説明

経路表作成装置および経路表作成方法

【課題】網内の故障発生時の迂回経路を含む経路表の作成処理の負荷を軽減する。
【解決手段】経路表作成装置が、各宛先アドレスへの到達可能な装置を示した到達性情報132と、通信ネットワークのトポロジ情報133とを用いて、通信ネットワークの装置ごとに、当該装置で用いる第1の転送先(現用)と第2の転送先(予備)とを含む経路表133を作成する。そして、この作成した経路表133を各装置40へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)網の各ルータ等において宛先アドレスまたはサブネットワークに対する転送先を決定するために用いられる経路表の作成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IP網内のルータ等の各装置がパケット転送に用いる経路表は、各装置が、OSPF(Open Shortest Path First)やBGP(Border Gateway Protocol)等のルーティングプロトコルを用いて作成する(非特許文献1,2参照)。また、網内の装置や、各装置間を接続するリンクに故障が発生したときに、高速に迂回経路への切り替えを行うため、各装置において、故障発生前の転送路(第1の転送路)に加え、迂回経路である第2の転送路を事前に計算しておく技術も提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】IETF RFC2328 “OSPF Version 2”, April 1998.
【非特許文献2】IETF RFC 4271, “A Border Gateway Protocol 4 (BGP-4)”, January 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術により、各装置においてルーティングプロトコルを動作させ、迂回経路を含む経路表を作成するのは処理負荷が大きいという問題があった。特に、網内の装置それぞれが、他の多数の装置と接続されているようなトポロジの場合(例えば、網内の各装置がフルメッシュで接続されているトポロジの場合)、各装置における経路表作成処理の負荷は極めて大きくなる。さらに、そこで、本発明は、前記した問題を解決し、網内の故障発生時の迂回経路を含む経路表の作成処理の負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決するため、本発明は、網内の各装置においてパケットの転送処理に用いられる経路表を作成する経路表作成装置が以下の処理を行う。すなわち、この経路表作成装置は、宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスの装置またはサブネットワークへ到達可能な装置の識別情報を示した到達性情報の入力を受け付け記憶部に記憶する。また、ネットワークを構成する各装置の接続状態および各装置を接続するリンクを示したトポロジ情報の入力を受け付け記憶部に記憶する。そして、この経路表作成装置は、到達性情報に示される宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへ到達可能な装置群の中から、現用装置と予備装置とを選択する。そして、経路表作成装置は、トポロジ情報に示される装置それぞれについて、当該装置を始点装置としたとき、始点装置から当該宛先アドレスへ到達可能な現用装置への現用経路を計算する。また、この始点装置から当該宛先アドレスへ到達可能な予備装置への予備経路とを計算する。そして、トポロジ情報を参照して、始点装置が現用経路で用いるリンクである現用リンクと、予備経路で用いるリンクである予備リンクとを選択する。この後、経路表作成装置は、始点装置それぞれについて、宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへの現用リンクおよび予備リンクを示した経路表を作成する。そして、経路表作成装置は、作成した経路表を、始点装置である各装置へ送信する。
【0006】
このように経路表作成装置が、網内の故障発生時の迂回経路を含む各装置の経路表を作成するので、各装置がルーティングプロトコルを動作させて経路表を作成する必要がなくなる。
【0007】
本発明は、網内の各装置においてパケットの転送処理に用いられる経路表を作成する経路表作成装置が以下の処理を行う。すなわち、この経路表作成装置は、到達性情報の入力を受け付け記憶部に記憶する。また、ネットワークを構成する各装置の接続状態および各装置を接続するリンクと、当該リンクが現用経路に用いられる現用リンクである場合、当該リンクに対する予備リンクの識別情報とを含むトポロジ情報との入力を受け付け、記憶部に記憶する。そして、経路表作成装置は、到達性情報に示される宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへ到達可能な装置群の中から、現用装置を選択する。次に、トポロジ情報に示される装置それぞれについて、当該装置を始点装置としたとき、始点装置から当該宛先アドレスへ到達可能な現用装置への現用経路を計算する。そして、トポロジ情報を参照して、現用経路に用いる現用リンクを選択し、トポロジ情報において、この選択した現用リンクに対する予備リンクを選択する。その後、経路表作成装置は、始点装置それぞれについて、宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへの現用リンクおよび予備リンクを示した経路表を作成する作成する。そして、経路表作成装置は、作成した経路表を、始点装置である各装置へ送信する。
【0008】
このように経路表作成装置が、網内の故障発生時の迂回経路を含む各装置の経路表を作成するので、各装置がルーティングプロトコルを動作させて経路表を作成する必要がなくなる。また、この経路表作成装置によれば、トポロジ情報上で現用リンクとペアになる予備リンクを選択して経路表を作成するので、経路表作成の処理負荷を軽減できる。
【0009】
本発明は、網内の各装置においてパケットの転送処理に用いられる経路表を作成する経路表作成装置が以下の処理を行う。すなわち、この経路表作成装置は、到達性情報と、トポロジ情報との入力を受け付け、記憶部に記憶する。経路表作成装置は、到達性情報に示される同じ宛先アドレスへの到達可能装置が2つ以上いずれかのリングに含まれるまで、トポロジ情報を参照して、リングを構成する装置群を探索する。そして、到達性情報を参照して、リングを構成する装置群ごとに、当該装置群がエッジノードとなっている宛先アドレス群を抽出する。次に、経路表作成装置は、トポロジ情報を参照して、リングを構成する装置群の装置それぞれについて、当該装置を始点装置としたとき、当該装置群により構成されるリングにおいて第1の回転方向の装置に接続されるリンクを現用リンクとして選択する。また、(2)当該リングにおいて第1の回転方向と逆の回転方向の装置に接続されるリンクを予備リンクとして選択する。その後、経路表作成装置は、始点装置それぞれについて、宛先アドレス群に示される宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへの現用リンクおよび予備リンクを示した経路表を作成する作成する。そして、経路表作成装置は、作成した経路表を、始点装置である各装置へ送信する。
【0010】
このように経路表作成装置が、網内の故障発生時の迂回経路を含む各装置の経路表を作成するので、各装置がルーティングプロトコルを動作させて経路表を作成する必要がなくなる。また、この経路表作成装置によれば、トポロジ情報に、リング状に接続される装置群がある場合、その中の始点装置からみて第1の回転方向(例えば、時計回りの方向)に接続されるリンクを当該宛先アドレスへの現用リンクとして選択する。また、第1の回転方向と逆の回転方向(例えば、反時計回りの方向)の装置に接続されるリンクを当該宛先アドレスへの予備リンクとして選択する。例えば、装置A,B,C,Dがリング状に接続されている場合において、装置Aから見て時計回りの方向に装置Bが接続されていれば、経路表作成装置は、装置Aから装置Bへのリンクを、装置Aから当該宛先アドレスへの現用リンクとして選択する。また、装置Aから装置Cへのリンクを、装置Aから当該宛先アドレスへの予備リンクとして選択する。このようにすることで、経路表作成装置は、経路表作成の処理負荷を軽減できる。
【0011】
本発明は、網内の各装置においてパケットの転送処理に用いられる経路表を作成する経路表作成装置が以下の処理を行う。すなわち、この経路表作成装置は、到達性情報と、トポロジ情報との入力を受け付け、記憶部に記憶する。そして、経路表作成装置は、到達性情報に、宛先アドレスが複数ある装置が複数登録され、かつ、当該装置間で設定された宛先アドレス群の少なくとも一部が同じであるとき、当該装置それぞれの宛先アドレスの集合である宛先グループを計算する。次に、経路表作成装置は、到達性情報に示される宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへ到達可能な装置群の中から、現用装置と予備装置とを選択する。そして、経路表作成装置は、トポロジ情報に示される装置それぞれについて、当該装置を始点装置としたとき、始点装置から当該宛先アドレスに到達可能な現用装置への現用経路を計算する。また、この始点装置から当該宛先アドレスに到達可能な予備装置への予備経路とを計算する。そして、トポロジ情報を参照して、始点装置が現用経路で用いるリンクである現用リンクと、予備経路で用いるリンクである予備リンクとを選択する。その後、経路表作成装置は、始点装置それぞれについて、計算した宛先グループの宛先アドレスごとに、当該宛先グループの宛先アドレスへの現用リンクおよび予備リンクを示した経路表を作成する。そして、経路表作成装置は、この作成した経路表を、始点装置である各装置へ送信する。
【0012】
このようにすることで、経路表作成装置は、宛先アドレスごとに現用リンクおよび予備リンクを求める必要がなくなる。つまり、始点装置から宛先アドレスそれぞれについて現用リンクおよび予備リンクを選択する必要がなくなるので、経路表作成の処理負荷を軽減できる。
【0013】
また、本発明の経路表作成装置のリンク選択部は、現用経路および予備経路を計算するとき、トポロジ情報を参照して、ホップ数またはリンクコストが最小となる経路を計算する。
【0014】
このようにすることで、経路表作成装置は、始点装置から現用装置(または予備装置)へのホップ数またはリンクコストが最小となる経路の経路表を作成できる。
【0015】
また、本発明の経路表作成装置のリンク選択部は、現用経路および予備経路を計算するとき、トポロジ情報を参照して、現用経路および予備経路が互いに、同じ装置またはリンクを経由しない経路を選択する。
【0016】
このようにすることで、経路表作成装置は、現用経路上で障害が発生したときでも、その障害の影響を受けづらい予備経路を含む経路表を作成できる。
【0017】
また、本発明の経路表作成装置の装置選択部は、現用装置を選択するとき、トポロジ情報を参照して、当該宛先アドレスへのホップ数またはリンクコストが最小の装置を選択する。
【0018】
このようにすることで、経路表作成装置は、始点装置から現用装置へのホップ数またはリンクコストが最小となる経路の経路表を作成できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、網内の故障発生時の迂回経路を含む経路表の作成処理の負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は、各実施の形態のシステムの全体構成を例示した図であり、(b)は、通信ネットワークのトポロジを例示した図である。
【図2】(a)は、第1の実施の形態の経路表作成装置の処理概要を概念的に示した図であり、(b)は、到達性情報を例示した図である。(c)は、トポロジ情報を例示した図であり、(d)は、経路表を例示した図である。
【図3】第1の実施の形態および第2の実施の形態の経路表作成装置の構成を示した図である。
【図4】第1の実施の形態の経路表作成装置の処理手順を示したフローチャートである。
【図5】(a)は、通信ネットワークのトポロジの例および第2の実施の形態の経路表作成装置の処理概要を概念的に示した図であり、(b)は、到達性情報を例示した図である。(c)は、トポロジ情報を例示した図であり、(d)は、経路表を例示した図である。
【図6】第2の実施の形態の経路表作成装置の処理手順を示したフローチャートである。
【図7】(a)は、通信ネットワークのトポロジの例および第2の実施の形態の経路表作成装置の処理概要を概念的に示した図であり、(b)は、到達性情報を例示した図である。(c)は、トポロジ情報を例示した図であり、(d)は、経路表を例示した図である。
【図8】第3の実施の形態の経路表作成装置の構成を示した図である。
【図9】第3の実施の形態の経路表作成装置の処理手順を示したフローチャートである。
【図10】(a)は、第4の実施の形態の経路表作成装置の処理概要を概念的に示した図であり、(b)は、到達性情報を例示した図である。(c)は、トポロジ情報を例示した図であり、(d)は、経路表を例示した図である。
【図11】第4の実施の形態の経路表作成装置の構成を示した図である。
【図12】第4の実施の形態の経路表作成装置の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を、第1の実施の形態から第4の実施の形態に分けて説明する。まず、図1を用いて、各実施の形態の経路表作成装置10,10A,10B,10Cに共通するシステムの全体構成例を説明する。
【0022】
図1(a)に示すようにシステムは、通信ネットワークと、経路表作成装置10と、ネットワーク情報取得装置20とを含んで構成される。この通信ネットワークは、複数の装置40(例えば、IPルータ等のノード)がリンク(例えば、光ファイバ等)により接続されたIP網等である。経路表作成装置10,10A,10B,10Cは、ネットワーク情報取得装置20から取得した情報(例えば、トポロジ情報131や到達性情報132の元となる情報)に基づき、各装置40の経路表133(後記)を作成する。そして、この経路表133を各装置40へ送信し、各装置40は受信した経路表133に基づきパケットを転送する。ネットワーク情報取得装置20は、通信ネットワークから各装置40の接続状態等の情報を取得し、経路表作成装置10,10A,10B,10Cへ送信する。経路表作成装置10,10A,10B,10Cおよびネットワーク情報取得装置20は、IP等の通信プロトコルにより通信可能なコンピュータにより実現される。この経路表作成装置10,10A,10B,10Cは、現用経路のほかに、この現用経路の予備経路も含む経路表133を作成する。これにより、この経路表133を受信した各装置40は、網内の障害発生時に迂回経路(予備経路)への切り替えを高速に行うことができる。
【0023】
<第1の実施の形態>
まず、第1の実施の形態の経路表作成装置10を説明する。ここでは、経路表作成装置10が、図1(b)に示すようなトポロジの通信ネットワークの経路表133を作成する場合を例に説明する。図1(b)の装置A,B,C,Dは、装置40に相当する。装置A,Bはそれぞれ宛先アドレスd1,d2へ到達可能な装置であることを示す。この宛先アドレスは、宛先となる装置のIPアドレスでもよいし、サブネットワークのアドレスであってもよい。
【0024】
経路表作成装置10は、図2(a)に示すように、到達性情報132(宛先アドレスごとに、その宛先アドレスへの到達可能な通信ネットワークのエッジノードの装置40を示した情報(図2(b)参照))と、通信ネットワークのトポロジ情報131(図2(c)参照)とを参照して経路表計算を行い、通信ネットワークにおける各装置40の経路表133(図2(d)参照)を作成する。この経路表133は、宛先アドレス(宛先)ごとに、その宛先アドレスへの第1の転送先へのリンク(現用リンク)と、第2の転送先へのリンク(予備リンク)とを示した情報である。つまり、経路表133は、通信ネットワーク内の故障発生時において装置40が迂回経路への高速切り替えを実現するため、同じ宛先アドレスに対し現用リンクと予備リンクとの両方を示した情報である。なお、図2(d)には、装置C,Dの経路表133のみを示しているが、装置A,Bの経路表133についても同様に作成される。
【0025】
次に、図3を用いて経路表作成装置10の構成を説明する。経路表作成装置10は、大きく入出力部(入力部および出力部)11、処理部12および記憶部13に分けられる。入出力部11は、ネットワーク情報取得装置20や通信ネットワークの各装置40とのデータ送受信を司る。例えば、トポロジ情報131や到達性情報132の元となる情報を取得したり、経路表作成装置10で作成した各装置40の経路表133を、各装置40へ送信したりする。処理部12は、この経路表作成装置10全体の制御を司り、主に各装置40の経路表133を作成する。記憶部13は、処理部12が各装置40の経路表133を作成するときに参照する各種情報を記憶する。
【0026】
入出力部11は、入出力インタフェースやIPにより通信可能な通信インタフェース等から構成される。また、処理部12は、この経路表作成装置10(10A,10B,10C)が備えるCPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。さらに、記憶部13は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成される。なお、経路表作成装置10,10A,10B,10Cをプログラム実行処理により実現する場合、記憶部13には、この経路表作成装置10(10A,10B,10C)の機能を実現するためのプログラムが格納される。
【0027】
記憶部13は、トポロジ情報131と、到達性情報132とを記憶する。また、記憶部13は、各装置40の経路表133を記憶する領域を備える。
【0028】
トポロジ情報131は、前記したとおり、通信ネットワークを構成する各装置40の接続状態および各装置40を接続するリンクを示した情報である。例えば、図2(c)に示すトポロジ情報131は、図1(b)に示す通信ネットワークのトポロジを示した情報であり、装置A,B間はリンク#1により接続されることを示す。なお、このトポロジ情報131は、各リンクのリンクコストの値を含んでいてもよい。また、例えば、装置A→装置Bの通信に用いるリンクと、装置B→装置Aの通信に用いるリンクとを区別する等、通信の方向によって用いるリンクを区別するようにしてもよい。
【0029】
到達性情報132は、宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスの装置またはサブネットワークに到達可能な装置40(到達可能装置)の識別情報を示した情報である。例えば、図2(b)に示す到達性情報132は、図1(b)に示す通信ネットワークの到達性情報であり、宛先アドレスd1への到達可能装置は、装置A,Bであり、宛先アドレスd2への到達可能装置も、装置A,Bであることを示す。つまり、宛先アドレスd1,d2へパケットを転送する場合、通信ネットワークの装置40(始点装置)は、このいずれかの装置40を目指してパケットを転送すればよいことを示す。
【0030】
なお、このトポロジ情報131および到達性情報132は、経路表作成部123が経路表133を作成する際に参照される。このトポロジ情報131および到達性情報132は、ネットワーク情報取得装置20から受信した情報をもとに処理部12が作成してもよいし、予め外部装置で作成しておいたものを入出力部11経由で入力してもよい。
【0031】
処理部12は、装置選択部121と、リンク選択部122と、経路表作成部123と、経路表送信部124とを備える。
【0032】
装置選択部121は、到達性情報132(図2(b)参照)に示される宛先アドレスへの到達可能装置の中から現用装置と予備装置とを選択する。選択した現用装置および予備装置それぞれの識別情報は、リンク選択部122へ出力する。なお、装置選択部121は、現用装置および予備装置を選択するとき、到達性情報132にBGP(Border Gate Protocol)の優先度の情報が含まれていれば、この優先度の値をもとに装置40を選択してもよい。例えば、到達性情報132において、同じ宛先アドレスへの到達可能装置のうち、BGPの優先度が最も高い装置40を現用装置として選択し、次に優先度が高い装置40を予備装置として選択してもよい。また、装置選択部121は、現用装置および予備装置を選択する際、トポロジ情報131を参照して、始点装置からのホップ数やリンクコストの合計値をもとに現用装置および予備装置として選択してもよい。例えば、始点装置からのホップ数やリンクコストの合計値が最も小さい装置40を、現用装置として選択し、その次に小さい装置40を、予備装置として選択してもよい。
【0033】
リンク選択部122は、トポロジ情報131(図2(c)参照)に示される装置40それぞれについて、当該装置40を始点装置としたとき、この始点装置から現用装置への現用経路(第1の転送路)と、始点装置から予備装置への予備経路(第2の転送路)とを計算する。そして、トポロジ情報131に示されるリンク情報を参照して、始点装置が現用経路で用いるリンクである現用リンクおよび始点装置が予備経路で用いるリンクである予備リンクを選択する。そして、選択した各装置40の現用リンクおよび予備リンクを、経路表作成部123へ出力する。また、リンク選択部122は、現用経路や予備経路を計算する際、同じ現用装置や予備装置への経路が複数あったとき、そのうちホップ数またはリンクコストが最小となる経路を選択してもよい。また、トポロジ情報131を参照して、現用経路および予備経路が互いに、同じ装置40またはリンクを経由しない経路を選択するようにしてもよい。
【0034】
経路表作成部123は、装置40それぞれについて、宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへの現用リンクおよび予備リンクを示した経路表133(図2(d)参照)を作成する。
【0035】
経路表送信部124は、各装置40の経路表133を、入出力部11経由で通信ネットワーク装置の装置40へ送信する。
【0036】
このようにすることで経路表作成装置10は、各装置40の経路表133を作成し、各装置40へ送信することができる。
【0037】
<処理手順>
次に、図2,3を参照しつつ、図4を用いて、経路表作成装置10の処理手順を説明する。
【0038】
まず、図3の経路表作成装置10の装置選択部121は、到達性情報132を参照して、ある宛先アドレス(例えば、図2(a)のd1)に対するすべての到達可能装置(例えば、装置A,B)を抽出する(S11)。つまり、到達性情報132に示される宛先アドレスから1つの宛先アドレスを選択し、宛先アドレスに対するすべての到達可能装置(装置40)を抽出する。そして、装置選択部121は、抽出した到達可能装置から、現用装置(例えば、装置A)と予備装置(例えば、装置B)とを選択する(S12)。
【0039】
次に、リンク選択部122は、トポロジ情報131(図2(c)参照)に示される装置40を1つ選択し、この装置40(例えば、装置C)を始点装置として現用装置(例えば、装置A)に到達するための現用リンク(例えば、リンク#2)を選択する。また、この始点装置から予備装置(例えば、装置B)に到達するための予備リンク(例えば、リンク#4)とを選択する(S13)。つまり、まず、リンク選択部122は、始点装置から現用装置への現用経路と、始点装置から予備装置への予備経路とを計算する。そして、トポロジ情報131に示されるリンク情報を参照して、始点装置が現用経路で用いるリンクである現用リンクおよび予備経路で用いるリンクである予備リンクを選択する。選択された始点装置の現用リンクおよび予備リンクは、経路表作成部123が、当該始点装置(装置40)に関する経路表133に記憶する。
【0040】
そして、トポロジ情報131に示されるすべての装置40について処理を終了し(S14のYes)、かつ、到達性情報132に示されるすべての宛先アドレスについて処理を終了していれば(S15のYes)、経路表作成処理を終了する。そして、経路表送信部124が、経路表133を、各装置40へ送信する。
【0041】
一方、トポロジ情報131に示される装置40のうち、未処理の装置40があれば(S14のNo)、装置選択部121は、未処理の装置40に対し、S12以降の処理を行う。また、到達性情報132に示される宛先アドレスについて未処理の宛先アドレスがあれば(S15のNo)、装置選択部121は、その未処理の宛先アドレスについてS11以降の処理を実行する。
【0042】
このようにすることで、経路表作成装置10は、通信ネットワークの各装置40で用いる経路表133を作成することができる。この経路表133は、各宛先アドレスの現用経路へのリンク(現用リンク)のみならず、予備経路へのリンク(予備リンク)も含む。よって、各装置40は、網内に障害が発生した場合でも、迂回経路への経路切り替えを高速に行うことができる。
【0043】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態の経路表作成装置10Aを説明する。前記した実施の形態と同様の構成要素は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0044】
経路表作成装置10Aは、図5(a)に示すように、経路表計算を行う際、到達性情報132(図5(b)参照)と、トポロジ情報131A(図5(c)参照)とを参照することを特徴とする。このトポロジ情報131Aは、図5(c)に例示するように、各リンクが、現用経路に用いるリンク(現用リンク)か、予備経路に用いるリンク(予備リンク)であるかを示す情報を含む。また、当該リンクが現用リンクである場合、ペアとなる予備リンクの識別情報を含み、当該リンクが予備リンクである場合、ペアとなる現用リンクの識別情報を含む。そして、経路表作成装置10Aは、ある装置40の現用リンクを求めた後、予備リンクを選択するときには、このトポロジ情報131Aに示される当該現用リンクの予備リンクを選択する。
【0045】
このような経路表作成装置10Aの処理部12は、図3に示すように、装置選択部121に代えて、装置選択部121Aを備え、リンク選択部122に代えてリンク選択部122Aを備える。さらに、トポロジ情報131に代えてトポロジ情報131Aを備える。その他の構成は、経路表作成装置10と同様なので説明を省略する。
【0046】
装置選択部121Aは、到達性情報132に示される宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへの到達可能装置群の中から、現用装置を選択する。選択した現用装置は、リンク選択部122Aへ出力する。なお、この現用装置を選択するとき、例えば、トポロジ情報131Aを参照して、当該宛先アドレスへのホップ数またはリンクコストが最小の装置を選択する。
【0047】
リンク選択部122Aは、トポロジ情報131に示される装置40それぞれについて、当該装置40を始点装置としたとき、始点装置から、装置選択部121Aで選択した現用装置への現用経路を計算する。そして、トポロジ情報131Aを参照して、現用経路に用いる現用リンクを選択すると、トポロジ情報131Aを参照して、この現用リンクとペアになる予備リンクを選択する。選択した現用リンクおよび予備リンクは、経路表作成部123へ出力する。なお、このトポロジ情報131Aに現用リンクの予備リンクが無い場合には、リンク選択部122Aは、第1の実施の形態と同様に、現用装置と同じ宛先アドレスへの到達可能装置から予備装置を選択し、この予備装置への経路を計算して、予備リンクを求めるようにしてよい。
【0048】
<処理手順>
次に、図3,5を参照しつつ、図6を用いて、経路表作成装置10Aの処理手順を説明する。S21は、前記したS11と同様なので、S22から説明する。経路表作成装置10Aの装置選択部121Aは、S21で抽出した到達可能装置から、装置40を1つ選択する(S22)。例えば、図5(a)の装置Aを選択する。
【0049】
次に、リンク選択部122Aは、トポロジ情報131A(図5(c)参照)に示される装置40それぞれについて、当該装置40を始点装置(例えば、装置C)としたとき、始点装置から、S22で選択した装置40(例えば、装置A)に到達するための現用リンク(例えば、リンク#2)を、トポロジ情報131Aを参照して選択する(S23)。つまり、リンク選択部122Aは、S22で選択した装置40を現用装置として、始点装置からこの現用装置への現用経路を計算する。そして、トポロジ情報131Aに示されるリンク情報を参照して、始点装置で用いる現用リンクを選択する。
【0050】
また、リンク選択部122Aは、トポロジ情報131Aを参照して、S23で選択したリンク(現用リンク)の予備リンク(例えば、リンク#5)を選択する(S24)。選択した始点装置の現用リンクおよび予備リンクは、経路表作成部123が、当該始点装置(例えば、装置C)の経路表133に記録する。この後のS25およびS26の処理は、前記したS14およびS15の処理と同様なので説明を省略する。
【0051】
このような経路表作成装置10Aによれば、予備リンクを選択する際、トポロジ情報131A上に設定されている予備リンクを選択すればよいので、経路表作成の処理負荷を軽減できる。
【0052】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態を説明する。前記した実施の形態と同様の構成要素は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
経路表作成装置10Bは、図7(a)に示すように、経路表計算を行うとき、トポロジ上でリング状に接続される装置40を探索するリング探索を行い、このリングを用いて転送先計算を行うことを特徴とする。
【0054】
例えば、経路表作成装置10Bは、宛先アドレスd1,d2への到達可能装置である装置A,Bを含むリング(装置A,B,C,D)を用いる場合を考える。この場合、装置Cから宛先アドレスd1(またはd2)への現用リンクとして、自身の装置Cを含むリングの時計周りの方向に隣接する装置Dへのリンク#5を選択する。また、予備リンクとして、リングの反時計周りの方向に隣接する装置Aへのリンク#2を選択する。つまり、トポロジ上で、ある宛先アドレスへの到達可能装置を複数含むリングを見つければ、そのリングを構成する装置40はそれぞれ、その宛先アドレスへのリンクを2本持つことになる。よって、その2本のリンクのうち1本のリンクを現用リンクとし、もう1本のリンクを予備リンクとすれば、現用リンクと予備リンクとを1本ずつ選ぶことができる。
【0055】
このような経路表作成装置10Bの処理部12は、図8に示すように、リンク選択部122Bと、経路表作成部123と、経路表送信部124と、リング探索部125と、宛先アドレス抽出部126とを備える。
【0056】
リンク選択部122Bは、トポロジ情報131(図7(c)参照)に示されるリンク情報を参照して、リングを構成する装置群の装置40それぞれについて、各装置40を始点装置としたときの現用リンクと予備リンクとを選択する。このリンク選択部122Bのリンク選択処理の詳細は、図9を用いて後記する。
【0057】
リング探索部125は、到達性情報132に示される同じ宛先アドレスへの到達可能装置が2つ以上、いずれかのリングに含まれるまで、トポロジ情報131から、リングを構成する装置群を探索する。これにより、各リングに、同じ宛先アドレスへの現用装置と予備装置とが含まれることになる。
【0058】
宛先アドレス抽出部126は、到達性情報132(図7(b)参照)を参照して、リングを構成する装置群(例えば、図7(a)の装置A,B,C,D)から到達可能な宛先アドレス群(例えば、宛先アドレスd1,d2)を抽出する。
【0059】
なお、経路表作成部123は、宛先アドレス抽出部126により抽出された宛先アドレス群に示される宛先アドレス(例えば、宛先アドレスd1,d2)ごとに、当該宛先アドレスへの転送に用いる現用リンクおよび予備リンクを示した経路表133(図7(d)参照)を作成する。
【0060】
<処理手順>
次に、図7,8を参照しつつ、図9を用いて、経路表作成装置10Bの処理手順を説明する。
【0061】
まず、図8の経路表作成装置10Bのリング探索部125は、到達性情報132およびトポロジ情報131を参照して、リング状に接続される装置群(例えば、図7(a)の装置A,B,C,D)を探索する(S31)。このリング状に接続される装置群の探索にあたっては、到達性情報132を参照して、当該リングが、同じ宛先アドレス(例えば、宛先アドレスd1)への到達可能装置を2つ以上を含むようなものを探索する。
【0062】
宛先アドレス抽出部126は、到達性情報132を参照して、リングを構成する装置群(例えば装置A,B,C,D)から到達できる宛先アドレス(例えば、宛先アドレスd1,d2)を抽出する(S32)。
【0063】
リンク選択部122Bは、S31で探索したリングを構成する装置40のうち、ある装置40から、S32で抽出した宛先アドレス群(例えば、宛先アドレスd1,d2)への現用リンクをリングの時計回りに決定し(S33)、また、リンク選択部122Bは、この装置40から、S32で抽出した宛先アドレス群への現用リンクをリングの反時計回りに決定する(S34)。つまり、リンク選択部122Bは、S31で探索したリングを構成する装置40(例えば、装置A,B,C,D)のうち、ある装置40(例えば、装置C)を始点装置として、その始点装置からリングの時計回りの方向に接続される装置40(例えば、装置D)へのリンク(例えば、リンク#5)を現用リンクとして選択する。また、リンク選択部122Bは、その始点装置からリングの反時計回りに接続される装置40(例えば、装置A)に接続へのリンク(例えば、リンク#2)を予備リンクとして選択する。そして、経路表作成部123は、当該始点装置(装置40)に関する経路表133の当該宛先アドレス群(例えば、宛先アドレスd1,d2)への転送先の欄に、選択した現用リンクおよび予備リンクを記憶する。
【0064】
ここで、S31で探索したリングを構成する装置40(例えば、装置A,B,C,D)すべてについて処理を終了し(S35のYes)、かつ、到達性情報132に示されるすべての宛先アドレスについて、到達可能装置が2つ以上、いずれかのリングの装置群に属していれば(S36のYes)、経路表作成処理を終了する。
【0065】
一方、S31で探索したリングを構成する装置40(例えば、装置A,B,C,D)のうち未処理の装置40があれば(S35のNo)、未処理の装置40に対し、S33以降の処理を行う。また、到達性情報132に示される到達可能装置のうち、まだ到達性情報132に示される宛先アドレスのうち、到達可能装置が2以上いずれかのリングの装置群に属していないものがあるとき(S36のNo)、S31以降の処理を実行する。
【0066】
このようにすることで、経路表作成装置10Bは、経路表133の作成にあたり、各装置40の現用リンクと予備リンクとをリング上での向きで決定するので、経路表作成の処理負荷を軽減できる。
【0067】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態を説明する。前記した実施の形態と同様の構成要素は、同じ符号を付して説明を省略する。第4の実施の形態の経路表作成装置10Cは、図10(a)に示すように、経路表計算を行うとき、まず、到達性情報132(図10(b)参照)およびトポロジ情報131(図10(c)参照)を参照して宛先グループを計算することを特徴とする。この宛先グループとは、同じ装置40の集合から到達可能な宛先アドレス群をまとめたものである。そして、その宛先グループを用いて転送先計算を行い、各装置40の転送先を示した経路表133を作成する。
【0068】
この宛先グループの計算について、具体例を用いて説明すると、例えば、経路表作成装置10Cが、図10(b)に示す到達性情報132を参照して、図1(b)に示す通信ネットワークの経路計算を行う場合を考える。この場合、図10(b)の到達性情報132には、装置A,Bともに到達可能な宛先アドレスとしてd1,d2が設定されているので、宛先グループは、d1,d2となる。そして、経路表作成装置10Cは、始点装置となる装置40から、この宛先グループの宛先アドレス(宛先アドレスd1,d2)への現用経路と予備経路とを計算する。このように、経路表作成装置10Cは、宛先グループ単位で経路計算を行うので、宛先アドレス単位で経路計算を行う必要がなくなる。これにより、経路表作成の処理負荷を軽減できる。
【0069】
このような経路表作成装置10Cの処理部12は、図11に示すように、装置選択部121Cと、リンク選択部122と、経路表作成部123Cと、宛先グループ計算部127と、経路表送信部124とを備える。その他の構成は、前記した経路表作成装置10と同様なので説明を省略する。
【0070】
装置選択部121Cは、宛先グループ計算部127で計算された宛先グループごとに、到達性情報132を参照して、当該宛先グループの宛先アドレスへの到達可能装置群の中から、現用装置と予備装置とを選択する。例えば、図10(b)に示す到達性情報132において、宛先アドレスd1,d2への到達可能装置は、装置A,Bであるので、装置選択部121Cは、これらの装置のうち、装置Aを現用装置として選択する。また、装置Bを予備装置として選択する。そして、装置選択部121Cは、この現用装置と予備装置との識別情報をリンク選択部122へ出力する。
【0071】
経路表作成部123Cは、始点装置(例えば、装置A,B,C,D)それぞれについて、宛先グループ(例えば、宛先アドレスd1,d2)への現用リンクおよび予備リンクを示した経路表133(図10(d)参照)を作成する。
【0072】
宛先グループ計算部127は、到達性情報132に、(1)宛先アドレスが複数ある到達可能装置が複数登録され、かつ、(2)その到達可能装置間で宛先アドレス群の少なくとも一部が同じであるとき、その到達可能装置それぞれに設定された宛先アドレスの集合である宛先グループを求める。例えば、図10(b)の到達性情報132上で、宛先アドレスが複数ある到達可能装置(装置40)は装置A,Bである。そして、その装置A,Bの宛先アドレスはいずれもd1,d2なので、宛先グループは、宛先アドレスd1,d2となる。宛先グループ計算部127は、この計算した宛先グループを、装置選択部121Cへ出力する。
【0073】
<処理手順>
次に、図10,11を参照しつつ、図12を用いて、経路表作成装置10Cの処理手順を説明する。
【0074】
まず、図11の経路表作成装置10Cの宛先グループ計算部127は、到達性情報132に示される装置40の中から、同じ装置40の集合(装置A,B)から到達可能な宛先アドレスの集合である宛先グループ(宛先アドレスd1,d2)を計算する(S41)。
【0075】
次に、装置選択部121Cは、到達性情報132を参照して、ある宛先グループに対するすべての到達可能装置を抽出する(S42)。例えば、図10(b)の到達性情報132上で、宛先グループ(宛先アドレスd1,d2)に対する到達可能装置は装置A,Bなので、装置A,Bを抽出する。
【0076】
そして、装置選択部121Cは、S42で抽出した装置40(例えば、装置A,B)の中から、現用装置(例えば、装置A)および予備装置(例えば、装置B)を選択する(S43)。
【0077】
次に、リンク選択部122は、図4のS13と同様に、現用装置に到達するための現用リンクと、予備装置に到達するための予備リンクとを選択する(S44)。つまり、リンク選択部122は、トポロジ情報131(図10(c)参照)に示される装置40それぞれについて、当該装置40(例えば、装置C)を始点装置としたとき、この始点装置から現用装置(例えば、装置A)に到達するための現用リンク(例えば、リンク#2)を選択する。また、この始点装置から予備装置(例えば、装置B)に到達するための予備リンク(例えば、リンク#4)とを選択する。選択された始点装置(例えば、装置C)の宛先グループ(宛先アドレスd1,d2)への現用リンク(例えば、リンク#2)および予備リンク(例えば、リンク#4)は、経路表作成部123が、当該始点装置の経路表133(図10(d)の装置Cの経路表133参照)に記憶する。
【0078】
S44の後、トポロジ情報131に示されるすべての装置40について処理を終了し(S45のYes)、かつ、S41で計算したすべての宛先グループについて処理を終了していれば(S46のYes)、経路表作成処理を終了する。
【0079】
一方、トポロジ情報131に示される装置40のうち、未処理の装置40があれば(S45のNo)、装置選択部121Cは、この未処理の装置40に対し、S42以降の処理を行う。また、未処理の宛先グループがあれば(S46のNo)、装置選択部121Cは、その未処理の宛先グループについてS41以降の処理を実行する。
【0080】
このように経路表作成装置10Cは、宛先グループを対象に現用リンクおよび予備リンクを求めるので、宛先アドレスごとに現用リンクおよび予備リンクを求める必要がなくなる。これにより、経路表作成の処理負荷を軽減できる。
【符号の説明】
【0081】
10,10A,10B,10C 経路表作成装置
11 入出力部
12 処理部
13 記憶部
20 ネットワーク情報取得装置
40 装置
121,121A,121C 装置選択部
122,122A,122B,122C リンク選択部
123,123C 経路表作成部
124 経路表送信部
125 リング探索部
126 宛先アドレス抽出部
127 宛先グループ計算部
131,131A トポロジ情報
132 到達性情報
133 経路表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
網内の各装置においてパケットの転送処理に用いられる経路表を作成する経路表作成装置であって、
宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスの装置またはサブネットワークへ到達可能な装置の識別情報を示した到達性情報と、前記ネットワークを構成する各装置の接続状態および前記各装置を接続するリンクを示したトポロジ情報との入力を受け付け、記憶部に記憶する入力部と、
前記到達性情報に示される宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへ到達可能な装置群の中から、現用装置と予備装置とを選択する装置選択部と、
前記トポロジ情報に示される装置それぞれについて、当該装置を始点装置としたとき、前記始点装置から当該宛先アドレスへ到達可能な前記現用装置への現用経路と、前記始点装置から当該宛先アドレスへ到達可能な前記予備装置への予備経路とを計算し、前記トポロジ情報を参照して、前記始点装置が前記現用経路で用いるリンクである現用リンクと、前記予備経路で用いるリンクである予備リンクとを選択するリンク選択部と、
前記始点装置それぞれについて、前記宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへの前記現用リンクおよび前記予備リンクを示した経路表を作成する経路表作成部と、
前記作成した経路表を、前記始点装置である各装置へ送信する出力部とを備えることを特徴とする経路表作成装置。
【請求項2】
網内の各装置においてパケットの転送処理に用いられる経路表を作成する経路表作成装置であって、
宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスの装置またはサブネットワークへ到達可能な装置の識別情報を示した到達性情報と、前記ネットワークを構成する各装置の接続状態および前記各装置を接続するリンクならびに当該リンクが現用経路に用いられる現用リンクである場合、当該リンクに対する予備リンクの識別情報を含むトポロジ情報との入力を受け付け、記憶部に記憶する入力部と、
前記到達性情報に示される宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへ到達可能な装置群の中から、現用装置を選択する装置選択部と、
前記トポロジ情報に示される装置それぞれについて、当該装置を始点装置としたとき、前記始点装置から当該宛先アドレスへ到達可能な前記現用装置への現用経路を計算し、前記トポロジ情報を参照して、前記始点装置が前記現用経路に用いる現用リンクを選択し、前記トポロジ情報において前記選択した現用リンクに対する予備リンクを選択するリンク選択部と、
前記始点装置それぞれについて、前記宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへの前記現用リンクおよび前記予備リンクを示した経路表を作成する作成する経路表作成部と、
前記作成した経路表を、前記始点装置である各装置へ送信する出力部とを備えることを特徴とする経路表作成装置。
【請求項3】
網内の各装置においてパケットの転送処理に用いられる経路表を作成する経路表作成装置であって、
宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスの装置またはサブネットワークへ到達可能な装置の識別情報を示した到達性情報と、前記ネットワークを構成する各装置の接続状態および前記各装置を接続するリンクを示したトポロジ情報との入力を受け付け、記憶部に記憶する入力部と、
前記到達性情報に示される同じ宛先アドレスへの到達可能装置が2つ以上いずれかのリングに含まれるまで、前記トポロジ情報を参照して、前記リングを構成する装置群を探索するリング探索部と、
前記到達性情報を参照して、前記リングを構成する装置群ごとに、当該装置群がエッジノードとなっている宛先アドレス群を抽出する宛先アドレス抽出部と、
前記トポロジ情報を参照して、前記リングを構成する装置群の装置それぞれについて、当該装置を始点装置としたとき、(1)当該装置群により構成されるリングにおいて第1の回転方向の装置に接続されるリンクを現用リンクとして選択し、(2)当該リングにおいて第1の回転方向と逆の回転方向の装置に接続されるリンクを予備リンクとして選択するリンク選択部と、
前記始点装置それぞれについて、前記宛先アドレス群に示される宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへの前記現用リンクおよび前記予備リンクを示した経路表を作成する作成する経路表作成部と、
前記作成した経路表を、前記始点装置である各装置へ送信する出力部とを備えることを特徴とする経路表作成装置。
【請求項4】
網内の各装置においてパケットの転送処理に用いられる経路表を作成する経路表作成装置であって、
宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスの装置またはサブネットワークへ到達可能な装置の識別情報を示した到達性情報と、前記ネットワークを構成する各装置の接続状態および前記各装置を接続するリンクを示したトポロジ情報との入力を受け付け、記憶部に記憶する入力部と、
前記到達性情報に、前記宛先アドレスが複数ある装置が複数登録され、かつ、当該装置間で前記設定された宛先アドレス群の少なくとも一部が同じであるとき、当該装置それぞれの宛先アドレスの集合である宛先グループを計算する宛先グループ計算部と、
前記到達性情報に示される宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへ到達可能な装置群の中から、現用装置と予備装置とを選択する装置選択部と、
前記トポロジ情報に示される装置それぞれについて、当該装置を始点装置としたとき、前記始点装置から当該宛先アドレスに到達可能な前記現用装置への現用経路と、前記始点装置から当該宛先アドレスに到達可能な前記予備装置への予備経路とを計算し、前記トポロジ情報を参照して、前記始点装置が前記現用経路で用いるリンクである現用リンクと、前記予備経路で用いるリンクである予備リンクとを選択するリンク選択部と、
前記始点装置それぞれについて、前記計算した宛先グループの宛先アドレスごとに、当該宛先グループの宛先アドレスへの前記現用リンクおよび前記予備リンクを示した経路表を作成する経路表作成部と、
前記作成した経路表を、前記始点装置である各装置へ送信する出力部とを備えることを特徴とする経路表作成装置。
【請求項5】
前記リンク選択部は、
前記現用経路および予備経路を計算するとき、
前記トポロジ情報を参照して、ホップ数またはリンクコストが最小となる経路を計算することを特徴とする請求項1、請求項2および請求項4のいずれか1項に記載の経路表作成装置。
【請求項6】
前記リンク選択部は、
前記現用経路および予備経路を計算するとき、
前記トポロジ情報を参照して、前記現用経路および予備経路が互いに、同じ装置またはリンクを経由しない経路を選択することを特徴とする請求項1、請求項2および請求項4のいずれか1項に記載の経路表作成装置。
【請求項7】
前記装置選択部は、
前記現用装置を選択するとき、前記トポロジ情報を参照して、当該宛先アドレスへのホップ数またはリンクコストが最小の装置を選択することを特徴とする請求項3に記載の経路表作成装置。
【請求項8】
網内の各装置においてパケットの転送処理に用いられる経路表を作成する経路表作成装置が、
宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスの装置またはサブネットワークへ到達可能な装置の識別情報を示した到達性情報と、前記ネットワークを構成する各装置の接続状態および前記各装置を接続するリンクを示したトポロジ情報との入力を受け付け、記憶部に記憶するステップと、
前記到達性情報に示される宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへパケットを転送するエッジノードの装置群の中から、現用装置と予備装置とを選択するステップと、、
前記トポロジ情報に示される装置それぞれについて、当該装置を始点装置としたとき、前記始点装置から前記現用装置への現用経路と、前記始点装置から前記予備装置への予備経路とを計算し、前記トポロジ情報を参照して、前記始点装置が前記現用経路で用いるリンクである現用リンクおよび前記予備経路で用いるリンクである予備リンクを選択するステップと、
前記始点装置それぞれについて、前記宛先アドレスごとに、当該宛先アドレスへの前記現用リンクおよび前記予備リンクを示した経路表を作成するステップと、
前記作成した経路表を、前記始点装置である各装置へ送信するステップとを実行する経路表作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−50045(P2012−50045A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192956(P2010−192956)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】