説明

結晶形態のテノホビルジソプロキシル及びその製造方法

結晶形態Cのテノホビルジソプロキシル、その塩、及びその製造方法。該方法は、テノホビルジソプロキシル及び有機溶媒を含む溶液を塩飽和水に添加することを含み、それによって結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルが沈殿する。結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルは、その塩に変換することができる。また、テノホビルモノイソプロキシル及びテノホビルジソプロキシルを含む粗製生成物の精製方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
フマル酸テノホビルジソプロキシル(TDF、以前はビス(POC)-PMPAとして公知)は、非環式ヌクレオシドホスホナートテノホビルのビス-エステルプロドラッグである。
フマル酸テノホビルジソプロキシルは、経口的に活性ある形態のテノホビルである。テノホビルは、9-[2-(R)-(ホスホノメトキシ)プロピル]アデニン(PMPA)(I)の化学名であり、ヒトにおけるヒト免疫不全ウイルス感染に対して強い活性を有する。
【化1】

【背景技術】
【0002】
US5733788には、(R)-9-[2-(ヒドロキシル)プロピル]アデニンをジエチルp-トルエンスルホニオキシメチルホスホナートと水素化リチウムの存在下で縮合させ、続いて脱アルキル化してテノホビルジソプロキシルを与える、PMPAの合成方法が記載されている。
US5922695には、リチウムtert-ブトキシドを用いて縮合を行う、PMPAの合成方法が記載されている。更に、テノホビルジソプロキシル塩基が、そのフマル酸塩に変換されるオイルとして得られることが開示されている。
【0003】
US20040018150、US6465649、US5935946、US5977089などのいくつかの特許は、テノホビルジソプロキシル及びその塩の様々な合成方法を開示している。これらの方法のすべてにおいて、テノホビルジソプロキシル塩基は、オイルとして記載されているか、又は該塩基を単離することなしにそのフマル酸塩に変換される。
W02008007392には、結晶性固体としてテノホビルジソプロキシル塩基が記載されている。該結晶性塩基は、IR、XRD及びDSCによって特徴付けられ、精製及び結晶化の多段工程が施された後に反応塊(reaction mass)から単離される。最後に、結晶性テノホビルジソプロキシル塩基が有機溶媒から単離される。
【0004】
社会の利益のために、この薬剤の合成の別法を提供する様々な試みが、文献に記載されていることからも明らかなように、テノホビルジソプロキシルは、HIVウイルスに対する治療のための非常に重要な候補である。本発明は、テノホビルジソプロキシル塩基を単離するための簡易でかつ環境に優しい方法を提供するというそのような一つの試みである。
【発明の概要】
【0005】
(発明の目的)
本発明の目的は、結晶性のテノホビルジソプロキシル塩基の簡易な単離方法を提供することである。
本発明の別の目的は、結晶性テノホビルジソプロキシルの単離のためのいずれの有機溶媒の使用も回避した、環境に優しい方法を提供することである。
本発明の更に別の目的は、実質的に不純物を含まない、結晶性テノホビルジソプロキシル形態Cを提供することである。
【0006】
(発明の要旨)
本発明の第1の態様により、結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルを提供する。
一実施態様において、結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルは、6.8、23.2、25.5及び31.7°2θ±0.2°2θにピークを含むXRPDパターンを有することと特徴付けられる。典型的には、該XRPDパターンは、8.3、17.4、18.7及び22.9°2θ±0.2°2θに更なるピークを含む。
【0007】
一実施態様において、結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルは、下記の表1に示されるピークをもつXRPDパターンを有することと特徴付けられる。
一実施態様において、結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルは、図1に示されるXRPDパターンを有することと特徴付けられる。
【0008】
結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルは、61℃〜66℃の範囲の融点を有することができる。典型的に、結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルは、図2に示されるDSCパターンを有することと特徴付けられる。
一実施態様において、結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルは、典型的にHPLCによって測定された、0.2%未満のテノホビルモノイソプロキシルを含む。
【0009】
本発明の別の態様により、結晶形態Cのテノホビルジソプロキシル又はその塩の製造方法を提供する。該方法は、テノホビルジソプロキシル及び有機溶媒を含む溶液を塩飽和水に添加し、それによって結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルが沈殿すること、及び任意に結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルを結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルの塩に変換することを含む。好適には、該方法によって製造される結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルは、上記のものである。
【0010】
一実施態様において、テノホビルジソプロキシルが溶解される有機溶媒以外に有機溶媒を使用しない。これは、該方法が更なる有機溶媒を使用しないために環境に優しいので特に有利である。
一実施態様において、該塩飽和水は、アルカリ又はアルカリ土類金属塩で飽和された水である。好適には、該塩飽和水は、塩化ナトリウムで飽和された水である。
該有機溶媒は好適には、N-メチルピロリドン又はジメチルスルホキシドなどの水混和性有機溶媒である。好適には、該有機溶媒は、N-メチルピロリドンである。
【0011】
都合のよいことに、該テノホビルジソプロキシルを含む水溶液は、0℃未満の温度まで冷却される。好適には、該温度は-20℃〜0℃の範囲である。好ましくは、該温度は-20℃〜-10℃の範囲である。好適には、該温度は-20℃〜-15℃の範囲である。
結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルは、その塩に変換することができる。例えば、該塩は結晶形態Cのフマル酸塩とすることができる。フマル酸塩を製造するための任意の典型的試薬及び条件、例えば、WO2008/007392に開示されるものを、該変換に使用することができる。
【0012】
結晶形態Cの製造方法は、テノホビルジソプロキシル出発材料に存在する不純物を除去するのに有効である。より具体的には、それはモノイソプロキシル不純物を除去するのに役立つ。形態Cの生成物は、塩、例えばフマル酸塩の形成によって更に精製することができ、高純度の生成物をもたらす。
【0013】
一実施態様において、有機溶媒中テノホビルジソプロキシルの溶液は、テノホビルジソプロキシルの合成から得られる反応塊である。言い換えると、テノホビルジソプロキシルを製造することができ、かつ該反応塊は、形態Cのテノホビルジソプロキシルを製造するための本発明の方法に直接使用することができる。例えば、該テノホビルジソプロキシルは、有機溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、9-[2-(R)-(ホスホノメトキシ)プロピル]アデニン(PMPA)をクロロメチルイソプロピルカルボナートと縮合することによって製造することができる。別の実施態様において、テノホビルジソプロキシルの溶液は、粗製のテノホビルジソプロキシル又は任意の結晶形態のテノホビルジソプロキシルを有機溶媒に溶解させることによって製造することができる。
【0014】
PMPA及びクロロメチルイソプロピルカルボナートの反応の間に、不純物のテノホビルモノイソプロキシルが15〜20%程度まで形成される。本発明の、飽和塩溶液を使用する形態Cのテノホビルジソプロキシルの形成時に、該モノイソプロキシル不純物は、それが1%未満、好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.2%未満の量で存在するように除去される。該形態Cが更にフマル酸塩などの塩に変換される場合に、モノイソプロキシルの量を更に減少することができ、高純度のテノホビルジソプロキシルの塩がもたらされる。
【0015】
したがって、結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルを製造するための本発明の方法は、粗製テノホビルジソプロキシルの精製方法と見なすことができる。
沈殿した形態Cのテノホビルジソプロキシルは、単離することができるか、又はそれをその塩の製造に直接使用することができる。適当な単離技術は当業者には周知であり、濾過、続いて乾燥を含む。
上記方法に従って製造された結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルは、本発明の別の態様を形成する。
【0016】
本発明の別の態様により、テノホビルジソプロキシル及びテノホビルモノイソプロキシルを含む粗製生成物の精製方法を提供する。該方法は、i) 該粗製生成物を水非混和性溶媒に溶解させること;ii) 該粗製生成物の溶液を塩飽和水で洗浄すること;及びiii) テノホビルジソプロキシル及び減量したテノホビルモノイソプロキシルを含む精製生成物を単離すること;を含む。
【0017】
テノホビルモノイソプロキシルは不純物であり、粗製生成物中のテノホビルモノイソプロキシルの量を減らすための簡易でかつ効率的な方法を提供することは、大きな利益がある。本発明の精製方法を使用することによって、該精製生成物中のテノホビルモノイソプロキシルの量は、該粗製生成物中のテノホビルモノイソプロキシルの量と比べて減少する。該精製生成物は実質的に、モノイソプロキシル不純物を含まず、溶媒の除去によって単離される。該精製生成物中のテノホビルモノイソプロキシルの量は、1%未満、好ましくは0.2%未満のレベルまで減少する。用語「実質的に含まない」とは、1%未満、好ましくは0.2%未満を意味する。該精製生成物は、上記の多形形態Cであってよい。あるいは、該精製生成物は、任意の多形形態であってよい。
【0018】
該粗製生成物の溶液に塩飽和溶液を添加すると、有機層及び水層の形成が生じる。該有機層を数回、例えば、2又は3回、塩飽和水で洗浄し、次いで水層と分離し、溶媒を除去して精製生成物を単離することができる。
該水非混和性溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、メチルイソブチルケトン、二塩化エチレン、又は二塩化メチレンとすることができる。好ましくは、該溶媒は二塩化メチレンである。
【0019】
一実施態様において、該塩飽和水は、アルカリ又はアルカリ土類金属塩で飽和された水である。好適には、該塩飽和水は、塩化ナトリウムで飽和した水である。
精製したテノホビルジソプロキシルは、テノホビルジソプロキシルの塩に変換することができる。該塩はフマル酸塩とすることができる。フマル酸塩を製造するための任意の典型的試薬及び条件、例えば、WO2008/007392に開示されているものを、該変換に使用することができる。
【0020】
該方法は、モノイソプロキシル不純物を、それが最終生成物中に1%未満、好ましくは0.5%未満、典型的には0.2%未満の量で存在するように除去する。該生成物は、塩、例えばフマル酸塩の形成によって更に精製することができ、非常に高純度の生成物をもたらす。
【0021】
一実施態様において、テノホビルモノイソプロキシル及びジソプロキシルを含む粗製生成物は、テノホビルジソプロキシルの合成から得られる反応塊である。言い換えると、テノホビルジソプロキシルを製造することができ、かつ該反応塊は、テノホビルモノイソプロキシルを除去するための本発明の方法に直接使用することができる。例えば、該テノホビルジソプロキシルは、有機溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、9-[2-(R)-(ホスホノメトキシ)プロピル]アデニン(PMPA)をクロロメチルイソプロピルカルボナートと縮合することによって製造することができる。別の実施態様において、テノホビルジソプロキシルの溶液は、粗製のテノホビルジソプロキシル又は任意の結晶形態のテノホビルジソプロキシルを有機溶媒に溶解させることによって製造される。
【0022】
PMPA及びクロロメチルイソプロピルカルボナートの反応の間に、不純物のテノホビルモノイソプロキシルが15〜20%程度まで形成される。本発明の除去方法を使用して、該モノイソプロキシル不純物は、それが1%未満、好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.2%未満の量で存在するように除去される。該生成物が更にフマル酸塩などの塩に変換される場合に、モノイソプロキシルの量を更に減少することができ、高純度のテノホビルジソプロキシルの塩がもたらされる。
【0023】
該精製されたテノホビルジソプロキシルは、その塩の製造に直接使用することができる。適当な単離技術は当業者に周知であり、かつ濾過、続いて乾燥を含む。
上記方法に従って製造されたテノホビルジソプロキシルのフマル酸塩は、本発明の別の態様を形成する。
【0024】
本発明の別の態様により、本発明のフマル酸テノホビルジソプロキシル及び1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
本発明の医薬組成物に使用される該医薬として許容し得る賦形剤は、当業者には周知である。
【0025】
本発明の別の態様により、薬剤に使用するための本発明のフマル酸テノホビルジソプロキシルを提供する。
本発明の別の態様により、HIVの治療に使用するための本発明のフマル酸テノホビルジソプロキシルを提供する。
【0026】
本発明の別の態様により、HIVの治療のための薬剤の製造に使用する、本発明のフマル酸テノホビルジソプロキシルの使用を提供する。
本発明の別の態様により、本発明のフマル酸テノホビルジソプロキシルを、それを必要とする患者に投与することを含むHIVの治療方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】結晶性テノホビルジソプロキシル形態CのX線回折図形である。
【図2】結晶性テノホビルジソプロキシル形態CのDSCである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
一態様において、本発明は、水を使用して反応塊からテノホビルジソプロキシルを単離するための簡易で、かつ環境に優しい方法を提供する。
テノホビルジソプロキシルは水混和性有機溶媒、好ましくはN-メチルピロリドン中、トリエチルアミンの存在下で、9-[2-(R)-(ホスホノメトキシ)プロピル]アデニンをクロロメチルイソプロピルカルボナートと縮合することによって合成することができる。反応完了後、アルカリ又はアルカリ土類金属塩で飽和された水中、好ましくは塩化ナトリウムで飽和された水中で該反応塊をクエンチし、該飽和水溶液を0未満〜-20℃、好ましくは-15℃未満、より好ましくは-10℃未満の温度まで冷却する。
【0029】
反応塊を水中で単純にクエンチすることによって、固体形態のテノホビルジソプロキシル塩基を単離することはできない:それを行うことによって、該反応塊はオイルを形成し、かつ有機溶媒からの更なる精製及び単離がない限り、固体には変換しない。
本発明の方法において、該反応塊は、塩飽和水中、0℃未満の温度でゆっくりとクエンチされる。これらのパラメータは、結晶性固体であるテノホビルジソプロキシルの沈殿を促進する準安定領域を提供するのに役立つ。
【0030】
本発明の方法は、テノホビルジソプロキシルの単離のための有機溶媒の使用を回避し、それどころか、結晶性テノホビルジソプロキシル塩基が水から単離される。
本発明の方法において、該反応で形成される主要な不純物、特にテノホビルモノイソプロキシルは、飽和水の使用によって効果的に除去され、それはまた結晶形態のテノホビルジソプロキシル塩基を沈殿するのに役立つ。
【0031】
本発明の方法によって得られた結晶性固体を、以下、テノホビルジソプロキシル形態Cと呼ぶ。一実施態様において、テノホビルジソプロキシル形態Cは、実質的にモノイソプロキシル不純物を含まない。好ましくは、該モノイソプロキシル不純物は、HPLCで1%未満、より好ましくは0.2%未満の量で存在する。本発明のテノホビルジソプロキシル塩基形態Cは、XRD及びDSCによって特徴付けられる。
【0032】
更に別の態様において、結晶性テノホビルジソプロキシル形態Cはまた、粗製のテノホビルジソプロキシル塩基又は任意の結晶形態のテノホビルジソプロキシル塩基を、水混和性有機溶媒に溶解させること、及びアルカリ又はアルカリ土類金属塩で飽和された水中、好ましくは塩化ナトリウムで飽和された水中でクエンチすること、該飽和水溶液を0未満〜-20℃、好ましくは-15℃未満、より好ましくは-10℃未満の温度まで冷却すること、及び水から結晶性固体を単離することによって製造される。該温度及び飽和溶液は、該固体を固化するのに役立つ。
【0033】
本発明のテノホビルジソプロキシル形態Cは、そのフマル酸塩に更に変換することができる。
本発明のテノホビルジソプロキシル形態Cは、図1に示された粉末X線回折スペクトルによって特徴付けることができ、ここで縦軸は強度であり、横軸は2θ角(度)である。
【0034】
テノホビルジソプロキシル形態CのXRPDは、Rigaku社miniflex最新の粉末X線粉末回折計でCu Kα-1放射線源を使用して測定した。
【表1】


また、本発明のテノホビルジソプロキシル形態Cは、融点によって特徴付けることができる。好ましくは、該融点は61〜66℃の範囲である(DSC:オンセット、オープンカプセル)。
本発明は下記の非限定的な実施例によって例示されるであろう。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
テノホビル(25kg)及び1-メチル2-ピロリジノン(100kg)を25〜30℃で撹拌した。トリエチルアミン(25kg)をゆっくりと添加し、該反応塊を50〜55℃で30分間加熱した。クロロメチルイソプロピルカルボナート(65kg)を該反応塊に約15〜20分に渡って徐々に添加した。次いで該反応塊を65〜70℃まで過熱し、4時間撹拌し、次に25〜30℃まで冷却した。
別の反応容器で、300kgの塩化ナトリウム、200kgの水及び300kgの粉砕した氷を含む飽和溶液を、-15℃未満の温度まで撹拌した。
第1の工程から得られた反応塊を、0℃未満の温度に保った冷飽和溶液中でクエンチし、12〜15時間撹拌した。得られた固体を濾過し、冷水で洗浄し、1時間遠心乾燥した。該固体を真空で更に乾燥させて25〜30kgのテノホビルジソプロキシル形態Cを得た。
【0036】
(実施例2)
テノホビルジソプロキシル(25kg)を25〜30℃でイソプロピルアルコール(100リッター)に溶解させた。フマル酸(10kg)を添加し、該混合物を50〜55℃まで1時間加熱し、25〜30℃まで徐々に冷却し、更に10℃まで冷却し、4時間撹拌した。得られた固体を濾過し、冷イソプロピルアルコールで洗浄した。湿潤したケーキを酢酸イソプロピル(200リッター)中、10〜15℃で4時間撹拌した。該固体を濾過し、冷酢酸イソプロピルで洗浄し、真空下で乾燥させて30kgのフマル酸テノホビルジソプロキシルを得た。
【0037】
(実施例3)
粗製テノホビルジソプロキシル(5kg)をジメチルスルホキシド(20kg)に溶解させ、該反応塊を25〜30℃で撹拌し、-15℃未満の温度で300kgの塩化ナトリウム、200kgの水及び300kgの粉砕した氷を含有する飽和溶液を含む反応容器中でクエンチした。該懸濁液を12〜15時間撹拌した。得られた固体を濾過し、冷水で洗浄し、1時間遠心乾燥した。該固体を真空で更に乾燥させて4.5kgの純粋な結晶性テノホビルジソプロキシル形態Cを得た。
【0038】
(実施例4)
粗製テノホビルジソプロキシル(1kg)を二塩化メチレン(10リッター)に溶解させて、透明な溶液を得た。該透明溶液を1リッターの飽和塩化ナトリウム溶液で3回洗浄した。有機相を分離し、硫酸ナトリウムで撹拌しながら乾燥させ、濾過した。溶媒を蒸留によって除去した。10リッターのヘプタンを添加し、得られたスラリーを30分間撹拌し、濾過して、モノイソプロキシル不純物を0.2%未満で有する800gmsのテノホビルジソプロキシルを得た。
本発明が添付の特許請求の範囲の範囲内で修正され得ることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
6.8、23.2、25.5及び31.7°2θ±0.2°2θにピークを含むXRPDパターンを有することを特徴とする、結晶形態Cのテノホビルジソプロキシル。
【請求項2】
前記XRPDパターンが、8.3、17.4、18.7及び22.9°2θ±0.2°2θに更なるピークを含むことを特徴とする、請求項1記載の結晶形態Cのテノホビルジソプロキシル。
【請求項3】
図1に示されるXRPDパターンを有することを特徴とする、請求項1又は2記載の結晶形態Cのテノホビルジソプロキシル。
【請求項4】
61℃〜66℃の範囲の融点を有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の結晶形態Cのテノホビルジソプロキシル。
【請求項5】
図2に示されるDSCパターンを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の結晶形態Cのテノホビルジソプロキシル。
【請求項6】
0.2%未満のテノホビルモノイソプロキシルを含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の結晶形態Cのテノホビルジソプロキシル。
【請求項7】
結晶形態Cのテノホビルジソプロキシル又はその塩の製造方法であって、テノホビルジソプロキシル及び有機溶媒を含む溶液を塩飽和水に添加すること、該溶液を0℃未満の温度まで冷却し、それによって結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルが沈殿すること、及び任意に該結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルを結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルの塩に変換することを含む、前記製造方法。
【請求項8】
前記塩飽和水が、アルカリ又はアルカリ土類金属塩で飽和された水である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記塩飽和水が、塩化ナトリウムで飽和された水である、請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
前記有機溶媒が、水混和性有機溶媒である、請求項7、8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記有機溶媒が、N-メチルピロリドン又はジメチルスルホキシドである、請求項7〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記テノホビルジソプロキシルを含む水溶液が、-10℃未満の温度まで冷却される、請求項7〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルが、結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルのフマル酸塩に変換される、請求項7〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
有機溶媒中のテノホビルジソプロキシルの溶液が、テノホビルジソプロキシルの合成から得られた反応塊である、請求項7〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
前記テノホビルジソプロキシルが、有機溶媒中、トリエチルアミンの存在下で、9-[2-(R)-(ホスホノメトキシ)プロピル]アデニンをクロロメチルイソプロピルカルボナートと縮合することによって合成される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記テノホビルジソプロキシルの溶液が、粗製のテノホビルジソプロキシル又は任意の結晶形態のテノホビルジソプロキシルを有機溶媒に溶解させることによって製造される、請求項7〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
形態C生成物中のモノイソプロキシル不純物の量が、1%未満の量で存在している、請求項7〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
形態C生成物中のモノイソプロキシル不純物の量が、0.2%未満の量で存在している、請求項17記載の方法。
【請求項19】
請求項7〜18のいずれか一項に従って製造された結晶形態Cのテノホビルジソプロキシル。
【請求項20】
テノホビルジソプロキシル及びテノホビルモノイソプロキシルを含む粗製生成物の精製方法であって、
i) 該粗製生成物を水非混和性溶媒に溶解させること;
ii) 該粗製生成物の溶液を塩飽和水で洗浄すること;及び
iii) テノホビルジソプロキシル及び溶媒の除去によって減量したテノホビルモノイソプロキシルを含む精製生成物を単離すること;を含む、前記精製方法。
【請求項21】
前記水非混和性溶媒が、二塩化メチレンである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記塩飽和水が、アルカリ又はアルカリ土類金属塩で飽和された水である、請求項20又は21記載の方法。
【請求項23】
前記塩飽和水が、塩化ナトリウムで飽和された水である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記精製生成物が、テノホビルジソプロキシルの塩に変換される、請求項20〜23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
前記塩がフマル酸塩である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、最終生成物中に0.2%未満の量で存在するように、モノイソプロキシル不純物を除去する、請求項20〜25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
前記テノホビルモノイソプロキシル及びジソプロキシルを含む粗製生成物が、テノホビルジソプロキシルの合成から得られた反応塊である、請求項20〜26のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
前記粗製生成物が、水非混和性溶媒中、塩基の存在下で、9-[2-(R)-(ホスホノメトキシ)プロピル]アデニン(PMPA)をクロロメチルイソプロピルカルボナートと縮合することによって製造される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
水非混和性溶媒中の粗製生成物の溶液が、単離した粗製生成物を溶媒に溶解させることによって製造される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
請求項13又は25に従って製造された結晶形態Cのテノホビルジソプロキシルのフマル酸塩。
【請求項31】
実施例を参照して、実質的に本明細書中に記載された方法。
【請求項32】
実施例を参照して、実質的に本明細書中に記載された結晶形態Cのテノホビルジソプロキシル。
【請求項33】
実施例を参照して、実質的に本明細書中に記載されたフマル酸テノホビルジソプロキシル。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−518815(P2011−518815A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505578(P2011−505578)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002619
【国際公開番号】WO2009/130437
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(501312451)シプラ・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】