説明

給紙装置および画像形成装置

【課題】コンパクトでありながら、給紙時のタイムロスを削減して高速処理化を可能とし、かつ駆動系への負荷を軽減できる給紙装置を提供する。
【解決手段】一対の給紙ユニット30を備え、各給紙ユニット30が、用紙トレイ31と、用紙Pをピックアップするピックアップローラ321と、ピックアップされた用紙Pを送り出すフィードローラ322と、フィードローラ322に圧接し、トルクリミッタ328を介して用紙Pを用紙トレイ31に戻す方向に駆動される分離ローラ324と、フィードローラ322に送り出された用紙Pを搬送する搬送ローラ323とを有する給紙装置Bにおいて、各給紙ユニット30に、正逆方向に駆動方向を切り替え可能な駆動源33を一つずつ設け、各駆動源33が、その正転時に自給紙ユニットのフィードローラ322を駆動し、その逆転時に他給紙ユニットの搬送ローラ323を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置およびこれを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、画像を形成するための用紙が複数枚積載された用紙トレイから、用紙を一枚ずつ分離して送り出す給紙装置が知られている。給紙装置は、用紙トレイからピックアップされた用紙を搬送するフィードローラや、フィードローラを経た用紙を搬送方向下流側に向けて搬送する搬送ローラ(グリップローラともいう)などを有している。給紙装置を駆動させるためには、フィードローラを駆動する駆動系と搬送ローラを駆動する駆動系の2系統が必要である。
【0003】
このような2系統の駆動系を確保するため、フィードローラと搬送ローラとを別の駆動源で駆動することが考えられる。しかし、1つの用紙トレイに対して少なくとも2個の駆動源が必要となるため、複数の用紙トレイを有する画像形成装置においては、駆動源の数が多くなり、コストアップや駆動系のスペースの増大などといった問題が発生する。そのため、一つの用紙トレイに対して一つの駆動源を設け、用紙の搬送途中で駆動源の駆動方向を切り替えることにより、フィードローラと搬送ローラとを駆動することが提案されている。
【0004】
正逆方向に回転可能な駆動モータを用いる用紙供給装置としては、特開2008−239343号公報(特許文献1)、および特許第3782721号公報(特許文献2)などが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、正逆回転可能なモータを用いて、給紙ローラと搬送ローラの駆動を制御することが記載されている。これは、モータの正転により給紙ローラおよび搬送ローラを駆動し、逆転により搬送ローラのみを駆動するものである。具体的には、給紙開始時にモータを正転駆動させ、シート(用紙)先端がレジストローラのニップ部に到達したことをセンサで検出すると、モータを停止させる。所定時間経過後にレジストローラの回転と同期してモータを逆転駆動させ、搬送ローラのみを駆動する。
【0006】
また、2段目(下側)の給紙カセットからの給紙の際には、シートが上記ニップ部に到達するまでは、1段目(上側)の給紙カセットの第一モータを逆転駆動し、2段目の給紙カセットの第二モータを正転駆動する。シートがニップ部に到達すると、上記と同様に、第二モータを逆転駆動し、第一モータと第二モータとを共に逆転駆動する。なお、サイズの小さいシートの場合は、シートの連送り(重送)防止のため、第二モータは一旦停止した後に、逆転駆動する。
【0007】
特許文献2に記載の給紙装置には、1つの正逆回転可能なモータにより、フィードローラ、分離ローラ、搬送ローラを駆動することが記載されている。具体的には、モータの正転方向の回転でフィードローラ、分離ローラ、および搬送ローラが共に回転駆動され、逆転方向の回転により、分離ローラと搬送ローラとが回転駆動される。なお、モータの正転逆転の切り替えは、搬送ローラの下流側に設けられたセンサにより用紙の先端を検知したタイミングで行われている。
【0008】
また、複数の給紙装置が設けられている場合は、上部の給紙ユニットのモータを逆転駆動させ、例えば最下段の給紙ユニットから給紙する際には、給紙対象である最下段の給紙ユニットにおける駆動を、用紙の搬送途中で正転から逆転に切り替えるようにしている。
【0009】
このように、給紙中に駆動モータの回転方向を切り替える場合は、駆動モータを減速させて停止させた後に反転させて加速する必要があり、これら一連の過程でタイムロスが発生する。また、噛み合ったギヤ間にバックラッシが存在するため、この種のタイムロスはさらに増大する。そのため、さらなる高速処理化を図るには限界がある。また、急激な反転に伴い、駆動系への負荷が増大するという問題もある。
【0010】
そこで、本発明は、コンパクトでありながら、給紙時のタイムロスを削減して高速処理化を可能とし、かつ駆動系への負荷を軽減できる給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、一対の給紙ユニットを備え、各給紙ユニットが、用紙を収納する用紙トレイと、用紙トレイから用紙をピックアップするピックアップローラと、ピックアップされた用紙を送り出すフィードローラと、フィードローラに圧接し、トルクリミッタを介して用紙を用紙トレイに戻す方向に駆動される分離ローラと、フィードローラに送り出された用紙を搬送する搬送ローラとを有する給紙装置において、各給紙ユニットに、正逆方向に駆動方向を切り替え可能な駆動源を一つずつ設け、各駆動源が、その正転時に自給紙ユニットのフィードローラを駆動し、その逆転時に他給紙ユニットの搬送ローラを駆動することを特徴とする。
【0012】
ここで、「自給紙ユニット」は、駆動源が装備されている給紙ユニットを意味する。「他の給紙ユニット」は、駆動原が装備されている給紙ユニット以外の給紙ユニットを意味する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一対の給紙ユニットの各駆動源が、その正転時に自己の給紙ユニットのフィードローラを駆動し、その逆転時に他の給紙ユニットの搬送ローラを駆動するので、一方の給紙ユニットで給紙する際には、該給紙ユニットの駆動源でフィードローラを駆動し、他の給紙ユニットの駆動源で搬送ローラを駆動することができる。そのため、各給紙ユニットに一つの駆動源を配置した構成でも、両駆動源の個別制御により、フィードローラと搬送ローラの回転制御を独立して行うことが可能となる。これにより、用紙がフィードローラから搬送ローラに移行するまでの間は搬送ローラを常時駆動することが可能となり、搬送ローラを駆動する駆動源の反転動作(正転→停止→逆転)が不要となる。また、フィードローラを駆動する駆動源は所定タイミングで停止させるだけでよく、その後に逆転させる必要はない。そのため、駆動源の停止・反転に伴うタイムロスを少なくして高速処理化を図ることができ、かつ駆動系が受ける負荷を小さくすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置を示す断面図である。
【図2】図1の画像形成装置における給紙部の概略を示す側面図である。
【図3】(a)は、駆動源の正転時における給紙機構の動作を概略的に示す側面図であり、同図(b)は、駆動源の逆転時における給紙機構の動作を概略的に示す側面図である。
【図4】(a)は、本発明の給紙装置で上段給紙を行う際の給紙工程の前半を概略的に示す側面図であり、同図(b)は、同じく給紙工程の後半を概略的に示す側面図である。
【図5】(a)は、本発明の給紙装置で下段給紙を行う際の給紙工程の前半を概略的に示す側面図であり、同図(b)は、同じく給紙工程の後半を概略的に示す側面図である。
【図6】本発明の給紙装置を概略的に示す正面図である。
【図7】給紙装置における給紙ユニットの着脱作業を示す斜視図である。
【図8】従来機構における駆動源のPPSを示す図である。
【図9】本発明における駆動源のPPSを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる画像形成装置である。
【0016】
図1に示すように、モノクロ電子写真装置等からなる画像形成装置Aは、原稿読み取り部1、画像形成部2、給紙部3などにより構成される。
【0017】
原稿読み取り部1は、画像形成装置Aの最上部に位置しており、複数の原稿を一枚ずつ供給する原稿供給手段11と、供給された原稿の画像を読み取る原稿読み取り手段(図示せず)などから構成される。
【0018】
原稿供給手段11は、複数の原稿を載置する原稿載置台、載置された原稿を一枚ずつ分離して供給し、原稿の読み取りが完了した後、原稿排出部に搬送する複数の搬送ローラや搬送される原稿をガイドするガイド部材などを有する。原稿読み取り手段は、搬送された原稿が読み取り面を下にして停止するコンタクトガラスと、コンタクトガラスに対向した位置において、規定の方向に往復移動して原稿の画像を読み取る読み取りユニットなどを有する。
【0019】
また、画像形成部2は、図示しない書き込み部、作像部21、定着部22、搬送路23、および排出部24などから構成される。
【0020】
書き込み部は、画像形成部2の上部に位置しており、例えばレーザ光などの光を発光する光源や各種光学系より構成される。具体的には、原稿読み取り部1において読み取られた画像に基づいて作成された画像データの光を、後述する作像部21の感光体ドラム211に向けて照射することで、感光体ドラム211の表面を露光するものである。
【0021】
作像部21は、書き込み部の下方に位置しており、画像形成装置Aに対して着脱可能に構成された作像ユニットを備える。作像ユニットは、表面上に現像剤としての黒色のトナーを担持可能な感光体ドラム211と、感光体ドラム211の表面を一様に帯電させる帯電ローラと、感光体ドラム211の表面にトナーを供給する現像機と、感光体ドラム211の表面をクリーニングするための感光体クリーニングブレードなどで構成される。また、感光体ドラム211に対して用紙Pが搬送される搬送路を挟んだ対向位置には、転写手段としての転写ローラ212が配置される。転写ローラ212は感光体ドラム211を押圧しており、感光体ドラム211と転写ローラとの間に転写ニップが形成される。
【0022】
定着部22は、転写ニップよりも用紙Pの搬送方向下流側に位置しており、図示しない加熱源によって加熱される定着ローラ、その定着ローラを加圧可能な加圧ローラからなる定着ローラ対221などを有する。
【0023】
搬送路23は、給紙部3から搬出された用紙Pを搬送する搬送経路であり、一対のレジストローラ対231の他、後述する排出部24に至るまで、図示しない搬送ローラ対が搬送路23の途中に適宜配置されている。また、定着部22の搬送方向下流側には、リバース機構232が設けられている。リバース機構232は、図示しない複数の搬送ローラにより、排出部24から排出する用紙Pの表裏を反転させる反転手段と、用紙Pの両面に画像を形成するために、反転させた後、再度画像形成部2に搬送する搬送手段とを有している。
【0024】
排出部24は、搬送路23の最下流に設けられ、用紙Pを画像形成装置Aの外部へ排出する一対の排紙ローラ対241と、排出された用紙Pを積載するための排紙トレイ242とが配設されている。
【0025】
さらに、給紙部3は、画像形成装置Aの下部に位置しており、上下方向の複数段(図示では4段)に配置された給紙ユニット30を備える。各給紙ユニット30は、複数の用紙Pを積載して収容する用紙トレイ31、および用紙トレイ31から用紙Pをピックアップして搬送路23に搬出する給紙機構32を有する。
【0026】
以下、図1を参照して上記画像形成装置Aの基本的動作を説明する。
【0027】
画像形成装置Aにおいて、画像形成を行うにあたり、まずは原稿の画像の読み取りを行う。複数枚の原稿を原稿供給手段11の原稿載置台に載置して、図示しない開始ボタンを押すことにより、原稿の読み取りおよび画像形成を開始する。読み取りを行う一枚目の原稿が、原稿搬送手段により、コンタクトガラス上に搬送され、原稿読み取り手段により読取られた後、原稿排出部に排出される。なお、原稿が冊子などの場合には、直接コンタクトガラス上に原稿を載置して一頁ずつ読み取りを行ってもよい。
【0028】
次に、画像形成部2において画像の形成が開始される。作像ユニットの感光体ドラム211が、図示しない駆動装置によって図の反時計回りに回転駆動され、感光体ドラム211の表面が帯電ローラにより所定の極性に一様に帯電される。帯電された感光体ドラム211の表面には、形成する画像のレーザ光が書き込み部から照射されて、感光体ドラム211の表面に静電潜像が形成される。このとき、感光体ドラム211に露光される画像情報は原稿読み取り機構によって読み取られた画像情報である。このように感光体ドラム211上に形成された静電潜像に、現像機から黒色のトナーが供給されることにより、静電潜像は顕像であるトナー画像(現像剤像)として可視像化される。
【0029】
一方、画像の形成が開始されると、画像形成装置Aの下部では、給紙部3のいずれかの給紙ユニット30の用紙トレイ31から用紙Pが搬送路23に送り出される。搬送路23に送り出された用紙Pは、レジストローラ対231により、所定のタイミングで転写ニップに搬送され、トナー画像が転写される。このとき転写ローラ212には、感光体ドラム211上のトナー画像のトナー帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されているため、転写ニップには転写電界が形成される。そして、この転写電界によって、感光体ドラム211上のトナー画像が用紙P上に転写される。
【0030】
その後、感光体ドラム211の表面に付着している残留トナーが感光体クリーニングブレードで除去され、次いで、除電装置で除電されることにより、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。なお、除去された残留トナーは、図示しないスクリューや廃トナー移送ホースなどにより廃トナー収容器へ搬送されて回収される。
【0031】
トナー画像が転写された用紙Pは、定着部22へと搬送され、加熱されている定着ローラと加圧ローラとからなる定着ローラ対221により加熱および加圧されることによって、トナー画像が用紙Pに定着される。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着ローラ対221から分離される。さらに、図示しない搬送ローラ対で搬送されて、排出部24において排紙ローラ対241により画像形成装置Aから排出され、排紙トレイ242に積載される。
【0032】
続いて、図2に基づいて、給紙部3の詳細について説明する。図2は給紙部3の概略構成を示す側面図である。図2に示すように、本実施形態において、給紙部3には、上下方向に積み重ねた4段の給紙ユニット30が設けられている。各段の給紙ユニット30の構成は共通するので、以下では最上段の給紙ユニット30の構成のみを説明し、他の給紙ユニット30の構成に関する説明を省略する。
【0033】
給紙ユニット30には、複数枚の用紙Pを積載して収容する用紙トレイ31と、用紙トレイPの用紙Pを一枚ずつ搬送路23に搬出する給紙機構32とが設けられる。
【0034】
用紙トレイ31は、画像形成装置Aの本体に対して着脱可能であり、画像を形成する用紙Pを複数枚収容する。各用紙トレイ31には、トレイごとに同サイズの用紙Pが積載状態で収容される。複数の給紙ユニット30では、サイズの異なる用紙Pや、同じサイズで向きを異ならせた用紙Pが用紙トレイ31に収容される。大量印刷等に対応するため、異なる用紙トレイ31に同じサイズの用紙Pを収容する場合もある。
【0035】
給紙機構32は、積載される用紙Pをピックアップするピックアップローラ321と、ピックアップされた用紙Pを用紙トレイ31外に送り出すフィードローラ322と、用紙Pを搬送路23に搬出する搬送ローラ323と、用紙Pの重送を防止する分離ローラ324と、駆動源33と、駆動源33の出力を上記各ローラ321〜324に伝達するトルク伝達機構34(図3(a)(b)参照)と、搬送ローラ323の周囲二箇所に配置され、それぞれ搬送ローラ323との間でニップを形成する従動ローラ325,326とを具備する。
【0036】
ピックアップローラ321は、用紙トレイ31の真上に配置されている。フィードローラ322は、用紙トレイ31に隣接して配置され、ピックアップローラ321によってピックアップされた用紙Pを受け取って用紙トレイ31外に送り出す。ピックアップローラ321とフィードローラ322は、連結アーム321aに回転可能に支持されている。連結アーム321aは、フィードローラ322の回転軸を中心として回転可能であり、連結アーム321aを回転させることによって、ピックアップローラ321が用紙トレイ31の最上の用紙Pに対して接離可能になっている。
【0037】
搬送ローラ323は、ピックアップローラ321やフィードローラ322よりも大径のローラであり、フィードローラ322によって送り込まれた用紙Pの搬送方向を上方に変更して、各給紙ユニット30を通過する搬送路23に用紙Pを搬出する。
【0038】
分離ローラ324は、フィードローラ322に圧接した状態で配置され、フィードローラ322との間でニップを形成している。分離ローラ324と、これを駆動する駆動軸との間にはトルクリミッタ328が配置されている。分離ローラ324の駆動軸には、フィードローラ322に対してカウンター回転となる方向にトルクが入力される。かかる構成から、一枚だけの用紙Pがニップに供給された場合は、分離ローラ324への入力トルクの伝達がトルクリミッタで遮断される。そのため、分離ローラ324がフィードローラ322に従動回転し、フィードローラ322の搬送力により用紙Pがそのまま搬送ローラ323に送り出される。その一方で、二枚以上重なった用紙Pがニップに供給されると、分離ローラ324が入力トルクによってカウンター回転する。そのため、フィードローラ322に接する用紙以外の用紙Pが用紙トレイ31に戻され、フィードローラ322に接する用紙Pがフィードローラ322によってそのまま送り出される。そのため、複数枚の用紙Pの搬送(重送)を防止することができる。なお、分離ローラ324は、フィードローラ322に対して接離可能に構成してもよい。
【0039】
駆動源33は、正逆方向に駆動方向を切り替え可能なモータ、例えばステッピングモータで構成される。
【0040】
次に、図3(a)(b)に基づいて、給紙機構32におけるトルク伝達機構34の構成を説明する。なお、図3(a)(b)では、図面の理解の容易化のため、フィードローラ322の図示を省略している(図4(a)(b)および図5(a)(b)も同じ)。
【0041】
図3(a)に示すように、給紙機構32のトルク伝達機構34は、駆動源33のトルクを、実線で示すトルク伝達経路を経てフィードローラ322に伝達する第一トルク伝達機構34aと、駆動源33のトルクを、破線で示すトルク伝達経路を経て搬送ローラ323に伝達する第二トルク伝達機構34bとに大別される。
【0042】
第一トルク伝達機構34aは、駆動源33の出力軸に取り付けられた原動ギヤ341と、2枚の中間ギヤ(第一中間ギヤ342および第二中間ギヤ343)と、フィードローラ322の駆動軸に取り付けられた第一出力ギヤ344と、第一出力ギヤ344とフィードローラ322の間に配置された第一ワンウェイクラッチ346とで構成される。第一ワンウェイクラッチ346の入力側が第一出力ギヤ344に結合され、出力側がフィードローラ322の駆動軸に結合されている。第一ワンウェイクラッチ346は、フィードローラ322を用紙Pの搬送方向に駆動させる方向の入力トルクに対してロック状態となり、入力トルクを出力側のフィードローラ322に伝達する。その一方で、これとは逆向きの入力トルクに対しては空転状態となり、これによってフィードローラ322へのトルク伝達が遮断される。
【0043】
第二トルク伝達機構34bは、原動ギヤ341と、第一中間ギヤ342と、第二ワンウェイクラッチ350と、第一ベルト伝動装置347と、第二出力ギヤ349とで構成される。原動ギヤ341および第一中間ギヤ342は第一トルク伝達機構34aと共用している。第二出力ギヤ349には搬送ローラ323の駆動軸が取り付けられている。
【0044】
図6はトルク伝達機構34の正面図である(概略構成を示すものであり、機器の配置位置は、図3(a)(b)とは一致していない)。なお、図示のように、第二ワンウェイクラッチ350の入力側は第一中間ギヤ342に固定されている。第二ワンウェイクラッチ350の出力側には、第一中間ギヤ342と非連結のトルク伝達軸351が固定されている。トルク伝達軸351には、第一ベルト伝動装置347の駆動プーリ347aが装着されている。トルク伝達軸351に与えられた入力トルクは、駆動プーリ347aおよびベルト347bを介して従動プーリ347c(図3(a)参照)に伝達され、従動プーリ347cに結合したギヤ(図示省略)を介して、第二出力ギヤ349に伝達される。第二ワンウェイクラッチ350は、搬送ローラ323を用紙Pの搬送方向に駆動させる方向の入力トルクに対してロック状態となり、入力トルクを出力側のトルク伝達軸351に伝達する。その一方で、これとは逆向きの入力トルクに対しては空転状態となり、搬送ローラ323へのトルク伝達が遮断される。
【0045】
フィードローラ322に入力されたトルクは、図示しないトルク伝達機構(例えばベルト伝動装置等)を介してピックアップローラ321に伝達される。かかる構成から、フィードローラ322の回転時には、これと連動してピックアップローラ321が同方向に回転駆動される。
【0046】
また、搬送ローラ323に入力されたトルクは、図示しないベルト伝動装置等のトルク伝達機構を介して分離ローラ324に伝達される。かかる構成から、搬送ローラ323の回転時には、これと連動して分離ローラ324が同方向に回転駆動される。
【0047】
以上に述べた給紙機構32の動作を図3(a)(b)に基づいて説明する。なお、図3(a)(b)においては、トルクが入力されている各機械要素を太い実線で描いている(図4(a)(b)および図5(a)(b)も同じ)。
【0048】
図3(a)に示すように、駆動源33を正転方向(図の時計方向)に駆動させると、そのトルクは、第一トルク伝達機構34aを構成する原動ギヤ341、第一中間ギヤ342、第二中間ギヤ343を介して第一出力ギヤ344に伝達される。このときの第一出力ギヤ344の回転方向に対しては第一ワンウェイクラッチ346がロック状態となるため、第一出力ギヤ344に連動してフィードローラ322、さらにはピックアップローラ321が同方向に回転する。その一方で、第一中間ギヤ342の回転方向に対して第二ワンウェイクラッチ350が空転状態となるため、第一ベルト伝動装置347、さらには第二出力ギヤ349にトルクが伝達されない。従って、搬送ローラ323、さらに分離ローラ324は停止状態となる。
【0049】
図3(b)に示すように、駆動源33を逆転方向に駆動させると、第一トルク伝達機構34aの第一出力ギヤ344、第一中間ギヤ342、第二中間ギヤ343、第一出力ギヤがそれぞれ逆回転するが、このときの入力トルクに対しては第一ワンウェイクラッチ346が空転する。そのため、フィードローラ322にはトルクが伝達されず、フィードローラ322(さらにはピックアップローラ321)が停止する。その一方で、このときの第一中間ギヤ342の回転方向に対しては、第二ワンウェイクラッチ350がロック状態となるため、駆動源33の出力トルクが、第一中間ギヤ342から第二ワンウェイクラッチ350、トルク伝達軸351、および第一ベルト伝動装置347を介して第二出力ギヤ349に伝達され、搬送ローラ323が回転する。
【0050】
以上に述べた給紙機構32は、全ての給紙ユニット30に設けられる。本発明の画像形成装置Aでは、以上に説明した構成に加え、図4(a)に示すように、対をなす給紙ユニット30間でトルク伝達を行う第三トルク伝達機構36が設けられる。具体的には、図6に示すように、双方の給紙ユニット30の第二ワンウェイクラッチ350より出力側が第三トルク伝達機構36を介してトルク伝達可能に結合される。第三トルク伝達機構36として、双方の給紙ユニット30のトルク伝達軸351にプーリ361を装着し、かつプーリ361間にベルト362を架け渡した第二ベルト伝動装置360で構成した場合を例示している。本発明の給紙装置Bは、一対の給紙ユニット30のそれぞれに設けられた合計二つの給紙機構32と、第三トルク伝達機構36とで構成される。残りの二つの給紙ユニット30の給紙機構32と、上記とは別の第三トルク伝達機構とを用いて別の給紙装置Bを構成することもできる。
【0051】
この給紙装置Bにおいては、図6に示すように、トルク伝達軸351の第二トルク伝達機構34b側と第三トルク伝達機構36との間にジョイント370を介在させ、トルク伝達軸351を、第二トルク伝達機構34b側と第三トルク伝達機構36側とに分割可能に構成するのが望ましい。このジョイント370は、例えば第二トルク伝達機構34b側のトルク伝達軸351に雄部371を設けると共に、第三トルク伝達機構36側のトルク伝達軸351に、雄部371に対して軸方向に挿脱可能で、かつ挿入後に雄部371との間でトルク伝達可能となる雌部372を設けることで構成することができる。この場合、第三トルク伝達機構36を構成する機械要素(本実施形態でいえばプーリ361)は、図7に示すように画像形成装置Aのフレーム380で支持する。
【0052】
かかる構成から、ローラ321〜326、駆動源33、およびトルク伝達機構34からなる給紙機構32を各給紙ユニット30ごとにユニット化し、ユニット化した給紙機構32を画像形成装置Aの本体に対して着脱することが可能となる。これにより、給紙機構32、さらには第三トルク伝達機構36のメンテナンス性を向上させることができる。
【0053】
以下、上述した給紙装置Bにおける給紙動作を図4(a)(b)および図5(a)(b)に基づいて説明する。以下の説明では、一対の給紙ユニット30のそれぞれで、対応する機械要素に同一符号を付している。但し、給紙を行わない他の給紙ユニット30の機械要素には、アポストロフィを付し、給紙を行う給紙ユニット30の各機械要素と区別している。
【0054】
図4(a)(b)は、上段の給紙ユニット30で給紙する際の給紙装置Bの動作を示す概略図である。図4(a)は給紙工程の前半を示し、図4(b)は、給紙工程の後半を示す。
【0055】
上段給紙ユニット30に給紙指令が送信されると、図4(a)に示すように、上段給紙ユニット30の駆動源33を正転方向に駆動し、給紙を行わない下段給紙ユニット30’の駆動源33’を逆転方向に駆動する。上段給紙ユニット30の駆動源33からの正転方向のトルクは、原動ギヤ341から第一中間ギヤ342、および第二中間ギヤ343を介して第一出力ギヤ344に伝達される。このトルクに対しては、第一ワンウェイクラッチ346がロック状態となるため、フィードローラ322、さらにはピックアップローラ321が回転駆動され、ピックアップローラ321による用紙Pのピックアップ、およびフィードローラ322による用紙Pの送り出しがそれぞれ行われる。
【0056】
一方、下段給紙ユニット30’の駆動源33’からの逆転方向のトルクに対しては、第二ワンウェイクラッチ350’がロック状態となる。そのため、このトルクは、原動ギヤ341’、第一中間ギヤ342’、第二ワンウェイクラッチ350’、トルク伝達軸351’(図6参照)、第三トルク伝達機構36(第二ベルト伝動装置360)を介して、上段給紙ユニット30のトルク伝達軸351に伝達される。このトルクは、上段給紙ユニット30の第一ベルト伝動装置347を経て第二出力ギヤ349に伝達される。そのため、上段給紙ユニット30の搬送ローラ323が回転し、さらに分離ローラ324に重送を防止するための入力トルクが与えられる。
【0057】
この際、上段給紙ユニット30の駆動源33の駆動方向は、第二ワンウェイクラッチ350の空転方向であるため、駆動源33のトルクは第二ワンウェイクラッチ350で遮断され、トルク伝達軸351には伝達されない。そのため、搬送ローラ323は、下段給紙ユニット30’の駆動源33’からの逆転方向のトルクのみによって回転駆動される。
【0058】
フィードローラ322に送り出された用紙Pは、搬送ローラ323に到達する。この到達を検知するため、搬送ローラ323の周囲に形成された二つのニップ(上流側従動ローラ325との間のニップ、および下流側従動ローラ326との間のニップ)のうち、下流側ニップよりも下流に、用紙先端を検知するためのセンサが設けられている。検知センサは、発光部と受光部を有する透過型または反射型の光センサであり、受光部で受光されている光が、用紙Pによって遮光されることにより、用紙Pの先端が搬送されたことを検知する。
【0059】
用紙Pの先端が搬送ローラ323の下流側ニップを通過し、これをセンサが検知すると、図4(b)に示すように、上段給紙ユニット30の駆動源33が停止する。その一方で、下段給紙ユニット30’の駆動源33’の逆転駆動は継続する。これにより、フィードローラ322およびピックアップローラ321は、回転トルクが与えらないために停止するが、搬送ローラ323および分離ローラ324は、下段給紙ユニット30’の駆動源33’からの入力トルクで継続して回転する。そのため、用紙Pは搬送ローラ323によって搬送路23(図2参照)に搬出される。
【0060】
なお、図4(a)(b)に示すように、下段給紙ユニット30’の駆動源33’を逆転駆動している間は、給紙動作とは直接の関係はないが、駆動源33’の逆転方向のトルクが第二ワンウェイクラッチ350’、第一ベルト伝動装置347’を介して第二出力ギヤ349’に伝達される。そのため、下段給紙ユニット30’の搬送ローラ323’、さらに分離ローラ324’は継続して回転駆動される。
【0061】
続いて、下段給紙ユニット30で給紙する際の給紙装置Bの動作を図5(a)および(b)に基づいて説明する。この場合の給紙動作は、給紙を行う給紙ユニットと給紙を行わない給紙ユニットとの関係が逆になる以外は、図4(a)(b)に基づいて説明した給紙動作と基本的に同じである。
【0062】
具体的には、図5(a)に示すように、給紙工程の前半では、給紙を行う下段給紙ユニット30の駆動源33を正転方向に駆動し、給紙を行わない上段給紙ユニット30’の駆動源33’を逆転方向に駆動する。下段給紙ユニット30の駆動源33による正転方向のトルクは、原動ギヤ341、第一中間ギヤ342、第二中間ギヤ343、第一出力ギヤ344、および第一ワンウェイクラッチ346を介してフィードローラ322に伝達される。これによりフィードローラ322とピックアップローラ321とが回転駆動される。この正転方向のトルクに対しては下段給紙ユニット30の第二ワンウェイクラッチ350が空転するため、正転方向のトルクが第一ベルト伝動装置347および第二出力ギヤ349を介して搬送ローラ323に伝達されることはない。
【0063】
一方、上段給紙ユニット30’の駆動源33’による逆転方向のトルクは、上段給紙ユニット30’の原動ギヤ341’、第一中間ギヤ342’、第二ワンウェイクラッチ350’、トルク伝達軸351’(図6参照)を介して、第三トルク伝達機構36(第二ベルト伝動装置360)に伝達される。このトルクは、下段給紙ユニット30のトルク伝達軸351(図6参照)に伝達され、さらに第一ベルト伝動装置347により第二出力ギヤ349に伝達されて、搬送ローラ323、さらには分離ローラ324が回転駆動される。
【0064】
用紙Pが搬送ローラ323に到達し、センサで用紙Pの先端が搬送ローラ323の下流側ニップを超えたことを検知すると、図5(b)に示すように、下段給紙ユニット30の駆動源33が停止する。その一方で、上段給紙ユニット30’の駆動源33’は継続して逆転方向に駆動する。これにより、下段給紙ユニット30のフィードローラ322およびピックアップローラ321の回転は停止するが、上段給紙ユニット30’の駆動源33’から逆転方向のトルクを受けた搬送ローラ323、さらには分離ローラ324が継続して回転駆動され、用紙Pが搬送ローラ323によって搬送路23に搬出される。
【0065】
このとき、上段給紙ユニット30’の搬送ローラ323’は、上段給紙ユニット30’の駆動源33’の逆転駆動により、継続して回転駆動されている。そのため、搬送路23に搬出された用紙Pは、下段給紙ユニット30の搬送ローラ323で搬送された後で、上段給紙ユニット30’の搬送ローラ323’によっても搬送路23を搬送される。そのため、確実に用紙Pをレジストローラ231まで搬送することができる。
【0066】
以上に述べた本発明の給紙装置Bであれば、以下に述べる作用効果が得られる。
【0067】
一対の給紙ユニット30の各駆動源33は、その正転時に自己の給紙ユニットのフィードローラ322を駆動し、その逆転時に他の給紙ユニット30の搬送ローラ323を駆動する。従って、一方の給紙ユニット30で給紙する際には、該給紙ユニットの駆動源33でフィードローラ322を駆動し、他の給紙ユニット30’の駆動源33’で搬送ローラ323を駆動することができる。そのため、各給紙ユニット30に一つの駆動源33を配置した構成でありながらも、両駆動源33の個別制御により、フィードローラ322と搬送ローラ323の回転制御を独立して行うことが可能となる。これにより、用紙Pがフィードローラ322から搬送ローラ323に移行するまでの間は搬送ローラ323を常時駆動することが可能となり、搬送ローラ323を駆動する駆動源33の反転動作(正転→停止→逆転)が不要となる。また、フィードローラ322を駆動する駆動源33は所定タイミングで停止させるだけでよく、その後に逆転させる必要はない。そのため、駆動源33の停止・反転に伴うタイムロスを少なくして高速処理化を図ることができる。また駆動源の反転駆動が不要となるので、噛み合ったギヤ間のバックラッシがなくなり、急な駆動接続がなくなるため、駆動系への負荷が減少し、トルク伝達機構34の各機械要素の耐久性が増す。
【0068】
また、従来のように、個々の給紙ユニット30の駆動源33を給紙中に反転させる構成では、搬出された用紙Pを給紙部3内の搬送路23で上方に搬送するために、全ての給紙ユニット30の駆動源33を継続して駆動する必要がある。これに対し、本発明の給紙装置Bであれば、二つの給紙ユニット30のうち、一方の給紙ユニット30の駆動源33を駆動するだけで用紙Pを給紙部B内の搬送路23で搬送できる。そのため、消費電力の低減化を図ることができる。
【0069】
図8は、従来のように個々の給紙ユニットに設けた駆動源33(ステッピングモータ)を正転から逆転に切り替えて搬送ローラ323を駆動する際のステッピングモータのパルス信号(PPS:パルス周波数)を表したものである。
【0070】
図8から明らかなように、ステッピングモータを反転させる際には、減速(正転スルーダウン)し、停止させた後、反転加速(反転スルーアップ)させる必要がある。そのため、減速、停止、加速のそれぞれに要する時間がタイムロスとなる。
【0071】
図9は、本発明の給紙装置Bの駆動源33(ステッピングモータ)におけるPPSを表すものである。図9に示すように、本発明の給紙装置Bでも給紙段のステッピングモータ33では、正転スルーダウンの区間が存在するが、上下いずれのステッピングモータでも反転スルーアップの区間が存在しない。従って、ステッピングモータのスルーアップ時間が用紙生産性に影響することはなく、余裕を持ったスルーアップが可能となる。そのため、ステッピングモータ33への負荷を軽減することができ、高速搬送を実現し、あるいは厚紙を給紙する際の高搬送負荷にも対応することが可能となる。
【0072】
以上の作用効果を得る本願発明の給紙装置Bの構成上の特徴を列挙すると以下のとおりである。
【0073】
(1)一対の給紙ユニット30を備え、各給紙ユニットが、用紙を収納する用紙トレイ31と、用紙トレイから用紙をピックアップするピックアップローラ321と、ピックアップされた用紙を送り出すフィードローラ322と、フィードローラに圧接し、トルクリミッタを介して用紙を用紙トレイに戻す方向に駆動される分離ローラ324と、フィードローラに送り出された用紙を搬送する搬送ローラ323とを有する給紙装置Bにおいて、各給紙ユニット30に、正逆方向に駆動方向を切り替え可能な駆動源33を一つずつ設け、各駆動源33が、その正転時に自給紙ユニット30のフィードローラ322を駆動し、その逆転時に他給紙ユニット30の搬送ローラ323を駆動する。
【0074】
(2)各給紙ユニット30が、その駆動源33のトルクを自給紙ユニットのフィードローラ322に伝達する第一トルク伝達機構34aと、該駆動源33のトルクを自給紙ユニットの搬送ローラ323に伝達する第二トルク伝達機構34bと、第一トルク伝達機構34aのトルク伝達経路に配置され、該駆動源33の正転時の入力トルクでロック状態となり、該駆動源の逆転時の入力トルクで空転状態となる第一ワンウェイクラッチ346と、第二トルク伝達機構34bのトルク伝達経路に配置され、該駆動源33の正転時の入力トルクで空転状態となり、該駆動源の逆転時の入力トルクでロック状態となる第二ワンウェイクラッチ350とを有する。
【0075】
(3)各給紙ユニット30の第二ワンウェイクラッチ350の出力側に、両者間でトルクを伝達する第三トルク伝達機構36を設ける。
【0076】
(4)一方の給紙ユニット30での給紙中に、該給紙ユニットの駆動源33を正転状態から停止状態に切り替え、かつ該給紙中に、他方の給紙ユニット30’の駆動源33’を逆転状態に維持する。
【0077】
(5)各給紙ユニット30に、第二トルク伝達機構34bと第三トルク伝達機構36との間でトルクを伝達するトルク伝達軸351を設け、トルク伝達軸351を第二トルク伝達機構34b側と第三トルク伝達機構36側とに分割可能にする。
【0078】
(6)第三トルク伝達機構36をフレーム380で支持する。
【0079】
(7)各給紙ユニット30で、搬送ローラ323と分離ローラ324とをトルク伝達可能に連結する。
【0080】
(8)各給紙ユニットで、フィードローラ322とピックアップローラ321とをトルク伝達可能に連結する。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば第一トルク伝達機構34a、第二トルク伝達機構34b、および第三トルク伝達機構36の構成はトルク伝達を行なえる限り任意であり、ギヤ列、ベルト伝動装置、あるいはこれらの組合せを適宜選択して使用することができる。
【0082】
また、本発明にかかる画像形成装置Aは、モノクロの画像形成装置Aの例であるが、4つの作像ユニットを備えるカラー画像の形成装置に用いてもよい。また、感光体ドラム211上に形成した画像を一旦中間転写ベルト上に転写することによりトナー画像を形成して、搬送される用紙にさらに転写する形態でもよい。なお、カラー画像形成装置においては、4つの作像ユニットのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つまたは3つの作像ユニットを使用して、2色または3色の画像を形成したりすることも可能である。さらに、本発明にかかる画像形成装置Aは、その他の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
A 画像形成装置
B 給紙装置
30 給紙ユニット
31 用紙トレイ
32 給紙機構
321 ピックアップローラ
322 フィードローラ
323 搬送ローラ
324 分離ローラ
328 トルクリミッタ
33 駆動源
34a 第一トルク伝達機構
34b 第二トルク伝達機構
36 第三トルク伝達機構
346 第一ワンウェイクラッチ
350 第二ワンウェイクラッチ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2008−239343号公報
【特許文献2】特許第3782721号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の給紙ユニットを備え、各給紙ユニットが、用紙を収納する用紙トレイと、用紙トレイから用紙をピックアップするピックアップローラと、ピックアップされた用紙を送り出すフィードローラと、フィードローラに圧接し、トルクリミッタを介して用紙を用紙トレイに戻す方向に駆動される分離ローラと、フィードローラに送り出された用紙を搬送する搬送ローラとを有する給紙装置において、
各給紙ユニットに、正逆方向に駆動方向を切り替え可能な駆動源を一つずつ設け、各駆動源が、その正転時に自給紙ユニットのフィードローラを駆動し、その逆転時に他給紙ユニットの搬送ローラを駆動することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
各給紙ユニットが、その駆動源のトルクを自給紙ユニットのフィードローラに伝達する第一トルク伝達機構と、該駆動源のトルクを自給紙ユニットの搬送ローラに伝達する第二トルク伝達機構と、前記第一トルク伝達機構のトルク伝達経路に配置され、該駆動源の正転時の入力トルクでロック状態となり、該駆動源の逆転時の入力トルクで空転状態となる第一ワンウェイクラッチと、前記第二トルク伝達機構のトルク伝達経路に配置され、該駆動源の正転時の入力トルクで空転状態となり、該駆動源の逆転時の入力トルクでロック状態となる第二ワンウェイクラッチとを有する請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
各給紙ユニットの第二ワンウェイクラッチの出力側に、両者間でトルクを伝達する第三トルク伝達機構を設けた請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
一方の給紙ユニットでの給紙中に、該給紙ユニットの駆動源を正転状態から停止状態に切り替え、かつ該給紙中に、他方の給紙ユニットの駆動源を逆転状態に維持する請求項3に記載の給紙装置。
【請求項5】
各給紙ユニットに、第二トルク伝達機構と第三トルク伝達機構との間でトルクを伝達するトルク伝達軸を設け、トルク伝達軸を第二トルク伝達機構側と第三トルク伝達機構側とに分割可能にした請求項3または4に記載の給紙装置。
【請求項6】
第三トルク伝達機構をフレームで支持した請求項5に記載の給紙装置。
【請求項7】
各給紙ユニットで、搬送ローラと分離ローラとをトルク伝達可能に連結した請求項1〜6のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項8】
各給紙ユニットで、フィードローラとピックアップローラとをトルク伝達可能に連結した請求項1〜7のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の給紙装置と、給紙装置から供給された用紙に画像を形成する画像形成部とを備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−107753(P2013−107753A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255013(P2011−255013)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】