説明

統合細胞操作及び測定方法及び装置

特にラテラル細胞トラップを使用するマイクロフルイディックシステム及びデバイスで改善された細胞操作及びアッセイを提供する方法及びシステム並びにその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロスリファレンス)
本願は参考として本明細書に組込む仮特許出願第60/552,892号(出願日2004年3月12日)の優先権を主張する。
【0002】
(著作権表示)
37C.F.R.1.71(e)に従い、出願人は本開示の一部が著作権保護の対象となる素材を含むことを明記する(限定されないが、例えば図表、デバイス写真又は司法権で著作権保護が適用可能であるかもしくはその可能性のある本願の他の任意要素)。著作権者は特許商標局の特許ファイル又は記録に含まれるものである限り、何人が特許文献又は特許開示をファクシミリ複製しようと異議を唱えないが、それ以外の全著作権を留保する。
【0003】
(発明の技術分野)
本発明は細胞及び/又は他の生物材料の分析及び/又は操作を伴い、他の用途に応用することができる方法及び/又はシステム及び/又は装置に関する。特定態様では、本発明は流体媒体中で細胞等の対象を操作し、場合によりその所定操作を実施するための各種構造を含む方法及び/又はシステム及び/又は装置に関する。別の特定態様では、本発明は細胞のパッチクランプ分析及び/又は細胞エレクトロポレーション及び/又は他の細胞アッセイもしくは操作のための方法、システム及び/又はデバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
本願と共に提出する任意文献における記載を含めて本願の任意箇所における任意研究、刊行、販売、又は活動に関する記載はこのような研究等が従来技術を構成すると認めるものではない。本明細書における任意活動、研究、又は刊行に関する記載はこのような活動、研究、又は刊行が特定司法権で既存又は公知であったと認めるものではない。
【0005】
個々の細胞の操作、特性決定、及び可視化は薬剤発見、疾患診断及び分析、並びに他の各種治療及び実験研究の分野でますます重要になっている。
【0006】
例えば、パッチクランプ技術は細胞膜の小領域における化学的及び/又は電気的性質の測定及び/又は分析を助長するために20年ほど前に記載された。それ以来、パッチクランプ記録は電気生理学に重大な影響を与えており、細胞イオンチャネルの特性決定に不可欠な役割を果たしている。従来、パッチクランプ記録はマイクロマニピュレーターにより配置されたガラスピペットを使用して顕微鏡下で実施されている。図1Aに示すように、細胞膜パッチをガラスピペットに吸引し、高電気抵抗シールを形成する。次に膜パッチ又は全細胞膜内のイオンチャネルを流れる電流を種々のバイアス電圧で記録する。従来のパッチクランプ技術は改善されているが、まだ困難である。
【0007】
酸化ケイ素をコーティングした窒化物膜、シリコンエラストマー、ポリイミドフィルム、石英又はガラス基板を使用したチップ型パッチクランプが提案されている。最近ではパッチピペットによく似た三次元構造が作製されている。今日までに開発されているチップ型デバイスは一般に図1Bに示すような水平形状を使用しており、上部細胞コンパートメントを記録電極コンパートメントから分離する水平膜にパッチ孔をエッチングしている。
【0008】
パッチクランプ分析及び関連活動に関する各種ストラテジーを記載した更に最近の公開特許出願としては以下の米国出願が挙げられ、背景を示すために参考として本明細書に組込む。
【特許文献1】米国特許出願公開第20040005696号 Substrate and method for measuring the electro−physiological properties of cell membranes。
【特許文献2】米国特許出願公開第20030143720号 High throughput functional genomics。
【特許文献3】米国特許出願公開第20030139336号 Interface patch clamping。
【特許文献4】米国特許出願公開第20030138767号 Liquid interface configurations for automated patch clamp recording。
【特許文献5】米国特許出願公開第20030129581号 Patch−clamping method and apparatus。
【特許文献6】米国特許出願公開第20030065452号 High throughput functional genomics。
【特許文献7】米国特許出願公開第20030022268号 Method and apparatus for patch−clamp measurements on cells。
【特許文献8】米国特許出願公開第20020195337号 Polymeric electrode for electrophysiological testing。
【特許文献9】米国特許出願公開第20020182642号 Biosensors and methods of using the same。
【特許文献10】米国特許出願公開第20020064841号 Planar patch clamp electrodes。
【特許文献11】米国特許出願公開第20020045566号 Selective maxi−K potassium channel openers functional under conditions of high intracellular calcium concentration,methods and uses thereof。
【非特許文献1】Asmild,M.,Oswald,N.,Krzywkowski,K.M.,Friis,S.,Jacobsen,R.B.,Reuter,D.,Taboryski,R.,Kutchinsky,J.,Vestergaard,R.K.,Schroder,R.L.,Sorensen,11 C.B.,Bech,M.,Korsgaard,M.P.G.& Willumsen,N.J.(2003)Receptors & Channels 9,49−58.
【非特許文献2】Bennett,P.B.& Guthrie,H.R.E.(2003)Journal of Biomolecular Screening 8,660−667.
【非特許文献3】Dove,A.(2003)Nature Biotechnology 21,859−864.
【非特許文献4】Entzeroth,M.(2003)Current Opinion in Pharmacology 3,522−529.
【非特許文献5】Fertig,A.Tilke,R.H.Blick,J.P.Kotthaus,J.C.Behrends,and G.ten Bruggencate,Applied Physics Letters 77,1218−1220(2000).
【非特許文献6】Fertig,M.Klau,M.George,R.H.Blick,and J.C.Behrends,Applied Physics Letters 81,4865−4867(2002).
【非特許文献7】Fertig,N.,Blick,R.H.& Behrends,J.C.(2002)Biophysical Journal 82,3056−3062.
【非特許文献8】Immke,D.& Korn,S.J.(2000)Journal of General Physiology 115,509−518.
【非特許文献9】Klemic,K.G.,Klemic,J.F.,Reed,M.A.& Sigworth,F.J.(2002)Biosensors and Bioelectronics 17,597−604.
【非特許文献10】Lehnert,T.,Gijs,M.A.M.,Netzer,R.& Bischoff,U.(2002)Applied Physics Letters 81,5063−5065.
【非特許文献11】Lin,T.Kerle,and T.P.Russel,Macromolecules 35,3971−3976(2002).
【非特許文献12】Neubert,H.J.(2004)in Analytical Chemistry,Vol.76,pp.327a−330a.
【非特許文献13】Sakmann,B.& Neher,E.(1984)Annual Review of Physiology 46,455−472.
【非特許文献14】Stett,A.,Burkhardt,C.,Weber,U.,van Stiphout,P.& Knott,T.(2003)Receptors & Channels 9,59−66.
【非特許文献15】Stett,V.Bucher,C.Burkhardt,U.Weber,and W.Nisch,Medical & Biological Engineering & Computing 41,233−240(2003).
【非特許文献16】Thorsen,T.,Maerkl,S.J.& Quake,S.R.(2002)Science 298,580−5.
【非特許文献17】Trapani,J.G.& Korn,S.J.(2003)Bmc Neuroscience 4,−.
【非特許文献18】Wang,X.B.& Li,M.(2003)Assay and Drug Development Technologies 1,709−717.
【非特許文献19】Wood,C.,Williams,C.& Waldron,G.J.(2004)in Drug Discovery Today,Vol.9,pp.434−441.
【非特許文献20】Xu,J.,Wang,X.B.,Ensgn,B.,Li,M.,Guia,A.& Xu,J.Q.(2001)Drug Discovery Today 6,1278−1287。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(概要)
本発明は特定態様では、マイクロフルイディックチャネルと一体化したミクロン規模のラテラル細胞トラップジャンクションを使用する改善された細胞操作を提供する方法及び/又はデバイスに関する。特定態様における細胞固定又はトラップ孔は一般に主フルイディックチャネルの側壁又は類似の構造に開口として配置される。本明細書では、この形状をラテラル孔又はジャンクションと言う。
【0010】
本発明は別の態様では、ラテラル細胞トラップジャンクションを使用する集積多重細胞操作アレイシステム又はデバイスに関する。特定システム例では、マイクロフルイディックネットワークの交差設計により、多数の部位で効率的な電気生理学的測定と細胞操作を行うための複数の細胞アドレシング及び操作部位を提供する。
【0011】
本発明の特定態様によるデバイス形状は細胞レザバーとパッチチャネルの静電結合を最小限にするだけでなく、膜変形の目視観察を可能にする。特定態様では、デバイス作製は1種以上のエラストマー(例えばポリジメチルシロキサン(PDMS))のマイクロ成形によるため、使い捨て高スループットバイオチップを廉価に大量生産することができる。結合シリコン/ポリシリコン表面又は射出成形ポリマーから他の態様も作製できる。
【0012】
特定態様では、デバイス形状は細胞レザバーとチャネルの静電結合を最小限にするだけでなく、光学特性決定と電気的特性決定を同時に実施することができる。更に、特定態様では、デバイス形状は好適エラストマー(例えばPDMS)の低誘電定数と相俟って細胞レザバーとチャネルの静電結合を非常に低くすることができる。
【0013】
本発明の所定の特定態様によるラテラル設計は測定を効率的に多重化するシステムを作製することができ、細胞を孔に付着させる間に細胞内電解液と細胞外電解液を交換でき、膜変形と細胞内容物を光学的に観察できる。従って、特定態様では、本発明は高スループットで低コストの細胞型パッチクランプ測定及び他の細胞操作及び/又はアッセイを可能にする。
【0014】
本発明の特定態様によると、空気制御により瞬時に複数の細胞をトラップするための簡単且つエレガントな手段を提供する1個以上の集積システムに本発明の各種側面を組込むことができ、電気的特性決定と光学特性決定を同時に実施することができ、高スループットスクリーニング(HTS)、単一細胞分析及び薬剤発見に理想的なメカニズムが得られる。
【0015】
別の特定態様では、本発明の特定態様による新規方法及びデバイスを各種マイクロメーターシステムで使用することができる。適用例としてはBioMEMS、ラブオンチップ、細胞アッセイ等が挙げられる。
【0016】
本明細書には生物細胞の試験又は特性決定の実施用として本発明の特定態様によるシステム例を記載するが、当業者に自明の通り、本発明の特定態様による検出器はほぼ細胞寸法(100nm〜40μm)のデバイスを操作及びアッセイする各種用途で使用することができる。これらの用途としては限定されないが、化学システム、食品汚染物試験、所望物質又は所望反応の存在の検出等が挙げられる。
【0017】
(他の特徴及び利点)
本発明と各種特定側面及び態様は本願の図面及び詳細な説明を参照すると更によく理解されよう。分かりやすくするために、本明細書ではデバイス、方法及び概念を特定例について記載する。しかし、本発明とその各種側面は各種デバイス及びシステムにも応用することができる。従って、本発明は特許請求の範囲及び等価物の記載以外には限定されない。
【0018】
更に、当分野で周知の通り、本明細書に記載するようなシステム及び方法は各種の異なるコンポーネントと異なる機能をモジュラー式に含むことができる。本発明の各種態様はエレメント及び機能の各種組合せを含むことができ、各種機能を各種エレメントの部分として分類することができる。分かりやすくするために、多数の異なる新規コンポーネントと、新規コンポーネントと公知コンポーネントの新規組合せを含むシステムについて本発明を記載する。本発明は本明細書の具体的態様に記載される全新規コンポーネントを含む組合せに限定されるものではない。
【0019】
図面と以下の詳細な記載の一部では、生物アッセイ及び/又はアレイシステムとそのコンポーネントの重要な独立態様について本発明を記載する。これは本発明を限定するものではなく、本明細書の教示を使用して多数の他の状況に応用できる。
【0020】
図面と以下の詳細な記載の一部では、構造の寸法、液体の圧力もしくは容量、又は電気的値に関連する特定パラメーターを含む多数の特定態様例について本発明を記載する。特許請求の範囲の記載を除き、これらのパラメーターは例示であって本発明を限定するものではなく、別の寸法の他のデバイス又はシステムでもよい。
【0021】
本願に引用する全文献、刊行物、特許、及び特許出願はその開示内容全体を全目的で参考として本明細書に組込む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
1.概論
従来のパッチクランプ記録はガラスピペットの先端を細胞の膜に配置するためにマイクロマニピュレーターを使用することにより無振動環境で実施される。ピペット先端を通して注意深く加えられる負圧により膜はピペットに陥入し、ほぼギガオーム以上の抵抗シールがピペットと細胞の間に形成される。全細胞記録では、負圧又は電流の2回目の印加により捕獲された膜が破裂し、ピペット電極と細胞の細胞質の間に連続性が得られる。電圧クランプモードでは、膜をプリセット電位にクランプし、この電位を維持するために必要な電流を記録する。各種試薬の存在下に各種電気的プロトコールによる電流記録を使用してイオンチャネル特性を決定する。
【0023】
従来のパッチクランプ技術は成功しているが、複雑で高価な設備が必要であり、まだ非常に困難である。従って、パッチクランプ技術は高スループット自動測定が必要なプロテオミクス及び薬剤開発スクリーンでは限界がある。
【0024】
ガラス、石英、コーテッド窒化ケイ素、及び加工エラストマーからマイクロマシニングされた基板を使用するチップ型パッチクランプデバイスが提案されている。デバイスのうちには薬剤スクリーニング及び薬剤安全性試験用の商業用プラットフォームに提案されているものもある。一般に、これらのデバイスは水平平面形状を使用しており、上部細胞コンパートメントを下部記録電極コンパートメントから分離する水平膜に記録用キャピラリーをエッチングしている。この構造の変形としてはパッチオリフィスの周囲の凸状領域から構成されるノズル設計が挙げられる。この水平平面パッチアプローチは一般に細胞トラップ部位の密度に制約があり、試験する細胞を可視化及び操作する能力が低い。システムによっては、細胞への試薬送達が比較的遅く、多くのシステムでは無振動環境を維持する必要がある。
【0025】
平面基板にオリフィスをマイクロ成形することによりアフリカツメガエル卵母細胞の全細胞記録を実施するためのPDMS型パッチクランプが報告されている。このデザインの欠点は平面基板に配置される記録オリフィスの寸法が大きいため、大きな卵母細胞の全細胞記録には適しているかもしれないが、小さな哺乳動物細胞に適さない。この技術の第2の欠点はプラズマ処理が不安定であり、数時間の製造時間内でデバイスを使用する必要があるので、十分なシールを得るためには使用前に酸素プラズマ処理が必要であるという点である。シリコン及び他の基板にリソグラフィーにより鉛直孔を形成した平面デザインを使用することにより哺乳動物細胞の全細胞記録を実施するための非エラストマーデバイスも報告されている。平面パッチデザインとマイクロフルイディクスの統合は依然として技術的に困難な課題である。
【0026】
自動パッチクランプ技術の提案によっては被験細胞を容易に目視できないものがある。細胞を目視できる場合でも、形状が十分に緻密でないデバイスでは簡単な単一顕微鏡技術を使用して複数の細胞を容易に観察することができない。
【0027】
本発明は、本明細書に記載する各種特定態様によると、集積プラットフォームで細胞操作とマイクロフルイディック制御を非常に高密度に集積することができ、製造費用が安く、視覚化し易く、本明細書の記載から自明の他の利点を備える方法、システム、及びデバイスを提供する。
【0028】
2.デバイス構造例
図2A−Cは本発明の各種態様による細胞操作デバイスの各側面の例を示す。各例は本発明の特定態様によるラテラル細胞トラップジャンクションを示す。これらのジャンクションは例えば低ノイズパッチチャネル記録の重要な特徴として、細胞レザバーとチャネルの静電結合を劇的に低下させる。水平面の孔により、僅か約10−20ミクロン間隔の多重平行部位が可能である。従って、少容量のチャネル結合薬剤を投与することができる一方で、多数の部位で平行してチャネル活動に及ぼす効果を記録及び/又は観察することができる。各種作製例では、高スループットの廉価な方法であるポリジメチルシロキサン(PDMS)等のエラストマーのマイクロ成形を使用してデバイス全体を作製する。
【0029】
より詳細には、図2Aは中央チャネルの両側の2個のラテラル細胞トラップ孔ないしジャンクションを横断面で示す模式図である。同図及び本明細書の他の図面では、幅の狭いトラップ流体接続部がラテラル孔と機能的に接続する特定例を示す。流体アクセスを更に容易にするために幅の狭いトラップ接続部(又はチャネル)の他端にはもっと大きな流体接続部又はチャネルを配置する。このようなトラップ接続部及び孔は本明細書の他の箇所に記載するように、円形中央チャネル、湾曲中央チャネル、又はほぼ線形の中央チャネルの形状とすることができる。本明細書に記載する教示から当業者に自明の通り、孔間の間隔とエレメントの寸法は変更することができる。
【0030】
図2Bは14個の径方向細胞トラップ孔をもつ円形中央チャネルを示すデバイス例の上面顕微鏡写真である。各トラップ孔は本明細書の他の箇所に記載するようにデバイスの他のマイクロフルイディック制御に接続することができる流体レザバーと幅の狭いトラップチャネルにより接続されている。本例では、細胞、流体、又は他の材料の流入又は流出に使用することができる2個の大きなチャネルが中央チャネルと接続している。流入/流出チャネルの一方に場合により配置される参照電極と3個のパッチ電極の作動電気接続性を図面に模式的に示す。左下の小円はラテラル捕獲部位の1個を示す。このデザインでは、寸法線により示すように、細胞孔は径方向に約200ミクロンの間隔で配置されている。この寸法は例示に過ぎず、この同一デザインの著しく小型のものも作製することができる。
【0031】
図2Cはほぼ線形の主チャネルと、約20ミクロン(μm)以下の間隔の12個のトラップ孔及び接続トラップチャネルを示す高密度デバイスの1例の上面顕微鏡写真である。この場合も、記録装置との間に場合により形成される電気接続性を模式的に示す。同図では、12個の円がラテラルトラップジャンクションにトラップされた細胞の位置を示す。
【0032】
図3は本発明の代替特定態様による細胞内溶液と細胞外溶液の迅速な交換を可能にする二重チャネルクランプ例の各側面を示す。この代替デザインでは、細胞トラップへの細胞外チャネルに対して細胞内チャネルに負圧を維持できると共に、2個の分離チャネルはどちらかのチャネルで流体を迅速に交換することができる。本明細書に記載する教示から自明の通り、この型のトラップジャンクションを各種デザインに組込むことができる。
【0033】
図4は本発明の代替特定態様による単純なラテラルジャンクション細胞トラップ使い捨て同心円状クランプの1例を示す。これは迅速に流体交換できるように細胞内領域に2個の流体接続部を示す別の代替構造である。
【0034】
図5A−Bは本発明の特定態様によるラテラル細胞ジャンクションの開口の各種選択形状を示す。これらの図面の各々では、細胞トラップを実施するための細胞領域に異なる形状の開口を形成する。これらのジャンクション又は半円形捕獲領域を含む他のジャンクション構造も本明細書に記載する例の大半に例証する直線状ラテラル捕獲孔の代用として本発明の特定態様によるデバイスに組込むことができる。特定状況では異なる構造のほうが良好なトラップ及び/又はシールが得られるが、細胞チャネルに直接開口する孔が本発明の好ましい態様である。
【0035】
3.集積細胞操作システム例
別の態様では、本発明の特定態様による高密度集積細胞操作システムは細胞位置の可視化と制御を改善する。特定態様では、本発明は全細胞電気生理学的試験を製造し易いマイクロフルイディックラブオンチップデバイスと統合することができる。本明細書の別の箇所に記載するように、特定態様では、このようなデバイスはポリジメチルシロキサン(PDMS)又は類似もしくは同様の性質をもつ材料のマイクロ成形により作製される。特定態様では、集積基板の孔に細胞を保持するので、ピペット型記録に比較して振動絶縁の必要がない。本発明は特定態様では非常に高密度の孔配置でもこれを達成できる。特定態様によると、本発明の細胞操作デバイスは標準顕微鏡を使用して複数の細胞を含む細胞の直接可視化も可能である。
【0036】
別の態様例では、マイクロフルイディック集積により、約0.5ナノリットル未満の合計チャンバー容量でキャピラリーを約10−30ミクロン未満の間隔で配置することができる。特定態様における記録用キャピラリーの形状によると、PDMS等の所定表面の疎水性にも拘わらず、高品質で安定な全細胞シールが得られる。特定態様では、トラップジャンクションのラテラル形状を図面に示すような細長いトラップチャネルと組合せることにより、より安定なシールを可能にする大表面積が得られる。
【0037】
シリコンマイクロマシニングの代わりにPDMSマイクロ成形を使用すると多数の利点があり、特に成形加工が非常に簡単(成形と結合しか必要としない)で経済的であるため、シングルユース使い捨てデバイスを製造することができる。更に、シリコン系デバイスと異なり、PDMSデバイスは透明であり、12mmガラスカバースリップに結合できるので、記録中に細胞を倒立顕微鏡のステージに配置し、可視化することができる。
【0038】
図6は本発明の特定態様によるマイクロフルイディックプラットフォーム上の集積細胞操作アレイの1例の各側面を示す。上記のように、細胞トラップは図6Aに球として模式的に示す細胞を懸濁した主チャンバーに開口する記録用キャピラリーに負圧を加えることにより実施される。接着した細胞は変形し、キャピラリー内に突出する。
【0039】
所望により、電極(例えば本明細書に記載するAgCl電極)を各キャピラリーと主チャンバーに配置することによりパッチクランプ記録が得られる。シグナルが多重化回路を通ってデータ獲得システムに供給される(マルチプレクサー構成と顕微鏡対物レンズは倍率が異なる)。デバイスは光学モニターのためにガラスカバースリップに結合することができる。
【0040】
図6Bは本発明の特定態様による細胞操作システムの主チャンバーから見た3個の記録用キャピラリーオリフィスの走査型電子顕微鏡写真である。キャピラリー例の横断面寸法は4μm×3μmであり、孔間(又は部位間)距離は約20μmである。
【0041】
図6Cは3個のキャピラリーオリフィスにトラップされた細胞の暗視野光学顕微鏡画像を示す。図2Cの顕微鏡写真には主チャンバー流体チャネルの各側に6個ずつ120μm間隔で配置された12個のキャピラリーをもつデバイス例を示す。
【0042】
このデザインの有利な特徴は固有のマイクロフルイディック集積であり、パッチ部位が非常に高密度であり、電気記録中に細胞変形と膜完全性の両者を測定できることである。従来の電気生理学的試験との直接比較によりイオン電流の正確な記録が検証された。K+チャネルブロッカーTEAを細胞外溶液に導入後にイオンチャネル電流の変化を測定することにより、イオンチャネルアベイラビリティの薬剤による変化も立証された。ソフトリソグラフィーにより高スループット電気生理学的試験用マイクロフルイディックプラットフォームを製造できることが本発明により立証されたため、細胞培養、細胞ソーティング及び蛋白質含量の分析等の付加機能の連続的統合を単一の使い捨てデバイスで実施することが可能になる。
【0043】
実験結果によると、廉価なマイクロフルイディックプラットフォームで初めて哺乳動物細胞の全細胞記録が行われたことが判明した。哺乳動物細胞は当分野で自明のようにその寸法が小さい等の理由から操作に多数の問題がある。実験結果の1例によると、哺乳動物細胞における電圧感受性カリウムチャネルKv2.1の活性化の記録は従来のピペット記録に優に匹敵することが分かった。
【0044】
細胞の電気的測定のためのマイクロフルイディクスによるラテラル形状のその他の改善として、例えばエラストマーの部分硬化結合により全細胞構造及びパッチクランプ記録を良好に得るための平均シール抵抗が増加し、その結果、細胞シール抵抗がギガオーム範囲に改善する。従って、特定態様によると、本発明は総容量約0.5nLであり、部分硬化結合を組込み、哺乳動物細胞に頑丈なシールを付与する新規多重チャネル(例えば12)パッチクランプアレイを含む。シールは振動絶縁装置の必要なしに設定される。
【0045】
大規模集積例
別の態様では、本発明のラテラルトラップジャンクションを高スループット細胞分析用大規模集積システムに組込むことができる。図7A及びBは本発明の特定態様によるラテラルトラップジャンクションと複数のマイクロフルイディック制御層をもつ集積細胞操作システムの構造例を示す。本例のシステムは線形中央チャンバーを備える完全集積システムを示す。例えばシリコン、ガラス、セラミック等の適切な任意材料から作製することができる最下位(緑色)基板上にパターニングした記録用電極(金色で示す)を配置する。トラップチャネルと中央チャネルは中間層でエラストマー弁部位と一体化している。最上位には弁チャネル制御層を構成する。図7Bでは、制御流体チャネルの作動により14個の細胞が線形チャネルのラテラルジャンクションにトラップされている状態を模式的に示す。
【0046】
4.作動例
図8は本発明の特定態様による集積細胞操作デバイスの作動例を示すブロック図である。同図は本明細書に記載するように1個以上のトラップチャネルに負圧を使用して細胞レザバーから細胞をロードして孔にトラップする方法の1例を示す。この一般作動デザインは円形、線形、又は湾曲を含む本発明の任意細胞操作デバイス構造に応用することができる。この一般作動デザインは細胞を容易にトラップでき、容易に光学特性を決定でき、複数の単一細胞の分析のために細胞を1回ロードすればよく、高スループットで小型の薬剤を使用できる。
【0047】
図9a−dは本発明の特定態様によるトラップチャネルに負圧(例えば2psi)を加えることによりHeLa細胞がラテラルジャンクションにトラップされる様子を示す顕微鏡動画像からの4フレームを示す。図9cでは、孔への細胞配置を示すためにフレームを拡大している。図9dでは、細胞膜変形のリアルタイム観察を示す。本例の図面では、孔開口は横断面約1−3ミクロンである。
【0048】
本発明の特定態様によるデバイス及び/又はシステムの作動例の更に詳細については後期実験結果のセクションに記載する。
【0049】
5.作製例
本明細書に記載するシステムとデバイスはフォトリソグラフィー、ナノ加工、又はマイクロフルイディック加工の分野で周知の任意技術又は方法を使用して作製することができる。本開示を補い、本発明の特定態様による付加的な独立した新規側面を解説するために、作製方法の例の詳細を以下に記載する。
【0050】
本発明の特定態様による作製段階の例を図10(A−F)に図式的に示す。本例では、表面マイクロマシニング及び/又はフォトリソグラフィー技術を使用してシリコン又は他の適切な基板型を作製する。他の例では、適切な他の任意材料と他の任意の型作製技術を使用することができる。
【0051】
本発明の特定態様によるマイクロマシニング例では、まず反応性イオンディープエッチングを使用して幅の狭い細胞トラップチャネルを規定する高さ3.1μmのパターンを形成する(図10A)。次に、SU−8ネガ型フォトレジストを使用して幅の広い接続領域用に高さ50μmのパターンを付加する(図10B)。ベースとPDMS硬化剤を混合(1:10)後、液体混合物を型に注ぎ、80℃で1時間硬化させる(図10C)。
【0052】
PDMSの硬化後、デバイスを取り出し、機械的に穿孔することができる。この特定例では、デバイスとPDMS薄層をプレコートしたガラス基板を酸素プラズマで処理し(図10D及びE)、デバイスをPDMS薄層に結合する(図10F)。
【0053】
結合前の全体デバイス形状(上下逆)と結合後のパッチ孔のクローズアップのSEM画像を図10G及びHに示す。型のSEM画像を図10Iに示す。
【0054】
本例では、オリフィスの頂部が丸いことが観察された。オリフィスの頂部が丸いことは型作製の有益な結果であり、チャネル頂部は型でパッチオリフィスに続いて丸いことが観察された(図10I)。Siに規定される小さいパッチチャネルの頂部に大きいチャネルを作製するためにSU8を選択的に重合すると、Si表面の近傍の光散乱の結果として所期鉛直SU8壁からずれる。その結果としてSU8壁の底部に形成される丸み(図10I,矢印A)が小さいSi壁の頂部にも存在し(図10I,矢印B)、その結果、パッチオリフィス頂部が丸くなる。この丸みは特定作製態様では全パッチオリフィスで再現可能である。
【0055】
外側チューブとの流体接続のために、硬化後に取り出したPDMSデバイスに0.5mm穴を機械的に穿孔することができる。その後、デバイスをPDMS薄層に結合し、スピンキャストしてガラス基板上に硬化させる。細胞と電解液の両者をロードし、パッチチャネルに吸引力を加えるために、穿孔した穴を介してプラスチック又は他のチューブをレザバーに接続することができる。
【0056】
代替作製方法の例
本開示を補うために、別の作製方法の例を以下に記載する。これらの教示から自明の通り、各種材料及び/又は製造方法に対応するように及び/又は本明細書に記載するものとは異なる構成を提供するように本方法に多くの変更を行うことができる。
【0057】
本発明の態様による特定例のデバイスは以下のように作製することができる。この作製方法は上記方法と同様である。まず、表面マイクロマシニング技術を使用して型を作製する。1例として、まず反応性イオンディープエッチングを使用して高さ3.1ミクロンのパターンで幅の狭いパッチキャピラリーを形成する。容量0.36nL(夫々高さ、幅、及び高さ150×60×40ミクロン)の主チャネルに沿って例えば12個の細胞をトラップできるように記録用キャピラリーを20ミクロン間隔で配置する。従って、活性デバイス領域では、試薬死容量は記録部位当たり30pLである。次に、例えばネガ型フォトレジストを使用して幅の広い接続領域用に高さ50ミクロンのパターンを付加する。PDMS(例えばDow−Corning Sylgard 184)ベースと硬化剤を(例えば1:10比で)混合後、液体混合物を型に注ぎ、室温で24時間硬化させる。外部チューブとの流体接続のために、硬化後に取り出したPDMSデバイスに0.5mmの穴を機械的に穿孔した。PDMS薄層をガラス基板に3000rpmで30秒間スピンキャストし、部分硬化させた(例えば90℃1分間)。デバイスと基板を静かに密着させて底部層を完全に硬化(120℃で5分間)させることにより両者を結合する。使用時には、穿孔した穴を介してプラスチックチューブをレザバーに接続し、細胞と電解液の両者をロードし、チャネルに吸引力を加える。
【0058】
部分硬化結合はPDMSの疎水性にも拘わらず細胞膜とキャピラリー壁を気密シールできるように結合硬化後のキャピラリーの最終形状を改変することにより記録用キャピラリーの形状を改善する。部分硬化はトラップチャネル形状の横断面に影響を与え、正方形横断面ではなく円形横断面が得られ、より安定なシールが得られる。
【0059】
6.実験結果
本明細書全体に記載する本発明の特定態様による各種デバイス例で実験を実施した。所定態様では、直径12〜17μmのヒト腫瘍細胞株(HeLa)をパッチクランプシール抵抗実験に使用した。細胞を導入する前に、全気泡を排出するように注意しながらリン酸緩衝食塩水(PBS)を流体ネットワークに充填した。20mV方形パルスを印加し、電流応答を測定することにより主チャネルにおける参照Ag/AgCl電極とラテラルパッチチャネルにおけるパッチ電極の電気接続を確認した。
【0060】
図11a及びbは本発明の特定態様によるデバイス例の細胞トラップ前(a)と後(b)の20mV電圧パルスに対する電流応答を示す。解離した細胞をPBSに懸濁し、主チャネルに注入した。パッチ部位の汚染を防ぐために細胞を主流体チャネルにロードする間に弱い圧力(1psi)をパッチチャネルに加えた。主流体チャネルを流れる流量を制御することにより細胞をランダム又は選択的にトラップすることができる。初期デザインの特定実験例では、2psiの負圧をパッチチャネルに加えることによりパッチチャネル開口の100−200μm内の細胞を1秒間隔内でトラップできることが判明した。
【0061】
細胞をトラップした直後に負圧を除去し、細胞にパッチチャネルの縁部とシールを形成させた。特定態様では、標準顕微鏡試験を使用してパッチチャネルへの膜陥入を認めることができ、圧力印加を制御するためにトラップの可視化を使用することができる。代替態様では、例えば孔の抵抗を測定することにより細胞トラップを確認することができ、測定した抵抗の変化を使用して細胞の存在を確認し、必要に応じてその孔の圧力を下げる。
【0062】
振幅20mV及び50ms周期の方形電圧パルスを印加することによりパッチ抵抗を記録した。標準パッチクランプ増幅器と1kHz低域通過フィルターを使用して電流応答を記録した。記録された電流応答はキャパシタンス補償を含まない。開放パッチチャネルの抵抗を測定した処、14±4MΩであった。チャネル形状(4μm・3.1μm・200μm)と使用した電解液の導電率(σ=1S/m)から計算した抵抗は17MΩであり、測定と妥当に一致する。最初にバイアス電圧を印加すると、静電結合により電流スパイクが生じる。スパイク電流を集積すると、キャパシターに貯蔵される電荷は約q=∫Idtとなる。次にC=q/Vを使用することによりキャパシタンスを計算することができる。このキャパシタンス測定法によると、デバイスとパッチクランプ増幅器入力の接続のキャパシタンスは10±1pFであったが、デバイス自体を結合するとキャパシタンスはそれ以上増加せず、デバイスキャパシタンスは測定誤差内、即ちCdev≦1pFであると推定された。デバイス形状とεPDMS=2.46を使用して計算すると、予想デバイスキャパシタンスはCdev=0.5fFとなった。
【0063】
20mV/50ms電流パルスによる細胞からの電流応答を図11bに示す。正圧をパッチクランプチャネルに加えることにより、トラップされた細胞をチャネルから排出した。細胞が排出されるや否や電流応答は開放チャネルの応答に戻った。続いて同一チャネルに細胞トラップするとシール抵抗は低下したが、これは恐らくパッチチャネルの開口の汚染によると思われる。特定態様では、本発明はシングルユース細胞トラップデバイスを提案するので、この汚染は全体的有用性に影響しない。代替態様では、汚染を細胞孔から除去するために各種公知洗浄技術を使用することができる。
【0064】
図6に示すデバイスの場合のような実験結果では、Ag/AgCl電極をデバイスの活性領域の外側のチューブ接続部に挿入することにより記録用キャピラリーとの電気接続を行う。電極は従来のパッチクランプ増幅器のヘッドステージに供給するマルチプレクサー回路の入力に接続する(システムの1例では、カスタマイズしたマルチプレクサーをDagan,Minnesota製品PC−ONEパッチクランプコンポーネントと併用した)。増幅器は(例えば、LabViewプログラミング環境で書き込んだ)カスタムソフトウェアにより駆動し、アナログ−デジタル変換基板によりインターフェースした。各実験セットの前に、デバイスを倒立顕微鏡(例えばNikon TS100)のステージに載置する。マイクロフルイディックチャンバーに電解液を充填し、5mV方形パルスを印加し、電流応答を記録することにより参照電極とパッチ電極の電気接続を確認した。典型的な記録用キャピラリーアクセス抵抗は10−14メガオームである。この抵抗は従来のテーパー状マイクロピペットの所望2−5メガオームアクセス抵抗よりも高い。しかし、デバイスチャネルは熱で吸引されるマイクロピペットのようにテーパー状でないので、チャネル長は機能に影響することなくアクセス抵抗測定値に影響する。例えば、チャネル長が2分の1になると、一般に最終シール抵抗に影響せずにアクセス抵抗測定値は2分の1になる。
【0065】
デバイスが充填されたら、接着細胞をトリプシン処理し、1000rpmで5分間遠心し、滅菌電解液に細胞5×10個/mlの濃度で再懸濁する。3mlシリンジを使用して細胞を主チャネルに注入する。パッチ部位の汚染を防ぐために細胞を主流体チャネルにロードする間に弱い正圧(7kPa)をパッチチャネルに加える。主流体チャネルを流れる流量を制御することにより細胞をランダム又は選択的にトラップすることができる。14−21kPaの負圧をパッチチャネルに加えることによりパッチチャネル開口の100−200ミクロン以内に存在する細胞を3秒間隔以内でトラップすることができる。細胞をトラップした直後に負圧を除去し、細胞にパッチチャネルオリフィスと電気的シールを形成させる。振動絶縁装置を使用せずにパッチアレイ測定を実施することができる。
【0066】
パッチアレイと従来の電気生理学的試験の両者について電流を5kHzでサンプリングし、2kHz低域通過Besselフィルターでフィルターした。特に明記しない限り保持電圧は−80mVとし、10秒間隔で脱分極刺激を与えた。全データトレースから計算漏洩電流(方形波)を差し引くカスタム書き込みルーチンにより全信号を自動漏洩減算で後処理した。漏洩抵抗は一定であると予想され、静止電位(−80mV)をこの電圧で流れる電流で割ることにより得た。
【0067】
内部電解液と外部電解液はいずれも以下の組成とした(mM):140 KCl,2 CaCl,2 MgCl,20 HEPES,10 グルコース。pHはKOHで7.3に調整し、浸透圧はグルコースで300mOsmに調整した。
【0068】
細胞操作
本構造例では、光学顕微鏡により細胞トラップを確認した。細胞を中央チャンバーに懸濁し、負圧(28kPa)をパッチキャピラリーに加えることにより順次パッチ孔に誘導した。システムの1例では、トラップに必要な合計時間は細胞1個当たり3秒未満である。(図6Aに模式的に示す)トラップされた細胞は図6Cに示すように暗視野顕微鏡を使用して可視化することができる。
【0069】
細胞質色素カルセインで標識した細胞を使用して記録用キャピラリー内の膜変形と膜完全性を定量した。図12は本発明の特定態様によるキャピラリーのオリフィスにトラップされた細胞の各側面の各種画像を示す。図12aは記録用キャピラリーのオリフィスにトラップされた細胞の位相差画像を示す。図12bは細胞質色素カルセインで標識した同一細胞の蛍光画像を示し、キャピラリーの内側の細胞変形を示す。色素強度は疑似色スケールにより表す。図12cは負圧パルスの印加後に細胞が更に変形し、膜パッチが破壊して全細胞構造と色素がキャピラリーに漏洩する状態を示す。図12dは距離の関数としての蛍光強度(点線b,c)のグラフの例であり、記録用キャピラリーの内側の変形と色素拡散の増加を示す(矢印)。
【0070】
図面から明らかなように、トラップされた細胞の蛍光画像によると、細胞膜は通常通りに28kPaの比較的低いトラップ圧でチャネルに長距離(x>10im)侵入することが分かった。従って、シール形成は記録用キャピラリーオリフィスに制限されず、キャピラリー長に沿って数マイクロメーターに得られる。圧力スパイクにより細胞キャパシタンスの上昇に応じて膜は破壊する。細胞質アクセスも細胞内部から記録用キャピラリーへの色素拡散を観察することにより確認することができる。記録用キャピラリーと細胞の両者が同一光学面内にあるので、これらの型の測定を実施できることはラテラルトラップデザインのユニークな利点である。膜の機械的及び電気的破壊と細胞からの色素拡散を定量することができ、このようなデータを使用して類似プラットフォームで単一細胞エレクトロポレーションを特性決定することができる。
【0071】
図13は本発明の特定態様により記録した哺乳動物全細胞電流の1例を示すダイアグラムである。この例では、本発明の特定態様によるパッチクランプを使用して全細胞Kv2.1電流を記録した。図13aでは、未加工データを左側に示し、漏洩を差し引いたデータを右側に示す。細胞膜電位は−100mVから+100mVまで20mVずつ25ms脱分極した。保持電位は−80mVであった。自動漏洩減算プロトコールはテキストに記載さけている。図13bでは、未加工(白丸)及び漏洩減算(黒丸)データの定常状態活性化電流−電圧関係を示す。脱分極パルス後に得られたデータを示す(矢印,a)。
【0072】
本発明の特定態様によるアレイでは、記録用キャピラリーと細胞基板を機械的に結合するので、外部位置決め装置が不要になり、周囲振動の影響が最小限になる。初期試験によると、シールは振動絶縁装置を使用しなくても約20−40分以上持続することが確認されたが、もっと長いシール時間を達成できると予想される。
【0073】
ギガオームシール
パッチクランプデバイスにおける1つの重要なパラメーターはギガオームシールを形成する能力である。初期実験では、トラップされた細胞の27%が250MΩを上回る付加抵抗であり(平均301M)、細胞の5%でギガオームシールが得られた。親水性ガラス様表面がギガシール形成の要件であると従来は考えられていた(6,19)が、これらの結果は本発明が疎水性エラストマー表面にギガオームシールを形成できることを立証するものである。実験結果によると、本発明のデバイスを使用すると、更に弱いシール抵抗(例えば約100Mよりも大)でも全細胞電流を20pAまで正確に記録できることが分かった。
【0074】
細胞トラップ時間が短く、複数の細胞を同時にトラップすることができるので、ギガオームシールしか選択しない場合であってもスループットは許容可能である。しかし、部分硬化結合プロトコールとデバイス形状及び作製を更に最適化すると、シール抵抗が増加すると考えられる。1つの方法は主チャンバーの底の記録用チャネルを著しく改善されたシール抵抗まで引き上げる方法である。
【0075】
従って、特定態様では、本発明は電気生理学的測定ツールとして集積マイクロフルイディクス型使い捨てパッチクランプマイクロアレイとして具体化することができる。特定デザイン例の重要な特徴としてはパッチ部位密度が高く、マイクロフルイディクスがビルトイン集積され、電気記録中に標準顕微鏡技術により細胞を試験できることが挙げられる。本発明の特定態様によるマイクロ成形アレイは高密度フォーマットで哺乳動物細胞を記録することができる。デバイスは細胞を効率的にトラップして気密電気シールを形成するラテラルキャピラリーのアレイを含む。このスキームは細胞膜の細胞内と細胞外の両側で化合物交換のために集積マイクロフルイディクスが得られるという利点がある。パッチ部位間の距離は20μmであり、多数の他のプロトコールに比較して記録用キャピラリー間隔が2桁下がる。
【0076】
このデザインの別の簡便な特徴は記録用チャンバーに関連する低容量である。デザインの1例では、12個の細胞保持部位を含む主チャンバーの容量は0.36nLである。比較として、他の平面パッチ技術ではパッチ部位当たり10−100マイクロLの試薬容量が必要であり得る。従って、死容量はこのような提案に比較して10オーダー低下する。こうして迅速に溶液が交換されるため、結合した細胞を迅速に順次各種試薬に暴露することができ、試薬消費が非常に少なくなり、整列したパッチ部位間の溶液濃度を高度に均一にすることができる。
【0077】
実験結果では、CHO細胞により発現される電圧依存性チャネルKv2.1の全細胞記録にデバイスを使用するのに成功した。これらの記録は同一細胞株の従来のパッチクランプ記録に優に匹敵する。
【0078】
密接に近接する複数のパッチ細胞で蛍光測定を実施できることが立証されたため、この機能を使用して結合アッセイからの蛍光データ、蛋白質発現プロフィル及び細胞内カルシウム濃度をパッチクランプ記録と相関させることができる。従来のピペットパッチ構成を使用して同様の試験が実施されているが、平面基板は不透明であるか又は長作動距離対物レンズを使用する必要があるため、他の高スループットデザインはこの種の組合せ測定には適していない。
【0079】
7.規定サンプル領域に試薬を迅速添加及び除去するためのマイクロフルイディックデバイスデザイン
別の態様では、上記のような新規側面の一部を使用し、マイクロフルイディック送達を利用して試薬をサンプル領域に迅速添加及び除去するためのデバイス及び/又は方法が提供される。当業者に自明の通り、これらの側面は上記細胞トラップ及び/又はパッチクランプ技術と有効に組合せることができ、あるいは別個に使用してもよい。利点としては、マイクロ成形により非常に簡単に作製できることと、デバイスの所定領域に試薬を迅速(t=30ms)に添加及び除去できるという点が挙げられる。サンプル領域はトラップされた細胞、デバイス基板上の接着細胞、又はマイクロアレイスポット等の他の反応斑を含むことができる。高スループット薬剤スクリーニング用途と迅速な反応速度の理解には制御された時間スケール下の試薬濃度の変化が重要である。
【0080】
薬理的スクリーニング用途では一般に所定試薬を試験ターゲットに送達する必要がある。ターゲットは培養細胞(毒性、細胞生存試験用)、パッチ細胞(高スループットパッチクランプ用)、又はDNA鎖(又はDNAマイクロアレイ)や蛋白質(プロテオミクスアレイ)等のプレパターニングされた該当分子とすることができる。
【0081】
従って、本発明は特定態様では、優れた時間スケール制御と非常に低い死容量でターゲットに迅速に添加し、ターゲットから試薬を除去するためにマイクロフルイディクスを利用する簡単なデバイス及び/又は方法を提供する。
【0082】
このアプローチの基本作動ユニット例は(反応ターゲットを含む)主チャネルと(試薬送達に使用される)注入チャネルを含む。図14に模式図を示す。作動中は、(例えばシリンジポンプにより)ほぼ一定の流量が主チャネルに供給され、注入チャネルは時間の関数としてチャネル入口の圧力(又は流量)源P(t)−圧力でにより駆動されている。P(t)>P(P=主チャネル内の圧力)のときには、溶液流が主チャネル内に形成され、サンプル領域を取り囲む。P(t)<Pならば、主チャネルに試薬は流入せず、主チャネル内の既存流速により既存流は迅速に除去される。チャネルの構造は本発明の特定態様に従って変えることができるが、望ましい構造の1例は全チャネルがほぼ水平面に配置されるラテラル構造である。従って、本図及び以下の関連図面はラテラルチャネルを備えるデバイスの上下を逆にした図とみなすことが好ましい。
【0083】
複数試薬添加
特定態様では、主チャネル内の流れは層流プロフィルに従うため、注入チャネルとターゲットサンプル領域の間の距離は重要なパラメーターではない。従って、多数の注入チャネルを配列するだけで複数の試薬を添加することができる。図15では注入チャネルn1−5に該当試薬をプレロードし、入口圧力P1−5(t)により個々に制御する。圧力印加は一度に1個のチャネルのみがオンになるか又は複数のチャネルが同時にオンになるようにタイミングをとることができる。図15ではチャネルn4がオンの状況を示す。これは例えば、チャネル4の出口のみに流体流が存在するようにP1−3<P、P<P、及びP>Pに設定することにより実施することができる。
【0084】
各種試薬濃度の添加
添加した試薬とターゲットサンプルの相互作用の用量応答関係を得るためには、ターゲットサンプル領域に任意濃度の試薬を添加できることが有用である。このような構成を図16に示す。出口で所望試薬濃度を得るためには、注入チャネルの上流でマイクロフルイディックミキサーを使用することができる。一方の入口を試薬レザバーと接続し、他方をストック溶液のレザバーと接続する。同図では、出口n1の濃度Coutは2つの入口P及びP’の圧力と濃度から簡単に計算される。
【0085】
細胞サンプルへの試薬送達
各種細胞アッセイ(電気生理学的試験、生存性、膜完全性)には試薬の細胞(即ちサンプルターゲット=哺乳動物細胞)送達が必要である。試薬を細胞サンプルに迅速に添加及び除去するためには、細胞をサンプルターゲット領域に固定する必要がある。本発明の特定態様によると、これは本明細書に記載するようにトラップチャネルと主流体チャネルの交点に細胞をトラップすることにより実施することができる(図17)。これらのトラップ部位を整列させ、実験後にトラップチャネルに正圧を加えることにより、トラップした細胞を排出させ、後続実験のために新たな細胞をトラップできるようにする。細胞がサンプル領域にトラップされている間に、上記のように試薬を添加することができる。
【0086】
接着細胞
本発明の別の特定態様によると、細胞をデバイスの主チャネルで培養することにより細胞をサンプルに固定することもできる。細胞懸濁液を主チャネルに導入し、細胞を沈降させて基板に付着させる。付着後に、細胞供給と酸素化を維持するために主チャネルに培地を流すことができる。細胞がサンプル領域で基板に固着した後に、これらの細胞に上記のように所望試薬を添加することができる。特定例では、上部が開放したチャネルを構成することにより、ターゲット領域で接着細胞から従来の電気生理学的記録を行うためにガラスピペットを導入することができる。あるいは、上記のような集積システム又はデバイスを使用して電気生理学的記録を実施することもできる。
【0087】
注入チャネルへの可変圧印加
本発明の別の特定態様によると、注入チャネルをオン位置からオフ位置に迅速に転換するためには注入チャネルに印加される圧力をPON>PからPOFF<P(Pはこの場合も主チャネル内の圧力である)に迅速に転換する必要がある。これは図19に示すように高速三方ソレノイド弁(例えば、Leeバルブ)を使用することにより実施することができる。弁の一方の入口は大気圧に接続されており(即ちPOFF)、他方は加圧レザバーに接続されている(PON)。弁の出口は図示するように注入チャネルに供給する試薬レザバーに接続されている。
【0088】
8.マイクロフルイディック及び電気的インターフェース用中空円筒形電極のアレイ
本発明の別の特定態様によると、マイクロフルイディックチップの流体インターフェース及び電気的インターフェースの両者として機能するように中空Ag/AgCl円筒形電極の構成を上記パッチクランプシステム等のマイクロフルイディックシステムと併用することができる。特定態様では、流体はこれらの中空電極を流れるので、電気的接続と流体接続が設定される。このため、パッチクランプ用途で多用されていた壊れ易く、煩瑣で高価なAg/AgClペレット電極が不要になり、マイクロフルイディック回路も最小限になる。
【0089】
再使用できることと製造し易いことも、内蔵型オンチップ電極にまさる本発明の特定態様による電極アレイの重要な利点である。本発明の特定態様によると、インターフェースにより廉価なポリマーマイクロフルイディックデバイスを使い捨てにできる一方で、高価な組合せ電極は簡単に取り外して再使用することができる。
【0090】
本明細書に記載するようなポリマーパッチクランプデバイスはアレイ又は他の構成に配置することができる。多くの状況では、ペレット電極はデバイスと併用するのは煩瑣で高価である(各〜$10)。デバイス自体は1個当たり数ペニーで製造することができるが、電極のコストが高いことがコスト制限因子になっている。更に、精巧なペレット電極は特に流体が電極の周囲に流れる間に電極が流体チューブに入り込んでしまうため、壊れ易い。
【0091】
貴金属から作製した電極はガラス基板に堆積し易いが、Ag/AgClは難しい。集積薄膜Ag/AgCl電極が報告されているが、欠点がある(例えば、Kojima,K and Taura,T,Thin−Film Ag/AgCl Structure and Operational Modes to Realize Long−Term Storage,Journal of The Electrochemical Society,2001,148(12),pp.E468−E474参照)。DuPontはスクリーン印刷可能なAg/AgClペースト(BQ166)を開発したが、ガラス基板との接着性が不良である。より効率的にオンチップAg/AgCl電極を集積できるとしても、デバイスの製造コストが著しく高くなる。使い捨てポリマーデバイスを使用すると、高価な集積電極を1回使用後に無駄に廃棄することになる。
【0092】
本発明の特定態様によると、本明細書に記載するパッチクランプシステムを含む各種マイクロフルイディックシステムと効率的に接続できる低コスト電極が提供される。このような電極は例えば、高スループットスクリーニング用電気生理学的測定に不可欠である。従って、本発明は特定態様によると、例えば印刷回路基板(PCB)上に搭載される取り外し可能なAg/AgClアレイを使用して電極の周囲ではなく電極内に流体を流す。本発明の特定態様によるこれらの電極は電気接続のみならず、流体路としても機能する。
【0093】
特定例では、流体はサンプルロード用シリンジに接続するチューブにデバイスを接続する中空Ag/AgCl電極内を流れる。電極の構造とその他の処理能はマイクロフルイディックデバイスと接続するように特別に設計することができる。
【0094】
図20は本発明の特定態様によりデバイス及びチューブと接続する中空電極インターフェース(本例ではPCB上に構成)の模式図の1例を示す。同図では、導管/電極は当分野で自明の通り、他の装置と容易に電気接続できるように不動態化処理したラテラルコネクターを含む取り外し可能なPCBインターフェースに埋込まれている。同図では、マイクロフルイディックデバイス上のチャネル接続部及び場合により外部流体源と接続するように配置された6個の電極/導管の回路構成を示す。しかし、これは単なる構成例であり、他の適切な構成も可能である。
【0095】
図21は本発明の特定態様による中空電極インターフェースの1例の底面図を示す。図22は本発明の特定態様による中空電極インターフェースの1例のチューブ、インターフェース及びデバイスアセンブリの分解側面図を示す。同図では、マイクロフルイディクス/電気生理学的測定システムを交換可能/使い捨てエレメントと併用し易くするようにこれらの3個のエレメントを相互に接続する。
【0096】
9.診断及び薬剤開発用途
上述のように、特定細胞プロセスのアッセイの確認と検証後に、特定態様では可能な活性化合物をスクリーニングするため、対象を疾患関連分類に予想分類するため、物質の毒性を試験するため等の目的で本明細書に記載するデバイス及び/又はシステムを診断又は研究環境で使用する。本発明の方法によるデバイスは研究者、医師、医療従事者、病院、実験室、患者、企業及び他の機関により各種目的に利用することができる。例えば、デバイスは他の臨床及び疫学的関連用途のうちで特に疾患診断、疾患の重篤度の評価、疾患の将来の発病の予測、発病の将来の合併症の予測、疾患予後の診断、患者の危険の評価、現行薬剤治療応答の評価、現行非薬物療法応答の評価、患者に最適な投薬又は治療の決定、及び患者に最適な付加診断試験の決定に適用することができる。パッチクランプを使用して測定可能な細胞特性が確認されているほぼ任意の疾患、症状、又は状態を評価することができる。
【0097】
ウェブサイト態様
本発明の方法は局所又は分散データ環境で実施することができる。例えば、局所計算環境に関する1態様では、ユーザー入力及び出力特徴を備える計算装置と本発明の特定態様によるパッチクランプデバイスをリンクする。分散環境では、単一コンピューター、多重プロセス型コンピューター、あるいは複数のコンピューターで方法を実施することができる。
【0098】
キット
本発明の特定態様によるデバイスは場合によりキットとして使用者に提供される。一般に、本発明のキットは本明細書に記載する方法に従って作製した1個以上のパッチクランプデバイスを含む。大半の場合には、キットは適切な容器にパッケージングされた診断用センサーを含む。キットは一般に更に1種以上の付加試薬、例えば基板、チューブ及び/又は他の助剤、血液サンプルを収集するための試薬、緩衝液(例えば赤血球溶解用緩衝液、白血球溶解用緩衝液)、ハイブリダイゼーションチャンバー、カバースリップ等と、例えば上述のような本発明の統計的方法を含むソフトウェアパッケージと、集計データベースにアクセスするためのパスワード及び/又はアカウント番号を含む。キットは場合により更に対象物質を検知するためのキットコンポーネントの好ましい使用方法の詳細を記載した命令セット又はユーザーマニュアルを含む。
【0099】
命令に従って使用すると、キットにより使用者は疾患特異的細胞プロセスを識別することができる。キットにより、更に使用者は発現情報を取得して使用者に提供する中央データベースサーバーにアクセスできる。このような情報は使用者が付加診断特徴を発見するのに役立つ。上記に加えるか又はその代わりに、キットにより使用者(例えば医療従事者、臨床実験室、又は研究者)は(診断又は他の目的で)個体が対象の臨床関連分類に属する確率を決定することができる。HTSでは、本発明の特定態様によるキットにより、薬剤開発者又は医師は診断又は治療目的で1種以上の治療又は試薬に対する細胞応答を決定することができる。
【0100】
プログラム情報機器における態様
本発明は特定用途向け集積回路(ASIC)又はプログラマブル論理デバイス(PLD)の回路で全体又は一部を具体化することができる。このような場合には、本発明は本明細書に記載するように作動するASIC又はPLDを作成するために使用可能なコンピューターにより解読可能な記述言語で具体化することができる。
【0101】
集積システム
本発明の細胞及び他のデータの収集及び分析とデータベースの集計、保存及びアクセスのための集積システムは一般に配列検索及び/又は分析用命令セットを含むソフトウェアと、場合により高スループットサンプル制御ソフトウェア、画像分析ソフトウェア、収集データ解釈ソフトウェア、ディジタルコンピューターに機能的に連結された宛先(例えば検出装置)へソースからの溶液を移送するためのロボット制御アーマチュア、対象データをディジタルコンピューターに入力するため又は分析演算もしくはロボット制御アーマチュアによる高スループットサンプル移送を制御するための入力装置(例えばコンピューターキーボード)の1種以上を備えるディジタルコンピューターを含む。場合により、集積システムは更にパッチクランプデバイスをプローブするための電子シグナル発生器及び検出スキャナーを含む。スキャナーは例えば細胞膜の電気的特性の測定等によりハイブリダイズ及び/又は結合した被疑リガンドの存在又は強度の測定を行うために分析ソフトウェアとインターフェースすることができる。
【0102】
標準オペレーティングシステムを使用する容易に入手可能なコンピューターハードウェアリソースを利用し、本発明の集積システムで使用するように本明細書の教示に従って改変することができ、例えばPCが挙げられる(Intel x86又はPentiumチップコンパティブルDOS(登録商標),OS2(登録商標),WINDOWS(登録商標),WINDOWS NT(登録商標),WINDOWS95(登録商標),WINDOWS98(登録商標),LINUX(登録商標),あるいはMacintosh,Sun又はPC)。ソフトウェア技術における現行技術は本明細書に教示する方法をコンピューターシステムで実施するために十分である。従って、特定態様では、本発明は本明細書に教示する方法の1種以上を実施するための1組の論理命令(ソフトウェア、又はハードウェアでコードされた命令)を含むことができる。例えば、データ及び/又は統計分析を提供するためのソフトウェアはVisual Basic,Fortran,Basic,Java等の標準プログラミング言語を使用して当業者が作成することができる。このようなソフトウェアは種々の統計プログラミング言語、ツールキット又はライブラリーを使用して作成することができる。
【0103】
図23は本発明の各種側面を具体化することができる代表的な論理デバイスの1例を示すブロック図である。図23は媒体717及び/又はネットワークポート719からの命令を読取ることができる論理装置とみなすことができる情報機器(又はディジタルデバイス)700を示し、前記ネットワークポートは場合により固定媒体722をもつサーバー720に接続することができる。その後、装置700はこれらの命令を使用し、当分野で自明の通り、本発明の側面を具体化するようにサーバー又はクライエント論理回路に指示することができる。本発明を具体化することができる1種の論理装置は700に示すコンピューターシステムであり、CPU707と、場合により入力デバイス709及び711と、ディスクドライバー715と、場合によりモニター705を含む。このようなシステムをプログラミングするためには固定媒体717、又はポート719に接続した固定媒体722を使用することができ、ディスク型光学又は磁気媒体、磁気テープ、ソリッドステートダイナミック又はスタティックメモリ等が挙げられる。特定態様では、本発明はこの固定媒体に記録されるソフトウェアとして全体又は一部を具体化することができる。このようなシステムをプログラミングするために使用される命令を最初に受け取るためには通信ポート719も使用することができ、任意型の通信接続を示すことができる。
【0104】
本明細書に記載するデータ収集、相関、及び保存機能の側面と、他の望ましい機能を実施するためには遺伝アルゴリズムやニューラルネットワークを含む各種プログラミング法及びアルゴリズムを使用することができる。更に、ディジタル又はアナログコンピューターシステム等のディジタル又はアナログシステムは、入力及び出力ファイルの表示及び/又は制御等の他の各種機能を制御することができる。本発明の電気的分析法を実施するためのソフトウェアも本発明のコンピューターシステムに含まれる。
【0105】
場合により、本発明の集積システムは自動ワークステーションを含む。例えば、このようなワークステーションは組織又は血液サンプルからサンプルを作製する段階と;候補プローブ分子ライブラリーの全部又は一部を含む少なくとも1個のパッチクランプデバイスにサンプルを暴露する段階と;各種電気的測定により細胞反応を検出する段階を含む一連のイベントを実施することによりサンプルを作製及び分析することができる。細胞反応データはディジタル化され、適切なデータベースに記録される。
【0106】
固相及び液相高スループットサンプル作製及び評価用として自動及び/又は半自動法を利用可能であり、市販デバイス(例えば、細胞調製用ロボットデバイス)が対応している。上記に代わり、又はそれに加え、液体操作用ロボットシステムが各種業者から入手可能であり、例えば武田薬品(日本、大阪)により開発された自動合成装置等の自動ワークステーションや、科学者により実施される手動操作を真似たロボットアームを利用する多数のロボットシステム(Zymate II,Zymark Corporation,Hopkinton,Mass.;Orca,Beckman Coulter,Inc.(Fullerton,CA))が挙げられる。上記デバイスの任意のものが例えばライブラリー成分又は対象サンプルの高スループット分析のために本発明で使用するのに適している。これらのデバイスを(使用する場合には)本明細書に記載するように作動できるように変更する方法と実施は当業者に自明である。
【0107】
他の態様
以上、本発明を各種特定態様について記載したが、本発明はこれらの態様に限定されない。本発明の精神に含まれる変更は当業者に自明である。
【0108】
当然のことながら、本明細書に記載する実施例及び態様は例証の目的であり、これらの実施例及び態様に鑑みて種々の変形又は変更が本明細書の教示により当業者に示唆され、このような変形又は変更も本願の精神と趣旨及び特許請求の範囲に含むものとする。
【0109】
情報開示陳述の一部として提出した参考文献も含めて本明細書に引用するか又は本願に添付する全刊行物、特許、及び特許出願はその開示内容全体を参考として本明細書に組込む。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】(a)ガラスマイクロピペットを使用する従来のパッチクランプと、(b)オンチップ水平平面パッチクランプを含む所定の従来のパッチクランプ構成の比較を示す。
【図2A】本発明の各種態様による細胞操作デバイスの各側面の例を示す。
【図2B】本発明の各種態様による細胞操作デバイスの各側面の例を示す。
【図2C】本発明の各種態様による細胞操作デバイスの各側面の例を示す。
【図3】本発明の代替特定態様による細胞内溶液と細胞外溶液の迅速な交換を可能にする二重チャネルクランプ例の各側面を示す。
【図4】本発明の代替特定態様による単純なラテラルジャンクション細胞トラップ使い捨て同心円状クランプの1例を示す。
【図5】図5A−Bは本発明の特定態様によるラテラル細胞ジャンクションの開口の各種選択形状を示す。
【図6A】本発明の特定態様によるマイクロフルイディックプラットフォーム上の集積細胞操作アレイの1例の各側面を示す。
【図6B】本発明の特定態様によるマイクロフルイディックプラットフォーム上の集積細胞操作アレイの1例の各側面を示す。
【図6C】本発明の特定態様によるマイクロフルイディックプラットフォーム上の集積細胞操作アレイの1例の各側面を示す。
【図7A】本発明の特定態様によるラテラルトラップジャンクションと複数のマイクロフルイディック制御層をもつ集積細胞操作システムの構造例を示す。
【図7B】本発明の特定態様によるラテラルトラップジャンクションと複数のマイクロフルイディック制御層をもつ集積細胞操作システムの構造例を示す。
【図8】本発明の特定態様による集積細胞操作デバイスの作動例を示すブロック図である。
【図9】図9(a)−(d)は本発明の特定態様によるトラップチャネルに負圧(例えば2psi)を加えることによりHeLa細胞がラテラルジャンクションにトラップされる様子を示す顕微鏡動画像からの4フレームを示す。
【図10A】本発明の特定態様によるデバイスアレイの作製例を示す。
【図10B】本発明の特定態様によるデバイスアレイの作製例を示す。
【図10C】本発明の特定態様によるデバイスアレイの作製例を示す。
【図10D】本発明の特定態様によるデバイスアレイの作製例を示す。
【図10E】本発明の特定態様によるデバイスアレイの作製例を示す。
【図10F】本発明の特定態様によるデバイスアレイの作製例を示す。
【図10G】本発明の特定態様によるデバイスアレイの作製例を示す。
【図10H】本発明の特定態様によるデバイスアレイの作製例を示す。
【図10I】本発明の特定態様によるデバイスアレイの作製例を示す。
【図11】図11A及びBは本発明の特定態様によるデバイス例の細胞トラップ前(a)と後(b)の20mV電圧パルスに対する電流応答を示す。
【図12】本発明の特定態様によるキャピラリーのオリフィスにトラップされた細胞の各側面の各種画像を示す。
【図13】本発明の特定態様により記録した哺乳動物全細胞電流の1例を示すダイアグラムである。
【図14】本発明の特定態様による迅速試薬添加及び除去用基本設計ユニットの模式図である。
【図15】本発明の特定態様によりターゲットサンプル領域に複数の試薬を添加するための方法の1例を示す模式図である(チャネルn4がオンの状態を示す)。
【図16】本発明の特定態様によりサンプル領域に任意濃度を添加するための方法の1例を示す模式図である(本例ではマイクロフルイディックミキサーが流入圧/流速により駆動されている)。
【図17】本発明の特定態様により試薬を迅速に添加及び除去するためにターゲット領域に細胞を固定するためのトラップチャネルの使用を示す模式図である。
【図18】本発明の特定態様により試薬を迅速に添加及び除去できるようにサンプル領域基板に結合した接着細胞の問合せ用基本設計ユニットの模式図である。
【図19】本発明の特定態様により2個の圧力レザバーとソレノイド弁を使用することにより注入チャネルに可変圧を加えるための基本設計の模式図である。
【図20】本発明の特定態様によりデバイス及びチューブと接続する中空電極インターフェース(本例ではPCB上に構成)の模式図の1例を示す。
【図21】本発明の特定態様による中空電極インターフェースの1例の底面図を示す。
【図22】本発明の特定態様による中空電極インターフェースの1例のチューブ、インターフェース及びデバイスアセンブリの分解側面図を示す。
【図23】本発明の各種側面を具体化することができる代表的な論理デバイスの1例を示すブロック図である。
【図24】(表1)本発明の特定態様により評価することができるか又は薬剤もしくは他の治療を試験することができる疾患、症状、又は状態の1例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を容易にトラップでき、容易に光学特性を決定でき、複数の単一細胞の分析のために細胞を1回ロードすればよい集積マイクロフルイディックパッチクランプアレイチップに1個以上の対象細胞を導入する段階を含む細胞の1種以上の特性の検出方法。
【請求項2】
ディープエッチングを使用して幅の狭いパッチチャネルを規定する高さパターンを形成することにより型を作製する段階と;
幅の広い接続領域用のパターンを付加する段階と;
硬化性材料を型に導入して硬化させる段階と;
硬化した材料を型から取出す段階と;
チューブの接続用穴を開ける段階と;
前記穴を介してチューブをレザバーに接続し、細胞及び/又は電解液をロードし、パッチチャネルに吸引力を加える段階を含む集積パッチクランプデバイスの製造方法。
【請求項3】
更に前記型がシリコンから作製される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
更に前記型がセラミックから作製される請求項2に記載の方法。
【請求項5】
更に前記型が金属又は金属合金から作製される請求項2に記載の方法。
【請求項6】
更に前記型が表面マイクロマシニング技術を使用して形成される請求項2に記載の方法。
【請求項7】
更に幅の狭いパッチチャネルを規定する前記パターンが反応性イオンディープエッチングを使用して形成され;
更にフォトレジストを使用して幅の広い接続領域のパターンを付加する請求項2に記載の方法。
【請求項8】
更に前記成形用材料がポリジメチルシロキサン(PDMS)と硬化剤を含む請求項2に記載の方法。
【請求項9】
更にその後、成形したデバイスをPDMS薄層に結合し、スピンキャストした後にガラス基板上に硬化させる段階を含む請求項2に記載の方法。
【請求項10】
更にその後、成形したデバイスをPDMS薄層に結合し、スピンキャストした後にまず部分的に硬化させてからガラス基板に結合する段階を含む請求項2に記載の方法。
【請求項11】
基板と;
細胞を流体媒体中に保持することが可能な主レザバーと;
前記主レザバーの側面に形成された少なくとも1個のラテラル開口と;
前記少なくとも1個のラテラル開口に機能的に接続された少なくとも1個のトラップチャネルを含み;
前記主レザバー内の細胞が前記トラップチャネル内の負圧により前記ラテラル開口に選択的に固定できるように構成されている細胞トラップデバイス。
【請求項12】
更に前記基板が長さと幅と厚みを含む三次元構造であり、前記厚みが最小寸法であり;
前記主レザバーの前記側面が前記厚みとほぼ平行である請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
更に前記基板が長さと幅と厚みを含む三次元構造であり、前記厚みが最小寸法であり;
前記主レザバーの前記側面が前記厚みとほぼ平行である請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
更に前記主レザバーと前記トラップチャネルの間に電気的特性を測定するための少なくとも2個の電気接続部を含む請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
更に前記ラテラル開口が約3ミクロン×3ミクロン未満の有効寸法をもつ請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
更に前記主チャネルに少なくとも3個のラテラル開口を含み、前記ラテラル開口が40ミクロン未満の間隔で配置されている請求項11に記載のデバイス。
【請求項17】
更に前記ラテラル開口が独立パッチチャネルとして機能するように電気的に接続されている請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
更に前記ラテラル開口が独立パッチチャネルとして機能するように電気的に接続されており、30ミクロン未満の間隔の多重平行パッチ部位を提供するように水平面に配置されている請求項16に記載のデバイス。
【請求項19】
更に100μm〜1000μmのパッチ部位間距離の多重平行パッチ部位を提供するようにパッチチャネルが水平面に配置されている請求項17に記載のデバイス。
【請求項20】
更に前記デバイスの適当な位置まで物質を移動させるためのマイクロフルイディックフィーチャーを含む請求項11に記載のデバイス。
【請求項21】
基板と;
前記基板の最大寸法に平行に配置されており、流体媒体中に細胞を保持することが可能な主レザバーと;
前記主レザバーの側面に形成されており、少なくとも一部が複数のトラップチャネルと機能的に接続された複数のラテラル開口と;
流体中の細胞を前記主レザバーに導入するためのマイクロフルイディック入口と;
前記ラテラル開口に負圧を加えるための1個以上のマイクロフルイディックトラップ接続部を含み;
前記主レザバー内の細胞が前記ラテラル開口に選択的に固定されるように構成されている多重細胞トラップデバイス。
【請求項22】
更に前記基板がエラストマーから形成されており;
前記ラテラル開口が約3ミクロン×3ミクロン未満の横断面をもち;
前記ラテラル開口が約3ミクロン×3ミクロン未満の横断面をもつトラップチャネルに機能的に接続されている請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
基板と;
前記基板の最大寸法と平行に配置されており、細胞を主チャネルに流体懸濁保持するための手段と;
前記基板に形成されており、細胞を流体懸濁保持するための前記手段と機能的に接続されたラテラル細胞トラップ手段と;
細胞を前記ラテラルトラップ手段に選択的に固定するように前記ラテラル細胞トラップ手段に負圧を加えるための手段を含む多重細胞トラップデバイス。
【請求項24】
更に前記細胞保持手段と前記ラテラルトラップ手段の間に電気的特性を測定するための手段を含む請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
マイクロフルイディック送達を利用してサンプル領域に試薬を迅速に添加及び除去するデバイスであって、
サンプル領域と;
主チャネルと;
1個以上の注入チャネルを含み;
作動中に、ほぼ一定の流体流が主チャネルに供給され、前記注入チャネルが時間の関数として圧力により駆動されている前記デバイス。
【請求項26】
更に前記サンプル領域がトラップされた細胞、デバイス基板上の接着細胞、及び/又はマイクロアレイスポット等の他の反応斑を含むことができる請求項23に記載のデバイス。
【請求項27】
更に前記デバイスがエラストマーマイクロ成形による非常に簡単な成形加工を使用して作製することができる請求項23に記載のデバイス。
【請求項28】
更に前記主チャネルと前記注入チャネルがラテラル構成をもち、全チャネルがほぼ水平面に配置されている請求項23に記載のデバイス。
【請求項29】
更に前記1個以上の注入チャネルが多数の注入チャネルのアレイを含む請求項23に記載のデバイス。
【請求項30】
更に注入チャネルの上流に、試薬レザバーに接続された入口とストック溶液に接続された入口をもつマイクロフルイディックミキサーを含む請求項23に記載のデバイス。
【請求項31】
マイクロフルイディックアッセイチップを外部電気及び流体システムに接続するためのデバイスであって、複数の電気コネクターに接続された中空円筒形電気導体の構成を含む前記デバイス。
【請求項32】
更に前記導体が前記アッセイチップ上の流体接続部と機能的に接続するように配置されている請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
更に前記導体が外部流体システムとの流体カップリングと機能的に接続するように配置されている請求項31に記載のデバイス。
【請求項34】
更に前記電気コネクターが電子試験システムの電気ソケットと機能的に接続するように配置されている請求項31に記載のデバイス。
【請求項35】
更に前記中空円筒形電気導体がAg/AgClから構成される請求項31に記載のデバイス。
【請求項36】
更に前記中空円筒形電気導体が金属/金属塩化物合金から構成される請求項31に記載のデバイス。
【請求項37】
更に前記中空円筒形電気導体が金属/金属塩化物合金から構成される請求項31に記載のデバイス。
【請求項38】
更に前記中空円筒形電気導体が導電性ポリマーから構成される請求項31に記載のデバイス。
【請求項39】
更に前記中空円筒形電気導体が金属から構成される請求項31に記載のデバイス。
【請求項40】
更に前記中空円筒形電気導体が導電性セラミックから構成される請求項31に記載のデバイス。
【請求項41】
更に前記中空円筒形電気導体がマイクロフルイディックチップの流体インターフェースと電気的インターフェースの両者として機能するようにマイクロフルイディックシステムと併用することができる請求項31に記載のデバイス。
【請求項42】
更に流体が前記中空電極を流れるにつれて電気及び流体接続が設定される請求項31に記載のデバイス。
【請求項43】
更に前記中空電極が複数のマイクロフルイディックチップで再使用可能である請求項31に記載のデバイス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図10I】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2007−529203(P2007−529203A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503089(P2007−503089)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/008349
【国際公開番号】WO2005/089253
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(592130699)ザ・レジェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】