説明

給湯装置

【課題】風呂の追い焚き運転時に副熱交換器部の温水パイプが過熱するのを防止する貯湯式の給湯装置提供する。
【解決手段】
燃焼室の上方に煙管6を配置した貯湯室の上方に熱交換パイプ15を備えた副熱交換器部7を配置し、貯湯室3内上方に風呂用熱交換器9を設け、前記熱交換パイプ15と給水管16とを接続し、貯湯室3内下方に循環用熱交換器17を配置し、熱交換パイプ15と循環用熱交換器17とを接続管18にて接続し、循環用熱交換器17と給水管16とを循環ポンプ23と逆止弁22とを設けた循環戻り管21にて接続したので、副熱交換器部7内の熱交換パイプ1517内の水道水を循環用熱交換器17で熱交換して、燃焼室5で発生した燃焼ガスにより副熱交換器部7内の熱交換パイプ15が過熱されのを防止できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排気ガスの潜熱を回収して効率の向上を図った給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種のものに於いては、例えば水道水の水圧をそのまま利用して給湯する直圧式の給湯装置では、バーナユニットの上方に主熱交換部を設け、その主熱交換部の下流、つまり上部に排気ガスの潜熱を回収する副熱交換部と、排気ガスが通流する排気流路を設け、副熱交換部上流側の排気流路に消音部を設けたものがある。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−2700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、直圧式のため給湯運転では燃焼室で燃焼により発生した燃焼ガスと、副熱交換部を通過した水道水とを主熱交換部で熱交換することで水道水を加熱し、加熱した温水を給湯管より給湯すると共に、主熱交換部で熱交換した燃焼ガスは副熱交換部を通過して副熱交換部を通過する水道水と熱交換した後、排気されるものである。
そのため、給湯運転中は常に副熱交換部を水道水が通過するので、副熱交換部内の二次熱交パイプが高温に過熱されることはなかった。
【0005】
しかし、貯湯式の給湯装置で風呂回路の追い焚き用熱交換器を貯湯部内に配置したものでは、風呂の追い焚き運転では、燃焼室で燃焼により発生した燃焼ガスは、貯湯部内に配置した追い焚き用熱交換器と熱交換した後、副熱交換部を通過して排気される。
この時、副熱交換部の二次熱交パイプ内の水道水は流れずに二次熱交パイプ内にとどまっているため、二次熱交パイプ内の水道水が燃焼ガスにより過熱されて高温になり、二次熱交パイプ内の水道水が沸騰して二次熱交パイプを損傷したり、又 二次熱交パイプ内に水道水のカルキが析出して二次熱交パイプを詰まらせたりする問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を請求項1では、燃焼バーナを配置した燃焼室と、該燃焼室の上方に位置し内部に燃焼ガスが通過する煙管を配置した貯湯室と、該貯湯室の上方に配置し熱交換パイプを備えた副熱交換器部と、前記貯湯室内上方に配置された風呂用熱交換器とを設けた給湯装置に於いて、前記熱交換パイプの上流側と給水管とを接続し、貯湯室内下方に循環用熱交換器を配置し、熱交換パイプの下流側と循環用熱交換器の上流側とを接続管にて接続し、循環用熱交換器の下流側と給水管とを循環戻り管にて接続し、該循環戻り管には循環ポンプと逆止弁とを設けたものである。
【0007】
又請求項2に係る給湯装置では、特にその構成を請求項1に於いて、前記接続管と貯湯室底部とを接続分岐管にて接続し、該接続分岐管に減圧逆止弁を設けたものである。
【0008】
又請求項3に係る給湯装置では、特にその構成を請求項2に於いて、前記循環ポンプは、給湯運転時は停止し、風呂の追い焚き運転又は副熱交換器部の凍結防止運転時に駆動させるものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の請求項1によれば、燃焼バーナを配置した燃焼室と、該燃焼室の上方に位置し内部に燃焼ガスが通過する煙管を配置した貯湯室と、該貯湯室の上方に配置し熱交換パイプを備えた副熱交換器部と、前記貯湯室内上方に配置された風呂用熱交換器とを設けた給湯装置に於いて、前記熱交換パイプの上流側と給水管とを接続し、貯湯室内下方に循環用熱交換器を配置し、熱交換パイプの下流側と循環用熱交換器の上流側とを接続管にて接続し、循環用熱交換器の下流側と給水管とを循環戻り管にて接続し、該循環戻り管には循環ポンプと逆止弁とを設けたので、副熱交換器部内の熱交換パイプ内の水道水を循環用熱交換器で熱交換することができるので、燃焼室で発生した燃焼ガスにより副熱交換器部内の熱交換パイプが過熱されて熱交換パイプ内の水道水が沸騰したり、熱交換パイプ内にカルキが析出して熱交換パイプを詰まるのを防止できるものである。
【0010】
又、本発明の請求項2に記載の給湯装置によれば、前記接続管と貯湯室底部とを接続分岐管にて接続し、該接続分岐管に減圧逆止弁を設けたので、給湯運転時には副熱交換器部内の熱交換パイプを通過した水道水を貯湯室底部に給水することが出来、又風呂の追い焚き運転時には副熱交換器部内の熱交換パイプ内の水道水を循環用熱交換器で熱交換して冷却して、燃焼室で発生した燃焼ガスにより副熱交換器部内の熱交換パイプが過熱されて熱交換パイプ内の水道水が沸騰したり、熱交換パイプ内にカルキが析出して熱交換パイプを詰まるのを防止できるものである。
【0011】
又、本発明の請求項3に記載の給湯装置によれば、前記循環ポンプは、給湯運転時は停止し、風呂の追い焚き運転又は副熱交換器部の凍結防止運転時に駆動させるので、給湯運転時には、給水管から副熱交換器部内の熱交換パイプを通過した水道水は、接続管から循環用熱交換器に流れずに接続分岐管を通って貯湯室底部に給水することが出来、風呂の追い焚き運転又は副熱交換器部の凍結防止運転時には、副熱交換器部内の熱交換パイプ内の水道水が接続管から接続分岐管を通って貯湯室底部に流れずに、接続管から循環用熱交換器を通って循環戻り管に流れるので、給水管から水道水が熱交換パイプに流入しなくても熱交換パイプ内の水道水を循環用熱交換器で熱交換して冷却して、燃焼室で発生した燃焼ガスにより副熱交換器部内の熱交換パイプが過熱されて熱交換パイプ内の水道水が沸騰したり、熱交換パイプ内にカルキが析出して熱交換パイプを詰まるのを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施形態を示す給湯装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る発明の1実施形態を図面に基づいて説明する。
1は内方下部に筒状の内缶2を備えた外缶で、前記内缶2との間には湯水を貯湯する貯湯室3が形成すると共に、内缶2内をガンタイプ式の燃焼バーナ4が臨む燃焼室5としたものである。
【0014】
6は内缶2内の燃焼室5と外缶1上部の副熱交換器部7とを貯湯室3を貫通して結んだ複数の煙管で、内方には排ガスの流通を遅らせて湯水との熱交換効率を向上させる為のバッフル板8がそれぞれ備えられている。
【0015】
9は貯湯室3内で煙管6の外周に巻回して備えられた風呂用熱交換器で、浴槽10とは風呂往き管11と風呂サーミスタ12や風呂ポンプ13を備えた風呂戻り管14を介して連通し、風呂ポンプ13の駆動で浴槽水を風呂用熱交換器9に流通させることで、貯湯室3内の湯水と熱交換して加熱されて、風呂往き管11を介して浴槽10に戻され、順次この循環を行い風呂を沸き上げるものである。
【0016】
15は副熱交換器部7内に配置された熱交換パイプで、上流側には給水管16が接続され、下流側には貯湯室3の下部に配置された循環用熱交換器17の上流側と接続管18にて接続されている。
【0017】
19は一端が接続管18と連通し、他端が貯湯室3の底部付近に接続された接続分岐管で、管の途中に減圧逆止弁20を備えたものである。
【0018】
21は一端が熱交換パイプ15と給水管16の接続部分に接続され、他端が循環用熱交換器17の下流側と接続されている循環戻り管で、熱交換パイプ15と給水管16の接続部分側に逆止弁22を設けると共に、循環用熱交換器17の下流側との接続部分側に循環ポンプ23を設けたものである。
【0019】
24は一端が貯湯室3の上部に接続された給湯管で、蛇口(図示せず)の開口による流水を検知して熱要求有りを指示するフローセンサ25を備えたものである。
26は外缶1上部外周に備えられた缶体サーミスタで、貯湯温度を検知して所定温度に保持するように燃焼バーナ4の燃焼を制御するものである。
【0020】
27は燃焼バーナ4の噴霧ノズルで、先端には点火棒28が設けられ、後端には送油管29が接続し電磁ボンプ30が連通されている。
31は排気部で、副熱交換器部7内を通過した排気ガスを消音して装置外に排気するものである。
【0021】
次にこの一実施形態の給湯運転の作動について説明する。
まず給湯運転は、蛇口の開口による流水をフローセンサ25が検知すると、燃焼バーナ4が燃焼を開始すると共に、水道水が給水管16から副熱交換器部7内の熱交換パイプ15を通過して排気ガスと熱交換した後、接続管18から接続分岐管19を通過して貯湯室3の底部に流入する。
そしてた缶体サーミスタ26により貯湯温度を検知して所定温度に保持するように燃焼バーナ4の燃焼を制御しながら給湯運転を継続するものである。
【0022】
この時、貯湯室3の底部に流入する水道水は、副熱交換器部7内の熱交換パイプ15を通過する時排気ガスと熱交換して加熱されるので、その分燃焼バーナ4の燃焼を抑えることができるものである。
【0023】
次にこの一実施形態の風呂の沸き上げ運転の作動について説明する。
まず、リモコン(図示せず)の沸き上げスイッチ(図示せず)がONされると、燃焼バーナ4が燃焼を開始すると共に、風呂ポンプ13も同時に駆動され、浴槽10内の浴槽水が、風呂戻り管14から貯湯室3内の風呂用熱交換器9を通過して貯湯室3内の高温水と熱交換して加熱され、風呂往き管11を通って浴槽10内に戻り、風呂サーミスタ12が検知する温度が設定温度に達すると、風呂の沸き上げが完了したと判断して、燃焼バーナ4及び風呂ポンプ13を停止するものである。
【0024】
この時、貯湯室3内には水道水が流入しないので、副熱交換器部7の熱交換パイプ15内の水道水が熱交換パイプ15内に留まってしまうため、風呂の沸き上げ運転で燃焼バーナ4が燃焼を開始すると同時に循環ポンプ23を駆動する。
【0025】
これにより副熱交換器部7の熱交換パイプ15内で加熱された水道水は、接続管18から循環用熱交換器17を通過して循環戻り管21からまた熱交換パイプ15に戻るというように熱交換パイプ15内の水道水を循環させるもので、貯湯室3内の底部付近の貯湯水は温度が低いため、副熱交換器部7の熱交換パイプ15内で加熱された水道水は循環用熱交換器17を通過する時、貯湯室3内の底部付近の貯湯水と熱交換して温度が低下して冷却されて熱交換パイプ15に戻るものである。
【0026】
それにより風呂の沸き上げ運転で副熱交換器部7の熱交換パイプ15内の水道水が過熱されて沸騰したり、水道水のカルキが析出して熱交換パイプ15を詰まるのを防止できるものである。
【0027】
又、冬期に於いて、給水温度センサ(図示せず)や外気温度温度センサ(図示せず)が検知する温度が所定温度以下になった時、循環ポンプ23を駆動することにより、副熱交換器部7の熱交換パイプ15内凍結を防止することができるものである。
【符号の説明】
【0028】
3 貯湯室
4 燃焼バーナ
5 燃焼室
6 煙管
7 副熱交換器部
9 風呂用熱交換器
15 熱交換パイプ
16 給水管貯湯室
17 循環用熱交換器
18 接続管
21 循環戻り管
22 逆止弁
23 循環ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼バーナを配置した燃焼室と、該燃焼室の上方に位置し内部に燃焼ガスが通過する煙管を配置した貯湯室と、該貯湯室の上方に配置し熱交換パイプを備えた副熱交換器部と、前記貯湯室内上方に配置された風呂用熱交換器とを設けた給湯装置に於いて、前記熱交換パイプの上流側と給水管とを接続し、貯湯室内下方に循環用熱交換器を配置し、熱交換パイプの下流側と循環用熱交換器の上流側とを接続管にて接続し、循環用熱交換器の下流側と給水管とを循環戻り管にて接続し、該循環戻り管には循環ポンプと逆止弁とを設けたことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記接続管と貯湯室底部とを接続分岐管にて接続し、該接続分岐管に減圧逆止弁を設けたことを特徴とする請求項1記載の給湯装置。
【請求項3】
前記循環ポンプは、給湯運転時は停止し、風呂の追い焚き運転又は副熱交換器部の凍結防止運転時に駆動させることを特徴とする請求項2記載の給湯装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−107814(P2012−107814A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257395(P2010−257395)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】