説明

給紙装置、及びそれを備えた画像形成装置

【課題】用紙の吸着搬送に支障を来たすことなく、用紙の位置ズレや斜行を効果的に防止することが可能な給紙装置を提供する。
【解決手段】上面吹出しダクト87の各上面吹出し口87cから空気を下方に吹出して、この空気により用紙積載台74上の用紙束上層の各記録用紙の両側部を押え付けているので、各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aからの空気を用紙束の端面に吹付けて、各記録用紙をばらつかせても、各記録用紙の平面性を略保って、各アシストダクト77、78により各記録用紙Pの両側端の位置を規制し、各記録用紙Pの位置ズレや斜行を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙積載台に積載された用紙束から用紙を引出して送り出す給紙装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の給紙装置としては、用紙束を積載した用紙積載台と、用紙積載台の上方に配置された用紙搬送ベルトと、空気を用紙搬送ベルトの通気孔を通じて吸引するファンとを備え、用紙搬送ベルトの通気孔を通じての空気の吸引により、用紙束の最上層の用紙を用紙搬送ベルトに吸着して搬送するというものがある。
【0003】
また、このような給紙装置においては、空気を用紙束の端面に吹付けて、空気を各用紙間に吹込んで侵入させ、各用紙をばらつかせ、用紙束から用紙を1枚ずつ吸着して引出すことを容易にして、用紙の重送を防止している。更に、用紙束の両側端面に当接する一対のガイド部材を設け、これらのガイド部材により用紙束の両側端面を挟み込んで位置決めし、用紙の位置ズレや斜行を防止している。
【0004】
しかしながら、空気を各用紙間に吹込むと、用紙束上層の用紙の側端が過剰に浮揚して、用紙が大きく湾曲し、用紙の側端がガイド部材から離間することがあり、用紙の位置ズレや斜行が発生した。
【0005】
このため、特許文献1、2では、用紙束の最上層の用紙先端側を浮揚させ用紙搬送ベルトに吸着して搬送しながらも、押え部材やシート面追従部材により用紙束上面の後端側を押え付けて、用紙束上層の用紙の過剰な浮揚を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−087096号公報
【特許文献2】特開平07−206216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2のように押え部材やシート面追従部材により用紙束上面の後端側を押え付けるだけでは、用紙の側端の過剰な浮揚を効果的に防止することができず、このために用紙が湾曲して、用紙の側端がガイド部材から離間し、用紙の位置ズレや斜行が発生することがあった。
【0008】
また、特許文献1、2のような押え部材やシート面追従部材を用いて、用紙の側端を押え付けることが考えられる。ところが、押え部材やシート面追従部材により用紙の側端を押え付けると、用紙の側端が全く浮揚しなくなるため、用紙先端側も浮揚し難くなり、用紙搬送ベルトによる用紙先端側の吸着が困難になる。
【0009】
更に、用紙搬送ベルトによる用紙の吸着のときに、押え部材やシート面追従部材から用紙の側端が抜けて外れる可能性があり、これが用紙の位置ズレや斜行の大きな原因となり得る。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、用紙の吸着搬送に支障を来たすことなく、用紙の位置ズレや斜行を効果的に防止することが可能な給紙装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の給紙装置は、用紙束を用紙積載台に積載し、空気を用紙搬送部材の通気孔を通じて吸引して、前記用紙束の用紙を前記用紙搬送部材に吸着して搬送しており、前記用紙束の側端であって、前記用紙の搬送方向と直交する方向における前記側端の位置を規制する位置規制部材と、前記用紙束の端面に空気を吹出す端面空気吹出し部とを備えた給紙装置において、前記用紙束の上面の側部であって、前記用紙の搬送方向と直交する方向における前記側部に空気を吹出す上面空気吹出し部を備えている。
【0012】
このような本発明では、端面空気吹出し部から用紙束の端面へと空気を吹出しているので、用紙束の各用紙間に空気を侵入させて、各用紙をばらつかせることができ、用紙搬送部材により用紙を1枚ずつ吸着して引出すことが容易となる。また、位置規制部材により用紙束の側端の位置を規制しているので、用紙の位置ズレや斜行を防止することができる。更に、上面空気吹出し部から用紙束の上面の側部へと空気を吹出しているので、空気により用紙束上層の用紙の側部を押え付けて、用紙束の端面への空気の吹出しを原因とする用紙の湾曲を抑えることができ、用紙の側端が位置規制部材から離間せず、用紙の位置ズレや斜行が発生することもない。また、空気による押え付けであるから、用紙の側部を押え付けながらも、用紙搬送部材により用紙が吸着され得るように用紙の側端の浮揚を許容することが可能である。更に、上面空気吹出し部から吹出された空気が広い領域に拡がるため、この領域から用紙の側部が外れることはなく、用紙の側部を安定的に押え付けることができる。
【0013】
また、本発明の給紙装置においては、前記用紙束の上面の側部は、前記用紙の搬送方向と直交する方向から見て、前記位置規制部材の領域に重なっている。
【0014】
そのような用紙の搬送方向と直交する方向から見て、位置規制部材の領域において、空気により用紙束の上面の側部を押え付ければ、用紙の側端を位置規制部材に確実に接近もしくは当接させることができ、用紙の位置ズレや斜行を効果的に防止することができる。
【0015】
また、本発明の給紙装置においては、前記用紙束の上面の側部は、前記用紙束の上面に対する鉛直方向から見て、前記用紙搬送部材による吸着範囲から外れる領域にある。
【0016】
用紙を用紙搬送部材に吸着するための空気の吸引方向と用紙束の上面の側部を押え付けるための空気の吹出し方向とが逆方向になるため、用紙面に対する鉛直方向から見たときの用紙束の上面の側部と用紙搬送部材にる吸着範囲とをずらす必用がある。
【0017】
更に、本発明の給紙装置においては、前記端面空気吹出し部及び前記上面空気吹出し部に共通のファンを備え、前記端面空気吹出し部は、前記ファンから排気された空気を導いて前記用紙束の端面へと吹出す端面吹出しダクトを有し、前記上面空気吹出し部は、前記ファンから排気された空気を導いて前記用紙束の上面の側部に吹出す上面吹出しダクトを有している。
【0018】
このような端面吹出しダクト及び上面吹出しダクトを設けることにより、端面空気吹出し部及び上面空気吹出し部により単一のファンを共用することができる。
【0019】
また、本発明の給紙装置においては、前記用紙引出し部及び前記上面空気吹出し部に共通のファンを備え、前記用紙引出し部は、前記用紙搬送部材の通気孔を通じて吸引された空気を導いて前記ファンに吸気せる吸気ダクトを有し、前記上面空気吹出し部は、前記ファンから排気された空気を導いて前記用紙束の上面の側部に吹出す上面吹出しダクトを有している。
【0020】
このような吸気ダクト及び上面吹出しダクトを設けることにより、用紙引出し部及び上面空気吹出し部により単一のファンを共用することができる。
【0021】
更に、本発明の給紙装置においては、前記上面空気吹出し部からの空気の吹出しにより前記用紙束の用紙の側部が押え付けられる力は、前記用紙搬送部材の通気孔を通じての空気の吸引より前記用紙が前記用紙搬送部材に吸着される力よりも小さい。
【0022】
これより、用紙の側部を押え付けながらも、用紙搬送部材による用紙の吸着に支障を来たさない程度に用紙の側部の浮揚を許容することが可能となる。
【0023】
また、本発明の給紙装置においては、前記用紙束の用紙サイズに応じて、前記上面空気吹出し部の空気吹出し動作を制御する制御部を備えている。
【0024】
用紙のサイズが小さくなる程、端面空気吹出し部からの空気の吹出しにより用紙が過剰に浮揚して、用紙が大きく湾曲し易くなることから、上面空気吹出し部からの空気の吹出しにより用紙束の上面の側部を押え付けることが有効となる。このため、用紙束の用紙サイズに応じて上面空気吹出し部の空気吹出し動作を制御する。例えば、上面空気吹出し部の空気吹出し動作をオンオフしたり、空気の吹出し量を調節したりする。
【0025】
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の給紙装置を備えている。
【0026】
このような本発明の画像形成装置においても、上記本発明の給紙装置と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0027】
このような本発明によれば、端面空気吹出し部から用紙束の端面へと空気を吹出しているので、用紙束の各用紙間に空気を侵入させて、各用紙をばらつかせることができ、用紙搬送部材により用紙を1枚ずつ吸着して引出すことが容易となる。また、位置規制部材により用紙束の側端の位置を規制しているので、用紙の位置ズレや斜行を防止することができる。更に、上面空気吹出し部から用紙束の上面の側部へと空気を吹出しているので、空気により用紙束上層の用紙の側部を押え付けて、用紙束の端面への空気の吹出しを原因とする用紙の湾曲を抑えることができ、用紙の側端が位置規制部材から離間せず、用紙の位置ズレや斜行が発生することもない。また、空気による押え付けであるから、用紙の側部を押え付けながらも、用紙搬送部材により用紙が吸着され得るように用紙の側端の浮揚を許容することが可能である。更に、上面空気吹出し部から吹出された空気が広い領域に拡がるため、この領域から用紙の側部が外れることはなく、用紙の側部を安定的に押え付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の給紙装置の第1実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。
【図2】第1実施形態の給紙装置を示す平面図である。
【図3】第1実施形態の給紙装置を示す正面図である。
【図4】用紙引出し部を取外した状態の第1実施形態の給紙装置を斜め後方から見て示す斜視図である。
【図5】第1実施形態の給紙装置の用紙引出し部を斜め上前方から見て示す斜視図である。
【図6】用紙引出し部を斜め上後方から見て示す斜視図である。
【図7】用紙引出し部を斜め下後方から見て示す斜視図である。
【図8】第1実施形態の給紙装置を概略的に示す断面図である。
【図9】(a)は記録用紙の両側端部に空気を吹付けて、記録用紙の平面性を略保った状態を模式的に示す断面図であり、(b)は用紙束の記録用紙が浮揚して湾曲した状態を模式的に示す断面図である。
【図10】記録用紙の搬送方向と直交する方向から見たときの記録用紙の両側部と各アシストダクトとの位置関係、及び記録用紙の面に対する鉛直方向から見たときの記録用紙の両側部と各用紙搬送ベルトから外れる領域との位置関係を模式的に示す平面図である。
【図11】第2実施形態の給紙装置を概略的に示す断面図である。
【図12】第2実施形態の給紙装置を模式的に示す平面図である。
【図13】第3実施形態の給紙装置を概略的に示す断面図である。
【図14】第3実施形態の給紙装置を模式的に示す平面図である。
【図15】第3実施形態の給紙装置の制御系を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の給紙装置の第1実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、その構成を大別すると、原稿読取り装置2、印刷部11、用紙搬送部12、用紙供給部13、及び大容量給紙カセット(LCC)14からなる。
【0031】
印刷部11においては、クリーニング装置26により感光体ドラム21表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電装置22により感光体ドラム21の表面を所定の電位に均一に帯電させ、レーザ露光装置23により感光体ドラム21表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置24により感光体ドラム21表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム21表面にトナー像を形成する。
【0032】
転写ローラ25は、感光体ドラム21に圧接されて、感光体ドラム21との間にニップ域を形成しており、用紙搬送経路33を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム21表面のトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置27の加熱ローラ28と加圧ローラ29間に記録用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、記録用紙上のトナー像を定着させる。
【0033】
一方、用紙供給部13は、複数の給紙カセット38を備えている。各給紙カセット38は、記録用紙を一枚ずつ引出して送り出すためのそれぞれのピックアップローラ39等を備えており、引出した記録用紙を用紙搬送部12の用紙搬送経路33へと送り出す。
【0034】
また、大容量給紙カセット(LCC)14は、記録用紙を多量に収納可能であり、記録用紙を一枚ずつ引出して用紙搬送部12の用紙搬送経路33に送り出す。
【0035】
この記録用紙は、用紙搬送経路33を通じて搬送され、転写ローラ25や定着装置27を経由し、用紙排紙ローラ36を介して用紙排紙トレイ37に排出される。この用紙搬送経路33には、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域でのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始するレジストローラ32、記録用紙の搬送を促す搬送ローラ31、用紙排紙ローラ36等が配置されている。
【0036】
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、分岐爪35の位置を切換えて、記録用紙を用紙排紙ローラ36から反転経路34へと逆方向に搬送し、記録用紙の表裏を反転させて、記録用紙をレジストローラ32へと再度導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を用紙排紙トレイ37に排出する。
【0037】
次に、画像形成装置1の本体上部に搭載された原稿読取り装置2を説明する。この原稿読取り装置2において、原稿搬送部42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により第1読取り部41の奥一辺に枢支されており、その手前部分を上下させることにより原稿搬送部42を開いて、第1読取り部41のプラテンガラス44上に原稿用紙を載置することができる。
【0038】
第1読取り部41において、第1走査ユニット45は、副走査方向に移動しながら、プラテンガラス44上の原稿用紙表面を光源51によって照明し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導く。第2走査ユニット46は、第1走査ユニット45に追従して移動しつつ、原稿用紙からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射する。この反射光は、結像レンズ47によりCCD48(Charge Coupled Device)に集光されて、CCD48により原稿用紙の画像が読取られる。
【0039】
また、原稿搬送部42により搬送されている原稿用紙表面の画像を読取る場合は、図1に示すように第1走査ユニット45を原稿読取りガラス55下方の読取り位置に移動し、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を位置決めする。この状態で、ピックアップローラ56により原稿トレイ57上の原稿用紙を引出して、原稿用紙を原稿搬送経路58を通じて搬送し、第1走査ユニット45の光源51により原稿用紙表面を原稿読取りガラス55を介して照明し、原稿用紙からの反射光を第1及び第2走査ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、CCD48により原稿用紙の画像を読取り、原稿用紙を原稿排紙ローラ61から原稿排紙トレイ62へと排出する。
【0040】
また、原稿搬送部42に内蔵の第2読取り部43(密着印刷画像センサ(Contact Image Sensor(CIS))は、第2読取り部(CIS)43の下を通過して原稿排紙トレイ62へと排出される原稿用紙裏面を照明し、原稿用紙裏面からの反射光を受光して、原稿用紙裏面の画像を読取る。
【0041】
このようにCCD48及びCIS43により読取られた原稿用紙の画像は、画像形成装置1のレーザ露光装置23に入力され、画像形成装置1において画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
【0042】
次に、大容量給紙カセット14に内蔵されている第1実施形態の給紙装置71の構成を詳しく説明する。この給紙装置71は、多量の記録用紙を積載収容し、記録用紙を一枚ずつ引出して用紙搬送経路33(図1に示す)に送り出すものである。
【0043】
図2、図3は、第1実施形態の給紙装置71を示す平面図及び正面図である。図2、図3に示すように給紙装置71は、外側枠体72、底板73、外側枠体72の内側に配置された用紙積載台74、及び外側枠体72の一端上側に配置された用紙引出し部75等を備えている。
【0044】
用紙積載台74は、多量の記録用紙(用紙束)が積載されるものであって、外側枠体72の内側に昇降可能に設けられている。用紙積載台74には、記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eに長い開口部74aが形成されている。用紙後端ガイド76は、底板73上で記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能に支持され、用紙積載台74の開口部74aを通じて上方に突出している。尚、記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eを前方、引出し方向Eとは逆方向を後方とする。
【0045】
この用紙積載台74の両側には、それぞれの凹所74bが形成されており、各凹所74bにそれぞれのアシストダクト77、78が配置されている。各アシストダクト77、78は、外側枠体72の両側で引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能に支持されており、互に接近するように又は互に離間するように連動して移動される。
【0046】
用紙引出し部75は、4本の無端状の用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、排気ダクト86、及び上面吹出しダクト87等を備えている。各用紙搬送ベルト81には、多数の通気孔81aが形成されており、空気が各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸気ダクト85を通じて吸排気ファン84へと吸引される。また、吸排気ファン84から排気された空気は、排気ダクト86を通じて導かれ、排気ダクト86から外側枠体72の内側へと引出し方向Eとは逆方向(後方)に吹出される。更に、吸排気ファン84から排気された空気は、上面吹出しダクト87を通じて導かれ、上面吹出しダクト87から外側枠体72の内側へと下方に吹出される。
【0047】
図4は、用紙引出し部75を取外した状態で、外側枠体72、底板73、及び用紙積載台74等を斜め後方から見て示す斜視図である。図4に示すように各アシストダクト77、78の外側には、それぞれのアシストファン79、80が設けられている。各アシストダクト77、78は、中空体であって、その内部に通気経路を有しており、各アシストファン79、80により吸引された空気がそれぞれのアシストダクト77、78の通気経路に送り込まれ、この空気が各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aから外側枠体72の内側に吹出される。
【0048】
また、図2及び図4に示すように用紙後端ガイド76は、記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能であり、引出し方向Eにおける任意の位置で位置決めされる。更に、図2及び図4に示すように各アシストダクト77、78は、引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能であり、引出し方向Eと直交する方向における任意の位置で位置決めされる。
【0049】
ここで、用紙束を用紙積載台74に搭載するときには、用紙後端ガイド76を後方に移動させて、用紙後端ガイド76と外側枠体72の当接板72bとの間を広く開け、また各アシストダクト77、78を相互に離間する方向に移動させて、各アシストダクト77、78の間を広く開けておく。この状態で、用紙束を用紙積載台74に載せ、この後に用紙後端ガイド76を引出し方向Eに移動させ、用紙後端ガイド76の柱部76aにより用紙束の後端を引出し方向Eに押して、用紙束を用紙積載台74上で滑らして移動させ、用紙束の先端を外側枠体72の当接板72bに当接させて、用紙束の先端及び後端を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めする。また、各アシストダクト77、78を相互に接近する方向に移動させて、引出し方向Eと直交する方向における用紙束の両側端を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。
【0050】
また、図4に示すように用紙積載台74の両側には、突出片74cが2つずつ形成されており、各突出片74cが外側枠体72の両側の開口部72aから突出している。外側枠体72の片側では、2本のワイヤー88が用紙積載台74の片側の各突出片74cに接続され、各ワイヤー88が複数の従動プーリ89に掛けられて引き回され巻取りプーリ90に接続されている。また、外側枠体72の他の片側でも、他の2本のワイヤー88が用紙積載台74の他の片側の各突出片74cに接続され、他の各ワイヤー88が他の複数の従動プーリ89に掛けられて引き回され他の巻取りプーリ90に接続されている。各巻取りプーリ90は、回転自在に支持された共通の軸91の両端に固定されており、パルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ90が回転し、各ワイヤー88が各巻取りプーリ90に巻取られたり各巻取りプーリ90から繰り出されたりする。
【0051】
パルスモータ92により軸91が回転駆動されて、各巻取りプーリ90が時計回り方向に回転されると、各ワイヤー88が各巻取りプーリ90に巻取られて、用紙積載台74が上昇し、また各巻取りプーリ90が反時計回り方向に回転されると、各ワイヤー88が各巻取りプーリ90から繰り出されて、用紙積載台74が下降する。また、パルスモータ92により回転駆動される巻取りプーリ90の回転角度と用紙積載台74の高さが対応関係にある。従って、パルスモータ92の回転方向及び回転角度を制御することにより、用紙積載台74の高さを調節設定することができる。
【0052】
次に、用紙引出し部75の構成を詳しく説明する。図5は、用紙引出し部75を斜め上前方から見て示す斜視図である。また、図6は用紙引出し部75を斜め上後方から見て示す斜視図であり、図7は用紙引出し部75を斜め下後方から見て示す斜視図である。
【0053】
図5、図6、図7に示すように用紙引出し部75は、4本の無端状の用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、排気ダクト86、及び上面吹出しダクト87等を備えている。
【0054】
吸気ダクト85は、中空体であって、その内部に引出し方向(用紙搬送方向)Eと直交する方向に長い空気吸引経路を有しており、その一側端部85aが吸排気ファン84に接続され、矢印Fに示すように吸気ダクト85の空気吸引経路から一側端部85aを通じて吸排気ファン84の吸気口(図示せず)へと空気が吸引される。
【0055】
また、吸気ダクト85の下面85gには、用紙搬送ベルト81毎に、用紙搬送ベルト81の複数の通気孔81aに重なる各空気吸引孔94(図8に示す)を設けている。各空気吸引孔94は、吸気ダクト85の空気吸引経路につながっている。吸排気ファン84により吸気ダクト85内の空気が吸引されると、外部の空気が吸気ダクト85の下面85gの各空気吸引孔94及び各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aへと流入する。
【0056】
更に、吸気ダクト85の前端部85c及び後端部85dには、それぞれの凹所85hが形成されており、これらの凹所85hにそれぞれのローラ82、83が配置されて回転可能に軸支され、前方のローラ82の軸に搬送モータ93の出力軸が接続されている。各用紙搬送ベルト81は、各ローラ82、83間に架け渡されている。搬送モータ93により前方のローラ82が矢印方向Dに回転駆動され、後方のローラ83が従動回転し、各用紙搬送ベルト81が矢印方向Dに周回移動する。
【0057】
また、排気ダクト86も、中空体である。排気ダクト86は、吸排気ファン84から各用紙搬送ベルト81の前端(引出し方向Eの下流側の端)の下方へと引き回されて配置され、引出し方向Eとは直交する方向に長い通気経路を有している。この排気ダクト86の一側端部86aが吸排気ファン84に接続され、矢印Kで示すように吸排気ファン84の排気口(図示せず)からその一側端部86aを通じて排気ダクト86の通気経路へと空気が送り込まれる。
【0058】
この排気ダクト86の側壁部86dには、排気ダクト86の通気経路に通じる複数の吹出し口86bが形成されている。この排気ダクト86の側壁部86dが外側枠体72の当接板72b(図4に示す)の外側面に重ねて設けられ、排気ダクト86の各吹出し口86bが外側枠体72の当接板72bの切欠部72cを介して外側枠体72の内側に向く。吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気が送り込まれると、この空気が各吹出し口86bから外側枠体72の内側の方向(後方)に吹出される。
【0059】
更に、上面吹出しダクト87も、中空体である。上面吹出しダクト87は、吸排気ファン84から各用紙搬送ベルト81の後端(引出し方向Eの上流側の端)の後方へと引き回されて配置され、引出し方向Eとは直交する方向に長い通気経路を有している。この上面吹出しダクト87の一側端部87aが吸排気ファン84に接続され、矢印Jで示すように吸排気ファン84の排気口(図示せず)からその一側端部87aを通じて上面吹出しダクト87の通気経路へと空気が送り込まれる。
【0060】
この上面吹出しダクト87の底部87bには、上面吹出しダクト87の通気経路に通じる複数の上面吹出し口87cが形成されている。この上面吹出しダクト87の底部87bが用紙積載台74に対向しており、吸排気ファン84から上面吹出しダクト87へと空気が送り込まれると、この空気が各上面吹出し口87cから用紙積載台74へと下方に吹出される。
【0061】
また、吸気ダクト85の一側端部85a、排気ダクト86の一側端部86a、及び上面吹出しダクト87の一側端部87aが吸排気ファン84に共に接続され、また吸気ダクト85の他の側端部85f及び排気ダクト86の他の側端部86cが互いに接続され、更に上面吹出しダクト87が吸気ダクト85の後端部85dに固定され、これにより吸排気ファン84、吸気ダクト85、排気ダクト86、及び上面吹出しダクト87が一体化されている。
【0062】
このような構成の給紙装置71において、図8の概略的な断面図に示すように用紙束を用紙積載台74に載せて、用紙束を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めし、また用紙束を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。そして、パルスモータ92により各巻取りプーリ90を時計回り方向に回転させて、用紙積載台74を上昇させ、用紙束の最上層の記録用紙を所定高さに位置決めする。
【0063】
また、各アシストファン79、80から各アシストダクト77、78へと空気を送り込み、空気を各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aから吹出させる。各吹出し口77a、78aからの空気は、用紙積載台74上の用紙束の両側端面の上層に吹付けられて、各記録用紙間に侵入し、各記録用紙をばらつかせる。
【0064】
更に、吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気を送り込み、空気を排気ダクト86の各吹出し口86bから吹出させる。各吹出し口86bからの空気は、用紙束の先端面の上層に吹付けられ、各記録用紙間に侵入して、各記録用紙をばらつかせる。
【0065】
こうして各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aからの空気を用紙束の両側端面の上層に吹付けたり、排気ダクト86の各吹出し口86bからの空気を用紙束の先端面の上層に吹付けたりして、各記録用紙をばらつかせると、記録用紙を1枚ずつ引出すことが容易になる。
【0066】
また、吸排気ファン84から上面吹出しダクト87へと空気を送り込み、空気を上面吹出しダクト87の各上面吹出し口87cから用紙積載台74へと下方に吹出させる。各上面吹出し口87cからの空気は、用紙積載台74上の用紙束上面の両端部に吹付けられ、用紙束上層の各記録用紙の両端部を押え付ける。
【0067】
このように用紙束上層の各記録用紙間に空気を侵入させて、各記録用紙をばらつかせつつ、空気の吹付けにより各記録用紙の両側部を押え付けた状態で、空気を吸気ダクト85から吸排気ファン84へと吸い込んで、空気を各用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の下面85gの空気吸引口94を通じて吸い込み、各用紙搬送ベルト81の表面に最上層の記録用紙を吸着する。そして、これと同時に搬送モータ93により各ローラ82、83を回転させて、各用紙搬送ベルト81を周回移動させ、各用紙搬送ベルト81により最上層の記録用紙を引出し方向Eに引出して、記録用紙を画像形成装置1の搬送ローラ対31を通じて用紙搬送経路33へと搬送して行く。更に、記録用紙を搬送ローラ対31まで搬送した後に、吸排気ファン84による空気の吸引及び搬送モータ93による各ローラ82、83の回転を一時的に停止させ、各用紙搬送ベルト81からの記録用紙の引出しを完了した後に、吸排気ファン84による空気の吸引及び搬送モータ93による各ローラ82、83の回転を再開し、各用紙搬送ベルト81の表面に最上層の記録用紙を吸着して、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出し方向Eに引出して搬送ローラ対31へと搬送し、以降同様に各用紙搬送ベルト81の表面に最上層の記録用紙を繰り返し吸着して、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出し方向Eに引出して搬送して行く。
【0068】
ここで、各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aからの空気が用紙束の両側端面の上層に吹付けられると、用紙束上層の各記録用紙がばらつくだけではなく、上層の各記録用紙が湾曲して、各記録用紙の両側端が各アシストダクト77、78から離間し、各記録用紙の位置ズレや斜行が発生することがある。
【0069】
このため、上面吹出しダクト87の各上面吹出し口87cからの空気の吹付けにより上層の各記録用紙の両側部を押え付けて、上層の各記録用紙の平面性を略保つようにしている。上面吹出しダクト87の各上面吹出し口87cは、用紙積載台74上の用紙束の中心から同一距離離間したそれぞれの定位置に位置決めされており、最小サイズ(例えばA5サイズ)の記録用紙の用紙束を各アシストダクト77、78間に挟み込んで位置決めしたときに、各上面吹出し口87cが用紙束上面の両側部(記録用紙の中央よりも各アシストダクト77、78に近い両側部)に対向し、各上面吹出し口87cからの空気が用紙束最上層の記録用紙の両側部に直接吹付けられて、用紙束上層の各記録用紙の両側部が押え付けられる。また、用紙束の各記録用紙が最小サイズよりも大きい場合は、各上面吹出し口87cからの空気が最上層の記録用紙の両側部近傍で受けられて拡がるので、上層の各記録用紙の両側部が押え付けられる。
【0070】
例えば、図9(a)に示すように上面吹出しダクト87の各上面吹出し口87cからの空気により用紙束上層の各記録用紙Pの両側部が押え付けられると、各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aからの空気が用紙束の両側端面の上層に吹付けられても、上層の各記録用紙Pが湾曲せず、各記録用紙Pの平面性が略保たれて、各記録用紙Pの両側端が各アシストダクト77、78から離間せず、各アシストダクト77、78により各記録用紙Pの両側端の位置が規制されて、各記録用紙Pの位置ズレや斜行が発生せずに済む。
【0071】
特に、記録用紙Pが最小サイズである場合は、各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aからの空気の吹付けにより上層の各記録用紙Pが湾曲し易いものの、各上面吹出し口87cからの空気が最上層の記録用紙Pの両側部に直接吹付けられて、上層の各記録用紙Pの両側部が充分に押え付けられるため、各アシストダクト77、78により各記録用紙Pの両側端の位置が確実に規制される。
【0072】
仮に、図9(b)に示すように用紙束上層の各記録用紙Pの両側部を押え付けなかった場合は、各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aからの空気の吹付けにより上層の各記録用紙Pが過剰に浮揚して、各記録用紙Pが湾曲し、各記録用紙Pの両側端が各アシストダクト77、78から離間し、各記録用紙Pの位置ズレや斜行が発生する。
【0073】
特に、各記録用紙Pが最小サイズである場合は、各記録用紙P全体が浮揚して、各記録用紙Pが湾曲し易いため、各記録用紙Pの両側端が各アシストダクト77、78から著しく離間し、各記録用紙Pの位置ズレや斜行の程度が大きくなる。
【0074】
また、図10に示すように各上面吹出し口87cからの空気により押え付けられる用紙束上層の各記録用紙Pの両側部SEは、記録用紙の引出し方向E(搬送方向)と直交する方向Xから見て、各アシストダクト77、78の領域Gに重なる。このため、各上面吹出し口87cからの空気により用紙束上層の各記録用紙Pの両側部SEを押え付けると、各記録用紙Pの両側端が各アシストダクト77、78に確実に接近もしくは当接し、各アシストダクト77、78により各記録用紙Pの位置ズレや斜行を効果的に防止することができる。
【0075】
更に、上面吹出しダクト87の各上面吹出し口87cからの空気の吹出しにより用紙束の最上層の記録用紙の両側部を押え付ける力は、各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aを通じての空気の吸引より記録用紙を各用紙搬送ベルト81に吸着する力よりも小さくなるように、各上面吹出し口87cからの空気の吹出し量を調節している。
【0076】
この空気の吹出し量の調節は、上面吹出しダクト87の各上面吹出し口87cの開口面積と排気ダクト86の各吹出し口86bの開口面積とを変更することによりなされる。先の説明から明らかなように単一の吸排気ファン84により、用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから空気を吸引し、排気ダクト86の各吹出し口86bから空気を吹出し、上面吹出しダクト87の各上面吹出し口87cからも空気を吹出している。このため、用紙搬送ベルト81の各通気孔81aからの空気の吸引量と、排気ダクト86の各吹出し口86bからの空気の吹出し量及び上面吹出しダクト87の各上面吹出し口87cからの空気の吹出し量の和とが、略一致する。従って、各上面吹出し口87cの開口面積と各吹出し口86bの開口面積とを変更すれば、各上面吹出し口87cからの空気の吹出し量を調節することができ、各上面吹出し口87cからの空気により記録用紙の両側部が押え付けられる力を各用紙搬送ベルト81に記録用紙が吸着される力よりも小さくすることができる。
【0077】
この結果、各上面吹出し口87cから吹出された空気により記録用紙の両側部を押え付けながらも、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が吸着され得るように記録用紙の両側部の浮揚を許容することが可能となる。
【0078】
また、図10に示すように各上面吹出し口87cからの空気により押え付けられる用紙束上層の各記録用紙Pの側部SEは、記録用紙の面に対する鉛直方向(図10に対する鉛直方向と同じ)から見て、各用紙搬送ベルト81による吸着範囲から外れる領域Hにある。これは、記録用紙を各用紙搬送ベルト81に吸着するための空気の吸引方向が上方向であり、記録用紙の両側部を押え付けるための空気の吹出し方向とが下方向であって、これらの空気の吸引方向と吹出し方向が逆方向になるからであり、これらの空気の吸引と吹出しとが干渉し合うと、記録用紙の吸着及び記録用紙の両側部の押え付けのいずれにも支障を来たすためである。
【0079】
このように第1実施形態の給紙装置71では、上面吹出しダクト87の各上面吹出し口87cから空気を下方に吹出して、この空気により用紙積載台74上の用紙束上層の各記録用紙の両側部を押え付けているので、各アシストダクト77、78の吹出し口77a、78aからの空気を用紙束の端面に吹付けて、上層の各記録用紙をばらつかせても、各記録用紙の平面性を略保つことができ、各アシストダクト77、78により各記録用紙の両側端の位置を確実に規制して、各記録用紙の位置ズレや斜行を防止することができる。
【0080】
また、空気による押え付けであるから、記録用紙の両側部を押え付けながらも、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が吸着され得るように記録用紙の両側端の浮揚を許容することが可能である。
【0081】
また、用紙積載台74上に最小サイズの記録用紙の用紙束を各アシストダクト77、78間に挟み込んで位置決めしたときに、上面吹出しダクト87の各上面吹出し口87cが最小サイズの記録用紙の両側部に対向するように各上面吹出し口87cの位置を定めているが、各上面吹出し口87cから吹出された空気が記録用紙で受けられて拡がるので、最小サイズの記録用紙だけではなく、より大きなサイズの記録用紙の両側部を押え付けることができ、また空気が記録用紙で受けられて拡がる領域から該記録用紙の側端部が外れることはなく、記録用紙の側部を安定的に押え付けることができる。
【0082】
また、吸排気ファン84は、用紙束の先端面の上層に空気を吹付けて、各記録用紙をばらつかせるためと、用紙束最上層の記録用紙の両側部に空気を吹付けて、各記録用紙の両側部を押え付けるためと、用紙束最上層の記録用紙を各用紙搬送ベルト81に吸着するためとに共用されており、これによりファンの設置数が節減されている。
【0083】
尚、上面吹出しダクト87を吸排気ファン84の排気口に直接接続しているが、上面吹出しダクト87を排気ダクト86の側端部86cに接続して、吸排気ファン84の排気口から排気された空気を排気ダクト86を通じて上面吹出しダクト87へと導き、空気を上面吹出しダクト87の各上面吹出し口87cから吹出させても構わない。
【0084】
次に、第2実施形態の給紙装置71Aについて説明する。この給紙装置71Aは、第1実施形態の給紙装置71と同様に、図1の画像形成装置1における大容量給紙カセット14に設けられるものである。
【0085】
図11は、第2実施形態の給紙装置71Aを概略的に示す断面図である。また、図12は、給紙装置71Aを模式的に示す平面図である。この給紙装置71Aでは、第1実施形態の給紙装置71における上面吹出しダクト87を省略し、各アシストダクト77、78の内側壁にそれぞれの上面吹出し口77b、78bを追加形成している。従って、各アシストダクト77、78の内側壁には、各吹出し口77a、78a及び各上面吹出し口77b、78bが設けられている。
【0086】
各アシストファン79、80から各アシストダクト77、78へと空気が送り込まれると、空気が各吹出し口77a、78a及び各上面吹出し口77b、78bから吹出す。各吹出し口77a、78aからの空気は、用紙積載台74上の用紙束の両側端面の上層に吹付けられて、各記録用紙間に侵入し、各記録用紙をばらつかせる。
【0087】
また、各上面吹出し口77b、78bには、それぞれのルーバー(図示せず)が設けられており、各ルーバーが用紙積載台74側で低くなるように傾斜している。このため、各上面吹出し口77b、78bからは空気が斜め下方に吹出し、これらの空気が用紙積載台74上の用紙束最上層の記録用紙の両端部に吹付けられ、用紙束上層の各記録用紙の両端部が押え付けられる。更に、記録用紙のサイズにかかわらず、各アシストダクト77、78が記録用紙の両側端に常に当接するため、各上面吹出し口77b、78bからの空気が用紙束最上層の記録用紙の両端部に吹付けられ、用紙束上層の各記録用紙の両端部が押え付けられる。
【0088】
各上面吹出し口77b、78bからの空気により押え付けられる用紙束上層の各記録用紙の両側部は、記録用紙の引出し方向E(搬送方向)と直交する方向Xから見て、各アシストダクト77、78の領域Gに重なる。このため、上層の各記録用紙の両側部が押え付けられると、各記録用紙の両側端が各アシストダクト77、78に確実に接近もしくは当接し、各アシストダクト77、78により各記録用紙の位置ズレや斜行を効果的に防止することができる。
【0089】
また、各上面吹出し口77b、78bからの空気により押え付けられる用紙束上層の各記録用紙の両側部は、記録用紙の面に対する鉛直方向から見て、各用紙搬送ベルト81による吸着範囲から外れる領域Hにある。このため、各上面吹出し口77b、78bから吹出される空気と各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aへと吸引される空気とが干渉し合うことはなく、記録用紙の吸着及び記録用紙の両側部の押え付けを同時に行うことができる。
【0090】
このような第2実施形態の給紙装置71Aでは、各アシストダクト77、78の各上面吹出し口77b、78bから吹出された空気により用紙束上層の各記録用紙の両側部を押え付けているので、各記録用紙の平面性を略保つことができ、各アシストダクト77、78により各記録用紙の両側端の位置を確実に規制して、各記録用紙の位置ズレや斜行を防止することができる。また、空気による押え付けであるから、記録用紙の側部を押え付けながらも、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が吸着され得るように記録用紙の側端の浮揚を許容することが可能である。更に、各アシストファン79、80は、用紙束の両側端面の上層に空気を吹付けて、各記録用紙をばらつかせるためと、用紙束最上層の記録用紙の両側部に空気を吹付けて、各記録用紙の両側部を押え付けるためとに共用されており、これによりファンの設置数が節減されている。
【0091】
図13は、第3実施形態の給紙装置71Bを概略的に示す断面図である。また、図14は、給紙装置71Bを模式的に示す平面図である。この給紙装置71Bでは、第1実施形態の給紙装置71における上面吹出しダクト87の代わりに、上面吹出しダクト101を吸気ダクト85の後端部85d(引出し方向Eの上流側の端部)に固定して設け、上面吹出しダクト101の上面に吹出しファン102を設けている。
【0092】
上面吹出しダクト101は、第1実施形態の給紙装置71における上面吹出しダクト87のように吸排気ファン84に接続されておらず、専用の吹出しファン102の排気口に接続さている。上面吹出しダクト101は、中空体であり、吹出しファン102から空気を送り込まれて、空気を上面吹出しダクト101の底に設けられた各上面吹出し口101aから用紙積載台74へと下方に吹出す。上面吹出しダクト101の各上面吹出し口101aは、用紙積載台74上に積載された最小サイズ(例えばA5サイズ)の記録用紙の用紙束上面の両側部に対向するそれぞれの位置にある。
【0093】
図15は、第3実施形態の給紙装置71Bの制御系を概略的に示すブロック図である。図15において、制御部111は、画像形成装置1及び給紙装置71B等を統合的に制御するものであって、CPU、RAM、ROM、各種のインターフェース等からなる。入力操作部112は、例えば複数の操作キー、液晶表示装置、及び液晶表示装置の画面に重ねられたタッチパネル等を備え、画像形成装置1の操作ガイダンス等を液晶表示装置の画面に表示したり、各操作キー等の操作により入力指示されたデータ等を制御部111に出力したりする。メモリ113は、例えばハードディスク装置(HDD)であり、種々のデータやプログラムを記憶する。画像処理部114は、画像データに対して各種の画像処理を施す。
【0094】
サイズ検出部115は、例えば給紙装置71Bにおける用紙後端ガイド76の引出し方向Eの位置と各アシストダクト77、78の引出し方向Eと直交する方向の位置を検出し、これらの位置に対応する用紙積載台74上の用紙束の記録用紙のサイズを示す検出出力を出力する。
【0095】
このような構成において、例えば制御部111は、原稿読取り装置2で原稿の画像を読取らせ、原稿の画像を示す画像データをメモリ113に記憶させて、画像処理部114でメモリ113内の画像データを処理させ、印刷部11でメモリ113内の画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に記録させる。
【0096】
また、入力操作部112の操作により用紙供給部13が選択指示されると、これに応答して制御部111は、用紙供給部13を制御して、用紙供給部13から印刷部11へと記録用紙を給紙させ、この記録用紙に原稿の画像を記録させる。
【0097】
あるいは、入力操作部112の操作により大容量給紙カセット14が選択指示されると、制御部111は、大容量給紙カセット14の給紙装置71Bを制御して、給紙装置71Bから印刷部11へと記録用紙を給紙させ、この記録用紙に原稿の画像を記録させる。
【0098】
更に、制御部111は、給紙装置71Bの制御に際し、サイズ検出部115により検出された用紙束の記録用紙のサイズに応じて吹出しファン102をオンオフ制御する。例えば、サイズ検出部115により検出された記録用紙のサイズが規定サイズ(例えばB5サイズ)以下であれば、制御部111は吹出しファン102をオンにする。これにより、上面吹出しダクト101の各上面吹出し口101aからの空気が用紙束最上層の記録用紙の両側部に吹付けられて、用紙束上層の各記録用紙の両側部が押え付けられ、各記録用紙の平面性が略保たれ、各アシストダクト77、78により各記録用紙の両側端の位置が確実に規制されて、各記録用紙の位置ズレや斜行が防止される。
【0099】
また、サイズ検出部115により検出された記録用紙のサイズが規定サイズ(例えばB5サイズ)よりも大きければ、制御部111は吹出しファン102をオフにして、各上面吹出し口101aからの空気の吹出を停止する。記録用紙のサイズが規定サイズよりも大きい場合は、空気が用紙束の端面に吹付けられても、上層の各記録用紙全体が浮揚せず、各記録用紙の部分的な密接状態(例えば各記録用紙の後端部分の密接状態)が維持されるので、各記録用紙の位置が各アシストダクト77、78による規制位置からずれることはなく、空気を各上面吹出し口101aから記録用紙の両側部へと吹付ける必用がない。このため、記録用紙のサイズが規定サイズよりも大きい場合は、吹出しファン102をオフにしている。尚、吹出しファン102をオフにする代わりに、吹出しファン102の回転数を低下させて、各上面吹出し口101aからの空気の吹出し量を低減させても構わない。
【0100】
尚、上記各実施形態では、各アシストダクト77、78により用紙束の両側端の位置を規制し、用紙束の両側端面に空気を吹付けて、用紙束上層の各記録用紙をばらつかせ、用紙束最上層の記録用紙上面の両側部に空気を吹付けて、上層の各記録用紙の両側部を押え付けているが、用紙束の片側端の位置を規制し、用紙束の片側端面に空気を吹付けて、上層の各記録用紙をばらつかせ、最上層の記録用紙上面の片側部に空気を吹付けて、上層の各記録用紙の片側部を押え付けることによっても同様の効果が得られる。
【0101】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【符号の説明】
【0102】
1 画像形成装置
2 原稿読取り装置
11 印刷部
12 用紙搬送部
13 用紙供給部
14 大容量給紙カセット(LCC)
33 用紙搬送経路
71 給紙装置
72 外側枠体
73 底板
74 用紙積載台
75 用紙引出し部
76 用紙後端ガイド
77、78 アシストダクト(位置規制部材、端面空気吹出し部)
79、80 アシストファン
81 用紙搬送ベルト
82、83 ローラ
84 吸排気ファン
85 吸気ダクト
86 排気ダクト(端面空気吹出し部)
87、101 上面吹出しダクト(上面空気吹出し部)
92 パルスモータ
93 搬送モータ
94 空気吸引孔
102 吹出しファン
111 制御部
112 入力操作部
113 メモリ
114 画像処理部
115 サイズ検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙束を用紙積載台に積載し、空気を用紙搬送部材の通気孔を通じて吸引して、前記用紙束の用紙を前記用紙搬送部材に吸着して搬送しており、前記用紙束の側端であって、前記用紙の搬送方向と直交する方向における前記側端の位置を規制する位置規制部材と、前記用紙束の端面に空気を吹出す端面空気吹出し部とを備えた給紙装置において、
前記用紙束の上面の側部であって、前記用紙の搬送方向と直交する方向における前記側部に空気を吹出す上面空気吹出し部を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙装置であって、
前記用紙束の上面の側部は、前記用紙の搬送方向と直交する方向から見て、前記位置規制部材の領域に重なることを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の給紙装置であって、
前記用紙束の上面の側部は、前記用紙束の上面に対する鉛直方向から見て、前記用紙搬送部材による吸着範囲から外れる領域にあることを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記端面空気吹出し部及び前記上面空気吹出し部に共通のファンを備え、
前記端面空気吹出し部は、前記ファンから排気された空気を導いて前記用紙束の端面へと吹出す端面吹出しダクトを有し、
前記上面空気吹出し部は、前記ファンから排気された空気を導いて前記用紙束の上面の側部に吹出す上面吹出しダクトを有することを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記用紙引出し部及び前記上面空気吹出し部に共通のファンを備え、
前記用紙引出し部は、前記用紙搬送部材の通気孔を通じて吸引された空気を導いて前記ファンに吸気せる吸気ダクトを有し、
前記上面空気吹出し部は、前記ファンから排気された空気を導いて前記用紙束の上面の側部に吹出す上面吹出しダクトを有することを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記上面空気吹出し部からの空気の吹出しにより前記用紙束の用紙の側部が押え付けられる力は、前記用紙搬送部材の通気孔を通じての空気の吸引より前記用紙が前記用紙搬送部材に吸着される力よりも小さいことを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の給紙装置であって、
前記用紙束の用紙サイズに応じて、前記上面空気吹出し部の空気吹出し動作を制御する制御部を備えたことを特徴とする給紙装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の給紙装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−107741(P2013−107741A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254218(P2011−254218)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】