給紙口及び画像読取装置
【課題】媒体を給紙しやすくすることができる給紙口及び画像読取装置を提供する。
【解決手段】シート状の媒体Sを搬送路3に給紙する給紙口1において、媒体Sの給紙方向と交差する幅方向に対して、前記給紙される媒体Sが挿入される開口部9の両端に、媒体Sの給紙方向下流側の先端との当たり角θが鋭角となる傾斜面18が設けられたことを特徴とする。したがって、少なくとも開口部9の幅方向両端に媒体Sとの当たり角θが鋭角となる傾斜面18が設けられることから、開口部9にて媒体Sの角が引っ掛かることを抑制することができ、媒体Sを給紙しやすくすることができる。
【解決手段】シート状の媒体Sを搬送路3に給紙する給紙口1において、媒体Sの給紙方向と交差する幅方向に対して、前記給紙される媒体Sが挿入される開口部9の両端に、媒体Sの給紙方向下流側の先端との当たり角θが鋭角となる傾斜面18が設けられたことを特徴とする。したがって、少なくとも開口部9の幅方向両端に媒体Sとの当たり角θが鋭角となる傾斜面18が設けられることから、開口部9にて媒体Sの角が引っ掛かることを抑制することができ、媒体Sを給紙しやすくすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙口及び画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙などのシート状の媒体を給紙する従来の給紙口やこの給紙口から給紙された媒体の画像を読み取る従来の画像読取装置として、特許文献1には装置の前面に設けられた手差し口(給紙口)から挿入される手差しシート材を本体搬送路に直交する方向から搬送するための手差し搬送路を備えた画像形成装置、特許文献2には用紙や原稿等を画像形成装置本体へ挿入する部位に用紙や原稿等をその略全幅方向で上方から押さえ得るガイド部材が突設された画像形成装置、特許文献3には手差し用紙又は原稿を下側から支える下側ガイド部材に一定間隔を隔てて対向し前端縁が両端部側に進むにつれて後方へ後退する形状を有する上側ガイド部材が設けられた手差し挿入ガイドがそれぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2566650号公報
【特許文献2】特開2002−68534号公報
【特許文献3】特開平10−7292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような特許文献1に記載の画像形成装置、特許文献2に記載の画像形成装置、特許文献3に記載の手差し挿入ガイドなどでは、例えば、原稿にいわゆるコーナーカールが生じた場合などに、より確実に簡単に原稿を給紙できるように更なる改善が望まれていた。
【0005】
そこで本発明は、媒体を給紙しやすくすることができる給紙口及び画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による給紙口は、シート状の媒体を搬送路に給紙する給紙口において、前記媒体の給紙方向と交差する幅方向に対して、前記給紙される媒体が挿入される開口部の両端に、前記媒体の前記給紙方向下流側の先端との当たり角が鋭角となる傾斜面が設けられたことを特徴とする。
【0007】
また、上記給紙口では、前記傾斜面は、前記給紙方向の上流側端が前記幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって前記給紙方向の上流側に向かって突出するものとすることができる。
【0008】
また、上記給紙口では、前記傾斜面は、前記給紙方向及び前記幅方向と直交する高さ方向に沿った前記搬送路側からの長さが前記幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって短くなるものとすることができる。
【0009】
また、上記給紙口では、前記媒体を前記開口部に案内する案内面を有するシュータを備え、前記シュータは、前記傾斜面と前記案内面とがなす角度が、前記傾斜面と当該傾斜面と対向する搬送面とがなす角度より、小さくなるように設けられるものとすることができる。
【0010】
また、上記給紙口では、前記当たり角は、前記媒体と前記傾斜面とが前記給紙方向の上流側でかつ前記搬送路とは反対側でなす角度であるものとすることができる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明による画像読取装置は、上記給紙口と、前記給紙口から給紙された前記媒体の画像を読み取る読取装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る給紙口及び画像読取装置によれば、媒体を給紙しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態1に係る画像読取装置の概略構成例を示す模式的構成図である。
【図2】図2は、図1に示す読取部本体のA―A矢視図である。
【図3】図3は、図1に示す読取部本体のB―B矢視図である。
【図4】図4は、図2に示す読取部本体のC―C矢視図である。
【図5】図5は、図2に示す読取部本体のD―D断面図である。
【図6】図6は、図2に示す読取部本体のE―E断面図である。
【図7】図7は、図2に示す読取部本体のF―F断面図である。
【図8】図8は、図2に示す読取部本体のG―G断面図である。
【図9】図9は、図2に示す読取部本体のH―H断面図である。
【図10】図10は、実施形態1に係る給紙口の作用を説明する模式図である。
【図11】図11は、変形例に係る画像読取装置の模式図である。
【図12】図12は、変形例に係る画像読取装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る給紙口及び画像読取装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る画像読取装置の概略構成例を示す模式的構成図、図2は、図1に示す読取部本体のA―A矢視図、図3は、図1に示す読取部本体のB―B矢視図、図4は、図2に示す読取部本体のC―C矢視図、図5は、図2に示す読取部本体のD―D断面図、図6は、図2に示す読取部本体のE―E断面図、図7は、図2に示す読取部本体のF―F断面図、図8は、図2に示す読取部本体のG―G断面図、図9は、図2に示す読取部本体のH―H断面図、図10は、実施形態1に係る給紙口の作用を説明する模式図、図11、図12は、変形例に係る画像読取装置の模式図である。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、媒体を画像読取装置に給紙する方向を「給紙方向」、給紙方向と交差ここでは直交する方向を「幅方向」、給紙方向及び幅方向と直交する方向を「高さ方向」という。給紙方向は、画像読取装置の副走査方向、媒体の長さ方向に相当し、幅方向は、画像読取装置の主走査方向、媒体の幅方向に相当し、高さ方向は、媒体の厚み方向に相当する。
【0016】
本実施形態の給紙口1は、図1に示すように、画像読取装置2に適用され、用紙などの所定のサイズのシート状の媒体としての原稿Sを搬送路3に給紙するものである。画像読取装置2は、例えば、イメージスキャナ、複写機、ファクシミリ、文字認識装置などに適用される。画像読取装置2は、給紙口1と、搬送路3と、読取部本体4と、原稿台5と、制御装置6とを含んで構成される。読取部本体4は、搬送装置7、読取装置としての光学ユニット8などを含んで構成される。画像読取装置2は、給紙口1から給紙され搬送装置7によって搬送される原稿Sの画像を光学ユニット8によって読み取るものである。
【0017】
給紙口1は、シート状の原稿Sを搬送路3に給紙するものであり、給紙される原稿Sが挿入される開口部9を有している。言い換えれば、給紙口1は、光学ユニット8によって画像を読み取る原稿Sを搬送路3に給紙するものである。典型的には、給紙口1は、ユーザがいわゆる手差しによって原稿Sを画像読取装置2の搬送路3に給紙するためのものである。この場合、ユーザは、給紙口1の開口部9に原稿Sの先端を挿入する。
【0018】
搬送路3は、給紙口1から給紙された原稿Sを搬送するための通路である。搬送路3は、高さ方向に対して読取部本体4と原稿台5との間に形成される。
【0019】
読取部本体4、原稿台5は、ともに外形が幅方向に長い矩形柱状に形成される。読取部本体4と原稿台5とは、高さ方向に対向して設けられ、この高さ方向に沿った対向面の間に上記搬送路3が形成される。読取部本体4は、高さ方向に対して原稿台5と対向する面(高さ方向下面)に後述のローラ10の外周面が露出している。また、原稿台5は、高さ方向に対して読取部本体4と対向する面(高さ方向上面)に搬送路3を区画する搬送面11が形成される。ローラ10の外周面と搬送面11とは、搬送路3にて高さ方向に沿って上下に対向する。
【0020】
制御装置6は、マイクロコンピュータを中心として構成され、画像読取装置2の各部を制御するものである。制御装置6は、例えば、原稿台5の筐体内部に内蔵される。
【0021】
搬送装置7は、給紙口1から搬送路3に給紙された原稿Sを光学ユニット8へ向けて搬送するものであり、ローラ10を含んで構成される。ローラ10は、上述したように、外周面の一部が搬送路3に露出するようにして読取部本体4の筐体内部に設けられる。ローラ10は、複数個設けられる。ローラ10は、例えばモータなどの駆動源を含む駆動部から動力が伝達されることで回転駆動する。搬送装置7は、制御装置6の制御により駆動部が駆動しギヤや駆動軸などを介してローラ10に動力が伝達されることでこのローラ10が回転駆動する。そして、搬送装置7は、ローラ10の外周面と搬送面11との間に原稿Sを挟持すると共に、ローラ10が回転駆動することで搬送路3にて原稿Sを搬送する。
【0022】
光学ユニット8は、搬送装置7により搬送された原稿Sの画像を読み取るものである。光学ユニット8は、例えば、読取部本体4の筐体内部に内蔵される。光学ユニット8は、光源12と、イメージセンサ13とを備える。光源12は、例えば、LEDなどの発光手段であり、読取窓14を介して画像読取対象としての原稿Sに光を照射する。イメージセンサ13は、光源12により照射され原稿Sで反射した反射光を受光し、電気信号に変換することで画像データを読み取る。イメージセンサ13は、例えば、光を受光して電荷を発生させる複数の光電変換素子を幅方向(長手方向)に沿って一列に配置したリニアイメージセンサ(一次元イメージセンサ)としてCCDラインセンサなどを用いることができる。光学ユニット8は、この光電変換素子の配列方向、すなわち、イメージセンサ13の長手方向が走査方向となる一方、この走査方向と直交する方向、すなわち、原稿Sの搬送方向が副走査方向となる。光学ユニット8は、イメージセンサ13によって原稿S上の画像を光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取り、読み取った画像データを制御装置6に送信する。
【0023】
上記のように構成される画像読取装置2では、給紙口1から給紙され搬送装置7によって搬送される原稿Sは、光学ユニット8によって走査方向に沿った1読取ライン毎に画像が読み取られる。そして、画像読取装置2は、原稿Sが光学ユニット8のイメージセンサ13に対する相対的な移動を継続することで、副走査方向に沿って順次画像を読み取っていき、最終的に原稿S上の二次元画像データを読み取ることができる。
【0024】
なお、この画像読取装置2は、給紙口1にシュータ15が備えられている。シュータ15は、原稿Sを給紙口1の開口部9に案内する案内面16を有する。これにより、給紙口1は、シュータ15によって、原稿Sの先端が開口部9側に案内されることから、原稿Sを開口部9に挿入し易くすることができ、原稿Sの挿入性を向上することができる。ここでは、シュータ15は、案内面16が搬送面11とほぼ平行でかつ給紙方向上流側で連続するように設けられる。また、シュータ15は、例えば、案内面16が搬送面11に対してほぼ垂直となる位置まで回動することで収容可能であり、これにより、画像読取装置2の不使用時には画像読取装置2をよりコンパクトにすることができる。
【0025】
また、この画像読取装置2は、例えば、搬送路3の給紙方向下流側、すなわち、排紙側に設けられたガイド部材17を開閉することで、直線搬送と屈曲搬送とを切り替えることができる。画像読取装置2は、例えば、図1に一点鎖線で示すようにガイド部材17を展開することで、原稿Sを屈曲させて搬送し排紙することができ、これにより、原稿Sの排紙スペースの分だけ設置スペースを省スペース化することができる。また、画像読取装置2は、ガイド部材17を収納することで、原稿Sを直線状に搬送し排紙することができ、これにより、比較的剛性が高い原稿Sや厚い原稿Sが破損してしまうことを防止することができる。
【0026】
ところで、本実施形態の給紙口1、画像読取装置2は、図1に示すように、給紙口1の開口部9の形状を適正に形成することで、例えば、原稿Sにいわゆるコーナーカールが生じた場合などであっても、より確実に簡単に原稿Sを給紙できるように改善し、原稿Sをより給紙しやすくしている。なおここで、コーナーカールとは、原稿Sの幅方向両端の角がたわんだり折れ曲がったりしてカールした状態のことをいう。
【0027】
具体的には、給紙口1は、開口部9に原稿Sの給紙方向下流側の先端との当たり角θが鋭角となる傾斜面18が設けられる。傾斜面18は、読取部本体4の筐体に形成される。原稿Sとの当たり角θが鋭角となる傾斜面18は、少なくとも開口部9の幅方向両端に設けられる。ここでは、傾斜面18は、幅方向に沿って延在して形成され、開口部9の幅方向の全体にわたって設けられている。傾斜面18は、高さ方向に沿った搬送面11からの距離が給紙方向上流側から下流側に行くにしたがって徐々に短くなる(狭くなる)形状に形成される。
【0028】
より具体的に言えば、当たり角θは、給紙方向に沿った断面視にて、原稿Sの給紙方向先端と傾斜面18との接触箇所で、原稿Sと傾斜面18とが給紙方向の上流側でかつ搬送路3(さらに言えば搬送面11)とは反対側でなす角度である。つまり、傾斜面18は、副走査方行に沿った断面形状において、原稿Sと傾斜面18とが給紙方向の上流側でかつ搬送路3とは反対側でなす角度である当たり角θが90°より小さくなるように形成される。
【0029】
これにより、この給紙口1、画像読取装置2は、少なくとも開口部9の幅方向両端に原稿Sとの当たり角θが鋭角となる傾斜面18が設けられることから、例えば、原稿Sにコーナーカールが生じた場合などであっても、開口部9にて原稿Sの角が引っ掛かることを抑制することができる。この結果、給紙口1、画像読取装置2は、例えば、別個に他の給紙ガイド部材等を設けることなく、開口部9の形状を傾斜面18により改善することで、装置の大型化を抑制しつつ、言い換えれば、装置を小型化した上で、手差しによる原稿Sの開口部9への挿入性を向上することができ、より確実に簡単に原稿を給紙することができるので、原稿Sを給紙しやすくすることができる。
【0030】
なお例えば、ユーザが片手持ちで原稿Sを持って開口部9に挿入しようとする場合、一般的に、ユーザは、原稿Sの中央部をつかむ傾向にあり、これにより原稿Sの幅方向両端側がたわむおそれがある。しかしながら、給紙口1、画像読取装置2は、例えば、片手持ちにより原稿Sがたわんだ場合であっても原稿Sにコーナーカールが生じた場合と同様に、開口部9にて原稿Sの角が引っ掛かることを抑制することができ、原稿Sを給紙しやすくすることができる。
【0031】
また、傾斜面18は、図2、図4乃至図9に示すように、給紙方向の上流側端が幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって給紙方向の上流側に向かって突出する形状をなしている。傾斜面18は、幅方向両端における給紙方向上流側端の位置を基準とした当該給紙方向上流側端の給紙方向上流側への突出長さを突出量Lとした場合、この突出量Lが幅方向の位置に応じて変化する。すなわち、傾斜面18は、幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって突出量Lが徐々に大きくなり、これにより、前ツバ壁面19を形成している。
【0032】
前ツバ壁面19は、傾斜面18の給紙方向の上流側端に連続する壁面であり、ここでは高さ方向に沿って傾斜面18の上側(搬送路3とは反対側)に延在する。前ツバ壁面19は、上記のように幅方向中央部が給紙方向上流側に突出し、ここでは給紙方向に沿って湾曲した壁面をなす。言い換えれば、前ツバ壁面19は、傾斜面18の給紙方向の上流側端が幅方向両端部側に進むにつれて給紙方向下流側に後退する形状をなす。
【0033】
これにより、この給紙口1、画像読取装置2は、例えば、コーナーカールが生じている原稿Sを開口部9に挿入する際に、原稿Sの角のカール部分が前ツバ壁面19に当接し、このまま原稿Sが給紙方向下流側に進められることで、原稿Sがローラ10に到達するまでにカール部分の形状が補正される。すなわちこのとき、給紙口1、画像読取装置2は、原稿Sが給紙方向下流側におしすすめられるのに伴って、図10の模式図に矢印で示すように、前ツバ壁面19から原稿Sに外側に押し広げるような力が作用し、これにより原稿Sの角のカールやたわみが幅方向外側に押し広げられ補正(矯正)される。そして、給紙口1、画像読取装置2は、カール部分の形状が適正な形になおされた後に原稿Sがローラ10の外周面と搬送面11との間に挟まれて搬送される。よって、給紙口1、画像読取装置2は、開口部9の高さ以上のカールに対しては前ツバ壁面19がこのカールを補正し、これにより、開口部9の傾斜面18と原稿Sとの当たり角θが鋭角となる高さまでカールの高さを補正することができる。なお、前ツバ壁面19は、原稿Sの角のカールやたわみの補正する際には原稿Sとほぼ点で接触するのに対して、上述の開口部9の傾斜面18は、原稿Sの角のカールやたわみの補正する際には原稿Sとほぼ線で接触するため、開口部9の傾斜面18による補正効果のほうが前ツバ壁面19による補正効果より高くなる傾向にある。
【0034】
また、傾斜面18は、図3、図4乃至図9に示すように、高さ方向に沿った搬送路3側からの長さが幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって短くなる形状をなしている。傾斜面18は、高さ方向の下側端(高さ方向の搬送面11側の端)を基準とした上側端(高さ方向の搬送面11とは反対側の端)までの高さ方向に沿った長さを高さHとした場合、この高さHが幅方向の位置に応じて変化する。すなわち、傾斜面18は、幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって高さHが徐々に短くなる。これにより、傾斜面18は、下側端が平坦となる一方、上側端が幅方向中央部にて高さ方向下側(搬送面11側)に向けて凸となるように、言い換えれば、幅方向両端部にて高さ方向上側(搬送面11とは反対側)に向けて凸となるように湾曲した形状となる。つまり、傾斜面18と搬送面11との高さ方向に沿った間隔(開口部9の高さ)は、幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって狭くなる。
【0035】
給紙口1、画像読取装置2は、例えば、原稿Sの幅方向中央部にはカールなどが生じにくい傾向にあることから、上記のように幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって傾斜面18の高さHを短くすることができ、言い換えれば、開口部9の高さを短くすることができる。
【0036】
給紙口1、画像読取装置2は、上記のような前ツバ壁面19が設けられると共に幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって傾斜面18の高さHが短くなることで、例えば、前ツバ壁面19を備えず高さHを変化させない場合と比較して、開口部9の傾斜面18の傾斜角度を相対的に小さくすることができる。そして、給紙口1、画像読取装置2は、原稿Sが最初に挿入される傾向にある幅方向中央部における挿入性を向上させることができ、装置のサイズを大きくすることなくより効果的に原稿Sの挿入性を向上させることができる。すなわち、原稿Sは、最初に幅方向中央部が開口部9に挿入されやすい傾向にあるため、この幅方向中央部が確実に開口部9に挿入されることで、傾斜面18と原稿Sとの当たり角θが鋭角となることによって原稿Sの引っ掛かりを抑制しカールやたわみを取り除く効果や前ツバ壁面19によって原稿Sを幅方向外側に押し広げて補正する効果をより大きくすることができる。
【0037】
以上で説明した実施形態に係る給紙口1によれば、シート状の原稿Sを搬送路3に給紙する給紙口1において、原稿Sの給紙方向と交差する幅方向に対して、給紙される原稿Sが挿入される開口部9の両端に、原稿Sの給紙方向下流側の先端との当たり角θが鋭角となる傾斜面18が設けられる。
【0038】
以上で説明した実施形態に係る画像読取装置2によれば、上記給紙口1と、給紙口1から給紙された原稿Sの画像を読み取る光学ユニット8とを備える。
【0039】
したがって、給紙口1、画像読取装置2は、少なくとも開口部9の幅方向両端に原稿Sとの当たり角θが鋭角となる傾斜面18が設けられることから、開口部9にて原稿Sの角が引っ掛かることを抑制することができ、原稿Sを給紙しやすくすることができる。
【0040】
なお、上述した本発明の実施形態に係る給紙口及び画像読取装置は、上述した実施形態に限定されず、請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
給紙口1、画像読取装置2は、図11の変形例に示すように、前ツバ壁面19が直線状の形状をなしていてもよい。つまり、前ツバ壁面19は、幅方向中央部が給紙方向上流側に突出したV字型の形状をなしていてもよい。
【0042】
また、以上の説明では、シュータ15は、傾斜面18と案内面16とがなす角度が、傾斜面18と搬送面11とがなす角度と同等となるように設けられるものとして説明したがこれに限らない。すなわち、給紙口1、画像読取装置2は、図12の変形例に示すように、原稿Sを開口部9に案内する案内面16を有するシュータ15を備え、シュータ15は、搬送面11に対して案内面16が傾斜するように設けられる。つまり、シュータ15は、傾斜面18と案内面16とがなす角度αが、傾斜面18と搬送面11とがなす角度βより、小さくなるように設けられるものであってもよい。ここで、搬送面11は、給紙方向及び幅方向と直交する高さ方向に沿って傾斜面18と対向する面である。
【0043】
この場合、給紙口1、画像読取装置2は、シュータ15の案内面16により原稿Sの開口部9への進入角度を適正に調節することができ、原稿Sと傾斜面18とがなす当たり角θをより確実に鋭角にすることができるので、開口部9にて原稿Sの角が引っ掛かることをより確実に抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明に係る給紙口及び画像読取装置は、媒体を給紙しやすくすることができるものであり、種々の給紙口及び画像読取装置に用いて好適である。
【符号の説明】
【0045】
1 給紙口
2 画像読取装置
3 搬送路
4 読取部本体
5 原稿台
6 制御装置
7 搬送装置
8 光学ユニット(読取装置)
9 開口部
10 ローラ
11 搬送面
12 光源
13 イメージセンサ
14 読取窓
15 シュータ
16 案内面
17 ガイド部材
18 傾斜面
19 前ツバ壁面
L 突出量
S 原稿(媒体)
θ 当たり角
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙口及び画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙などのシート状の媒体を給紙する従来の給紙口やこの給紙口から給紙された媒体の画像を読み取る従来の画像読取装置として、特許文献1には装置の前面に設けられた手差し口(給紙口)から挿入される手差しシート材を本体搬送路に直交する方向から搬送するための手差し搬送路を備えた画像形成装置、特許文献2には用紙や原稿等を画像形成装置本体へ挿入する部位に用紙や原稿等をその略全幅方向で上方から押さえ得るガイド部材が突設された画像形成装置、特許文献3には手差し用紙又は原稿を下側から支える下側ガイド部材に一定間隔を隔てて対向し前端縁が両端部側に進むにつれて後方へ後退する形状を有する上側ガイド部材が設けられた手差し挿入ガイドがそれぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2566650号公報
【特許文献2】特開2002−68534号公報
【特許文献3】特開平10−7292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような特許文献1に記載の画像形成装置、特許文献2に記載の画像形成装置、特許文献3に記載の手差し挿入ガイドなどでは、例えば、原稿にいわゆるコーナーカールが生じた場合などに、より確実に簡単に原稿を給紙できるように更なる改善が望まれていた。
【0005】
そこで本発明は、媒体を給紙しやすくすることができる給紙口及び画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による給紙口は、シート状の媒体を搬送路に給紙する給紙口において、前記媒体の給紙方向と交差する幅方向に対して、前記給紙される媒体が挿入される開口部の両端に、前記媒体の前記給紙方向下流側の先端との当たり角が鋭角となる傾斜面が設けられたことを特徴とする。
【0007】
また、上記給紙口では、前記傾斜面は、前記給紙方向の上流側端が前記幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって前記給紙方向の上流側に向かって突出するものとすることができる。
【0008】
また、上記給紙口では、前記傾斜面は、前記給紙方向及び前記幅方向と直交する高さ方向に沿った前記搬送路側からの長さが前記幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって短くなるものとすることができる。
【0009】
また、上記給紙口では、前記媒体を前記開口部に案内する案内面を有するシュータを備え、前記シュータは、前記傾斜面と前記案内面とがなす角度が、前記傾斜面と当該傾斜面と対向する搬送面とがなす角度より、小さくなるように設けられるものとすることができる。
【0010】
また、上記給紙口では、前記当たり角は、前記媒体と前記傾斜面とが前記給紙方向の上流側でかつ前記搬送路とは反対側でなす角度であるものとすることができる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明による画像読取装置は、上記給紙口と、前記給紙口から給紙された前記媒体の画像を読み取る読取装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る給紙口及び画像読取装置によれば、媒体を給紙しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態1に係る画像読取装置の概略構成例を示す模式的構成図である。
【図2】図2は、図1に示す読取部本体のA―A矢視図である。
【図3】図3は、図1に示す読取部本体のB―B矢視図である。
【図4】図4は、図2に示す読取部本体のC―C矢視図である。
【図5】図5は、図2に示す読取部本体のD―D断面図である。
【図6】図6は、図2に示す読取部本体のE―E断面図である。
【図7】図7は、図2に示す読取部本体のF―F断面図である。
【図8】図8は、図2に示す読取部本体のG―G断面図である。
【図9】図9は、図2に示す読取部本体のH―H断面図である。
【図10】図10は、実施形態1に係る給紙口の作用を説明する模式図である。
【図11】図11は、変形例に係る画像読取装置の模式図である。
【図12】図12は、変形例に係る画像読取装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る給紙口及び画像読取装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る画像読取装置の概略構成例を示す模式的構成図、図2は、図1に示す読取部本体のA―A矢視図、図3は、図1に示す読取部本体のB―B矢視図、図4は、図2に示す読取部本体のC―C矢視図、図5は、図2に示す読取部本体のD―D断面図、図6は、図2に示す読取部本体のE―E断面図、図7は、図2に示す読取部本体のF―F断面図、図8は、図2に示す読取部本体のG―G断面図、図9は、図2に示す読取部本体のH―H断面図、図10は、実施形態1に係る給紙口の作用を説明する模式図、図11、図12は、変形例に係る画像読取装置の模式図である。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、媒体を画像読取装置に給紙する方向を「給紙方向」、給紙方向と交差ここでは直交する方向を「幅方向」、給紙方向及び幅方向と直交する方向を「高さ方向」という。給紙方向は、画像読取装置の副走査方向、媒体の長さ方向に相当し、幅方向は、画像読取装置の主走査方向、媒体の幅方向に相当し、高さ方向は、媒体の厚み方向に相当する。
【0016】
本実施形態の給紙口1は、図1に示すように、画像読取装置2に適用され、用紙などの所定のサイズのシート状の媒体としての原稿Sを搬送路3に給紙するものである。画像読取装置2は、例えば、イメージスキャナ、複写機、ファクシミリ、文字認識装置などに適用される。画像読取装置2は、給紙口1と、搬送路3と、読取部本体4と、原稿台5と、制御装置6とを含んで構成される。読取部本体4は、搬送装置7、読取装置としての光学ユニット8などを含んで構成される。画像読取装置2は、給紙口1から給紙され搬送装置7によって搬送される原稿Sの画像を光学ユニット8によって読み取るものである。
【0017】
給紙口1は、シート状の原稿Sを搬送路3に給紙するものであり、給紙される原稿Sが挿入される開口部9を有している。言い換えれば、給紙口1は、光学ユニット8によって画像を読み取る原稿Sを搬送路3に給紙するものである。典型的には、給紙口1は、ユーザがいわゆる手差しによって原稿Sを画像読取装置2の搬送路3に給紙するためのものである。この場合、ユーザは、給紙口1の開口部9に原稿Sの先端を挿入する。
【0018】
搬送路3は、給紙口1から給紙された原稿Sを搬送するための通路である。搬送路3は、高さ方向に対して読取部本体4と原稿台5との間に形成される。
【0019】
読取部本体4、原稿台5は、ともに外形が幅方向に長い矩形柱状に形成される。読取部本体4と原稿台5とは、高さ方向に対向して設けられ、この高さ方向に沿った対向面の間に上記搬送路3が形成される。読取部本体4は、高さ方向に対して原稿台5と対向する面(高さ方向下面)に後述のローラ10の外周面が露出している。また、原稿台5は、高さ方向に対して読取部本体4と対向する面(高さ方向上面)に搬送路3を区画する搬送面11が形成される。ローラ10の外周面と搬送面11とは、搬送路3にて高さ方向に沿って上下に対向する。
【0020】
制御装置6は、マイクロコンピュータを中心として構成され、画像読取装置2の各部を制御するものである。制御装置6は、例えば、原稿台5の筐体内部に内蔵される。
【0021】
搬送装置7は、給紙口1から搬送路3に給紙された原稿Sを光学ユニット8へ向けて搬送するものであり、ローラ10を含んで構成される。ローラ10は、上述したように、外周面の一部が搬送路3に露出するようにして読取部本体4の筐体内部に設けられる。ローラ10は、複数個設けられる。ローラ10は、例えばモータなどの駆動源を含む駆動部から動力が伝達されることで回転駆動する。搬送装置7は、制御装置6の制御により駆動部が駆動しギヤや駆動軸などを介してローラ10に動力が伝達されることでこのローラ10が回転駆動する。そして、搬送装置7は、ローラ10の外周面と搬送面11との間に原稿Sを挟持すると共に、ローラ10が回転駆動することで搬送路3にて原稿Sを搬送する。
【0022】
光学ユニット8は、搬送装置7により搬送された原稿Sの画像を読み取るものである。光学ユニット8は、例えば、読取部本体4の筐体内部に内蔵される。光学ユニット8は、光源12と、イメージセンサ13とを備える。光源12は、例えば、LEDなどの発光手段であり、読取窓14を介して画像読取対象としての原稿Sに光を照射する。イメージセンサ13は、光源12により照射され原稿Sで反射した反射光を受光し、電気信号に変換することで画像データを読み取る。イメージセンサ13は、例えば、光を受光して電荷を発生させる複数の光電変換素子を幅方向(長手方向)に沿って一列に配置したリニアイメージセンサ(一次元イメージセンサ)としてCCDラインセンサなどを用いることができる。光学ユニット8は、この光電変換素子の配列方向、すなわち、イメージセンサ13の長手方向が走査方向となる一方、この走査方向と直交する方向、すなわち、原稿Sの搬送方向が副走査方向となる。光学ユニット8は、イメージセンサ13によって原稿S上の画像を光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取り、読み取った画像データを制御装置6に送信する。
【0023】
上記のように構成される画像読取装置2では、給紙口1から給紙され搬送装置7によって搬送される原稿Sは、光学ユニット8によって走査方向に沿った1読取ライン毎に画像が読み取られる。そして、画像読取装置2は、原稿Sが光学ユニット8のイメージセンサ13に対する相対的な移動を継続することで、副走査方向に沿って順次画像を読み取っていき、最終的に原稿S上の二次元画像データを読み取ることができる。
【0024】
なお、この画像読取装置2は、給紙口1にシュータ15が備えられている。シュータ15は、原稿Sを給紙口1の開口部9に案内する案内面16を有する。これにより、給紙口1は、シュータ15によって、原稿Sの先端が開口部9側に案内されることから、原稿Sを開口部9に挿入し易くすることができ、原稿Sの挿入性を向上することができる。ここでは、シュータ15は、案内面16が搬送面11とほぼ平行でかつ給紙方向上流側で連続するように設けられる。また、シュータ15は、例えば、案内面16が搬送面11に対してほぼ垂直となる位置まで回動することで収容可能であり、これにより、画像読取装置2の不使用時には画像読取装置2をよりコンパクトにすることができる。
【0025】
また、この画像読取装置2は、例えば、搬送路3の給紙方向下流側、すなわち、排紙側に設けられたガイド部材17を開閉することで、直線搬送と屈曲搬送とを切り替えることができる。画像読取装置2は、例えば、図1に一点鎖線で示すようにガイド部材17を展開することで、原稿Sを屈曲させて搬送し排紙することができ、これにより、原稿Sの排紙スペースの分だけ設置スペースを省スペース化することができる。また、画像読取装置2は、ガイド部材17を収納することで、原稿Sを直線状に搬送し排紙することができ、これにより、比較的剛性が高い原稿Sや厚い原稿Sが破損してしまうことを防止することができる。
【0026】
ところで、本実施形態の給紙口1、画像読取装置2は、図1に示すように、給紙口1の開口部9の形状を適正に形成することで、例えば、原稿Sにいわゆるコーナーカールが生じた場合などであっても、より確実に簡単に原稿Sを給紙できるように改善し、原稿Sをより給紙しやすくしている。なおここで、コーナーカールとは、原稿Sの幅方向両端の角がたわんだり折れ曲がったりしてカールした状態のことをいう。
【0027】
具体的には、給紙口1は、開口部9に原稿Sの給紙方向下流側の先端との当たり角θが鋭角となる傾斜面18が設けられる。傾斜面18は、読取部本体4の筐体に形成される。原稿Sとの当たり角θが鋭角となる傾斜面18は、少なくとも開口部9の幅方向両端に設けられる。ここでは、傾斜面18は、幅方向に沿って延在して形成され、開口部9の幅方向の全体にわたって設けられている。傾斜面18は、高さ方向に沿った搬送面11からの距離が給紙方向上流側から下流側に行くにしたがって徐々に短くなる(狭くなる)形状に形成される。
【0028】
より具体的に言えば、当たり角θは、給紙方向に沿った断面視にて、原稿Sの給紙方向先端と傾斜面18との接触箇所で、原稿Sと傾斜面18とが給紙方向の上流側でかつ搬送路3(さらに言えば搬送面11)とは反対側でなす角度である。つまり、傾斜面18は、副走査方行に沿った断面形状において、原稿Sと傾斜面18とが給紙方向の上流側でかつ搬送路3とは反対側でなす角度である当たり角θが90°より小さくなるように形成される。
【0029】
これにより、この給紙口1、画像読取装置2は、少なくとも開口部9の幅方向両端に原稿Sとの当たり角θが鋭角となる傾斜面18が設けられることから、例えば、原稿Sにコーナーカールが生じた場合などであっても、開口部9にて原稿Sの角が引っ掛かることを抑制することができる。この結果、給紙口1、画像読取装置2は、例えば、別個に他の給紙ガイド部材等を設けることなく、開口部9の形状を傾斜面18により改善することで、装置の大型化を抑制しつつ、言い換えれば、装置を小型化した上で、手差しによる原稿Sの開口部9への挿入性を向上することができ、より確実に簡単に原稿を給紙することができるので、原稿Sを給紙しやすくすることができる。
【0030】
なお例えば、ユーザが片手持ちで原稿Sを持って開口部9に挿入しようとする場合、一般的に、ユーザは、原稿Sの中央部をつかむ傾向にあり、これにより原稿Sの幅方向両端側がたわむおそれがある。しかしながら、給紙口1、画像読取装置2は、例えば、片手持ちにより原稿Sがたわんだ場合であっても原稿Sにコーナーカールが生じた場合と同様に、開口部9にて原稿Sの角が引っ掛かることを抑制することができ、原稿Sを給紙しやすくすることができる。
【0031】
また、傾斜面18は、図2、図4乃至図9に示すように、給紙方向の上流側端が幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって給紙方向の上流側に向かって突出する形状をなしている。傾斜面18は、幅方向両端における給紙方向上流側端の位置を基準とした当該給紙方向上流側端の給紙方向上流側への突出長さを突出量Lとした場合、この突出量Lが幅方向の位置に応じて変化する。すなわち、傾斜面18は、幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって突出量Lが徐々に大きくなり、これにより、前ツバ壁面19を形成している。
【0032】
前ツバ壁面19は、傾斜面18の給紙方向の上流側端に連続する壁面であり、ここでは高さ方向に沿って傾斜面18の上側(搬送路3とは反対側)に延在する。前ツバ壁面19は、上記のように幅方向中央部が給紙方向上流側に突出し、ここでは給紙方向に沿って湾曲した壁面をなす。言い換えれば、前ツバ壁面19は、傾斜面18の給紙方向の上流側端が幅方向両端部側に進むにつれて給紙方向下流側に後退する形状をなす。
【0033】
これにより、この給紙口1、画像読取装置2は、例えば、コーナーカールが生じている原稿Sを開口部9に挿入する際に、原稿Sの角のカール部分が前ツバ壁面19に当接し、このまま原稿Sが給紙方向下流側に進められることで、原稿Sがローラ10に到達するまでにカール部分の形状が補正される。すなわちこのとき、給紙口1、画像読取装置2は、原稿Sが給紙方向下流側におしすすめられるのに伴って、図10の模式図に矢印で示すように、前ツバ壁面19から原稿Sに外側に押し広げるような力が作用し、これにより原稿Sの角のカールやたわみが幅方向外側に押し広げられ補正(矯正)される。そして、給紙口1、画像読取装置2は、カール部分の形状が適正な形になおされた後に原稿Sがローラ10の外周面と搬送面11との間に挟まれて搬送される。よって、給紙口1、画像読取装置2は、開口部9の高さ以上のカールに対しては前ツバ壁面19がこのカールを補正し、これにより、開口部9の傾斜面18と原稿Sとの当たり角θが鋭角となる高さまでカールの高さを補正することができる。なお、前ツバ壁面19は、原稿Sの角のカールやたわみの補正する際には原稿Sとほぼ点で接触するのに対して、上述の開口部9の傾斜面18は、原稿Sの角のカールやたわみの補正する際には原稿Sとほぼ線で接触するため、開口部9の傾斜面18による補正効果のほうが前ツバ壁面19による補正効果より高くなる傾向にある。
【0034】
また、傾斜面18は、図3、図4乃至図9に示すように、高さ方向に沿った搬送路3側からの長さが幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって短くなる形状をなしている。傾斜面18は、高さ方向の下側端(高さ方向の搬送面11側の端)を基準とした上側端(高さ方向の搬送面11とは反対側の端)までの高さ方向に沿った長さを高さHとした場合、この高さHが幅方向の位置に応じて変化する。すなわち、傾斜面18は、幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって高さHが徐々に短くなる。これにより、傾斜面18は、下側端が平坦となる一方、上側端が幅方向中央部にて高さ方向下側(搬送面11側)に向けて凸となるように、言い換えれば、幅方向両端部にて高さ方向上側(搬送面11とは反対側)に向けて凸となるように湾曲した形状となる。つまり、傾斜面18と搬送面11との高さ方向に沿った間隔(開口部9の高さ)は、幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって狭くなる。
【0035】
給紙口1、画像読取装置2は、例えば、原稿Sの幅方向中央部にはカールなどが生じにくい傾向にあることから、上記のように幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって傾斜面18の高さHを短くすることができ、言い換えれば、開口部9の高さを短くすることができる。
【0036】
給紙口1、画像読取装置2は、上記のような前ツバ壁面19が設けられると共に幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって傾斜面18の高さHが短くなることで、例えば、前ツバ壁面19を備えず高さHを変化させない場合と比較して、開口部9の傾斜面18の傾斜角度を相対的に小さくすることができる。そして、給紙口1、画像読取装置2は、原稿Sが最初に挿入される傾向にある幅方向中央部における挿入性を向上させることができ、装置のサイズを大きくすることなくより効果的に原稿Sの挿入性を向上させることができる。すなわち、原稿Sは、最初に幅方向中央部が開口部9に挿入されやすい傾向にあるため、この幅方向中央部が確実に開口部9に挿入されることで、傾斜面18と原稿Sとの当たり角θが鋭角となることによって原稿Sの引っ掛かりを抑制しカールやたわみを取り除く効果や前ツバ壁面19によって原稿Sを幅方向外側に押し広げて補正する効果をより大きくすることができる。
【0037】
以上で説明した実施形態に係る給紙口1によれば、シート状の原稿Sを搬送路3に給紙する給紙口1において、原稿Sの給紙方向と交差する幅方向に対して、給紙される原稿Sが挿入される開口部9の両端に、原稿Sの給紙方向下流側の先端との当たり角θが鋭角となる傾斜面18が設けられる。
【0038】
以上で説明した実施形態に係る画像読取装置2によれば、上記給紙口1と、給紙口1から給紙された原稿Sの画像を読み取る光学ユニット8とを備える。
【0039】
したがって、給紙口1、画像読取装置2は、少なくとも開口部9の幅方向両端に原稿Sとの当たり角θが鋭角となる傾斜面18が設けられることから、開口部9にて原稿Sの角が引っ掛かることを抑制することができ、原稿Sを給紙しやすくすることができる。
【0040】
なお、上述した本発明の実施形態に係る給紙口及び画像読取装置は、上述した実施形態に限定されず、請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
給紙口1、画像読取装置2は、図11の変形例に示すように、前ツバ壁面19が直線状の形状をなしていてもよい。つまり、前ツバ壁面19は、幅方向中央部が給紙方向上流側に突出したV字型の形状をなしていてもよい。
【0042】
また、以上の説明では、シュータ15は、傾斜面18と案内面16とがなす角度が、傾斜面18と搬送面11とがなす角度と同等となるように設けられるものとして説明したがこれに限らない。すなわち、給紙口1、画像読取装置2は、図12の変形例に示すように、原稿Sを開口部9に案内する案内面16を有するシュータ15を備え、シュータ15は、搬送面11に対して案内面16が傾斜するように設けられる。つまり、シュータ15は、傾斜面18と案内面16とがなす角度αが、傾斜面18と搬送面11とがなす角度βより、小さくなるように設けられるものであってもよい。ここで、搬送面11は、給紙方向及び幅方向と直交する高さ方向に沿って傾斜面18と対向する面である。
【0043】
この場合、給紙口1、画像読取装置2は、シュータ15の案内面16により原稿Sの開口部9への進入角度を適正に調節することができ、原稿Sと傾斜面18とがなす当たり角θをより確実に鋭角にすることができるので、開口部9にて原稿Sの角が引っ掛かることをより確実に抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明に係る給紙口及び画像読取装置は、媒体を給紙しやすくすることができるものであり、種々の給紙口及び画像読取装置に用いて好適である。
【符号の説明】
【0045】
1 給紙口
2 画像読取装置
3 搬送路
4 読取部本体
5 原稿台
6 制御装置
7 搬送装置
8 光学ユニット(読取装置)
9 開口部
10 ローラ
11 搬送面
12 光源
13 イメージセンサ
14 読取窓
15 シュータ
16 案内面
17 ガイド部材
18 傾斜面
19 前ツバ壁面
L 突出量
S 原稿(媒体)
θ 当たり角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体を搬送路に給紙する給紙口において、
前記媒体の給紙方向と交差する幅方向に対して、前記給紙される媒体が挿入される開口部の両端に、前記媒体の前記給紙方向下流側の先端との当たり角が鋭角となる傾斜面が設けられたことを特徴とする、
給紙口。
【請求項2】
前記傾斜面は、前記給紙方向の上流側端が前記幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって前記給紙方向の上流側に向かって突出する、
請求項1に記載の給紙口。
【請求項3】
前記傾斜面は、前記給紙方向及び前記幅方向と直交する高さ方向に沿った前記搬送路側からの長さが前記幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって短くなる、
請求項1又は請求項2に記載の給紙口。
【請求項4】
前記媒体を前記開口部に案内する案内面を有するシュータを備え、
前記シュータは、前記傾斜面と前記案内面とがなす角度が、前記傾斜面と当該傾斜面と対向する搬送面とがなす角度より、小さくなるように設けられる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の給紙口。
【請求項5】
前記当たり角は、前記媒体と前記傾斜面とが前記給紙方向の上流側でかつ前記搬送路とは反対側でなす角度である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の給紙口。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の給紙口と、
前記給紙口から給紙された前記媒体の画像を読み取る読取装置とを備えることを特徴とする、
画像読取装置。
【請求項1】
シート状の媒体を搬送路に給紙する給紙口において、
前記媒体の給紙方向と交差する幅方向に対して、前記給紙される媒体が挿入される開口部の両端に、前記媒体の前記給紙方向下流側の先端との当たり角が鋭角となる傾斜面が設けられたことを特徴とする、
給紙口。
【請求項2】
前記傾斜面は、前記給紙方向の上流側端が前記幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって前記給紙方向の上流側に向かって突出する、
請求項1に記載の給紙口。
【請求項3】
前記傾斜面は、前記給紙方向及び前記幅方向と直交する高さ方向に沿った前記搬送路側からの長さが前記幅方向の両端部側から中央部側に向かうにしたがって短くなる、
請求項1又は請求項2に記載の給紙口。
【請求項4】
前記媒体を前記開口部に案内する案内面を有するシュータを備え、
前記シュータは、前記傾斜面と前記案内面とがなす角度が、前記傾斜面と当該傾斜面と対向する搬送面とがなす角度より、小さくなるように設けられる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の給紙口。
【請求項5】
前記当たり角は、前記媒体と前記傾斜面とが前記給紙方向の上流側でかつ前記搬送路とは反対側でなす角度である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の給紙口。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の給紙口と、
前記給紙口から給紙された前記媒体の画像を読み取る読取装置とを備えることを特徴とする、
画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−144024(P2011−144024A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7357(P2010−7357)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】
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