説明

給湯システム

【課題】 動作待機中の電力消費を大幅に抑制するとともに、任意に動作復帰が可能な給湯システムを提供する。
【解決手段】 リモコン装置(104、106)に給湯機(給湯・追焚装置2)側の制御装置(100)から通信ケーブル(102、正極側ケーブル146、負極側ケーブル148)を介して給電するとともに、リモコン装置に対する給電を切り換える給電切換手段(スイッチ回路134)、給電の切換指令を入力する入力手段(復帰スイッチ242)、切換指令に基づきリモコン装置に対し給電を切り換える制御手段(制御装置100)を備え、リモコン装置側への給電を切り換えることにより、電力消費を削減している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、給湯や浴槽への湯張り等に用いられる給湯システムに関する。
【0002】
【従来の技術】自動化された給湯システムにおいて、給湯機の待機時の電力はリモコン装置、制御基板、ファンモータ等によって消費され、その削減には、リモコン装置の表示の消灯、制御回路の抵抗を大きくして電流の削減、ファンモータの制御回路の通電停止、トランスの損失減少等の対策が行われ、消費電力の低減が行われてきた。この給湯システムには、給湯や浴槽への湯張りを指令するためのリモコン装置が設置されており、所望の情報や指示内容を表示するための蛍光表示管、液晶表示器、LED等の表示装置が設けられている。このリモコン装置には、給湯装置側から駆動電力が供給されており、動作待機中であっても、給電が持続されるため、その電力消費は無視できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、リモコン装置に対する通電を停止すると、消費電力を皆無にすることができるが、リモコン装置は制御回路から給電されているため、リモコン装置側から給電を復帰させることが不可能であり、制御手段であるCPUを動作待機状態に維持することが不可能であった。このため、動作待機時の電力消費の低減には限界があり、消費電力の削減が要請されている。
【0004】そこで、本発明は、動作待機中の電力消費を大幅に抑制するとともに、任意に動作復帰が可能な給湯システムを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の給湯システムは、リモコン装置(104、106)に給湯機(給湯・追焚装置2)側の制御装置(100)から通信ケーブル(102、正極側ケーブル146、負極側ケーブル148)を介して給電するとともに、リモコン装置に対する給電を切り換える給電切換手段(スイッチ回路134)、給電の切換指令を入力する入力手段(復帰スイッチ242)、切換指令に基づきリモコン装置に対し給電を切り換える制御手段(制御装置100)を備え、リモコン装置側への給電を切り換えることにより、電力消費を削減している。
【0006】請求項1に係る本発明の給湯システムは、給湯機(給湯・追焚装置2)側の制御装置(100)とリモコン装置(104、106)とを備え、前記リモコン装置に前記制御装置から通信ケーブル(102、正極側ケーブル146、負極側ケーブル148)を介して給電する給湯システムであって、前記リモコン装置に対する給電形態を通常給電か、低圧給電等の待機給電かに切り換える給電切換手段(スイッチ回路134)と、前記リモコン装置側への通常給電か待機給電かの切換指令を入力する入力手段(復帰スイッチ242)と、この入力手段の前記切換指令に基づき前記給電切換手段を制御し、前記リモコン装置に対する給電形態を前記通常給電か前記待機給電かに切り換える制御手段(制御装置100)とを備えたことを特徴とする。
【0007】即ち、リモコン装置には給電切換手段を通して制御装置から給電が行われるが、この給電形態には通常給電と待機給電とがある。待機給電には低圧給電があり、低圧給電はリモコン装置が動作を停止する低電圧による給電である。
【0008】入力手段を通して給電形態を切り換え、通常給電から待機給電に変更すると、リモコン装置側の電力消費が抑制される。また、待機給電時、入力手段から給電形態の切換指令を入力すると、リモコン装置に対する給電は、待機給電から通常給電に切り換えられる。この状態で所望の動作が行われる。
【0009】請求項2に係る本発明の給湯システムは、前記入力手段としてスイッチ(復帰スイッチ242)を備えるとともに、前記待機給電時、前記スイッチの操作によって生じる電圧変化を検出する電圧検出手段(電圧検出回路140)を備え、この電圧検出手段の電圧変化検出に基づき、前記リモコン装置への給電切換えを行うことを特徴とする。即ち、待機給電時、制御装置からリモコン装置に低電圧による給電が行われるが、入力手段であるスイッチを操作し、そのスイッチをON状態(スイッチの形態によってはOFF状態)にすると、このスイッチによって電圧変化が生じる。これを電圧検出手段で検出し、この電圧変化検出に基づき、リモコン装置への給電を通常給電に切り換える。
【0010】請求項3に係る本発明の給湯システムは、前記待機給電に移行するとき、その直前に前記リモコン装置側の記憶手段にある制御情報を前記制御装置側の記憶手段に転送させることを特徴とする。即ち、動作待機中のリモコン装置は、待機給電に移行するので、記憶手段の制御情報が消失するおそれがある。そこで、待機給電に移行するとき、その直前の記憶情報を制御装置側の記憶手段に転送することにより、制御情報の消失防止を図る。これにより、制御の連続性が維持され、制御の信頼性が確保される。
【0011】請求項4に係る本発明の給湯システムは、前記通常給電に移行するとき、前記制御装置側に保持されている制御情報を前記リモコン装置側の記憶手段に転送させることを特徴とする。即ち、待機給電によってリモコン装置側の記憶手段の制御情報が消失することが予想されるので、制御装置側の記憶手段にある制御情報をリモコン装置に転送することにより、制御の連続性が維持され、制御の信頼性が確保される。
【0012】請求項5に係る本発明の給湯システムは、前記通常給電を開始して所定時間が経過したとき、前記リモコン装置への給電を前記待機給電に切り換えることを特徴とする。即ち、入力手段による給電切換えは使用者の意思に委ねられるので、通常給電を開始して所定時間が経過すれば、機械的に待機給電に切り換えられ、電力消費を抑制することができる。
【0013】また、請求項6に係る本発明の給湯システムは、前記給湯機の熱交換器における流水検知に基づき、前記リモコン装置に対する給電を切り換えることを特徴とする。即ち、熱交換器に流水が生じた場合には、バーナ等の加熱装置が動作状態に移行するので、リモコン装置を待機状態から動作状態に移行させ、必要な動作を実現する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例を参照して説明する。
【0015】図1は、本発明の給湯システムの一実施例である給湯・追焚システムの全体構成を示している。この給湯・追焚システムには給湯・追焚装置2が設けられ、この給湯・追焚装置2には上水を加熱する給湯用熱交換器4、浴槽の湯水を加熱する追焚用熱交換器6が設けられ、熱交換器4には給水口8及び給水管10を通して上水Wが供給され、熱交換器4によって得られる温水HWは給湯口12及び給湯管14を通して台所やシャワー等の給湯栓16に供給される。また、熱交換器6には追焚口18、20、戻り管22、往き管24、循環接続具26を介して浴槽28中の水BWが循環する。即ち、熱交換器6と浴槽28との間には戻り管22及び往き管24等からなる循環管路が形成されている。また、往き管24には、給湯管14から分岐した給湯管30が切換弁32を介して接続されているので、上水である温水HWが往き管24を通して浴槽28に供給される。
【0016】熱交換器4及び熱交換器6には加熱手段としてバーナ34、36が設けられており、バーナ36には燃料供給口38を介して燃料供給管40、バーナ34には燃料供給管40から分岐する燃料供給管42がそれぞれ接続され、個別に燃料ガスGが供給される。燃料供給管40には燃料ガスGの供給、遮断を行う切換手段として開閉弁44、バーナ36への燃料供給を行うための切換手段として開閉弁46、また、燃料供給管42には燃料調整手段として燃料比例弁48が設けられている。燃料比例弁48は開度が調整可能な弁であって、バーナ34の燃焼量を燃料ガスGの供給量によって制御することができる。バーナ34、36には、その燃焼面の近傍に燃料ガスGに点火する手段として個別に点火プラグ50、52が設けられている。
【0017】給水管10には上水Wの温度を検出する給水温センサ54、その流入量を検出する給水量センサ56、熱交換器4の出湯温度を検出する出湯温センサ58が設けられており、検出された上水温度、給水量、出湯温度は、設定温度の出湯を維持するための最適な燃料供給量の演算に用いられ、燃料比例弁48の最適制御が実現される。また、給湯栓16等の開栓は給湯・追焚装置2に対する給湯要求であって、その開栓の度合い、即ち、流水量が給水量センサ56で検出される。また、給湯管30には開閉弁60、浴槽28と温水HWとを縁切りするホッパ、バキュームブレーカ等の縁切り装置62、浴槽28側への給湯量を検出する水量センサ64が設けられている。開閉弁60を開くと、熱交換器4で得られた温水HWが浴槽28側に供給され、浴槽28への湯張りが行われる。戻り管22には浴槽28の湯水温度を検出する温度センサ66、浴槽28の水位を検出する水位センサ68、浴槽28の湯水を循環させるポンプ70、ポンプ70によって発生した流水を検出する流水センサ72がそれぞれ設けられている。
【0018】そして、給湯・追焚装置2には、給水温センサ54等の各種センサからの情報を受けて燃料比例弁48等の各種駆動機器を制御する手段として制御装置100が設けられている。この制御装置100には2芯の通信ケーブル102を介して複数のリモコン装置104、106等が接続され、各リモコン装置104、106には制御装置100から通信ケーブル102を介して制御情報の他、駆動電力が供給される。制御情報には、燃焼制御データ、動作情報、動作指令、出湯温度、故障情報、水位、湯張り温度等の各種情報が含まれる。また、制御装置100には、各リモコン装置104、106から設定温度、設定水位等の各種設定情報、湯張り指令、その他の動作指令が送信される。
【0019】次に、図2は、制御装置100の具体的な実施例を示している。この制御装置100には燃焼制御の他の制御演算を行う制御手段として制御演算部110が設けられ、この制御演算部110には、制御及び制御に必要な演算制御を行うCPU112、演算データ、その他のデータを一時記憶させるRAM114、CPU112の動作プログラム、制御データを格納したROM116、制御データ等を記憶し、電源遮断から防護する不揮発性メモリであるEEPROM118、時間計測を行うTIMER120、入力回路122、出力回路124、リレー回路126、安全制御回路128等が設けられている。
【0020】また、入力回路122には、給水温センサ54、給水量センサ56、出湯温センサ58、水量センサ64、温度センサ66、水位センサ68等からの検出出力が加えられ、出力回路124の出力は燃料比例弁48や図示しないファンモータ等の機器に対して加えられるとともに、リレー回路126を介して開閉弁44、46、切換弁32、点火プラグ50、52、ポンプ70等の駆動機器に加えられる。また、安全制御回路128には図示しないHLスイッチ、サーモカップル、炎検出器等の検出出力が加えられている。
【0021】また、この制御装置100には駆動電源として商用電源が用いられ、この商用交流電圧は整流・平滑回路130に加えられて直流電圧に変換され、電源回路132に加えられるとともに、スイッチ回路134を介してリモコン電源回路136に加えられている。電源回路132は制御演算部110等の回路やセンサ、駆動機器等に動作に必要な電圧を供給する手段であって、その出力はCPU112、低電圧電源回路138、2芯送受信回路139等に加えられている。低電圧電源回路138の出力は電圧検出回路140に加えられている。また、リモコン電源回路136及び低電圧電源回路138の出力は逆流防止回路142及び高周波阻止回路144を介して通信ケーブル102の正極側ケーブル146側に加えられている。この低電圧電源回路138の出力電圧はリモコン装置104、106への電力供給の復帰、即ち、待機給電(例えば、1V以下の給電)から通常給電(例えば、15V程度の給電)への切換えに使用される。また、逆流防止回路142は、リモコン電源回路136の出力が低電圧電源回路138に加えられるのを阻止するとともに、低電圧電源回路138の出力がリモコン電源回路136側に加えられるのを阻止する。
【0022】通信ケーブル102において、正極側ケーブル146と負極側ケーブル148との間に発生する電位差は、リモコン装置104、106の動作電圧に等しい。また、低電圧電源回路138の出力電圧は逆流防止回路142及び高周波阻止回路144を介して通信ケーブル102の正極側ケーブル146に加えられている。高周波阻止回路144は、通信ケーブル102における高周波信号レベルを所定値に維持する手段であって、高周波信号が2芯送受信回路139以外の回路への流出による減衰を防止し、高周波信号レベルを維持する手段である。
【0023】このような構成において、スイッチ回路134を動作させると、リモコン電源回路136への給電即ち通常給電が開始され、待機給電への移行は逆流防止回路142により自動的に切り換えられる。即ち、この給電切換えは、通常給電であるリモコン電源回路136による給電から低電圧電源回路138による電力供給を行うことである。
【0024】ところで、通常給電時、即ち、スイッチ回路134が導通状態のとき、逆流防止回路142(例えば、図4のダイオード301、318のOR回路)により、例えば、15Vの電圧が高周波阻止回路144を介して通信ケーブル102に供給される。このとき、逆流防止回路142(例えば、図4のダイオード318)は非導通状態となる。
【0025】また、スイッチ回路134の導通が解除されると、給電されていた電圧15Vは電圧0Vに移行する。このとき、低電圧電源回路138から例えば、約1Vの電圧が供給されているので、逆流防止回路142(例えば、図4のダイオード318)は導通状態となり、通信ケーブル102に1V以下の電圧が自動的に供給されることになる。即ち、低電圧電源回路138は、例えば、通常1V位の電圧を出力していても、逆流防止回路142(例えば、図4のダイオード301)が非導通状態となり、電流は流れない。
【0026】このように、スイッチ回路134のスイッチ動作により、通信ケーブル102を通してリモコン装置104、106の通常給電である駆動電力の供給か、待機給電として低電圧給電、即ち、復帰要求検出のための低電圧が印加されることになる。
【0027】また、2芯送受信回路139は直流阻止回路150を介して通信ケーブル102に接続されており、また、直流阻止回路150は通信ケーブル102に重畳する高周波信号のみを検出する。通信ケーブル102の正極側ケーブル146、負極側ケーブル148は接続端子152、154を介してリモコン装置104、106に連結されている。
【0028】次に、図3は、リモコン装置104、106側の具体的な実施例を示している。例えば、リモコン装置104には、各種設定入力、命令入力の認識、表示、通信等の制御演算を司るCPU202、演算データ、設定データ及び制御装置からの情報を一時記憶するRAM204、制御プログラム、制御データ等を格納したROM206、設定データ及び制御データ等を一時退避させて停電等のデータ消去から防護するEEPROM208が設けられている。また、CPU202には操作回路210が接続されており、この操作回路210は例えば、湯張りスイッチ212、温度設定スイッチ214、水位設定スイッチ216等で構成されている。また、CPU202には表示回路218が接続され、この表示回路218の出力が表示器220に加えられて必要な表示が行われる。
【0029】そして、このリモコン装置104と制御装置100との連係は通信ケーブル102を通して行われ、この通信ケーブル102の正極側ケーブル146、負極側ケーブル148は接続端子222、224を介して無極性化回路226に接続されており、この無極性化回路226は、接続端子222、224に逆極性に各ケーブル146、148が接続された場合にも、リモコン装置104の各回路に付加する適正な極性電圧に変更する手段であって、ダイオードブリッジで構成されている。各ケーブル146、148から供給された電力は高周波阻止回路228を介して電源回路230に供給されているとともに、直流阻止回路232を介して2芯送受信回路234に加えられている。電源回路230はCPU202、表示回路218、2芯送受信回路234等へ必要な電力を供給する給電手段である。また、高周波阻止回路228は、2芯送受信回路139から伝送された高周波信号を所定の信号レベルに維持する手段である。
【0030】また、各ケーブル146、148間には小電流を発生する手段として小電流発生回路236が接続され、この小電流発生回路236には起動手段として起動ボタン238が設けられ、この起動ボタン238によって運転スイッチ240、復帰スイッチ242が操作される。各ケーブル146、148間に印加される低電圧は、復帰スイッチ242の操作で小電流が流れて小電流発生回路236に電圧降下を生じさせる。この電圧降下は制御装置100側の電圧検出回路140で検出され、制御装置100の制御動作として、この検出出力を受けてリモコン装置104側の電力復帰、即ち、待機給電から通常給電への切換えを行う。この復帰スイッチ242は、運転スイッチ240と連動して動作する2連スイッチで構成でき、運転スイッチ240の操作により、リモコン装置104のCPU202に給電切換指令を付与できるとともに、復帰スイッチ242の操作で制御装置100側に電力供給の復帰を指令することが可能である。
【0031】次に、図4は、制御装置100及びリモコン装置104、106の具体的な実施例を示している。リモコン電源回路136には、トランジスタ296及び抵抗298からなるスイッチ回路134を介して整流・平滑回路130の出力が加えられ、このリモコン電源回路136の出力は、逆流防止回路142を構成するダイオード301を介して正極側ケーブル146に印加され、リモコン装置104、106にはスイッチ回路134の動作により通常給電、即ち、動作に必要な駆動電力が供給される。また、電源回路132で得られた電圧VCCは低電圧電源回路138に供給される。この低電圧電源回路138において、電圧VCCは抵抗306及びダイオード308、310により分圧され、ダイオード308、310には順方向電圧2VD が発生する。この電圧2VD は分圧回路である抵抗312、314により分圧され、抵抗314の両端にはダイオード308、310の順方向電圧VD より高い電圧VS が発生する。この電圧VS は、電流制限手段である抵抗316、逆流防止回路142を構成するダイオード318、高周波阻止回路144を構成する高周波コイル320を介してケーブル146に加えられる。電圧VS はダイオード318の順方向電圧VD だけ降下し、即ち、VS −VD =VL による電圧VL がケーブル146に印加される。この電圧VL はダイオードの順方向電圧VD より小さく、待機給電の電圧であり、リモコン装置104、106からの電力復帰要求を検出するための電圧である。電圧検出回路140は演算増幅器300で構成されるコンパレータ回路であって、分圧回路である抵抗322、324の分圧により得られる電圧VL とケーブル146の電圧とを比較して、リモコン装置104、106側の電力復帰要求が検出される。2芯送受信回路139はコンデンサ326で構成される直流阻止回路150を介してケーブル146に接続されている。
【0032】即ち、スイッチ回路134が導通状態のとき、ダイオード301、318がOR回路を構成しており、リモコン装置104又は106の駆動に必要な15V程度の電圧が高周波コイル320を介して通信ケーブル102に供給される。このとき、ダイオード318は非導通状態となる。
【0033】また、スイッチ回路134の導通が解除されると、給電されていた電圧15Vは電圧0Vに移行する。このとき、低電圧電源回路138から例えば、約1Vの電圧が供給され、ダイオード318は導通状態となり、通信ケーブル102に対する給電は1V以下の電圧となる。即ち、低電圧電源回路138は、例えば、通常1V位の電圧を出力していても、ダイオード301が非導通状態となり、電流は流れない。
【0034】無極性化回路226は、ダイオード328、330、332、334からなるブリッジ回路で構成されている。各ケーブル146、148を接続端子222、224に逆極性に接続されても、ダイオード328、330、332、334の通電方向によって極性が修正されて出力され、即ち、a点には正電圧、b点には負電圧が出力される。復帰要求検出用の電圧VL はダイオードの順方向電圧VDより低いため、無極性化回路226の出力電圧を越えることはできない。このため、給電停止時、リモコン装置104、106での電力消費が生じることがない。無極性化回路226のa点には直流阻止回路232のコンデンサ336を介して2芯送受信回路234が接続されるとともに、高周波阻止回路228の高周波コイル338を介して電源回路230が接続される。
【0035】また、接続端子222、224間には小電流発生回路236を構成する抵抗340と復帰スイッチ242が接続される。復帰スイッチ242を導通させると抵抗340を介して各ケーブル146、148間に電流が流れ、各ケーブル146、148間の電位差、即ち、ケーブル間電圧が降下する。この電圧降下が電圧検出回路140で検出され、制御装置100側でリモコン装置104、106側の電力復帰要求が検出される。また、抵抗340には各ケーブル146、148間の電圧降下量を抑制するため高抵抗が使用される。この結果、リモコン装置104、106の駆動電力が供給されているとき、復帰スイッチ242が入力されても、リモコン装置104、106を正常に動作させることができる。復帰スイッチ242及び運転スイッチ240は連動して動作する2連スイッチで構成され、運転スイッチ240による運転指令はCPU202に加えられる。
【0036】以上の構成において、この給湯システムの動作を図5に示す動作フローチャートを参照して説明する。
【0037】ステップS1では、リモコン装置104、106の給電停止時に運転スイッチ240、即ち、復帰スイッチ242からの入力検出が行われたか否かが判定される。復帰スイッチ242が操作されると、その入力として抵抗340に電流が流れ、通信ケーブル102に印加された電圧VL が降下する。この電圧降下は制御装置100側で検出され、この結果、復帰スイッチ242の投入が検出される。この入力により待機給電が解除されたとき、ステップS3に移行し、その入力が検出されないときはステップS2に移行する。
【0038】ステップS2では、給湯栓16が開かれて給湯要求が成されたか否かを判定する。即ち、給水量センサ56にて流水が検出されたときはステップS3に移行する。また、流水が検出されないときはステップS1に移行する。
【0039】ステップS3において、低電圧電源回路138へ給電するとともに、スイッチ回路134を動作させ、リモコン電源回路136及び2芯送受信回路139への給電を開始する。リモコン装置104、106は駆動電力を得てCPU202が動作を開始し、RAM204のメモリチェックを行う。設定データ、制御データが消去されていることを確認し、2芯送受信回路234を動作させて制御装置100に対して設定データ、制御データの転送を要求する。制御装置100は、RAM114又はEEPROM118に格納された設定データ、制御データ等を2芯送受信回路139を介してリモコン装置104又は106側に転送する。この場合、RAM204のメモリチェックを行うことなく、制御情報である各種データを転送するようにしてもよい。
【0040】ステップS4では、給湯栓16の開栓又は湯張りスイッチ212等の入力により、給湯、追焚等の制御動作が成されているか否かを判定する。給湯、追焚等の制御動作中のときはステップS5に移行してTIMER120の動作をクリアし、また、給湯、追焚等の制御動作中でないとき、即ち、復帰スイッチ242の導通によりステップS6に移行してTIMER120を動作させて時間計測を開始する。ステップS7では時間計測が開始されてから所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過したとき、ステップS9に移行する。所定時間が経過していないとき、ステップS8に移行し、運転スイッチ240の入力による運転停止命令、即ち、リモコン装置104又は106への給電切換指令が成されたか否かを判定する。停止命令がないとき、ステップS4に移行する。
【0041】ステップS9では、ステップS7によるリモコン装置104、106の動作が所定時間経過したとき、又はステップS8による運転スイッチ240の入力により給電停止命令が送出されたとき、制御装置100はリモコン装置104、106から転送された設定データや制御データ等をRAM114又はEEPROM118に格納する。そして、リモコン装置104、106への電力供給を停止し、且つ通信ケーブル102に電圧VL を印加して、待機状態に移行する。
【0042】そして、図5のフローチャートでは、リモコン装置104、106の駆動電力復帰時に制御装置100から設定データ等を転送させているが、EEPROM208に設定データ等を記憶させ、メモリチェックの後、EEPROM118から設定データ等を読み出し、リモコン装置104、106の動作復帰を開始してもよい。
【0043】このような給電制御の結果、従来、通常15V程度の給電によって電力消費が生じていたのに対し、ダイオードブリッジによって構成された無極性化回路226及び小電流発生回路236の動作によって給電待機時、0.4V以下の省電力給電が実現され、消費電力を無視できる程度に低下させることができ、しかも、小電流の通流によってリモコン装置104、106側からの復帰動作を実現でき、省電力化と自動復帰が可能な利便性の高い給湯システムを実現することができる。
【0044】なお、実施例では、給湯・追焚システムのリモコン装置を例に取って説明したが、本発明は、通信ケーブルを通して給電を行うリモコン装置を用いた各種機器に応用することができる。
【0045】また、実施例では、逆流防止回路142をダイオード301、318で構成する場合について説明したが、逆流防止回路142はダイオード以外の素子、トランジスタ等の能動素子を用いた回路で構成してもよい。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、給湯機のようにマイクロコンピュータを使用したリモコン装置に対する給電を制御装置から通信ケーブルを通して行う場合にリモコン装置側の電力消費を削減できるとともに、任意に必要な給電復帰を行うことができ、利便性を損なうことなく、消費電力の節減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の給湯システムの一実施例である給湯・追焚装置の全体構成を示す図である。
【図2】制御装置の実施例を示すブロック図である。
【図3】リモコン装置の実施例を示すブロック図である。
【図4】制御装置及びリモコン装置の実施例を示す回路図である。
【図5】給湯システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 給湯・追焚装置(給湯機)
100 制御装置(制御手段)
102 通信ケーブル
104、106 リモコン装置
134 スイッチ回路(給電切換手段)
140 電圧検出回路(電圧検出手段)
146 正極側ケーブル
148 負極側ケーブル
242 復帰スイッチ(入力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 給湯機側の制御装置とリモコン装置とを備え、前記リモコン装置に前記制御装置から通信ケーブルを介して給電する給湯システムであって、前記リモコン装置に対する給電形態を通常給電か、低圧給電等の待機給電かに切り換える給電切換手段と、前記リモコン装置側への通常給電か待機給電かの切換指令を入力する入力手段と、この入力手段の前記切換指令に基づき前記給電切換手段を制御し、前記リモコン装置に対する給電形態を前記通常給電か前記待機給電かに切り換える制御手段と、を備えたことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】 前記入力手段としてスイッチを備えるとともに、前記待機給電時、前記スイッチの操作によって生じる電圧変化を検出する電圧検出手段を備え、この電圧検出手段の電圧変化検出に基づき、前記リモコン装置への給電切換えを行うことを特徴とする請求項1記載の給湯システム。
【請求項3】 前記待機給電に移行するとき、その直前に前記リモコン装置側の記憶手段にある制御情報を前記制御装置側の記憶手段に転送させることを特徴とする請求項1記載の給湯システム。
【請求項4】 前記通常給電に移行するとき、前記制御装置側に保持されている制御情報を前記リモコン装置側の記憶手段に転送させることを特徴とする請求項1記載の給湯システム。
【請求項5】 前記通常給電を開始して所定時間が経過したとき、前記リモコン装置への給電を前記待機給電に切り換えることを特徴とする請求項1記載の給湯システム。
【請求項6】 前記給湯機の熱交換器における流水検知に基づき、前記リモコン装置に対する給電を切り換えることを特徴とする請求項1記載の給湯システム。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2002−115904(P2002−115904A)
【公開日】平成14年4月19日(2002.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−310145(P2000−310145)
【出願日】平成12年10月11日(2000.10.11)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】