説明

給湯装置

【課題】ホット飲料の販売に適した高温の湯を連続して吐出することができ、かつ、異常加熱を防止することができる給湯装置を提供する。
【解決手段】給湯装置20は、温水タンク21と制御部34とから構成され、供給された飲用水で温度が低下した湯を急速加熱して高温の湯とする消費電力の大きいメインヒータ27と、メインヒータ27よりも消費電力の小さいサブヒータ28と、メインヒータ27またはサブヒータ28の通電制御に用いる温度を検知する温度センサ29、30を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲用水を加熱した高温の湯を貯留し、この高温の湯でホット飲料を調理して販売に供するカップ式自動販売機や給茶機などに備えられる給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カップ式自動販売機や給茶機などに備えられる給湯装置が知られている。例えば、特許文献1の図2には、焙煎されたコーヒー豆を貯蔵するコーヒー豆キャニスタ、コーヒー豆キャニスタから供給されたコーヒー豆を粉砕刃で所定の粒度に粉砕して粉末状のコーヒー豆(以下「コーヒー挽き豆」という)とするミル、ミルから供給されたコーヒー挽き豆と温水タンクの湯弁を開いて湯管路を介して供給された高温の湯との混合液をペーパーフィルタで濾過してコーヒー成分を含むコーヒー液を抽出するコーヒーブリュア、砂糖やクリームなどを貯蔵する粉末原料キャニスタ、コーヒーブリュアで抽出されたコーヒー液に粉末原料キャニスタから供給された砂糖やクリームを混合してコーヒー飲料とするミキシングボウルなどを備えるカップ式自動販売機の概略構成が開示されている。
【0003】
例えば、図8に示すように、コーヒーブリュアやミキシングボウルに高温の湯を供給する給湯装置60を構成する温水タンク61は、タンク本体62、飲用水の給水口23、湯吐出口24、湯弁25、湯量の変化に連動して昇降するフロート31、フロート31の昇降に連動して動作する高水位スイッチ32、低水位スイッチ33、タンク本体62の底部62a近傍に配設されたメインヒータ63(例えば、消費電力1000W)とサブヒータ64(例えば、消費電力500W)の2本の電気ヒータ、湯吐出口24水位近傍に配設され、カップ式自動販売機の前扉に設けられた湯温度表示部(図示せず)に表示する湯の温度や飲料売り切れ表示制御用の湯の温度を検知する温度センサ65と、給水口23上部に配設されたメインヒータ63またはサブヒータ64に通電させるヒータ通電制御用の湯の温度を検知する温度センサ66との2個の温度センサから構成されている。
【0004】
そして、ホット飲料の販売時に湯弁25を開き、湯吐出口24から湯を吐出すると、この吐出した湯量に対応する飲用水(冷水)が温水タンク61に供給されるが、この飲用水の供給は温水タンク61の底部62aに放水することが一般的に行われている。これは、水は湯よりも比重が大きいことで、温水タンク61の底部62aに放水された飲用水はそのまま底部62aに留まるので、ホット飲料の販売時に温水タンク61の湯吐出口24から吐出した湯量に相当する飲用水が温水タンク61に供給されても、湯吐出口24周辺に貯留されている湯の温度が急激に低下することを防ぐためである。
【0005】
また、カップ式自動販売機には、飲用水をメインヒータ63またはサブヒータ64で加熱してホット飲料調理用の高温の湯を貯留する温水タンク61のほかに、コールド飲料の調理に使用される氷を製造して貯蔵する製氷機やシロップを冷却する冷却水槽に冷却用冷媒を供給する冷却装置(例えば、消費電力500W)や、前扉に展示されているフレーバーカード(販売商品表示カード)を背面から照明する蛍光灯などを備えているため、温水タンク61に貯留している湯を加熱して保温することに常時使用できる電源容量は500W程度しかない。
【0006】
このため、電源容量に限りがあるカップ式自動販売機(例えば、100V、15A)では、メインヒータ63とサブヒータ64の2本の電気ヒータを設け、ホット飲料連続販売時の温水タンク61に大量に供給された飲用水で温度の下がった湯を急速加熱するためには、製氷機や冷却水槽に冷却用冷媒を供給する冷却装置の運転を停止させてメインヒータ63に通電する排他的制御が行われている。
【0007】
さらに、カップ式自動販売機では、ホット飲料の調理に使用する湯の温度が低下すると販売する飲料の品質(味や香)を保てなくなるため、温水タンク61に設けた温度センサ66で湯の温度を検知して温度信号を制御部67に出力し、制御部67は温度センサ66が出力する温度信号に基づいてサブヒータ64に通電して湯の温度を所定温度(例えば、95℃〜97℃)に常時保持し、温水タンク61からコーヒーブリュアやミキシングボウルに供給する湯を高温に保つようにしている。
【0008】
そして、カップ式自動販売機のホット飲料の選択ボタンが押され、湯弁25が開かれて温水タンク61に貯留されている高温の湯が湯吐出口24から吐出されると、フロート31の降下に連動して動作する低水位スイッチ33が制御部67に低水位信号を出力する。制御部67は低水位スイッチ33から低水位信号を受けると飲用水弁14を開き、飲用水が給水口23からタンク本体62の底部62aに放水される態様で供給される。
【0009】
温水タンク61のタンク本体62の底部62aに飲用水が供給されて湯の温度が低下すると、制御部67は温度センサ66が検知する湯の温度に基づいてサブヒータ64に通電して供給された飲用水で温度の下がった湯を加熱して保温し、ホット飲料が連続して販売されて飲用水が大量に供給され、温度センサ66が検知する湯の温度がさらに低下すると製氷機や冷却水槽に冷却用冷媒を供給する冷却装置の運転を停止させてメインヒータ63に通電して供給された飲用水で温度の下がった湯を急速加熱し、温度センサ66が上限温度設定値(例えば、97℃)を検知するまで加熱昇温させる。
【0010】
このように、ホット飲料の選択ボタンが押されてホット飲料調理信号により湯弁25が開かれると、温水タンク61に貯留されている高温の湯が湯吐出口24から吐出して湯管路26を介してコーヒーブリュアやミキシングボウルに供給されてホット飲料の調理に使用され、温水タンク61に供給された飲用水で温度の下がった湯はサブヒータ64で加熱されて貯留される。
【0011】
また、ホット飲料の連続販売が行われ、温水タンク61の湯吐出口24から吐出した湯量に対応する大量の飲用水が温水タンク61の底部62aに連続して放水されて供給されると、供給された大量の飲用水で湯の温度がさらに下がり、温度センサ66が検知している温度信号に基づいて制御部67が製氷機や冷却水槽に冷却用冷媒を供給する冷却装置の運転を停止させ、メインヒータ63に通電して温度の下がった湯を急速加熱する排他的制御が行われる。
【0012】
また、図9に示すように、消費電力500Wの電気ヒータ73、74を上下に2本、そして、電気ヒータ73の通電制御用の温度センサ75を湯吐出口24水位近傍に、電気ヒータ74の通電制御用の温度センサ76を給水口23上部に配設した温水タンク71で構成する給湯装置70も用いられている。
【0013】
そして、カップ式自動販売機のホット飲料の選択ボタンが押され、湯弁25が開かれて温水タンク71に貯留されている高温の湯が湯吐出口24から吐出されると、フロート31の降下に連動して動作する低水位スイッチ33が制御部77に低水位信号を出力する。制御部77は低水位スイッチ33から低水位信号を受けると飲用水弁14を開き、飲用水が給水口23からタンク本体72の底部72aに放水される態様で供給される。
【0014】
底部72aに飲用水が供給されると、温度センサ76が検知する湯の温度に基づいて電気ヒータ74に通電して供給された飲用水で温度の下がった湯を加熱して保温し、ホット飲料が連続して販売されて飲用水が大量に供給され、温度センサ75が検知する湯の温度も低下すると製氷機や冷却水槽に冷却用冷媒を供給する冷却装置の運転を停止させて電気ヒータ73、74に通電する排他的制御で大量に供給された飲用水で温度の下がった湯を急速加熱し、温度センサ75、76が上限温度設定値(例えば、97℃)を検知するまで加熱昇温させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平8−315244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、温水タンク61のタンク本体62の天板62bには、フロート31の昇降に連動して動作する高水位スイッチ32、低水位スイッチ33やメインヒータ63、サブヒータ64の通電端子が設けられ、側板62cの上部には湯弁25が取り付けられる湯吐出口24が設けられている。そのため、天板62bや側板62cの上部には断熱材を貼り付けて断熱することが困難であり、断熱材を貼り付けることで周囲を覆って断熱することが容易な側板62cの中部や下部、底板62dよりも放熱量が大きくなり、温度センサ65周囲の湯の温度が所定温度(例えば、95℃〜97℃)より下がっても温度センサ66周囲の湯の温度が所定温度(例えば、95℃〜97℃)に保持されている場合がある。このような場合、メインヒータ63およびサブヒータ64に対する通電制御は温度センサ66が検知している湯の温度に基づいて行われるため、メインヒータ63またはサブヒータ64への通電が行われなくなり、ホット飲料の調理に使用する湯の温度が低下して販売する飲料の品質(味や香)を保てなくなる虞がある。また、連続販売可能杯数も少なくなる。
【0017】
また、温水タンク71では、電気ヒータ73の通電制御は温度センサ75が検知している湯の温度に基づいて行われ、電気ヒータ74の通電制御は温度センサ76が検知している湯の温度に基づいて行われているため、温度センサ75が湯の沸騰する温度(例えば、100℃)を検知していても、温度センサ76が検知している湯の温度が所定温度(例えば、95℃〜97℃)より低い場合、電気ヒータ74に対する通電が継続され、湯が加熱され続けるという不都合がある。
【0018】
さらに、電気ヒータ73、温度センサ75、または電気ヒータ74、温度センサ76の何れかが故障などの不具合を起こした場合にも、通電が継続されて湯が加熱され続け、沸騰や空焚きを招く虞がある。
【0019】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、ホット飲料の販売に適した高温の湯を連続して吐出することができ、かつ、異常加熱を防止することができる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る給湯装置は、温水タンクに貯留している湯を温度センサによる温度検知と電気ヒータによる加熱とにより所定温度に制御する制御部を備え、前記温水タンクの上部に設けた湯吐出口から湯を吐出し、この吐出した湯に対応する量の飲用水を前記温水タンクの底部に設けた給水口から供給する給湯装置において、
前記温度センサは、第1温度センサと、この第1温度センサと異なる位置に設けた第2温度センサとからなり、
前記制御部は、前記第1温度センサと前記第2温度センサが検知している湯の温度に基づいて前記ヒータに通電制御することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項2に係る給湯装置は、上述した請求項1において、さらに第3温度センサを設け、前記制御部は、前記第1温度センサと前記第2温度センサおよび前記第3温度センサが検知している湯の温度に基づいて前記ヒータに通電制御することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項3に係る給湯装置は、上述した請求項1または請求項2において、前記電気ヒータは、消費電力の大きいメインヒータと、このメインヒータよりも消費電力の小さいサブヒータとからなり、
前記メインヒータの消費電力が、前記給湯装置が備えられている機器の電源容量に対しての比率が高い場合、前記制御部は、前記メインヒータに通電する時、排他的制御により前記機器の電気部品の一部の運転を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、温水タンクに貯留している湯を温度センサによる温度検知と電気ヒータによる加熱とにより所定温度に制御する制御部を備え、前記温水タンクの上部に設けた湯吐出口から湯を吐出し、この吐出した湯に対応する量の飲用水を前記温水タンクの底部に設けた給水口から供給する給湯装置において、前記温度センサは、第1温度センサと、この第1温度センサと異なる位置に設けた第2温度センサとからなり、前記制御部は、前記第1温度センサと前記第2温度センサが検知している湯の温度に基づいて前記ヒータに通電制御することにより、ホット飲料の販売に適した高温の湯を連続して吐出することができ、かつ、異常加熱を防止することができる給湯装置を提供することが可能となる。
【0024】
また、請求項2の発明によれば、さらに第3温度センサを設け、前記制御部は、前記第1温度センサと前記第2温度センサおよび前記第3温度センサが検知している湯の温度に基づいて前記ヒータに通電制御することにより、さらに精度の良い温度制御が可能となり、ホット飲料の販売に適した高温の湯を連続して吐出することができ、かつ、異常加熱を防止することができる給湯装置を提供することが可能となる。
【0025】
また、請求項3の発明によれば、前記電気ヒータは、消費電力の大きいメインヒータと、このメインヒータよりも消費電力の小さいサブヒータとからなり、前記メインヒータの消費電力が、前記給湯装置が備えられている機器の電源容量に対しての比率が高い場合、前記制御部は、前記メインヒータに通電する時、排他的制御により前記機器の電気部品の一部の運転を停止させることにより、電源容量に限りがあるカップ式自動販売機などの機器で、供給された大量の飲用水で温度が大きく低下した湯を急速加熱するために、消費電力が大きいメインヒータに通電することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る給湯装置を備えたカップ式自動販売機の概要図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る給湯装置を示す概要図である。
【図3】図2に示した給湯装置のサブヒータ通電制御パラメータ図である。
【図4】図2に示した給湯装置のメインヒータ通電制御パラメータ図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る給湯装置を示す概要図である。
【図6】図5に示した給湯装置のサブヒータ通電制御パラメータ図である。
【図7】図5に示した給湯装置のメインヒータ通電制御パラメータ図である。
【図8】従来の給湯装置を示す概要図である。
【図9】従来の給湯装置を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る給湯装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、従来と同一構成に関しては同一符号を用いる。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態に係る給湯装置を備えたカップ式自動販売機の概要図であり、図2は本発明の実施の形態1に係る給湯装置を示す概要図である。ここで例示するカップ式自動販売機1は、貨幣の投入後に利用者の選択に応じてホット飲料もしくはコールド飲料を調理し、これをベンドステージ47に載置されたカップCに注ぎ入れるものである。その機内には、水リザーバ12、冷却水槽15、カーボネータ18、オーガ式製氷機19、給湯装置20、温水タンク21、コーヒー豆キャニスタ41、ミル42、コーヒーブリュア(レギュラーコーヒー抽出装置)43、粉末原料キャニスタ44、ミキシングボウル45、などを備えている。
【0028】
水リザーバ12は、カーボネータ18やオーガ式製氷機19、温水タンク21に飲用水(水道水)を供給するためのもので、給水弁11を開くと飲用水が水リザーバ12に貯えられ、水ポンプ13を運転して飲用水弁14を開くと飲用水が温水タンク21に供給される。
【0029】
冷却水槽15の冷却水には蒸発器(図示せず)が浸漬してあり、冷却装置(図示せず)から冷却用冷媒が供給されると、この冷媒の蒸発熱で蒸発器周囲にアイスバンク(氷塊)が生成され、このアイスバンクの融解熱で冷却水が略0℃に保たれている。
【0030】
カーボネータ18は、冷却水槽15の冷却水に浸漬してあり、水リザーバ12から供給された飲用水に炭酸ガスボンベ16から供給された炭酸ガスを溶解して炭酸水とする。シロップタンク17はシロップを貯留し、炭酸ガスボンベ16から供給される炭酸ガスの圧力でシロップが押し出され、冷却水槽15で冷やされてノズル46からカップCに注がれる。
【0031】
オーガ式製氷機19は、製氷部と貯氷庫とを有し、冷却装置から製氷部に供給された冷却用冷媒で水リザーバ12から供給された飲用水を製氷して貯氷庫で貯蔵し、アイス飲料を販売するときに貯氷庫に貯蔵している氷をカップCに供給する。
【0032】
給湯装置20は、図2に示すように、温水タンク21と制御部34とから構成されている。温水タンク21は、湯を貯留するタンク本体22、水ポンプ13を運転して飲用水弁14を開くと水リザーバ12から供給される飲用水を温水タンク21の底部22aに放水して供給する給水口23、温水タンク21の側板22cの上部に設けられて湯弁25を開くと貯留している高温の湯を吐出して湯管路26を介してコーヒーブリュア43やミキシングボウル45に供給する湯吐出口24が設けられている。
【0033】
この湯吐出口24より下側で給水口23より湯吐出口24に近い位置には、通電されると供給された飲用水で温度が低下した湯を急速加熱して高温の湯とする消費電力の大きいメインヒータ27(例えば、消費電力1000W)が設けられ、このメインヒータ27より下側で給水口23に近い位置には、通電されると温水タンク21に貯留している湯全体を加熱して保温する、メインヒータ27よりも消費電力の小さいサブヒータ28(例えば、消費電力500W)が設けられている。
【0034】
また、湯吐出口24が設けられている水位近傍には、カップ式自動販売機1の前扉に設けられた湯温度表示部(図示せず)に表示する湯の温度やホット飲料選択ボタンに飲料売り切れ表示制御用の湯の温度(例えば、85℃以下)、メインヒータ27またはサブヒータ28の通電制御に用いる温度を検知する温度センサ29(第1温度センサ)が設けられている。この温度センサ29より下側で温水タンク21の底部22aに設けた給水口23近傍にもメインヒータ27またはサブヒータ28の通電制御に用いる温度を検知する温度センサ30(第2温度センサ)を設けている。
【0035】
この温度センサ30を設ける位置は、温度センサ30が検知している湯の温度に基づいてメインヒータ27またはサブヒータ28に好適な通電制御を行うことができる位置(例えば、ホット飲料の連続販売開始からカップ2杯ほどでサブヒータ28に通電を開始する温度を検知できる位置で、温水タンク形状によるそれぞれの実験結果で得られた位置)に設けることが良い。また、タンク本体22の天板22bには、湯量の変化に連動して昇降するフロート31、フロート31の昇降に連動して動作する高水位スイッチ32、低水位スイッチ33を設けている。
【0036】
制御部34は、温度センサ29、30が出力する温度信号、高水位スイッチ32、低水位スイッチ33が出力する水位信号などの各種信号に基づいて、水ポンプ13、飲用水弁14、湯弁25、メインヒータ27、サブヒータ28、図示しない冷却装置などの通電制御を行う。
【0037】
コーヒーブリュア43は、コーヒー豆キャニスタ41から供給されたコーヒー豆をミル42で挽いたコーヒー挽き豆に温水タンク21から供給された高温の湯を注ぐことによりコーヒー液を抽出する。
【0038】
コーヒーブリュア43にはミキシングボウル45が接続してあり、コーヒーブリュア43で抽出したコーヒー液に粉末原料キャニスタ44から供給された砂糖やクリームを混合してノズル46からコーヒー飲料をカップCに注ぎ入れる。
【0039】
以上説明したカップ式自動販売機1において、利用者により貨幣が投入され、ホット飲料の選択ボタン、例えば、ホットコーヒー飲料の選択ボタンが押されると、制御部34がホットコーヒー飲料を調理するための信号を出力する。この制御部34が出力する信号により、先ず、コーヒー豆キャニスタ41がコーヒー豆をミル42に供給し、ミル42で挽かれたコーヒー挽き豆がコーヒーブリュア43に供給される。そして温水タンク21の湯弁25が開かれると、高温に加熱されて温水タンク21で保温されている湯が湯吐出口24から吐出されて湯管路26を介してコーヒーブリュア43内のコーヒー挽き豆に供給される。コーヒーブリュア43内ではコーヒー挽き豆から高温の湯にコーヒー成分が溶解した混合液となり、この混合液をペーパーフィルタで濾過するとコーヒー成分を含むコーヒー液が抽出される。コーヒーブリュア43で抽出されたコーヒー液はミキシングボウル45に供給され、ミキシングボウル45内では粉末原料キャニスタ44から供給された砂糖やクリームと混合されてコーヒー飲料となり、ベンドステージ47に載置されたカップCにノズル46から注がれ、カップ式自動販売機1の利用者に引き渡される。
【0040】
このようにしてカップ式自動販売機1のホット飲料の選択ボタンが押され、湯弁25が開かれて温水タンク21に貯留されている高温の湯が湯吐出口24から吐出されると、フロート31が降下し、フロート31の降下に連動して動作する低水位スイッチ33が制御部34に低水位信号を出力する。制御部34は低水位スイッチ33から低水位信号を受けると、水ポンプ13を運転して飲用水弁14を開き、水リザーバ12に貯留している飲用水を温水タンク21に供給する。水リザーバ12から供給された飲用水は、温水タンク21の底部22aに設けられている給水口23から放水される態様で供給される。このようにして、湯吐出口24から吐出した湯吐出量に対応する量の飲用水が給水口23から温水タンク21の底部22aに供給される。
【0041】
飲用水が温水タンク21に供給されて低下した湯の温度を温度センサ29、30が検知し、この温度信号に基づいて制御部34がメインヒータ27またはサブヒータ28に通電制御して飲用水の供給で温度が低下した湯を加熱して高温の湯(例えば、95℃〜97℃)として保温する制御を、図3に示す給湯装置20のサブヒータ28通電制御パラメータ図、および図4に示す給湯装置20のメインヒータ27通電制御パラメータ図を用いて説明する。
【0042】
先ず、図3の通電条件に示しているように、メインヒータ27に通電されているか、または温度センサ29(第1温度センサ)と温度センサ30(第2温度センサ)の何れかが97℃以上の温度を検知しているか、または温度センサ29と温度センサ30の何れもが95℃以上の温度を検知している場合にはサブヒータ28には通電されない。また、図4の通電条件に示しているように、温度センサ29が95℃以上の温度を検知しているか、または温度センサ30が93℃以上の温度を検知している場合にはメインヒータ27には通電されない。
【0043】
そして、ホット飲料の選択ボタンが押され、湯弁25が開かれて温水タンク21に貯留されている高温の湯が湯吐出口24から吐出され、湯吐出口24から吐出した湯吐出量に対応する量の飲用水(冷水)が給水口23から温水タンク21の底部22aに供給されると、湯より比重の大きい飲用水は底部22aに留まり、先ず温度センサ30周囲の湯の温度が低下し、その次に温度センサ29周囲の湯の温度が低下する。
【0044】
すると、図3のサブヒータ28通電制御パラメータ図に示すように、メインヒータ27に通電されていない状態で温度センサ29が95℃以下の温度を検知するとともに温度センサ30が93℃以下の温度を検知する、または、メインヒータ27に通電されていない状態で温度センサ29が93℃以下の温度を検知するとともに温度センサ30が95℃以下の温度を検知すると制御部34はサブヒータ28に通電する制御を行う。なお、湯吐出口24水位近傍に設けられた温度センサ29が93℃以下の温度を検知するとともに、この温度センサ29より下側で温水タンク21の底部22aに設けた給水口23近傍に設けられた温度センサ30が95℃以下の温度を検知すると制御部34がサブヒータ28に通電する制御パラメータは、天板22bや側板22cの上部には断熱材を貼り付けて断熱することが困難であり、断熱材を貼り付けることで周囲を覆って断熱することが容易な側板22cの中部や下部、底板22dよりも放熱量が大きくなり、温度センサ29周囲の湯の温度が温度センサ30周囲の湯の温度より低くなることがあるためである。
【0045】
このように、給水口23から温水タンク21の底部22aに飲用水が供給されると、先ず、温水タンク21の底部22aに貯留している湯の温度が低下するので、温度センサ30が93℃以下の温度を早期に検知し、温水タンク21の底部22aに設けた給水口23に近い位置に設けられたサブヒータ28に通電して温度の低下した湯を早期に加熱することができる。また、タンク本体22の天板22bなどからの放熱で温度センサ29周囲の湯の温度が低下して温度センサ29が93℃以下の温度を検知してもサブヒータ28に通電して温度の低下した湯を早期に加熱して保温することができる。
【0046】
さらに、連続してホット飲料の選択ボタンが押される状態、所謂、ホット飲料の連続販売が行われると、短時間の間に湯吐出口24から大量の高温の湯が吐出され、この吐出した湯量に対応する大量の飲用水が給水口23から温水タンク21の底部22aに供給され、温度センサ30および温度センサ29周囲の湯の温度がさらに低下する。
【0047】
すると、図4のメインヒータ27通電制御パラメータ図に示すように、温度センサ29が93℃以下の温度を検知するとともに温度センサ30が90℃以下の温度を検知すると、制御部34は電源容量に限りがあるカップ式自動販売機1(例えば、100V、15A)に備えられている電気部品の一部である冷却装置の運転を停止する排他的制御を行い、供給された大量の飲用水で温度が大きく低下した湯を急速加熱するため、消費電力の大きい(例えば、1000W)メインヒータ27に通電する。
【0048】
このように、ホット飲料の連続販売が行われ、短時間の間に湯吐出口24から大量の高温の湯が吐出され、この吐出した湯量に対応する大量の飲用水(冷水)が給水口23から温水タンク21の底部22aに供給され、温水タンク21の中部から上部までの湯の温度が大きく低下し、温度センサ29が93℃以下の温度を検知するとともに温度センサ30が90℃以下の温度を検知すると、湯吐出口24より下側で給水口23より湯吐出口24に近い位置に設けたメインヒータ27に通電し、温水タンク21のメインヒータ27周囲より上部に貯留している限られた量の湯を急速加熱することができるので、ホット飲料の販売に適した高温の湯を連続して吐出することができるようになる。
【0049】
以上のように、常時は、飲用水(冷水)が給水口23から供給されて温水タンク21の底部22aに留まり、先ず、温度センサ30周囲の湯の温度が低下するため、温度センサ29が95℃以下の温度を検知するとともに温度センサ30が93℃以下の温度を検知すると制御部34はサブヒータ28に通電する制御を行い、温度の低下した湯を早期に加熱することにより、温水タンク21に貯留している湯の温度を所定温度(例えば、95℃〜97℃)に常時保持し、コーヒーブリュア43やミキシングボウル45に供給する湯を高温に保つことができる。
【0050】
また、天板22bからの放熱などで温水タンク21の上部に貯留されている湯の温度がその下部に貯留されている湯の温度より下がることがあるが、温度センサ29が93℃以下の温度を検知するとともに温度センサ30が95℃以下の温度を検知すると制御部34はサブヒータ28に通電する制御をおこない、温度の低下した湯を早期に加熱することにより、温水タンク21に貯留している湯の温度を所定温度(例えば、95℃〜97℃)に常時保持し、コーヒーブリュア43やミキシングボウル45に供給する湯を高温に保つことで、ホット飲料の販売に適した高温の湯を連続して吐出することができる。
【0051】
さらに、湯が沸騰する温度(例えば、100℃)に近い温度でサブヒータ28に通電すると、湯の沸騰や空焚きを招く虞があるが、温度センサ29および温度センサ30の何れもが95℃以下を検知している状態でサブヒータ28に通電制御を行うので、温水タンク21の異常加熱を防止することができる給湯装置20を提供することができる。
【0052】
このようにして、サブヒータ28に通電されて加熱された湯はその周囲で沸騰する前に温水タンク21上部に上昇し、温度センサ29と温度センサ30の何れもが95℃以上の温度を検知するとサブヒータ28への通電が停止される。また、温度センサ29と温度センサ30の何れかが97℃以上の温度を検知するとサブヒータ28への通電が停止されるので、温度センサや電気ヒータの不具合が発生した場合にも、温水タンク21の異常加熱を防止することができる給湯装置20を提供することができる。
【0053】
以上のように本発明の実施の形態1によれば、温水タンクの形態の劣化や使用環境に影響されることなく温水タンクに貯留している湯の温度や飲料温度を一定に保つことができる。また、温水タンクに貯留している湯の沸騰や異常加熱を防止することができる。さらに、給湯装置の一部に不具合が発生した場合にも湯の沸騰や異常加熱を防止することができるようになる。
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2に係る給湯装置について図5から図7を参照して説明する。なお、実施の形態1と同一構成に関しては同一符号を用いる。実施の形態1の給湯装置20では、湯吐出口24水位近傍に設けられた温度センサ29(第1温度センサ)と、この温度センサ29より下側で給水口23近傍に設けられた温度センサ30(第2温度センサ)が検知している湯の温度に基づいて制御部34がメインヒータ27またはサブヒータ28に通電制御して飲用水の供給で温度が低下した湯を加熱して高温の湯(例えば、95℃〜97℃)として保温するが、この実施の形態2の給湯装置50では、図5の給湯装置の概要図に示しているように、温度センサ29と温度センサ30の間に温度センサ51(第3温度センサ)を設け、制御部52は、温度センサ29および温度センサ30ならびに温度センサ51が検知している湯の温度に基づいてメインヒータ27またはサブヒータ28に通電制御して飲用水の供給で温度が低下した湯を加熱して高温の湯(例えば、95℃〜97℃)として保温するようにしている。
【0054】
制御部52が温度センサ29および温度センサ30ならびに温度センサ51が検知している湯の温度に基づいてメインヒータ27またはサブヒータ28に通電する制御を、図6に示す給湯装置50のサブヒータ28通電制御パラメータ図、および図7に示す給湯装置50のメインヒータ27通電制御パラメータ図を用いて説明する。
【0055】
先ず、図6の通電条件に示しているように、メインヒータ27に通電されているか、または温度センサ29(第1温度センサ)と温度センサ51(第3温度センサ)と温度センサ30(第2温度センサ)の何れかが97℃以上の温度を検知しているか、または温度センサ29と温度センサ51と温度センサ30の何れもが95℃以上の温度を検知している場合にはサブヒータ28には通電されない。また、図7の通電条件に示しているように、温度センサ29と温度センサ51の何れかが95℃以上の温度を検知しているか、または温度センサ30が93℃以上の温度を検知している場合にはメインヒータ27には通電されない。
【0056】
そして、ホット飲料の選択ボタンが押され、湯弁25が開かれて温水タンク21に貯留されている高温の湯が湯吐出口24から吐出され、湯吐出口24から吐出した湯吐出量に対応する量の飲用水(冷水)が給水口23から温水タンク21の底部22aに供給されると、湯より比重の大きい飲用水は底部22aに留まり、先ず温度センサ30周囲の湯の温度が低下し、その次に温度センサ51周囲の湯の温度が低下し、さらに温度センサ29周囲の湯の温度が低下する。
【0057】
すると、図6のサブヒータ28通電制御パラメータ図に示すように、メインヒータ27に通電されていない状態で温度センサ29と温度センサ51が95℃以下の温度を検知するとともに温度センサ30が93℃以下の温度を検知する、または、メインヒータ27に通電されていない状態で温度センサ29と温度センサ30が95℃以下の温度を検知するとともに温度センサ51が93℃以下の温度を検知する、または、メインヒータ27に通電されていない状態で温度センサ29が93℃以下の温度を検知するとともに温度センサ51と温度センサ30が95℃以下の温度を検知すると制御部52はサブヒータ28に通電する制御を行う。
【0058】
なお、温度センサ29や温度センサ51が検知している温度が、温度センサ30が検知している温度より低い温度を検知すると制御部52がサブヒータ28に通電する制御パラメータは、天板22bや側板22cの上部に断熱材を貼り付けて断熱することが困難であり、断熱材を貼り付けることで周囲を覆って断熱することが容易な側板22cの下部、底板22dよりも放熱量が大きくなり、温度センサ29や温度センサ51周囲の湯の温度が温度センサ30周囲の湯の温度より下がることがあるためである。
【0059】
このように、湯吐出口24水位近傍に設けられた温度センサ29と、この温度センサ29より下側で給水口23近傍に設けられた温度センサ30の他に、温度センサ29と温度センサ39の間に温度センサ51を設け、制御部52が、温度センサ29および温度センサ30ならびに温度センサ51が検知している湯の温度に基づいてメインヒータ27またはサブヒータ28に通電制御して飲用水の供給で温度が低下した湯を加熱して高温の湯(例えば、95℃〜97℃)として保温することによっても、さらに精度の良い温度制御が可能となり、ホット飲料の販売に適した高温の湯を連続して吐出することができ、かつ、異常加熱を防止することができる給湯装置50を提供することができる。
【0060】
なお、温度センサを3個設けた実施の形態で説明しているが、温度センサを4個以上の複数設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 カップ式自動販売機
12 水リザーバ
14 飲用水弁
20 給湯装置
21 温水タンク
22 タンク本体
22a 底部
23 給水口
24 湯吐出口
25 湯弁
26 湯管路
27 メインヒータ
28 サブヒータ
29 温度センサ(第1温度センサ)
30 温度センサ(第2温度センサ)
34 制御部
50 給湯装置
51 温度センサ(第3温度センサ)
52 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水タンクに貯留している湯を温度センサによる温度検知と電気ヒータによる加熱とにより所定温度に制御する制御部を備え、前記温水タンクの上部に設けた湯吐出口から湯を吐出し、この吐出した湯に対応する量の飲用水を前記温水タンクの底部に設けた給水口から供給する給湯装置において、
前記温度センサは、第1温度センサと、この第1温度センサと異なる位置に設けた第2温度センサとからなり、
前記制御部は、前記第1温度センサと前記第2温度センサが検知している湯の温度に基づいて前記ヒータに通電制御することを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
さらに第3温度センサを設け、前記制御部は、前記第1温度センサと前記第2温度センサおよび前記第3温度センサが検知している湯の温度に基づいて前記ヒータに通電制御することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記電気ヒータは、消費電力の大きいメインヒータと、このメインヒータよりも消費電力の小さいサブヒータとからなり、
前記メインヒータの消費電力が、前記給湯装置が備えられている機器の電源容量に対しての比率が高い場合、前記制御部は、前記メインヒータに通電する時、排他的制御により前記機器の電気部品の一部の運転を停止させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−242024(P2011−242024A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112982(P2010−112982)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】