説明

経路広報装置、経路広報方法および経路制御装置

【課題】スループットを向上させること。
【解決手段】通信装置120は通信部121〜12nを備える。通信部121〜12nは、それぞれアドレス1〜nに対応する経路101〜10nに接続され、接続された経路101〜10nへパケットを送出する。第一取得部111は、アドレス1〜nのうちの集約可能な複数のアドレスを集約した集約アドレスを取得する。第二取得部112は、通信部121〜12nのうちの集約可能な複数のアドレスに対応する各経路に接続された各通信部について、パケットを送出可能な状態か否かを示す状態情報を取得する。判断部113は、第二取得部112によって取得された状態情報に基づいて、第一取得部111によって取得された集約アドレスを広報するか否かを判断する。広報部114は、判断部113による判断結果に応じて集約アドレスを通信装置130へ広報する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路情報を広報する経路広報装置、経路広報方法および経路制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、利用されているIP(Internet Protocol)データ通信のネットワークは、ルータやスイッチなどのネットワーク機器によって構成される。特にルータは、保持するIPネットワークの経路情報をルーティングプロトコルにより対向ルータに通知(広報)することで、サーバやPC端末などのIPデータ通信の疎通を確保している(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
ルーティングプロトコルには、たとえば、RIP(Routing Information Protocol)、OSPF(Open Shortest Path First)、BGP(Border Gateway Protocol)などがある。
【0004】
通信キャリアが運用する基幹ネットワークなどの大規模なネットワークにおいては、各ネットワーク機器が物理的または論理的に冗長化されている構成が用いられる。このような構成においては、ネットワーク機器や通信回線に障害が発生した場合に、冗長化した別の迂回路を使用して通信が継続される。
【0005】
また、ネットワーク機器は、ルーティングプロトコルなどを処理するルーティング制御機構と、物理インターフェースの終端やIPパケットを処理して転送するインターフェース処理機構と、が独立したモジュール型のシステム構成となっている場合がある。特に大規模なネットワークにおいては、ネットワーク機器の各機構が独立することで、装置障害やメンテナンスなどによる装置の可用性を向上させる構成となっている。
【0006】
また、ルータで経路情報を交換するプロトコルにおいては、たとえば内部ネットワークトポロジの変化を他のルータに対して隠蔽するために、ルーティングテーブルの複数のエントリを1つのエントリにまとめる集約経路が用いられている。従来のルータにおいては、ルーティングテーブルに基づいて集約経路の広報の要否が判断されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−49643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来技術では、集約経路に含まれる各経路に接続された各通信インターフェースの中に、たとえば起動中や障害発生中の通信インターフェースがあっても集約経路が広報されることがある。このため、ルータで転送できないパケットがルータへ流れこみ、パケットの破棄などが発生し、スループットが低下するという問題がある。
【0009】
このような状況は、たとえば、それぞれモジュール化されたルーティング制御機構およびインターフェース処理機構における、起動方法の違いに起因する動作開始時期のずれによって発生する。起動方法の違いとしては、たとえば、ハードウェア的な内部診断、ソフトウェア的な各機能プロセスの読み込みなどの違いがある。
【0010】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、スループットを向上させることができる経路広報装置、経路広報方法および経路制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一側面によれば、それぞれ所定のアドレスに対応する経路に接続され、接続された経路へパケットを送出する複数の通信部を備える通信装置の経路情報を広報する場合において、前記複数の通信部が接続された各経路に対応する各アドレスのうちの集約可能な複数のアドレスを集約した集約アドレスを作成し、前記複数の通信部のうちの前記集約可能な複数のアドレスに対応する各経路に接続された各通信部について、前記パケットを送出可能な状態か否かを示す状態情報を取得し、前記取得部によって取得された状態情報に基づいて、前記作成部によって作成された集約アドレスを広報するか否かを判断し、判断結果に応じて前記集約アドレスを前記通信装置に接続された通信装置へ広報する経路広報装置、経路広報方法および経路制御装置が提案される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、スループットを向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施の形態にかかる経路広報装置の一例を示す図である。
【図2】図2は、図1に示した通信システムの具体例を示す図である。
【図3−1】図3−1は、図2に示した通信システムの動作例1を示す図である。
【図3−2】図3−2は、図2に示した通信システムの動作例2を示す図である。
【図3−3】図3−3は、図2に示した通信システムの動作例3を示す図である。
【図4】図4は、図1に示した通信システムの別の具体例を示す図である。
【図5】図5は、ルータの構成例を示す図である。
【図6】図6は、ルータ設定情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、ルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図8】図8は、装置状態管理テーブルの一例を示す図である。
【図9】図9は、集約経路管理テーブルの一例を示す図である。
【図10】図10は、ルーティング条件処理部による処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、ルーティング条件処理部による処理の変形例1を示すフローチャートである。
【図12】図12は、ルーティング条件処理部による処理の変形例2を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる経路広報装置、経路広報方法および経路制御装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる経路広報装置の一例を示す図である。図1に示す通信システム100は、経路広報装置110と、通信装置120と、通信装置130と、を含んでいる。経路広報装置110は、通信装置120の経路情報(ルーティング情報)を通信装置130へ広報する。経路広報装置110は、通信装置120に設けられていてもよい。
【0016】
通信装置130は、通信装置120に接続された通信装置である。通信装置130は、通信装置120の経路情報として経路広報装置110から広報される集約アドレスに基づいて、通信装置120へパケットを転送する。具体的には、通信装置130は、図示しない他の通信装置から受信したパケットの宛先が経路広報装置110から広報された集約アドレスに該当する場合に、受信したパケットを通信装置120へ転送する。なお、通信装置130は複数存在していてもよい。
【0017】
通信装置120は、n個(nは2以上の自然数)の通信部121〜12nを備えている。通信部121〜12nは、それぞれ経路101〜10nに接続された通信インターフェースである。経路101〜10nは、それぞれアドレス1〜アドレスnに対応付けられており、対応付けられたアドレスが示すネットワークや通信装置に直接的または間接的に接続されている。
【0018】
通信装置120は、通信装置130から受信したパケットを、通信部121〜12nのうちの、受信したパケットの宛先のアドレスに対応する通信部から送出することで転送する。たとえば、通信装置120は、アドレス1を宛先とするパケットを通信装置130から受信すると、受信したパケットを通信部121から送出する。これにより、受信したパケットを、アドレス1が示す宛先に向けて転送することができる。
【0019】
経路広報装置110は、第一取得部111と、第二取得部112と、判断部113と、広報部114と、を備えている。第一取得部111は、アドレス1〜アドレスnのうちの集約可能な複数のアドレスを集約した集約アドレスを取得する。たとえば、アドレス1〜アドレスnのそれぞれは、ネットワーク番号およびホスト番号を連結したビット列と、ビット列におけるネットワーク番号とホスト番号との境界を示すネットマスクを含む。
【0020】
そして、第一取得部111は、アドレス1〜アドレスnにおけるビット列の共通部分と、共通部分の位置を示すネットマスクと、を含む集約アドレスを取得する。たとえば、アドレス1〜アドレスnの中にアドレス「A.A.A.0/24」とアドレス「A.A.B.0/24」が含まれているとする。この場合は、第一取得部111が取得する集約アドレスは、各アドレスの先頭の「A.A.」が共通であるため、たとえば「A.A.0.0/16」となる。この場合に、「/16」は共通部分の先頭からの長さを示している。
【0021】
第一取得部111は、取得した集約アドレスを判断部113へ出力する。たとえば、経路広報装置110のメモリには集約アドレスが記憶されており、第一取得部111は経路広報装置110のメモリから集約アドレスを取得する。または、第一取得部111は、通信装置120から集約アドレスを取得してもよい。
【0022】
または、第一取得部111は、通信部121〜12nに対応付けられたアドレス1〜アドレスnを記憶しており、記憶しているアドレス1〜アドレスnに基づいて集約アドレスを作成することにより取得してもよい。または、第一取得部111は、通信部121〜12nに対応付けられたアドレス1〜アドレスnを通信装置120から取得し、取得したアドレス1〜アドレスnに基づいて集約アドレスを作成することにより取得してもよい。
【0023】
第二取得部112は、通信部121〜12nのうちの、接続された経路が第一取得部111によって取得される集約経路に含まれる各通信部について、パケットを送出可能な状態か否かを示す状態情報を通信装置120から取得する。パケットを送出可能な状態とは、たとえばリンクアップの状態である。第二取得部112は、取得した状態情報を判断部113へ出力する。
【0024】
判断部113は、第二取得部112から出力された状態情報に基づいて、第一取得部111から出力された集約アドレスを通信装置130へ広報するか否かを判断する。判断部113は、集約アドレスを広報すると判断した場合は集約アドレスを広報部114へ出力し、広報しないと判断した場合は集約アドレスを広報部114へ出力しない。
【0025】
たとえば、判断部113は、通信部121〜12nのうちの集約経路に含まれる各通信部のすべてがパケットを送出可能な状態である場合は集約アドレスを広報すると判断する。判断部113は、各通信部の少なくともいずれかがパケットを送出可能な状態でない場合は集約アドレスを広報しないと判断する。
【0026】
また、判断部113は、各通信部の少なくともいずれかがパケットを送出可能な状態でない場合であっても、パケットを送出可能でない通信部の迂回路が存在する場合は、集約アドレスを広報すると判断してもよい。パケットを送出可能でない通信部の迂回路が存在する場合とは、たとえば、パケットを送出可能でない通信部を迂回する経路に接続された通信部が通信部121〜12nに含まれている場合である。
【0027】
たとえば、通信部121〜12nとアドレス1〜アドレスnとを対応付ける対応情報を取得する第三取得部を経路広報装置110にさらに設ける。対応情報は、たとえば通信装置120のルーティングテーブル(経路情報)である。そして、判断部113は、第三取得部によって取得された対応情報に基づいて、パケットを送出可能でない通信部を迂回する経路に接続された通信部が通信部121〜12nに含まれているか否かを判断する。
【0028】
たとえば、通信部122〜12nの各アドレスを集約アドレスとして集約可能であるが、通信部122がパケットを送出可能な状態でないとする。この場合において、たとえば通信部121に対応付けられたアドレス1が、通信部122に対応付けられたアドレス2と同一である場合は、通信部121は、通信部122の迂回路に接続されていると判断することができる。この場合は、判断部113は、通信部122〜12nの各アドレスを集約した集約アドレスを広報すると判断する。
【0029】
広報部114は、判断部113から集約アドレスが出力された場合に、判断部113から出力された集約アドレスを通信装置130へ広報する。具体的には、広報部114は、集約アドレスを通信装置130へ送信し、送信した集約経路を通信装置130のルーティングテーブルに登録させる。これにより、判断部113による判断結果に応じて集約アドレスを通信装置130へ広報することができる。なお、広報部114は、通信装置120を介して集約アドレスを通信装置130へ広報してもよい。
【0030】
図2は、図1に示した通信システムの具体例を示す図である。図2に示す通信システム200は、自律システム#1,#2(AS:Autonomous System)を含んでいる。自律システム#1は、ルータ211,212(r1,r2)と、ノード221〜223と、サーバ231と、を含んでいる。自律システム#2は、ルータ241と、ノード251と、PC端末261と、を含んでいる。
【0031】
自律システム#1のルータ211は、制御モジュールm0と、インターフェースモジュールm1〜m3と、を備えている。制御モジュールm0は、インターフェースモジュールm1〜m3の各通信インターフェースによるルーティングを制御する。具体的には、制御モジュールm0は、インターフェースモジュールm1〜m3の各通信インターフェースに関する経路情報を自律システム#2に広報する。図1に示した経路広報装置110は、たとえば制御モジュールm0に適用することができる。また、図1に示した通信装置120は、たとえばインターフェースモジュールm1〜m3に適用することができる。
【0032】
インターフェースモジュールm1は、通信インターフェースi11,i12を備えている。通信インターフェースi11は自律システム#2のルータ241に接続されている。インターフェースモジュールm2は、通信インターフェースi21,i22を備えている。通信インターフェースi21はノード221に接続されている。通信インターフェースi22はノード222に接続されている。インターフェースモジュールm3は、通信インターフェースi31,i32を備えている。通信インターフェースi31はノード223に接続されている。通信インターフェースi32はルータ212に接続されている。
【0033】
ルータ212は、ルータ211と、ノード221〜223と、ルータ241と、に接続されている。ノード221のアドレスを「A.A.A.0/24」とする。ノード222のアドレスを「A.A.B.0/24」とする。ノード223のアドレスを「A.A.C.0/24」とする。サーバ231はノード223に接続されている。
【0034】
ルータ211の制御モジュールm0は、インターフェースモジュールm1〜m3の各通信インターフェースに接続された各経路に対応するアドレスを経路情報としてルータ241に広報する。図2に示す例では、インターフェースモジュールm1〜m3の各通信インターフェースにはノード221〜223が接続されているため、制御モジュールm0は、ノード221〜223の各アドレスを経路情報としてルータ241へ広報する。
【0035】
このとき、ノード221〜223のアドレス「A.A.A.0/24」、「A.A.B.0/24」、「A.A.C.0/24」は、先頭の「A.A.」が共通であるため、集約アドレス「A.A.0.0/16」として集約可能である。このため、制御モジュールm0は、集約アドレス「A.A.0.0/16」をルータ241へ広報する。これにより、ノード221〜223への各経路を一括してルータ241へ広報することができる。
【0036】
なお、制御モジュールm0は、集約アドレス「A.A.0.0/16」とは別にノード221〜223の個別のアドレス「A.A.A.0/24」、「A.A.B.0/24」、「A.A.C.0/24」をルータ241へ広報してもよいし、広報しなくてもよい。ルータ211と同様に、ルータ212もノード221〜223に接続されているため、集約アドレス「A.A.0.0/16」をルータ241へ広報する。
【0037】
図3−1は、図2に示した通信システムの動作例1を示す図である。図3−1において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図3−1においては、通信インターフェースi21,i22,i31がそれぞれルータ211〜213へパケットを送出可能な状態(たとえばリンクアップの状態)であるとする。
【0038】
この場合は、ルータ211のルーティングテーブルはルーティングテーブル211aのようになる。制御モジュールm0は、集約アドレス「A.A.0.0/16」をルータ241へ広報する。また、ルータ212も集約アドレス「A.A.0.0/16」をルータ241へ広報する。
【0039】
したがって、ルータ241のルーティングテーブルはルーティングテーブル241aのようになる。この場合は、宛先が「A.A.0.0/16」である場合の転送先(NextHop)としてルータ211(r1)およびルータ212(r2)がルーティングテーブル241aに登録されることになる。図3−1に示す例では、たとえば経路コストなどによる判定により、宛先「A.A.0.0/16」に対する最良経路(BestPath)はルータ211(r1)と判定されたとする。
【0040】
ここで、PC端末261が、サーバ231に対するパケットを、宛先を「A.A.C.0/24」としてノード251へ送出したとする。ノード251は、PC端末261から送出されたパケットをルータ241へ転送する。ルータ241は、PC端末261から転送されたパケットの宛先「A.A.C.0/24」が集約アドレス「A.A.0.0/16」に該当するため、PC端末261から転送されたパケットを最良経路のルータ211へ転送する。
【0041】
ルータ211は、ルータ241から転送されたパケットの宛先が「A.A.C.0/24」であるため、転送されたパケットをルーティングテーブル211aにしたがって通信インターフェースi31から送出させる。通信インターフェースi31から送出されたパケットはノード223によってサーバ231へ転送される。
【0042】
図3−2は、図2に示した通信システムの動作例2を示す図である。図3−2において、図3−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図3−2においては、インターフェースモジュールm3に障害が発生し、通信インターフェースi31,i32がノード223とルータ212へパケットを送出可能な状態でないとする。
【0043】
この場合は、ルータ211のルーティングテーブル211aにおいて、通信インターフェースi31のエントリが消去される。制御モジュールm0は、集約アドレス「A.A.0.0/16」によって集約される経路に含まれる通信インターフェースi31がパケットを送出できない状態であり、インターフェースi32を使用してルータ212を経由したパケット送出もできない状態であるため、集約アドレス「A.A.0.0/16」のルータ241への広報を停止する。一方、ルータ212は、図3−1に示した例と同様に集約アドレス「A.A.0.0/16」をルータ241へ広報する。
【0044】
したがって、ルータ241のルーティングテーブル241aにおいては、宛先が「A.A.0.0/16」である場合の転送先(NextHop)としてルータ212(r2)のみが登録されることになる。このため、宛先「A.A.0.0/16」に対する最良経路(BestPath)はルータ212(r2)となる。
【0045】
したがって、ルータ241は、PC端末261から転送されたパケットをルータ212へ転送する。ルータ212は、ルータ241から転送されたパケットをノード223へ転送する。ノード223は、ルータ212から転送されたパケットをサーバ231へ転送する。これにより、パケットを転送できないルータ211を経由せずに、ルータ212を経由してパケットを転送することができる。このため、たとえばパケットの破棄を回避し、スループットを向上させることができる。
【0046】
また、インターフェースモジュールm3が障害から復旧すると、ルータ211のルーティングテーブル211aに通信インターフェースi31のエントリが再度登録される。また、制御モジュールm0は、集約アドレス「A.A.0.0/16」のルータ241への広報を再開する。これにより、通信システム200の動作は図3−1と同様になる。
【0047】
図3−3は、図2に示した通信システムの動作例3を示す図である。図3−3において、図3−1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図3−3においては、インターフェースモジュールm3が起動中であり、通信インターフェースi31、i32がノード223とルータ212へパケットを送出可能な状態でないとする。
【0048】
この場合は、ルータ211のルーティングテーブル211aには、通信インターフェースi31のエントリが存在しない。制御モジュールm0は、集約アドレス「A.A.0.0/16」によって集約される経路に含まれる通信インターフェースi31がパケットを送出できない状態であり、インターフェースi32を使用してルータ212を経由したパケット送出もできない状態であるため、集約アドレス「A.A.0.0/16」のルータ241への広報を停止する。一方、ルータ212は、図3−1に示した例と同様に集約アドレス「A.A.0.0/16」をルータ241へ広報する。
【0049】
これにより、通信システム200の動作は、図3−2に示した動作と同様の動作となる。このため、たとえばパケットの破棄を回避し、スループットを向上させることができる。また、インターフェースモジュールm3が起動すると、ルータ211のルーティングテーブル211aに通信インターフェースi31のエントリが登録される。また、制御モジュールm0は、集約アドレス「A.A.0.0/16」のルータ241への広報を開始する。これにより、通信システム200の動作は図3−1と同様になる。
【0050】
図4は、図1に示した通信システムの別の具体例を示す図である。図4において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図4に示す通信システム200において、自律システム#1は、ルータ211〜213(r1〜r3)と、ノード221〜225と、を含んでいる。ルータ211のアドレスを「10.10.10.1」とする。ルータ212のアドレスを「10.10.11.1」とする。自律システム#2は、ルータ241と、ノード251と、を含んでいる。
【0051】
ルータ211のインターフェースモジュールm2は、通信インターフェースi21〜i24を備えている。通信インターフェースi21〜i24は、それぞれノード221,222,224,225に接続されている。インターフェースモジュールm3は、通信インターフェースi31〜i34を備えている。通信インターフェースi31は、ノード223に接続されている。通信インターフェースi32は、ルータ212に接続されている。
【0052】
ルータ212は、ルータ211と、ノード221〜225と、ルータ241と、に接続されている。ノード221〜225のアドレスをそれぞれ「2.2.1.0/24」、「2.2.2.0/24」、「2.2.3.0/24」、「1.1.2.0/24」、「1.1.3.0/24」とする。ルータ213はノード221に接続されている。また、ルータ213は、ルータ211,212との間でOSPFの隣接関係を確立している。そして、ルータ213は、経路情報としてアドレス「5.5.5.0/24」、「5.5.6.0/24」をルータ211,212へ広報しているとする。
【0053】
ルータ211の制御モジュールm0は、インターフェースモジュールm1〜m3の各通信インターフェースに接続された各経路に対応するアドレスを経路情報としてルータ241に広報する。図4に示す例では、インターフェースモジュールm1〜m3の各通信インターフェースにはノード221〜225が接続されているため、制御モジュールm0は、ノード221,222,224,225の各アドレスを経路情報としてルータ241へ広報する。
【0054】
このとき、ノード221〜223のアドレス「2.2.1.0/24」、「2.2.2.0/24」、「2.2.3.0/24」は、先頭の「2.2.」が共通であるため、集約アドレス「2.2.0.0/16」として集約可能である。また、ノード224,225のアドレス「1.1.2.0/24」、「1.1.3.0/24」は、先頭の「1.1.」が共通であるため、集約アドレス「1.1.0.0/16」として集約可能である。
【0055】
また、ルータ213から通知されたアドレス「5.5.5.0/24」、「5.5.6.0/24」は、先頭の「5.5.」が共通であるため、集約アドレス「5.5.0.0/16」として集約可能である。ただし、図4に示す例では、インターフェースモジュールm3が起動中であり、通信インターフェースi31,i32はパケットを送出可能な状態ではないとする。
【0056】
このため、制御モジュールm0は、集約アドレス「1.1.0.0/16」および「5.5.0.0/16」をルータ241へ広報し、集約アドレス「2.2.0.0/16」については広報しない。ルータ211と同様に、ルータ212もノード221〜225に接続されているため、集約アドレス「2.2.0.0/16」、「1.1.0.0/16」および「5.5.0.0/16」をルータ241へ広報する。この場合は、ルータ241のルーティングテーブルは、たとえばルーティングテーブル241bのようになる。
【0057】
図5は、ルータの構成例を示す図である。図5に示すルータ500は、インターフェースモジュール510と、制御モジュール520と、を備えている。図4に示したルータ211は、たとえばルータ500によって実現することができる。図5においてはルータ500が一つのインターフェースモジュール510を備える場合について説明するが、ルータ500は複数のインターフェースモジュール510を備えていてもよい。
【0058】
インターフェースモジュール510は、通信インターフェース511〜514と、インターフェース処理部515と、を備えている。なお、図5においてはインターフェースモジュール510が4つの通信インターフェース511〜514を備える場合について説明するが、インターフェースモジュール510が備える通信インターフェースの数は4つに限らず、1つ以上であればよい。
【0059】
通信インターフェース511〜514のそれぞれは、外部の通信装置と接続された物理インターフェース部である。インターフェース処理部515は、通信インターフェース514の状態を監視する。そして、インターフェース処理部515は、通信インターフェース511〜514の少なくともいずれかの状態が変化すると、状態の変化を示す状態変化通知を制御モジュール520へ出力する。
【0060】
制御モジュール520は、メモリ521と、ルーティング制御部522と、ルーティング条件処理部523を備えている。メモリ521には、ルータ設定情報521aと、ルーティングテーブル521bと、装置状態管理テーブル521cと、集約経路管理テーブル521dが記憶されている。
【0061】
ルータ設定情報521aは、ルータ500の各機能に対する設定内容を示す情報である(たとえば図6参照)。ルーティングテーブル521bは、ルータ500の経路情報を示すテーブルである(たとえば図7参照)。ルーティングテーブル521bは、ルータ設定情報521aと、インターフェースモジュール510から出力される状態変化通知に基づいてルーティング制御部522によって管理される。
【0062】
装置状態管理テーブル521cは、各ネットワーク情報と集約経路の関係を一覧化したテーブルである(たとえば図8参照)。装置状態管理テーブル521cは、ルータ設定情報521aと、インターフェースモジュール510から出力される状態変化通知と、に基づいて、ルーティング条件処理部523によって管理される。集約経路管理テーブル521dは、集約経路とグループIDの対応関係を示す情報である(図9参照)。集約経路管理テーブル521dは、たとえばルータ設定情報521aに基づいて、ルーティング条件処理部523によって管理される。
【0063】
ルーティング制御部522は、ルーティングプロトコルの処理およびルーティングテーブル521bの管理を行う。たとえば、ルーティング制御部522は、インターフェースモジュール510を介して他の通信装置から受信した経路情報や、インターフェースモジュール510からの状態変化通知に基づいてルーティングテーブル521bを更新する。
【0064】
また、ルーティング制御部522は、インターフェースモジュール510を介して他の通信装置から受信したパケットを、ルーティングテーブル521bに基づいて通信インターフェース511〜514のいずれかから送出させることでパケットを転送する。なお、パケットの転送は、ルーティング制御部522を介さずにインターフェースモジュール510のインターフェース処理部515が行ってもよい。
【0065】
また、ルーティング制御部522は、通信インターフェース511〜514に接続された各経路に対応する各アドレスを経路情報として他の通信装置へ広報する。具体的には、ルーティング制御部522は、たとえば定期的に、または経路情報の変化時に、インターフェースモジュール510を介して経路情報を他の通信装置へ送信する。経路情報を広報する他の通信装置は、たとえばルータ500との間でBGPなどにより隣接関係を確立している通信装置である。また、ルーティング制御部522は、ルーティング条件処理部523による制御にしたがって、通信インターフェース511〜514に接続された各経路を集約した集約経路(集約アドレス)を他の通信装置へ広報する。
【0066】
ルーティング条件処理部523は、装置状態管理テーブル521cに基づいて、ルーティング制御部522に集約経路の広報を実行させ、または集約経路の広報を停止させる。また、ルーティング条件処理部523は、インターフェース処理部515からの状態変化通知に基づいて装置状態管理テーブル521cを更新する。また、ルーティング条件処理部523は、ルーティングテーブル521bを参照することで、パケットを送出できない経路の迂回路が存在するか否かを判断することができる。
【0067】
図6は、ルータ設定情報の一例を示す図である。図6に示すように、ルータ設定情報521aは、モジュール/インターフェース設定情報610と、ルーティングプロトコル設定情報620と、事前登録ネットワーク設定情報630と、を含んでいる。モジュール/インターフェース設定情報610は、各モジュールの各通信インターフェース(Interface)にネットワーク情報(ip addres)を対応付ける情報である。たとえば、インターフェース「1/1」には、IPアドレス「10.10.1.1/24」が対応付けられている。
【0068】
ルーティングプロトコル設定情報620は、対向ルータ(たとえばルータ241)とBGPによって経路交換するための設定情報621と、BGPによって集約経路を広報するための設定情報622と、ルータ213とOSPFによって経路交換するための設定情報623と、を含んでいる。事前登録ネットワーク設定情報630は、ルータ213から受信したネットワーク経路を、事前登録ネットワークとして集約経路広報判定に追加する場合の設定である。
【0069】
図7は、ルーティングテーブルの一例を示す図である。図7に示すように、ルーティングテーブル521bは、設定情報701〜703を含んでいる。設定情報701は、対向ルータ(たとえばルータ241)から通知されている経路を示す情報である。設定情報702は、ルータ500に現在接続されている通信インターフェースのネットワーク情報(down中の通信インターフェースは表示されない)である。設定情報703は、ルータ213から通知されている経路を示す情報である。
【0070】
設定情報701〜703は、「宛先ネットワーク,経由ルータアドレス/直接接続,出力先」の形式で記載している。たとえば、設定情報701は、宛先ネットワークが「7.7.0.0/16」であり、「10.10.1.2」のルータを経由し、インターフェース1/1を出力先の通信インターフェースとする経路を示している。
【0071】
設定情報701〜703に含まれる各経路情報の先頭は、各経路情報が何(直接接続/プロトコル)を通じて取得したか経路情報かを示すルートコードである。ルートコード「C」は直接接続(connected)によって取得した経路情報を示している。ルートコード「B」はBGPによって取得した経路情報を示している。ルートコード「O」はOSPFによって取得した経路情報を示している。ルートコード「IA」は同じ自律システム内(inter area)でOSPFによって取得した経路情報を示している。
【0072】
図8は、装置状態管理テーブルの一例を示す図である。図15に示すように、装置状態管理テーブル521cは、「モジュール番号」と、「モジュールステータス」と、「所属インターフェース」と、「インターフェースステータス」と、「設定ネットワーク」と、「集約NWグループ」、「迂回路有無」と、「広報判定」と、の各項目を含んでいる。「モジュール番号」は、ルータ500に実装されているインターフェースモジュールを示す識別情報である。
【0073】
「モジュールステータス」は、「モジュール番号」が示すインターフェースモジュールの稼働状態を示す情報である。たとえば、インターフェースモジュールが正常に稼働している場合は「モジュールステータス」が「OK」となる。また、インターフェースモジュールが停止している場合は「モジュールステータス」が「shutdown」となる。また、インターフェースモジュールに障害が発生している場合は「モジュールステータス」が「fault」となる。また、インターフェースモジュールが起動中の場合は「モジュールステータス」が「loading」となる。「モジュールステータス」は、たとえばインターフェースモジュール510からの状態変化通知に基づいてルーティング条件処理部523によって更新される。
【0074】
「所属インターフェース」は、「モジュール番号」が示すインターフェースモジュールに所属する通信インターフェースの番号を示す識別情報である。「インターフェースステータス」は、「所属インターフェース」が示す通信インターフェースの状態を示す情報である。たとえば、通信インターフェースが正常に稼働している場合は「インターフェースステータス」が「up」となる。
【0075】
また、通信インターフェースが閉塞状態である場合は「インターフェースステータス」が「shutdown」となる。また、通信インターフェースに障害またはエラーが発生している場合は「インターフェースステータス」が「down」となる。「インターフェースステータス」は、たとえばインターフェースモジュール510からの状態変化通知に基づいてルーティング条件処理部523によって更新される。
【0076】
「設定ネットワーク」は、「所属インターフェース」が示す通信インターフェースに設定されているネットワークを示す情報である。「設定ネットワーク」は、「ネットワークアドレス/サブネットマスク」として表示されている。「設定ネットワーク」は、たとえばルータ設定情報521aに基づいてルーティング条件処理部523により管理される。
【0077】
「集約経路グループ」は、「設定ネットワーク」が示すネットワークが所属する集約経路のグループを示す情報である。「集約経路グループ」は、集約経路を識別する「グループID」(たとえば図9参照)によって表示されている。
【0078】
「迂回路有無」は、「所属インターフェース」が示す通信インターフェースを迂回する、「設定ネットワーク」が示すネットワークへの経路がルーティングテーブル521bに存在するか否かを示す情報である。たとえば、迂回する経路が存在する場合は、「迂回路有無」が「有」となる。また、迂回する経路が存在しない場合は、「迂回路有無」が「無」となる。「迂回路有無」は、たとえば、ルーティングテーブル521bに基づいてルーティング条件処理部523によって管理される。
【0079】
「広報判定」は、「集約経路グループ」が示す集約経路の経路情報を広報するか否かの判定結果を示す情報である。たとえば、集約経路の経路情報を広報するか否かが判定されていない場合は「広報判定」が「−」となる。また、集約経路の経路情報を広報しないと判定された場合は「広報判定」が「NG」となる。また、集約経路の経路情報を広報すると判定された場合は「広報判定」が「OK」となる。「広報判定」は、たとえば、装置状態管理テーブル521cの他の各項目の変化に応じてルーティング条件処理部523によって更新される。
【0080】
「事前登録ネットワーク」は、ルータ500の各通信インターフェースに設定したネットワークではなく、保守者があらかじめ設定登録したネットワーク情報である。「事前登録ネットワーク」は、たとえばルータ設定情報521aに基づいてルーティング条件処理部523によって管理される。
【0081】
図8に示す例では、インターフェースモジュール「3」が起動中である。また、インターフェースモジュール「3」に所属し、集約経路グループ「2」に所属する通信インターフェース「1」が「down」となっている。また、インターフェースモジュール「3」の通信インターフェース「1」の迂回路もない状態である。このため、インターフェースモジュール「3」の通信インターフェース「1」についての「広報判定」が「NG」となっている。このため、ルーティング条件処理部523は、集約経路グループ「2」が示す集約経路をルータ241へ広報しないようにルーティング制御部522を制御する。
【0082】
装置状態管理テーブル521cは、たとえば、ルータ500の起動時にルータ設定情報521aに基づいてルーティング条件処理部523によって作成される。また、装置状態管理テーブル521cは、ルータ設定情報521aの変更に伴ってルーティング条件処理部523によって更新されてもよい。
【0083】
図9は、集約経路管理テーブルの一例を示す図である。図9に示すように、集約経路管理テーブル521dは、「グループID」と、「ネットワーク」と、を項目として含んでいる。「グループIDは」、集約経路ごとに付与された識別情報である。「グループID」は、集約経路が追加されるごとに追加される。「ネットワーク」は、ルート情報(サブネット)を示している。集約経路管理テーブル521dは、たとえば、ルータ500の起動時にルータ設定情報521aに基づいてルーティング条件処理部523によって作成される。また、集約経路管理テーブル521dは、ルータ設定情報521aの変更に伴ってルーティング条件処理部523によって更新されてもよい。
【0084】
図10は、ルーティング条件処理部による処理の一例を示すフローチャートである。ルーティング条件処理部523は、たとえば図10に示す各ステップを繰り返し実行する。まず、ルーティング条件処理部523は、インターフェース処理部515から状態変化通知を取得したか否かを判断し(ステップS1001)、状態変化通知を取得するまで待つ(ステップS1001:Noのループ)。状態変化通知は、たとえば、ルータ500におけるイベント(たとえばリンクやモジュールの障害、停電などによるルータ500の計画停止)が発生した場合に取得される。
【0085】
ステップS1001において、状態変化通知を取得すると(ステップS1001:Yes)、ルーティング条件処理部523は、取得した状態変化通知に基づいて装置状態管理テーブル521cを更新する(ステップS1002)。つぎに、ルーティング条件処理部523は、状態が変動した通信インターフェースが集約経路に所属しているか否かを装置状態管理テーブル521cに基づいて判断する(ステップS1003)。
【0086】
ステップS1003において、通信インターフェースが集約経路に所属していない場合(ステップS1003:No)は、ルーティング条件処理部523は、ステップS1001へ戻る。通信インターフェースが集約経路に所属している場合(ステップS1003:Yes)は、ルーティング条件処理部523は、変動した通信インターフェースの状態が「up」(パケットを送出可能な状態)か否かを判断する(ステップS1004)。
【0087】
ステップS1004において、変動した通信インターフェースの状態が「up」でない場合(ステップS1004:No)は、ルーティング条件処理部523は、状態が変動した通信インターフェースが属する集約経路の広報を停止させ(ステップS1005)、一連の処理を終了する。具体的には、ルーティング条件処理部523は、状態が変動した通信インターフェースが属する集約経路の広報を停止させるようにルーティング制御部522を制御する。なお、集約経路の広報がすでに停止している場合はステップS1005を省いてもよい。
【0088】
ステップS1004において、通信インターフェースの状態が「up」である場合(ステップS1004:Yes)は、ルーティング条件処理部523は、通信インターフェースが属する集約経路を広報させ(ステップS1006)、一連の処理を終了する。具体的には、ルーティング条件処理部523は、状態が変動した通信インターフェースが属する集約経路を広報するようにルーティング制御部522を制御する。なお、集約経路がすでに広報されている場合はステップS1006を省いてもよい。
【0089】
以上の各ステップにより、集約経路に含まれる通信インターフェースの少なくともいずれかがパケットを送出可能な状態でない場合は、集約経路の広報を停止することができる。また、集約経路に含まれる通信インターフェースの全てがパケットを送出可能な状態である場合は、集約経路の広報を再開することができる。
【0090】
図11は、ルーティング条件処理部による処理の変形例1を示すフローチャートである。ルーティング条件処理部523は、たとえば図11に示す各ステップを繰り返し実行してもよい。図11に示すステップS1101〜S1103は、図10に示したステップS1001〜S1003と同様である。
【0091】
ステップS1103において、通信インターフェースが集約経路に所属している場合(ステップS1103:Yes)は、ルーティング条件処理部523は、状態が変動した通信インターフェースの迂回路が存在するか否かを判断する(ステップS1104)。たとえば、ルーティング条件処理部523は、迂回路が存在するか否かをルーティングテーブル521bに基づいて判断する。
【0092】
ステップS1104において迂回路が存在する場合(ステップS1104:Yes)は、ルーティング条件処理部523は、ステップS1101へ戻る。迂回路が存在しない場合(ステップS1104:No)は、ルーティング条件処理部523は、ステップS1105へ移行する。ステップS1105〜S1107は、図10に示したステップS1004〜S1006と同様である。
【0093】
このように、ルーティング条件処理部523は、通信インターフェースがパケットを送出可能な状態でなくなっても、迂回路が存在する場合は、集約経路の広報を停止しないようにしてもよい。これにより、ルータ500によってパケットを転送可能な場合にまで集約経路の広報を停止してしまうことを回避し、スループットを向上させることができる。
【0094】
図12は、ルーティング条件処理部による処理の変形例2を示すフローチャートである。ルーティング条件処理部523は、たとえば図12に示す各ステップを繰り返し実行してもよい。図12に示すステップS1201〜S1203は、図10に示したステップS1001〜S1003と同様である。
【0095】
ステップS1203において、状態が変動した通信インターフェースが集約経路に所属している場合(ステップS1203:Yes)は、ルーティング条件処理部523は、状態が変動した通信インターフェースの経路がルータ500の通信インターフェースに設定された経路か否かを判断する(ステップS1204)。たとえば、ルーティング条件処理部523は、対応する経路がルータ500の通信インターフェースに設定された経路か否かをルータ設定情報521aに基づいて判断する。
【0096】
ステップS1204において、対応する経路がルータ500の通信インターフェースに設定された経路でない場合(ステップS1204:No)は、ルーティング条件処理部523は、対応する経路が事前に設定された事前設定経路か否かを判断する(ステップS1205)。対応する経路が事前設定経路でない場合(ステップS1205:No)は、ルーティング条件処理部523は、ステップS1201へ戻る。対応する経路が事前設定経路である場合(ステップS1205:Yes)は、ルーティング条件処理部523は、ステップS1206へ移行する。
【0097】
ステップS1204において、対応する経路がルータ500の通信インターフェースに設定された経路である場合(ステップS1204:Yes)は、ルーティング条件処理部523は、ステップS1206へ移行する。ステップS1206〜S1208は、図10に示したステップS1004〜S1006と同様である。
【0098】
このように、ルーティング条件処理部523は、パケットを送出可能な状態でなくなった通信インターフェースが、ルータ500の通信インターフェースでなく、事前設定経路の通信インターフェースでもない場合は集約経路の広報を停止しないようにしてもよい。これにより、ルータ500によってパケットを転送可能な場合にまで集約経路の広報を停止してしまうことを回避し、スループットを向上させることができる。
【0099】
以上説明したように、経路広報装置、経路広報方法および経路制御装置においては、集約経路に含まれる通信インターフェースの少なくともいずれかがパケットを送出可能な状態でない場合は集約経路の広報を停止する。これにより、動作が不安定なルータへのパケット転送を抑止することができる。したがって、たとえばバックアップルートによってパケットが転送され、パケットの破棄などを回避することができる。このため、スループットを向上させることができる。また、たとえば周辺ルータにおける特別なプロトコルや機構への対応を行わなくても、スループットを向上させることができる。
【0100】
また、たとえばルートマップと呼ばれる条件定義を使用してルーティングを制御するルート制御機能のように、ルーティングプロトコルごとの設定を行わなくてもよいため、特定のプロトコル種別に依存せずにスループットを向上させることができる。また、ルート制御機能では、保守者の事前の設定内容に依存し、障害などのイベントなどの動的変化への追従が不可能である。これに対して、上述した経路広報装置、経路広報方法および経路制御装置によれば、自ルータ内のイベントに応じて、集約経路とルータが保持する経路の矛盾をチェックしながら経路管理を行うため、複雑な動的変化への対応が可能である。
【0101】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0102】
(付記1)それぞれ接続された経路へパケットを送出する複数の通信部を備える通信装置の経路情報を広報する経路広報装置において、
前記複数の通信部が接続された各経路に対応する各アドレスのうちの集約可能な複数のアドレスを集約した集約アドレスを取得する第一取得部と、
前記複数の通信部のうちの前記集約可能な複数のアドレスに対応する各経路に接続された各通信部について、前記パケットを送出可能な状態か否かを示す状態情報を取得する第二取得部と、
前記第二取得部によって取得された状態情報に基づいて、前記第一取得部によって取得された集約アドレスを広報するか否かを判断する判断部と、
前記判断部による判断結果に応じて前記集約アドレスを前記通信装置に接続された通信装置へ広報する広報部と、
を備えることを特徴とする経路広報装置。
【0103】
(付記2)前記複数のアドレスのそれぞれは、ネットワーク番号およびホスト番号を連結したビット列と、前記ビット列における前記ネットワーク番号と前記ホスト番号との境界を示すネットマスクを含み、
前記第一取得部は、前記複数のアドレスにおける前記ビット列の共通部分と、前記共通部分の位置を示すネットマスクを含む前記集約アドレスを取得することを特徴とする付記1に記載の経路広報装置。
【0104】
(付記3)前記判断部は、前記各通信部が前記パケットを送出可能な状態である場合は前記集約アドレスを広報すると判断することを特徴とする付記1または2に記載の経路広報装置。
【0105】
(付記4)前記判断部は、前記各通信部の少なくともいずれかが前記パケットを送出可能な状態でない場合は前記集約アドレスを広報しないと判断することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の経路広報装置。
【0106】
(付記5)前記判断部は、前記各通信部のうちの前記パケットを送出可能でない通信部を迂回する経路に接続された通信部が前記複数の通信部に含まれている場合は前記集約アドレスを広報すると判断することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の経路広報装置。
【0107】
(付記6)前記複数の通信部と前記各アドレスとを対応付ける対応情報を取得する第三取得部を備え、
前記判断部は、前記第三取得部によって取得された対応情報に基づいて、前記パケットを送出可能でない通信部を迂回する経路に接続された通信部が前記複数の通信部に含まれているか否かを判断することを特徴とする付記5に記載の経路広報装置。
【0108】
(付記7)それぞれ接続された経路へパケットを送出する複数の通信部を備える通信装置の経路情報を広報する経路広報方法において、
前記複数の通信部が接続された各経路に対応する各アドレスのうちの集約可能な複数のアドレスを集約した集約アドレスを取得し、
前記複数の通信部のうちの前記集約可能な複数のアドレスに対応する各経路に接続された各通信部について、前記パケットを送出可能な状態か否かを示す状態情報を取得し、
取得した状態情報に基づいて、取得した集約アドレスを広報するか否かを判断し、
判断結果に応じて前記集約アドレスを前記通信装置に接続された通信装置へ広報する、
ことを特徴とする経路広報方法。
【0109】
(付記8)それぞれ接続された経路へパケットを送出する複数の通信部と、
前記複数の通信部が接続された各経路に対応する各アドレスのうちの集約可能な複数のアドレスを集約した集約アドレスを取得する第一取得部と、
前記複数の通信部のうちの前記集約可能な複数のアドレスに対応する各経路に接続された各通信部について、前記パケットを送出可能な状態か否かを示す状態情報を取得する第二取得部と、
前記第二取得部によって取得された状態情報に基づいて、前記第一取得部によって取得された集約アドレスを広報するか否かを判断する判断部と、
前記判断部による判断結果に応じて前記集約アドレスを他の通信装置へ広報する広報部と、
を備えることを特徴とする経路制御装置。
【符号の説明】
【0110】
100,200 通信システム
101〜10n 経路
110 経路広報装置
120,130 通信装置
121〜12n 通信部
111 第一取得部
112 第二取得部
113 判断部
114 広報部
#1,#2 自律システム
211,212,241,213,500 ルータ
221〜223,251,224,225 ノード
231 サーバ
261 PC端末
m0,520 制御モジュール
m1,m2,m3,510 インターフェースモジュール
i11,i12,i21,i22,i31,i32,i23,i24,i33,i34,511〜514 通信インターフェース
211a,241a,241b,521b ルーティングテーブル
515 インターフェース処理部
521 メモリ
522 ルーティング制御部
523 ルーティング条件処理部
521a ルータ設定情報
521c 装置状態管理テーブル
521d 集約経路管理テーブル
610 モジュール/インターフェース設定情報
620 ルーティングプロトコル設定情報
621〜623,701〜703 設定情報
630 事前登録ネットワーク設定情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ接続された経路へパケットを送出する複数の通信部を備える通信装置の経路情報を広報する経路広報装置において、
前記複数の通信部が接続された各経路に対応する各アドレスのうちの集約可能な複数のアドレスを集約した集約アドレスを取得する第一取得部と、
前記複数の通信部のうちの前記集約可能な複数のアドレスに対応する各経路に接続された各通信部について、前記パケットを送出可能な状態か否かを示す状態情報を取得する第二取得部と、
前記第二取得部によって取得された状態情報に基づいて、前記第一取得部によって取得された集約アドレスを広報するか否かを判断する判断部と、
前記判断部による判断結果に応じて前記集約アドレスを前記通信装置に接続された通信装置へ広報する広報部と、
を備えることを特徴とする経路広報装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記各通信部が前記パケットを送出可能な状態である場合は前記集約アドレスを広報すると判断することを特徴とする請求項1に記載の経路広報装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記各通信部の少なくともいずれかが前記パケットを送出可能な状態でない場合は前記集約アドレスを広報しないと判断することを特徴とする請求項1または2に記載の経路広報装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記各通信部のうちの前記パケットを送出可能でない通信部を迂回する経路に接続された通信部が前記複数の通信部に含まれている場合は前記集約アドレスを広報すると判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の経路広報装置。
【請求項5】
それぞれ接続された経路へパケットを送出する複数の通信部を備える通信装置の経路情報を広報する経路広報方法において、
前記複数の通信部が接続された各経路に対応する各アドレスのうちの集約可能な複数のアドレスを集約した集約アドレスを取得し、
前記複数の通信部のうちの前記集約可能な複数のアドレスに対応する各経路に接続された各通信部について、前記パケットを送出可能な状態か否かを示す状態情報を取得し、
取得した状態情報に基づいて、取得した集約アドレスを広報するか否かを判断し、
判断結果に応じて前記集約アドレスを前記通信装置に接続された通信装置へ広報する、
ことを特徴とする経路広報方法。
【請求項6】
それぞれ接続された経路へパケットを送出する複数の通信部と、
前記複数の通信部が接続された各経路に対応する各アドレスのうちの集約可能な複数のアドレスを集約した集約アドレスを取得する第一取得部と、
前記複数の通信部のうちの前記集約可能な複数のアドレスに対応する各経路に接続された各通信部について、前記パケットを送出可能な状態か否かを示す状態情報を取得する第二取得部と、
前記第二取得部によって取得された状態情報に基づいて、前記第一取得部によって取得された集約アドレスを広報するか否かを判断する判断部と、
前記判断部による判断結果に応じて前記集約アドレスを他の通信装置へ広報する広報部と、
を備えることを特徴とする経路制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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