組電池の充放電装置
【課題】全電池セルC11〜Cmnの端子電圧のばらつきを低減するに際して、電力損失が大きくなるおそれがあること。
【解決手段】高電圧バッテリ10を構成する各モジュールM1〜Mmは、モジュール間マトリックスコンバータMMCを介してモジュール間コンデンサCmに接続されている。モジュールM1〜Mmのうち端子電圧の高いものとモジュール間コンデンサCmとを接続することで、モジュール間コンデンサCmに電気エネルギを充電する。その後、モジュール間コンデンサCmと端子電圧の低いモジュールとを接続することで、モジュール間コンデンサの蓄電エネルギを端子電圧の低いモジュールに充電する。
【解決手段】高電圧バッテリ10を構成する各モジュールM1〜Mmは、モジュール間マトリックスコンバータMMCを介してモジュール間コンデンサCmに接続されている。モジュールM1〜Mmのうち端子電圧の高いものとモジュール間コンデンサCmとを接続することで、モジュール間コンデンサCmに電気エネルギを充電する。その後、モジュール間コンデンサCmと端子電圧の低いモジュールとを接続することで、モジュール間コンデンサの蓄電エネルギを端子電圧の低いモジュールに充電する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルの直列接続体としての組電池の充放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の充放電装置としては、たとえば下記特許文献1に見られるように、トランスを用いて、組電池を構成する電池セルの充電エネルギを端子電圧の低いものに充電するものも提案されている。すなわち、電池セルのそれぞれに並列にトランスの各別の2次側コイルを接続し、それら2次側コイルに磁気結合した1次側コイルの両端に組電池の端子電圧を印加可能とする。こうした構成によれば、1次側コイルに電圧を印加することで蓄えられる磁気エネルギを2次側コイルから放電するに際し、端子電圧の低い電池セルに集中的に電気エネルギが充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−88878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、上記の装置では、端子電圧の低い電池セルに充電する処理を行なうことで、組電池を構成する全電池セルのそれぞれが電気エネルギを一旦放電するため、この充電処理によって本来充電対象とすべき電池セルまでもが一旦は放電することとなる。このため、端子電圧の低い電池セルの充電に要する時間が長期化したり、端子電圧の低い電池セルの放電に伴い本来必要のない電力の損失が生じたりするという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、電池セルの直列接続体としての組電池について、その電池セル間の電気エネルギの授受を行なう新たな組電池の充放電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
【0007】
請求項1記載の発明は、蓄電手段と、電池セルの直列接続体としての組電池について、該組電池を構成する電池セルのうちの第1の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する第1開閉機能および、第2の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する第2開閉機能を有する選択接続手段と、前記第1の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記第1の規定数個の電池セルの電気エネルギを前記蓄電手段に充電する第1閉操作処理と、前記第2の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記蓄電手段の電気エネルギを前記第2の規定数個の電池セルに充電する第2閉操作処理とを行なうべく、前記選択接続手段を操作する操作手段と、を備え、前記第1の規定数個の電池セルは、単一の電池セルまたは隣接するもの同士が直列接続された複数の電池セルであり、前記第2の規定数個の電池セルは、単一の電池セルまたは隣接するもの同士が直列接続された複数の電池セルであることを特徴とする。
【0008】
上記発明では、第1閉操作処理と第2閉操作処理とを用いることで、第1の規定数個の電池セルの電気エネルギを第2の規定数個の電池セルに移動させることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第1の規定数は、前記第2の規定数よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
上記発明では、第1の規定数の方が大きいために、第2の規定数個の電池セルと蓄電手段とが接続されたときにおける第2の規定数個の電池セルの端子電圧に対する蓄電手段の充電電圧の差圧を大きくすることができ、ひいては第1の規定数個の電池セルから第2の規定数個の電池セルへの電気エネルギの移動量を大きくすることができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記選択接続手段は、前記第1の規定数と前記第2の規定数との差を可変とする可変機能を備え、前記操作手段は、前記選択接続手段を操作して、前記第1閉操作処理によって前記蓄電手段に接続される電池セルの数と前記第2閉操作処理によって前記蓄電手段に接続される電池セルの数との差を変更する変更手段をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
上記発明では、変更手段によって、第2の規定数個の電池セルと蓄電手段とが接続されたときにおける第2の規定数個の電池セルの端子電圧に対する蓄電手段の充電電圧の差圧を変更することが可能であり、これにより、第1の規定数個の電池セルから第2の規定数個の電池セルへの電気エネルギの移動速度を変更することができる。また、上記発明では、各電池セルの端子電圧が大きく変動したとしても、第2の規定数個の電池セルと蓄電手段とが接続されたときにおける第2の規定数個の電池セルの端子電圧と蓄電手段の充電電圧との差圧の変動を抑制することもできる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記第1開閉機能は、前記組電池を構成する単一の電池セルまたは隣接する複数個の電池セルの直列接続体であって且つ互いに同一の電池セルを含まない複数の単位電池について、それらの第3の規定数個としての前記第1の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する機能であり、前記第2開閉機能は、第4の規定数個の単位電池としての前記第2の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する機能であり、前記操作手段は、前記単位電池の充電状態を調整すべく、前記第1閉操作処理としての前記蓄電手段への蓄電処理と前記第2閉操作処理としての前記蓄電手段からの放電処理とを行なう充電状態調整手段を備えることを特徴とする。
【0014】
上記発明では、複数の単位電池間で電気エネルギを移動させることができ、ひいては複数の単位電池の充電状態を調整することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記複数の単位電池は、互いに隣接する複数の単位電池からなり、前記選択接続手段は、前記複数の単位電池のそれぞれについて、その一対の端子と前記蓄電手段の一対の端子とを接続する一対の電気経路を開閉する機能を備えて且つ、該開閉する機能の閉状態において、前記一対の電気経路における双方向の電流の流れを許容するものであることを特徴とする。
【0016】
上記発明では、一対の電気経路が双方向に電流を流すことができるものであるため、複数の単位電池のうちいずれを第3の規定数個の単位電池とし、いずれを第4の規定数個の単位電池とするかを任意に選択することができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記複数の単位電池のうち、端子電圧、充電率、および充電量のいずれかの値が大きいものおよび小さいものを特定する特定手段をさらに備え、前記充電状態調整手段は、前記蓄電処理として、前記いずれかの値が大きい単位電池または該単位電池およびこれに隣接する1つ以上の単位電池と前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とする処理を行い、前記放電処理として、前記いずれかの値が小さい単位電池または該単位電池およびこれに隣接する1つ以上の単位電池の直列接続体と前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とする処理を行なうことを特徴とする。
【0018】
上記発明では、いずれかの値が大きいものの電気エネルギを蓄電手段に放出し、この電気エネルギをいずれかの値が小さいものに充電することができる。このため、複数の単位電池について、いずれかの値のばらつきを低減することができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項4〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記選択接続手段は、前記第3の規定数と前記第4の規定数との差を可変とする可変機能を備え、前記充電状態調整手段は、前記選択接続手段を操作して、前記蓄電処理によって前記蓄電手段に接続される単位電池の数と前記放電処理によって前記蓄電手段に接続される単位電池の数との差を変更する変更手段をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
上記発明では、第4の規定数個の単位電池と蓄電手段とが接続されるときの第4の規定数個の単位電池の端子電圧と蓄電手段の充電電圧との差圧を変更することができ、これにより、第4の規定数個の単位電池への充電量を変更することができる。また、上記発明では、単位電池の端子電圧が大きく変動したとしても、変更手段によって、第4の規定数個の単位電池と蓄電手段とが接続されるときの第4の規定数個の単位電池の端子電圧と蓄電手段の充電電圧との差圧の変動を抑制することもできる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記複数の単位電池は、前記組電池を構成する一部の単位電池であるモジュールを構成するものであり、前記蓄電手段は、前記モジュール毎に設けられたモジュール内蓄電手段と、前記組電池を構成するモジュール間で共有されるモジュール間蓄電手段とを備え、前記選択接続手段は、前記組電池を構成する全モジュールのそれぞれについて、前記第3の規定数個の単位電池と前記モジュール内蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール内第1開閉機能と、前記第4の規定数個の単位電池と前記モジュール内蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール内第2開閉機能とに加えて、第5の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール間第1開閉機能と、第6の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール間第2開閉機能とを有し、前記第5の規定数個のモジュールは、単一のモジュール、または互いに隣接するもの同士が直列接続された複数のモジュールであり、前記第6の規定数個のモジュールは、単一のモジュール、または互いに隣接するもの同士が直列接続された複数のモジュールであり、前記特定手段は、前記モジュール内における特定処理に加えて、前記組電池を構成する全てのモジュールのうちの端子電圧、充電率、および充電量のいずれかの値が大きいものおよび小さいものを特定する処理をさらに行なうものであり、前記充電状態調整手段は、前記蓄電処理として、前記モジュール内についての前記蓄電処理であるモジュール内充電処理に加えて、前記いずれかの値が大きいモジュールまたは該モジュールおよびこれに隣接する1つ以上のモジュールとしての前記第5の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記第5の規定数個のモジュールの電気エネルギを前記モジュール間蓄電手段に充電する処理であるモジュール間蓄電処理を行い、前記放電処理として、前記モジュール内についての前記放電処理であるモジュール内放電処理に加えて、前記いずれかの値が小さいモジュールまたは該モジュールおよびこれに隣接する1つ以上のモジュールの直列接続体としての前記第6の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記蓄電手段の電気エネルギを前記第6の規定数個のモジュールに充電する処理であるモジュール間放電処理を行なうことを特徴とする。
【0022】
上記発明では、モジュール内について、いずれかの値が大きいものの電気エネルギをモジュール内蓄電手段に放出し、この電気エネルギをいずれかの値が小さいものに充電することができる。また、組電池を構成する全てのモジュールについて、いずれかの値が大きいものの電気エネルギをモジュール間蓄電手段に放出し、この電気エネルギをいずれかの値が小さいものに充電することができる。このため、組電池を構成する全単位電池について、いずれかの値のばらつきを低減する処理を行なうことができる。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記選択接続手段の前記モジュール間第1開閉機能と前記モジュール間第2開閉機能とは、前記モジュールのそれぞれについて、その一対の端子と前記モジュール間蓄電手段の一対の端子とを接続する一対の電気経路を開閉する機能を備えて且つ、該開閉する機能の閉状態において、前記一対の電気経路における双方向の電流の流れを許容する手段によって実現されるものであることを特徴とする。
【0024】
上記発明では、一対の電気経路が双方向に電流を流すことができるものであるため、モジュールのうちのうちいずれを第5の規定数個のモジュールとし、いずれを第6の規定数個のモジュールとするかを任意に選択することができる。
【0025】
請求項10記載の発明は、請求項8または9記載の発明において、前記選択接続手段は、前記第5の規定数と前記第6の規定数との差を可変とする可変機能を備え、前記充電状態調整手段は、前記選択接続手段を操作して、前記モジュール間蓄電処理によって前記モジュール間蓄電手段に接続されるモジュールの数と前記モジュール間放電処理によって前記モジュール間蓄電手段に接続されるモジュールの数との差を変更する変更手段をさらに備えることを特徴とする。
【0026】
上記発明では、第6の規定数個のモジュールとモジュール間蓄電手段とが接続されるときの第6の規定数個のモジュールの端子電圧とモジュール間蓄電手段の充電電圧との差圧を変更することができ、これにより、第6の規定数個のモジュールへの充電速度を変更することができる。また、上記発明では、モジュールの端子電圧が大きく変動したとしても、変更手段によって、第6の規定数個のモジュールとモジュール間蓄電手段とが接続されるときの第6の規定数個のモジュールの端子電圧とモジュール間蓄電手段の充電電圧との差圧の変動を抑制することもできる。
【0027】
請求項11記載の発明は、請求項6または7記載の発明において、前記複数の単位電池は、前記組電池を構成する一部の単位電池である部分電池であり、前記選択接続手段、前記蓄電手段、および前記充電状態調整手段は、前記組電池を構成する全電池セルを含む複数の部分電池のそれぞれ毎に設けられるものであり、前記部分電池は、その端部の単位電池が隣接する部分電池を構成する単位電池の一部と共通となるものであることを特徴とする。
【0028】
上記発明では、部分電池同士で一部の単位電池を共有するため、組電池を構成する任意の単位電池間で電気エネルギを移動させることができる。このため、特定手段によって特定される上記いずれかの値についての組電池を構成する全単位電池間のばらつきを、低減することができる。
【0029】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の発明において、前記組電池は、複数の組電池の並列接続体であり、前記選択接続手段は、前記複数の組電池のうちの少なくとも2つの組電池のそれぞれに設けられるものであり、前記蓄電手段は、前記少なくとも2つの組電池で共有されることを特徴とする。
【0030】
上記発明では、蓄電手段を共有することで、部品点数を低減することができる。
【0031】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の発明において、前記操作手段は、前記少なくとも2つの組電池のそれぞれに対応する選択接続手段を操作することで、それら組電池のいずれかから他へと前記共有される蓄電手段を介して電気エネルギを移動させる組電池間授受処理手段を備えることを特徴とする。
【0032】
上記発明では、蓄電手段を介して、少なくとも2つの組電池間で電気エネルギの授受を行なうことができる。
【0033】
請求項14記載の発明は、請求項1〜13のいずれか1項に記載の発明において、前記電池セルのそれぞれの両端の電圧を検出する各別の電圧検出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0034】
上記発明では、電池セルの電圧の検出値同士の同期を取ることが容易となる。
【0035】
請求項15記載の発明は、請求項1〜13のいずれか1項に記載の発明において、前記蓄電手段の両端の電圧を検出する電圧検出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0036】
上記発明では、蓄電手段の充電電圧を検出することができる。特に、単一の電池セルと蓄電手段とを並列接続した場合には、電池セルの電圧を検出することができる。
【0037】
請求項16記載の発明は、請求項8または9記載の発明において、前記モジュール内蓄電手段の両端の電圧を検出する電圧検出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0038】
上記発明では、モジュール内蓄電手段の充電電圧を検出することができる。特に、請求項5の事項を有する場合、モジュール内の単位電池のそれぞれを蓄電手段に接続することで、モジュール内の単位電池のそれぞれの端子電圧を検出することもできる。
【0039】
請求項17記載の発明は、請求項15または16記載の発明において、前記蓄電手段と前記電圧検出手段との間にローパスフィルタ回路が設けられていることを特徴とする。
【0040】
上記発明では、蓄電手段の充電電圧を検出するに際し、電圧の検出結果がノイズに影響される事態を好適に抑制することができる。
【0041】
請求項18記載の発明は、請求項15〜17のいずれか1項に記載の発明において、前記蓄電手段に並列接続されたツェナーダイオードと、前記蓄電手段と前記ツェナーダイオードとの間を開閉するクランプ禁止手段と、を備えることを特徴とする。
【0042】
上記発明では、ツェナーダイオードと蓄電手段との間が閉状態となる場合には、蓄電手段の充電電圧がツェナーダイオードのブレークダウン電圧に制限される。このため、この場合、電圧検出手段に印加される電圧をブレークダウン電圧に制限することができる。また、ツェナーダイオードと蓄電手段との間が開状態となる場合には、蓄電手段の充電電圧をブレークダウン電圧よりも高くすることができる。
【0043】
請求項19記載の発明は、請求項15〜18のいずれか1項に記載の発明において、前記選択接続手段を操作して電圧検出対象となる1または複数の電池セルと前記蓄電手段とを電気的に接続した状態で、前記電圧検出手段によって前記電圧検出対象の電圧を検出することを特徴とする。
【0044】
上記発明では、電圧検出手段による電圧検出時に蓄電手段の電圧が変化することを好適に回避することができ、ひいては蓄電手段に接続される1または複数の電池セルの端子電圧の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1の実施形態にかかるシステム構成図。
【図2】同実施形態にかかるモジュール内調整ユニットの構成を示す回路図。
【図3】同実施形態にかかるモジュール間充電状態調整処理の手順を示す流れ図。
【図4】同実施形態にかかるモジュール内充電状態調整処理の手順を示す流れ図。
【図5】同実施形態の効果を示すタイムチャート。
【図6】第2の実施形態にかかるモジュール内容量調整処理の手順を示す流れ図。
【図7】第3の実施形態にかかる組電池の車両搭載手法を示す図。
【図8】同実施形態にかかる高電圧バッテリの利用手法を示すタイムチャート。
【図9】同実施形態にかかるモジュール間マトリックスコンバータを示す図。
【図10】同実施形態にかかる回生時の充放電処理の手順を示す流れ図。
【図11】第4の実施形態にかかるマトリックスコンバータを示す図。
【図12】第5の実施形態にかかるモジュール内調整ユニットの構成を示す回路図。
【図13】同実施形態にかかる電圧検出処理の手順を示す流れ図。
【図14】第6の実施形態にかかるフェールセーフ処理を示すタイムチャート。
【図15】上記実施形態の変形例にかかるモジュール内調整ユニットの構成を示す回路図。
【図16】上記変形例にかかるモジュール内コンデンサの充放電処理を例示するタイムチャート。
【図17】上記変形例を用いたフェールセーフ処理を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0046】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる組電池の充放電装置を車載2次電池の充電状態調整装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0047】
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
【0048】
図示される高電圧バッテリ10は、電池セルC11〜Cmnの直列接続体としての組電池であり、その端子電圧がたとえば百V以上となるものである。高電圧バッテリ10の正極および負極は、車載主機に接続される電力変換回路の入力端子に接続される。電池セルCij(i=1〜m,j=1〜n)は、リチウムイオン等の2次電池である。電池セルC11〜Cmnは、個体差を除き、互いに等しい構成である。すなわち、充電率(SOC:満充電量に対する実際の充電量の比率)に対する開放端電圧の関係や、満充電量、内部抵抗値等が互いに等しいものである。
【0049】
高電圧バッテリ10の負極電位は、車体電位とは相違する電位に設定されている。詳しくは、本実施形態では、高電圧バッテリ10の正極電位と負極電位との中央値が車体電位となるように設定されている。これは、高電圧バッテリ10の正極および負極間に一対のコンデンサの直列接続体や一対の抵抗体の直列接続体を接続するとともに、上記コンデンサ同士または抵抗体同士の接続点を車体に接続することで行なうことができる。
【0050】
電池セルC11〜Cmnは、互いに隣接するn(>2)個ずつが同一グループとされモジュール化されている。ここで、第iモジュールMiは、電池セルCi1〜Cinからなる。
【0051】
モジュールM1〜Mmのそれぞれは、モジュール間マトリックスコンバータMMCを介してモジュール間コンデンサCmに電気的に接続可能とされている。ここで、モジュール間マトリックスコンバータMMCは、単位電源(モジュール)のそれぞれと、組電池外電源(モジュール間コンデンサCm)との間を開閉する双方向のスイッチング素子QMp1〜QMpm,QMn1〜QMnmを備えて構成される。そしてこれにより、組電池外電源との間で双方向の電気エネルギの授受を行なう単一の単位電源または隣接する複数個の単位電源を選択可能な機能を有する。
【0052】
ここで、スイッチング素子QMpiは、第iモジュールMiの正極とモジュール間コンデンサCmの一方の端子との間を開閉するものであり、スイッチング素子QMniは、第iモジュールMiの負極とモジュール間コンデンサCmの他方の端子との間を開閉するものである。本実施形態では、スイッチング素子QMpi,QMniのそれぞれを、一対のNチャネルMOS電界効果トランジスタにて構成する。ここで、一対のトランジスタを用いるのは、それらのボディーダイオード同士の順方向が互いに逆となるように接続することで、トランジスタのオン操作指令がなされていないときにボディーダイオードを介して電流が流れることを阻止するための設定である。詳しくは、本実施形態では、一対のトランジスタのソース同士を互いに接続する。これは、トランジスタがソースに対するゲートの電位差に応じて駆動されることに鑑み、1つの信号で一対のトランジスタを容易に駆動するための設定である。
【0053】
上記一対のトランジスタのソース同士、ゲート同士は互いに短絡され、ソースおよびゲートのそれぞれは、フォトカプラPMp1〜PMpm,PMn1〜PMnmの2次側の一対の端子のそれぞれに接続されている。本実施形態では、フォトカプラPMpi,PMniとして、電圧を出力するタイプのものを採用している。これは、フォトカプラPMpi,PMniの2次側にスイッチング素子QMpi,QMniを駆動するための電源を設けないための設定である。
【0054】
上記フォトカプラPMpi,PMniの1次側には、電子制御装置(ECU20)が接続されている。ECU20は、高電圧バッテリ10よりも端子電圧の低い補機バッテリ30を電源とするものであり、その動作の基準電位を、高電圧バッテリ10の負極電位とは相違する電位とする。詳しくは、車体電位を基準電位とする。
【0055】
上記モジュール間コンデンサCmの静電容量は、モジュール間コンデンサCmの充電電圧が高電圧バッテリ10の正常時の端子電圧に一致する際、高電圧バッテリ10よりも充電エネルギ量が小さくなるように設定されている。詳しくは、本実施形態では、モジュール間コンデンサCmの充電電圧が高電圧バッテリ10の正常時の端子電圧に一致する際、充電エネルギ量が高電圧バッテリ10の「1/10万」以下、望ましくは、「1/百万」以下となるように設定されている(また、「1/3億」以上とすることが望ましい)。なお、ここでの高電圧バッテリ10の充電エネルギ量は、正常時の端子電圧において想定される最小値とする。
【0056】
ECU20は、インターフェース22を介してモジュール内調整ユニットU1〜Umのそれぞれから出力される信号を受信し、これに基づき、モジュール間マトリックスコンバータMMCを操作する。また、ECU20は、インターフェース22を介して、モジュール内調整ユニットU1〜Umに、充電状態を調整する旨の指令信号を出力する。なお、インターフェース22は、フォトカプラ等によって構成すればよい。
【0057】
図2に、モジュール内調整ユニットU1〜Umの構成を示す。
【0058】
図示されるように、モジュール内調整ユニットUiは、モジュール内コンデンサCcとモジュール内マトリックスコンバータMCCとを備えている。ここで、モジュール内コンデンサCcの静電容量は、モジュール内コンデンサCcの充電電圧が単一のモジュールMiの正常時の端子電圧に一致する際、単一のモジュールMiよりも充電エネルギ量が小さくなるように設定されている。詳しくは、本実施形態では、モジュール内コンデンサCcの充電電圧が単一のモジュールMiの正常時の端子電圧に一致する際、充電エネルギ量が単一のモジュールMiの「1/10万」以下、望ましくは、「1/百万」以下となるように設定されている(また、「1/3億」以上とすることが望ましい)。なお、ここでの単一のモジュールMiの充電エネルギ量は、正常時の端子電圧において想定される最小値とする。
【0059】
一方、モジュール内マトリックスコンバータMCCは、単位電源(電池セルCi1〜Cin)のそれぞれと、組電池外電源(モジュール内コンデンサCc)との間を開閉する双方向のスイッチング素子QCp1〜QCpn,QCn1〜QCnnを備えて構成される。そしてこれにより、組電池外電源との間で双方向の電気エネルギの授受を行なう単一の単位電源または隣接する複数個の単位電源を選択可能な機能を有する。
【0060】
ここで、スイッチング素子QCpjは、電池セルCijの正極とモジュール内コンデンサCcの一方の端子との間を開閉するものであり、スイッチング素子QCnjは、電池セルCijの負極とモジュール内コンデンサCcの他方の端子との間を開閉するものである。本実施形態では、スイッチング素子QCpj,QCnjのそれぞれを、上記スイッチング素子QMpi,QMniと同様、一対のNチャネルMOS電界効果トランジスタにて構成する。そして、それらのソースおよびゲート間に、フォトカプラPCp1〜PCpn,PCn1〜PCnnの2次側を接続する。これらフォトカプラPCpj,PCnjも、上記フォトカプラPMpi,PMni同様、電圧を出力するタイプのものである。
【0061】
ここで、モジュール内マトリックスコンバータMCCを構成するスイッチング素子QCpj,QCnjは、モジュール間マトリックスコンバータMMCを構成するスイッチング素子QMpi,QMniよりも低耐圧のものを使用している。また、上記フォトカプラPCpj,PCnjは、上記フォトカプラPMpi,PMniよりも低耐圧のものを用いている。
【0062】
上記フォトカプラPCpj,PCnjの1次側には、マイクロコンピュータ(マイコン40)が接続されている。マイコン40は、中央処理装置(CPU46)を備えるソフトウェア処理手段である。マイコン40は、電池セルCi1〜Cinの端子電圧のそれぞれを検出すべく、それらの正極および負極のそれぞれと接続されている。すなわち、電池セルCi1〜Cinのそれぞれの正極は、抵抗体R1〜Rnのそれぞれを介してマイコン40に接続され、電池セルCinの負極は、抵抗体を介すことなくマイコン40に接続されている。また、電池セルCi1〜Cinのそれぞれには、抵抗体R1〜Rnのそれぞれを介してコンデンサC1〜Cnのそれぞれが接続されている。これら、抵抗体RjおよびコンデンサCjは、ローパスフィルタの機能を有するRC回路(図中、LPF)を構成する。
【0063】
ここで、RC回路は、抵抗体RjおよびコンデンサCjからなるものと、抵抗体R1およびコンデンサC1〜Cnからなるものとがある。そして、抵抗体RjおよびコンデンサCjからなるRC回路は、電池セルCijの端子電圧を出力する手段となり、その出力電圧は、マイコン40内のアナログデジタル変換器42によってデジタルデータに変換され、CPU46に取り込まれる。一方、抵抗体R1およびコンデンサC1〜CnからなるRC回路は、モジュールMiの端子電圧を出力する手段となり、その出力電圧は、マイコン40内のアナログデジタル変換器44によってデジタルデータに変換され、CPU46に取り込まれる。CPU46では、電池セルCi1〜Cinのそれぞれの端子電圧やモジュールMiの端子電圧(デジタル信号)を、先の図1に示したインターフェース22を介してECU20に出力する。
【0064】
なお、アナログデジタル変換器42の耐圧は、モジュールMiの端子電圧の最大値よりも低くなっている。そこで、アナログデジタル変換器42を過度に高い電圧から保護すべく、コンデンサC1〜CnのそれぞれにツェナーダイオードZD1〜ZDnのそれぞれが並列接続されている。ツェナーダイオードZD1〜ZDnのブレークダウン電圧は、電池セルCijの端子電圧の想定される最大値よりも大きくて且つ、アナログデジタル変換器42の耐圧よりも低い値に設定されている。
【0065】
次に、図3および図4を用いて、本実施形態にかかる電池セルC11〜Cmnの充電状態の調整処理について説明する。本実施形態では、電池セルC11〜Cmnの端子電圧のばらつきを低減する処理を行なう。この処理は、モジュールMi内の電池セルCi1〜Cinの端子電圧のばらつきを低減する処理と、モジュールM1〜Mmの端子電圧のばらつきを低減する処理とからなる。
【0066】
図3に、モジュールMi内の電池セルCi1〜Cinの端子電圧のばらつきを低減する処理の手順を示す。この処理は、ECU20の指令に応じてモジュール内調整ユニットUiによって、たとえば所定周期でくり返し実行される。
【0067】
この一連の処理では、まずステップS10において、モジュールMiを構成する電池セルCi1〜Cinのそれぞれの電圧Vi1〜Vinを検出する。これは、先の図2に示したアナログデジタル変換器42によって行なうことができる。続くステップS12においては、端子電圧が最大の電池セルCihと、端子電圧が最低の電池セルCilとを特定する。
【0068】
続くステップS14においては、モジュール内コンデンサCcの充電に用いる電池セル数(使用数nc)と、モジュール内コンデンサCcの蓄電エネルギの放電先の電池セル数(使用数nd<nc)とを決定する。ここでは、使用数ncの電池セルをモジュール内コンデンサCcに接続する処理と、使用数ndの電池セルをモジュール内コンデンサCcに接続する処理との一対の処理の一周期における使用数ndの電池セルへの充電量を上昇させたいほど、「nc−nd」が大きくなるように、使用数nc,ndを可変設定すればよい。
【0069】
続くステップS16においては、端子電圧が最大の電池セルCihを含む使用数nc個の電池セルCik,Ci(k+1),…Ci(k+nc−1)をモジュール内コンデンサCcに接続する。これは、モジュール内マトリックスコンバータMCCにおいてスイッチング素子QCpk,QCn(k+nc−1)のみをオン操作することで行なうことができる。これにより、電池セルCik,Ci(k+1),…Ci(k+nc−1)からモジュール内コンデンサCcに電流が流れる。この際、モジュール内コンデンサCcに流れる電流は、電池セルCik,Ci(k+1),…Ci(k+nc−1)の内部抵抗や、スイッチング素子QCpk,QCn(k+nc−1)の導通抵抗によって制限される。ここで、モジュール内コンデンサCcの充電電流が過度に大きくならないのは、上述した静電容量の設定のためである。すなわち、モジュール内コンデンサCcの充電電圧がモジュールMiの端子電圧に等しい場合、その蓄電エネルギ量がモジュールMiよりも十分に小さくなるようにすることで、モジュール内コンデンサCiの充電電圧の変化速度を大きくすることができる。そしてこれにより、充電電流が過度に大きくなることを回避することができる。ちなみに、本実施形態では、損失を低減すべく、スイッチング素子QCpk,QCn(k+nc−1)を、流せる最大電流よりも実際の電流が小さくなる領域で使用している。
【0070】
上記ステップS16の処理は、所定時間T1に渡って継続される(ステップS18)。ここで所定時間T1は、電池セルCik,Ci(k+1),…Ci(k+nc−1)の電気エネルギをモジュール内コンデンサCcに充電する処理が完了したと想定される時間に設定される。そして、所定時間T1が経過すると、ステップS20に移行する。
【0071】
ステップS20では、端子電圧が最小の電池セルCilを含む使用数nd個の電池セルCir,Ci(r+1),…Ci(r+nd−1)をモジュール内コンデンサCcに接続する。詳しくは、スイッチング素子QCpk,QCn(k+nc−1)をオフ操作し、モジュール内マトリックスコンバータMCCにおいてスイッチング素子QCpr,QCn(r+nd−1)のみをオン操作する。これにより、モジュール内コンデンサCcから電池セルCir,Ci(r+1),…Ci(r+nd−1)に電流が流れる。この処理は、所定時間T2に渡って行われる。ここで所定時間T2は、モジュール内コンデンサCcの電気エネルギを電池セルCir,Ci(r+1),…Ci(r+nd−1)に充電する処理が完了したと想定される時間に設定される。
【0072】
なお、所定時間T2が経過すると、この一連の処理を一旦終了する。
【0073】
図4に、モジュールM1〜Mmの端子電圧のばらつきを低減する処理の手順を示す。この処理は、ECU20によって、たとえば所定周期でくり返し実行される。
【0074】
この一連の処理では、まずステップS30において、モジュールM1〜Mmのそれぞれの端子電圧VM1〜VMmを検出する。この処理は、モジュール内調整ユニットUiのそれぞれによって検出されるモジュールMiの端子電圧VMiを取得する処理となる。続くステップS32においては、端子電圧が最高のモジュールMhと、端子電圧が最低のモジュールMlとを特定する処理を行なう。
【0075】
続くステップS34においては、モジュール間コンデンサCmの充電に用いるモジュール(使用数Nc)と、モジュール間コンデンサCmの蓄電エネルギの放電先のモジュール数(使用数Nd<Nc)とを決定する。ここでは、使用数Ncのモジュールをモジュール間コンデンサCmに接続する処理と、使用数Ndのモジュールをモジュール間コンデンサCmに接続する処理との一対の処理の一周期における使用数Ndのモジュールへの充電量を上昇させたいほど、「Nc−Nd」が大きくなるように、使用数Nc,Ndを可変設定すればよい。
【0076】
続くステップS36においては、端子電圧が最大のモジュールMhを含む使用数Nc個のモジュールMk,M(k+1),…M(k+Nc−1)をモジュール間コンデンサCmに接続する。これは、モジュール間マトリックスコンバータMMCにおいてスイッチング素子QMpk,QMn(k+Nc−1)のみをオン操作することで行なうことができる。この際、モジュール間コンデンサCmに流れる電流は、モジュールMk,M(k+1),…M(k+Nc−1)の内部抵抗や、スイッチング素子QMpk,QMn(k+Nc−1)の導通抵抗によって制限される。この際、モジュール間コンデンサCmの充電電流が過度に大きくならないのは、上述した静電容量の設定のためである。すなわち、モジュール間コンデンサCmの充電電圧が高電圧バッテリ10の端子電圧に等しい場合、その蓄電エネルギ量が高電圧バッテリ10よりも十分に小さくなるようにすることで、モジュール間コンデンサCmの充電電圧の変化速度を大きくすることができる。そしてこれにより、充電電流が過度に大きくなることを回避することができる。ちなみに、本実施形態では、損失を低減すべく、スイッチング素子QMpk,QMn(k+Nc−1)を、流せる最大電流よりも実際の電流が小さくなる領域で使用している。
【0077】
上記ステップS36の処理は、所定時間T3に渡って継続される(ステップS38)。ここで所定時間T3は、モジュールMk,M(k+1),…M(k+Nc−1)の電気エネルギをモジュール間コンデンサCmに充電する処理が完了したと想定される時間に設定される。そして、所定時間T3が経過すると、ステップS40に移行する。
【0078】
ステップS40では、端子電圧が最小のモジュールMlを含む使用数Nd個のモジュールMr,M(r+1),…M(r+Nd−1)をモジュール間コンデンサCmに接続する。詳しくは、スイッチング素子QMpk,QMn(k+Nc−1)をオフ操作し、モジュール間マトリックスコンバータMMCにおいてスイッチング素子QMpr,QMn(r+Nd−1)のみをオン操作する。これにより、モジュール間コンデンサCmの蓄電エネルギがモジュールMr,M(r+1),…M(r+Nd−1)に充電される。この処理は、所定時間T4に渡って行われる。ここで所定時間T4は、モジュール間コンデンサCmの電気エネルギをモジュールMr,M(r+1),…M(r+Nd−1)に充電する処理が完了すると想定される時間に設定される。
【0079】
なお、所定時間T4が経過すると、この一連の処理を一旦終了する。
【0080】
図5に、本実施形態の技術的意義に関する実験データを示す。この実験データは、6個の電池セルの直列接続体に車両走行時に想定される電流が流れるとした場合に関するものである。図5(a)は、充放電電流を示し、図5(b)は、上記端子電圧のばらつき低減処理を行なった場合の電池セルの端子電圧の推移を示し、図5(c)は、上記ばらつき低減処理を行わなかった場合の電池セルの端子電圧の推移を示す。
【0081】
図示されるように、端子電圧のばらつき低減処理を行なうことで、少なくとも1つの電池セルの端子電圧が下限電圧に到達するまでの時間を伸長させることができ、ひいては走行可能距離を拡大することができる。
【0082】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0083】
(1)モジュール間コンデンサCmおよびモジュール間マトリックスコンバータMMCを備えることで、電気エネルギを熱エネルギに変換して捨てることなくモジュール間の端子電圧のばらつきを低減することができる。
【0084】
(2)モジュール内コンデンサCcおよびモジュール内マトリックスコンバータMCCを備えることで、電気エネルギを熱エネルギに変換して捨てることなくモジュール内の端子電圧のばらつきを低減することができる。
【0085】
(3)モジュール間コンデンサCmおよびモジュール間マトリックスコンバータMMCと、モジュール内コンデンサCcおよびモジュール内マトリックスコンバータMCCとを備えることで、高電圧バッテリ10を構成する電池セルC11〜Cmnの全てで、端子電圧のばらつきを低減することができる。
【0086】
(4)モジュール内コンデンサCcの充電に用いるセル数(使用数nc)とモジュール内コンデンサCcの放電先の電池セル数(使用数nd)との差を可変とした。これにより、単位時間当たりの充電量を可変とすることができる。
【0087】
(5)モジュール間コンデンサCmの充電に用いるモジュール数(使用数Nc)とモジュール間コンデンサCmの放電先のモジュール数(使用数Nd)との差を可変とした。これにより、単位時間当たりの充電量を可変とすることができる。
【0088】
(6)モジュール内調整ユニットUiにおいて、電池セルCi1〜Cinのそれぞれの電圧を検出する各別のアナログデジタル変換器42を備えた。これにより、電池セルCi1〜Cinの端子電圧の大小比較に際して、端子電圧の検出値の同期を取ることができるため、車両の走行時等、高電圧バッテリ10の充放電電流量が大きく変動しうる状況下であっても、端子電圧の大小を高精度に比較することができる。
【0089】
(7)モジュール間マトリックスコンバータMMCとモジュール内マトリックスコンバータMCCとを各別に設けることで、高耐圧部品(スイッチング素子QMpi,QMni)の数を低減することができる。
【0090】
(8)スイッチング素子QMpi,QMniのソース同士(スイッチング素子QCpj,QCnjのソース同士)を短絡した。これにより、単一の操作信号によって一対のスイッチング素子QMpi,QMni(スイッチング素子QCpj,QCnj)を容易に操作することができる。
【0091】
(9)スイッチング素子QMpi,QMni(スイッチング素子QCpj,QCnj)に操作信号を出力する絶縁通信手段として、電圧を出力するタイプのものを用いた。これにより、2次側に電源を備えることなく、スイッチング素子QMpi,QMni(スイッチング素子QCpj,QCnj)をオン・オフ操作することができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0092】
本実施形態では、端子電圧のばらつきを低減する処理に代えて、充電率または充電量のばらつきを低減する処理を行なう。
【0093】
図6に、本実施形態にかかるモジュール内における充電率または充電量のばらつきを低減する処理の手順を示す。この処理は、ECU20の指令に応じて実行される。なお、図6において、先の図3に示した処理に対応するものについては、便宜上同一のステップ番号を付している。
【0094】
この一連の処理では、ステップS12aにおいて、電池セルCi1〜Cinの充電率SOCi1〜SOCinのうち最大のものに対応する電池セルCihと最小のものに対応する電池セルCilとを特定する処理、または充電量Qi1〜Qinのうち最大のものに対応する電池セルCihと最小のものに対応する電池セルCilとを特定する処理を行なう。ここで、充電率は、たとえば、端子電圧(閉路端電圧)の検出値と、電流量と、各セル毎の内部抵抗情報とから、開放端電圧を算出し、開放端電圧と充電率との関係を定めた関係情報から算出すればよい。また、充電量については、上記充電率にセル毎の満充電量を乗算することで算出すればよい。
【0095】
上記ステップS12aの処理が完了する場合、先の図3のステップS14〜S22の処理を行なう。なお、モジュールM1〜Mmにおける充電率または充電量のばらつきを低減する処理についても同様に行なうことができるため、ここではその説明を省略する。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0096】
図7に、本実施形態にかかる充電状態の調整対象となる高電圧バッテリを示す。
【0097】
図示されるように、本実施形態では、第1の高電圧バッテリ10aと第2の高電圧バッテリ10bとが、インバータ54に並列接続可能とされている。ここで、インバータ54は、駆動輪52に機械的に連結されたモータジェネレータ50に接続されたものである。また、インバータ54と第1の高電圧バッテリ10aとの間は、リレーSMRaによって開閉され、インバータ54と第2の高電圧バッテリ10bとの間は、リレーSMRbによって開閉される。
【0098】
本実施形態では、図8に示すように、第1の高電圧バッテリ10aおよび第2の高電圧バッテリ10bのいずれか一方をインバータ54に接続し、いずれか一方において下限電圧に達する電池セルが生じることで、他方の利用に切り替えるべく、リレーSMRa,SMRbを操作する。
【0099】
図9に、本実施形態にかかる充電状態調整装置の構成を示す。なお、図9において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上、同一の符号を付している。
【0100】
図示されるように、本実施形態では、第1の高電圧バッテリ10aと第2の高電圧バッテリ10bとのそれぞれで、各別のモジュール内調整ユニットU1〜Umや、モジュール間マトリックスコンバータMMCを備えている。ただし、モジュール間コンデンサCmについては、第1の高電圧バッテリ10aと第2の高電圧バッテリ10bとで共有している。なお、図9では、ECU20の記載を省略している。
【0101】
上記構成によれば、モジュール間コンデンサCmを用いて第1の高電圧バッテリ10aと第2の高電圧バッテリ10bとの間で電気エネルギの授受が可能となる。本実施形態では、特に、回生時においてこの機能を利用することで、回生エネルギの充電量を拡大する。
【0102】
図10に、回生時における充放電処理の手順を示す。この処理は、ECU20によって、たとえば所定周期でくり返し実行される。
【0103】
この一連の処理では、まずステップS50において、回生時であるか否かを判断する。そして回生時であると判断される場合、ステップS52において、第1の高電圧バッテリ10aの使用時であるか否かを判断する。そして、ステップS52において肯定判断される場合、ステップS54において、第1の高電圧バッテリ10aの充電率SOCaが閾値Sth以上であって且つ、第2の高電圧バッテリ10bの充電率SOCbが閾値Sth未満であるか否かを判断する。この処理は、第1の高電圧バッテリ10aに回生エネルギを充電する余地がなく、第2の高電圧バッテリ10bに回生エネルギを充電する余地があるか否かを判断するためのものである。ここで、閾値Sthは、回生エネルギの充電によって電池セルの端子電圧に上限電圧に達するものが生じると想定される下限値に基づき設定すればよい。なお、閾値Sthは、回生時において駆動輪52に加えることが可能な負荷トルクに応じて可変設定してもよい。
【0104】
ステップS56において肯定判断される場合、ステップS56,S58において、インバータ54側から第1の高電圧バッテリ10a側に流入する電気エネルギを第2の高電圧バッテリ10bに充電する処理を行なう。すなわち、ステップS56では、第1の高電圧バッテリ10aの端子とモジュール間コンデンサCmとを電気的に接続する。これは、第1の高電圧バッテリ10a側のスイッチング素子QMp1,QMnmをオン操作することで行なうことができる。続くステップS58においては、モジュール間コンデンサCmを第2の高電圧バッテリ10b側に接続する。ここでは、第1の高電圧バッテリ10a側のスイッチング素子QMp1,QMnmをオフ操作し、第2の高電圧バッテリ10b側のスイッチング素子QMp1,QMnmをオン操作する。もっとも、これに代えて、第2の高電圧バッテリ10bの一部のモジュールとモジュール間コンデンサCmとを接続してもよい。
【0105】
これに対し、上記ステップS52において否定判断される場合、ステップS60において、第2の高電圧バッテリ10bの充電率SOCbが閾値Sth以上であって且つ、第1の高電圧バッテリ10aの充電率SOCaが閾値Sth未満であるか否かを判断する。この処理は、第2の高電圧バッテリ10bに回生エネルギを充電する余地がなく、第1の高電圧バッテリ10aに回生エネルギを充電する余地があるか否かを判断するためのものである。
【0106】
ステップS60において肯定判断される場合、ステップS62,S64において、インバータ54側から第2の高電圧バッテリ10b側に流入する電気エネルギを第1の高電圧バッテリ10aに充電する処理を行なう。
【0107】
なお、上記ステップS58,S64の処理が完了する場合や、ステップS50,S54,S60において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0108】
図11に、本実施形態にかかる充電状態調整装置の構成を示す。なお、図11において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上、同一の符号を付している。また、図11において、ECU20やそれとの接続経路についてはその記載を省略した。
【0109】
図示されるように、本実施形態では、1つのモジュールを構成する電池セルと、隣接するモジュールの1つの電池セルとで部分電池を構成し、部分電池毎に、マトリックスコンバータやモジュール内コンデンサCc1〜Ccmが設けられる。すなわち、第1モジュールM1を構成する電池セルC11〜C1nと第2モジュールM2を構成する電池セルC21とが、モジュール内コンデンサCc1に接続される。また、第1モジュールM1を構成する電池セルC1nと、第2モジュールM2を構成する電池セルC21〜C2nと、第3モジュールM3を構成する電池セルC31とが、モジュール内コンデンサCc2に接続される。
【0110】
詳しくは、第1モジュールM1に対応するモジュール内コンデンサCc1は、スイッチング素子QCpj,QCnjによってモジュールM1の電池セルC1jに接続され、また、スイッチング素子QCpL,QCnLによって、第2モジュールM2の電池セルC21に接続される。
【0111】
これに対し、第2モジュールM2に対応するモジュール内コンデンサCc2は、スイッチング素子QCpj,QCnjによって第2モジュールM2の電池セルC2jに接続される。さらに、スイッチング素子QCpH,QCnHによって、第1モジュールM1の電池セルC1nに接続され、スイッチング素子QCpL,QCnLによって、第3モジュールM3の電池セルC31に接続される。
【0112】
こうした構成によれば、モジュール内コンデンサCc1を介して、電池セルC11〜C1n,C21の間で電気エネルギの授受が可能となる。また、モジュール内コンデンサCc2を介して、電池セルC1n,C21〜C2n,C31の間で電気エネルギの授受が可能となる。このように、モジュール内コンデンサCc1〜Ccmによって電気エネルギの授受が可能な電池セルの一部が共有化されているため、高電圧バッテリ10を構成する電池セルC11〜Cmnの全てで電気エネルギの授受が可能となり、ひいては電池セルC11〜Cmnの全てで端子電圧や、充電率、充電量のばらつきを低減可能となる。
【0113】
しかも、この際、スイッチング素子QCpj,QCnj,QCpH,QCnH,QCpL,QCnLに要求される耐圧を、上記第1の実施形態におけるスイッチング素子QMpi,QMniと比較して小さくすることができる。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0114】
図12に、本実施形態にかかるモジュール内調整ユニットUiの構成を示す。なお、図12において、先の図2に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0115】
図示されるように、本実施形態では、抵抗体RおよびコンデンサCによって構成されるRC回路と、ツェナーダイオードZDとを介して、モジュール内コンデンサCcの両端の電圧を、マイコン40内のアナログデジタル変換器44に取り込む。こうした構成によれば、電池セルCi1〜Cinの端子電圧を、モジュール内コンデンサCcの充電電圧として単一のアナログデジタル変換器44によって検出することができる。
【0116】
詳しくは、モジュール内コンデンサCcとRC回路とは、スイッチング素子Snによって開閉可能とされ、スイッチング素子Snは、フォトカプラPnを介してマイコン40によって操作される。ここで、スイッチング素子Snは、スイッチング素子QCpj,QCnjと同一構成であり、フォトカプラPnは、フォトカプラPCpj,PCnjと同一構成である。
【0117】
上記ツェナーダイオードZDのブレークダウン電圧は、単一の電池セルCijの端子電圧の最大値よりも高くて且つ、モジュールMiの端子電圧以下に設定されている。これにより、アナログデジタル変換器44の耐圧を十分に低下させることができる。一方、スイッチング素子Snは、端子電圧のばらつきの低減処理によってモジュール内コンデンサCcの充電電圧が単一の電池セルCijのものよりも高くなる場合に、ツェナーダイオードZDがオンしないように、モジュール内コンデンサCcとツェナーダイオードZDとの間を開状態とするためのものである。
【0118】
図13に、本実施形態にかかる電池セルCijの電圧検出処理の手順を示す。この処理は、モジュール内調整ユニットUiによって、たとえば所定周期でくり返し実行される。
【0119】
この一連の処理では、まずステップS70において、電圧検出時であるか否かを判断する。そして、電圧検出時でないと判断される場合、ステップS72において、モジュール内コンデンサCcの充電電圧がツェナーダイオードZDに印加されることを回避すべく、スイッチング素子Snをオフする。
【0120】
これに対し、電圧検出時であると判断される場合、ステップS74において、モジュール内コンデンサCcの両端をアナログデジタル変換器44に接続すべく、スイッチング素子Snをオン操作する。続くステップS76においては、モジュールMi内の電池セルCijを指定する変数jを「1」とする。そして、ステップS78においては、電池セルCijの両端の電圧を検出すべく、スイッチング素子QCpj,QCnjをオン操作する。そして、ステップS80において所定時間T5が経過すると判断される場合、ステップS82において、アナログデジタル変換器44によってモジュール内コンデンサCcの電圧をサンプリングする。ここで、所定時間T5は、アナログデジタル変換器44の入力電圧が安定すると想定される時間に設定される。この時間は、RC回路の時定数よりも長い時間に設定されている。
【0121】
そして、電圧のサンプリング処理が完了すると、ステップS84において、スイッチング素子QCpj,QCnjをオフ操作する。続くステップS86においては、変数jがnであるか否かを判断する。この処理は、モジュールMi内の電池セルCijの全てについて電圧の検出が完了したか否かを判断するためのものである。そして、ステップS86において否定判断される場合、ステップS88において、変数jをインクリメントし、ステップS78に戻る。これに対し、ステップS86において肯定判断される場合や、ステップS72の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0122】
このように、本実施形態では、モジュール内コンデンサCcの充電電圧を検出することで、モジュールMi内の電池セルCi1〜Cinの全ての端子電圧を検出することができる。このため、RC回路やツェナーダイオードZDの数を低減することができる。
【0123】
また、本実施形態では、電圧の検出を、モジュール内コンデンサCcと検出対象となる電池セルCijとを接続した状態で行った。これにより、アナログデジタル変換器44の入力電圧を安定させた状態で入力電圧をデジタルデータに変換することができる。これに対し、モジュール内コンデンサCcと検出対象となる電池セルCijとの接続を解除する場合には、入力電圧が安定しないことが懸念される。これは、実際の回路ではモジュール内コンデンサCcが図示しない回路に接続される状況となる可能性が高く、この場合、それら回路を介してモジュール内コンデンサCcの放電がなされるためである。
<第6の実施形態>
以下、第6の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0124】
本実施形態では、電池セルCijのいずれかにオープン故障が生じた場合に、モジュール内マトリックスコンバータMCCを利用したフェールセーフ処理を行なう。
【0125】
すなわち、図14に示されるように、モジュールMiの電池セルCi2にオープン故障が生じる場合、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCp2,QCp3をオン状態とする処理と、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCn1,QCn2をオン状態とする処理とによって、電池セルCi1と電池セルCi3とを、モジュール内マトリックスコンバータMCCによって接続する。これは、高電圧バッテリ10の電気エネルギを利用可能とすることで、リンプホーム処理を行なうためのものである。
【0126】
詳しくは、図示されるように、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCp2,QCp3をオン状態とする処理のみがなされる期間と、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCn1,QCn2をオン状態とする処理のみがなされる期間とを設ける。これは、スイッチング素子QCp2,QCp3や、スイッチング素子QCn1,QCn2の温度上昇を緩和するための設定である。さらに、本実施形態では、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCp2,QCp3をオン状態とする処理と、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCn1,QCn2をオン状態とする処理との一対の処理について、これら双方がなされる重複期間Torを設ける。これは、電池セルCi1と電池セルCi3との電気的な接続状態の連続性を保つための設定である。換言すれば、高電圧バッテリ10の充放電電流の連続性を保つための設定である。
【0127】
ただし、このようにオン状態となる素子を切り替える処理は、モジュールMiの端部以外の電池セルCi2〜Ci(n−1)に関してのみ可能である。すなわち、たとえば電池セルCi1がオープン故障する場合、モジュール内調整ユニットUiにそれ以上高電位の電池セルの負極に接続するための専用の電気経路がない。このため、フェールセーフ処理としては、図中、下方に示すように、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCp1,QCp2をオン状態に保つ処理を行なうこととなる。なお、この場合、たとえば電池セルCi2のオープン故障時と比較して、高電圧バッテリ10の出力をより制限するようにしてもよい。
【0128】
なお、オープン故障の有無は、たとえば電池セルCijの端子電圧の検出値が過度に低いか否かによって診断することができる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0129】
「マトリックスコンバータのスイッチング素子について」
モジュール間マトリックスコンバータMMCのスイッチング素子QMpi,QMniや、モジュール内マトリックスコンバータMCCのスイッチング素子QCpj,QCnjとしては、一対のNチャネルMOS電界効果トランジスタの直列接続体に限らない。たとえば一対のPチャネルMOS電界効果トランジスタの直列接続体であってもよい。この場合であっても、ソース同士をショートさせるようにして直列接続することが望ましい。もっとも、スイッチング素子のオン・オフに際しての開閉制御端子(ゲート)の電位の基準を定める端子(ソース)同士をショートさせるものに限らず、ドレイン同士をショートさせるものであってもよい。この場合、一対のスイッチング素子を駆動する駆動回路を共通とすることが困難となるものの、ボディーダイオードを介して貫通電流が流れることを回避することはできる。
【0130】
さらに、電界効果トランジスタにも限らず、たとえば一対の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)とそれらのそれぞれに逆並列接続されたダイオードとからなるものであってもよい。ちなみに、この場合のダイオードは、マトリックスコンバータにおいて電流を双方向に流すことができるようにするための手段となる。
「モジュール内及びモジュール間のマトリックスコンバータについて」
モジュール間マトリックスコンバータMMCのスイッチング素子QMpi,QMniの耐圧を、モジュール内マトリックスコンバータMCCのスイッチング素子QCpj,QCnjの耐圧よりも高くする設定に限らない。これらの耐圧が同一であったとしても、モジュール毎の管理とモジュール内の管理とを行なうことによるメリットを享受できる。このメリットとしては、たとえば上記第3の実施形態において、使用していないバッテリへの回生エネルギの充電速度を向上させやすいことがある。これは、モジュール間コンデンサCmの静電容量を、モジュール内コンデンサCcの静電容量よりも大きくしやすいためである。
【0131】
「マトリックスコンバータのスイッチング素子の駆動手段について」
1次側と2次側との絶縁を確保しつつ1次側の電圧信号を2次側に電圧信号として出力する絶縁通信手段(電圧を出力するタイプの絶縁通信手段)としては、特定のフォトカプラに限らない。たとえばトランスであってもよい。この場合であっても、スイッチング素子のオン状態またはオフ状態のうちトランスの2次側電圧が要求される方の時間が長くならない制御設計をするなら、駆動手段の回路規模が上記実施形態と比較して過度に大きくなることはない。
【0132】
また、電圧を出力するタイプの絶縁通信手段にも限らない。
【0133】
もっとも、絶縁通信手段を備えるものでなくても、マトリックスコンバータを構成することが可能である。特に、先の図2の構成の場合等にあっては、マイコン40と対応するモジュールMiとの絶縁が図られていない。したがって、この構成については、駆動手段にフォトカプラPCpj,PCnjを利用したことは、絶縁のためではないことも明らかである。図15に、モジュール内マトリックスコンバータMCCを構成するスイッチング素子QCpj,QCnjの駆動手段として、絶縁通信手段を備えない構成の一例を示す。
【0134】
図示される正極側のブートストラップ回路BSPは、スイッチング素子QCp1〜QCpnをオンとするための電圧を生成する回路であり、負極側のブートストラップ回路BSNは、スイッチング素子QCn1〜QCnnをオンとするための電圧を生成する回路である。ブートストラップ回路BSP、BSNは、いずれも電源60を備え、電源60およびモジュールMiの負極間に、ダイオード62、フローティング電源用コンデンサ64およびNチャネルMOS電界効果トランジスタ(充電用スイッチング素子66)の直列接続体が接続されている。また、フローティング電源用コンデンサ64およびダイオード62のカソード間と、モジュールMiの負極との間には、フローティング電源用コンデンサ64を電源とするドライブ回路68が接続されている。
【0135】
そして、充電側入力信号LINは、充電用スイッチング素子66のゲートに印加され、駆動側入力信号HINは、ドライブ回路68に入力される。これにより、充電側入力信号LINが論理Hとなることで、充電用スイッチング素子66がオン状態となり、電源60からダイオード62、フローティング電源用コンデンサ64を介して充電用スイッチング素子66に電流が流れ、フローティング電源用コンデンサ64が充電される。これに対し、充電側入力信号LINが論理Lとされて且つ、駆動側入力信号HINが論理Hとされることで、ドライブ回路68からフローティング電源用コンデンサ64の充電電圧が出力される。
【0136】
こうした構成において、ブートストラップ回路BSP,BSNのローサイド出力端子Tonを、フローティング電源用コンデンサ64および充電用スイッチング素子66間に接続して且つ、ブートストラップ回路BSP,BSNのハイサイド出力端子Topを、ドライブ回路68の出力端子とする。これにより、充電側入力信号LINを論理Lとして且つ駆動側入力信号HINを論理Hとすることで、ローサイド出力端子Tonをフローティング電位として且つ、ハイサイド出力端子Topをローサイド出力端子Tonの電位に対してフローティング電源用コンデンサ64の電圧だけ上昇させることができる。
【0137】
ブートストラップ回路BSPのローサイド出力端子Tonおよびハイサイド出力端子Topは、正極側のアナログスイッチASPに接続される。正極側のアナログスイッチASPは、ブートストラップ回路BSPのローサイド出力端子Tonおよびハイサイド出力端子Topのそれぞれを、スイッチング素子QCp1〜QCpnのいずれかのソースおよびゲートのそれぞれに選択的に接続するものである。ここで、いずれのスイッチング素子QCp1〜QCpnとするかは、マイコン40からアナログスイッチASPに入力されるアドレスデータに基づきなされる。
【0138】
また、ブートストラップ回路BSNのローサイド出力端子Tonおよびハイサイド出力端子Topは、負極側のアナログスイッチASNに接続される。負極側のアナログスイッチASNは、ブートストラップ回路BSNのローサイド出力端子Tonおよびハイサイド出力端子Topのそれぞれを、スイッチング素子QCn1〜QCnnのいずれかのソースおよびゲートのそれぞれに選択的に接続するものである。ここで、いずれのスイッチング素子QCn1〜QCnnとするかは、マイコン40からアナログスイッチASNに入力されるアドレスデータに基づきなされる。
【0139】
なお、アナログスイッチASP,ASNは、いずれもモジュールMiを電源とする。
【0140】
こうした構成において、たとえば電池セルCi1,Ci2とモジュール内コンデンサCcとを接続する場合、充電側入力信号LINを論理Lとして且つ駆動側入力信号HINを論理Hとし、アナログスイッチASP,ASNにおいて、スイッチング素子QCp1,QCn2を選択するように対応するアドレスデータを入力する。これにより、スイッチング素子QCp1,QCn2のソースおよびドレイン間の電位差を、フローティング電源用コンデンサ64の充電電圧とすることができる。
【0141】
図16に、モジュール内コンデンサCcの充電電圧、充放電電流、充電側入力信号LIN、および駆動側入力信号HINの推移を例示する。
【0142】
なお、アナログスイッチASP,ASNとスイッチング素子QCp1〜QCpn,QCn1〜QCnnのゲートとを接続する配線は、抵抗体70によってモジュールMiの負極にプルダウンされる。これは、スイッチング素子QCp1〜QCpn,QCn1〜QCnnのオフ指令時におけるゲート電位を、オフ状態とすることのできる電位(この場合、モジュールMiの負極電位)に固定するためのものである。
【0143】
「選択接続手段(マトリックスコンバータ)について」
モジュール間マトリックスコンバータMMCとモジュール内マトリックスコンバータMCCとの双方を備えない構成としては、上記第4の実施形態(図11)に限らない。たとえば、高電圧バッテリ10を構成する電池セルC11〜Cmnのそれぞれとコンデンサとの間を開閉する単一のマトリックスコンバータを備えてもよい。
【0144】
また、組電池と蓄電手段との間で双方向に電流が流れることが可能なものに限らないことについては、「電位設定について」の欄に記載したとおりである。
【0145】
「第1の規定数および第2の規定数等の大小関係について」
上記第1、第2の実施形態では、モジュール内のコンデンサCcの充電に用いる電池セルの使用数ncを放電に用いる使用数ndよりも大きくし、モジュール間のコンデンサCmの充電に用いるモジュールの使用数Ncを放電に用いる使用数Ndよりも大きくしたがこれに限らない。たとえば上記第1の実施形態のように、端子電圧の高い電池セルを放電に用いて且つ端子電圧の低い電池セルを充電に用いるなら、これら1つずつの電池セルを用いても端子電圧のばらつきを低減することができる。
【0146】
「電位設定について」
高電圧バッテリ10の負極電位を車体電位としてもよい。この場合、たとえば第mモジュールMmをECU20の電源としてもよい。こうした構成の場合、第mモジュールMmの充電エネルギが他のモジュールM1〜M(m−1)と比較して低下しやすい。このため、他のモジュールM1〜M(m−1)の電気エネルギを第mモジュールMmに充電するためにモジュール間マトリックスコンバータMMCを用いればよい。ちなみに、この用途に限るなら、スイッチング素子QMp1〜QMp(m−1),QMnmについてはモジュールM1〜Mm−1からコンデンサCm側への電流の流れを許容して且つ逆方向の流れを阻止するものであってもよい。同様に、スイッチング素子QMn1〜QMn(m−1)、QMpmについては、コンデンサCmから第mモジュールMmへの電流の流れを許容し逆方向の流れを阻止するものであってもよい。
【0147】
「選択接続手段の用途について」
充電状態調整手段や組電池間授受処理手段の用途に限らない。たとえば、高電圧バッテリ10の温度が低い場合にこれを昇温すべく、電池セルC11〜Cmnの充放電処理を繰り返すために選択接続手段を用いてもよい。この場合、充放電電流が大きいほど、内部抵抗による発熱量が大きくなり温度上昇速度が大きくなることに鑑みれば、低温であるほど、蓄電手段を充電する際の電池セル数を増加させたり、蓄電手段の放電エネルギの充電対象となる電池セル数を減少させたりしてもよい。
【0148】
「変更手段について」
充電状態を調整する用途に限らないことについては、「選択接続手段の用途について」の欄に記載したとおりである。
【0149】
なお、変更手段を備えなくても、たとえば充電状態調整手段等の目的を達成することは可能である。
【0150】
「単位電池(充電状態の調整対象)について」
たとえば上記第1の実施形態や第2の実施形態において、モジュール内の充電状態の調整を、隣接する2個の電池セル毎に行ってもよい。すなわち、これら2個の電池セルの個々の端子電圧、充電率、充電量のばらつきを低減することについてはなんら処理を行わず、2個の電池の合計の端子電圧や、充電率、充電量にばらつきがある場合にこれを低減する処理を行なうようにしてもよい。
【0151】
「部分電池について」
上記第4の実施形態(図11)において、隣接するグループ(部分電池)間で共有される電池セル数を複数としてもよい。
【0152】
「特定手段について」
端子電圧や、充電率,充電量が最大のものや最小のものを特定する手段に限らない。たとえば、平均値よりも大きいものや平均値よりも小さいものを特定する手段であってもよい。この場合、たとえば、平均値よりも大きい複数個が隣接する単位電池を構成する場合、これらを蓄電手段に電気エネルギを充電する単位電池としてもよい。
【0153】
「組電池間授受処理手段について」
上記第3の実施形態(図9)において例示したように、回生エネルギを充電する処理を行なうものに限らない。たとえば第1の高電圧バッテリ10aのうちの少なくとも1つの電池セルが下限電圧に到達したために第2の高電圧バッテリ10bに切り替えている状況下、第1の高電圧バッテリ10aを構成する電池セルC11〜Cmnのうち端子電圧が下限電圧に達していないものの電気エネルギを、第2の高電圧バッテリ10bに充電する処理を行なうものであってもよい。なお、こうした処理を行なう上では、モジュール内のコンデンサCcを第1の高電圧バッテリ10aと第2の高電圧バッテリ10bとで共有してもよい。
【0154】
「組電池間で共有される蓄電手段について」
たとえば、上記第3の実施形態におけるマトリックスコンバータを、第4の実施形態(図11)におけるマトリックスコンバータに変更し、コンデンサCc1〜Ccmを第1の高電圧バッテリ10aと第2の高電圧バッテリ10bとで共有してもよい。また、「組電池間授受処理手段について」に記載したものであってもよい。
【0155】
なお、一対の高電圧バッテリによって共有されるものに限らず、3つ以上の高電圧バッテリによって共有されるものであってもよい。
【0156】
「電圧検出手段について」
上記第1の実施形態(図2)において、モジュールの両端とアナログデジタル変換器44との間に差動増幅回路を備えてもよい。これにより、アナログデジタル変換器44の検出可能電圧範囲を小さくすることができる。
【0157】
上記第5の実施形態(図12)のように、モジュール内コンデンサCcの電圧を検出するものに代えて、モジュール間のコンデンサCmの電圧を検出するものとしてもよい。また、上記第5の実施形態(図12)において、RC回路の出力電圧を差動増幅回路で変換した後、アナログデジタル変換器44に入力してもよい。この場合、差動増幅回路によってモジュール内コンデンサCcの電気エネルギが消費されるため、マトリックスコンバータによって電池セルとモジュール内コンデンサCcとの間を閉状態としつつモジュール内コンデンサCcの電圧を検出することが特に望ましい。もっとも、これに代えて、RC回路と差動増幅回路との間にボルテージフォロワを設けてもよい。
【0158】
「電圧検出手法について」
上記第5の実施形態(図13)において、モジュール内コンデンサCcの電圧を、マトリックスコンバータによって電池セルとモジュール内コンデンサCcとの間が開状態とされたときに検出してもよい。また、電池セルとモジュール内コンデンサCcとが接続された状態で行なうものに限らないことについては、「クランプ禁止手段およびその駆動手段について」の欄にも記載がある。
【0159】
「クランプ禁止手段およびその駆動手段について」
スイッチング素子SnやフォトカプラPnに限らないことについては、選択接続手段やその駆動手段と同様である。
【0160】
また、モジュール内コンデンサCcの正極および負極のそれぞれとRC回路(LPF)の正極および負極のそれぞれとの間を開閉する各別のスイッチング素子を備えてもよい。この場合、それらスイッチング素子をオン状態とするに際してマトリックスコンバータをオフとするなら、ツェナーダイオードを備えることなくアナログデジタル変換器44の要求耐圧を低下させることができる。
【0161】
「フェールセーフ処理手段について」
上記第6の実施形態(図14)では、モジュールMiの端部の電池セルCi1,Ci(n−1)がオープン故障した場合には、これを迂回するために用いるスイッチング素子を固定したがこれに限らない。たとえば、電池セルCi1がオープン故障した場合、スイッチング素子QCp1については常時オンとする一方、スイッチング素子QCp2とスイッチング素子QCp3とのそれぞれをオン状態とする処理を交互に行ってもよい。
【0162】
フェールセーフ処理に際してモジュール内マトリックスコンバータMCCの温度上昇を抑制するための設定としては、先の図14に示したように、オン状態とするスイッチング素子を変更するものに限らない。たとえば、電池セルCi2がオープン故障する場合、先の図14に示した処理に代えて、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCp2,QCp3,QCn1,QCn2を常時オン状態としてもよい。この場合であっても、各スイッチング素子QCp2,QCp3,QCn1,QCn2を流れる電流量が、スイッチング素子QCp2,QCp3と、スイッチング素子QCn1,QCn2とのいずれか一方をオンした場合と比較して減少することから、発熱量を低減することができる。もっとも、先の図15に例示したように、ブートストラップ回路BSP,BSNを用いる場合には、スイッチング素子QCp2,QCp3と、スイッチング素子QCn1,QCn2とを交互にオン状態とすることには、発熱量低減以外にもメリットがある。フローティング電源用コンデンサ64の充電期間を得ること、これである。
【0163】
図17に、先の図15に示した構成を採用した場合のフェールセーフ処理を例示する。この場合、電池セルCi2、Ci3,Ci4にオープン故障が生じる場合、スイッチング素子QCp2,QCp5と、スイッチング素子QCn1,QCn4とを交互にオン状態とし、その間に、いずれのスイッチング素子もオン状態とされない期間を設ける。これは、フローティング電源用コンデンサ64の充電期間である。なお、図では、モジュールMiの端子電圧が、スイッチング素子のオフ期間によって低下するもののゼロにはなっていない。これは、駆動側入力信号HINが論理Lに切り替えられてからスイッチング素子QCp2,QCp5,QCn1,QCn4が完全にオフするまでの間の遅延に起因したものである。
【0164】
もっとも、ブートストラップ回路を用いた場合であっても、先の図14に示したように、スイッチング素子QCp2,QCp5のオン操作指令がなされる期間と、スイッチング素子QCn1,QCn4のオン操作指令がなされる期間とを重複させることは可能である。これはたとえば、先の図15に示した構成において、アナログスイッチASP,ASNやブートストラップ回路BSP,BSNを各2組備え、電池セルCi1〜Cinのうちの偶数番目のセルと、奇数番目のセルとで、互いに相違する組を割り振ることで実現することができる。
【0165】
上記第6の実施形態(図14)では、モジュール内マトリックスコンバータMCCを利用したがこれに限らず、モジュール間マトリックスコンバータMMCを利用してもよい。すなわち、たとえば、モジュールMiの電池セルCi1〜Cinのいずれかに異常が生じる場合、スイッチング素子QMpi,QMniをオン操作することで、モジュールMiを迂回する経路を形成してもよい。
【0166】
「充電処理の完了について」
上記各実施形態では、所定時間の経過を充電の完了としたが、これに限らず、端子電圧の検出値に基づき充電の完了の有無を判断してもよい。
【0167】
「蓄電手段の静電容量の設定について」
上記実施形態で例示したものに限らない。たとえば、モジュールMiとモジュール内コンデンサCcとを接続することでモジュールMiの電気エネルギをモジュール内コンデンサCcに放電する場合に放電電流が過度に大きくなるおそれがあるなら、モジュール内コンデンサCcに接続する電池セル数を制限してもよい。また、これに代えて、スイッチング素子QCp1,QCnnを継続してオン状態とする代わりに、PWM処理することで放電電流が過度に大きくなることを回避してもよい。さらに、スイッチング素子QCp1,QCnnを流れることのできる電流と放電電流とが一致する領域でスイッチング素子QCp1,QCnnをオン操作すべく、開閉制御端子(ゲート)の電位を調整することで、放電電流を制限してもよい。
【0168】
「そのほか」
組電池を構成する電池セルC11〜Cmnは、個体差を除き、互いに等しい構成のものに限らない。たとえば、電池セルCmnに車両内の時計等を接続して且つ、電池セルCmnの満充電量が他と比較して大きくしてもよい。なお、この際、高電圧バッテリ10の負極電位を車体電位としてもよい。
【0169】
組電池としては、電力変換回路を介して車載主機に接続されるものに限らない。
【0170】
たとえば、アナログデジタル変換器の耐圧が十分なら、ツェナーダイオードZDを省いてもよい。また、たとえば、ノイズの影響が無視できるなら、RC回路(LPF)を省いてもよい。
【符号の説明】
【0171】
10…高電圧バッテリ(組電池の一実施形態)、Cm…モジュール間コンデンサ、MMC…モジュール間マトリックスコンバータ、Cc…モジュール内コンデンサ、MCC…モジュール内マトリックスコンバータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルの直列接続体としての組電池の充放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の充放電装置としては、たとえば下記特許文献1に見られるように、トランスを用いて、組電池を構成する電池セルの充電エネルギを端子電圧の低いものに充電するものも提案されている。すなわち、電池セルのそれぞれに並列にトランスの各別の2次側コイルを接続し、それら2次側コイルに磁気結合した1次側コイルの両端に組電池の端子電圧を印加可能とする。こうした構成によれば、1次側コイルに電圧を印加することで蓄えられる磁気エネルギを2次側コイルから放電するに際し、端子電圧の低い電池セルに集中的に電気エネルギが充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−88878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、上記の装置では、端子電圧の低い電池セルに充電する処理を行なうことで、組電池を構成する全電池セルのそれぞれが電気エネルギを一旦放電するため、この充電処理によって本来充電対象とすべき電池セルまでもが一旦は放電することとなる。このため、端子電圧の低い電池セルの充電に要する時間が長期化したり、端子電圧の低い電池セルの放電に伴い本来必要のない電力の損失が生じたりするという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、電池セルの直列接続体としての組電池について、その電池セル間の電気エネルギの授受を行なう新たな組電池の充放電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
【0007】
請求項1記載の発明は、蓄電手段と、電池セルの直列接続体としての組電池について、該組電池を構成する電池セルのうちの第1の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する第1開閉機能および、第2の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する第2開閉機能を有する選択接続手段と、前記第1の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記第1の規定数個の電池セルの電気エネルギを前記蓄電手段に充電する第1閉操作処理と、前記第2の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記蓄電手段の電気エネルギを前記第2の規定数個の電池セルに充電する第2閉操作処理とを行なうべく、前記選択接続手段を操作する操作手段と、を備え、前記第1の規定数個の電池セルは、単一の電池セルまたは隣接するもの同士が直列接続された複数の電池セルであり、前記第2の規定数個の電池セルは、単一の電池セルまたは隣接するもの同士が直列接続された複数の電池セルであることを特徴とする。
【0008】
上記発明では、第1閉操作処理と第2閉操作処理とを用いることで、第1の規定数個の電池セルの電気エネルギを第2の規定数個の電池セルに移動させることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第1の規定数は、前記第2の規定数よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
上記発明では、第1の規定数の方が大きいために、第2の規定数個の電池セルと蓄電手段とが接続されたときにおける第2の規定数個の電池セルの端子電圧に対する蓄電手段の充電電圧の差圧を大きくすることができ、ひいては第1の規定数個の電池セルから第2の規定数個の電池セルへの電気エネルギの移動量を大きくすることができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記選択接続手段は、前記第1の規定数と前記第2の規定数との差を可変とする可変機能を備え、前記操作手段は、前記選択接続手段を操作して、前記第1閉操作処理によって前記蓄電手段に接続される電池セルの数と前記第2閉操作処理によって前記蓄電手段に接続される電池セルの数との差を変更する変更手段をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
上記発明では、変更手段によって、第2の規定数個の電池セルと蓄電手段とが接続されたときにおける第2の規定数個の電池セルの端子電圧に対する蓄電手段の充電電圧の差圧を変更することが可能であり、これにより、第1の規定数個の電池セルから第2の規定数個の電池セルへの電気エネルギの移動速度を変更することができる。また、上記発明では、各電池セルの端子電圧が大きく変動したとしても、第2の規定数個の電池セルと蓄電手段とが接続されたときにおける第2の規定数個の電池セルの端子電圧と蓄電手段の充電電圧との差圧の変動を抑制することもできる。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記第1開閉機能は、前記組電池を構成する単一の電池セルまたは隣接する複数個の電池セルの直列接続体であって且つ互いに同一の電池セルを含まない複数の単位電池について、それらの第3の規定数個としての前記第1の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する機能であり、前記第2開閉機能は、第4の規定数個の単位電池としての前記第2の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する機能であり、前記操作手段は、前記単位電池の充電状態を調整すべく、前記第1閉操作処理としての前記蓄電手段への蓄電処理と前記第2閉操作処理としての前記蓄電手段からの放電処理とを行なう充電状態調整手段を備えることを特徴とする。
【0014】
上記発明では、複数の単位電池間で電気エネルギを移動させることができ、ひいては複数の単位電池の充電状態を調整することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記複数の単位電池は、互いに隣接する複数の単位電池からなり、前記選択接続手段は、前記複数の単位電池のそれぞれについて、その一対の端子と前記蓄電手段の一対の端子とを接続する一対の電気経路を開閉する機能を備えて且つ、該開閉する機能の閉状態において、前記一対の電気経路における双方向の電流の流れを許容するものであることを特徴とする。
【0016】
上記発明では、一対の電気経路が双方向に電流を流すことができるものであるため、複数の単位電池のうちいずれを第3の規定数個の単位電池とし、いずれを第4の規定数個の単位電池とするかを任意に選択することができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記複数の単位電池のうち、端子電圧、充電率、および充電量のいずれかの値が大きいものおよび小さいものを特定する特定手段をさらに備え、前記充電状態調整手段は、前記蓄電処理として、前記いずれかの値が大きい単位電池または該単位電池およびこれに隣接する1つ以上の単位電池と前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とする処理を行い、前記放電処理として、前記いずれかの値が小さい単位電池または該単位電池およびこれに隣接する1つ以上の単位電池の直列接続体と前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とする処理を行なうことを特徴とする。
【0018】
上記発明では、いずれかの値が大きいものの電気エネルギを蓄電手段に放出し、この電気エネルギをいずれかの値が小さいものに充電することができる。このため、複数の単位電池について、いずれかの値のばらつきを低減することができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項4〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記選択接続手段は、前記第3の規定数と前記第4の規定数との差を可変とする可変機能を備え、前記充電状態調整手段は、前記選択接続手段を操作して、前記蓄電処理によって前記蓄電手段に接続される単位電池の数と前記放電処理によって前記蓄電手段に接続される単位電池の数との差を変更する変更手段をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
上記発明では、第4の規定数個の単位電池と蓄電手段とが接続されるときの第4の規定数個の単位電池の端子電圧と蓄電手段の充電電圧との差圧を変更することができ、これにより、第4の規定数個の単位電池への充電量を変更することができる。また、上記発明では、単位電池の端子電圧が大きく変動したとしても、変更手段によって、第4の規定数個の単位電池と蓄電手段とが接続されるときの第4の規定数個の単位電池の端子電圧と蓄電手段の充電電圧との差圧の変動を抑制することもできる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記複数の単位電池は、前記組電池を構成する一部の単位電池であるモジュールを構成するものであり、前記蓄電手段は、前記モジュール毎に設けられたモジュール内蓄電手段と、前記組電池を構成するモジュール間で共有されるモジュール間蓄電手段とを備え、前記選択接続手段は、前記組電池を構成する全モジュールのそれぞれについて、前記第3の規定数個の単位電池と前記モジュール内蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール内第1開閉機能と、前記第4の規定数個の単位電池と前記モジュール内蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール内第2開閉機能とに加えて、第5の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール間第1開閉機能と、第6の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール間第2開閉機能とを有し、前記第5の規定数個のモジュールは、単一のモジュール、または互いに隣接するもの同士が直列接続された複数のモジュールであり、前記第6の規定数個のモジュールは、単一のモジュール、または互いに隣接するもの同士が直列接続された複数のモジュールであり、前記特定手段は、前記モジュール内における特定処理に加えて、前記組電池を構成する全てのモジュールのうちの端子電圧、充電率、および充電量のいずれかの値が大きいものおよび小さいものを特定する処理をさらに行なうものであり、前記充電状態調整手段は、前記蓄電処理として、前記モジュール内についての前記蓄電処理であるモジュール内充電処理に加えて、前記いずれかの値が大きいモジュールまたは該モジュールおよびこれに隣接する1つ以上のモジュールとしての前記第5の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記第5の規定数個のモジュールの電気エネルギを前記モジュール間蓄電手段に充電する処理であるモジュール間蓄電処理を行い、前記放電処理として、前記モジュール内についての前記放電処理であるモジュール内放電処理に加えて、前記いずれかの値が小さいモジュールまたは該モジュールおよびこれに隣接する1つ以上のモジュールの直列接続体としての前記第6の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記蓄電手段の電気エネルギを前記第6の規定数個のモジュールに充電する処理であるモジュール間放電処理を行なうことを特徴とする。
【0022】
上記発明では、モジュール内について、いずれかの値が大きいものの電気エネルギをモジュール内蓄電手段に放出し、この電気エネルギをいずれかの値が小さいものに充電することができる。また、組電池を構成する全てのモジュールについて、いずれかの値が大きいものの電気エネルギをモジュール間蓄電手段に放出し、この電気エネルギをいずれかの値が小さいものに充電することができる。このため、組電池を構成する全単位電池について、いずれかの値のばらつきを低減する処理を行なうことができる。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記選択接続手段の前記モジュール間第1開閉機能と前記モジュール間第2開閉機能とは、前記モジュールのそれぞれについて、その一対の端子と前記モジュール間蓄電手段の一対の端子とを接続する一対の電気経路を開閉する機能を備えて且つ、該開閉する機能の閉状態において、前記一対の電気経路における双方向の電流の流れを許容する手段によって実現されるものであることを特徴とする。
【0024】
上記発明では、一対の電気経路が双方向に電流を流すことができるものであるため、モジュールのうちのうちいずれを第5の規定数個のモジュールとし、いずれを第6の規定数個のモジュールとするかを任意に選択することができる。
【0025】
請求項10記載の発明は、請求項8または9記載の発明において、前記選択接続手段は、前記第5の規定数と前記第6の規定数との差を可変とする可変機能を備え、前記充電状態調整手段は、前記選択接続手段を操作して、前記モジュール間蓄電処理によって前記モジュール間蓄電手段に接続されるモジュールの数と前記モジュール間放電処理によって前記モジュール間蓄電手段に接続されるモジュールの数との差を変更する変更手段をさらに備えることを特徴とする。
【0026】
上記発明では、第6の規定数個のモジュールとモジュール間蓄電手段とが接続されるときの第6の規定数個のモジュールの端子電圧とモジュール間蓄電手段の充電電圧との差圧を変更することができ、これにより、第6の規定数個のモジュールへの充電速度を変更することができる。また、上記発明では、モジュールの端子電圧が大きく変動したとしても、変更手段によって、第6の規定数個のモジュールとモジュール間蓄電手段とが接続されるときの第6の規定数個のモジュールの端子電圧とモジュール間蓄電手段の充電電圧との差圧の変動を抑制することもできる。
【0027】
請求項11記載の発明は、請求項6または7記載の発明において、前記複数の単位電池は、前記組電池を構成する一部の単位電池である部分電池であり、前記選択接続手段、前記蓄電手段、および前記充電状態調整手段は、前記組電池を構成する全電池セルを含む複数の部分電池のそれぞれ毎に設けられるものであり、前記部分電池は、その端部の単位電池が隣接する部分電池を構成する単位電池の一部と共通となるものであることを特徴とする。
【0028】
上記発明では、部分電池同士で一部の単位電池を共有するため、組電池を構成する任意の単位電池間で電気エネルギを移動させることができる。このため、特定手段によって特定される上記いずれかの値についての組電池を構成する全単位電池間のばらつきを、低減することができる。
【0029】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の発明において、前記組電池は、複数の組電池の並列接続体であり、前記選択接続手段は、前記複数の組電池のうちの少なくとも2つの組電池のそれぞれに設けられるものであり、前記蓄電手段は、前記少なくとも2つの組電池で共有されることを特徴とする。
【0030】
上記発明では、蓄電手段を共有することで、部品点数を低減することができる。
【0031】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の発明において、前記操作手段は、前記少なくとも2つの組電池のそれぞれに対応する選択接続手段を操作することで、それら組電池のいずれかから他へと前記共有される蓄電手段を介して電気エネルギを移動させる組電池間授受処理手段を備えることを特徴とする。
【0032】
上記発明では、蓄電手段を介して、少なくとも2つの組電池間で電気エネルギの授受を行なうことができる。
【0033】
請求項14記載の発明は、請求項1〜13のいずれか1項に記載の発明において、前記電池セルのそれぞれの両端の電圧を検出する各別の電圧検出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0034】
上記発明では、電池セルの電圧の検出値同士の同期を取ることが容易となる。
【0035】
請求項15記載の発明は、請求項1〜13のいずれか1項に記載の発明において、前記蓄電手段の両端の電圧を検出する電圧検出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0036】
上記発明では、蓄電手段の充電電圧を検出することができる。特に、単一の電池セルと蓄電手段とを並列接続した場合には、電池セルの電圧を検出することができる。
【0037】
請求項16記載の発明は、請求項8または9記載の発明において、前記モジュール内蓄電手段の両端の電圧を検出する電圧検出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0038】
上記発明では、モジュール内蓄電手段の充電電圧を検出することができる。特に、請求項5の事項を有する場合、モジュール内の単位電池のそれぞれを蓄電手段に接続することで、モジュール内の単位電池のそれぞれの端子電圧を検出することもできる。
【0039】
請求項17記載の発明は、請求項15または16記載の発明において、前記蓄電手段と前記電圧検出手段との間にローパスフィルタ回路が設けられていることを特徴とする。
【0040】
上記発明では、蓄電手段の充電電圧を検出するに際し、電圧の検出結果がノイズに影響される事態を好適に抑制することができる。
【0041】
請求項18記載の発明は、請求項15〜17のいずれか1項に記載の発明において、前記蓄電手段に並列接続されたツェナーダイオードと、前記蓄電手段と前記ツェナーダイオードとの間を開閉するクランプ禁止手段と、を備えることを特徴とする。
【0042】
上記発明では、ツェナーダイオードと蓄電手段との間が閉状態となる場合には、蓄電手段の充電電圧がツェナーダイオードのブレークダウン電圧に制限される。このため、この場合、電圧検出手段に印加される電圧をブレークダウン電圧に制限することができる。また、ツェナーダイオードと蓄電手段との間が開状態となる場合には、蓄電手段の充電電圧をブレークダウン電圧よりも高くすることができる。
【0043】
請求項19記載の発明は、請求項15〜18のいずれか1項に記載の発明において、前記選択接続手段を操作して電圧検出対象となる1または複数の電池セルと前記蓄電手段とを電気的に接続した状態で、前記電圧検出手段によって前記電圧検出対象の電圧を検出することを特徴とする。
【0044】
上記発明では、電圧検出手段による電圧検出時に蓄電手段の電圧が変化することを好適に回避することができ、ひいては蓄電手段に接続される1または複数の電池セルの端子電圧の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1の実施形態にかかるシステム構成図。
【図2】同実施形態にかかるモジュール内調整ユニットの構成を示す回路図。
【図3】同実施形態にかかるモジュール間充電状態調整処理の手順を示す流れ図。
【図4】同実施形態にかかるモジュール内充電状態調整処理の手順を示す流れ図。
【図5】同実施形態の効果を示すタイムチャート。
【図6】第2の実施形態にかかるモジュール内容量調整処理の手順を示す流れ図。
【図7】第3の実施形態にかかる組電池の車両搭載手法を示す図。
【図8】同実施形態にかかる高電圧バッテリの利用手法を示すタイムチャート。
【図9】同実施形態にかかるモジュール間マトリックスコンバータを示す図。
【図10】同実施形態にかかる回生時の充放電処理の手順を示す流れ図。
【図11】第4の実施形態にかかるマトリックスコンバータを示す図。
【図12】第5の実施形態にかかるモジュール内調整ユニットの構成を示す回路図。
【図13】同実施形態にかかる電圧検出処理の手順を示す流れ図。
【図14】第6の実施形態にかかるフェールセーフ処理を示すタイムチャート。
【図15】上記実施形態の変形例にかかるモジュール内調整ユニットの構成を示す回路図。
【図16】上記変形例にかかるモジュール内コンデンサの充放電処理を例示するタイムチャート。
【図17】上記変形例を用いたフェールセーフ処理を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0046】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる組電池の充放電装置を車載2次電池の充電状態調整装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0047】
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
【0048】
図示される高電圧バッテリ10は、電池セルC11〜Cmnの直列接続体としての組電池であり、その端子電圧がたとえば百V以上となるものである。高電圧バッテリ10の正極および負極は、車載主機に接続される電力変換回路の入力端子に接続される。電池セルCij(i=1〜m,j=1〜n)は、リチウムイオン等の2次電池である。電池セルC11〜Cmnは、個体差を除き、互いに等しい構成である。すなわち、充電率(SOC:満充電量に対する実際の充電量の比率)に対する開放端電圧の関係や、満充電量、内部抵抗値等が互いに等しいものである。
【0049】
高電圧バッテリ10の負極電位は、車体電位とは相違する電位に設定されている。詳しくは、本実施形態では、高電圧バッテリ10の正極電位と負極電位との中央値が車体電位となるように設定されている。これは、高電圧バッテリ10の正極および負極間に一対のコンデンサの直列接続体や一対の抵抗体の直列接続体を接続するとともに、上記コンデンサ同士または抵抗体同士の接続点を車体に接続することで行なうことができる。
【0050】
電池セルC11〜Cmnは、互いに隣接するn(>2)個ずつが同一グループとされモジュール化されている。ここで、第iモジュールMiは、電池セルCi1〜Cinからなる。
【0051】
モジュールM1〜Mmのそれぞれは、モジュール間マトリックスコンバータMMCを介してモジュール間コンデンサCmに電気的に接続可能とされている。ここで、モジュール間マトリックスコンバータMMCは、単位電源(モジュール)のそれぞれと、組電池外電源(モジュール間コンデンサCm)との間を開閉する双方向のスイッチング素子QMp1〜QMpm,QMn1〜QMnmを備えて構成される。そしてこれにより、組電池外電源との間で双方向の電気エネルギの授受を行なう単一の単位電源または隣接する複数個の単位電源を選択可能な機能を有する。
【0052】
ここで、スイッチング素子QMpiは、第iモジュールMiの正極とモジュール間コンデンサCmの一方の端子との間を開閉するものであり、スイッチング素子QMniは、第iモジュールMiの負極とモジュール間コンデンサCmの他方の端子との間を開閉するものである。本実施形態では、スイッチング素子QMpi,QMniのそれぞれを、一対のNチャネルMOS電界効果トランジスタにて構成する。ここで、一対のトランジスタを用いるのは、それらのボディーダイオード同士の順方向が互いに逆となるように接続することで、トランジスタのオン操作指令がなされていないときにボディーダイオードを介して電流が流れることを阻止するための設定である。詳しくは、本実施形態では、一対のトランジスタのソース同士を互いに接続する。これは、トランジスタがソースに対するゲートの電位差に応じて駆動されることに鑑み、1つの信号で一対のトランジスタを容易に駆動するための設定である。
【0053】
上記一対のトランジスタのソース同士、ゲート同士は互いに短絡され、ソースおよびゲートのそれぞれは、フォトカプラPMp1〜PMpm,PMn1〜PMnmの2次側の一対の端子のそれぞれに接続されている。本実施形態では、フォトカプラPMpi,PMniとして、電圧を出力するタイプのものを採用している。これは、フォトカプラPMpi,PMniの2次側にスイッチング素子QMpi,QMniを駆動するための電源を設けないための設定である。
【0054】
上記フォトカプラPMpi,PMniの1次側には、電子制御装置(ECU20)が接続されている。ECU20は、高電圧バッテリ10よりも端子電圧の低い補機バッテリ30を電源とするものであり、その動作の基準電位を、高電圧バッテリ10の負極電位とは相違する電位とする。詳しくは、車体電位を基準電位とする。
【0055】
上記モジュール間コンデンサCmの静電容量は、モジュール間コンデンサCmの充電電圧が高電圧バッテリ10の正常時の端子電圧に一致する際、高電圧バッテリ10よりも充電エネルギ量が小さくなるように設定されている。詳しくは、本実施形態では、モジュール間コンデンサCmの充電電圧が高電圧バッテリ10の正常時の端子電圧に一致する際、充電エネルギ量が高電圧バッテリ10の「1/10万」以下、望ましくは、「1/百万」以下となるように設定されている(また、「1/3億」以上とすることが望ましい)。なお、ここでの高電圧バッテリ10の充電エネルギ量は、正常時の端子電圧において想定される最小値とする。
【0056】
ECU20は、インターフェース22を介してモジュール内調整ユニットU1〜Umのそれぞれから出力される信号を受信し、これに基づき、モジュール間マトリックスコンバータMMCを操作する。また、ECU20は、インターフェース22を介して、モジュール内調整ユニットU1〜Umに、充電状態を調整する旨の指令信号を出力する。なお、インターフェース22は、フォトカプラ等によって構成すればよい。
【0057】
図2に、モジュール内調整ユニットU1〜Umの構成を示す。
【0058】
図示されるように、モジュール内調整ユニットUiは、モジュール内コンデンサCcとモジュール内マトリックスコンバータMCCとを備えている。ここで、モジュール内コンデンサCcの静電容量は、モジュール内コンデンサCcの充電電圧が単一のモジュールMiの正常時の端子電圧に一致する際、単一のモジュールMiよりも充電エネルギ量が小さくなるように設定されている。詳しくは、本実施形態では、モジュール内コンデンサCcの充電電圧が単一のモジュールMiの正常時の端子電圧に一致する際、充電エネルギ量が単一のモジュールMiの「1/10万」以下、望ましくは、「1/百万」以下となるように設定されている(また、「1/3億」以上とすることが望ましい)。なお、ここでの単一のモジュールMiの充電エネルギ量は、正常時の端子電圧において想定される最小値とする。
【0059】
一方、モジュール内マトリックスコンバータMCCは、単位電源(電池セルCi1〜Cin)のそれぞれと、組電池外電源(モジュール内コンデンサCc)との間を開閉する双方向のスイッチング素子QCp1〜QCpn,QCn1〜QCnnを備えて構成される。そしてこれにより、組電池外電源との間で双方向の電気エネルギの授受を行なう単一の単位電源または隣接する複数個の単位電源を選択可能な機能を有する。
【0060】
ここで、スイッチング素子QCpjは、電池セルCijの正極とモジュール内コンデンサCcの一方の端子との間を開閉するものであり、スイッチング素子QCnjは、電池セルCijの負極とモジュール内コンデンサCcの他方の端子との間を開閉するものである。本実施形態では、スイッチング素子QCpj,QCnjのそれぞれを、上記スイッチング素子QMpi,QMniと同様、一対のNチャネルMOS電界効果トランジスタにて構成する。そして、それらのソースおよびゲート間に、フォトカプラPCp1〜PCpn,PCn1〜PCnnの2次側を接続する。これらフォトカプラPCpj,PCnjも、上記フォトカプラPMpi,PMni同様、電圧を出力するタイプのものである。
【0061】
ここで、モジュール内マトリックスコンバータMCCを構成するスイッチング素子QCpj,QCnjは、モジュール間マトリックスコンバータMMCを構成するスイッチング素子QMpi,QMniよりも低耐圧のものを使用している。また、上記フォトカプラPCpj,PCnjは、上記フォトカプラPMpi,PMniよりも低耐圧のものを用いている。
【0062】
上記フォトカプラPCpj,PCnjの1次側には、マイクロコンピュータ(マイコン40)が接続されている。マイコン40は、中央処理装置(CPU46)を備えるソフトウェア処理手段である。マイコン40は、電池セルCi1〜Cinの端子電圧のそれぞれを検出すべく、それらの正極および負極のそれぞれと接続されている。すなわち、電池セルCi1〜Cinのそれぞれの正極は、抵抗体R1〜Rnのそれぞれを介してマイコン40に接続され、電池セルCinの負極は、抵抗体を介すことなくマイコン40に接続されている。また、電池セルCi1〜Cinのそれぞれには、抵抗体R1〜Rnのそれぞれを介してコンデンサC1〜Cnのそれぞれが接続されている。これら、抵抗体RjおよびコンデンサCjは、ローパスフィルタの機能を有するRC回路(図中、LPF)を構成する。
【0063】
ここで、RC回路は、抵抗体RjおよびコンデンサCjからなるものと、抵抗体R1およびコンデンサC1〜Cnからなるものとがある。そして、抵抗体RjおよびコンデンサCjからなるRC回路は、電池セルCijの端子電圧を出力する手段となり、その出力電圧は、マイコン40内のアナログデジタル変換器42によってデジタルデータに変換され、CPU46に取り込まれる。一方、抵抗体R1およびコンデンサC1〜CnからなるRC回路は、モジュールMiの端子電圧を出力する手段となり、その出力電圧は、マイコン40内のアナログデジタル変換器44によってデジタルデータに変換され、CPU46に取り込まれる。CPU46では、電池セルCi1〜Cinのそれぞれの端子電圧やモジュールMiの端子電圧(デジタル信号)を、先の図1に示したインターフェース22を介してECU20に出力する。
【0064】
なお、アナログデジタル変換器42の耐圧は、モジュールMiの端子電圧の最大値よりも低くなっている。そこで、アナログデジタル変換器42を過度に高い電圧から保護すべく、コンデンサC1〜CnのそれぞれにツェナーダイオードZD1〜ZDnのそれぞれが並列接続されている。ツェナーダイオードZD1〜ZDnのブレークダウン電圧は、電池セルCijの端子電圧の想定される最大値よりも大きくて且つ、アナログデジタル変換器42の耐圧よりも低い値に設定されている。
【0065】
次に、図3および図4を用いて、本実施形態にかかる電池セルC11〜Cmnの充電状態の調整処理について説明する。本実施形態では、電池セルC11〜Cmnの端子電圧のばらつきを低減する処理を行なう。この処理は、モジュールMi内の電池セルCi1〜Cinの端子電圧のばらつきを低減する処理と、モジュールM1〜Mmの端子電圧のばらつきを低減する処理とからなる。
【0066】
図3に、モジュールMi内の電池セルCi1〜Cinの端子電圧のばらつきを低減する処理の手順を示す。この処理は、ECU20の指令に応じてモジュール内調整ユニットUiによって、たとえば所定周期でくり返し実行される。
【0067】
この一連の処理では、まずステップS10において、モジュールMiを構成する電池セルCi1〜Cinのそれぞれの電圧Vi1〜Vinを検出する。これは、先の図2に示したアナログデジタル変換器42によって行なうことができる。続くステップS12においては、端子電圧が最大の電池セルCihと、端子電圧が最低の電池セルCilとを特定する。
【0068】
続くステップS14においては、モジュール内コンデンサCcの充電に用いる電池セル数(使用数nc)と、モジュール内コンデンサCcの蓄電エネルギの放電先の電池セル数(使用数nd<nc)とを決定する。ここでは、使用数ncの電池セルをモジュール内コンデンサCcに接続する処理と、使用数ndの電池セルをモジュール内コンデンサCcに接続する処理との一対の処理の一周期における使用数ndの電池セルへの充電量を上昇させたいほど、「nc−nd」が大きくなるように、使用数nc,ndを可変設定すればよい。
【0069】
続くステップS16においては、端子電圧が最大の電池セルCihを含む使用数nc個の電池セルCik,Ci(k+1),…Ci(k+nc−1)をモジュール内コンデンサCcに接続する。これは、モジュール内マトリックスコンバータMCCにおいてスイッチング素子QCpk,QCn(k+nc−1)のみをオン操作することで行なうことができる。これにより、電池セルCik,Ci(k+1),…Ci(k+nc−1)からモジュール内コンデンサCcに電流が流れる。この際、モジュール内コンデンサCcに流れる電流は、電池セルCik,Ci(k+1),…Ci(k+nc−1)の内部抵抗や、スイッチング素子QCpk,QCn(k+nc−1)の導通抵抗によって制限される。ここで、モジュール内コンデンサCcの充電電流が過度に大きくならないのは、上述した静電容量の設定のためである。すなわち、モジュール内コンデンサCcの充電電圧がモジュールMiの端子電圧に等しい場合、その蓄電エネルギ量がモジュールMiよりも十分に小さくなるようにすることで、モジュール内コンデンサCiの充電電圧の変化速度を大きくすることができる。そしてこれにより、充電電流が過度に大きくなることを回避することができる。ちなみに、本実施形態では、損失を低減すべく、スイッチング素子QCpk,QCn(k+nc−1)を、流せる最大電流よりも実際の電流が小さくなる領域で使用している。
【0070】
上記ステップS16の処理は、所定時間T1に渡って継続される(ステップS18)。ここで所定時間T1は、電池セルCik,Ci(k+1),…Ci(k+nc−1)の電気エネルギをモジュール内コンデンサCcに充電する処理が完了したと想定される時間に設定される。そして、所定時間T1が経過すると、ステップS20に移行する。
【0071】
ステップS20では、端子電圧が最小の電池セルCilを含む使用数nd個の電池セルCir,Ci(r+1),…Ci(r+nd−1)をモジュール内コンデンサCcに接続する。詳しくは、スイッチング素子QCpk,QCn(k+nc−1)をオフ操作し、モジュール内マトリックスコンバータMCCにおいてスイッチング素子QCpr,QCn(r+nd−1)のみをオン操作する。これにより、モジュール内コンデンサCcから電池セルCir,Ci(r+1),…Ci(r+nd−1)に電流が流れる。この処理は、所定時間T2に渡って行われる。ここで所定時間T2は、モジュール内コンデンサCcの電気エネルギを電池セルCir,Ci(r+1),…Ci(r+nd−1)に充電する処理が完了したと想定される時間に設定される。
【0072】
なお、所定時間T2が経過すると、この一連の処理を一旦終了する。
【0073】
図4に、モジュールM1〜Mmの端子電圧のばらつきを低減する処理の手順を示す。この処理は、ECU20によって、たとえば所定周期でくり返し実行される。
【0074】
この一連の処理では、まずステップS30において、モジュールM1〜Mmのそれぞれの端子電圧VM1〜VMmを検出する。この処理は、モジュール内調整ユニットUiのそれぞれによって検出されるモジュールMiの端子電圧VMiを取得する処理となる。続くステップS32においては、端子電圧が最高のモジュールMhと、端子電圧が最低のモジュールMlとを特定する処理を行なう。
【0075】
続くステップS34においては、モジュール間コンデンサCmの充電に用いるモジュール(使用数Nc)と、モジュール間コンデンサCmの蓄電エネルギの放電先のモジュール数(使用数Nd<Nc)とを決定する。ここでは、使用数Ncのモジュールをモジュール間コンデンサCmに接続する処理と、使用数Ndのモジュールをモジュール間コンデンサCmに接続する処理との一対の処理の一周期における使用数Ndのモジュールへの充電量を上昇させたいほど、「Nc−Nd」が大きくなるように、使用数Nc,Ndを可変設定すればよい。
【0076】
続くステップS36においては、端子電圧が最大のモジュールMhを含む使用数Nc個のモジュールMk,M(k+1),…M(k+Nc−1)をモジュール間コンデンサCmに接続する。これは、モジュール間マトリックスコンバータMMCにおいてスイッチング素子QMpk,QMn(k+Nc−1)のみをオン操作することで行なうことができる。この際、モジュール間コンデンサCmに流れる電流は、モジュールMk,M(k+1),…M(k+Nc−1)の内部抵抗や、スイッチング素子QMpk,QMn(k+Nc−1)の導通抵抗によって制限される。この際、モジュール間コンデンサCmの充電電流が過度に大きくならないのは、上述した静電容量の設定のためである。すなわち、モジュール間コンデンサCmの充電電圧が高電圧バッテリ10の端子電圧に等しい場合、その蓄電エネルギ量が高電圧バッテリ10よりも十分に小さくなるようにすることで、モジュール間コンデンサCmの充電電圧の変化速度を大きくすることができる。そしてこれにより、充電電流が過度に大きくなることを回避することができる。ちなみに、本実施形態では、損失を低減すべく、スイッチング素子QMpk,QMn(k+Nc−1)を、流せる最大電流よりも実際の電流が小さくなる領域で使用している。
【0077】
上記ステップS36の処理は、所定時間T3に渡って継続される(ステップS38)。ここで所定時間T3は、モジュールMk,M(k+1),…M(k+Nc−1)の電気エネルギをモジュール間コンデンサCmに充電する処理が完了したと想定される時間に設定される。そして、所定時間T3が経過すると、ステップS40に移行する。
【0078】
ステップS40では、端子電圧が最小のモジュールMlを含む使用数Nd個のモジュールMr,M(r+1),…M(r+Nd−1)をモジュール間コンデンサCmに接続する。詳しくは、スイッチング素子QMpk,QMn(k+Nc−1)をオフ操作し、モジュール間マトリックスコンバータMMCにおいてスイッチング素子QMpr,QMn(r+Nd−1)のみをオン操作する。これにより、モジュール間コンデンサCmの蓄電エネルギがモジュールMr,M(r+1),…M(r+Nd−1)に充電される。この処理は、所定時間T4に渡って行われる。ここで所定時間T4は、モジュール間コンデンサCmの電気エネルギをモジュールMr,M(r+1),…M(r+Nd−1)に充電する処理が完了すると想定される時間に設定される。
【0079】
なお、所定時間T4が経過すると、この一連の処理を一旦終了する。
【0080】
図5に、本実施形態の技術的意義に関する実験データを示す。この実験データは、6個の電池セルの直列接続体に車両走行時に想定される電流が流れるとした場合に関するものである。図5(a)は、充放電電流を示し、図5(b)は、上記端子電圧のばらつき低減処理を行なった場合の電池セルの端子電圧の推移を示し、図5(c)は、上記ばらつき低減処理を行わなかった場合の電池セルの端子電圧の推移を示す。
【0081】
図示されるように、端子電圧のばらつき低減処理を行なうことで、少なくとも1つの電池セルの端子電圧が下限電圧に到達するまでの時間を伸長させることができ、ひいては走行可能距離を拡大することができる。
【0082】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0083】
(1)モジュール間コンデンサCmおよびモジュール間マトリックスコンバータMMCを備えることで、電気エネルギを熱エネルギに変換して捨てることなくモジュール間の端子電圧のばらつきを低減することができる。
【0084】
(2)モジュール内コンデンサCcおよびモジュール内マトリックスコンバータMCCを備えることで、電気エネルギを熱エネルギに変換して捨てることなくモジュール内の端子電圧のばらつきを低減することができる。
【0085】
(3)モジュール間コンデンサCmおよびモジュール間マトリックスコンバータMMCと、モジュール内コンデンサCcおよびモジュール内マトリックスコンバータMCCとを備えることで、高電圧バッテリ10を構成する電池セルC11〜Cmnの全てで、端子電圧のばらつきを低減することができる。
【0086】
(4)モジュール内コンデンサCcの充電に用いるセル数(使用数nc)とモジュール内コンデンサCcの放電先の電池セル数(使用数nd)との差を可変とした。これにより、単位時間当たりの充電量を可変とすることができる。
【0087】
(5)モジュール間コンデンサCmの充電に用いるモジュール数(使用数Nc)とモジュール間コンデンサCmの放電先のモジュール数(使用数Nd)との差を可変とした。これにより、単位時間当たりの充電量を可変とすることができる。
【0088】
(6)モジュール内調整ユニットUiにおいて、電池セルCi1〜Cinのそれぞれの電圧を検出する各別のアナログデジタル変換器42を備えた。これにより、電池セルCi1〜Cinの端子電圧の大小比較に際して、端子電圧の検出値の同期を取ることができるため、車両の走行時等、高電圧バッテリ10の充放電電流量が大きく変動しうる状況下であっても、端子電圧の大小を高精度に比較することができる。
【0089】
(7)モジュール間マトリックスコンバータMMCとモジュール内マトリックスコンバータMCCとを各別に設けることで、高耐圧部品(スイッチング素子QMpi,QMni)の数を低減することができる。
【0090】
(8)スイッチング素子QMpi,QMniのソース同士(スイッチング素子QCpj,QCnjのソース同士)を短絡した。これにより、単一の操作信号によって一対のスイッチング素子QMpi,QMni(スイッチング素子QCpj,QCnj)を容易に操作することができる。
【0091】
(9)スイッチング素子QMpi,QMni(スイッチング素子QCpj,QCnj)に操作信号を出力する絶縁通信手段として、電圧を出力するタイプのものを用いた。これにより、2次側に電源を備えることなく、スイッチング素子QMpi,QMni(スイッチング素子QCpj,QCnj)をオン・オフ操作することができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0092】
本実施形態では、端子電圧のばらつきを低減する処理に代えて、充電率または充電量のばらつきを低減する処理を行なう。
【0093】
図6に、本実施形態にかかるモジュール内における充電率または充電量のばらつきを低減する処理の手順を示す。この処理は、ECU20の指令に応じて実行される。なお、図6において、先の図3に示した処理に対応するものについては、便宜上同一のステップ番号を付している。
【0094】
この一連の処理では、ステップS12aにおいて、電池セルCi1〜Cinの充電率SOCi1〜SOCinのうち最大のものに対応する電池セルCihと最小のものに対応する電池セルCilとを特定する処理、または充電量Qi1〜Qinのうち最大のものに対応する電池セルCihと最小のものに対応する電池セルCilとを特定する処理を行なう。ここで、充電率は、たとえば、端子電圧(閉路端電圧)の検出値と、電流量と、各セル毎の内部抵抗情報とから、開放端電圧を算出し、開放端電圧と充電率との関係を定めた関係情報から算出すればよい。また、充電量については、上記充電率にセル毎の満充電量を乗算することで算出すればよい。
【0095】
上記ステップS12aの処理が完了する場合、先の図3のステップS14〜S22の処理を行なう。なお、モジュールM1〜Mmにおける充電率または充電量のばらつきを低減する処理についても同様に行なうことができるため、ここではその説明を省略する。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0096】
図7に、本実施形態にかかる充電状態の調整対象となる高電圧バッテリを示す。
【0097】
図示されるように、本実施形態では、第1の高電圧バッテリ10aと第2の高電圧バッテリ10bとが、インバータ54に並列接続可能とされている。ここで、インバータ54は、駆動輪52に機械的に連結されたモータジェネレータ50に接続されたものである。また、インバータ54と第1の高電圧バッテリ10aとの間は、リレーSMRaによって開閉され、インバータ54と第2の高電圧バッテリ10bとの間は、リレーSMRbによって開閉される。
【0098】
本実施形態では、図8に示すように、第1の高電圧バッテリ10aおよび第2の高電圧バッテリ10bのいずれか一方をインバータ54に接続し、いずれか一方において下限電圧に達する電池セルが生じることで、他方の利用に切り替えるべく、リレーSMRa,SMRbを操作する。
【0099】
図9に、本実施形態にかかる充電状態調整装置の構成を示す。なお、図9において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上、同一の符号を付している。
【0100】
図示されるように、本実施形態では、第1の高電圧バッテリ10aと第2の高電圧バッテリ10bとのそれぞれで、各別のモジュール内調整ユニットU1〜Umや、モジュール間マトリックスコンバータMMCを備えている。ただし、モジュール間コンデンサCmについては、第1の高電圧バッテリ10aと第2の高電圧バッテリ10bとで共有している。なお、図9では、ECU20の記載を省略している。
【0101】
上記構成によれば、モジュール間コンデンサCmを用いて第1の高電圧バッテリ10aと第2の高電圧バッテリ10bとの間で電気エネルギの授受が可能となる。本実施形態では、特に、回生時においてこの機能を利用することで、回生エネルギの充電量を拡大する。
【0102】
図10に、回生時における充放電処理の手順を示す。この処理は、ECU20によって、たとえば所定周期でくり返し実行される。
【0103】
この一連の処理では、まずステップS50において、回生時であるか否かを判断する。そして回生時であると判断される場合、ステップS52において、第1の高電圧バッテリ10aの使用時であるか否かを判断する。そして、ステップS52において肯定判断される場合、ステップS54において、第1の高電圧バッテリ10aの充電率SOCaが閾値Sth以上であって且つ、第2の高電圧バッテリ10bの充電率SOCbが閾値Sth未満であるか否かを判断する。この処理は、第1の高電圧バッテリ10aに回生エネルギを充電する余地がなく、第2の高電圧バッテリ10bに回生エネルギを充電する余地があるか否かを判断するためのものである。ここで、閾値Sthは、回生エネルギの充電によって電池セルの端子電圧に上限電圧に達するものが生じると想定される下限値に基づき設定すればよい。なお、閾値Sthは、回生時において駆動輪52に加えることが可能な負荷トルクに応じて可変設定してもよい。
【0104】
ステップS56において肯定判断される場合、ステップS56,S58において、インバータ54側から第1の高電圧バッテリ10a側に流入する電気エネルギを第2の高電圧バッテリ10bに充電する処理を行なう。すなわち、ステップS56では、第1の高電圧バッテリ10aの端子とモジュール間コンデンサCmとを電気的に接続する。これは、第1の高電圧バッテリ10a側のスイッチング素子QMp1,QMnmをオン操作することで行なうことができる。続くステップS58においては、モジュール間コンデンサCmを第2の高電圧バッテリ10b側に接続する。ここでは、第1の高電圧バッテリ10a側のスイッチング素子QMp1,QMnmをオフ操作し、第2の高電圧バッテリ10b側のスイッチング素子QMp1,QMnmをオン操作する。もっとも、これに代えて、第2の高電圧バッテリ10bの一部のモジュールとモジュール間コンデンサCmとを接続してもよい。
【0105】
これに対し、上記ステップS52において否定判断される場合、ステップS60において、第2の高電圧バッテリ10bの充電率SOCbが閾値Sth以上であって且つ、第1の高電圧バッテリ10aの充電率SOCaが閾値Sth未満であるか否かを判断する。この処理は、第2の高電圧バッテリ10bに回生エネルギを充電する余地がなく、第1の高電圧バッテリ10aに回生エネルギを充電する余地があるか否かを判断するためのものである。
【0106】
ステップS60において肯定判断される場合、ステップS62,S64において、インバータ54側から第2の高電圧バッテリ10b側に流入する電気エネルギを第1の高電圧バッテリ10aに充電する処理を行なう。
【0107】
なお、上記ステップS58,S64の処理が完了する場合や、ステップS50,S54,S60において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0108】
図11に、本実施形態にかかる充電状態調整装置の構成を示す。なお、図11において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上、同一の符号を付している。また、図11において、ECU20やそれとの接続経路についてはその記載を省略した。
【0109】
図示されるように、本実施形態では、1つのモジュールを構成する電池セルと、隣接するモジュールの1つの電池セルとで部分電池を構成し、部分電池毎に、マトリックスコンバータやモジュール内コンデンサCc1〜Ccmが設けられる。すなわち、第1モジュールM1を構成する電池セルC11〜C1nと第2モジュールM2を構成する電池セルC21とが、モジュール内コンデンサCc1に接続される。また、第1モジュールM1を構成する電池セルC1nと、第2モジュールM2を構成する電池セルC21〜C2nと、第3モジュールM3を構成する電池セルC31とが、モジュール内コンデンサCc2に接続される。
【0110】
詳しくは、第1モジュールM1に対応するモジュール内コンデンサCc1は、スイッチング素子QCpj,QCnjによってモジュールM1の電池セルC1jに接続され、また、スイッチング素子QCpL,QCnLによって、第2モジュールM2の電池セルC21に接続される。
【0111】
これに対し、第2モジュールM2に対応するモジュール内コンデンサCc2は、スイッチング素子QCpj,QCnjによって第2モジュールM2の電池セルC2jに接続される。さらに、スイッチング素子QCpH,QCnHによって、第1モジュールM1の電池セルC1nに接続され、スイッチング素子QCpL,QCnLによって、第3モジュールM3の電池セルC31に接続される。
【0112】
こうした構成によれば、モジュール内コンデンサCc1を介して、電池セルC11〜C1n,C21の間で電気エネルギの授受が可能となる。また、モジュール内コンデンサCc2を介して、電池セルC1n,C21〜C2n,C31の間で電気エネルギの授受が可能となる。このように、モジュール内コンデンサCc1〜Ccmによって電気エネルギの授受が可能な電池セルの一部が共有化されているため、高電圧バッテリ10を構成する電池セルC11〜Cmnの全てで電気エネルギの授受が可能となり、ひいては電池セルC11〜Cmnの全てで端子電圧や、充電率、充電量のばらつきを低減可能となる。
【0113】
しかも、この際、スイッチング素子QCpj,QCnj,QCpH,QCnH,QCpL,QCnLに要求される耐圧を、上記第1の実施形態におけるスイッチング素子QMpi,QMniと比較して小さくすることができる。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0114】
図12に、本実施形態にかかるモジュール内調整ユニットUiの構成を示す。なお、図12において、先の図2に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0115】
図示されるように、本実施形態では、抵抗体RおよびコンデンサCによって構成されるRC回路と、ツェナーダイオードZDとを介して、モジュール内コンデンサCcの両端の電圧を、マイコン40内のアナログデジタル変換器44に取り込む。こうした構成によれば、電池セルCi1〜Cinの端子電圧を、モジュール内コンデンサCcの充電電圧として単一のアナログデジタル変換器44によって検出することができる。
【0116】
詳しくは、モジュール内コンデンサCcとRC回路とは、スイッチング素子Snによって開閉可能とされ、スイッチング素子Snは、フォトカプラPnを介してマイコン40によって操作される。ここで、スイッチング素子Snは、スイッチング素子QCpj,QCnjと同一構成であり、フォトカプラPnは、フォトカプラPCpj,PCnjと同一構成である。
【0117】
上記ツェナーダイオードZDのブレークダウン電圧は、単一の電池セルCijの端子電圧の最大値よりも高くて且つ、モジュールMiの端子電圧以下に設定されている。これにより、アナログデジタル変換器44の耐圧を十分に低下させることができる。一方、スイッチング素子Snは、端子電圧のばらつきの低減処理によってモジュール内コンデンサCcの充電電圧が単一の電池セルCijのものよりも高くなる場合に、ツェナーダイオードZDがオンしないように、モジュール内コンデンサCcとツェナーダイオードZDとの間を開状態とするためのものである。
【0118】
図13に、本実施形態にかかる電池セルCijの電圧検出処理の手順を示す。この処理は、モジュール内調整ユニットUiによって、たとえば所定周期でくり返し実行される。
【0119】
この一連の処理では、まずステップS70において、電圧検出時であるか否かを判断する。そして、電圧検出時でないと判断される場合、ステップS72において、モジュール内コンデンサCcの充電電圧がツェナーダイオードZDに印加されることを回避すべく、スイッチング素子Snをオフする。
【0120】
これに対し、電圧検出時であると判断される場合、ステップS74において、モジュール内コンデンサCcの両端をアナログデジタル変換器44に接続すべく、スイッチング素子Snをオン操作する。続くステップS76においては、モジュールMi内の電池セルCijを指定する変数jを「1」とする。そして、ステップS78においては、電池セルCijの両端の電圧を検出すべく、スイッチング素子QCpj,QCnjをオン操作する。そして、ステップS80において所定時間T5が経過すると判断される場合、ステップS82において、アナログデジタル変換器44によってモジュール内コンデンサCcの電圧をサンプリングする。ここで、所定時間T5は、アナログデジタル変換器44の入力電圧が安定すると想定される時間に設定される。この時間は、RC回路の時定数よりも長い時間に設定されている。
【0121】
そして、電圧のサンプリング処理が完了すると、ステップS84において、スイッチング素子QCpj,QCnjをオフ操作する。続くステップS86においては、変数jがnであるか否かを判断する。この処理は、モジュールMi内の電池セルCijの全てについて電圧の検出が完了したか否かを判断するためのものである。そして、ステップS86において否定判断される場合、ステップS88において、変数jをインクリメントし、ステップS78に戻る。これに対し、ステップS86において肯定判断される場合や、ステップS72の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0122】
このように、本実施形態では、モジュール内コンデンサCcの充電電圧を検出することで、モジュールMi内の電池セルCi1〜Cinの全ての端子電圧を検出することができる。このため、RC回路やツェナーダイオードZDの数を低減することができる。
【0123】
また、本実施形態では、電圧の検出を、モジュール内コンデンサCcと検出対象となる電池セルCijとを接続した状態で行った。これにより、アナログデジタル変換器44の入力電圧を安定させた状態で入力電圧をデジタルデータに変換することができる。これに対し、モジュール内コンデンサCcと検出対象となる電池セルCijとの接続を解除する場合には、入力電圧が安定しないことが懸念される。これは、実際の回路ではモジュール内コンデンサCcが図示しない回路に接続される状況となる可能性が高く、この場合、それら回路を介してモジュール内コンデンサCcの放電がなされるためである。
<第6の実施形態>
以下、第6の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0124】
本実施形態では、電池セルCijのいずれかにオープン故障が生じた場合に、モジュール内マトリックスコンバータMCCを利用したフェールセーフ処理を行なう。
【0125】
すなわち、図14に示されるように、モジュールMiの電池セルCi2にオープン故障が生じる場合、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCp2,QCp3をオン状態とする処理と、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCn1,QCn2をオン状態とする処理とによって、電池セルCi1と電池セルCi3とを、モジュール内マトリックスコンバータMCCによって接続する。これは、高電圧バッテリ10の電気エネルギを利用可能とすることで、リンプホーム処理を行なうためのものである。
【0126】
詳しくは、図示されるように、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCp2,QCp3をオン状態とする処理のみがなされる期間と、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCn1,QCn2をオン状態とする処理のみがなされる期間とを設ける。これは、スイッチング素子QCp2,QCp3や、スイッチング素子QCn1,QCn2の温度上昇を緩和するための設定である。さらに、本実施形態では、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCp2,QCp3をオン状態とする処理と、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCn1,QCn2をオン状態とする処理との一対の処理について、これら双方がなされる重複期間Torを設ける。これは、電池セルCi1と電池セルCi3との電気的な接続状態の連続性を保つための設定である。換言すれば、高電圧バッテリ10の充放電電流の連続性を保つための設定である。
【0127】
ただし、このようにオン状態となる素子を切り替える処理は、モジュールMiの端部以外の電池セルCi2〜Ci(n−1)に関してのみ可能である。すなわち、たとえば電池セルCi1がオープン故障する場合、モジュール内調整ユニットUiにそれ以上高電位の電池セルの負極に接続するための専用の電気経路がない。このため、フェールセーフ処理としては、図中、下方に示すように、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCp1,QCp2をオン状態に保つ処理を行なうこととなる。なお、この場合、たとえば電池セルCi2のオープン故障時と比較して、高電圧バッテリ10の出力をより制限するようにしてもよい。
【0128】
なお、オープン故障の有無は、たとえば電池セルCijの端子電圧の検出値が過度に低いか否かによって診断することができる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0129】
「マトリックスコンバータのスイッチング素子について」
モジュール間マトリックスコンバータMMCのスイッチング素子QMpi,QMniや、モジュール内マトリックスコンバータMCCのスイッチング素子QCpj,QCnjとしては、一対のNチャネルMOS電界効果トランジスタの直列接続体に限らない。たとえば一対のPチャネルMOS電界効果トランジスタの直列接続体であってもよい。この場合であっても、ソース同士をショートさせるようにして直列接続することが望ましい。もっとも、スイッチング素子のオン・オフに際しての開閉制御端子(ゲート)の電位の基準を定める端子(ソース)同士をショートさせるものに限らず、ドレイン同士をショートさせるものであってもよい。この場合、一対のスイッチング素子を駆動する駆動回路を共通とすることが困難となるものの、ボディーダイオードを介して貫通電流が流れることを回避することはできる。
【0130】
さらに、電界効果トランジスタにも限らず、たとえば一対の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)とそれらのそれぞれに逆並列接続されたダイオードとからなるものであってもよい。ちなみに、この場合のダイオードは、マトリックスコンバータにおいて電流を双方向に流すことができるようにするための手段となる。
「モジュール内及びモジュール間のマトリックスコンバータについて」
モジュール間マトリックスコンバータMMCのスイッチング素子QMpi,QMniの耐圧を、モジュール内マトリックスコンバータMCCのスイッチング素子QCpj,QCnjの耐圧よりも高くする設定に限らない。これらの耐圧が同一であったとしても、モジュール毎の管理とモジュール内の管理とを行なうことによるメリットを享受できる。このメリットとしては、たとえば上記第3の実施形態において、使用していないバッテリへの回生エネルギの充電速度を向上させやすいことがある。これは、モジュール間コンデンサCmの静電容量を、モジュール内コンデンサCcの静電容量よりも大きくしやすいためである。
【0131】
「マトリックスコンバータのスイッチング素子の駆動手段について」
1次側と2次側との絶縁を確保しつつ1次側の電圧信号を2次側に電圧信号として出力する絶縁通信手段(電圧を出力するタイプの絶縁通信手段)としては、特定のフォトカプラに限らない。たとえばトランスであってもよい。この場合であっても、スイッチング素子のオン状態またはオフ状態のうちトランスの2次側電圧が要求される方の時間が長くならない制御設計をするなら、駆動手段の回路規模が上記実施形態と比較して過度に大きくなることはない。
【0132】
また、電圧を出力するタイプの絶縁通信手段にも限らない。
【0133】
もっとも、絶縁通信手段を備えるものでなくても、マトリックスコンバータを構成することが可能である。特に、先の図2の構成の場合等にあっては、マイコン40と対応するモジュールMiとの絶縁が図られていない。したがって、この構成については、駆動手段にフォトカプラPCpj,PCnjを利用したことは、絶縁のためではないことも明らかである。図15に、モジュール内マトリックスコンバータMCCを構成するスイッチング素子QCpj,QCnjの駆動手段として、絶縁通信手段を備えない構成の一例を示す。
【0134】
図示される正極側のブートストラップ回路BSPは、スイッチング素子QCp1〜QCpnをオンとするための電圧を生成する回路であり、負極側のブートストラップ回路BSNは、スイッチング素子QCn1〜QCnnをオンとするための電圧を生成する回路である。ブートストラップ回路BSP、BSNは、いずれも電源60を備え、電源60およびモジュールMiの負極間に、ダイオード62、フローティング電源用コンデンサ64およびNチャネルMOS電界効果トランジスタ(充電用スイッチング素子66)の直列接続体が接続されている。また、フローティング電源用コンデンサ64およびダイオード62のカソード間と、モジュールMiの負極との間には、フローティング電源用コンデンサ64を電源とするドライブ回路68が接続されている。
【0135】
そして、充電側入力信号LINは、充電用スイッチング素子66のゲートに印加され、駆動側入力信号HINは、ドライブ回路68に入力される。これにより、充電側入力信号LINが論理Hとなることで、充電用スイッチング素子66がオン状態となり、電源60からダイオード62、フローティング電源用コンデンサ64を介して充電用スイッチング素子66に電流が流れ、フローティング電源用コンデンサ64が充電される。これに対し、充電側入力信号LINが論理Lとされて且つ、駆動側入力信号HINが論理Hとされることで、ドライブ回路68からフローティング電源用コンデンサ64の充電電圧が出力される。
【0136】
こうした構成において、ブートストラップ回路BSP,BSNのローサイド出力端子Tonを、フローティング電源用コンデンサ64および充電用スイッチング素子66間に接続して且つ、ブートストラップ回路BSP,BSNのハイサイド出力端子Topを、ドライブ回路68の出力端子とする。これにより、充電側入力信号LINを論理Lとして且つ駆動側入力信号HINを論理Hとすることで、ローサイド出力端子Tonをフローティング電位として且つ、ハイサイド出力端子Topをローサイド出力端子Tonの電位に対してフローティング電源用コンデンサ64の電圧だけ上昇させることができる。
【0137】
ブートストラップ回路BSPのローサイド出力端子Tonおよびハイサイド出力端子Topは、正極側のアナログスイッチASPに接続される。正極側のアナログスイッチASPは、ブートストラップ回路BSPのローサイド出力端子Tonおよびハイサイド出力端子Topのそれぞれを、スイッチング素子QCp1〜QCpnのいずれかのソースおよびゲートのそれぞれに選択的に接続するものである。ここで、いずれのスイッチング素子QCp1〜QCpnとするかは、マイコン40からアナログスイッチASPに入力されるアドレスデータに基づきなされる。
【0138】
また、ブートストラップ回路BSNのローサイド出力端子Tonおよびハイサイド出力端子Topは、負極側のアナログスイッチASNに接続される。負極側のアナログスイッチASNは、ブートストラップ回路BSNのローサイド出力端子Tonおよびハイサイド出力端子Topのそれぞれを、スイッチング素子QCn1〜QCnnのいずれかのソースおよびゲートのそれぞれに選択的に接続するものである。ここで、いずれのスイッチング素子QCn1〜QCnnとするかは、マイコン40からアナログスイッチASNに入力されるアドレスデータに基づきなされる。
【0139】
なお、アナログスイッチASP,ASNは、いずれもモジュールMiを電源とする。
【0140】
こうした構成において、たとえば電池セルCi1,Ci2とモジュール内コンデンサCcとを接続する場合、充電側入力信号LINを論理Lとして且つ駆動側入力信号HINを論理Hとし、アナログスイッチASP,ASNにおいて、スイッチング素子QCp1,QCn2を選択するように対応するアドレスデータを入力する。これにより、スイッチング素子QCp1,QCn2のソースおよびドレイン間の電位差を、フローティング電源用コンデンサ64の充電電圧とすることができる。
【0141】
図16に、モジュール内コンデンサCcの充電電圧、充放電電流、充電側入力信号LIN、および駆動側入力信号HINの推移を例示する。
【0142】
なお、アナログスイッチASP,ASNとスイッチング素子QCp1〜QCpn,QCn1〜QCnnのゲートとを接続する配線は、抵抗体70によってモジュールMiの負極にプルダウンされる。これは、スイッチング素子QCp1〜QCpn,QCn1〜QCnnのオフ指令時におけるゲート電位を、オフ状態とすることのできる電位(この場合、モジュールMiの負極電位)に固定するためのものである。
【0143】
「選択接続手段(マトリックスコンバータ)について」
モジュール間マトリックスコンバータMMCとモジュール内マトリックスコンバータMCCとの双方を備えない構成としては、上記第4の実施形態(図11)に限らない。たとえば、高電圧バッテリ10を構成する電池セルC11〜Cmnのそれぞれとコンデンサとの間を開閉する単一のマトリックスコンバータを備えてもよい。
【0144】
また、組電池と蓄電手段との間で双方向に電流が流れることが可能なものに限らないことについては、「電位設定について」の欄に記載したとおりである。
【0145】
「第1の規定数および第2の規定数等の大小関係について」
上記第1、第2の実施形態では、モジュール内のコンデンサCcの充電に用いる電池セルの使用数ncを放電に用いる使用数ndよりも大きくし、モジュール間のコンデンサCmの充電に用いるモジュールの使用数Ncを放電に用いる使用数Ndよりも大きくしたがこれに限らない。たとえば上記第1の実施形態のように、端子電圧の高い電池セルを放電に用いて且つ端子電圧の低い電池セルを充電に用いるなら、これら1つずつの電池セルを用いても端子電圧のばらつきを低減することができる。
【0146】
「電位設定について」
高電圧バッテリ10の負極電位を車体電位としてもよい。この場合、たとえば第mモジュールMmをECU20の電源としてもよい。こうした構成の場合、第mモジュールMmの充電エネルギが他のモジュールM1〜M(m−1)と比較して低下しやすい。このため、他のモジュールM1〜M(m−1)の電気エネルギを第mモジュールMmに充電するためにモジュール間マトリックスコンバータMMCを用いればよい。ちなみに、この用途に限るなら、スイッチング素子QMp1〜QMp(m−1),QMnmについてはモジュールM1〜Mm−1からコンデンサCm側への電流の流れを許容して且つ逆方向の流れを阻止するものであってもよい。同様に、スイッチング素子QMn1〜QMn(m−1)、QMpmについては、コンデンサCmから第mモジュールMmへの電流の流れを許容し逆方向の流れを阻止するものであってもよい。
【0147】
「選択接続手段の用途について」
充電状態調整手段や組電池間授受処理手段の用途に限らない。たとえば、高電圧バッテリ10の温度が低い場合にこれを昇温すべく、電池セルC11〜Cmnの充放電処理を繰り返すために選択接続手段を用いてもよい。この場合、充放電電流が大きいほど、内部抵抗による発熱量が大きくなり温度上昇速度が大きくなることに鑑みれば、低温であるほど、蓄電手段を充電する際の電池セル数を増加させたり、蓄電手段の放電エネルギの充電対象となる電池セル数を減少させたりしてもよい。
【0148】
「変更手段について」
充電状態を調整する用途に限らないことについては、「選択接続手段の用途について」の欄に記載したとおりである。
【0149】
なお、変更手段を備えなくても、たとえば充電状態調整手段等の目的を達成することは可能である。
【0150】
「単位電池(充電状態の調整対象)について」
たとえば上記第1の実施形態や第2の実施形態において、モジュール内の充電状態の調整を、隣接する2個の電池セル毎に行ってもよい。すなわち、これら2個の電池セルの個々の端子電圧、充電率、充電量のばらつきを低減することについてはなんら処理を行わず、2個の電池の合計の端子電圧や、充電率、充電量にばらつきがある場合にこれを低減する処理を行なうようにしてもよい。
【0151】
「部分電池について」
上記第4の実施形態(図11)において、隣接するグループ(部分電池)間で共有される電池セル数を複数としてもよい。
【0152】
「特定手段について」
端子電圧や、充電率,充電量が最大のものや最小のものを特定する手段に限らない。たとえば、平均値よりも大きいものや平均値よりも小さいものを特定する手段であってもよい。この場合、たとえば、平均値よりも大きい複数個が隣接する単位電池を構成する場合、これらを蓄電手段に電気エネルギを充電する単位電池としてもよい。
【0153】
「組電池間授受処理手段について」
上記第3の実施形態(図9)において例示したように、回生エネルギを充電する処理を行なうものに限らない。たとえば第1の高電圧バッテリ10aのうちの少なくとも1つの電池セルが下限電圧に到達したために第2の高電圧バッテリ10bに切り替えている状況下、第1の高電圧バッテリ10aを構成する電池セルC11〜Cmnのうち端子電圧が下限電圧に達していないものの電気エネルギを、第2の高電圧バッテリ10bに充電する処理を行なうものであってもよい。なお、こうした処理を行なう上では、モジュール内のコンデンサCcを第1の高電圧バッテリ10aと第2の高電圧バッテリ10bとで共有してもよい。
【0154】
「組電池間で共有される蓄電手段について」
たとえば、上記第3の実施形態におけるマトリックスコンバータを、第4の実施形態(図11)におけるマトリックスコンバータに変更し、コンデンサCc1〜Ccmを第1の高電圧バッテリ10aと第2の高電圧バッテリ10bとで共有してもよい。また、「組電池間授受処理手段について」に記載したものであってもよい。
【0155】
なお、一対の高電圧バッテリによって共有されるものに限らず、3つ以上の高電圧バッテリによって共有されるものであってもよい。
【0156】
「電圧検出手段について」
上記第1の実施形態(図2)において、モジュールの両端とアナログデジタル変換器44との間に差動増幅回路を備えてもよい。これにより、アナログデジタル変換器44の検出可能電圧範囲を小さくすることができる。
【0157】
上記第5の実施形態(図12)のように、モジュール内コンデンサCcの電圧を検出するものに代えて、モジュール間のコンデンサCmの電圧を検出するものとしてもよい。また、上記第5の実施形態(図12)において、RC回路の出力電圧を差動増幅回路で変換した後、アナログデジタル変換器44に入力してもよい。この場合、差動増幅回路によってモジュール内コンデンサCcの電気エネルギが消費されるため、マトリックスコンバータによって電池セルとモジュール内コンデンサCcとの間を閉状態としつつモジュール内コンデンサCcの電圧を検出することが特に望ましい。もっとも、これに代えて、RC回路と差動増幅回路との間にボルテージフォロワを設けてもよい。
【0158】
「電圧検出手法について」
上記第5の実施形態(図13)において、モジュール内コンデンサCcの電圧を、マトリックスコンバータによって電池セルとモジュール内コンデンサCcとの間が開状態とされたときに検出してもよい。また、電池セルとモジュール内コンデンサCcとが接続された状態で行なうものに限らないことについては、「クランプ禁止手段およびその駆動手段について」の欄にも記載がある。
【0159】
「クランプ禁止手段およびその駆動手段について」
スイッチング素子SnやフォトカプラPnに限らないことについては、選択接続手段やその駆動手段と同様である。
【0160】
また、モジュール内コンデンサCcの正極および負極のそれぞれとRC回路(LPF)の正極および負極のそれぞれとの間を開閉する各別のスイッチング素子を備えてもよい。この場合、それらスイッチング素子をオン状態とするに際してマトリックスコンバータをオフとするなら、ツェナーダイオードを備えることなくアナログデジタル変換器44の要求耐圧を低下させることができる。
【0161】
「フェールセーフ処理手段について」
上記第6の実施形態(図14)では、モジュールMiの端部の電池セルCi1,Ci(n−1)がオープン故障した場合には、これを迂回するために用いるスイッチング素子を固定したがこれに限らない。たとえば、電池セルCi1がオープン故障した場合、スイッチング素子QCp1については常時オンとする一方、スイッチング素子QCp2とスイッチング素子QCp3とのそれぞれをオン状態とする処理を交互に行ってもよい。
【0162】
フェールセーフ処理に際してモジュール内マトリックスコンバータMCCの温度上昇を抑制するための設定としては、先の図14に示したように、オン状態とするスイッチング素子を変更するものに限らない。たとえば、電池セルCi2がオープン故障する場合、先の図14に示した処理に代えて、モジュール内調整ユニットUiのスイッチング素子QCp2,QCp3,QCn1,QCn2を常時オン状態としてもよい。この場合であっても、各スイッチング素子QCp2,QCp3,QCn1,QCn2を流れる電流量が、スイッチング素子QCp2,QCp3と、スイッチング素子QCn1,QCn2とのいずれか一方をオンした場合と比較して減少することから、発熱量を低減することができる。もっとも、先の図15に例示したように、ブートストラップ回路BSP,BSNを用いる場合には、スイッチング素子QCp2,QCp3と、スイッチング素子QCn1,QCn2とを交互にオン状態とすることには、発熱量低減以外にもメリットがある。フローティング電源用コンデンサ64の充電期間を得ること、これである。
【0163】
図17に、先の図15に示した構成を採用した場合のフェールセーフ処理を例示する。この場合、電池セルCi2、Ci3,Ci4にオープン故障が生じる場合、スイッチング素子QCp2,QCp5と、スイッチング素子QCn1,QCn4とを交互にオン状態とし、その間に、いずれのスイッチング素子もオン状態とされない期間を設ける。これは、フローティング電源用コンデンサ64の充電期間である。なお、図では、モジュールMiの端子電圧が、スイッチング素子のオフ期間によって低下するもののゼロにはなっていない。これは、駆動側入力信号HINが論理Lに切り替えられてからスイッチング素子QCp2,QCp5,QCn1,QCn4が完全にオフするまでの間の遅延に起因したものである。
【0164】
もっとも、ブートストラップ回路を用いた場合であっても、先の図14に示したように、スイッチング素子QCp2,QCp5のオン操作指令がなされる期間と、スイッチング素子QCn1,QCn4のオン操作指令がなされる期間とを重複させることは可能である。これはたとえば、先の図15に示した構成において、アナログスイッチASP,ASNやブートストラップ回路BSP,BSNを各2組備え、電池セルCi1〜Cinのうちの偶数番目のセルと、奇数番目のセルとで、互いに相違する組を割り振ることで実現することができる。
【0165】
上記第6の実施形態(図14)では、モジュール内マトリックスコンバータMCCを利用したがこれに限らず、モジュール間マトリックスコンバータMMCを利用してもよい。すなわち、たとえば、モジュールMiの電池セルCi1〜Cinのいずれかに異常が生じる場合、スイッチング素子QMpi,QMniをオン操作することで、モジュールMiを迂回する経路を形成してもよい。
【0166】
「充電処理の完了について」
上記各実施形態では、所定時間の経過を充電の完了としたが、これに限らず、端子電圧の検出値に基づき充電の完了の有無を判断してもよい。
【0167】
「蓄電手段の静電容量の設定について」
上記実施形態で例示したものに限らない。たとえば、モジュールMiとモジュール内コンデンサCcとを接続することでモジュールMiの電気エネルギをモジュール内コンデンサCcに放電する場合に放電電流が過度に大きくなるおそれがあるなら、モジュール内コンデンサCcに接続する電池セル数を制限してもよい。また、これに代えて、スイッチング素子QCp1,QCnnを継続してオン状態とする代わりに、PWM処理することで放電電流が過度に大きくなることを回避してもよい。さらに、スイッチング素子QCp1,QCnnを流れることのできる電流と放電電流とが一致する領域でスイッチング素子QCp1,QCnnをオン操作すべく、開閉制御端子(ゲート)の電位を調整することで、放電電流を制限してもよい。
【0168】
「そのほか」
組電池を構成する電池セルC11〜Cmnは、個体差を除き、互いに等しい構成のものに限らない。たとえば、電池セルCmnに車両内の時計等を接続して且つ、電池セルCmnの満充電量が他と比較して大きくしてもよい。なお、この際、高電圧バッテリ10の負極電位を車体電位としてもよい。
【0169】
組電池としては、電力変換回路を介して車載主機に接続されるものに限らない。
【0170】
たとえば、アナログデジタル変換器の耐圧が十分なら、ツェナーダイオードZDを省いてもよい。また、たとえば、ノイズの影響が無視できるなら、RC回路(LPF)を省いてもよい。
【符号の説明】
【0171】
10…高電圧バッテリ(組電池の一実施形態)、Cm…モジュール間コンデンサ、MMC…モジュール間マトリックスコンバータ、Cc…モジュール内コンデンサ、MCC…モジュール内マトリックスコンバータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電手段(Cm,Cc、Cc1,Cc2,Cc3)と、
電池セル(C11〜Cmn)の直列接続体としての組電池(10)について、該組電池を構成する電池セルのうちの第1の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する第1開閉機能および、第2の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する第2開閉機能を有する選択接続手段(MMC,MCC)と、
前記第1の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記第1の規定数個の電池セルの電気エネルギを前記蓄電手段に充電する第1閉操作処理と、前記第2の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記蓄電手段の電気エネルギを前記第2の規定数個の電池セルに充電する第2閉操作処理とを行なうべく、前記選択接続手段を操作する操作手段(20,40)と、
を備え、
前記第1の規定数個の電池セルは、単一の電池セルまたは隣接するもの同士が直列接続された複数の電池セルであり、
前記第2の規定数個の電池セルは、単一の電池セルまたは隣接するもの同士が直列接続された複数の電池セルであることを特徴とする組電池の充放電装置。
【請求項2】
前記第1の規定数は、前記第2の規定数よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の組電池の充放電装置。
【請求項3】
前記選択接続手段は、前記第1の規定数と前記第2の規定数との差を可変とする可変機能を備え、
前記操作手段は、前記選択接続手段を操作して、前記第1閉操作処理によって前記蓄電手段に接続される電池セルの数と前記第2閉操作処理によって前記蓄電手段に接続される電池セルの数との差を変更する変更手段(S14,S34)をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の組電池の充放電装置。
【請求項4】
前記第1開閉機能は、前記組電池を構成する単一の電池セルまたは隣接する複数個の電池セルの直列接続体であって且つ互いに同一の電池セルを含まない複数の単位電池について、それらの第3の規定数個としての前記第1の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する機能であり、
前記第2開閉機能は、第4の規定数個の単位電池としての前記第2の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する機能であり、
前記操作手段は、前記単位電池の充電状態を調整すべく、前記第1閉操作処理としての前記蓄電手段への蓄電処理と前記第2閉操作処理としての前記蓄電手段からの放電処理とを行なう充電状態調整手段(S10〜S22,S30〜S42)を備えることを特徴とする請求項1または2記載の組電池の充放電装置。
【請求項5】
前記複数の単位電池は、互いに隣接する複数の単位電池からなり、
前記選択接続手段は、前記複数の単位電池のそれぞれについて、その一対の端子と前記蓄電手段の一対の端子とを接続する一対の電気経路を開閉する機能を備えて且つ、該開閉する機能の閉状態において、前記一対の電気経路における双方向の電流の流れを許容するものであることを特徴とする請求項4記載の組電池の充放電装置。
【請求項6】
前記複数の単位電池のうち、端子電圧、充電率、および充電量のいずれかの値が大きいものおよび小さいものを特定する特定手段をさらに備え、
前記充電状態調整手段は、前記蓄電処理として、前記いずれかの値が大きい単位電池または該単位電池およびこれに隣接する1つ以上の単位電池と前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とする処理を行い、前記放電処理として、前記いずれかの値が小さい単位電池または該単位電池およびこれに隣接する1つ以上の単位電池の直列接続体と前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とする処理を行なうことを特徴とする請求項5記載の組電池の充放電装置。
【請求項7】
前記選択接続手段は、前記第3の規定数と前記第4の規定数との差を可変とする可変機能を備え、
前記充電状態調整手段は、前記選択接続手段を操作して、前記蓄電処理によって前記蓄電手段に接続される単位電池の数と前記放電処理によって前記蓄電手段に接続される単位電池の数との差を変更する変更手段をさらに備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の組電池の充放電装置。
【請求項8】
前記複数の単位電池は、前記組電池を構成する一部の単位電池であるモジュール(M1〜Mm)を構成するものであり、
前記蓄電手段は、前記モジュール毎に設けられたモジュール内蓄電手段(Cc、Cc1,Cc2,Cc3)と、前記組電池を構成するモジュール間で共有されるモジュール間蓄電手段(Cm)とを備え、
前記選択接続手段は、
前記組電池を構成する全モジュールのそれぞれについて、前記第3の規定数個の単位電池と前記モジュール内蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール内第1開閉機能と、前記第4の規定数個の単位電池と前記モジュール内蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール内第2開閉機能とに加えて、
第5の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール間第1開閉機能と、第6の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール間第2開閉機能とを有し、
前記第5の規定数個のモジュールは、単一のモジュール、または互いに隣接するもの同士が直列接続された複数のモジュールであり、
前記第6の規定数個のモジュールは、単一のモジュール、または互いに隣接するもの同士が直列接続された複数のモジュールであり、
前記特定手段は、前記モジュール内における特定処理に加えて、前記組電池を構成する全てのモジュールのうちの端子電圧、充電率、および充電量のいずれかの値が大きいものおよび小さいものを特定する処理をさらに行なうものであり、
前記充電状態調整手段は、
前記蓄電処理として、前記モジュール内についての前記蓄電処理であるモジュール内充電処理に加えて、前記いずれかの値が大きいモジュールまたは該モジュールおよびこれに隣接する1つ以上のモジュールとしての前記第5の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記第5の規定数個のモジュールの電気エネルギを前記モジュール間蓄電手段に充電する処理であるモジュール間蓄電処理を行い、
前記放電処理として、前記モジュール内についての前記放電処理であるモジュール内放電処理に加えて、前記いずれかの値が小さいモジュールまたは該モジュールおよびこれに隣接する1つ以上のモジュールの直列接続体としての前記第6の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記蓄電手段の電気エネルギを前記第6の規定数個のモジュールに充電する処理であるモジュール間放電処理を行なう
ことを特徴とする請求項6記載の組電池の充放電装置。
【請求項9】
前記選択接続手段の前記モジュール間第1開閉機能と前記モジュール間第2開閉機能とは、前記モジュールのそれぞれについて、その一対の端子と前記モジュール間蓄電手段の一対の端子とを接続する一対の電気経路を開閉する機能を備えて且つ、該開閉する機能の閉状態において、前記一対の電気経路における双方向の電流の流れを許容する手段によって実現されるものであることを特徴とする請求項8記載の組電池の充放電装置。
【請求項10】
前記選択接続手段は、前記第5の規定数と前記第6の規定数との差を可変とする可変機能を備え、
前記充電状態調整手段は、前記選択接続手段を操作して、前記モジュール間蓄電処理によって前記モジュール間蓄電手段に接続されるモジュールの数と前記モジュール間放電処理によって前記モジュール間蓄電手段に接続されるモジュールの数との差を変更する変更手段をさらに備えることを特徴とする請求項8または9記載の組電池の充放電装置。
【請求項11】
前記複数の単位電池は、前記組電池を構成する一部の単位電池である部分電池であり、
前記選択接続手段、前記蓄電手段、および前記充電状態調整手段は、前記組電池を構成する全電池セルを含む複数の部分電池のそれぞれ毎に設けられるものであり、
前記部分電池は、その端部の単位電池が隣接する部分電池を構成する単位電池の一部と共通となるものであることを特徴とする請求項6または7記載の組電池の充放電装置。
【請求項12】
前記組電池は、複数の組電池の並列接続体であり、
前記選択接続手段は、前記複数の組電池のうちの少なくとも2つの組電池のそれぞれに設けられるものであり、
前記蓄電手段は、前記少なくとも2つの組電池で共有されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の組電池の充放電装置。
【請求項13】
前記操作手段は、前記少なくとも2つの組電池のそれぞれに対応する選択接続手段を操作することで、それら組電池のいずれかから他へと前記共有される蓄電手段を介して電気エネルギを移動させる組電池間授受処理手段を備えることを特徴とする請求項12記載の組電池の充放電装置。
【請求項14】
前記電池セルのそれぞれの両端の電圧を検出する各別の電圧検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の組電池の充放電装置。
【請求項15】
前記蓄電手段の両端の電圧を検出する電圧検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の組電池の充放電装置。
【請求項16】
前記モジュール内蓄電手段の両端の電圧を検出する電圧検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項8または9記載の組電池の充放電装置。
【請求項17】
前記蓄電手段と前記電圧検出手段との間にローパスフィルタ回路が設けられていることを特徴とする請求項15または16記載の組電池の充放電装置。
【請求項18】
前記蓄電手段に並列接続されたツェナーダイオードと、
前記蓄電手段と前記ツェナーダイオードとの間を開閉するクランプ禁止手段と、
を備えることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載の組電池の充放電装置。
【請求項19】
前記選択接続手段を操作して電圧検出対象となる1または複数の電池セルと前記蓄電手段とを電気的に接続した状態で、前記電圧検出手段によって前記電圧検出対象の電圧を検出することを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項に記載の組電池の充放電装置。
【請求項20】
前記選択接続手段は、前記単位電池の端子と前記蓄電手段の端子とを接続する電気経路として、隣接する一対の単位電池の接続点と前記蓄電手段の一方の端子とを接続する経路と、前記接続点と前記蓄電手段の他方の端子とを接続する経路とを備えることを特徴とする請求項5記載の組電池の充放電装置。
【請求項21】
前記単位電池に異常が生じた場合、該異常が生じている単位電池の一対の端子の双方について、前記選択接続手段の電気経路のうち前記蓄電手段のいずれか一方の端子に接続されるものを閉状態とすべく、前記選択接続手段を操作するフェールセーフ処理手段を備えることを特徴とする請求項20記載の組電池の充放電装置。
【請求項1】
蓄電手段(Cm,Cc、Cc1,Cc2,Cc3)と、
電池セル(C11〜Cmn)の直列接続体としての組電池(10)について、該組電池を構成する電池セルのうちの第1の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する第1開閉機能および、第2の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する第2開閉機能を有する選択接続手段(MMC,MCC)と、
前記第1の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記第1の規定数個の電池セルの電気エネルギを前記蓄電手段に充電する第1閉操作処理と、前記第2の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記蓄電手段の電気エネルギを前記第2の規定数個の電池セルに充電する第2閉操作処理とを行なうべく、前記選択接続手段を操作する操作手段(20,40)と、
を備え、
前記第1の規定数個の電池セルは、単一の電池セルまたは隣接するもの同士が直列接続された複数の電池セルであり、
前記第2の規定数個の電池セルは、単一の電池セルまたは隣接するもの同士が直列接続された複数の電池セルであることを特徴とする組電池の充放電装置。
【請求項2】
前記第1の規定数は、前記第2の規定数よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の組電池の充放電装置。
【請求項3】
前記選択接続手段は、前記第1の規定数と前記第2の規定数との差を可変とする可変機能を備え、
前記操作手段は、前記選択接続手段を操作して、前記第1閉操作処理によって前記蓄電手段に接続される電池セルの数と前記第2閉操作処理によって前記蓄電手段に接続される電池セルの数との差を変更する変更手段(S14,S34)をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の組電池の充放電装置。
【請求項4】
前記第1開閉機能は、前記組電池を構成する単一の電池セルまたは隣接する複数個の電池セルの直列接続体であって且つ互いに同一の電池セルを含まない複数の単位電池について、それらの第3の規定数個としての前記第1の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する機能であり、
前記第2開閉機能は、第4の規定数個の単位電池としての前記第2の規定数個の電池セルと前記蓄電手段との間を電気的に開閉する機能であり、
前記操作手段は、前記単位電池の充電状態を調整すべく、前記第1閉操作処理としての前記蓄電手段への蓄電処理と前記第2閉操作処理としての前記蓄電手段からの放電処理とを行なう充電状態調整手段(S10〜S22,S30〜S42)を備えることを特徴とする請求項1または2記載の組電池の充放電装置。
【請求項5】
前記複数の単位電池は、互いに隣接する複数の単位電池からなり、
前記選択接続手段は、前記複数の単位電池のそれぞれについて、その一対の端子と前記蓄電手段の一対の端子とを接続する一対の電気経路を開閉する機能を備えて且つ、該開閉する機能の閉状態において、前記一対の電気経路における双方向の電流の流れを許容するものであることを特徴とする請求項4記載の組電池の充放電装置。
【請求項6】
前記複数の単位電池のうち、端子電圧、充電率、および充電量のいずれかの値が大きいものおよび小さいものを特定する特定手段をさらに備え、
前記充電状態調整手段は、前記蓄電処理として、前記いずれかの値が大きい単位電池または該単位電池およびこれに隣接する1つ以上の単位電池と前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とする処理を行い、前記放電処理として、前記いずれかの値が小さい単位電池または該単位電池およびこれに隣接する1つ以上の単位電池の直列接続体と前記蓄電手段との間を電気的に閉状態とする処理を行なうことを特徴とする請求項5記載の組電池の充放電装置。
【請求項7】
前記選択接続手段は、前記第3の規定数と前記第4の規定数との差を可変とする可変機能を備え、
前記充電状態調整手段は、前記選択接続手段を操作して、前記蓄電処理によって前記蓄電手段に接続される単位電池の数と前記放電処理によって前記蓄電手段に接続される単位電池の数との差を変更する変更手段をさらに備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の組電池の充放電装置。
【請求項8】
前記複数の単位電池は、前記組電池を構成する一部の単位電池であるモジュール(M1〜Mm)を構成するものであり、
前記蓄電手段は、前記モジュール毎に設けられたモジュール内蓄電手段(Cc、Cc1,Cc2,Cc3)と、前記組電池を構成するモジュール間で共有されるモジュール間蓄電手段(Cm)とを備え、
前記選択接続手段は、
前記組電池を構成する全モジュールのそれぞれについて、前記第3の規定数個の単位電池と前記モジュール内蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール内第1開閉機能と、前記第4の規定数個の単位電池と前記モジュール内蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール内第2開閉機能とに加えて、
第5の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール間第1開閉機能と、第6の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に開閉するモジュール間第2開閉機能とを有し、
前記第5の規定数個のモジュールは、単一のモジュール、または互いに隣接するもの同士が直列接続された複数のモジュールであり、
前記第6の規定数個のモジュールは、単一のモジュール、または互いに隣接するもの同士が直列接続された複数のモジュールであり、
前記特定手段は、前記モジュール内における特定処理に加えて、前記組電池を構成する全てのモジュールのうちの端子電圧、充電率、および充電量のいずれかの値が大きいものおよび小さいものを特定する処理をさらに行なうものであり、
前記充電状態調整手段は、
前記蓄電処理として、前記モジュール内についての前記蓄電処理であるモジュール内充電処理に加えて、前記いずれかの値が大きいモジュールまたは該モジュールおよびこれに隣接する1つ以上のモジュールとしての前記第5の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記第5の規定数個のモジュールの電気エネルギを前記モジュール間蓄電手段に充電する処理であるモジュール間蓄電処理を行い、
前記放電処理として、前記モジュール内についての前記放電処理であるモジュール内放電処理に加えて、前記いずれかの値が小さいモジュールまたは該モジュールおよびこれに隣接する1つ以上のモジュールの直列接続体としての前記第6の規定数個のモジュールと前記モジュール間蓄電手段との間を電気的に閉状態とすることで、前記蓄電手段の電気エネルギを前記第6の規定数個のモジュールに充電する処理であるモジュール間放電処理を行なう
ことを特徴とする請求項6記載の組電池の充放電装置。
【請求項9】
前記選択接続手段の前記モジュール間第1開閉機能と前記モジュール間第2開閉機能とは、前記モジュールのそれぞれについて、その一対の端子と前記モジュール間蓄電手段の一対の端子とを接続する一対の電気経路を開閉する機能を備えて且つ、該開閉する機能の閉状態において、前記一対の電気経路における双方向の電流の流れを許容する手段によって実現されるものであることを特徴とする請求項8記載の組電池の充放電装置。
【請求項10】
前記選択接続手段は、前記第5の規定数と前記第6の規定数との差を可変とする可変機能を備え、
前記充電状態調整手段は、前記選択接続手段を操作して、前記モジュール間蓄電処理によって前記モジュール間蓄電手段に接続されるモジュールの数と前記モジュール間放電処理によって前記モジュール間蓄電手段に接続されるモジュールの数との差を変更する変更手段をさらに備えることを特徴とする請求項8または9記載の組電池の充放電装置。
【請求項11】
前記複数の単位電池は、前記組電池を構成する一部の単位電池である部分電池であり、
前記選択接続手段、前記蓄電手段、および前記充電状態調整手段は、前記組電池を構成する全電池セルを含む複数の部分電池のそれぞれ毎に設けられるものであり、
前記部分電池は、その端部の単位電池が隣接する部分電池を構成する単位電池の一部と共通となるものであることを特徴とする請求項6または7記載の組電池の充放電装置。
【請求項12】
前記組電池は、複数の組電池の並列接続体であり、
前記選択接続手段は、前記複数の組電池のうちの少なくとも2つの組電池のそれぞれに設けられるものであり、
前記蓄電手段は、前記少なくとも2つの組電池で共有されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の組電池の充放電装置。
【請求項13】
前記操作手段は、前記少なくとも2つの組電池のそれぞれに対応する選択接続手段を操作することで、それら組電池のいずれかから他へと前記共有される蓄電手段を介して電気エネルギを移動させる組電池間授受処理手段を備えることを特徴とする請求項12記載の組電池の充放電装置。
【請求項14】
前記電池セルのそれぞれの両端の電圧を検出する各別の電圧検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の組電池の充放電装置。
【請求項15】
前記蓄電手段の両端の電圧を検出する電圧検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の組電池の充放電装置。
【請求項16】
前記モジュール内蓄電手段の両端の電圧を検出する電圧検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項8または9記載の組電池の充放電装置。
【請求項17】
前記蓄電手段と前記電圧検出手段との間にローパスフィルタ回路が設けられていることを特徴とする請求項15または16記載の組電池の充放電装置。
【請求項18】
前記蓄電手段に並列接続されたツェナーダイオードと、
前記蓄電手段と前記ツェナーダイオードとの間を開閉するクランプ禁止手段と、
を備えることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載の組電池の充放電装置。
【請求項19】
前記選択接続手段を操作して電圧検出対象となる1または複数の電池セルと前記蓄電手段とを電気的に接続した状態で、前記電圧検出手段によって前記電圧検出対象の電圧を検出することを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項に記載の組電池の充放電装置。
【請求項20】
前記選択接続手段は、前記単位電池の端子と前記蓄電手段の端子とを接続する電気経路として、隣接する一対の単位電池の接続点と前記蓄電手段の一方の端子とを接続する経路と、前記接続点と前記蓄電手段の他方の端子とを接続する経路とを備えることを特徴とする請求項5記載の組電池の充放電装置。
【請求項21】
前記単位電池に異常が生じた場合、該異常が生じている単位電池の一対の端子の双方について、前記選択接続手段の電気経路のうち前記蓄電手段のいずれか一方の端子に接続されるものを閉状態とすべく、前記選択接続手段を操作するフェールセーフ処理手段を備えることを特徴とする請求項20記載の組電池の充放電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図5】
【図8】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図5】
【図8】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−102661(P2013−102661A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−48905(P2012−48905)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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