説明

統合情報処理装置及び情報処理システム

【課題】悪意のソフトウェアに対するIDやパスワードなどの情報の入力可能性を低減する。
【解決手段】統合情報処理装置101は、筐体内に収容された、物理的に分離されたネットワーク接続可能な第1、第2情報処理装置111,121と、各情報処理装置に接続された入力装置137から送信される入力データを、情報処理装置のうちのいずれかに対して配信する入力装置インタフェース107と、入力装置インタフェースが入力データを配信している配信先の情報処理装置の情報に基づいて、当該配信先の情報処理装置を特定する表示を行う配信先表示灯138及び表示制御装置140と、を備えているので、第1、第2の情報処理装置のうち、入力装置インタフェースから入力データが配信されている側の情報処理装置をユーザに視認させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、統合情報処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置の高機能化が進むにつれ、ハードウェア単価の下落が激しくなっている。また、情報処理装置の開発者や利用者等からは、従来から用いていたソフトウェア資産の継承を行いたいとの要望が出てきている。これらの観点から、物理的に分離された複数の情報処理装置(メモリ、記憶装置、ネットワーク接続機能、OS等を有する)が一つの筺体に設けられた装置(端末)の開発が検討されつつある。
【0003】
このような物理的に分離された(独立した)情報処理装置をネットワーク接続可能とし、かつ、一つの筐体内に収めた場合、ユーザは、いずれかの情報処理装置を選択して、選択した情報処理装置に組み込まれている通信ソフトを起動する。そして、ユーザは、当該通信ソフトが表示装置上に表示した内容を参照しながら接続先等を入力した後、ネットワークへの接続指示を行う。選択された情報処理装置は、ユーザにより指定された接続先のサーバと通信を行い、当該通信結果を表示装置に表示することになる。
【0004】
例えば、IDとパスワードが付与されたユーザのみと通信できるサーバが接続先である場合、ユーザは、入力装置からIDとパスワードを入力する。この場合、選択されている情報処理装置内で動作している通信ソフトは、入力されたIDとパスワードを接続先のサーバに送信する。ユーザは、IDとパスワードが接続先のサーバにおいて認証された場合に限り、接続先のサーバのサービスを受けることが可能となる。
【0005】
なお、特許文献1には、ユーザの切り替え操作によって、複数の情報処理装置の間で、データの転送をするCPU切替器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−79334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、一つの筐体内に収められる各情報処理装置の役割は異なる場合がある。例えば、一つの情報処理装置(第1情報処理装置と呼ぶ)が、セキュリティを考慮する必要があるデータを扱う専用のサーバと通信するための情報処理装置であり、別の情報処理装置(第2情報処理装置)が、汎用的に通信が可能で、自由にソフトウェア等を追加できるような情報処理装置である場合がある。
【0008】
このような場合、ユーザはセキュリティを考慮するデータを扱うときには第1情報処理装置を選択して当該装置内の通信ソフトを起動し、ID/パスワードを入力して通信を行うことになる。
【0009】
しかしながら、第2情報処理装置は、ソフトウェアを自由に追加することが可能なため、悪意を有する者(悪者)が、第1情報処理装置の通信ソフトと画面表示を偽装するソフトウェアを第2情報処理装置に保存する可能性がある。この場合、ユーザが第1情報処理装置の通信ソフトを起動しようとしたときに、第2情報処理装置内の偽のソフトウェアが起動される。このため、ユーザは第1情報処理装置を使用しているものと勘違いし、IDとパスワードを入力してしまうおそれがある。この場合、ユーザのIDとパスワードは、偽ソフトウェアを介して、悪者に流出するおそれがある。
【0010】
そこで本件は上記の課題に鑑みてなされたものであり、悪意のソフトウェアに対するIDやパスワードなどの情報の入力可能性を低減することが可能な統合情報処理装置及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に記載の統合情報処理装置は、筐体と、前記筐体内に収容された、物理的に分離されたネットワーク接続可能な複数の情報処理装置と、前記複数の情報処理装置それぞれと入力装置との間を接続するように設置され、接続された入力装置から入力される入力データを、前記複数の情報処理装置のうちのいずれかに対して配信する配信装置と、前記配信装置が前記入力データを配信している配信先情報処理装置の情報に基づいて、前記配信先情報処理装置を特定する情報を提示する配信先提示装置と、を備えている。
【0012】
本明細書に記載の情報処理システムは、本明細書に記載の統合情報処理装置と、前記複数の情報処理装置それぞれに接続され、当該複数の情報処理装置における処理内容を表示する表示装置と、前記複数の情報処理装置それぞれに接続され、当該複数の情報処理装置に対して入力データを送信する入力装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に記載の統合情報処理装置及び情報処理システムは、悪意のソフトウェアに対するIDやパスワードなどの情報の入力可能性を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る、情報処理システムの概略構成の構成を概略的に示す図である。
【図2】情報処理システムの処理の流れを示す図である。
【図3】図3(a)〜図3(d)は、配信先表示灯と表示装置の表示例(通常時)を示す図である。
【図4】図4(a)、図4(b)は、図2のステップS103の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】図5(a)は、図2のステップS112の処理の詳細を示すフローチャートであり、図5(b)は、図5(a)のステップS234で取得する情報の一部を示す図である。
【図6】図6(a)〜図6(d)は、配信先表示灯と表示装置の表示例(異常時)を示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る、情報処理システムの概略構成の構成を概略的に示す図である。
【図8】図8(a)〜図8(d)は、第2の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図9】第3の実施形態に係る、情報処理システムの概略構成の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《第1の実施形態》
以下、統合情報処理装置及び情報処理システムの第1の実施形態について、図1〜図6に基づいて詳細に説明する。図1には、統合情報処理装置101を含む情報処理システム100の概略構成が示されている。なお、情報処理システム100は、一例としてパーソナルコンピュータなどの端末であるものとする。
【0016】
図1に示すように、情報処理システム100は、統合情報処理装置101と、入力装置137と、表示制御装置140と、配信先表示灯138と、表示装置136と、ネットワーク135と、を含んでいる。
【0017】
統合情報処理装置101は、第1情報処理装置111と、第2情報処理装置121と、ネットワークインタフェース105と、表示装置インタフェース106と、配信装置としての入力装置インタフェース107と、を備える。これら統合情報処理装置101の構成各部は、筐体200(図3(a)参照)内に格納されている。また、第1情報処理装置111と第2情報処理装置121とは、物理的に分離されている。
【0018】
第1情報処理装置111は、CPU(Central Processing Unit)112と、RAM(Random Access Memory)113と、ROM(Read Only Memory)114と、ネットワーク用インタフェース115と、表示装置用インタフェース116と、入力装置用インタフェース117と、を有する。ネットワーク用インタフェース115は、ネットワークインタフェース105を経由して、ネットワーク135に接続されている。ネットワーク135には、インターネットやLAN(Local Area Network)などが含まれる。表示装置用インタフェース116は、表示装置インタフェース106を経由して、表示装置136に接続されている。表示装置136は、第1、第2情報処理装置111,121における処理内容を表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイを採用することができる。入力装置用インタフェース117は、入力装置インタフェース107を経由して、入力装置137に接続されている。入力装置137には、キーボードやマウス、タッチパネルなどが含まれる。
【0019】
第2情報処理装置121は、第1情報処理装置111と同様、CPU122と、RAM123と、ROM124と、ネットワーク用インタフェース125と、表示装置用インタフェース126と、入力装置用インタフェース127と、を有する。ネットワーク用インタフェース125は、ネットワークインタフェース105を経由して、ネットワーク135に接続されている。表示装置用インタフェース126は、表示装置インタフェース106を経由して、表示装置136に接続されている。入力装置用インタフェース127は、入力装置インタフェース107を経由して、入力装置137に接続されている。
【0020】
なお、本第1の実施形態では、第1情報処理装置111が、セキュリティを考慮する必要があるデータを扱う専用のサーバと通信するための情報処理装置であるものとする。すなわち、第1情報処理装置111を介したサーバとの通信にはIDやパスワード等を必要とするものとする。一方、第2情報処理装置は、汎用的に通信が可能な装置であり、自由にソフトウェア等を追加できるような情報処理装置であるとする。
【0021】
入力装置インタフェース107は、図1に示すように、CPU102と、RAM103と、ROM104と、配信機108と、を有する。入力装置インタフェース107では、ユーザが、入力装置137を介して入力を行うと、配信機108において、第1情報処理装置111又は第2情報処理装置121に対して、入力データを配信する。また、配信機108は、表示制御装置140に接続されている。配信機108は、表示制御装置140に対して、入力データを配信している情報処理装置(第1情報処理装置111及び第2情報処理装置121のいずれか)の情報を、出力する。これに対し、表示制御装置140では、配信機108から入力された情報に基づいて、配信先表示灯138の表示状態を変更する。ここで、本第1の実施形態では、図3(a)に示すように、統合情報処理装置101の筐体200に表示装置136が設けられ、配信先表示灯138は、表示装置136の近傍に設けられているものとする。このように、配信先表示灯138を表示装置136の近傍に設けることで、ユーザは、表示装置136を見る際に、配信先表示灯138も同時に見ることが可能となる。なお、本第1の実施形態では、表示制御装置140は、第1情報処理装置111に対して入力データが配信されている場合には配信先表示灯138を青色表示とし、第2情報処理装置121に対して入力データが配信されている場合には配信先表示灯138を緑色表示とする。すなわち、配信先表示灯138は、入力データの配信先の情報処理装置を特定する情報を視認可能に提示していると言える。
【0022】
次に、本実施形態の情報処理システム100における処理について図2〜図5に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図2には、情報処理システム100の処理の流れが示されている。なお、前提として、図2の処理が開始される前段階では、入力装置インタフェース107は、第2情報処理装置121に入力データを配信するように設定されているものとする。この場合、配信先表示灯138は、緑色表示を維持する(なお、図3(a)では、緑色表示を白色で示している)。
【0024】
(利用する情報処理装置の変更)
まず、ユーザが利用する情報処理装置を、第2情報処理装置121から第1情報処理装置111に変更する指示を出した場合の処理について説明する。図2のステップS100では、入力装置137がユーザからの情報処理装置の変更指示を受け付ける。なお、ユーザは、表示装置136上に図3(b)に示すような第2情報処理装置121の基本画面を表示した状態で、「第1情報処理装置に切り替え」のアイコンを入力装置137を介して選択する。これにより、入力装置137から、利用する情報処理装置を変更(選択)する指示が出されることになる。
【0025】
次いで、ステップS101では、入力装置137が入力装置インタフェース107に対して、第1情報処理装置111を選択する旨の指示を出力する。そして、ステップS102では、入力装置インタフェース107が、現在入力データが配信されるように設定されている情報処理装置である第2情報処理装置121に対して、ステップS101で取得した指示を出力する。
【0026】
次いで、ステップS103では、第2情報処理装置121が入力装置インタフェース107に対して、第1情報処理装置111への切り替え指示を出力する。具体的には、第2情報処理装置121は、図4(a)に示すフローチャートに沿った処理を実行する。
【0027】
図4(a)の処理では、まず、ステップS202において、第2情報処理装置121が、入力装置インタフェース107から情報処理装置の選択指示が入力されるまで待機する。そして、選択指示が入力されると、ステップS204に移行し、第2情報処理装置121は、切り替え後の情報処理装置の情報を入力装置インタフェース107に対して送信する。この場合、第2情報処理装置121は、予め定義されている切り替えコマンドを第2情報処理装置121自らのデバイス番号をパラメータとしてセットして実行する。
【0028】
これに対し、入力装置インタフェース107のCPU102は、図4(b)に示すように、ステップS212において、切り替え後の情報処理装置の情報が入力されるまで待機する。そして、情報が入力されると、ステップS214に移行し、CPU102は、入力された切り替え後の情報処理装置の情報をRAM103に保存する。すなわち、入力装置インタフェース107のRAM103には、切り替え後の情報処理装置の情報として、第1情報処理装置111の情報が保存されることになる。
【0029】
図2に戻り、次のステップS104では、入力装置インタフェース107の配信機108が、配信先表示灯138の表示を「第2情報処理装置121」から「第1情報処理装置111」に変更するよう表示制御装置140に通知する。そして、表示制御装置140は、ステップS105において、配信先表示灯138による選択状態の表示を「第2情報処理装置121」から「第1情報処理装置111」に変更する。これにより、図2、図3(c)に示すように、配信先表示灯138の表示が、緑色(図2、図3では白色)から、青色(図2、図3では黒色)に変更されることになる。
【0030】
(通信ソフトの起動処理)
次に、ユーザが利用する情報処理装置を第2情報処理装置121から第1情報処理装置111に変更した後に、第1情報処理装置111上の通信ソフト(第1通信ソフト)を起動する場合の処理について、説明する。
【0031】
まず、図2のステップS110では、入力装置137がユーザから通信ソフト起動指示を受け付ける。なお、ユーザは、入力装置137を介して、図3(c)のように表示装置136に表示されている画面(第1情報処理装置111の基本画面)上から「第1通信ソフト」のアイコンを選択することで、通信ソフト起動指示を入力する。
【0032】
次いで、ステップS111では、入力装置137が通信ソフト起動指示を入力装置インタフェース107に対して出力する。次いで、ステップS112では、入力装置インタフェース107(配信機108)が第1情報処理装置111に対して通信ソフト起動指示を出力する。ここで、入力装置インタフェース107(配信機108)が第1情報処理装置111に対して指示を出す処理について、図5(a)に基づいて具体的に説明する。
【0033】
まず、配信機108は、ステップS230において、入力装置137から指示(第1通信ソフト起動指示)が入力されるまで待機する。次いで、ステップS232では、配信機108が、RAM103に格納されている情報(切り替え後の情報処理装置の情報)を取得する。次いで、ステップS234では、配信機108は、ROM104内の情報を取得する。ここで、ROM104内の情報としては、統合情報処理装置101に含まれる情報処理装置の数(ここでは、2)と、統合情報処理装置101に含まれる情報処理装置の情報(ここでは、図5(b)に示す、パラメータIndexと情報処理装置との関係を示す情報)を取得する。なお、情報処理装置の情報としては、実際には、共有メモリを用いる場合はメモリのアドレス等であり、シリアル通信を用いる場合はシリアル通信デバイスのポートアドレス等であるものとする。
【0034】
次いで、ステップS236では、配信機108は、パラメータIndexを0に設定する。次いで、ステップS238では、RAM103の情報と、ROM104に格納されているIndex=0の情報とが一致するか否かを判断する。ここでは、Index=0の情報処理装置が第1情報処理装置111であり、RAM103にも第1情報処理装置111の情報が格納されているので、判断は肯定され、ステップS244に移行する。ステップS244では、配信機108は、入力装置137からの指示(第1通信ソフト起動指示)を第1情報処理装置111に対して送信し、図4(a)の全処理を終了する。
【0035】
なお、ステップS238の判断が否定された場合、すなわち、Index=0である一方、RAM103に第2情報処理装置121の情報が格納されていた場合には、ステップS240に移行する。
【0036】
ステップS240では、配信機108は、Indexの値を1インクリメントして、ステップS242に移行する。ステップS242では、配信機108は、Indexの値が情報処理装置の数を超えたか否かを判断する。ここでの判断が否定された場合には、ステップS238に戻り、配信機108は、Index=1の状態で、ステップS238以降の処理を実行する。一方、ステップS242の判断が肯定された場合には、図4(a)の全処理を終了する。
【0037】
以上のようにして、ステップS112の入力装置インタフェース107から第1情報処理装置111への通信ソフト起動指示が行われるようになっている。
【0038】
図2に戻り、次のステップS113では、第1情報処理装置111が、第1通信ソフトを起動する。次いで、ステップS114では、第1情報処理装置111が、通信ソフト画面表示を行うよう、表示装置136に対して指示を出す。そして、ステップS115では、表示装置136が、図3(b)に示すような基本画面の表示を行い、ステップS116では、表示装置136が表示を行ったことを第1情報処理装置111に対して通知する。以上の処理により、通信ソフトの起動処理が終了する。
【0039】
(第1通信ソフトを用いたサーバへの接続処理)
次に、第1通信ソフトを用いたサーバへの接続処理について説明する。まず、図2のステップS120では、入力装置137がユーザから第1通信ソフトを用いたサーバへの接続指示を受け付ける。なお、ユーザは、入力装置137を介して、図3(d)のように表示装置136に表示されている画面上にサーバ名等を入力することで、サーバへの接続指示を入力する。
【0040】
次いで、ステップS121では、入力装置137が接続指示を入力装置インタフェース107に対して出力する。次いで、ステップS122では、入力装置インタフェース107(配信機108)が第1情報処理装置111に対して接続指示を出力する。なお、ステップS122の処理は、前述したステップS112(図5(a)のフローチャート参照)と同様となっている。
【0041】
次いで、ステップS123では、第1情報処理装置111が、ネットワーク135を介して、サーバに対して通信要求を出す。そして、サーバは、ステップS124においてレスポンスを生成し、ステップS125において、第1情報処理装置111にレスポンスを返す。
【0042】
その後は、第1情報処理装置111が、ステップS126において、表示装置136に対して表示を更新するよう指示を出す。そして、表示装置136は、ステップS127において、例えば、「サーバへの接続が可能です」などの表示を行い、表示後は、ステップS137において、表示が完了したことを第1情報処理装置111に対して通知する。以上の処理により、第1通信ソフトを用いたサーバへの接続処理が終了する。
【0043】
(ID/パスワードの入力処理)
次に、サーバに対するユーザID/パスワードの入力処理について説明する。まず、図2のステップS130では、入力装置137がユーザからのID/パスワードの入力を受け付ける。なお、ユーザは、入力装置137を介して、図3(d)のように表示装置136に表示されている画面上にID/パスワードを入力する。
【0044】
次いで、ステップS131では、入力装置137がID/パスワードを入力装置インタフェース107に対して出力する。次いで、ステップS132では、入力装置インタフェース107(配信機108)が第1情報処理装置111に対してID/パスワードを出力する。なお、ステップS132の処理は、入力が「指示」と「ID/パスワード」で異なるものの、前述したステップS112(図5(a)のフローチャート参照)と同様となっている。
【0045】
次いで、ステップS133では、第1情報処理装置111が、ネットワーク135を介して、サーバに対してID/パスワードを送信する。そして、サーバは、ステップS134において、ID/パスワードを検証(認証)し、ステップS135において、第1情報処理装置111にレスポンス(認証結果)を返す。この認証結果が、「接続可能」であれば、ユーザは、第1通信ソフトを介して、サーバにアクセスすることが可能となる。
【0046】
なお、図2のステップS140〜S145の処理は、第2情報処理装置121の処理が第1情報処理装置111の処理になるものの、前述したステップS100〜S105と同様の処理である。したがって、ステップS140〜S145の処理の詳細については省略するものとする。なお、ユーザが利用可能な情報処理装置が第1情報処理装置111から第2情報処理装置121に切り替わると、配信先表示灯138の表示は、青色から緑色に切り替わるようになっている(ステップS145)。
【0047】
ここで、第2情報処理装置121に対し、悪者が、第1情報処理装置111の通信ソフトと表示画面を偽装してユーザのIDやパスワードを不正取得する、悪意のソフトウェアを組み込んだとする。この場合、図6(a)に示すように、第2情報処理装置121側の第2通信ソフトを利用している場合には、配信先表示灯138は、第2情報処理装置121にデータを配信していることを意味する緑色となる。また、第2通信ソフトの利用を終了した場合でも、図6(b)に示すように、第2情報処理装置121の基本画面が表示された状態では、第2情報処理装置121がデータの配信先であるので、配信先表示灯138は緑色(図6では白色)に維持される。
【0048】
一方、図6(b)に示す第2情報処理装置121の基本画面上で「第1情報処理装置に切替」のアイコンをユーザが選択して、第1情報処理装置111の第1通信ソフトを利用しようとすると、悪意のソフトウェアが起動してしまう。しかるに、本第1の実施形態では、入力装置インタフェース107から第2情報処理装置121に対して第1情報処理装置111の選択指示(ステップS102)が送信されない。また、第2情報処理装置121から入力装置インタフェース107への切り替え指示(ステップS103)も出力されない。更には入力装置インタフェース107から表示制御装置140(配信先表示灯138)への表示変更指示(ステップS104)も出されない。したがって、図6(c)、図6(d)に示すように、悪意のソフトウェアを起動しているときにも、配信先表示灯138は、緑色表示(図6(c)では白色)のまま維持されることになる。
【0049】
このため、ユーザは、第2情報処理装置121の利用時には本来配信先表示灯138の表示が青色表示されるべきところ、緑色表示がされていることを認識することで、統合情報処理装置101が不正状態であることを把握できる。これにより、悪意のソフトウェアに対するIDやパスワードの入力可能性を低減することができ、IDやパスワードの漏えいを抑制することが可能となる。
【0050】
なお、これまでの説明から分かるように、本第1の実施形態では、表示制御装置140と、配信先表示灯138とを含んで、配信先提示装置の機能が実現されている。
【0051】
以上、詳細に説明したように、本第1の実施形態によると、統合情報処理装置101は、筐体200内に収容された、物理的に分離されたネットワーク接続可能な第1、第2情報処理装置111,121と、情報処理装置111,121に接続された入力装置137から送信される入力データを、情報処理装置のうちのいずれかに対して配信する入力装置インタフェース107と、入力装置インタフェース107が入力データを配信している配信先の情報処理装置の情報に基づいて、当該配信先の情報処理装置を特定する表示を行う配信先表示灯138及び表示制御装置140と、を備えている。したがって、第1、第2情報処理装置111,121のうち、入力装置インタフェース107から入力データが配信されている側の情報処理装置をユーザに視認させることができる。これにより、統合情報処理装置101に、上述した悪意のソフトウェアが組み込まれた場合でも、ユーザは、実際にいずれの情報処理装置に対して入力データを配信しているかが認識できる。すなわち、ユーザが悪意のソフトウェアに対してIDやパスワードを入力してしまう可能性を低減することができ、IDやパスワードの漏えいを抑制することが可能となる。
【0052】
また、本第1の実施形態では、第1情報処理装置111の第1通信ソフトを介したサーバとの通信と、第2情報処理装置121の第2通信ソフトを介したサーバとの通信とでは、必要とする入力データの機密性を異ならせており、ユーザは、第1情報処理措置111を利用しているときのみ、重要なIDやパスワードを用いるようにしている。これにより、ユーザは、第1情報処理装置111を利用しているときに配信先表示灯138の表示状態を認識するのみでも、IDやパスワードなどの情報漏えいを低減することが可能となる。
【0053】
また、本第1の実施形態では、配信先表示灯138が、入力データの配信先の情報処理装置を特定する情報を視認可能に提示するので、ユーザは入力データの配信先を一目で認識することができる。
【0054】
なお、上記第1の実施形態では、配信先表示灯138が入力データを配信している情報処理装置に応じて異なる色を表示する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、配信先表示灯138は、情報処理装置に応じて、点滅間隔を変化させたり、点灯・消灯状態を変化させることとしてもよい。
【0055】
また、配信先表示灯138に代えて、表示装置136とは異なる表示画面を設けてもよい。この場合、表示画面には、情報処理装置に応じて、異なる文字や図形等を表示することとしてもよい。
【0056】
《第2の実施形態》
次に、統合情報処理装置及び情報処理システムの第2の実施形態について図7、図8に基づいて説明する。本第2の実施形態では、図7に示すように、上述した第1の実施形態の配信先表示灯138が省略されているとともに、配信機108と、表示装置136とが接続されている点が、上述した第1の実施形態と異なっている。
【0057】
すなわち、本第2の実施形態では、第1の実施形態の配信先表示灯138の機能(配信先提示装置としての機能)を表示装置136にて実現している。より具体的には、表示装置136は、図8(a)、図8(b)に示すように、第2情報処理装置121の第2通信ソフトを利用している場合など、第2情報処理装置121に対して入力データが配信されている場合は、配信機108からの情報に基づいて、画面の一部(ここでは、上端部)の色を緑色(図8(a)、図8(b)では白色)とする。一方、図8(c)、図8(d)に示すように、第1情報処理装置111の第1通信ソフトを利用している場合など、第1情報処理装置111に対して入力データが配信されている場合においては、表示装置136は、画面の一部(ここでは、上端部)の色を青色(図8(c)、図8(d)では黒色)とする。
【0058】
このようにすることで、本第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様、ユーザは、入力データの配信先の情報処理装置を認識することができる。これにより、悪意のソフトウェアに対するIDやパスワードの入力可能性を低減することができ、IDやパスワードの漏えいを抑制することが可能となる。
【0059】
また、本第2の実施形態では、第1の実施形態のように配信先表示灯138を設けなくてもよいので、コスト低減を図ることができる。
【0060】
なお、上記第2の実施形態では、表示装置136が、画面の上端部の色を変更する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、その他の領域の色を変更するようにしてもよい。また、点滅の状態を変化させたり、点灯・消灯を変化させたりしてもよい。あるいは、文字や図形を用いて、入力データを配信している情報処理装置の情報を表示することとしてもよい。
【0061】
《第3の実施形態》
次に、統合情報処理装置及び情報処理システムの第3の実施形態について図9に基づいて説明する。本第3の実施形態では、図9に示すように、上述した第1の実施形態の配信先表示灯138に代えて、オーディオ出力装置142が設けられている点が、上述した第1の実施形態と異なっている。
【0062】
すなわち、本第3の実施形態では、第1の実施形態の配信先表示灯138の機能(配信先提示装置としての機能)をオーディオ出力装置142にて実現している。なお、オーディオ出力装置142は、スピーカ等を含んでいる。
【0063】
本第3の実施形態では、入力装置インタフェース107から入力データが配信されている情報処理装置の種類に応じて、出力される音の有無や音の種類などを変更する。例えば、オーディオ出力装置142は、第2情報処理装置121に入力データが配信されている間は、無音とする一方で、第1情報処理装置111に入力データが配信されている間は、アラーム音を発生し続けるようにする。
【0064】
このようにすることで、本第3の実施形態では、上述した第1、第2の実施形態と同様、ユーザは、入力データの配信先の情報処理装置を認識(聴認)することができる。これにより、悪意のソフトウェアに対するIDやパスワードの入力可能性を低減することができ、IDやパスワードの漏えいを抑制することが可能となる。
【0065】
なお、上記各実施形態では、2つの情報処理装置を含む統合情報処理装置を例にとり説明したが、これに限られるものではない。例えば、統合情報処理装置は、3つ以上の情報処理装置を含んでいてもよい。
【0066】
また、上記各実施形態では、情報処理システム100がパソコンなどの端末である場合について説明したが、これに限らず、携帯電話やスマートフォンなどの携帯型端末であってもよい。
【0067】
上述した各実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0068】
100 情報処理システム
101 統合情報処理装置
107 入力装置インタフェース(配信装置)
111 第1情報処理装置(情報処理装置)
121 第2情報処理装置(情報処理装置)
135 ネットワーク
136 表示装置
137 入力装置
138 配信先表示灯(配信先提示装置の一部)
140 表示制御装置(配信先提示装置の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に収容された、物理的に分離されたネットワーク接続可能な複数の情報処理装置と、
前記複数の情報処理装置それぞれと入力装置との間を接続するように設置され、接続された入力装置から入力される入力データを、前記複数の情報処理装置のうちのいずれかに対して配信する配信装置と、
前記配信装置が前記入力データを配信している配信先情報処理装置の情報に基づいて、前記配信先情報処理装置を特定する情報を提示する配信先提示装置と、を備える統合情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の情報処理装置のうちの少なくとも1つには、その他の情報処理装置よりも機密性の高い入力データが配信されることを特徴とする請求項1に記載の統合情報処理装置。
【請求項3】
前記配信先提示装置は、前記筐体に設けられ、前記配信先情報処理装置を特定する情報を視認可能に提示することを特徴とする請求項1又は2に記載の統合情報処理装置。
【請求項4】
前記配信先提示装置は、前記複数の情報処理装置それぞれに接続された、当該複数の情報処理装置における処理内容を表示する表示装置に、前記配信先情報処理装置を特定する情報を視認可能に提示することを特徴とする請求項1又は2に記載の統合情報処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の統合情報処理装置と、
前記複数の情報処理装置それぞれに接続され、当該複数の情報処理装置における処理内容を表示する表示装置と、
前記複数の情報処理装置それぞれに接続され、当該複数の情報処理装置に対して入力データを送信する入力装置と、を備える情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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