説明

給湯システム

【課題】 ウォータハンマーが生じるようなおそれなく、高い水圧で湯を供給して使用することができる給湯システムを提供する。
【解決手段】 貯湯タンク1に接続された給湯配管2に給湯ユニット3を接続して設けると共にこの給湯ユニット3に給水配管4を接続する。給湯配管2から供給される湯と給水配管4から供給される水を混合する湯水混合部5と、湯使用機器10に脱着自在に接続され、湯水混合部5で混合された湯を吐出して湯使用機器11に供給する混合湯水吐出口6とを給湯ユニット3に設ける。給湯配管2に接続される給湯ユニット3内の給湯流路7に、給湯配管2から供給される湯を加圧して送る加圧ポンプ8を設ける。給湯配管2の末端に接続される給湯ユニット3に加圧ポンプ8を設けることによって、階上で湯を使用する場合やシャワーなどに湯を使用する場合に、高い水圧で湯を供給して使用することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクから給湯配管を通して供給される湯と、水道配管など給水配管を通して供給される水とを給湯ユニットで混合して適温の湯として給湯する給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
貯湯タンクに接続される給湯配管から供給される湯と、水道配管などの給水配管から供給される水を混合して給湯する給湯システムが住宅に設備されている。この給湯システムにあっては、貯湯タンクに接続される給湯配管を住宅内の各階の部屋に配管し、浴室、洗面室、台所、トイレなど、複数の箇所で湯を使用することができるようになっている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
そして湯は上記のように住宅の各階で使用されるので、給湯配管は貯湯タンクが設置された階は勿論、貯湯タンクが設置された階より上の階(貯湯タンクが一階に設置されている場合には二階や三階)や、貯湯タンクが設置された階より下の階(貯湯タンクが一階に設置されている場合には地下の階や半地下の階)にも配管されている。
【0004】
ここで、給水配管を通した水の供給は、水道配管内の高い水圧によって行なわれるが、貯湯タンクの内部が高圧になって破損することを防ぐために減圧弁で水圧を下げた状態で水道配管から貯湯タンクに給水するようにしており、貯湯タンク内の圧力は水道配管内の水圧より低くなっている。従って貯湯タンクから給湯配管を通した湯の供給圧力は、給水配管を通した水の供給圧力に比べて一般的に低い。
【特許文献1】特開平8−200718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、貯湯タンクから給湯配管を通して供給される湯の供給圧力は低いので、階上、特に三階で湯を使用する場合、湯の出が悪くなって、十分な給湯を行なうことができなくなるおそれがあるという問題があった。特に階上に浴室を設ける場合には、高いシャワー圧力でシャワーを使うことができないという問題があり、マッサージシャワーのように特に高いシャワー圧を必要とする場合には、貯湯タンクが設置された階と同じ階であっても、使用できないことがあるという問題があった。
【0006】
そこで、給湯配管の貯湯タンクへの接続部分に加圧ポンプを設け、貯湯タンクの湯を加圧ポンプで加圧した状態で給湯配管を通して湯を供給することによって、これらの問題を解決することが検討されている。しかしこの場合には、給湯配管の全体に高い水圧が作用するので、湯の使用終了の際にウォータハンマー(水撃現象)が生じ、配管系統に破損等が発生するおそれがあるという問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ウォータハンマーが生じるようなおそれなく、高い水圧で湯を供給して使用することができる給湯システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る給湯システムは、貯湯タンク1に接続された給湯配管2に給湯ユニット3を接続して設けると共にこの給湯ユニット3に給水配管4を接続し、給湯配管2から供給される湯と給水配管4から供給される水を混合する湯水混合部5と、湯使用機器11に脱着自在に接続され、湯水混合部5で混合された湯を吐出して湯使用機器11に供給する混合湯水吐出口6とを給湯ユニット3に設け、給湯配管2に接続される給湯ユニット3内の給湯流路7に、給湯配管2から供給される湯を加圧して送る加圧ポンプ8を設けて成ることを特徴とするものである。
【0009】
また請求項2の発明は、請求項1において、給湯配管2に接続される給湯ユニット3内の給湯流路7にバキュームブレーカ9を設けて成ることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、給湯配管2に接続される給湯ユニット3内の給湯流路7に流量調整弁10を設けて成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、貯湯タンク1から給湯配管2を通して湯を、給水配管4から水をそれぞれ給湯ユニット3に供給して温水混合部5で適温に混合すると共に、この適温の湯を給湯ユニット3の混合湯水吐出口6からシャワーなどの湯使用機器11に供給して使用することができるものであり、給湯配管2の末端に接続される給湯ユニット3に加圧ポンプ8を設けることによって、階上で湯を使用する場合やシャワーなどに湯を使用する場合に、高い水圧で湯を供給して使用することができるものであり、階上での十分な給湯や、高い水圧でのシャワーの使用などが可能になるものである。しかも加圧ポンプ8は給湯配管2の末端の給湯ユニット3に設けられており、給湯配管2の全体に高い水圧が作用することはなく、給湯の開始時や終了時にウォータハンマー(水撃現象)が生じることを防ぐことができるものである。
【0012】
また請求項2の発明によれば、バキュームブレーカ9による真空破壊作用によって、給湯時に貯湯タンク1内が減圧状態になって貯湯タンク1に破損が生じることを防ぐことができるものである。
【0013】
また請求項3の発明によれば、貯湯タンク1から供給される湯を流量調整弁10で一定流量に調整することができ、安定した給湯を行なうことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0015】
図3は本発明に係る給湯システムの概略の全体構成を示すものであり、貯湯タンク1に一端が接続された給湯配管2が複数に分岐して住宅の壁内や床内の配管スペースに沿って配管してある。図3の例では、貯湯タンク1を住宅の一階に設置し、給湯配管2を一階に一階給湯配管2aとして、二階に二階給湯配管2bとして配管するようにしてある。またこの給湯配管2に沿って水道配管などの給水配管4が配管してあり、給水配管4は一階給湯配管2aに沿って一階給水配管4aとして、二階給湯配管2bに沿って二階給水配管4bとして分岐して配管するようにしてある。そして給湯配管2の一階給湯配管2aや二階給湯配管2bの複数の末端の箇所に給湯ユニット3が接続してあり、またこれらの各給湯ユニット3には、給水配管4の一階給水配管4aや二階給水配管4bの各末端の箇所が接続してある。
【0016】
上記の給湯ユニット3の内部の構成の一例を図1に、給湯ユニット3の外観の構成を図2に示す。給湯ユニット3の下部には図2のように、給湯配管2に接続される湯流入口13と、給水配管4に接続される水流入口14が、さらに混合湯水吐出口6がそれぞれ下方へ突出して設けてある。湯流入口13は給湯ユニット3内に設けた給湯流路7に連通し、水流入口14は給湯ユニット3内に設けた給水流路15に連通している。
【0017】
そして図1に示すように、給湯ユニット3内には、湯流入口13の側から湯の流れ方向に沿って給湯流路7に、逆止弁17、流量スイッチ18、バキュームブレーカ(真空破壊弁)9、流量調整弁10、加圧ポンプ8が設けてある。また給湯ユニット3内には、水流入口14の側から水の流れ方向に沿って給水流路15に、逆止弁19、バキュームブレーカ(真空破壊弁)20、流量調整弁21が設けてある。この給湯流路7と給水流路15は給湯ユニット3内の湯水混合部5で合流するようにしてあり、湯水混合部5は開閉バルブ22を介して上記の混合湯水吐出口6に連通している。
【0018】
上記の加圧ポンプ8を作動させる駆動モータ23は給湯ユニット3の外部の側部に設けてあり、上記開閉バルブ22を操作する操作摘み24が給湯ユニット3の外部の正面に設けてある。また給湯ユニット3の外面には、湯水混合部5に給湯流路7から流入する湯と給水流路15から流入する水の比を調整して混合湯水の温度を調整する温度調整摘み25と、温水混合部5から混合湯水吐出口6へと送り出される湯水の量を調整する流量調整摘み26が設けてある。
【0019】
上記のように給湯配管2と給水配管4の各末端部に接続される給湯ユニット3は、住宅の浴室、洗面室、台所、トイレなど、日常的に湯を使う部屋は勿論、居間や寝室など、日常的には湯を使わない部屋にも取り付けられるものであり、壁や床に、電気のコンセントやガスのコンセントと同様に取り付けて使用されるものである。給湯ユニット3を例えば壁に取り付ける場合、壁の表面に露出させた状態で取り付けておき、給湯ユニット3の混合湯水吐出口6に湯使用機器11を接続することによって、いつでも湯使用機器11に湯を供給することができるようにしてもよいが、壁の表面材に隠れるように壁内に給湯ユニット3を取り付けておき、その室内で湯を使用する必要が生じたときに、壁の表面材を除去して給湯ユニット3を室内に露出させ、給湯ユニット3の混合湯水吐出口6に湯使用機器11を接続するようにして使用することもできる。
【0020】
ここで、湯使用機器11としては、浴室ではカランやシャワーなど、洗面室ではカランなど、台所ではカランなど、トイレではカランや洗浄便座などがあるが、これらの湯使用機器11を給湯ユニット3の混合湯水吐出口6に接続するにあたっては、湯使用機器11の接続ホースを袋ナットなどを用いて混合湯水吐出口6にねじ止め式で固定して接続をおこなったり、あるいは混合湯水吐出口6をプラグとして形成し、湯使用機器11の接続ホースにソケットを設けて、プラグとソケットのワンタッチ式の結合で接続や接続の解除を行なうようにしたりすることができる。また給湯ユニット3の混合湯水吐出口6に湯使用機器11を接続して使用する際には、開閉バルブ22を開いて混合湯水吐出口6から湯使用機器11に湯が供給されるようにし、給湯ユニット3の混合湯水吐出口6に湯使用機器11を接続しないときには、開閉バルブ22を閉じて混合湯水吐出口6から湯が吐出されないようにするものである。
【0021】
上記のように形成される給湯システムにあって、給湯ユニット3の混合湯水吐出口6に接続された湯使用機器11に給湯するにあたっては、この湯使用機器11から湯を出すように操作すると、貯湯タンク1から給湯配管2を通して給湯ユニット3に湯が供給されると共に、給水配管4を通して給湯ユニット3に水が供給される。給湯配管2から給湯ユニット3に供給された湯は、給湯流路7を通して湯水混合部5に入り、また給水配管4から給湯ユニット3に供給された水は、給水流路15を通して湯水混合部5に入り、湯と水とが湯水混合部5で混合され、適温の湯水になる。この適温の湯水は混合湯水吐出口6から湯使用機器11に吐出・供給されるものである。ここで、給湯配管2から給湯ユニット3に供給された湯が給湯流路7を流れ始めてこの湯の流れが流量スイッチ18で検出されると、駆動モータ23を作動させて加圧ポンプ8を作動させるようにしてある。
【0022】
従って、貯湯タンク1から給湯配管2を通して給湯ユニット3に供給された湯は、加圧ポンプ8によって水圧を高めて湯水混合部5に送られると共に、湯水混合部5で水と混合して適温に調整された状態で混合湯水吐出口6から高い水圧で吐出されるものであり、高い水圧で湯を湯使用機器11に供給して使用することができるものである。このため、貯湯タンク1を設置した階より階上の階に給湯する場合においても、湯を勢い良く吐出させることが可能になり、十分な給湯を行なうことができるものである。また湯使用機器11としてシャワーを使用する場合には、高いシャワー圧力で湯を吐出させることができるものであり、マッサージシャワーなどの使用が可能になるものである。そして高い圧力で吐出させるための加圧ポンプ8はこのように、給湯配管2の末端の各給湯ユニット3に設けられており、給湯配管2の全体に高い水圧が作用することはない。従って、給湯の終了時に給湯配管2にウォータハンマー(水撃現象)が生じることはないものであり、ウォータハンマーによって給湯配管2が破損したりすることを防ぐことができるものである。
【0023】
また、上記のように給湯ユニット3の給湯流路7にはバキュームブレーカ(真空破壊弁)9が設けてあるので、貯湯タンク1から給湯配管2を通して給湯ユニット3に湯が供給される際に、給湯タンク1内が減圧状態になることをバキュームブレーカ9による真空破壊作用で防ぐことができるものであり、内部の減圧で貯湯タンク1が凹むように変形したりして破損が生じることを防ぐことができるものである。特に、貯湯タンク1を設置した階よりも下の階に給湯を行なう場合、貯湯タンク1から湯が勢い良く流出して貯湯タンク1内が減圧状態になり易く、貯湯タンク1が破損され易いが、このように給湯ユニット3にバキュームブレーカ9を設けて給湯タンク1内が減圧状態になることを防ぐことによって、貯湯タンク1の破損を防ぐことができるものである。尚、給水流路15にもバキュームブレーカ20を設けて、給水配管4内が減圧状態にならないようにするのが好ましい。
【0024】
さらに、上記のように給湯ユニット3の給湯流路7には流量調整弁10が設けてあるので、貯湯タンク1から給湯配管2を通して送られる湯の流量は給湯ユニット3の流量調整弁10で一定流量に調整され、湯水混合部5に一定流量で供給されるようになっている。貯湯タンク1から供給される湯の流量が変動すると給湯ユニット3の湯水混合部5で混合される湯と水の比率が変動し、安定した温度で湯を得ることが難しい。特に貯湯タンク1を設置した階より階上に給湯する場合には、給湯タンク1から湯を安定した流量で給湯ユニット3に送ることが難しいが、このように流量調整弁10で湯の流量を一定に調整することによって、湯水混合部5で混合される湯と水の比率が安定し、安定した所定の一定温度の湯を得ることができるものである。このとき、水道配管などで形成される給水配管4を通して給湯ユニット3に送られる水の流量も不安定であるので、給湯ユニット3内の給水流路15にも流量調整弁21が設けてあり、水の流量をこの流量調整弁21で一定流量に調整して湯水混合部5に供給するようにし、湯水混合部5で混合される湯と水の比率がより安定するようにしてある。
【0025】
尚、図1の実施の形態では、給湯ユニット3の給水流路15に逆止弁19、バキュームブレーカ20、流量調整弁21を設けるようにしたが、これらを設けずに、給水配管4から給水流路15を通して直に湯水混合部5に水を供給するようにしてもよい。
【0026】
ここで上記のように、給湯ユニット3は浴室等の湯を日常的に使う部屋の他に、居間や寝室など、日常的には湯を使わない部屋にも取り付けてある。従って例えば、老人や病人を介護している部屋で老人や病人にシャワーを使わせるために、シャワーを設備する必要が生じたときに、給湯ユニット3から湯を取り出してシャワーを使用することができるものであり、給湯するために配管を施工し直すというような必要がなくなるものである。図4はその一例を示すものであり、居間や寝室などの壁面28に給湯ユニット3が取り付けてある。この給湯ユニット3はプラグとソケットのワンタッチ式の結合で接続・接続の解除を行なうことができるようにしてある。そして29はシャワー用ベッドであり、湯受け槽30の上面の開口部に老人や病人の体を支えるマット31を張って形成してある。給湯ユニット3には混合湯水吐出口6の他に排水口(図示省略)も設けてあり、湯受け槽30の底部から導出した排水ホース32の先端を排水口に接続するようにしてある。排水ホース32は先端に設けたソケット33をプラグとして形成した排水口に差し込むことによって接続することができるものである。またシャワー34のホース35にはその先端にソケット36が設けてあり、プラグとして形成した混合湯水吐出口6に差し込んで接続することによって、シャワー34に給湯ユニット3から適温の湯を供給し、シャワー用ベッド29上の老人や病人の体をシャワーで洗うことができるものである。このように、シャワーを使い終わったあとは、シャワー34のホース35と排水ホース32を給湯ユニット3から抜き外すことによって、シャワー用ベッド29を邪魔にならないように移動して、室内を居間や寝室などとして通常に使用できるようにすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図2】同上の給湯ユニットを示す斜視図である。
【図3】同上の実施の形態の一例を示す概略図である。
【図4】同上の利用形態の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 貯湯タンク
2 給湯配管
3 給湯ユニット
4 給水配管
5 湯水混合部
6 混合湯水吐出口
7 給湯流路
8 加圧ポンプ
9 バキュームブレーカ
10 流量調整弁
11 湯使用機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクに接続された給湯配管に給湯ユニットを接続して設けると共にこの給湯ユニットに給水配管を接続し、給湯配管から供給される湯と給水配管から供給される水を混合する湯水混合部と、湯使用機器に脱着自在に接続され、湯水混合部で混合された湯を吐出して湯使用機器に供給する混合湯水吐出口とを給湯ユニットに設け、給湯配管に接続される給湯ユニット内の給湯流路に、給湯配管から供給される湯を加圧して送る加圧ポンプを設けて成ることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
給湯配管に接続される給湯ユニット内の給湯流路にバキュームブレーカを設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
給湯配管に接続される給湯ユニット内の給湯流路に流量調整弁を設けて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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