説明

統合された生物分析及びサンプル調製システム

本発明は、ビルトインサンプル調製能力を組み込む統合された生物分析システムに関連する。本発明の一つの観点において、生物分析装置には、PCRに基づく(又はサーマルサイクルブロック/モジュール)に基づくビルトインサンプル調製デバイスが提供されている。本発明の1つの実施態様において、サンプル調製デバイス中のペルチェユニットが、マルチウェルトレーにおいて支持されたサンプルのサーマルサイクルを提供し、それはサーマルサイクル型に基づくサンプル調製装置(生物分子反応)を含んで成りうる。本発明の他の観点において、PCR装置にはビルイトン分析装置、例えばCE装置をPCR(生物分子反応)方法の結果を評価するために含んで成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
この出願は、2003年10月24日に提出された米国仮出願特許第60/514,381号に基づく優先権を主張する。この仮特許出願は、本明細書中、参照によって完全に組込まれている。本願は、2002年1月28日に提出された名称「Multi-Channel Bio-Separation Cartride」の米国特許出願第10/059,993号;及び2002年1月28日に提出された名称「Optical Detection In A Multi-Channel Bio-Separation System」の米国特許出願第10/060,052号;及び2002年12月13日に提出された名称「Optical Detection Alignment Coupling Apparatus」の米国特許出願第10/319,803号;及び2003年12月15日に提出された名称「Optical Detection Alignment Cocepling Apparatus」;及び2004年4月12日に提出された名称「Multi-Conpillany Electrophoresis Cartridge Interface Mechanism」の継続であり、当該発明の譲受人である、Bio Cal Technology Inc.に与えられており、そしてそれは本明細書中に全体を参考文献として組み込まれている。
【0002】
上記出願、全ての他の出願、文書及び参考文献は全て本明細書中で開示されていれば、参照によって完全に組込まれている。
本発明は生物分析に関連し、そして一層詳細にはサンプル調製プロセスを統合する生物分析システムに、そして一層詳細にはサンプル調整プロセスを統合するマルチチャネル生物分析システムに関連する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
生物分析、例えばDNA分析などは、精度ついての純粋な科学的探究から、証明された高い信頼性をもって日常的な手順へと急速に移り変わっている。医療研究者、薬理学者、及び法医学調査団らは全て彼らの仕事を遂行するのにDNA分析を用いる。しかし、DNA試料を検出及び測定する装置が複雑であり、そして試料を調製するのが困難である為に、既存のDNA分析手順は往々にして時間がかかり且つ高価である。従って、装置の大きさを縮小し、部品の数を減らし、そしてコストを下げ、作業中の試料の扱いを簡単にし、そして一般に、簡素化された、低コストで、高感度の検出器を備える装置であることが望ましい。
【0004】
あるタイプのDNA分析装置は、電気泳動に依存することによってDNA分子を分離する。電気泳動技術を用いて、ヒトの同一性試験、発現解析、病原体検出、変異原検出及び薬理学的研究などゲノタイピングの用途の為に、DNAの断片を分離することが出来うる。用語、電気泳動とは、電場の影響を受けて電荷を帯びた分子が移動することを意味する。電気泳動を用いて、等しい電荷/質量の比を持つが質量が異なる分子を分離することができる。かかる分子の例はDNA断片である。
【0005】
DNA試料を分析する為に電気泳動を使用する、商業的に入手可能な様々な器械がある。かかる1つの例は、キャピラリー電気泳動(CE)装置である。緩衝溶液を担持するフューズドシリカキャピラリーカラム中で電気泳動を適用することによって、要求される試料の大きさは有意に小さくなり、そして分離の速度及び解像度を、スラブゲル電気泳動法に比べて何倍にも向上させることができうる。これらDNA断片は、CEにおいて往々にして、蛍光物質で標識された試料から分離した成分に、キャピラリーの壁を通して光を当て、そして入射光によって誘起される蛍光の放射を検出することによって検出される。放射の強度が試料の成分の濃度、量及び/又はサイズを表す。
【0006】
従来、CE装置は、他の装置により最初に調製され、当該CE装置のサンプルトレイ上に置かれる産物と共に働くように設計されている。手動及び/又は自動手順を伴ういくつかのサンプル調製手順が伴っても良い。詳細な装置及びシステムは、当該CE装置による分離に適したサンプルを生産するために、抽出、精製、増幅、安定化などの段階を伴うサンプル調製のみを扱うように設計されている。例えば、DNAサンプルは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)方法によって、微量のDNAサンプルから十分な量のサンプルを増幅するために調製されて良い。PCR法の産物は、PCR法の結果の完全性又は状態を評価するためにCE法に委ねられて良い。個別に調製したサンプルからCE分離/分析装置への移動には、有意な手動介在物質が必要となり、それは、全体スループットに影響を与える。
【0007】
ユーザーによるサンプル調製及び分離/分析の間の干渉を避けるために、ビルトインサンプル調製法キャピラリーなど完全に統合された生物分析システムを開発することが望ましい。
【発明の開示】
【0008】
発明の概要
本発明は、ビルトインサンプル調製法キャピラリーを備えた、統合された生物分析システムを提供する。本発明の1つの観点において、ビルトインサンプル調製デバイスが備えられた生物分析装置が提供されている。1つの実施態様において、サンプル調製法には、生物分子反応法が含まれる。特定の実施態様において、生物分子反応法は、PCRに基づいている。本発明の更なる実施態様において、サンプル調製装置中のペルチェユニットが、マルチウェルトレイにおいて支持されたサンプルのサーマルサイクルを提供する。
【0009】
本発明の他の観点において、CE装置は、ビルトインサンプル調製能力を備えており、それは、生物分子反応法、例えば、PCRに基づくサンプル調製デバイスを含んで成りうる。
【0010】
本発明の他の観点において、生物分子反応システムが、修飾された生物分子サンプルでありうる反応産物の結果を評価するために、ビルトイン分析デバイスの例えばCEデバイスを備え提供されている。特定の実施態様において、生物分子反応システムは、サンプルをPCRに基づいて調製する。本発明の更なる実施態様において、熱サイクルユニットがサンプル調製デバイス中に提供されている。PCRデバイスによって調製されたサンプルは、他のシステムの他の分析のために使用されて良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の詳細な説明
本発明は、下の図を参照することにより様々な実施態様を参照して記載されている。本発明は、本発明の目的を達成するための最良の形態の観点から記載されている一方で、当業者には、変更が、本発明の精神又は範囲を逸脱することなく達成されて良いことが理解されるだろう。
【0012】
本発明は、サンプル調製を伴う統合された生物分析システムを提供する。本発明の1つの観点において、生物分析装置が、ビルトインサンプル調製デバイスを伴い提供されている。1つの実施態様において、サンプル調製法は、生物分子反応法を含む。特定の実施態様において、生物分子反応法はPCRに基づいている。本発明の他の観点において、CE装置には、ビルトインサンプル調製能力が備えられており、それは、生物分子反応法、例えば、PCRに基づくサンプル調製デバイスを含んで成りうる。本発明の他の観点において、生物分子反応システムは、ビルトイン分析デバイスの例えば、CEデバイスを、修飾された生物分子サンプルでありうる反応産物の結果を評価するために提供されている。特定の実施態様において、生物分子反応システムは、サンプルをPCRに基づき調製する。本発明の更なる実施態様において、サーマルサイクルユニットがサンプル調製デバイス中に提供されている。PCRデバイスによって調製されたサンプルは、他のシステムにおける他の分析のために使用されうる。
【0013】
本発明の原理を説明する目的のためであり且つ限定する意図はなく、本発明は、CE分析及びPCRサンプル調製に向けられた実施態様を参照にすることによって記載されている。例示となる実施態様において、本発明は、遺伝子分析のための自動化マルチチャネルCEシステムにおけるPCRサンプル調製の完全に統合されたシステムを提供する。
【0014】
本発明の譲受人Biocal Technology,hic.は、CEに基づく自動化装置(HDA-GT12 DNA Analyzer System)を開発した。本発明の自動化装置の例示となる実施態様は、BiocalのCE装置に基づいており、それは、高感度且つ正確な生物試薬検出(遺伝子分析)システムを形成するために、低コスト且つ感受性光学検出技術、即ち、リアルタイム蛍光分析のための統合された試薬カートリッジ及びミクロ流体電気泳動原理を組み込む。このシステムは、ハイスループット、簡単な使用、ポータブル、安価、非常なロバスト性及びフィールド操作/用途のために設計されている。
【0015】
カートリッジは、装置によって支えられるように設計されており、そして全ての本質的カートリッジエレメントは、装置中で並べられて支持エレメントへ結合させられている。カートリッジはカートリッジ中のキャピラリー分離チャネルに対して移動しうるサンプルトレイに対して維持されている。装置は、粗製サンプルからサンプルを調整し、分離及び分析のためのシステムへロードする(全てが装置内で行われる)PCRに基づくステーションの提供を伴う改良がなされており、それにより、一度自動化装置中へ粗製サンプル(例えば、抽出DNA)がロードされた場合には、サンプル調製(DNA増幅/PCR)、分離及び分析の方法全体に渡り、ユーザーによる更なる干渉が最小化される。
【0016】
本発明の背景において、粗製サンプル(例えば、抽出DNA)は、介在物質状態又はフィールドで採取されるサンプル形態であって良くそれらは、自動化システムにおけるサンプル調製ステーションへロードされる前に、事前予備調製法に委ねられて良い。本発明の背景において、粗製サンプルは、自動化装置において有意なサンプル調製法(例えば、PCR)(それは、単に粗製サンプルを希釈するのではなく、サンプルを有意に異なるそして/もしくは修飾された形態及び/もしくは状態にする)、又は単に粗製サンプルを後に続く方法での取り扱いを容易にする他の方法に委ねられる。例えば、粗製サンプルは、サンプル調製デバイスにおける生物分子反応法に委ねられる。図6は、本明細書中に記載の様々な方法段階の関係を説明するブロック線図である。後に続く分離及び/又は分析法を参照し、サンプル調製デバイスによって調製された生成サンプルは、後に続く分離及び/又は分析法に委ねられ、そしてそれが分離及び/又は分析に委ねられる。粗製サンプルは、サンプル調製デバイスにインプットされるサンプルであり、それは、当該サンプル調製デバイスによる処理に委ねられるサンプルである。粗製サンプルは、一次処理前の産物であって良い。
【0017】
例えば、フィールドで採取した生物サンプルの例えば、対象者の尿又は血液について、それは対象者の代表的なDNAサンプルを獲得するために、限定されないが、抽出及び精製などの一次処理に委ねられる。かかる抽出されたDNA断片は、必要な化学物質(例えば、プライマー、ポリメラーゼなど)を伴って、本発明の統合システム200(下記)、一層詳細には、PCR増幅などのためのサンプル調製デバイスにロードされる「粗製サンプル」である。PCR法のアウトプットは、後に続く分離及び/又は分析のためのサンプルである。
【0018】
CEシステムの概観
システムは、40lbs以下の重さのフィールドロバスト性のために設計及び構築されている。このポータブルシステムはまた、ビルトインモジュラー及び統合されたPCRサーモサイクラー(ペルチェクーラーデバイスを伴う)をDNA増幅のために組み込む。
【0019】
図1は、本発明の実施態様に従うキャピラリー電気泳動(CE)システム200の概略図である。CEシステム200は一般的に、キャピラリー分離カラム22(例えば、200〜500μm O.D.)を含んで成り、それは分離チャネル36(例えば、25〜200μm I.D.)を規定する。キャピラリーカラム22は、溶融石英、ガラス、ポリアミド、又は他のプラスティック/セラミック/ガラス物質からなる。分離カラム22の内壁(即ち、分離チャネル36の壁)は、サンプル成分の電気泳動及び/又は動電学的移動を促すために静電荷を構築することができる物質でコーティングされて良い。分離チャネル36は分離支持媒体で満たされており、それは単にランニングバッファーである、又は当業界で公知のシービングゲルマトリクスでありうる。放射性誘導蛍光検出のために、ゲルマトリクスは、公知のフルオロフォア、例えば、エチジュウムブロミドを含む。
【0020】
キャピラリーカラム22の末端の一は、ランニングバッファー/ゲル34のリザーバー28に沈んでいる。キャピラリーカラム22の他の末端は、サンプルバイアル26に連結されている。他の実施態様に示される検出構成は、CEシステム200に類似するシステムで同等に行われて良いことが理解されるだろう。そしてまた、分離チャネル36は、1つのストレートキャピラリー又はマイクロチャネル(検出ゾーンである出口末端におけるゲルリザーバーに最も近い検出窓のセクションを伴う)であって良く、それは現在我々の発明の好適な態様である。放射線検出器24は、検出ゾーン30におけるキャピラリー壁の透明部位の外側に位置する。励起ファイバー16は、放射線源18(例えば、LED又はレーザー)から延び且つカラムの壁の外側の検出ゾーン30に向けられている。カートリッジアセンブリの一部である電極12及び14は、バッファーリザーバー26及びゲルリザーバー28へ連結され電気泳動路を完了させる。
【0021】
本発明によれば、システム200は、サンプル調製デバイス250を伴う。図2で示された実施態様は、PCRによるDNA増幅のための適切なサンプル調製デバイスを示す。特に、サンプル調製デバイス250は、PCRのためのサーマルサイクラー(必要な加熱及び冷却条件を起こす加熱/冷却エレメント及びコントローラーを含んで成る)を含んで成る。フィールド(土、空気及び水)から抽出された生物分子/DNAサンプルは、必要な化学物質及び/又はプロトコールを伴いマイクロタイタープレート72にロードされ、そして増幅され(例えば、サンプル調製デバイスの生物分子反応法において)、キャピラリー電気泳動中の検出が容易になる。PCR法が完了した後、マイクロタイタープレート72は、キャピラリーカラム140の下へ移動させられそしてカートリッジ100を、キャピラリーカラム140に対して垂直に移動させてマイクロタイタープレート72のウェルへのアクセスを可能にする。次いで、増幅されたDNAサンプル(PCR産物)は自動操作され、そして分子の分離及び蛍光検出のために、カートリッジのマイクロチャネルを通じて動電学的注入によって導入される。
【0022】
CE分離及び分析の概観
操作に際し、フィールドから採取された粗製サンプルが調製され(例えば、DNAが抽出、精製されてPCRによって増幅される)CEに適したサンプルにされる。例えば、サンプル調製デバイス250(即ち、図示された実施態様におけるDNA増幅デバイス)によって調製されたサンプルバイアル26中の調製された生物サンプル(例えば、DNAサンプル)は、多くの方法(例えば、サンプルリザーバーからの電動学的注入)によって、検出ゾーン30から離れたキャピラリーカラム22の遠位末端へ導入される。サンプルは、キャピラリーカラム22中で支持されたゲルマトリクス中のフルオロフォアへ結合する。
【0023】
DC電位(例えば、1〜30KV)が電極12と14の間に適用された場合、サンプルは、分離チャネル36に沿って移動し(例えば、負に帯電したDNAは、図1に示すように、統合された色素マトリクス/フルオロフォアを伴うシービングゲルを正電極に向かって移動する)、そしてサンプル成分(DNA断片)のバンドへと分離する。分離チャネル36に沿って移動した分離の程度と距離は、多くの因子、例えば、サンプル成分の移動分離性、サンプル成分の質量及びサイズ又は長さ、並びに分離支持媒体に依存する。サンプルを分離するための分離チャネル36における駆動力は、静電気力、圧力、又は電気浸透流(EOF)手段でありうる。
【0024】
サンプルが検出ゾーンに到達すると、励起放射線が検出ゾーンにおいて励起ファイバー16を介して向けられる。各サンプル成分は各々のサンプル成分の濃度に比例する(蛍光標識物質の量に比例する)強度の蛍光を発する。検出器24は、入射放射線とは異なる波長において放射された蛍光の強度を検出する。この検出された放射線は公知の方法によって分析されて良い。自動化システムのために、コントローラー32は、CEシステム200の動作をコントロールする。
【0025】
PCRの概観
PCRの目的とは、遺伝子のコピーを非常に多く調製することである。これは、CEによるDNA断片分析のための十分な出発鋳型を有するために必須である。以下は、PCRサーマルサイクル反応の簡潔な説明である。
【0026】
1.サイクル反応:
30又は40サイクルに渡り繰り返される、PCRにおける主要な3つの段階がある。これは、自動化サイクラー上で行われ、それは、非常に短い時間で、反応混合物を有するサンプルバイアルを加熱及び冷却することができる。以下に記載のように、ペルチェクーラー/ヒーター型のメカニズムがDNA増幅及び分析の完全溶液のためのマルチチャネルキャピラリー電気泳動装置のX-Y輸送メカニズムの輸送カートリッジフレームの一部として統合されて良い。PCRによるDNA増幅は、当業者に周知である。プロトコールと化学物質(例えば、プライマー、ポリメラーゼなど)の詳細は、本明細書中では割合する。更なる参考は、当業界において十分な裏付けをされた任意の刊行物により成されて良い。PCRの一つの実施態様に従えば、3つの主要なPCRにおいて以下の3つの主要な段階が含まれる。
【0027】
1. 94℃における変性:
変性の間、二本鎖が融解して開いて一本鎖DNAになり、全ての酵素反応が止まる(例えば:先のサイクルからの延長)。
【0028】
2. 54℃におけるアニーリング:
プライマーは、ブラウン運動によってあちこちへ動くようになる。イオン結合が定常的に形成され、そして一本鎖プライマーと一本鎖鋳型の間で破壊される。一層安定な結合がほんの僅かより長く続き(正確にかみ合うプライマー)そしてほとんどない二本鎖DNA(鋳型及びプライマー)の一部で続き、ポリメラーゼが結合して鋳型をコピーし始めることができる。一度僅かに数塩基が組込まれると、イオン結合は、鋳型とプライマーの間で非常に強く、もはや破壊されることはない。
【0029】
3. 72℃での伸長:
これは、ポリメラーゼのための理想的な有効温度である。プライマーは、僅かに数塩基が組み込まれる場合、鋳型に対して、より強い引力を、この引力を破壊する力よりも強く有する。正確にマッチしない位置にあるプライマーは、再度緩んで(より高い温度が理由で)断片の伸長を生じない。塩基(鋳型に相補的)は、3'側でプライマーに結合する(ポリメラーゼがdNTPを5'→3'へ付加し、鋳型を3'→5'側へ読み、塩基が鋳型に相補的に加えられる)。例えば、前進段階は修飾されて良いが、とりもなおさず、PCR又はDNA増幅を供し、本発明の範囲及び精神を逸脱することがない。
【0030】
マルチプルキャピラリーカートリッジに基づくCEシステム
本発明によれば、核酸検出のために、PCR増幅がマイクロ流体電気泳動システムへ統合されている。フィールドから抽出したDNA又はRNAの粗製サンプルは精製され、次いでPCR増幅のための自動化マイクロ流体電気泳動システムにおけるサンプルバイアル(例えば、96-ウェルマイクロタイタープレート)にロード(標準的PCRプレート調製段階を使用する)される。特異的遺伝子マーカーのためのプライマーペアは、PCR分析のために使用されるだろう。更に、本発明によれば、サンプルバイアル中の完成したPCR産物は、高解像度分離及び蛍光検出のための電気動力学的サンプル注射により自動的にマルチチャネルゲルカートリッジに導入される。
【0031】
図2は、CEシステム200(例えば、DNA分析器)の全体透視図を示す。CEシステム200は、本発明の実施態様に従う、インターフェースメカニズム300を組み込む。インターフェースメカニズム300は、本発明の実施態様に従いマルチチャネルカートリッジ100を支持し、それは、マルチチャネル分離カラムの取り扱いを容易にし、そしてCEシステム200の検出光学部に対する検出ゾーンの光学的連結を可能にする。インターフェースメカニズム300の詳細は、本明細書中参照によって全体が組み込まれている米国特許出願第10/823,382号が参照される。完全自動化DNA分析システム200は、基部74(サンプルトレイサポートフレーム81を有するモジュラーX-Zメカニズム80を支持する)を有する。X-Zメカニズム80は、PCRサンプル調製デバイス250(図4及び5を参照に下に詳細が開示されている)(96-ウェルマイクロタイタープレート72、及びバッファープレート70を支持する)をインターフェースメカニズム300によって支持されたマルチキャピラリーカートリッジ100に対して移動させる。詳細に、メカニズム80は、支持フレーム81をカートリッジ100に対してX方向に沿って、移動させるXメカニズム82、及びカートリッジを支持フレーム81に対してZ軸方向に移動させるZメカニズム83を含んで成る。PCRサンプル調製デバイス250は、PCR熱電コントローラー68によってコントロールされる。
【0032】
PCRサンプル調製デバイス
図4及び5を参照すれば、PCRサンプル調製デバイスは、ペルチェ熱電ユニット251などの加熱ユニットを含み、そのユニットはその頂部で、ウェル73の底部を受けるサイズである相補的ウェル255を有するサーマルインターフェース構造252を支持する。ペルチェ熱電気ユニット251は、コントローラー68によりウェル73を加熱又は冷却し、ウェル73中の内容物をPCR法により必要とされるサーマルサイクルに委ねるようにコントロールされて良い。ペルチェ熱電気ユニット251の底において、当該ペルチェ熱電気ユニット251から、ユニットの冷却サイクルサイクルの間及び/又は加熱サイクルの間の過剰な熱を除去するために熱を除去するシンクが設けられている。PCRサンプル調製デバイス250は、輸送メカニズム80の輸送フレーム81上で支持されている。
【0033】
自動化システム200のコントロール
システム200は、マルチチャネル分離カラムの取り扱いを容易にすることを担い、そしてCEシステム200の検出光学部へ検出ゾーンの光学的連結を容易に可能にする。インターフェースメカニズム300を伴う、CEシステム200の操作は、外部ユーザーコントロールインターフェース(例えば、PC918)とインターフェースするコントローラー32によってコントロールされる。PCR熱電コントローラー68は、コントローラー32及び/又はPC918を作用可能式に連結させて良く、従って、PCRサンプル調製デバイス及びシステム200の残りのコントロールが、本明細書中に記載の機能を達成するように同調されて良い。
【0034】
本発明の実施態様に従い、図3にも言及すれば、CEシステム200に関するコントローラー32のブロック線図が図示されている。コントローラー32は、検出器24(例えば、PMT)からの検出シグナル(CPU910からの指令によってCEシステム200のそれぞれの部分から及びシステムを輸送し且つ受け取るためのLEDScan PCBAインターフェース914から来る)を対応するデジタルシグナルに転換するためにCPU910を有するA/Dボード(LEDプロセッサーPCBA)912の一部としてプロセッサーを含んで成る、A/D(LEDプロセッサーPCBA)インターフェース912は、インターフェースメカニズム300中の様々なアクチュエータに連結されており(インターフェースメカニズム300を使用することで)少なくとも高電圧供給源76、圧縮空気78(図2ではインターフェースメカニズム300の視点から隠されている)、モーターコントロール(X-Zサンプル/バッファートレー)80及び連動装置(カートリッジ及び輸送ドア)61及び62(図2ではインターフェースメカニズム300中で示されていない)をコントロール及び連結する。A/D又はLEDプロセッサーPCBA912はまた高電圧供給源76を、サンプル注入及びCEシステム200の電気泳動機能、励起放射線源(例えば、LED)921を調節するための回路914(LEDScanボード)及びCEシステム200の検出器モジュール24をコントロールする。励起放射線源の調節の詳細は、本明細書中参照によって組み込まれている係属中の米国特許出願第10/060,052号を参照のこと。
【0035】
A/D(LEDプロセッサーPCBA)912は、更に外部パーソナルコンピューター918と連結されて良く、それは順番に、データ処理及びCEシステム200のための更なるコントロール機能を、例えば、BioCal's BioCalculatorソフトウェアを使用することで行い、自動化マルチチャネルCEシステム200(例えば、統合されたPCRサンプル調製デバイス)の様々な特徴及び機能をコントロールする。
【0036】
PCRサンプル調製デバイス250は、上記のサーマルサイクル反応のシークエンスを行うためにコントローラー68によってコントロールされている。熱電ユニット251(X-Z輸送メカニズム80によって支持されている)は、96ウェルマイクロタイタープレート72のために設計されている。熱電ユニット251は、サーマルサイクルコントローラーモジュール68(A/D又はマイクロプロセッサーボード912によって直接、コントロールされており、そして図3に示すように、コントロールファームウェアは、RS232ケーブルを介してPC918におけるユーザーインタフェース(BioCalculatorソフトウェア)によってコントロールされている)によってコントロールされ)熱電コントローラー68は、代わりの実施態様において、コントローラー32に組み込まれている。
【0037】
コントローラー32の構成要素は、PC918を除いて、電気ボード64(図2)として及び冷却ファン63、CEシステム200上に載せられ且つ電気的にシリアルポート(示していない)を介してPC918に連結されて良い、又はそれらはCEシステム200の外部の個別のコントローラーモジュールの一部であって良い。CPU210及び/又はPC218は、様々なコントロール機能及び特徴をCEシステム200のために達成するようにプログラムされている。一つの実施態様において、PC218は、CEシステム200のためのユーザーコントロールインターフェース(例えば、インターフェースメカニズム300の連結シークエンスのユーザーによる開始)を提供するように設計されて良い。当業者には、本明細書に記載の機能と特徴のプログラムコードを実行することは範囲内であろう。代わりの実施態様において、コントローラー32又はその構成要素は、PC918の一部として組み込まれて良い。
【0038】
キャピラリーカートリッジ
マルチチャネルキャピラリーカートリッジ200は12の検出ゾーン(図1に30として概略が示されている)を含み、それは、カートリッジ本体で維持されたキャピラリーによって規定されている。カートリッジ100は、ディスポーザブル及び/又はポータブル、交換可能カートリッジアセンブリ100の一部として、サンプルの分離及び検出のために使用されている12チャネル融合ケイ素キャピラリーアレーを含む。図2に示されるカートリッジ100は最大で12本のキャピラリー140(長さ12〜18cm)を含む。カートリッジ100は、全てのキャピラリー140に共通の上部、出口バッファーリザーバー130で統合されており、それはインターフェースメカニズム300によって、モジュラー圧縮ガス源78(例えば、不活性な、互換性の又は非反応性の(例えば、窒素、CO2など)置換可能圧縮ガスのカートリッジ、又は圧力ポンプ)に直接連結されている。適切な圧力管の例えば、配管(tubing)、圧力バブル及びソレノイドコントロールが提供されている。(かかる管の詳細は割合するが、何故なら、それは、本明細書中に記載のシステム200の機能、特徴及び操作を与える管を設計する当業者に周知からであるからだ。)。圧力源78は、全12本のキャピラリーを、リザーバー130に入っているシービングゲルで満たし且つキャピラリーから再充填過程の間に先のランに由来するゲルをパージするために必要なガス圧を供給する。ゲルの粘度に依存して、最大で40PSIの圧力が、ゲル充填リザーバー130を介してキャピラリー140に適用されて良い。カートリッジゲルリザーバー130は、ビルトイン共通陰極134を全12キャピラリーのために備え、それは自動的にインターフェースメカニズム300によって電気泳動のために高電圧供給源76(図2)へ、システム200の内部に設置された場合に連結される。カートリッジ100に隣接する構造に対するファン又はペルチェクーラー(示されていない)は、カートリッジの温度コントロールを担うために提供されていて良い。加えて又は代わりに、カートリッジは、空気循環(装置側からカートリッジへ導入される温度調整された空気)のためにベントホール(入口及び出口)を有する。CE分離の間に生じた熱に依存して、カートリッジは、付随的に冷却特徴を有さず、単に周囲温度に曝されてよい。電源66(図2)は、DC力をCEシステム200へ提供する。
【0039】
カートリッジの更なる詳細は、本明細書中参照によって組み込まれている、係属中の出願10/059,993を参照のこと。
【0040】
検出システム
本明細書中参照によって組み込まれているU.S.特許出願10/060,052は、CEシステム200において適用できうる時間分割/多数検出スキームに一層詳細に関連する。
【0041】
インターフェースメカニズム
CEシステム200のインターフェースメカニズムの構造と操作は、本明細書中参照によって組み込まれている米国特許出願第10/823,382号に言及される。カートリッジインターフェースは、迅速且つ信頼可能インターフェースのディスポーザルゲル含有キャピラリーカートリッジ100への連結を可能にする。これらのインターフェース連結は、ガス圧縮連結、高電圧連結、及び精密光学連結が挙げられる。インターフェースはまた、カートリッジの要素をCEシステム200中の支持エレメントとの関係において、例えば、キャピラリーチップの位置を、96ウェルタイタープレート上で発見される外部サンプル又はバッファーリザーバーとの関係において位置決めするなど、正確且つ反復可能なカートリッジの位置決めを提供する。更に、インターフェースは、各分離チャネルに対する個別の電気的、光学的且つ空気的連結を提供し、従って、電気的及び光学的な両方のクロストークからのチャネル間の独立並びに高電圧からの残りの装置に対する絶縁をはかる。
【0042】
CEシステムの操作
動作に際し、サンプル取扱トレー輸送メカニズム80(96ウェルプレート(8×12)を伴う)72及び70が、増幅したDNAサンプル(又は検体)を各キャピラリー140へ導入するために使用される。X-Z輸送メカニズム80は、マイクロタイタープレート72のサンプル輸送ウェル73の並びをキャピラリーチップ140の並びの下へ導き且つ当該チップが当該ウェルに浸る。電圧を適用することによって、電動注入は、既知量のDNAサンプルを分離カラム140の最初に移動させる。注入後、サンプルトレイ72からのDNAサンプルは、トレー70からのランニングバッファーで置換されて良い。代わりに、注射後、輸送メカニズム80は、バッファー溶液が入っているタイタープレート72のウェル73の12の並びをDNAサンプルが入っている12個のウェルへ置換するためにカートリッジの下の位置へ移動するように導きうる。
【0043】
高電圧をキャピラリー140の全長に渡り適用することによって、DNAサンプルのDNA断片への分離が達成される。断片がキャピラリー140の末端に近づき且つ検出ゾーンへ入るにつれ、励起光エネルギー(例えば、光ファイバーによってデリバリーされる12個のLEDに由来する)が検出ゾーンで検出され、移動するDNA断片が照射される。検出スキームは、係属中の米国特許出願第10/060, 052号に記載のように時間分割態様であって良い。
【0044】
違うサンプルによる次のランの準備をするために、先のランに由来する古いゲルは、リザーバーに圧力をかけることによりパージングされ、キャピラリーは新鮮なゲルで再充填される。トレイ70及び/又は72は、クリーニング溶液、廃棄回収物、及びサンプルを運ぶ。パージングされたゲルは、キャピラリーの先端を、トレイの一つの廃棄物回収ウェルの並びに配置することによってトレイ70及び72の1つによって回収される。キャピラリーの先端は、水で又は洗浄溶液により、洗浄されて良く、それは、キャピラリーの先端を適切なトレイウェル中のかかる溶液に浸すことによる。キャピラリーが次のランのために再充填され且つ準備が整えば、キャピラリーの先端は、トレイ72を再度位置決めすることによってサンプル中に浸される。上記方法のシークエンスは、コントローラー32の自動化機能の一つとしてプログラムされて良い。インターフェースメカニズム300は、CEシステム200中、サポートエレメントのカートリッジへのインターフェース、例えば、上記のように、高電圧、ガス圧、LED放射線源、及び検出光学部位を提供する。常用の方法(個別のPCR機械及び電気泳動(スラブ又はゲルキャピラリー電気泳動)装置を使用する)と比較して、新ポータブル自動化システムは、サンプル調製及び分析(例えば、PCR及び電気泳動)の併合機能を一つの装置として組み込むように設計されている。マルチチャネル及びマルチカラー蛍光検出システムを伴う統合されたPCR装置を含んで成る本発明のポータブルマイクロ流体電気泳動に基づく装置は、より早く且つ低コストで遺伝子型の分析をするために適用するために信頼できる装置である。
【0045】
本発明のシステムは、図2に示すように、ハイスループット生物因子物質(DNA)検出/分析のために設計されたベンチトップシステムであって良い。12チャネル分離/検出カートリッジは、同時に多数のサンプルを分析することができる。統合されたPCRプレートと組み合わされた12チャネル分離/検出カートリッジは、96ウェルサンプルプレート増幅及び電気泳動を予測可能な結果を伴い非常に短時間で完了することができる。システムは、単純で、信頼性があり且つ速い。PCR〜DNA分離への方法全体は、約2時間で完了する。12のPCRサンプルのための分析時間は、数分以内が目標とされている。提案された装置のコストは、現在のマルチチャネルハイエンドキャピラリー電気泳動装よりも10倍少ないだろう。平均して、化学物質のコスト/分析は、従来技術のCEシステムにかかるコストよりも有意に低いと見積もられている。
【0046】
本発明の自動化装置は、直接核酸分子増幅、電気泳動/分離、蛍光検出のための統合されたPCR装置、免疫アッセイのための任意の結合した色素についての改善された検出を伴う、サンプル取扱トレイメカニズムを含む。完全に自動化され且つポータブルなシステムは、一般的なコンピューターによってコントロールされている。検出結果に関するデータ分析は、スポット増幅(PCR)、ピーク同定及び半定量的分析を与えるために自動化されている。この新しく、安価且つハイスループット分析装置により、DNA実験室は、ハイスループット且つ迅速な生物因子同定を、より少ないコスト且つ非常に正確に一つのユニットにおいて行う能力を有するだろう。このシステムの検出能力は、システムの能力は、所定の潜在的生物因子及び病原体を専ら検出するために設計できうることである。
【0047】
本発明の1つの実施態様において、粗製サンプルは、サンプルをゲルカートリッジへ注入する前、間又は後に、様々な温度に委ねられるサーマルサイクラー(熱及び冷サーマルサイクルプロセス)中の96ウェルタイタープレートに導入される。サーマルサイクラーは、生物分子の分離及び分析の前にサンプルを調製する間のいくつかの目的又は機能を有する。1つの機能は生物分子のストレートPCR増幅のためのストレートPCR増幅のための一つの機能及び他の機能は、ゲルキャピラリーカートリッジによる電気泳動の前にサンプルの状態(state/condition)を変化させために、サンプル/生物分子の様々な温度サイクルのための段階であろう(サンプル調製段階)。12チャネルカートリッジは、マイクロディスペンサーとしても機能することができうる。例えば、当業者は、サンプルトレイの最初の位置において(96ウェルプレート上の位置A)電気動力学を適用し、負に帯電したDNAをカートリッジのキャピラリー又はマイクロ-チャネルに注射することができ、そしてシステムがHV供給電極を、96ウェルプレートの位置Bへ行きウェルAからのDNAサンプル(又は生物分子)とウェルB(生物分子反応)からのサンプルを混合するように戻すことができることを理解するだろう。カートリッジは、サンプルディスペンサー(液体ディスペンサー)として機能することができる。ヒートブロックは、任意の生物分子を加熱又は冷却し、そして電気泳動してCEカートリッジによって分析するために使用することができうる。生物分子(即ち、DNA、RNA、タンパク質、抗体及び抗原)は全て、非常に柔軟な態様において予め統合されたサンプル調製及び電気泳動メカニズムにより分析されて良い。例えば、当業者はサンプルを最大90℃で加熱し、次いでそれを80℃又は70℃に下げ、迅速にそれをCEカートリッジ/デバイスにおいて、温度サイクルの前後、DNAとプローブの結合の効果を評価することができる。または、ハイブリダイゼーションのマイクロアレー概念に類似して、当業者は、点変異を洗い流す(wash away)するためにサンプル温度を操作し、そして迅速にそれを定量化するために電気泳動する又は単にサンプルの量を定量的にチェックすることができる。このアプローチ/方法は、定量的実施のための迅速に、検出されたピークの位置をチェックすることを当業者に可能たらしめるだろうし、それは天突然変異型検出において有用である。検出感度の増加は、現在の蛍光検出メカニズム(即ち、LED励起〜レーザー励起)の光学検出システムを、ヒートブロックによるサーマルサイクル(PCR)段階の数をより少なくすることによって電気泳動の間の検出感度をより高くするように改良することによって達成されうる。この熱電モジュールにより、当業者は、より低い温度の組で保存(storage or preservation)する目的のためにPCRされたサンプルを保存することもできる。本発明の方法により、PCR段階は、温度変化により、正確に又は間違って検出された断片(突然変異分析)もしくは一本鎖分析もしくはタンパク質の分析の検出をするために単純化することができうる。サンプル調製のためのサーマルサイクル遮断/方法のこのシステムは、キャピラリーチューブ内部に注入されたサンプルのPCR段階/方法として使用することもできうる。当業者は単純にサンプルを電動力学的にサンプルウェルから注入し、次いで、オイルをその中に有する他のウェルへ行かせ、そしてキャピラリー先端をオイルの先に浸して、マイクロ-チャネル内部の注入されたサンプルの温度サイクルをスタートして(内部キャピラリーPCR)電気泳動させることができうる。サンプル調製のためのサンプルプレートのサーマルサイクル特性(サンプルプレートヒートブロック)と組み合わされたマルチチャネルキャピラリー電気泳動のこのシステムは、生物分子分析の完全且つワンステップ解決のためにマイクロアレー又はリアルタイムPCRに類似する柔軟性を提供するだろう。
【0048】
本発明は、好適な実施態様を参照することにより詳細に示し且つ記載されている一方で、当業者には、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更が行われて良いことも理解されるだろう。
【0049】
サンプル調製ステーションは、PCRではなくCE分析に適した形態においてサンプルを生産するために行われる方法のために設計されて良い。自動化システム200は、CE分離及び分析とは異なる又はそれに加えて他の種類の分析を行うために設計されて良い。例えば、マイクロ流体電気泳動システムと組み合わせたタンパク質又は生物因子検出も使用されて良い。培養物からのタンパク質抽出は免疫アッセイのために使用される。蛍光色素と結合した抗体と抗原の相互作用を介する増幅シグナルは、数分以内の高解像度検出のためのマルチチャネルカートリッジに自動的に適用されて良い。
【0050】
インターフェースメカニズムは、他の構造設計のキャピラリーカートリッジを受け入れるために設計されて良い。当業者は、本発明の本質を組み込む装置は、DNA分析ではない他の生物分子分析のために使用されても良いことを理解できるだろう。例えば、分離ゲル又はバッファーを代えることによって、装置は、タンパク質、炭水化物、及び脂質などの生物分子を分析するために変更されて良い。
【0051】
例示の目的であり且つ限定的ではなく、本発明の検出スキームは、キャピラリー電気泳動及び放射線誘導蛍光検出との関係において記載されている。本発明はまた、電気泳動ではない他の生物分離現象に基づいて分離された検体の検出に適用可能であり、そして蛍光放射ではない他の放射線放射の例えば、他の種類の放射性放射線の例えば、リン光、発光及び化学発光、並びに検出に基づく吸光度の検出のために適用可能であることが理解されるだろう。
【0052】
更に、記載の実施態様における分離チャネルが円筒状カラム又は管によって規定されている一方、本発明の概念は、基材におけるエッチングによって規定されたチャネル、例えばマイクロチャネル(例えば、四角、長方形又は本質的に半円形断面)によって規定された分離チャネル(マイクロ流体型装置又はバイオチップ)に等しく適用できうることが理解できうる。
【0053】
輸送メカニズムは、トレイを水平に動かすように設計されて良く、そして更なる輸送メカニズムは、トレイを当該トレイが垂直にアクセスするように備えられて良い。
【0054】
サンプル調製デバイスからのサンプルのアウトプットは、分析デバイスへの分離に委ねられる必要がないインプットであって良い。
【0055】
従って、開示された発明は、添付の特許請求の範囲においてのみ特定されるように単なる説明及び限定としてのみ考えられている。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明の性質及び利点、並びに好適な使用方法の十分な理解のために、参照は図面を伴い以下の詳細な説明との関係において作成されるべきである。以下の図面において、照会番号は、図面全体を通して類似する部分を意味する。
【図1】本発明の実施態様に従うサンプル調製デバイスを含んで成るキャピラリー電気泳動システムの断面図である。
【図2】本発明の実施態様に従うサンプル調製デバイスを含んで成るキャピラリー電気泳動システムの断面図である。
【図3】本発明の実施態様に従うキャピラリー電気泳動システムのコントロールシステムのブロック線図である。
【図4】サンプル調製デバイスの透視図である。
【図5】図4の線5-5に沿って採ったサンプル調製デバイスの断面図である。
【図6】様々なサンプル処理段階の関係を説明するブロック線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物分析システムであって:
サンプル調製デバイスであって、後の分析のために適切な形態のサンプルへと処理される粗製サンプルを受け入れるサンプル調製デバイス;及び
サンプル分析デバイスであって、分析に委ねられる前記サンプル調製デバイスからのサンプルを受け入れるサンプル分析デバイス、
を含んで成り、
ここで当該サンプル調製デバイス及び当該サンプル分析デバイスは統合された自動化システム内で作用可能式に連結されており、従って当該サンプル分析デバイスからのサンプルアウトプットは、ユーザーの更なる介入を伴わないサンプル調製デバイスへのインプットである生物分析システム。
【請求項2】
前記サンプル分析デバイスが、サンプルを成分へ分離する分離能力を含んで成る、請求項1に記載の生物分析システム。
【請求項3】
前記サンプル分析デバイスが更に、分離した成分の分析を担う検出能力を含んで成る、請求項2に記載の生物分析システム。
【請求項4】
前記サンプル分析デバイスが、分離及び検出能力を提供するキャピラリー電気泳動を含んで成る、請求項3に記載の生物分析システム。
【請求項5】
前記サンプル調製デバイスが、粗製サンプルを生物分子反応に委ねるために構築及び設定がなされている請求項1に記載の生物分析システム。
【請求項6】
前記サンプル調製デバイスが、前記粗製サンプルを、当該粗製サンプルから増幅されるサンプルをアウトプットするために粗製サンプルのサーマルサイクル処理を提供するために構築及び設定されている請求項5に記載の生物分析システム。
【請求項7】
前記サンプル調製デバイスが、前記粗製サンプルの温度を生物分子反応が生じるよう循環させるコントローラーである熱電気ユニットを含んで成る、請求項1に記載の生物分析システム。
【請求項8】
前記サンプル調製デバイスが、生物分子反応におけるPCRによってDNA増幅が生じるように構築及び設定されている、請求項7に記載の生物分析システム。
【請求項9】
前記分析デバイスがキャピラリー電気泳動システムを含んで成る、請求項8に記載の生物分析システム。
【請求項10】
前記キャピラリー電気泳動システムがマルチチャネル分離及び分析を含んで成る、請求項9に記載の生物分析システム。
【請求項11】
前記粗製サンプルがフィールドサンプルから抽出したDNAを含んで成る、請求項10に記載の生物分析システム。
【請求項12】
前記粗製サンプルが前記サンプル調製デバイスにおけるサンプルウェルへロードされ、そして更に、前記キャピラリー電気泳動システムによってアクセス可能であるようにサンプルウェルを配置する統合された輸送メカニズムを含んで成る、請求項9に記載の生物分析システム。
【請求項13】
前記粗製サンプルが前記サンプル調製デバイスへロードされ、そして更に前記サンプル調製デバイスを、前記サンプル分析システムによってアクセス可能であるように配置する統合された輸送メカニズムを含んで成る、請求項1に記載の生物分析システム。
【請求項14】
前記サンプル調製デバイスが、サーマルサイクルを起こすための装置を含んで成る、請求項1に記載の生物分析システム。
【請求項15】
PCRシステムであって:
PCRを行うサーマルサイクラーであって、PCRによって増幅され、後の分析のために適した形態にされる粗製のDNAサンプルを受け入れるサーマルサイクラー;及び
キャピラリー電気泳動システムであって、キャピラリー電気泳動に委ねられる前記サーマルサイクラーからの前記DNAサンプルを受け入れてPCRの結果を分析するキャピラリー電気泳動システム;
を含んで成り、
ここで当該キャピラリー電気泳動システム及びサーマルサイクラーは統合された自動化システム内で作用可能式に連結されており、従って当該サーマルサイクラーからのDNAサンプルアウトプットは、ユーザーの更なる介入を伴わないキャピラリー電気泳動システムへのインプットであるPCRシステム。
【請求項16】
粗製サンプルを分析するための方法であって:
サンプル調製デバイスであって、後の分析に適した形態のサンプルへと処理される粗製サンプルを受け入れるサンプル調製デバイスを提供し;そして
サンプル分析デバイスであって、前記サンプル調製デバイスから分析に委ねられるサンプルを受け入れるサンプル分析デバイス;
を含んで成り、
ここで当該サンプル調製デバイス及びサンプル分析デバイスは統合された自動化システム内で作用可能式に連結されており、従って当該サンプル分析デバイスからのサンプルアウトプットは、ユーザーの更なる介入を伴わないサンプル調製デバイスへのインプットである、粗製サンプルを分析するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−510407(P2007−510407A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536922(P2006−536922)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/035406
【国際公開番号】WO2005/040331
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(506137631)イージーン,インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】