説明

給電経路用導電部材

【課題】給電経路を構成する二つの部材を溶接することなく電気的に接続可能で、その接続箇所における金属表面の酸化や接続箇所への湿気の侵入を抑制可能な給電経路用導電部材を提供すること。
【解決手段】給電経路用導電部材1は、金属部3と、エラストマー部5とを備えている。金属部3には、基部11と、基部11よりも上方へと曲折された4つの板ばね状の接点13A〜13Dと、基部11よりも下方へと曲折された4つの板ばね状の接点13E〜13Hが形成されている。エラストマー部5は、金属部3が有する接点13A〜13Hの先端部分を外部に露出させた状態で、金属部3が埋設された状態になっている。このような給電経路用導電部材1を、給電経路上流側にある第一の部材と給電経路下流側にある第二の部材との間に介装して給電経路を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電経路上流側にある第一の部材と給電経路下流側にある第二の部材との間に介装されて、第一の部材から第二の部材への給電経路を形成する給電経路用導電部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給電経路を構成する二つの部材(例えば、バスバー等。)を電気的に接続するための構造としては、二つの部材を溶接した構造や、二つの部材をボルト等で締結した構造などが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載されたバスバーの締結構造では、端子台をバスバー側へ付勢する付勢手段を設けることにより、バスバーの取付部分において隙間が発生するのを防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−289243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、給電経路を構成する部材としては、一般に導電性に優れた金属製部材(例えば、銅材やアルミ材)が利用されるので、そのような硬質な金属製部材を相互に圧接させても、それらの金属製部材を完全に密着させることは困難である。
【0006】
そのため、金属製部材同士の接触箇所表面を外気から完全に遮断することは難しく、経年変化で金属表面が酸化して抵抗値が大きくなり、その場合、接触箇所での発熱が起きやすくなるなど、電気エネルギーの損失を招く要因になっていた。また、異種金属が接触する箇所においては、接触箇所に湿気が入り込むとガルバニック腐食が発生しやすくなるなどの問題もあった。
【0007】
さらに、金属製部材同士を溶接すれば、単に接触させてあるものよりは、接続箇所の信頼性が向上するものと期待できるが、溶接が困難な箇所も多く、ボルト締めに頼らざるを得ない箇所においては、上述のような問題を回避することは困難であった。また、溶接をすると、分解や部品交換が困難になるのも問題であった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、給電経路を構成する二つの部材を溶接することなく電気的に接続可能で、その接続箇所における金属表面の酸化や接続箇所への湿気の侵入を抑制可能な給電経路用導電部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
請求項1に記載の給電経路用導電部材は、給電経路上流側にある第一の部材と給電経路下流側にある第二の部材との間に介装されて、前記第一の部材から前記第二の部材への給電経路を形成する給電経路用導電部材であって、金属材料からなり、前記第一の部材と前記第二の部材の間に挟み込まれた際に、前記第一の部材に接触する状態となる少なくとも一つの接点と、前記第二の部材に接触する状態となる少なくとも一つの接点とを有する金属部と、エラストマー材料からなり、前記金属部が有する前記接点を外部に露出させた状態で前記金属部が埋設されており、前記第一の部材と前記第二の部材の間に挟み込まれた際には、前記接点の周囲において前記第一の部材及び前記第二の部材に密着することにより、前記第一の部材及び前記第二の部材それぞれと前記接点との接触箇所を外部空間から隔離する状態になるエラストマー部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
このように構成された給電経路用導電部材によれば、第一の部材と前記第二の部材の間に挟み込まれた際に、エラストマー部が、金属部の備える接点の周囲において第一の部材及び第二の部材に密着することにより、第一の部材及び第二の部材それぞれと接点との接触箇所を外部空間から隔離する状態になる。
【0011】
そのため、第一の部材及び第二の部材それぞれと接点との接触箇所は、外気から遮断されることになり、接触箇所における金属表面の酸化を抑制することができる。したがって、経年変化で接触箇所の抵抗値が上昇するのを抑制でき、そのような抵抗値の上昇に伴う発熱も抑制することができる。また、接触箇所への湿気の侵入を抑制できるので、異種金属が接触する状態となる場合でも、ガルバニック腐食の発生を抑制することができる。
【0012】
さらに、このような給電経路用導電部材を介装すれば、第一の部材と第二の部材を直接溶接しなくても、上述のとおり接続箇所の信頼性を向上させることができるので、組み立て後の分解や部品交換なども容易となり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載の給電経路用導電部材は、請求項1に記載の給電経路用導電部材において、前記金属部は、前記第一の部材と前記第二の部材の間に挟み込まれる際に、前記第一の部材及び前記第二の部材それぞれの表面を擦りながら変形することを特徴とする。
【0014】
このように構成された給電経路用導電部材によれば、給電経路用導電部材が第一の部材と第二の部材の間に挟み込まれる際に、金属部が第一の部材及び第二の部材それぞれの表面を擦りながら変形する。そのため、第一の部材及び第二の部材それぞれの表面にすでに酸化被膜が形成されている場合でも、その酸化被膜が金属部に擦られて剥がれることになり、接触箇所の抵抗値を低下させることができる。
【0015】
しかも、このような手法で酸化被膜を剥がすと、金属酸化物もしくは金属そのものを主成分とする金属カスが発生するおそれがあるが、そのような金属カスが発生する接触箇所の周囲は、エラストマー部によって外部空間から隔離された状態にあるので、金属カスがエラストマー部の外部へ飛散することはない。したがって、飛散した金属カスが他の電気回路に悪影響を及ぼす、といったトラブルを招くことはなく、また、飛散した金属カスによって、周辺を汚損することもない。
【0016】
請求項3に記載の給電経路用導電部材は、請求項1又は請求項2に記載の給電経路用導電部材において、前記エラストマー部は、前記第一の部材又は前記第二の部材上に設置された際に、当該設置箇所に対して前記金属部よりも摩擦抵抗の大きい面で接触することを特徴とする。
【0017】
このように構成された給電経路用導電部材によれば、第一の部材又は第二の部材上に設置された際、エラストマー部が金属部よりも摩擦抵抗の大きい面で設置箇所に接触するので、単なる金属製の導電部材を設置した場合とは異なり、エラストマー部が滑り止めとして機能する。したがって、第一の部材又は第二の部材に対して給電経路用導電部材を位置決めした後、給電経路用導電部材を完全に固定するまでに給電経路用導電部材の位置ずれが発生するのを抑制でき、作業性を向上させることができる。
【0018】
請求項4に記載の給電経路用導電部材は、請求項3に記載の給電経路用導電部材において、前記摩擦抵抗の大きい面が、タック性を有する面とされていることを特徴とする。
このように構成された給電経路用導電部材によれば、第一の部材又は第二の部材上に設置された際、エラストマー部がタック性を有する面で設置箇所に接触するので、エラストマー部の滑り止めとしての機能はより一層向上する。したがって、上述のような給電経路用導電部材の位置ずれが発生するのを抑制する効果は高くなり、さらに良好な作業性を確保することができる。
【0019】
請求項5に記載の給電経路用導電部材は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の給電経路用導電部材において、前記エラストマー部は、熱伝導率が0.8W/(m・K)以上とされた熱伝導性エラストマー材料からなることを特徴とする。
【0020】
このように構成された給電経路用導電部材によれば、接触箇所において発熱があった場合でも、その熱がエラストマー部を介して外部へと伝わることになる。したがって、比較的大電流が流れるような給電経路で、接触箇所においていくらか発熱が予想される場合には、上記のような構成を採用することにより、発生した熱をエラストマー部の外部へと逃がすことができる。
【0021】
請求項6に記載の給電経路用導電部材は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の給電経路用導電部材において、前記エラストマー部は、電気絶縁性材料からなることを特徴とする。
【0022】
このように構成された給電経路用導電部材によれば、エラストマー部が電気絶縁性材料で形成されているので、エラストマー部に電流が流れてしまうことはない。したがって、比較的大電流が流れるような給電経路で、エラストマー部に電流が流れると発熱する原因となることが予想される場合には、上記のような構成を採用することにより、エラストマー部における発熱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は第一実施形態の給電経路用導電部材の上面側、正面側、及び右側面側が見える斜視図、(b)は第一実施形態の給電経路用導電部材の下面側、正面側、及び右側面側が見える斜視図、(c)は第一実施形態の給電経路用導電部材が備える金属部の斜視図。
【図2】(a)は第一実施形態の給電経路用導電部材を示す平面図、(b)は第一実施形態の給電経路用導電部材を示す正面図、(c)は第一実施形態の給電経路用導電部材を示す右側面図、(d)は第一実施形態の給電経路用導電部材を示す平面図、(e)は第一実施形態の給電経路用導電部材を示す正面図、(f)は第一実施形態の給電経路用導電部材を示す右側面図。
【図3】第一実施形態の給電経路用導電部材の組み付け方法を示す説明図。
【図4】(a)は図2(b)にA−A線で示した切断位置における給電経路用導電部材の断面図、(b)は給電経路用導電部材が二部材間に挟み込まれる前の状態を示す説明図、(c)は給電経路用導電部材が二部材間に挟み込まれた後の状態を示す説明図。
【図5】(a)は第二実施形態の給電経路用導電部材の上面側、正面側、及び右側面側が見える斜視図、(b)は第二実施形態の給電経路用導電部材の下面側、正面側、及び右側面側が見える斜視図、(c)は第二実施形態の給電経路用導電部材が備える金属部の斜視図。
【図6】(a)は第二実施形態の給電経路用導電部材を示す平面図、(b)は第二実施形態の給電経路用導電部材を示す正面図、(c)は第二実施形態の給電経路用導電部材を示す右側面図、(d)は第二実施形態の給電経路用導電部材を示す平面図、(e)は第二実施形態の給電経路用導電部材を示す正面図、(f)は第二実施形態の給電経路用導電部材を示す右側面図。
【図7】(a)は第三実施形態の給電経路用導電部材の上面側、正面側、及び右側面側が見える斜視図、(b)は第三実施形態の給電経路用導電部材の下面側、正面側、及び右側面側が見える斜視図、(c)は第三実施形態の給電経路用導電部材が備える金属部の斜視図。
【図8】(a)は第三実施形態の給電経路用導電部材を示す平面図、(b)は第三実施形態の給電経路用導電部材を示す正面図、(c)は第三実施形態の給電経路用導電部材を示す右側面図、(d)は第三実施形態の給電経路用導電部材を示す平面図、(e)は第三実施形態の給電経路用導電部材を示す正面図、(f)は第三実施形態の給電経路用導電部材を示す右側面図。
【図9】(a)は第四実施形態の給電経路用導電部材を示す平面図、(b)は第四実施形態の給電経路用導電部材を示す正面図、(c)は第四実施形態の給電経路用導電部材を示す右側面図、(d)は第四実施形態の給電経路用導電部材を示す平面図、(e)は第四実施形態の給電経路用導電部材を示す正面図、(f)は第四実施形態の給電経路用導電部材を示す右側面図。
【図10】(a)は第五実施形態の給電経路用導電部材が備える金属部の斜視図、(b)は第五実施形態の給電経路用導電部材を示す平面図、(c)は第五実施形態の給電経路用導電部材を示す正面図、(d)は第五実施形態の給電経路用導電部材を示す右側面図。
【図11】(a)は第六実施形態の給電経路用導電部材が備える金属部の斜視図、(b)は第六実施形態の給電経路用導電部材を示す平面図、(c)は第六実施形態の給電経路用導電部材を示す正面図、(d)は第六実施形態の給電経路用導電部材を示す右側面図。
【図12】(a)は第七実施形態の給電経路用導電部材が備える金属部の斜視図、(b)は第七実施形態の給電経路用導電部材を示す平面図、(c)は第七実施形態の給電経路用導電部材を示す正面図、(d)は第七実施形態の給電経路用導電部材を示す右側面図。
【図13】(a)は第八実施形態の給電経路用導電部材が備える金属部の斜視図、(b)は第八実施形態の給電経路用導電部材を示す平面図、(c)は第八実施形態の給電経路用導電部材を示す正面図、(d)は第八実施形態の給電経路用導電部材を示す右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について、いくつかの例を挙げて説明する。
[第一実施形態]
図1及び図2に示す給電経路用導電部材1は、金属材料で形成された金属部3と、エラストマー材料で形成されたエラストマー部5とを備えている。
【0025】
金属部3は、プレス加工によって打ち抜き及び曲折加工が施された銅系合金製の板金部品で、この金属部3には、基部11と、基部11よりも上方へと曲折された4つの板ばね状の接点13A〜13Dと、基部11よりも下方へと曲折された4つの板ばね状の接点13E〜13Hと、二つの貫通孔15が形成されている。
【0026】
なお、ここでいう上方及び下方は、給電経路用導電部材1が備える各部の相対的な位置関係を簡潔に説明するために使用する表現であり、給電経路用導電部材1の使用状態において接点13A〜13Hの上下関係を維持すべきことを意味するものではない。
【0027】
エラストマー部5は、熱伝導性が高くて(熱伝導率が0.8W/(m・K)以上で)タック性のあるエラストマー材料(本実施形態ではシリコーンゴムをマトリクスとして、熱伝導性フィラーであるアルミナを配合した組成物。)によって形成された部材で、金属部3が有する接点13A〜13Hの先端部分を外部に露出させた状態で、金属部3が埋設された状態になっている。
【0028】
エラストマー部5の上面及び下面には、それぞれ4つずつ凹部17A〜17Hが形成されており、接点13A〜13Hの先端部分は、凹部17A〜17H内においてエラストマー部5の外部に露出する状態になっている。また、このエラストマー部5にも二つの貫通孔19が形成され、この貫通孔19は、金属部3の貫通孔15と同軸・同径とされている。
【0029】
以上のように構成された給電経路用導電部材1は、例えば、図3に示すように、給電経路を構成するバスバー21,22の間に介装されて、ボルト23によってバスバー21,22とともに固定される。
【0030】
金属部3が有する接点13A〜13Hは、いくつかを図4(a)に例示するとおり、半数がバスバー21に接触する位置にあり、残る半数がバスバー22に接触する位置にある。ただし、給電経路用導電部材1がバスバー21とバスバー22の間に挟み込まれると、図4(b)に例示するような圧縮前の形態から、弾性変形することにより、図4(c)に例示するような圧縮後の形態になる。
【0031】
その結果、接点13A〜13Hは、バスバー21,22のいずれかに圧接する状態となり、また、エラストマー部5は、接点13A〜13Hの周囲において、バスバー21,22に密着する状態となる。このような状態になると、バスバー21,22それぞれと接点13A〜13Hとの接触箇所は、外部空間から隔離された状態になる。
【0032】
そのため、上記接触箇所は外気から遮断されることになり、接触箇所における金属表面の酸化を抑制することができる。したがって、経年変化で接触箇所の抵抗値が上昇するのを抑制でき、そのような抵抗値の上昇に伴う発熱も抑制することができる。また、接触箇所への湿気の侵入を抑制できるので、異種金属が接触する状態となる場合でも、ガルバニック腐食の発生を抑制することができる。
【0033】
また、このような給電経路用導電部材1をバスバー21とバスバー22の間に介装すれば、バスバー21とバスバー22を直接溶接しなくても、上述のとおり接続箇所の信頼性を向上させることができ、組み立て後の分解や部品交換なども容易となり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0034】
また、給電経路用導電部材1がバスバー21,22間で圧縮される際、接点13A〜13Hはバスバー21,22の表面を擦りながら変形する。そのため、仮にバスバー21,22の表面に酸化被膜が形成されていたとしても、そのような酸化被膜は、接点13A〜13Hによって擦り落とされ、これにより、接触箇所の抵抗値を低下させることができる。
【0035】
また、このような手法で酸化被膜を擦り落とすと、金属酸化物や金属そのものを主成分とする金属カスが発生することがあるが、そのような金属カスは、バスバー21,22の表面に密着するエラストマー部5により、外部へ飛散しないように封止される。したがって、飛散した金属カスが他の電気回路に悪影響を及ぼすことはなく、飛散した金属カスによって周辺を汚損することもない。
【0036】
さらに、給電経路用導電部材1がバスバー21上に設置された際、エラストマー部5は、タック性のある表面でバスバー21に軽く粘着して滑り止めとして機能する。したがって、バスバー21上で給電経路用導電部材1を位置決めした後、給電経路用導電部材1をボルト23で完全に固定するまでに、給電経路用導電部材1の位置ずれが発生するのを抑制でき、作業性を向上させることができる。
【0037】
加えて、この給電経路用導電部材1では、エラストマー部5が熱伝導性の高いエラストマー材料で形成されているので、接点13A〜13Hとバスバー21,22との接触箇所において発熱があった場合でも、その熱がエラストマー部5を介して外部へと伝わりやすくなっている。したがって、この給電経路用導電部材1を、比較的大電流が流れるような給電経路において採用したとしても、接点13A〜13Hの接触箇所において発生した熱を、エラストマー部5の外部へと逃がすことができる。
【0038】
また、この給電経路用導電部材1において、エラストマー部5は電気絶縁性材料で形成されており、エラストマー部5に電流が流れてしまうことはないので、エラストマー部5における発熱を防止することができる。
【0039】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
図5及び図6に示す給電経路用導電部材31は、金属材料で形成された金属部33と、エラストマー材料で形成されたエラストマー部35とを備えている。
【0040】
金属部33は、第一実施形態と同様の素材からなる板金部品で、この金属部33には、基部41と、基部41よりも上方へと曲折された4つの接点43A〜43Dと、基部41よりも下方へと曲折された4つの接点43E〜43Hが形成されている。
【0041】
エラストマー部35は、第一実施形態と同様のエラストマー材料によって形成された部材で、金属部33が有する接点43A〜43Hの先端部分を外部に露出させた状態で、金属部33が埋設された状態になっている。
【0042】
エラストマー部35の上面及び下面には、それぞれ4つずつ凹部47A〜47Hが形成されており、接点43A〜43Hの先端部分は、凹部47A〜47H内においてエラストマー部35の外部に露出する状態になっている。
【0043】
以上のように構成された給電経路用導電部材31も、第一実施形態のものと同様、給電経路を構成する二部材間に介装されて、一方の部材から他方の部材への給電経路を形成することができ、その際、第一実施形態のものと同様の作用・効果を奏する。
【0044】
また、この給電経路用導電部材31の場合、接点43A〜43Hの形状が第一実施形態とは異なり、接点43A〜43Hの曲折箇所に幅の狭い部分を形成してあるので、接点43A〜43Hのばね特性が第一実施形態とは変化し、他の部材に追従して曲がりやすい特性になる。
【0045】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について説明する。
図7及び図8に示す給電経路用導電部材51は、金属材料で形成された金属部53と、エラストマー材料で形成されたエラストマー部55とを備えている。
【0046】
金属部53は、第一実施形態と同様の素材からなる板金部品で、この金属部53には、基部61と、基部61よりも上方へと曲折された4つの接点63A〜63Dと、基部61よりも下方へと曲折された4つの接点63E〜63Hが形成されている。
【0047】
エラストマー部55は、第一実施形態と同様のエラストマー材料によって形成された部材で、金属部53が有する接点63A〜63Hの先端部分を外部に露出させた状態で、金属部53が埋設された状態になっている。
【0048】
エラストマー部55の上面及び下面には、それぞれ4つずつ凹部67A〜67Hが形成されており、接点63A〜63Hの先端部分は、凹部67A〜67H内においてエラストマー部55の外部に露出する状態になっている。
【0049】
以上のように構成された給電経路用導電部材51も、第一実施形態のものと同様、給電経路を構成する二部材間に介装されて、一方の部材から他方の部材への給電経路を形成することができ、その際、第一実施形態のものと同様の作用・効果を奏する。
【0050】
また、この給電経路用導電部材51の場合、接点63A〜63Hの形状が第一,第二実施形態とは異なるので、接点63A〜63Hのばね特性が他の実施形態とは異なるものとなる。
【0051】
[第四実施形態]
次に、第四実施形態について説明する。
図9に示す給電経路用導電部材71は、金属材料で形成された金属部73と、エラストマー材料で形成されたエラストマー部75とを備えている。
【0052】
金属部73は、第一実施形態とは異なり、軸方向に垂直な断面形状が楕円形になっている螺旋状(スパイラル状)の金属体によって構成されている。
エラストマー部75は、第一実施形態と同様のエラストマー材料によって形成された部材で、金属部73の一部を外部に露出させた状態で、金属部73が埋設された状態になっている。
【0053】
以上のように構成された給電経路用導電部材71も、第一実施形態のものと同様、給電経路を構成する二部材間に介装されて、一方の部材から他方の部材への給電経路を形成することができ、その際、第一実施形態のものと同様の作用・効果を奏する。
【0054】
また、この給電経路用導電部材71の場合、金属部73の形状が他の実施形態とは異なるので、金属部73のばね特性が他の実施形態とは異なるものとなる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
【0055】
例えば、上記第一実施形態〜第三実施形態では、上下4つずつ、合計で8つの接点を有する事例について説明したが、接点の数は任意であり、例えば、図10に示す金属部81のように、上下2つずつ、合計で4つの接点83A〜83Dを有する構造としてもよい。
【0056】
また、各接点それぞれを上下いずれの方向へ延出するか、また、前後方向、左右方向についても、いずれを基端位置としていずれの方向へ延出するかは任意である。
例えば、図10に示す金属部81は、図10(c)で正面側となる接点83A,83Bが上方へ延出し、図10(c)で背面側となる接点83C,83Dが下方へ延出する形態となっているが、図11に示す金属部85のように、図11(b)で左方にある接点87A,87Bが上方へ延出し、図11(b)で右方にある接点87C,87Dが下方へ延出する形態、とされていてもよい。
【0057】
また、例えば、図11に示す金属部85は、接点87A〜87Dがすべて正面側を基端として先端部が背面側へと延出する形態になっているが、図12に示す金属部91のように、図12(b)で左方にある接点93A,93Bは、正面側を基端として先端部が背面側へと延出する形態、図12(b)で右方にある接点93C,93Dは、背面側を基端として先端部が正面側へと延出する形態、とされていてもよい。
【0058】
さらに、例えば、図13に示す金属部95のように、図13(b)で対角位置にある接点97A,97Bが、上方へ延出し、且つ正面側を基端として先端部が背面側へと延出する形態、図13(b)で別の対角位置にある接点97C,97Dが、下方へ延出し、且つ背面側を基端として先端部が正面側へと延出する形態、とされていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1,31,51,71・・・給電経路用導電部材、3,33,53,73,81,85,91,95・・・金属部、5,35,55,75・・・エラストマー部、11,41,61・・・基部、13A〜13H,43A〜43H,63A〜63H,83A〜83D,87A〜87D,93A〜93D,97A〜97D・・・接点、15,19・・・貫通孔、17A〜17H,47A〜47H,67A〜67H・・・凹部、21,22・・・バスバー、23・・・ボルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電経路上流側にある第一の部材と給電経路下流側にある第二の部材との間に介装されて、前記第一の部材から前記第二の部材への給電経路を形成する給電経路用導電部材であって、
金属材料からなり、前記第一の部材と前記第二の部材の間に挟み込まれた際に、前記第一の部材に接触する状態となる少なくとも一つの接点と、前記第二の部材に接触する状態となる少なくとも一つの接点とを有する金属部と、
エラストマー材料からなり、前記金属部が有する前記接点を外部に露出させた状態で前記金属部が埋設されており、前記第一の部材と前記第二の部材の間に挟み込まれた際には、前記接点の周囲において前記第一の部材及び前記第二の部材に密着することにより、前記第一の部材及び前記第二の部材それぞれと前記接点との接触箇所を外部空間から隔離する状態になるエラストマー部と
を備えたことを特徴とする給電経路用導電部材。
【請求項2】
前記金属部は、前記第一の部材と前記第二の部材の間に挟み込まれる際に、前記第一の部材及び前記第二の部材それぞれの表面を擦りながら変形する
ことを特徴とする請求項1に記載の給電経路用導電部材。
【請求項3】
前記エラストマー部は、前記第一の部材又は前記第二の部材上に設置された際に、当該設置箇所に対して前記金属部よりも摩擦抵抗の大きい面で接触する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給電経路用導電部材。
【請求項4】
前記摩擦抵抗の大きい面が、タック性を有する面とされている
ことを特徴とする請求項3に記載の給電経路用導電部材。
【請求項5】
前記エラストマー部は、熱伝導率が0.8W/(m・K)以上とされた熱伝導性エラストマー材料からなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の給電経路用導電部材。
【請求項6】
前記エラストマー部は、電気絶縁性材料からなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の給電経路用導電部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−105462(P2012−105462A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252097(P2010−252097)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【Fターム(参考)】