説明

給湯装置、冷房給湯装置及び暖房給湯装置

【課題】
化石エネルギーの消費が少なく実用的な冷房、暖房、給湯装置が求められている。
【解決手段】
潜熱蓄熱体を含む貯湯槽11を備え、深夜電力で外気の熱から湯を生成する冷凍サイクル回路(熱交換器33で採熱し、熱交換器37で湯を生成)と、迅速に外気の熱から湯を生成する冷凍サイクル回路(熱交換器33で採熱し、熱交換器38で湯を生成)と、貯湯槽11内の熱から湯を生成する複数の冷凍サイクル回路(熱交換器37Aまたは37Bで採熱し、熱交換器37で湯を生成)と、冷房の排熱から湯を生成する冷凍サイクル回路(熱交換器53で冷房し熱交換器57で排熱)と、太陽熱を熱交換器67及び熱交換器67と69Bで放熱する二つの循環流路備え、更に熱交換器37と57の間に排水口19を備える複合装置は、深夜電力と太陽熱と冷房等の排熱を利用し効率よく湯を生成し、冷房と暖房を効率良く行い、小型で熱容量が大きく、構造が簡単で安価である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深夜電力、太陽熱、冷房等の排熱等を利用し湯を生成する給湯装置及び熱源の熱を潜熱蓄熱材に蓄え、暖房と給湯を行なう装置に関する。
【背景技術】
【0002】
持続可能な社会の実現のために電気や石油エネルギー(以下エネルギーと略す)の消費が少なく、実用的な冷房、暖房、給湯装置が求められている。実用的とは例えば、深夜電力を利用し費用を削減する、小型で設置が容易である、構造が簡単である、設置やメンテナンス費用が安価である、等を言う。その要求に応え、深夜電力、太陽熱、冷房の排熱等を利用し湯を生成する給湯装置、熱源の熱を蓄え、暖房と給湯を行なう装置、及び潜熱蓄熱材を利用して貯湯槽を小型にする装置や技術は多数開発されてきた。
【0003】
特許文献1に記載された給湯システムは太陽熱を貯湯タンクの水に蓄え、不足分の熱量を深夜電力を利用してヒートポンプで補充して給湯と暖房に利用するものである。
特許文献2に記載された貯湯型電気温水器は、貯湯部と加熱部を分離板で区切った上下のそれぞれに設け、加熱部の下部には給水口を備え、貯湯部の上部には給湯口を備えてなる貯湯タンクと、貯湯タンクの加熱部内に配置されるヒーターと、貯湯タンクの加熱部で加熱された熱湯を貯湯部の上部に導く導湯管と、貯湯タンクの貯湯部の下部と加熱部の下部とを連通する導水管と、導湯管に介装され、加熱部の湯温が設定温度以上になったときに開き、設定温度未満のときには閉じる温度感知開閉弁を有してなる貯湯型電気温水器において、貯湯タンクの貯湯部に潜熱蓄熱材を充填させるようにしたものである。
特許文献3に記載されたヒートポンプ給湯エアコンは、室内冷房用冷凍サイクルの排熱を利用することができ、かつ、室内冷房貯湯運転時、快適に運転できるヒートポンプ給湯エアコンを提供するものである。
更に、特許文献4に記載されたヒートポンプ冷暖房給湯機は、冷凍サイクルと高温タンクと低温タンクを有し、深夜電力運転中に高温タンクに高温の湯を貯え、昼間の冷房貯湯運転中に低温タンクに低温の湯を貯え、給湯運転時には高温タンク及び低温タンクの湯を混合して使用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−18138号公報
【特許文献2】特開2000−121158号公報
【特許文献3】特開2001−248937号公報
【特許文献4】特開2008−241203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、太陽熱を水に蓄え、その熱(顕熱)を暖房に使用しているが潜熱蓄熱材を利用していないので貯湯タンクのサイズが大きくなる場合がある。更に、太陽熱で暖められた貯湯タンクの中間位置の水から採熱して給湯の効率を上げているがヒートポンプの冷媒と水との熱交換の構造が複雑であり、設備が高価になる。
特許文献2において、潜熱蓄熱材の使用により貯湯タンクの熱容量は大きく、また導湯管の配置は短時間で湯を取り出せることを可能にしている。しかしながら複雑な構造の温度感知開閉弁が必要であり、更に、導湯管を上昇し、貯湯部を下降する対流を利用して湯を生成しているがその対流が温度感知開閉弁を流れるので温度感知開閉弁により対流が抑制され、生成する湯量が抑制される。湯の生成の時(湯は使われていないとする)に生じる対流は、加熱された加熱部のお湯が導湯管を上昇し、貯湯部の水(湯)は潜熱蓄熱材の間を下降し、導水管を経由して加熱部の底部に入る。また湯を使う時は(加熱部で湯は生成されていないとする)、導水管を経由して貯湯部に入り潜熱蓄熱材で温められて給湯口から出る。つまり、潜熱蓄熱材は導湯管を通る湯の熱を蓄え、導水管を通る水に放熱する。貯湯部内の導湯管の断面積は小さく対流が抑制される。また潜熱蓄熱材により特に水平方向の流れが抑制されるので貯湯部内の水の流れは局所的である。従って、貯湯部内には水の流れに接触しない多くの潜熱蓄熱材があり、それらの潜熱蓄熱材は蓄熱に寄与しない。つまり、貯湯型電気温水器は潜熱蓄熱材を全部利用する構造ではない。
【0006】
特許文献3において、冷房運転指令の有無、貯湯タンク内の湯残量(湯温)に応じ、通常冷房運転、冷房貯湯運転および貯湯運転の3モードで運転できるようになっている。水加熱用熱交換器と水温センサーが各一個であるため、貯湯運転後に湯を使わなかった場合、貯湯タンク内に湯が満杯状態であるので冷房の排熱を蓄えることができない。
特許文献4において、高温タンクと低温タンクがあるので配管や設置が複雑で高価である。更に、高温タンク及び低温タンクの湯と水道水を混合して湯の温度を調整するので複雑である。
【0007】
本発明は、上記の課題と、エネルギーの消費が少なく、実用的な冷房、暖房、給湯装置の要求を鑑みてなされたものであり、次の給湯装置、冷房給湯装置、暖房給湯装置を提供する。
(1)貯湯槽内の潜熱蓄熱体の略全部を利用して湯を生成する給湯装置。
(2)貯湯槽に蓄えられた補助熱源(例えば、太陽熱、燃料電池の排熱)の熱を利用して湯を生成する給湯装置。
(3)大量の潜熱蓄熱体に蓄えられた補助熱源の熱を利用して湯を生成する給湯装置。
(4)補助熱源または外気(主熱源)の熱を大量の潜熱蓄熱体に蓄え、その熱で大量の湯を生成する給湯装置。
(5)湯を大量に、迅速に生成する給湯装置。
(6)温度検出器を適切な位置に配置することにより、湯の生成直後にも冷房の排熱を貯え、その熱を湯の生成に利用する冷房給湯装置。
(7)給湯熱交換器を排熱熱交換器の上方に配置することにより、湯の生成直後にも冷房の排熱を貯え、その熱を湯の生成に利用する冷房給湯装置。
(8)冷房の排熱を大量の潜熱蓄熱体に蓄え、その熱を湯の生成に利用する冷房給湯装置。
(9)大量の潜熱蓄熱体に蓄えられた熱から大量の湯を生成すると共にその熱を採り、暖房に利用する暖房給湯装置。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の給湯装置は、水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、前記貯湯槽の内側に沿って配置された仕切部材と、前記貯湯槽と前記仕切部材の間に配置され、水を加熱する第二加熱器と、前記第二加熱器の下方に配置され、水を加熱する第一加熱器と、前記給湯口と前記第一加熱器の間に配置され、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体を備え、前記仕切部材は前記第二加熱器により加熱された水が前記給湯口に流れるための流路を形成するように配置されている。
この構造は対流を抑制する導湯管と温度感知開閉弁(特許文献1参照)がなく、第二の加熱器で加熱された時に、加熱された水は流路を上昇し迅速に湯を生成し、流路の断面積が比較的大きいので対流が殆ど抑制されない。潜熱蓄熱体と第一の加熱器との熱伝達は水の自然対流によるので垂直方向の熱伝達率は高いが水平方向の熱伝達率は低いので、第一の加熱器は貯湯槽の水平面の断面全体に亘って水を加熱する構造とする。それにより略全部の潜熱蓄熱体を融解できる。そして融解された潜熱蓄熱体は大量の湯を生成できる。従って、本発明の給湯装置は、潜熱蓄熱体の略全部を利用して大量の湯を生成でき、且つ第二加熱器により湯を迅速に生成できる。
本発明の第二の給湯装置は、水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、前記貯湯槽内の所定の位置に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう給湯熱交換器と、前記給湯熱交換器の下方に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう採熱熱交換器と、前記貯湯槽内の水を加熱する加熱手段と、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記給湯熱交換器と、冷媒を減圧する減圧器と、冷媒と外気との熱交換を行なう外気熱交換器を順次接続した構成の第一冷凍サイクル回路と、前記圧縮機と、前記給湯熱交換器と、前記減圧器または他の減圧器と、前記採熱熱交換器を順次接続した構成の第二冷凍サイクル回路を備える。
この構造により、第一冷凍サイクル回路は外気から採熱する外気熱交換器のファンでエネルギーを消費するが、第二冷凍サイクル回路はファンを使用せずに、且つ加熱手段で加熱された水から採熱し湯を生成するので、本発明の第二の給湯装置は補助熱源の熱を利用し湯の生成を効率良く行なう。
【0009】
本発明の第三の給湯装置は、水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、前記貯湯槽内の所定の位置に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう給湯熱交換器と、前記給湯熱交換器の下方に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう複数の採熱熱交換器と、前記貯湯槽内の水を加熱する加熱手段と、前記給湯熱交換器と前記給水口の間に配置され、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体と、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記給湯熱交換器と、冷媒を減圧する減圧器と、冷媒と外気との熱交換を行なう外気熱交換器を順次接続した構成の第一冷凍サイクル回路と、前記圧縮機と、前記給湯熱交換器と、前記減圧器または他の減圧器と、前記複数の採熱熱交換器の各々を順次接続した構成の複数の冷凍サイクル回路を備える。
この構造により、複数の冷凍サイクル回路は採熱にファンを使用せずに、且つ加熱手段により潜熱蓄熱体に大量に蓄えられた熱を複数の採熱熱交換器を選択して採熱するので、本発明の第三の給湯装置は、大量の潜熱蓄熱体から効率良く且つ迅速に湯を生成できる。
本発明の第四の給湯装置は、水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、前記貯湯槽内の所定の位置に配置され、熱媒体と水との熱交換を行なう第一熱交換器と、前記第一熱交換器の上部に配置され、熱媒体と水との熱交換を行なう第二熱交換器と、前記給湯口と前記第一熱交換器との間に配置され、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体と、熱媒体を加熱する加熱装置と前記第一熱交換器との間に熱媒体を循環させるための第一循環流路と、前記加熱装置と、直列に接続された前記第一熱交換器と前記第二熱交換器との間に熱媒体を循環させるための第二循環流路を備える。
第一循環流路は水の温度を潜熱蓄熱体の融解温度付近まで加熱する場合に効率が良く、第二循環流路は潜熱蓄熱体を融解する場合に効率が良い。本発明の構造により水の温度に基づいて第一循環流路と第二循環流路のいずれかを選択し加熱することができるので、本発明の第四の給湯装置は、加熱装置の熱を大量の潜熱蓄熱体に効率よく蓄え、その熱で大量の湯を生成できる。
【0010】
本発明の第五の給湯装置は、水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、前記貯湯槽の内側に沿って流路を形成するように配置された仕切部材と、前記貯湯槽と前記仕切部材の間に配置され、水を加熱する加熱器を備え、前記仕切部材は水を通すための複数の流通孔を有する。
この構造により、加熱器で加熱された水は、流路外(貯湯槽の中央部)の水と殆ど混合されずに流路を上昇し、給湯口に至るので湯を迅速に生成できる。そして流路を上昇する水は、その上部の水の温度が、上昇する水の温度と略等しい所で、水の温度が低い貯湯槽の中央部に流通孔を通って流れるので、加熱器の上部の水を全て(貯湯槽の中央部を含む)略等しい温度に迅速に加熱できる。従って、本発明の第五の給湯装置は、一つの加熱器で湯を大量に、迅速に生成できる。
本発明の第一の冷房給湯装置は、水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、前記貯湯槽内の所定の位置に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう給湯熱交換器と、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記給湯熱交換器と、冷媒を減圧する減圧器と、冷媒と外気との熱交換を行なう外気熱交換器を順次接続した構成の第一冷凍サイクル回路と、前記圧縮機と、前記給湯熱交換器と、前記減圧器または他の減圧器と、建物内の空気と冷媒との熱交換を行なう建物熱交換器を順次接続した構成の第一冷房冷凍サイクル回路と、前記給湯熱交換器の上方の所定の位置に配置された給湯温度検出器を備え、前記第一冷凍サイクル回路は前記給湯温度検出器の検出温度に基づいて制御される。
この構造により、給湯温度検出器が給湯熱交換器の上方の所定の位置に配置されているので、第一冷凍サイクル回路で湯を生成した場合でも給湯温度検出器の下方の水に冷房の排熱を蓄えることができる。そして冷房の排熱で加熱された水は上昇するので第一冷凍サイクル回路で湯を生成する時に利用する。従って、本発明の第一の冷房給湯装置は、冷房の効率を向上でき、湯の生成のためのエネルギーを削減できる。更に、第一冷凍サイクル回路で湯を生成した直後にも冷房の排熱を蓄えることができるので、従来例(特許文献3)に比べて、熱効率が良い。
【0011】
本発明の第二の冷房給湯装置は、水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、前記貯湯槽内の所定の位置に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう給湯熱交換器と、前記給湯熱交換器の下方に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう第一排熱熱交換器と、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記給湯熱交換器と、冷媒を減圧する減圧器と、冷媒と外気との熱交換を行なう外気熱交換器を順次接続した構成の第一冷凍サイクル回路と、前記圧縮機または他の圧縮機と、前記第一排熱熱交換器と、前記減圧器または他の減圧器と、建物内の空気と冷媒との熱交換を行なう建物熱交換器を順次接続した構成の第二冷房冷凍サイクル回路を備える。
この構造により、第一排熱熱交換器は給湯熱交換器の下方に配置されているので、第一冷凍サイクル回路で湯を生成した直後でも給湯熱交換器より下方の水に冷房の排熱を蓄えることができる。そして冷房の排熱で加熱された水は第一冷凍サイクル回路で湯を生成する時に利用する。従って、本発明の第二の冷房給湯装置は、冷房の効率を向上でき、湯の生成のためのエネルギーを削減できる。更に、第一冷凍サイクル回路で湯を生成した直後にも冷房の排熱を湯の生成に利用できるので、従来例(特許文献3)に比べて、熱効率が良い。
本発明の第三の冷房給湯装置は、水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、前記貯湯槽内の所定の位置に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう給湯熱交換器と、前記給湯熱交換器の下方に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう第二排熱熱交換器と、前記第二排熱熱交換器の下方に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう第一排熱熱交換器と、前記給湯熱交換器と前記第一排熱熱交換器の間に配置され、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体と、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記給湯熱交換器と、冷媒を減圧する減圧器と、冷媒と外気との熱交換を行なう外気熱交換器を順次接続した構成の第一冷凍サイクル回路と、前記圧縮機または他の圧縮機と、前記第一排熱熱交換器と、前記減圧器または他の減圧器と、建物内の空気と冷媒との熱交換を行なう建物熱交換器を順次接続した構成の第二冷房冷凍サイクル回路と、前記第一排熱熱交換器を除いて前記第二冷房冷凍サイクル回路と同一に構成され、前記第一排熱熱交換器が直列に接続された前記第一排熱熱交換器と前記第二排熱熱交換器で代替されて構成された第三冷房冷凍サイクル回路を備える。
この構造により、第一排熱熱交換器と第二排熱熱交換器は給湯熱交換器の下方に配置され、その間に潜熱蓄熱体が配置されているので、第一冷凍サイクル回路を使用して湯を生成した直後でも給湯熱交換器より下方の水と潜熱蓄熱体に冷房の排熱を大量に蓄えることができるので冷房の排熱を放出するためのエネルギーを削減でき、冷房の効率を向上できる。更に、冷房の排熱で加熱された水は給湯熱交換器の上方に上昇するので湯の生成のためのエネルギーを削減できる。
更に、第二冷房冷凍サイクル回路は水の温度を潜熱蓄熱体の融解温度付近まで加熱する場合に効率が良く、第三冷房冷凍サイクル回路は潜熱蓄熱体を融解する場合に効率が良く、第二冷房冷凍サイクル回路と第三冷房冷凍サイクル回路のいずれかを選択可能であるので、冷房の排熱を大量の潜熱蓄熱体に効率よく、大量に放出できる。
従って、本発明の第三の冷房給湯装置は、大量の潜熱蓄熱体を利用し、冷房の効率を大幅に向上でき、湯の生成のためのエネルギーを大幅に削減できる。
また、本発明の第三の冷房給湯装置は、従来例(特許文献4)に比べて、一つの槽を使い冷房の排熱を湯の生成に利用し、湯の温度調整は給湯口からの湯と水で混合するので構造が簡単であり、安価に構築できる。
【0012】
本発明の暖房給湯装置は、水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、前記貯湯槽内の異なる垂直方向の位置に配置され、熱媒体と水との熱交換を行なう複数の熱交換器と、熱を放出する放熱器と前記複数の熱交換器の各々との間に熱媒体を循環させるための複数の循環流路と、前記貯湯槽内の水を加熱する加熱手段と、前記複数の熱交換器の間に配置され、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体を備える。
この構造により、加熱手段により潜熱蓄熱体に蓄えた大量の熱で大量の湯を生成でき、更に、貯湯槽内の温度を取得し、その温度に基づいて、熱交換器を選択することにより大量の潜熱蓄熱体から潜熱を効率よく採熱し、その熱で暖房できる。従って、本発明の暖房給湯装置は大量の潜熱蓄熱体に蓄えられた熱から大量の湯を生成すると共にその熱を効率よく採り、高出力の暖房を提供できる。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、本発明の第一の給湯装置は、潜熱蓄熱体の略全部を利用して大容量の湯を生成できると共に湯を迅速に生成できる。
本発明の第二の給湯装置は、加熱手段により蓄えられた熱を利用し湯の生成を効率良く行なうことができる。
本発明の第三の給湯装置は、加熱手段からの熱を蓄えた大量の潜熱蓄熱体から効率良く且つ迅速に採熱して湯を生成できる。
本発明の第四の給湯装置は、加熱装置からの熱を大量の潜熱蓄熱体に効率よく蓄え、その熱で大量の湯を生成できる。
本発明の第五の給湯装置は、一つの加熱器で湯を大量に、迅速に生成できる。
本発明の第一と第二の冷房給湯装置は、湯の生成直後にも冷房の排熱を蓄えて冷房の効率を向上させ、湯の生成のためのエネルギーの消費を削減できる。
本発明の第三の冷房給湯装置は、大量の潜熱蓄熱体を利用し、冷房の効率を大幅に向上でき、湯の生成のためのエネルギーの消費を大幅に削減できる。
本発明の暖房給湯装置は、加熱手段からの熱を大量の潜熱蓄熱体に大量に蓄え、その蓄えられた熱で大量の湯を生成できると共に高出力の暖房機能を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の給湯装置の第一実施形態である給湯装置100を示す。
【図2】貯湯槽11内の水の流れを模式的に示す。
【図3】本発明の給湯装置の第二実施形態である給湯装置110を示す。
【図4】本発明の給湯装置の第三実施形態である給湯装置120を示す。
【図5】本発明の給湯装置の第五実施形態である給湯装置130を示す。
【図6】本発明の給湯装置の第七実施形態である給湯装置140を示す。
【図7】本発明の給湯装置の第八実施形態である給湯装置150を示す。
【図8】本発明の給湯装置の第九実施形態である給湯装置160を示す。
【図9】本発明の冷房給湯装置の第一実施形態である冷房給湯装置200を示す。
【図10】本発明の冷房給湯装置の第三実施形態である冷房給湯装置210を示す。
【図11】本発明の冷房給湯装置の第五実施形態である冷房給湯装置220を示す。
【図12】本発明の暖房給湯装置の一実施形態である暖房給湯装置300を示す。
【図13】貯湯槽11内の水の温度分布を模式的に示す。
【図14】複合装置400を示す。
【図15】本発明の給湯装置の第四実施形態である給湯装置120Aを示す。
【図16】本発明の給湯装置の第六実施形態である給湯装置130Aを示す。
【図17】本発明の冷房給湯装置の第二実施形態である冷房給湯装置200Aを示す。
【図18】本発明の冷房給湯装置の第四実施形態である冷房給湯装置210Aを示す。
【図19】本発明の冷房給湯装置の第六実施形態である冷房給湯装置220Aを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明の実施の形態において貯湯槽11の給湯口12から流出する湯は給水口13に流入する水と混合されて使用される場合がある。また貯湯槽11は湯の放熱を抑制するために断熱されている。本発明の実施の形態において、冷凍サイクル回路の運転や、バルブやスイッチやポンプ等の制御は、CPU,メモリ、プログラム、データ、入出力インターフェース等を備えた制御部(不図示)が、温度検出器等の入力機器からの信号または情報に基づいて行なうものとする。
【0016】
図1(A)は、本発明の給湯装置の第一実施形態である給湯装置100を示す。給湯装置100は、水で充填され、上部に給湯口12を有し、下部に給水口13を有する貯湯槽11と、貯湯槽11の底部付近に配置された熱交換器37と、貯湯槽11の内側に沿って配置された仕切部材14と、貯湯槽11と仕切部材14の間に配置された熱交換器38と、貯湯槽11内に配置され、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体16を備える。更に、貯湯槽11の上部と下部に温度検出器36Bと36Aが配置されている。仕切部材14は円錐状の仕切部材14Aと円筒状の仕切部材14Bと環状の仕切部材14Cで構成され、熱交換器38により加熱された水が給湯口12に流れるための流路17を形成するように配置されている。仕切部材14Aと14Cは水を流すための孔が多数配置されている。分散部材15は給水口13を覆うように配置され、給水口13から流入する水を分散して貯湯槽11全体に流す。熱交換器37は、平面図を図1(B)に示すように、渦巻き状の形状の熱伝導性の管で構成されている。その管に熱い冷媒を流して水を加熱する。熱交換器37は渦巻き状のため貯湯槽11の水平方向の断面の全体を加熱できる。熱交換器38は、斜視図を図1(C)に示すように、コイル状の熱伝導性の管で構成されている。その管に熱い冷媒を流して水を加熱する。熱交換器38はコイル状のため高温の湯を迅速に生成できる。
給湯装置100は、更に、冷媒を圧縮する圧縮機31と冷媒と水とを熱交換させる熱交換器37と冷媒を減圧する減圧器32と冷媒と外気とを熱交換させる熱交換器33を順次接続した構成の冷凍サイクル回路34Aと、圧縮機31と熱交換器38と減圧器32と熱交換器33を順次接続した構成の冷凍サイクル回路34Bを備える。冷凍サイクル回路34Aと34Bの途中に配置されたバルブ35Aと35Bの開閉を制御することによりいずれかの冷凍サイクル回路を選択する。
【0017】
潜熱蓄熱体16はプラスチック等に潜熱蓄熱材が充填された構造が好ましく、その形状は表面積の大きい球体が好ましい。温度検出器36Aと36Bは、熱交換器37と38が加熱する水の温度を検出するために、それぞれ熱交換器37と38と略同じ垂直位置で、加熱された水の上昇経路を避けて、中心付近に配置されるのが好ましい。
熱交換器37と熱交換器38が、それぞれ本発明の第一加熱器と第二加熱器に相当する。
【0018】
本発明の動作を、深夜電力により湯を生成し、湯量が少なくなった場合に湯を迅速に生成し、湯切れを避ける場合の例で説明する。潜熱蓄熱体16の潜熱蓄熱材の融解温度と凝固温度は給水口13から供給される水の温度より高く、冷凍サイクル回路34Aと34Bで生成する湯の温度より低いとする。潜熱蓄熱体16の潜熱蓄熱材としては例えば酢酸ナトリウム三水和物(融解温度は58度)を使うことができる。酢酸ナトリウム三水和物の凝固温度は明確でないが、以下の説明では融解温度と等しいとする。
【0019】
(1)深夜電力による湯の生成
深夜電力が適用される時刻に温度検出器36Aの検出温度が所定の第一温度(例えば、50度)未満の場合、冷凍サイクル回路34Aが運転され、熱交換器37により貯湯槽11の底部の水が加熱される。熱交換器37で加熱された水は上昇し、熱交換器37の上の水と潜熱蓄熱体16の温度を上昇させる。一方周囲の水より低温の水は下降し、対流を生じる。この対流により熱交換器37の上の水と潜熱蓄熱体16の温度を上昇させ、温度検出器36Aの検出温度が所定の第二温度(例えば、70度)以上になった場合に冷凍サイクル回路34Aの運転が停止される。
水の対流によって熱交換器37の熱が潜熱蓄熱体16に伝達されるので熱交換器37と潜熱蓄熱体16の間の距離は短い方が熱の伝達量が多く、好ましいので、熱交換器37の形状は図1(B)に示すように管が平面的に略均一の間隔で配置された渦巻き状の形状が好ましい。渦巻き状の形状の熱交換器37を貯湯槽11の底部付近に配置することにより、貯湯槽11の大部分の潜熱蓄熱材に蓄熱し、その熱により湯を生成できる。
潜熱蓄熱体16の表面に接触する水の温度が融解温度より高い場合、表面に近い固相の潜熱蓄熱材から液相に遷移する。潜熱蓄熱材の熱伝導率は小さいので、潜熱蓄熱体16を迅速に融解するために潜熱蓄熱体16の直径を小さく(例えば3cm)するのが好ましい。
【0020】
(2)湯切れの防止の湯の生成
深夜電力が適用される時刻まで温度検出器36Bが検出する温度が所定の第一温度以上であれば、再び深夜電力を利用して冷凍サイクル回路34Aが運転され湯が生成される。
一方、湯を大量に使い、温度検出器36Bの検出温度が所定の第一温度未満になった場合、冷凍サイクル回路34Bが運転され、熱交換器38で湯が生成される。そして温度検出器36Bの検出温度が所定の第二温度以上になった場合、冷凍サイクル回路34Bの運転が停止される。図2は給湯中に熱交換器38で湯を生成している場合の水の流れを模式的に示したものである。給水口13から流入した水は分散部材15で流れが多方向に分散される。そしてその水は潜熱蓄熱体16の間を上昇し、その上昇過程で潜熱蓄熱体16と熱交換する。潜熱蓄熱体16の表面近くに液相があれば熱交換量が多く、そうでなければ少ない。上昇した水は仕切部材14Cの孔を通り流路17に入り、熱交換器38で加熱され、流路17を上昇し給湯口12から流出する。流路17の水の温度は流路17外の水の温度より高く、流路17には流れの障害物が少ないので、仕切部材14Aの孔を通って流路17に入る水量は少ない。従って、流路17を上昇する時の温度低下は少ないので湯を迅速に生成できる。なお、仕切部材14の孔の数量とサイズは適切に設定されるものとする。
また、温度検出器36Bの検出温度が所定の第一温度未満になり、冷凍サイクル回路34Bが運転され、その直後に湯の使用が停止された場合、熱交換器38で生成された湯は流路17を上昇し、仕切部材14Aの孔を通って中央部に流れ、中央部の水は下降する。この対流により湯が生成され、中央部の下降する水の温度が融解温度より高い場合、潜熱蓄熱体16の固相の潜熱蓄熱材が融解される。流路17の断面積は比較的大きく、その対流を殆ど抑制しないので、給湯装置100は湯を迅速に生成すると共に潜熱蓄熱体16を迅速に融解する。
【0021】
温度検出器36Bが所定の第一温度を検出した時に、貯湯槽11に所定の湯量があるように温度検出器36Bの位置を配置することにより、湯切れを防止することができる。所定の湯量とは、冷凍サイクル回路34Bが運転を開始した時から熱交換器38で生成された湯が給湯口12に達するまでの時間に使う湯量である。なお、冷凍サイクル回路34Bが生成する単位時間の湯量が給湯口12から流出する単位時間の湯量より小さい場合は単位時間に流出する湯量を制限する流量制限弁を給湯口12に接続された給湯管に配置することにより湯切れを防止することができる。
従って、給湯装置100は潜熱蓄熱体の略全部を利用して大容量の湯を生成できると共に湯を迅速に生成できる。
【0022】
図3は、本発明の給湯装置の第二実施形態である給湯装置110を示す。給湯装置110は電流供給源43からの電流を電気ヒータ47または48に流すことより湯を生成する。給湯装置110の貯湯槽11内の構造は給湯装置100のそれと同様である。
次に、給湯装置110と給湯装置100の構造に関する相違部分について説明する。電流供給源43は電流を発生する装置であり、発電所や電池であり、電気ヒータ47と48は電流を熱に変換する抵抗素子であり、スイッチ45Aと45Bは電流の流れを制御(オンまたはオフ)するスイッチであり、送電回路44Aは電流供給源43から電気ヒータ47に電流を流す回路であり、
送電回路44Bは電流供給源43から電気ヒータ48に電流を流す回路である。電気ヒータ47の形状は熱交換器37と同様な渦巻状が好ましく、電気ヒータ48の形状は熱交換器38と同様なコイル状が好ましい。
電気ヒータ47と48が、それぞれ本発明の第一加熱器と第二加熱器に相当する。
【0023】
次に、給湯装置110と給湯装置100の動作に関する相違部分について説明する。スイッチ45Aと45Bは通常共にオフとする。
(1)深夜電力による湯の生成
深夜電力が適用される時刻に温度検出器36Aの検出温度が所定の第一温度未満の場合、スイッチ45Aがオンにされ電気ヒータ47に電流が流され湯が生成され、温度検出器36Aの検出温度が所定の第二温度以上になった場合にスイッチ45Aがオフにされる。
(2)湯切れの防止の湯の生成
日中に湯を大量に使い、温度検出器36Bの検出温度が所定の第一温度未満になった場合、スイッチ45Bがオンにされ電気ヒータ48に電流が流され、湯が生成され、温度検出器36Bの検出温度が所定の第二温度以上になった場合にスイッチ45Bがオフにされる。
従って、給湯装置110は湯の生成に関して給湯装置100と同様に動作し、給湯装置100と同様な効果がある。
【0024】
図4(A)は、本発明の給湯装置の第三実施形態である給湯装置120を示す。給湯装置120は、水で充填され、上部に給湯口12を有し、下部に給水口13を有する貯湯槽11と、貯湯槽11の所定の位置に配置された熱交換器38Aと、熱交換器38Aの下方の熱交換器37Aと、熱交換器37Aの下方の熱交換器87と、給水口13から流入する水を分散する分散部材15を備えている。
給湯装置120は、更に、圧縮機31と熱交換器38Aと減圧器32と熱交換器33を順次接続して構成される冷凍サイクル回路34Cと、圧縮機31と熱交換器38Aと減圧器32と熱交換器37Aを順次接続して構成される冷凍サイクル回路34Dを備え、冷凍サイクル回路34Cと34Dの途中にそれぞれ配置されたバルブ35Cと35Dの開閉を制御していずれかの冷凍サイクル回路を選択する構成である。
給湯装置120は、更に、加熱手段80と、熱交換器38Aと87が加熱する水の温度を検出する温度検出器36Cと86と、熱交換器37Aが採熱する水の温度を検出する温度検出器36Dと、貯湯槽11との間に水が流れる流路17Aを形成するように配置された仕切部材14Dを備え、熱交換器38Aは流路17Aに配置される。熱交換器38Aは、熱交換器38Aより上の貯湯槽11の湯量が例えば一日に使う湯量の平均値より多くなる位置に配置される。
【0025】
加熱手段80は、不図示の補助熱源(例えば、太陽熱や燃料電池の排熱)で熱媒体を加熱する加熱装置83(例えばソーラパネルや燃料電池の排熱で熱媒体を加熱する熱交換器)と、熱媒体と水との熱交換をする熱交換器87と、加熱装置83と熱交換器87の間に熱媒体を循環させるための循環流路84と、循環流路84に熱媒体を循環させるポンプ81で構成される。
本発明の加熱手段は、貯湯槽11内の水を加熱するものであり、その構成は問わない。本発明の加熱手段は、図12に示す加熱手段80Aのように給水口から取り出した貯湯槽内の水を、熱交換器を介して加熱装置の熱で加熱し、貯湯槽に戻す構成でも良い。
仕切部材14Dは熱交換器38Aで生成された湯を流路17A外の水との接触を抑制させるものであり、それにより湯の温度を殆ど下げずに湯を迅速に生成することができる。仕切部材14Dは円筒状であり、水を通す複数の孔を有している。複数の孔は、温度成層付近で流路17Aの上昇流を貯湯槽11の中央部へ流れさせ、熱交換器38Aと温度成層の間で対流を起こさせ、湯を迅速に生成する。温度検出器36Cと86は、熱交換器38Aと87が加熱する水の温度を検出するために、それぞれ熱交換器38Aと87と略同じ垂直位置で、加熱された水の上昇経路を避けて、それらの中心付近に配置される。
熱交換器38Aと熱交換器37Aと熱交換器33と冷凍サイクル回路34Cと冷凍サイクル回路34Dはそれぞれ本発明の給湯熱交換器と採熱熱交換器と外気熱交換器と第一冷凍サイクル回路と第二冷凍サイクル回路に相当する。
【0026】
次に、本発明の給湯装置120の動作の概要を説明する。温度検出器86の検出温度と熱媒体の温度に基づいてポンプ81が運転され、加熱装置83により熱媒体に伝達された熱は熱交換器87を介して貯湯槽11の水に蓄えられる。深夜電力が適用される時刻に温度検出器36Cの検出温度が所定の第一温度(例えば50度)未満であり、温度検出器36Dの検出温度が所定の第三温度(例えば20度)以上である場合、冷凍サイクル回路34Dが運転され、湯が生成され、温度検出器36Dの検出温度が所定の第三温度未満である場合、冷凍サイクル回路34Cが運転され、湯が生成される。つまり、加熱装置83により熱媒体に伝達された熱が温度検出器36D付近の水に蓄えられている場合はその熱で湯を生成し、そうでない場合は外気の熱で湯を生成する。
【0027】
次に、本発明の給湯装置120の動作を貯湯槽11の水の温度分布を模式的に、概念的に示す図4(B)を参照して詳細に説明する。図4(B)の縦軸は貯湯槽11の垂直位置であり、横軸は水の温度である。水平面の水の温度は水平位置により異なり、特に熱交換器の管付近の温度変化は大きい。ここでは、横軸で示す水の温度は垂直位置に対応する水平面の水の温度の平均値とする。温度検出器36Dは熱交換器37Aの水平面の水の平均温度を示す位置付近に配置されるのが好ましい。熱交換器37Aの水平面の水の温度は熱交換器37Aの管の付近の温度が平均温度より低く、熱交換器37Aが図1(B)のような渦巻き状の場合、中心付近は対流の上昇流が流れ、平均温度より高い温度を示す。従って、平均温度を示す位置は熱交換器37Aの渦巻の中心と管との間にあり、温度検出器36Dの位置の一例を図4(A)に示す。
【0028】
深夜電力で冷凍サイクル回路34Cを運転し、温度T3(例えば70度)の湯を生成した後に、加熱手段80で温度T2(例えば、所定の第一温度以下の45度)の湯を生成した場合の貯湯槽11の温度分布を温度分布91で示す。その後、熱交換器38A付近の水が給湯口12の少し下に来るまで湯を使用した場合、湯が給湯口12から排出され同量の温度T1(例えば20度)の水が給水口13から入るので貯湯槽11の水の温度分布は温度分布91を上方に移動した温度分布91Aのようになる。次に、深夜電力で冷凍サイクル回路34Dを運転すると、冷凍サイクル回路34Dは熱交換器37Aから熱を採り、熱交換器38Aで放熱する。熱交換器37Aに接触する水は冷やされるので局所的に上方の水の温度が下方の水の温度より低くなるような温度分布になる。一方、熱交換器38Aで温められた水は上昇し、上方の水の温度が下方の水の温度より高くなるように動く。温度検出器36Cが温度T3を検出した時に冷凍サイクル回路34Dを停止する。その時の貯湯槽11の水の温度分布は温度分布91Bのようになり、領域AとBに対応する熱量は略等しい。領域Bに対応する熱量は熱交換器37Aで採熱された熱量であり、領域Aに対応する熱量は熱交換器38Aで放熱された熱量である。冷凍サイクル回路34Dの運転中に温度検出器36Dの検出温度が所定の第三温度未満になった場合は冷凍サイクル回路34Cに切替え、外気を熱源として湯を生成する。
熱交換器38Aと37Aの間に温度差が大きい温度成層が形成されるので熱交換器38Aと37Aの距離はその温度差に応じて適切に設定されるのが好ましい。
【0029】
図4(B)は図と説明を簡単にするために単純化した模式的な温度分布であり、例えば図4(B)では給湯口12と熱交換器38Aの間の水の温度はT3と表しているが、不平衡状態であるのでその間の温度は変動する。更に、図4(B)では温度分布が折れ線で描かれているが、実際の温度分布は曲線である。例えば、給湯口12から湯が流出したときに同量の水が給水口13から流入し、貯湯槽11の水は上方に移動する。この移動の時に水は攪拌され、周辺の水と混合されるので温度分布はなだらかな曲線になる。更に、熱交換器87と38Aで水を加熱している時にも湯は使われる場合があるので実際の温度分布は図4(B)のような単純なものではない。なお、本発明は水の温度分布が複雑であっても適用されることは言うまでも無い。
空気の熱伝導率と熱容量は小さいため、通常、熱交換器33は空気の流れをファンで生成して採熱するので、冷凍サイクル回路34Cは外気から採熱するために電力を消費する。一方、水の熱伝導率と熱容量は大きいので自然対流による熱の伝達で充分採熱でき、冷凍サイクル回路34Dは水から採熱するために電力を消費しないので、冷凍サイクル回路34Dは冷凍サイクル回路34Cより湯の生成の効率が良い。つまり、加熱装置83からの熱で貯湯槽11の水を加熱し、深夜電力が適用される時刻にその加熱された水が熱交換器37A付近に存在している場合、冷凍サイクル回路34Dにより湯の生成の効率を向上できる。
【0030】
湯の生成の効率は湯の使用量や翌日に加熱装置83から供給される熱量や頻度等にも依存する。ほぼ毎日一日の湯を生成できる熱量を供給する補助熱源(例えば、燃料電池の排熱)を使用する場合、冷凍サイクル回路34Dは冷凍サイクル回路34Cより効率良く湯を生成する。
従って、給湯装置120は、補助熱源の熱を利用し湯の生成を効率良く行なうことができる。
【0031】
図15は本発明の給湯装置の第四実施形態である給湯装置120Aを示す。給湯装置120Aは、給湯装置120に減圧器32Aを追加した構成である。給湯装置120の冷凍サイクル回路34Dに相当する冷凍サイクル回路34Daは圧縮機31と熱交換器38Aと減圧器32Aと熱交換器37Aを順次接続して構成される。
減圧器32Aが本発明の他の減圧器に相当する。
給湯熱交換器120Aの機能は給湯熱交換器120と同様であるので説明は省く。
【0032】
図5(A)は、本発明の給湯装置の第五実施形態である給湯装置130を示す。給湯装置130は、補助熱源の熱を潜熱蓄熱体に蓄え、その熱で大量の湯を生成するものである。そのために給湯装置130は、冷凍サイクル回路34Eを構築するための熱交換器37Bとバルブ35Eと、熱交換器37Aと給水口13の間に潜熱蓄熱体16Aと、潜熱蓄熱体16Aを移動させないための仕切板14Eと、熱交換器37Bで採熱する水の温度を検出する温度検出器36Eを給湯装置120に追加したものである。冷凍サイクル回路34Eは圧縮機31と熱交換器38Aと減圧器32と熱交換器37Bを順次接続して構成される。
加熱手段80は給湯装置120のものと同様であるのでその構成の説明は省く。本発明の加熱手段は、貯湯槽11内の水と潜熱蓄熱体16Aを加熱するものであり、その構成は問わない。本発明の加熱手段は、図12に示す加熱手段80Aのように給水口から取り出した貯湯槽内の水を、熱交換器を介して加熱装置の熱で加熱し、貯湯槽に戻す構成でも良い。また、本発明の加熱手段は、図6に示すように貯湯槽内の所定の位置に配置された第一熱交換器と、その上部に配置された第二熱交換器と、加熱装置と第一熱交換器との間に熱媒体を循環させるための第一循環流路と、加熱装置と直列に接続された第一熱交換器と第二熱交換器との間に熱媒体を循環させるための第二循環流路を有した構成にして加熱装置の熱で水と潜熱蓄熱体を加熱しても良い。
熱交換器38Aと熱交換器33と冷凍サイクル回路34Cはそれぞれ本発明の給湯熱交換器と外気熱交換器と第一冷凍サイクル回路に相当し、熱交換器37Aと37Bは本発明の複数の採熱熱交換器に相当し、冷凍サイクル回路34Dと34Eは本発明の複数の冷凍サイクル回路に相当する。
【0033】
以下、給湯装置120と異なる給湯装置130の動作を、貯湯槽11の水の温度分布を模式的に、概念的に示す図5(B)を参照して詳細に説明する。図5(B)の縦軸は貯湯槽11の垂直位置であり、横軸は水の温度である。水平面の水の温度は水平位置により異なり、特に熱交換器の管付近の温度変化は大きい。ここでは、横軸で示す水の温度は垂直位置に対応する水平面の水の温度の平均値とする。温度検出器36Dと36Eはそれぞれ熱交換器37Aと37Bの水平面の水の平均温度を示す位置付近に配置されるのが好ましい。それらの位置は給湯装置120の温度検出器36Dの位置と同様である。
潜熱蓄熱体16Aの潜熱蓄熱材の融解温度と凝固温度をTaとし、加熱装置83からの熱より生成される湯の温度T2は融解温度Taより高いとする。冷凍サイクル回路34Cを運転し、温度検出器36Cが温度T3(例えば、70度)を検出するまで湯を生成した後に、加熱手段80で温度検出器86が温度T2(例えば、45度)を検出するまで湯を生成した場合の貯湯槽11の温度分布92は第三実施形態の図4(B)の温度分布91と同様である。この時に潜熱蓄熱体16Aの潜熱蓄熱材は全て融解されているとする。潜熱蓄熱材としては例えばパラフィン(C20H42、融解温度36度)を使用できる。
その後、熱交換器38A付近の水が給湯口12の少し下に来るまで湯を使用した場合、給湯口12から排出された湯と同量の温度T1の水が給水口13から流入し、その水は貯湯槽11を上昇する。上昇する水は潜熱蓄熱体16Aと熱交換してその温度は上昇する。その温度上昇は潜熱蓄熱体16Aの表面の固相が薄いほど大きいがその温度は凝固温度以上にならない。従って、その時の温度分布92Aは貯湯槽11の上部から温度T3、次に貯湯槽11の下部に存在していた水の温度T2、続いて給水口13から流入し潜熱蓄熱体16Aで加熱された水の温度(凝固温度Ta以下)、続いて給水口13から流入した水の温度T1である。
【0034】
次に、冷凍サイクル回路34Dを運転すると、冷凍サイクル回路34Dは熱交換器37Aから熱を採り、熱交換器38Aで放熱する。熱交換器37Aに接触する水は冷やされ、下降する。その下降する過程で潜熱蓄熱体16Aと熱交換して液相の潜熱蓄熱材を凝固させ、下降する水の温度は上昇する。その温度が周囲の水の温度と略等しいときに下降が停止する。下降した水と同量の水が上昇する。(但し、この時に給湯口12からの水の流出はないとする)つまり、熱交換器37Aと潜熱蓄熱体16Aとの間で水の対流が起き、凝固熱が潜熱蓄熱体16Aから熱交換器37Aに伝達される。
一方、熱交換器38Aで温められた水は上昇し、上方の水の温度が下方の水の温度より高くなるように水が移動する。温度検出器36Cが温度T3を検出した時に冷凍サイクル回路34Dを停止する。その時の貯湯槽11の水の温度分布は温度分布92Bのようになる。領域Cに対応する熱量は液相から固相に遷移した潜熱蓄熱材の凝固熱に略等しい。熱交換器38Aと37Aの間に温度差が大きい温度成層が形成されるので熱交換器38Aと37Aの距離はその温度差に応じて適切に設定されるのが好ましい。
【0035】
上述したように熱交換器37Aと潜熱蓄熱体16Aとの熱交換は水の対流で行なわれる。従って、熱交換器37Aと潜熱蓄熱体16Aの距離が長い場合熱交換量が減少するので、熱交換器37Bで採熱し熱交換器38Aで湯を生成する冷凍サイクル回路34Eを追加することにより熱交換器と潜熱蓄熱体16Aの距離を短くし熱交換量を増加できる。
冷凍サイクル回路34Dと34Eを使用して湯を生成する場合、所定の周期で(例えば数分毎)温度検出器36Dと36Eの検出した温度を取得し、取得した温度が所定の温度(例えば20度)以上で且つより高い温度を検出した温度検出器に対応する冷凍サイクル回路を選択する。これにより貯湯槽11内の潜熱蓄熱体16Aはより均一に凝固し、採熱量もより多くなる。
採熱用の熱交換器を複数配置することにより大量の潜熱蓄熱体16Aを使用した場合でも採熱用の熱交換器と潜熱蓄熱体16Aの距離を短くできるので熱交換量を増加でき、短時間に、効率良く湯を生成できる。更に、冷凍サイクル回路34Dと34Eは採熱にファンを使用しないので湯の生成の効率が高い。
従って、給湯装置130は補助熱源の熱を複数の採熱熱交換器で採熱し、採熱にファンを使用しないので湯の生成の効率が良く、且つ単位時間の湯の生成量が大きい。
【0036】
湯の生成の効率は湯の使用量や翌日に加熱装置83から供給される熱量や頻度等にも依存する。ほぼ毎日一日の湯を生成できる熱量を供給する補助熱源(例えば、燃料電池の排熱)を使用する場合、冷凍サイクル回路34Dと34Eは冷凍サイクル回路34Cより効率良く湯を生成する。更に、採熱用の熱交換器を多数配置することにより大量の潜熱蓄熱体を使用した場合でも採熱用の熱交換器と潜熱蓄熱体の距離を短くできるので熱交換量を増加でき、短時間に、効率良く湯を生成できる。
従って、給湯装置130は、補助熱源の熱を蓄えた大量の潜熱蓄熱体から効率良く且つ迅速に採熱して湯を生成できる。
【0037】
図16は本発明の給湯装置の第六実施形態である給湯装置130Aを示す。給湯装置130Aは、給湯装置130に減圧器32Aを追加した構成である。給湯装置130の冷凍サイクル回路34Dに相当する冷凍サイクル回路34Daは圧縮機31と熱交換器38Aと減圧器32Aと熱交換器37Aを順次接続して構成される。給湯装置130の冷凍サイクル回路34Eに相当する冷凍サイクル回路34Eaは圧縮機31と熱交換器38Aと減圧器32Aと熱交換器37Bを順次接続して構成される。
減圧器32Aが本発明の他の減圧器に相当する。
給湯熱交換器130Aの機能は給湯熱交換器130と同様であるので説明は省く。
【0038】
図6は、本発明の給湯装置の第七実施形態である給湯装置140を示す。給湯装置140はソーラパネル63で太陽熱を集熱し、その熱で貯湯槽11の水を加熱し、湯を生成するものである。給湯装置140は水で充填され、上部に給湯口12を有し、下部に給水口13を有する貯湯槽11と、貯湯槽11の底部付近に配置された熱交換器67と、熱交換器67の上部に配置された熱交換器69と、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体16Bと、ソーラパネル63と、ソーラパネル63と熱交換器67との間に熱媒体を循環させるための循環流路64Aと、ソーラパネル63と直列に接続された熱交換器67と69との間に熱媒体を循環させるための循環流路64Bを備える。更に、循環流路64Aと64Bの途中にバルブ65Aと65Bがそれぞれ配置され、バルブ65Aと65Bの開閉を制御していずれかの循環流路を選択する。
給湯装置140の熱交換器69は直列に接続された熱交換器69Aと69Bで構成されているが熱交換器69は一つの熱交換器で構成しても良いし、多数の熱交換器を接続したものでも良い。熱交換器69Aと69Bは熱交換器37と同様な渦巻き状が好ましい。温度検出器66Sはソーラパネル63の所定の位置の温度を検出する。熱交換器67が加熱する水の温度を検出する温度検出器66は熱交換器67の中心付近に配置されるのが好ましい。
本発明の加熱装置の一例は太陽熱で熱媒体を加熱するソーラパネル63であり、他の例は燃料電池の排熱で熱媒体を加熱する熱交換器である。
ソーラパネル63と熱交換器67と熱交換器69と循環流路64Aと循環流路64Bがそれぞれ本発明の加熱装置と第一熱交換器と第二熱交換器と第一循環流路と第二循環流路に相当する。
【0039】
次に、給湯装置140の動作の説明をする。給水口13から給水される水の温度をT1(例えば、20度)とし、潜熱蓄熱体16Bの潜熱蓄熱材の融解温度をTbとする。潜熱蓄熱体16Bの潜熱蓄熱材としては例えば酢酸ナトリウム三水和物(融解温度は58度)を使うことができる。
給湯装置140は、温度検出器66の検出温度が融解温度Tb未満で、ソーラパネル63の温度検出器66Sの検出温度が、温度検出器66の検出温度より所定の温度(例えば5度)以上高い場合循環流路64Aに熱媒体を循環させ、熱交換器67で貯湯槽11に太陽熱を蓄熱する。そして、温度検出器66の検出温度が融解温度Tb以上で、温度検出器66Sの検出温度が温度検出器66の検出温度より所定の温度(例えば5度)以上高い場合は循環流路64Bに熱媒体を循環させ、熱交換器67と69で貯湯槽11に太陽熱を蓄熱する。
つまり、給湯装置140は、貯湯槽11の底部の水の温度が潜熱蓄熱材の融解温度未満の時は、潜熱蓄熱材は融解しないので、貯湯槽11の底部の熱交換器67で水を加熱し、水の自然対流で貯湯槽11全体を温める。一方、貯湯槽11の底部の水の温度が潜熱蓄熱材の融解温度以上の時は、潜熱蓄熱材は融解するので、熱交換器67と69に熱媒体を流し、熱交換器と潜熱蓄熱材の距離を短くすることにより熱伝導を高くして潜熱蓄熱材を効率良く融解させる。大量の潜熱蓄熱体16Bを有する貯湯槽11は高さが高くなる。その場合、熱交換器69を異なる垂直位置に配置された多数の熱交換器を直列に接続して構成することにより、熱交換器と潜熱蓄熱材の距離を短くすることができ効率良く蓄熱できる。
ソーラパネル63で収集した太陽熱は熱交換器67と69を介して湯を生成すると共に潜熱蓄熱体16Bに蓄えられる。
【0040】
次に給湯装置140と異なり、熱交換器67と循環流路64Aのみを備えた給湯装置Aと、熱交換器67と69と循環流路64Bのみを備えた給湯装置Bについて説明する。
給湯装置Aは、熱交換器67と貯湯槽11の上部の潜熱蓄熱体16Bの距離が長いので、熱交換器67で加熱してその潜熱蓄熱体16Bを融解するためには時間がかかり、太陽熱のように日射時間が限られている場合、収集した太陽熱を有効に利用するのは困難である。
給湯装置Bは次のような問題が生じる。潜熱蓄熱体16Bの潜熱蓄熱材(例えば酢酸ナトリウム三水和物)の融解温度と凝固温度をTb(58度)とする。潜熱蓄熱体16Bを全て融解した後に貯湯槽11内の融解温度Tb以上の湯を全て使用したとする。その時の貯湯槽11の温度分布は模式的に図6(B)に示すように貯湯槽11の上部の水の温度は凝固温度Tbより少し低く、次第に温度が下がり、底部の水の温度はT1である。その後、日射により温度検出器66Sが、温度T1より所定の温度以上高く、融解温度以下の温度(例えば、30度)を検出し、ポンプ61が運転され、熱媒体が第二循環流路64Bを循環したとする。ソーラパネル63からの熱媒体は熱交換器69Bに流入すると熱媒体の温度は略30度で熱交換器69B付近の潜熱蓄熱体16Bの表面温度は凝固温度Tbより少し低い温度(例えば50度)であるので熱交換器69B付近の潜熱蓄熱体16Bを凝固させる。一方、熱媒体は熱交換器69B付近の潜熱蓄熱体16Bから熱を吸収しその温度は上昇する。その熱媒体は次に熱交換器69Aを通り、その周囲の潜熱蓄熱体16Bを凝固させ(熱交換器69A内の熱媒体の温度が熱交換器69Aの周囲の潜熱蓄熱体16Bの温度より低い場合)、熱媒体の温度は更に上昇する。その熱媒体は次に熱交換器67に流入し、周囲の水の温度を上昇させる。熱交換器67に入る前に加熱されるので熱交換器67から出る熱媒体の温度は、熱交換器67の前で加熱されない場合に比べて高くなる。従って熱媒体の一循環あたりの熱伝達量が少なり、効率が悪い。
【0041】
給湯装置140は循環流路64Aと循環流路64Bを備えているので、貯湯槽11の下部の水の温度に基づいてそのいずれかを使うようにできるので上に記した給湯装置Aと給湯装置Bの問題が無く、効率良く蓄熱できる。例えば、温度検出器66と66Sの検出温度がそれぞれ20度と30度である場合、給湯装置140は循環流路64Aに熱媒体を循環させて太陽熱を蓄熱し、温度検出器66と66Sの検出温度がそれぞれ58度と64度である場合は循環流路64Bに熱媒体を循環させて太陽熱を蓄熱する。
従って、本発明の給湯装置140は、補助熱源の熱を大量の潜熱蓄熱体に効率よく蓄え、その熱で大量の湯を生成できる。
【0042】
図7は、本発明の給湯装置の第八実施形態である給湯装置150を示す。給湯装置150は冷凍サイクル回路を利用して、外気の熱で貯湯槽11の水を加熱し、湯を生成するものである。給湯装置150は水で充填され、上部に給湯口12を有し、下部に給水口13を有する貯湯槽11と、貯湯槽11の底部付近に配置された熱交換器37と、熱交換器37の上部に配置された熱交換器39と、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体16Bを備える。給湯装置150は、更に、冷媒を圧縮する圧縮機31と冷媒と水とを熱交換させる熱交換器37と冷媒を減圧する減圧器32と、冷媒と外気とを熱交換させる熱交換器33を順次接続した構成の冷凍サイクル回路34Aと、圧縮機31と直列に接続された熱交換器37と39と減圧器32と熱交換器33を順次接続した構成の冷凍サイクル回路34Fを備える。冷凍サイクル回路34Aと34Fの途中に配置されたバルブ35Aと35Fの開閉を制御することによりいずれかの冷凍サイクル回路を選択する。
熱交換器39の構成と温度検出器36Aの配置位置は給湯装置140のものと同様であるのでそれらの説明は省く。潜熱蓄熱体16Bの潜熱蓄熱材としては例えば酢酸ナトリウム三水和物(融解温度は58度)を使うことができる。
冷媒と熱交換器33と熱交換器37と熱交換器39がそれぞれ本発明の熱媒体と加熱装置と第一熱交換器と第二熱交換器に相当する。冷凍サイクル回路34Aの冷媒が循環する流路が本発明の第一循環流路に相当し、冷凍サイクル回路34Fの冷媒が循環する流路が本発明の第二循環流路に相当する。
【0043】
次に、給湯装置150の動作の説明をする。深夜電力が適用される時刻に、温度検出器36Aの検出温度が融解温度未満の場合、冷凍サイクル回路34Aを運転し、熱交換器37で貯湯槽11の底部の水を加熱する。
一方、深夜電力が適用される時刻に、温度検出器36Aの検出温度が融解温度以上で、所定の設定温度(例えば70度)以下の場合、冷凍サイクル回路34Fを運転し、熱交換器37と39で貯湯槽11の水を加熱する。
給湯装置150は冷凍サイクル回路34Aと34Fを備えているので、貯湯槽11の下部の水の温度に基づいてそのいずれかを使うようにできるので上に記した給湯装置Aと給湯装置Bの問題が無く、効率良く蓄熱できる。
従って、本発明の給湯装置150は、冷凍サイクル回路を利用して、外気の熱を大量の潜熱蓄熱体に効率よく蓄え、その熱で大量の湯を生成できる。
【0044】
図8(A)は、本発明の給湯装置の第九実施形態である給湯装置160を示す。給湯装置160は一つの熱交換器で湯を大量に、迅速に生成するものである。給湯装置160は水で充填され、上部に給湯口12を有し、下部に給水口13を有する貯湯槽11と、貯湯槽11の内側に沿って流路17Aを形成するように配置された仕切部材14Dと、流路17Aに配置された熱交換器38Aを備える。給湯装置160は、更に、冷媒を圧縮する圧縮機31と冷媒と水とを熱交換させる熱交換器38Aと冷媒を減圧する減圧器32と、冷媒と外気とを熱交換させる熱交換器33を順次接続した構成の冷凍サイクル回路34Cを備える。給湯装置160は、更に、熱交換器38Aが加熱する水の温度を検出する温度検出器36Cと給湯口12から流出する湯の量を制御する湯量制御部22を備える。
仕切部材14Dはその斜視図を図8(B)に示すように、円筒状の形状であり、複数の流通孔23を有する。流通孔23の数量が多すぎ、サイズが大き過ぎると熱交換器38Aで生成され、流路17Aを上昇する水の温度は、多数の流通孔23を介して冷たい水と混合し、冷やされるので、高温の湯の生成に時間がかかる。また、流通孔23の数量が少なすぎ、サイズが小さ過ぎると貯湯槽11の温度成層が熱交換器38Aに近い(湯量が多い)場合、熱交換器38Aと温度成層の間の水の対流の流量は流通孔23で抑制されるので少ない。仕切部材14Dの上部と下部を回る対流の流量は対流の経路が長いので少ない。従って、湯の生成の量が少なく、湯の生成に時間がかかる。流通孔23の数量とサイズを適切に設定することにより、湯を大量に、迅速に生成できる。温度検出器36Fは貯湯槽11内の湯量が少ないことを検出するために所定の位置に配置されている。
熱交換器38Aが本発明の加熱器に相当する。
【0045】
次に、給湯装置160の動作を説明する。深夜電力が適用される時刻に貯湯槽11内の湯量が半分ほどであり、図8(A)に示すように温度成層が貯湯槽11内の中ほどに形成されているとする。冷凍サイクル回路34Cが運転されると外気の熱が熱交換器33で採られ、熱交換器38Aで流路17Aの水が加熱され、加熱された水は流路17Aを上昇する。温度成層の上層部の水の温度は流路17Aを上昇する水の温度と略等しいので、流路17Aを上昇する水は温度成層の下で流通孔23を通り、貯湯槽11の中央部に流れる。温度成層より下の貯湯槽11の中央部の水の温度は流路17Aを上昇する水の温度より低いので下降する。つまり、図8(A)の矢印で示すような対流が生じ、湯が生成されるに従って温度成層が下降する。そして温度検出器36Cが所定の温度(例えば70度)を検出した時に冷凍サイクル回路34Cを停止する。
定期的に湯を生成する場合、大量の湯を使用すると湯切れを起こす場合がある。この湯切れを防止するために、温度検出器36Fを貯湯槽11の上部の所定の位置に配置し、温度検出器36Fが所定の温度(例えば50度)を検出した時に冷凍サイクル回路34Cを運転し、熱交換器38Aで湯の生成を開始する。温度検出器36Fが所定の温度を検出した時から熱交換器38Aで生成された湯が給湯口12に到達するまでの時間を立上げ時間とする。温度検出器36Fの位置を、温度検出器36Fの上の湯量が立上げ時間に使用する湯量より多くなるように設定することにより湯切れを抑制できる。更に、湯量制御部22で単位時間に使用可能な湯量を冷凍サイクル回路34Cが単位時間に生成する湯量以下にすることにより湯切れを防止できる。
従って、給湯装置160は、一つの加熱器で湯を大量に、迅速に生成できると共に湯切れを防止できる。
【0046】
図9は、本発明の冷房給湯装置の第一実施形態である冷房給湯装置200を示す。冷房給湯装置200は水で充填され、上部に給湯口12を有し、下部に給水口13を有する貯湯槽11と、貯湯槽11の底部付近に配置された熱交換器38Aと、貯湯槽11との間に水が給湯口12に流れる流路17Aを形成するように配置された仕切部材14Dと、流路17Aに配置された熱交換器38Aを備えている。更に、冷房給湯装置200は、冷媒を圧縮する圧縮機31と冷媒と水とを熱交換させる熱交換器38Aと冷媒を減圧する減圧器32と、冷媒と外気とを熱交換させる熱交換器33を順次接続して構成される冷凍サイクル回路54Aと、圧縮機31と冷媒と水とを熱交換させる熱交換器38Aと減圧器32と冷媒と建物内の空気とを熱交換させる熱交換器53を順次接続して構成される冷凍サイクル回路54Bとを備え、更に、熱交換器38Aで加熱する水の温度を検出する温度検出器56Aと、温度検出器56Aの上方の所定の位置に配置された温度検出器56Bと56Cを備える。
【0047】
温度検出器56Aを配置する位置は熱交換器38Aが加熱する水の温度を検出するために熱交換器38Aと略同じ垂直位置に配置される。温度検出器56Bは、温度検出器56Aより上方で、温度検出器56Bと給湯口12の間の湯量が例えば一日に使う湯量の平均値より多くなる位置に配置される。温度検出器56Cは湯の残量が少ないことを検出する位置に配置される。冷凍サイクル回路54Aの途中に配置されたバルブ55Bと冷凍サイクル回路54Bの途中に配置されたバルブ55Aの開閉を制御することにより、いずれかの冷凍サイクル回路を選択できる。なお、仕切部材14Dは熱交換器38Aで湯を迅速に生成するものであり、仕切部材14Dが無い場合、湯の残量が少ない時に湯を迅速に生成できない。
更に、排水口19が熱交換器38Aと温度検出器56Bの間の貯湯槽11に配置され、排水管21が排水口19に接続され、排水口19からの排水を制御する排水制御部18が排水管21の途中に配置されている。排湯を制御する排水制御部18Aは給湯口12に接続された排湯管の途中に配置されている。
熱交換器38Aと熱交換器33と熱交換器53と冷凍サイクル回路54Aと冷凍サイクル回路54Bと温度検出器56Bがそれぞれ本発明の給湯熱交換器と外気熱交換器と建物熱交換器と第一冷凍サイクル回路と第一冷房冷凍サイクル回路と給湯温度検出器に相当する。
【0048】
建物内の空気の温度が冷房設定温度以上の場合、冷凍サイクル回路54Bが運転される。冷凍サイクル回路54Bが運転されると熱交換器53を介して建物内の空気から採熱され、建物内の空気が冷やされる。採熱された熱(冷房の排熱)は熱交換器38Aを介して貯湯槽11の水に放出される。
深夜電力が適用される時刻に温度検出器56Bの検出温度が所定の第一温度(例えば50度)未満の場合、冷凍サイクル回路54Aが運転され、熱交換器38Aで温度検出器56Bが所定の第二温度(例えば70度)以上になるまで湯を生成する。深夜電力が適用される時刻に冷房の排熱で加熱された水が温度検出器56Bより上方に存在する場合、湯の生成に必要なエネルギーを削減できる。湯の生成の直後に温度検出器56Bの下に温度成層が形成される。温度検出器56Bは温度検出器56Aより上方にあるので熱交換器38Aと温度検出器56Bの間の水の温度は給水口13からの水の温度付近であり、その水に冷房の排熱を蓄えることができる。
従って、冷房給湯装置200は冷房の排熱を湯の生成に利用でき、且つ湯の生成直後においても冷房の排熱を蓄えることができ、特許文献3の課題を解決する。
【0049】
次に、冷凍サイクル回路54Bが運転され、温度検出器56Aの検出温度が所定の排湯上限温度以上になった場合、冷房の排熱を外気に放熱せず排水または排湯で対処する方法を説明する。
(1)排湯上限温度(例えば40度)を湯の温度(例えば70度)より低く設定
温度検出器56Aの検出温度が排湯上限温度以上になった場合、冷房給湯装置200は、排水制御部18を開けて排水する。給水口13から水が流入され、熱交換器38A付近の温度が下がり、冷房の排熱を蓄熱できる。熱交換器38Aで生成した湯は、温度検出器56Bより上方にあるので、排水口19から排出されない。従って、排湯上限温度が湯の温度より低く設定された場合に湯の無駄をしない。また、熱交換器38Aに流れる冷媒の温度が比較的低いので冷房の効率が良い。
(2)排湯上限温度を湯の温度(例えば70度)と等しく設定
温度検出器56Aの検出温度が排湯上限温度以上になった場合、冷房給湯装置200は、排水制御部18Aを開けて排湯する。給水口13から水が流入され、熱交換器38A付近の温度が下がり、冷房の排熱を蓄熱できる。熱交換器38A付近の温度が高温になるので冷房の効率は下がるが湯を生成するので、湯の生成の効率は(1)の方法よりも高い。
次に、冷房給湯装置200が弱冷房運転時に、最大能力で湯を生成(例えば、湯の残量が少ないことを検出した場合)する方法を説明する。バルブ55Aと55Bの代わりに分流弁を用いて減圧器32に流れる冷媒を熱交換器33と熱交換器53に分ける。そして熱交換器53に流れる熱媒体の流量を弱冷房運転に適した流量に設定し、冷凍サイクル回路54Aと54Bを共に運転する。冷房の排熱量は少なくなるが、熱媒体は熱交換器33にも流れ、熱交換器33からも採熱するので湯の生成の能力は低くならない。つまり、弱冷房運転時にも最大能力で湯を生成できる。
【0050】
冷房給湯装置200は、外気から採熱し湯を生成する従来の給湯装置と外気に放熱する従来の冷房装置に比べて、冷房の排熱を湯の生成に利用するので湯の生成の消費電力を削減でき、且つ外気に放熱するためにファンを運転しないので、冷房の消費電力はファンの消費電力分少なくなる。
従って、冷房給湯装置200は、冷房の効率を向上でき、湯の生成のためのエネルギーを削減できる。
【0051】
図17は本発明の冷房給湯装置の第二実施形態である冷房給湯装置200Aを示す。冷房給湯装置200Aは、冷房給湯装置200に減圧器32Aを追加した構成である。冷房給湯装置200の冷凍サイクル回路54Bに相当する冷凍サイクル回路54Baは圧縮機31と熱交換器38Aと減圧器32Aと熱交換器53を順次接続して構成される。
減圧器32Aが本発明の他の減圧器に相当する。
冷房給湯装置200Aの機能は冷房給湯装置200と同様であるので説明は省く。
【0052】
図10は、本発明の冷房給湯装置の第三実施形態である冷房給湯装置210を示す。冷房給湯装置210は水で充填され、上部に給湯口12を有し、下部に給水口13を有する貯湯槽11と、貯湯槽11の底部付近に配置された熱交換器57と、貯湯槽11との間に水が給湯口12に流れる流路17Aを形成するように配置された仕切部材14Dと、流路17Aに配置された熱交換器38Bを備えている。
更に、冷房給湯装置210は、冷媒を圧縮する圧縮機31と冷媒と水とを熱交換させる熱交換器38Bと冷媒を減圧する減圧器32と、冷媒と外気とを熱交換させる熱交換器33を順次接続して構成される冷凍サイクル回路54Cと、圧縮機31と冷媒と水とを熱交換させる熱交換器57と減圧器32と冷媒と建物内の空気とを熱交換させる熱交換器53を順次接続して構成される冷凍サイクル回路54Dとを備え、更に、熱交換器57と38Bで加熱する水の温度を検出する温度検出器56Aと56Bを備える。
【0053】
冷凍サイクル回路54Cの途中に配置されたバルブ35Bと55Bと冷凍サイクル回路54Dの途中に配置された55Aと55Cの開閉を制御することにより、いずれかの冷凍サイクル回路を選択できる。熱交換器38Bを流路17Aに配置することにより湯を迅速に生成できる。熱交換器38Bは、熱交換器38Bより上の貯湯槽11の湯量が例えば一日に使う湯量の平均値より多くなる位置に配置される。
更に、排水口19が熱交換器38Bと熱交換器57の間の貯湯槽11に配置され、排水管21が排水口19に接続され、排水制御部18が排水管21の途中に配置されている。排湯を制御する排水制御部18Aは給湯口12に接続された排湯管の途中に配置されている。
温度検出器56Aを配置する位置は熱交換器57が加熱する水の温度を検出するために熱交換器57と略同じ垂直位置に配置される。温度検出器56Bは熱交換器38Bと略同じ垂直位置に配置される。なお、仕切部材14Dは熱交換器38Bで湯を迅速に生成するものであり、仕切部材14Dが無い場合、湯の残量が少ない時に湯を迅速に生成できない。
熱交換器38Bと熱交換器57と熱交換器33と熱交換器53と冷凍サイクル回路54Cと冷凍サイクル回路54Dがそれぞれ本発明の給湯熱交換器と第一排熱熱交換器と外気熱交換器と建物熱交換器と第一冷凍サイクル回路と第二冷房冷凍サイクル回路に相当する。
【0054】
建物内の空気の温度が冷房設定温度以上の場合、冷凍サイクル回路54Dが運転される。冷凍サイクル回路54Dが運転されると熱交換器53を介して建物内の空気から採熱され、建物内の空気が冷やされる。採熱された熱(冷房の排熱)は熱交換器57を介して貯湯槽11の水に放出される。
深夜電力が適用される時刻に温度検出器56Bの検出温度が所定の第一温度(例えば50度)未満の場合、冷凍サイクル回路54Cが運転され、熱交換器38Bの上方に湯を生成する。その時に冷房の排熱で加熱された水が熱交換器38Bより上方に存在する場合、湯の生成に必要なエネルギーを削減できる。湯の生成直後に熱交換器38Bの下に温度成層が形成される。熱交換器38Bは熱交換器57より上方にあるので熱交換器57と熱交換器38Bの間の水の温度は給水口13からの水の温度付近であり、その水に冷房の排熱を蓄えることができる。
従って、冷房給湯装置210は冷房の排熱を湯の生成に利用でき、且つ湯の生成直後においても冷房の排熱を蓄えることができ、特許文献3の課題を解決する。
温度検出器56Aの温度が所定の排湯上限温度以上になった場合の冷房の排熱の対処方法は冷房給湯装置200と同様である。
次に、冷房給湯装置210が弱冷房運転時に、最大能力で湯を生成(例えば、湯の残量が少ないことを検出した場合)する方法を説明する。バルブ55Aと55Bの代わりに分流弁を用いて減圧器32に流れる冷媒を熱交換器33と熱交換器53に分ける。バルブ35Bを開け、バルブ55Cを閉じる。そして熱交換器53に流れる熱媒体の流量を弱冷房運転に適した流量に設定し、冷凍サイクル回路54Cと54Dを共に運転する。冷房の排熱量は少なくなるが、熱媒体は熱交換器33にも流れ、熱交換器33からも採熱するので湯の生成の能力は低くならない。つまり、弱冷房運転時にも最大能力で湯を生成できる。
冷房給湯装置210は、外気から採熱し湯を生成する従来の給湯装置と外気に放熱する従来の冷房装置に比べて、冷房の排熱を湯の生成に利用するので湯の生成の消費電力を削減でき、且つ外気に放熱するためにファンを運転しないので、冷房の消費電力はファンの消費電力分少なくなる。
従って、冷房給湯装置210は、冷房の効率を向上でき、湯の生成のためのエネルギーを削減できる。
【0055】
図18は本発明の冷房給湯装置の第四実施形態である冷房給湯装置210Aを示す。冷房給湯装置210Aは、圧縮機31と熱交換器38Bと減圧器32と熱交換器33を順次接続して構成される冷凍サイクル回路54Cと、圧縮機31Aと熱交換器57と減圧器32Aと熱交換器53を順次接続して構成される冷凍サイクル回路54Daを有する。冷房給湯装置210Aの冷凍サイクル回路54Cと冷凍サイクル回路54Daはそれぞれ冷房給湯装置210の冷凍サイクル回路54Cと冷凍サイクル回路54Dに相当する。
圧縮機31Aと減圧器32Aがそれぞれ本発明の他の圧縮機と他の減圧器に相当する。
冷房給湯装置210Aは機能的に冷房給湯装置210と同様である。但し、弱冷房運転時に、最大能力で湯を生成する方法は異なる。冷房給湯装置210Aにおいて冷凍サイクル回路54Cと冷凍サイクル回路54Daは独立に運転可能であるので、冷凍サイクル回路54Daを弱冷房運転し冷凍サイクル回路54Cを最大能力で運転することにより、最大能力で湯を生成できる。
【0056】
図11は、本発明の冷房給湯装置の第五実施形態である冷房給湯装置220を示す。冷房給湯装置220は冷房給湯装置210の熱交換器57と38Bの間に潜熱蓄熱体16Cを配置し、更に熱交換器59(熱交換器59Aと59Bが直列に接続されたもの)とバルブ55Dの追加により冷凍サイクル回路54Eを新たに構成し、潜熱蓄熱体16Cを移動させないための仕切部材14Eを追加したものである。冷凍サイクル回路54Eは圧縮機31と、直列に接続した熱交換器57と熱交換器59と、減圧器32と冷媒と建物内の空気とを熱交換させる熱交換器53を順次接続して構成される。潜熱蓄熱体16Cの追加により冷房の排熱の蓄熱容量を大きくし、冷凍サイクル回路54Eの追加により大量の潜熱蓄熱体16Cが配置された場合にも、潜熱蓄熱体16Cの略全てを有効に利用できる。
熱交換器38Bと熱交換器57と熱交換器59と熱交換器33と熱交換器53と冷凍サイクル回路54Cと冷凍サイクル回路54Dと冷凍サイクル回路54Eがそれぞれ本発明の給湯熱交換器と第一排熱熱交換器と第二排熱熱交換器と外気熱交換器と建物熱交換器と第一冷凍サイクル回路と第二冷房冷凍サイクル回路と第三冷房冷凍サイクル回路に相当する。
【0057】
建物内の空気の温度が冷房設定温度以上で、温度検出器56Aの検出温度が潜熱蓄熱体16Cの潜熱蓄熱材の融解温度以下の場合は、冷凍サイクル回路54Dが運転され、熱交換器53を介して建物内の空気から採熱され、建物内の空気が冷やされる。採熱された熱(冷房の排熱)は熱交換器57を介して貯湯槽11の底部の水に放熱され、貯湯槽11の水と潜熱蓄熱体16Cの温度を上昇させる。熱交換器57内の冷媒の温度は温度検出器56Aの温度より少し高い温度であり、外気に放熱するためのファンを使用しないので冷房効率は良い。
一方、建物内の空気の温度が冷房設定温度以上で、温度検出器56Aの検出温度が潜熱蓄熱体16Cの潜熱蓄熱材の融解温度以上の場合は、冷凍サイクル回路54Eが運転され、冷房の排熱は熱交換器57と59を介して放熱され、潜熱蓄熱体16Cの固相の潜熱蓄熱材を融解する。熱交換器57及び59と潜熱蓄熱体16Cとの間の熱伝達は水の対流により行なわれる。熱交換器57及び59を介して熱伝達が行なわれるので水の対流の経路の距離が短くすることができ、熱伝導性を向上できる。
温度検出器56Aの温度が所定の排湯上限温度以上になった場合の冷房の排熱の対処方法と弱冷房運転時に、最大能力で湯を生成する方法は冷房給湯装置210と同様である。
【0058】
従って、冷媒と潜熱蓄熱体16C間の熱伝導性を高くでき、冷媒を比較的低い温度に保つことができ、外気に放熱するためのファンを使用しないので冷房効率は良い。
蓄えられた冷房の排熱は湯の生成に使われるので蓄えられた冷房の排熱の量が大きいほど湯の生成の効率が向上する。潜熱蓄熱体16Cを使うことにより、単位体積の蓄熱容量を大きくできるので貯湯槽11を小型にできる。但し、潜熱による蓄熱容量の増大の効果は給水口13に供給される水の温度と融解温度の温度差に依存するので融解温度が40度近傍の潜熱蓄熱材を使うのが好ましい。例えば潜熱蓄熱体16Cの潜熱蓄熱材としてパラフィン(C20H42、融解温度36度)を使うことができる。
従って、冷房給湯装置220は、大量の潜熱蓄熱体を利用し、冷房の効率を大幅に向上でき、湯の生成のためのエネルギーを大幅に削減できる。
特許文献4の装置は二つの槽を使用しているが冷房給湯装置220は一つの槽を使用し、構造が簡単で安価に構築できる。更に、特許文献4の装置は湯の温度調整を高温タンクと低温タンクと水道水を混合するが冷房給湯装置220は給湯口12からの湯と給水口13に供給される水を混合するだけであるので構造が簡単で安価に構築できる。
【0059】
図19は本発明の冷房給湯装置の第六実施形態である冷房給湯装置220Aを示す。冷房給湯装置220Aは、圧縮機31と熱交換器38Bと減圧器32と熱交換器33を順次接続して構成される冷凍サイクル回路54Cと、圧縮機31Aと熱交換器57と減圧器32Aと熱交換器53を順次接続して構成される冷凍サイクル回路54Daと、圧縮機31Aと、直列に接続した熱交換器57と熱交換器59と、減圧器32Aと熱交換器53を順次接続して構成される冷凍サイクル回路54Eaを有する。冷房給湯装置220Aの冷凍サイクル回路54Cと冷凍サイクル回路54Daと冷凍サイクル回路54Eaはそれぞれ冷房給湯装置220の冷凍サイクル回路54Cと冷凍サイクル回路54Dと冷凍サイクル回路54Eに相当する。
圧縮機31Aと減圧器32Aがそれぞれ本発明の他の圧縮機と他の減圧器に相当する。
冷房給湯装置220Aの機能は冷房給湯装置220と同様であるので説明は省く。
【0060】
図12は、本発明の暖房給湯装置の一実施形態である暖房給湯装置300を示す。暖房給湯装置300は、補助熱源の熱を利用して暖房する暖房給湯装置であり、水で充填され、上部に給湯口12を有し、下部に給水口13を有する貯湯槽11と、貯湯槽11の異なる垂直方向の位置に配置された熱交換器77Aと77Bと77Cと、熱交換器77Aと77Bと77Cの間に複数の潜熱蓄熱体16Dを備える。更に、暖房給湯装置300は、部屋を暖房する放熱器73を有し、放熱器73と熱交換器77Aと77Bと77Cの各々との間に熱媒体を循環させるための循環流路74Aと74Bと74Cと、循環流路74Aと74Bと74Cの途中に熱媒体の流れを制御するバルブ75Aと75Bと75Cと、熱交換器77Aと77Bと77Cが採熱する水の温度を検出する温度検出器76Aと76Bと76Cを備える。放熱器73はファンコイルやラジエータのように空気に放熱する装置でも良いし、床暖房のように床に放熱する装置でも良い。
加熱手段80Aは、給水口13と給湯口12を結ぶ循環流路84Aと、循環流路84Aの途中に配置されたポンプ81Aと熱媒体と水を熱交換させる熱交換器89と、熱媒体を加熱する加熱装置83Aと、熱交換器89と加熱装置83Aの間に熱媒体を循環させるための循環流路84Bで構成されている。給水口13から取り出された貯湯槽11内の水は熱交換器89を介して加熱装置83Aの熱で加熱されて再び貯湯槽11に戻される。加熱装置83Aは循環流路84Bに熱媒体を循環させるポンプを備える。加熱装置83Aは例えば、収集した太陽熱で熱媒体を加熱するソーラパネルであり、燃料電池の排熱で熱媒体を加熱する熱交換器である。太陽熱や燃料電池の排熱が補助熱源である。
本発明の加熱手段は、貯湯槽11内の水と潜熱蓄熱体16Dを加熱するものであり、その構成は問わない。本発明の加熱手段は、図5に示す加熱手段80のように加熱装置と貯湯槽内の熱交換器の間に熱媒体を循環させて、加熱装置の熱を水と潜熱蓄熱体に伝達してもよい。また、本発明の加熱手段は、図6に示すように貯湯槽内の所定の位置に配置された第一熱交換器と、その上部に配置された第二熱交換器と、加熱装置と第一熱交換器との間に熱媒体を循環させるための第一循環流路と、加熱装置と直列に接続された第一熱交換器と第二熱交換器との間に熱媒体を循環させるための第二循環流路を有した構成にして加熱装置の熱で水と潜熱蓄熱体を加熱しても良い。
熱交換器77Aと77Bと77Cが本発明の複数の熱交換器に相当し、循環流路74Aと74Bと74Cが本発明の複数の循環流路に相当する。
【0061】
暖房給湯装置300は加熱手段80Aで貯湯槽11内の水と潜熱蓄熱体16Dを加熱し、その熱で湯を生成すると共に建物の暖房を行なう。潜熱蓄熱体16Dの潜熱蓄熱材は生成される湯の温度(例えば70度)より低い融解温度を有する潜熱蓄熱材(例えば酢酸ナトリウム三水和物、融解温度は58度)を使うとする。
加熱装置83Aで加熱された熱媒体の温度が所定の温度(例えば、75度)以上になった場合、ポンプ81Aを運転する。ポンプ81Aが運転されると貯湯槽11内の底部付近の水は給水口13から循環流路84Aを流れ、熱交換器89で熱媒体の温度より少し低い温度(例えば、70度)にまで加熱され、給湯口12から貯湯槽11に戻る。この水の循環により、貯湯槽11の下部の冷たい水が減り、貯湯槽11の上部の湯が増加する。固相を含む潜熱蓄熱体16Dの潜熱蓄熱材は湯で融解され、湯は冷され下降する。この水の循環を続けることにより全ての潜熱蓄熱体16Dの潜熱蓄熱材を液相にできる。
湯が使われると、給水口13から冷たい水が入り、その水は潜熱蓄熱体16Dの間隙を上昇し、その上昇の過程で潜熱蓄熱体16Dと熱交換し、潜熱蓄熱体16Dの潜熱蓄熱材の一部が液相である場合、接触した水は凝固熱で温度が上昇し、潜熱蓄熱体16Dの潜熱蓄熱材の液相の一部は凝固する。つまり、加熱手段80Aで融解された潜熱蓄熱体16Dは凝固熱で湯を生成する。
【0062】
暖房給湯装置300の暖房の動作を、貯湯槽11内の水の温度分布を模式的に示す図13を参照して説明する。グラフの縦軸は貯湯槽11の垂直の位置であり、横軸は水の温度である。水平面の水の温度は水平位置により異なり、特に熱交換器77Aと77Bと77Cと87の管付近の温度変化は大きい。ここでは、横軸で示す水の温度は垂直位置に対応する水平面の水の温度の平均値とする。温度検出器76Aと76Bと76Cはそれぞれ熱交換器77Aと77Bと77Cの水平面の水の平均温度を示す位置に配置されるのが好ましい。その位置は熱交換器の渦巻の中心と管との間にある。
加熱手段80Aが温度T4(例えば70度)の湯を生成し、潜熱蓄熱体16Dを全て融解したとする。その後、湯を使用すると、使用した湯の量だけ給水口13から水(温度T1、例えば20度)が流入する。流入した水は潜熱蓄熱体16Dの間隙を上昇し、上昇の過程で潜熱蓄熱体16Dを冷し凝固させる。一方、上昇する水は凝固熱を吸収しその水の温度は上がる。湯を使用して温度T4の湯の下端が熱交換器77Aと77Bの間になった場合の水の温度分布の一例を温度分布94に示す。図13(A)に示すように、潜熱蓄熱体16Dは水の温度により、全て液相の層と液相と固相が混在する層と全てが固相の層で構成されている。
【0063】
建物内の空気の温度が暖房設定温度以下の場合、所定の周期(周期の時間をPとする)で温度検出器76Aと76Bと76Cの検出温度が取得され、取得された検出温度が所定の下限温度Ts(例えば45度)以上で且つ垂直位置が最下位の温度検出器に対応する熱交換器を含む循環流路が選択され、ポンプ71が運転され、熱媒体が循環される。
初期の温度分布を温度分布94とすると温度検出器76Aと76Bが下限温度Tsより高く、温度検出器76Bが温度検出器76Aより下であるので循環流路74Bに熱媒体が循環される。循環流路74Bに熱媒体が循環されると熱交換器77Bから熱が採られ、放熱器73で熱が放熱される。熱交換器77Bから熱が採られると、熱交換器77Bに接触する水の温度は下がり、温度が下がった水は下降し、接触した潜熱蓄熱体16Dの温度を下げ、その水の温度は上昇する。従って、熱交換器77Bの近傍の水の温度分布は下方ほど高く、初期から時間P経過後の水の温度分布は温度分布94Aで示すようになる。
初期から時間P経過後の温度分布94Aでは温度検出器76Aだけが下限温度Ts以上であるので循環流路74Aに熱媒体が循環され、熱交換器77Aから熱が採られ、熱交換器77A付近の水の温度が下がる。一方、熱交換器77B付近の水の温度は潜熱蓄熱体16Dとの熱交換と水の対流により上昇する。初期から時間2P経過後の水の温度分布は温度分布94Bで示すようになる。
初期から時間2P経過後の温度分布94Bでは温度検出器76Bだけが下限温度Ts以上であるので循環流路74Bに熱媒体が循環され、熱交換器77Bから熱が採られ、熱交換器77B付近の水の温度が下がる。初期から時間3P経過後の水の温度分布は図13(B)に示す温度分布94Cで示すようになる。
同様に、初期から時間4P経過後の水の温度分布は温度分布94Dで示すようになる。
熱交換器が複数あるので貯湯槽11に大量の潜熱蓄熱体がある場合においても潜熱蓄熱体16Dと熱交換器の距離を短くでき、単位時間の採熱量を大きくできる。
従って、暖房給湯装置300は、大量の潜熱蓄熱体を利用し、大量の湯を生成できると共に高出力の暖房機能を提供する。
【0064】
図14は複合装置400を示す。複合装置400は、深夜電力を使用して湯を生成する給湯装置100と貯湯槽に蓄えられた補助熱源の熱を利用して湯を生成する給湯装置130と太陽熱を利用して湯を生成する給湯装置140と冷房の排熱を利用して湯を生成する冷房給湯装置220と補助熱源の熱を利用して暖房する暖房給湯装置300を機能的に統合したものであり、深夜電力と太陽熱と冷房の排熱を効率よく給湯に利用すると共に太陽熱を暖房に利用する複合装置である。
給湯装置100と130と140と冷房給湯装置220と暖房給湯装置300の構成と動作は既に説明した。但し、給湯装置140において熱交換器69は直列に接続した熱交換器69Aと69Bで構成されているが、複合装置400において熱交換器69は熱交換器69Bのみで構成されている。また熱交換器37と給湯口12の間の潜熱蓄熱体は潜熱蓄熱体16であり、熱交換器37と給水口13の間の潜熱蓄熱体は潜熱蓄熱体16Eである。
【0065】
複合装置400は給湯装置100と130と140と冷房給湯装置220と暖房給湯装置300を機能的に統合したものであるので次のような効果が得られる可能性がある。
(1)深夜電力を利用して安価に湯を生成できると共に必要な場合には迅速に湯を生成できる。
(2)太陽熱を短時間に大量に、効率よく蓄えられる。
(3)給湯の消費電力を削減すると共に冷房の効率が高い。
(4)大容量の潜熱を効率良く、且つ短時間に大量に採熱でき、暖房の能力を大きくできる。
(5)貯湯槽を小型にできる。
複合装置400が上記の効果を得るためには重複部品を同一にし、重複期間は切替える必要がある。給湯装置130と140と冷房給湯装置220と暖房給湯装置300に使用されている潜熱蓄熱体16Aと16Bと16Cと16Dはそれぞれの装置が最良の特性(熱効率や熱容量等)を持つように選択される。ところが複合装置400は一種類の潜熱蓄熱体(潜熱蓄熱体16E)を使用しているので複合装置400が最良の特性を示すように潜熱蓄熱体を選択する必要がある。また、給湯装置140の太陽熱の利用時期と冷房給湯装置220の冷房の排熱の利用時期は重複するのでいずれかを切替える必要がある。
【0066】
(1)潜熱蓄熱体16と16Eの潜熱蓄熱材
潜熱蓄熱体16は湯を供給するためのものであるので供給する湯の最低温度(例えば、50度)より高い凝固温度を有する潜熱蓄熱材を使用するのが好ましい。潜熱蓄熱材としては例えば酢酸ナトリウム三水和物(融解温度は58度)を使うことができる。
潜熱蓄熱体16Eの凝固温度と融解温度は太陽熱の集熱量が多く、且つ冷房の効率が高くなる温度が好ましい。湯は冬季に多く使用するので、潜熱蓄熱材の融解温度は太陽熱を冬季に多く収集でき、できるだけ高い温度が好ましい。また、熱交換器57を通る冷媒の温度が低いほど冷房の効率は高いので潜熱蓄熱材の融解温度は比較的低い温度が好ましい。例えば潜熱蓄熱材としてパラフィン(C20H42、融解温度は36度)を使用できる。なお、好ましい融解温度は冬季の気温やソーラパネル63の集熱能力等に依存する。
【0067】
潜熱蓄熱体16と16Eにそれぞれ酢酸ナトリウム三水和物とパラフィンを使用した場合の複合装置400の動作を説明する。冬季に、潜熱蓄熱体16Eは太陽熱により融解され、40度になるとする。潜熱蓄熱体16Eに蓄えられた熱は湯の生成と暖房に使われる。大量の湯が使われると給水口13からの水(20度とする)で凝固され、略20度にまで下がる。この場合、潜熱蓄熱体16Eの温度サイクルは略20度であるので潜熱蓄熱体16Eの熱容量は水の熱容量より遥かに大きい。
深夜に冷凍サイクル回路34Aが運転され、潜熱蓄熱体16は融解され、70度になるとする。湯が使われると給水口13からの水は潜熱蓄熱体16Eで略30度にまで温められ上昇し、潜熱蓄熱体16を略35度に冷やす。この場合、潜熱蓄熱体16の温度サイクルは略35度であるので潜熱蓄熱体16の熱容量は水の熱容量より遥かに大きい。
潜熱蓄熱体16Eで温められる水の温度と潜熱蓄熱体16が冷やされる温度は使われる湯の量や潜熱蓄熱体16Eの直径や貯湯槽11の直径や熱交換器の位置等により大きく異なる。ここでは使われる湯の量に対して潜熱蓄熱体16Eの直径が充分小さく、貯湯槽11の直径が充分大きいとした。
従って、潜熱蓄熱体16と16Eは共に温度差の比較的小さい温度サイクルで動作し、水より遥かに大きい熱容量で動作するので、貯湯槽11を小型にできる。
【0068】
(2)太陽熱と冷房の排熱の利用時期の切替え
冷房の排熱利用は冷房の消費電力(外気に放熱するためのファンの電力)を削減するが太陽熱の収集時にポンプが電力を消費するので冷房の排熱の利用の方が熱効率が良い。従って、冷房の排熱を優先して利用するのが好ましい。次に、太陽熱と冷房の排熱の利用時期の切替えの一例を示す。
冷房を使用する可能性の高い時期(例えば6月〜9月)において、朝11時まで太陽熱を収集しない。そして朝11時に冷房が運転されている場合、または蓄熱可能な熱量が小さい場合、太陽熱を収集しない。蓄熱可能な熱量が大きく、朝11時に冷房が運転されていない場合は太陽熱の収集を開始し、その後冷房が運転された場合は直ちに太陽熱の収集を停止する。ここで、蓄熱可能な熱量とは冷房の排熱を蓄えることができる熱量であり、最大蓄熱量から現在の蓄熱量を減算した熱量である。最大蓄熱量は貯湯槽11に冷房の排熱を蓄えることができる最大の熱量である。現在の蓄熱量は貯湯槽11内の温度分布から算出される。貯湯槽11の温度分布は湯の使用中か否かにより変わるがその誤差は小さいとする。
従って、潜熱蓄熱体16と16Eの潜熱蓄熱材に適切な材料を選択し、太陽熱と冷房の排熱の利用時期の切替えを適切に行なうことにより、複合装置400は深夜電力と太陽熱と冷房の排熱を効率よく湯の生成に利用でき、深夜電力と太陽熱を効率よく湯の生成と暖房に利用でき、且つ貯湯槽11を小型にできる。
【0069】
以上、実施形態の例について詳細に説明したが、それらは本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0070】
11 貯湯槽、12 給湯口、13 給水口、14 仕切部材、15 分散部材、16 潜熱蓄熱体、17 流路、18 排水制御部、19 排水口
21 排水管 22 湯量制御部 23 流通孔
31 圧縮機、32 減圧器、33 熱交換器、34 冷凍サイクル回路、35 バルブ、36 温度検出器、37 38 熱交換器
43 電流供給源、44 送電回路、 45 スイッチ、47 48 電気ヒータ
53 熱交換器、54 冷凍サイクル回路、55 バルブ、56 温度検出器、57 熱交換器
61 ポンプ、63 ソーラパネル、64 循環流路、65 バルブ、66 温度検出器、67 69 熱交換器
71 ポンプ、73 放熱器、74 循環流路、75 バルブ、76 温度検出器、77 熱交換器
80 加熱手段、 81 ポンプ、83 加熱装置、84 循環流路、86 温度検出器、 87 89 熱交換器
91〜94 温度分布
100〜160 給湯装置
200〜220 冷房給湯装置
300 暖房給湯装置
400 複合装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、
前記貯湯槽の内側に沿って配置された仕切部材と、
前記貯湯槽と前記仕切部材の間に配置され、水を加熱する第二加熱器と、
前記第二加熱器の下方に配置され、水を加熱する第一加熱器と、
前記給湯口と前記第一加熱器の間に配置され、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体を備え、
前記仕切部材は前記第二加熱器により加熱された水が前記給湯口に流れるための流路を形成するように配置されていることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、
前記貯湯槽内の所定の位置に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう給湯熱交換器と、
前記給湯熱交換器の下方に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう採熱熱交換器と、
前記貯湯槽内の水を加熱する加熱手段と、
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記給湯熱交換器と、冷媒を減圧する減圧器と、冷媒と外気との熱交換を行なう外気熱交換器を順次接続した構成の第一冷凍サイクル回路と、
前記圧縮機と、前記給湯熱交換器と、前記減圧器または他の減圧器と、前記採熱熱交換器を順次接続した構成の第二冷凍サイクル回路を備えることを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、
前記貯湯槽内の所定の位置に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう給湯熱交換器と、
前記給湯熱交換器の下方に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう複数の採熱熱交換器と、
前記貯湯槽内の水を加熱する加熱手段と、
前記給湯熱交換器と前記給水口の間に配置され、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体と、
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記給湯熱交換器と、冷媒を減圧する減圧器と、冷媒と外気との熱交換を行なう外気熱交換器を順次接続した構成の第一冷凍サイクル回路と、
前記圧縮機と、前記給湯熱交換器と、前記減圧器または他の減圧器と、前記複数の採熱熱交換器の各々を順次接続した構成の複数の冷凍サイクル回路を備えることを特徴とする給湯装置。
【請求項4】
水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、
前記貯湯槽内の所定の位置に配置され、熱媒体と水との熱交換を行なう第一熱交換器と、
前記第一熱交換器の上部に配置され、熱媒体と水との熱交換を行なう第二熱交換器と、
前記給湯口と前記第一熱交換器との間に配置され、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体と、
熱媒体を加熱する加熱装置と前記第一熱交換器との間に熱媒体を循環させるための第一循環流路と、
前記加熱装置と、直列に接続された前記第一熱交換器と前記第二熱交換器との間に熱媒体を循環させるための第二循環流路を備えることを特徴とする給湯装置。
【請求項5】
水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、
前記貯湯槽の内側に沿って流路を形成するように配置された仕切部材と、
前記貯湯槽と前記仕切部材の間に配置され、水を加熱する加熱器を備え、
前記仕切部材は水を通すための複数の流通孔を有することを特徴とする給湯装置。
【請求項6】
水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、
前記貯湯槽内の所定の位置に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう給湯熱交換器と、
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記給湯熱交換器と、冷媒を減圧する減圧器と、冷媒と外気との熱交換を行なう外気熱交換器を順次接続した構成の第一冷凍サイクル回路と、
前記圧縮機と、前記給湯熱交換器と、前記減圧器または他の減圧器と、建物内の空気と冷媒との熱交換を行なう建物熱交換器を順次接続した構成の第一冷房冷凍サイクル回路と、
前記給湯熱交換器の上方の所定の位置に配置された給湯温度検出器を備え、
前記第一冷凍サイクル回路は前記給湯温度検出器の検出温度に基づいて制御されることを特徴とする冷房給湯装置。
【請求項7】
水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、
前記貯湯槽内の所定の位置に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう給湯熱交換器と、
前記給湯熱交換器の下方に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう第一排熱熱交換器と、
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記給湯熱交換器と、冷媒を減圧する減圧器と、冷媒と外気との熱交換を行なう外気熱交換器を順次接続した構成の第一冷凍サイクル回路と、
前記圧縮機または他の圧縮機と、前記第一排熱熱交換器と、前記減圧器または他の減圧器と、建物内の空気と冷媒との熱交換を行なう建物熱交換器を順次接続した構成の第二冷房冷凍サイクル回路を備えることを特徴とする冷房給湯装置。
【請求項8】
水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、
前記貯湯槽内の所定の位置に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう給湯熱交換器と、
前記給湯熱交換器の下方に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう第二排熱熱交換器と、
前記第二排熱熱交換器の下方に配置され、冷媒と水との熱交換を行なう第一排熱熱交換器と、
前記給湯熱交換器と前記第一排熱熱交換器の間に配置され、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体と、
冷媒を圧縮する圧縮機と、前記給湯熱交換器と、冷媒を減圧する減圧器と、冷媒と外気との熱交換を行なう外気熱交換器を順次接続した構成の第一冷凍サイクル回路と、
前記圧縮機または他の圧縮機と、前記第一排熱熱交換器と、前記減圧器または他の減圧器と、建物内の空気と冷媒との熱交換を行なう建物熱交換器を順次接続した構成の第二冷房冷凍サイクル回路と、
前記第一排熱熱交換器を除いて前記第二冷房冷凍サイクル回路と同一に構成され、前記第一排熱熱交換器が直列に接続された前記第一排熱熱交換器と前記第二排熱熱交換器で代替されて構成された第三冷房冷凍サイクル回路を備えることを特徴とする冷房給湯装置。
【請求項9】
水で充填され、上部に給湯口を有し、下部に給水口を有する貯湯槽と、
前記貯湯槽内の異なる垂直方向の位置に配置され、熱媒体と水との熱交換を行なう複数の熱交換器と、
熱を放出する放熱器と前記複数の熱交換器の各々との間に熱媒体を循環させるための複数の循環流路と、
前記貯湯槽内の水を加熱する加熱手段と、
前記複数の熱交換器の間に配置され、潜熱蓄熱材を含む複数の潜熱蓄熱体を備えることを特徴とする暖房給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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