説明

経皮吸収型製剤

【課題】製造条件の変動や経時による薬剤の放出性や薬剤の血中濃度の変化が小さく、製品の品質の安定性に優れ、しかも十分な薬効を安定的かつ持続的に発揮することができるツロブテロール含有経皮吸収型製剤を提供すること。
【解決手段】支持体の片面に、粘着剤とツロブテロールとを含有する粘着剤組成物層が形成された経皮吸収型製剤において、粘着剤組成物層中に0.5〜3重量%のツロブテロールが溶解状態で含有されており、かつ粘着剤組成物層の厚みが100μm超過300μm以下であることを特徴とする経皮吸収型製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気管支拡張作用を有するツロブテロールを経皮吸収させるための経皮吸収型製剤に関し、さらに詳しくは、製造条件の変動や経時による品質の変化が小さく、かつ薬効を安定的かつ持続的に発揮することができるツロブテロール含有経皮吸収型製剤に関する。本発明の経皮吸収型製剤は、皮膚面に貼付して使用するため、経皮吸収型のテープ製剤または貼付剤ということもできる。
【背景技術】
【0002】
交感神経受容体には、α受容体とβ受容体がある。β受容体は、心臓や脂肪組織などに分布するβ受容体と、気管支や血管などに分布するβ受容体とに分類される。β受容体を刺激するβ受容体刺激剤は、β受容体を介して気管支収縮を改善することにより、気管支拡張薬として、気管支喘息やその他の閉塞性肺疾患の治療に広く使用されている。
【0003】
ツロブテロール(Tulobuterol)は、代表的なβ受容体刺激剤であり、β選択性が高く、微量で高い有効性を発揮する薬剤である。従来、ツロブテロールは、錠剤の形態で経口投与されていた。しかし、ツロブテロール経口投与型製剤は、小児に対する投与の困難性、投与後の急激な薬剤血中濃度の上昇に伴う副作用の発現、薬効の持続性不足という問題があった。
【0004】
近年、上記問題を解決するために、ツロブテロールなどの気管支拡張作用を有する薬剤を含有する経皮吸収型製剤が提案されている。例えば、特公平7−25669号公報(特許文献1)には、ツロブテロールを感圧性接着剤中に含有させてなる基材層が担持体上に形成され、かつ該感圧性接着剤がポリイソブチレンを主体として構成されている経皮投与用医薬製剤が提案されている。
【0005】
特開平5−194202号公報(特許文献2)には、活性物質の事実上不透過なバッキング層と、活性物質としてツロブテロールを含有するマトリックス層とを有し、該マトリックス層がスチレン−1,3−ジエン−スチレンブロック共重合体を含有する皮膚経由医療システムが提案されている。
【0006】
特開平5−238953号公報(特許文献3)には、気管支拡張作用を有する薬剤を、中分子量ポリイソブチレンと高分子量ポリイソブチレンとからなるマトリックス中に固形で分散させてなる経皮吸収剤が提案されている。
【0007】
特許第2753800号公報(特許文献4)には、粘着剤に対する飽和溶解度以上のツロブテロールを含有する膏体層が支持体の一方面に積層され、該膏体層中における溶解型ツロブテロールに対する結晶型ツロブテロールの含有比が0.1〜10である経皮吸収型製剤が提案されている。
【0008】
特開平11−228395号公報(特許文献5)には、ツロブテロール及び粘着剤を含有する膏体層が支持体に積層されてなる経皮吸収型製剤であって、該膏体層中に溶解状態にてツロブテロールが5重量%以上含有されている経皮吸収型製剤が提案されている。
【0009】
これら特許文献1〜5に開示されている経皮吸収型製剤は、支持体の片面に、粘着剤をマトリックスとし、その中にツロブテロールの如き気管支拡張薬を分散させた粘着剤組成物層(以下、「膏体層」ということがある)を設けた構造の貼付剤である。
【0010】
これらの経皮吸収型製剤は、膏体層の表面で皮膚面に貼付することにより、皮膚面を通して膏体層中の薬剤を生体内へ投与するタイプの製剤である。このような経皮吸収型製剤は、経口投与型製剤に比べて、投与方法が簡単で、薬剤の血中濃度の急激な上昇を抑制することができ、薬効の持続性を向上させることができる。
【0011】
【特許文献1】特公平7−25669号公報
【特許文献2】特開平5−194202号公報
【特許文献3】特開平5−238953号公報
【特許文献4】特許第2753800号公報
【特許文献5】特開平11−228395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般に、薬剤を高濃度で膏体層中に含有させると、薬剤の経皮吸収速度が速くなり、薬効の持続性も高まることが期待される。しかし、ツロブテロールは、一般に、粘着剤に対する溶解度が低いため、高濃度のツロブテロールを膏体層中に溶解状態で保持させることが困難である。結晶状態の薬剤は、皮膚を透過することができない。
【0013】
特許文献1〜4に開示されている経皮吸収型製剤は、膏体層中の薬剤濃度に関して広い開示があるものの、実際には、それらの実施例に示されているように、高濃度のツロブテロールを膏体層中に含有させて、ツロブテロールの一部を溶解状態で、そして残部を結晶状態で膏体層中に分散させた製剤である。膏体層中に飽和溶解度を超えるツロブテロールを含有させて、ツロブテロールの一部を結晶状態で保持させる方法を採用すると、先ず、溶解状態にあるツロブテロールが経皮吸収される。溶解状態にあるツロブテロールが経皮吸収されるにつれて、結晶状態で分散しているツロブテロールが膏体層中に溶解し、拡散する。溶解・拡散したツロブテロールは、膏体層の界面から放出され、体内に経皮吸収される。そのため、該経皮吸収型製剤は、薬効の持続性が良好である。
【0014】
しかし、特許第2753800号公報(特許文献4)などに開示されているツロブテロールの結晶を含有する経皮吸収型製剤は、一般に、良好な皮膚透過プロファイルを示すものの、製造条件の変動や経時によって薬剤の放出性や薬剤の血中濃度が変化しやすく、品質の安定性に問題点があった。また、この経皮吸収型製剤は、一般に粘着力が乏しい。
【0015】
すなわち、膏体層中にツロブテロールの一部が結晶状態で分散している経皮吸収型製剤は、貼付時間(経皮投与時間)に対して、薬剤の皮膚透過速度(経皮吸収速度)が緩やかな曲線を描き、投与初期における薬剤の急激な吸収や薬剤の血中濃度の急激な上昇がなく、薬効の安定性と持続性が比較的良好である。しかしながら、該経皮吸収型製剤は、乾燥温度などの製造条件の僅かな変動によって、ツロブテロールの放出性が変化しやすく、同じ処方の製剤であっても、ツロブテロールの皮膚透過量及び血中濃度が変動しやすい。
【0016】
また、膏体層中に飽和溶解度を超える高濃度のツロブテロールを含有する経皮吸収型製剤は、ツロブテロールの結晶化が徐々に進行することが多いため、薬剤の放出性が経時的に変化しやすい。経時的な薬剤の放出性の変化は、環境温度や湿度、保存時間などの経時条件によっても影響を受ける。さらに、膏体層中のツロブテロールの濃度が高すぎると、膏体層表面に析出した結晶が皮膚接着性を低下させることがある。
【0017】
他方、ツロブテロールの結晶化に伴う前記の如き問題点を解決するために、特開平11−228395号公報(特許文献5)には、粘着剤中に5重量%以上の高濃度のツロブテロールを溶解状態で含有させた膏体層を有する経皮吸収型製剤が提案されている。この経皮吸収型製剤では、粘着剤として特定のアクリル系共重合体を用いたり、溶解助剤を併用することにより、ツロブテロールの飽和溶解度を高めている。しかし、この経皮吸収型製剤は、投与初期の皮膚透過速度が大きく、投与初期に急峻な山形のある皮膚透過プロファイルを示す。そのため、この経皮吸収型製剤は、投与初期に薬剤の血中濃度が急激に増大し、その後は、薬剤の皮膚透過速度が急激に減少して、薬効の持続性が不十分となる。
【0018】
そこで、本発明の課題は、前記従来技術の問題点を克服し、製造条件の変動や経時による薬剤の放出性や薬剤の血中濃度の変化が小さく、製品の品質の安定性に優れ、しかも十分な薬効を安定的かつ持続的に発揮することができるツロブテロール含有経皮吸収型製剤を提供することにある。
【0019】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、支持体の片面に、粘着剤とツロブテロールとを含有する粘着剤組成物層が形成された経皮吸収型製剤において、粘着剤組成物層(膏体層)中にツロブテロールを完全に溶解する特定の範囲の濃度で含有させると共に、粘着剤組成物層(膏体層)の厚みを従来技術水準を超える特定の範囲の厚みに設定した経皮吸収型製剤に想到した。
【0020】
従来、ツロブテロールを溶解させた膏体層の厚みを厚くしすぎると、薬物の血中濃度が急激に上昇して、重篤な副作用が発現する、皮膚刺激性が増大する、皮膚接着性が低下して剥がれやすくなる、違和感が増大する、薬物の含有量が必要以上に多くなり、経済性に乏しい、といった問題があると考えられていた。そのため、膏体層の厚みは、100μmまでとするのが技術常識であり、実際には、20〜50μmの範囲が好ましいとされ、特許文献1〜5に開示されている従来技術でも、この範囲の厚みが採用されている。
【0021】
つまり、従来技術では、一般に、膏体層の厚みを20〜50μmの範囲内に抑え、この厚みの範囲内でツロブテロールの濃度を上げて、一部を結晶状態で分散させたり、飽和溶解度を高めたりする工夫がなされていたのである。しかし、これらの従来の手法では、前記の如き問題が生じる。
【0022】
ところが、本発明者らの研究結果によれば、膏体層中に0.5〜3重量%という低濃度でツロブテロールを溶解状態で含有させ、かつ該膏体層の厚みを100μm超過300μm以下と厚くすることにより、薬物の血中濃度の急激な上昇を引き起こすことなく、十分な薬効を安定的かつ持続的に発揮することができ、しかも製造条件の変動や経時によっても品質の安定性が損なわれることがない経皮吸収型製剤の得られることが見出された。本発明の経皮吸収型製剤は、皮膚接着性の低下や皮膚刺激性の増大がなく、十分な実用性能を備えている。また、本発明の経皮吸収型製剤は、長時間にわたって薬効が持続するため、経済的である。
【0023】
本発明の経皮吸収型製剤は、粘着剤を構成する基剤や粘着付与樹脂の種類を選択することにより、品質の安定性、薬効の安定的かつ持続的な発揮性能を更に向上させることができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明によれば、支持体の片面に、粘着剤とツロブテロールとを含有する粘着剤組成物層が形成された経皮吸収型製剤において、粘着剤組成物層中に0.5〜3重量%のツロブテロールが溶解状態で含有されており、かつ粘着剤組成物層の厚みが100μm超過300μm以下であることを特徴とする経皮吸収型製剤が提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、製造条件の変動や経時による薬剤の放出性や薬剤の血中濃度の変化が小さく、品質の安定性に優れ、しかも十分な薬効を安定的かつ持続的に発揮することができるツロブテロール含有経皮吸収型製剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の経皮吸収型製剤は、支持体の片面に、ツロブテロールを含有する粘着剤組成物層(膏体層)が形成された貼付剤である。粘着剤組成物層の表面は、通常、除去可能な保護フィルムで被覆されている。使用時には、保護フィルムを剥離して、粘着剤組成物の表面で皮膚面に貼付する。皮膚面としては、腕、胸、背中など任意である。粘着剤組成物中に含まれるツロブテロールは、貼付した皮膚面を通して生体内に吸収され、そして全身血流に乗って気管支などの患部に投与される。
【0027】
支持体としては、実質的に薬剤不透過性の裏打ち材(バッキング材)が用いられる。支持体は、ツロブテロールの漏出または揮散を防ぎ、かつツロブテロールを吸着しない特性を有するものが好ましい。裏打ち材としては、前記特性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどのプラスチックからなるフィルム(シートを含む);アルミニウム箔、錫箔などの金属箔;織布、不織布、紙などとプラスチックフィルムや金属箔との積層体;が挙げられる。支持体の厚みは、通常5〜500μm、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜100μmである。
【0028】
本発明で使用するツロブテロールは、化合物名が2−クロロ−α−[〔(1,1−ジメチルエチル)アミノ〕メチル]−ベンゼンメタノールであり、その塩酸塩などの薬学的に許容できる塩をも含むものとする。
【0029】
本発明で使用する粘着剤(感圧接着剤)としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤など、本発明の目的を達成できるものであれば特に限定されないが、ゴム系粘着剤が好ましく、ポリイソプレンをゴム基剤とするゴム系粘着剤が特に好ましい。
【0030】
本発明で使用するゴム系粘着剤は、ゴム基剤(エラストマー)を含有する粘着剤であって、通常、ゴム基剤と共に粘着付与樹脂をも含有するものである。ゴム系粘着剤は、必要に応じて、老化防止剤(酸化防止剤)、軟化剤、充填剤などの各種添加剤を含有することができる。
【0031】
ゴム基剤(エラストマー)としては、例えば、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、ポリブテン、天然ゴム、及びこれら2種以上の混合物が挙げられる。市販のゴム基剤としては、例えば、ポリイソプレン(日本ゼオン社製、商品名「ニポールIR−2200」)、ポリイソブチレン(エクソン化学社製、商品名「ビスタネックスMML−80」)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(JSR社製、商品名「SIS5000」)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(シェル化学社製、商品名「カリフレックスTR1111」)、ポリブテン(日本石油化学社製、商品名「HV−300」)、天然ゴムラテックス(JAFFERJEE Bros.社製、天然ゴムクレープ)が好ましいものとして挙げられる。
【0032】
これらの中でも、ポリイソプレンが好ましい。従来、この技術分野では、ゴム基剤として、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体やポリイソブチレンが汎用されてきた(特許文献1〜5)。ところが、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体は、合成工程で多量のダスティング剤が添加されているが、ダスティング剤は、ツロブテロールの安定性を低下させたり、粘着剤組成物の製造不良の原因となることがある。ポリイソブチレンは、コールドフローを起しやすいことや多くの粘着付与樹脂との相溶性が悪いという欠点がある。
【0033】
これに対して、ポリイソプレンは、ツロブテロール含有経皮吸収型製剤の技術分野では一般に使用されていなかったが、ダスティング剤の含有量が少なく、多くの粘着付与樹脂との相溶性が良好であり、本発明の目的を達成する上で最も好ましいゴム基剤であることが判明した。ポリイソプレンは、実質的に単独でゴム基剤として使用することが好ましいが、ポリイソプレンを50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上の主成分として含有し、少量成分(残部)をその他のゴム基剤とする混合物も使用することができる。
【0034】
本発明で使用するゴム系粘着剤は、適度な粘着性を付与するために、粘着付与樹脂を含有させることが好ましい。粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族炭化水素樹脂(日本ゼオン社製、商品名「クイントンA100」)、脂環族炭化水素樹脂(荒川化学工業社製、商品名「アルコンP100」)、テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製、商品名「YSレジンPX1000」)、ロジン系樹脂(荒川化学工業社製、商品名「エステルガムH」)、テルペンフェノール樹脂(ヤスハラケミカル社製、商品名「YSポリスター」)、クマロン樹脂(日鉄化学社製、商品名「クマロンNG」)、キシレン樹脂(三菱瓦斯社製、商品名「ニカノール」)、スチレン樹脂(理化ハーキュレス社製、商品名「ピコラスチックA75」)がある。これらの粘着付与樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0035】
これらの粘着付与樹脂の中でも、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、及び脂環族炭化水素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の粘着付与樹脂は、ツロブテロールとの相溶性が低いため、粘着性と薬剤の使用効率とを共に高める観点から特に好ましい。
【0036】
本発明の粘着剤には、必要に応じて、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;流動パラフィンや中鎖脂肪酸グリセリンエステル等の軟化剤;炭酸カルシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン等の無機充填剤;クロタミトン、プロピレングリコール等の溶解補助剤;を適宜添加することができる。これらの添加剤を添加することにより、粘着剤の粘着性、安定性、安全性、柔軟性、色調などを制御することができる。
【0037】
本発明において、経皮吸収型製剤の品質の安定性を実現するために、粘着剤組成物層中にツロブテロールが完全に溶解した状態で存在させる必要がある。そのために、本発明では、粘着剤組成物層中に、粘着剤組成物全量基準で、ツロブテロールを0.5〜3重量%の割合で含有させる。粘着剤組成物層中でのツロブテロールの含有割合が小さすぎると、十分な薬効を持続的に発揮することが困難になる。
【0038】
粘着剤組成物層中でのツロブテロールの含有割合が大きすぎると、ツロブテロールの一部が結晶状態で分散するようになり、製造条件の変動や経時によって薬剤の放出性や薬剤の血中濃度が変化しやすく、品質の安定性に問題が生じるようになる。また、ツロブテロールの含有割合が3重量%を超えると、その全量が溶解状態で存在している場合には、投与初期に急峻な山形のある皮膚透過プロファイルを示し、その後は、薬剤の皮膚透過速度が急激に減少して、薬効の持続性が不十分となる。
【0039】
粘着剤組成物中でのツロブテロールの含有割合は、好ましくは1〜3重量%であり、多くの場合、1〜2.5重量%、さらには1〜2重量%の範囲内で十分な薬効を安定的かつ持続的に発揮することができる。
【0040】
本発明では、ツロブテロールを0.5〜3重量%の割合で含有する粘着剤組成物層(膏体層)の厚みを100μm超過300μm以下とする。粘着剤組成物層の厚みは、粘着剤組成物の溶液を塗工する方法により粘着剤組成物層を形成する場合には、乾燥後の厚みを意味する。
【0041】
従来、ツロブテロールを含有する経皮吸収型製剤の膏体層の厚みは、20〜50μmの範囲が好ましいとされてきたが、本発明においては、0.5〜3重量%の割合でツロブテロールを含有する膏体層の厚みを100μm超過300μm以下と大きくする。従来、ツロブテロールが溶解状態で存在する膏体層の厚みを厚くすると、投与初期に急峻な山形のある皮膚透過プロファイルを示し、薬物の血中濃度の急激な上昇と、その後の、皮膚透過速度の急激な低下を招くと考えられていた。
【0042】
ところが、このような予測に反して、本発明の経皮吸収型製剤は、極めて良好な皮膚透過プロファイルを示し、投与初期に薬物の血中濃度の急激な上昇を引き起こすことがなく、しかも十分な薬効を安定的かつ持続的に発揮することができる。高濃度のツロブテロールを含有し、その一部が結晶状態で分散している従来の経皮吸収型製剤と比べて、本発明の経皮吸収型製剤は、ほぼ同等の良好な皮膚透過プロファイルを示す。また、結晶状態のツロブテロールが分散した膏体層を有する経皮吸収型製剤は、乾燥温度などの製造条件の変動によって、同じ処方でも累積皮膚透過量が変化するが、本発明の経皮吸収型製剤は、製造条件の変動による累積皮膚透過量の変化がない。さらに、本発明の経皮吸収型製剤は、膏体層中にツロブテロールが完全に溶解した状態で存在しているため、環境温度の変化や貯蔵時間などを含む経時条件によるツロブテロールの状態変化がなく、安定した品質を示すことができる。
【0043】
結晶状態のツロブテロールが分散した膏体層を有する経皮吸収型製剤は、膏体層の厚みを大きくすると、品質の安定性が更に低下し、また、皮膚との界面での結晶析出による接着性の低下やコスト高になるなどの問題が生じる。他方、高濃度のツロブテロールを溶解状態で含有する膏体層を有する経皮吸収型製剤は、膏体層の厚みを100μmを超えて厚くすると、投与初期の皮膚透過速度が大きくなりすぎて、薬剤の血中濃度の急激な上昇による副作用のおそれが生じる。
【0044】
このように、本発明の経皮吸収型製剤は、0.5〜3重量%のツロブテロールを溶解状態で含有する膏体層の厚みを100μm超過300μm以下とすることにより、品質の安定性に優れ、十分な薬効を安定的かつ持続的に発揮することができる。本発明の経皮吸収型製剤は、実用上十分な皮膚接着性を有しており、皮膚刺激性がなく、しかも長時間にわたって薬効が持続するため、経済的である。本発明の経皮吸収型製剤の粘着剤組成物層(膏体層)の厚みは、好ましくは105〜250μm、より好ましくは110〜200μmである。膏体層の厚みが大きくなりすぎると、薬剤の利用率が低下したり、貼付感が悪くなったりする。
【0045】
粘着剤とツロブテロールとを含有する粘着剤組成物は、粘着剤としてゴム系粘着剤を用いることが好ましく、ポリイソプレンをゴム基剤として含有するゴム系粘着剤を使用することがより好ましい。ゴム基剤は、粘着付与樹脂を含有するものであることが好ましく、粘着付与樹脂としては、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、及び脂環族炭化水素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の粘着付与樹脂が好ましい。
【0046】
ゴム基剤と粘着付与樹脂との重量比は、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30、特に好ましくは40:60〜60:40である。多くの場合、ゴム基剤と粘着付与樹脂との重量比が45:55〜55:45の範囲内で良好な結果を得ることができる。
【0047】
本発明の経皮吸収型製剤は、粘着剤組成物層(膏体層)がポリイソプレン、粘着付与樹脂及びツロブテロールを含有し、ポリイソプレンと粘着付与樹脂との重量比が前記範囲内であることが好ましい。膏体層中に、ツロブテロールは、粘着剤組成物全量基準で、0.5〜3重量%の割合で含有されている。各種添加剤の中でも、老化防止剤を添加することが好ましい。老化防止剤は、粘着剤組成物全量基準で、好ましくは0.1〜3重量%、より好ましくは0.2〜2重量%、特に好ましくは0.3〜1重量%の割合で用いられる。
【0048】
粘着剤組成物の全量からツロブテロール量またはツロブテロールと老化防止剤などの添加剤との合計量を差し引いた残量は、粘着剤量である。粘着剤量の上限値は、通常99.4重量%である。粘着剤がゴム基剤と粘着付与樹脂とで構成される場合、粘着剤組成物全量基準で、ゴム基剤の割合は、好ましくは30〜69重量%、より好ましくは35〜64重量%、特に好ましくは40〜59重量%であり、粘着付与樹脂の割合は、好ましくは30〜69重量%、より好ましくは35〜64重量%、特に好ましくは40〜59重量%である。
【0049】
本発明の経皮吸収型製剤は、支持体の片面に粘着剤組成物層が設けられた層構成を有しているが、粘着剤組成物層の支持体とは反対側の面を保護するために、保護フィルムを被覆することが好ましい。保護フィルムとしては、前記支持体と同様に、薬剤の漏出や揮散を防止し、かつ薬剤を吸着しないものであることが好ましい。保護フィルムの具体例としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースのフィルムを挙げることができる。これらのフィルムは、単層でもよいが、必要に応じて2層以上の多層フィルムでもよい。保護フィルムは、使用時に膏体層から剥離するため、膏体層と接触する側の表面をシリコーン処理やフルオロカーボン処理などを行って剥離性を向上させたり、剥離性を向上させるための添加剤を含有させることができる。
【0050】
本発明の経皮吸収型製剤の製造方法は、特に制限がなく、この技術分野で一般に採用されている製造方法により製造することができる。例えば、本発明の経皮吸収型製剤は、粘着剤組成物層の構成成分をヘキサン、トルエン、酢酸エチルなどの有機溶媒に溶解させて塗工液を調製し、この塗工液を保護フィルム上に伸展した後、有機溶媒を乾燥除去し、そして支持体を貼り合わせる方法により製造することができる。本発明の経皮吸収型製剤は、乾燥温度などの製造条件の変動によって皮膚透過速度や皮膚透過量などの品質が変化し難いため、使用する有機溶媒の種類などに応じて、幅広い乾燥条件を採用することができる。このようにして得られた多層で長尺の経皮吸収型製剤は、所望の形状に切断して製品とすることができる。
【実施例】
【0051】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明の好ましい態様についてより具体的に説明する。
【0052】
[実施例1]
ポリイソプレン(日本ゼオン株式会社製、商品名「ニポールIR−2200」)49.1重量%、テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製、商品名「YSレジンPX1000」)49.1重量%、ジブチルヒドロキシトルエン(老化防止剤)0.5重量%、及びツロブテロール1.3重量%を、ヘキサンとトルエンの重量比70:30の混合溶媒中に均一に溶解させて、全構成成分の濃度25重量%の塗工液を調製した。この塗工液を、乾燥後の厚みが50μmとなるように保護フィルム(厚み75μmの片面シリコーン処理ポリエステルフィルム、フジモリ産業社製、商品名「フィルムバイナ75E−0010」)上に伸展し、80℃の温度で10分間乾燥した。この操作を3回繰り返して、合計厚み150μmの粘着剤組成物層(膏体層)を形成した。次いで、この粘着剤組成物層の上に、支持体(厚み25μmのポリエステルフィルム、東レ社製、商品名「ルミラーS10」)を貼り合わせて、経皮吸収型製剤を作製した。
【0053】
[実施例2]
粘着付与樹脂として、テルペン樹脂に代えて、脂肪族炭化水素樹脂(日本ゼオン社製、商品名「クイントンA100」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、経皮吸収型製剤を作製した。
【0054】
[実施例3]
粘着付与樹脂として、テルペン樹脂に代えて、脂環族炭化水素樹脂(荒川化学工業社製、商品名「アルコンP100」)用いたこと以外は、実施例1と同様にして、経皮吸収型製剤を作製した。
【0055】
[実施例4]
ポリイソプレン(日本ゼオン株式会社製、商品名「ニポールIR−2200」)48.8重量%、脂環族炭化水素樹脂(荒川化学工業社製、商品名「アルコンP100」)48.8重量%、ジブチルヒドロキシトルエン0.4重量%、及びツロブテロール2.0重量%を、ヘキサンとトルエンの重量比70:30の混合溶媒中に均一に溶解させて、全構成成分の濃度25重量%の塗工液を調製した。この塗工液を、乾燥後の厚みが55μmとなるように保護フィルム(厚み75μmの片面シリコーン処理ポリエステルフィルム、フジモリ産業社製、商品名「フィルムバイナ75E−0010」)上に伸展し、80℃の温度で11分間乾燥た。この操作を2回繰り返して、合計厚み110μmの粘着剤組成物層(膏体層)を形成した。次いで、この粘着剤組成物層の上に、支持体(厚み25μmのポリエステルフィルム、東レ社製、商品名「ルミラーS10」)を貼り合わせて、経皮吸収型製剤を作製した。
【0056】
[実施例5]
ポリイソプレン(日本ゼオン株式会社製、商品名「ニポールIR−2200」)48.3重量%、脂環族炭化水素樹脂(荒川化学工業社製、商品名「アルコンP100」)48.3重量%、ジブチルヒドロキシトルエン0.4重量%、及びツロブテロール3.0重量%を、ヘキサンとトルエンの重量比70:30の混合溶媒中に均一に溶解させて、全構成成分の濃度25重量%の塗工液を調製した。この塗工液を、乾燥後の厚みが50μmとなるように保護フィルム(厚み75μmの片面シリコーン処理ポリエステルフィルム、フジモリ産業社製、商品名「フィルムバイナ75E−0010」)上に伸展し、80℃の温度で10分間乾燥した。この操作を3回繰り返して、合計厚み150μmの粘着剤組成物層(膏体層)を形成した。次いで、この粘着剤組成物層の上に、支持体(厚み25μmのポリエステルフィルム、東レ社製、商品名「ルミラーS10」)を貼り合わせて、経皮吸収型製剤を作製した。
【0057】
[実施例6]
伸展後の乾燥工程で、乾燥温度を80℃から40℃に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、経皮吸収型製剤を作製した。乾燥時間は、20分間であった。
【0058】
[比較例1]
ポリイソプレン(日本ゼオン株式会社製、商品名「ニポールIR−2200」)48.8重量%、テルペン樹脂(ヤスハラケミカル社製、商品名「YSレジンPX1000」)48.8重量%、ジブチルヒドロキシトルエン(老化防止剤)0.4重量%、及びツロブテロール2.0重量%を、ヘキサンとトルエンの重量比70:30の混合溶媒中に均一に溶解させて、全構成成分の濃度25重量%の塗工液を調製した。この塗工液を、乾燥後の厚みが50μmとなるように保護フィルム(厚み75μmの片面シリコーン処理ポリエステルフィルム、フジモリ産業社製、商品名「フィルムバイナ75E−0010」)上に伸展し、80℃の温度で10分間乾燥した。この操作を3回繰り返して、合計厚み150μmの粘着剤組成物層(膏体層)を形成した。次いで、この粘着剤組成物層の上に、支持体(厚み25μmのポリエステルフィルム、東レ社製、商品名「ルミラーS10」)を貼り合わせて、経皮吸収型製剤を作製した。
【0059】
[比較例2]
比較例1において、ポリイソプレンを48.8重量%から47.8重量%に、テルペン樹脂を48.8重量%から47.8重量%に、そしてツロブテロールを2.0重量%から4.0重量%に、それぞれ変更したこと以外は、比較例2と同様にして経皮吸収型製剤を作製した。
【0060】
[比較例3]
粘着付与樹脂として、テルペン樹脂に代えて、脂肪族炭化水素樹脂(日本ゼオン社製、商品名「クイントンA100」)を用いたこと以外は、比較例2と同様にして、経皮吸収型製剤を作製した。
【0061】
[比較例4]
粘着付与樹脂として、テルペン樹脂に代えて、脂環族炭化水素樹脂(荒川化学工業社製、商品名「アルコンP100」)を用いたこと以外は、比較例2と同様にして、経皮吸収型製剤を作製した。
【0062】
[比較例5]
ポリイソブチレン(エクソン化学社製、商品名「ビスタネックスMML−80」)64.0重量%、ポリブテン(日本石油化学社製、商品名「HV−300」)8.0重量%、脂環族炭化水素樹脂(荒川化学工業社製、商品名「アルコンP100」)17.5重量%、ジブチルヒドロキシトルエン0.5重量%、及びツロブテロール10.0重量%を、ヘキサンとトルエンの重量比70:30の混合溶媒中に均一に溶解させて、全構成成分の濃度25重量%の塗工液を調製した。この塗工液を、乾燥後の厚みが20μmとなるように保護フィルム(厚み75μmの片面シリコーン処理ポリエステルフィルム、フジモリ産業社製、商品名「フィルムバイナ75E−0010」)上に伸展し、80℃の温度で4分間乾燥して、厚み20μmの粘着剤組成物層(膏体層)を形成した。次いで、この粘着剤組成物層の上に、支持体(厚み25μmのポリエステルフィルム、東レ社製、商品名「ルミラーS10」)を貼り合わせて、経皮吸収型製剤を作製した。
【0063】
[比較例6]
伸展後の乾燥工程で、乾燥温度を80℃から40℃に変更したこと以外は、比較例5と同様にして、経皮吸収型製剤を作製した。乾燥時間は、8分間であった。
【0064】
【表1】

【0065】
<薬剤の状態>
粘着剤組成物層(膏体層)中での薬剤(ツロブテロール)の状態は、経皮吸収型製剤を23℃の恒温槽中に24時間放置した後、目視と倍率40倍の光学顕微鏡での観察により、膏体層の表面及び膏体層の断面に結晶が認められない場合を「溶解」状態であると評価し、結晶が分散している場合を「結晶分散」と評価した。
【0066】
<皮膚透過性試験>
前記実施例と比較例で作製した各製剤(表面積=1.77cm)について、Franz型拡散セルを用いてヘアレスマウス(7週齢、雄性)腹部摘出皮膚に対する透過試験を行った。レシーバー液として生理食塩水(34℃)を用い、試験開始後2時間毎にレシーバー液1mLを採取し、同量の新しいレシーバー液を補充した。採取したレシーバー液にメタノールを加えて不純物を除去した後、高速液体クロマトグラフ法により、薬剤濃度を測定した。
【0067】
このようにして測定した薬剤濃度値に基づいて、薬剤の累積皮膚透過量(μg/cm)と皮膚透過速度(μg/cm/hr)を算出した。各検体につき3回試験して、その平均値を算出した。結果を表2〜3と図1〜3に示した。
【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
<試験結果の評価>
(1)表2と図1に示される試験結果によれば、本発明の経皮吸収型製剤(実施例1、2、4)は、高濃度でツロブテロールを含有する経皮吸収型製剤(比較例2〜4)と遜色のない薬剤の累積皮膚透過量を示し、低濃度で膏体層の厚みが低い経皮吸収型製剤(比較例1)に比べて、良好な薬剤の累積皮膚透過量を示している。
【0071】
(2)表2と図2に示される試験結果によれば、本発明の経皮吸収型製剤(実施例3及び6)は、同じ処方で乾燥条件が相違しているにもかかわらず、同等の累積皮膚透過量を示している。これに対して、ツロブテロールの結晶が分散している膏体層を有する経皮吸収型製剤(比較例5及び6)は、同じ処方で乾燥条件が相違すると、薬剤の累積皮膚透過量が有意に変動していることが分かる。
【0072】
すなわち、ツロブテロールの結晶を含有する経皮吸収型製剤(比較例5〜6)は、製造時の乾燥温度を80℃にしたとき(比較例5)と40℃にしたとき(比較例6)で、透過性に約10%の差異を示し、品質の安定性に劣るが、本発明の製剤(実施例3及び6)は、製造時の乾燥温度を変化させても、皮膚透過性に影響を示さない。
【0073】
(3)表3及び図3に示される試験結果によれば、4重量%の濃度のツロブテロールを完全に溶解した状態で含有する膏体層を有する経皮吸収型製剤(比較例2〜4)は、投与初期に高い皮膚透過速度を示す皮膚透過プロファイルを有しており、貼付時間が長くなるにつれて薬剤の皮膚透過速度が著しく低下している。
【0074】
すなわち、ツロブテロールを完全に溶解した状態で4重量%の濃度で含有し、かつ膏体層の厚みが50μmである経皮吸収型製剤(比較例2〜4)は、初期に高い皮膚透過性を示し、実際に適用した際に急激な血中濃度上昇による副作用が懸念され、また、急激な皮膚透過性の低下により薬効の持続性が期待できない。
【0075】
これらの経皮吸収型製剤(比較例2〜4)は、膏体層の厚みが50μmであるが、この厚みを100μm超過、さらには150μmにすれば、投与初期における皮膚透過プロファイルが更に急峻なものとなり、薬剤の血中濃度の増大による副作用の発現が強く懸念されるようになることは明らかである。
【0076】
一方、ツロブテロールの濃度を低くしても、従来の50μmの膏体層厚みでは(比較例1)、薬効の持続性が不足する。
【0077】
これに対して、本発明の経皮吸収型製剤(実施例1〜4)は、良好な皮膚透過プロファイルを示し(図3)、しかもツロブテロールが結晶状態で分散している膏体層を有する経皮吸収型製剤(比較例5)のように、製造条件の変動や経時によって薬剤の放出性が変化を受けることがない(図2)。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の経皮吸収型製剤は、気管支拡張作用を有するツロブテロールを含有するため、気管支拡張薬として、気管支喘息やその他の閉塞性肺疾患の治療に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、実施例1、2、4及び比較例1〜4で作製した経皮吸収型製剤の累積皮膚透過量を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例3、6及び比較例5〜6で作製した経皮吸収型製剤の累積皮膚透過量を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例1〜4及び比較例1〜5で作製した経皮吸収型製剤の皮膚透過速度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の片面に、粘着剤とツロブテロールとを含有する粘着剤組成物層が形成された経皮吸収型製剤において、粘着剤組成物層中に0.5〜3重量%のツロブテロールが溶解状態で含有されており、かつ粘着剤組成物層の厚みが100μm超過300μm以下であることを特徴とする経皮吸収型製剤。
【請求項2】
粘着剤が、ポリイソプレンをゴム基剤として含有するゴム系粘着剤である請求項1記載のツロブテロール含有経皮吸収型製剤。
【請求項3】
ゴム系粘着剤が、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、及び脂環族炭化水素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の粘着付与樹脂を更に含有するものである請求項2記載の経皮吸収型製剤。
【請求項4】
粘着剤組成物層が、ポリイソプレンと粘着付与樹脂とを20:80〜80:20の重量比で含有するものである請求項3記載の経皮吸収型製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−22011(P2006−22011A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198931(P2004−198931)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000004020)ニチバン株式会社 (80)
【Fターム(参考)】