説明

給湯装置

【課題】潜熱を回収するフィンを備えた副熱交換器において滞留している結露水が蒸発してケース前板で再結露するのを防止することを目的とする。
【解決手段】燃焼排気ガスの顕熱を回収する主熱交換器と、前記主熱交換器の下流に位置し排気ガスの潜熱を回収する副熱交換器と、燃焼用の空気を供給するファンと、これらを収納するケースと、ケース前板とを備え、燃焼終了後にファンを低速回転させて前記副熱交換器を乾燥させる乾燥用ポスト送風を行う。これによって、燃焼終了後にバーナユニット21や主熱交換器22の保有熱を利用して高温で乾燥した小流量の空気を副熱交換器25に供給し、副熱交換器25を乾燥させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスの潜熱を回収して効率の向上を図った給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給湯装置は、副熱交換器で発生する結露水の乾燥に関しての工夫は無かった。
【0003】
図9は、前記公報に記載された従来の給湯装置の全体断面図を示すものである。図9に示すように、バーナユニット1の上方に主熱交換器2を設け、その下流に排気ガスの潜熱と顕熱を回収する副熱交換器3を設けている。副熱交換器3で発生する結露水を受ける水受け4を設けている。バーナユニット1には燃焼用の空気を供給するファン5を設けている。排気ガス中のNOx等が溶け込んだ強酸性の結露水は中和処理手段6で中和され、給湯装置より排出される。これらはケース7に収められており、ケース前板8から排気トップ9の先端が10mm程度突出している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−198065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、燃焼が停止しても副熱交換器4の伝熱管に結露水が付着したままである。そして燃焼が停止してしばらくの間は、バーナユニット1、主熱交換器2は高温であり、そのため発生する自然ドラフトによる空気の極緩やかな流れで副熱交換器4の結露水が加熱されて蒸発し水蒸気化する。この水蒸気を含む空気の流れは極小流量であり、排気トップ9からの流出流速は極低速である。
【0005】
このため、この水蒸気を含む空気は排気トップ9から流出しても、本装置から離れず、ケース前板8に沿って上昇し、冷たいケース前板8で冷却されてケース前板で再結露する。この再結露水は副熱交換器3で発生する結露水と同様の強酸性であり、ケース前板8より落下すると、本装置下の土台を腐食する恐れがあるという課題があった。
【0006】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、ケース前板表面での再結露を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の給湯装置は、燃焼終了後にファンを低速回転させて副熱交換器を乾燥させる乾燥用ポスト送風を行うものである。
【0008】
これによって、燃焼終了後にバーナユニットや主熱交換器の保有熱を利用して高温で乾燥した小流量の空気を副熱交換器に供給し、副熱交換器を乾燥させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の給湯装置は、副熱交換器で発生した結露水が蒸発してケース前板で再結露するのを防止し、本装置下の土台の腐食を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、燃焼排気ガスの顕熱を回収する主熱交換器と、前記主熱交換器の下流に位置し排気ガスの潜熱を回収する副熱交換器と、燃焼用の空気を供給するファンと、これ
らを収納するケースと、ケース前板とを備え、燃焼終了後にファンを低速回転させて前記副熱交換器を乾燥させる乾燥用ポスト送風を行うものである。
【0011】
これにより、燃焼終了後にバーナユニットや主熱交換器の保有熱を利用して高温で乾燥した小流量の空気を副熱交換器に供給し、副熱交換器を乾燥させる。そして副熱交換器で発生した結露水が蒸発してケース前板で再結露するのを防止し、本装置下の土台の腐食を防止できる。
【0012】
第2の発明は、特に第1の発明において、乾燥用ポスト送風でのファン回転数を燃焼時に設定される最小の回転数よりも低く設定したことにより、乾燥用ポスト送風時の騒音や消費電力を低く抑えることができる。
【0013】
第3の発明は、特に第1〜第2の発明において、乾燥用ポスト送風を未燃ガスや排気ガスの掃気を行う掃気用ポスト送風の後に行うことにより、乾燥用ポスト送風中に再着火しても、掃気が完了しているため、爆発的な着火が発生することを防止できる。
【0014】
第4の発明は、特に第1〜第3の発明において、乾燥用ポスト送風時間を決定するタイマー値は運転状態に応じて加減算され、給湯運転時は燃焼時間に所定の加算係数を乗じて前記タイマー値に加算している。これにより、これにより、必要かつ十分な乾燥用ポスト送風時間を設定でき、無駄なポスト送風による電力の浪費を減らすことができるとともに乾燥用ポスト送風不足に起因するケース前板での再結露を防止できる。
【0015】
第5の発明は、特に第4の発明において、給湯装置は単一のバーナユニットで給湯と暖房と風呂追焚を行う1缶3水路式であり、暖房や追焚のような給湯を含まない運転時は燃焼時間に所定の減算係数を乗じてタイマー値から減算している。これにより、燃焼することで副熱交換器が乾燥方向に向かうことを利用して無駄なポスト送風による電力の浪費を減らすことができる。
【0016】
第6の発明は、特に第4〜第5の発明において、タイマー値に上限を設けている。副熱交換器で滞留する結露水量は上限があり、この結露水を乾燥させるのに必要なタイマー値を上限値に設定することにより、無駄なポスト送風による電力の浪費を減らすことができる。
【0017】
第7の発明は、特に第1〜第6の発明において、リモコンの運転スイッチが入状態では、乾燥用ポスト送風開始から所定の時間はより低い回転数で乾燥用ポスト送風を行っている。これにより、乾燥用ポストファンによるバーナユニットや主熱交換器の保有熱の放熱ロスを極力少なくし、再燃焼時の湯温立ち上がり性能の悪化を抑制できるとともに、燃料消費量の増大を抑制できる。
【0018】
第8の発明は、特に第4〜第7の発明において、副熱交換器への入水温度を検出する入水温度検出手段を設け、検出入水温度が所定の閾値未満の時に燃焼時間に加算係数を乗じてタイマー値に加算し、前記閾値以上の時に燃焼時間に減算係数を乗じてタイマー値から減算している。これにより、あらゆる運転状況においても乾燥用ポスト送風を必要かつ十分に行い、ケース前板での再結露をさらに確実に防止できるとともに無駄なポスト送風による電力の浪費をより減らすことができる。
【0019】
第9の発明は、特に第4〜第8の発明において、副熱交換器への入水温度を検出する入水温度検出手段を設け、検出入水温度に応じて加算係数および減算係数を可変することにより、より適切な乾燥用ポスト送風のタイマー値を算出でき、ケース前板30での再結露をより確実に防止できるとともに無駄なポスト送風による電力の浪費をより減らすことが
できる。ものである。
【0020】
第10の発明は、特に第1〜第9の発明において、ファンを動作させて排気流路の閉塞状態を検出する排気流路閉塞検出動作を有し、乾燥用ポスト送風の終了後に前記排気流路閉塞検出動作を行うものである。
【0021】
これにより通風抵抗に対する副熱交換器25の結露水の影響を無くした状態で排気流路閉塞検出動作を行い、排気流路閉塞検出動作で誤検出を防止できる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1〜図4において、バーナユニット21の上方に主熱交換器22を設け、その下流に排気ガスの潜熱と顕熱を回収する副熱交換器フィン23と副熱交換器伝熱管24で構成される副熱交換器25を設けている。
【0024】
副熱交換器25の下方には結露水を受ける水受け26を設けている。バーナユニット21には燃焼用の空気を供給するファン27を設け、水受け26に落下した結露水を中和処理する中和処理手段28を設けている。
【0025】
これらはケース29に収められており、ケース前板30から排気トップ31の先端が10mm程度突出している。
【0026】
給湯栓32が閉の時に一次側循環回路33を形成するため、水撃に耐え得る一次側循環ポンプ34と、暖房用間接熱交換器35と、追焚用間接熱交換器36と、逆止弁37を設けている。給湯栓32が開の時に給湯を行うため、逆止弁38を途中に設けた給水回路39と、給水のバイパス量を調整するバイパス制御弁40を途中に設けた給水バイパス回路41と、給湯回路42を備えている。各部の温水温度を検出するため、給水回路39の給水温度検出手段43と、副熱交換器25への入水温度を検出する入水温度検出手段44と、バーナユニット21で加熱され主熱交換器22を出た温水の温度を検出する出湯温度検出手段45と、給湯回路42の給湯温度検出手段46と、一次側循環回路33の一次側戻り温度検出手段47とをそれぞれ設けている。
【0027】
二次側暖房用循環回路48は、床暖房などの暖房装置49と、一次側の温水と熱交換を行う暖房用間接熱交換器35と二次側暖房用循環ポンプ50で構成されている。一方、二次側追焚用循環回路51は、浴槽52と、一次側の温水と熱交換を行う追焚用間接熱交換器36と二次側追焚用循環ポンプ53で構成されている。
【0028】
なお、本実施の形態の水回路は、単一のバーナユニット21で給湯と暖房と追焚を行う1缶3水路式と呼ばれる。またリモコン54を備えている。
【0029】
以下、動作、作用を説明する。まず、給湯運転を説明する。副熱交換器25に給水回路39を通じて入水した冷水は副熱交換器25、主熱交換器22で加熱され、バイパス混合弁40で適量に調整された冷水と混合し、給湯回路39を通じて給湯栓32より給湯される。
【0030】
一方、ファン27が供給する空気と燃料ノズル(図示せず)が供給する燃料がバーナユニット21に流入して可燃の混合気となりバーナユニット21は燃焼状態となる。燃焼後の排気ガスは、主熱交換器23で顕熱を吸熱され、その後副熱交換器25にて潜熱と顕熱
が吸熱され、排気トップ30から流出する。
【0031】
副熱交換器25では排気ガス中の水蒸気が結露して結露水が発生する。排気ガス中のNOx等が溶け込んだ強酸性の結露水は水受け26に落下し、中和処理手段28で中和処理されて給湯装置外に排出される。
【0032】
暖房運転時は、バーナユニット21が燃焼状態になるとともに、一次側循環ポンプ34、二次側暖房用ポンプ50が作動し、副熱交換器25、主熱交換器22で加熱された一次側循環水は暖房用間接熱交換器35にて二次側暖房用循環水を加熱する。加熱された二次側暖房用循環水は暖房装置49で放熱する。
【0033】
浴槽52の水を加熱する追焚運転時は、バーナユニット21が燃焼状態になるとともに、一次側循環ポンプ34、二次側追焚用ポンプ53が作動し、副熱交換器25、主熱交換器22で加熱された一次側循環水は追焚用間接熱交換器36にて二次側である浴槽水を加熱する。
【0034】
燃焼終了後は、未燃ガスや排気ガスを行うため、比較的高速(例えば毎分4000回転)の回転数R1で、ポスト送風を時間T1(一定値、例えば10秒)だけ行う。このポスト送風を掃気用ポスト送風と称する。
【0035】
その後、燃焼停止前の運転状況に応じ、低速回転(例えば毎分1500回転)R2でポスト送風を引き続き行う。燃焼停止後しばらくはバーナユニット21や主熱交換器22は高温状態であり、ファン27が供給する少量の空気はバーナユニット21や主熱交換器22で加熱され、高温乾燥状態となって副熱交換器25に供給され、副熱交換器25の副熱交換器フィン23や副熱交換器伝熱管24に滞留している結露水を蒸発させて副熱交換器25を乾燥させる。
【0036】
この水蒸気を含んだ空気は排気トップ31から流出してケース前板30から離れるのに十分な流速であるため、ケース前板30で再結露しない。このポスト送風を乾燥用ポスト送風称する。
【0037】
乾燥用ポスト送風は、運転時の状況に応じて変化するタイマー値Tの時間だけ行う。ここで乾燥用ポスト送風のファン回転数は、燃焼時に設定される最小の回転数よりも低くしており、動作時の騒音、消費電力を低く抑えている。乾燥用ポスト送風時のファンの回転数が高速すぎると、動作時の騒音、消費電力が大きくなるとともに副熱交換器25に供給される空気の温度が低下し、相対湿度も高くなるため、副熱交換器25が乾燥しにくくなる。
【0038】
以下、乾燥用ポスト送風のタイマー値の算出方法について説明する。給湯を含む運転時、すなわち、給湯単独、給湯+暖房、給湯+追焚、給湯+暖房+追焚運転時は副熱交換器25に入水する温度が排気ガスの露点温度以下であり、副熱交換器25で結露が発生する。燃焼時間が長くなると副熱交換器25に付着する結露水量は増し、乾燥用ポスト送風時間を長くする必要がある。
【0039】
そこで、燃焼時間に加算係数(例えば4.0)を乗じて乾燥用ポスト送風のタイマー値に加算する。数十分も燃焼すると副熱交換器25に滞留する結露水量は飽和する。
【0040】
そこで、無駄に乾燥用ポスト送風を行わないようにするため、この滞留結露水飽和量を乾燥させるのに必要なタイマー値をタイマー値の上限Tmaxとしている。
【0041】
また、給湯を含まない運転時、すなわち、暖房単独、追焚単独、暖房+追焚運転時は、二次側の給湯装置への循環水の戻り温度が高く、一次側循環回路の戻り温度、すなわち副熱交換器25への入水温度は高い。
【0042】
大半の運転状態において、副熱交換器25に入水する温度が排気ガスの露点温度よりも高く、副熱交換器25で結露が発生せず、滞留している結露水は加熱されて蒸発し、燃焼時間が長くなるほど、副熱交換器25は乾燥状態に近づく。そこで、燃焼時間に減算係数(例えば2.0)を乗じて乾燥用ポスト送風のタイマー値から減算し、無駄な乾燥用ポスト送風の排除を図っている。なお、タイマー値の下限値は0である。
【0043】
以上説明したように、乾燥用ポスト送風を行うことにより、ケース前板30で再結露することを未然に防止し、再結露した強酸性水が地面に落下して地面を腐食するのを防止できる。
【0044】
また、乾燥用ポスト送風のファン回転数を燃焼時に設定される最小の回転数よりも低く設定することにより、乾燥用ポスト送風時の騒音や消費電力を低く抑えることができる。
【0045】
また、乾燥用ポスト送風は、未燃ガスや排気ガスの掃気を行う掃気用ポスト送風の後に行うことにより、乾燥用ポスト送風中に再着火しても、掃気が完了しているため、爆発的な着火が発生することを防止できる。
【0046】
また、乾燥用ポスト送風時間を決定するタイマー値は運転状態に応じて加減算され、給湯を含む運転時は燃焼時間に所定の加算係数を乗してタイマー値に加算している。
【0047】
これにより、必要かつ十分な乾燥用ポストファン時間を設定でき、無駄なポストファン動作による電力の浪費を減らすことができるとともに、乾燥用ポスト送風不足に起因するケース前板30での再結露を防止できる。
【0048】
また、給湯装置は単一のバーナユニット21で給湯と暖房と風呂追焚を行う1缶3水路式であり、暖房や追焚などの給湯を含まない運転時は燃焼時間に所定の減算係数を乗じてタイマー値から減算している。
【0049】
これにより、燃焼することで副熱交換器25が乾燥方向に向かうことを利用して無駄なポスト送風による電力の浪費を減らすことができる。
【0050】
また、タイマー値に上限を設けたことにより、無駄なポスト送風動作による電力の浪費を減らすことができる。
【0051】
(実施の形態2)
図5において、本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、リモコン54の運転スイッチ(図示せず)が「入」状態の時、所定の時間T2Loはより低速の回転数R2Lo(<R2)にてファン27を動作させる点である。なお、ファン回転数R2Loにてファン27が動作している時、リモコン54の運転スイッチが「切」状態になると、ファン回転数をR2に増速させる。
【0052】
これにより、乾燥用ポスト送風によるバーナユニットや主熱交換器の保有熱の放熱ロスを極力少なくし、再燃焼時の湯温立ち上がり性能の悪化を抑制できるとともに、燃料消費量の増大を抑制できる。
【0053】
(実施の形態3)
図6において、本実施の形態が実施の形態1および2と異なる点は、副熱交換器25への入水温度を検出する入水温度検出手段44の検出入水温度が所定の閾値A(例えば50℃)未満の時に燃焼時間に加算係数を乗じてタイマー値に加算し、閾値A以上の時に燃焼時間に減算係数を乗じてタイマー値から減算する点である。
【0054】
暖房や追焚運転において、冷状態からの燃焼開始時や、二次側暖房用循環回路48の往き温度を低温(例えば40℃)に設定して暖房運転を行う時、一次側循環回路33の戻り温度が低くて副熱交換器25への入水温度が低く、副熱交換器25で排気ガスが結露する。この状態で燃焼を停止して乾燥用ポスト送風を実施しないとケース前板30で再結露が発生する。そこで、検出入水温度が閾値未満の時は、副熱交換器25で結露が進むので燃焼時間に加算係数を乗じてタイマー値に加算し、閾値以上の時は副熱交換器25で結露せず乾燥に向かうので燃焼時間に減算係数を乗じてタイマー値から減算する。
【0055】
これにより、あらゆる運転状況においても乾燥用ポスト送風を必要かつ十分に行い、ケース前板30での再結露をさらに確実に防止できるとともに無駄なポスト送風動作による電力の浪費をより減らすことができる。
【0056】
(実施の形態4)
図7において、本実施の形態が実施の形態3と異なる点は、検出入水温度の応じて加算係数や減算係数を可変する点である。
【0057】
副熱交換器25で結露が発生する状態において、副熱交換器25への入水温度が低いほど単位時間当たりの結露発生量が多くなる。副熱交換器25で結露が発生しない状態において、副熱交換器25への入水温度が高いほど単位時間当たりの乾燥量が多くなる。そこで、検出入水温度が低くなるほど加算係数を大きくし、検出入水温度が高くなるほど減算係数を大きくしている。
【0058】
これにより、より適切な乾燥用ポスト送風のタイマー値を算出でき、ケース前板30での再結露をより確実に防止できるとともに無駄なポスト送風動作による電力の浪費をより減らすことができる。
【0059】
(実施の形態5)
図8において、本実施の形態が実施の形態1〜4と異なる点は、ファンを動作させて主熱交換器22や副熱交換器25や排気トップ31等で構成される排気流路の閉塞状態を検出する排気流路閉塞検出動作を有し、乾燥用ポスト送風の終了後に排気流路閉塞検出動作を行う点である。
【0060】
近年、給湯装置には排気流路閉塞検出機能が搭載されるようになってきた。この機能により、経年的に主熱交換器22や副熱交換器25に埃や煤が詰まって燃焼異常となり、不完全燃焼や不安全状態(火炎のあふれなど)になる前に燃焼を停止させ、熱交換器の清掃メンテナンスを促すためエラーコードをリモコンに表示する。
【0061】
その方法は、燃焼が終了した後にファン27を一定回転数で回転させ、そのときにファン27に与えるファン指示電圧を定期的に計測し、初期設置状態におけるファン指示電圧とその後のファン指示電圧との変化から排気流路の閉塞度を検知するものである。
【0062】
一般的に、排気流路の閉塞が進むにつれてファン27の仕事量が減少し、ファン27が同一回転数で回転するためのファン指示電圧は低下していく傾向がある。このファン指示電圧の低下を検知して排気流路の閉塞度を検知している。
【0063】
しかしながら、排気ガスの潜熱を回収して効率の向上を図った給湯装置においては、潜熱を回収する副熱交換器25の結露状態によって副熱交換器25の通風抵抗が変化し、排気流路閉塞検出で誤検出が発生する恐れがあった。
【0064】
そこで、乾燥用ポスト送風を行って副熱交換器25を乾燥させ、通風抵抗に対する副熱交換器25の結露水の影響を無くした状態で排気流路閉塞検出動作を開始する。これにより、排気流路閉塞検出動作で誤検出を防止できる。
【0065】
なお、上記各実施の形態では、1缶3水路式の水回路として説明したが、これに限定されるものではなく、1缶1水路式、1缶2水路式、2缶3水路式などその他の水回路の方式にも適用できる。
【0066】
なお、上記各実施の形態では、ケース前板から突出する排気トップ31から排気し、屋外に設置される標準排気屋外設置型の給湯装置として説明したが、これに限定されるものではなく、パイプシャフト内に設置するいわゆる扉内設置型や、アルコーブ設置型、排気延長式、強制給排気式などあらゆる設置方式、給排気方式に適用できる。これにより排気口周辺部材への再結露を防止できる。
【0067】
また、副熱交換器25への入水温度を検出する入水温度検出手段44を設けず、給水温度検出手段43と一次側戻り温度検出手段47の検出温度から副熱交換器25への入水温度を推定してタイマー値の加減算に用いることもできる。給湯を含まない運転時は一次側戻り温度検出手段47は副熱交換器25に入水する温度を直接検出できる。
【0068】
また、上記各実施の形態ではガスを燃料として説明したが、灯油や石炭を燃料とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明にかかる給湯装置は、副熱交換器で発生した結露水が蒸発してケース前板で再結露するのを防止し、本装置下の土台の腐食を防止できるので、潜熱回収型熱源機として幅広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施の形態における給湯装置の全体断面図
【図2】同給湯装置の1缶3水路式水回路の模式図
【図3】同給湯装置のポスト送風時のファン回転数と乾燥用ポスト送風のタイマー値を示す図
【図4】同給湯装置の運転状態とタイマー値の一例を示す図
【図5】本発明の第2の実施の形態における給湯装置のポスト送風時のファン回転数と乾燥用ポスト送風のタイマー値を示す図
【図6】本発明の第3の実施の形態における給湯装置の運転状態とタイマー値の一例を示す図
【図7】本発明の第4の実施の形態における給湯装置の副熱交換器への入水温度と加算係数および減算係数の関係を示す図
【図8】本発明の第5の実施の形態における給湯装置のポスト送風時のファン回転数と乾燥用ポスト送風のタイマー値を示す図
【図9】従来の給湯装置の全体断面図
【符号の説明】
【0071】
21 バーナユニット
22 主熱交換器
25 副熱交換器
27 ファン
29 ケース
30 ケース前板
44 入水温度検出手段
54 リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排気ガスの顕熱を回収する主熱交換器と、前記主熱交換器の下流に位置し排気ガスの潜熱を回収する副熱交換器と、燃焼用の空気を供給するファンと、これらを収納するケースと、ケース前板とを備え、燃焼終了後にファンを低速回転させて前記副熱交換器を乾燥させる乾燥用ポスト送風を行う給湯装置。
【請求項2】
乾燥用ポスト送風でのファン回転数を燃焼時に設定される最小の回転数よりも低く設定した請求項1記載の給湯装置。
【請求項3】
乾燥用ポスト送風を未燃ガスや排気ガスの掃気を行う掃気用ポスト送風の後に行う請求項1〜2のいずれか1項記載の給湯装置。
【請求項4】
乾燥用ポスト送風時間を決定するタイマー値は運転状態に応じて加減算され、給湯運転時は燃焼時間に所定の加算係数を乗じて前記タイマー値に加算する請求項1〜3のいずれか1項記載の給湯装置。
【請求項5】
主、副熱交換器は単一のバーナユニットで給湯と暖房と風呂追焚を行う1缶3水路式に構成され、暖房や追焚のような給湯を含まない運転時は燃焼時間に所定の減算係数を乗じてタイマー値から減算する請求項4記載の給湯装置。
【請求項6】
タイマー値に上限を設けた請求項4〜5のいずれか1項記載の給湯装置。
【請求項7】
リモコンの運転スイッチが入状態では、乾燥用ポスト送風の開始から所定の時間はより低い回転数で乾燥用ポスト送風を行う請求項1〜6のいずれか1項記載の給湯装置。
【請求項8】
副熱交換器への入水温度を検出する入水温度検出手段を設け、検出入水温度が所定の閾値未満の時に燃焼時間に加算係数を乗じてタイマー値に加算し、前記閾値以上の時に燃焼時間に減算係数を乗じてタイマー値から減算する請求項4〜7のいずれか1項記載の給湯装置。
【請求項9】
副熱交換器への入水温度を検出する入水温度検出手段を設け、検出入水温度に応じて加算係数および減算係数を可変する請求項4〜8のいずれか1項記載の給湯装置。
【請求項10】
ファンを動作させて排気流路の閉塞状態を検出する排気流路閉塞検出動作を有し、乾燥用ポスト送風の終了後に前記排気流路閉塞検出動作を行う請求項1〜9のいずれか1項記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−2701(P2008−2701A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170005(P2006−170005)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】