説明

給湯装置

【課題】利用者に不快感を与えるおそれを低減することができる給湯装置の提供。
【解決手段】貯湯式給湯装置1は、第1給水管51aと、第1出湯管52aと、第1給水管51aを流れる水と第1出湯管52aを流れる湯水とを混合する給湯混合弁54と、給湯混合弁54において混合された水及び湯水からなる混合水を供給部に流す第1供給管53aと、制御装置とを備える。制御装置は、供給部への混合水の供給が休止されたときに、供給部への混合水の供給が休止される前の所定開度から、所定開度における混合水の水と湯水との混合割合よりも水或いは湯水の割合の大きい休止開度となるように、給湯混合弁54の開度を調整する。また、制御装置は、供給部への混合水の供給が再開されたときに、休止開度から所定開度となるように、給湯混合弁54の開度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、給水管を流れる水と給湯管を流れる温水とを混合した混合水を、蛇口等の供給部に供給する給湯装置がある。このような給湯装置では、給水管を流れる水と給湯管を流れる温水との混合割合を変更することで、混合水の温度を、予め設定されている設定温度に近づけるものがある。また、給水管を流れる水と給湯管を流れる温水とを混合するために、給水管及び給湯管の接続された混合弁が用いられることがある。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2006−125773号公報)に開示されている給湯システムは、給水管と、給湯管と、給水管からの水と給湯管からの湯(温水に相当)とを混合する電動湯水混合弁と、電動湯水混合弁からの混合湯(混合水に相当)を供給する混合給湯管(供給管に相当)とを備えている。また、この給湯システムでは、混合湯の供給再開時における大幅な湯温変動を防ぐために、混合湯の供給時において混合湯の温度と設定温度とが等しくなったときの電動湯水混合弁の開度を安定開度として記憶し、記憶した安定開度で混合湯の供給が再開されるように、電動温水混合弁の開度が調整されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、供給再開前の供給休止中に混合弁の開度が安定開度等の所定開度に調整されている場合、供給再開直後に供給部に供給される混合水の温度が、設定温度よりも高く、或いは、低くなることがある。すると、混合水の供給再開後に、設定温度とは異なる温度の混合水が供給部に供給され、利用者に不快感を与えることになる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、利用者に不快感を与えるおそれを低減することができる給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る給湯装置は、給水管と、給湯管と、混合弁と、供給管と、制御部と、を備える。給水管には、水が流れる。給湯管には、給水管を流れる水よりも温度の高い温水が流れる。混合弁には、給水管及び給湯管が接続されている。また、混合弁は、給水管を流れる水と給湯管を流れる温水とを混合する。供給管は、混合弁に接続されている。また、供給管は、混合弁において混合された水及び温水からなる混合水を、供給部に流す。制御部は、混合弁の開度を調整することで、混合弁において混合される水と温水との混合割合を変更する。また、制御部は、供給部への混合水の供給が休止されたときに、所定開度から休止開度となるように、混合弁の開度を調整する。所定開度とは、供給部への混合水の供給が休止される前の混合弁の開度である。休止開度とは、所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも水或いは温水の割合の大きい混合弁の開度のことである。また、制御部は、供給部への混合水の供給が再開されたときに、休止開度から所定開度となるように、混合弁の開度を調整する。
【0007】
本発明者は、鋭意検討した結果、供給部への混合水の供給が休止されてから供給が再開されるまでの間の混合弁の開度を調整することで、供給再開直後に供給部に供給される混合水の温度が設定温度に近づくことを見出した。
【0008】
そこで、本発明の第1観点に係る給湯装置では、供給部への混合水の供給が休止されたときに、所定開度から休止開度となるように混合弁の開度が調整され、供給部への混合水の供給が再開されたときに、休止開度から所定開度となるように混合弁の開度が調整される。このため、混合水の供給再開直後に、設定温度と異なる温度の混合水が供給部に供給されるおそれを低減することができる。
【0009】
これによって、利用者に不快感を与えるおそれを低減することができる。
【0010】
本発明の第2観点に係る給湯装置は、第1観点の給湯装置において、設定部と、検出部と、を更に備える。設定部は、供給部から供給される混合水の温度を設定可能である。検出部は、供給管を流れる混合水の温度を検出可能である。また、制御部は、供給部への混合水の供給時の開度であって、検出部によって検出される混合水の温度と、設定部によって設定される設定温度との差が所定範囲内となったときの混合弁の開度を、所定開度に決定する。このため、例えば、所定開度が設定温度とは無関係な開度に決定される場合と比較して、供給再開後に供給部から供給される混合水の温度と、設定温度との差を小さくすることができる。
【0011】
本発明の第3観点に係る給湯装置は、第1観点又は第2観点の給湯装置において、制御部は、判断部を有する。判断部は、供給部への混合水の供給が再開されたか否かを判断する。また、制御部は、判断部によって供給部への混合水の供給が再開されたと判断された場合には、休止開度から所定開度となるように、直ちに混合弁の開度を調整する。この給湯装置では、供給部への混合水の供給が再開された場合に、直ちに混合弁の開度が所定開度に調整されるため、供給再開後に供給部から供給される混合水の温度と、設定温度との間に差を生じさせにくくすることができる。
【0012】
本発明の第4観点に係る給湯装置は、第1観点から第3観点のいずれかの給湯装置において、所定開度と休止開度との差は、予め決定されている。このため、この給湯装置では、所定開度と休止開度との間に、一定の差を設けることができる。したがって、検出部等の検知結果によって変化する所定開度に応じて休止開度を変更することができる。
【0013】
本発明の第5観点に係る給湯装置は、第4観点の給湯装置において、休止開度では、所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも水の割合が大きい。
【0014】
ここで、供給部への混合水の供給が休止されてから再開されるまでの間、混合弁の開度として所定開度と同じ開度が維持されている場合、供給部への混合水の供給再開時には、設定温度よりも高い温度の混合水が供給されることが多い。この給湯装置では、所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも水の割合が大きくなるように休止開度が決定されているため、供給部への混合水の供給再開時に、設定温度よりも高い温度の混合水が供給されるおそれを低減することができる。
【0015】
本発明の第6観点に係る給湯装置は、第1観点から第3観点のいずれかの給湯装置において、制御部は、供給部への混合水の供給が再開された後の混合水の温度変化を監視する監視部を有する。また、制御部は、監視部の監視結果に基づいて、休止開度を決定する。この給湯装置では、監視部の監視結果に基づいて休止開度が決定されるため、供給される混合水の温度変化に応じて休止開度を決定することができる。
【0016】
本発明の第7観点に係る給湯装置は、第6観点に係る給湯装置において、制御部は、監視部によって監視された混合水の温度変化が高温側への変化である場合には、所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも水の割合が大きくなるように、休止開度を決定する。この給湯装置では、供給が再開された後の混合水の温度変化が高温側への変化である場合には、所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも水の割合が大きくなるように休止開度を決定することができる。
【0017】
本発明の第8観点に係る給湯装置は、第6観点又は第7観点の給湯装置において、制御部は、監視部によって監視された混合水の温度変化が低温側への変化である場合には、所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも温水の割合が大きくなるように、休止開度を決定する。この給湯装置では、供給が再開された後の混合水の温度変化が低温側への変化である場合には、所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも温水の割合が大きくなるように休止開度を決定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1観点に係る給湯装置では、利用者に不快感を与えるおそれを低減することができる。
【0019】
本発明の第2観点に係る給湯装置では、供給再開後に供給部から供給される混合水の温度と設定温度との差を小さくすることができる。
【0020】
本発明の第3観点に係る給湯装置では、供給再開後に供給部から供給される混合水の温度と設定温度との間に差を生じさせにくくすることができる。
【0021】
本発明の第4観点に係る給湯装置では、検出部等の検知結果によって変化する所定開度に応じて休止開度を変更することができる。
【0022】
本発明の第5観点に係る給湯装置では、供給部への混合水の供給再開時に、設定温度よりも高い温度の混合水が供給されるおそれを低減することができる。
【0023】
本発明の第6観点に係る給湯装置では、供給される混合水の温度変化に応じて休止開度を決定することができる。
【0024】
本発明の第7観点に係る給湯装置では、供給が再開された後の混合水の温度変化が高温側への変化である場合には、所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも水の割合が大きくなるように休止開度を決定することができる。
【0025】
本発明の第8観点に係る給湯装置では、供給が再開された後の混合水の温度変化が低温側への変化である場合には、所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも温水の割合が大きくなるように休止開度を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る貯湯式給湯装置の配管系統図。
【図2】制御装置の制御ブロック図。
【図3】開度制御部による給湯混合弁の制御の流れを示すフローチャート。
【図4】混合水の温度と給湯混合弁の開度との関係を示す図。
【図5】混合水の温度と給湯混合弁の開度との関係を示す図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る貯湯式給湯装置の備える制御装置の制御ブロック図。
【図7】温度変化値範囲と補正量との対応関係を示す図。
【図8】開度制御部による給湯混合弁の制御の流れを示すフローチャート。
【図9】開度制御部による給湯混合弁の制御の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る貯湯式給湯装置(給湯装置に相当)1について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0028】
<第1実施形態>
(1)貯湯式給湯装置の構成
貯湯式給湯装置1は、加熱手段(本実施形態では、ヒートポンプユニット83)により沸き上げられた温度の高い水(以下より、常温の水よりも温度の高い水を湯という)、又は、水を、貯湯ユニット10の備える貯湯タンク11に貯湯し、その貯湯した湯及び水(以下、湯水という)を、利用者の操作に応じて、浴槽18に供給したり、又は、浴槽18以外の供給部16(例えば、シャワーや台所の蛇口等)16に供給したりするものである。
【0029】
また、この貯湯式給湯装置1は、主に、ヒートポンプユニット83と、貯湯ユニット10と、制御装置90と、を備えている(図1及び図2参照)。以下に、貯湯式給湯装置1の備える各種構成部品について説明する。
【0030】
(2)ヒートポンプユニットの構成
ヒートポンプユニット83は、湯を作り出すための熱源装置として電力を得て機能する。具体的には、ヒートポンプユニット83は、冷媒(例えば、二酸化炭素冷媒等)が循環する冷媒回路を備えている。また、冷媒回路では、圧縮機の吐出側、水熱交換器の冷媒側、内部熱交換器内の高圧側、膨張弁、空気熱交換器、内部熱交換器内の低圧側、圧縮機の吸入側、の順に各機器が接続されており、内部に冷媒を循環させている。
【0031】
内部熱交換器は、高圧側の配管を流れる冷媒と、低圧側の配管を流れる冷媒と、の間で熱交換を行わせる。水熱交換器は、冷媒管を有しており、圧縮機によって吐出され冷媒管に流入した高温の冷媒と、後述する貯湯ユニット10の貯湯往き管21から水管25に流入した湯水と、の間で熱交換を行わせる。この水熱交換器における熱交換によって、冷媒管を通過する冷媒が冷却され、水管25を通過する湯水が加熱されることで、後述する貯湯ユニット10の貯湯戻り管22に流入する湯水の温度を上げることができる。この結果、貯湯ユニット10の貯湯戻り管22には、貯湯往き管21を流れる湯水の温度よりも高い温度の湯水が流れることになる。
【0032】
また、ヒートポンプユニット83は、各種センサを備えている。各種センサとしては、冷媒に関する温度や圧力を検知するセンサ等がある。具体的には、各種センサとしては、圧縮機の吸入側を通過する冷媒圧力を検知する吸入圧力センサ、圧縮機の吸入側を通過する冷媒温度を検知する吸入サーミスタ、圧縮機の吐出側を通過する冷媒圧力を検知する吐出圧力センサ、圧縮機の吐出側を通過する冷媒温度を検知する吐出サーミスタ、水熱交換器を通過することで冷却された冷媒の温度を検知する水熱交換後冷媒サーミスタ、外気の温度を検知する外気サーミスタ、及び、空気熱交換器において加熱された後の冷媒の温度を検知する空気熱交換後冷媒サーミスタ等があり、これら各種センサは、制御装置90が検知値を把握可能なように設けられている。
【0033】
(3)貯湯ユニットの構成
貯湯ユニット10は、市水等の外部から供給される常温の水をヒートポンプユニット83から得られる熱によって加熱し、蓄えつつ、利用する装置である。また、貯湯ユニット10は、図1に示すように、貯湯タンク11、貯湯用循環回路20、追焚熱交換器12、追焚熱源回路30、追焚利用回路40、給湯配管系50、及び、配管継手70等を備えている。
【0034】
貯湯ユニット10は、略直方体形状を呈するケーシング13を備えている。また、貯湯タンク11、貯湯用循環回路20の一部、追焚熱交換器12、追焚熱源回路30、追焚利用回路40、給湯配管系50の一部、及び、配管継手70の一部は、ケーシング13内に収納されている(図1参照)。
【0035】
(3−1)貯湯タンク
貯湯タンク11は、ヒートポンプユニット83由来の熱によって得られる湯、及び水を、利用者に利用される前から予め蓄えておくためのタンクである。貯湯タンク11は、例えば、円筒形状に形成されており、内部に湯水を溜めることができる。
【0036】
また、貯湯タンク11の上部には、水温サーミスタT1が配設されており、貯湯タンク11の側面には、複数の残湯量サーミスタT2〜T6が、上下に渡って所定の間隔をあけて配設されている。水温サーミスタT1及び残湯量サーミスタT2〜T6は、貯湯タンク11内の湯水の温度を測定するものである。また、水温サーミスタT1及び残湯量サーミスタT2〜T6は、それぞれ、貯湯タンク11の残湯量に対応する高さ位置に配設されている。
【0037】
(3−2)貯湯用循環回路
貯湯用循環回路20は、貯湯タンク11内の湯水に対してヒートポンプユニット83で得られる熱を伝えるための回路であり、貯湯往き管21、貯湯戻り管22、沸き上げポンプP1、排水用三方弁60、及び、沸き上げ三方弁24を有している。
【0038】
貯湯往き管21は、貯湯タンク11の下端部近傍と、ヒートポンプユニット83内に位置する水熱交換器の水管25の上流側端部とを接続する配管である。また、貯湯往き管21は、貯湯タンク11の下端部近傍と排水用三方弁60とを接続する第1貯湯往き管21aと、排水用三方弁60とヒートポンプ循環往き口10aとを接続する第2貯湯往き管21bと、ヒートポンプ循環往き口10aと水熱交換器の水管25の上流側端部とを接続する第3貯湯往き管21cと、を含む。第2貯湯往き管21bの途中には、沸き上げポンプP1が配設されている。沸き上げポンプP1は、排水用三方弁60からの湯水をヒートポンプ循環往き口10a側に送り出すためのポンプである。
【0039】
貯湯戻り管22は、水熱交換器の水管25の下流側端部と貯湯タンク11の上端部近傍及び下端部近傍とを接続する配管である。また、貯湯戻り管22は、水熱交換器の水管25の下流側端部とヒートポンプ循環戻り口10bとを接続する第1貯湯戻り管22aと、ヒートポンプ循環戻り口10bと沸き上げ三方弁24とを接続する第2貯湯戻り管22bと、沸き上げ三方弁24と貯湯タンク11の上端部とを接続する第3貯湯戻り管22cと、沸き上げ三方弁24と貯湯タンク11の下端部とを接続する第4貯湯戻り管22dと、を含む。
【0040】
沸き上げ三方弁24は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式の弁である。沸き上げ三方弁24は、制御装置90の制御によりその弁体の開度が調整されることで、第1貯湯戻り管22a側から第2貯湯戻り管22b側に流入する湯を、第3貯湯戻り管22cに流して貯湯タンク11の上端部から貯湯タンク11内に流出させたり、第4貯湯戻り管22dに流して貯湯タンク11の下端部から貯湯タンク11内に流出させたりする。
【0041】
貯湯用循環回路20では、沸き上げポンプP1が制御装置90の制御により駆動することで、貯湯タンク11内の湯水のうち下方に存在している温度の低い湯水を、貯湯往き管21に流出させ、水熱交換器の水管25を通過させることで温度上昇させつつ、貯湯戻り管22を介して貯湯タンク11の上端部近傍、或いは、貯湯タンク11の下端部近傍に戻している。これにより、貯湯タンク11内の湯水の温度を、比較的高温にすることができる。
【0042】
排水用三方弁60は、利用者が操作部(図示せず)を操作することで、その弁体の開度が調整される手動式の弁である。排水用三方弁60は、利用者によりその弁体の状態が調整されることで、第1貯湯往き管21a側から流れてきた湯水が第2貯湯往き管21b側に流出する状態と、第1貯湯往き管21a側から流れてきた湯水が排出配管80側に流出して排水口74に向かう状態とに切り換えられる。なお、排水用三方弁60は、通常は、第1貯湯往き管21a側から流れてきた湯水が第2貯湯往き管21b側に流出する状態に設定されている。
【0043】
(3−3)追焚熱交換器
追焚熱交換器12は、貯湯タンク11内の湯水が巡回する熱源管12aと、ケーシング13外の浴槽18にはられた湯又は水が循環する利用管12bと、を有している。追焚熱交換器12では、熱源管12aを流れる湯水と、利用管12bを流れる湯又は水と、の間で熱交換を行わせることで、利用管12bを流れる湯又は水の温度を上げることができる。
【0044】
(3−4)追焚熱源回路
追焚熱源回路30は、ケーシング13外の浴槽18にはられた湯又は水の温度を、貯湯タンク11に蓄えられている湯水の有している熱を利用して、さらに上げるための熱源供給側の回路である。追焚熱源回路30は、主に、熱源往き管31、熱源戻り管32、及び、熱源ポンプP3を有している。
【0045】
熱源往き管31は、貯湯タンク11の上端部近傍と追焚熱交換器12内の熱源管12aの上流側端部とを接続している。また、熱源往き管31には、貯湯タンク11側から流入した湯水の逆流を防止するための逆止弁B1が配設されている。なお、逆止弁B1は、熱源往き管31の貯湯タンク11と分岐点N1との間に配設されている。熱源戻り管32は、追焚熱交換器12内の熱源管12aの下流側端部と貯湯タンク11の下端部近傍とを接続している。熱源ポンプP3は、熱源戻り管32の途中に配設されている。
【0046】
追焚熱源回路30では、熱源ポンプP3が制御装置90の制御により駆動することで、貯湯タンク11内の湯水のうち上部に存在している高温の湯水を、熱源往き管31に流出させ、追焚熱交換器12内の熱源管12aを通過させることで温度低下させつつ、熱源戻り管32を介して貯湯タンク11の下端近傍に戻している。
【0047】
また、追焚熱源回路30は、沸き上げ運転時に発生する高温の膨張水を排水口74に導くための第1排水管34を有している。第1排水管34は、熱源往き管31の分岐点N1に分岐接続されており、後述する配管継手70に接続されている。また、第1排水管34には、負圧作動式逃がし弁34aが配設されている。負圧作動式逃がし弁34aは、貯湯タンク11内の水圧が所定の水圧未満の場合には、その弁体を閉塞して、貯湯タンク11内の湯水が、第1排水管34を経て排水口74から貯湯ユニット10外に排出されることを禁止する。一方、貯湯タンク11内の水圧が所定の水圧以上の場合は、その弁体を開成して、貯湯タンク11内の湯水(膨張水)を、第1排水管34を経て排水口74から貯湯ユニット10外に排出するものである。
【0048】
(3−5)追焚利用回路
追焚利用回路40は、貯湯タンク11に蓄えられている湯水の有している熱を、追焚熱源回路30を介して得るための回路である。また、追焚利用回路40は、主に、利用往き管41、利用戻り管42、利用ポンプP2、外部配管43,45、及び、浴槽接続アダプター44を有している。
【0049】
利用往き管41の一方の端部は、ふろ循環戻り口10cを介して、外部配管43に接続されている。また、利用往き管41の他端部は、追焚熱交換器12内の利用管12bの上流側端部に接続されている。また、利用往き管41には、通過する湯又は水の温度を検知するためのふろサーミスタT7が設けられている。さらに、利用ポンプP2は、利用往き管41の途中に設けられている。
【0050】
利用戻り管42の一方の端部は、ふろ循環往き口10dを介して、外部配管45と接続されている。また、利用戻り管42の他端部は、追焚熱交換器12内の利用管12bの下流側端部と接続されている。
【0051】
外部配管43は、利用往き管41と浴槽接続アダプター44とを接続している。外部配管45は、利用戻り管42と浴槽接続アダプター44とを接続している。また、浴槽接続アダプター44は、浴槽18内に配置されており、浴槽18内に湯を流出させたり、浴槽18内から湯又は水を取り込んだりするものである。なお、外部配管43,45及び浴槽接続アダプター44は、図1に示すように、ケーシング13外に配置されている。
【0052】
追焚利用回路40では、利用ポンプP2が制御装置90の制御により駆動することで、浴槽18の湯又は水を、浴槽接続アダプター44を介して外部配管43側から利用往き管41側に流出させ、追焚熱交換器12内の利用管12bを通過させることで温度上昇させつつ、利用戻り管42及び外部配管45を介して浴槽18に戻している。これにより、浴槽18の湯又は水の温度を上げることができ、追い炊きを実行することができる。
【0053】
(3−6)給湯配管系
給湯配管系50は、外部の市水等から水の供給を受けつつ、貯湯タンク11に蓄えられている湯水を利用するための経路であって、給水管51、出湯管52、供給管53、給湯混合弁54、及び、お湯はり混合弁55を有している。
【0054】
給水管51は、外部の市水等から供給される水の流れる配管であって、第1給水管51aと、第2給水管51bと、第3給水管51cと、を有する。
【0055】
第1給水管51aは、貯湯ユニット10外部の水源から供給される水が流れる外部給水管17と、給湯混合弁54とを接続している。外部給水管17と第1給水管51aとは、給水接続口10eを介して接続されている。第1給水管51aは、外部の水源から供給される常温の水を、分岐点N2,N3を介して、給湯混合弁54に導く。また、第1給水管51aには、給水接続口10eと分岐点N2との間に、逆止弁付きストレーナと、給水接続口10e側から流入した水の水圧を所定の水圧に減圧する減圧弁Rとが配設されている。逆止弁付きストレーナは、給水接続口10e側から流入した水に含まれるゴミを取るためのストレーナSと、給水接続口10e側から流入した水の逆流を防止するための逆止弁B2とを含む。さらに、第1給水管51aには、分岐点N2近傍に、第1給水管51aを流れる水の温度を検出する水温サーミスタT8が配設されている。また、第1給水管51aには、給湯混合弁54と分岐点N3との間に、分岐点N3側から流れてきた水の逆流を防止するための逆止弁B3が配設されている。
【0056】
第2給水管51bは、第1給水管51aの分岐点N3に分岐接続されており、第1給水管51aとお湯はり混合弁55とを接続している。第2給水管51bは、外部の水源から供給される常温の水を、第1給水管51aの分岐点N2,N3を介して、お湯はり混合弁55に導く。
【0057】
第3給水管51cは、第1給水管51aの分岐点N2に分岐接続されており、第1給水管51aと貯湯タンク11の下端部とを接続している。第3給水管51cは、外部の水源から供給される常温の水を、第1給水管51aの分岐点N2を介して、貯湯タンク11の下端近傍に導く。また、第3給水管51cには、分岐点N2側から流入した水の逆流を防止するための逆止弁B4が配設されている。なお、外部給水管17から第1給水管51aに流入する水は、その水圧により、分岐点N2を介して第3給水管51cを流れて貯湯タンク11に供給される。この結果、貯湯タンク11は、常に満水状態に保たれている。
【0058】
出湯管52は、貯湯タンク11内の湯水を浴槽18以外の供給先である供給部16に供給するための第1出湯管52aと、貯湯タンク11内の湯水を浴槽18に供給するための第2出湯管52bと、を有する。
【0059】
第1出湯管52aは、貯湯タンク11の上端部と、給湯混合弁54とを接続している。また、第1出湯管52aには、貯湯タンク11に蓄えられている湯水のうち、上端部近傍に存在している比較的温度の高い湯水が流れる。また、第1出湯管52aには、貯湯タンク11側から流入した湯水の逆流を防止するための逆止弁B5が配設されている。
【0060】
第2出湯管52bは、熱源往き管31の分岐点N4に分岐接続されており、熱源往き管31とお湯はり混合弁55とを接続している。第2出湯管52bは、貯湯タンク11に蓄えられている湯水のうち上端部近傍に存在している比較的温度の高い湯水を、熱源往き管31の一部を介して、お湯はり混合弁55に導く。
【0061】
供給管53は、給水管51を流れる常温の水と、貯湯タンク11の上端部近傍から出湯管52を通じて流れる高温の湯水と、の混合された湯水の流れる配管である。なお、供給管53内には、第1給水管51aを流れる水の温度(常温)と、貯湯タンク11の上端近傍に存在する湯水の温度と、の間の温度の湯水が流れる。また、供給管53は、給湯混合弁54に接続されている第1供給管53aと、お湯はり混合弁55に接続されている第2供給管53bと、を有している。
【0062】
第1供給管53aの給湯混合弁54に接続されている側の端部とは反対側の端部は、給湯接続口10fを介して、外部配管99に接続されている。外部配管99は、供給部16に接続されており、第1供給管53aを流れる湯水は、供給部16側に流れる。また、第1供給管53aには、内部を流れる湯水の水量を検出する給湯水量センサFLS1と、第1供給管53aを流れる湯水の温度を検出する給湯サーミスタT9とが配設されている。なお、給湯サーミスタT9及び給湯水量センサFLS1は、所定時間(例えば、1秒)毎に検出した検出結果に関する情報を、制御装置90に送信する。
【0063】
第2供給管53bのお湯はり混合弁55に接続されている端部とは反対側の端部は、利用戻り管42の分岐点N5に接続されている。言い換えると、第2供給管53bは、追焚熱源回路30の熱源往き管31と、追焚利用回路40の利用戻り管42とをバイパスしている。
【0064】
また、第2供給管53bには、お湯はり水量センサFLS2と、お湯はりサーミスタT10とが配設されている。お湯はり水量センサFLS2は、第2供給管53bを流れる湯水の水量を検出するものである。お湯はりサーミスタT10は、第2供給管53bを流れる湯水の温度を検出するためのものである。さらに、第2供給管53bには、複合水弁に含まれるお湯はり電磁弁SVと、2つの逆止弁B6,B7とが配設されている。お湯はり電磁弁SVは、電動モータによりその弁体の開度が調整されることで、利用戻り管42に流入する湯水の水量を調整するものである。逆止弁B6,B7は、お湯はり水量センサFLS2を挟むように配置されている。逆止弁B6,B7は、第2供給管53bを流れる湯水のお湯はり混合弁55側への逆流、又は、浴槽18からの湯水の逆流を防止する。
【0065】
また、第2供給管53bの分岐点N6には、第2供給管53bを流れる湯水を排水口74に導くための第2排水管53cが分岐接続されている。なお、本実施形態では、分岐点N6は、逆止弁B6と、お湯はり水量センサFLS2との間に位置している。また、第2排水管53cは、後述する配管継手70に接続されている。さらに、第2排水管53cには、複合水弁に含まれる排水弁59が配設されている。排水弁59は、その弁体が開成することで、第2供給管53bに溜まった湯水を、第2排水管53cを通じて排水口74からケーシング13外に排出するものである。排水弁59は、電動式に構成されており、制御装置90の制御により、その弁体の開度が調整されるようになっている。
【0066】
給湯混合弁54は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式の弁である。給湯混合弁54は、制御装置90の制御により、その弁体の開度が調整されることで、第1出湯管52aからの湯水と第1給水管51aからの水とを所望の混合比率で混合し、その混合した湯水を、第1供給管53a及び外部配管99を通じて供給部16に流出させる。
【0067】
お湯はり混合弁55は、電動モータによりその弁体の開度が調整される電動式の弁である。お湯はり混合弁55は、制御装置90の制御により、その弁体の開度が調整されることで、第2出湯管52bからの湯水と第2給水管51bからの水とを所望の混合比で混合し、その混合した湯水を、第2供給管53b及び利用戻り管42の一部を通じて浴槽18に流出させる。
【0068】
(3−7)配管継手
配管継手70は、貯湯ユニット10において生じる全排水を集約し、集約した排水が1つの排水口74から貯湯ユニット10外部に排出されるように構成されている。具体的には、配管継手70は、排水用三方弁60に接続されている排出配管80、第1排水管34、及び、第2排水管53cが接続される配管継手である。このため、複数の配管を流れる排水が1つの排水口74から貯湯ユニット10外部に排出される。
【0069】
(4)制御装置の構成
制御装置90は、各サーミスタT1〜T10や各水量センサFLS1,FLS2等の検出結果に基づき、各弁54,55,59,SV、ヒートポンプユニット83及び各ポンプP1,P2,P3等の各種機器を制御する。また、制御装置90は、図2に示すように、コントローラ85に接続されている。コントローラ85は、利用者の操作を受け付けるものである。例えば、コントローラ85は、供給部16から供給される湯水の温度を設定可能な設定部86を有している。設定部86は、利用者が設定した設定温度に関する情報を、制御装置90に送信する。また、制御装置90は、開度調整部91と、記憶部92と、を備えている。なお、以下より、説明の便宜上、第1供給管53aを流れ、供給部16から供給される湯水を、混合水という。
【0070】
開度調整部91は、給湯混合弁54において混合される水と温水との混合割合を変更するために、給湯混合弁54の開度を調整する。また、開度調整部91は、利用者が設定部86を操作することによって設定される設定温度、給湯サーミスタT9及び給湯水量センサFLS1の検知結果に基づいて、給湯混合弁54の開度を調整する安定開度調整制御を行う。具体的には、開度調整部91は、安定開度調整制御において、給湯サーミスタT9から送信される第1供給管53aを流れる混合水の温度に関する情報に基づく混合水の温度と、設定部86から送信される設定温度に関する情報に基づく設定温度とが等しくなるように、給湯混合弁54の開度を調整する。なお、安定開度調整制御は、供給部16への混合水の供給時に行われる制御であり、開度調整部91は、給湯水量センサFLS1から所定量(例えば、0ml)より多い水量検出に関する情報が送信されることで、供給部16への供給が開始されたと判断し、安定開度調整制御を開始する。さらに、開度調整部91は、供給部16への混合水の供給が再開されたか否かを判断する。具体的には、開度調整部91は、後述する供給休止状態であると判断した後、後述する給湯停止状態であると判断する前に、給湯水量センサFLS1から所定量より多い水量検出に関する情報が送信されることで、供給部16への混合水の供給が再開されたと判断する。また、開度調整部91は、後述する供給休止状態であると判断した後、給湯水量センサFLS1から所定量より多い水量検出に関する情報が送信される前に、後述する給湯停止状態であると判断した場合には、供給部16への混合水の供給が再開されていないと判断する。また、以下では、説明の便宜上、安定開度調整制御時の給湯混合弁54の開度を、所定開度という。また、開度調整部91は、安定開度決定部93と、休止開度決定部94と、を有している。
【0071】
安定開度決定部93は、安定開度調整制御が行われている時の給湯混合弁54の開度であって、給湯サーミスタT9の検知結果に基づく混合水の温度と設定温度との差が所定範囲(例えば、±0.5℃)内である状態が、所定時間(例えば、2秒)以上継続した時の開度を、安定開度(所定開度に相当)に決定する。なお、安定開度決定部93によって決定された安定開度は、記憶部92に記憶される。
【0072】
休止開度決定部94は、安定開度決定部93によって決定された安定開度に基づいて、休止開度を決定する。具体的には、休止開度決定部94は、安定開度のパルス量Aに補正量αを加えた値(A+α)を、休止開度のパルス量に決定する。このようにして、休止開度決定部94は、休止開度を決定する。また、休止開度決定部94によって決定された休止開度は、記憶部92に記憶される。なお、安定開度と休止開度との差、すなわち、安定開度からの補正量αは、予め実験等によって得られた値に基づいて決定されており、記憶部92に記憶されている。また、本実施形態では、補正量αは、安定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも水の割合が大きくなるように決定されている。このため、例えば、給湯混合弁54の開度が休止開度に調整されている場合には、給湯混合弁54の開度が安定開度に調整されている場合よりも、混合水における水の割合が大きくなる。
【0073】
ここで、本実施形態では、安定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも水の割合が大きくなるように補正量αが決定されているが、これに限定されず、安定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも温水の割合が大きくなるように補正量αが決定されていてもよい。
【0074】
さらに、開度調整部91は、供給部16への混合水の供給が停止した場合、供給休止状態であると判断する。具体的には、開度調整部91は、給湯水量センサFLS1から所定量(例えば、0ml)より多い水量検出に関する情報が送信された後に、給湯水量センサFLS1から所定量(例えば、0ml)以下の水量検出に関する情報が送信されることで、供給休止状態であると判断する。そして、開度調整部91は、供給休止状態であると判断した場合には、所定開度から休止開度となるように、給湯混合弁54の開度を調整する。
【0075】
また、開度調整部91は、供給部16への混合水の供給が所定時間(例えば、30分)以上停止された場合、すなわち、給湯水量センサFLS1から所定量(例えば、0ml)以下の水量検出に関する情報が送信されてから所定時間が経過した場合には、供給停止状態であると判断し、給湯混合弁54の開度が初期開度となるように、給湯混合弁54の開度を調整する。ここで、本実施形態における初期開度とは、混合水における水の混合割合が100%となる給湯混合弁54の開度、すなわち、混合水における温水の混合割合が0%となる給湯混合弁54の開度のことである。また、本実施形態では、初期開度が上記のように設定されているが、初期開度における混合水の水と温水との混合割合は、これに限定されない。また、初期開度は、予め記憶部92に記憶されている。
【0076】
(5)開度制御部による給湯混合弁の制御動作
次に、図3を用いて、開度調整部91による給湯混合弁54の制御動作について説明する。なお、以下では、給湯混合弁54の開度が初期開度に調整されている場合、すなわち、開度調整部91によって供給停止状態であると判断されてからの開度調整部91による給湯混合弁54の制御内容を説明している。
【0077】
開度調整部91は、供給が開始されたと判断した場合、安定開度調整制御を行う(ステップS1,ステップS2)。これにより、給湯混合弁54の開度が、初期開度から所定開度に調整される。また、安定開度決定部93は、安定開度調整制御が実行されている間に、安定開度を決定する(ステップS3)。さらに、安定開度決定部93によって決定された安定開度は、記憶部92に記憶される(ステップS3)。また、休止開度決定部94は、安定開度決定部93によって決定された安定開度に基づいて、休止開度を決定する(ステップS3)。そして、休止開度決定部94によって決定された休止開度は、記憶部92に記憶される(ステップS3)。
【0078】
次に、開度調整部91は、供給休止状態であると判断した時に、所定開度から、記憶部92に記憶されている休止開度となるように、給湯混合弁54の開度を調整する(ステップS4,ステップS5)。
【0079】
そして、開度調整部91は、供給停止状態であると判断する前に、供給部16への混合水の供給が再開されたと判断した場合、判断した直後に、給湯混合弁54の開度を、休止開度から、記憶部92に記憶されている安定開度に調整する(ステップS6,ステップS7)。その後、開度調整部91は、再び安定開度調整制御を行い、記憶部92に記憶されている安定開度から、給湯混合弁54の開度を更に調整する(ステップS2)。また、安定開度決定部93は、今回の安定開度調整制御が実行されている間に、新たな安定開度を決定し、安定開度決定部93によって決定された新たな安定開度が、安定開度として記憶部92に記憶される(ステップS3)。また、休止開度決定部94は、安定開度決定部93によって決定された新たな安定開度に基づいて、新たな休止開度を決定する(ステップS3)。そして、休止開度決定部94によって決定された新たな休止開度は、休止開度として記憶部92に記憶される(ステップS3)。
【0080】
また、開度調整部91は、ステップS6において、供給停止状態であると判断した場合には、給湯混合弁54の開度を、休止開度から初期開度に調整する(ステップS8)。
【0081】
なお、ステップS2からステップS7までの処理は、ステップS6において供給停止状態であると判断されるまで、繰り返し行われる。
【0082】
(6)特徴
(6−1)
従来より、第1給水管を流れる水と第1出湯管を流れる湯水(温水)とを混合した混合水を、蛇口等の供給部に供給する貯湯式給湯装置がある。このような貯湯式給湯装置では、混合水の供給が休止されてから再開されるまでの間、安定開度が維持されるように給湯混合弁が調整された場合、混合水の供給再開時の給湯混合弁の開度が安定開度であっても、供給再開直後に供給部に供給される混合水の温度が、設定温度よりも高く、或いは、低くなることがある(図4参照)。
【0083】
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、混合水の供給休止中に、安定開度時の水と湯水との混合割合よりも水又は湯水の割合が大きい休止開度が維持されるように給湯混合弁を調整し、混合水の供給再開時に、給湯混合弁を安定開度に調整した場合には、供給再開直後に供給部に供給される混合水の温度が、設定温度に近づくことを見出した(図5参照)。
【0084】
そして、本実施形態では、供給休止状態であると判断された場合、所定開度から、記憶部92に記憶されている休止開度となるように、給湯混合弁54の開度が調整される。また、供給部16への混合水の供給が再開されたと判断された場合、給湯混合弁54の開度が、休止開度から、記憶部92に記憶されている安定開度に調整される。このため、供給部16への混合水の供給再開直後に、設定温度と異なる温度の混合水が供給部16に供給されるおそれを低減することができる。
【0085】
これによって、利用者に不快感を与えるおそれを低減することができている。
【0086】
(6−2)
本実施形態では、開度調整部91は、給湯水量センサFLS1から所定量より多い水量検出に関する情報が送信されることで供給部16への供給が開始されたと判断し、混合水の温度と設定温度とが等しくなるように、給湯混合弁54の開度を調整する安定開度調整制御の実行を開始する。また、安定開度決定部93は、安定開度調整制御が行われている時の給湯混合弁54の開度であって、給湯サーミスタT9の検知結果に基づく混合水の温度と設定温度との差が所定範囲(例えば、±0.5℃)内である状態が、所定時間(例えば、2秒)以上継続した時の開度を、安定開度に決定する。このため、例えば、安定開度が設定温度と無関係な開度に決定される場合と比較して、供給再開後に供給部16から供給される混合水の温度と、設定温度との差を小さくすることができている。
【0087】
(6−3)
本実施形態では、開度調整部91は、供給休止状態であると判断した後に、給湯水量センサFLS1から所定量より多い水量検出に関する情報が送信されることで供給部16への供給が再開されたと判断している。また、開度調整部91は、供給部16への混合水の供給が再開されたと判断した場合、判断した直後に、給湯混合弁54の開度を、休止開度から、記憶部92に記憶されている安定開度に調整する。このように、供給が再開されたと判断されると、直ちに給湯混合弁54の開度が安定開度に調整されるため、供給再開後に供給部16から供給される混合水の温度と、設定温度との間に差を生じさせにくくすることができる。これにより、給湯再開後のアンダーシュートの発生を防止することができる。
【0088】
(6−4)
本実施形態では、安定開度と休止開度との差、すなわち、安定開度からの補正量αは、予め実験等によって得られた値に基づいて決定されている。このため、安定開度と休止開度との間に、一定の差を設けることができる。そして、安定開度と休止開度との差が一定であるため、休止開度を安定開度に応じて変更することができる。この結果、日々異なる水や温水の温度によって変化する安定開度に応じた休止開度を決定することができる。
【0089】
ここで、第1給水管を流れる水と第1出湯管を流れる湯水とを混合した混合水を、蛇口等の供給部に供給する貯湯式給湯装置において、供給部への混合水の供給が休止されてから再開されるまでの間、給湯混合弁の開度として安定開度が維持されている場合、供給部への混合水の供給再開時には、設定温度よりも高い温度の混合水が供給されることが多い。
【0090】
そこで、本実施形態では、補正量αは、安定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも水の割合が大きくなるように決定されている。このため、給湯混合弁54の開度が休止開度に調整されている場合には、給湯混合弁54の開度が安定開度に調整されている場合の混合水の水と温水との混合割合よりも水の割合が大きくなる。したがって、この貯湯式給湯装置では、供給部16への混合水の供給再開時に、設定温度よりも高い温度の混合水が供給されるおそれを低減することができている。
【0091】
(7)変形例
(7−1)変形例1A
上記実施形態では、安定開度決定部93によって決定された安定開度は、記憶部92に記憶されている。これに代えて、安定開度が記憶されなくてもよい。また、安定開度が記憶されない場合には、開度調整部91によって、供給部16への混合水の供給が再開されたと判断されることで、給湯混合弁54の開度が、休止開度から初期開度に調整されてもよい。
【0092】
(7−2)変形例1B
上記実施形態では、補正量αは、予め実験等によって得られた値に基づいて決定されており、記憶部92に記憶されている。これに加えて、補正量αを現地で補正できるようにしてもよい。
【0093】
(7−3)変形例1C
上記実施形態では、供給再開が検知されると、直ちに給湯混合弁54の開度が休止開度から安定開度に調整されている。
【0094】
これに代えて、供給再開が検知された後、フィードバック制御により給湯混合弁の開度を、休止開度から徐々に安定開度に調整してもよい。また、このような場合には、補正量を、上記実施形態における補正量αよりも小さくしてもよい。
【0095】
(7−4)変形例1D
上記実施形態では、第1供給管53aを流れる混合水の水量、各種運転モード(運転内容)及び設定温度等とは関係なく休止開度が決定されている。これに代えて、第1供給管53aを流れる混合水の水量、各種運転モード及び設定温度等が加味されて休止開度が決定されていてもよい。
【0096】
<第2実施形態>
以下に、本発明の第2実施形態に係る貯湯式給湯装置について説明する。なお、本実施形態における貯湯式給湯装置において、(2)ヒートポンプユニットの構成、及び、(3)貯湯ユニットの構成については、上記第1実施形態と同様の構成であるため、以下では、(4)制御装置の構成、及び、(5)開度制御部による給湯混合弁の制御動作についての説明のみを行い、(1)から(3)については、説明を省略する。
【0097】
(4)制御装置の構成
制御装置190は、各サーミスタT1〜T10や各水量センサFLS1,FLS2等の検出結果に基づき、各弁54,55,59,SV、ヒートポンプユニット83及び各ポンプP1,P2,P3等の各種機器を制御する。また、制御装置190は、図6に示すように、コントローラ185に接続されている。コントローラ185は、利用者の操作を受け付けるものである。例えば、コントローラ185は、供給部16から供給される湯水の温度を設定可能な設定部186を有している。設定部186は、利用者が設定した設定温度に関する情報を、制御装置190に送信する。また、制御装置190は、開度調整部191と、記憶部192と、を備えている。なお、以下より、説明の便宜上、第1供給管53aを流れ、供給部16から供給される湯水を、混合水という。
【0098】
開度調整部191は、給湯混合弁54において混合される水と温水との混合割合を変更するために、給湯混合弁54の開度を調整する。また、開度調整部191は、利用者が設定部186を操作することによって設定される設定温度、給湯サーミスタT9及び給湯水量センサFLS1の検知結果に基づいて、給湯混合弁54の開度を調整する安定開度調整制御を行う。具体的には、開度調整部191は、安定開度調整制御において、給湯サーミスタT9から送信される第1供給管53aを流れる混合水の温度に関する情報に基づく混合水の温度と、設定部186から送信される設定温度に関する情報に基づく設定温度とが等しくなるように、給湯混合弁54の開度を調整する。なお、安定開度調整制御は、供給部16への混合水の供給時に行われる制御であり、開度調整部191は、給湯水量センサFLS1から所定量(例えば、0ml)より多い水量検出に関する情報が送信されることで、供給部16への供給が開始されたと判断し、安定開度調整制御を開始する。さらに、開度調整部191は、供給部16への混合水の供給が再開されたか否かを判断する。具体的には、開度調整部191は、後述する供給休止状態であると判断した後、後述する給湯停止状態であると判断する前に、給湯水量センサFLS1から所定量より多い水量検出に関する情報が送信されることで、供給部16への混合水の供給が再開されたと判断する。また、開度調整部191は、後述する供給休止状態であると判断した後、給湯水量センサFLS1から所定量より多い水量検出に関する情報が送信される前に、後述する給湯停止状態であると判断した場合には、供給部16への混合水の供給が再開されていないと判断する。なお、以下では、説明の便宜上、安定開度調整制御時の開度を、所定開度という。
【0099】
また、開度調整部191は、供給部16への混合水の供給が停止した場合、供給休止状態であると判断する。具体的には、開度調整部191は、給湯水量センサFLS1から所定量(例えば、0ml)より多い水量検出に関する情報が送信された後に、給湯水量センサFLS1から所定量(例えば、0ml)以下の水量検出に関する情報が送信されることで、供給休止状態であると判断する。そして、開度調整部191は、供給休止状態であると判断した場合には、所定開度から、後述する休止開度となるように、給湯混合弁54の開度を調整する。
【0100】
なお、開度調整部191は、供給部16への混合水の供給が所定時間(例えば、30分)以上停止された場合、すなわち、給湯水量センサFLS1から所定量(例えば、0ml)以下の水量検出に関する情報が送信されてから所定時間が経過した場合には、供給停止状態であると判断し、給湯混合弁54の開度が初期開度となるように、給湯混合弁54の開度を調整する。ここで、本実施形態における初期開度とは、混合水における水の混合割合が100%となる給湯混合弁54の開度、すなわち、混合水における温水の混合割合が0%となる給湯混合弁54の開度のことである。また、本実施形態では、初期開度が上記のように設定されているが、初期開度における混合水の水と温水との混合割合は、これに限定されない。また、初期開度は、予め記憶部192に記憶されている。
【0101】
なお、本実施形態では、記憶部192には、給湯混合弁54の開度は、パルス量で記憶されているものとする。また、開度調整部191は、安定開度決定部193と、休止開度決定部194と、を有している。
【0102】
安定開度決定部193は、安定開度調整制御が行われている時の給湯混合弁54の開度であって、給湯サーミスタT9の検知結果に基づく混合水の温度と利用者によって設定された設定温度との差が所定範囲(例えば、±0.5℃)内である状態が、所定時間(例えば、2秒)以上継続した時の開度を、安定開度(所定開度に相当)に決定する。なお、安定開度決定部193によって決定された安定開度は、記憶部192に記憶される。
【0103】
休止開度決定部194は、供給部16への混合水の供給が再開された後の混合水の温度変化に応じて、休止開度を決定する休止開度決定制御を行う。また、休止開度決定部194は、監視部195を有している。監視部195は、供給部16への混合水の供給が再開された後の混合水の温度変化を監視する。具体的には、監視部195は、開度調整部191によって、供給部16への混合水の供給が再開されたと判断された場合に、混合水の供給部16への供給が再開された直後から所定時間(例えば、5秒)内の混合水の温度変化を監視する。なお、監視部195は、給湯サーミスタT9から送信される検知結果に基づいて、混合水の温度変化を監視する。より詳しくは、監視部195は、混合水の供給が再開された直後から所定時間内に給湯サーミスタT9から送信される温度のうちのピーク温度(最大温度、又は、最小温度)と、設定温度と、の差を、混合水の温度変化値ΔTとして特定する(図4参照)。例えば、設定温度が「40」℃であり、ピーク温度が「43」℃である場合には、監視部195は、混合水の温度変化値ΔTを「+3」として特定する。
【0104】
ここで、図7は、混合水の温度変化値範囲と補正量との対応関係を示すテーブルであって、このテーブルは記憶部192に記憶されている。
【0105】
休止開度決定部194は、休止開度決定制御において、監視部195において特定された温度変化値ΔTが、図7に示すテーブルのいずれの温度変化値範囲に入るかを把握し、把握した温度変化値範囲に応じた補正量を選択して抽出する。そして、休止開度決定部194は、休止開度のパルス量を、記憶部192に記憶されている安定開度のパルス量に補正量αを加えた値に決定する。例えば、監視部195において特定された温度変化値ΔTが、「+3」の場合には、休止開度決定部194は、当該温度変化値ΔTが、+2≦ΔT<+5の温度変化値範囲に入ることを把握し、補正量として「−50」を選択して抽出する。そして、休止開度決定部194は、安定開度のパルス量Aに補正量としての「−50」を加えたパルス量(A−50)を、休止開度のパルス量に決定する。このようにして、休止開度決定部194は、休止開度を決定する。なお、休止開度決定部194によって決定された休止開度は、記憶部192に記憶される。
【0106】
(5)開度制御部による給湯混合弁の制御動作
次に、図8を用いて、開度調整部191による給湯混合弁54の制御動作について説明する。なお、以下では、給湯混合弁54の開度が初期開度に調整されている場合、すなわち、開度調整部191によって供給停止状態であると判断された状態からの開度調整部191による給湯混合弁54の制御内容を説明している。
【0107】
開度調整部191は、供給部16への混合水の供給が開始されたと判断した場合、安定開度制御を行う(ステップS21,ステップS22)。これにより、給湯混合弁54の開度が、初期開度から所定開度に調整される。また、安定開度決定部193は、安定開度調整制御の実行中に、安定開度を決定する(ステップS23)。さらに、安定開度決定部193によって決定された安定開度は、パルス量で記憶部192に記憶される(ステップS23)。
【0108】
次に、開度調整部191は、供給休止状態であると判断した後、供給停止状態であると判断する前に、供給が再開されたと判断した場合には、再び、安定開度調整制御を行う(ステップS24,ステップS25,ステップS26)。なお、ステップS24で供給休止状態であると判断されてから、ステップS25で供給が再開されたと判断されるまで、給湯混合弁54の開度は、安定開度で維持されている。そして、ステップS26において安定開度調整制御を再び行うことで、開度調整部191は、給湯混合弁54の開度を、記憶部192に記憶されている安定開度から所定開度に調整する。また、安定開度決定部193は、今回の安定開度調整制御中に、新たな安定開度を決定する。そして、安定開度決定部193によって決定された新たな安定開度は、パルス量で安定開度として記憶部192に記憶される。
【0109】
また、ステップS26において安定開度調整制御が実行され、安定開度決定部193によって新たに安定開度が決定され、新たな安定開度が記憶部192に記憶された後に、休止開度決定部194によって、休止開度決定制御が行われる(ステップS27)。そして、休止開度決定部194によって、休止開度が決定された場合、決定された休止開度が、パルス量で記憶部192に記憶される(ステップS28)。
【0110】
そして、開度調整部191は、供給休止状態であると判断した場合には、給湯混合弁54の開度を、所定開度から、記憶部192に記憶されている休止開度に調整する(ステップS29,ステップS30)。
【0111】
その後、開度調整部191は、供給停止状態であると判断する前に、供給が再開されたと判断した場合には、供給が再開されたと判断した直後に、休止開度から、記憶部192に記憶されている安定開度に、給湯混合弁54の開度を調整する(ステップS31,ステップS32)。そして、その後、開度調整部191は、再び安定開度調整制御を行う(ステップS33)。
【0112】
また、開度調整部191は、ステップS25、或いは、ステップS31において、供給が再開されたと判断する前に、供給停止状態であると判断した場合には、給湯混合弁54の開度を、休止開度から初期開度に調整する(ステップS34)。
【0113】
なお、ステップS29からステップS32までの処理は、ステップS31において供給停止状態であると判断されるまで、繰り返し行われる。
【0114】
(6)特徴
(6−1)
本実施形態では、休止開度決定部194によって、供給部16への混合水の供給が再開された後の混合水の温度変化に応じて休止開度を決定する休止開度決定制御が行われる。また、供給休止状態であると判断された場合には、給湯混合弁54の開度が、所定開度から、記憶部192に記憶されている休止開度に調整されている。また、混合水の供給が再開された場合には、休止開度から、記憶部192に記憶されている安定開度に、給湯混合弁54の開度が調整されている。このため、混合水の供給再開直後に、設定温度と異なる温度の混合水が供給部16に供給されるおそれを低減することができている。
【0115】
(6−2)
本実施形態では、開度調整部191は、給湯水量センサFLS1から所定量より多い水量検出に関する情報が送信されることで供給部16への混合水の供給が開始されたと判断し、混合水の温度と設定温度とが等しくなるように、給湯混合弁54の開度を調整する安定開度調整制御の実行を開始する。また、安定開度決定部193は、安定開度調整制御が行われている時の給湯混合弁54の開度であって、給湯サーミスタT9の検知結果に基づく混合水の温度と利用者によって設定された設定温度との差が所定範囲(例えば、±0.5℃)内である状態が、所定時間(例えば、2秒)以上継続した時の開度を、安定開度に決定する。このため、例えば、安定開度が設定温度と無関係な開度に決定される場合と比較して、給湯再開後に供給部16から供給される混合水の温度と、設定温度との差を小さくすることができている。
【0116】
(6−3)
本実施形態では、開度調整部191が、供給休止状態であると判断した後に給湯水量センサFLS1から所定量より多い水量検出に関する情報が送信されることで、供給部16への混合水の供給が再開されたと判断している。また、開度調整部191は、供給部16への混合水の供給が再開されたと判断した場合、判断した直後に、給湯混合弁54の開度を、休止開度から、記憶部192に記憶されている安定開度に調整する。このように、供給再開が検知されると、直ちに給湯混合弁54の開度が安定開度に調整されるため、供給再開後に供給部16から供給される混合水の温度と、設定温度との間に差を生じさせにくくすることができる。これにより、供給再開後のアンダーシュートの発生を防止することができる。
【0117】
(6−4)
本実施形態では、休止開度決定部194は、供給部16への混合水の供給が再開された後の混合水の温度変化を監視する監視部195を有している。また、休止開度決定部194は、監視部195において特定された温度変化値ΔTが、記憶部192に記憶されているテーブルのいずれの温度変化値範囲に入るかを把握し、把握した温度変化値範囲に応じた補正量を選択して抽出する。そして、休止開度決定部194は、休止開度のパルス量を、記憶部192に記憶されている安定開度のパルス量に補正量αを加えた値に決定する。このように、この貯湯式給湯装置では、供給される混合水の温度変化に応じて、休止開度を決定することができる。
【0118】
(7)変形例
(7−1)変形例2A
上記実施形態では、開度調整部191によって供給部16への混合水の供給が開始されたと判断されてから供給停止状態であると判断されるまでの間に、休止開度決定部195による休止開度調整制御が1度だけ行われている。
【0119】
これに代えて、開度調整部191によって供給部16への混合水の供給が開始されたと判断されてから供給停止状態であると判断されるまでの間に、休止開度調整制御が複数回行われてもよい。以下には、開度調整部191によって、供給部16への混合水の供給が開始されたと判断されてから供給停止状態であると判断されるまでの間に、休止開度調整制御が、複数回行われる場合について説明する。
【0120】
休止開度決定部194は、供給部16への混合水の供給が再開された後の混合水の温度変化に応じて、休止開度を決定する休止開度決定制御を行う。また、休止開度決定制御には、第1休止開度決定制御と、第2休止開度決定制御とが含まれる。
【0121】
第1休止開度決定制御は、開度調整部191によって供給停止状態と判断された後、初めて休止開度が決定される時に行われる制御である。第2休止開度決定制御は、第1休止開度決定制御が行われた後に休止開度が決定される時に行われる制御である。なお、以下より、説明の便宜上、第1休止開度決定制御において決定される休止開度を、第1休止開度といい、第2休止開度決定制御において決定される休止開度を、第2休止開度という。また、休止開度決定部194は、監視部195を有している。なお、監視部195の機能は、上記実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0122】
休止開度決定部194は、休止開度決定制御において、監視部195において特定された温度変化値ΔTが、図7に示すテーブルのいずれの温度変化値範囲に入るかを把握し、把握した温度変化値範囲に応じた補正量を選択して抽出する。そして、休止開度決定部194は、休止開度のパスル量を、記憶部192に記憶されている安定開度のパルス量A或いは記憶部192に記憶されている休止開度のパルス量B,Cに補正量αを加えた値に決定する。
【0123】
例えば、休止開度決定部194によって、第1休止開度決定制御が行われる場合であって、監視部195において特定された温度変化値ΔTが「+3」の場合には、休止開度決定部194は、当該温度変化値ΔTが、+2≦ΔT<+5の温度変化値範囲に入ることを把握し、補正量として「−50」を選択して抽出する。そして、休止開度決定部194は、安定開度のパルス量Aに補正量としての「−50」を加えたパルス量(A−50)を、第1休止開度のパルス量Bに決定する。
【0124】
また、例えば、休止開度決定部194によって、第2休止開度決定制御が行われる場合であって、監視部195において特定された温度変化値ΔTが、「+3」の場合には、休止開度決定部194は、当該温度変化値ΔTが、+2≦ΔT<+5の温度変化値範囲に入ることを把握し、補正量として「−50」を選択して抽出する。そして、休止開度決定部194は、記憶部192に記憶されている休止開度である第1休止開度のパルス量Bに補正量としての「−50」を加えたパルス量(B−50)を、第2休止開度のパルス量Cに決定する。なお、休止開度決定部194は、2回目以降の第2休止開度決定制御を行う場合には、第2休止開度のパルス量Cに補正量αを加えたパルス量(C+α)を、新たな第2休止開度のパルス量Cに決定する。
【0125】
次に、図9を用いて、開度調整部191による給湯混合弁54の制御動作について説明する。なお、以下では、給湯混合弁54の開度が初期開度に調整されている場合、すなわち、開度調整部191によって供給停止状態であると判断された状態からの開度調整部191による給湯混合弁54の制御内容を説明している。
【0126】
開度調整部191は、供給部16への混合水の供給が開始されたと判断した場合、安定開度制御を行う(ステップS51,ステップS52)。これにより、給湯混合弁54の開度が、初期開度から所定開度に調整される。また、安定開度決定部193は、安定開度調整制御の実行中に、安定開度を決定する(ステップS53)。さらに、安定開度決定部193によって決定された安定開度は、パルス量で記憶部192に記憶される(ステップS53)。
【0127】
次に、開度調整部191は、供給休止状態であると判断した後、供給停止状態であると判断する前に、供給部16への混合水の供給が再開されたと判断した場合には、再び、安定開度調整制御を行う(ステップS54,ステップS55,ステップS56)。なお、ステップS54で供給休止状態であると判断されてから、ステップS55で供給が再開されたと判断されるまで、給湯混合弁54の開度は、安定開度で維持されている。そして、ステップS56において安定開度調整制御を再び行うことで、開度調整部191は、記憶部192に記憶されている安定開度から所定開度に調整する。また、安定開度決定部193は、今回の安定開度調整制御中に、新たな安定開度を決定する。そして、安定開度決定部193によって決定された新たな安定開度は、パルス量で安定開度として記憶部192に記憶される。
【0128】
また、ステップS56において安定開度調整制御が実行され、安定開度決定部193によって新たに安定開度が決定された後に、休止開度決定部194によって、第1休止開度決定制御が行われる(ステップS57)。そして、休止開度決定部194によって、第1休止開度が決定された場合、決定された第1休止開度が、パルス量で記憶部192に記憶される。
【0129】
その後、開度調整部191は、供給休止状態であると判断した場合には、給湯混合弁54の開度を、所定開度から、記憶部192に記憶されている第1休止開度に調整する(ステップS58,ステップS59)。
【0130】
そして、開度調整部191は、供給停止状態と判断する前に、混合水の供給が再開されたと判断した場合には、混合水の供給が再開されたと判断した直後に、第1休止開度から、記憶部192に記憶されている安定開度に、給湯混合弁54の開度を調整する(ステップS60)。そして、その後、開度調整部191は、再び安定開度調整制御を行う(ステップS61)。また、ステップS61において安定開度調整制御が実行され、安定開度決定部193によって新たな安定開度が決定されると、新たな安定開度がパルス量で記憶部192に記憶される。その後、休止開度決定部194によって、第2休止開度決定制御が行われる(ステップS62)。ステップS62において第2休止開度決定制御が実行され、休止開度決定部194によって、第2休止開度が決定された場合、決定された第2休止開度が、パルス量で記憶部192に記憶される。
【0131】
その後、開度調整部191は、供給休止状態であると判断した場合には、給湯混合弁54の開度を、所定開度から、記憶部192に記憶されている第2休止開度に調整する(ステップS63,ステップS64)。そして、開度調整部191は、供給停止状態と判断する前に、混合水の供給が再開されたと判断した場合には、混合水の供給が再開されたと判断した直後に、第2休止開度から、記憶部192に新たに記憶された安定開度に、給湯混合弁54の開度を調整し、その後、安定開度調整制御を行う(ステップS60,ステップS61)。
【0132】
また、開度調整部191は、ステップS55、或いは、ステップS60において、供給部16への混合水の供給が再開されたと判断する前に、供給停止状態であると判断した場合には、給湯混合弁54の開度を、休止開度から初期開度に調整する(ステップS65)。
【0133】
なお、ステップS60からステップS64までの処理は、ステップS60において供給停止状態であると判断されるまで、繰り返し行われる。
【0134】
このように、この貯湯式給湯装置では、開度調整部191によって混合水の供給が開始されたと判断されてから供給停止状態であると判断されるまでの間であって、混合水の供給が再開される毎に、休止開度決定部194によって休止開度が決定されることで、混合水の供給再開直後に、設定温度と異なる温度の混合水が供給部16に供給されるおそれを更に低減することができる。
【0135】
(7−2)変形例2B
上記実施形態では、休止開度決定部194は、休止開度のパルス量を、記憶部192に記憶されている安定開度のパルス量に補正量αを加えた値に決定している。
【0136】
これに代えて、休止開度決定部が、休止開度のパルス量を、記憶部に記憶されている初期開度のパルス量に補正量αを加えた値に決定してもよい。
【0137】
(7−3)変形例2C
上記実施形態では、混合水の温度変化値範囲と補正量との対応関係を示すテーブルは、記憶部192に記憶されている。これに加えて、補正量αを、現地で補正できるようにしてもよい。
【0138】
(7−4)変形例2D
上記実施形態では、供給部16への混合水の供給再開が検知されると、直ちに給湯混合弁54の開度が第1休止開度、或いは、第2休止開度から安定開度に調整されている。
【0139】
これに代えて、供給部16への混合水の供給再開が検知された後、フィードバック制御により給湯混合弁の開度を、第1休止開度、或いは、第2休止開度から徐々に安定開度に調整してもよい。また、このような場合には、補正量を、上記実施形態における補正量αよりも小さくしてもよい。
【0140】
(7−5)変形例2E
上記実施形態では、補正量αが、第1供給管53aを流れる混合水の水量、各種運転モード(運転内容)及び設定温度等とは関係なく決定されている。これに代えて、補正量αが、第1供給管53aを流れる混合水の水量、各種運転モード及び設定温度等が加味されて決定されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、利用者に不快感を与えるおそれを低減することができる給湯装置の発明であり、給水管を流れる水と給湯管を流れる温水とを混合した混合水を供給部に供給する給湯装置への適用が有効である。
【符号の説明】
【0142】
1 貯湯式給湯装置(給湯装置)
51a 第1給水管(給水管)
52a 第1出湯管(給湯管)
53a 第1供給管(供給管)
54 給湯混合弁(混合弁)
90 制御装置(制御部)
195 監視部
86,186 設定部
91,191 開度調整部(判断部)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0143】
【特許文献1】特開2006−125773号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流れる給水管(51a)と、
前記給水管を流れる水よりも温度の高い温水が流れる給湯管(52a)と、
前記給水管及び前記給湯管が接続されており、前記給水管を流れる水と前記給湯管を流れる温水とを混合する混合弁(54)と、
前記混合弁に接続されており、前記混合弁において混合された水及び温水からなる混合水を供給部に流すための供給管(53a)と、
前記混合弁の開度を調整することで、前記混合弁において混合される水と温水との混合割合を変更する制御部(90)と、
を備え、
前記制御部は、
前記供給部への混合水の供給が休止されたときに、前記供給部への混合水の供給が休止される前の所定開度から、前記所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも水或いは温水の割合の大きい休止開度となるように、前記混合弁の開度を調整し、
前記供給部への混合水の供給が再開されたときに、前記休止開度から前記所定開度となるように、前記混合弁の開度を調整する、
給湯装置(1)。
【請求項2】
前記供給部から供給される混合水の温度を設定可能な設定部(86,186)と、
前記供給管を流れる混合水の温度を検出可能な検出部(T9)と、
を更に備え、
前記制御部は、前記供給部への混合水の供給時の開度であって、前記検出部によって検出される混合水の温度と前記設定部によって設定される設定温度との差が所定範囲内となったときの前記混合弁の開度を、所定開度に決定する、
請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記供給部への混合水の供給が再開されたか否かを判断する判断部(91,191)を有し、
前記判断部によって前記供給部への混合水の供給が再開されたと判断された場合には、前記休止開度から前記所定開度となるように、直ちに前記混合弁の開度を調整する、
請求項1又は2に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記所定開度と前記休止開度との差は、予め決定されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項5】
前記休止開度では、前記所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも水の割合が大きい、
請求項4に記載の給湯装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記供給部への混合水の供給が再開された後の混合水の温度変化を監視する監視部(195)を有し、前記監視部の監視結果に基づいて前記休止開度を決定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項7】
前記制御部は、監視部によって監視された混合水の温度変化が高温側への変化である場合には、前記所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも水の割合が大きくなるように、前記休止開度を決定する、
請求項6に記載の給湯装置。
【請求項8】
前記制御部は、監視部によって監視された混合水の温度変化が低温側への変化である場合には、前記所定開度における混合水の水と温水との混合割合よりも温水の割合が大きくなるように、前記休止開度を決定する、
請求項6又は7に記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−141095(P2012−141095A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293798(P2010−293798)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】