説明

結線構造及びケーブルコネクタ組立体

【課題】露出しているケーブルの心線と、ワイヤ結線部との接続部において、当該接続部のインピーダンスが低下しすぎるのを防止するとともに、心線とワイヤ結線部との接続部において必要な機械的強度を確保できる、高速伝送特性に優れた結線構造及びケーブルコネクタ組立体を提供する。
【解決手段】導体(コンタクト)14と、導体14に結線されるケーブル20とを備える。ケーブル20の中心導体(心線)21は絶縁体23、外部導体24及び外被25から露出するとともに、導体14の、露出しているワイヤ結線部15に結線される。ケーブル20の外被25の一部、露出している中心導体21の一部及び露出しているワイヤ結線部15の一部を覆うように外被25からワイヤ結線部15にかけて連続して樹脂30を封入してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体と、この導体に結線されるケーブルとを備えた高速送特性に優れた結線構造及びケーブルコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理機器・通信機器の発達と動画像などによるデータの大容量化に伴い、各機器で使用する信号の高速化が求められている。例えば、サーバ間接続においては、6Gbps以上の高速伝送特性が求められている。そのサーバ間接続の高速伝送特性を実現するため、高速伝送特性に優れたケーブルコネクタと、高速伝送特性に優れたケーブルとを結線し、結線されたケーブルコネクタをサーバに接続することが行われている。
【0003】
一方、特許文献1には、コネクタのコンタクトに接続された回路基板にケーブルの心線を半田付けしたケーブルコネクタが開示されている。このケーブルコネクタにおいては、ケーブルの心線及び回路基板の半田接続部分が樹脂によりインナーモールド成形される。このため、半田接続部分が保護されるので、その機械的強度が確保されることは明白である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−85469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたケーブルコネクタにおいては、以下の問題点があった。
即ち、ケーブルの心線の半田接続部分の機械的強度は確保されるものの、この半田接続部分におけるインピーダンス整合について全く考慮されていない。このため、半田接続部分の周囲に封入された樹脂により、半田接続部分のインピーダンスが著しく低下してしまうという問題があった。
【0006】
従って、本発明はこの問題を解決するためになされたものであり、その目的は、露出しているケーブルの心線と、ワイヤ結線部との接続部において、当該接続部のインピーダンスが低下しすぎるのを防止するとともに、心線とワイヤ結線部との接続部において必要な機械的強度を確保できる、高速伝送特性に優れた結線構造及びケーブルコネクタ組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る結線構造は、導体と、該導体に結線されるケーブルとを備え、該ケーブルが、心線と、該心線を取り囲む絶縁体とを備えた結線構造であって、前記ケーブルの前記絶縁体から露出している前記心線は、前記導体のワイヤ結線部に結線され、前記ケーブルの前記絶縁体から露出している前記心線の一部及び前記ワイヤ結線部の一部を覆うように、樹脂を封入したことを特徴としている。
本発明のうち請求項2に係る結線構造は、請求項1記載の結線構造において、前記樹脂は、前記ケーブルの前記絶縁体、前記絶縁体から露出している前記心線の一部、及び前記ワイヤ結線部の一部を覆うように、前記絶縁体から前記ワイヤ結線部にかけて連続して封入されていることを特徴としている。
【0008】
本発明のうち請求項3に係る結線構造は、請求項1又は2記載の結線構造において、前記ケーブルは、ツインアクスケーブル、同軸ケーブル、シールドツイストペアケーブル、シールドパラレルペアケーブル、ツインコアックスケーブル、ツイストペアケーブル、クアッドケーブルのいずれかであることを特徴としている。
本発明のうち請求項4に係る結線構造は、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の結線構造において、前記樹脂は、熱可塑性樹脂又は紫外線硬化型接着剤であることを特徴としている。
【0009】
また、本発明のうち請求項5に係るケーブルコネクタ組立体は、複数のコンタクトと、該複数のコンタクトを収容するハウジングとからなるケーブルコネクタと、前記コンタクトに結線されるケーブルとからなり、該ケーブルが、心線と、該心線を取り囲む絶縁体とを備えたケーブルコネクタ組立体であって、前記ケーブルの心線は、前記絶縁体から露出すると共に、前記コンタクトの、前記ハウジングから露出しているワイヤ結線部に結線され、前記ケーブルの前記絶縁体から露出している前記心線の一部及び前記ハウジングから露出しているワイヤ結線部の一部を覆うように、樹脂を封入したことを特徴としている。
【0010】
本発明のうち請求項6に係るケーブルコネクタ組立体は、請求項5記載のケーブルコネクタ組立体において、前記樹脂は、前記ケーブルの前記絶縁体、前記絶縁体から露出している前記心線の一部、及び前記ハウジングから露出しているワイヤ結線部の一部を覆うように、前記絶縁体から前記ワイヤ結線部にかけて連続して封入されていることを特徴としている。
本発明のうち請求項7に係るケーブルコネクタ組立体は、請求項5又は6記載のケーブルコネクタ組立体において、前記ケーブルコネクタは、回路基板を内蔵し、前記コンタクトは、前記内蔵した回路基板上のパターンであるか、又は金属製コンタクト及び前記内蔵した回路基板上のパターンからなることを特徴としている。
【0011】
本発明のうち請求項8に係るケーブルコネクタ組立体は、請求項5乃至7のうちいずれか一項に記載のケーブルコネクタ組立体において、前記ケーブルは、ツインアクスケーブル、同軸ケーブル、シールドツイストペアケーブル、シールドパラレルペアケーブル、ツインコアックスケーブル、ツイストペアケーブル、クアッドケーブルのいずれかであることを特徴としている。
本発明のうち請求項9に係るケーブルコネクタ組立体は、請求項5乃至8のうちいずれか一項に記載のケーブルコネクタ組立体において、前記樹脂は、熱可塑性樹脂又は紫外線硬化型接着剤であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る結線構造及びケーブルコネクタ組立体によれば、ケーブルの絶縁体から露出している心線の一部及びワイヤ結線部の一部を覆うように、樹脂を封入した。このため、露出しているケーブルの心線とワイヤ結線部との接続部において必要な機械的強度を確保できる。そして、露出している心線の全部及びワイヤ結線部の全部を覆うように樹脂を封入すると、当該接続部のインピーダンスが低下しすぎることになる。しかし、露出している心線の一部及びワイヤ結線部の一部を覆うように樹脂を封入するので、当該インピーダンスの低下しすぎを防止することができる、高速伝送特性に優れた結線構造及びケーブルコネクタ組立体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るケーブルコネクタ組立体の平面図である。
【図2】図1に示すケーブルコネクタ組立体の正面断面図である。但し、図2においては、樹脂を省略してある。
【図3】図1に示すケーブルコネクタ組立体の右側面図である。
【図4】図1における4−4線に沿う断面図である。
【図5】図1に示すケーブルコネクタ組立体において、樹脂がない場合の結線方向(図1における上下方向)の位置と、その位置に対する導体のインピーダンスとの関係を示し、(A)はケーブルコネクタ組立体の一部平面図、(B)はケーブルコネクタ組立体において、樹脂がない場合の結線方向の位置と、その位置に対する導体のインピーダンスとの関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図5を参照して説明する。
図1に示すケーブルコネクタ組立体1は、サーバ間接続に適用され、具体的には6Gbps以上の高速伝送に用いられる。但し、ケーブルコネクタ組立体1は、サーバ間接続以外の高速伝送に適用可能である。
即ち、ケーブルコネクタ組立体1は、図1に示すように、サーバ(図示せず)側に接続されるケーブルコネクタ10と、ケーブルコネクタ10に接続される複数のケーブル20とからなっている。
【0015】
ここで、ケーブルコネクタ10は、図1に示すように、複数のコンタクト14と、これら複数のコンタクト14を収容するハウジング11とからなっている。
ハウジング11は、絶縁性の樹脂を成形することによって形成され、略矩形形状のハウジング本体部12と、ハウジング本体部12から突出するプラットフォーム部13とからなっている。プラットフォーム部13は、図1乃至図4に示すように、略矩形形状のハウジング本体部12の前端部(図3における左端部)からハウジング本体部12よりも薄肉で前方に突出している。プラットフォーム部13は、図1に示すように、平面から見て矩形形状をなしている。
【0016】
各コンタクト14は、図1乃至図4に示すように、ハウジング本体部12に固定される固定部(図示せず)と、固定部から前方に延びるワイヤ結線部15と、固定部から後方に延びる相手コンタクト接触部16とを備えている。各コンタクト14は、金属板を打ち抜き加工又は打ち抜き及び曲げ加工することによって形成される。各コンタクト14は、ハウジング11の幅方向(図1における左右方向)において所定ピッチで配列される。
【0017】
各コンタクト14のワイヤ結線部15は、ハウジング本体部12の前端部A(図5(A)参照)から前方に露出し、図4に示すように、プラットフォーム部13上に載置される。ワイヤ結線部15は、図1に示すように、平面から見て矩形状の平板構造をなしている。各コンタクト14がハウジング11の幅方向において所定ピッチで配列されるので、各ワイヤ結線部15もプラットフォーム13上で幅方向に所定ピッチで配列される。相手コネクタ接触部16は、ハウジング本体部12の後端部から突出し、サーバ側に設けられた相手コネクタのコンタクトに接触する。
【0018】
一方、各ケーブル20は、高速伝送に適したいわゆるツインアクスケーブル(Twinax cable)と呼ばれるものである。各ケーブル20は、図2に示すように、2本の中心導体(本発明の心線に相当)21と、これら2本の中心導体21の各々を取り囲む2つの絶縁体23と、これら絶縁体23の外周に設けられた外部導体24と、この外部導体24の外周に設けられた外被25とを具備している。外部導体24は、MYLAR(登録商標)と呼ばれる金属製の環状部材である。外被25は、外部導体24を被覆する。また、外部導体24と外被25との間には、外部導体24に電気的に接触しているドレイン線22が設けられている。
【0019】
各ケーブル20の中心導体21は、図1に示すように、絶縁体23から露出し、絶縁体23は外部導体24から露出し、外部導体24は外被25から露出している。ドレイン線22は外被25から露出している。そして、各ケーブル20の2本の中心導体21及びドレイン線22は、コンタクト14の、ハウジング本体部12から外部に露出しているワイヤ結線部15上に半田接続により結線される。各中心導体21及びドレイン線22は、それらの先端位置がハウジング本体部12の前端部Aから所定隙間を空けた位置となるように結線される。
【0020】
そして、ケーブル20の外被25の一部、露出している外部導体24、露出している絶縁体23、露出している中心導体21の一部、露出しているドレイン線22の一部及び露出しているワイヤ結線部15の一部を覆うように外被25からワイヤ結線部15にかけて樹脂30、好適には熱可塑性樹脂が連続して封入される。樹脂30は、ケーブルコネクタ10の幅方向において全てのケーブル20を覆うように封入される。封入された樹脂30は、直方体形状をなしている。図1に示すように、樹脂30のケーブル20側の端部からワイヤ結線部15側の端部に至るまでの長さはaである。樹脂30とハウジング本体部12との間に、隙間bが形成されるように樹脂30は封入される。ケーブル20の外被25からハウジング本体部12までの長さはcである。
【0021】
このようにケーブル20の外被25の一部、露出している外部導体24、露出している絶縁体23、露出している中心導体21の一部、露出しているドレイン線22の一部及び露出しているワイヤ結線部15の一部を覆うように樹脂30を封入する。これにより、中心導体21とワイヤ結線部15との接続部及びドレイン線22とワイヤ結線部15との接続部を含む外被25からワイヤ結線部15までにおいて必要な機械的強度を確保できる。樹脂30を封入することで、その封入部分において、中心導体21とワイヤ結線部15との接続部の周囲、ドレイン線22とワイヤ結線部15との接続部の周囲に隙間がなくなる。このため、中心導体21とワイヤ結線部15との接続部及びドレイン線22とワイヤ結線部15との接続部の保持強度が向上する。中心導体21及びドレイン線22はそれらの自由端が露出しているが、自由端とは反対側が樹脂30で封入されている。このため、中心導体21(及びドレイン線22)とワイヤ結線部15との接続部の保持強度が確保されるので、ケーブル20に印加された外力に抗することができる。また、中心導体21とワイヤ結線部15との接続部及びドレイン線22とワイヤ結線部15との接続部を保護することができる。更に、隣接する中心導体21及びドレイン線22の整列性及び隣接するケーブル20の整列性を確保できる。
【0022】
ここで、ケーブルコネクタ組立体1において、中心導体21及びドレイン線22をワイヤ結線部15に結線した状態(樹脂がない場合)の結線方向(図1における上下方向)の位置と、その位置に対する導体のインピーダンスとの関係を図5を参照して説明する。
図5(A)において、ケーブルコネクタ10におけるコンタクト14の後端側からハウジング本体部12の前端部Aに至るまでのインピーダンスは、図5(B)に示すように、約100Ωで一定となっている。
【0023】
ハウジング本体部12の前端部Aから露出したワイヤ結線部15においては、図4に示すように、中心導体21及びドレイン線22が半田接続により結線されている。ハウジング本体部12の前端部Aからプラットフォーム部13の前端部Bに至るまでのワイヤ結線部15(中心導体21、ドレイン線22との接続部を含む)のインピーダンスは、図5(B)に示すように、一旦、100−Δ1Ωに至るまで低下してから100Ω以上に増加する。
一般的に、高速伝送に用いられる同軸ケーブルや平行線路等における、単位長あたりのインダクタンスがLの導体、単位長あたりのキャパシタンスがCの絶縁体による損失のない均一な伝送路の特性インピーダンスZは、次の(1)式で表わされる。
【0024】
【数1】

【0025】
また、一般的に、対向面積S、間隔dの2枚の平行導体の間に、誘電率εの誘電体が均一に充填されている物体におけるキャパシタンスCは、次の(2)式で表わされる。
C=ε・S/d …(2)
ここで、ハウジング本体部12の前端部Aから露出したワイヤ結線部15には、中心導体21及びドレイン線22が半田接続により結線されている。半田により接続部の体積は大きくなるので、中心導体21とワイヤ結線部15との接続部の隣接する接続部との対向面積は、ハウジング本体部12中における隣接するコンタクト14の対向面積よりも増加していると考えられる。また、ドレイン線22とワイヤ結線部15との接続部の隣接する接続部分の対向面積は、ハウジング本体部12中における隣接するコンタクト14の対向面積よりも増加していると考えられる。このため、コンタクト14がハウジング本体部12中からワイヤ結線部15に至ると、(2)式におけるSが増加し、これにより、キャパシタンスCが増加することになる。このキャパシタンスCが増加することで(1)式における特性インピーダンスZが低下し、100−Δ1Ωに至ることになる。そして、特性インピーダンスZが100−Δ1Ωとなる位置を頂点として、この位置を超えると、隣接する接続部の対向面積の減少に従い特性インピーダンスZが増加していく。
【0026】
プラットフォーム部13の前端部Bから外部導体24の端部Cに至るまで、即ち絶縁体23が露出している部分の中心導体21のインピーダンスは、図5(B)に示すように、一旦、100+Δ2Ωに至るまで増加する。そして、特性インピーダンスZが100+Δ2Ωとなる位置を頂点として、この位置を超えると、特性インピーダンスZは100Ω近傍に至るまで低下する。絶縁体23が露出している部分の中心導体21とドレイン線22の対向面積が小さく、かつ、中心導体21とドレイン線22との間の距離が大きいことから、(2)式においてキャパシタンスCが小さくなる。これにより、(1)式における特性インピーダンスZが増大し、100+Δ2Ωに至ることになる。そして、外部導体24が近づいてくることで、特性インピーダンスZが低下していく。
【0027】
外部導体24の端部Cから外被25の端部Dに至るまで、即ち外部導体24が露出している部分の中心導体21のインピーダンスは、図5(B)に示すように、徐々に低下してから約100Ωで一定となる。外部導体24は、絶縁体23の周囲を取り囲み、中心導体21からの距離が一定で中心導体21との対向面積も大きいことから、(2)式においてキャパシタンスCが増大するとともに一定となる。これにより、(1)式における特性インピーダンスZが低下するとともに一定となり、約100Ωとなる。
【0028】
外被25の端部Dからケーブル20内の中心導体21のインピーダンスは、図5(B)に示すように、約100Ωで一定となっている。
ここで、樹脂30を、前述のように、ケーブル20の外被25の一部、露出している外部導体24、露出している絶縁体23、露出している中心導体21の一部、露出しているドレイン線22の一部及び露出しているワイヤ結線部15の一部を覆うように封入する。
【0029】
すると、ハウジング本体部12の前端部Aからプラットフォーム部13の前端部Bまでのワイヤ結線部15(中心導体21、ドレイン線22との接続部を含む)のインピーダンスと、プラットフォーム部13の前端部Bから外部導体24の端部Cに至るまでの中心導体21のインピーダンスが低下する。これは、樹脂30を封入したことにより、(2)式において誘電率εが増大し、キャパシタンスCが増大するからである。
【0030】
プラットフォーム部13の前端部Bから外部導体24の端部Cに至るまでの中心導体21のインピーダンスが低下することは、インピーダンス整合の観点から、外被25の端部Dからケーブル20内の中心導体21のインピーダンス約100Ωに近づき好ましい。
しかし、ハウジング本体部12の前端部Aからプラットフォーム部13の前端部Bまでのワイヤ結線部15のインピーダンスも低下すると、インピーダンス整合の観点から、ケーブルコネクタ10におけるコンタクト14の後端側からハウジング本体部12の前端部Aに至るまでのインピーダンス約100Ωから遠のき好ましくない。
【0031】
仮に、樹脂30を、露出している中心導体21の全部、露出しているドレイン線22の全部及び露出しているワイヤ結線部15の全部を覆うように封入するとする。すると、(2)式において誘電率εが更に増大し、キャパシタンスCが更に増大し、ハウジング本体部12の前端部Aからプラットフォーム部13の前端部Bまでのワイヤ結線部15(中心導体21、ドレイン線22との接続部を含む)のインピーダンスが低下しすぎてしまう。
従って、本実施形態にあっては、露出している中心導体21の一部、露出しているドレイン線22の一部及び露出しているワイヤ結線部25の一部を覆うように樹脂を封入し、当該インピーダンスの低下しすぎを防止する。これにより、インピーダンス整合を図り、高速伝送特性に優れたケーブルコネクタ組立体1とすることができる。
【0032】
なお、樹脂30の封入量を変えて樹脂30とハウジング本体部12との間に形成される隙間b(図1参照)の大きさを調整することにより、ワイヤ結線部15(中心導体21、ドレイン線22との接続部を含む)のインピーダンスを調整することができる。隙間bが大きければ、ワイヤ結線部15におけるインピーダンス低下を少なくでき、逆に、隙間bが小さければ、当該ワイヤ結線部15におけるインピーダンス低下が大きくなる。
従って、ワイヤ結線部15のインピーダンス整合をとるために、隙間bの大きさを調整することができる。
【0033】
また、外被25からワイヤ結線部15にかけて樹脂30が連続的に封入されるので、この領域における機械的強度が増大すると共に、特に絶縁体23が露出するBからCまでの領域において、高すぎるインピーダンスを低下させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の変更、改良を行うことができる。
【0034】
例えば、ケーブル20に結線されるのは、ケーブルコネクタ10のコンタクト14に限らず、例えば、回路基板上に形成された導体パターン等の一般的な導体であってもよい。この場合、ハウジング11は必ずしも必要ではなく、ケーブル20の中心導体21及びドレイン線22は、導体の、露出しているワイヤ結線部に結線される。そして、樹脂30は、ケーブル20の外被25の一部、露出している外部導体24、露出している絶縁体23、露出している中心導体21の一部及び露出しているワイヤ結線部の一部を覆うように外被25からワイヤ結線部にかけて連続して封入される。ケーブル20に導体を結線する場合において、ケーブル20の中心導体21が絶縁体23、外部導体24及び外被25のいずれからも露出しているが、絶縁体23が外部導体24から露出し、外部導体24が外被25から露出していない場合であってもよい。この場合、樹脂30は、ケーブル20の外被25の一部、露出している中心導体21の一部及び露出しているワイヤ結線部の一部を覆うように外被25からワイヤ結線部にかけて連続して封入される。
【0035】
また、ケーブルコネクタ組立体1において、ケーブル20の中心導体21が絶縁体23、外部導体24及び外被25のいずれからも露出していればよく、絶縁体23が記外部導体24から露出し、外部導体24が外被25から露出していなくてもよい。この場合、樹脂30は、ケーブル20の外被25の一部、露出している中心導体21の一部及び露出しているワイヤ結線部の一部を覆うように外被25からワイヤ結線部にかけて連続して封入される。
更に、本発明に適用されるケーブルは、ツインアクスケーブルのみならず、同軸ケーブル、シールドツイストペア(STP)ケーブル、シールドパラレルペア(SPP)ケーブル、ツインコアックスケーブル、或いは外部導体のないツイストペアケーブル、クアッドケーブル等の高速伝送に好適なケーブルであってもよい。
【0036】
また、ケーブル20において、ドレイン線22は必ずしもなくてもよい。
更に、封入される樹脂は、熱可塑性樹脂のみならず、紫外線硬化型(UV)接着剤等の他の樹脂であってもよい。
更にまた、ケーブルコネクタは、金属製コンタクト及びこれらコンタクトを収容するハウジングからなるケーブルコネクタのみならず、回路基板を内蔵し、この回路基板上のパターンがコンタクトを構成するケーブルコネクタであってもよい。この場合、ハウジングは、金属製であってもよい。或いは、金属製コンタクトと、これらコンタクトに接続される中継基板とを有し、ワイヤ結線部が中継基板上に形成されたパターンであるケーブルコネクタであってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 ケーブルコネクタ組立体
10 ケーブルコネクタ
11 ハウジング
14 コンタクト(導体)
15 ワイヤ結線部
20 ケーブル
21 中心導体
23 絶縁体
24 外部導体
25 外被
30 熱可塑性樹脂(樹脂)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と、該導体に結線されるケーブルとを備え、該ケーブルが、心線と、該心線を取り囲む絶縁体とを備えた結線構造であって、
前記ケーブルの前記絶縁体から露出している前記心線は、前記導体のワイヤ結線部に結線され、
前記ケーブルの前記絶縁体から露出している前記心線の一部及び前記ワイヤ結線部の一部を覆うように、樹脂を封入したことを特徴とする結線構造。
【請求項2】
前記樹脂は、前記ケーブルの前記絶縁体、前記絶縁体から露出している前記心線の一部、及び前記ワイヤ結線部の一部を覆うように、前記絶縁体から前記ワイヤ結線部にかけて連続して封入されていることを特徴とする請求項1記載の結線構造。
【請求項3】
前記ケーブルは、ツインアクスケーブル、同軸ケーブル、シールドツイストペアケーブル、シールドパラレルペアケーブル、ツインコアックスケーブル、ツイストペアケーブル、クアッドケーブルのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2記載の結線構造。
【請求項4】
前記樹脂は、熱可塑性樹脂又は紫外線硬化型接着剤であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の結線構造。
【請求項5】
複数のコンタクトと、該複数のコンタクトを収容するハウジングとからなるケーブルコネクタと、前記コンタクトに結線されるケーブルとからなり、該ケーブルが、心線と、該心線を取り囲む絶縁体とを備えたケーブルコネクタ組立体であって、
前記ケーブルの心線は、前記絶縁体から露出すると共に、前記コンタクトの、前記ハウジングから露出しているワイヤ結線部に結線され、
前記ケーブルの前記絶縁体から露出している前記心線の一部及び前記ハウジングから露出しているワイヤ結線部の一部を覆うように、樹脂を封入したことを特徴とするケーブルコネクタ組立体。
【請求項6】
前記樹脂は、前記ケーブルの前記絶縁体、前記絶縁体から露出している前記心線の一部、及び前記ハウジングから露出しているワイヤ結線部の一部を覆うように、前記絶縁体から前記ワイヤ結線部にかけて連続して封入されていることを特徴とする請求項5記載のケーブルコネクタ組立体。
【請求項7】
前記ケーブルコネクタは、回路基板を内蔵し、
前記コンタクトは、前記内蔵した回路基板上のパターンであるか、又は金属製コンタクト及び前記内蔵した回路基板上のパターンからなることを特徴とする請求項5又は6記載のケーブルコネクタ組立体。
【請求項8】
前記ケーブルは、ツインアクスケーブル、同軸ケーブル、シールドツイストペアケーブル、シールドパラレルペアケーブル、ツインコアックスケーブル、ツイストペアケーブル、クアッドケーブルのいずれかであることを特徴とする請求項5乃至7のうちいずれか一項に記載のケーブルコネクタ組立体。
【請求項9】
前記樹脂は、熱可塑性樹脂又は紫外線硬化型接着剤であることを特徴とする請求項5乃至8のうちいずれか一項に記載のケーブルコネクタ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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