説明

給送装置及び画像形成装置

【課題】独立した3以上の給送路がレジストローラ対の上流側近傍で合流するような構成において、一の給送路からの記録媒体の先端が他の給送路へと入り込むのを防止しつつ、レジストローラ対による記録媒体の適切な送り出しを可能にする。
【解決手段】3つの給送路24,33,52の各出口は、それぞれレジストローラ対11への共通給紙路20に連通している。共通給紙路内には、給送路の出口側から2つのマイラ61,62が各給送路を仕切るようにして延出している。これらのマイラにより、記録媒体Sの先端が他の給送路に入り込むのが防止されるとともに、レジストローラ対に挟持された部分の後端側における記録媒体のたるみを十分に確保できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立した3以上の給送路から給送される記録媒体を共通のレジストローラ対によってプリンタエンジンへ送り込む画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、互いに独立した3以上の給送路のいずれかから給送されてくる記録媒体上にプリンタエンジンによって画像形成を行うものがある。例えば、装置本体下部にカセット給紙機構部(カセット給送部)を備え、かつ、装置本体側部に、片面又は両面にトナー画像が形成された記録媒体を表裏反転させるための用紙反転機構部(再給送部)と、記録媒体を手差し給紙するための手差し給紙機構部(手差し給送部)とを備えたものがある。この画像形成装置では、給紙カセット内の記録媒体を給送するカセット給送路、用紙反転機構部内の記録媒体を給送する再給送路、手差し給紙機構部内の記録媒体を給送する手差し給送路の3つの給送路が独立して設けられる。
【0003】
図10は、3つの給送路が独立して設けられた従来の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
カセット給紙機構部3は、給紙カセット51内の記録媒体がプリンタエンジン2に向けて搬送されるカセット給紙搬送路(カセット給送路)52、給紙カセット51内の記録媒体をカセット給紙搬送路52を経由してプリンタエンジン2側に送り込むように回転駆動される給紙ローラ対(搬送手段)53等を備えている。
用紙反転機構部6は、搬送された記録媒体が送り込まれる反転路23、正逆回転可能に設けられて反転路23への記録媒体の送り込みと反転路23からの記録媒体の送り出しとを行う反転ローラ対25、反転路23から送り出された記録媒体が装置本体5内に設けられているプリンタエンジン2に向けて再給紙される再給紙路(再給送路)24、再給紙路24の給送方向下流端に対して給送方向上流側(以下、単に「上流側」と省略する。)に近接して設けられた第1給送ローラ対(搬送手段)28等を備えている。プリンタエンジン2により片面にトナー画像が形成された記録媒体が反転路23に送り込まれると、記録媒体の一端(送り込み方向後端)が反転ローラ対25に挟持された位置で記録媒体の搬送が一旦停止され、その後、反転ローラ対25が逆回転することにより記録媒体が反転路23から送り出される向きに搬送される。このようにして送り出された記録媒体は、再給紙路24を経由して再びプリンタエンジン2に送り込まれ、記録媒体の他面に対してもトナー画像が形成される。また、トナー画像が形成された記録媒体が用紙反転機構部6を経由して他面に画像形成を行わないようにしてプリンタエンジンを通過させ、図示しない排紙トレイ上に排紙すれば、記録媒体は表裏反転された状態で排紙される。
手差し給紙機構部7は、記録媒体が載置される手差し給紙トレイ32、手差し給紙トレイ32上に載置された記録媒体が装置本体5内のプリンタエンジン2に向けて搬送される手差し給紙搬送路(手差し給送路)33、手差し給紙トレイ32上に載置された記録媒体を手差し給紙搬送路33を経由してプリンタエンジン2側に送り込むように回転駆動される給紙ローラ対(搬送手段)36等を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、画像形成装置の装置本体5は小型化される傾向にあり、それに伴い、用紙反転機構部6と手差し給紙機構部7とを備えて装置本体5の側面に取り付けられる給紙装置208も小型化が望まれている。給紙装置208を小型化するに当たっては、用紙反転機構部6と手差し給紙機構部7とをなるべく近接させるのがよい。しかし、各機構部6,7にそれぞれ第1給送ローラ対28及び給送ローラ対36が存在する関係で、これらのローラ対28,36が抵触しない範囲までしか、これらの機構部6,7を近接させることができない。そのため、各機構部6,7を互いに近接させるにも限界があり、上記特許文献1に記載されている給紙装置208よりも更に小型化することは困難であるという不具合があった。
【0005】
この不具合を解消する方法として、本出願人は、特願2005−39411号(以下、「先願」という。)において、図11に示すような画像形成装置を提案した。この画像形成装置は、用紙反転機構部6の第1給送ローラ対28を構成する一方のローラを、手差し給紙機構部7の給送ローラ対36を構成する一方のローラと共通のローラAとしている。この画像形成装置によれば、第1給送ローラ対28を構成する一方のローラか、給送ローラ対36を構成する一方のローラのいずれかを省略することができるので、用紙反転機構部6と手差し給紙機構部7とを従来よりも近接して配置することが可能になり、小型化を図ることができる。
ところが、上記先願の画像形成装置では、カセット給紙搬送路52、再給紙路24及び手差し給紙搬送路33の各々の出口が、図11に示すように、レジストローラ対11の上流側近傍で合流する。そして、カセット給紙搬送路52、再給紙路24及び手差し給紙搬送路33からそれぞれ給送されてくる記録媒体は、共通給紙路20を通ってレジストローラ対11へ送り込まれる。このような構成においては、次のような問題が生じる。
【0006】
図12(a)乃至(c)は、図11に示した画像形成装置のレジストローラ対11の上流側近傍を拡大した拡大図である。
従来から、2つの給送路が合流して各給送路からの記録媒体が共通給紙路を通じてレジストローラ対へ送り込まれるような構成は多く知られている。このような装置では、一般に、各給送路から送り出される記録媒体の各送り出し方向のなす角度が小さくなるように、各給送路をレイアウトする。すなわち、各給送路から送り出される記録媒体の送り出し方向がなるべく平行に近くなるように各給送路をレイアウトする。この場合、各給送路から送り出される記録媒体は、いずれも共通給紙路へ向けて安定して搬送され、レジストローラ対へと送り込むことができる。
【0007】
しかし、上記先願のように、カセット給紙搬送路52、再給紙路24及び手差し給紙搬送路33の3つの給送路がレジストローラ対11の上流側近傍で合流する構成では、装置レイアウトの関係で、各給送路から送り出される記録媒体Sの各送り出し方向のなす角度を小さくするにも限界があり、その角度を小さくすることが困難となる。その困難性は、合流する給送路の数が増えるほど増大する。そのため、各給送路から送り出される記録媒体Sの各送り出し方向のなす角度が大きくなる。その結果、例えば記録媒体Sの先端が何らかの原因で図示のようにカールしていると、一の給送路から送り出された記録媒体Sの先端が共通給紙路20ではなく他の給送路内へと入り込んでしまい、ジャムが発生するおそれがあるという問題があった。具体的には、例えば、図12(a)に示すように、再給紙路24から送り出された記録媒体Sがカセット給紙搬送路52の出口へと進入し、ジャムが発生するおそれがある。また、例えば、図12(b)に示すように、手差し給紙搬送路33から送り出された記録媒体Sがカセット給紙搬送路52の出口へと進入し、ジャムが発生するおそれがある。また、例えば、図12(c)に示すように、カセット給紙搬送路52から送り出された記録媒体Sが再給紙路24の出口へと進入し、ジャムが発生するおそれがある。
【0008】
一方で、各給送路から送り出される記録媒体Sの各送り出し方向のなす角度が大きくても、図13に示すように、搬送中の記録媒体面の法線方向における共通給紙路20の幅(以下、単に「幅」という。)を狭くすれば、上記問題の発生を抑制できる。すなわち、共通給紙路20の幅をこのように狭くすれば、記録媒体Sの先端がカールしていても、一の給送路から送り出された記録媒体Sの先端が他の給送路内へと入り込んでしまうおそれが少なくなる。しかし、この場合、レジストローラ対11の上流側近傍に、そのレジストローラ対11によって挟持された記録媒体部分の後端側のたるみ部分(レジストローラ対11とその上流側に直近したローラ対10,28,36とに挟持されているときにこれらの間に存在する記録媒体部分)を、たるませるための十分な広さをもったたるみ用スペースを確保することができなくなる。一般に、レジストローラ対11によって記録媒体Sを適切なタイミングでかつ一定の搬送速度でプリンタエンジンへ送り出すためには、記録媒体Sのたるみ部分を十分にたるませておくことが重要である。そのため、図13に示したように、レジストローラ対の上流側に隣接する共通給紙路において、記録媒体Sを十分にたるませておくためのたるみ用スペースが十分に確保されていない場合、レジストローラ対11による適切な送り出しができなくなってしまうという問題が発生する。
【0009】
本発明は、上述した問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、独立した3以上の給送路がレジストローラ対の上流側近傍で合流するような構成において、一の給送路の出口から送り出された記録媒体の先端が他の給送路の出口へと入り込んでしまうのを防止しつつ、レジストローラ対による記録媒体の適切な送り出しを可能となる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、プリンタエンジンと、記録媒体の先端部分を挟持し、所定のタイミングで上記プリンタエンジンへ該記録媒体を送り出すためのレジストローラ対と、独立した3以上の給送路と、該3以上の給送路内にそれぞれ設けられ、当該給送路内の記録媒体を上記レジストローラ対に向けて搬送するための搬送手段と、上記3以上の給送路の各出口と連通し、各給送路からそれぞれ搬送される記録媒体を上記レジストローラ対へ給送するための共通路とを備えた画像形成装置において、上記3以上の給送路ごとに上記共通路内を仕切る複数の仕切り部材を、上記レジストローラ対に向けて該3以上の給送路の出口から該共通路内へ延出するように設け、該複数の仕切り部材を、上記レジストローラ対によって挟持された記録媒体部分の後端側がたるむときにそのたるみ部分の記録媒体面が当接することによって変位し得るように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記複数の仕切り部材を弾性材料で形成し、各仕切り部材を上記3以上の給送路の出口に固定したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記複数の仕切り部材のうち、搬送中の記録媒体の一方の面に対向する側の上記共通路の壁面に隣接する仕切り部材は、該壁面と該仕切り部材との間を通過する記録媒体の先端が当接することで変位して該仕切り部材の先端がこれに隣接する他の仕切り部材に当接し、その当接により該他の仕切り部材が変位して該他の仕切り部材の先端が該壁面とは反対側に位置する該共通路の壁面に接触するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記複数の仕切り部材のうち、搬送中の記録媒体の一方の面に対向する側の上記共通路の壁面に隣接する仕切り部材は、該壁面と該仕切り部材との間を通過する記録媒体の先端が当接することで変位して、該仕切り部材の先端が該壁面とは反対側に位置する該共通路の壁面に接触するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、上記複数の仕切り部材間及び上記共通路の壁面と各仕切り部材との間の距離が、記録媒体給送方向下流側へ向かって短くなるように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、又は5の画像形成装置において、装置本体側部に設けられ、プリンタエンジンを通過した後の記録媒体を再度該プリンタエンジンに向けて給送するための再給送路を備えた再給送部と、装置本体側部であって上記再給送部の鉛直方向下方に設けられ、手差し給送トレイ上の記録媒体を上記プリンタエンジンに向けて給送するための手差し給送路を備えた手差し給送部と、装置本体下部に設けられ、給送カセット内の記録媒体を上記プリンタエンジンに向けて給送するためのカセット給送路を備えたカセット給送部とを有し、上記3つ以上の給送路は、上記再給送路、上記手差し給送路及び上記カセット給送路を含むことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5又は6の画像形成装置において、上記3つ以上の給送路のうちの2つの給送路内の出口近傍に設けられる上記搬送手段はそれぞれ搬送ローラ対であって、各搬送ローラ対を構成する一方のローラを共通のローラで構成したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記共通のローラは、駆動源からの駆動力によって回転駆動する駆動ローラであることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記カセット給送路を上記装置本体の外部に開放可能な開閉カバーを、上記手差し給送部の下方に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記カセット給送路を上記装置本体の外部に開放可能な開閉カバーを設け、該開閉カバーを上記再給送部及び上記手差し給送部と一体に構成したことを特徴とするものである。
【0011】
本発明においては、3以上の給送路ごとに共通路内を仕切る複数の仕切り部材が、レジストローラ対に向けて各給送路の出口から共通路内へ延出するように設けられている。これにより、共通路の幅を広くとったとしても、例えば一の給送路から搬送されてくる先端がカールした記録媒体が他の給送路の出口に入り込もうとしたとき、その先端は仕切り部材に当接して他の給送路の出口への移動が規制される。よって、共通路の幅を広くとっても、各給送路から搬送されてくる記録媒体を、仕切り部材と共通路壁面との間又は仕切り部材と仕切り部材の間にガイドしながら、共通路を通してレジストローラ対へ安定して送り込むことができる。
更に、本発明においては、レジストローラ対によって挟持された記録媒体部分の後端側がたるむときにそのたるみ部分の記録媒体面が上記仕切り部材に当接することで、その仕切部材が変位し得るように構成されている。これにより、共通路の幅を十分に広くとっておくことで、記録媒体のたるみ部分がたるむとき、そのたるみ部分は仕切り部材を押しのけてたるむことができる。
なお、このような仕切り部材の構成としては、仕切り部材を弾性材料で形成してその仕切り部材を給送路の出口に固定した構成や、仕切り部材を給送路の出口に回動自在に取り付けた構成などが挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明によれば、独立した3以上の給送路がレジストローラ対の上流側近傍で合流するような構成において、一の給送路の出口から送り出された記録媒体の先端が他の給送路の出口へと入り込んでしまうのを防止しつつ、記録媒体のたるみ部分のたるみを十分に確保できるのでレジストローラ対による記録媒体の適切な送り出しが可能になるという優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態の複写機におけるカセット給紙搬送路、再給紙路及び手差し給紙搬送路の出口部分を拡大した拡大図。
【図2】同複写機の内部構造の概略を示す縦断正面図。
【図3】同複写機に設けられる給紙装置の手差し給紙機構部を拡大して示す縦断正面図。
【図4】同手差し給紙機構部の一部を示す分解斜視図。
【図5】(a)は、同給紙装置に設けられる第1給送ローラ対、第2給送ローラ対及び分離ローラ対の配置関係を示す説明図。(b)は、これらのローラ対に駆動力を伝達するためのギヤ配置を示す説明図。(c)は、そのギヤ配置を示す斜視図。
【図6】(a)は、同手差し給紙機構部の手差し給紙トレイから記録媒体を給紙する場合の各ローラ対の駆動例を示す説明図。(b)は、用紙反転機構部の再給紙路から記録媒体を給紙する場合の各ローラ対の駆動例を示す説明図。
【図7】(a)は、手差し給紙搬送路から搬送されてくる記録媒体がレジストローラ対へ向かって搬送されるときのマイラの動きを説明する説明図。(b)は、手差し給紙搬送路から搬送された記録媒体の先端部分がレジストローラ対に挟持されているときの同マイラの動きを説明する説明図。
【図8】(a)は、再給紙路から搬送されてくる記録媒体がレジストローラ対へ向かって搬送されるときの同マイラの動きを説明する説明図。(b)は、再給紙路から搬送された記録媒体の先端部分がレジストローラ対に挟持されているときの同マイラの動きを説明する説明図。
【図9】(a)は、カセット給紙搬送路から搬送されてくる記録媒体がレジストローラ対へ向かって搬送されるときの同マイラの動きを説明する説明図。(b)は、カセット給紙搬送路から搬送された記録媒体の先端部分がレジストローラ対に挟持されているときの同マイラの動きを説明する説明図。
【図10】3つの給送路が独立して設けられた従来の画像形成装置の一例を示す概略構成図。
【図11】3つの給送路が独立して設けられた先願の画像形成装置の一例を示す概略構成図。
【図12】(a)乃至(c)は、同画像形成装置のレジストローラ対の上流側近傍を拡大した拡大図。
【図13】同画像形成装置の共通路の幅を狭くしたときの各給送路の出口部分を拡大した拡大図。
【図14】変形例における複写機の内部構造の概略を示す縦断正面図である。
【図15】同複写機において、開閉カバーと給紙装置とを開放位置へ回動させた状態を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図2乃至図4に基づいて説明する。
図2は、本実施の形態の電子写真方式の画像形成装置である複写機の内部構造の概略を示す縦断正面図、図3は手差し給紙機構部を拡大して示す縦断正面図、図4は手差し給紙機構部の一部を示す分解斜視図である。
【0015】
本実施の形態の複写機1は、プリンタエンジン(画像形成部)2、他の給紙装置を構成する複数の給紙カセット51を備えたカセット給送部としてのカセット給紙機構部3と、定着部4等が装置本体5内に設けられ、装置本体5の側面部には再給送部としての用紙反転機構部6と手差し給送部としての手差し給紙機構部7とを具備する給紙装置8が取り付けられている。
【0016】
装置本体5内には、記録媒体Sを図示しない排紙トレイに向けて搬送するための搬送路(図中2点鎖線)9が形成され、この搬送路9に沿って、レジストローラ対11、プリンタエンジン2、定着部4等が配置されている。
【0017】
プリンタエンジン2は、ドラム状の感光体12、感光体12の周囲に配置された帯電器13、露光器14、現像器15、転写器16、クリーニング器17等により構成されている。
【0018】
この複写機1での画像形成時には、感光体12の表面が帯電器13により一様に帯電され、図示しないスキャナにより読み取られた画像データに応じた光(例えば、レーザー光)が露光器14から出射され、この光が感光体12の表面を露光することにより感光体12の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像に対して現像器15から供給されたトナーが付着し、静電潜像がトナー画像として顕像化される。顕像化されたトナー画像は、転写器16の転写作用により搬送路9を搬送される記録媒体Sに転写される。トナー画像が転写された記録媒体Sは搬送路9上を搬送されて定着部4に送り込まれ、定着部4で加熱、加圧されることによりトナー画像が記録媒体Sに定着される。トナー画像が定着された記録媒体は図示しない排紙トレイ上に排紙される。トナー画像が転写された後の感光体12上に残留しているトナーは、クリーニング器17によりクリーニングされる。
【0019】
上記搬送路9の途中には、記録媒体Sの搬送方向に沿った定着部4の下流側に位置して反転用排紙路18が分岐され、この分岐部分には記録媒体Sの搬送方向を排紙トレイ側又は反転用排紙路18側のいずれかに切り替えるための切替爪19が設けられている。また、レジストローラ対11の上流側には、給紙カセット51内の記録媒体S、反転された記録媒体Sあるいは手差しされた記録媒体Sのいずれもが送り込まれる共通路である共通給紙路20が形成されている。この共通給紙路20は、レジストローラ対11とその上流側に直近したローラ対10,28,36とに挟持されているときにこれらの間に存在する記録媒体部分(たるみ部分)を十分にたるませるための広さをもっている。
【0020】
つぎに、上記給紙装置8について説明する。
給紙装置8は、装置本体5の側面に取り付けられたケース21、ケース21に設けられた用紙反転機構部6、手差し給紙機構部7を備えている。ケース21は、上部ケース21aと、上部ケース21aの下側に連結された下部ケース21bとにより形成されている。
【0021】
用紙反転機構部6は、ケース21内に形成された入口路22、反転路23、再給送路である再給紙路24を備えている。反転路23は、上部ケース21a内に形成された上部反転路23aと、下部ケース21b内に形成された下部反転路23bとにより形成されている。入口路22の一端は上記反転用排紙路18に連通され、入口路22の他端が上部反転路23aに接続されている。再給紙路24の一端は入口路22に接続され、再給紙路24の他端は共通給紙路20に連通されている。入口路22と上部反転路23aとの接続部分には正逆回転可能な反転ローラ対25が設けられている。反転ローラ対25が正転方向(時計回り方向)に回転することにより、反転用排紙路18から入口路22に送り込まれた記録媒体Sが反転路23に送り込まれる。反転ローラ対25は、記録媒体Sの送り込み方向後端部が反転ローラ対25により挟持される位置まで記録媒体Sを反転路23に送り込んだ後、逆方向(反時計回り方向)に回転する。この逆方向への回転により、一旦反転路23に送り込まれた記録媒体Sが反転路23から送り出される。このとき、切替爪26が仮想線で示す位置に切り替えられるため、反転路23から送り出された記録媒体Sは再給紙路24に送り込まれる。再給紙路24の途中には搬送手段としての搬送ローラ対27が設けられ、再給紙路24の給紙方向下流端に対して給送方向上流側に近接した位置にも搬送手段としての第1給送ローラ対28が設けられている。
【0022】
手差し給紙機構部7は、図3に示すように、ハウジング29と第1ガイド板30と第2ガイド板31とを連結して形成された下部ケース21b、手差し給送トレイである手差し給紙トレイ32、給送路である手差し給紙搬送路33、ピックアップローラ34a、フィードローラとリバースローラとからなる分離ローラ対34b、パッド35、搬送手段としての第2給送ローラ対36、下部反転路23b等を備えている。ピックアップローラ34aはパッド35に対して接離可能に構成されている。手差し給紙トレイ32は、支点37を中心として、図2の実線で示した開放位置と図2の仮想線で示した閉止位置とに回動可能に設けられている。手差し給紙トレイ32上には手差しされる記録媒体Sが載置され、手差し給紙トレイ32上に記録媒体Sが載置された後にピックアップローラ34aが回転駆動されることにより、手差し給紙トレイ32上の記録媒体Sが分離ローラ対34bへ受け渡される。その後、分離ローラ対34bにおいて一枚ずつ分離されて手差し給紙搬送路33上を搬送され、共通給紙路20から搬送路9上に送り込まれる。
【0023】
第1ガイド板30はハウジング29にネジ止めされ、このネジ止めは、第1ガイド板30に形成された丸穴38に挿通したネジ(図示せず)をハウジング29に形成されたネジ穴39に螺合させることにより行われている。第2ガイド板31はハウジング29にネジ止めされ、このネジ止めは、ハウジング29に形成された丸穴40に挿通したネジ(図示せず)を第2ガイド板31に形成されたネジ孔41に螺合させることにより行われている。ハウジング29には、分離ローラ対34bと第2給送ローラ対36における駆動側のローラAとが回転自在に保持され、第2ガイド板31には第2給送ローラ対36における従動側のローラBが回転自在に保持されている。
【0024】
ハウジング29とハウジング29にネジ止めされた第1ガイド板30との間には手差し給紙搬送路33と交差する向きに下部反転路23bが形成され、この下部反転路23bと上部反転路23aとが連通されることにより反転路23が形成されている。下部反転路23bと上部反転路23aとの幅寸法(紙面と直交する方向の幅寸法)は同じ寸法に形成され、上部反転路23aに送り込まれた記録媒体Sはその送り込み方向先端を下部反転路23b内に入り込ませることが可能とされている。上部反転路23aと下部反転路23bとを連通させることにより形成された反転路23と手差し給紙搬送路33とが逆T字形に交差している。また、反転路23の下端側(下部反転路23bの部分)は、手差し給紙搬送路33における記録媒体Sの搬送方向に沿った分離ローラ対34bの下流側に位置付けられている。なお、ハウジング29における下部反転路23bに対向する部分には、下部反転路23bの幅方向(紙面と直交する方向)に沿って複数のリブ42が形成されている。
【0025】
第1ガイド板30にはリブ42の配列方向と同じ方向に配列された複数のリブ43が形成され、これらのリブ43が再給紙路24の他端側先端部の内周面の一部を形成している。第1給送ローラ対28はリブ43が形成されている部分の近傍に位置付けられ、この第1給送ローラ対28は駆動側のローラAと従動側のローラCとにより形成され、駆動側のローラAは第2給送ローラ対36の駆動側のローラAとして共用されている。第1給送ローラ対28における従動側のローラCは上部ケース21aに回転自在に保持されている。ローラAには、正逆回転切替自在な駆動モータが連結されている。手差し給紙トレイ32から記録媒体Sを給紙する場合には、ローラAは正転方向(時計回り方向)に回転駆動され、記録媒体Sを再給紙路24から再給紙する場合には、ローラAは逆転方向(反時計回り方向)に回転駆動される。
【0026】
再給紙路24の出口、手差し給紙搬送路33の出口及びカセット給紙搬送路52の出口は、それぞれ互いに近接して開口され、ともに装置本体5内に形成された共通給紙路20に連通している。
【0027】
装置本体5の側面部であって給紙装置8の下側部分には、図2に示すように、装置本体5内に設けられた給紙カセット51からプリンタエンジン2に向けて搬送される記録媒体Sがカセット給紙搬送路52内でジャムを生じた場合、そのジャムを処理するためにカセット給紙搬送路52を開放する開閉カバー44が支軸45を支点として開閉可能に取り付けられている。
【0028】
次に、第1給送ローラ対28、第2給送ローラ対36及び分離ローラ対34bの構成及び動作について説明する。
図5(a)は第1給送ローラ対28、第2給送ローラ対36及び分離ローラ対34bの配置関係を示す説明図、図5(b)はこれらのローラ対28,36,34bに駆動力を伝達するためのギヤ配置を示す説明図、図5(c)はそのギヤ配置を示す斜視図である。
本実施の形態においては、各ローラ対28,36,34bを構成する駆動ローラA,D,E及びピックアップローラ34aは、図示しない同一の駆動源からの回転駆動力によって駆動する。この駆動源は、図示しない制御部からの制御信号に応じ、正逆回転駆動が可能な構成となっており、回転方向が異なる回転駆動力を発生させることができる。
【0029】
図5(b)に示すように、駆動源からの駆動力により、まず、第1アイドラギヤ101が回転駆動し、その回転駆動力が第1アイドラギヤ101と噛み合っている第2アイドラギヤ102に伝達される。この第2アイドラギヤ102は、フィードクラッチギヤ103と駆動ローラギヤ104とも噛み合っている。
フィードクラッチギヤ103は、分離ローラ対34bを構成するフィードローラDのフィード軸105に接続された電磁クラッチ106を構成している。電磁クラッチ106は、図示しない制御部からの制御信号に応じて、フィードクラッチギヤ103とフィード軸105との間の駆動力伝達を可能にしたり遮断したりする。したがって、フィードクラッチギヤ103とフィード軸105との間が接続された状態では、第2アイドラギヤ102からフィードクラッチギヤ103に伝達された回転駆動力がフィード軸105に伝達され、フィードローラDが回転駆動する。
また、駆動ローラギヤ104は、第1給送ローラ対28及び第2給送ローラ対36を構成する共通のローラ(駆動ローラ)Aの駆動ローラ軸107に接続されている。第2アイドラギヤ102から駆動ローラギヤ104に伝達された回転駆動力は、駆動ローラ軸107に伝達され、これにより駆動ローラAが回転駆動する。
【0030】
また、上記フィードクラッチギヤ103は、リバース入力ギヤ108とも噛み合っている。このリバース入力ギヤ108は、その軸受部にワンウェイクラッチ108aを備えており、ワンウェイクラッチ108aを介してリバース駆動軸109に接続されている。このワンウェイクラッチ108aにより、フィードクラッチギヤ103からリバース入力ギヤ108に正方向の回転駆動力が伝達されたときにはその回転駆動力がリバース駆動軸109に伝達され、逆方向の回転駆動力が伝達されたときにはその回転駆動力がリバース駆動軸109に伝達されない。このとき、逆方向の回転駆動力が伝達されたリバース入力ギヤ108は空回転するだけである。リバース駆動軸109に伝達された回転駆動力は、これに固定されたリバース駆動ギヤ110からリバース従動ギヤ111に伝達され、リバース従動ギヤ111が固定されたリバース従動軸112を介してリバースローラEが回転駆動する。
【0031】
図6(a)は、手差し給紙トレイ32から搬送路9へ記録媒体Sを給紙する場合の各ローラ対28,36,34bの駆動例を示す説明図、図6(b)は、再給紙路24から搬送路9へ記録媒体Sを給紙する場合の各ローラ対28,36,34bの駆動例を示す説明図である。
【0032】
手差し給紙トレイ32から搬送路9へ記録媒体Sを給紙する場合、駆動源は上記正方向の回転駆動力を発生させ、これにより図6(a)に示すように第1アイドラギヤ101が図示の方向に回転駆動する。また、この場合、電磁クラッチ106はONになっている。駆動源からの回転駆動力は、フィードローラ軸105を介してピックアップローラ34aにも伝達される。
【0033】
まず、手差し給紙トレイ32上に載置された記録媒体Sの上面にピックアップローラ34aが当接して回転駆動すると、記録媒体Sの一番上の1枚又は複数枚が分離ローラ対34bへ受け渡される。分離ローラ対34bを構成するフィードローラDは、第1アイドラギヤ101からの回転駆動力を、第2アイドラギヤ102、フィードクラッチギヤ103、電磁クラッチ106、フィード軸105を介して受け、記録媒体Sを給紙方向に送り出す向き(図中矢印の向き)に回転駆動する。一方、分離ローラ対34bを構成するリバースローラEは、第1アイドラギヤ101の回転駆動力を、第2アイドラギヤ102、フィードクラッチギヤ103、リバース入力ギヤ108、リバース駆動軸109、リバース駆動ギヤ110、リバース従動ギヤ111を介して伝達され、記録媒体Sを給紙方向とは逆方向に戻す向き(図中矢印の向き)に回転駆動する。これにより、ピックアップローラ34aから分離ローラ対34bへ複数枚の記録媒体Sが送られてきても、一番上の記録媒体S以外の記録媒体については、手差し給紙トレイ32側へ戻される。そして、分離ローラ対34bに挟まれる記録媒体Sが1枚だけになると、リバースローラEに加わる負荷が極端に増大する。この増大した負荷をリバースローラEが受けると、リバース従動軸112に設けられた図示しないトルクリミッタにより、リバースローラEはフィードローラDに連れ回り回転を始める。このような構成によって、記録媒体Sは1枚ずつ第2給送ローラ対36へ送られる。
【0034】
第2給送ローラ対36を構成する駆動ローラAは、第1アイドラギヤ101からの回転駆動力を、第2アイドラギヤ102、駆動ローラギヤ104、駆動ローラ軸107を介して受け、記録媒体Sを給紙方向に送り出す向き(図中矢印の向き)に回転駆動する。また、第2給送ローラ対36を構成する従動ローラBは、この駆動ローラAの回転に連れ回り回転する。上記分離ローラ対34bから送られてきた記録媒体Sは、この第2給送ローラ対36により更に共通給紙路20及び搬送路9へと送られる。そして、プリンタエンジン2の部分で記録媒体Sの片面にトナー画像が転写され、そのトナー画像が定着部4で定着される。以後、その記録媒体Sはそのまま排紙トレイに排紙されるか、後述するように他面にも画像を形成する場合又は他面には画像を形成せずに裏返して排紙トレイに排紙する場合には用紙反転機構部6へ送られるかする。
なお、手差し給紙トレイ32から搬送路9へ記録媒体Sを給紙する場合、第1給送ローラ対28を構成する従動ローラCは、駆動ローラAに連れ回り回転することになる。
【0035】
一方、上記用紙反転機構部6から搬送路9へ記録媒体Sを給紙する場合、駆動源は上記逆方向の回転駆動力を発生させ、これにより図6(b)に示すように第1アイドラギヤ101が図示の方向に回転駆動する。この場合、電磁クラッチ106はOFFになっている。よって、第1アイドラギヤ101からの回転駆動力は、第2アイドラギヤ102を介してフィードクラッチギヤ103までは伝達されるが、電磁クラッチ106によりフィード軸105までは伝達されない。したがって、ピックアップローラ34a及びフィードローラDは回転駆動しない。一方、第1アイドラギヤ101の回転駆動力は、第2アイドラギヤ102、フィードクラッチギヤ103を介してリバース入力ギヤ108までは伝達されるが、ワンウェイクラッチ108aによりリバース駆動軸109までは伝達されない。したがって、リバースローラEも回転駆動しない。その結果、用紙反転機構部6から搬送路9へ記録媒体Sを給紙する場合には、手差し給紙トレイ32上の記録媒体Sが給紙されることはない。
【0036】
なお、仮に、リバース入力ギヤ108の軸受部に、ワンウェイクラッチ108aを設けず、トルクリミッタのみを設けた場合には、手差し給紙トレイ32上の記録媒体Sが給紙されてしまうおそれがある。すなわち、ワンウェイクラッチ108aがないと、駆動源が発生させた上記逆方向の回転駆動力がリバース駆動軸109まで伝達され、リバースローラEが記録媒体Sを給紙方向に送り出す向きに回転駆動してしまう。このとき、フィードローラDは、電磁クラッチ106がOFFになっていることから、回転自在な状態であり、リバースローラEの回転に連れ回り回転することになる。その結果、手差し給紙トレイ32上の記録媒体Sが分離ローラ対34bによって誤って給紙されるおそれがある。この場合、上記用紙反転機構部6から給紙される記録媒体と手差し給紙トレイ32から給紙される記録媒体とが共通給紙路20や搬送路9あるいはプリンタエンジン2の部分などでジャムが発生してしまう。本実施形態では、この問題を解決するために、上述したワンウェイクラッチ108aを用いている。
【0037】
第1給送ローラ対28を構成する駆動ローラAは、第1アイドラギヤ101の回転駆動力を、第2アイドラギヤ102、駆動ローラギヤ104、駆動ローラ軸107を介して受け、再給紙路24内の記録媒体Sを給紙方向へ送り出す向き(図中矢印の向き)に回転駆動する。これにより、記録媒体Sは共通給紙路20及び搬送路9へと送られる。そして、その記録媒体Sはプリンタエンジン2の部分でトナー画像が転写されてそのトナー画像が定着部4で定着されるか、プリンタエンジン2の部分でトナー画像が転写されずにそのまま通過するかする。以後、その記録媒体Sは排紙トレイに排紙される。
【0038】
なお、本実施の形態では、第1給送ローラ対28及び第2給送ローラ対36を構成する共通のローラAが駆動ローラである場合について説明したが、従動ローラであってもよい。この場合、第2給送ローラ対36を構成する他のローラB及び第1給送ローラ対28を構成する他のローラCの少なくとも一方を駆動ローラとする。
両方とも駆動ローラとする場合には、例えば、各駆動ローラを上述した電磁クラッチのような駆動力伝達を遮断し得る機構を介して駆動源に接続し、手差し給紙機構部7からの手差し給紙の際にはローラBを回転駆動するとともにローラCを従動回転できるようにし、用紙反転機構部6からの再給紙の際にはローラCを回転駆動するとともにローラBを従動回転できるようにすればよい。
いずれか一方だけを駆動ローラとする場合には、その駆動ローラを直接的に駆動源に接続するようにしてもよい。そして、ローラBを駆動ローラとする場合を例に挙げれば、手差し給紙機構部7からの手差し給紙の際には、ローラBを手差し給紙搬送路33内の記録媒体が給紙方向へ送り出す向きに回転駆動させる。一方、用紙反転機構部6からの再給紙の際には、ローラBを逆向きに回転駆動させる。これにより、ローラAはローラBに連れ回り回転し、再給紙路24内の記録媒体が給紙方向へ送り出す向きに回転し、ローラCはローラAに連れ回り回転する。これにより、再給紙路24内の記録媒体を搬送路9へ給紙することができる。ローラCを駆動ローラとする場合も同様である。
【0039】
このような構成において、この複写機1により記録媒体Sの両面に画像を形成する場合について詳しく説明する。
【0040】
給紙カセット51又は手差し給紙トレイ32から給紙された記録媒体Sが搬送路9を搬送され、プリンタエンジン2の部分で記録媒体Sの片面にトナー画像が転写され、そのトナー画像が定着部4で定着される。定着部4での定着処理が行われることにより片面にトナー画像が形成された記録媒体Sは、図2中実線で示す位置に切り替えられている切替爪19により反転用排紙路18側に送られ、反転用排紙路18と入口路22とを経由して反転路23に送り込まれる。反転路23に送り込まれた記録媒体Sの送り込み方向後端部が反転ローラ対25に挟持されたタイミングで反転ローラ対25の回転が停止され、ついで、反転ローラ対25が逆回転される。この逆回転により、反転路23に送り込まれた記録媒体Sは反転路23から送り出される。このとき、切替爪26は、反転路23から送り出された記録媒体Sを再給紙路24に送り込む位置(図2中仮想線で示す位置)に切替えられており、記録媒体Sは再給紙路24に送り込まれる。
【0041】
再給紙路24に送り込まれた記録媒体Sは、搬送ローラ対27、第1給送ローラ対28により搬送され、共通給紙路20から搬送路9に表裏反転された状態で送り込まれる。そして搬送路9を搬送された後に再度プリンタエンジン2の部分で記録媒体Sの他方の面にトナー画像が転写される。記録媒体Sへの二度目のトナー画像の転写が行われるときには、切替爪19は図2中仮想線で示す位置に切り替えられており、二度目のトナー画像の転写が行われた記録媒体Sは定着部4で定着処理された後に排紙トレイ側へ送られ、排紙トレイ上に排紙される。
【0042】
また、本実施の形態の給紙装置8によれば、上部反転路23aと下部反転路23bとからなる反転路23は、手差し給紙搬送路33と逆T字形に交差する位置まで延出されており、反転路23と手差し給紙搬送路33との間を仕切る部材が不用となり、給紙装置8の小型化を図ることができ、特に、給紙装置8の上下方向の長さ寸法を小さくすることができる。しかも、上部反転路23aと下部反転路23bとからなる反転路23は、手差し給紙搬送路33と逆T字形に交差する位置まで延出されているので、給紙装置8が小型化されて上下方向の寸法が小さくなった場合でも、反転路23の長さ寸法を長く確保することができる。これにより、複写機1や給紙装置8が小型化された場合でも長いサイズの記録媒体Sを反転路23で反転させることができ、当該長いサイズの記録媒体Sに対する両面への画像形成を良好に行える。
【0043】
また、反転路23の下端側の部分(下部反転路23bの部分)は、手差し給紙搬送路33における記録媒体Sの搬送方向に沿った分離ローラ対34bの下流側に位置付けられているので、反転路23を分離ローラ対34bによる制約を受けることなく形成することができる。しかも、反転路23内に送り込んだ記録媒体Sを手差し給紙トレイ32上に載置されている記録媒体Sによる制約を受けることなく下部反転路23bの下端部まで送り込むことができ、反転路23の全長を記録媒体Sの反転のために有効に利用することができる。
【0044】
さらに、この給紙装置8によれば、再給紙路24の先端部と手差し給紙搬送路33の先端部とが近接して開口され、装置本体5に形成された共通給紙路20に接続されているので、再給紙路24の先端部と手差し給紙搬送路33の先端部との間隔が小さくなり、給紙装置8の小型化をより一層効果的に実現することができる。また、再給紙路24の先端部に設けられた第1給送ローラ対28と手差し給紙搬送路33の先端部に設けられた第2給送ローラ対36とは、1つのローラAを共有しているので給紙装置8の小型化と部品点数の削減とを図ることができる。しかも、共有されているローラAが駆動側のローラであるので、駆動系統の部品点数を削減でき、給紙装置8のさらなる小型化に寄与することができる。
【0045】
そして、給紙装置8の小型化を図ることにより、装置本体5への給紙装置8の取り付け位置を上方へ移動させることができる。これにより、開閉カバー44のサイズを大きくすることができ、装置本体5内のカセット給紙搬送路52の下方位置で発生したジャムの処理を容易に行うことができる。
【0046】
また、給紙装置8の小型化に伴って装置本体5への給紙装置8の取り付け位置が上方に移動した場合には、手差し給紙機構部7から手差しされた記録媒体Sを装置本体5内の搬送ローラ対10で搬送できないという事態が発生する。しかし、手差しされた記録媒体Sを第2給送ローラ対36によって搬送路9に送り込めるので、長さ寸法の短いサイズの記録媒体Sであっても搬送路9内を搬送するための搬送力を確保することができ、スムーズに手差し給紙することができる。
【0047】
次に、本発明の特徴部分である、カセット給紙搬送路52、再給紙路24及び手差し給紙搬送路33の出口部分の構成について説明する。
図1は、カセット給紙搬送路52、再給紙路24及び手差し給紙搬送路33の出口部分を拡大した拡大図である。図示のように、本実施の形態においては、カセット給紙搬送路52、再給紙路24及び手差し給紙搬送路33の3つの給送路ごとに共通給紙路20内を仕切る2つの仕切り部材としてのマイラ61,62を有する。これらのマイラ61,62は、弾性材料で形成されており、レジストローラ対11に向けて3つの給送路の出口から共通給紙路20内へ延出するように、当該出口に固定されている。本実施形態において、マイラ61,62は、ポリエチレンテレフタレート(PET)で形成された、厚さが0.1〜0.2[mm]の板状部材である。第1マイラ61は、手差し給紙搬送路33の上壁部分に両面テープ等により取り付けられている。第2マイラ62は、カセット給紙搬送路52における手差し給紙搬送路33側の壁面(図中右側壁面)に両面テープ等により取り付けられている。これらのマイラ61,62は、各給送路24,33,52から搬送されてくる記録媒体Sが当接するとその当接力を受けて弾性変形して変位し、記録媒体Sの当接がなくなると図1に示す初期状態に戻る。
【0048】
図7(a)は、手差し給紙搬送路33から搬送されてくる記録媒体Sがレジストローラ対11へ向かって搬送されるときのマイラ61,62の動きを説明する説明図である。
記録媒体Sは、第2給送ローラ対36によって手差し給紙搬送路33の出口から共通給紙路20へと搬送されてくる。このとき、その記録媒体Sは、通常、その先端が第2マイラ62に当接するようにして共通給紙路20へと進入する。この場合、その当接力を受けた第2マイラ62が変位し、図7(a)に示すように第2マイラ62によってカセット給紙搬送路52の出口が狭められ又は塞がれる。よって、記録媒体Sの再給紙路24への進入が規制され、その記録媒体Sの先端は、第2マイラ62及び共通給紙路20の壁面に案内されてレジストローラ対11へと送り込まれる。
一方、図12(b)に示したように記録媒体Sの先端がカールしている場合も、その先端は第2マイラ62に当接するので、その当接力を受けた第2マイラ62が変位し、カセット給紙搬送路52の出口が狭められ又は塞がれる。よって、この場合も、記録媒体Sの再給紙路24への進入が規制され、その記録媒体Sの先端は、第2マイラ62及び共通給紙路20の壁面に案内されてレジストローラ対11へと送り込まれる。
他方、記録媒体Sの先端が図12(b)に示した向きとは反対向きにカールしている場合などにおいては、記録媒体Sの先端が第1マイラ61に当接するように共通給紙路20へ進入することもある。このような場合でも、その当接力を受けて第1マイラ61が変位し、その第1マイラ61によって再給紙路24の出口が狭められ又は塞がれる。したがって、記録媒体Sの再給紙路24への進入が規制され、その記録媒体Sの先端は、第2マイラ62及び共通給紙路20の壁面に案内されてレジストローラ対11へと送り込まれる。
【0049】
図7(b)は、手差し給紙搬送路33から搬送された記録媒体Sの先端部分がレジストローラ対11に挟持されているときのマイラ61,62の動きを説明する説明図である。
記録媒体Sの先端部分がレジストローラ対11に挟持されている状態では、その挟持部分よりも後端側の記録媒体部分(たるみ部分)をたるんだ状態にすることが重要である。本実施の形態では、共通路20は十分なたるみが得られるのに必要な幅をもっている。そして、記録媒体Sのたるみ部分の記録媒体面が第1マイラ61に当接すると、その当接力を受けた第1マイラ61が図7(b)に示すように変位する。これにより、その記録媒体Sのたるみ部分は、第1マイラ61を押しのけて十分にたるむことができる。なお、記録媒体Sのたるみ部分の記録媒体面が第2マイラ62に当接したとしても、その当接力を受けた第2マイラ62が変位する。よって、この場合も、その記録媒体Sのたるみ部分は、第2マイラ62を押しのけて十分にたるむことができる。
【0050】
図8(a)は、再給紙路24から搬送されてくる記録媒体Sがレジストローラ対11へ向かって搬送されるときのマイラ61,62の動きを説明する説明図である。
記録媒体Sは、第1給送ローラ対28によって再給紙路24の出口から共通給紙路20へと搬送されてくる。このとき、その記録媒体Sは、通常、その先端が第1マイラ61に当接するようにして共通給紙路20へと進入する。この場合、その当接力を受けた第1マイラ61が変位し、図8(a)に示すように第1マイラ61によって手差し給紙搬送路33の出口が狭められ又は塞がれる。特に、本実施の形態では、変位した第1マイラ61の先端は、これに隣接する第2マイラ62に当接し、その当接により第2マイラ62が変位してカセット給紙搬送路52の出口が狭められ又は塞がれる。よって、記録媒体Sの手差し給紙搬送路33及びカセット給紙搬送路52への進入が規制され、その記録媒体Sの先端は、第1マイラ61、第2マイラ62及び共通給紙路20の壁面に案内されてレジストローラ対11へと送り込まれる。
一方、図12(a)に示したように記録媒体Sの先端がカールしている場合も、その先端は第1マイラ61に当接するので、その当接力を受けた第1マイラ61が変位し、同様に、手差し給紙搬送路33及びカセット給紙搬送路52の出口が狭められ又は塞がれる。よって、この場合も、記録媒体Sの手差し給紙搬送路33及びカセット給紙搬送路52への進入が規制され、その記録媒体Sの先端は、第1マイラ61、第2マイラ62及び共通給紙路20の壁面に案内されてレジストローラ対11へと送り込まれる。
他方、記録媒体Sの先端が図12(a)に示した向きとは反対向きにカールしている場合などにおいては、記録媒体Sの先端が、記録媒体の画像担持面とは反対面(裏面)と対向する共通給紙路20の壁面に当接しながら共通給紙路20へ進入することもある。この場合、その記録媒体Sの先端は、その共通給紙路20の壁面に案内されてレジストローラ対11へと送り込まれる。
【0051】
図8(b)は、再給紙路24から搬送された記録媒体Sの先端部分がレジストローラ対11に挟持されているときのマイラ61,62の動きを説明する説明図である。
記録媒体Sのたるみ部分の記録媒体面が第1マイラ61に当接すると、その当接力を受けた第1マイラ61が図8(b)に示すように変位する。これにより、その記録媒体Sのたるみ部分は、第1マイラ61を押しのけて十分にたるむことができる。
【0052】
図9(a)は、カセット給紙搬送路52から搬送されてくる記録媒体Sがレジストローラ対11へ向かって搬送されるときのマイラ61,62の動きを説明する説明図である。
記録媒体Sは、搬送ローラ対10によってカセット給紙搬送路52の出口から共通給紙路20へと搬送されてくる。このとき、その記録媒体Sは、通常、その先端が第2マイラ61に当接するようにして共通給紙路20へと進入する。この場合、その当接力を受けた第2マイラ62が変位し、図9(a)に示すように第2マイラ62によって手差し給紙搬送路33の出口が狭められ又は塞がれる。特に、本実施の形態では、変位した第2マイラ62の先端は、これに隣接する第1マイラ61に当接し、その当接により第1マイラ61が変位して再給紙路24の出口が狭められ又は塞がれる。よって、記録媒体Sの手差し給紙搬送路33及び再給紙路24への進入が規制され、その記録媒体Sの先端は、第2マイラ62及び共通給紙路20の壁面に案内されてレジストローラ対11へと送り込まれる。
一方、図12(c)に示したように記録媒体Sの先端がカールしている場合も、その先端は第2マイラ62に当接するので、その当接力を受けた第2マイラ62が変位し、同様に、手差し給紙搬送路33及び再給紙路24の出口が狭められ又は塞がれる。よって、この場合も、記録媒体Sの手差し給紙搬送路33及び再給紙路24への進入が規制され、その記録媒体Sの先端は、第2マイラ62及び共通給紙路20の壁面に案内されてレジストローラ対11へと送り込まれる。
他方、記録媒体Sの先端が図12(c)に示した向きとは反対向きにカールしている場合などにおいては、記録媒体Sの先端が、記録媒体の画像担持面(表面)と対向する共通給紙路20の壁面に当接しながら共通給紙路20へ進入することもある。この場合、その記録媒体Sの先端は、その共通給紙路20の壁面に案内されてレジストローラ対11へと送り込まれる。
【0053】
図9(b)は、カセット給紙搬送路52から搬送された記録媒体Sの先端部分がレジストローラ対11に挟持されているときのマイラ61,62の動きを説明する説明図である。
記録媒体Sのたるみ部分の記録媒体面が第2マイラ62に当接すると、その当接力を受けた第2マイラ62が図9(b)に示すように変位する。これにより、その記録媒体Sのたるみ部分は、第2マイラ62を押しのけて十分にたるむことができる。
【0054】
〔変形例〕
次に、上記実施の形態の変形例について図14及び図15に基づいて説明する。
本変形例において上記実施の形態と異なる点は、上記実施の形態における装置本体5の下部であって給紙装置8の下方に設けられている開閉カバー46の構造と、この開閉カバー46に給紙装置8が連結されている点である。開閉カバー46は、装置本体5内の搬送路9の下方部分、具体的にはカセット給紙搬送路52、で発生したジャムを処理するためにカセット給紙搬送路52を開放可能に取り付けられている。この開閉カバー46は、水平方向向きの支点45を中心として回動し、カセット給紙搬送路52を開放するように装置本体5に取り付けられている。
【0055】
このような構成において、カセット給紙搬送路52で発生したジャムを処理するために開閉カバー46を開放した場合、図15に示すように給紙装置8も一体に回動する。このとき、本実施の形態では、給紙装置8が小型化されて上下方向の寸法が小さくなっているため、開閉カバー46に連結されている給紙装置8を上方位置に位置付けることができ、開閉カバー46を給紙装置8と共に開放位置に回動させたときに給紙装置8が床面等に接触しにくくなり、開閉カバー46の開放角度"θ"を大きくとることができる。これにより、装置本体5内のカセット給紙搬送路52で発生したジャムの処理を容易に行うことができる。
【0056】
以上、本実施の形態の画像形成装置である複写機は、プリンタエンジン2と、記録媒体Sの先端部分を挟持し、所定のタイミングで上記プリンタエンジン2へ該記録媒体Sを送り出すためのレジストローラ対11と、独立した3つの給送路24,33,52と、該3つの給送路内にそれぞれ設けられ、当該給送路内の記録媒体Sを上記レジストローラ対11に向けて搬送するための搬送手段10,28,36と、上記3つの給送路24,33,52の各出口と連通し、各給送路からそれぞれ搬送される記録媒体Sを上記レジストローラ対11へ給送するための共通路である共通給紙路20とを備えている。また、この複写機には、上記3つの給送路24,33,52ごとに上記共通給紙路20内を仕切る複数の仕切り部材としてのマイラ61,62が、上記レジストローラ対11に向けて該3つの給送路の出口から該共通給紙路20内へ延出するように設けられている。そして、これらのマイラ61,62は、上記レジストローラ対11によって挟持された記録媒体部分の後端側がたるむときにそのたるみ部分の記録媒体面が当接することによって変位し得るように構成されている。これにより、上述したように、各給送路24,33,52の出口からそれぞれ送り出される記録媒体Sの先端が他の給送路の出口へと入り込んでしまうのを防止することができる。しかも、記録媒体Sのたるみ部分のたるみを十分に確保できるのでレジストローラ対11による記録媒体Sの適切な送り出しが可能になる。
また、本実施の形態においては、マイラ61,62を弾性材料であるPETで形成し、各マイラ61,62を上記3つの給送路24,33,52の出口に固定している。このようなマイラ61,62に変えて、例えば、上記たるみ部分の記録媒体面が当接した程度では変形しない剛性の高い材料で形成した仕切り部材を、上記3つの給送路24,33,52の出口に回動自在に取り付けるようにしても、たるみ部分の記録媒体面が当接することによって変位し得るような仕切り部材を実現できる。しかし、本実施の形態のようなマイラ61,62を用いる方が、上記仕切り部材の実現が容易である。
また、本実施の形態においては、再給紙路24からの記録媒体Sが共通給紙路20の壁面と第1マイラ61との間を通過するとき、その記録媒体の先端が第1マイラ61に当接することがある。このとき、変位した第1マイラ61の先端は、これに隣接する第2マイラ62に当接して、その当接により第2マイラ62が変位してその第2マイラ62の先端と共通給紙路20の上記壁面とは反対側の壁面との間の間隔が狭くなるように構成されている。このような構成に変えて、変位した第1マイラ61の先端が第2マイラ62に当接したとき、その第2マイラ62の先端が共通給紙路20の上記壁面とは反対側の壁面に接触するように構成してもよい。この場合、手差し給紙搬送路33の出口は第1マイラ61によって完全に塞がれ、かつ、カセット給紙搬送路52の出口は第2マイラ62によって完全に塞がれるので、記録媒体Sが手差し給紙搬送路33及びカセット給紙搬送路52へ進入するのをより確実に防止できる。また、他の構成としては、記録媒体Sの当接により第1マイラ61が変位したとき、その第1マイラ61の先端が、直接、共通給紙路20の上記壁面とは反対側の壁面に接触するように構成してもよい。この場合、手差し給紙搬送路33及びカセット給紙搬送路52の出口は両方とも第1マイラ61によって完全に塞がれるので、記録媒体Sが手差し給紙搬送路33及びカセット給紙搬送路52へ進入するのをより確実に防止できる。なお、カセット給紙搬送路52からの記録媒体Sが給紙される場合も同様である。
また、本実施の形態では、図1に示したように、マイラ61,62の間及び共通給紙路20の壁面と各マイラ61,62との間の距離が、記録媒体給送方向下流側へ向かって短くなるように構成されている。これにより、各給送路24,33,52から搬送されてくる記録媒体Sをレジストローラ対11へ安定して送り込むことができる。
また、本実施の形態では、装置本体5の側部に設けられ、プリンタエンジン2を通過した後の記録媒体Sを再度プリンタエンジン2に向けて給送するための再給紙路24を備えた用紙反転機構部6と、装置本体5の側部であって用紙反転機構部6の鉛直方向下方に設けられ、手差し給紙トレイ32上の記録媒体Sをプリンタエンジン2に向けて給送するための手差し給紙搬送路33を備えた手差し給紙機構部7と、装置本体5の下部に設けられ、給紙カセット51内の記録媒体Sをプリンタエンジン2に向けて給送するためのカセット給紙搬送路52を備えたカセット給紙機構部3とを有している。このような複写機においては、小型化のために用紙反転機構部6と手差し給紙機構部7とを近接して配置することが望ましい。この場合には、カセット給紙搬送路52、再給紙路24及び手差し給紙搬送路33の各々の出口がレジストローラ対11の上流側近傍で合流することになり、上述したようにジャムが発生するおそれがあるが、本実施の形態によれば、そのジャムの発生を防止できる。
また、本実施の形態では、上記3つの給送路24,33,52のうちの2つの給送路24,33内の出口近傍に設けられる第1給送ローラ対28及び第2給送ローラ対36は、それぞれローラ対を構成する一方のローラを共通のローラAで構成している。これにより、これらの2つの給送路24,33の出口を近接して配置することが可能となり、上記先願のように、用紙反転機構部6と手差し給紙機構部7とを近接して配置することが可能になる。
また、本実施の形態では、上記共通のローラAが駆動源からの駆動力によって回転駆動する駆動ローラであるので、用紙反転機構部6及び手差し給紙機構部7のいずれにおいてもより安定した記録媒体Sの給送が可能となる。特に、本実施の形態では、上記共通のローラA以外の2つのローラB,Cが、上記共通のローラAに従動回転する従動ローラであるので、駆動系統の部品点数を削減でき、給紙装置8のさらなる小型化に寄与することができる。
また、本実施の形態では、カセット給紙搬送路52を装置本体5の外部に開放可能な開閉カバー44を手差し給紙機構部7の下方に設けている。本実施の形態では、上述したように、手差し機構部7を装置本体5に対してより上方に配置できるようになる結果、この部分に開閉カバー44を設けることが可能となる。そして、この開閉カバー44を開くことにより、上記部分でジャムしたカセット給紙装置からの記録媒体Sのの容易になる。
また、上記変形例においては、カセット給紙搬送路52を装置本体5の外部に開放可能な開閉カバー46を設け、この開閉カバー46を用紙反転機構部6及び手差し給紙機構部7からなる給紙装置8と一体に構成している。これにより、上述したように、開閉カバー46を給紙装置8と共に開けたときに給紙装置8が床面等に接触しにくくなり、開閉カバー46の開放角度"θ"を大きくとることが可能になる。その結果、装置本体5内の搬送路9の下方部分で発生したジャムの処理を容易に行うことができるようになる。
【0057】
なお、本実施の形態では、仕切り部材を記録媒体Sの当接がなくなると初期状態に戻るように構成しているが、記録媒体Sの当接がなっても変位後の位置に残るように構成しても上記と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、3つの給送路24,33,52がレジストローラ対11の上流側近傍で合流する構成について説明したが、4つ以上の給送路がレジストローラ対11の上流側近傍で合流する構成であっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
2 プリンタエンジン
3 カセット給紙機構部
5 装置本体
6 用紙反転機構部
7 手差し給紙機構部
8 給紙装置
9 搬送路
10 搬送ローラ対
20 共通給紙路
23 反転路
24 再給紙路
28 第1給送ローラ対
32 手差し給紙トレイ
33 手差し給紙搬送路
34b 分離ローラ対
36 第2給送ローラ対
44,46 開閉カバー
51 給紙カセット
52 カセット給紙搬送路
61 第1マイラ
62 第2マイラ
A 共通のローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2000−309451公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタエンジンと、
記録媒体の先端部分を挟持し、所定のタイミングで上記プリンタエンジンへ該記録媒体を送り出すためのレジストローラ対と、
独立した3以上の給送路と、
該3以上の給送路内にそれぞれ設けられ、当該給送路内の記録媒体を上記レジストローラ対に向けて搬送するための搬送手段と、
上記3以上の給送路の各出口と連通し、各給送路からそれぞれ搬送される記録媒体を上記レジストローラ対へ給送するための共通路とを備えた画像形成装置において、
上記3以上の給送路ごとに上記共通路内を仕切る複数の仕切り部材を、上記レジストローラ対に向けて該3以上の給送路の出口から該共通路内へ延出するように設け、
該複数の仕切り部材を、上記レジストローラ対によって挟持された記録媒体部分の後端側がたるむときにそのたるみ部分の記録媒体面が当接することによって変位し得るように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記複数の仕切り部材を弾性材料で形成し、各仕切り部材を上記3以上の給送路の出口に固定したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記複数の仕切り部材のうち、搬送中の記録媒体の一方の面に対向する側の上記共通路の壁面に隣接する仕切り部材は、該壁面と該仕切り部材との間を通過する記録媒体の先端が当接することで変位して該仕切り部材の先端がこれに隣接する他の仕切り部材に当接し、その当接により該他の仕切り部材が変位して該他の仕切り部材の先端が該壁面とは反対側に位置する該共通路の壁面に接触するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記複数の仕切り部材のうち、搬送中の記録媒体の一方の面に対向する側の上記共通路の壁面に隣接する仕切り部材は、該壁面と該仕切り部材との間を通過する記録媒体の先端が当接することで変位して、該仕切り部材の先端が該壁面とは反対側に位置する該共通路の壁面に接触するように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4の画像形成装置において、
上記複数の仕切り部材間及び上記共通路の壁面と各仕切り部材との間の距離が、記録媒体給送方向下流側へ向かって短くなるように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、又は5の画像形成装置において、
装置本体側部に設けられ、プリンタエンジンを通過した後の記録媒体を再度該プリンタエンジンに向けて給送するための再給送路を備えた再給送部と、
装置本体側部であって上記再給送部の鉛直方向下方に設けられ、手差し給送トレイ上の記録媒体を上記プリンタエンジンに向けて給送するための手差し給送路を備えた手差し給送部と、
装置本体下部に設けられ、給送カセット内の記録媒体を上記プリンタエンジンに向けて給送するためのカセット給送路を備えたカセット給送部とを有し、
上記3つ以上の給送路は、上記再給送路、上記手差し給送路及び上記カセット給送路を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6の画像形成装置において、
上記3つ以上の給送路のうちの2つの給送路内の出口近傍に設けられる上記搬送手段はそれぞれ搬送ローラ対であって、各搬送ローラ対を構成する一方のローラを共通のローラで構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
上記共通のローラは、駆動源からの駆動力によって回転駆動する駆動ローラであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項6の画像形成装置において、
上記カセット給送路を上記装置本体の外部に開放可能な開閉カバーを、上記手差し給送部の下方に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9の画像形成装置において、
上記カセット給送路を上記装置本体の外部に開放可能な開閉カバーを設け、
該開閉カバーを上記再給送部及び上記手差し給送部と一体に構成したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−155725(P2010−155725A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50285(P2010−50285)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【分割の表示】特願2005−275509(P2005−275509)の分割
【原出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】