説明

給紙装置及び給紙方法

【課題】用紙の重送が発生したとしても、重送発生前と同等の給紙時間で連続給紙を行なうことが可能となるとともに、重送の再発を防止することが可能な給紙装置を提供する。
【解決手段】給紙カセット識別情報と、給紙時間とを関連付けて記憶する給紙時間記憶手段407と、給紙カセット識別情報と、検知時間とを関連付けて記憶する検知時間記憶手段411と、特定の給紙カセット128dの重送検知センサ132dにより用紙の重送が検知されると、重送用紙が重送検知センサ132dの検知位置を通過してからレジストローラ138に到達するまでに要する仮想の到達時間を算出する到達時間算出手段410と、前記到達時間内に、特定の給紙カセット128d以外の他の給紙カセット128aからの用紙をレジストローラ138に搬送する再給紙手段412とを備える給紙装置127を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置及び給紙方法に関し、詳しくは、用紙の重送が発生したとしても、重送発生前と同等の給紙時間で連続給紙を行なうことが可能となるとともに、重送の再発を防止することが可能な給紙装置及び給紙方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成手段によりシート材(記録媒体、用紙等)に画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置の分野では、電子写真方式やインクジェット方式の画像形成技術が発達し、装置側ではフルカラーで画像形成が行えるものも広く普及し始めている。
【0003】
一方、シート材についても、より広範な種類の画像形成を行うために、様々な種類のシート材が開発されている。特に、フルカラーで画像形成を行う装置(カラー画像形成装置)では、厚紙に記録を行うと品位の高い画像が得られるため、様々な厚さのシート材に対応して画像形成を行えるようにすることが要求されている。ここで、様々な厚さのシート材を適切に画像形成手段に給送するためには、給送時のローラの押圧、ローラの回転速度等の給紙条件を精度高く制御する必要がある。
【0004】
しかしながら、前記給紙条件を精度高く制御しても、給紙時のローラの磨耗等により、給送されたシート材が二重に搬送される場合がある(重送という)。重送したシート材が定着装置に達した場合、当該定着装置のローラに巻き付くという重大な問題が発生し得る。そのため、従来の画像形成装置では、画像形成の前段で、シート材の重送(給送不良)を検知して、当該シート材が画像形成手段に達する前に画像形成装置、又はシート給送装置の作動を停止させ、画像形成装置本体へのシート材の搬送を食い止める回避策が採用されていた。
【0005】
しかしながら、上述した構成では、装置の作動を停止させてしまうため、装置全体の生産性、つまり、単位時間当たりに処理することが可能なシート材の量が落ちてしまうという問題がある。又、重送発生により、装置の作動が停止すると、搬送中のシート材も搬送路内で停止することになるため、当該シート材を探すのに手間が掛かるという問題も指摘されている。特に、近年におけるデジタル化・高速化により、画像形成装置では、遠隔操作でのシート材の大量出力が行われる傾向であるため、一度、シート材の重送が発生した場合に、遠隔操作先のユーザが当該重送発生を認識せずに放置されるという問題が顕著になってきている。その場合、後続のシート材の出力が円滑に進行しないという二次的な問題に発展する。
【0006】
当該問題を解決するために、特開2001−158538号公報(特許文献1)には、給送不良検出手段による給送不良との検出結果に基づき、制御手段によって給送中のシート材を給送方向とは逆方向に戻すようにシート給送手段が制御されるシート給送装置が開示されている。当該構成により、シート材収納部側に戻ったシート材について再びシート給送手段による分離及び給送動作が行われることにより、装置の停止時間を少なくできるため、装置全体の生産性を向上させることが出来るとしている。
【0007】
又、特開2004−284805号公報(特許文献2)には、重送判定手段が前記転写紙の重送を判断したときは、給紙手段が、重送された前記転写紙を給紙カセットに戻すことを特徴とする画像形成装置が開示されている。当該構成により、転写紙の無駄を省くことが出来るとしている。
【0008】
更に、特開2008−254851号公報(特許文献3)には、重送検知部が重送用紙を検知した場合、前記重送用紙が、画像形成が行われずに分離部に搬送されるように第2搬送部を制御し、前記分離部により前記重送用紙が分離された後、分離された複数枚の前記用紙が第1搬送路に順に戻されるように前記第2搬送部を制御する制御部を備える画像形成装置が開示されている。当該構成により、重送用紙は、画像形成が行われずに第2搬送路に搬送され、第2搬送路上の分離部により複数枚の用紙に分離される。分離された用紙は、1枚ずつ順に第1搬送路に戻されると、第1搬送部により再度画像形成部に送られ、画像形成に用いられる。従って、重送用紙が例えば画像形成が行われないまま無駄に画像形成装置の外部に排出されてしまうことを防ぐことが出来るとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−158538号公報
【特許文献2】特開2004−284805号公報
【特許文献3】特開2008−254851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1−3に記載の技術では、重送された用紙を再利用するために、一時的に重送用紙を給送方向と逆の方向に戻したり、一時的に重送用紙を所定の搬送路に回避させたりする。そのため、重送が発生しない場合の給紙時間と比較すると、当然に、重送が発生した直後の給紙時間が長期化するという問題がある。又、給紙時間が長期化すると、従前の給紙時間に対応して形成された画像形成手段側のトナー像は、重送発生直後に給紙された用紙のタイミングと一致しないため、破棄される。そのため、全く画像形成に寄与しないトナーが無駄に消費されるという問題がある。
【0011】
一方、用紙の重送の発生原因は、主として給紙カセットに備えられた部材(ローラ等)の磨耗が挙げられる。特許文献1−3に記載の技術では、重送が発生した給紙カセットで、再度、用紙の搬送を再開しており、重送が再発するという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、用紙の重送が発生したとしても、重送発生前と同等の給紙時間で連続給紙を行なうことが可能となるとともに、重送の再発を防止することが可能な給紙装置及び給紙方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る給紙装置は、給紙カセットから搬送された用紙の重送を検知する重送検知センサが設けられた複数の給紙カセットを備え、特定の給紙カセットから所定の給紙先へ用紙を一枚ずつ搬送するとともに、特定の給紙カセットの重送検知センサにより用紙が重送であるか否か検知する給紙装置を前提とする。
【0014】
当該給紙装置において、給紙カセットの用紙搬送が開始されてから当該用紙が給紙先に到達するまでに要する給紙時間を各給紙カセット毎に記憶する給紙時間記憶手段と、給紙カセットの用紙搬送が開始されてから当該用紙が当該給紙カセットの重送検知センサの検知位置に到達するまでに要する検知時間を各給紙カセット毎に記憶する検知時間記憶手段とを備える。又、当該給紙装置は、特定の給紙カセットの重送検知センサにより用紙の重送が検知されると、特定の給紙カセットの給紙時間と特定の給紙カセットの検知時間とに基づいて、重送用紙が重送検知センサの検知位置を通過してから給紙先に到達するまでに要する仮想の到達時間を算出する到達時間算出手段と、前記到達時間内に、特定の給紙カセット以外の他の給紙カセットからの用紙を給紙先に搬送する再給紙手段とを備える。
【0015】
当該構成により、用紙の重送が検知されたとしても、重送用紙が給送先に到達する時間内に、重送が発生した給紙カセットとは別の給紙カセットから用紙を搬送することになる。そのため、重送発生後の給紙時間が、重送発生前の給紙時間よりも長期化することなく安定して連続給紙することが可能となる。又、給紙元を、重送が発生した給紙カセットから他の給紙カセットに変更することにより、重送が発生した給紙カセットの部材の磨耗が、重送発生後の給紙に影響を及ぼすことが無いから、重送の再発を防止することが可能となる。
【0016】
又、前記再給紙手段は、前記到達時間と給紙カセットの給紙時間とを比較することにより、当該到達時間よりも短い給紙時間の給紙カセットを他の給紙カセットとして選択し、当該他の給紙カセットから用紙を搬送する構成を採用することが出来る。
【0017】
当該構成により、比較処理だけで他の給紙カセットを選択することが可能となるから、複雑な制御を不要とし、構成を簡単にすることが可能となる。
【0018】
更に、前記再給紙手段は、特定の給紙カセットに収納された用紙のサイズと同一のサイズの用紙を収納する給紙カセットを他の給紙カセットとして選択する構成を採用することが出来る。
【0019】
当該構成により、搬送する重送発生後の用紙サイズが、重送発生前の用紙サイズと一致するため、重送発生の前後で用紙サイズの不整合が生じることなく、安定して連続給紙を実現することが可能となる。
【0020】
又、前記再給紙手段は、用紙の重送が検知された後に、他の給紙カセットからの用紙搬送を継続する場合、特定の給紙カセットの給紙時間と一致する給紙時間となるように、他の給紙カセットからの用紙搬送の開始時点を遅らせて、当該他の給紙カセットからの用紙の搬送を継続する構成を採用することが出来る。
【0021】
当該構成により、重送発生の前後における給紙時間を一定とし、安定した連続給紙を実現することが可能となる。特に、給紙先が画像形成装置等の用紙に処理を施す装置である場合、給紙時間の変更(給紙元の変更)に伴って当該装置の処理のタイミング等を変更する必要がない。そのため、当該装置と給紙装置との間の煩わしい整合制御を不要とし、簡単に給紙装置を装置に適用することが可能となる。
【0022】
又、前記他の給紙カセットには、特定の給紙カセットに収納された用紙と比較して平滑性の高い用紙が予め収納された構成を採用することが出来る。
【0023】
当該構成により、他の給紙カセットから用紙が搬送される場合、当該用紙の搬送が円滑になされるとともに、他の給紙カセットで重送が発生することを防止することが可能となる。そのため、確実に安定した連続給紙を実現することが可能となる。
【0024】
又、当該給紙装置は、例えば、所定の画像データに対応するトナー像に基づいて用紙に画像形成を実行する画像形成装置に適用することが出来る。
【0025】
当該構成により、重送が発生したことにより、重送用紙のために形成したトナー像を破棄することなく、当該トナー像を他の給紙カセットからの用紙に有効利用することが可能となる。そのため、無駄なトナーの消費を低減することが可能となる。
【0026】
尚、本発明は、給紙カセットから搬送された用紙の重送を検知する重送検知センサが設けられた複数の給紙カセットを備え、特定の給紙カセットから所定の給紙先へ用紙を一枚ずつ搬送するとともに、特定の給紙カセットの重送検知センサにより用紙が重送であるか否か検知する給紙装置の給紙方法として提供することが出来る。即ち、当該給紙方法において、特定の給紙カセットの重送検知センサにより用紙の重送が検知されると、給紙カセットの用紙搬送が開始されてから当該用紙が給紙先に到達するまでに要する給紙時間を各給紙カセット毎に記憶する給紙時間記憶手段と、給紙カセットの用紙搬送が開始されてから当該用紙が当該給紙カセットの重送検知センサの検知位置に到達するまでに要する検知時間を各給紙カセット毎に記憶する検知時間記憶手段とをそれぞれ参照する参照ステップと、特定の給紙カセットの給紙時間と特定の給紙カセットの検知時間とに基づいて、重送用紙が重送検知センサの検知位置を通過してから給紙先に到達するまでに要する仮想の到達時間を算出する到達時間算出ステップと、前記到達時間内に、特定の給紙カセット以外の他の給紙カセットからの用紙を給紙先に搬送する再給紙ステップとを含むことを特徴とする給紙方法を提供出来る。当該構成としても、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の給紙装置及び給紙方法によれば、用紙の重送が発生したとしても、重送発生前と同等の給紙時間で連続給紙を行なうことが可能となるとともに、重送の再発を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る複合機の内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る画像読取部の拡大図である。
【図3】本発明に係る複合機及び給紙装置の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図4】本発明に係る複合機及び給紙装置の機能ブロック図である。
【図5】本発明の実行手順を示すための第一のフローチャートである。
【図6】本発明の実行手順を示すための第二のフローチャートである。
【図7】本発明に係る給紙カセット選択テーブルの一例を示す図(図7(A))と、本発明に係る給紙時間テーブルの一例を示す図(図7(B))である。
【図8】本発明に係る給紙装置の重送用紙回避の一例を示す図(図8(A))と、本発明に係る検知時間テーブルの一例を示す図(図8(B))である。
【図9】本発明に係る給紙装置の給紙時間と検知時間との関係の一例を示す第一の図(図9(A))と、本発明に係る給紙装置の給紙時間と検知時間との関係の一例を示す第二の図(図9(B))である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、添付図面を参照して、本発明の給紙装置を備えた画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0030】
<画像形成装置及び給紙装置>
以下に、本発明に係る給紙装置(例えば、シート給送装置)を備えた画像形成装置(例えば、複合機)について説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る複合機の内部の全体構成を示す概念図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0032】
本発明の複合機100は、例えばプリンタやスキャナ単体、あるいはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当する。尚、一例として複合機を利用して原稿のコピー機能を提供する際の複合機100の動作を簡単に説明する。
【0033】
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿Pの印刷を行う場合、原稿Pを図1に示す原稿台101、或いは載置台102に配置し、原稿台101近傍に供えられた操作部103に対してコピー条件を入力し、印刷の指示を行う。操作部103は、当該印刷の指示があると、以下に示す各部(駆動部)が動作することで、印刷が行われる。
【0034】
即ち、図1に示すように、本発明の複合機100は、本体104と、本体104の上方に取り付けられたプラテンカバー105を備える。本体104の上面は原稿台101が設けられており、原稿台101は、プラテンカバー105によって開閉されるようになっている。プラテンカバー105は、自動原稿給紙装置106と載置台102と排紙台107が設けられている。
【0035】
自動原稿給紙装置106は、プラテンカバー105の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー105の内部に備えられたピックアップローラ109や搬送ローラ110A、110B等で構成される。原稿搬送路108は、載置台102から、本体104に設けられた画像読取部111にて読み取りが行なわれる読取位置Xを経由して、排紙台107に通じる原稿の搬送路である。
【0036】
自動原稿給紙装置106は、載置台102に載置された複数の原稿から1枚ずつ原稿をピックアップローラ109で搬送路内108に引き出し、搬送ローラ等によって引き出した原稿を、読取位置Xを通過させて、搬送ローラ110Bにより排紙台107に排紙する。読取位置Xを通過する時に原稿は画像読取部111にて読み取られる。
【0037】
画像読取部111は、原稿台101の下方に設けられており、図2にその詳細が示されている。画像読取部111は、原稿台101を照射する走査方向に長い光源112と、原稿台101からの光を選択的に通過させるスリット113と、原稿台101からの光を導くミラー114とを備える第一の移動キャリッジ115や、第一の移動キャリッジ115からの反射光を再度反射するミラー116A、116Bを備える第二の移動キャリッジ117、更にミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群118、当該レンズ群118より補正された光を受光する撮像素子119、撮像素子119にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正処理・画質処理・圧縮処理などを行う画像データ生成部120とで構成されている。
【0038】
自動原稿給紙装置106上の原稿を読み取る場合には、光源112は、読取位置Xを照射できる位置に移動して発光する。光源112からの光は、原稿台101を透過して読取位置Xを通過する原稿にて反射し、スリット113、ミラー114、116A、116B、レンズ群118によって撮像素子119に導かれる。撮像素子119は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部120に送信する。画像データ生成部120には、上記撮像素子119にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部120では、順次変換されたデジタル信号を単位データとし、これら単位データを補正処理、画質処理、圧縮処理等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
【0039】
又、画像読取部111は、自動原稿給紙装置106で搬送される原稿だけでなく、原稿台101に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台101に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ114は、光源112を発光しながら副走査方向に移動し、光源112から撮像素子119までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ117は第一の移動キャリッジ115の1/2の速度で撮像素子119方向に移動する。
【0040】
撮像素子119は、自動原稿給紙装置106に搬送された原稿のときと同様に、ミラー114、116A、116Bに導かれた光に基づいて原稿台101に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部120が画像データを生成し、記憶部120Bに記憶する。
【0041】
本体104の画像読取部111の下方には、画像データを印刷する画像形成部121を備えている。画像形成部121が印刷できる画像データは、上記のように画像データ生成部120にて生成されたものや、その他複合機100とLAN等のネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ等の端末から、ネットワークインターフェイスを介して受信したものである。
【0042】
画像形成部121が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム122を帯電器123で一様に帯電させ、その後レーザ124で感光ドラム122を照射して感光ドラム122に潜像を形成し、現像器125で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を転写媒体(用紙、シート、以下、用紙とする)に転写する方式である。
【0043】
尚、フルカラー画像に対応した複合機では、上記現像器(ロータリー現像器)125が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム122の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム122上の潜像が、現像器125が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト126Aに転写される。なお、現像器125は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット125(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。前記中間転写ベルト126Aへの転写を上記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト126A上にフルカラーのトナー像(フルカラー画像)が形成される。
【0044】
画像形成部121の下方には、本体104に一体となった給紙装置127が備えられている。給紙装置127には、所定の用紙サイズの用紙を収納した複数の給紙カセット128(128a−128d)が設けられている。画像形成部121が印刷を行う際に、給紙装置127が、複数の給紙カセット128(128a−128d)のうち、特定の給紙カセット128を選択し、当該給紙カセット128に設けられたピックアップローラ129(129a−129d)を用いて当該給紙カセット128から用紙を引き出す。引き出された用紙は、ピックアップローラ129に続く直後の搬送路に予め設けられたさばきローラ130(130a−130d)により一枚ずつ分離される。さばきローラ130により分離された用紙は、さばきローラ130と搬送ローラ131(131a−131d)との間に予め設けられた重送検知センサ132(132a−132d)により、重送用紙か否か(用紙の重送が発生したか否か)が検知される。尚、重送検知センサ132は、用紙の重送を検知可能なセンサであれば、どのようなセンサでもよく、例えば、赤外線、超音波、静電気、用紙の透過光量等を利用したセンサが採用される。
【0045】
重送検知センサ132を通過した用紙は、搬送ローラ131により所定の搬送速度で、所定の給紙先(例えば、後述するレジストローラ138、給紙装置127の給紙口等)に通じる共通搬送路133へ導入される。ここで、所定の搬送速度は、給紙カセット128の配置位置、用紙サイズ、用紙の種類等に応じて各給紙カセット128毎に予め設定されている。そのため、給紙カセット128の用紙搬送が開始してから当該用紙が給紙先へ到達するまでに要する給紙時間は、各給紙カセット128毎に決定される。尚、前記給紙先は、管理者等のユーザにより任意に決定することが出来る。
【0046】
又、共通搬送路133の近傍には、重送用紙が蓄積(排紙)される分離トレイ134(ストッカともいう)を給紙先とする分離搬送路135が設けられるとともに、各搬送ローラ131の直後の共通搬送路の所定の位置には、用紙の搬送方向を共通搬送路133から分離搬送路135に切り換える切換部材136(136a−136d)(例えば、切換爪、切換板、分岐板)が設けられている。
【0047】
前記切換部材136の基端(一端)は、分離搬送路135の一方の壁に軸支され、切換部材136の先端(他端)は、通常(非起動時、又は重送検知センサが重送を検知していない時)、分離搬送路135の一方の壁に当接している。この状態では、各給紙カセット128毎の切換部材136の他端は全て共通搬送路133から離れた状態(オフ状態)であり、各給紙カセット128から搬送された用紙は、分離搬送路135へ搬送されることなく、共通搬送路133を経由し、ガイドローラ137にガイドされてレジストローラ138へ搬送される。一方、重送検知センサが重送を検知すると、前記支軸が駆動され、切換部材136の先端が、分離搬送路135に対向する共通搬送路133との他方の壁に当接し、共通搬送路133を塞ぎ、重送された用紙を分離搬送路135へ誘導するように構成されている。これにより、重送用紙が分離搬送路135に案内され、分離トレイ134へ排出される。
【0048】
さて、レジストローラ138では、中間転写ベルト126A上に形成されたトナー像が所定の位置に到達するタイミング(時点)まで、回転が停止される。そのため、レジストローラ138に到達した用紙は、レジストローラ138に先端が突き当てられることで、用紙の斜行が補正される。そして、所定のタイミングとなると、レジストローラ138が回転し、用紙が中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bとの間に送り込まれる。
【0049】
画像形成部121は、中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込んだ用紙に、中間転写ベルト126A上のトナー像(つまり、可視像)を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト139で定着部140(定着装置)に用紙を送出する。定着部140は、ヒータが内蔵された加熱ローラ141と、所定の圧力で加熱ローラ141に押し当てられた加圧ローラ142とで構成されている。加熱ローラ141と加圧ローラ142の間を用紙が通過すると、熱と用紙への押圧力によって可視像が用紙に定着する。定着が行われた用紙は排紙トレイ143に排紙される。
【0050】
上記手順により、複合機100はコピー機能の処理をユーザに提供する。
【0051】
次に、図3を用いて、複合機100及び給紙装置127の制御系ハードウェアの構成を説明する。図3は、本発明に係る複合機及び給紙装置の制御系ハードウェアの構成を示す図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0052】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302、RAM(Random Access Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304、各駆動部に対応するドライバ305を内部バス306によって接続している。上記CPU301は、例えば、RAM303を作業領域として利用し、上記ROM302、HDD304等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて上記ドライバ305と給紙装置127からのデータや指示を授受し、上記図1、図2に示した各駆動部の動作を制御する。また、上記駆動部以外の後述する各手段(図4に示す)についても、上記CPU301がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。
【0053】
又、制御回路の内部バス306には、内部インターフェイス307も接続されており、当該内部インターフェイス307は、給紙装置127の制御回路と複合機100の制御回路とを接続する。CPU301は、内部インターフェイス307を介して給紙装置127の制御回路からの命令信号を受信したり、給紙装置127の制御回路へ命令信号、データ等を送信したりする。
【0054】
又、給紙装置127の制御回路には、内部バス308に、CPU309、ROM310、RAM311、重送検知センサ312(132)、ドライバ313、内部インターフェイス314を備える。複合機100のCPU301から給紙の命令信号を受信したCPU309は、所定の給紙カセット127を選択し、ドライバ313を介してピックアップローラ129、さばきローラ130、搬送ローラ131、切換部材136等の各駆動部の動作を制御する。又、CPU309は、重送検知センサ312を起動して、当該重送検知センサ312からの検知信号を受信する。又、CPU309、ROM310、RAM311の機能も上記と同様であり、後述する各手段(図4に示す)についても、上記CPU309がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。上記ROM310には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0055】
<本発明の実施形態>
次に、図4−図6を参照しながら、本発明の実施形態に係る実行手順について説明する。図4は、本発明に係る複合機及び給紙装置の機能ブロック図である。図5は、本発明の実行手順を示すための第一のフローチャートである。図6は、本発明の実行手順を示すための第二のフローチャートである。
【0056】
まず、ユーザが、原稿台101に原稿を載置し、用紙サイズ(例えば、「A4」)と、印刷部数(例えば、20部数)とを操作部103に入力・設定し、スタートキーを押下すると(図5:S101)、複合機100の表示受付手段401が、用紙サイズと印刷部数とを設定条件(出力条件)として受け付け、画像読取手段402と画像形成手段403とにその旨を通知する。当該通知を受けた画像読取手段402は、原稿台101の原稿から画像データを読み取り(図5:S102)、画像データ記憶手段404に記憶する。
【0057】
又、前記通知を受けた画像形成手段403は、前記設定条件の用紙サイズを給紙装置127の給送手段405に通知する。当該通知を受けた給紙手段405は、給紙カセット選択記憶手段406に予め記憶された給紙カセット選択テーブルを参照する。
【0058】
図7(A)は、本発明に係る給紙カセット選択テーブルの一例を示す図である。
【0059】
給紙カセット選択テーブル700には、図7(A)に示すように、給紙カセット128を識別するための給紙カセット識別情報701(例えば、「N01」701a等)と、当該給紙カセット128に収納された用紙のサイズ702(例えば、「A4」702a等)と、最初に選択される給紙カセットか否かを示す初期設定情報703(例えば、最初に選択される給紙カセットであることを示す「1」703a、最初に選択される給紙カセットでないことを示す「0」703b等)とが関連付けて記憶される。
【0060】
ここで、給紙カセット識別情報701には、給紙先(本発明の実施形態では、画像形成手段403のレジストローラ138)に近接するほど、高い順番が割り当てられている。本発明の実施形態では、図1に示すように、給紙カセット128が、レジストローラ138から下方に向かって四段に配置されているため、最上段(第一段目)の給紙カセット128aの給紙カセット識別情報701には、最も高い順番「N01」701aが割り当てられている。一方、最下段(第四段目)の給紙カセット128dの給紙カセット識別情報701には、最も低い順番「N04」701bが割り当てられている。
【0061】
又、初期設定情報703には、用紙サイズ702が同一である給紙カセット識別情報701が複数存在する場合、最も低い順番の給紙カセット識別情報701に対して、最初に選択される給紙カセットであることを示す「1」703aが割り当てられている。そして、最も低い順番の給紙カセット識別情報701以外の他の給紙カセット識別情報701に対して、最初に選択される給紙カセットでないことを示す「0」703bが割り当てられている。これにより、レジストローラ138から最も離れた最下段の給紙カセット128dが最初に優先的に選択される。
【0062】
給紙手段405は、給紙カセット選択テーブル700を参照すると、前記設定条件の用紙サイズ(「A4」)と一致する用紙サイズ702(「A4」702a)の給紙カセット識別情報701(「N01」、「N02」、「N04」)を選択し、更に、選択した給紙カセット識別情報701のうち、初期設定情報703が「1」703aである給紙カセット識別情報701(「N04」701b)の給紙カセット128、即ち、最下段の給紙カセット128dを選択する(図5:S103)。
【0063】
給紙手段405が特定の給紙カセット128dを選択すると、特定の給紙カセット128dに対応する重送検知センサ132d(特定の給紙カセット128dで用紙の搬送が開始されてから共通搬送路133に到達するまでの給紙搬送路に予め設けられた重送検知センサ)を起動する(図5:S104)。これにより、特定の給紙カセット128dから用紙が搬送(送出)された場合、当該用紙が重送であるか否かが検知される。
【0064】
又、給紙手段405は、給紙時間記憶手段407に予め記憶された給紙時間テーブルを参照する。
【0065】
図7(B)は、本発明に係る給紙時間テーブルの一例を示す図である。
【0066】
給紙時間テーブル704には、図7(B)に示すように、給紙カセット識別情報705(「N04」705a等)と、給紙カセット128の用紙搬送が開始されてから当該用紙が給送先(レジストローラ138)に到達するまでに要する給紙時間706(例えば、「T41」706a)とが関連付けて記憶される。給紙時間706は、製造業者等により、各給紙カセット128毎に予め測定された時間である。又、給紙カセット識別情報705の順番が低くなるほど、当該給紙カセット識別情報705の給紙カセット128はレジストローラ138から離れた位置に配置されるため、順番が低い給紙カセット識別情報705の給紙時間706は長くなる。
【0067】
給紙時間テーブル704を参照した給紙手段405は、特定の給紙カセット128dの給紙カセット識別情報705(「N04」705a)に関連付けられた給紙時間706(「T41」706a)を取得し、当該給紙時間706(「T41」706a)を画像形成手段403に通知する。画像形成手段403は、当該通知を受けると、画像データ記憶手段404に記憶された画像データを取得し、特定の給紙カセット128dの給紙時間706(「T41」706a)に対応して、画像データに対応するトナー像の形成を開始する(図5:S105)。
【0068】
そして、画像形成手段403は、給紙手段405に給紙する旨を通知し、当該通知を受けた給紙手段405は、所定のタイミングで、特定の給紙カセット128dからの用紙の搬送(送出)を開始する(図5:S106)。
【0069】
給紙手段405は、特定の給紙カセット128dに設けられたピックアップローラ129dを回転することで、当該給紙カセット128dから用紙を引き出す。次いで、給紙手段405は、当該ピックアップローラ129dの直後に配置されたさばきローラ130dにより用紙を一枚ずつ分離し、分離した一枚の用紙を、当該さばきローラ130dの直後の搬送ローラ131dに導入する。
【0070】
ここで、さばきローラ130dからの用紙が重送でない場合、さばきローラ130dと搬送ローラ131dとの間の給紙搬送路に設けられた重送検知センサ132dは、当該用紙の重送を検知しない(図5:S107NO)。そのため、給紙手段405は、搬送ローラ131dを所定の回転速度で回転することにより、当該搬送ローラ131dに導入された用紙を共通搬送路133に搬送し、レジストローラ138まで送出する。特定の給紙カセット128dから用紙の搬送が開始されてから、当該用紙がレジストローラ138に到達するまでの時間は、給紙手段405が画像形成手段403に通知した給紙時間706(「T41」706a)となる。
【0071】
レジストローラ138に用紙が到達すると、画像形成手段403は、既に、上述した給紙時間706(「T41」706a)に対応してトナー像を中間転写ベルト126Aに形成しているため、トナー像が所定の位置に到達したタイミングでレジストローラ138を回転する。そして、画像形成手段403は、当該用紙を当該中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bとの間に搬送し、搬送した用紙に当該トナー像を転写する。これにより、画像形成が実行される(図5:S108)。画像形成後の用紙は、排紙トレイ143へ排紙され、一部数の印刷が完了する。
【0072】
一部数の印刷が完了すると、画像形成手段403は、予め設けられたカウント手段408により、印刷を完了した部数をカウントし(図5:S109)、当該カウント値と前記設定条件の印刷部数(「20部」)とを比較する(図5:S110)。
【0073】
当該比較の結果、カウント値が印刷部数と一致しない場合(図5:S110NO)、S105に戻って、画像形成手段403は、給紙時間(「T41」)に対応して中間転写ベルト126Aにトナー像を形成し(図5:S105)、給紙手段405は、特定の給紙カセット128dからの用紙搬送(給紙)と(図5:S106)と、搬送された用紙の重送検知と(図5:S107)とを実行する。
【0074】
さて、カウント値が印刷部数と一致する前に(図5:S110NO)、何らかの原因(例えば、さばきローラ130dの磨耗等)によりさばきローラ130dからの用紙が重送となり、重送検知センサ132dが、用紙の重送を検知した場合(図5:S107YES)、給紙手段405は、当該重送検知センサ132dからの検知信号を受けて、その旨を重送用紙回避手段409と到達時間算出手段410とに通知する。当該通知を受けた重送用紙回避手段409は、給紙先(レジストローラ138)への重送用紙の搬送を回避する(図6:S201)。
【0075】
図8(A)は、本発明に係る給紙装置の重送用紙回避の一例を示す図である。
【0076】
前記重送用紙回避手段407は、図8(A)に示すように、特定の給紙カセット128dに対応する切換部材136dを起動して、切換部材136dの他端を共通搬送路133に当接することにより、重送用紙Aの搬送方向を共通搬送路133から分離搬送路135へ切り換える。これにより、重送用紙Aがレジストローラ138へ搬送されることなく、分離トレイ134へ搬送される。
【0077】
又、前記通知を受けた到達時間算出手段410は、検知時間記憶手段411に予め記憶された検知時間テーブルを参照する(図6:S202)。
【0078】
図8(B)は、本発明に係る検知時間テーブルの一例を示す図である。
【0079】
検知時間テーブル800には、図8(B)に示すように、給紙カセット識別情報801(「N04」801a等)と、給紙カセット128の用紙搬送が開始されてから当該用紙が当該給紙カセット128の重送検知センサ132の検知位置に到達するまでに要する検知時間802(例えば、「T42」802a)とが関連付けて記憶される。検知時間802は、製造業者等により、各給紙カセット128毎に予め測定された時間である。
【0080】
検知時間テーブル800を参照した到達時間算出手段410は、特定の給紙カセット128dの給紙カセット識別情報801(「N04」801a)に関連付けられた検知時間802(「T42」802a)を取得する。更に、到達時間算出手段410は、給紙時間記憶手段407の給紙時間テーブル704を参照し、特定の給紙カセット128dの給紙カセット識別情報705(「N04」705a)に関連付けられた給紙時間706(「T41」706a)を取得する。そして、到達時間算出手段410は、給紙時間706(「T41」706a)から検知時間802(「T42」802a)を減算した減算値(時間「T4」)を算出する(図6:S203)。
【0081】
図9(A)は、本発明に係る給紙装置の給紙時間と検知時間との関係の一例を示す第一の図である。図9(B)は、本発明に係る給紙装置の給紙時間と検知時間との関係の一例を示す第二の図である。
【0082】
前記減算値(「T4」)は、図9(A)、図9(B)に示すように、重送用紙Aが重送検知センサ132dの検知位置を通過してから当該重送用紙Aがレジストローラ138に到達するまでに要する仮想の到達時間901に対応する。
【0083】
前記到達時間(「T4」)を算出した到達時間算出手段410は、その旨を再給紙手段412に通知する。当該通知を受けた再給紙手段412は、到達時間(「T4」)内に、レジストローラ138へ用紙を搬送することが可能な、特定の給紙カセット128d以外の他の給紙カセット128を選択する。
【0084】
具体的には、再給紙手段412は、前記給紙時間テーブル704を参照し、前記到達時間(「T4」)と給紙時間テーブル704の給紙時間706とを比較して、到達時間(「T4」)よりも短い給紙時間706が存在するか否かを判定する(図6:S204)。
【0085】
当該判定の結果、到達時間(「T4」)よりも短い給紙時間706が存在する場合(図6:S204YES)、当該給紙時間706に関連付けられた給紙カセット128は、当該到達時間(「T4」)内に、レジストローラ138に用紙を搬送することが可能な他の給紙カセットとなる。尚、到達時間(「T4」)は、特定の給紙カセット128dの給紙時間(「T41」706a)から検知時間(「T42」802a)を減算した時間であるため、当該到達時間(「T4」)より短い給紙時間706に対応する給紙カセット128は、当然、特定の給紙カセット128d以外の他の給紙カセット128となる。再給紙手段412は、到達時間(「T4」)よりも短い給紙時間706に関連付けられた給紙カセット識別情報705を検知時間テーブル704から取得する。本発明の実施形態では、特定の給紙カセットが最下段の給紙カセット128dであるため、到達時間(「T4」)よりも短い給紙時間706は、第一段目の給紙カセット128aから第三段目の給紙カセット128cまでの給紙時間(「T11」、「T21」、「T31」)となる。
【0086】
尚、到達時間(「T42」)よりも短い給紙時間706が存在しない場合は(図6:S204NO)、後述する。
【0087】
次に、再給紙手段412は、前記給紙カセット選択テーブル700を参照し、先ほど取得した給紙カセット識別情報(「N01」、「N02」、「N03」)のうち、特定の給紙カセット128d(給紙カセット識別情報「N04」701b)の用紙サイズ702(「A4」702a)と一致する給紙カセット識別情報701が存在するか否か判定する(図6:S205)。
【0088】
当該判定の結果、特定の給紙カセット128dの用紙サイズと一致する給紙カセット識別情報701が存在する場合(図6:S204YES)、再給紙手段412は、一致する給紙カセット識別番号の給紙カセット128を、特定の給紙カセット128dの代わりに用紙を搬送する他の給紙カセットとして選択する(図6:S206)。
【0089】
ここで、特定の給紙カセット128dの用紙サイズと一致する給紙カセット識別情報701が複数存在する場合は(図6:S204YES)、再給紙手段412は、レジストローラ138に最も近接する給紙カセット、即ち、最も高い順番の給紙カセット識別番号701の給紙カセットを選択する(図6:S206)。これにより、再給紙された用紙を、確実に到達時間(「T4」)内にレジストローラ138に搬送させることが可能となる。本発明の実施形態では、特定の給紙カセット128dの用紙サイズと一致する給紙カセット識別情報701が「N01」と「N02」の2つ存在するため、再給紙手段412は、最も高い順番の「N01」701aに対応する最上段の給紙カセット128aを選択する。
【0090】
又、選択される最上段の給紙カセット128a(他の給紙カセット)には、特定の給紙カセット128dに収納された用紙と比較して平滑性の高い用紙が予め収納された構成を採用することが出来る。当該構成により、他の給紙カセットから用紙が搬送される場合、当該用紙の搬送が円滑になされるとともに、他の給紙カセットで重送が発生することを防止することが可能となる。そのため、確実に安定した連続給紙を実現することが可能となる。ここで、平滑性の高い用紙とは、例えば、普通紙の表裏面に滑剤層が付された上質紙(上質普通紙)が挙げられる。本発明の実施形態では、例えば、最下段の給紙カセット128dに普通紙を予め収納し、最上段の給紙カセット128aに上質紙を予め収納しておけば良い。
【0091】
尚、特定の給紙カセット128dの用紙サイズと一致する給紙カセット識別情報701が存在しない場合は(図6:S204NO)、後述する。
【0092】
さて、他の給紙カセット128aを選択した再給紙手段412は、当該他の給紙カセット128aの重送検知センサ132aを起動する(図6:S207)。そして、再給紙手段412は、再度、前記給紙時間テーブル704を参照して、選択した他の給紙カセット128aの給紙時間706(「T11」706b)を取得し、到達時間(「T4」)から当該給紙時間(「T11」706b)を減算した減算値(時間「TA」)を算出する(図6:S208)。
【0093】
前記減算値(「TA」)は、図9(B)に示すように、用紙の重送が検知されてから他の給紙カセット128aで給紙を開始するまでの第一の待機時間902である。つまり、第一の待機時間902は、再給紙手段412が他の給紙カセット128aから搬送した用紙を特定の給紙カセット128aの給紙時間(「T41」706a)でレジストローラ138に到達させるための待機時間である。
【0094】
再給紙手段412は、予め設けられたタイマー413を起動し、当該タイマー413により用紙の重送が検知されてからの経過時間を計時し、経過時間が第一の待機時間(「TA」)を超過するまで待機する(図6:S209NO)。
【0095】
経過時間が第一の待機時間(「TA」)を超過すると(図6:S209YES)、再給紙手段412は、他の給紙カセット128aから用紙の搬送を開始する(図6:S210)。すると、搬送された用紙は、到達時間(「T4」)に(到達時間内に)レジストローラ138に到達することになる。つまり、重送用紙が分離トレイ134に搬送されたとしても、当該重送用紙の代わりに、当該重送用紙がレジストローラ134に到達する時間(タイミング)で、他の給紙カセット128aからの用紙が当該レジストローラ138に到達する。これにより、重送が発生したとしても、給紙を停止することがなく、特定の給紙カセット128dの給紙時間(「T41」706a)で用紙を再給紙することが可能となる。
【0096】
再給紙された用紙がレジストローラ134に到達すると、画像形成手段403は、上述したように、所定のタイミングでレジストローラ134を回転し、重送用紙に転写する予定であったトナー像を当該用紙に転写し、画像形成を実行する(図5:S108)。これにより、画像形成手段403が、用紙の重送が検知されても、重送用紙のために形成したトナー像を破棄することなく当該トナー像を有効利用して画像形成することが可能となる。
【0097】
一部数の印刷が完了すると、画像形成手段403は、上述したように、カウント手段406により、印刷が完了した部数をカウントし(図5:S109)、カウント値と前記設定条件の印刷部数とを比較する(図5:S110)。カウント値が設定条件の印刷部数と一致しない場合(図5:S110NO)、画像形成手段403は、継続して中間転写ベルトへのトナー像を形成し(図5:S105)、再給紙手段412は、継続して他の給紙カセット128aから用紙を搬送する(図5:S106)。
【0098】
ここで、再給紙手段412は、用紙の給紙元を特定の給紙カセット128aから他の給紙カセット128aに切り換えて、当該他の給紙カセット128aからの用紙搬送を継続することにより、用紙の重送の再発を防止することが可能となる。
【0099】
即ち、重送の発生の原因は、主として給紙カセット128に対応するさばきローラ130等の磨耗が原因である。そのため、一度、重送が発生した給紙カセット128で、再度、用紙を給紙したとしても、前記磨耗が解消される訳ではないから、当該給紙カセット128で、重送が再発する可能性が高い。そこで、再給紙手段412が、他の給紙カセット128aからの用紙搬送を継続することにより、重送が再発する可能性が高い特定の給紙カセット128dからの用紙搬送を回避し、当該重送の再発を確実に防止することが可能となる。
【0100】
又、再給紙手段412が、他の給紙カセット128aからの用紙搬送を継続する場合(図5:S106)、画像形成手段410では、未だに、特定の給紙カセット128dの給紙時間(「T41」706a)に対応して、トナー像を中間転写ベルトに形成する。そのため、再給紙手段412は、特定の給紙カセット128dの給紙時間(「T41」706a)と一致する給紙時間となるように、他の給紙カセット128aからの用紙搬送の開始時点を遅らせて、当該他の給紙カセット128aから用紙の搬送を継続する。
【0101】
具体的には、再給紙手段412が、特定の給紙カセット128dの給紙時間(「T41」706a)から他の給紙カセット128aの給紙時間(「T11」706b)を減算した減算値(時間「TB」)を算出する。
【0102】
前記減算値(「TB」)は、図9(B)に示すように、特定の給紙カセット128dの給紙時間(「T41」706a)に対応した用紙搬送の開始時点(従前の開始時点)から、他の給紙カセット128aで給紙を開始するまでの第二の待機時間903である。つまり、第二の待機時間903は、再給紙手段412が他の給紙カセット128aから搬送した用紙を特定の給紙カセット128aの給紙時間(「T41」706a)でレジストローラ138に到達させるための待機時間である。
【0103】
再給紙手段412は、前記タイマー413を利用して、従前の用紙搬送の開始時点から当該第二の待機時間(「TB」)だけ待機した後に、他の給紙カセット128aからの用紙搬送を開始する。これにより、画像形成手段403が、特定の給紙カセット128dの給紙時間(「T41」706a)に対応してトナー像を形成したとしても、再給紙手段412が、当該画像形成手段403のトナー像の形成に合わせて、他の給紙カセット128aからレジストローラ138に用紙を給紙することが可能となる。
【0104】
ところで、S204において、到達時間(「TA」)よりも短い給紙時間706が存在しない場合(図6:S204NO)、当該到達時間(「TA」)内に、レジストローラ138に用紙を搬送することが可能な他の給紙カセット128が存在しない。この場合、再給紙手段412は、その旨を画像形成手段403に通知し、当該通知を受けた画像形成手段403は、レジストローラ138に到達する予定であった(重送)用紙に対応して形成していたトナー像を破棄する(図6:S211)。そして、画像形成手段403は、再度、特定の給紙カセット128dの給紙時間(「T41」706a)に対応して、トナー像を形成する(図6:S212)。次いで、画像形成手段403が、再給紙手段412に、用紙の搬送を再開する旨を通知し、当該通知を受けた再給紙手段412は、特定の給紙カセット128dから用紙の搬送を再開する(図6:S213)。これにより、画像形成が再開される。
【0105】
又、S205において、特定の給紙カセット128dの用紙サイズと一致する用紙サイズの給紙カセット識別番号701が存在しない場合(図6:S205NO)、画像形成手段403が形成したトナー像のサイズに整合する用紙を、他の給紙カセット128から搬送することは出来ない。この場合、S204NOと同様に、再給紙手段412が、その旨を画像形成手段403に通知し、画像形成手段403は、重送用紙に対応して形成したトナー像を破棄する。そして、画像形成手段403は、再度、特定の給紙カセット128dの給紙時間(「T41」706a)に対応してトナー像を形成する(図6:S211)。これに対応して、再給紙手段412は、特定の給紙カセット128dから用紙の搬送を再開する(図6:S212)。これにより、画像形成が再開される。
【0106】
さて、S110において、印刷が繰り返された結果、カウント値が前記設定条件の印刷部数と一致すると(図5:S110YES)、画像形成手段403は、画像形成を完了し、再給紙手段412は、用紙の給紙を完了する。これにより、ユーザにより入力された設定条件に対応する全ての印刷処理が完了する。
【0107】
尚、重送の発生が検知された後に、画像形成が完了した場合、例えば、再給紙手段412が、表示受付手段401を介して、重送が発生した旨、給紙カセットの選択(設定)が変更された旨、重送が発生した特定の給紙カセットの部材(例えば、さばきローラ132等)を交換する旨、サービスマンに連絡する旨等を画面表示するよう構成してもよい。
【0108】
<本発明の実施形態の作用・効果、実施例、比較例について>
上述した効果を示す一例を挙げるとすると、給紙カセットの個数、給紙時間、検知時間等に応じて結果が多少異なるとは考えられるものの、本発明の実施形態の構成(給紙時間記憶手段407、到達時間算出手段410、検知時間記憶手段411、再給紙手段412)を具備する給紙装置127を備えた複合機100(実施例画像形成装置)と、本発明の実施形態の構成を備えていないこと以外は実施例画像形成装置と構成を同等とする複合機(比較例画像形成装置)とにおいて、以下の条件での印刷に要する時間を示す。当該条件は、印刷部数が「20部」であり、用紙サイズが「A4」であり、最初に選択された最下段の給紙カセット128dの給紙時間(「T41」706a)が10秒であり、最下段の給紙カセット128dの検知時間(「T42」802a)が2秒であり、再給紙の対象となる最上段の給紙カセット128aの給紙時間(「T11」706b)が4秒である。
【0109】
実施例画像形成装置では、最下段の給紙カセット128dで用紙の重送が検知されたとしても、上述した構成により、用紙の重送が検知された最下段の給紙カセット128dから最上段の給紙カセット128aに用紙搬送の対象が変更された。そして、変更後の最上段の給紙カセット128aから送出された用紙は、用紙の重送が検知された最下段の給紙カセット128dの給紙時間と同等の給紙時間でレジストローラ138に到達された。そのため、重送発生前と同等の給紙時間で連続給紙を行なうことが出来、更に、画像形成手段403は、重送検知前後に既に形成していたトナー像を破棄することなく、有効利用して画像形成することが出来た。又、用紙の重送が検知された最下段の給紙カセット128dは、重送発生後において用紙の搬送がされることがないため、再度、重送が発生することが無かった。その結果、印刷は円滑に進行し、印刷に要する時間は、200秒(20×10秒)程度であった。これは、重送が発生しない場合の印刷に要する時間と同等である。
【0110】
これに対して、従来技術に対応する比較例画像形成装置では、最下段の給紙カセット128dで用紙の重送が検知されると、一度、用紙の搬送が停止し、重送用紙は分離トレイ134へ排紙された。この場合、画像形成手段403が、重送用紙のためのトナー像を破棄し、再度、給紙手段405に、最下段の給紙カセット128dからの用紙搬送を指示した。そして、画像形成手段403は、所定のタイミングで、トナー像の形成を再開し、給紙手段405は、所定のタイミングで、最下段の給紙カセット128dからの用紙搬送を再開した。再開に要する時間は、数十秒程度であった。
【0111】
しかしながら、用紙が搬送される給紙カセットは、重送が検知された最下段の給紙カセット128dであるため、再度、用紙の重送が発生し、上記と同様の動作が所定数(例えば、3回)繰り返された。その結果、印刷に要する時間は、200秒(20×10秒)に数十秒−数百秒(重送発生の回数×再開に要する時間)を加算した時間となり、実施例画像形成装置と比較して長期化した。又、数十mg−数百mg(重送発生の回数×トナー像に要するトナー量)だけ、トナーを無駄に消費することとなった。
【0112】
従って、実施例画像形成装置が、比較例画像形成装置と比較して、用紙の重送が発生したとしても、重送発生前と同等の給紙時間で連続給紙を行なうことが可能となるとともに、重送の再発を防止することが出来ることが理解される。
【0113】
このように、本発明の給紙装置127では、給紙カセット識別情報と、給紙時間とを関連付けて記憶する給紙時間記憶手段407と、給紙カセット識別情報と、検知時間とを関連付けて記憶する検知時間記憶手段411と、特定の給紙カセット128dの重送検知センサ132dにより用紙の重送が検知されると、特定の給紙カセット128dの給紙時間と特定の給紙カセット128dの検知時間とに基づいて、重送用紙が重送検知センサ132dの検知位置を通過してからレジストローラ138に到達するまでに要する仮想の到達時間を算出する到達時間算出手段410と、前記到達時間内に、特定の給紙カセット128d以外の他の給紙カセット128aからの用紙をレジストローラ138に搬送する再給紙手段412とを備える。
【0114】
これにより、用紙の重送が検知されたとしても、重送用紙がレジストローラ138に到達する時間内に、重送が発生した給紙カセット128dとは別の給紙カセット128aから用紙を搬送することになる。そのため、重送発生後の給紙時間が、重送発生前の給紙時間よりも長期化することなく安定して連続給紙することが可能となる。又、給紙元を、重送が発生した給紙カセットから他の給紙カセットに変更することにより、重送が発生した給紙カセットの部材の磨耗が、重送発生後の給紙に影響を及ぼすことが無いから、重送の再発を防止することが可能となる。
【0115】
尚、本発明の実施形態に係る再給紙手段412は、前記到達時間と給紙カセット128の給紙時間とを比較することにより、当該到達時間よりも短い給紙時間の給紙カセット128を他の給紙カセットとして選択し、当該他の給紙カセットから用紙を搬送する構成を採用したが、他の構成でも構わない。例えば、再給紙手段412が、前記到達時間と、他の給紙カセット128の給紙時間とに基づいて、他の給紙カセット128からの用紙の搬送速度を加減することにより、前記到達時間内に、特定の給紙カセット以外の他の給紙カセットからの用紙を給紙先に搬送する構成としても構わない。当該構成としても、上述した作用効果を得ることが可能である。当該構成の場合、例えば、再給紙手段412が、前記到達時間を他の給紙カセット128の給紙時間で除算した割合を算出し、当該割合に対応して、他の給紙カセット128からの用紙の搬送速度を加減すればよい。
【0116】
又、本発明の実施形態に係る再給紙手段412は、到達時間で(到達時間に一致するように)、他の給紙カセット128aからの用紙を給紙先に搬送するよう構成したが、到達時間内に、他の給紙カセット128aからの用紙を給紙先に搬送するよう構成しても構わない。特に、本発明の実施形態では、給紙先がレジストローラ138に設定されているため、到達時間丁度に用紙がレジストローラ138に到達しなくても、当該レジストローラ138により画像形成手段への給紙のタイミングが適宜調整されるから問題ない。
【0117】
又、本発明の実施形態に係る重送用紙回避手段409は、切換部材136を用いることにより、給紙先への重送用紙の搬送を回避するよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、重送用紙回避手段409は、重送が検知された時点で、当該重送用紙を搬送する搬送ローラ131の回転を停止させて、当該重送用紙の搬送を止めるよう構成しても構わない。
【0118】
尚、本発明の実施形態では、給紙装置が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、上記プログラムを複合機に読み出させ、その画像形成装置が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップを給紙方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上のように、本発明に係る給紙装置及び給紙方法は、複合機はもちろん、複写機、プリンタ等に有用であり、用紙の重送が発生したとしても、重送発生前と同等の給紙時間で連続給紙を行なうことが可能となるとともに、重送の再発を防止することが可能な給紙装置及び給紙方法として有効である。
【符号の説明】
【0120】
100 画像形成装置
127 給紙装置
128 給紙カセット
132 重送検知センサ
136 切換部材
401 表示受付手段
402 画像読取手段
403 画像形成手段
404 画像データ記憶手段
405 給紙手段
406 給紙カセット選択記憶手段
407 給紙時間記憶手段
408 カウント手段
409 重送用紙回避手段
410 到達時間算出手段
411 検知時間記憶手段
412 再給紙手段
413 タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙カセットから搬送された用紙の重送を検知する重送検知センサが設けられた複数の給紙カセットを備え、特定の給紙カセットから所定の給紙先へ用紙を一枚ずつ搬送するとともに、特定の給紙カセットの重送検知センサにより用紙が重送であるか否か検知する給紙装置において、
給紙カセットの用紙搬送が開始されてから当該用紙が給紙先に到達するまでに要する給紙時間を各給紙カセット毎に記憶する給紙時間記憶手段と、
給紙カセットの用紙搬送が開始されてから当該用紙が当該給紙カセットの重送検知センサの検知位置に到達するまでに要する検知時間を各給紙カセット毎に記憶する検知時間記憶手段と、
特定の給紙カセットの重送検知センサにより用紙の重送が検知されると、特定の給紙カセットの給紙時間と特定の給紙カセットの検知時間とに基づいて、重送用紙が重送検知センサの検知位置を通過してから給紙先に到達するまでに要する仮想の到達時間を算出する到達時間算出手段と、
前記到達時間内に、特定の給紙カセット以外の他の給紙カセットからの用紙を給紙先に搬送する再給紙手段と
を備えることを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記再給紙手段は、前記到達時間と給紙カセットの給紙時間とを比較することにより、当該到達時間よりも短い給紙時間の給紙カセットを他の給紙カセットとして選択し、当該他の給紙カセットから用紙を搬送する
請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
更に、前記再給紙手段は、特定の給紙カセットに収納された用紙のサイズと同一のサイズの用紙を収納する給紙カセットを他の給紙カセットとして選択する
請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記再給紙手段は、用紙の重送が検知された後に、他の給紙カセットからの用紙搬送を継続する場合、特定の給紙カセットの給紙時間と一致する給紙時間となるように、他の給紙カセットからの用紙搬送の開始時点を遅らせて、当該他の給紙カセットからの用紙搬送を継続する
請求項1−3のいずれか一項に記載の給紙装置。
【請求項5】
他の給紙カセットには、特定の給紙カセットに収納された用紙と比較して平滑性の高い用紙が予め収納された
請求項1−4のいずれか一項に記載の給紙装置。
【請求項6】
請求項1−5のいずれか一項に記載の給紙装置を備えた画像形成装置。
【請求項7】
給紙カセットから搬送された用紙の重送を検知する重送検知センサが設けられた複数の給紙カセットを備え、特定の給紙カセットから所定の給紙先へ用紙を一枚ずつ搬送するとともに、特定の給紙カセットの重送検知センサにより用紙が重送であるか否か検知する給紙装置の給紙方法において、
特定の給紙カセットの重送検知センサにより用紙の重送が検知されると、給紙カセットの用紙搬送が開始されてから当該用紙が給紙先に到達するまでに要する給紙時間を各給紙カセット毎に記憶する給紙時間記憶手段と、給紙カセットの用紙搬送が開始されてから当該用紙が当該給紙カセットの重送検知センサの検知位置に到達するまでに要する検知時間を各給紙カセット毎に記憶する検知時間記憶手段とをそれぞれ参照する参照ステップと、
特定の給紙カセットの給紙時間と特定の給紙カセットの検知時間とに基づいて、重送用紙が重送検知センサの検知位置を通過してから給紙先に到達するまでに要する仮想の到達時間を算出する到達時間算出ステップと、
前記到達時間内に、特定の給紙カセット以外の他の給紙カセットからの用紙を給紙先に搬送する再給紙ステップと
を含むことを特徴とする給紙方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−46326(P2012−46326A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190541(P2010−190541)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】