説明

組織部位に減圧を適用するための多層包帯剤、システム、及び方法

組織部位に減圧を適用するための具体的なシステム、方法、及び包帯剤が、適用され、組織部位から流体を迅速に除去して、表皮の浸軟を減少又は防止する。1つの包帯剤が、組織部位に減圧を伝えるための包帯剤用材料及び包帯剤用材料の少なくとも一部を覆うドレープを有する。包帯剤用材料は、組織部位に接触するよう構成された疎水性の組織インタフェース層を有する。また、包帯剤用材料は、減圧を分配するよう構成されたマニホルドを有する。マニホルドは疎水性層である。また、包帯剤用材料は、組織インタフェース層及びマニホルドを介して組織部位から液体を吸収するよう構成された1又はそれ以上の吸収層を有する。他の態様が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、35U.S.C§119(e)の下で、2008年9月18日に出願され、“Multi−Layer Dressing,System,and Method For Applying Reduced Pressure At a Tissue Site”と題される米国仮特許出願第61/098,000号、2008年9月18日に出願され、“Laminar Dressing,System,and Method For Applying Reduced Pressure At a Tissue Site”と題される米国仮特許出願第61/098,015号の出願の利益を主張する。これらの出願は、参照することにより実際にここに盛り込まれている。
【背景技術】
【0002】
臨床研究及び業務により、組織部位の近くに減圧を与えることが組織部位における新たな組織の成長を増加又は加速させることが分かっている。このような現象の適用は数え切れないほどであるが、減圧の適用は、創傷の治療に特に成功を収めている。このような治療(医学界で多くの場合、「負圧創傷治療」、「減圧治療」、又は「真空治療」と称される)は、迅速な回復、肉芽組織の形成の増加を含む、多くの利点を与える。
【0003】
減圧治療システムは、多くの場合、救急処置又は長期療養を受ける患者から出てくる多量の滲出液に、減圧の適用なしには容易に回復しにくい他の重度の創傷とともに適用される。大きさが小さく滲出液があまり出ない深刻度の低い創傷は、概して、減圧治療の代わりに改良型の包帯剤を用いて治療される。
【発明の概要】
【0004】
創傷治療システム及び包帯剤の特定の態様に関する欠点を、様々な具体的な非限定的な実施例で図示及び説明されるように本発明によって取り扱う。具体的な実施例によれば、組織部位に減圧を適用するための包帯剤が、組織部位に減圧を伝え組織部位から液体を受け取るための包帯剤を有する。包帯剤用材料が、組織に接触させるための組織界面層であって疎水性層である組織界面層と;減圧を送出するためのマニホルドであって、疎水性層であるマニホルドと;組織界面層及びマニホルドを介して組織部位から液体を吸収するための第1の吸収層とを有する。組織界面層と第1の吸収層との間にマニホルドを配置し得る。さらに、包帯剤は、包帯剤用材料の少なくとも一部を覆うドレープを有する。
【0005】
別の具体的な非限定的な実施例によれば、組織部位に減圧を適用するためのシステムが減圧を供給するための減圧源、減圧を伝えるための減圧送出管路、包帯剤用材料、及び包帯剤用材料の少なくとも一部を覆うドレープを有する。包帯剤用材料は、減圧送出管路を介して減圧源と流体連通する。包帯剤用材料は、組織部位に減圧を送出し、組織部位から液体を受け取る。包帯剤用材料は、組織部位に接触するよう構成された疎水性層である組織界面層;疎水性層であるマニホルドであって、減圧を送出するためのマニホルド;組織界面層及びマニホルドを介して組織部位から液体を吸収するための第1の吸収層;を有する。組織界面層と第1の吸収層との間にマニホルドを配置し得る。
【0006】
別の具体的な非限定的な実施例によれば、組織部位に減圧を適用するための方法が、組織部位に包帯剤用材料を適用するステップと、ドレープで包帯剤用材料を少なくとも一部を覆うステップと、包帯剤用材料に減圧を供給するステップとを有する。包帯剤用材料は、組織部位に減圧を伝え、組織部位から液体を受け取る。包帯剤用材料は、組織部位に接触するよう構成された疎水性層である組織界面層;疎水性層であるマニホルドであって、減圧を送出するためのマニホルド;組織界面層及びマニホルドを介して組織部位から液体を吸収するための第1の吸収層;を有する。組織界面層と第1の吸収層との間にマニホルドが配置されている。
【0007】
別の具体的な非限定的な実施例によれば、組織部位に減圧を適用するための包帯剤を作製する方法が、疎水性層である組織界面層を与えるステップと;組織対向面を有するマニホルドを与えるステップと;マニホルドの組織対向面の少なくとも一部を組織界面層に結合するステップと;組織対向面を有し液体を吸収する第1の吸収層を与えるステップとを有する。マニホルド減圧を分配する疎水性層である。さらに、この作製する方法が、第1の吸収層の組織対向面の少なくとも一部をマニホルドに結合するステップを有する。また、この方法は、組織対向面を有する第2の吸収層を与えるステップを有する。第2の吸収層は、組織界面層、マニホルド及び第1の吸収層を介して組織部位から液体を吸収するための親水性層を有する。また、この方法は、第1の吸収層に第2の吸収層の組織対向面の少なくとも一部を結合するステップを有する。
【0008】
さらに別の具体的な非限定的な実施例によれば、減圧創傷包帯剤が、第1の面及び第2の組織対向面を有する非接着性の疎水性層;第1の面及び第2の組織対向面を有する多孔質の疎水性マニホルド層;第1の面及び第2の組織対向面を有する急速に吸収する親水性層;第1の面及び第2の組織対向面を有する流体保持層;第1の面及び第2の組織対向面を有するシーリング部材を有する。多孔質の疎水性マニホルドの第2の組織対向面は、非接着性の疎水性層の第1の面に隣接する。急速に吸収する親水性層の第2の組織対向面は、多孔質の疎水性マニホルド層の第1の面に隣接する。流体保持層の第2の組織対向面は、急速に吸収する親水性層の第1の面に隣接する。シーリング部材の第2の組織対向面は、流体保持層の第1の面に隣接する。
【0009】
図面及び以下の詳細な説明を参照して具体的な実施例の他の態様及び利点が明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、組織部位に減圧を適用するための具体的な非限定的なシステムの一部断面を示す概略図である。
【図2】図2は、組織部位に減圧を適用するための具体的な非限定的な包帯剤の概略的な分解斜視図である。
【図3】図3は、組織部位に減圧を適用するための具体的な非限定的な包帯剤の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好適な実施例の以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付図面を参照するが、添付図面は本発明を実施する具体的な特定の好適な実施例を示す。これらの実施例は、十分詳細に説明されていることで当業者は本発明を実施することができ、本発明の精神又は範囲から逸脱せずに他の実施例を使用でき、及び論理的構造、機械的、電気的、及び化学的変更を行い得ることが理解されよう。当業者が本発明を実施するのに必ずしも必要のない詳細を避けるために、本説明は、当業者に既知の特定の情報を省略する。このため、以下の詳細な説明は、限定的な意味として捉えるべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって規定される。
【0012】
ここで、主に図1を参照すると、包帯剤102を有する具体的な減圧治療システム100を示しており、組織部位104に減圧を適用する。包帯剤102は、包帯剤用材料106を有する。包帯剤用材料106は、任意の数の層又は構成要素を有しており、多くの具体的な非限定的な例をここに示す。それ以外のものを図示しない限り、ここで使用される「又は」という語句は相互排他性を要しない。包帯剤用材料106は、1又はそれ以上のラミナ層を有する。包帯剤102は、さらに、シーリング材108、減圧コネクタ110、減圧インタフェース、又は結合部材を有する。
【0013】
包帯剤用材料106は、減圧を送出するためのマニホルドとして機能する。ここで使用される「マニホルド」という用語は、一般に、組織部位に減圧を適用し、流体を送出し、組織部位から流体を除去するのを補助するよう与えられる物質又は構造に関する。マニホルドは、一般に、複数の流路又は通路を有しており、組織部位に与えられ組織部位から除去される流体の送出を改善する。マニホルドとして機能する包帯剤用材料106は、さらに以下で説明するように多くの層を有する。
【0014】
組織部位104は、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、靱帯、又は他の組織を含むヒト、動物、又は他の生物の体組織である。組織部位104が、傷、病変組織、又は欠陥組織104を有する一方、組織部位104は、損傷、罹患又は欠陥のない健常組織でもよい。
【0015】
組織部位104への減圧の適用を用いて、組織部位104からの滲出液及び他の液体の排出を促進し得るとともに、さらなる組織の成長を刺激する。組織部位104が傷部位のケースでは、肉芽組織の成長及び滲出液及び細菌の除去が傷の回復を促進する。健常組織を含む非損傷又は非欠陥組織への減圧の適用を使用して、摘出及び別の組織の場所に移植される組織の成長を促進し得る。
【0016】
ここで使用する「減圧」は、一般に、治療を受ける組織部位104の雰囲気圧よりも小さい圧力に関する。大部分のケースでは、このような減圧は患者が居る大気圧よりも小さい。代替的に、減圧は組織部位104の静水圧よりも小さい。それ以外を示さない限り、ここで記載される圧力の値はゲージ圧である。送出される減圧は、一定又は(パターンにしたがって又はランダムに)変動し、連続的に又は断続的に送出し得る。「真空」及び「負圧」という用語は、組織部位に加わる圧力を説明するよう使用されるが、組織部位に加わる実際の圧力は、通常完全な真空と考えられている圧力よりも大きい。ここでの使用で一貫して、減圧又は真空の増加は、一般に、絶対圧力の相対的な減少に関する。
【0017】
減圧は、減圧送出管路112によって減圧コネクタ110に与えられる。減圧送出管路112は減圧源114から減圧を受ける。減圧源114は、手動ポンプ、電動式真空ポンプ、ウォール真空源等を含むがこれらに限定されない減圧を供給するための任意のデバイス又はサブシステムとし得る。組織部位に加わる減圧の量及び特性は、一般に、適用例にしたがって変動する一方、減圧は一般に−5mmHg及び−500mmHgの間であり、より一般的には、−100mmHg及び−200mmHgの間である。1つの具体的な実施例では、減圧源114はバッテリ駆動する真空ポンプである。具体的な一例では、ポンプが少量の出力を使用し、バッテリの1回の充電で長期間作動し得る。
【0018】
1又はそれ以上のデバイスを、減圧コネクタ110と減圧源114との間で流体結合し得る。例えば、減圧送出管路112の一部に流体結合される代表的なデバイス116が示されている。代表的なデバイス116は、除去された滲出液及び他の流体を貯めるための流体リザーバ、又は収集チャンバである。減圧送出管路112に含まれる又はそうでなければ減圧送出管路112に流体結合されるデバイス116の他の具体的な非限定的な例が、以下の非限定的な例を有する:すなわち、圧力フィードバックデバイス、容量検出システム、血液検出システム、感染検出システム、流量監視システム、温度監視システム等である。これらのデバイスのいくつかは、減圧源114又はシステム100の他の態様に一体形成され得る。
【0019】
包帯剤102は、治療すべき組織部位104に接触又は覆うよう構成される。ここで使用する「覆う」という用語は、部分的又は完全に覆うことを含んでいる。また、第2の物体を覆う第1の物体は、第2の物体に直接的又は間接的に接触しており、又は第2の物体に全く接触していない。
【0020】
包帯剤用材料106は、シーリング材108、又はドレープによって完全に又は部分的に覆われている。シーリング材108は、包帯剤用材料106及び患者の表皮118一部に対して流体シールを与える材料である。シーリング材108は、例えば、不透水性又は半透水性のエラストマ材料である。「エラストマ」とは、エラストマの特性を有することを意味する。それは、一般に、ゴムのような性質を有するポリマ材料に関する。特に、大部分のエラストマは、100%よりも大きい伸び率及び相当量の復元率を有する。材料の復元率は、弾性変形から回復するための材料の性能に関する。エラストマの例は、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン、EVAフィルム、コポリエステル、及びシリコーンを含むがこれらに限定されない。シーリング材用材料の特定の例は、シリコーンドレープ、3M Tegaderm(登録商標)ドレープ、Avery Dennisonから市販されているアクリルドレープ、又は切開用ドレープを含んでいる。
【0021】
シーリング材108は、組織部位104に接触するよう包帯剤用材料106に配置した後に、包帯剤用材料106の上方に適用される「シート」形式、又は注ぎ入れ得る又は噴霧できる形式で提供される。ある実施例では、シーリング材108が、吸着カップ、成形型、及びベルジャーを含むがこれらに限定されず、包帯剤用材料106及び組織部位104の上方に配置されてシーリング機能を与えるデバイスを有する。シーリング材108は、第1の面120及び第2の組織対向面122を有する。
【0022】
取り付けデバイス124を使用して、患者の表皮118又は別の層に対してガスケット又は追加のシーリング材とったシーリング材108を保持し得る。取り付けデバイス124は多くの形式を取る。例えば、取り付けデバイス124は、シーリング材108の周囲又は周縁128を延びる医学的に満足する感圧接着剤126である。
【0023】
一実施例では、シーリング材108は、患者の表皮118(又は包帯剤用材料106を囲む他の組織)及び組織部位104と密着した接触を与えるよう構成されている。密着した接触は、シーリング材108又はシーリング材108の任意の部分の周縁128に沿って位置する接着剤126によって与えられ、シーリング材108を包帯剤用材料106又は組織部位104を囲む組織に固定する。接着剤126をシーリング材108に再配置するか、又はスプレーするか、そうでなければシーリング材108を設ける直前にシーリング材108に付けてもよい。また、組織部位104にシーリング材108を付ける前に、接着支持層又は除去可能なバッキング(backing)で接着剤126を覆ってもよい。接着支持層は付ける前にシーリング材108に剛性を与え、さらには、組織部位104又は組織部位104の近くの組織にシーリング材108を実際に付け易くする。シーリング材108に付ける前に、接着支持層を剥離させるか又はそうでなければ除去し得る。
【0024】
減圧コネクタ110はシーリング材108に結合され、シーリング材108の第2の組織対向面122と組織部位104との間に形成された内部空間130に減圧を与える。別の実施例では、減圧送出管路112が包帯剤102に減圧源114を直接的に結合する。
【0025】
減圧送出管路112は、気体、液体、ゲル、又は他の流体が流れ得るチューブ又は流路である。減圧送出管路112の可能な実施例は、以下の多くの非限定的な例である。減圧送出管路112は、円形、楕円形、又は多角形といった断面形状を有する。さらに、減圧送出管路112は任意の材料でできており、柔軟性を有するか又は有しない。図1では、減圧送出管路112が、各デバイス116に減圧コネクタ110を結合し、減圧源114に各デバイス116を結合する。しかしながら、減圧送出管路112が、包帯剤102に減圧源114を直接的に結合してもよい。また、減圧送出管路112は、流体が通る1又はそれ以上の通路又は管腔を有し得る。例えば、減圧送出管路112は、一方の管腔が圧力測定を管理して組織部位104に加わる減圧量を決定するよう使用される2つの管腔を有する。他の管腔を使用して、空気、抗生物質、抗ウイルス剤、細胞増殖促進剤、洗浄液、又は他の化学的に活性な薬剤といった流体を組織部位104に送出し得る。これらの流体が流出する流体源は図1に示さない。
【0026】
減圧コネクタ110により、包帯剤用材料106から減圧送出管路112に又はその逆方向に(滲出液、空気等といった)流体が通過し得る。別の具体的な実施例で(図示せず)では、減圧治療システム100は減圧コネクタ110を有しない。このような具体的な実施例では、減圧を送出し得る方法で減圧送出管路112の端部がシーリング材108又は包帯剤用材料106のいずれかに近接し又は接触するように、減圧送出管路112をシーリング材108又は包帯剤用材料106の中に直接的に挿入し得る。図1に示す非限定的な例では、シーリング材108が、減圧コネクタ110が設けられる開口111を有する。
【0027】
減圧コネクタ110を包帯剤用材料106に対していずれかの場所に配置し得る。例えば、図1は、減圧コネクタ110及び減圧コネクタ110が包帯剤用材料106に対して中央に位置するよう延びるシーリング材108の開口又は開口部111を示すが、減圧コネクタ110及び開口又は開口部111を、包帯剤用材料106の端部に近接するよう又は他の場所に配置し得る。
【0028】
使用時に、包帯剤102が組織部位104に展開され、減圧が組織部位104に送出される。特に、包帯剤用材料106は、処置が望まれる組織部位104に近接するよう展開される。シーリング材108は、包帯剤用材料106又は患者の表皮118の少なくとも一部の上方に展開され、内部空間130又は密着空間を形成する。まだ実現していない場合、適用されるシーリング材108及び減圧コネクタ110に開口部111を形成し得る。まだ実現していない場合、減圧送出管路112が、減圧コネクタ110及び減圧源114に流体結合される。減圧源114が作動し減圧が組織部位104に送出される。
【0029】
ここで、主として図2を参照すると、図1の包帯剤102としての使用に適した具体的な包帯剤200の分解図を示す。包帯剤200は、包帯剤用材料202、包帯剤用材料202を覆うシーリング材204、及び減圧コネクタ206を有する。減圧コネクタ206を、包帯剤用材料202とシーリング材204との間に部分的に配置し得る。包帯剤用材料202を使用して、例えば創傷といった組織部位207に圧力を分岐又は分配し得る。シーリング材204は、包帯剤用材料202及び患者の表皮209の一部にわたって密着を与える。シーリング材204は、第1の面208と第2の組織対向面210とを有する。また、開口部212を具えたシーリング材204を形成し得る。
【0030】
包帯剤用材料202は、例えば層又は材料の部分といった多くの構成要素を有する。第1に、組織インタフェース層214は第1の面216及び第2の組織対向面218を有する。組織インタフェース層214は組織部位207に接触するよう構成されている。包帯剤200が創傷を治療するよう使用される実施例では、組織インタフェース層214が組織部位207に部分的又は完全に接触する。組織部位207は組織インタフェース層214の中心又は周縁を含む、組織インタフェース層214の第2の組織対向面218の任意の部分に直接的に接触し得る。また、組織インタフェース層214の第2の組織対向面218は、組織部位207を囲む健常組織を含む組織部位207の傷の周囲の領域に直接的に接触し得る。具体的な実施例では、組織インタフェース層214は、単独で又は他の層とともに使用する場合に、傷の周囲の領域及び組織部位207を囲む健常な表皮209を含む組織部位207又はその近くでの浸軟を減少又は除去する。
【0031】
具体的な実施例では、組織インタフェース層214が疎水性層である。組織インタフェース層214の疎水性は、組織インタフェース層214が、組織部位207から滲出液といった液体を直接的に吸収するのを防ぐが、液体は通過し得る。このため、液体が、図1の減圧源114といった減圧源を用いて組織部位207から組織インタフェース層214を介して引き抜かれ、又は1又はそれ以上の他の層によって包帯剤用材料202に吸収され得る。このため、組織インタフェース層214により、液体が組織部位104から通過し得る一方、組織部位207との接触を維持する。
【0032】
組織インタフェース層214は液体を吸収(又は保持)しないため、組織部位207は、液体で実質的に飽和し浸軟を促進し得る親水性材料に晒されず又はそうでなければ接触しない。また、毛細管現象が組織部位207の面に沿った方向に発生する。このため、組織インタフェース層214の疎水性もまた、組織部位207と組織インタフェース層214の第2の組織対向面218との間の界面に沿った液体の拡がりを抑制又は防止する。
【0033】
組織インタフェース層214は、様々な材料のうちのいくつかから構成され、様々な構造を有し、例えば液体又は気体といった流体が組織インタフェース層214を通過し得る材質及び構造を有している。一例では、組織インタフェース層214がナイロンから成り又はこれを含んでいる。別の実施例では、組織インタフェース層214が、ポリマベースのメッシュ生地から成り又はこれを含んでいる。別の実施例では、組織インタフェース層214が、テフロン(登録商標)含浸ポリエチレンから成り又はこれを含んでいる。また、組織インタフェース層214が、スパンデックス又はエラステイン(登録商標)材料から成り又はこれを含んでいる。組織インタフェース層214は、薄くて、非接着性の、疎水性の、ステッチの無い層である。組織インタフェース層214は、−一般に減圧下で−組織部位207から湿度を迅速に移送するよう機能する。組織インタフェース層214は本質的に非吸収性である。
【0034】
また、組織インタフェース層214は、組織インタフェース層214が組織部位207に付着又は接着しないような非接着性を示す。また、組織インタフェース層214は、本質的に伸縮自在であり又は弾性を有する。組織インタフェース層214の伸縮自在な特性により、組織インタフェース層214を様々な形状、位置関係、又は柔軟性の要求を有する組織部位及び創傷の近くに配置し易くなる。
【0035】
包帯剤200を通して減圧を適用した場合に、組織インタフェース層214を使用して組織部位207で肉芽組織を促進し得る。例えば、組織インタフェース層214の任意の又は全ての面は、圧力がかかったときに組織部位207にマイクロ歪み及び応力を発生する、起伏のある、きめの粗い、又はギザギザの輪郭を有する。このため、供給される減圧により組織インタフェース層214がマイクロ歪みを形成し、これにより肉芽組織を促進する。さらに、組織インタフェース層214は新たな細胞増殖のための足場として機能し、又は細胞増殖を促進するための組織インタフェース層214とともに足場用材料を使用し得る。足場は、細胞増殖のためのテンプレートを与える3次元空孔構造といった、細胞増殖又は組織形成を増大又は促進するよう使用される物質又は構造である。
【0036】
組織インタフェース層214は、実施される処置のタイプ又は組織部位207の特性といった様々な因子に応じて、任意の大きさ、形状、又は厚さを有する。使用者によって組織インタフェース層214の大きさ及び形状をカスタマイズして、組織部位207又は組織の近くの特定の部分をカバーし得る。また、組織インタフェース層214は、包帯剤用材料202の他の層のいずれかと同じか又は異なるラミナの大きさ又は厚さを有する。別の実施例では、組織インタフェース層214は、包帯剤用材料202の他の層のいずれかよりも薄い。
【0037】
また、包帯剤用材料202は、図1の減圧源110といった減圧源から減圧を分配するためのマニホルド220、又はマニホルド層又はマニホルド部材を有する。また、マニホルド220は、包帯剤用材料202の組織インタフェース層214から他の層に滲出液といった液体を分配する。マニホルド220は、第1の面222及び第2の組織対向面224を有する。マニホルド220の第2の組織対向面224は、組織インタフェース層214の第1の面216の近くに配置されている。
【0038】
マニホルド220は、組織部位207に減圧を送出し得る疎水性の多孔質材料である。マニホルド220は、発泡体、ガーゼ、フェルトマット、又は特定の生物学的適用に適した他の材料でできている。マニホルド220は、組織部位207に減圧を送出し又はそこから流体を送出し易くするための複数の流路又は通路を有する。一実施例では、マニホルド220は多孔質の発泡体であり、流路として機能する複数の相互結合されたセル又は空孔を有する。多孔質の発泡体は、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.から市販されているGranuFoam(登録商標)包帯剤といったポリウレタンのオープンセルの網状の発泡体である。オープンセルの発泡体を使用する場合に空孔率が変動する。流路により、オープンセルを有するマニホルド220の一部を介した流体連通が可能となる。セル及び流路は形状及び大きさが均一であり、パターン化した又はランダムの形状及び大きさの変化を有する。マニホルド220のセルの形状及び大きさの変化により流路が変化し、このような特性を使用してマニホルド220を通る流体の流動特性を変える。1つの非限定的な例では、マニホルド220が組織インタフェース層214と同じ材料でできている。
【0039】
多くの追加層を追加して、マニホルド220又は組織インタフェース層214から流体を吸収し得る。追加層は吸収体とし得る。さらなる追加層が組織部位207からその場で配置されるように追加層を選択し、より多くの追加層が吸収し得る。このため、追加層を段々と親水性にし得る。図2に示す具体的な実施例では、第1の面228及び第2の組織対向面230を有する第1の吸収層226が、包帯剤用材料202に含まれている。第2の組織対向面230は、マニホルド220の第1の面222の近くに設けられている。第1の吸収層226は、マニホルド220によって送出された液体を受容且つ吸収するためのものである。
【0040】
また、第1の面234及び第2の組織対向面236を有する第2の吸収層232又はリザーバ層が、包帯剤用材料202に含まれている。また、第1の吸収層226又は第2の吸収層232に類似する追加の吸収層が、他の実施例に含まれている。第2の吸収層232の第2の組織対向面236を第1の吸収層226の第1の面228の近くに配置し得る。他の層と同様に、第1の吸収層226及び第2の吸収層232は、同一の広がりを持ち又は異なる大きさを有する。
【0041】
吸収層226、232は、マニホルド220から液体を受容且つ吸収する。マニホルド220は、参照のために第1の吸収層226上で複数方向の矢印238で概して示すように、液体が吸収層226及び232の一方又は双方を通してより一様に送出するように、マニホルド220の端部に半径方向外側に向かう組織部位207からの液体の移動を促進する。吸収層226及び232は、液体が吸収層226及び232の面を通してより均一に送出された場合に、より多くの液体を保持する。また、複数方向の矢印238で図示する方向への組織部位207からのこのような液体の送出は、減圧の存在あるなしに拘わらず発生する。このため、吸収層226及び232の一方又は双方のより全体的な利用が、減圧が包帯剤200に適用されないときでさえ、マニホルド220を用いて達成され得る。
【0042】
また、マニホルド220は、組織インタフェース層214と吸収層226及び232の一方又は双方との間のセパレータとして機能する。本例では、マニホルド220が、吸収層226及び232の一方又は双方によって吸収された滲出液といった液体が、組織インタフェース層214又は組織部位207の一方又は双方に接触するのを減らし、抑制し、又は防止する。このため、マニホルド220は、さらに、組織部位207での又はその近くでの浸軟の防止を助ける。
【0043】
マニホルド220は、実施される処置のタイプ又は組織部位207の特性といった因子の変化に応じて、任意の大きさ、形状、又は厚さを有している。例えば、マニホルド220の厚さを増減させて、組織インタフェース層214と吸収層226及び232の一方又は双方との間のセパレータとしてのマニホルド220の役割の効果を最適化し得る。組織部位207が、吸収層226及び232の一方又は双方によって吸収される大量の液体を解放する適用例では、比較的厚いマニホルド220が、吸収層226及び232の一方又は双方によって吸収される液体が、組織インタフェース層214の一方又は双方又は組織部位207に接触するのを抑制又は防止するのに望ましい。一方、少量の液体が存在する適用例では、比較的薄いマニホルド220が望ましい。具体的な非限定的な記載では、マニホルド220は、約4ミリメートル、2ミリメートル、又は1ミリメートルの厚さである。また、マニホルド220は、包帯剤用材料202の他の層のいずれか1つと同一か又は異なるラミナサイズ又は厚さを有する。
【0044】
第1の吸収層226はマニホルド220の近くに設けられ、例えば、組織部位207から組織インタフェース層214及びマニホルド220を介して滲出液といった液体を吸収する。一例では、第1の吸収層226が、マニホルド220と第2の吸収層232との間に設けられている。
【0045】
第1の吸収層226を親水性材料で形成して組織部位207からの液体の吸収を促進し得る。一実施例では、第1の吸収層226が、第2の吸収層232よりも速い速度で組織部位207から液体を吸収する材料で形成されている。例えば、第1の吸収層226が、綿、テリー織、ペーパータオル材等といったファストウィッキング(fast−wicking)材を有する。第1の吸収層226が組織部位207から液体を吸収する速さを速くするために、第1の吸収層226の表面領域を増加させ得る。また、第1の吸収層226を織物材又はメッシュ材で作製し得る。
【0046】
一実施例では、第2の吸収層232よりも速い速さで液体を吸収するための第1の吸収層226の性能を含む、第1の吸収層226のファストウィッキング性により、組織部位207から、第1の吸収層226よりも高い吸収能を有する第2の吸収層232に向けて液体を素早く引き出すのを促進する。組織部位207から液体を素早く引き出す第1の吸収層226の能力により、組織部位207での又はその近くでの液体の蓄積を防止することで、組織部位207又はその近くでの浸軟の防止に役立つ。
【0047】
第1の吸収層226は、実施される処置のタイプ又は組織部位207の特性といった因子の変化に応じて、任意の大きさ、形状、又は厚さを有する。また、第1の吸収層226は、包帯剤用材料202の他の層のいずれかと同一か又は異なる大きさ又は厚さを有する。
【0048】
一実施例では、第2の吸収層232が、組織インタフェース層214、マニホルド220、及び第1の吸収層226を介して組織部位207から液体を吸収する。別の具体的な実施例(図示せず)では、包帯剤用材料202が第1の吸収層226を有さず、このケースでは、第2の吸収層232が包帯剤用材料202に存在する唯一の吸収層である。このような実施例では、第2の吸収層232が、組織インタフェース層214及びマニホルド220を介して組織部位207から液体を吸収する。他の実施例では、2以上の吸収層を含め得る。
【0049】
第2の吸収層232は、組織部位207から滲出液といった液体を吸収し得る任意の材料から成る。また、第2の吸収層232を構成する材料は減圧を伝え得る。一実施例では、第2の吸収層232が、第1の吸収層226よりも高い貯蔵能力を有する。流体の貯蔵能力の差異は、吸収層226及び232を構成する各材料によるものである。一例では、第2の吸収層232が、第2の吸収層232のそれぞれ乾燥状態の重量又は容量の20倍以上の重量又は容量の液体を貯蔵し得る。
【0050】
図2の具体的な実施例では、第2の吸収層232が第1の吸収層226から液体を逃がしその液体を貯める。第1の吸収層226から液体を逃がす第2の吸収層232の機能を高めるために、第2の吸収層232が、第1の吸収層226が構成される材料よりも親水性の材料から構成されている。
【0051】
一実施例では、第2の吸収層232が、英国ウィルトシャーのFirst Water,Ltd.から市販されているFirst Water(登録商標)Net2O hydrogelといった親水コロイド又はヒドロゲルから成る。また、第2の吸収層232を構成するヒドロゲルは、ポリエチレングリコールを有する。さらに、ヒドロゲルにより水を含んでいることが推測されるが、第2の吸収層232を構成するヒドロゲルは、乾燥すると実質的又は完全に水が無いヒドロゲルポリマ基に戻る。
【0052】
別の具体的な例では、第2の吸収層232が超吸収繊維材料でできている。超吸収繊維材料は、繊維への物理的又は化学的変化とともに液体を保持又はこれに結合する。非限定的な一例では、超吸収繊維が、英国リンカンシャーのTechnical Absorbents,Ltd.から市販されているSuper Absorbent Fiber(SAF)材料を有する。これにより、繊維が、組織部位207から液体を繊維が吸収する繊維材料を形成する。また、液体に接触する第2の吸収層232の繊維は、液体に接触するとゲル化することで液体を捕捉する。繊維間の空間又は欠陥により、第2の吸収層232の中を通して送られる包帯剤200に適用される減圧が可能となる。繊維を含む第2の吸収層232の構造は、織布でも不織布のいずれでもよい。
【0053】
第2の吸収層232は、実施される処置のタイプ又は組織部位207の特性といった様々な因子に応じて、任意の大きさ、形状、又は厚さを有する。例えば、第2の吸収層232の幅又は厚さを増やすのに応じて、第2の吸収層232の流体貯蔵容量を増大させ得る。また、第2の吸収層232は、包帯剤用材料202の他の層の任意の1つと同一又はこれと異なる大きさ又は厚さを有する。
【0054】
また、包帯剤用材料202は、第2の吸収層232に隣接する分配マニホルド242を有する。分配マニホルド242は、第1の面244、及び第2の組織対向面246を有する。分配マニホルド242の第2の組織対向面246は、第2の吸収層232の第1の面234の近傍に配置されている。分配マニホルド242は、組織部位207に最も近い包帯剤用材料202の1又はそれ以上の層に減圧を分配し、包帯剤用材料202の1又はそれ以上の層の面全体にわたってそれをより均一に行う。さらに、分配マニホルド242は、吸収層226よりも組織部位207から離れて配置されているため、組織部位207からの滲出液といった液体は、一般に分配マニホルド242に達しない。しかしながら、1つの具体的な実施例では、液体が分配マニホルド242に達し得る。
【0055】
分配マニホルド242は、気体又は液体を分配し得る任意の材料でできている。一例では、分配マニホルド242が、網状ポリウレタンの発泡体又は他の多孔質マニホルド材料で形成されている。別の例では、マニホルド220と同一の又は類似する材料で分配マニホルド242を形成し得る。また、分配マニホルド242は、吸収層226及び232の一方又は双方によって吸収されない組織部位207からの滲出液といった液体を分配し得る。また、分配マニホルド242は、任意の大きさ、形状、又は厚さを有する。
【0056】
また、図2の実施例で明示的に図示しないが、包帯剤用材料200は、組織部位207からの滲出液といった液体の流れが、包帯剤200に結合し得る減圧コネクタ206又は減圧管路に達するのを抑制又は防止し得る、疎水性フィルタを有し得る。液体が減圧管路に達するのを防止するために、疎水性フィルタは、液体が減圧送出管路に結合し得る図1の減圧源114といった減圧源に達するのも防止する。
【0057】
一実施例では、疎水性フィルタが分配マニホルド242の近くに配置されている。疎水性フィルタの第2の組織対向面224は、分配マニホルド242の第1の面244に隣接し、疎水性フィルタの第1の面が、シーリング材204の第2の組織対向面210又は減圧コネクタ206に隣接する。ここで使用する「隣接する」という用語は、完全に及び部分的に隣接することの双方を含んでいる。
【0058】
また、疎水性フィルタは、疎水性フィルタが実質的に飽和し、詰まり、塞がり、又は組織部位207からの液体で濡れたときに、組織部位207の減圧の通過を抑制又は防止する。また、疎水性フィルタは、疎水性フィルタに隣接する層が実質的に液体で飽和したときに、組織部位207への減圧の通過を防止する。例えば、特定の実施例で第2の吸収層232が疎水性フィルタに隣接する場合、第2の吸収層232の液体による相当な飽和により、疎水性フィルタが減圧の通過を防止する。
【0059】
疎水性フィルタは、任意の大きさ、形状、又は厚さを有する。一例では、疎水性フィルタが、包帯剤用材料202の他の層よりも小さく、又は他の層よりも大きい。また、疎水性フィルタは、減圧コネクタ206及びシーリング材204の開口部212よりも幅が広く、組織部位207からの液体が減圧コネクタ206又は開口部212に達することができない。
【0060】
包帯剤200はシーリング材204を有する。シーリング材204は、包帯剤用材料202の少なくとも一部を覆う。一実施例では、シーリング材204が包帯剤用材料202を完全に覆い、組織部位207に包帯剤用材料202を固定する。また、シーリング材204が、組織部位207の一部の周りで流体シールを保持するのを補助する。また、シーリング材204は包帯剤200に保護用の覆いを提供する。ここで使用するような「流体シール」又は「シール」という用語は、特定の減圧源を含んでいると仮定すると所望の部位において減圧を保持するための十分なシールを意味する。
【0061】
1つの具体的な実施例では、シーリング材204は接着性ドレープである。一実施例では、シーリング材204の接着は、シーリング材204が作製される材質の特性によるものであり、又は例えば、図1の接着層126といったシーリング材204の面上の接着層によるものである。シーリング材204の任意の部分を接着性とし得る。例えば、シーリング材204の第2の組織対向面210全体を接着性にし得る。このような例では、シーリング材204の第2の組織対向面210が、減圧コネクタ206の少なくとも一部、組織部位207(又は組織部位207の周りで組織部位207の部分とみなし得る表皮209)の一部、又は包帯剤用材料202の任意の層又は構成要素に接着する。
【0062】
別の実施例では、シーリング材204の第2の組織対向面210の周縁部のみが接着性である。本実施例では、周縁部がシーリング材204の端部の近くにある。シーリング材204の組織対向面の接着性の周縁部を組織部位207に接着して、組織部位207に包帯剤用材料202を固定するよう構成し得る。
【0063】
別の具体例では、シーリング材204がドレープであり、このドレープが湿潤面に付かないが乾燥面に付くように構成し得る。このため、このようなドレープを適用する場合、ドレープが湿った手袋又は手に付かないようにすることで、ドレープが乾燥した創傷領域の周辺といった乾燥した組織部位に配置されるまでドレープのより簡単な取り扱いが可能となる。シーリング材204は、任意の大きさ、形状、又は厚さを有し得る。一例では、シーリング材204を、包帯剤用材料202の層又は構成要素よりも幅広にし又は大きくしてもよい。
【0064】
シーリング材204の開口部212を通して延びる減圧コネクタ206を介して包帯剤用材料202に減圧を適用し得る。図2の具体例では、シーリング材204に設けられた開口部212を中央に示す。しかしながら、開口部212を、シーリング材204の端部の近くのシーリング材204の周縁部を含むシーリング材204のどこにでも設けることができる。開口部212を円形で示しているが、開口部212は、例えば、正方形、楕円形、不規則な形状等の任意の形状を有し得ることに留意されたい。一例では、開口部212の形状を、減圧コネクタ206の1又はそれ以上の部分に合わせるよう又は実質的に適合させるよう構成する。
【0065】
減圧コネクタ206は、減圧管路と包帯剤用材料202との間のインタフェースを与える。特に、減圧コネクタ206を、図1の減圧送出管路112といった減圧管路に流体連通、又は流体結合するよう構成し得る。減圧管路は、減圧コネクタ206を介して包帯剤200又は組織部位207に減圧を伝える。
【0066】
減圧コネクタ206は、開口部212に隣接するよう構成されたコネクタパッドとすることができる。特に、減圧コネクタ206は、開口部212の中に部分的に配置するよう構成し得る。薄型のドーム形状の減圧コネクタ206を示すが、減圧コネクタ206は任意の形状を有し得る。薄型の減圧コネクタ206により、包帯剤200がコンパクトになり使用者が使用し易くなる。減圧コネクタ206は、減圧コネクタ206の周縁の周りに設けられたフランジ部248を有する。図2の例では、開口部212を規定する端部の組織対向面が、減圧コネクタ206が包帯剤用材料202の少なくとも1つの層又は構成要素に固定されるように、フランジ部248に付くよう構成されている。
【0067】
図2に示さないが、包帯剤用材料202の一実施例は脱臭フィルタを有し得る。脱臭フィルタは、臭いが包帯剤200から出るのを抑制又は防止し得る。脱臭フィルタは、チャコールを含むカーボン脱臭フィルタである。例えば、脱臭フィルタはチャコール布である。脱臭フィルタを包帯剤用材料202のどこにでも配置し得る。例えば、包帯剤200が疎水性フィルタを含む実施例では、脱臭フィルタを疎水性フィルタの第1のドレープに面する側に配置する。使用時に、脱臭フィルタもまた疎水性フィルタの第1のドレープに面する側に隣接させることができる。
【0068】
正方形の形状のシーリング材204、分配マニホルド242、吸収層226及び232、マニホルド220、及び組織インタフェース層214をそれぞれ示しており、他の実施例を参照してここで開示された他の層とともに、これらの構成要素のそれぞれが、所望の又は所要の形状を有しており、組織部位207に十分な減圧治療を与える。例えば、これらの構成要素及び層は、多角形、矩形、円形、楕円形、不規則形状、特製の形状等を有する。また、これらの構成要素及び層の形状を組織部位207に合うようカスタマイズし得る。
【0069】
図2に示す順番で又は他の順番で包帯剤用材料202を形成する層を作製し得る。上述のように、1又はそれ以上の層を省略し得る。包帯剤用材料を形成する層を結合して、一体部材を形成し又は別体の積層部材のままとし得る。ここで使用する「結合」は、溶接(例えば、超音波又はRF溶接)、ボンディング、接着、セメント、材料の引力等を含むがこれらに限定されない既知の方法を用いた結合要素を有する。
【0070】
図3を主に参照すると、図2の具体的な包帯剤200が組み立てられ展開されて組織部位207を治療する。この具体例では、組織インタフェース層214の第2の組織対向面218を、創傷及び表皮209の一部を含む組織部位207に近接して示す。分配マニホルド242の第1の面244(又は少なくとも一部)が、シーリング材204に隣接する。
【0071】
減圧コネクタ206の第2の組織対向面250が分配マニホルド242に隣接する。また、シーリング材204の開口部212から突出する減圧コネクタ206の一部を示す。減圧コネクタ206のフランジ部248が、シーリング材204と分配マニホルド242との間に挟持されている。シーリング材204により、分配マニホルド242といった包帯剤用材料202の少なくとも1の構成要素又は層に対して減圧コネクタ206を固定し易くなる。
【0072】
シーリング材204の周縁部と組織部位207との間の空きスペースを示しており、減圧下の一例では、シーリング材204の周縁部と組織部位207との間の空間がほとんど又は全く存在しない。また、一様の幅を有する組織インタフェース層214、マニホルド220、吸収層226及び232、及び分配マニホルド242を示しており、これらを組み合わせた層の幅が互いに変化する。同様に、これらを組み合わせた層の厚さが一様であるか又は互いに変化する。一例では、第2の吸収層232が第1の吸収層226よりも厚い。
【0073】
図1の減圧送出管路112といった減圧送出管路からの減圧が包帯剤200を通過する際に、包帯剤用材料202及び減圧コネクタ206を介して組織部位207に減圧が適用される。減圧コネクタ206の凹部252、取り付けベース、又は他の器具を用いて、減圧送出管路を減圧コネクタ206に結合し得る。減圧下では、第2の吸収層232が、組織インタフェース層214、マニホルド220、及び第1の吸収層226を介して組織部位207から液体を吸収する。
【0074】
一実施例では、包帯剤200を用いた方法が、組織部位207の近くに包帯剤用材料202を展開するステップを有する。また、この方法が、シーリング材204で包帯剤用材料202の少なくとも一部をカバーするステップと、減圧を適用するステップとを有する。
【0075】
減圧システムの一部としての包帯剤200の動作の1つの具体例では、減圧が包帯剤200に送出されることで、滲出液といった液体が組織部位207から引き出される。液体が組織インタフェース層214を通過する一方、組織インタフェース層214が組織部位207との実質的な接触を保持する。組織インタフェース層214の疎水性により、液体が組織インタフェース層214によって直接的に吸収され(又は保持され)且つ組織部位207の表面に近くに残るのが防止される。さらに、第1の吸収層226の素早い毛管特性により、液体が組織部位207から素早く引き出されるように、第1の吸収層226がマニホルド220を介して液体を吸収し得る。第1の吸収層226によって引き出されると、第2の吸収層232が液体を受け入れて保持する。マニホルド220が、吸収層226及び232の一方又は双方によって吸収される液体が組織部位207に戻るのを防止する介在層を与える。包帯剤200が動作する本例では、液体が組織部位207から素早く引き出され組織部位207にほとんど又は全く影響がない場所に保持されることにより、組織部位207の近くでの表皮209の浸軟が減少又は防止される。
【0076】
包帯剤200の動作を実施する一態様では、第1の吸収層226といった1又はそれ以上の急速に吸収する低い貯蔵容量の吸収層が、第2の吸収層232といったゆっくりと吸収する高い貯蔵容量の吸収層よりも組織部位207の近くに配置されている。このような方法を用いて、液体が組織部位207又はその近くの表面を傷付ける前に組織部位207から液体を引き出し得る一方、このような液体のための高い貯蔵容量の保持層も与える。組織インタフェース層214又は疎水性層が、吸収層226及び232と組織部位207との間に配置されている。このような疎水性層により、組織部位207から液体を保持し易くなる。少なくとも一部において、吸収層226及び232による液体の吸収により、これらの疎水性層もまた組織インタフェース層214と組織部位207の表面との間の界面に沿った液体の横方向への拡がりを減少又は防止することで、さらに組織部位207又はその近くでの組織の浸軟を防止又は減少させる。
【0077】
ここで図示する包帯剤及びシステムは組織部位に減圧を伝え、液体を保持して浸軟を防ぎ易くするよう構成された包帯剤用材料を有する。図示する実施例は、材料の多くの非限定的な例及び包帯剤用材料に含まれる層構成の非限定的な例を与える。さらに、ここで説明される各層を互いに組み合わせて使用し得る。例えば、包帯剤用材料の非限定的な構成を図示及び説明する各図及び実施例において、図示又は説明する層又は構成要素の任意の1又はそれ以上を除外でき、同じ又は異なる実施例又は図面に任意の1又はそれ以上の層又は構成要素を加えることができ、同じ又は異なる実施例又は図面を任意の1又はそれ以上の層又は構成要素を、実施例又は図面に示す別の層又は構成要素と代えることができる。さらに、本実施例及び図面で説明した層の構成のそれぞれにおいて、層又は構成要素の順番、大きさ、厚さ、位置、及び他の特性を変えることができる。
【0078】
具体的な一実施例によれば、包帯剤用材料が、複数の通路を形成する複数の通路壁を有する。複数の通路は互いに平行である。別の具体的な実施例では、通路が組織部位の皮膚面に対して斜めになっている。複数の通路は、組織部位の皮膚面に対して鋭角を形成する。
【0079】
具体的な一実施例によれば、減圧治療システムとともに使用するための創傷包帯剤が、第1の面及び第2の組織対向面を有する少なくとも1つのラミナ層を有する。ラミナ層は、複数の通路を形成する複数の通路壁を有する;通路壁は、気体透過性且つ液体不透過性である;通路がラミナ層の第2の組織対向面に対して角度アルファ(α)をなしている;角度アルファ(α)は鋭角である。壁は気体透過性且つ液体不透過性である。
【0080】
具体的な一実施例によれば、減圧創傷包帯剤が、第1の面及び第2の組織対向面を有する非接着性の疎水層;第1の面及び第2の組織対向面を有する多孔質の疎水性マニホルド層;第1の面及び第2の組織対向面を有する急速に吸収する親水性層;第1の面及び第2の組織対向面を有する流体保存層;第1の面及び第2の組織対向面を有するシーリング材を有する。多孔質の疎水性マニホルド層の第2の組織対向面は、非接着性の疎水層の第1の面に隣接する。急速に吸収する親水性層の第2の組織対向面は、多孔質の疎水性マニホルド層の第1の面に隣接する。流体保存層の第2の組織対向面は、急速に吸収する親水性層の第1の面に隣接する。シーリング材の第2の組織対向面は、流体保存層の第1の面に隣接する。
【0081】
本発明及びその利点を特定の具体的な非限定的な実施例に即して開示したが、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更、代用、置換、及び修正を行い得ることに留意されたい。また、ある1つの実施例と関連して説明されたある態様が他の実施例で適用できるであろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織部位に減圧を適用するための包帯剤であって、前記包帯剤が:
前記組織部位に前記減圧を伝え、前記組織部位から液体を受け取るための包帯剤用材料であって、
前記組織部位に接触させるための疎水性層の組織インタフェース層と、
減圧を分配するための疎水性層のマニホルドと、
前記組織インタフェース層及び前記マニホルドを介して前記組織部位から液体を吸収するための第1の吸収層であって、前記マニホルドが前記組織インタフェース層と前記第1の吸収層との間に配置された第1の吸収層と、
を具える包帯剤用材料と、
前記包帯剤用材料の少なくとも一部を覆うドレープと;
を具えることを特徴とする包帯剤。
【請求項2】
前記組織インタフェース層が、非接着性の組織インタフェース層を具えることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項3】
前記組織インタフェース層が、伸長可能な組織インタフェース層を具えることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項4】
前記組織インタフェース層が、ナイロンを含むことを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項5】
前記組織インタフェース層が、ポリマベースのメッシュ繊維を具えることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項6】
前記組織インタフェース層が、テフロン(登録商標)含浸ポリエチレンを具えることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項7】
前記第1の吸収層が、ヒドロゲル吸収層を具えることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項8】
前記第1の吸収層が、超吸収性の繊維吸収層を具えることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項9】
前記第1の吸収層が、繊維材料を形成する複数の繊維を具えており、前記複数の繊維が前記組織部位から液体を吸収するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項10】
前記複数の繊維の少なくとも一部が、前記組織部位からの液体に接触するときにゲル化することを特徴とする請求項9に記載の包帯剤。
【請求項11】
前記マニホルドの組織対向面が、前記組織インタフェース層に隣接することを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項12】
前記組織インタフェース層が、前記第1の吸収層によって吸収される液体が前記組織部位に接触するのを防止するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項13】
前記マニホルドの組織対向面が前記第1の吸収層に隣接し、前記マニホルドが、前記第1の吸収層によって吸収される液体が前記組織部位に接触するのを防止するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項14】
前記マニホルドが、複数の相互結合されたセルを有して多孔質の発泡体を形成することを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項15】
前記ドレープが接着性ドレープであり、前記接着性ドレープが、前記接着性ドレープの組織対向面に接着剤を有することを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項16】
さらに、前記第1の吸収層に隣接する第2の吸収層を具えており、前記第2の吸収層が、親水性層であることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項17】
さらに、前記第1の吸収層に隣接する親水性層である第2の吸収層を具えており、
前記第2の吸収層が、前記ドレープと前記第1の吸収層との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項18】
さらに、前記第1の吸収層に隣接する親水性層である第2の吸収層を具えており、
前記第2の吸収層が、前記ドレープと前記第1の吸収層との間に配置されており、
前記第2の吸収層の組織対向面が、前記第1の吸収層に隣接することを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項19】
さらに、前記第1の吸収層に隣接する親水性層である第2の吸収層を具えており、
前記第2の吸収層が、前記ドレープと前記第1の吸収層との間に配置されており、
前記第2の吸収層の組織対向面が、前記第1の吸収層に隣接し、
前記第2の吸収層が、前記第1の吸収層が液体を吸収するよりも遅い速さで液体を吸収することを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項20】
さらに、前記第1の吸収層に隣接する親水性層である第2の吸収層を具えており、
前記第2の吸収層が、前記ドレープと前記第1の吸収層との間に配置されており、
前記第2の吸収層の組織対向面が、前記第1の吸収層に隣接し、
前記第2の吸収層が、前記第1の吸収層よりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項21】
さらに、前記第1の吸収層に隣接する親水性層である第2の吸収層を具えており、
前記第2の吸収層が、前記ドレープと前記第1の吸収層との間に配置されており、
前記第2の吸収層の組織対向面が、前記第1の吸収層に隣接し、
前記第2の吸収層が、前記第1の吸収層よりも高い流体貯蔵容量を有することを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項22】
さらに、前記第1の吸収層に隣接する親水性層である第2の吸収層を具えており、
前記第2の吸収層が、前記ドレープと前記第1の吸収層との間に配置されており、
前記第2の吸収層の組織対向面が、前記第1の吸収層に隣接し、
前記第1の吸収層が、綿を含むことを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項23】
さらに、前記第1の吸収層に隣接する親水性層である第2の吸収層を具えており、
前記第2の吸収層が、前記ドレープと前記第1の吸収層との間に配置されており、
前記第2の吸収層の組織対向面が、前記第1の吸収層に隣接し、
前記第1の吸収層が、テリー織を具えることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項24】
さらに、前記第1の吸収層に隣接する親水性層である第2の吸収層を具えており、
前記第2の吸収層が、前記ドレープと前記第1の吸収層との間に配置されており、
前記第2の吸収層の組織対向面が、前記第1の吸収層に隣接し、
前記第2の吸収層が前記第1の吸収層から流体を引き出すように、前記第2の吸収層が前記第1の吸収層よりも親水性であることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項25】
さらに、前記第2の吸収層に隣接する分配マニホルドを具えており、前記分配マニホルドが、減圧を分配するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項26】
さらに、前記第2の吸収層に隣接する分配マニホルドを具えており、前記分配マニホルドが、減圧を分配するよう構成され、
前記分配マニホルドの組織対向面が、前記第2の吸収層に隣接することを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項27】
さらに、前記第2の吸収層に隣接する分配マニホルドを具えており、前記分配マニホルドが、減圧を分配するよう構成され、
前記分配マニホルドの第1の(ドレープに面する)面が、前記ドレープに隣接することを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項28】
さらに、前記第2の吸収層に隣接する分配マニホルドを具えており、前記分配マニホルドが、減圧を分配するよう構成され、
前記分配マニホルドが、網状のポリウレタン発泡層であることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項29】
さらに、前記第2の吸収層に隣接する分配マニホルドを具えており、前記分配マニホルドが、減圧を分配するよう構成され、
さらに、前記分配マニホルドと前記ドレープとの間に配置された疎水性フィルタを具えており、前記疎水性フィルタが、前記組織部位からの液体が通過するのを防止するよう構成されることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項30】
前記組織インタフェース層及び前記マニホルドの少なくとも一方がラミナ層であり、
前記ラミナ層が、複数の流路を形成する複数の流路壁を有しており、
前記壁が、気体透過性且つ液体不透過性であることを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項31】
さらに、前記第1の吸収層に隣接して親水性層を具える第2の吸収層を具えており、
前記第2の吸収層が、前記ドレープと前記第1の吸収層との間に配置されており、
前記第2の吸収層の組織対向面が、前記第1の吸収層に隣接し、
前記第2の吸収層に隣接して前記減圧を分配するよう構成された分配マニホルドを具えており、
前記第1の吸収層が、ヒドロゲル吸収層を具えており、
前記第2吸収層が、前記第1の吸収層が液体を吸収よりも遅い速さで液体を吸収することを特徴とする請求項1に記載の包帯剤。
【請求項32】
組織部位に減圧を適用するためのシステムであって、前記システムが:
減圧を供給するための減圧源と;
減圧を伝えるための減圧送出管路と;
前記組織部位に減圧を送出し前記組織部位から液体を受け取るための包帯剤用材料と;
を具えており、
前記減圧送出管路が、前記減圧源及び前記包帯剤用材料に流体結合されており、
前記包帯剤用材料の少なくとも一部を覆うシーリング部材を具え、前記包帯剤用材料が:
前記組織部位に接触するよう構成された疎水性層である第1の層と、
減圧を分配するよう構成された疎水性層である第2の層と、
前記第1の層及び前記第1の層と前記第3の層との間に配置された前記第2の層から液体を吸収するよう構成された第3の層と、
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項33】
前記第1の層が、ナイロンを含むことを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記第1の層が、非接着性材料を含むことを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1の層が、伸長可能な材料を含むことを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1の層が、ポリマベースのメッシュ繊維を含むことを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項37】
前記第1の層が、テフロン(登録商標)含浸ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項38】
前記第3の層が、ヒドロゲル吸収層を具えることを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項39】
前記第3の層が、超吸収性の繊維吸収層を具えることを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項40】
前記第3の層が、繊維材料を形成する複数の繊維を含んでおり、前記複数の繊維が前記組織部位から液体を吸収するよう構成されていることを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項41】
前記第3の層が、繊維材料を形成する複数の繊維を含んでおり、前記複数の繊維が前記組織部位から液体を吸収するよう構成されており、前記複数の繊維の一部が、前記一部が組織部位からの液体に接触するときにゲル化することを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項42】
前記第2の層の組織対向面が、前記第1の層に隣接することを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項43】
前記第1の層が、前記第3の層によって吸収される液体が前記組織部位に接触するのを防止するよう構成されていることを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項44】
前記第2の層の組織対向面が、前記第3の層に隣接し、前記第2の層が、前記第3の層によって吸収される液体が前記組織部位に接触するのを防止するよう構成されていることを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項45】
前記第2の層が、複数の相互結合されたセルを有しており、多孔質の発泡体を形成することを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項46】
前記包帯剤用材料が、さらに、前記第3の層に隣接する親水性の吸収層を具えることを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項47】
前記包帯剤用材料が、さらに、前記第3の層に隣接する親水性の吸収層を具えており、
前記親水性の吸収層が、前記シーリング材と前記第3の層との間に配置されていることを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項48】
前記包帯剤用材料が、さらに、前記第3の層に隣接する親水性の吸収層を具えており、
前記親水性の吸収層が、前記シーリング材と前記第3の層との間に配置されており、
前記親水性の吸収層の組織対向面が、前記第3の層に隣接することを特徴とする請求項32に記載のシステム。
【請求項49】
前記親水性の吸収層が、前記第3の層が液体を吸収するよりも遅い速さで液体を吸収することを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記親水性の吸収層が、前記第3の層よりも厚いことを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項51】
前記親水性の吸収層が、前記第3の層よりも高い流体貯蔵容量を有することを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項52】
前記第3の層が、綿を具えることを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項53】
前記第3の層が、テリー織を具えることを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項54】
前記親水性の吸収層が前記第3の層から流体を引き出すように、前記親水性の吸収層が、前記第3の吸収層よりも親水性であることを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項55】
包帯剤用材料が、さらに、前記親水性の吸収層に隣接し前記減圧を分配するための分配マニホルドを具えることを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項56】
前記分配マニホルドの組織対向面が、前記親水性の吸収層に隣接することを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項57】
前記分配マニホルドの第1の(シーリング材に面する)面が、前記シーリング材に隣接することを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項58】
前記分配マニホルドが、網状のポリウレタン発泡層を具えることを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項59】
さらに、前記分配マニホルドと前記シーリング材との間に配置された疎水性フィルタを具えており、前記疎水性フィルタが、前記組織部位から液体が通過するのを防止するよう構成されていることを特徴とする請求項48に記載のシステム
【請求項60】
前記シーリング材が、前記減圧が適用される開口を具えることを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項61】
前記第1の層及び前記第2の層の少なくとも一方が、ラミナ層を具えており、前記ラミナ層が複数の流路を形成する複数の流路壁を有することを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項62】
さらに、包帯剤用材料が、前記第3の層に隣接する親水性の吸収層を具えており、
前記親水性の吸収層が、前記シーリング材と前記第3の層との間に配置されており、
前記親水性の吸収層の組織対向面が、前記第3の層に隣接しており、
さらに、前記親水性の吸収層に隣接する分配マニホルドであって、減圧を分配するための分配マニホルドを具えており、
前記第3の層が、ヒドロゲル吸収層であり、
前記親水性の吸収層が、前記第3の層が液体を吸収するよりも遅い速さで液体を吸収することを特徴とする請求項48に記載のシステム。
【請求項63】
組織部位に減圧を適用するための方法であって、前記方法が:
前記組織部位に減圧を伝え前記組織部位から液体を受け取るための包帯剤用材料を前記組織部位に適用するステップを具えており;前記包帯剤用材料が、
前記組織部位に接触させるための疎水性層からなる組織インタフェース層と、減圧を分配するための疎水性層からなるマニホルドと、前記組織インタフェース層及びマニホルドを介して前記組織部位から液体を吸収するための第1の吸収層とを具え、前記マニホルドが、前記組織インタフェース層と前記第1の吸収層との間に配置されており、
さらに、ドレープで前記包帯剤用材料の少なくとも一部を覆うステップと;
前記包帯剤用材料に減圧を供給するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項64】
前記組織インタフェース層が、非接着性の組織インタフェース層を具えることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記第1の吸収層が、ヒドロゲル吸収層を具えることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の吸収層が、超吸収繊維の吸収層を具えることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記マニホルドが、複数の相互結合されたセルを有しており、多孔質の発泡体を形成することを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項68】
さらに、前記包帯剤用材料が、前記第1の吸収層に隣接する第2の吸収層を具えており、 前記第2の吸収層が、前記組織インタフェース層、前記マニホルド、及び前記第1の吸収層を介して前記組織部位から液体を吸収する親水性層であることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項69】
前記包帯剤用材料が、さらに、前記第2の吸収層に隣接して減圧を分配するよう構成された分配マニホルドを具えることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項70】
さらに、前記包帯剤用材料が、前記第1の吸収層に隣接する第2の吸収層を具え、前記第2の吸収層が、前記組織インタフェース層、前記マニホルド、及び前記第1の吸収層を介して前記組織部位から液体を吸収する親水性層を具えており、
前記第2の吸収層が、前記ドレープと前記第1の吸収層との間に配置されており、
前記第2の吸収層の組織対向面が、前記第1の吸収層に隣接しており、
さらに、前記第2の吸収層に隣接し、減圧を分配するための分配マニホルドを具えており、
前記第1の吸収層が、ヒドロゲル吸収層を具えており、
前記第2の吸収層が、前記第1の吸収層が液体を吸収するよりも遅い速さで液体を吸収することを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項71】
組織部位に減圧を適用するための包帯剤を作製する方法であって、前記方法が:
疎水性層を具える組織インタフェース層を与えるステップと;
組織対向面を有するマニホルドであって、前記減圧を分配するよう構成された疎水性層を具えるマニホルドを与えるステップと;
前記マニホルドの前記組織対向面の少なくとも一部を前記組織インタフェース層に結合するステップと;
組織対向面を有し液体を吸収するよう構成された第1の吸収層を与えるステップと;
前記第1の吸収層の前記組織対向面の少なくとも一部を前記マニホルドに結合するステップと;
組織対向面を有する第2の吸収層であって、前記組織インタフェース層、前記マニホルド、及び前記第1の吸収層を介して前記組織部位から液体を吸収するよう構成された親水性層を有する第2の吸収層を与えるステップと;
前記第1の吸収層に前記第2の吸収層の前記組織対向面の少なくとも一部を結合するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項72】
さらに、組織対向面を有する分配マニホルドであって、減圧を分配するよう構成された分配マニホルドを与えるステップと;
前記分配マニホルドの組織対向面の少なくとも一部を前記第2の吸収層に結合させるステップと;
を具えることを特徴とする請求項71に記載の方法。
【請求項73】
さらに、ドレープを提供するステップと;
前記分配マニホルドの少なくとも一部を前記ドレープで覆うステップと;
を具えることを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項74】
減圧創傷包帯剤であって、
第1の面及び第2の組織対向面を有する非接着性の疎水性層と;
第1の面及び第2の組織対向面を有する多孔質の疎水性マニホルド層であって、前記多孔質の疎水性マニホルド層の前記第2の組織対向面が前記非接着性の疎水性層の前記第1の面に隣接する疎水性マニホルド層と;
第1の面及び第2の組織対向面を有する急速吸収性の親水性層であって、前記第2の組織対向面が、前記多孔質の疎水性マニホルド層の前記第1の面に隣接する親水性層と;
第1の面及び第2の組織対向面を有する流体保存層であって、前記流体保存層の前記第2の組織対向面が、前記急速吸性の親水性層の前記第1の面に隣接する流体保存層と;
第1の面及び第2の組織対向面を有するシーリング材であって、前記シーリング材の前記第2の組織対向面が、前記流体保存層の前記第1の面に隣接するシーリング材と;
を具えることを特徴とする包帯剤。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−502745(P2012−502745A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527932(P2011−527932)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/057130
【国際公開番号】WO2010/033574
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】