結合装置
【課題】オス金具をメス金具に挿入するだけで部材同士を確実に結合することができて、オス金具をメス金具に挿入した後のガタツキが小さい結合金具の提供。
【解決手段】オス側金具(1)とメス側金具(2)とを有し、オス側金具(1)とメス側金具(2)は締結すべき部材の各々に固定され、オス側金具(1)は柱状のオス側柱状部材(1)を有し、メス側金具(2)はケーシング(3)とメス側柱状部材(4)とを有し、ケーシング(3)のオス側端面隅部の内周面には傾斜面(32)が形成されており、傾斜面に当接するメス側柱状部材(4)がオス側金具(1)側へ付勢されたならば半径方向内方へ移動して、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)とが係合する。
【解決手段】オス側金具(1)とメス側金具(2)とを有し、オス側金具(1)とメス側金具(2)は締結すべき部材の各々に固定され、オス側金具(1)は柱状のオス側柱状部材(1)を有し、メス側金具(2)はケーシング(3)とメス側柱状部材(4)とを有し、ケーシング(3)のオス側端面隅部の内周面には傾斜面(32)が形成されており、傾斜面に当接するメス側柱状部材(4)がオス側金具(1)側へ付勢されたならば半径方向内方へ移動して、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)とが係合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトンネル用のセグメントの結合等に用いられる結合装置に関する。より詳細には、本発明は、オス側金具とメス側金具とを有し、締結しようとする部材(例えば、トンネル用セグメントの様な構造体)の各々にオス側金具或いはメス側金具を取り付け、オス側金具をメス側金具に挿入することにより、オス側金具を設けた部材とメス側金具を設けた部材とを結合、或いは締結する結合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オス金具をメス金具に挿入するだけで、締結しようとする部材(例えば、トンネル用セグメントの様な構造体)同士を確実に結合することができる結合装置が望まれる。
【0003】
しかし、従来技術では、オス金具をメス金具に挿入するのに必要な押し込み荷重が過大である。
また、オス金具をメス金具に挿入し難く、或いは、オス金具とメス金具とを組み込み難いことが多い。
さらに、オス金具をメス金具に挿入した後に、ガタツキ(いわゆる「目開き」)が大きい。
このように、従来技術においては、種々の問題が存在する。
【0004】
その他の従来技術としては、例えば、トンネルのコンクリートセグメント間継手面に設けられた継手金具と主筋とを簡単な構造で確実に定着し、効率の良い応力伝達を可能にしたコンクリートセグメントの継手構造が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術は上述した問題点を解消するものではない。
【特許文献1】特開2004−324104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、オス金具をメス金具に挿入するだけで、締結しようとする部材同士を確実に結合することができて、しかも、オス金具をメス金具へ容易に挿入可能であり、オス金具をメス金具に挿入した後のガタツキが小さい結合金具の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の結合装置は、オス側金具(1)とメス側金具(2)とを有し、オス側金具(1)とメス側金具(2)は締結すべき部材(例えば、トンネル用セグメントの様な構造体)の各々に固定されており、オス側金具(1)は柱状のオス側柱状部材(例えば、オス側のボルト、オス側のピン、オス側の角柱等:1)を有しており、メス側金具(2)はケーシング(3)とメス側柱状部材(例えば、メス側のボルト、メス側のピン、メス側の角柱等:4)とを有しており、ケーシング(3)のオス側端面(33)隅部の内周面は、そこに当接するメス側柱状部材(メス側ボルト4)がオス側金具(1)側へ付勢されたならば半径方向内方へ移動する様に傾斜面(テーパー面32)或いは湾曲面が形成されており、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)とが係合するように構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0007】
メス側柱状部材(4N、4P、4Q、4R、4S)のオス側端面から離隔する側の端部(44N、44P、44Q、44R、44S)は、板状部材(ガイドプレート5)により、メス側柱状部材(4)のオス側端面がケーシング(3)の半径方向内方へ移動可能に支持されているのが好ましい(請求項2:図56、図62〜図65)。
但し、板状部材(ガイドプレート5)を省略することも可能である(図73)。
【0008】
また、メス側柱状部材(4)は、オス側金具(1)側へ付勢される様に構成されているのが好ましい(請求項3)。
具体的には、例えば、前記ケーシング(3)のオス側端面から離隔する側の端面(ケーシング3のキャップ30)と板状部材(ガイドプレート5)との間に弾性体(スプリング6、合成樹脂6A等)を介装し、その弾性体の弾性反撥力により、板状部材(ガイドプレート5)をオス側金具(1)側へ付勢し、以って、メス側柱状部材(4)をオス側金具(1)側へ付勢する様に構成することができる(図1、図45〜図48)。
【0009】
また、前記板状部材(ガイドプレート5F)を弾性材料(例えばバネ、ゴム、合成樹脂等)で形成し、前記板状部材(ガイドプレート5F)の弾性反撥力により、メス側柱状部材(4)をオス側金具(1)側へ付勢する様に構成しても良い(図44)。
【0010】
或いは、前記板状部材(ガイドプレート5)を弾性材料(例えばバネ鋼等)で形成された支持材(6D)によりケーシング内周面(31)に支持し、その支持材(6D)の弾性反撥力により、板状部材(ガイドプレート5)をオス側金具側へ付勢する様に構成しても良い(図49)。
【0011】
本発明において、オス側柱状部材(1)は表面に凹凸(例えば、ネジ山、溝等)が形成されており、メス側柱状部材(1)の表面に凹凸(例えば、ネジ山、溝等)が形成され且つメス側柱状部材(4)は同一円周上に複数配置されているのが好ましい(請求項4)。
ここで、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)は、その長手方向全域に亘って凹凸が形成されていても良いし、或いは、長手方向の一部に凹凸が形成されていても良い(図2、図3、図10、図12)。
【0012】
また、オス側柱状部材(1、1B、1C、1D)とメス側柱状部材(4、4L、4M、4T、4U)は、その断面形状が円形(1)であっても良いし、非円形、例えば四角形や半円形であっても良い(図1、図52〜図55、図66〜図68、図70〜図72)。
そして、オス側柱状部材(1C、1D)は、同一円周上に複数配置されたメス側柱状部材に対して相補的な断面形状を有しているのが好ましい(図71、図72)。
【0013】
或いは、本発明において、オス側柱状部材とメス側柱状部材の何れか一方の表面にのみ凹凸(例えば、ネジ山、溝等)を形成し、他方(1A、4H)の表面を平滑に構成し、平滑に構成された側(1A、4H)の柱状部材は表面に凹凸が形成された側の柱状部材に比較して軟らかい材料で構成されているのが好ましい(請求項5:図50、図51)。
【0014】
ここで、前記凹凸をネジ山で構成し、オス側柱状部材とメス側柱状部材の何れか一方が右ネジであり、他方が左ネジであるのが好ましい(請求項6:図75)。
勿論、オス側柱状部材とメス側柱状部材の両方を右ネジ或いは左ネジにしても良い。
【0015】
また、本発明において、メス側柱状部材と平行に且つメス側柱状部材と隣接して、連続した円弧状の断面形状を有する部材を配置しているのが好ましい(請求項7:図29〜図33)。
【0016】
さらに、本発明において、メス側柱状部材のオス側端部及び/またはケーシングのオス側端面(33)には、弾性材が設けられているのが好ましい(請求項8:図10、図21〜図26)。
【発明の効果】
【0017】
上述する構成を具備する本発明によれば、ケーシング(3)のオス側端面隅部の内周面は、そこに当接するメス側柱状部材(4)がオス側金具(1)側へ付勢されたならば半径方向内方へ移動する様に傾斜面(32)或いは湾曲面が形成されている(請求項1)。従って、オス側柱状部材(1)をメス側柱状部材(4)に嵌入し、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)が係合させれば、オス側金具(1)とメス側金具(2)の各々と固定されている締結すべき部材(例えば、トンネル用セグメントの様な構造体)同士が締結される。
一方、オス側柱状部材(1)をメス側金具(2)から引き離そうとしても、オス側柱状部材(1)と係合しているメス側柱状部材(4)がオス側金具(1)側へ付勢される。そして、前記傾斜面(32)或いは湾曲面によって、当該メス側柱状部材(4)が半径方向内方へ移動する。そのため、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)とがより一層強固に係合することとなり、オス側金具(1)とメス側金具(2)との結合も強固になる。
【0018】
本発明において、メス側柱状部材(4N、4P、4Q、4R、4S)のオス側端面から離隔する側の端部(44N、44P、44Q、44R、44S)を、板状部材(ガイドプレート5、5A、5B、5D、5E)により、メス側柱状部材(4N、4P、4Q、4R、4S)のオス側端面が半径方向内方へ移動可能なように支持すれば(請求項2)、メス側柱状部材(4N、4P、4Q、4R、4S)がオス側金具(1等)側へ付勢された際に、前記傾斜面(32)或いは湾曲面により半径方向内方へ移動することが保証される。
【0019】
また、メス側柱状部材は、オス側金具側へ付勢される様に構成すれば(請求項3)、メス側柱状部材(4)が半径方向内方へ移動して、オス側柱状部材(1)とより一層強固に係合することが保証され、オス側金具(1)とメス側金具(2)とが強固に結合されることも保証される。
【0020】
本発明において、オス側柱状部材(1、1B、1C)は表面に凹凸(例えば、ネジ山13、溝等)が形成されており、メス側柱状部材(4、4J、4K、4L、4M)の表面に凹凸(例えば、ネジ山42、溝42J、42K、42L、42M等)が形成され且つメス側柱状部材(4、4J、4K、4L、4M)はケーシング(3)内における同一円周上に複数配置されていれば(請求項4)、前記傾斜面(32)或いは湾曲面によりメス側柱状部材(4、4J、4K、4L、4M)が半径方向内方へ移動した際に、オス側柱状部材(1、1B、1C)の凹凸とメス側柱状部材(4、4J、4K、4L、4M)の凹凸とが係合する。そのため、オス側金具(1、1B、1C)とメス側金具(2)とが確実に結合される。したがって、締結するべき部材同士、例えば、トンネル内壁を構成するセグメント等を確実に締結することが可能になる。
【0021】
或いは、本発明において、オス側柱状部材とメス側柱状部材の何れか一方の表面にのみ凹凸(例えば、ネジ山、溝等)を形成し、他方(1Aまたは4H)の表面を平滑に構成し、平滑に構成された側(1Aまたは4H)の柱状部材は表面に凹凸が形成された側の柱状部材に比較して軟らかい材料で構成すれば(請求項5)、前記傾斜面(32)或いは湾曲面によりメス側柱状部材が半径方向内方へ移動した際に、オス側柱状部材とメス側柱状部材の何れか一方に形成された凹凸が、平滑に構成された他方の柱状部材に食い込んで係合する。従って、オス側柱状部材とメス側柱状部材とが確実に係合し、以って、オス側金具とメス側金具とが確実に結合される。
【0022】
前記凹凸をネジ山で構成し、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)の何れか一方(例えば、オス側柱状部材1)が右ネジ(13)であり、他方(例えば、メス側柱状部材4)が左ネジ(42L)である様に構成しても(請求項6)、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)に形成されたネジ山同士(13、43L)が係合する際にも、互いのリードは交差するが、両者は確実に係合する(図75参照)。
一方、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)のネジが共に右ネジ、或いは共に左ネジであれば、互いのリードが交差せずに、オス側柱状部材(1)のネジ山と、メス側柱状部材(4)のネジ山とは、確実に且つ緊密に係合する(図74参照)。
【0023】
さらに、本発明において、メス側柱状部材(4)のオス側端部(43)及び/またはケーシング(3)のオス側端面(33)に弾性材(43t及び/または7)を設ければ(請求項8)、弾性材(43t及び/または7)の弾性変形により、オス側柱状部材(1)及びメス側柱状部材(4)の長手方向における変位を吸収することができるので、地震に対する免震効果を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
添付図面において、符号(N−S)は、図Nの正面図を表現し、符号(N−R)は図Nの右側面図を示し、符号(N−L)は図Nの左側面図を示している。
【0025】
先ず、図1〜図20を参照して、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、本発明の結合装置の、いわば「基本形」というべき実施形態である。
図1で示す結合装置は、オス側金具1とメス側金具2とから構成されている。オス側金具1及びメス側金具2は締結されるべき部材、例えばトンネル用セグメントの各々に固定されて用いられる。
【0026】
詳細を図2に示すように、オス側金具1の軸部11中央には、断面が部分円弧状の縁(ストッパ)12が全周に亘って形成されている。
この断面が部分円弧状の縁(ストッパ)12は、後述するケーシング3のオス側金具挿通孔34にオス側金具1を挿入した際に、挿入長さを決定するための位置決め部材としての役目を担う。
【0027】
図2において、オス側金具1の左端は円錐台形の先端部15として構成され、ストッパ12左側の概略全ての領域に雄ネジ13が形成されている。また、ストッパ12の右側の領域(概略全ての領域)にも雄ネジ14が形成されている。
ストッパの先端15側の雄ネジ13は、図2においてはストッパ12の左側の全域に形成されているが、図3で示すように、先端から一定の長さLにのみ、雄ネジ13が形成されていても良い。ここで前記長さLは、オス側金具1がメス側金具2に係合した時に、所定以上の引張力に耐える噛合い長さ、として設定されている。
雄ネジ14は、結合されるべき部材(例えば図示しないトンネル用セグメント本体)に設けられた雌ネジと締結される。
【0028】
ここで、オス側金具1の雄ネジ13と、該雄ネジ13と係合する雄ネジ42(後述)とは、ネジの種類及び等級を選ばず、ネジピッチについても限定はしない。ここで、雄ネジ42は、オス側金具1の雄ネジ13と係合する後述するメス側金具2におけるボルト4に形成される。
詳細については後述するが、オス側及びメス側の双方において、係合するための構成としては、螺旋状のネジのみならず、独立した複数の溝であってもよい。或いは、オス側、メス側の何れか一方を、ネジ(あるいは溝)を形成せず且つ比較的軟らかい平滑な部材で構成し、他方のネジ(或いは、溝間の部分)を当該比較的軟らかい平滑な部材に食い込ませることによって結合してもよい。
【0029】
図4〜図9は、オス側金具1の先端形状のバリエーションを示している。
図4はオス側金具1の平らな先端部15Aを示し、図5は円錐形状の先端部15Bを示し、図6は円錐状の窪み15Cを有する先端部を示し、図7は半球状の先端部15Dを示し、図8は球面状の窪み(球面の一部により構成された窪み)15Eを有する先端部を示し、図9は円柱状の窪み15Fを有する先端部を示している。
【0030】
特に図2、図5、図7の先端形状は、センター出しの容易な形状となっている。ガイドプレート5に関連して後述するが、図2、図5、図7で示す様な先端形状であれば、ガイドプレート5に形成された貫通孔51に、オス側金具1の先端を貫通して、センター出しを行うことが容易である。
図4、図6、図8、図9等で示す先端形状については、対応するガイドプレートのセンター形状によって選択される。
【0031】
再び図1において、メス側金具2は、ケーシング3と、複数本(図1では8本)メス側ボルト4(メス側柱状部材)と、複数のメス側ボルト4を同一円周上で係止(或いは、係合)するガイドプレート5と、ケーシング3の開放側35を塞ぐキャップ30と、コイルスプリング6とで構成されている。
ここで、コイルスプリング6は、ガイドプレート5とキャップ30の間に介装し、ガイドプレート5をオス側金具1側に押圧している。
【0032】
ケーシング3は、全体が円筒状に形成され、オス側金具1側には底部33が形成され、その底部33の中央には前記オス側金具1を挿通させる挿通孔34が形成されている。
図1では明確に示されていないが、オス側金具1の軸部11(図2参照)の外周面と、挿通孔34の内周面との間には、所定の隙間が存在しており、当該隙間の存在により、オス側金具1が図1のY矢印方向に揺動する。
勿論、オス側金具1と挿通孔34との相対的な関係においては、オス側金具1の軸部11は軸方向(図1のX矢印方向)に移動可能である。
【0033】
オス側金具1によるY矢印方向の揺動は、例えば結合させた2つのトンネル用セグメントの間に生じる剪断力を緩和し、免震効果を与えることが出来る。
また、オス側金具1によるX矢印方向の動きは、地震の際等にセグメント間の引張力を緩和させることが出来る。
【0034】
ケーシングの内周31と底部33とのコーナーには角度θのテーパー面(傾斜面)32が形成されている。
ここで、テーパーの角度θは自在に設定できる。より詳細には、メス側ボルト4のネジ山とテーパーとが直角に当たるのが理想である。そのため、メス側ボルト4に形成されたネジ山の角度により、テーパーの角度θを設定すればよい。
【0035】
メス側ボルト4は、例えば図10に示すように、オス側金具1側の端部(図10の右端)43に、部分円錐台形の弾性体43tを取り付けることが出来る。
メス側ボルト4のオス側金具1側の端部とは反対側の端部44(図10の左端)は、ボルトの軸41の径よりも直径が細く形成され、その先端側は球面状の窪み(球面の一部を形成する窪み)45が形成されている。図10の例では、弾性体43tと端部44を除く全域に亘って、雄ネジ42が形成されている。
【0036】
図1において、コイルスプリング6によってガイドプレート5がオス側金具1側(図1の右方)に押圧されると、ガイドプレート5に係止されたメス側ボルト4の部分円錐台の弾性体43tは、ケーシング3の斜面32に当接した後、斜面32に沿って半径方向内方(オス側金具1側、或いは、ケーシング3の中心側)に移動すると共に、メス側ボルト4の軸方向に圧縮される。
弾性体43tがメス側ボルト4の軸方向に圧縮されることにより、例えば、被結合部材であるトンネルセグメント同士の接続方向の動きを緩和する。即ち、免震効果を発揮する。
【0037】
図1で示すように、複数のメス側ボルト4(図1では右端)がガイドプレート5に取り付けられている。図11は、メス側ボルト4の端部をガイドプレート5に取り付ける態様について、(11−1)、(11−2)で工程毎に示している。ここで、図11で示すメス側ボルト4は、その端部44に半球状の窪み45を形成したタイプである。
図11の(11-1)で示す加工前の状態におけるメス側ボルト4の端部44をガイドプレート5(図19を参照して後述:図11の(11−2)において、その輪郭の一部を2点鎖線で示す)の挿通孔52(図11では図示を省略)に挿入する。
そして、図11の(11-2)に示す様に、メス側ボルト4の端部44を、例えばハンマー等により、端部44における縁44aが外周方向に拡がる様に加工する(いわゆる「カシメ」を行う)。端部44の縁44aが外周方向に拡がることによって、メス側ボルト4はガイドプレート5から脱落しないように係合される。
【0038】
メス側ボルト4の端部44先端を、図11の(11−2)で示すように加工する(いわゆる「カシメ」を行う)際に、図示しない冶具で塑性変形させる位置を調節することにより、メス側ボルト4におけるオス側金具1側の端部43を揺動可能にすることが出来る。
【0039】
図1において、オス側金具1をメス側金具2に結合させる際に、メス側ボルト4のオス側端部43に設けられた弾性体43tの傾斜面が、ケーシング3の傾斜面32と接触する。その状態でオス側金具1をメス側金具2から引き離す力を作用すると、メス側ボルト4は、傾斜面32に沿って半径方向内方へ移動して、オス側金具1の雄ネジ13に接触する。そして、メス側ボルトの雄ネジ42がオス側金具1の雄ネジ13と噛み合う。
【0040】
オス側金具1をメス側金具2から引き離そうとする力が強いほど、メス側ボルト4のオス側金具1側端部43がケーシング3のテーパー面32に沿って移動し、メス側ボルト4がオス側金具1に強固に押し付けられ、メス側ボルトの雄ネジ42がオス側金具1の雄ネジ13と、より一層噛み合うことになる。
【0041】
メス側ボルト4Aの雄ネジ部42は、図12に示すように、全長に対して、オス側端部43Aから一定長さLの領域に形成されていればよい。当該長さLは、作用する最大引張力及びネジのモジュール等を勘案して、設定される。
また、オス側金具1の雄ネジ13とメス側ボルトの雄ネジ42との噛み合いにおいて、双方の雄ネジは必ずしも共通ピッチとする必要は無く、オス側金具1の雄ネジ13におけるピッチが、メス側ボルトの雄ネジ42におけるピッチの整数倍であってもよい。或いは、一方のピッチを他方のピッチの正確な整数倍とする必要はない。
複数のメス側ボルトの雄ネジ42におけるネジ山の配置が異なるので、結果として、無段階にピッチが変化することと同様になる。そのため、オス側金具1の雄ネジ13におけるピッチと、メス側ボルトの雄ネジ42におけるピッチとが異なっていても、オス側金具1の雄ネジ13とメス側ボルトの雄ネジ42とは確実に噛み合うのである。
【0042】
図12〜図18で示すように、メス側ボルトのオス側端部43Aにおいて、弾性体43tを省略することが可能である。
【0043】
図13〜図18は、メス側ボルト4のオス側端部43A(弾性体43tを省略した端部)における形状のバリエーションを示している。
図13は、メス側ボルト4のオス側端部43Bが平坦なタイプを示している。
図14は、メス側ボルト4のオス側端部43Cが円錐形状のタイプを示している。
図15は、メス側ボルト4のオス側端部に、円錐状の窪み43Dを形成したタイプを示している。
図16は、メス側ボルト4のオス側端部に、半球状の突出部分43Eを形成したタイプを示している。
図17は、メス側ボルト4のオス側端部に、球状の窪み43Fを有するタイプを示している。
図18は、メス側ボルト4のオス側端部に、円柱状の窪み43Gを有するタイプを示している。
【0044】
図14、図16に示す端部形状は、ケーシング3の傾斜面32(図1参照)に対して、メス側ボルト4が半径方向内側に移動し易い形状として選択されている。
また、図15、図17、図18に示す端部形状は、メス側ボルト4の先端が変形し易い形状として選択されている。
【0045】
図19は、ガイドプレート5を単品の状態で示している。
図19において、ガイドプレート5は、円盤状部材の中央に貫通孔51が形成されている。貫通孔51は、オス側金具1の先端部(図1では左端)を逃がすために形成されている。
図19において、貫通孔51と同心に描かれた円PC上には、図示の例では8箇所の挿通孔52が形成されている。挿通孔52には、前述したように、メス側ボルト4の端部44(図10では左端)が挿通される。
【0046】
図20に示すように、挿通孔52を1個のみ設けても良い。すなわち、メス側ボルト4を1本だけ設けても良い。その場合、後述するバンド9(図38参照)により、メス側ボルト4とオス側金具1とを束ねておくのが好ましい。
【0047】
図1〜図20で示す第1実施形態では、メス側金具2のケーシング3の挿通孔34がオス側金具1の軸部11の径よりも大きく形成され、且つ、メス側ボルト4はガイドプレート5へ揺動可能に支持されているため、メス側金具2とオス側金具1の相対位置、相対角度の精度が多少粗くても、オス側金具1とメス側金具2とを円滑に結合させることが出来る。
【0048】
結合金具のオス側金具をメス側金具へ押し込む際に、強い力が必要な場合には、結合金具周辺の例えば、被結合部材であるコンクリートにクラックが生じてしまう場合がある。
これに対して、第1実施形態に係る結合装置によれば、オス側金具1をメス側金具2に押し込むに際しては、オス側金具1をメス側金具2の挿通孔34に挿入すれば良い。その際にメス側ボルト4はオス側金具1の挿入を妨げないので、オス側金具1をメス側金具2に押し込む力を強くする必要がない。
そのため、オス側金具1をメス側金具2に押し込むに際して、周辺のコンクリートにクラック等を生じさせる恐れが無い。換言すれば、コンクリート製品の品質を保持しつつ、結合することが可能となる。
【0049】
さらに、第1実施形態では、オス側金具1をメス側金具2に押し込むに際して、特別な工具を使用する必要が無いので、現場における施工時間が格段に短縮されるとともに、作業が容易となる。
【0050】
そして、オス側金具1及びメス側ボルト4に形成されるネジ山は、あらゆるネジの形態も許容する。さらには、オス側金具1及びメス側ボルト4に形成されるのは、ネジ山のみならず、溝でも良い。さらに、オス側金具1とメス側ボルト4の何れか一方は、所定の硬度の材料により、ネジ、溝等の凹凸を形成することなく平滑な表面にしても良い。
すなわち、図1〜図20の第1実施形態では、オス側金具1とメス側ボルト4とを係合する手法は多岐に亘り、選択肢は極めて多く、種々の被結合物にも対応可能である。
【0051】
次に、図21、図22を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
図21、図22の第2実施形態は、ケーシングにも弾性体を設けた実施形態である。
【0052】
図21において、全体を符号3Aで示すケーシングは、底部33と内周31の境界部に、テーパー状の斜面(図1の傾斜面32に相当する部分)が形成されていない。
ケーシング3Aの底部33には円環状の弾性体7が配置されている。そして、弾性体7に隣接して、誘導部材8(図22参照)が設置されている。ここで、誘導部材8は、ケーシング3Aとは別体である。
誘導部材8は、円筒形の内部を円錐台形状に除去した形状となっており、断面は三角形状となっている。
【0053】
メス側ボルト4のオス側端部43(図21では図示せず)が誘導部材8の内周面(斜面)83に当接した際に、(メス側ボルト4のオス側端部43が)斜面83に沿って移動し、メス側ボルト4(図21では図示せず)がオス側金具1に向って半径方向内方へ移動する。
弾性体7を設けたことにより、メス側ボルト4のオス側端部43に弾性材43tが設けられていなくても、被結合部材同士の結合方向の引張力を緩和させて、免震効果を発揮することができる。
【0054】
図21、図22で示す第2実施形態における上記以外の構成、作用効果に関しては、図1〜図20の第1実施形態と同様である。
【0055】
次に、図23、図24を参照して、第3実施形態を説明する。
図23、図24の第3実施形態は、図21、図22の第2実施形態に対して、断面が三角形状の誘導部材8を弾性体で構成して、円環状の弾性体7を省略した実施形態である。
【0056】
図23において、弾性体7Aは平坦な円柱の内側領域を円錐台形状に除去した形状であり、断面が三角形状となっている。図24で示すように、弾性体7Aは、外周面71Aがケーシング3Aの内周31と当接し、底辺72Aがケーシング3Aの底部33に接するように配置されている。
【0057】
メス側ボルト4の端部43(図23、図24では図示せず)が弾性体7Aの斜辺73Aに当接すると、メス側ボルト4(端部43)は、斜辺73Aに沿ってオス側金具1(図23、図24では図示せず)に向かい、半径方向内方へ移動する。
弾性体7Aは、オス側金具1の軸方向(図23の(23−S)において、左右方向)に力が作用したとき、弾性変形する。これにより、被結合部材同士の結合方向(オス側金具1の軸方向:図23の(23−S)において、左右方向)へ作用する力を緩和させて、免震効果を発揮する。
【0058】
図23、図24の第3実施形態における上記以外の構成、作用効果に関しては、図21、図22の第2実施形態と同様である。
【0059】
図25は第3実施形態の第1の変形例で、弾性体7は第2実施形態の弾性体7と同様に、円環形状に構成されており、内周面と外周面とが平行に形成されており、矩形断面に構成されている。
図26は第3実施形態の第2の変形例で、弾性体7Bの断面が、中心角が90°の扇形となっている。すなわち、弾性体7Bの内周面は、中心角が90°の円弧で構成されている。
【0060】
図24〜図26において、各々の図面の左方に、弾性体7A、7、7Bとメス側ボルト4の端部43とが接触した状態を示している。
図25、図26の変形例、特に図25の変形例では、オス側金具1を図23の(23−S)において、左側に向う力を作用させた際に、半径方向内方へ向う分力は大きくならない恐れが存在する。そのため、後述するバンド9等で、メス側ボルト4をオス側金具1側(半径方向内方)へ付勢するのが好ましい。
【0061】
次に、図27を参照して第4実施形態を説明する。
図27に示すように、第4実施形態のメス側金具では、メス側ボルト4に代えて、2分割したナット状部材4Aを用いている。
ナット状部材4Aの内周面には、図示では明確に示していないが、雌ネジが形成されており、オス側金具1の雄ネジ(図示を省略)と係合する。ここで、ナット状部材4Aの内周面に形成された雌ネジは、オス側金具1の雄ネジに螺合しなくても良い。
なお、図示では六角ナットを2分割しているが、八角ナット、丸ナットを、複数個に分割してもよい。
【0062】
2分割してあるナット状部材4Aは、締め付け部材(バンド)9を装備している。このバンド9は、ナット状部材4Aとオス側金具1とを積極的に結合させるものではなく、分割ナット4Aの半径外方へ離隔して、分離してしまうことを防止するために設けられている。
バンド9は弾性を有しており、例えば金属バンド、或いは合成樹脂等により構成されるのが好ましい。
【0063】
図27の第4実施形態における上記以外の構成及び作用効果は、図1〜図20の第1実施形態と概略同様である。
【0064】
次に、図28を参照して、第5実施形態を説明する。
図28の第5実施形態では、ケーシング3Bを2分割(38B、39B)して、例えば、溶接W等の手段で接合している実施形態である。
【0065】
図28において、ケーシング3Bは、符号38B、符号39Bで示す2つの部材から構成されている。この部材38B、39Bは、第1実施形態或いは第4実施形態におけるケーシング3を、その内周側に形成された傾斜面32の開始位置で2つに分割した場合における、分割された各々の部材に相当する。
2つの部材38B、39Bは、溶接等によって一体化される。
部材38B側の底部33が厚い場合は、部材38B側を鍛造等で加工し、部材39Bは鋼管を裁断することによって形成すれば、単一の部材から、例えば深底鍛造等により内部を加工してケーシングを形成する場合(ケーシングを単一の部品として構成する場合)に比較して、機械加工に関する労力を軽減することが出来る。
【0066】
上記以外の構成及び作用効果は、上述した第1実施形態及び第4実施形態と同様である。
【0067】
次に、図29、図30を参照して第6実施形態について説明する。
図29、図30の第6実施形態は、メス側ボルト4を1本のみ設け、円筒形状のガイドリング90を設け、1本のみ設けられたメス側ボルト4のガイドリング90の円周方向における動きを拘束するべく、ガイドリング90に切り欠き(スリット91)を形成している。
【0068】
図30で示すように、オス側金具1を包囲するように円筒形のガイドリング90が設けられ、ガイドリング90にはスリット91が形成されている。図30の(30−S)で示すように、スリット91はV字状に形成されており、円筒形のガイドリング90の中心軸(オス側金具1の中心軸と同じ)に対称になっている。
スリット91のオス側金具1側(図29では右側)の端部の最小幅は、メス側ボルト4の直径と概略等しい。スリット91は、メス側ボルト4を挟持して、ガイドリング90の円周方向へメス側ボルト4が移動するのを制限している。
【0069】
図31、図32は、図30の第6実施形態における第1変形例を示している。
図31、図32の第1変形例は、図29、図30の第6実施形態におけるガイドリング90を2分割したものである。図31、図32において、ガイドリング90を2分割した各々の部材は、それぞれ、符号90A、90Aで示す。
図31、図32の第1変形例では、メス側ボルト4は2本設けられており、ガイドリング90を2分割した各々の部材90A、90A間に配置される。なお、図32は、ガイドリングの2分割された部材90Aを単体で示している。
明確には図示されていないが、図31、図32の第1変形例において、メス側ボルト4を3本以上設け、ガイドリング90を3分割以上に分割することもかのうである。
【0070】
図33は、第6実施形態の第2変形例である。
図33の第2変形例では、図29、図30で示す第6実施形態のガイドリング90の外周にバンド9が設けられており、以って、メス側ボルト4が半径外方側へ移動して、ガイドリング90から逸脱してしまうことを防止している。
図示はされていないが、図31、図32の第1変形例においても、図33のバンド9を用いて部材90A、90Aを束ね、部材90A、90Aが相互に分離しないようにすることが好ましい。
【0071】
図29〜図33の第6実施形態及びその第1変形例及び第2変形例によれば、メス側ボルト4の本数を削減することが出来る。
それと共に、メス側ボルト4をガイドプレート5への取り付ける工数を削減して、ケーシング3内への組み付ける作業を容易にすることが可能となる。
【0072】
次に、図34を参照して、第7実施形態について説明する。
第1実施形態(図19参照)では、ガイドプレート5の挿通孔52は円形である。それに対して、図34の第7実施形態では、ガイドプレート5Aに8箇所形成された挿通孔52Aは、長孔として形成されている。
挿通孔52Aは、ガイドプレート5Aの半径方向に長孔の短軸が延在するように、配置されている。
【0073】
図35を参照して、第7実施形態の変形例について説明する。
図34の第7実施形態では、上述した様に、挿通孔52Aの長孔の端軸がガイドプレート5Aの半径方向に延在している。それに対して、図35の変形例では、挿通孔52Bを構成する長孔の長軸が、ガイドプレート5Bの中心軸の半径方向に延在するように配置されている。換言すれば、図35の変形例では、挿通孔52Bを構成する長孔の端軸が、ガイドプレート5Bの円周方向に延在している。
【0074】
図34の第7実施形態及びその変形例においては、挿通孔52A、52Bを長孔に構成することで、8本のメス側ボルト4をガイドプレート5A、5Bへ装着する際の利便性を向上している。
【0075】
次に、図36を参照して、第8実施形態を説明する。
図36の第8実施形態は、ガイドプレート5Cに、円筒袖部52C及び円形壁51Cを設けている。
円筒袖部52Cは、ガイドプレート5Cの外周部に設けられており、オス側金具1側(図36の(36−R)において右側)に突出している。そして、円形壁51Cは、円筒袖部52Cから半径方向内側へ一定距離(メス側ボルト4の直径よりも僅かに大きな値)だけ離れた位置に設けられており、円筒袖部52Cと同じ側(図36の(36−R)において右側)へ突出しており、且つ、円筒袖部52Cと同じ長さだけ突出している。
【0076】
円形壁51Cと円筒袖部52Cとの間には、環状の溝部50Gが形成されている。この環状の溝部50Gに、メス側ボルト4の端部44(図10、図11参照)が挿入される。
端部44を溝部50Gに取り付ける態様としては、従来から公知の技術をそのまま適用すれば良い。
【0077】
ガイドプレート5Cの円形壁51Cと円筒袖部52Cとの間に形成された環状の溝部50Gに、メス側ボルト4の端部44を挿入する様に構成することにより、メス側ボルト4のオス側金具1から離れる側(図1及び図36の(36−R)では左側)の端部44を、メス側ボルト4の軸部41と同一径にすることが出来る。その結果、メス側ボルト4の形状を単純化する事が可能となり、メス側ボルト4の加工工数を減少させることが出来る。更に、メス側ボルト4のガイドプレート5Cへの取付加工が簡略化される。
【0078】
図37、図38を参照して第9実施形態について説明する。
図37、図38の第9実施形態では、ガイドプレート5Dに複数の切欠き52Dが形成されている。切欠き52Dは、図19のガイドプレート5の挿通孔52に相当する位置から、半径方向外方に向かって、挿通孔52の直径と同一の幅で、ガイドプレート5Dの外縁まで切り欠かれている。なお、切欠き52Dの半径方向内方の端部は、図37のような半円形ではなく、直線で構成しても良い。
【0079】
図37のガイドプレート5Dと組み合わせるべきメス側ボルト4については、図56、図62〜図65を参照して後述する。
図37のガイドプレート5Dは、メス側ボルト4を適宜選択することにより、メス側ボルト4をガイドプレート5Dへ組み込む作業を容易にする事が出来る。
【0080】
また、オス側金具1とメス側金具2とが結合した後に、オス側金具1をメス側金具2から引き離す力が作用した際に、メス側ボルト4が切欠き52Dに沿って半径方向内方へ移動することが可能となるので、メス側ボルト4がオス側金具1の雄ネジ13へ接近することが容易となる。
ただし、ガイドプレート5Dは、メス側ボルト4がガイドプレート5Dの外縁部よりも半径方向外方へ移動してしまうことを拘束することは出来ないので、その様な移動を防止するために、図38で示すようなバンド9により、メス側ボルト4を束ねることが出来る。
【0081】
図39、図40を参照して、第10実施形態を説明する。
図39、図40の第10実施形態は、ガイドプレート5Eのメス側ボルト4の挿通孔52E毎に、挿通孔52Eの中心に対して対称位置に配置された複数の爪53を設けている。
【0082】
図39において、ガイドプレート5Eのメス側ボルト4(図39、図40では図示せず)の挿通孔52Eには、爪53が形成されている。図40に詳細を示すように、爪53は挿通孔52Eの対向する位置に2箇所設けられており、挿通孔52Eの中心に向かうように、半径方向内方へ突出している。
爪53は、ケーシング3のキャップ30(図1参照)側(図39の(39−R)では左側)に向かって突出している。そして、2個の爪53の内周側縁部(挿通孔52Eについて半径方向内方の縁部)は、仮想円VC53における円周の一部を構成している。仮想円VC53は、図40において点線で示されており、その内径φ53は、メス側ボルト4S(図43、図65参照)における小径の軸部44S(図43参照)の外径と概略等しい。
【0083】
図43は、当該挿通孔52Eに、メス側ボルト4(図43では、後述の図65のメス側ボルト4S)の端部43Sを取り付ける前後の状態を示している。
ここで、メス側ボルトの端部43Sは円錐台形をしており、円錐台形の端部43Sにおける最大直径は、挿通孔52Eの内径よりも小さいが、爪53で定義される仮想円VC53の直径φ53よりも大きく設定されている。
【0084】
なお、ガイドプレート5Eの材料として、比較的板厚の薄いばね鋼を用いれば、例えば、樹脂ハンマー等を用いることによって、メス側ボルト4Sを挿通孔52E内へ容易に嵌入させることが出来る。
また、ガイドプレート5Eに取り付けた後のメス側ボルト4Sは、オス側金具1側(図43では右側)の端部を比較的自由に揺動させることが出来る。
【0085】
図41は、挿通孔52Eに爪53Aを3箇所形成した例を示している。
図42は、挿通孔52Eに爪53Bを4箇所形成した例を示している。
図41、図42で示す例において、ガイドプレート5Eの挿通孔52Eへ、メス側ボルト4(例えば、図65で示すメス側ボルト4S)を嵌入する方法や、その作用効果は、図40の爪53の場合と同様である。
【0086】
次に、図44を参照して、第11実施形態を説明する。
図44の第11実施形態では、隣り合う挿通孔52の中間位置に、切れ込み(スリット)54を設けており、スリット54はガイドプレート5Fの周縁部から半径方向内方に延在する。
図44において、ガイドプレート5Fは、ピッチサークルPC上に等ピッチでメス側ボルト4の挿通孔52が8箇所形成されている。ピッチサークルPCは、図44の(44−S)において1点鎖線で示されている仮想線である。
【0087】
隣り合う挿通孔52間の丁度中間の位置に、スリット54が形成されている。スリット54は、ガイドプレート5Fの周縁部から半径方向内方へ延在し、複数本(図44の(44−S)では8本)のスリット54は放射状に配置されており、その長さは等しい。
ガイドプレート5Fは、ばね鋼で構成されているのが好ましい。或いは、比較的強度の高い樹脂板を用いて、ガイドプレート5Fを構成することも可能である。
【0088】
スリット54を設けることによって、メス側ボルト4(図44では図示せず)に当該ボルト4の軸線方向(図44の(44−R)では左右方向)に強大な引張力或いは押圧力が作用した際に、ガイドプレート5Fの外周側が、図44の(44−R)で、2点鎖線で示すように変形する。その結果、当該強大な引張力或いは押圧力によって、ガイドプレート5F全体が変形してしまうことが防止される。
ガイドプレート5全体が変形した場合には、ガイドプレート5に取り付けられたメス側ボルト4の位置が当該変形の影響を受けて、オス側金具1の雄ネジ13と係合し難くなる恐れが存在する。図44の第11実施形態では、ガイドプレート5F全体の変形が防止される結果として、メス側ボルト4の各々は独立してオス側金具1の雄ネジ13と係合し、メス側ボルト4とオス側金具1の雄ネジ13との密着性も向上する。
【0089】
また、ガイドプレート5Fにばね鋼を使用すれば、キャップ30(図1参照)とガイドプレート5Fとの間に剛性の高い、例えば金属製のスペーサを介在させることによって、図1〜図20で示す第1実施形態で必要とされた押圧用コイルスプリング6を省略することが出来る。
図示は省略されているが、第11実施形態の変形例として、ガイドプレート5F全体をゴム等の弾性材で構成すれば、スリット54を形成する必要は無い。
【0090】
図45、図46を参照して、第12実施形態を説明する。
図45において、メス側ボルト4とオス側金具1との係合を確保するためには、上述した通り、ガイドプレート5をオス側金具1側(図45においては右側)に押圧しておくのが好適である。
図45、図46の第12実施形態では、ガイドプレート5をオス側金具1側(図45においては右側)に押圧するための弾性体として、コイルスプリング6(図1)に代えて、矩形断面の円環状の樹脂製弾性部材6Aを用いている。
コイルスプリング6に代えて、矩形断面の円環状の樹脂弾性部材6Aを用いた点を除き、図45、図46の第12実施形態の構成及び作用効果は、図1〜図20の第1実施形態と同様である。
【0091】
図47は、第12実施形態の変形例を示す。図47の変形例では、ガイドプレート5を押圧する弾性体として、ドーナツ状の樹脂弾性部材6Bを用いている。
図46で示す樹脂製弾性部材6Aは、その断面形状が図45で示すように四角形である。それに対して、図47で示すドーナツ状の樹脂弾性部材6Bは、その断面形状が円形或いは長円形である。
ガイドプレート5を押圧する弾性体として、ドーナツ状の樹脂弾性部材6Bを用いた点を除けば、図47の変形例は、図47の第12実施形態と同様である。
【0092】
図48を参照して、第13実施形態を説明する。
図48の第13実施形態では、ガイドプレート5を押圧する弾性体として、2枚の皿ばねの頂部を接続した構成した押圧用弾性体6Cを用いている。
押圧用弾性体6Cの構成を除けば、図48の第13実施形態の構成及び作用効果は、上述した実施形態と同様である。
【0093】
次に、図49を参照して、第14実施形態を説明する。
図49において、ケーシング3のキャップ30(図1参照)装着側(図49では左側)の端部35近傍には、その内周部31の全周に亘って、溝31aが形成されており、その溝31aにリング状ばね(或いは止め輪:Cリング)6Dが嵌合している。
リング状ばね(或いは止め輪:Cリング)6Dは、例えば、ばね鋼を材料として構成されており、ガイドプレート5が端部35側(図49では左側)へ移動するのを制限すると共に、その弾性により、ガイドプレート5をオス金具1側(図49では右側)に付勢する作用を奏している。このように構成することにより、コイルスプリング6(図1)や、樹脂製弾性部材6A〜6C(図45〜図48)は不要となる。
【0094】
図50を参照して、第15実施形態を説明する。
図50の第15実施形態は、メス側ボルト4と係合するオス側金具1Aの部分1ACを比較的硬度が低い(軟らかい)材料で構成し、オス側金具1Aに雄ネジを形成しないで、平滑な形状(例えば円柱形)のままで用いている。
【0095】
図50において、メス側ボルト4は、概略全長に亘って雄ネジ42が形成されている。それに対して、オス側金具1Aは、比較的硬度が低い(軟らかい)材料で構成されている。
そのように構成することにより、メス側ボルト4の雄ネジ42が、オス側金具1Aに食い込んで、メス側ボルト4とオス側金具1Aとが係合する。
なお、図50において、メス側ボルト4と係合するオス側金具1Aの部分1ACを比較的硬度が低い(軟らかい)材料(例えば樹脂)で、相当量の厚さ寸法だけ被覆(コーティング)することも可能である。
【0096】
図51は、第15実施形態の変形例を示す。
図51の変形例では、図50とは反対に、メス側の部材(ピン:図50におけるメス側ボルト4に相当する部材)4Hを硬度が比較的低い(軟らかい)材料で構成し、オス側金具1は第1実施形態と同様に雄ネジ13が形成されている。
そのように構成することにより、オス側金具1の雄ネジ13が、メス側のピン4Hの外周に食い込み、以って、オス側金具1とメス側のピン4Hとが係合する。
【0097】
図50、図51の第15実施形態及び変形例において、雄ネジに代えて、複数の溝及び/又は歯を形成し、溝及び/又は歯を形成した側の部材の表面に凹凸を形成しても良い。
図50、図51で示す第15実施形態及び変形例におけるその他の構成及び作用効果は、既述の各実施形態と同様である。
【0098】
次に図52〜図55を参照して、本発明の第16実施形態及びその変形例について説明する。
ここで、本発明の第16実施形態及びその変形例は、図1におけるオス側金具1に対応する部材と、図1におけるメス側ボルト4に対応する部材に係るものであり、且つ、オス側金具1に対応する部材とメス側ボルト4に対応する部材との組み合わせに関するものである。
【0099】
図52において、符号4Jはメス側の噛み合いロッドを示しており、メス側の噛み合いロッド4Jは、図1におけるメス側ボルト4に相当している。
メス側の噛み合いロッド4Jは、その外周面の半分の領域(図52の(52−L)(52−S)において、下側の領域)にのみ、例えば断面が矩形の複数の溝42Jが形成されている。
ここで、溝42Jの断面形状は、矩形に限定されるものではない。例えば、溝42Jの断面形状は、三角形であっても良い。
【0100】
図52では図示されていないが、オス側金具1の外周面の全周に亘って溝が形成されている。ここで、オス側金具1の全周に亘って形成された溝(図52では図示せず)の形状は、例えば、メス側の噛み合いロッド4Jの溝42Jと相補形状となっている。
ただし、オス側金具1の溝の形状は、メス側の噛み合いロッド4Jの溝42Jと相補形状に限定されるものではなく、メス側の噛み合いロッド4Jの溝42Jと強固に係合可能な形状であれば、特に限定はしない。同様に、メス側の噛み合いロッド4Jの溝42Jの断面形状も、特に限定するものではない。
そして、オス側1金具の図示しない溝と、メス側の噛み合いロッド4Jの溝42Jとが噛み合うことにより、オス側金具1とメス側の噛み合いロッド4Jは係合して、雄側金具とメス側金具2(図1参照)とが結合する。
【0101】
図53は、第16実施形態の第1変形例を示している。
図53において、メス側の噛み合いロッド4K(図1のメス側ボルト4に対応する部材)は、オス側金具1と噛み合う側の面47Kが、湾曲して構成されている。湾曲面47Kは、オス側金具1の表面形状と相補形状となる様に極率が定められている。
メス側の噛み合いロッド4Kの湾曲面47Kには、矩形断面の溝42Kが形成されている。
【0102】
明確には図示されていないが、オス側金具1の外周面の全周に亘って溝が形成されている。オス側金具1に形成された溝(図53では図示せず)の形状は、例えば、メス側の噛み合いロッド4Kに形成された溝42Kと相補形状となっている。
ただし、オス側金具1における溝の形状も、メス側の噛み合いロッド4Kに形成された溝42Kの形状も、オス側金具1とメス側の噛み合いロッド4Kとが強固に係合可能であれば、特に限定はしない。
オス側金具1における溝と、メス側の噛み合いロッド4Kに形成された溝42Kとが噛み合い、係合することにより、オス側金具1とメス側金具2(図1参照)とが結合する。
【0103】
図54に示す第16実施形態の第2変形例では、メス側の噛み合いロッド4L(図1のメス側ボルト4に相当)は、その断面形状が四角形である。そして、メス側の噛み合いロッド4Lは、四角形の1辺のみに、複数の溝42Lが形成されている。溝42Lの断面形状は、例えば矩形であるが、特に限定するものではない。
明確には図示されていないが、オス側金具1Bは、例えば正8角形の断面形状を有しており、正8角形の各辺に、例えばメス側の噛み合いロッド4Lの溝42Lと相補形状の溝(図54では図示せず)が形成されている。オス側金具1Bの溝の形状についても、特に限定するものではない。
そして、オス側金具1Bに形成された溝と、メス側の噛み合いロッド4Lに形成された溝42Lとが噛み合うことにより、オス側金具1Bとメス側の噛み合いロッド4Lとが係合し、オス側金具1Bとメス側金具2とが結合する。
【0104】
図55に示す第3変形例では、メス側の噛み合いロッド4M(図1のメス側ボルト4に相当)の断面形状は、概略四角形をしているが、円形断面を有するオス側金具1と噛み合う面47Mは湾曲している。湾曲面47Mは、オス側金具1と相補的な曲面となる様に曲率が設定されている。そして、湾曲面47Mに複数の溝42Mが形成され、溝42Mの断面形状は、例えば矩形である。
【0105】
オス側金具1は、外周面の全周に亘って、例えばメス側の噛み合いロッド4Mの溝42Mと相補的な断面形状の溝(図55では図示せず)が形成されている。なお、オス側金具1の溝と、メス側の噛み合いロッド4Mの溝42Mの断面形状については、特に限定するものではない。
オス側金具1の溝と、メス側の噛み合いロッド4Mの溝42Mとが噛み合い、係合することにより、オス側金具1の溝と、メス側の噛み合いロッド4Mとが係合し、オス側金具1とメス側金具2とが結合する。
【0106】
図56〜図65は、第17実施形態〜第19実施形態及びそれ等の変形例を示しており、図1のメス側ボルト4において、ガイドプレート5に係合する側の端部の構造に関する。
先ず、図56、図57を参照して、第17実施形態について説明する。
図56、図57において、メス側ボルト4Nのガイドプレート5に係合する側(図56、図57の左側)の端部には、軸部S4に対して小径の突出部44Nが形成されている。突出部44Nの端面には、雌ネジを形成した盲孔46Nが穿孔されている。なお、図56、図57において、符号45Nは、当該端部における端面(突出部以外の端面)を示している。
【0107】
メス側ボルト4Nをガイドプレート5に係合させるに際しては、ワッシャWを用いて、ビスBを盲孔46Nに螺合する。
突出部44Nの軸方向(図56、図57の左右方向)の長さは、図57に示すように、ガイドプレート5と端面45Nとが接触している場合に、ガイドプレート5の端面45Nとは反対側の面と、ワッシャWのガイドプレート5側の面との間に、わずかな隙間δが生じるように設定されている。係る隙間δにより、メス側ボルト4Nは、オス側金具1側(図56、図57の右側)の端部が、容易に揺動する。
【0108】
図58、図59を参照して、第18実施形態を示す。
第18実施形態では、メス側ボルト4Oから、図56、図57における突出部44Nを省略している。図59において、ビスBをメス側ボルト4Oへ捻じ込む量は、ビスBの先端が、盲孔46Nの不完全ネジ部で停止する様に設定されている。盲孔46Nは、メス側ボルト4Oの先端(図58、図59では左端)に穿孔されており、その内周面に雌ネジが形成されている。
第18実施形態は、第17実施形態に比較して、メス側ボルト4Oの端部における加工を省力化できると言うメリットがある。
第18実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、第17実施形態と同様である。
【0109】
図60、図61は、第18実施形態の変形例を示す。
図60、図61では、第18実施形態では用いられているワッシャWが省略されている。そのため、第18実施形態に比較して、部品点数削減と工数低減を図ることが出来る。
図60、図61の変形例におけるその他の構成及び作用効果は、第18実施形態と同様である。
【0110】
図62〜図65は、第19実施形態及びその変形例を示している。
第19実施形態及びその変形例では、メス側ボルト4P〜4Sのガイドプレート側(図62〜図65では左側)端部に溝44P〜44Sを形成して、図56〜図61におけるビスB及びワッシャWを不必要とした実施形態である。
【0111】
先ず図62を参照して、第19実施形態を説明する。
図62において、メス側ボルト4Pのガイドプレート側(図62〜図65では左側)端部43Pの近傍には、その全周に亘って溝44Pが形成されている。
端部43Pは、メス側ボルト4Pの軸部S4よりも小径な円柱状に形成されている。
【0112】
図62で示すメス側ボルト4Pを取り付けるガイドプレートとしては、図37で示すガイドプレート5Dが好ましい。その場合、溝44Pの軸方向(図62の左右方向)の幅寸法は、ガイドプレート5Dの厚みよりも僅かに大きく設定する。
図62で示すように構成することにより、メス側ボルト4Pはオス側金具1側(図62の右側)の端部(図62では図示せず)が容易に揺動する。
【0113】
図63は、第19実施形態の第1変形例を示す。
図63では、メス側ボルト4Qのガイドプレート側(図62〜図65では左側)端部43Qの近傍に、全周に亘って溝44Qを形成している。そして、端部43Qは円錐形に構成されている。溝44Qの軸方向(図62の左右方向)の幅寸法は、図63では図示しないガイドプレートの厚みよりも、僅かに大きく設定されている。
図63のメス側ボルト4Qを取り付けるガイドプレートとしては、図37のガイドプレート5Dや、図44のガイドプレート5Fが好ましい。
【0114】
図64は、第19実施形態の第2変形例を示す。
図64において、メス側ボルト4Rのガイドプレート側(図62〜図65では左側)端部43Rの近傍には、全周に亘って溝44Rが形成されている。端部43Rは、半球と円筒形とを組み合わせた形状である。
図64のメス側ボルト4Rを取り付けるガイドプレートとしては、図37で示すガイドプレート5Dや、図44で示すガイドプレート5Fが好ましい。そして、溝44Rの幅は、ガイドプレート5D(或いは5F)の厚みよりも僅かに大きく設定してある。
【0115】
図65は、第19実施形態の第3変形例を示す。
図65において、メス側ボルト4Sのガイドプレート側(図62〜図65では左側)端部43Sの近傍には、全周に亘って溝44Sが形成されている。端部43Sは、円錐台形と円筒とを組み合わせた形状である。
図65のメス側ボルト4Sを取り付けるガイドプレートとしては、図37で示すガイドプレート5Dや、図44で示すガイドプレート5Fが好ましい。そして、溝44Sの幅は、ガイドプレート5D(或いは5F)の厚みよりも僅かに大きく設定してある。
【0116】
図66を参照して、第20実施形態を説明する。
第20実施形態は、メス側の噛み合いロッド4T(図1のメス側ボルト4に相当)に関する実施形態であり、図66は、係るメス側の噛み合いロッド4Tを単品で示している。
メス側の噛み合いロッド4Tは、断面形状が半円形であり、円弧の面(図66では下側の面)に、例えば矩形断面の溝42Tを形成している。ただし、溝42Tの断面形状については、特に限定するものではない。
メス側の噛み合いロッド4Tの断面形状が半円形である点を除けば、第20実施形態の構成及び作用効果は、前述の各実施形態と同様である。
【0117】
図67を参照して、第21実施形態を説明する。
第21実施形態は、メス側の噛み合いロッド4U(図1のメス側ボルト4に相当)に関する実施形態であり、図67は、メス側の噛み合いロッド4Uを単品で示している。
メス側の噛み合いロッド4Uは断面形状が正8角形であり、図67では下側に位置する連続する3辺に、例えば断面形状が矩形である溝42Uが形成されている。溝42Uの断面形状については、特に限定しない。
メス側の噛み合いロッド4Uの断面形状が正8角形であることを除けば、第21実施形態の構成及び作用効果は、前述の各実施形態と同様である。
【0118】
図68、図69を参照して、第22実施形態を説明する。
第22実施形態は、図68で示すメス側の噛み合い部材4V(図1のメス側ボルト4に相当)と、図69で示すガイドプレート5Gとの組み合わせに係る実施形態である。
図68において、メス側の噛み合い部材4Vは、その長手方向の概略全長に亘って鋸歯状の歯42Vが形成されている。メス側の噛み合い部材4Vの、図69に示すガイドプレート5Gへの取付側(図69では、左上側)には、延長部46Vが形成されている。延長部46Vは、長手方向について、同一の矩形断面を有している。
【0119】
図69において、ガイドプレート5Gには、図69に示すように、噛み合い部材4Vの延長部46Vを挿入する複数の挿通孔52Gが形成されている。挿通孔52は、延長部46Vの断面形状と同じ矩形に穿孔されており、ガイドプレート5Gの貫通孔51からの半径方向距離が同一であり、且つ、同一円周上に均等ピッチで配置されている。
【0120】
図70〜図72は、オス側金具1と、それに係合するメス側の部材(図1のメス側ボルト4に相当する部材)との係合状態を、断面で示している。
ここで、図70は、図54に示す第16実施形態の第2変形例におけるメス側の噛み合いロッド4Lと、オス側金具1Bとが係合している状態を、断面で示している。図71、図72の第23実施形態と比較するためである。
【0121】
先ず、図71を参照して、第23実施形態を説明する。
図71において、オス側金具1Cは、その断面形状が、図71の紙面に垂直な方向へ延在する中心軸に向かって凸に湾曲する複数の円弧が連続して構成されている。
換言すれば、オス側金具1Cの断面形状は、半径方向内方へ向って凸となって湾曲する複数の円弧が連続して構成されている。
【0122】
図71では、オス側金具1Cの断面形状は、半径方向内方へ向って凸となって湾曲する8つの円弧が連続している。当該8つの円弧の各々は、その曲率半径が、係合するメス側ボルト4の半径と等しく、オス側金具1Cの全周に亘って、例えばメス側ボルト4と同形状の複数の歯が形成されている。ただし、メス側ボルト4、オス側金具1Cに形成される歯は、その形状を特に限定するものではない。
【0123】
図72は、6つの円弧から構成された断面形状のオス側金具1Dを用いる場合を示している。
図72においても、オス側金具1Dの断面を構成する6つの円弧の各々における曲率半径は、係合するメス側ボルト4の半径と等しい。そして、オス側金具1Dの全周に亘って、例えばメス側ボルト4に形成されているのと同様の歯が形成されている。
メス側ボルト4、オス側金具1Dに形成される歯は、その形状を特に限定するものではない。
【0124】
図73を参照して、第24実施形態を説明する。
図73に示すように、メス側ボルト4Wのキャップ30(図1参照)側端部44W(図73における右側端部)には、溝48Wが形成されている。溝48Wは、メス側ボルト4Wにおける図73の上下方向中央の位置に、直径と平行に形成されている。
溝48Wには、付勢用コイルスプリング6が嵌合するように設定されている。付勢用コイルスプリング6は、メス側ボルト4Wをオス側金具1側(図73において、左側)に付勢するために設けられている。
【0125】
メス側ボルト4Wに溝48Wを形成し、溝48Wに付勢用コイルスプリング6が嵌合しているので、図73の第24実施形態によれば、ガイドプレート5(図1参照)を設けなくても、メス側ボルト4Wの端部(溝48Wが形成されている側の端部)が付勢用コイルスプリング6により保持され、図73では図示しないオス側金具1側(図73において、左側)に付勢される。
その結果、ガイドプレート5(図1参照)を省略することが出来て、部品点数を削減して、組立の労力を削減出来る。
【0126】
図74、図75は、オス側金具1に相当する部材側の雄ネジと、メス側ボルト4に相当する部材側の雄ネジの組み合わせが、右ネジ同士或いは左ネジ同士でも、右ネジと左ネジの組み合わせでも可能であることを説明している。
【0127】
図74では、オス側金具1の雄ネジ13と、メス側ボルト4の雄ネジ42は、共に右ネジである。ネジのモジュールさえ同一であれば、リード角の方向が平行となっているため、オス側金具1の雄ネジ13と、メス側ボルト4の雄ネジ42とは、問題なく確実に噛み合う。
【0128】
図75では、オス側金具1の雄ネジ13は右ネジであるが、メス側ボルト4の雄ネジは左ネジ42Lである。この場合、二つの雄ネジ13、42Lが外接するため、リードの頂点同士が交差すること無く、より一層緊密に噛み合っている。
【0129】
図76を参照して、図1〜図20を参照して説明した第1実施形態に係る結合を、工程順に説明する。
図76の(76−1)において、メス側金具2は、一方の被結合部材M1の接合面F1に埋設されて、固着されている。この場合、挿通孔34が被結合部材M1の端面と面一となっている。
オス側金具1は、メス側金具2と噛み合う部分のみが突出した状態で、他方の被結合部材M2に埋設・固着されている。ここで、オス側金具1は、雄ネジ13が形成された部分が突出しており、ストッパ12は被結合部材M2に埋設されている。
【0130】
オス側金具1(オス側金具1を埋設させた被結合部材M2)を、メス側金具2を埋設させた一方の被結合部材M1に近づける。
換言すれば、オス側金具1において、雄ネジ13のメス側金具2と係合させる領域を、メス側金具2の挿通孔34に近接させる。
【0131】
図76の(76−2)では、オス側金具1の先端15をメス側金具の挿通孔34に挿入し、押し込む。
オス側金具1の先端15をメス側金具の挿通孔34へ押し込むに際しては、メス側ボルト4が半径方向内方へ移動する前の段階であるので、複数のメス側ボルト4がオス側金具1と干渉することが無く、オス側金具1はメス側金具の挿通孔34へ、小さな押し込み力で容易に挿入される。
【0132】
図76の(76−3)では、オス側金具1のストッパ12が、メス側金具2を埋設させた一方の被結合部材M1の接合面F1に当接し、それ以上の押し込みを規制する。これにより、オス側金具1のメス側金具2への挿入が完了する。
図76の(76−3)では明確ではないが、オス側金具1の先端15がメス側金具2のガイドプレート5の貫通孔51を貫通している(図1参照)。
【0133】
図76の(76−3)で示す状態で、オス側金具1をメス側金具2から引き離す側(被結合部材M2側:図76では右側)へ引っ張れば、オス側金具1の雄ネジ13とメス側ボルト4の雄ネジ42(図10参照)とが軽く係合しているので、メス側ボルト4のオス側の端部43(図10参照:図76においては、メス側ボルト4の右側端部)は、図76の右方に移動しようとして、ケーシング3の傾斜面32に沿ってスライドする。
【0134】
端部43がケーシング3の傾斜面32に沿ってスライドすることにより、端部43はケーシング3の半径方向内方に移動し、メス側ボルト4も半径方向内方へ移動する。その結果、オス側金具1の雄ネジ13と、メス側ボルト4の雄ネジ42とが緊密に係合する。これにより、2つの被結合部材M1、M2の結合は完了する。
【0135】
本発明は、特にトンネルのライナーを構成するセグメントの結合に用いることに適している。しかし、その他の用途、例えば建造物用のパネル、鉄筋コンクリートの結合にも有効である。或いは、鋼製のセグメントや、鋳鉄製のセグメントへの適応も可能である。
【0136】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の第1実施形態の全体構成を説明する図。
【図2】第1実施形態のオス側金具を示す図。
【図3】図2に対して雄ネジ部を部分的に形成した例を示す図。
【図4】オス側金具の先端を平坦に形成した例を示す図。
【図5】オス側金具の先端を円錐形に形成した例を示す図。
【図6】オス側金具の先端に円錐形の凹部を形成した例を示す図。
【図7】オス側金具の先端を半球状に形成した例を示す図。
【図8】オス側金具の先端が球面状の凹部を形成した例を示す図。
【図9】オス側金具の先端に円筒形の凹部を形成した例を示す図。
【図10】第1実施形態のメス側ボルトを示す図。
【図11】メス側ボルトの一端部を加工する工程を示す図。
【図12】メス側ボルトの雄ネジ部が短い例を示す図。
【図13】メス側ボルトの端部が平らに形成された例を示す図。
【図14】メス側ボルトの端部が円錐形に形成された例を示す図。
【図15】メス側ボルトの端部に円錐形の凹部を形成した例を示す図。
【図16】メス側ボルトの端部が球面状に形成された例を示す図。
【図17】メス側ボルトの端部に球面状の凹部を形成した例を示す図。
【図18】メス側ボルトの端部に円筒形の凹部を形成した例を示す図。
【図19】第1実施形態におけるガイドプレートを示す図。
【図20】第1実施形態のガイドプレートの変形例を示す正面図。
【図21】第2実施形態のケーシング及び弾性体を示す図。
【図22】第2実施形態の誘導部材の斜視図。
【図23】第3実施形態のケーシング及び弾性体を示す図。
【図24】第3実施形態の弾性体の断面図。
【図25】弾性体の断面が矩形の変形例を示す断面図。
【図26】弾性体の断面が扇形の変形例を示す断面図。
【図27】第4実施形態の全体構成を示す図。
【図28】第5実施形態のケーシングを示す断面図。
【図29】第6実施形態の全体構成を示す断面図。
【図30】第6実施形態のガイドリングを示す図。
【図31】ガイドリングの第1変形例を示す断面図。
【図32】図32のガイドリングの分割片を示す斜視図。
【図33】第6実施形態の第2変形例を示す断面図。
【図34】第7実施形態のガイドプレートを示す図。
【図35】第7実施形態の変形例を示す正面図。
【図36】第8実施形態のガイドプレートを示す図。
【図37】第9実施形態のガイドプレートを示す正面図。
【図38】第9実施形態の全体構成を示す図。
【図39】第10実施形態のガイドプレートを示す図。
【図40】図39の部分拡大図。
【図41】第10実施形態の挿通孔の変形例を示す図。
【図42】第10実施形態の挿通孔の他の変形例を示す図。
【図43】第10実施形態においてメス側ボルトをガイドプレートに嵌合させる工程を示す図。
【図44】第11実施形態のガイドプレートを示す図。
【図45】第12実施形態の全体構成を示す断面図。
【図46】第12実施形態の弾性体の斜視図。
【図47】第12実施形態の弾性体の変形例を示す斜視図。
【図48】第13実施形態の弾性体を示す斜視図。
【図49】第14実施形態のケーシングを示す断面図。
【図50】第15実施形態の要部を説明する側面図。
【図51】第15実施形態の変形例を説明する側面図。
【図52】第16実施形態の要部を説明する側面図。
【図53】第16実施形態の第1変形例の要部を説明する側面図。
【図54】第16実施形態の第2変形例の要部を説明する側面図。
【図55】第16実施形態の第3変形例の要部を説明する側面図。
【図56】第17実施形態のメス側ボルトの端部とガイドプレートを示す図。
【図57】図56のメス側ボルトがガイドプレートに係合した状態を示す図。
【図58】第18実施形態のメス側ボルトの端部を示す図。
【図59】図58のメス側ボルトがガイドプレートに係合した状態を示す図。
【図60】第18実施形態の変形例を示す図。
【図61】図60のメス側ボルトがガイドプレートに係合した状態を示す図。
【図62】第19実施形態のメス側ボルトの端部を示す図。
【図63】第19実施形態の第1変形例を示す図。
【図64】第19実施形態の第2変形例を示す図。
【図65】第19実施形態の第3変形例を示す図。
【図66】第20実施形態のメス側の噛み合いロッドを示す斜視図。
【図67】第21実施形態のメス側の噛み合いロッドを示す斜視図。
【図68】第22実施形態のメス側の噛み合い部材を示す斜視図。
【図69】第22実施形態のガイドプレートを示す正面図。
【図70】図54の係合状態を示す断面図。
【図71】第23実施形態を示す断面図。
【図72】第23実施形態の別の例を示す断面図
【図73】第24実施形態を示す斜視図。
【図74】右ネジ同士の係合を説明する図。
【図75】右ネジと左ネジの係合を説明する図。
【図76】第1実施形態におけるオス側金具とメス側金具との結合の工程を示す図。
【符号の説明】
【0138】
1・・・オス側金具
2・・・メス側金具
3・・・ケーシング
4・・・メス側ボルト
5・・・ガイドプレート
6・・・コイルスプリング
7・・・弾性体
8・・・誘導部材
9・・・バンド
13・・・雄ネジ
30・・・キャップ
32・・・傾斜面
33・・・底部
42・・・雄ネジ
90・・・ガイドリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトンネル用のセグメントの結合等に用いられる結合装置に関する。より詳細には、本発明は、オス側金具とメス側金具とを有し、締結しようとする部材(例えば、トンネル用セグメントの様な構造体)の各々にオス側金具或いはメス側金具を取り付け、オス側金具をメス側金具に挿入することにより、オス側金具を設けた部材とメス側金具を設けた部材とを結合、或いは締結する結合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オス金具をメス金具に挿入するだけで、締結しようとする部材(例えば、トンネル用セグメントの様な構造体)同士を確実に結合することができる結合装置が望まれる。
【0003】
しかし、従来技術では、オス金具をメス金具に挿入するのに必要な押し込み荷重が過大である。
また、オス金具をメス金具に挿入し難く、或いは、オス金具とメス金具とを組み込み難いことが多い。
さらに、オス金具をメス金具に挿入した後に、ガタツキ(いわゆる「目開き」)が大きい。
このように、従来技術においては、種々の問題が存在する。
【0004】
その他の従来技術としては、例えば、トンネルのコンクリートセグメント間継手面に設けられた継手金具と主筋とを簡単な構造で確実に定着し、効率の良い応力伝達を可能にしたコンクリートセグメントの継手構造が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術は上述した問題点を解消するものではない。
【特許文献1】特開2004−324104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、オス金具をメス金具に挿入するだけで、締結しようとする部材同士を確実に結合することができて、しかも、オス金具をメス金具へ容易に挿入可能であり、オス金具をメス金具に挿入した後のガタツキが小さい結合金具の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の結合装置は、オス側金具(1)とメス側金具(2)とを有し、オス側金具(1)とメス側金具(2)は締結すべき部材(例えば、トンネル用セグメントの様な構造体)の各々に固定されており、オス側金具(1)は柱状のオス側柱状部材(例えば、オス側のボルト、オス側のピン、オス側の角柱等:1)を有しており、メス側金具(2)はケーシング(3)とメス側柱状部材(例えば、メス側のボルト、メス側のピン、メス側の角柱等:4)とを有しており、ケーシング(3)のオス側端面(33)隅部の内周面は、そこに当接するメス側柱状部材(メス側ボルト4)がオス側金具(1)側へ付勢されたならば半径方向内方へ移動する様に傾斜面(テーパー面32)或いは湾曲面が形成されており、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)とが係合するように構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0007】
メス側柱状部材(4N、4P、4Q、4R、4S)のオス側端面から離隔する側の端部(44N、44P、44Q、44R、44S)は、板状部材(ガイドプレート5)により、メス側柱状部材(4)のオス側端面がケーシング(3)の半径方向内方へ移動可能に支持されているのが好ましい(請求項2:図56、図62〜図65)。
但し、板状部材(ガイドプレート5)を省略することも可能である(図73)。
【0008】
また、メス側柱状部材(4)は、オス側金具(1)側へ付勢される様に構成されているのが好ましい(請求項3)。
具体的には、例えば、前記ケーシング(3)のオス側端面から離隔する側の端面(ケーシング3のキャップ30)と板状部材(ガイドプレート5)との間に弾性体(スプリング6、合成樹脂6A等)を介装し、その弾性体の弾性反撥力により、板状部材(ガイドプレート5)をオス側金具(1)側へ付勢し、以って、メス側柱状部材(4)をオス側金具(1)側へ付勢する様に構成することができる(図1、図45〜図48)。
【0009】
また、前記板状部材(ガイドプレート5F)を弾性材料(例えばバネ、ゴム、合成樹脂等)で形成し、前記板状部材(ガイドプレート5F)の弾性反撥力により、メス側柱状部材(4)をオス側金具(1)側へ付勢する様に構成しても良い(図44)。
【0010】
或いは、前記板状部材(ガイドプレート5)を弾性材料(例えばバネ鋼等)で形成された支持材(6D)によりケーシング内周面(31)に支持し、その支持材(6D)の弾性反撥力により、板状部材(ガイドプレート5)をオス側金具側へ付勢する様に構成しても良い(図49)。
【0011】
本発明において、オス側柱状部材(1)は表面に凹凸(例えば、ネジ山、溝等)が形成されており、メス側柱状部材(1)の表面に凹凸(例えば、ネジ山、溝等)が形成され且つメス側柱状部材(4)は同一円周上に複数配置されているのが好ましい(請求項4)。
ここで、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)は、その長手方向全域に亘って凹凸が形成されていても良いし、或いは、長手方向の一部に凹凸が形成されていても良い(図2、図3、図10、図12)。
【0012】
また、オス側柱状部材(1、1B、1C、1D)とメス側柱状部材(4、4L、4M、4T、4U)は、その断面形状が円形(1)であっても良いし、非円形、例えば四角形や半円形であっても良い(図1、図52〜図55、図66〜図68、図70〜図72)。
そして、オス側柱状部材(1C、1D)は、同一円周上に複数配置されたメス側柱状部材に対して相補的な断面形状を有しているのが好ましい(図71、図72)。
【0013】
或いは、本発明において、オス側柱状部材とメス側柱状部材の何れか一方の表面にのみ凹凸(例えば、ネジ山、溝等)を形成し、他方(1A、4H)の表面を平滑に構成し、平滑に構成された側(1A、4H)の柱状部材は表面に凹凸が形成された側の柱状部材に比較して軟らかい材料で構成されているのが好ましい(請求項5:図50、図51)。
【0014】
ここで、前記凹凸をネジ山で構成し、オス側柱状部材とメス側柱状部材の何れか一方が右ネジであり、他方が左ネジであるのが好ましい(請求項6:図75)。
勿論、オス側柱状部材とメス側柱状部材の両方を右ネジ或いは左ネジにしても良い。
【0015】
また、本発明において、メス側柱状部材と平行に且つメス側柱状部材と隣接して、連続した円弧状の断面形状を有する部材を配置しているのが好ましい(請求項7:図29〜図33)。
【0016】
さらに、本発明において、メス側柱状部材のオス側端部及び/またはケーシングのオス側端面(33)には、弾性材が設けられているのが好ましい(請求項8:図10、図21〜図26)。
【発明の効果】
【0017】
上述する構成を具備する本発明によれば、ケーシング(3)のオス側端面隅部の内周面は、そこに当接するメス側柱状部材(4)がオス側金具(1)側へ付勢されたならば半径方向内方へ移動する様に傾斜面(32)或いは湾曲面が形成されている(請求項1)。従って、オス側柱状部材(1)をメス側柱状部材(4)に嵌入し、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)が係合させれば、オス側金具(1)とメス側金具(2)の各々と固定されている締結すべき部材(例えば、トンネル用セグメントの様な構造体)同士が締結される。
一方、オス側柱状部材(1)をメス側金具(2)から引き離そうとしても、オス側柱状部材(1)と係合しているメス側柱状部材(4)がオス側金具(1)側へ付勢される。そして、前記傾斜面(32)或いは湾曲面によって、当該メス側柱状部材(4)が半径方向内方へ移動する。そのため、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)とがより一層強固に係合することとなり、オス側金具(1)とメス側金具(2)との結合も強固になる。
【0018】
本発明において、メス側柱状部材(4N、4P、4Q、4R、4S)のオス側端面から離隔する側の端部(44N、44P、44Q、44R、44S)を、板状部材(ガイドプレート5、5A、5B、5D、5E)により、メス側柱状部材(4N、4P、4Q、4R、4S)のオス側端面が半径方向内方へ移動可能なように支持すれば(請求項2)、メス側柱状部材(4N、4P、4Q、4R、4S)がオス側金具(1等)側へ付勢された際に、前記傾斜面(32)或いは湾曲面により半径方向内方へ移動することが保証される。
【0019】
また、メス側柱状部材は、オス側金具側へ付勢される様に構成すれば(請求項3)、メス側柱状部材(4)が半径方向内方へ移動して、オス側柱状部材(1)とより一層強固に係合することが保証され、オス側金具(1)とメス側金具(2)とが強固に結合されることも保証される。
【0020】
本発明において、オス側柱状部材(1、1B、1C)は表面に凹凸(例えば、ネジ山13、溝等)が形成されており、メス側柱状部材(4、4J、4K、4L、4M)の表面に凹凸(例えば、ネジ山42、溝42J、42K、42L、42M等)が形成され且つメス側柱状部材(4、4J、4K、4L、4M)はケーシング(3)内における同一円周上に複数配置されていれば(請求項4)、前記傾斜面(32)或いは湾曲面によりメス側柱状部材(4、4J、4K、4L、4M)が半径方向内方へ移動した際に、オス側柱状部材(1、1B、1C)の凹凸とメス側柱状部材(4、4J、4K、4L、4M)の凹凸とが係合する。そのため、オス側金具(1、1B、1C)とメス側金具(2)とが確実に結合される。したがって、締結するべき部材同士、例えば、トンネル内壁を構成するセグメント等を確実に締結することが可能になる。
【0021】
或いは、本発明において、オス側柱状部材とメス側柱状部材の何れか一方の表面にのみ凹凸(例えば、ネジ山、溝等)を形成し、他方(1Aまたは4H)の表面を平滑に構成し、平滑に構成された側(1Aまたは4H)の柱状部材は表面に凹凸が形成された側の柱状部材に比較して軟らかい材料で構成すれば(請求項5)、前記傾斜面(32)或いは湾曲面によりメス側柱状部材が半径方向内方へ移動した際に、オス側柱状部材とメス側柱状部材の何れか一方に形成された凹凸が、平滑に構成された他方の柱状部材に食い込んで係合する。従って、オス側柱状部材とメス側柱状部材とが確実に係合し、以って、オス側金具とメス側金具とが確実に結合される。
【0022】
前記凹凸をネジ山で構成し、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)の何れか一方(例えば、オス側柱状部材1)が右ネジ(13)であり、他方(例えば、メス側柱状部材4)が左ネジ(42L)である様に構成しても(請求項6)、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)に形成されたネジ山同士(13、43L)が係合する際にも、互いのリードは交差するが、両者は確実に係合する(図75参照)。
一方、オス側柱状部材(1)とメス側柱状部材(4)のネジが共に右ネジ、或いは共に左ネジであれば、互いのリードが交差せずに、オス側柱状部材(1)のネジ山と、メス側柱状部材(4)のネジ山とは、確実に且つ緊密に係合する(図74参照)。
【0023】
さらに、本発明において、メス側柱状部材(4)のオス側端部(43)及び/またはケーシング(3)のオス側端面(33)に弾性材(43t及び/または7)を設ければ(請求項8)、弾性材(43t及び/または7)の弾性変形により、オス側柱状部材(1)及びメス側柱状部材(4)の長手方向における変位を吸収することができるので、地震に対する免震効果を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
添付図面において、符号(N−S)は、図Nの正面図を表現し、符号(N−R)は図Nの右側面図を示し、符号(N−L)は図Nの左側面図を示している。
【0025】
先ず、図1〜図20を参照して、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、本発明の結合装置の、いわば「基本形」というべき実施形態である。
図1で示す結合装置は、オス側金具1とメス側金具2とから構成されている。オス側金具1及びメス側金具2は締結されるべき部材、例えばトンネル用セグメントの各々に固定されて用いられる。
【0026】
詳細を図2に示すように、オス側金具1の軸部11中央には、断面が部分円弧状の縁(ストッパ)12が全周に亘って形成されている。
この断面が部分円弧状の縁(ストッパ)12は、後述するケーシング3のオス側金具挿通孔34にオス側金具1を挿入した際に、挿入長さを決定するための位置決め部材としての役目を担う。
【0027】
図2において、オス側金具1の左端は円錐台形の先端部15として構成され、ストッパ12左側の概略全ての領域に雄ネジ13が形成されている。また、ストッパ12の右側の領域(概略全ての領域)にも雄ネジ14が形成されている。
ストッパの先端15側の雄ネジ13は、図2においてはストッパ12の左側の全域に形成されているが、図3で示すように、先端から一定の長さLにのみ、雄ネジ13が形成されていても良い。ここで前記長さLは、オス側金具1がメス側金具2に係合した時に、所定以上の引張力に耐える噛合い長さ、として設定されている。
雄ネジ14は、結合されるべき部材(例えば図示しないトンネル用セグメント本体)に設けられた雌ネジと締結される。
【0028】
ここで、オス側金具1の雄ネジ13と、該雄ネジ13と係合する雄ネジ42(後述)とは、ネジの種類及び等級を選ばず、ネジピッチについても限定はしない。ここで、雄ネジ42は、オス側金具1の雄ネジ13と係合する後述するメス側金具2におけるボルト4に形成される。
詳細については後述するが、オス側及びメス側の双方において、係合するための構成としては、螺旋状のネジのみならず、独立した複数の溝であってもよい。或いは、オス側、メス側の何れか一方を、ネジ(あるいは溝)を形成せず且つ比較的軟らかい平滑な部材で構成し、他方のネジ(或いは、溝間の部分)を当該比較的軟らかい平滑な部材に食い込ませることによって結合してもよい。
【0029】
図4〜図9は、オス側金具1の先端形状のバリエーションを示している。
図4はオス側金具1の平らな先端部15Aを示し、図5は円錐形状の先端部15Bを示し、図6は円錐状の窪み15Cを有する先端部を示し、図7は半球状の先端部15Dを示し、図8は球面状の窪み(球面の一部により構成された窪み)15Eを有する先端部を示し、図9は円柱状の窪み15Fを有する先端部を示している。
【0030】
特に図2、図5、図7の先端形状は、センター出しの容易な形状となっている。ガイドプレート5に関連して後述するが、図2、図5、図7で示す様な先端形状であれば、ガイドプレート5に形成された貫通孔51に、オス側金具1の先端を貫通して、センター出しを行うことが容易である。
図4、図6、図8、図9等で示す先端形状については、対応するガイドプレートのセンター形状によって選択される。
【0031】
再び図1において、メス側金具2は、ケーシング3と、複数本(図1では8本)メス側ボルト4(メス側柱状部材)と、複数のメス側ボルト4を同一円周上で係止(或いは、係合)するガイドプレート5と、ケーシング3の開放側35を塞ぐキャップ30と、コイルスプリング6とで構成されている。
ここで、コイルスプリング6は、ガイドプレート5とキャップ30の間に介装し、ガイドプレート5をオス側金具1側に押圧している。
【0032】
ケーシング3は、全体が円筒状に形成され、オス側金具1側には底部33が形成され、その底部33の中央には前記オス側金具1を挿通させる挿通孔34が形成されている。
図1では明確に示されていないが、オス側金具1の軸部11(図2参照)の外周面と、挿通孔34の内周面との間には、所定の隙間が存在しており、当該隙間の存在により、オス側金具1が図1のY矢印方向に揺動する。
勿論、オス側金具1と挿通孔34との相対的な関係においては、オス側金具1の軸部11は軸方向(図1のX矢印方向)に移動可能である。
【0033】
オス側金具1によるY矢印方向の揺動は、例えば結合させた2つのトンネル用セグメントの間に生じる剪断力を緩和し、免震効果を与えることが出来る。
また、オス側金具1によるX矢印方向の動きは、地震の際等にセグメント間の引張力を緩和させることが出来る。
【0034】
ケーシングの内周31と底部33とのコーナーには角度θのテーパー面(傾斜面)32が形成されている。
ここで、テーパーの角度θは自在に設定できる。より詳細には、メス側ボルト4のネジ山とテーパーとが直角に当たるのが理想である。そのため、メス側ボルト4に形成されたネジ山の角度により、テーパーの角度θを設定すればよい。
【0035】
メス側ボルト4は、例えば図10に示すように、オス側金具1側の端部(図10の右端)43に、部分円錐台形の弾性体43tを取り付けることが出来る。
メス側ボルト4のオス側金具1側の端部とは反対側の端部44(図10の左端)は、ボルトの軸41の径よりも直径が細く形成され、その先端側は球面状の窪み(球面の一部を形成する窪み)45が形成されている。図10の例では、弾性体43tと端部44を除く全域に亘って、雄ネジ42が形成されている。
【0036】
図1において、コイルスプリング6によってガイドプレート5がオス側金具1側(図1の右方)に押圧されると、ガイドプレート5に係止されたメス側ボルト4の部分円錐台の弾性体43tは、ケーシング3の斜面32に当接した後、斜面32に沿って半径方向内方(オス側金具1側、或いは、ケーシング3の中心側)に移動すると共に、メス側ボルト4の軸方向に圧縮される。
弾性体43tがメス側ボルト4の軸方向に圧縮されることにより、例えば、被結合部材であるトンネルセグメント同士の接続方向の動きを緩和する。即ち、免震効果を発揮する。
【0037】
図1で示すように、複数のメス側ボルト4(図1では右端)がガイドプレート5に取り付けられている。図11は、メス側ボルト4の端部をガイドプレート5に取り付ける態様について、(11−1)、(11−2)で工程毎に示している。ここで、図11で示すメス側ボルト4は、その端部44に半球状の窪み45を形成したタイプである。
図11の(11-1)で示す加工前の状態におけるメス側ボルト4の端部44をガイドプレート5(図19を参照して後述:図11の(11−2)において、その輪郭の一部を2点鎖線で示す)の挿通孔52(図11では図示を省略)に挿入する。
そして、図11の(11-2)に示す様に、メス側ボルト4の端部44を、例えばハンマー等により、端部44における縁44aが外周方向に拡がる様に加工する(いわゆる「カシメ」を行う)。端部44の縁44aが外周方向に拡がることによって、メス側ボルト4はガイドプレート5から脱落しないように係合される。
【0038】
メス側ボルト4の端部44先端を、図11の(11−2)で示すように加工する(いわゆる「カシメ」を行う)際に、図示しない冶具で塑性変形させる位置を調節することにより、メス側ボルト4におけるオス側金具1側の端部43を揺動可能にすることが出来る。
【0039】
図1において、オス側金具1をメス側金具2に結合させる際に、メス側ボルト4のオス側端部43に設けられた弾性体43tの傾斜面が、ケーシング3の傾斜面32と接触する。その状態でオス側金具1をメス側金具2から引き離す力を作用すると、メス側ボルト4は、傾斜面32に沿って半径方向内方へ移動して、オス側金具1の雄ネジ13に接触する。そして、メス側ボルトの雄ネジ42がオス側金具1の雄ネジ13と噛み合う。
【0040】
オス側金具1をメス側金具2から引き離そうとする力が強いほど、メス側ボルト4のオス側金具1側端部43がケーシング3のテーパー面32に沿って移動し、メス側ボルト4がオス側金具1に強固に押し付けられ、メス側ボルトの雄ネジ42がオス側金具1の雄ネジ13と、より一層噛み合うことになる。
【0041】
メス側ボルト4Aの雄ネジ部42は、図12に示すように、全長に対して、オス側端部43Aから一定長さLの領域に形成されていればよい。当該長さLは、作用する最大引張力及びネジのモジュール等を勘案して、設定される。
また、オス側金具1の雄ネジ13とメス側ボルトの雄ネジ42との噛み合いにおいて、双方の雄ネジは必ずしも共通ピッチとする必要は無く、オス側金具1の雄ネジ13におけるピッチが、メス側ボルトの雄ネジ42におけるピッチの整数倍であってもよい。或いは、一方のピッチを他方のピッチの正確な整数倍とする必要はない。
複数のメス側ボルトの雄ネジ42におけるネジ山の配置が異なるので、結果として、無段階にピッチが変化することと同様になる。そのため、オス側金具1の雄ネジ13におけるピッチと、メス側ボルトの雄ネジ42におけるピッチとが異なっていても、オス側金具1の雄ネジ13とメス側ボルトの雄ネジ42とは確実に噛み合うのである。
【0042】
図12〜図18で示すように、メス側ボルトのオス側端部43Aにおいて、弾性体43tを省略することが可能である。
【0043】
図13〜図18は、メス側ボルト4のオス側端部43A(弾性体43tを省略した端部)における形状のバリエーションを示している。
図13は、メス側ボルト4のオス側端部43Bが平坦なタイプを示している。
図14は、メス側ボルト4のオス側端部43Cが円錐形状のタイプを示している。
図15は、メス側ボルト4のオス側端部に、円錐状の窪み43Dを形成したタイプを示している。
図16は、メス側ボルト4のオス側端部に、半球状の突出部分43Eを形成したタイプを示している。
図17は、メス側ボルト4のオス側端部に、球状の窪み43Fを有するタイプを示している。
図18は、メス側ボルト4のオス側端部に、円柱状の窪み43Gを有するタイプを示している。
【0044】
図14、図16に示す端部形状は、ケーシング3の傾斜面32(図1参照)に対して、メス側ボルト4が半径方向内側に移動し易い形状として選択されている。
また、図15、図17、図18に示す端部形状は、メス側ボルト4の先端が変形し易い形状として選択されている。
【0045】
図19は、ガイドプレート5を単品の状態で示している。
図19において、ガイドプレート5は、円盤状部材の中央に貫通孔51が形成されている。貫通孔51は、オス側金具1の先端部(図1では左端)を逃がすために形成されている。
図19において、貫通孔51と同心に描かれた円PC上には、図示の例では8箇所の挿通孔52が形成されている。挿通孔52には、前述したように、メス側ボルト4の端部44(図10では左端)が挿通される。
【0046】
図20に示すように、挿通孔52を1個のみ設けても良い。すなわち、メス側ボルト4を1本だけ設けても良い。その場合、後述するバンド9(図38参照)により、メス側ボルト4とオス側金具1とを束ねておくのが好ましい。
【0047】
図1〜図20で示す第1実施形態では、メス側金具2のケーシング3の挿通孔34がオス側金具1の軸部11の径よりも大きく形成され、且つ、メス側ボルト4はガイドプレート5へ揺動可能に支持されているため、メス側金具2とオス側金具1の相対位置、相対角度の精度が多少粗くても、オス側金具1とメス側金具2とを円滑に結合させることが出来る。
【0048】
結合金具のオス側金具をメス側金具へ押し込む際に、強い力が必要な場合には、結合金具周辺の例えば、被結合部材であるコンクリートにクラックが生じてしまう場合がある。
これに対して、第1実施形態に係る結合装置によれば、オス側金具1をメス側金具2に押し込むに際しては、オス側金具1をメス側金具2の挿通孔34に挿入すれば良い。その際にメス側ボルト4はオス側金具1の挿入を妨げないので、オス側金具1をメス側金具2に押し込む力を強くする必要がない。
そのため、オス側金具1をメス側金具2に押し込むに際して、周辺のコンクリートにクラック等を生じさせる恐れが無い。換言すれば、コンクリート製品の品質を保持しつつ、結合することが可能となる。
【0049】
さらに、第1実施形態では、オス側金具1をメス側金具2に押し込むに際して、特別な工具を使用する必要が無いので、現場における施工時間が格段に短縮されるとともに、作業が容易となる。
【0050】
そして、オス側金具1及びメス側ボルト4に形成されるネジ山は、あらゆるネジの形態も許容する。さらには、オス側金具1及びメス側ボルト4に形成されるのは、ネジ山のみならず、溝でも良い。さらに、オス側金具1とメス側ボルト4の何れか一方は、所定の硬度の材料により、ネジ、溝等の凹凸を形成することなく平滑な表面にしても良い。
すなわち、図1〜図20の第1実施形態では、オス側金具1とメス側ボルト4とを係合する手法は多岐に亘り、選択肢は極めて多く、種々の被結合物にも対応可能である。
【0051】
次に、図21、図22を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
図21、図22の第2実施形態は、ケーシングにも弾性体を設けた実施形態である。
【0052】
図21において、全体を符号3Aで示すケーシングは、底部33と内周31の境界部に、テーパー状の斜面(図1の傾斜面32に相当する部分)が形成されていない。
ケーシング3Aの底部33には円環状の弾性体7が配置されている。そして、弾性体7に隣接して、誘導部材8(図22参照)が設置されている。ここで、誘導部材8は、ケーシング3Aとは別体である。
誘導部材8は、円筒形の内部を円錐台形状に除去した形状となっており、断面は三角形状となっている。
【0053】
メス側ボルト4のオス側端部43(図21では図示せず)が誘導部材8の内周面(斜面)83に当接した際に、(メス側ボルト4のオス側端部43が)斜面83に沿って移動し、メス側ボルト4(図21では図示せず)がオス側金具1に向って半径方向内方へ移動する。
弾性体7を設けたことにより、メス側ボルト4のオス側端部43に弾性材43tが設けられていなくても、被結合部材同士の結合方向の引張力を緩和させて、免震効果を発揮することができる。
【0054】
図21、図22で示す第2実施形態における上記以外の構成、作用効果に関しては、図1〜図20の第1実施形態と同様である。
【0055】
次に、図23、図24を参照して、第3実施形態を説明する。
図23、図24の第3実施形態は、図21、図22の第2実施形態に対して、断面が三角形状の誘導部材8を弾性体で構成して、円環状の弾性体7を省略した実施形態である。
【0056】
図23において、弾性体7Aは平坦な円柱の内側領域を円錐台形状に除去した形状であり、断面が三角形状となっている。図24で示すように、弾性体7Aは、外周面71Aがケーシング3Aの内周31と当接し、底辺72Aがケーシング3Aの底部33に接するように配置されている。
【0057】
メス側ボルト4の端部43(図23、図24では図示せず)が弾性体7Aの斜辺73Aに当接すると、メス側ボルト4(端部43)は、斜辺73Aに沿ってオス側金具1(図23、図24では図示せず)に向かい、半径方向内方へ移動する。
弾性体7Aは、オス側金具1の軸方向(図23の(23−S)において、左右方向)に力が作用したとき、弾性変形する。これにより、被結合部材同士の結合方向(オス側金具1の軸方向:図23の(23−S)において、左右方向)へ作用する力を緩和させて、免震効果を発揮する。
【0058】
図23、図24の第3実施形態における上記以外の構成、作用効果に関しては、図21、図22の第2実施形態と同様である。
【0059】
図25は第3実施形態の第1の変形例で、弾性体7は第2実施形態の弾性体7と同様に、円環形状に構成されており、内周面と外周面とが平行に形成されており、矩形断面に構成されている。
図26は第3実施形態の第2の変形例で、弾性体7Bの断面が、中心角が90°の扇形となっている。すなわち、弾性体7Bの内周面は、中心角が90°の円弧で構成されている。
【0060】
図24〜図26において、各々の図面の左方に、弾性体7A、7、7Bとメス側ボルト4の端部43とが接触した状態を示している。
図25、図26の変形例、特に図25の変形例では、オス側金具1を図23の(23−S)において、左側に向う力を作用させた際に、半径方向内方へ向う分力は大きくならない恐れが存在する。そのため、後述するバンド9等で、メス側ボルト4をオス側金具1側(半径方向内方)へ付勢するのが好ましい。
【0061】
次に、図27を参照して第4実施形態を説明する。
図27に示すように、第4実施形態のメス側金具では、メス側ボルト4に代えて、2分割したナット状部材4Aを用いている。
ナット状部材4Aの内周面には、図示では明確に示していないが、雌ネジが形成されており、オス側金具1の雄ネジ(図示を省略)と係合する。ここで、ナット状部材4Aの内周面に形成された雌ネジは、オス側金具1の雄ネジに螺合しなくても良い。
なお、図示では六角ナットを2分割しているが、八角ナット、丸ナットを、複数個に分割してもよい。
【0062】
2分割してあるナット状部材4Aは、締め付け部材(バンド)9を装備している。このバンド9は、ナット状部材4Aとオス側金具1とを積極的に結合させるものではなく、分割ナット4Aの半径外方へ離隔して、分離してしまうことを防止するために設けられている。
バンド9は弾性を有しており、例えば金属バンド、或いは合成樹脂等により構成されるのが好ましい。
【0063】
図27の第4実施形態における上記以外の構成及び作用効果は、図1〜図20の第1実施形態と概略同様である。
【0064】
次に、図28を参照して、第5実施形態を説明する。
図28の第5実施形態では、ケーシング3Bを2分割(38B、39B)して、例えば、溶接W等の手段で接合している実施形態である。
【0065】
図28において、ケーシング3Bは、符号38B、符号39Bで示す2つの部材から構成されている。この部材38B、39Bは、第1実施形態或いは第4実施形態におけるケーシング3を、その内周側に形成された傾斜面32の開始位置で2つに分割した場合における、分割された各々の部材に相当する。
2つの部材38B、39Bは、溶接等によって一体化される。
部材38B側の底部33が厚い場合は、部材38B側を鍛造等で加工し、部材39Bは鋼管を裁断することによって形成すれば、単一の部材から、例えば深底鍛造等により内部を加工してケーシングを形成する場合(ケーシングを単一の部品として構成する場合)に比較して、機械加工に関する労力を軽減することが出来る。
【0066】
上記以外の構成及び作用効果は、上述した第1実施形態及び第4実施形態と同様である。
【0067】
次に、図29、図30を参照して第6実施形態について説明する。
図29、図30の第6実施形態は、メス側ボルト4を1本のみ設け、円筒形状のガイドリング90を設け、1本のみ設けられたメス側ボルト4のガイドリング90の円周方向における動きを拘束するべく、ガイドリング90に切り欠き(スリット91)を形成している。
【0068】
図30で示すように、オス側金具1を包囲するように円筒形のガイドリング90が設けられ、ガイドリング90にはスリット91が形成されている。図30の(30−S)で示すように、スリット91はV字状に形成されており、円筒形のガイドリング90の中心軸(オス側金具1の中心軸と同じ)に対称になっている。
スリット91のオス側金具1側(図29では右側)の端部の最小幅は、メス側ボルト4の直径と概略等しい。スリット91は、メス側ボルト4を挟持して、ガイドリング90の円周方向へメス側ボルト4が移動するのを制限している。
【0069】
図31、図32は、図30の第6実施形態における第1変形例を示している。
図31、図32の第1変形例は、図29、図30の第6実施形態におけるガイドリング90を2分割したものである。図31、図32において、ガイドリング90を2分割した各々の部材は、それぞれ、符号90A、90Aで示す。
図31、図32の第1変形例では、メス側ボルト4は2本設けられており、ガイドリング90を2分割した各々の部材90A、90A間に配置される。なお、図32は、ガイドリングの2分割された部材90Aを単体で示している。
明確には図示されていないが、図31、図32の第1変形例において、メス側ボルト4を3本以上設け、ガイドリング90を3分割以上に分割することもかのうである。
【0070】
図33は、第6実施形態の第2変形例である。
図33の第2変形例では、図29、図30で示す第6実施形態のガイドリング90の外周にバンド9が設けられており、以って、メス側ボルト4が半径外方側へ移動して、ガイドリング90から逸脱してしまうことを防止している。
図示はされていないが、図31、図32の第1変形例においても、図33のバンド9を用いて部材90A、90Aを束ね、部材90A、90Aが相互に分離しないようにすることが好ましい。
【0071】
図29〜図33の第6実施形態及びその第1変形例及び第2変形例によれば、メス側ボルト4の本数を削減することが出来る。
それと共に、メス側ボルト4をガイドプレート5への取り付ける工数を削減して、ケーシング3内への組み付ける作業を容易にすることが可能となる。
【0072】
次に、図34を参照して、第7実施形態について説明する。
第1実施形態(図19参照)では、ガイドプレート5の挿通孔52は円形である。それに対して、図34の第7実施形態では、ガイドプレート5Aに8箇所形成された挿通孔52Aは、長孔として形成されている。
挿通孔52Aは、ガイドプレート5Aの半径方向に長孔の短軸が延在するように、配置されている。
【0073】
図35を参照して、第7実施形態の変形例について説明する。
図34の第7実施形態では、上述した様に、挿通孔52Aの長孔の端軸がガイドプレート5Aの半径方向に延在している。それに対して、図35の変形例では、挿通孔52Bを構成する長孔の長軸が、ガイドプレート5Bの中心軸の半径方向に延在するように配置されている。換言すれば、図35の変形例では、挿通孔52Bを構成する長孔の端軸が、ガイドプレート5Bの円周方向に延在している。
【0074】
図34の第7実施形態及びその変形例においては、挿通孔52A、52Bを長孔に構成することで、8本のメス側ボルト4をガイドプレート5A、5Bへ装着する際の利便性を向上している。
【0075】
次に、図36を参照して、第8実施形態を説明する。
図36の第8実施形態は、ガイドプレート5Cに、円筒袖部52C及び円形壁51Cを設けている。
円筒袖部52Cは、ガイドプレート5Cの外周部に設けられており、オス側金具1側(図36の(36−R)において右側)に突出している。そして、円形壁51Cは、円筒袖部52Cから半径方向内側へ一定距離(メス側ボルト4の直径よりも僅かに大きな値)だけ離れた位置に設けられており、円筒袖部52Cと同じ側(図36の(36−R)において右側)へ突出しており、且つ、円筒袖部52Cと同じ長さだけ突出している。
【0076】
円形壁51Cと円筒袖部52Cとの間には、環状の溝部50Gが形成されている。この環状の溝部50Gに、メス側ボルト4の端部44(図10、図11参照)が挿入される。
端部44を溝部50Gに取り付ける態様としては、従来から公知の技術をそのまま適用すれば良い。
【0077】
ガイドプレート5Cの円形壁51Cと円筒袖部52Cとの間に形成された環状の溝部50Gに、メス側ボルト4の端部44を挿入する様に構成することにより、メス側ボルト4のオス側金具1から離れる側(図1及び図36の(36−R)では左側)の端部44を、メス側ボルト4の軸部41と同一径にすることが出来る。その結果、メス側ボルト4の形状を単純化する事が可能となり、メス側ボルト4の加工工数を減少させることが出来る。更に、メス側ボルト4のガイドプレート5Cへの取付加工が簡略化される。
【0078】
図37、図38を参照して第9実施形態について説明する。
図37、図38の第9実施形態では、ガイドプレート5Dに複数の切欠き52Dが形成されている。切欠き52Dは、図19のガイドプレート5の挿通孔52に相当する位置から、半径方向外方に向かって、挿通孔52の直径と同一の幅で、ガイドプレート5Dの外縁まで切り欠かれている。なお、切欠き52Dの半径方向内方の端部は、図37のような半円形ではなく、直線で構成しても良い。
【0079】
図37のガイドプレート5Dと組み合わせるべきメス側ボルト4については、図56、図62〜図65を参照して後述する。
図37のガイドプレート5Dは、メス側ボルト4を適宜選択することにより、メス側ボルト4をガイドプレート5Dへ組み込む作業を容易にする事が出来る。
【0080】
また、オス側金具1とメス側金具2とが結合した後に、オス側金具1をメス側金具2から引き離す力が作用した際に、メス側ボルト4が切欠き52Dに沿って半径方向内方へ移動することが可能となるので、メス側ボルト4がオス側金具1の雄ネジ13へ接近することが容易となる。
ただし、ガイドプレート5Dは、メス側ボルト4がガイドプレート5Dの外縁部よりも半径方向外方へ移動してしまうことを拘束することは出来ないので、その様な移動を防止するために、図38で示すようなバンド9により、メス側ボルト4を束ねることが出来る。
【0081】
図39、図40を参照して、第10実施形態を説明する。
図39、図40の第10実施形態は、ガイドプレート5Eのメス側ボルト4の挿通孔52E毎に、挿通孔52Eの中心に対して対称位置に配置された複数の爪53を設けている。
【0082】
図39において、ガイドプレート5Eのメス側ボルト4(図39、図40では図示せず)の挿通孔52Eには、爪53が形成されている。図40に詳細を示すように、爪53は挿通孔52Eの対向する位置に2箇所設けられており、挿通孔52Eの中心に向かうように、半径方向内方へ突出している。
爪53は、ケーシング3のキャップ30(図1参照)側(図39の(39−R)では左側)に向かって突出している。そして、2個の爪53の内周側縁部(挿通孔52Eについて半径方向内方の縁部)は、仮想円VC53における円周の一部を構成している。仮想円VC53は、図40において点線で示されており、その内径φ53は、メス側ボルト4S(図43、図65参照)における小径の軸部44S(図43参照)の外径と概略等しい。
【0083】
図43は、当該挿通孔52Eに、メス側ボルト4(図43では、後述の図65のメス側ボルト4S)の端部43Sを取り付ける前後の状態を示している。
ここで、メス側ボルトの端部43Sは円錐台形をしており、円錐台形の端部43Sにおける最大直径は、挿通孔52Eの内径よりも小さいが、爪53で定義される仮想円VC53の直径φ53よりも大きく設定されている。
【0084】
なお、ガイドプレート5Eの材料として、比較的板厚の薄いばね鋼を用いれば、例えば、樹脂ハンマー等を用いることによって、メス側ボルト4Sを挿通孔52E内へ容易に嵌入させることが出来る。
また、ガイドプレート5Eに取り付けた後のメス側ボルト4Sは、オス側金具1側(図43では右側)の端部を比較的自由に揺動させることが出来る。
【0085】
図41は、挿通孔52Eに爪53Aを3箇所形成した例を示している。
図42は、挿通孔52Eに爪53Bを4箇所形成した例を示している。
図41、図42で示す例において、ガイドプレート5Eの挿通孔52Eへ、メス側ボルト4(例えば、図65で示すメス側ボルト4S)を嵌入する方法や、その作用効果は、図40の爪53の場合と同様である。
【0086】
次に、図44を参照して、第11実施形態を説明する。
図44の第11実施形態では、隣り合う挿通孔52の中間位置に、切れ込み(スリット)54を設けており、スリット54はガイドプレート5Fの周縁部から半径方向内方に延在する。
図44において、ガイドプレート5Fは、ピッチサークルPC上に等ピッチでメス側ボルト4の挿通孔52が8箇所形成されている。ピッチサークルPCは、図44の(44−S)において1点鎖線で示されている仮想線である。
【0087】
隣り合う挿通孔52間の丁度中間の位置に、スリット54が形成されている。スリット54は、ガイドプレート5Fの周縁部から半径方向内方へ延在し、複数本(図44の(44−S)では8本)のスリット54は放射状に配置されており、その長さは等しい。
ガイドプレート5Fは、ばね鋼で構成されているのが好ましい。或いは、比較的強度の高い樹脂板を用いて、ガイドプレート5Fを構成することも可能である。
【0088】
スリット54を設けることによって、メス側ボルト4(図44では図示せず)に当該ボルト4の軸線方向(図44の(44−R)では左右方向)に強大な引張力或いは押圧力が作用した際に、ガイドプレート5Fの外周側が、図44の(44−R)で、2点鎖線で示すように変形する。その結果、当該強大な引張力或いは押圧力によって、ガイドプレート5F全体が変形してしまうことが防止される。
ガイドプレート5全体が変形した場合には、ガイドプレート5に取り付けられたメス側ボルト4の位置が当該変形の影響を受けて、オス側金具1の雄ネジ13と係合し難くなる恐れが存在する。図44の第11実施形態では、ガイドプレート5F全体の変形が防止される結果として、メス側ボルト4の各々は独立してオス側金具1の雄ネジ13と係合し、メス側ボルト4とオス側金具1の雄ネジ13との密着性も向上する。
【0089】
また、ガイドプレート5Fにばね鋼を使用すれば、キャップ30(図1参照)とガイドプレート5Fとの間に剛性の高い、例えば金属製のスペーサを介在させることによって、図1〜図20で示す第1実施形態で必要とされた押圧用コイルスプリング6を省略することが出来る。
図示は省略されているが、第11実施形態の変形例として、ガイドプレート5F全体をゴム等の弾性材で構成すれば、スリット54を形成する必要は無い。
【0090】
図45、図46を参照して、第12実施形態を説明する。
図45において、メス側ボルト4とオス側金具1との係合を確保するためには、上述した通り、ガイドプレート5をオス側金具1側(図45においては右側)に押圧しておくのが好適である。
図45、図46の第12実施形態では、ガイドプレート5をオス側金具1側(図45においては右側)に押圧するための弾性体として、コイルスプリング6(図1)に代えて、矩形断面の円環状の樹脂製弾性部材6Aを用いている。
コイルスプリング6に代えて、矩形断面の円環状の樹脂弾性部材6Aを用いた点を除き、図45、図46の第12実施形態の構成及び作用効果は、図1〜図20の第1実施形態と同様である。
【0091】
図47は、第12実施形態の変形例を示す。図47の変形例では、ガイドプレート5を押圧する弾性体として、ドーナツ状の樹脂弾性部材6Bを用いている。
図46で示す樹脂製弾性部材6Aは、その断面形状が図45で示すように四角形である。それに対して、図47で示すドーナツ状の樹脂弾性部材6Bは、その断面形状が円形或いは長円形である。
ガイドプレート5を押圧する弾性体として、ドーナツ状の樹脂弾性部材6Bを用いた点を除けば、図47の変形例は、図47の第12実施形態と同様である。
【0092】
図48を参照して、第13実施形態を説明する。
図48の第13実施形態では、ガイドプレート5を押圧する弾性体として、2枚の皿ばねの頂部を接続した構成した押圧用弾性体6Cを用いている。
押圧用弾性体6Cの構成を除けば、図48の第13実施形態の構成及び作用効果は、上述した実施形態と同様である。
【0093】
次に、図49を参照して、第14実施形態を説明する。
図49において、ケーシング3のキャップ30(図1参照)装着側(図49では左側)の端部35近傍には、その内周部31の全周に亘って、溝31aが形成されており、その溝31aにリング状ばね(或いは止め輪:Cリング)6Dが嵌合している。
リング状ばね(或いは止め輪:Cリング)6Dは、例えば、ばね鋼を材料として構成されており、ガイドプレート5が端部35側(図49では左側)へ移動するのを制限すると共に、その弾性により、ガイドプレート5をオス金具1側(図49では右側)に付勢する作用を奏している。このように構成することにより、コイルスプリング6(図1)や、樹脂製弾性部材6A〜6C(図45〜図48)は不要となる。
【0094】
図50を参照して、第15実施形態を説明する。
図50の第15実施形態は、メス側ボルト4と係合するオス側金具1Aの部分1ACを比較的硬度が低い(軟らかい)材料で構成し、オス側金具1Aに雄ネジを形成しないで、平滑な形状(例えば円柱形)のままで用いている。
【0095】
図50において、メス側ボルト4は、概略全長に亘って雄ネジ42が形成されている。それに対して、オス側金具1Aは、比較的硬度が低い(軟らかい)材料で構成されている。
そのように構成することにより、メス側ボルト4の雄ネジ42が、オス側金具1Aに食い込んで、メス側ボルト4とオス側金具1Aとが係合する。
なお、図50において、メス側ボルト4と係合するオス側金具1Aの部分1ACを比較的硬度が低い(軟らかい)材料(例えば樹脂)で、相当量の厚さ寸法だけ被覆(コーティング)することも可能である。
【0096】
図51は、第15実施形態の変形例を示す。
図51の変形例では、図50とは反対に、メス側の部材(ピン:図50におけるメス側ボルト4に相当する部材)4Hを硬度が比較的低い(軟らかい)材料で構成し、オス側金具1は第1実施形態と同様に雄ネジ13が形成されている。
そのように構成することにより、オス側金具1の雄ネジ13が、メス側のピン4Hの外周に食い込み、以って、オス側金具1とメス側のピン4Hとが係合する。
【0097】
図50、図51の第15実施形態及び変形例において、雄ネジに代えて、複数の溝及び/又は歯を形成し、溝及び/又は歯を形成した側の部材の表面に凹凸を形成しても良い。
図50、図51で示す第15実施形態及び変形例におけるその他の構成及び作用効果は、既述の各実施形態と同様である。
【0098】
次に図52〜図55を参照して、本発明の第16実施形態及びその変形例について説明する。
ここで、本発明の第16実施形態及びその変形例は、図1におけるオス側金具1に対応する部材と、図1におけるメス側ボルト4に対応する部材に係るものであり、且つ、オス側金具1に対応する部材とメス側ボルト4に対応する部材との組み合わせに関するものである。
【0099】
図52において、符号4Jはメス側の噛み合いロッドを示しており、メス側の噛み合いロッド4Jは、図1におけるメス側ボルト4に相当している。
メス側の噛み合いロッド4Jは、その外周面の半分の領域(図52の(52−L)(52−S)において、下側の領域)にのみ、例えば断面が矩形の複数の溝42Jが形成されている。
ここで、溝42Jの断面形状は、矩形に限定されるものではない。例えば、溝42Jの断面形状は、三角形であっても良い。
【0100】
図52では図示されていないが、オス側金具1の外周面の全周に亘って溝が形成されている。ここで、オス側金具1の全周に亘って形成された溝(図52では図示せず)の形状は、例えば、メス側の噛み合いロッド4Jの溝42Jと相補形状となっている。
ただし、オス側金具1の溝の形状は、メス側の噛み合いロッド4Jの溝42Jと相補形状に限定されるものではなく、メス側の噛み合いロッド4Jの溝42Jと強固に係合可能な形状であれば、特に限定はしない。同様に、メス側の噛み合いロッド4Jの溝42Jの断面形状も、特に限定するものではない。
そして、オス側1金具の図示しない溝と、メス側の噛み合いロッド4Jの溝42Jとが噛み合うことにより、オス側金具1とメス側の噛み合いロッド4Jは係合して、雄側金具とメス側金具2(図1参照)とが結合する。
【0101】
図53は、第16実施形態の第1変形例を示している。
図53において、メス側の噛み合いロッド4K(図1のメス側ボルト4に対応する部材)は、オス側金具1と噛み合う側の面47Kが、湾曲して構成されている。湾曲面47Kは、オス側金具1の表面形状と相補形状となる様に極率が定められている。
メス側の噛み合いロッド4Kの湾曲面47Kには、矩形断面の溝42Kが形成されている。
【0102】
明確には図示されていないが、オス側金具1の外周面の全周に亘って溝が形成されている。オス側金具1に形成された溝(図53では図示せず)の形状は、例えば、メス側の噛み合いロッド4Kに形成された溝42Kと相補形状となっている。
ただし、オス側金具1における溝の形状も、メス側の噛み合いロッド4Kに形成された溝42Kの形状も、オス側金具1とメス側の噛み合いロッド4Kとが強固に係合可能であれば、特に限定はしない。
オス側金具1における溝と、メス側の噛み合いロッド4Kに形成された溝42Kとが噛み合い、係合することにより、オス側金具1とメス側金具2(図1参照)とが結合する。
【0103】
図54に示す第16実施形態の第2変形例では、メス側の噛み合いロッド4L(図1のメス側ボルト4に相当)は、その断面形状が四角形である。そして、メス側の噛み合いロッド4Lは、四角形の1辺のみに、複数の溝42Lが形成されている。溝42Lの断面形状は、例えば矩形であるが、特に限定するものではない。
明確には図示されていないが、オス側金具1Bは、例えば正8角形の断面形状を有しており、正8角形の各辺に、例えばメス側の噛み合いロッド4Lの溝42Lと相補形状の溝(図54では図示せず)が形成されている。オス側金具1Bの溝の形状についても、特に限定するものではない。
そして、オス側金具1Bに形成された溝と、メス側の噛み合いロッド4Lに形成された溝42Lとが噛み合うことにより、オス側金具1Bとメス側の噛み合いロッド4Lとが係合し、オス側金具1Bとメス側金具2とが結合する。
【0104】
図55に示す第3変形例では、メス側の噛み合いロッド4M(図1のメス側ボルト4に相当)の断面形状は、概略四角形をしているが、円形断面を有するオス側金具1と噛み合う面47Mは湾曲している。湾曲面47Mは、オス側金具1と相補的な曲面となる様に曲率が設定されている。そして、湾曲面47Mに複数の溝42Mが形成され、溝42Mの断面形状は、例えば矩形である。
【0105】
オス側金具1は、外周面の全周に亘って、例えばメス側の噛み合いロッド4Mの溝42Mと相補的な断面形状の溝(図55では図示せず)が形成されている。なお、オス側金具1の溝と、メス側の噛み合いロッド4Mの溝42Mの断面形状については、特に限定するものではない。
オス側金具1の溝と、メス側の噛み合いロッド4Mの溝42Mとが噛み合い、係合することにより、オス側金具1の溝と、メス側の噛み合いロッド4Mとが係合し、オス側金具1とメス側金具2とが結合する。
【0106】
図56〜図65は、第17実施形態〜第19実施形態及びそれ等の変形例を示しており、図1のメス側ボルト4において、ガイドプレート5に係合する側の端部の構造に関する。
先ず、図56、図57を参照して、第17実施形態について説明する。
図56、図57において、メス側ボルト4Nのガイドプレート5に係合する側(図56、図57の左側)の端部には、軸部S4に対して小径の突出部44Nが形成されている。突出部44Nの端面には、雌ネジを形成した盲孔46Nが穿孔されている。なお、図56、図57において、符号45Nは、当該端部における端面(突出部以外の端面)を示している。
【0107】
メス側ボルト4Nをガイドプレート5に係合させるに際しては、ワッシャWを用いて、ビスBを盲孔46Nに螺合する。
突出部44Nの軸方向(図56、図57の左右方向)の長さは、図57に示すように、ガイドプレート5と端面45Nとが接触している場合に、ガイドプレート5の端面45Nとは反対側の面と、ワッシャWのガイドプレート5側の面との間に、わずかな隙間δが生じるように設定されている。係る隙間δにより、メス側ボルト4Nは、オス側金具1側(図56、図57の右側)の端部が、容易に揺動する。
【0108】
図58、図59を参照して、第18実施形態を示す。
第18実施形態では、メス側ボルト4Oから、図56、図57における突出部44Nを省略している。図59において、ビスBをメス側ボルト4Oへ捻じ込む量は、ビスBの先端が、盲孔46Nの不完全ネジ部で停止する様に設定されている。盲孔46Nは、メス側ボルト4Oの先端(図58、図59では左端)に穿孔されており、その内周面に雌ネジが形成されている。
第18実施形態は、第17実施形態に比較して、メス側ボルト4Oの端部における加工を省力化できると言うメリットがある。
第18実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、第17実施形態と同様である。
【0109】
図60、図61は、第18実施形態の変形例を示す。
図60、図61では、第18実施形態では用いられているワッシャWが省略されている。そのため、第18実施形態に比較して、部品点数削減と工数低減を図ることが出来る。
図60、図61の変形例におけるその他の構成及び作用効果は、第18実施形態と同様である。
【0110】
図62〜図65は、第19実施形態及びその変形例を示している。
第19実施形態及びその変形例では、メス側ボルト4P〜4Sのガイドプレート側(図62〜図65では左側)端部に溝44P〜44Sを形成して、図56〜図61におけるビスB及びワッシャWを不必要とした実施形態である。
【0111】
先ず図62を参照して、第19実施形態を説明する。
図62において、メス側ボルト4Pのガイドプレート側(図62〜図65では左側)端部43Pの近傍には、その全周に亘って溝44Pが形成されている。
端部43Pは、メス側ボルト4Pの軸部S4よりも小径な円柱状に形成されている。
【0112】
図62で示すメス側ボルト4Pを取り付けるガイドプレートとしては、図37で示すガイドプレート5Dが好ましい。その場合、溝44Pの軸方向(図62の左右方向)の幅寸法は、ガイドプレート5Dの厚みよりも僅かに大きく設定する。
図62で示すように構成することにより、メス側ボルト4Pはオス側金具1側(図62の右側)の端部(図62では図示せず)が容易に揺動する。
【0113】
図63は、第19実施形態の第1変形例を示す。
図63では、メス側ボルト4Qのガイドプレート側(図62〜図65では左側)端部43Qの近傍に、全周に亘って溝44Qを形成している。そして、端部43Qは円錐形に構成されている。溝44Qの軸方向(図62の左右方向)の幅寸法は、図63では図示しないガイドプレートの厚みよりも、僅かに大きく設定されている。
図63のメス側ボルト4Qを取り付けるガイドプレートとしては、図37のガイドプレート5Dや、図44のガイドプレート5Fが好ましい。
【0114】
図64は、第19実施形態の第2変形例を示す。
図64において、メス側ボルト4Rのガイドプレート側(図62〜図65では左側)端部43Rの近傍には、全周に亘って溝44Rが形成されている。端部43Rは、半球と円筒形とを組み合わせた形状である。
図64のメス側ボルト4Rを取り付けるガイドプレートとしては、図37で示すガイドプレート5Dや、図44で示すガイドプレート5Fが好ましい。そして、溝44Rの幅は、ガイドプレート5D(或いは5F)の厚みよりも僅かに大きく設定してある。
【0115】
図65は、第19実施形態の第3変形例を示す。
図65において、メス側ボルト4Sのガイドプレート側(図62〜図65では左側)端部43Sの近傍には、全周に亘って溝44Sが形成されている。端部43Sは、円錐台形と円筒とを組み合わせた形状である。
図65のメス側ボルト4Sを取り付けるガイドプレートとしては、図37で示すガイドプレート5Dや、図44で示すガイドプレート5Fが好ましい。そして、溝44Sの幅は、ガイドプレート5D(或いは5F)の厚みよりも僅かに大きく設定してある。
【0116】
図66を参照して、第20実施形態を説明する。
第20実施形態は、メス側の噛み合いロッド4T(図1のメス側ボルト4に相当)に関する実施形態であり、図66は、係るメス側の噛み合いロッド4Tを単品で示している。
メス側の噛み合いロッド4Tは、断面形状が半円形であり、円弧の面(図66では下側の面)に、例えば矩形断面の溝42Tを形成している。ただし、溝42Tの断面形状については、特に限定するものではない。
メス側の噛み合いロッド4Tの断面形状が半円形である点を除けば、第20実施形態の構成及び作用効果は、前述の各実施形態と同様である。
【0117】
図67を参照して、第21実施形態を説明する。
第21実施形態は、メス側の噛み合いロッド4U(図1のメス側ボルト4に相当)に関する実施形態であり、図67は、メス側の噛み合いロッド4Uを単品で示している。
メス側の噛み合いロッド4Uは断面形状が正8角形であり、図67では下側に位置する連続する3辺に、例えば断面形状が矩形である溝42Uが形成されている。溝42Uの断面形状については、特に限定しない。
メス側の噛み合いロッド4Uの断面形状が正8角形であることを除けば、第21実施形態の構成及び作用効果は、前述の各実施形態と同様である。
【0118】
図68、図69を参照して、第22実施形態を説明する。
第22実施形態は、図68で示すメス側の噛み合い部材4V(図1のメス側ボルト4に相当)と、図69で示すガイドプレート5Gとの組み合わせに係る実施形態である。
図68において、メス側の噛み合い部材4Vは、その長手方向の概略全長に亘って鋸歯状の歯42Vが形成されている。メス側の噛み合い部材4Vの、図69に示すガイドプレート5Gへの取付側(図69では、左上側)には、延長部46Vが形成されている。延長部46Vは、長手方向について、同一の矩形断面を有している。
【0119】
図69において、ガイドプレート5Gには、図69に示すように、噛み合い部材4Vの延長部46Vを挿入する複数の挿通孔52Gが形成されている。挿通孔52は、延長部46Vの断面形状と同じ矩形に穿孔されており、ガイドプレート5Gの貫通孔51からの半径方向距離が同一であり、且つ、同一円周上に均等ピッチで配置されている。
【0120】
図70〜図72は、オス側金具1と、それに係合するメス側の部材(図1のメス側ボルト4に相当する部材)との係合状態を、断面で示している。
ここで、図70は、図54に示す第16実施形態の第2変形例におけるメス側の噛み合いロッド4Lと、オス側金具1Bとが係合している状態を、断面で示している。図71、図72の第23実施形態と比較するためである。
【0121】
先ず、図71を参照して、第23実施形態を説明する。
図71において、オス側金具1Cは、その断面形状が、図71の紙面に垂直な方向へ延在する中心軸に向かって凸に湾曲する複数の円弧が連続して構成されている。
換言すれば、オス側金具1Cの断面形状は、半径方向内方へ向って凸となって湾曲する複数の円弧が連続して構成されている。
【0122】
図71では、オス側金具1Cの断面形状は、半径方向内方へ向って凸となって湾曲する8つの円弧が連続している。当該8つの円弧の各々は、その曲率半径が、係合するメス側ボルト4の半径と等しく、オス側金具1Cの全周に亘って、例えばメス側ボルト4と同形状の複数の歯が形成されている。ただし、メス側ボルト4、オス側金具1Cに形成される歯は、その形状を特に限定するものではない。
【0123】
図72は、6つの円弧から構成された断面形状のオス側金具1Dを用いる場合を示している。
図72においても、オス側金具1Dの断面を構成する6つの円弧の各々における曲率半径は、係合するメス側ボルト4の半径と等しい。そして、オス側金具1Dの全周に亘って、例えばメス側ボルト4に形成されているのと同様の歯が形成されている。
メス側ボルト4、オス側金具1Dに形成される歯は、その形状を特に限定するものではない。
【0124】
図73を参照して、第24実施形態を説明する。
図73に示すように、メス側ボルト4Wのキャップ30(図1参照)側端部44W(図73における右側端部)には、溝48Wが形成されている。溝48Wは、メス側ボルト4Wにおける図73の上下方向中央の位置に、直径と平行に形成されている。
溝48Wには、付勢用コイルスプリング6が嵌合するように設定されている。付勢用コイルスプリング6は、メス側ボルト4Wをオス側金具1側(図73において、左側)に付勢するために設けられている。
【0125】
メス側ボルト4Wに溝48Wを形成し、溝48Wに付勢用コイルスプリング6が嵌合しているので、図73の第24実施形態によれば、ガイドプレート5(図1参照)を設けなくても、メス側ボルト4Wの端部(溝48Wが形成されている側の端部)が付勢用コイルスプリング6により保持され、図73では図示しないオス側金具1側(図73において、左側)に付勢される。
その結果、ガイドプレート5(図1参照)を省略することが出来て、部品点数を削減して、組立の労力を削減出来る。
【0126】
図74、図75は、オス側金具1に相当する部材側の雄ネジと、メス側ボルト4に相当する部材側の雄ネジの組み合わせが、右ネジ同士或いは左ネジ同士でも、右ネジと左ネジの組み合わせでも可能であることを説明している。
【0127】
図74では、オス側金具1の雄ネジ13と、メス側ボルト4の雄ネジ42は、共に右ネジである。ネジのモジュールさえ同一であれば、リード角の方向が平行となっているため、オス側金具1の雄ネジ13と、メス側ボルト4の雄ネジ42とは、問題なく確実に噛み合う。
【0128】
図75では、オス側金具1の雄ネジ13は右ネジであるが、メス側ボルト4の雄ネジは左ネジ42Lである。この場合、二つの雄ネジ13、42Lが外接するため、リードの頂点同士が交差すること無く、より一層緊密に噛み合っている。
【0129】
図76を参照して、図1〜図20を参照して説明した第1実施形態に係る結合を、工程順に説明する。
図76の(76−1)において、メス側金具2は、一方の被結合部材M1の接合面F1に埋設されて、固着されている。この場合、挿通孔34が被結合部材M1の端面と面一となっている。
オス側金具1は、メス側金具2と噛み合う部分のみが突出した状態で、他方の被結合部材M2に埋設・固着されている。ここで、オス側金具1は、雄ネジ13が形成された部分が突出しており、ストッパ12は被結合部材M2に埋設されている。
【0130】
オス側金具1(オス側金具1を埋設させた被結合部材M2)を、メス側金具2を埋設させた一方の被結合部材M1に近づける。
換言すれば、オス側金具1において、雄ネジ13のメス側金具2と係合させる領域を、メス側金具2の挿通孔34に近接させる。
【0131】
図76の(76−2)では、オス側金具1の先端15をメス側金具の挿通孔34に挿入し、押し込む。
オス側金具1の先端15をメス側金具の挿通孔34へ押し込むに際しては、メス側ボルト4が半径方向内方へ移動する前の段階であるので、複数のメス側ボルト4がオス側金具1と干渉することが無く、オス側金具1はメス側金具の挿通孔34へ、小さな押し込み力で容易に挿入される。
【0132】
図76の(76−3)では、オス側金具1のストッパ12が、メス側金具2を埋設させた一方の被結合部材M1の接合面F1に当接し、それ以上の押し込みを規制する。これにより、オス側金具1のメス側金具2への挿入が完了する。
図76の(76−3)では明確ではないが、オス側金具1の先端15がメス側金具2のガイドプレート5の貫通孔51を貫通している(図1参照)。
【0133】
図76の(76−3)で示す状態で、オス側金具1をメス側金具2から引き離す側(被結合部材M2側:図76では右側)へ引っ張れば、オス側金具1の雄ネジ13とメス側ボルト4の雄ネジ42(図10参照)とが軽く係合しているので、メス側ボルト4のオス側の端部43(図10参照:図76においては、メス側ボルト4の右側端部)は、図76の右方に移動しようとして、ケーシング3の傾斜面32に沿ってスライドする。
【0134】
端部43がケーシング3の傾斜面32に沿ってスライドすることにより、端部43はケーシング3の半径方向内方に移動し、メス側ボルト4も半径方向内方へ移動する。その結果、オス側金具1の雄ネジ13と、メス側ボルト4の雄ネジ42とが緊密に係合する。これにより、2つの被結合部材M1、M2の結合は完了する。
【0135】
本発明は、特にトンネルのライナーを構成するセグメントの結合に用いることに適している。しかし、その他の用途、例えば建造物用のパネル、鉄筋コンクリートの結合にも有効である。或いは、鋼製のセグメントや、鋳鉄製のセグメントへの適応も可能である。
【0136】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の第1実施形態の全体構成を説明する図。
【図2】第1実施形態のオス側金具を示す図。
【図3】図2に対して雄ネジ部を部分的に形成した例を示す図。
【図4】オス側金具の先端を平坦に形成した例を示す図。
【図5】オス側金具の先端を円錐形に形成した例を示す図。
【図6】オス側金具の先端に円錐形の凹部を形成した例を示す図。
【図7】オス側金具の先端を半球状に形成した例を示す図。
【図8】オス側金具の先端が球面状の凹部を形成した例を示す図。
【図9】オス側金具の先端に円筒形の凹部を形成した例を示す図。
【図10】第1実施形態のメス側ボルトを示す図。
【図11】メス側ボルトの一端部を加工する工程を示す図。
【図12】メス側ボルトの雄ネジ部が短い例を示す図。
【図13】メス側ボルトの端部が平らに形成された例を示す図。
【図14】メス側ボルトの端部が円錐形に形成された例を示す図。
【図15】メス側ボルトの端部に円錐形の凹部を形成した例を示す図。
【図16】メス側ボルトの端部が球面状に形成された例を示す図。
【図17】メス側ボルトの端部に球面状の凹部を形成した例を示す図。
【図18】メス側ボルトの端部に円筒形の凹部を形成した例を示す図。
【図19】第1実施形態におけるガイドプレートを示す図。
【図20】第1実施形態のガイドプレートの変形例を示す正面図。
【図21】第2実施形態のケーシング及び弾性体を示す図。
【図22】第2実施形態の誘導部材の斜視図。
【図23】第3実施形態のケーシング及び弾性体を示す図。
【図24】第3実施形態の弾性体の断面図。
【図25】弾性体の断面が矩形の変形例を示す断面図。
【図26】弾性体の断面が扇形の変形例を示す断面図。
【図27】第4実施形態の全体構成を示す図。
【図28】第5実施形態のケーシングを示す断面図。
【図29】第6実施形態の全体構成を示す断面図。
【図30】第6実施形態のガイドリングを示す図。
【図31】ガイドリングの第1変形例を示す断面図。
【図32】図32のガイドリングの分割片を示す斜視図。
【図33】第6実施形態の第2変形例を示す断面図。
【図34】第7実施形態のガイドプレートを示す図。
【図35】第7実施形態の変形例を示す正面図。
【図36】第8実施形態のガイドプレートを示す図。
【図37】第9実施形態のガイドプレートを示す正面図。
【図38】第9実施形態の全体構成を示す図。
【図39】第10実施形態のガイドプレートを示す図。
【図40】図39の部分拡大図。
【図41】第10実施形態の挿通孔の変形例を示す図。
【図42】第10実施形態の挿通孔の他の変形例を示す図。
【図43】第10実施形態においてメス側ボルトをガイドプレートに嵌合させる工程を示す図。
【図44】第11実施形態のガイドプレートを示す図。
【図45】第12実施形態の全体構成を示す断面図。
【図46】第12実施形態の弾性体の斜視図。
【図47】第12実施形態の弾性体の変形例を示す斜視図。
【図48】第13実施形態の弾性体を示す斜視図。
【図49】第14実施形態のケーシングを示す断面図。
【図50】第15実施形態の要部を説明する側面図。
【図51】第15実施形態の変形例を説明する側面図。
【図52】第16実施形態の要部を説明する側面図。
【図53】第16実施形態の第1変形例の要部を説明する側面図。
【図54】第16実施形態の第2変形例の要部を説明する側面図。
【図55】第16実施形態の第3変形例の要部を説明する側面図。
【図56】第17実施形態のメス側ボルトの端部とガイドプレートを示す図。
【図57】図56のメス側ボルトがガイドプレートに係合した状態を示す図。
【図58】第18実施形態のメス側ボルトの端部を示す図。
【図59】図58のメス側ボルトがガイドプレートに係合した状態を示す図。
【図60】第18実施形態の変形例を示す図。
【図61】図60のメス側ボルトがガイドプレートに係合した状態を示す図。
【図62】第19実施形態のメス側ボルトの端部を示す図。
【図63】第19実施形態の第1変形例を示す図。
【図64】第19実施形態の第2変形例を示す図。
【図65】第19実施形態の第3変形例を示す図。
【図66】第20実施形態のメス側の噛み合いロッドを示す斜視図。
【図67】第21実施形態のメス側の噛み合いロッドを示す斜視図。
【図68】第22実施形態のメス側の噛み合い部材を示す斜視図。
【図69】第22実施形態のガイドプレートを示す正面図。
【図70】図54の係合状態を示す断面図。
【図71】第23実施形態を示す断面図。
【図72】第23実施形態の別の例を示す断面図
【図73】第24実施形態を示す斜視図。
【図74】右ネジ同士の係合を説明する図。
【図75】右ネジと左ネジの係合を説明する図。
【図76】第1実施形態におけるオス側金具とメス側金具との結合の工程を示す図。
【符号の説明】
【0138】
1・・・オス側金具
2・・・メス側金具
3・・・ケーシング
4・・・メス側ボルト
5・・・ガイドプレート
6・・・コイルスプリング
7・・・弾性体
8・・・誘導部材
9・・・バンド
13・・・雄ネジ
30・・・キャップ
32・・・傾斜面
33・・・底部
42・・・雄ネジ
90・・・ガイドリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オス側金具とメス側金具とを有し、オス側金具とメス側金具は締結すべき部材の各々に固定されており、オス側金具は柱状のオス側柱状部材を有しており、メス側金具はケーシングとメス側柱状部材とを有しており、ケーシングのオス側端面隅部の内周面は、そこに当接するメス側柱状部材がオス側金具側へ付勢されたならば半径方向内方へ移動する様に傾斜面或いは湾曲面が形成されており、オス側柱状部材とメス側柱状部材とが係合するように構成されていることを特徴とする結合装置。
【請求項2】
メス側柱状部材のオス側端面から離隔する側の端部は、板状部材により、メス側柱状部材のオス側端面がケーシングの半径方向内方へ移動可能に支持されている請求項1の結合装置。
【請求項3】
メス側柱状部材は、オス側金具側へ付勢される様に構成されている請求項1、2の何れかの結合装置。
【請求項4】
オス側柱状部材は表面に凹凸が形成されており、メス側柱状部材の表面に凹凸が形成され且つメス側柱状部材は同一円周上に複数配置されている請求項1〜3の何れか1項の結合装置。
【請求項5】
オス側柱状部材とメス側柱状部材の何れか一方の表面にのみ凹凸を形成し、他方の表面を平滑に構成し、平滑に構成された側の柱状部材は表面に凹凸が形成された側の柱状部材に比較して軟らかい材料で構成されている請求項1〜4の何れか1項の結合装置。
【請求項6】
前記凹凸をネジ山で構成し、オス側柱状部材とメス側柱状部材の何れか一方が右ネジであり、他方が左ネジである請求項4の結合装置。
【請求項7】
メス側柱状部材と平行に且つメス側柱状部材と隣接して、連続した円弧状の断面形状を有する部材を配置している請求項1〜6の何れか1項の結合装置。
【請求項8】
メス側柱状部材のオス側端部及び/またはケーシングのオス側端面には、弾性材が設けられている請求項1〜7の何れか1項の結合装置。
【請求項1】
オス側金具とメス側金具とを有し、オス側金具とメス側金具は締結すべき部材の各々に固定されており、オス側金具は柱状のオス側柱状部材を有しており、メス側金具はケーシングとメス側柱状部材とを有しており、ケーシングのオス側端面隅部の内周面は、そこに当接するメス側柱状部材がオス側金具側へ付勢されたならば半径方向内方へ移動する様に傾斜面或いは湾曲面が形成されており、オス側柱状部材とメス側柱状部材とが係合するように構成されていることを特徴とする結合装置。
【請求項2】
メス側柱状部材のオス側端面から離隔する側の端部は、板状部材により、メス側柱状部材のオス側端面がケーシングの半径方向内方へ移動可能に支持されている請求項1の結合装置。
【請求項3】
メス側柱状部材は、オス側金具側へ付勢される様に構成されている請求項1、2の何れかの結合装置。
【請求項4】
オス側柱状部材は表面に凹凸が形成されており、メス側柱状部材の表面に凹凸が形成され且つメス側柱状部材は同一円周上に複数配置されている請求項1〜3の何れか1項の結合装置。
【請求項5】
オス側柱状部材とメス側柱状部材の何れか一方の表面にのみ凹凸を形成し、他方の表面を平滑に構成し、平滑に構成された側の柱状部材は表面に凹凸が形成された側の柱状部材に比較して軟らかい材料で構成されている請求項1〜4の何れか1項の結合装置。
【請求項6】
前記凹凸をネジ山で構成し、オス側柱状部材とメス側柱状部材の何れか一方が右ネジであり、他方が左ネジである請求項4の結合装置。
【請求項7】
メス側柱状部材と平行に且つメス側柱状部材と隣接して、連続した円弧状の断面形状を有する部材を配置している請求項1〜6の何れか1項の結合装置。
【請求項8】
メス側柱状部材のオス側端部及び/またはケーシングのオス側端面には、弾性材が設けられている請求項1〜7の何れか1項の結合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【公開番号】特開2008−38550(P2008−38550A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217692(P2006−217692)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(390022323)大成ユーレック株式会社 (5)
【出願人】(390004776)ジヨイント工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(390022323)大成ユーレック株式会社 (5)
【出願人】(390004776)ジヨイント工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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