説明

経口摂取用組成物

【課題】 きのこ処理物には生理活性作用が報告されているが、これらの服用により、下痢や軟便の副作用が起こる場合が多いことから、生理活性作用を維持、増強しつつ、副作用を低減させる補助剤、当該物質を含有する組成物の開発が望まれている。
【解決手段】 補助剤としてハイドロキシアパタイトを含有する経口摂取用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口摂取用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
きのこは免疫賦活効果、抗腫瘍効果、抗酸化効果、血圧および血糖低下効果などを有することが知られており、特に免疫機能異常に伴う各種疾患の予防や、免疫機能改善による疾患の改善などに有用であるとして、医薬組成物、健康食品、動物用の餌等に液体、粉体、錠剤、また各種成分に配合された食品、動物用の餌として使用されている。
【0003】
しかし、これらきのこ処理物をその生理活性効果が表れる程度に多量に摂取すると、下痢や軟便の副作用が起こる場合が多いことから、副作用を低減させる効果を有する補助剤や、副作用の生じない物質を含有するきのこ処理物の開発が望まれており、種々の研究が行なわれている。
【0004】
このようなことから、きのこのエキス服用による下痢、軟便を抑制する方法として、サルノコシカケ科に属する担子菌類のエキスに緑茶粉末や赤まむし、あるいは海蛇を蒸し焼きにした蛇粉を混合することにより、家畜の下痢、軟便を抑制し、サルノコシカケ科に属する担子菌類のエキスの効果を維持する家畜用食品(特許文献1)が開示されている。
【0005】
ところで、ハイドロキシアパタイトは、通常、Ca10(PO4)6(OH)2 なる化学量論組成で示される骨や歯の無機主成分で、生体親和性が良く、タンパク質などを吸着する作用があることから、人工骨、骨補填剤、歯磨剤等として製品化され、また薬剤の補助成分として各種考案、開示されている。
【特許文献1】特開平5−260903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、きのこ処理物を服用した時に起こる下痢、軟便の副作用を抑制する経口摂取用組成物の提供を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、服用により下痢、軟便の副作用を有するきのこ処理物にハイドロキシアパタイトが配合された経口摂取用組成物が、下痢、軟便の副作用を低減することを見出し、本発明を成すに至った。すなわち本発明は以下を含む。
〔1〕 きのこ処理物とハイドロキシアパタイトとを含有する、経口摂取用組成物。
〔2〕 前記きのこ処理物が、きのこ抽出物、きのこ菌糸体の培養物、および/または、きのこ菌糸体の培養抽出物である、〔1〕に記載の、経口摂取用組成物。
〔3〕 前記きのこ抽出物がヒメマツタケ、ハナビラタケ、メシマコブ、シイタケ、マイタケ、カワラタケ、ヤマブシタケ、シロキクラゲ、マンネンタケ、スエヒロタケ、カバノアナタケ、およびハタケシメジからなる群から選ばれる少なくとも一種のきのこ抽出物である、〔2〕に記載の経口摂取用組成物。
〔4〕 前記きのこ菌糸体の培養物がGCPである、〔2〕、または〔3〕に記載の経口摂取用組成物。
〔5〕 前記きのこ菌糸体の培養抽出物がAHCCである、〔2〕〜〔4〕に記載の経口摂取用組成物。
〔6〕 前記ハイドロキシアパタイトが下痢・軟便を抑えるために有効な含有量である、〔1〕に記載の経口摂取用組成物。
〔7〕 前記ハイドロキシアパタイトの含有量がきのこ処理物に対して1〜1000質量%である、〔1〕に記載の経口摂取用組成物。
〔8〕 前記ハイドロキシアパタイトの平均粒経が70μm以下である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の経口摂取用組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、きのこ処理物の服用による下痢、軟便の副作用を抑制でき、生理活性効果を維持、増強できるため、生理活性効果を充分に活かした経口摂取用組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において、きのこ処理物とは、きのこ抽出物、きのこ菌糸体の培養物、およびきのこ菌糸体の培養抽出物をいう。
【0010】
本発明に用いるきのこ抽出物は、子実体抽出物のことを言い、生理活性作用を有する子実体抽出物であれば、特に限定されないが、ヒメマツタケ、ハナビラタケ、メシマコブ、シイタケ、マイタケ、カワラタケ、ヤマブシタケ、シロキクラゲ、マンネンタケ、スエヒロタケ、カバノアナタケ、ハタケシメジの子実体抽出物であることが好ましい。
【0011】
本発明において、きのこ菌糸体の培養物は、きのこ菌糸体の培養物自体、およびきのこ菌糸体の培養物を主成分とするものを含む。また、本発明におけるきのこ菌糸体の培養物としては、GCPが好ましい。
【0012】
本発明に用いるGCPとは、Genistein Concentrated Polysaccharideの略であり、大豆抽出物であるイソフラボンアグリコン、特にゲニステインと担子菌とを混合培養することによって得ることができる。
【0013】
本発明に用いるきのこ菌糸体の培養抽出物とは、通常の培養方法により得られた菌糸体の培養液を、例えば、水や、メタノール、エタノール、1,3−ブチレングリコール等の水溶性有機溶剤、又はこれらの混合溶剤などの抽出溶媒を用いて抽出したものをいう。
【0014】
本発明における、きのこ菌糸体の培養抽出物は、きのこ菌糸体の培養抽出物自体、およびきのこ菌糸体の培養抽出物を主成分とするものを含む。また、本発明における、きのこ菌糸体の培養抽出物としては、AHCCが好ましい。
【0015】
本発明に用いるAHCCとは、Active Hexose Correlated Compoundの略であり、シイタケ、シメジタケ、スエヒロタケなど数種類のキノコの担子菌を培養して得られる菌糸体の培養抽出物を主成分とする多糖類の総称である。
【0016】
本願に用いるハイドロキシアパタイトは、骨の主成分であるリン酸カルシウムの1種で、天然又は合成により得られたハイドロキシアパタイトを使用することができ、通常、Ca10(PO4)6(OH)2 なる化学量論組成で示されるが、Ca/Pモル比が1.67にならない非化学量論的な場合であっても、ハイドロキシアパタイトの性質を示し、アパタイト構造を取りうるという特徴がある。
【0017】
本発明においては、化学量論組成および非化学量論組成のハイドロキシアパタイトのいずれも使用することができ、Ca/Pモル比1.4〜1.8のものを使用することができる。
【0018】
ハイドロキシアパタイトのCa/Pモル比の制御は、原料の塩の調合比および合成条件の制御にて行う。例えば、ハイドロキシアパタイトの湿式合成法において、合成時にアンモニア水等で水溶液を塩基性に調整すると、Ca/Pモル比が高くなり、水溶液を希酸で中性或いは弱酸性に調整するとCa/Pモル比を低くすることができる。
【0019】
本発明で使用するハイドロキシアパタイトとしては、例えば、前記したごとく湿式法により合成したアパタイトを凍結乾燥もしくは100℃以下の温度で乾燥したもの、或いは300℃程度以下の温度で焼成したもの、800℃以上の高温で焼成したものが挙げられる。
【0020】
本発明で使用するハイドロキシアパタイト粒子としては、最大粒径が好ましくは100μm程度ものが使用され、粒経が小さいほど比表面積が大きくなって、きのこ処理物を吸着する性質が高められる為、粒径が小さいほどより好ましいが、ハイドロキシアパタイトの製造上、最小粒径は0.05μm程度となる。
【0021】
本発明で使用するハイドロキシアパタイト粒子としては、好ましくは、平均粒経が70μm程度のものが使用でき、より好ましくは20μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下であり、最も好ましくは0.1μm以下である。また、平均粒経の下限値としては、好ましくは0.07μmである。
【0022】
このような粒経のハイドロキシアパタイトときのこ処理物とを配合すると、きのこ処理物により生じる下痢、軟便をより有効に抑制できる。
【0023】
本発明で使用するきのこ処理物組成物は、ハイドロキシアパタイト粉末に、きのこ処理物を混合するか、またはハイドロキシアパタイト粉末を添加した水溶液中にきのこ処理物を添加することにより得られる溶液を乾燥した後、粉砕するなどの容易な方法を用いて得ることができる。
【0024】
きのこ処理物に配合するハイドロキシアパタイトの割合は、その濃度、栄養素との混合割合、およびハイドロキシアパタイトの使用目的などにより任意に選択することができるが、生理活性作用を維持して、下痢、軟便の副作用を抑制する為にはきのこ処理物に対して、1質量%以上1000質量%以下が好ましく、より好ましくは、10質量%以上500質量%以下であり、更に好ましくは100質量%以上500質量%以下である。
【0025】
本発明において、ハイドロキシアパタイトをきのこ処理物に添加せしめる方法としては、当該製品の製造過程のいかなる時に添加し、また残余の原料と混合しても良いが、きのこ処理物と、ハイドロキシアパタイトを予め混合してから他原料と混合することが好ましい。
【0026】
なお、ハイドロキシアパタイトを含有するきのこ処理物が有する生理活性作用については、少なくとも維持、更には増強できることを確認した。
【0027】
本発明における経口摂取(経口投与ということもある)とは、体内で吸収されているか否かを問わず、きのこ処理物を口から取り込むことをいう。
【0028】
本発明にかかるきのこ処理物組成物を経口から摂取する場合、その剤形は特に限定されないが、通常経口摂取に用いられる剤形である、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、液剤等とすることができる。
【0029】
本発明の経口摂取用組成物は、添加剤と混合するか、添加剤で希釈するか、カプセル、分包包装、紙、などの容器に封入することができる。添加剤が希釈剤の役目をするときは、生理活性成分のための基剤、増量剤、媒体として機能する固体、半固体、液体物質であってもよい。経口摂取用組成物は錠剤、丸剤、粉剤、トローチ剤、分包包装、オブラート剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ、エアロゾル剤(固体または液体媒体としての)、および無菌包装粉剤などの形をとることができる。
【0030】
適当な添加剤の例には、乳糖、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、およびメチルセルロースを含む。
【0031】
本発明の経口摂取用組成物には、更に、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油のような滑沢剤;湿潤剤;乳化剤か分散剤;メチル−およびプロピルヒドロキシ安息香酸のような保存剤;甘味剤;および芳香剤を加えることができる。本発明の経口摂取用組成物は、この分野でよく知られている操作を採用して、患者に投与した後、活性成分の放出が速く、持続して、または遅くなるように製剤化できる。
【0032】
以下に本発明の実施例について説明するが、下記実施例は、抗腫瘍効果試験に使用した実施例を記したものであり、本発明の範囲がこれによって限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0034】
[調製例1]
ハイドロキシアパタイトの製造
攪拌下の水酸化カルシウム懸濁液中に、30質量%濃度のリン酸水溶液を、PH10になるまで滴下し、生成したゲル状物質を室温で1日間放置して熟成した。その後、ゲル状物質をガラスフィルターで濾過し、残った物質を100℃の空気中で乾燥を行なうことにより、ハイドロキシアパタイト粉末を得た。
【0035】
[調製例2]
ハイドロキシアパタイト添加のきのこ抽出組成物、きのこ菌糸体の培養組成物、培養抽出組成物の調整
きのこ菌糸体の培養抽出物であるAHCCは、アミノアップ化学より供与されたAHCC粉末を用いた。
【0036】
平均粒径が約40μmのハイドロキシアパタイト粉末を、10nMクエン酸ナトリウム溶液に添加して分散させた液に、所定量のAHCC粉末を添加し、一晩、4℃にて攪拌を行い、乾燥して、平均粒径約50μmのハイドロキシアパタイト添加AHCC粉体(実施例1)を得た。
【0037】
10nMクエン酸ナトリウム溶液にハイドロキシアパタイトを2質量%添加し、ダイノミル(Willy A. Baechofen AG Machinenfabrik Basel社製)で粉砕して平均粒径約0.8μmと、平均粒径約0.07μmに粉砕したハイドロキシアパタイト分散液を得た。これらのハイドロキシアパタイト分散液に所定量のAHCC粉末を添加し、一晩、4℃にて攪拌を行い、乾燥して、平均粒径約1μmのハイドロキシアパタイト添加AHCC粉体(実施例2)、および平均粒径約0.1μmのハイドロキシアパタイト添加AHCC粉体(実施例3)を得た。
【0038】
きのこ菌糸体の培養物と、大豆イソフラボンの混合物であるGCPは、アミノアップ化学より供与されたGCP粉末を用いた。
【0039】
ジェットミルで、平均粒径約8μmに粉砕したハイドロキシアパタイトを、蒸留水に添加して分散させた液に、所定量のGCP粉末を添加し、一晩、4℃にて攪拌を行い、乾燥して、平均粒径約10μmのハイドロキシアパタイト添加GCP粉体(実施例4)を得た。
【0040】
蒸留水にハイドロキシアパタイトを2質量%添加し、ダイノミルで粉砕して平均粒径約0.8μmと、平均粒径約0.07μmに粉砕したハイドロキシアパタイト分散液を得た。これらのハイドロキシアパタイト分散液に所定量のGCP粉末を添加し、一晩、4℃にて攪拌を行い、乾燥して、平均粒径約1μmのハイドロキシアパタイト添加GCP粉体(実施例5)、および平均粒径約0.1μmのハイドロキシアパタイト添加GCP粉体(実施例6)を得た。
【0041】
きのこ抽出物として、メシマコブ抽出成分、ヒメマツタケ抽出成分、シイタケ抽出成分、マイタケ抽出成分、カワラタケ抽出成分、ハナビラタケ抽出成分、ヤマブシタケ抽出成分、カバノアナタケ抽出成分を用いて、ハイドロキシアパタイト添加の各種抗腫瘍組成物を作成した。
【0042】
メシマコブ、ハナビラタケ、ハタケシメジ、カバノアナタケ、ヤマブシタケについては、市販品を用い、それぞれの乾燥、粉砕物を熱水抽出したものを、ヒメマツタケ、シイタケ、マイタケ、カワラタケ、についても、市販品を用い、それぞれの乾燥、粉砕物を、80℃のエタノールを20%添加した温水で抽出を行ない、乾燥して乾燥物を得た。
【0043】
ジェットミルで、平均粒径約15μmに粉砕したハイドロキシアパタイトを、蒸留水に2質量%添加し、ハイドロキシアパタイト分散液を得た。このハイドロキシアパタイト分散液に所定量の上記成分をそれぞれ添加し、一晩、4℃にて攪拌を行い、乾燥して、平均粒径約20μmのハイドロキシアパタイト添加のきのこ抽出組成物を得た(実施例7〜15)。
【0044】
作成した各組成物に対するハイドロキシアパタイトの含有量を表1に示す。
【表1】

【0045】
[試験例1]
下痢、軟便抑制試験
[試験例1−1〜1−8、比較試験例1−1〜1−8]
体重200〜250gのSD系ラットの雄(6週齢)を各試験4匹ずつ、ステンレス製金網ゲージで飼育し、摂餌、摂水は自由とした。実施例1〜7、実施例12の各試料に蒸留水を加えて調整し、ラット用経口胃ゾンデを用いて胃内に強制経口投与した(試験例1−1−1〜1−8−3)。
【0046】
比較として、ハイドロキシアパタイトを含まないAHCC、GCP、メシマコブ抽出物、ヒメマツタケ抽出物の各試料に蒸留水を加えて調整し、同様に投与を行なった(比較試験例1−1〜1−4)。試験、比較試験各試料の投与量は、AHCC、GCP、メシマコブ抽出物、ヒメマツタケ抽出物として300mg/kg とした。
【0047】
またハイドロキシアパタイトだけについても、メノウ乳鉢で軽くすり潰した後、蒸留水を加えて調整し、30mg/kg、300mg/kg、および3,000mg/kgの投与を行なった(比較試験例1−5〜1−7)。
【0048】
更に無処置対照群として水だけを30,000mg/kgを投与した(比較試験例1−8)。
【0049】
各試料投与から8時間後までの糞便の総重量、乾燥後の重量、および糞便の状態を観察した。その結果を表2に示す。
【表2】

【0050】
AHCC、GCP、メシマコブ抽出物、ヒメマツタケ抽出物の各試料を投与した群では軟便が見られるが、ハイドロキシアパタイトを添加した組成物の投与群では、いずれも軟便は認められず、正常な状態の糞便であった。
【0051】
きのこ処理物が有する抗腫瘍作用が、ハイドロキシアパタイトを含有する場合と比較して維持または増強していることを、以下の試験により示す。
【0052】
[試験例2]
経口投与による好中球集積試験
[試験例2−1〜2−6、比較試験例2、対照例2−1、2−2]
ICR系マウスの雌(6週齢)に、実施例1−1〜1−3、3−1〜3、および比較としてAHCCの各試料を、各試料5匹ずつ経口胃ゾンデを用いて胃内に強制経口投与した(試験例2−1〜2−6)。水、餌は自由に摂取させた。各試料を水に懸濁し、AHCCとして3mg/kgを経口投与した(比較試験例2)。更に対照群としてハイドロキシアパタイト、および蒸留水を30mg/kgを経口投与した(対照例2−1、2−2)。
【0053】
投与から8時間後に、マウスの尾静脈より採取した血液を直ちにスライドグラスに塗抹し、よく乾燥した後、染色して顕微鏡下で白血球数を測定し、白血球に占める好中球の割合を表3に示した。
【表3】

【0054】
ハイドロキシアパタイトを添加したAHCC組成物で、AHCCの好中球集積活性以上の好中球集積活性を示したことから、抗腫瘍活性の増強が認められた。
【0055】
[試験例3]
経口投与によるβグルカンの血中動態
[試験例3−1〜3−4、比較試験例3]
充分に摂餌させたKwl:SDラットの雄(8週齢)に、実施例7−1〜7−4、および比較としてメシマコブ抽出物の各試料を、ラット用経口胃ゾンデを用いて胃内に強制経口投与した(試験例3−1〜3−4、比較試験例3)。各試料を水に懸濁し、メシマコブとして300mg/kgを経口投与した。
【0056】
投与後、0.5、1、3、6、16、24時間後に、ヘパリンナトリウム存在下で尾より採血を行い、3,000rpm、15分間遠心分離して血漿を得た。この得られた血漿に、血漿と同量の1mol/lのNaOHを添加し、37℃で1時間処理し、これをサンプルとして、ビージースターAキット(マルハ株式会社)にてβグルカンを測定した。
その結果を、図1、および表4に示す。
【表4】

【0057】
以上の結果より、きのこ処理物の服用による副作用である下痢や、軟便が、ハイドロキシアパタイトを含有する組成物の服用では、見られなくなるとともに、βグルカンの血中濃度の増加や、血中濃度が長時間高く保持されていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、βグルカンの血中濃度の時間的推移を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
きのこ処理物とハイドロキシアパタイトとを含有する、経口摂取用組成物。
【請求項2】
前記きのこ処理物が、きのこ抽出物、きのこ菌糸体の培養物、および/または、きのこ菌糸体の培養抽出物である、請求項1に記載の、経口摂取用組成物。
【請求項3】
前記きのこ抽出物がヒメマツタケ、ハナビラタケ、メシマコブ、シイタケ、マイタケ、カワラタケ、ヤマブシタケ、シロキクラゲ、マンネンタケ、スエヒロタケ、カバノアナタケ、およびハタケシメジからなる群から選ばれる少なくとも一種のきのこ抽出物である、請求項2に記載の経口摂取用組成物。
【請求項4】
前記きのこ菌糸体の培養物がGCPである、請求項2、または請求項3に記載の経口摂取用組成物。
【請求項5】
前記きのこ菌糸体の培養抽出物がAHCCである、請求項2〜4に記載の経口摂取用組成物。
【請求項6】
前記ハイドロキシアパタイトが下痢・軟便を抑えるために有効な含有量である、請求項1に記載の経口摂取用組成物
【請求項7】
前記ハイドロキシアパタイトの含有量がきのこ処理物に対して1〜1000質量%である、請求項1に記載の経口摂取用組成物。
【請求項8】
前記ハイドロキシアパタイトの平均粒経が70μm以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の経口摂取用組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2007−45799(P2007−45799A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234847(P2005−234847)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000130776)株式会社サンギ (17)
【Fターム(参考)】