前記第一の成分の前記組織結合末端基および前記官能基のうちの少なくとも1つが、高分子に共有結合している、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0020】
(項目14)
前記第二の成分の前記基材結合末端基および前記官能基のうちの少なくとも1つが、高分子に共有結合している、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0021】
(項目15)
前記第一の成分の前記組織結合末端基および前記官能基のうちの少なくとも1つが、連結剤を介して高分子に結合している、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0022】
(項目16)
前記第二の成分の前記基材結合末端基および前記官能基のうちの少なくとも1つが、連結剤を介して高分子に結合している、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0023】
(項目17)
生物活性剤をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の生体適合性構成物。
【0024】
(項目18)
移植物を組織に接着させるためのシステムであって、
基材を備える移植物;
第一の成分であって、該第一の成分は、組織結合末端基および官能基を含み、該官能基は、ビオチンおよびアビジンからなる群より選択され、該第一の成分は、組織表面に塗布されるように構成される、第一の成分;ならびに、
第二の成分であって、該第二の成分は、基材結合末端基および官能基を含み、該官能基は、ビオチンおよびアビジンからなる群より選択され、該第二の成分は、基材を備える該移植物に塗布されるように構成される、第二の成分;
を含むシステムであって、
ここで該第一の成分の該官能基は、該第二の成分の該官能基と異なり、そして、
該移植物は、アビジン−ビオチン親和性結合を介して該組織に接着するように構成される、システム。
【0025】
(項目19)
前記第一の成分は、第二の組織表面に塗布されるように構成され、そして、
前記移植物は、前記第一の組織表面と該第二の組織表面との両方の組織表面に接着するように構成される、
上記項目に記載のシステム。
【0026】
(項目18A)
移植物を組織に接着させるための方法であって、
第一の成分を組織表面に塗布する工程であって、該第一の成分は、組織結合末端基および官能基を含み、該官能基は、ビオチンおよびアビジンからなる群より選択される、工程;
第二の成分を、基材を備える移植物に塗布する工程であって、該第二の成分は、基材結合末端基および官能基を含み、該官能基は、ビオチンおよびアビジンからなる群より選択され、ここで該第一の成分の該官能基は、該第二の成分の該官能基と異なる、工程;ならびに
該組織表面を該移植物と接触させて、該移植物を該組織にアビジン−ビオチン親和性結合を介して接着させる工程、
を包含する、方法。
【0027】
(項目19A)
前記第一の成分を第二の組織表面に塗布する工程;および
第一の組織表面および該第二の組織表面を前記移植物と接触させて、該第一の組織表面と該第二の組織表面との両方を該移植物に接着させる工程、
をさらに包含する、上記項目に記載の方法。
【0028】
(摘要)
ビオチン含有成分とアビジン含有成分とを混合することにより提供される組成物は、医療/外科手術用途のための接着剤または封止剤として有用である。
【0029】
(要旨)
ビオチン含有成分とアビジン含有成分との両方を含有する組成物は、医療用途または外科手術用途における接着剤および/または封止剤として有用である。本開示の生体適合性構成物は、基材を備える移植物;組織結合末端基および官能基(例えば、ビオチンおよびアビジン)を含む第一の成分;ならびに基材結合末端基および官能基(例えば、ビオチンおよびアビジン)を含む第二の成分を備え得、この第一の成分の官能基は、この第二の成分の官能基とは異なり、そしてこの第一の成分および第二の成分のうちの一方が、組織表面に接着し、そしてこの第一の成分および第二の成分のうちの他方が、この移植物に接着する。
【0030】
ある実施形態において、この移植物は、組織工学的構築物(tissue engineered construct)である。この組織工学的構築物は、発泡体、フィルム、組織足場、外科用綿撒糸、バットレス、またはメッシュであり得る。
【0031】
ある実施形態において、この第一の成分の組織結合末端基および/またはこの第二の成分の基材結合末端基は、高分子の官能基であり得る。他の実施形態において、この第一の成分の組織結合末端基および/またはこの第二の成分の基材結合末端基は、高分子に共有結合し得る。なお他の実施形態において、この第一の成分の組織結合末端基および/またはこの第二の成分の基材結合末端基は、連結剤の使用によって、高分子に結合し得る。
【0032】
ある実施形態において、ビオチン官能基および/またはアビジン官能基が、高分子に共有結合し得、そして他の実施形態において、ビオチン官能基および/またはアビジン官能基が、連結剤の使用によって、高分子に結合し得る。
【0033】
移植物を組織に接着する方法もまた開示される。ある実施形態において、移植物を組織に接着するための方法は、組織結合末端基および官能基(例えば、ビオチンおよびアビジン)を含む第一の成分を組織表面に塗布する工程;基材結合末端基および官能基(例えば、ビオチンおよびアビジン)を含む第二の成分を、基材を備える移植物に塗布する工程であって、この第一の成分の官能基は、この第二の成分の官能基とは異なる、工程;ならびにこの組織表面をこの移植物と接触させて、ビオチン−アビジン親和性結合によって、この移植物をこの組織に接着させる工程を包含する。
【発明の効果】
【0034】
本発明により、完全に合成物であり、従ってそのウイルス伝染の問題がなく、特性が高度に一貫した生物学的接着剤および/または封止剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(詳細な説明)
本開示は、組織接着剤または組織封止剤として使用するための、組成物に関する。この組成物は、生体適合性であり、そして非免疫原性である。この組成物は、組織の縁部を接着するため、組織の空気/流体漏出部を封止するため、医療デバイスを組織に接着するため、および組織を増強するため(例えば、組織の空隙または欠損部を封止または充填するため)に使用され得る。この組成物は、動物(ヒトを含む)の生体組織および/または肉に塗布され得る。
【0036】
科学界では、用語「肉」と「組織」との用法の間はある程度区別され得るが、これらの用語は、本発明の接着剤が医療分野において患者の処置のために利用されると当業者が理解する一般的な基材をいう場合、本明細書中で交換可能に使用される。本明細書中で使用される場合、「組織」としては、皮膚、骨、ニューロン、軸索、軟骨、血管、角膜、筋肉、筋膜、脳、前立腺、乳房、子宮内膜、肺、膵臓、小腸、血液、肝臓、精巣、卵巣、頚部、結腸、胃、食道、脾臓、リンパ節、骨髄、腎臓、末梢血、胚または腹水組織が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0037】
本開示の組成物は、少なくとも1つのビオチン基またはその誘導体を有する成分、および少なくとも1つのアビジン基またはその誘導体を有する成分を含有する。一方の成分上のビオチン部分および他方の成分上のアビジン基は、互いに結合し、これによって、本発明の組成物を提供する。これらの2つの成分が合わせられると、この組成物は、三次元ゲル様接着マトリックスを迅速に形成する。この組成物は、ある実施形態において、接着剤または封止剤として利用され得る。この組成物はまた、薬物キャリアとして働き得、薬物の制御放出および動物(特に、ヒト)における特定の位置への直接送達を可能にする。各成分は、好ましくは、合成物であり、被験体の組織において免疫反応を低下させるかまたは排除する。
【0038】
ビオチン(ビタミンH、補酵素Rとしても公知)は、水に容易に溶解する物質であり、血液中および組織中に低濃度で見出される。ビオチンは、活性化COのキャリアとして働き、そしてさらなる自由エネルギーなしで、アクセプターへのCOの移動を可能にする。活性化カルボキシビオチンは、通常、カルボキシビオチンの形成のために必要とされる酵素に付着する。例えば、ビオチンは、ピルビン酸カルボキシラーゼに付着し得、これは、アセチルCoAの存在下で、カルボキシビオチンの形成を触媒し、そして活性化カルボキシル基のピルベートへの引き続く変形を触媒して、オキサロアセテートを形成する。
【0039】
このビオチン含有成分は、1つ以上のビオチン部分を含む、任意の生体適合性化合物であり得る。この化合物は、官能基化され得る任意の低分子またはポリマーであり得る。このビオチン含有成分は、生体吸収性であっても非生体吸収性であってもよい。いくつかの実施形態において、このビオチン含有成分は、多糖類から誘導され得る。適切な多糖類としては、例えば、ソルビトール、マンニトール、スクロース、デキストラン、シクロデキストリン、これらの組み合わせなどが挙げられる。他の実施形態において、このビオチン含有成分は、ポリアルキレンオキシド(「PAO」)から誘導され得る。適切なPAOとしては、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリエチレンオキシド(「PEO」)、ポリプロピレンオキシド(「PPO」)、ラクチド結合を有するポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(「PPG」)、コポリエチレンオキシドのブロックコポリマーまたはランダムコポリマー、ならびにポロキサマー(例えば、ポリプロピレンオキシド(PPO)とのポリエチレンオキシド(PEO)コポリマー(例えば、PLURONICS(登録商標)としてBASF Corporation(Mt.Olive,N.J.)から市販されているトリブロックPEO−PPOコポリマー))が挙げられるが、これらに限定されない。種々の形態のPAO(官能基化PEGを含む)もまた、供給者(例えば、Shearwater Polymers,Inc.、Huntsville,Ala.、およびTexaco Chemical Company(Houston,Tex)が挙げられる)から市販されている。ある実施形態において、上記PAOの組み合わせが利用され得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、このビオチン含有成分は、生体吸収性ポリマーを含有する。生体吸収性ポリマーは、身体内で分解し、そして加水分解、代謝プロセス、またはバルク腐食もしくは表面腐食によって、身体によって次第に吸収または排出され得る。ビオチン含有成分を作製するのに適切な生体吸収性材料の例としては、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ−D,L−乳酸(DL−PLA)、ポリ−L−乳酸(L−PLA)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリアミノ酸(ポリグルタミン酸、ポリアスパラギ酸、およびペンダント酸性基を有する合成アミノ酸(Sigma−Aldrich(St.Louis,Mo.)から市販されているものが挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない)、吸収性シアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、ポリイミノカーボネート、ならびに脂肪族ポリカーボネートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記生体吸収性材料の組み合わせが利用され得る。例えば、上記吸収性ポリマーのうちの1つ以上が、PAOと反応して、親水性特性を有する分解性ポリマーを与え得、このポリマーが次いで、ビオチンで官能基化されて、ビオチン含有成分を提供し得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、このビオチン含有成分は、多官能性材料(すなわち、分岐構成または星型構成を有する分子)を生成するように修飾され得る。分岐を達成するための方法は、当業者の知識の範囲内であり、そして例えば、ビオチン含有成分を形成するために使用される化合物を、多官能性分岐剤と、ビオチンでの官能基化の前または後のいずれかに反応させることが挙げられる。適切な多官能性分岐剤としては、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン (2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールとしてもまた公知)、エンテロジオール、シクロデキストリン、多糖類(例えば、ソルビトール、マンニトール、スクロース、デキストラン、シクロデキストリンなど)、ポリオール、ポリビニルアルコール、これらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
ある実施形態において、ビオチン含有成分の分子量は、約200〜約50,000、そしてある実施形態においては、約500〜約5,000であり得る。
【0043】
ポリマーおよび他の化合物(例えば、低分子)は、当業者の知識の範囲内である任意の方法によって、ビオチンで官能基化(すなわち、ビオチン化)され得る。例えば、PEGは、Poly(ethylene Glycol) Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications,J. Milton Harris編,Plenum Press,NY(1992)の第22章に開示される方法を使用して、官能基化され得る。
【0044】
ある実施形態において、このビオチン含有成分は、3部分分子を含み、この分子は、高分子またポリマーと、組織結合末端基または基材結合末端基と、ビオチン化末端基とを含む。この高分子としては、天然生分解性材料と合成生分解性材料との両方、ならびにこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0045】
代表的な天然生分解性高分子としては、多糖類(例えば、アルギネート、デキストラン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、セルロース、コラーゲン、ゼラチン、フカン、グリコサミノグリカン、およびこれらの化学誘導体(化学基(例えば、アルキル、アルキレン、アミン、スルフェートが挙げられる)の置換および/または付加、ヒドロキシル化、カルボキシル化、酸化、ならびに当業者により慣用的になされる他の修飾));ガット;絹;麻;綿;ならびにタンパク質(例えば、アルブミン、カゼイン、ゼイン、絹、ダイズタンパク質)、ならびにこれらのコポリマーおよびブレンドが挙げられ、単独であるか、または合成ポリマーと組み合わせられる。
【0046】
利用され得る代表的な合成生分解性高分子としては、ラクトンモノマー(例えば、グリコリド、ラクチド、カプロラクトン、ε−カプロラクトン、バレロラクトン、およびδ−バレロラクトン)から調製されるポリヒドロキシ酸;カーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートなど);ジオキサノン(例えば、1,4−ジオキサノンおよびp−ジオキサノン);1,ジオキセパノン(例えば、1,4−ジオキセパン−2−オンおよび1,5−ジオキセパン−2−オン);ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。これらから形成されるポリマーとしては、ポリラクチド;ポリ(乳酸);ポリグリコリド;ポリ(グリコール酸);ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(ジオキサノン);ポリ(ヒドロキシ酪酸);ポリ(ヒドロキシ吉草酸);ポリ(乳酸−co−グリコール酸);ポリ(ラクチド−co−(ε−カプロラクトン−));ポリ(グリコリド−co−(ε−カプロラクトン));ポリカーボネート;ポリ(偽アミノ酸);ポリ(アミノ酸);ポリ(ヒドロキシアルカノエート)(例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート)、ポリヒドロキシオクタノエート、およびポリヒドロキシヘキサノエート);ポリアルキレンオキサレート;ポリオキサエステル;ポリ酸無水物;ポリエステル無水物;ポリオルトエステル;ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、および組み合わせが挙げられる。
【0047】
これらの高分子は、官能基化されて、組織または基材に結合する末端基、および/あるいはビオチン化末端基を付着させるための反応性部位を提供し得る。例えば、アミンは、タンパク質、アミノグリカン(例えば、キトサン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、およびヘパリン)、ならびにポリペプチド(ポリリジンなど)上に提供され得;カルボキシル基は、タンパク質、ポリペプチド(ポリ(グルタミン酸)など)、多糖類(例えば、カルボキシ化デキストランおよびカルボキシメチルセルロース)、ならびに合成ポリマー(カルボキシ化PEGおよびPEG−ジアジペートなど)上に提供され得;ヒドロキシル基は、多糖類(デキストランなど)、ジ−PEGアジペート、および脂肪族ポリエステル(例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート、ポリ(p−ジオキサノン)、およびこれらのコポリマー)上に提供され得;そしてチオールは、いくつかのタンパク質上に提供され得る。あるいは、これらの高分子は、組織または基材に結合する末端基で官能基化され得、例えば、末端カルボキシル基または末端ヒドロキシル基を含む、ポリ(乳酸)および/またはポリ(グリコール酸)であり得る。
【0048】
ある実施形態において、組織または基材に結合する末端基、および/あるいはビオチン化反応性末端基は、連結剤の使用によって、高分子に結合し得る。アミン含有高分子については、例えば、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)およびスルホ−NHSエステル、塩化スルホニル、アルデヒドおよびグリオキサール、エポキシドおよびオキシラン、カーボネート、アリール化剤、イミドエステル、カルボジイミド、ならびに無水物が利用され得る。カルボキシル含有高分子については、例えば、ジアゾアルカンおよびジアゾアセチル化合物が利用され得、そしてカルボニルジイミダゾール、カルボジイミド、およびNHS(これらは、カルボン酸を、アミンまたはアルコールとの反応を起こしやすい反応性中間体に転換する)が利用され得る。ヒドロキシル含有高分子については、例えば、エポキシドおよびオキシラン、アシルアジド、カルボニルジイミダゾール、ジスクシンイミジルカーボネートおよびヒドロキシスクシンイミジルクロロホルメート、ハロゲン化アルキル、イソシアネート、ならびに塩化メタクリロイルおよび塩化アクリロイルが利用され得、そして過ヨウ素酸塩または過ヨウ素酸エステルを用いる酸化、および酵素酸化が利用され得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、組織または基材に結合する末端基は、スクシンイミジルエステル(例えば、NHSおよびスルホ−NHS);イソシアネートおよびイソチオシアネート;アルデヒド(例えば、酸化デンプン、酸化デキストラン、および酸化PEG)を介して;ならびにチオール基と反応するアクリレートのマイケル付加によって、高分子に結合し得る。
【0050】
ビオチンは、様々な官能基(例えば、アミン、スルフヒドリル、カルボニル、およびカルボキシ反応性化学)を有するものが市販されている。適切な市販の官能基化ビオチンが、結合するべき高分子に基づいて選択され得ることが、想定される。
【0051】
アビジン含有成分は、アビジン、ストレプトアビジンまたはこれらの誘導体で官能基化された、任意の生体適合性化合物であり得る。従って、本明細書中で使用される場合、アビジン含有成分は、アビジン、ストレプトアビジンまたはこれらの誘導体から誘導された、1つ以上の部分を含み得る。この化合物は、官能基化され得る任意の低分子またはポリマーであり得る。このアビジン含有成分は、生体吸収性であっても非生体吸収性であってもよい。
【0052】
アビジン(ニワトリ卵白由来の糖タンパク質)およびストレプトアビジン(Streptomyces avidinii由来)は、約10−15Mの類似の解離定数でビオチンに結合する、2つの関連するタンパク質である。アビジンは、4つの同じサブユニットを有する四量体形態で天然に存在し、各サブユニットは、約128個のアミノ酸残基、6個のマンノース残基、および3個のグルコサミン残基を有し、合わせた分子量は約68,000である。ビオチンに結合するアビジンおよびストレプトアビジンの能力に加えて、これらの多くの物理的特性は、非常に類似している。例えば、両方とも、非共有結合した4つの同じサブユニットから構成され、これらのサブユニットの各々が、1つのビオチン結合部位を有する。サブユニットのMr値は、非常に類似している。さらに、これらの2つのタンパク質の配列における数個の短いストレッチ(特に、およそ同じ位置で起こる2つのTrp−Lysストレッチ)が保存されている。
【0053】
アビジン、ストレプトアビジンおよびこれらの誘導体、ならびにこれらを得るための方法は、当業者の知識の範囲内である。例えば、修飾アビジン(例えば、N−アシルアビジン(例えば、N−ホルミルアビジン、N−アセチルアビジンおよびN−スクシニルアビジン))が調製されている。これらのアビジンの誘導体は、タンパク質の電荷を減少させるが、これらの誘導体は全て、アビジンの利用可能なリジンへの共有結合によって調製され得る。リジン修飾の1つの代替物は、アビジン上のアルギニンの修飾である。この場合、リジンは依然として、引き続く相互作用のために利用可能である。この様式で修飾されたアビジンの2つの異なる誘導体が、市販されている。一方であるExtrAvidin(登録商標)は、種々の官能基で誘導体化または結合体化された形態で、Sigma Chemical Company(St. Louis,Mo.)から得られ得る。2番目であるNeutraLite AvidinTM(Belovo Chemicals(Bastogne,Belgium)の製品)は、酵素的に得られたアビジンの脱グリコシル化形態であり、これは中性pHを示し、そしてさらなる誘導体化のための遊離リジン基を有する。他のアビジン誘導体としては、米国特許第6,638,508号および同第6,632,929号に開示されるものが挙げられ、これらの米国特許の各々の全開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0054】
いくつかの実施形態において、このアビジン含有成分は、多糖類から誘導され得る。適切な多糖類としては、例えば、ソルビトール、マンニトール、スクロース、デキストラン、シクロデキストリンなど、およびこれらの組み合わせが挙げられる。他の実施形態において、このアビジン含有成分は、ポリアルキレンオキシド(「PAO」)から誘導され得る。適切なPAOとしては、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリエチレンオキシド(「PEO」)、ポリプロピレンオキシド(「PPO」)、ラクチド結合を有するポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(「PPG」)、コポリエチレンオキシドのブロックコポリマーまたはランダムコポリマー、ならびにポロキサマー(例えば、ポリプロピレンオキシド(PPO)とのポリエチレンオキシド(PEO)コポリマー(例えば、PLURONICS(登録商標)としてBASF Corporation(Mt.Olive,N.J.)から市販されているトリブロックPEO−PPOコポリマー))が挙げられるが、これらに限定されない。種々の形態のPAO(官能基化PEGを含む)もまた、供給者(例えば、Shearwater Polymers,Inc.(Huntsville,Ala.)、およびTexaco Chemical Company(Houston,Tex)が挙げられる)から市販されている。ある実施形態において、上記PAOの組み合わせが利用され得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、生体吸収性ポリマーが、アビジン含有成分を調製するために使用される。生体吸収性ポリマーは、身体内で分解し、そして加水分解、代謝プロセス、またはバルク腐食もしくは表面腐食によって、身体によって次第に吸収または排出され得る。アビジン含有成分を作製するのに適切な生体吸収性材料の例としては、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ−D,L−乳酸(DL−PLA)、ポリ−L−乳酸(L−PLA)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−co−バレレート)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリアミノ酸(ポリグルタミン酸、ポリアスパラギ酸、およびペンダント酸性基を有する合成アミノ酸(Sigma−Aldrich(St.Louis,Mo.)から市販されているものが挙げられる)が挙げられるが、これらに限定されない)、吸収性シアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、ポリイミノカーボネート、ならびに脂肪族ポリカーボネートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記生体吸収性材料の組み合わせが利用され得る。例えば、上記吸収性ポリマーのうちの1つ以上が、PAOと反応して、親水性特性を有する分解性ポリマーを与え得、このポリマーが次いで、アビジンで官能基化されて、アビジン含有成分を提供し得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、このアビジン含有成分は、多官能性材料(すなわち、分岐構成または星型構成を有する分子)を生成するように修飾され得る。分岐を達成するための方法は、当業者の知識の範囲内であり、そして例えば、アビジン含有成分を形成するために使用される化合物を、多官能性分岐剤と、アビジンでの官能基化の前または後のいずれかに反応させることが挙げられる。適切な多官能性分岐剤としては、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン (2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールとしてもまた公知)、エンテロジオール、多糖類(例えば、ソルビトール、マンニトール、スクロース、デキストラン、シクロデキストリンなど)、ポリオール、ポリビニルアルコール、これらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
ある実施形態において、アビジン含有成分の分子量は、約200〜約50,000、そしてある実施形態においては、約500〜約5,000であり得る。
【0058】
ポリマーおよび他の化合物(例えば、低分子)は、当業者の知識の範囲内である任意の方法を使用して、アビジンで官能基化され得る。例えば、PEGは、Poly(ethylene Glycol) Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications,J. Milton Harris編,Plenum Press,NY(1992)の第22章に開示される方法を使用して、官能基化され得る。
【0059】
ある実施形態において、このアビジン含有成分は、3部分分子を含み、この分子は、高分子またはポリマーと、組織結合末端基または基材結合末端基と、アビジン化末端基とを含む。この高分子としては、天然生分解性材料と合成生分解性材料との両方、ならびにこれらの組み合わせが挙げられ得、これらは、上記のように、組織または基材に結合する反応性基を含み得るか、またはこれらの基で官能基化され得る。
【0060】
アビジンは、反応のための遊離アミンおよびカルボキシル基を含むタンパク質である。適切な官能基化高分子が、アビジンのアミン基またはカルボキシル基と結合するために使用され得ることが想定される。
【0061】
各アビジンまたはストレプトアビジンは、1分子のビオチンと結合する。この結合の独特の特徴は、アビジン−ビオチン複合体の形成の強さおよび特異性である。得られる親和性定数(アビジンについては1.6×1015−1、およびストレプトアビジンについては2.5×1013−1と推定されている)は、タンパク質と有機リガンドとについて公知であるもののうちで最も高い。この結合は非常に強いので、ビオチンは、種々の非常に厳しい条件(例えば、室温で高濃度の変性剤(例えば、6Mのグアニジニウム塩酸塩、3Mのグアニジニウムチオシアネート、8Mの尿素、10%のβ−メルカプトエタノールまたは10%のドデシル硫酸ナトリウム))に曝露される場合でさえも、結合部位から外れ得ない。グアニジニウム塩酸塩との低pH(1.5)での組み合わせた処理により、または変性剤もしくは洗浄剤の存在下での加熱(>70℃)の際に、このタンパク質は変性し得、そしてビオチンは、破壊された結合部位から外れ得る。
【0062】
ビオチン含有成分およびアビジン含有成分は、使用の前に別々に調製され得、そして別々に保存され得る。ビオチン含有成分および/またはアビジン含有成分は、ニートで保存され得る。あるいは、ビオチン含有成分および/またはアビジン含有成分は、乾燥粉末として保存され得、この乾燥粉末は、使用の直前に(例えば、水または他の生体適合性溶媒と混合することによって)再構成され得る。あるいは、ビオチン含有成分および/またはアビジン含有成分は、水または他の何らかの生体適合性溶媒を含む組成物中に配合され得、そして塗布まで別々に保存され得る。例えば、これらの配合物は、溶液、エマルジョン、および分散物であり得る。ビオチン含有成分およびアビジン含有成分の、このような配合物中での濃度は、多数の要因(使用される特定のポリマーの型および分子量、ならびに所望の最終使用用途(すなわち、接着剤または封止剤としての使用)が挙げられる)に依存して変わる。ある実施形態において、ビオチン含有成分および/またはアビジン含有成分は、このような配合物中に、この組成物の約5重量%〜約95重量%、ある実施形態においては、この組成物の約20重量%〜約80重量%の量で存在し得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、1つ以上の生物活性剤を含み得る。生物活性剤は、ビオチン含有成分もしくはアビジン含有成分、またはこれらの両方を含む配合物に含まれ得る。あるいは、生物活性剤は、使用の直前に、ビオチン含有成分および/またはアビジン含有成分と混合され得る。用語「生物活性剤」は、本明細書中で使用される場合、その最も広い意味で使用され、そして臨床用途を有し得る任意の物質または物質混合物を包含する。従って、生物活性剤は、それ自体で薬理学的活性を有しても有さなくてもよい(例えば、色素)。あるいは、生物活性剤は、治療効果もしくは予防効果を提供する任意の剤であり得るか、組織成長、細胞増殖、もしくは細胞分化に影響を与えるかまたは関与する化合物であり得るか、生物学的作用(例えば、免疫応答)を引き起こし得る化合物であり得るか、あるいは1つ以上の生物学的プロセスにおいて他の任意の役割を果たし得る。
【0064】
本開示に従って利用され得る生物活性剤のクラスの例としては、抗菌薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、鎮痙薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心臓血管剤、診断剤、交感神経様作用薬、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、鎮痙薬、ホルモン、増殖因子、成長因子、筋弛緩薬、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性剤、免疫抑制薬、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、および酵素が挙げられる。生物活性剤の組み合わせが本発明の組成物において使用され得ることもまた意図される。
【0065】
本開示の組成物に生物活性剤として含まれ得る適切な抗菌剤としては、トリクロサン(triclosan)(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしてもまた公知)、クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、および硫酸クロルヘキシジンが挙げられる)、銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク、および銀スルファジアジンが挙げられる)、ポリミキシン;テトラサイクリン;アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン);リファンピシン;バシトラシン;ネオマイシン;クロラムフェニコール;ミコナゾール;キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン(pefloxacin)、エノキサシンおよびシプロフロキサシン);ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル(pipracil));ノンオキシノール9;フシジン酸;セファロスポリンならびにこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、抗菌タンパク質およびペプチド(例えば、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシン(lactoferricin)B)が、本開示の組成物に生物活性剤として含有され得る。
【0066】
本開示の組成物に生物活性剤として含有され得る他の生物活性剤としては、局所麻酔薬;非ステロイド性抗受精剤;副交感神経様作用剤;精神療法剤;トランキライザ;うっ血除去薬;鎮静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経様作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛剤;抗パーキンソン剤(例えば、L−ドパ);鎮痙薬;抗コリン作用性剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張薬;心臓血管剤(例えば、冠状血管拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイノン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリチレート、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗癌剤;鎮痙薬;制吐薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性剤;エストロゲン;抗菌剤;抗生物質;抗真菌剤;抗ウイルス剤;抗凝固薬;鎮痙薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;ならびに免疫学的剤が挙げられる。
【0067】
本開示の組成物に含有され得る適切な生物活性剤の他の例としては、ウイルスおよび細胞;ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそのアナログ、ムテイン、および活性フラグメント;免疫グロブリン;抗体;サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン);血液凝固因子;造血因子;インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6);インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN);エリスロポイエチン;ヌクレアーゼ;腫瘍壊死因子;コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF);インスリン;抗腫瘍剤および癌抑制因子;血液タンパク質;性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど);ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン);ワクチン(例えば、腫瘍性抗原、細菌性抗原およびウイルス性抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;増殖因子または成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);タンパク質インヒビター;タンパク質アンタゴニスト;およびタンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNAおよびRNA);オリゴヌクレオチド;ならびにリボザイム;天然に存在するポリマー(コラーゲンなどのタンパク質および天然に存在する種々の多糖類(例えば、グルコサミノグリカン)の誘導体が挙げられる);ペプチドヒドロラーゼ(例えば、エラスターゼ、カテプシンG、カテプシンE、カテプシンB、カテプシンH、カテプシンL、トリプシン、ペプシン、キモトリプシン、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(γ−GTP)など);糖鎖ヒドロラーゼ(例えば、ホスホリラーゼ、ノイラミニダーゼ、デキストラナーゼ、アミラーゼ、リゾチーム、オリゴサッカラーゼなど);オリゴヌクレオチドヒドロラーゼ(例えば、アルカリホスファターゼ、エンドリボヌクレアーゼ、エンドデオキシリボヌクレアーゼなど)が挙げられる。いくつかの実施形態において、酵素が添加される場合、この酵素は、その放出速度を制御するためのリポソームまたはマイクロスフェア内に含まれ得、これによって、本開示の組成物の分解速度を制御する。酵素をリポソームおよび/またはマイクロスフェアに組み込むための方法は、当業者の知識の範囲内である。
【0068】
単一の生物活性剤が本発明の組成物において利用され得るか、または代替の実施形態において、生物活性剤の任意の組み合わせが利用され得る。
【0069】
種々の任意の成分もまた、本開示の組成物に添加され得る。抗菌安定化特性を提供し、そして組成物中の他の材料の分散を補助する、リン脂質界面活性剤が、本開示の組成物に添加され得る。画像化剤(例えば、ヨウ素、硫酸バリウム、またはフッ素)もまた、本開示の組成物と組み合わせられて、画像化設備(X線、MRI、および/またはCATスキャンが挙げられる)の使用による外科手術領域の可視化を可能にし得る。
【0070】
一旦得られると、ビオチン含有成分およびアビジン含有成分は合わせられて、本開示の組成物を形成し得、この組成物は、ある実施形態において、生体適合性の接着剤または封止剤として利用され得る。ある実施形態において、ビオチン含有成分およびアビジン含有成分は、組織表面に直接塗布されて、ビオチン基とアビジン基との間での反応の結果として、三次元架橋マトリックスを形成し得る。
【0071】
本発明の組成物の塗布は、他の添加剤ありまたはなしで、任意の従来の手段によってなされ得る。これらの手段としては、浸漬、ブラッシング、または組織表面での組成物の他の直接的な操作、あるいは表面への生体適合性組成物の噴霧が挙げられる。観血外科手術においては、手、鉗子などによる塗布が想定される。内視鏡外科手術においては、この生体適合性組成物は、トロカールのカニューレを通して送達され得、そして当業者の知識の範囲内の任意のデバイスによって、その部位に広げられ得る。
【0072】
本開示の生体適合性組成物は、従来の接着剤ディスペンサーから分配され得、このディスペンサーは、分配の前に、ビオチン含有成分とアビジン成分との混合を提供し得る。このようなディスペンサーは、例えば、米国特許第4,978,336号、同第4,361,055号、同第4,979,942号、同第4,359,049号、同第4,874,368号、同第5,368,563号、および同第6,527,749号(これらの各々の開示は、本明細書中に参考として援用される)に開示されている。従って、いくつかの実施形態において、本開示はまた、ビオチン含有成分を含む第一の組成物を収容する第一のチャンバ、アビジン含有成分を含む第二の組成物を収容する第二のチャンバ、ならびに第一の組成物および第二の組成物を同時に分配するための1つ以上の出口を備える、装置に関する。
【0073】
ビオチン含有成分とアビジン含有成分との混合物から得られる生体適合性組成物は、ヒトおよび動物の医療用途(創傷閉鎖(外科手術切開および他の創傷が挙げられる)、医療デバイス(移植物が挙げられる)のための接着、封止剤および空隙充填剤、ならびに塞栓剤が挙げられるが、これらに限定されない)において使用され得る。この生体適合性組成物は、縫合糸、ステープル、クランプなどの代わりにか、またはこれらと組み合わせて、医療/外科の立場で使用され得る。本発明の組成物の使用は、現在、実施中に通常必要とされる縫合糸を排除し得るか、または縫合糸の数をかなり減少させ得、そしてステープルおよび特定の型の縫合糸を除去するその後の必要性を排除し得、従って、縫合糸、クランプまたは他の従来の組織閉鎖機構がさらなる組織損傷を引き起こし得る繊細な組織に対して使用するために、特に有用であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、この生体適合性組成物は、繊細な組織(例えば、肺組織)を一緒にシールまたは接着させるために、機械的応力を引き起こし得る従来の道具の代わりに使用され得る。
【0075】
この生体適合性組成物のさらなる用途としては、組織を封止して、縫合線またはステープル線における血液または他の流体の漏出を防止または制御することが挙げられる。別の実施形態において、この生体適合性組成物は、再建手術中に、皮膚移植片を付着させて、組織フラップを位置決めするために使用され得る。なお別の実施形態において、この生体適合性組成物は、歯周手術において組織フラップを閉鎖するために使用され得る。得られる生体適合性組成物はまた、組織における空気および/または流体の漏出部を封止するため、ならびに術後癒着を防止して組織の空隙および/または欠損部を充填するために使用され得る。あるいは、本発明の組成物は、有用な固体形状(例えば、癒着防止障壁、ステープルバットレス、縫合糸綿撒糸、組織充填デバイスなど)に硬化させられ得る。本発明の組成物はまた、任意の望ましい医療デバイスに、生体適合性コーティングとして塗布され得る。
【0076】
2つの組織の縁部の接合を行うために、これらの2つの縁部が接近させられ、そしてビオチン含有成分がアビジン含有成分と合わせられ、そして接近させられた縁部に塗布され、そしてこれらの2つの成分が互いに架橋し、これによって、本開示の生体適合性組成物を形成する。他の実施形態において、ビオチン含有成分が1つの組織の縁部に塗布され得、アビジン含有成分が第二の組織の縁部に塗布され得、そしてこれらの2つの組織縁部が、ビオチン含有成分がアビジン含有成分と合わさるように近接させられ、そしてこれらの2つの成分が互いに架橋し、これによって、本開示の生体適合性組成物を形成する。この架橋反応は迅速であり、一般には1分かからない。この場合、本開示の組成物は、創傷(外科手術の切開を含む)を閉鎖するための接着剤として使用され得る。このような場合、本開示の組成物は、創傷に塗布され得、そして硬化され得、これによってこの創傷を閉鎖する。
【0077】
別の実施形態において、本開示の生体適合性組成物は、組織の2つの縁部を固定するのではなく、組織に医療デバイスを接着させるために使用され得る。いくつかの場合において、この医療デバイスは、ビオチン含有成分、アビジン含有成分、またはこれらの両方のコーティングを備え得る。いくつかの局面において、この医療デバイスは、移植物を備える。他の医療デバイスとしては、ペースメーカー、ステント、シャントなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、デバイスを動物組織の表面に接着させるためには、本開示の組成物、またはその個々の成分は、デバイス、組織表面、またはこれらの両方に塗布され得る。次いで、デバイス、生体適合性組成物(またはその成分)、および組織表面は、互いに接触させられ、そして組成物が硬化させられ、これによって、このデバイスとこの表面とを互いに接着する。
【0078】
他の実施形態において、ビオチン含有成分またはアビジン含有成分のうちの一方は、移植物(例えば、組織工学的構築物(例えば、発泡体、フィルム、組織足場、外科用綿撒糸、バットレス、およびメッシュ))に結合し得、そして他方の成分は、組織表面に塗布されて結合し得、従って、この移植物およびこの組織表面に、ビオチンに富む表面またはアビジンに富む表面を提供し得る。例えば、組織反応性基を有する第一の前駆体は、組織に塗布されてこの組織に結合し得、これによって、アビジンまたはビオチンに富む表面を作製し得る。次いで、移植物(第一の前駆体がビオチンを有する場合にはアビジンを有し、そして第一の前駆体がアビジンを有する場合にはビオチンを有する)が、この組織と接触して配置され得、これによって、アビジン−ビオチン親和性が、この移植物をこの組織に接着させるように働く。
【0079】
ある実施形態において、コラーゲンベースの足場が、アビジン含有成分の遊離アミンと化学反応して、この足場の表面にアビジンを共有結合させ得る。ビオチン含有成分は、組織結合反応性基(例えば、アミン基、カルボキシル基、またはヒドロキシル基)を介して、組織表面に結合し得る。このビオチンは、この反応性基と直接結合してもよく、上記のような連結剤によって付着してもよい。
【0080】
この移植物は、この組織表面と接触して配置され得、そしてビオチン−アビジン親和性が、この移植物をこの組織に接着させるように働く。この結合は非共有結合性であるので、この移植物は、最初の接触の際に首尾よく配置されない場合に、取り外して再度付着させられ得、依然として、適切な配置の際に良好な組織治癒を提供し得る。
【0081】
別の実施形態において、軟骨修復の場合、ヒドロキシ反応性組織結合末端基がアビジンと連結して、軟骨下の骨をコーティングして、その骨に接着し得る。次いで、ビオチン化された組織足場がこの軟骨下の骨に付着させられ得、そして適所にしっかりと取り付けられ得、これによって、関節において受ける高い負荷および剪断により外れることを防止する。
【0082】
乳房再建術の場合、アミン反応性組織結合末端基は、アビジンと連結して、下にある組織表面および皮膚フラップをコーティングして、そこに接着し得る。ビオチン化された組織足場(すなわちメッシュ)が、下にある組織表面と皮膚フラップとの間に配置され得、その結果、この組織足場(すなわちメッシュ)が、両面テープのように働いて、下にある組織表面と皮膚フラップとを接着させ、同時にまた、組織の内方成長および治癒を助ける。ある実施形態において、この組織足場はまた、疼痛用薬剤の局所送達のために使用され得、これによってまた、この足場からの疼痛寛解を提供し得る。
【0083】
本開示の生体適合性組成物はまた、外科手術後の癒着を防止するために使用され得る。このような用途において、この生体適合性組成物は、内部組織の表面に層として塗布され得、そして硬化し得る。この目的は、治癒プロセス中に外科手術部位において癒着が形成されることを防止することである。
【0084】
封止剤として使用される場合、本開示の生体適合性組成物は、外科手術手順の最中と後との両方に、出血または流体の漏出を防止または抑制するために、外科手術において使用され得る。この生体適合性組成物はまた、肺手術に関連する空気の漏出を防止するために塗布され得る。この生体適合性組成物は、望ましい領域に直接、組織のあらゆる欠損部を密封するため、およびあらゆる流体または空気の移動を密封するために少なくとも必要な量で塗布され得る。
【0085】
本発明の生体適合性組成物は、多数の有利な特性を有する。得られる本開示の生体適合性組成物は、安全かつ生体適合性であり、組織に対する増強された接着性を有し、そして生分解性であり、増強された止血能力を有し、低費用であり、そして調製および使用が容易である。ポリマー成分の選択を変えることによって、この生体適合性組成物のゲル化時間が制御され得ると同様に、強度および弾性が制御され得る。
【0086】
この生体適合性組成物は、柔軟なゲルマトリックスを迅速に形成し、このゲルマトリックスは、組織の縁部または移植された医療デバイスの所望の位置への静止した位置決めを確実にし、そして必要とされる全体的な外科手術/塗布時間を低下させる。この生体適合性組成物は、ゲルマトリックス形成の際に膨潤をほとんどまたは全く示さず、従って、整列した組織縁部の位置的一体性および/または医療デバイスの位置を保持する。この生体適合性組成物は、部分的にはアビジンおよび/またはストレプトアビジンに対するビオチンの高い親和性に基づいて、強力な密着性の結合を形成する。この生体適合性組成物は、良好な機械的性能および強度を示し、一方で生体組織を接着させるために必要な柔軟性を維持する。この強度および柔軟性は、外科手術組織縁部を移動させることなく、組織のある程度の動きを可能にする。さらに、この生体適合性組成物は、生分解性であり、分解成分は被験体の身体を安全に通過し得る。
【0087】
種々の改変が、本明細書中に開示された実施形態に対してなされ得ることが理解される。従って、上記記載は、限定と解釈されるべきではなく、単に、本開示の実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内の他の改変を予測する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を備える移植物;
組織結合末端基および官能基を含む第一の成分であって、該官能基は、ビオチンおよびアビジンからなる群より選択される、第一の成分;ならびに
基材結合末端基および官能基を含む第二の成分であって、該官能基は、ビオチンおよびアビジンからなる群より選択される、第二の成分、
を備え、
該第一の成分の該官能基は、該第二の成分の該官能基とは異なり、そして該第一の成分および該第二の成分のうちの一方が、組織表面に接着し、そして該第一の成分および該第二の成分のうちの他方が、該移植物に接着する、生体適合性構成物。
【請求項2】
前記移植物が組織工学的構築物である、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項3】
前記組織工学的構築物が、発泡体、フィルム、組織足場、外科用綿撒糸、バットレス、およびメッシュからなる群より選択される、請求項2に記載の生体適合性構成物。
【請求項4】
前記第二の成分の前記基材結合末端基が、組織結合末端基である、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項5】
前記第一の成分が生分解性材料である、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項6】
前記第一の成分が、アルギネート、デキストラン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、セルロース、コラーゲン、ゼラチン、フカン、グリコサミノグリカン、ガット、絹、麻、綿、アルブミン、カゼイン、ゼイン、絹、ダイズタンパク質、ならびにこれらのコポリマーおよびブレンドからなる群より選択される、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項7】
前記第一の成分が、ポリラクチド、ポリ(乳酸)、ポリグリコリド、ポリ(グリコール酸)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(ラクチド−co−(ε−カプロラクトン))、ポリ(グリコリド−co−(ε−カプロラクトン))、ポリカーボネート、ポリ(偽アミノ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリ酸無水物、ポリエステル無水物、ポリオルトエステル、およびこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、ならびに組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項8】
前記第二の成分が生分解性である、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項9】
前記第二の成分が、アルギネート、デキストラン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、セルロース、コラーゲン、ゼラチン、フカン、グリコサミノグリカン、ガット、絹、麻、綿、アルブミン、カゼイン、ゼイン、絹、ダイズタンパク質、ならびにこれらのコポリマーおよびブレンドからなる群より選択される、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項10】
前記第二の成分が、ポリラクチド、ポリ(乳酸)、ポリグリコリド、ポリ(グリコール酸)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(ラクチド−co−(ε−カプロラクトン))、ポリ(グリコリド−co−(ε−カプロラクトン))、ポリカーボネート、ポリ(偽アミノ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリオキサエステル、ポリ酸無水物、ポリエステル無水物、ポリオルトエステル、およびこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、ならびに組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項11】
前記第一の成分の前記組織結合末端基が、高分子の官能基である、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項12】
前記第二の成分の前記基材結合末端基が、高分子の官能基である、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項13】
前記第一の成分の前記組織結合末端基および前記官能基のうちの少なくとも1つが、高分子に共有結合している、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項14】
前記第二の成分の前記基材結合末端基および前記官能基のうちの少なくとも1つが、高分子に共有結合している、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項15】
前記第一の成分の前記組織結合末端基および前記官能基のうちの少なくとも1つが、連結剤を介して高分子に結合している、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項16】
前記第二の成分の前記基材結合末端基および前記官能基のうちの少なくとも1つが、連結剤を介して高分子に結合している、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項17】
生物活性剤をさらに含む、請求項1に記載の生体適合性構成物。
【請求項18】
移植物を組織に接着させるためのシステムであって、
基材を備える移植物;
第一の成分であって、該第一の成分は、組織結合末端基および官能基を含み、該官能基は、ビオチンおよびアビジンからなる群より選択され、該第一の成分は、組織表面に塗布されるように構成される、第一の成分;ならびに、
第二の成分であって、該第二の成分は、基材結合末端基および官能基を含み、該官能基は、ビオチンおよびアビジンからなる群より選択され、該第二の成分は、基材を備える該移植物に塗布されるように構成される、第二の成分;
を含むシステムであって、
ここで該第一の成分の該官能基は、該第二の成分の該官能基と異なり、そして、
該移植物は、アビジン−ビオチン親和性結合を介して該組織に接着するように構成される、システム。
【請求項19】
前記第一の成分は、第二の組織表面に塗布されるように構成され、そして、
前記移植物は、前記第一の組織表面と該第二の組織表面との両方の組織表面に接着するように構成される、
請求項18に記載のシステム。

【公開番号】特開2011−245288(P2011−245288A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104793(P2011−104793)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】