説明

経皮吸収貼付剤

【課題】経時的な粘着特性の変化を抑制することができるとともに、薬物の持続的な徐放性に優れた経皮吸収貼付剤を提供すること。
【解決手段】経皮吸収貼付剤1は、支持基材11と、支持基材11の一方の面側に設けられ、薬物を含有する薬物貯蔵層12と、支持基材11と薬物貯蔵層12との間に設けられ、支持基材11と薬物貯蔵層12とを接合する接合層13と、薬物貯蔵層12の支持基材11とは反対側の面に設けられた第1の粘着剤層14と、第1の粘着剤層14の皮膚に貼着する側の面に設けられた第2の粘着剤層15と、第2の粘着剤層15の皮膚に貼着する側の面に設けられた剥離シート17を有している。薬物貯蔵層12と接する第1の粘着剤層14のゲル分率が65〜95%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮吸収貼付剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ニコチンやフェンタニール等の薬物を皮膚から徐々に吸収させて、ニコチン依存や患部の炎症を改善する経皮吸収貼付剤が知られている。
【0003】
このような経皮吸収貼付剤としては、例えば、粘着剤層に薬物を含有させたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の経皮吸収貼付剤では、薬物が粘着剤層の可塑剤として機能し、粘着剤層の皮膚への付着性が高くなってしまい、貼付剤を剥がす際に痛みを伴ったり、皮膚に粘着剤の一部の残ってしまう(糊残り)といった問題があった。また、単に含有させただけでは、薬物の放出量をコントロールするのが困難であった。
【0005】
このような問題を解決するため、薬物を貯蔵する薬物貯蔵層と粘着剤層とで構成された経皮吸収貼付剤が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の経皮吸収貼付剤では、薬物貯蔵層を構成する薬物やその他の成分が粘着剤層に移行することによって、粘着剤層の粘着特性が経時的に変化してしまい、経時的に安定な貼着性を得るのが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2837337号公報
【特許文献2】特許第2701951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、経時的な粘着特性の変化を抑制することができるとともに、薬物の持続的な徐放性に優れた経皮吸収貼付剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)〜(7)の本発明により達成される。
(1)皮膚に貼付して用いられる経皮吸収貼付剤であって、
皮膚に貼着する側に設けられた単層または複層の粘着剤層と、前記粘着剤層の皮膚に貼付する面とは反対側に設けられた薬物貯蔵層とを有し、
前記薬物貯蔵層は、薬物と、低分子固体成分とを含有し、
前記薬物貯蔵層中における前記薬物の含有量を1としたときの前記低分子固体成分の含有量が、質量比で0.5〜20であり、
前記粘着剤層のうち、少なくとも1層のゲル分率が65〜95%であることを特徴とする経皮吸収貼付剤。
【0010】
(2)前記粘着剤層のうち、最外層に位置する粘着剤層のプローブタック値が3000〜9000mN/5mmφである上記(1)に記載の経皮吸収貼付剤。
【0011】
(3)前記粘着剤層は、主としてアクリル系粘着剤で構成されたものである上記(1)または(2)に記載の経皮吸収貼付剤。
【0012】
(4)前記薬物貯蔵層は、繊維状物質で構成された基体に前記薬物と前記低分子固体成分とを含浸させたものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の経皮吸収貼付剤。
【0013】
(5)前記薬物は、ニコチンである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の経皮吸収貼付剤。
【0014】
(6)前記低分子固体成分の数平均分子量は、100〜20000である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の経皮吸収貼付剤。
【0015】
(7)前記低分子固体成分は、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の経皮吸収貼付剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、経時的な粘着特性の変化を抑制することができるとともに、薬物の持続的な徐放性に優れた経皮吸収貼付剤を提供することができる。特に、本発明によれば、薬物としてニコチンを用いた場合において、粘着特性の経時安定性に特に優れるとともに、ニコチンの徐放性に特に優れた経皮吸収貼付剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の経皮吸収貼付剤の好適な実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の経皮吸収貼付剤の製造方法の一例を示す工程図である。
【図3】本発明の経皮吸収貼付剤の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の経皮吸収貼付剤の他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の経皮吸収貼付剤の好適な実施形態を示す断面図である。
【0019】
図1に示すように、経皮吸収貼付剤1は、支持基材11と、支持基材11の一方の面側に設けられ、薬物を含有する薬物貯蔵層12と、支持基材11と薬物貯蔵層12との間に設けられ、支持基材11と薬物貯蔵層12とを接合する接合層13と、薬物貯蔵層12の支持基材11とは反対側の面に設けられた第1の粘着剤層14と、第1の粘着剤層14の皮膚に貼着する側の面に設けられた第2の粘着剤層15と、第2の粘着剤層15の皮膚に貼着する側の面に設けられた剥離シート17を有している。
【0020】
支持基材11は、後述する薬物貯蔵層12、第1の粘着剤層14および第2の粘着剤層15を支持する機能を有する。かかる基材は、可撓性(柔軟性)を有し、貼付時における曲面追従性をもち、加工時における裁断または打ち抜き等に適したものが好ましい。
【0021】
このような支持基材11としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ポリスルホン、ナイロン、ポリ乳酸、レーヨン、アクリル等の樹脂からなるプラスチックフィルム、織物、編物および不織布を用いることが可能である。さらに、プラスチックフィルムと、プラスチックフィルム、織物、編物、不織布および紙等とのラミネートシートを用いることが可能である。
【0022】
支持基材11の平均厚さは、2〜4000μmであるのが好ましく、10〜300μmであるのがより好ましい。
【0023】
薬物貯蔵層12は、後述する接合層13を介して上記支持基材11の一方の面側に接合されており、薬物と、低分子固体成分とを含有してなるものである。
【0024】
薬物貯蔵層12は、後述する第1の粘着剤層14および第2の粘着剤層を介して貼着した皮膚に対して薬物を徐放する機能を備えている。
【0025】
薬物貯蔵層12を構成する薬物としては、例えば、ニコチン、フェンタニール、ニトログリセリン等が挙げられる。上述した中でも、ニコチンは、液状で揮発性を有し、毒性の強い薬物であるとともに、水や有機溶剤への溶解性が高いため、経皮吸収貼付剤とした場合に薬物放出速度をコントロールするのが難しい薬物であるが、本発明の経皮吸収貼付剤を用いることにより、薬物放出速度を容易に制御することができる。
【0026】
薬物貯蔵層12に含まれる薬物の含有量は、0.1〜50質量%であるのが好ましく、1〜30質量%であるのがより好ましい。
【0027】
薬物貯蔵層12を構成する低分子固体成分は、薬物との相溶性が高い成分で、薬物の徐放性を制御する機能を備えた成分である。すなわち、低分子固体成分は、薬物と相溶することによって、薬物の放出速度を制御することが可能な成分である。このような成分を含むことにより、薬物を比較的均一な速度で長期にわたって徐放させることができる。
【0028】
このような低分子固体成分は、その数平均分子量が100〜20000のものであるのが好ましく、500〜10000のものであるのがより好ましく、500〜3000であるのがさらに好ましい。これにより、薬物の徐放性をより確実に制御することができる。なお、固体とは室温で固体であることをいう。
【0029】
このような低分子固体成分としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、水添ロジン、水添ロジングリセリンエステル等のロジン系樹脂、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂、脂肪族系(C5)石油樹脂、芳香族系(C9)石油樹脂、脂環族系石油樹脂、クマロン・インデン樹脂等の石油樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ロジン系樹脂は、皮膚に対する安全性、経済性の点から好適に用いることができる。特に、ロジン系樹脂は、ニコチンとの相溶性が高く、薬物としてニコチンを用いた経皮吸収貼付剤に好適に用いることができる。
【0030】
本発明において、薬物貯蔵層内における低分子固体成分の含有量は、薬物貯蔵層内における上記薬物の含有量を1としたとき、質量比で0.5〜20である。このような含有量とすることにより、経皮吸収貼付剤の薬物の持続的な徐放性を優れたものとすることができる。これに対して、低分子固体成分の含有量が前記下限値未満であると、薬物を持続的に徐放するのが困難となる。一方、低分子固体成分の含有量が前記上限値を超えると、多量の低分子固体成分が、後述する粘着剤層(第1の粘着剤層および第2の粘着剤層)側に経時的に移行し、粘着剤層の粘着特性を低下させてしまう。
【0031】
上述したように、薬物貯蔵層12内における低分子固体成分の含有量は、薬物貯蔵層12内における上記薬物の含有量を1としたとき、質量比で0.5〜20であるが、1〜10であるのがより好ましく、2〜10であるのがさらに好ましい。これにより、経皮吸収貼付剤の薬物の持続的な徐放性を特に優れたものとすることができる。
【0032】
また、薬物貯蔵層12は、上記成分を、繊維状物質で構成された基体に含浸させてなるものであるのが好ましい。これにより、上述したような薬物および低分子固体成分を薬物貯蔵層12内に効果的に保持することができるとともに、薬物の持続的な徐放性をより優れたものとすることができる。なお、上記成分の基体への含浸方法としては塗布、浸漬、滴下、噴霧等の手段が挙げられる。
【0033】
繊維状物質で構成された基体としては、例えば、織物、編物、不織布および紙等が挙げられる。上述した中でも織布を用いるのが好ましい。これにより、薬物および低分子固体成分を薬物貯蔵層12内により効果的に保持することができるとともに、薬物の持続的な徐放性をより優れたものとすることができる。
【0034】
また、繊維状物質を構成する材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0035】
また、繊維状物質は、多孔性の中空繊維(多孔性中空繊維)であるのが好ましい。これにより、上述したような薬物および低分子固体成分を薬物貯蔵層12(繊維の中空部)内により確実に保持することができるとともに、薬物の持続的な徐放性を特に優れたものとすることができる。なお、本明細書中において、多孔性中空繊維とは、繊維軸方向に沿って中空部を有する中空繊維の外壁面に細孔を有し、かつ、少なくともその細孔の一部は繊維の中空部にまで貫通している繊維をいう。
【0036】
繊維状物質として多孔性中空繊維を用いた場合、その単糸の太さは、1〜500μmであるのが好ましく、3〜250μmであるのがより好ましい。
【0037】
また、多孔性中空繊維の外壁面の細孔の空隙率は、0.1〜70%であるのが好ましく、1〜60%であるのがより好ましい。
【0038】
また、多孔性中空繊維の中空部の空隙率は、3〜90%であるのが好ましく、5〜80%であるのがより好ましい。
【0039】
また、多孔性中空繊維の細孔および中空部の空隙率の合計は、10〜95%であるのが好ましく、20〜85%であるのがより好ましい。
【0040】
なお、本明細書中において、多孔性中空繊維の中空部の空隙率および細孔の空隙率は、多孔性中空繊維の容積に対する多孔性中空繊維の中空部の容積および細孔の容積として算出する。ここで、多孔性中空繊維の中空部の容積および細孔の容積は、水銀圧入法により測定することができる。
【0041】
薬物貯蔵層12の平均厚さは、5〜5000μmであるのが好ましく、10〜500μmであるのがより好ましい。
【0042】
本実施形態において、薬物貯蔵層12は、図1に示すように、後述する接合層13と第1の粘着剤層14とで密封されている。このように密封することにより、薬物貯蔵層12内の薬物の揮発や劣化を防止することができ、薬物をより確実に皮膚へと移行させることができる。
【0043】
なお、薬物貯蔵層12中には、上記成分の他、例えば、安定化剤、抗酸化剤、香料やpH調整剤等を必要に応じて添加してもよい。
【0044】
接合層13は、前述した支持基材11と薬物貯蔵層12とを接合する機能を備えている。
【0045】
接合層13を構成する材料としては、支持基材11と薬物貯蔵層12とを接合することが可能な材料であれば特に限定されず、例えば、熱硬化型接着剤、粘接着剤、熱可塑性接着剤、ホットメルト接着剤等の接着剤、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤等を用いることができる。
【0046】
接合層13の平均厚さは、5〜100μmであるのが好ましく、10〜50μmであるのがより好ましい。
【0047】
第1の粘着剤層14は、図1に示すように、薬物貯蔵層12の皮膚に貼着する側の面に設けられている。すなわち、第1の粘着剤層は、薬物貯蔵層12と接するように形成されている。
【0048】
また、第1の粘着剤層14は、薬物貯蔵層12から移行してきた薬物を、貼着した皮膚側に透過する機能を備えている。
【0049】
本実施形態の経皮吸収貼付剤は、第1の粘着剤層(薬物貯蔵層と接する粘着剤層)のゲル分率が65〜95%である点に特徴を有している。
【0050】
ところで、従来の経皮吸収貼付剤では、薬物貯蔵層を構成する薬物やその他の成分が粘着剤層に移行することによって、粘着剤層の粘着特性が経時的に変化してしまい、経時的に安定な貼着性を得るのが困難であった。特に、本発明の経皮吸収貼付剤の薬物貯蔵層中に含まれる低分子固体成分は、薬物の徐放性を制御する優れた機能を備えているものの、上記のような傾向が強く、経時的に粘着力が高くなってしまい、皮膚に貼付後に剥離する際に、痛みや糊残りが生じるといった問題がある。これは、低分子固体成分が粘着剤層中において粘着付与剤として働き、粘着力が上がるためであると考えられる。
【0051】
これに対して、本実施形態のように、薬物貯蔵層と接する粘着剤層(第1の粘着剤層)のゲル分率を上記所定の範囲のものとすることにより、上記問題を解決することができる。言い換えると、薬物貯蔵層と接する粘着剤層(第1の粘着剤層)のゲル分率を上記所定の範囲のものとすることにより、薬物貯蔵層から、薬物や低分子固体成分が第1の粘着剤層に移行しても、薬物や低分子固体成分による粘着付与効果を抑制することができ、経時的に粘着力が高くなるのを防止することができる。その結果、薬物の徐放性に優れるとともに、経時的な粘着特性の変化を抑制することができる。特に、本実施形態では、第1の粘着剤層の皮膚への貼着側に第2の粘着剤層を有しているので、経時的な粘着特性の変化をより確実に防止することができるとともに、薬物の徐放性に優れたものとすることができる。
【0052】
第1の粘着剤層のゲル分率が前記下限値未満であると、薬物や低分子固体成分による粘着付与効果を抑制することができず、経時的に粘着力が高くなるのを防止することができない。一方、第1の粘着剤層のゲル分率が前記上限値を超えると、第1の粘着剤層の柔軟性(可撓性)が低下し、曲面への貼着性が低下する。
【0053】
上述したように、本実施形態において、薬物貯蔵層と接する粘着剤層(第1の粘着剤層)のゲル分率は、65〜95%であるが、67〜90%であるのがより好ましく、70〜85%であるのがさらに好ましい。これにより、本発明の効果をより顕著なものとすることができる。
【0054】
なお、本発明において、「ゲル分率」とは、以下のように算出される値をいう。
粘着剤層を構成する粘着剤約300mgを380メッシュの濾布で包み、ゲル分が漏出しないように端部をとめ、試料とする。試料の重量を精密に量り、酢酸エチルを溶媒として、ソックスレー抽出器を用い16時間加熱環流を行う。加熱環流後、十分に乾燥した試料の重量を精密に量る。加熱環流前後の試料の重量差を下記式(I)により計算し、ゲル分率(%)を算出する。
【0055】
ゲル分率(%)=(加熱環流後の重量)/(加熱環流前の重量)×100 ……(I)
第1の粘着剤層14を構成する粘着剤としては、第1の粘着剤層14のゲル分率が上記範囲となるものであれば特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を用いることができる。上述した中でも、アクリル系粘着剤を用いるのが好ましい。これにより、第1の粘着剤層14のゲル分率を上述したような範囲に容易に調整することができる。また、薬物の透過性に優れた層とすることができる。
【0056】
例えば、粘着剤としてアクリル系粘着剤を用いる場合、粘着性を与える主モノマー成分、接着性や凝集力を与えるコモノマー成分、架橋点や接着性改良のための官能基含有モノマー成分を主とする重合体または共重合体から構成することができる。
【0057】
主モノマー成分としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸メトキシエチル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0058】
コモノマー成分としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0059】
官能基含有モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0060】
これらの各成分を含むことにより、第1の粘着剤層14のゲル分率を上述したような範囲により容易に調整することができる。
【0061】
また、第1の粘着剤層を形成するのに用いる材料中には、架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤としては、エポキシ系化合物、イソシアナート化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物等が挙げられる。
【0062】
また、第1の粘着剤層を形成するのに用いる材料中には、必要に応じて、可塑剤、粘着付与剤、安定剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。
【0063】
第1の粘着剤層14の平均厚さ(図中の中央部分の平均厚さ)は、特に限定されないが、10〜200μmであるのが好ましく、20〜60μmであるのがより好ましい。これにより、経時的な粘着特性の低下をより効果的に防止することができる。
【0064】
第2の粘着剤層15は、前述した第1の粘着剤層14の薬物貯蔵層と接する面とは、反対側の面上に設けられている。すなわち、第2の粘着剤層15は、第1の粘着剤層14よりも皮膚に貼着する側に設けられている。そして、第1の粘着剤層14と接する面とは反対側の面を皮膚に接触させることにより、経皮吸収貼付剤1が貼着される。
【0065】
この第2の粘着剤層15は、薬物貯蔵層12と直接接しておらず、低分子固体成分の移行量が少ないため、粘着力の経時的変化が小さい。したがって、皮膚への貼着特性が経時的に損なわれず、長期にわたって良好な貼着特性を維持することができる。
【0066】
このような第2の粘着剤層15のゲル分率をY[%]、上述した第1の粘着剤層14のゲル分率をX[%]としたとき、X>Yの関係を満足するのが好ましい。このような関係を満足することにより、第2の粘着剤層15に、第1の粘着剤層14を介して薬物貯蔵層12の低分子固体成分が移行してきたとしても、その移行量は少ないので、経時的な粘着特性の変化をより確実に抑制することができる。また、第2の粘着剤層15の柔軟性が良好となり、経皮吸収貼付剤1の曲面への貼着性が向上する。
【0067】
第2の粘着剤層15のゲル分率は、具体的には、40〜75%であるのが好ましく、40〜70%であるのがより好ましく、40〜65%であるのがさらに好ましい。第2の粘着剤層15のゲル分率をこのような範囲のものとすることにより、第1の粘着剤層14を介して薬物貯蔵層12の低分子固体成分が移行してきた場合であっても、粘着力の経時的な上昇をより確実に抑制することができ、経時的に安定した貼着特性を備えた経皮吸収貼付剤1を提供することができる。また、第2の粘着剤層15の柔軟性が良好となり、経皮吸収貼付剤1の曲面への貼着性をより良好なものとすることができる。
【0068】
このような第2の粘着剤層15を構成する粘着剤としては、前述した第1の粘着剤層14と同様のものを用いるのが好ましい。これにより、第1の粘着剤層14と第2の粘着剤層15との密着性が向上し、層間剥離等を防止することができる。また、皮膚への貼着性を良好なものとすることができる。
【0069】
第2の粘着剤層(最外層に位置する粘着剤層)のプローブタック値は、3000〜9000mN/5mmφであることが好ましく、5000〜8000mN/5mmφであることがより好ましい。第2の粘着剤層のプローブタック値をこのような範囲のものとすることにより、皮膚への貼着性を良好なものとすることができる。
【0070】
第2の粘着剤層15の平均厚さ(図中の中央部分の平均厚さ)は、特に限定されないが、10〜200μmであるのが好ましく、20〜60μmであるのがより好ましい。これにより、皮膚への貼着性を良好なものとすることができるとともに、薬物の徐放性を良好なものとすることができる。
【0071】
また、前述した第1の粘着剤層14と第2の粘着剤層15との平均厚さ(図中の中央部分の平均厚さ)の合計は、10〜400μmであるのが好ましく、40〜120μmであるのがより好ましい。これにより、経時的な粘着特性の低下をより効果的に防止しつつ、薬物の徐放性を良好なものとすることができる。
【0072】
剥離シート17は、経皮吸収貼付剤1の未使用時において、第2の粘着剤層15の貼着面を保護する機能を備えている。
【0073】
このような剥離シート17としては、公知のものを用いることができる。
次に、上述した経皮吸収貼付剤1の製造方法の一例について説明する。
図2は、本発明の経皮吸収貼付剤の製造方法の一例を示す工程図である。
【0074】
まず、図2(a)に示すように、剥離シート17を用意する。
次に、剥離シート17の剥離面に、第2の粘着剤層15を形成する材料を塗布し、第2の粘着剤層15を形成する。
【0075】
次に、形成した第2の粘着剤層15上に、第1の粘着剤層14を形成する材料を塗布し、第1の粘着剤層14を形成する(図2(b)参照)。
【0076】
次に、形成した第1の粘着剤層14上に、繊維状の基体を貼着する。
次に、上記繊維状の基体に、薬物、低分子固体成分等の薬物貯蔵層12を構成する材料を含浸させることにより、薬物貯蔵層12を形成する(図2(c)参照)。
【0077】
一方、支持基材11を用意し、当該支持基材11上に、接合層13を形成する材料13’を付与し、接合層13を形成する。
【0078】
次に、図2(d)に示すように、薬物貯蔵層12を形成した面と、接合層13とを対向させる。
【0079】
その後、接合層13と薬物貯蔵層12とを圧着させる。この際、接合層13の縁部と、第1の粘着剤層14の縁部とが密着し、薬物貯蔵層12が経皮吸収貼付剤1内に密封される。
【0080】
以上により、図2(e)に示すように、経皮吸収貼付剤1(本発明の経皮吸収貼付剤)が得られる。
【0081】
このように、本発明の経皮吸収貼付剤は、簡便な製造方法で製造することができ、経済的にも優れている。
【0082】
以上、本発明の経皮吸収貼付剤について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0083】
例えば、前述した実施形態では、支持基材を有する構成について説明したが、支持基材はなくてもよい。
【0084】
また、前述した実施形態では、薬物貯蔵層12が接合層13と第1の粘着剤層14とで密封されている構成について説明したが、薬物貯蔵層12の端部(周囲部)は密封されていなくてもよい。
【0085】
また、前述した実施形態では、粘着剤層が2層の構成について説明したが、図3に示すように粘着剤層が1層(第1の粘着剤層14)のみの構成であってもよいし、図4に示すように、粘着剤層が3層(第1の粘着剤層14、第2の粘着剤層15および第3の粘着剤層16)の構成であってもよいし、また、粘着剤層が4層以上の構成であってもよい。このような単層または複層の粘着剤層のうち、少なくとも1層のゲル分率が65〜95%であるが、67〜90%であるのがより好ましく、70〜85%であるのがさらに好ましい。また、最外層に位置する粘着剤層のプローブタック値は、3000〜9000mN/5mmφであることが好ましく、5000〜8000mN/5mmφであることがより好ましい。さらには、複層の粘着剤層を有し、薬物貯蔵層側に位置する粘着剤層の少なくとも1層のゲル分率が、最外層に位置する粘着剤層のゲル分率よりも高いものが特に好ましい。このような範囲のものとすることにより、上述した効果を有する経皮吸収貼付剤を得ることができる。
また、本発明の経皮吸収貼付剤の製造方法は、上記方法に限定されない。
【実施例】
【0086】
次に、本発明の経皮吸収貼付剤の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
まず、アクリル酸ブチル:65質量部と、アクリル酸2−エチルヘキシル:30質量部と、メタクリル酸:2.9質量部と、ジメチルアクリルアミド:2.9質量部と、N−ビニルピロリドン:2.8質量部との共重合体の酢酸エチル溶液(固形分:50質量%)を用意した。
【0087】
次に、この共重合体の酢酸エチル溶液:100質量部に、ヘキサメチレンジエチレン尿素溶液(アジリジン系架橋剤、固形分:5質量%):2質量部を添加し、第2の粘着剤層形成材料を得た。
【0088】
一方、剥離シートとしてのポリエチレンテレフタレート(PET)製リリースライナー(リンテック社製、商品名「SP−PET7511」)を用意し、その離型面に、上記第2の粘着剤層形成材料を乾燥後の平均厚さが30μmとなるように塗布し、第2の粘着剤層を形成した。第2の粘着剤層のゲル分率は、51.0%であった。
【0089】
一方、上記共重合体の酢酸エチル溶液:100重量部に、ヘキサメチレンジエチレン尿素溶液(アジリジン系架橋剤、固形分:5質量%):10質量部を添加し、第1の粘着剤層形成材料を得た。
【0090】
次に、得られた第1の粘着剤層形成材料を、第2の粘着剤層上に乾燥後の平均厚さが30μmとなるように塗布し、第1の粘着剤層を形成した。第1の粘着剤層のゲル分率は、78.1%であった。
【0091】
次に、形成した第1の粘着剤層と、単糸の太さ18μm、多孔性中空繊維の外壁面の細孔の空隙率が12%、中空部の空隙率27%、全体の空隙率の合計が39%の多孔性中空繊維の織布(直径30mmの円形状、質量90mg)とを貼り合わせた。次に、織布に、薬物含有液(ニコチン:数平均分子量1300の水添ロジングリセリンエステル:アセトンの質量比1:5:1の混合液)を、乾燥後の含浸量が105mgになるように含浸させ、70℃4分間の条件で乾燥し、薬物貯蔵層を形成した。
【0092】
一方、支持基材としての平均厚さ:50μmのPETフィルム(東レ社製、商品名「ルミラー」)を用意した。
【0093】
この支持基材上に、接合層形成材料(上記共重合体:100重量部に、ヘキサメチレンジエチレン尿素溶液(アジリジン系架橋剤、固形分:5質量%):2質量部を添加したもの)を乾燥後の平均厚さが40μmとなるように塗布し、接合層を形成した。
【0094】
その後、形成した接合層と、薬物貯蔵層とを圧着し、薬物貯蔵層が中央部に位置するように、直径36mmの円形状に裁断し、経皮吸収貼付剤を得た。
【0095】
(実施例2)
第2の粘着剤層形成材料として、上記共重合体の酢酸エチル溶液:100重量部に、ヘキサメチレンジエチレン尿素溶液(アジリジン系架橋剤、固形分:5質量%):7.5質量部を添加したものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして経皮吸収貼付剤を製造した。なお、第2の粘着剤層のゲル分率は、72.5%であった。
【0096】
(実施例3)
第1の粘着剤層形成材料として、上記共重合体の酢酸エチル溶液:100重量部に、ヘキサメチレンジエチレン尿素溶液(アジリジン系架橋剤、固形分:5質量%):7.5質量部を添加したものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして経皮吸収貼付剤を製造した。なお、第1の粘着剤層のゲル分率は、72.5%であった。
【0097】
(実施例4)
まず、アクリル酸ブチル:65質量部と、アクリル酸2−エチルヘキシル:30質量部と、メタクリル酸:2.9質量部と、ジメチルアクリルアミド:2.9質量部と、N−ビニルピロリドン:2.8質量部との共重合体の酢酸エチル溶液(固形分50%)を用意した。
【0098】
次に、この共重合体の酢酸エチル溶液:100重量部に、ヘキサメチレンジエチレン尿素溶液(アジリジン系架橋剤、固形分:5質量%):10質量部を添加し、第1の粘着剤層形成材料を得た。
【0099】
一方、剥離シートとしてのPET製リリースライナー(リンテック社製、商品名「SP−PET7511」)を用意し、その離型面に、上記第1の粘着剤層形成材料を乾燥後の平均厚さが60μmとなるように塗布し、第1の粘着剤層を形成した。第1の粘着剤層のゲル分率は、78.1%であった。
【0100】
次に、形成した第1の粘着剤層と、単糸の太さ18μm、多孔性中空繊維の外壁面の細孔の空隙率が12%、中空部の空隙率27%、全体の空隙率の合計が39%の多孔性中空繊維の織布(直径30mmの円形状、重量90mg)とを貼り合わせた。次に、織布に、薬物含有液(ニコチン:数平均分子量1300の水添ロジングリセリンエステル:アセトンの質量比1:5:1の混合液)を、乾燥後の含浸量が105mgになるように含浸させ、70℃4分間の条件で乾燥し、薬物貯蔵層を形成した。
【0101】
一方、支持基材としての平均厚さ:50μmのPETフィルム(東レ社製、商品名「ルミラー」)を用意した。
【0102】
この支持基材上に、接合層形成材料(上記共重合体の酢酸エチル溶液:100重量部に、ヘキサメチレンジエチレン尿素溶液(アジリジン系架橋剤、固形分:5質量%):2質量部を添加したもの)を乾燥後の平均厚さが40μmとなるように塗布し、接合層を形成した。
【0103】
その後、形成した接合層と、薬物貯蔵層とを圧着し、薬物貯蔵層が中央部に位置するように、直径36mmの円形状に裁断し、経皮吸収貼付剤を得た。
【0104】
(実施例5)
第1の粘着剤層形成材料として、上記共重合体の酢酸エチル溶液:100重量部に、ヘキサメチレンジエチレン尿素溶液(アジリジン系架橋剤、固形分:5質量%):7.5質量部を添加したものを用いた以外は、前記実施例4と同様にして経皮吸収貼付剤を製造した。なお、第1の粘着剤層のゲル分率は、72.5%であった。
【0105】
(実施例6)
第1の粘着剤層形成材料として、上記共重合体の酢酸エチル溶液:100質量部に、ヘキサメチレンジエチレン尿素溶液(アジリジン系架橋剤、固形分:5質量%):5質量部を添加したものを用いた以外は、前記実施例4と同様にして経皮吸収貼付剤を製造した。なお、第1の粘着剤層のゲル分率は、67.3%であった。
【0106】
(実施例7)
薬物含有液として、ニコチン:数平均分子量1000のテルペン樹脂:酢酸エチルの質量比1:5:5の混合液を用い、乾燥時間を70℃8分間にした以外は前記実施例1と同様にして経皮吸収貼付剤を製造した。
【0107】
(実施例8)
薬物含有液として、ニコチン:数平均分子量800の脂環族系石油樹脂:酢酸エチルの質量比1:5:5の混合液を用い、乾燥時間を70℃8分間にした以外は前記実施例1と同様にして経皮吸収貼付剤を製造した。
【0108】
(実施例9)
薬物含有液として、ニコチン:数平均分子量900のテルペンフェノール樹脂:酢酸エチルの質量比1:5:5の混合液を用い、乾燥時間を70℃8分間にした以外は前記実施例1と同様にして経皮吸収貼付剤を製造した。
【0109】
(比較例1)
第1の粘着剤層形成材料として、上記共重合体の酢酸エチル溶液:100質量部に、ヘキサメチレンジエチレン尿素溶液(アジリジン系架橋剤、固形分:5質量%):2質量部を添加したものを用いた以外は、前記実施例4と同様にして経皮吸収貼付剤を製造した。なお、第1の粘着剤層のゲル分率は、51.0%であった。
【0110】
上記各実施例および各比較例で作製した経皮吸収貼付剤の各粘着剤層のゲル分率、各層の平均厚さ、薬物(ニコチン)の含有量を表1にまとめた。
【0111】
なお、各実施例および各比較例の経皮吸収貼付剤に含まれる薬物の含有量は、以下のようにして測定した。
【0112】
50mLのガラス容器に酢酸エチル30mLをとり、この中に、各実施例および各比較例の経皮吸収貼付剤1枚を入れ、20分間振とうし、薬物の抽出を行った。抽出液1mLを、メタノール10mLに加えて攪拌し、高速液体クロマトグラフィーにて定量し、薬物の含有量を測定した。
【0113】
【表1】

【0114】
<評価>
[プローブタックの経時的変化]
製造直後の各実施例および各比較例の経皮吸収貼付剤と、アルミニウム個装して40℃の環境に6週間放置した各実施例および各比較例の経皮吸収貼付剤とを用い、米国材料試験協会(ASTM D2979)で規定されるプローブタック試験を行い、プローブタック値を下記の条件にて4回測定しその平均値を測定値とした。また、その変化率を算出した。
【0115】
試験条件:
測定環境:23℃65%RH、プローブ:5mmφ(ステンレス製)、プローブ速度:100mm/秒、接着時間:1秒、接着荷重:100g。
【0116】
[薬物放出試験]
各実施例および各比較例の経皮吸収貼付剤からの薬物放出プロファイルを、米国薬局方に記載のパドルオーバーディスク法に準じて以下のようにして測定した。
【0117】
規定の溶出試験機に、pH7.4のリン酸緩衝液500mLをセットし、各実施例および各比較例の経皮吸収貼付剤は、規定のディスクに貼着面が上になるように固定し、液温32℃、回転数50rpmにて試験を行い、初期の薬物含有量に対する1時間後、2時間後、4時間後、8時間後、24時間後の薬物放出率を、高速液体クロマトグラフィーにて測定した。
【0118】
[粘着力の官能試験]
製造直後の各実施例および各比較例の経皮吸収貼付剤と、アルミニウム個装して40℃の環境に6週間放置した各実施例および各比較例の経皮吸収貼付剤とを皮膚に貼付し、24時間後に各経皮吸収貼付剤を剥がす際の剥離具合を以下の3段階の基準で評価した。
◎:剥離する際に痛みを殆ど感じなかった。
○:剥離する際に痛みを若干感じたが許容できる程度であった。
×:剥離する際に痛みを強く感じた。
これらの結果を、表2に示した。
【0119】
【表2】

【0120】
表2から明らかなように、本発明の経皮吸収貼付剤は、薬物の持続的な徐放性に優れていた。また、本発明の経皮吸収貼付剤は、粘着特性が経時的に安定なものであった。これに対し、各比較例の経皮吸収貼付剤は、満足する結果が得られなかった。
【符号の説明】
【0121】
1 経皮吸収貼付剤
11 支持基材
12 薬物貯蔵層
13 接合層
13’ 材料
14 第1の粘着剤層
15 第2の粘着剤層
16 第3の粘着剤層
17 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に貼付して用いられる経皮吸収貼付剤であって、
皮膚に貼着する側に設けられた単層または複層の粘着剤層と、前記粘着剤層の皮膚に貼付する面とは反対側に設けられた薬物貯蔵層とを有し、
前記薬物貯蔵層は、薬物と、低分子固体成分とを含有し、
前記薬物貯蔵層中における前記薬物の含有量を1としたときの前記低分子固体成分の含有量が、質量比で0.5〜20であり、
前記粘着剤層のうち、少なくとも1層のゲル分率が65〜95%であることを特徴とする経皮吸収貼付剤。
【請求項2】
前記粘着剤層のうち、最外層に位置する粘着剤層のプローブタック値が3000〜9000mN/5mmφである請求項1に記載の経皮吸収貼付剤。
【請求項3】
前記粘着剤層は、主としてアクリル系粘着剤で構成されたものである請求項1または2に記載の経皮吸収貼付剤。
【請求項4】
前記薬物貯蔵層は、繊維状物質で構成された基体に前記薬物と前記低分子固体成分とを含浸させたものである請求項1ないし3のいずれかに記載の経皮吸収貼付剤。
【請求項5】
前記薬物は、ニコチンである請求項1ないし4のいずれかに記載の経皮吸収貼付剤。
【請求項6】
前記低分子固体成分の数平均分子量は、100〜20000である請求項1ないし5のいずれかに記載の経皮吸収貼付剤。
【請求項7】
前記低分子固体成分は、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1ないし6のいずれかに記載の経皮吸収貼付剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−235063(P2009−235063A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48230(P2009−48230)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】