説明

給油ユニット

【課題】ブラケットに各パーツを有機的に組み込むことにより、接続配管を極力少なくして圧力損失が少なく、コンパクト化して給油装置のハウジングに組み込み易い給油ユニットを提供する。
【解決手段】コ字状のブラケット(41)の垂直面(41a)の内側に給油モータ(42)を取り付け、ブラケット(41)の水平面(41c)の上側に給油ポンプ(43)を取り付け、給油ポンプ(43)の吐出口(43c)に流量計(1)の流入口(1a)が接続され、給油モータ(42)のプーリー(42c)と給油ポンプ(43)のプーリー(43e)にベルト(45)を掛け渡している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油ポンプと、給油ポンプを駆動するモータと、流量計を有しており、燃料を自動車へ給油する給油装置等に組み込まれる給油ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
その様な給油ユニットは、従来から色々と提案されている(例えば、特許文献1)。
その様な給油ユニットの一例が、図8、図9で示されている。
【0003】
図8、図9において、従来の給油ユニットは、給油装置のハウジングに組み込まれている。
給油ユニット51のL字状のブラケット52の垂直面52aの内側には、給油モータ53が取り付けられている。そして、ブラケット52の水平面52bの上側には、給油ポンプ54が載置されており、給油ポンプ54の上側に流量計55が取り付けられている。
【0004】
図8において、給油ポンプ54の流入口54aは、ブラケット52の穴52cの位置に開口している。そして、給油ポンプ54の流出口54bは、分岐管56及び接続管57を介して、流量制御弁(電磁弁)58の流入口58aに連通している。
流量制御弁58の流出口58bは、流量計55の流入口55aに接続されており、流量計55の流出口55bは、流量計55の側面に開口している。
そして、給油モータ53のプーリー53aと、給油ポンプ54のプーリー54cにはベルト59が掛けられている。
【0005】
図8で示すように、給油ユニット51のブラケット52の垂直面52aは、給油装置60のハウジング61にボルトで固定されている。
流量計55の流出口55bには給油管63が接続され、給油管63はハウジング61外へ導出され、給油ホース64を介して、給油ノズル65に接続されている。
給油装置60のハウジング61は、アイランド66上に固定されている。そして、貯油タンク67に接続された給油管68は、ブラケット52の穴52cを貫通して、給油ポンプ54の流入口54aへ接続されている。
【0006】
図8、図9を参照して説明された給油ユニット51は、自動車等に燃料を供給する場合に有効に機能している。
しかし、給油ポンプ54、流量制御弁58、及び流量計55等の各パーツはそれぞれ別体に作られて接続されている。そのため、接続箇所が多く、配管系が複雑になってしまうという問題を有している。
また、従来の給油ユニット51は比較的に大きくなり、給油装置60の狭いハウジング61内に組み込むことが困難であった。
【0007】
例えば図10で示す様な(従来技術に係る)給油ユニット51においては、給油ポンプ54と接続配管57の接続箇所JA1、接続配管57と分岐配管56の接続箇所JA2、分岐配管56と流量制御弁58の接続箇所JA31、JA32、流量制御弁58と流量計55の接続箇所JA4が必要となる。
図10を参照すれば明らかなように、接続箇所が多数存在しており、複雑な接続配管を用意しなければならない。そのため、組立工程において多大な労力が必要となり、しかも、配管系が長く、複雑な形状としているので、配管抵抗が大きくなってしまう。さらに、接続箇所においても損失が発生するので、給液の際に圧力損失が多くなってしまうという不都合が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−156596号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、ブラケットに各パーツを有機的に組み込むことにより、接続配管を極力少なくして圧力損失が少なく、コンパクト化して給油装置のハウジングに組み込み易い給油ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の給油ユニット(46)は、(例えば、コ字状或いはアングル状の)ブラケット(41)の垂直面(41a)に給油モータ(42)を取り付け、ブラケット(41)の水平面(41c)に給油ポンプ(43)を取り付け、給油ポンプ(43)の吐出口(43c)に流量計(1)の流入口(21)が接続され、給油モータ(42)のプーリー(42c)と給油ポンプ(43)のプーリー(43e)にベルト(45)を掛け渡していることを特徴としている。
【0011】
本発明において、前記流量計(1)には流量信号発信器(30)及び流量制御弁(16)が一体に設けられているのが好ましい。
【0012】
また、前記ブラケット(41)の水平面(41c)の角部にはテンションプーリー(44)が設けられ、該テンションプーリー(44)は、給油モータ(42)のプーリー(42c)と給油ポンプ(43)のプーリー(43e)に掛け渡されたベルト(45)の張力を調整する機能を有しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上述した様な構成を具備する本発明によれば、ブラケット(41)に給油モータ(42)、給油ポンプ(43)を組み込むことにより、接続配管を極力少なくして、作動流体の供給(例えば、ガソリンやオイル等の給液)の際の圧力損失を可及的に少なくすることが出来る。
また、ブラケット(41)に給油モータ(42)、給油ポンプ(43)を組み込むことにより、給油ユニット全体がコンパクトになり、給油装置のハウジング内に組み込み易い構造になる。
【0014】
本発明において、流量計(1)に流量信号発信器(30)及び流量制御弁(16)を一体に組み込むことにより、必要な配管の数、長さ、接続箇所をより減少して、各種抵抗と圧力損失を、さらに減少することが出来る。
【0015】
これに加えて、本発明において、テンションプーリー(43e)により、給油モータ(42)のプーリー(42c)と、給油ポンプ(43)のプーリー(43e)に掛け渡されたベルト(45)に張力を付与しているので、テンションプーリー(43e)の位置を適宜調節することにより、ベルト(45)の張力を適正に維持することが出来る。
その結果、給油モータ(42)の回転駆動力を、効率良く給油ポンプ(43)に伝達することが出来る。
【0016】
上述した様に、本発明によれば、給液に際して圧力損失が少なく、コンパクトで、給油装置のハウジング内に組み込み易い給油ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る給油ユニットの斜視図である。
【図2】図1で示す給油ユニットを分解して示す分解図である。
【図3】実施形態に係る給油ユニットを給油装置に組み込んだ状態を示す正面図である。
【図4】実施形態に係る給油ユニットを給油装置に組み込んだ状態を示す側面図である。
【図5】実施形態で用いられる流量計の断面図である。
【図6】図5の流量計に組み込まれた流量制御弁の断面図である。
【図7】図5の流量計に組み込まれた別の流量制御弁の断面図である。
【図8】従来の給油ユニットを組み込んだ給油装置の一部を示す正面図である。
【図9】従来の給油ユニットを組み込んだ給油装置の一部を示す側面図である。
【図10】従来の給油ユニットにおける配管系を説明する斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の給油ユニットの実施形態を説明する。
最初に、図1、図2を参照して、実施形態に係る給油ユニットを説明する。
図1、図2において、本発明の実施形態に係る給油ユニットは、全体を符合46で示されている。給油ユニット46は、給油モータ42、給油ポンプ43、流量計1を有しており、流量計1には流量制御弁16が組み込まれている。
【0019】
図1、図2で示すように、コ字状のブラケット41が設けられている。
図2で示すように、コ字状のブラケット41の垂直面41aには、給油モータ42を取り付けるためのボルト穴41bが穿孔されている。
ブラケット41の水平面41cには、給油ポンプ43を取り付けるためのボルト穴41dと、配管穴41eが開口している。配管穴41eには、貯油タンクへの給油管が配設される。
ブラケット41の水平面41cの角部には、テンションプーリー44が取り付けられている。
また、ブラケット41の垂直面41aの下方には、位置決めピン41fが植設されており、位置決めピン41fは、給油ユニット46を給油装置のハウジングへ組み込む際に、位置決めする機能を奏する。
【0020】
給油モータ42の回転軸(図1、図2では明示せず)には、プーリー42cが設けられている。
そして、給油モータ42の脚部42aには、取り付け用のボルト穴42bが形成されている。
【0021】
図1において、給油ポンプ43は、ブラケット41の水平面41c上に載置されている。
図2において、給油ポンプ43はケーシング43aを有し、ケーシング43aの側部には流入口43bが設けられ、流入口43bは下向きに配置されている。
ケーシング43aの上部には、2個の流出口43cが上向きに設けられている。流出口43cの近傍には、流量計1を取り付けるためのボルト穴43dが形成されている。
給油ポンプ43の回転軸(図1、図2では明示せず)には、プーリー43eが取り付けられている。
また、ケーシング43aの下部にはボルト穴43fが形成されており、ボルト穴43fは、ケーシング43aをブラケット41へ取り付けるために形成されている。
【0022】
図1で示すように、流量計1は流入口ケース10を備えており、流入口ケース10に流量制御弁16が組み込まれている。
図2において、流量計1の流入口ケース10には流入口21が形成され、流入口21は下向きに配置されている。
流入口21近傍にはボルト穴1aが形成されており、ボルト穴1aは、給油ポンプ43のケーシング43aに、流入口ケース10を取り付けるために形成されている。
流量計1の流入口ケース10には流出口36が形成されており、流出口36は上向きに設けられている。
【0023】
流量計1には、流量制御弁16が一体的に組み込まれている。
後述するように、流量制御弁16は、縦置きに設置しても、横置きに設置しても、高度な計量精度が得られる構造となっている。
【0024】
次に、各パーツの組み立て状態について説明する。
図1で示すように、コ字状のブラケット41の垂直面41aの内側に、給油モータ42が配置されている。そして、給油モータ42の脚部42a(図2参照)のボルト穴42b(図2参照)と、ブラケット41のボルト穴41b(図2参照)へボルトBを通して、給油モータ42をブラケット41に固定している。
また、給油ポンプ43はコ字状のブラケット41の水平面41cの上側に配置されている。そして、給油ポンプ43のボルト穴43f(図2参照)と、ブラケット41のボルト穴41d(図2参照)に、図示しないボルトを挿通して、給油ポンプ43をブラケット41へ固定している。
【0025】
図1において、流量制御弁16を組み込んだ流量計1の流入口ケーシング10の流入口21(図2参照)が、給油ポンプ43の流出口43cと整合されている。
そして、流量計1のボルト穴1a(図2参照)と、給油ポンプ43のボルト穴43d(図2参照)にボルト(図示せず)を通し、以って、流量計1を給油ポンプ43へ固定している。
【0026】
図3でも示されているように、給油モータ42のプーリー42cと、給油ポンプ43のプーリー43eに、ベルト45が掛け回されており、テンションプーリー44によって、ベルト45に適度な張力が付与されている。
図3において、テンションプーリー43eの回転軸が、ブラケット41の溝部41G内を、図3における左右方向へ移動可能に構成されている。
テンションプーリー43eを溝部41G内で移動することにより、ベルト45の張力を調整することが出来る。
すなわち、テンションプーリー43eは、その回転軸を溝部41G内で図3の左右方向へ適宜移動することによって、ベルト(45)の張力を調整する機能を発揮する。
【0027】
図示の実施形態では、給油ポンプ43に2台の流量計1を取り付けるように構成されているが、給油ポンプ43に1台の流量計1を取り付けても良い。
給油ポンプ43に1台の流量計1を取り付ける場合には、給油ポンプ43の2つの流出口43c(図2参照)の一方に、蓋をして閉塞すればよい。
【0028】
上述の様に構成された給油ユニット46は、図3、図4で示すように、給油装置47のハウジング48内に組み込まれる。
図3において、給油装置47のハウジング48の下部には、凹部48aが形成されて、凹部43aには、給油ユニット46の位置決めピン41f(図2、図3参照)が係合している。
給油ユニット46をハウジング48に固定するに際して、図3で示す様に、凹部43aに位置決めピン41fを係合して、両者の位置決めを行なうので、給油ユニット46をハウジング48との位置決め作業が容易となり、その位置決め精度が高くなる。
【0029】
給油ユニット46をハウジング48に固定した後に、図4で示すように、流量計1の流出口36(図1、図2参照)に給油管63を接続し、給油ホース64を介して、給油管63を給油ノズル65へ接続する。
これにより、給油装置47が完成する。
係る給油装置47を給油所の設置現場に設置し、ハウジング48をアイランド66に固定する。そして、貯油タンク67に接続された給油管68を、ブラケット41(図1、図2参照)の配管穴41e(図2参照)に挿通し、当該給油管68を、給油ポンプ43(図1、図2参照)の流入口43b(図2参照)へ接続する。
【0030】
図示の実施形態に係る給油ユニット46は、ブラケット41に各パーツを有機的に組み込み、接続配管を極力少なくしている。そのため、圧力損失が少なくなる。
また、流量信号発信器30及び流量制御弁16を、流量計1に一体的に組み込んでいるので、流量制御弁16と流量計1との間の領域における圧力損失も小さくなる。
【0031】
より詳細に述べると、図10で説明した様に、従来の給油ユニットでは、給油ポンプ54と接続配管57の接続箇所JA1、接続配管57と分岐配管56の接続箇所JA2、分岐配管56と流量制御弁58の接続箇所JA31、JA32、流量制御弁58と流量計55の接続箇所JA4が必要となる。
そして、図示の実施形態や図10で示すように、1台の給油ポンプから複数の給油ノズル(例えば2個の給油ノズル)に作動流体(液体:例えば、ガソリン、オイル等)を供給する場合には、接続箇所JA31、JA32、JA4がさらに増加する。
【0032】
それに対して、図示の実施形態では、図1、図2を参照して説明した様に、給油ポンプ43の流出口43cと、流量計1(の流入口ケーシング10)の流入口21とが整合した状態で、給油ポンプ43と流量計1が接続されており、流量計1と流量制御弁16が一体に構成されており、(図8、図9における分岐管56及び接続管57の様な)配管系は設けられていない。
そのため、図示の実施形態では、給油ポンプ43と流量計1の間の配管抵抗は殆ど存在しない。
また、図示の実施形態では、給油ポンプ43と流量計1における接続箇所は1箇所のみであり、図10で示す従来技術のように、接続箇所JA1、JA2、JA31、JA32、JA4の全てを具備する必要がない。
そのため、図示の実施形態では、接続箇所が減少し、接続箇所における圧力損失が激減する。それと共に、給油ユニット46の組立が極めて容易になる。
【0033】
さらに、給油ユニット46全体をコンパクトに構成することが出来るので、図示の実施形態に係る給油ユニット46は、給油装置47のハウジング48に組み込み易くなる。
これに加えて、図示の実施形態では、給油モータ42のプーリー42cと給油ポンプ43のプーリー43eにベルト45を掛け渡し、テンションプーリー44によってベルト45に適度なテンションを付与することが出来る。そのため、ベルト45には適度の張りが与えられ、給油モータ42の回転力を効率良く給油ポンプ43に伝達して、駆動することができる。
【0034】
次に、図5、図6、図7を参照して、本発明の給油ユニット46に好適に使用される流量計1について説明する。
流量計1の本体ケーシング2には、複数のシリンダー3及び流路4が形成されている。図5では明示されていないが、当該複数のシリンダー3及び流路4は、図5の上方から見て概略十字状になる様に構成されている。そして、シリンダー3の各々には、ピストン5が嵌入している。
【0035】
図5において、複数のシリンダーの各々は符合3a、3b、3c、3dで示されており、複数のピストンの各々は符合5a、5b、5c、5dで示されている。そして、本明細書において、複数のシリンダー3a、3b、3c、3dを包括的に示すために、「シリンダー3」と標記する場合がある。そして、複数のピストン5a、5b、5c、5dを包括的に示すために、「ピストン5」と標記する場合がある。
流路4についても、シリンダー3と同様に、4つの流路から構成されて、(図5の上方から見て)概略十字状になる様に配置される。しかし、図5では、その内の2本の流路4a、4bのみが示されている。そして、流路4a、4b及び図示しない他の2本の流路を包括的に示す場合には、「流路4」と表記される。
【0036】
図5において、対向するシリンダー3a、3bに嵌入したピストン5a、5bはピストン杆6aで連結され、同様にシリンダー3c、3dに嵌入したピストン5c、5dはピストン杆6bで連結されている。そして、ピストン杆6a、6bは、クランク軸7と係合しており、ピストン杆6a、6bの往復動により、クランク軸7が回転する。
シリンダー3の各々は、蓋8によって一端が閉塞されている。
【0037】
作動流体(液体:ガソリンやオイル等)が流れる流路4を切り替えて、作動流体が流入するシリンダー3を切り替えるため、切替弁9が設けられている。
切替弁9は本体ケーシング2の上部に設けられ、切替弁9を囲うように流入口ケーシング10が設けられている。
図5では明示されていないが、切替弁9の弁座11には複数の開口が形成されており、流路4の各々が、当該開口の何れかと連通している。
切替弁9の弁座11には回転弁12が着座している。この回転弁12は、バネ14により、弁座11側に押圧付勢されている。ここで、バネ14はバネ座13に係合しており、バネ座13はクランク軸7の一端に形成されている。
【0038】
バネ14は、クランク軸7の一端に形成されたバネ座13に係合しているので、バネ座13とクランク軸7が一体に回転する。そのため、クランク軸7が回転してもバネ14が捩れてしまうことがない。そして、バネ14として、いわゆる「強い」バネ(弾性係数の小さいバネ)を使用しても、回転弁12がスムーズに回転することが可能である。
バネ14として、いわゆる「強い」バネを使用すれば、回転弁12が弁座11から浮いてしまうことが防止出来るため、図5で示す流量計1を、いわゆる「縦置き」にすることも、「横置き」にすることも可能である。換言すれば、流量計1の設置の自由度が増加する。
【0039】
図5において、バネ14の弾性反撥力により回転弁12を弁座11側に押圧付勢すると、その反力が、バネ座13及びクランク軸7を図5の上方に作用する。バネ14として、いわゆる「強いバネ」を用いた場合には、係る反力Rも大きくなる。
クランク軸7を図5の上方に移動する様に作用する前記反力が生じても、回転弁12がスムーズに回転することを補償するために、本体ケーシング2に設けられている軸受15には、鍔15aが設けられている。そして、クランク軸7にも鍔状の部分(鍔)7aが形成されている。そして、軸受15の鍔15aと、クランク軸7の鍔7aとが当接した状態で配置されている。
係る状態で、前記反力がクランク軸7を上方に移動する方向に作用しても、軸受15の鍔15aと、クランク軸7の鍔7aとが当接しているため、クランク軸7の上方への移動は制限される。そのため、クランク軸7が上方(図2の矢印U方向)へ浮き上がってしまうことが防止される。
【0040】
流量制御弁16の弁座17にはダイヤフラム弁19が着座しており、バネ18により、ダイヤフラム弁19は弁座17方向に付勢(閉付勢)されている。
ダイヤフラム弁19には小穴20が開けられ、この小穴20を介して流入口21と液圧室22とは連通している。
図6は、大流量の作動流体が流れる場合の流量制御弁16の作動原理を示しており、図6の状態では、液圧室22と流出路23とを接続する流路24には、第一の電磁弁25の弁体25aが設けられている。
一方、図7は小流量の作動流体が流れる場合の流量制御弁16の作動原理を示しており、図7の状態では、流量制御弁16の流入口21と流出路23とを接続する流路26には、第二の電磁弁27の弁体27aが設けられている。ここで、流路26の断面積は比較的小さい。
【0041】
図5において、クランク軸7の、回転弁12とは反対側の端部には、磁石28が取り付けられている。そして、クランク軸7の当該端部(磁石28を設けた側の端部)は、本体ケーシング2の底板29(下部隔壁)に軸支されている。
底板29の外側、すなわちクランク軸7とは反対側(図5の下方側)の領域には、流量信号発信器30が設けられている。
流量信号発信器30は磁気センサ31を有し、磁気センサ31は磁石28に対向して配置されており、磁石28からの磁束の変化を検知するように構成されている。そして、流量信号発信器30はカバー34で保護されている。
流量信号発信器30は信号線32に接続され、信号線32は図示しない表示制御装置33に接続されている。
【0042】
クランク軸7の端部に磁石28を設けたので、クランク軸7が回転すると、磁石28も回転し、そこから発生する磁束も変化する。底板29を隔てた反対側(図5では下側)の領域に配置された磁気センサ31により、当該磁束の変化を検出し、以って、クランク軸7の回転数すなわち流量が検出される。
ここで、非接触で磁束の変化を検知する磁気センサ31及び流量信号発信器30は、底板29を隔てた反対側(或いは外側)に配置されるので、底板29によって、クランク軸7側に存在する作動流体(液体:ガソリンやオイル等)から完全にシールされており、流量信号発信器30及び磁気センサ31側に作動流体が漏出することが防止される。
ここで、本体ケーシング2及び底板29は、アルミダイカスト等の非磁性体で作られている。そのため、磁気センサ31は、底板29を隔てて、磁石28が回転することによる磁束変化を、確実に検知することが出来る。
【0043】
図5において、本体ケーシング2のクランク軸室35の側面に設けられた穴は、計量された後の流体が流出する流出口36である。
【0044】
流量計1において、大流量の作動流体について流す場合には、流入口ケーシング10の流入口21に作動流体が流入した際に、図6で示す第一の電磁弁25を励磁して、弁体25aを図6の右方向に移動する(開く)。すると、流路24を介して、作動流体が流出路23へ流れ出す。ここで、流路24を介して流出路23へ流れる作動流体は、小穴20を介して流入口21から液圧室22へ流入する量より多いので、作動流体(液体)の液圧により、バネ18に抗してダイヤフラム弁19が開く。
【0045】
図5において、ダイヤフラム弁19が開くと、作動流体は流入口21、流量制御弁16、切替弁9、流路4aを介してシリンダー室3a内に流入し、ピストン5aがシリンダー室3b側に移動する(後退する)。ピストン5aがシリンダー室3b側に移動すると、ピストン5bが図5の右側に移動(前進)し、シリンダー室3b内の液体は、流路4b、切替弁9、クランク軸室35を介して流出口36から流出する。
ピストン5a、5bが移動した際に、ピストン杆6a、6bに係合したクランク軸7は回転し、クランク軸7に係合した回転弁12も回転して、切替弁9における流路4の接続も切り替わる。また、クランク軸7が回転すると磁石28も回転して磁束が変化し、磁気センサ31が磁束の変化を検知して、クランク軸7の回転数に対応した流量信号が、信号線32を介して出力される。
【0046】
図6において、第一の電磁弁25を消磁すれば、弁体25aが図6の左方に移動して、液圧室22と流出口23との流路24を閉鎖し、液圧室22の作動流体は流路24を介して流出しなくなる。そして、流入口21の作動流体は、小穴20を介して液圧室22内へ流入するので、液圧室22の圧力と流入口21の圧力が等しくなり、バネ18がダイヤフラム弁19を閉じ、以って、給液が停止する。
【0047】
小流量で給液するには、第一の電磁弁25(図6参照)及び第二の電磁弁27(図7参照)が開いた状態(大流量で供給)から、第一の電磁弁25を閉じる。第二の電磁弁27は開いているので、弁体27aは図7の右方へ吸引されており、流路26が開放され、流入口21と流出路23が連通する。そのため、ダイヤフラム弁19が閉じた状態であっても、流路26を介して、流入口21から流出路23へ作動流体が流れる。
上述した様に、流路26の断面積は比較的小さいため、流路26を流れる作動流体の流量も少ない(小流量となる)。
第二の電磁弁27を閉じ、弁体27aを図7の左方へ移動すれば、液路26を弁体27aが閉鎖する。以って、給液が停止する。
【0048】
図5〜図7を参照して説明したように、図示の実施形態で用いられる流量制御弁16には、第一の電磁弁25、第二の電磁弁27を設けている。
大流量で給液を行なう場合には第一の電磁弁25および第二の電磁弁27を開放し、小流量で給液を行なう場合には第二の電磁弁27を開放したまま第1の電磁弁25を閉鎖する。そして、第一の電磁弁25および第二の電磁弁27を閉鎖することにより、給液が閉止される。
この様に、大流量の給液と、小流量の給液とを行うことが出来るので、精度の良いプリセット給液ができる。
【0049】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術内容を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【符号の説明】
【0050】
1・・・流量計
2・・・本体ケーシング
3・・・シリンダー
4・・・流路
5・・・ピストン
6・・・ピストン杆
7・・・クランク軸
8・・・蓋
9・・・切替弁
10・・・流入口ケーシング
11・・・弁座
12・・・回転弁
13・・・バネ座
14・・・バネ
15・・・軸受け
16・・・流量制御弁
17・・・弁座
18・・・バネ
19・・・ダイヤフラム弁
20・・・小穴
21・・・流入口
22・・・液圧室
23・・・流出路
24、26・・・流路
25・・・第一の電磁弁
27・・・第二の電磁弁
28・・・磁石
29・・・底板
30・・・流量発信器
31・・・磁気センサ
32・・・信号線
34・・・カバー
35・・・クランク室
36・・・流出口
41・・・コ字状のブラケット
42・・・給油モータ
43・・・給油ポンプ
44・・・テンションプーリー
45・・・ベルト
46・・・給油ユニット
47・・・給油装置
48・・・ハウジング
63、68・・・給油管
64・・・給油ホース
65・・・給油ノズル
66・・・アイランド
67・・・貯油タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラケットの垂直面に給油モータを取り付け、ブラケットの水平面に給油ポンプを取り付け、給油ポンプの吐出口に流量計の流入口が接続され、給油モータのプーリーと給油ポンプのプーリーにベルトを掛け渡したことを特徴とする給油ユニット。
【請求項2】
前記流量計には流量信号発信器及び流量制御弁が一体に設けられている請求項1に記載の給油ユニット。
【請求項3】
前記ブラケットの水平面の角部にはテンションプーリーが設けられ、該テンションプーリーは、給油モータのプーリーと給油ポンプのプーリーに掛け渡されたベルトの張力を調整する機能を有している請求項1又は2の何れかに記載の給油ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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