絶縁型コンバータ
【課題】交流直流変換回路を、PFC回路とフルブリッジ回路とを用いて構成する場合、磁気部品の数やスイッチング素子の数が増え、また、電力変換効率が低下しやすいこと。
【解決手段】交流電源10の電力は、整流回路RC1を介してコンバータCNVに入力される。コンバータCNVでは、整流回路RC1の出力を、一対の1次側コイルW1,W2を介して取り込み、これら1次側コイルW1,W2と磁気結合した2次側コイルW3を介して整流回路RC2に出力する。整流回路RC2の出力は、平滑用コイル12を介して出力用コンデンサ14に印加される。1次側コイルW1,W2の他方の端子のそれぞれは、スイッチング素子M1,M3の接続点と、スイッチング素子M2,M4の接続点とのそれぞれに接続されている。スイッチング素子M1〜M4の操作によって、電力変換処理を行なう。
【解決手段】交流電源10の電力は、整流回路RC1を介してコンバータCNVに入力される。コンバータCNVでは、整流回路RC1の出力を、一対の1次側コイルW1,W2を介して取り込み、これら1次側コイルW1,W2と磁気結合した2次側コイルW3を介して整流回路RC2に出力する。整流回路RC2の出力は、平滑用コイル12を介して出力用コンデンサ14に印加される。1次側コイルW1,W2の他方の端子のそれぞれは、スイッチング素子M1,M3の接続点と、スイッチング素子M2,M4の接続点とのそれぞれに接続されている。スイッチング素子M1〜M4の操作によって、電力変換処理を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電圧を変換して出力電圧として出力する絶縁型コンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
交流電力系統に接続して給電される電子機器の多くは、交流から直流に電力を変換する交流直流変換回路を有している。一般に、交流系統は不特定多数の機器が同時に接続されることが多いため、交流直流変換回路は、その故障によって電力系統を介して他に影響しないような設計がなされている。たとえば、一つの機器が内部で短絡故障したときに交流電源が短絡してしまわないよう保護をかける観点から、絶縁トランスを備えて1次側と2次側を絶縁することがこれに該当する。また、絶縁トランスの入出力電流が不連続となることに鑑み、直流交流変換回路は、交流電力系統に多量の電流高調波が流れることを防止するべく、絶縁トランスと交流電力系統の間にリアクトルで電流を平滑するようにしている。
【0003】
上記設計のなされた直流交流変換回路は、一般的には、交流電力を整流したものが入力されるPFC回路と呼ばれる昇圧コンバータと、昇圧コンバータの出力電圧が印加される絶縁型DCDCコンバータとを備えるものとなっている。しかし、この回路構成は、PFC回路と絶縁コンバータの2つのコンバータ回路が直列に接続されているため、以下の3つの問題を孕んでいる。
【0004】
まず第1に、磁気部品の数が多くなることである。すなわち、交流直流変換回路は、大電力を扱うため、効率を重視すべく、絶縁コンバータにフォワード型を用いる。このため、PFC回路のリアクトルと、絶縁コンバータのトランスと、平滑リアクトルとの3つの磁気部品を備えることとなる。
【0005】
第2に、スイッチング素子の数が多くなることである。すなわち、交流直流変換回路は、大電力を扱うため、絶縁トランスの磁気利用率を向上することを狙って、フルブリッジ型のコンバータを備えることが一般的である。そして、この場合、PFC回路を構成するスイッチング素子と、フルブリッジ回路を構成するスイッチング素子とで合計5つのスイッチング素子を備えることとなる。
【0006】
第3に、効率が低下しやすいことである。これは、交流直流変換回路がPFC回路と絶縁型コンバータとを備えることから、交流直流変換回路の効率はこれら2つの回路の効率の積となるためである。
【0007】
そこで従来、上記3つの問題のうち、第1の問題を解決すべく、下記特許文献1に見られるものも提案されている。これは、絶縁コンバータを構成する絶縁トランスおよびリアクトルの二つの磁気部品を一体的な磁心によって構成することで、磁気部品の数を低減する技術である。磁気部品はデッドスペースが大きいため、複合磁心を利用することにより回路の大型化を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4266951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ただし、上記特許文献1に記載の技術では、上記第1の問題を解決または低減することができるとはいえ、第2、第3の問題を解消することはできない。
【0010】
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、入力電圧を変換して出力電圧として出力する新たな絶縁型コンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
【0012】
請求項1記載の発明は、入力電圧を変換して出力電圧として出力する絶縁型コンバータにおいて、分岐点に接続された第1コイルおよび第2コイルと、前記第1コイルおよび前記第2コイルのうち前記分岐点側でないそれぞれの端子同士を接続する一対の電気経路と、該一対の電気経路の一方を開閉する開閉機能を有して且つ前記第1コイルに接続される第1流通規制要素と、前記一対の電気経路の一方を流れる電流の方向を一方向に制限する整流機能を有して且つ前記第2コイルに接続される第2流通規制要素と、前記一対の電気経路の他方に関して前記整流機能を有して且つ前記第1コイルに接続される第3流通規制要素と、前記一対の電気経路の他方に関して前記開閉機能を有して且つ前記第2コイルに接続される第4流通規制要素と、前記第1流通規制要素および前記第3流通規制要素の直列接続体、ならびに前記第2流通規制要素および前記第4流通規制要素の直列接続体に並列接続された平滑コンデンサと、前記第1コイルを貫いて且つ、前記第2コイルを貫かない第1ループ経路を構成する磁心と、前記第2コイルを貫いて且つ、前記第1コイルを貫かない第2ループ経路を構成する磁心と、前記第1ループ経路および前記第2ループ経路の双方によって貫かれる第3コイルとを備え、前記分岐点と前記一対の電気経路のいずれかとの間に入力電流を流すことで、前記第3コイルを介して電圧を出力することを特徴とする。
【0013】
上記発明では、第1流通規制要素および第4流通規制要素の開閉操作によって、入力電圧の変換処理を行なうことができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記入力電流が前記分岐点を介して前記第1コイルおよび前記第2コイルの双方に流入した場合に前記第1コイルおよび前記第2コイルのそれぞれに生じる磁束について、前記第3コイルを鎖交する方向が互いに逆となるようにしたことを特徴とする。
【0015】
上記発明では、第1ループ経路および第2ループ経路の双方が第3コイルを貫く部分において、分岐点から第1コイルに電流が流入する際に第1ループ経路に生じる磁束と、分岐点から第2コイルに電流が流入する際に第2ループ経路に生じる磁束とが逆方向となり、互いに打ち消しあう。このため、第3コイルを貫く部分に直流磁束が生じる事態を好適に抑制することができ、ひいてはこの部分の磁気飽和が生じにくくなる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記第1コイルおよび前記第2コイルのターン数が互いに等しいことを特徴とする。
【0017】
上記分岐点から第1コイルに流入する電流と第1コイルのターン数との積と、分岐点から第2コイルに流入する電流と第2コイルのターン数との積との和は、第1コイルおよび第2コイルの双方を貫いて且つ第3コイルを貫かないループ経路の磁束に比例する量となる。このため、双方のターン数が等しい場合、第1コイルに流れる電流と第2コイルに流れる電流との和も、上記磁束に比例した量となる。ここで、磁束は連続量であることから、上記発明では、分岐点に流入する入力電流の連続性を保つことができる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記第1ループ経路を構成する磁心と前記第2ループ経路を構成する磁心とは一体的に形成されていることを特徴とする。
【0019】
上記発明では、第1ループ経路を構成する磁心と第2ループ経路を構成する磁心との一対の磁心に関し、それらを小型化することが容易となる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記第1ループ経路は、前記第1コイルおよび前記第2コイルの双方を貫通して且つ前記第3コイルを貫かないループ経路と共通する部分において局所的に透磁率が小さい部分を有し、前記第2ループ経路は、前記第1コイルおよび前記第2コイルの双方を貫通して且つ前記第3コイルを貫かないループ経路と共通する部分において局所的に透磁率が小さい部分を有することを特徴とする。
【0021】
上記発明では、第1コイルや第2コイルを鎖交する磁束が必ず透磁率が小さい部分を通過することとなるため、この部分に効果的にエネルギを蓄えることができ、ひいては磁心の磁気飽和を好適に抑制することができる。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載の発明において、前記磁心は、前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルのいずれをも貫かない追加ループ経路をさらに構成するものであり、前記追加ループ経路が貫く第4コイルおよび第5コイルをさらに備え、前記第4コイルおよび前記第5コイルのそれぞれによって生じる磁束の大きさおよび方向が前記追加ループ経路において互いに等しくなるように結線されていることを特徴とする。
【0023】
上記発明では、第4コイルおよび第5コイルのそれぞれによって生じる磁束が、第1コイルや第2コイルを貫かないようにすることができる。このため、入力電圧の変換処理との干渉を回避しつつ、第4コイルおよび第5コイルのための磁心と、第1コイル、第2コイル、第3コイルのための磁心とを一体的に構成することで、磁心の小型化が容易となる。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、第1ループ経路を構成する磁心と前記第2ループ経路を構成する磁心とが各別の磁心であることを特徴とする。
【0025】
上記発明では、一対の磁心をトロイダルコア等によって構成することも可能である。
【0026】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、第1ループ経路と前記第2ループ経路とのそれぞれは、局所的に透磁率が小さい部分を有することを特徴とする。
【0027】
上記発明では、第1ループ経路と第2ループ経路とのそれぞれに透磁率が小さい部分を有することで、この部分に大きなエネルギを蓄えることができることから、磁心の磁気飽和を好適に抑制することができる。
【0028】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発明において、前記第1流通規制要素および前記第2流通規制要素または第3流通規制要素および第4流通規制要素に並列接続されるソフトスイッチング用コンデンサと、前記第1流通規制要素および前記第3流通規制要素の接続点と前記ソフトスイッチング用コンデンサとの間に接続されて且つ、前記第1流通規制要素の閉状態への切り替えに際して前記ソフトスイッチング用コンデンサに充電電流が流れることを許容して且つ逆方向の電流の流れを阻止する整流機能、および前記接続点と前記ソフトスイッチング用コンデンサとの間を開閉する開閉機能の少なくとも一方を有する第1ソフトスイッチング用流通規制要素と、前記第2流通規制要素および前記第4流通規制要素の接続点と前記ソフトスイッチング用コンデンサとの間に接続されて且つ、前記第4流通規制要素を閉状態に切り替えるに際して、前記ソフトスイッチング用コンデンサからの放電電流が流れることを許容して且つ逆方向の電流の流れを阻止する整流機能、および前記ソフトスイッチング用コンデンサと前記接続点との間を開閉する開閉機能の少なくとも一方を有する第2ソフトスイッチング用流通規制要素と、をさらに備えることを特徴とする。
【0029】
上記発明では、第1流通規制要素や第4流通規制要素の閉操作をソフトスイッチングとすることができる。
【0030】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発明において、前記第2流通規制要素および前記第3流通規制要素は、いずれも前記開閉機能を有するものであることを特徴とする。
【0031】
上記発明では、第2流通規制要素と第3流通規制要素とを流れる電流を双方向とすることができるため、第2コイル、第1コイル、第3流通規制要素、および第4流通規制要素を備えるループ経路に還流電流が流れる事態を回避する制御が容易となる。
【0032】
請求項11記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の発明において、前記第1流通規制要素および前記第4流通規制要素の双方が開状態となる期間と、前記第1流通規制要素および前記第4流通規制要素の双方が閉状態となる期間とを同一に設定したことを特徴とする。
【0033】
第1流通規制要素および前記第4流通規制要素の双方が開状態となる期間と、第1流通規制要素および前記第4流通規制要素の双方が閉状態となる期間とで、第3コイルを貫通する磁束量の増減が逆であり、増減量の絶対値は等しくなる。このため、これら一対の期間を同一とすることで、第3コイルを貫く部分を交流磁束とすることが容易となり、ひいては、この部分の磁心を小型化することができる。
【0034】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の発明において、前記入力電圧は、交流電源の出力する交流電力を整流する整流回路の出力電圧であることを特徴とする。
【0035】
上記絶縁型コンバータは、整流回路の出力電圧を取り込みこれを所定の出力電圧に高効率で変換して出力することができる。このため、整流回路の出力電圧を昇圧回路およびフルブリッジ回路を用いて変換する場合と比較して、スイッチング素子の数を低減することなどが容易となる。
【0036】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の発明において、前記入力電流の位相を前記入力電圧の位相に同期させるべく、前記第1流通規制要素および前記第4流通規制要素を操作する操作手段をさらに備えることを特徴とする。
【0037】
上記発明では、力率を1に近い状態に制御することができるため、電力変換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1の実施形態にかかるシステム構成図。
【図2】同実施形態にかかる入力電力の制御手法を示すタイムチャート。
【図3】同実施形態にかかる入力電流波形を示すタイムチャート。
【図4】同実施形態の原理を説明するための図。
【図5】第2の実施形態にかかるシステム構成図。
【図6】第3の実施形態にかかるコンバータを示す図。
【図7】第4の実施形態にかかるシステム構成図。
【図8】第5の実施形態にかかるシステム構成図。
【図9】第6の実施形態にかかるシステム構成図。
【図10】第7の実施形態にかかるシステム構成図。
【図11】上記各実施形態の変形例にかかる整流回路を示す図。
【図12】上記各実施形態の変形例にかかる整流回路を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる絶縁型コンバータを車載システムに適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0040】
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
【0041】
図示される交流電源10は、車両の外部にある商用電源である。交流電源10の交流電力は、整流回路RC1によって整流され、コンバータCNVに取り込まれる。コンバータCNVでは、入力電力を、整流回路RC2および平滑用コイル12を介して出力用コンデンサ14に出力する。出力用コンデンサ14の端子電圧は、コンバータCNVの出力する直流の出力電圧Voutとして、図示しないバッテリに印加される。
【0042】
上記コンバータCNVは、整流回路RC1の出力端子に接続される一対の1次側コイルW1,W2を備えている。1次側コイルW1の他方の端子は、スイッチング素子M1,M3の接続点に接続されており、1次側コイルW2の他方の端子は、スイッチング素子M2,M4の接続点に接続されている。ここで、スイッチング素子M1〜M4は、NチャネルMOS電界効果トランジスタであり、これらのそれぞれには、ダイオードD1〜D4がそれぞれ逆並列に接続されている。なお、ダイオードD1〜D4は、スイッチング素子M1〜M4の寄生ダイオードであってもよい。
【0043】
上記スイッチング素子M1,M3の直列接続体と、スイッチング素子M2,M4の直列接続体とは、平滑コンデンサ19に並列接続されている。
【0044】
一方、上記1次側コイルW1,W2は、上記整流回路RC2に接続される2次側コイルW3と、コア20によって磁気結合されている。ここで、コア20は、足21,22,23が接続部24,25によって結合されたEEコアである。詳しくは、1次側コイルW1と1次側コイルW2とのそれぞれは、接続部24のうちの足22が接続される部分の両側のそれぞれによって貫かれており、2次側コイルW3は、足22によって貫かれている。なお、足21,23には、低透磁率部材Lμがはめ込まれている。ここで、低透磁率部材Lμは、コア20を構成する部材(たとえばフェライト)と比較して透磁率の小さい部材であり、たとえばプラスチックや樹脂等とすればよい。
【0045】
なお、本実施形態では、上記1次側コイルW1の巻数(ターン数N1)と1次側コイルW2のターン数N2とを互いに等しいターン数Nに設定している。ここで、ターン数とは、コイルの鎖交磁束をコイル内の磁束で割った値のことである。
【0046】
制御装置30は、スイッチング素子M1〜M4に操作信号ms1〜ms4を出力することで、これらスイッチング素子M1〜M4をオン・オフ操作し、これにより、上記出力電圧を制御する。以下、これについて詳述する。
【0047】
スイッチング素子M1〜M4の操作によって、1次側コイルW1,W2に電流を流すためには、スイッチング素子M1,M3のうちのいずれか一方と、スイッチング素子M2,M4のうちのいずれか一方とをオン操作することが要求される(ただし、ここでは、ダイオードD1〜D4に順方向電流が流れる場合であっても、対応するスイッチング素子をオンするとしている)。この場合、スイッチング素子M1〜M4のオン・オフ操作の組み合わせは、4通りとなる。以下、これらを状態A〜状態Dとして、順に説明した後、状態A〜状態Dの切り替え処理について説明する。なお、1次側コイルW1,W2や平滑用コイル12を流れる電流I1,I2,I3の向きは、図中、矢印で示した向きを正とする。また、足21,22,23の磁束φ1,φ3,φ2の方向についても、図中、矢印で示した向きを正とする。
【0048】
「状態A:スイッチング素子M1,M2がオン、スイッチング素子M3,M4がオフ」
この状態では、1次側コイルW1に入力電圧Vinが印加されるため、以下の式(c1)が成立する。
【0049】
dφ1/dt=Vin/N …(c1)
一方、1次側コイルW2にも入力電圧Vinが印加されるため、図に示した磁束の向きに注意すると、以下の式(c2)が成立する。
【0050】
dφ2/dt=−Vin/N …(c2)
ここで、図示される向きに定めた磁束φ1〜φ3の間には「φ3=φ1+φ2」の関係が成立することに注意すると、以下の式(c3)が成立する。
【0051】
dφ3/dt=0 …(c3)
上記の式(c3)によれば、この状態においては、2次側コイルW3には電圧が誘起されない。このため、2次側コイルW3を介して出力される電流の変化は、平滑用コイル12のインダクタンスLと、出力電圧Voutとに応じて以下の式(c4)にて表現される。
【0052】
dI3/dt=−Vout/L …(c4)
また、この間、平滑コンデンサ19に電流は流れないため、以下の式(c5)が成立する。
【0053】
dVs/dt=0 …(c5)
「状態B:スイッチング素子M1,M4がオン、スイッチング素子M2,M3がオフ」
この場合、磁束φ1については、状態Aと同様に以下の式(c1)が成立する。
【0054】
dφ1/dt=Vin/N …(c1)
一方、1次側コイルW2には、入力電圧Vinと平滑コンデンサ19の電圧Vsとの差圧が印加されるため、以下の式(c6)が成立する。
【0055】
dφ2/dt=(Vs−Vin)/N …(c6)
ここで、「φ3=φ1+φ2」を用いると、以下の式(c7)が成立する。
【0056】
dφ3/dt=Vs/N …(c7)
また、平滑用コイル12に、出力電圧Voutと2次側コイルW3の電圧との差圧が印加されることから、平滑用コイル12を流れる電流I3は、2次側コイルW3のターン数N3を用いると、以下の式(c8)によって表現される。
【0057】
dI3/dt=(N3・Vs/N−Vout)/L …(c8)
また、平滑コンデンサ19を介して流れる電流が「C・dVs/dt」であることと、上記の式(c7)に示す磁束φ3の変化に伴いレンツの規則に従って2次側コイルW3を流れる電流の極性が定まることとに鑑みれば、1次側コイルW2および2次側コイルW3の双方を貫通するループ経路にアンペールの法則を適用することで、以下の式(c9)が成立する。ただし、この際、足22の磁気抵抗R3と、足23のうちの低透磁率部材Lμの磁気抵抗R2を用いた。これは、1次側コイルW2および2次側コイルW3の双方を貫くループ経路のうち足22以外の部分の磁気抵抗にとって、低透磁率部材Lμの磁気抵抗R2が支配的であることに鑑みた近似である。
【0058】
R2・φ2+R3・φ3=−C・N・dVs/dt−N3・I3
dVs/dt=−(R2・φ2+R3・φ3+N3・I3)/(C・N) …(c9)
「状態C:スイッチング素子M2,M3がオン、スイッチング素子M1,M4がオフ」
この場合、1次側コイルW1に入力電圧Vinと平滑コンデンサ19の電圧Vsとの差圧が印加され、1次側コイルW2に入力電圧Vinが印加されることに注意すると、以下の式が成立する。
【0059】
dφ1/dt=(Vin−Vs)/N …(c10)
dφ2/dt=−Vin/N …(c11)
dφ3/dt=−Vs/N …(c12)
dI3/dt=(N3・Vs/N―Vout)/L …(c13)
dVs/dt=(R1・φ1+R3・φ3+N3・I3)/(C・N) …(c14)
「状態D:スイッチング素子M3,M4がオン、スイッチング素子M1,M2がオフ」
この場合、1次側コイルW1,W2の双方に入力電圧Vinと平滑コンデンサ19の電圧Vsとの差圧が印加されることに注意すると、以下の式が成立する。
【0060】
dφ1/dt=(Vin−Vs)/N …(c15)
dφ2/dt=(Vs−Vin)/N …(c16)
dφ3/dt=0 …(c17)
dI3/dt=(―Vout)/L …(c18)
dVs/dt=(R1・φ1―R2・φ2)/(C・N) …(c19)
「状態A〜状態Dの切り替え処理」
状態A,状態B,状態C,状態Dのそれぞれの継続時間の和に対する各時間の時比率を時比率Da,Db,Dc,Ddとする。ここで、「Da+Db+Dc+Dd=1」である。本実施形態では、これら時比率Da,Db,Dc,Ddの操作によって、図2に示すように、入力電圧Vinと入力電流Iinとの位相を同期させる処理を行なう。これは、力率を「1」に制御することで、電力変換効率を向上させるための設定である。以下、これについて説明する。
【0061】
磁束φ1,φ2,φ3や電流I3、電圧Vsの時間変化についての状態A〜状態Dの一周期に渡る平均値は、以下の式で表現される。ただし、A(x)は、xの平均値のこととする。
【0062】
A(dφ1/dt)={Vin−(Dc+Dd)・Vs}/N …(c20)
A(dφ2/dt)={(Db+Dd)・Vs−Vin}/N …(c21)
A(dφ3/dt)=(Db−Dc)・Vs/N …(c22)
A(dI3/dt)
={(Db+Dc)・N3・Vs/(N・L)}―Vout/L …(c22)
A(dVs/dt)
={(Dc+Dd)・R1・φ1−(Db+Dd)・R2・φ2
+(Db−Dc)・R3・φ3−(Db+Dc)・N3・I3}/(C・N)
…(c23)
ここで本実施形態では、制御の簡素化のため、「R1=R2」、「Db=Dc=D」とする。ここで、磁気抵抗R1と磁気抵抗R2とを等しくするためには、足21,23の形状や寸法を同一とし、低透磁率部材Lμを同一としたうえで、接続部24,25の経路の断面積を一定とすることで実現することができる。以下では、「Dc+Dd=m」とし、時比率Dと和比率mとを操作することとする。ちなみに、「m=Db+Dd」でもある。
【0063】
入力電流Iinは、1次側コイルW1,W2の双方を鎖交するループ経路にアンペールの法則を適用することで、以下の式(c24)にて表現される。
【0064】
Iin=(R1・φ1−R2・φ2)/N=R・(φ1−φ2)/N …(c24)
上記の式(c24)を時間で微分し、上記の式(c20)、(c21)を用いると、以下の式(c25)が得られる。
【0065】
dIin/dt=2・R・(Vin−m・Vs)/(N・N) …(c25)
また、上記の式(c23)に上記の式(c24)を適用すると、以下の式(c26)が得られる。
【0066】
dVs/dt=(m・Iin−2D・N3・I3/N)/C …(c26)
上記の式(c22)は、以下の式(c27)に変形できる。
【0067】
dI3/dt=2・D・N3・Vs/(N・L)−Vout/L …(c27)
ここで、平滑コンデンサ19の静電容量Cを、交流電源10の交流電圧Vの周期にわたってその電圧Vsの変動が十分に小さくなるように十分に大きく設定する。この場合、電圧Vsを一定とすることができることから、上記の式(c25)によれば、和比率mの操作によって、入力電流Iinを増減制御することができることがわかる。このため、和比率mの操作によって、入力電圧Vinと入力電流Iinとの位相を同期させる力率1の制御が可能となる。また、上記の式(c27)によれば、時比率Dの操作によって、出力電流(電流I3)を増減制御することができることがわかる。
【0068】
上記の式(c26)の両辺を時間平均する場合、入力電力と出力電力とが一致する定常状態においては、A(dVs/dt)=0となることから、以下の式(c28)が成立する。
【0069】
A(mIin)=2・N3・A(D・I3)/N …(c28)
ここで、説明の簡素化のため、出力用コンデンサ14に接続される負荷が準定常的であると仮定する。すなわち、交流電源10の交流電圧Vの周期程度では要求電力の変動がゼロとみなせるものとする。この場合、上記の式(c27)の時間平均を取ると、左辺がゼロとなることから、以下の式(c29)が成立する。
【0070】
A(D)=N・Vout/(2・N3・Vs) …(c29)
上記の式(c29)を、上記の式(c28)に代入することで、以下の式(c30)が得られる。
【0071】
A(m・Iin)=Vout・A(I3)/Vs …(c30)
一方、上記の式(c25)の両辺の時間平均を取ると、負荷が準定常と仮定されるために、入力電力の平均値も一定となることから、以下の式(c31)が得られる。
【0072】
A(m)=A(Vin)/Vs …(c31)
ここで、入力電圧Vinを、以下の式(c32)によって表現する。
【0073】
Vin=π・A(Vin)・|sinωt|/2 …(c32)
上記の式(c31),(c32)を、上記の式(c25)に代入することで、以下の式(c33)が得られる。
【0074】
dIin/dt
=2・R・A(Vin)・(π・|sinωt|/2−m/A(m))/(N・N)
…(c33)
ここで、力率1制御の場合、入力電流Iinは、入力電圧Vinに比例するため、以下の式(c34)が成立する。
【0075】
Iin=π・A(Iin)・|sinωt|/2 …(c34)
これを時間微分して以下の式(c35)が得られる。
【0076】
dIin/dt=(d|sinωt|/dt)・π・A(Iin)・ω/2
…(c35)
上記の式(c35)を上記の式(c33)に代入すると、以下の式が成立する。
【0077】
m/A(m)
=π・|sinωt|/2
−(d|sinωt|/dt)・π・N・N・A(Iin)ω/{4・R・A(Vin)}
…(c36)
上記の式(c36)の右辺第2項のうち「N・N/2R」は、1次側コイルW1,W2の双方を貫通するループ経路と1次側コイルW1とで構成されるリアクトルのもつインダクタンスであり、これは、通常、「数百μH」程度となり十分小さい。したがって、通常右辺第2項は、右辺第1項と比較して無視しうる。このため、上記の式(c36)は、以下の式(c37)によって近似される。
【0078】
m=π・A(m)・|sinωt|/2 …(c37)
上記の式(c37)からわかるように、入力電圧Vinに応じて和比率mを脈動させることで、力率を「1」に制御することができる。なお、実際には、この制御は、入力電流Iinの位相を制御量とし、これを入力電圧Vinの位相にフィードバック制御することで実現してもよい。
【0079】
このように、本実施形態では、和比率mによって力率を制御することができる。また、時比率Dによって出力電流(電流I3)を制御することができる。このとき、平滑コンデンサ19の電圧Vsは、和比率mの平均値に応じて、上記の式(c31)によって定まる値に落ち着く。また、出力電圧Voutは、時比率Dに応じて、上記の式(c29)によって定まる値に落ち着く。
【0080】
なお、上記スイッチング素子M1〜M4の操作は、図3に示すように、状態B,状態A,状態C,状態Dの順に行われる。なお、図3には、1次側コイルW1,W2を流れる電流I1,I2の挙動を併せ示している。
【0081】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0082】
(1)4つのスイッチング素子M1〜M4を備えるコンバータCNVを用いることで、交流電源10の交流電圧Vを直流の出力電圧Voutとして出力することができる。この際、磁心としては、コア20および平滑用コイル12の磁心の2つで済む。
【0083】
(2)入力電流Iinのリップルを低減することができる。これは、入力電流Iinが1次側コイルW1、W2のそれぞれに流入する場合に、1次側コイルW1,W2の双方を鎖交するループ経路(図4の破線)において、1次側コイルW1,W2のそれぞれに生じる磁束が同一方向となるように設定したためである。すなわち、この場合、図4に破線にて示す経路にアンペールの法則を適用すると、上記の式(c24)が成立する。上記の式(c24)の右辺は、図4に破線にて示す経路の磁束に磁気抵抗を乗算したものである。ここで、磁束は連続量であるため、右辺は、連続量である。このため、左辺も連続量となるため、入力電流Iinを連続量とすることができる。このため、入力電流Iinが不連続となる場合と比較して、入力電流Iinのリップルを低減することができる。
【0084】
(3)足21,23に低透磁率部材Lμを設けた。これにより、低透磁率部材Lμに大きなエネルギを蓄えることができることから、コア20の磁気飽和を好適に抑制することができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0085】
図5に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図5において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0086】
図示されるように、本実施形態では、1次側コイルW1および2次側コイルW3の双方を貫いて且つ1次側コイルW2を貫かないトロイダルコア(コア20a)と、1次側コイルW2および2次側コイルW3の双方を貫いて且つ1次側コイルW1を貫かないトロイダルコア(コア20b)とを備える。この場合、コア20a,20bが円環状であることにより、発熱が起こりやすい角部が存在しないため、コンバータCNVの放熱性を向上させることができる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0087】
図6に、本実施形態にかかるコンバータCNVの構成を示す。なお、図6において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0088】
図示されるように、本実施形態では、先の図1に示した平滑用コイル12を、互いに同一の電圧が印加される一対のコイルW4,W5として且つ、それらの磁心を、1次側コイルW1,W2や2次側コイルW3の磁心と一体的に構成する。これは、コア20に、コイルW4,W5のそれぞれを鎖交する足26,27を追加することで実現される。
【0089】
ここで、コイルW4,W5によって生じる磁束と1次側コイルW1,W2や2次側コイルW3の磁束とが干渉しないためには、第1に、コイルW4,W5の双方を鎖交するループ経路におけるコイルW4によって生じる磁束の方向および大きさとコイルW5によって生じる磁束の方向および大きさとを同一とすることが必要である。第2に、コイルW4,W5の双方を鎖交するループ経路と1次側コイルW1,W2の双方を鎖交するループ経路との共通領域に、1次側コイルW1,W2や低透磁率部材Lμを設けないことが必要である。上記第1の条件は、コイルW4,W5の両端を互いに接続した上で、ターン数を互いに等しくするとともに、コイルW4,W5の巻き方によって実現されている。ここでは、コイルW4,W5に印加される電圧の絶対値が互いに等しいことを利用している。また、第2の条件は、低透磁率部材Lμを、足21,23,26,27に設けて且つ、足21,22のそれぞれが1次側コイルW1,W2を鎖交するようにすることで実現されている。
【0090】
特に、本実施形態では、コイルW4,W5に電圧が印加されることで生じる磁束の直流成分の方向と、コイルW1、W2に電圧が印加されることで生じる磁束の直流成分の方向とが、1次側コイルW1,W2の双方を鎖交するループ経路とコイルW4,W5の双方を鎖交するループ経路との共通領域上で逆方向となるように設定している。これにより、本実施形態において共通領域となる接続部24,25の磁束を低減することできるため、コア20を小型化することができる。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0091】
図7に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図7において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0092】
図示されるように、本実施形態では、平滑コンデンサ19に、これを電源とする負荷39を並列接続した。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0093】
図8に、本実施形態にかかるコンバータCNVの構成を示す。なお、図8において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0094】
本実施形態では、ソフトスイッチングを行なうべく、スイッチング素子M1,M3の接続点と、スイッチング素子M2,M4の接続点との間に補助回路を追加した。すなわち、スイッチング素子M1には、ソフトスイッチング用ダイオードDc、ソフトスイッチング用スイッチング素子Saを介して、ソフトスイッチング用コンデンサ40が並列接続されている。ここで、ソフトスイッチング用ダイオードDcは、ソフトスイッチング用コンデンサ40側からスイッチング素子M1側への電流の流れを阻止するための整流手段である。また、ソフトスイッチング用コンデンサ40は、ソフトスイッチング用スイッチング素子Sbおよびソフトスイッチング用ダイオードDdを介してスイッチング素子M2に並列接続されている。ここで、ソフトスイッチング用ダイオードDdは、スイッチング素子M2側からソフトスイッチング用コンデンサ40側への電流の流れを阻止するための整流手段である。なお、上記ソフトスイッチング用スイッチング素子Sa,Sbには、寄生ダイオード(ダイオードDa,Db)が逆並列に接続されている。
【0095】
こうした構成によれば、ソフトスイッチング用スイッチング素子Saがオンされて且つソフトスイッチング用スイッチング素子Sbがオフされた状態でスイッチング素子M1をオフ操作することで、スイッチング素子M1の入力端子および出力端子間の電圧の上昇速度をソフトスイッチング用コンデンサ40によって制限することができる。また、ソフトスイッチング用スイッチング素子Saがオフされて且つソフトスイッチング用スイッチング素子Sbがオンされた状態でスイッチング素子M4をオフ操作することで、スイッチング素子M4の入力端子および出力端子間の電圧の上昇速度を、ソフトスイッチング用コンデンサ40の放電速度によって制限することができる。
<第6の実施形態>
以下、第6の実施形態について、先の第5の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0096】
図9(A)に、本実施形態にかかるコンバータCNVの構成を示す。なお、図9(A)において、先の図8に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0097】
図9(A)に示されるように、本実施形態では、ソフトスイッチング用スイッチング素子Saを削除し、これに対応して、図9(B)に示すように、スイッチング素子M1がオンした状態でスイッチング素子M4のオフ操作を行なうスイッチングパターンとする。これにより、スイッチング素子M4のオフ操作に伴ってソフトスイッチング用コンデンサ40が放電するに際し、スイッチング素子M1側からソフトスイッチング用ダイオードDcを介してソフトスイッチング用コンデンサ40へと電流が流入する事態を回避することができる。
<第7の実施形態>
以下、第7の実施形態について、先の第5の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0098】
図10(A)に、本実施形態にかかるコンバータCNVの構成を示す。なお、図10(A)において、先の図8に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0099】
図10(A)に示されるように、本実施形態では、スイッチング素子M2,M3を削除し、スイッチング素子M1およびダイオードD3の直列接続体と、ダイオードD2およびスイッチング素子M4の直列接続体との並列接続体を平滑コンデンサ19に並列接続する。
【0100】
これにより、1次側コイルW2,W1、ダイオードD3およびスイッチング素子M4を備えるループ経路に還流電流が流れることで、電力変換効率は上記第1の実施形態にかかるものと比較して低下しやすくなるものの、スイッチング素子の数を低減することができる。
【0101】
さらに、本実施形態では、ソフトスイッチングを行なうための補助回路から、ソフトスイッチング用スイッチング素子Sbを削除し、これに対応して、図10(B)に示すように、スイッチング素子M4がオンした状態でスイッチング素子M1のオフ操作を行なうスイッチングパターンとする。これにより、スイッチング素子M1がオフするに際し、ソフトスイッチング用コンデンサ40からソフトスイッチング用ダイオードDbを介して電流が出力されることを回避することができる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0102】
「一体磁心における各コイルが鎖交する足の配置について」
上記各実施形態において例示したものに限らず、たとえば、図6において、1次側コイルW1,W2を鎖交する足21,23を足26,27の外側に配置してもよい。またたとえば、先の図1に示した構成において、足21,23のそれぞれに1次側コイルW1,W2のそれぞれを貫かせて且つ、足22と足21との幾何学的な配置を入れ替えてもよい。また、たとえばこの構成において、2次側コイルW3が足21,23の双方によって貫かれるようにしてもよい。
「第1〜第4流通規制要素について」
スイッチング素子M1〜M4としては、MOS電界効果トランジスタに限らず、たとえば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)であってもよい。
【0103】
「1次側コイルW1,W2のターン数の設定について」
1次側コイルW1,W2のターン数N1,N2が互いに等しい設定に限らない。ただし、等しい設定とすることで、入力電流Iinの連続性を保ちやすい。
【0104】
「低透磁率部材Lμについて」
低透磁率部材Lμとしては、プラスチックや樹脂等、コア20と一体的に構成される部材に限らない。また低透磁率部材Lμを設ける代わりに、ギャップを設けてもよい。なお、2次側コイルW3を貫く足22にもギャップ等を設けてもよい。
【0105】
「コイルW4,W5について」
たとえば磁束φ4,φ5の方向を上記第3の実施形態とは逆としてもよい。この場合であっても、磁束φ1,φ2,φ3との干渉を回避しつつも、コア20の一体化に伴う小型化のメリットを享受することはできる。
【0106】
また、コイルW4,W5としては、平滑用コイル12の機能を持つものに限らない。別の用途のコイルであっても、1次側コイルW1,W2や2次側コイルW3と磁心を共有することで、体格を低減することはできる。
【0107】
「操作手段について」
上記第1の実施形態において例示した手法によってスイッチング素子M1〜M4を操作するものに限らない。たとえば、上記の式(c20)〜(c23)に基づく状態方程式を直接扱ってもよい。
【0108】
「コンバータの用途について」
交流電圧を直流電流に変換するために用いるものに限らない。たとえば、昇圧コンバータを構成してもよい。この場合であっても、たとえば、1次側コイルW1,W2のターン数N1,N2を等しくすることで、入力電流Iinの連続性を保つことができることから、入力電流のリップルを低減することが容易となる。
【0109】
ちなみに、昇圧コンバータ等とする場合については、定常状態において、上記の式(c20)〜(c23)の左辺はゼロとなる。このため、以下の式が導出される。
【0110】
Vs=Vin/(Dc+Dd) …(c38)
Db=Dc …(c39)
Vout=(Db+Dc)・N3・Vs/N …(c40)
上記の式(c38)において、入力電圧Vinが直流の場合、平滑コンデンサ19の電圧Vsは、時比率Dc,Ddが変動しない限り変動しない。このため、上記の式(c39)を満足するように時比率を操作することで、上記の式(c40)に示すように、出力電圧Voutを直流電圧として出力することができる。
【0111】
「整流回路について」
整流回路RC1,RC2については、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば、図11(a)〜図11(d)に、2次側コイルW3に接続される整流回路として例示されるような回路であってもよい。
「分岐点を流れる電流について」
1次側コイルW1,W2の接続点からそれら1次側コイルW1,W2側に電流が流入する構成に限らない。たとえば図12に示すように、スイッチング素子M1,M4側から入力電流が流入し、上記接続点から流出するようにしてもよい。なお、図12において、先の図1に示した部材に対応する部材については、便宜上同一の符号を付している。図12に示す構成においても、先の図9に示した構成のように、スイッチング素子M2,M3を削除してもよい。ただし、ソフトスイッチングを行なう場合、ダイオードDc,Ddの向きは逆となる。
「ソフトスイッチング用コンデンサについて」
スイッチング素子M1,M2に並列接続する代わりに、スイッチング素子M3,M4に並列接続してもよい。
【0112】
「そのほか」
1次側コイルW1,W2に、整流回路RC1の出力電圧を印加するものに限らない。たとえば整流回路RC1と1次側コイルW1,W2との間に、フィルタとしてのインダクタを備えてもよい。
【0113】
なお、絶縁型コンバータとしては、車両に搭載されるものにも限らない。
【符号の説明】
【0114】
10…商用電源、19…平滑コンデンサ、20…コア、30…制御装置、RC1,RC2…整流回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電圧を変換して出力電圧として出力する絶縁型コンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
交流電力系統に接続して給電される電子機器の多くは、交流から直流に電力を変換する交流直流変換回路を有している。一般に、交流系統は不特定多数の機器が同時に接続されることが多いため、交流直流変換回路は、その故障によって電力系統を介して他に影響しないような設計がなされている。たとえば、一つの機器が内部で短絡故障したときに交流電源が短絡してしまわないよう保護をかける観点から、絶縁トランスを備えて1次側と2次側を絶縁することがこれに該当する。また、絶縁トランスの入出力電流が不連続となることに鑑み、直流交流変換回路は、交流電力系統に多量の電流高調波が流れることを防止するべく、絶縁トランスと交流電力系統の間にリアクトルで電流を平滑するようにしている。
【0003】
上記設計のなされた直流交流変換回路は、一般的には、交流電力を整流したものが入力されるPFC回路と呼ばれる昇圧コンバータと、昇圧コンバータの出力電圧が印加される絶縁型DCDCコンバータとを備えるものとなっている。しかし、この回路構成は、PFC回路と絶縁コンバータの2つのコンバータ回路が直列に接続されているため、以下の3つの問題を孕んでいる。
【0004】
まず第1に、磁気部品の数が多くなることである。すなわち、交流直流変換回路は、大電力を扱うため、効率を重視すべく、絶縁コンバータにフォワード型を用いる。このため、PFC回路のリアクトルと、絶縁コンバータのトランスと、平滑リアクトルとの3つの磁気部品を備えることとなる。
【0005】
第2に、スイッチング素子の数が多くなることである。すなわち、交流直流変換回路は、大電力を扱うため、絶縁トランスの磁気利用率を向上することを狙って、フルブリッジ型のコンバータを備えることが一般的である。そして、この場合、PFC回路を構成するスイッチング素子と、フルブリッジ回路を構成するスイッチング素子とで合計5つのスイッチング素子を備えることとなる。
【0006】
第3に、効率が低下しやすいことである。これは、交流直流変換回路がPFC回路と絶縁型コンバータとを備えることから、交流直流変換回路の効率はこれら2つの回路の効率の積となるためである。
【0007】
そこで従来、上記3つの問題のうち、第1の問題を解決すべく、下記特許文献1に見られるものも提案されている。これは、絶縁コンバータを構成する絶縁トランスおよびリアクトルの二つの磁気部品を一体的な磁心によって構成することで、磁気部品の数を低減する技術である。磁気部品はデッドスペースが大きいため、複合磁心を利用することにより回路の大型化を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4266951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ただし、上記特許文献1に記載の技術では、上記第1の問題を解決または低減することができるとはいえ、第2、第3の問題を解消することはできない。
【0010】
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、入力電圧を変換して出力電圧として出力する新たな絶縁型コンバータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
【0012】
請求項1記載の発明は、入力電圧を変換して出力電圧として出力する絶縁型コンバータにおいて、分岐点に接続された第1コイルおよび第2コイルと、前記第1コイルおよび前記第2コイルのうち前記分岐点側でないそれぞれの端子同士を接続する一対の電気経路と、該一対の電気経路の一方を開閉する開閉機能を有して且つ前記第1コイルに接続される第1流通規制要素と、前記一対の電気経路の一方を流れる電流の方向を一方向に制限する整流機能を有して且つ前記第2コイルに接続される第2流通規制要素と、前記一対の電気経路の他方に関して前記整流機能を有して且つ前記第1コイルに接続される第3流通規制要素と、前記一対の電気経路の他方に関して前記開閉機能を有して且つ前記第2コイルに接続される第4流通規制要素と、前記第1流通規制要素および前記第3流通規制要素の直列接続体、ならびに前記第2流通規制要素および前記第4流通規制要素の直列接続体に並列接続された平滑コンデンサと、前記第1コイルを貫いて且つ、前記第2コイルを貫かない第1ループ経路を構成する磁心と、前記第2コイルを貫いて且つ、前記第1コイルを貫かない第2ループ経路を構成する磁心と、前記第1ループ経路および前記第2ループ経路の双方によって貫かれる第3コイルとを備え、前記分岐点と前記一対の電気経路のいずれかとの間に入力電流を流すことで、前記第3コイルを介して電圧を出力することを特徴とする。
【0013】
上記発明では、第1流通規制要素および第4流通規制要素の開閉操作によって、入力電圧の変換処理を行なうことができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記入力電流が前記分岐点を介して前記第1コイルおよび前記第2コイルの双方に流入した場合に前記第1コイルおよび前記第2コイルのそれぞれに生じる磁束について、前記第3コイルを鎖交する方向が互いに逆となるようにしたことを特徴とする。
【0015】
上記発明では、第1ループ経路および第2ループ経路の双方が第3コイルを貫く部分において、分岐点から第1コイルに電流が流入する際に第1ループ経路に生じる磁束と、分岐点から第2コイルに電流が流入する際に第2ループ経路に生じる磁束とが逆方向となり、互いに打ち消しあう。このため、第3コイルを貫く部分に直流磁束が生じる事態を好適に抑制することができ、ひいてはこの部分の磁気飽和が生じにくくなる。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記第1コイルおよび前記第2コイルのターン数が互いに等しいことを特徴とする。
【0017】
上記分岐点から第1コイルに流入する電流と第1コイルのターン数との積と、分岐点から第2コイルに流入する電流と第2コイルのターン数との積との和は、第1コイルおよび第2コイルの双方を貫いて且つ第3コイルを貫かないループ経路の磁束に比例する量となる。このため、双方のターン数が等しい場合、第1コイルに流れる電流と第2コイルに流れる電流との和も、上記磁束に比例した量となる。ここで、磁束は連続量であることから、上記発明では、分岐点に流入する入力電流の連続性を保つことができる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記第1ループ経路を構成する磁心と前記第2ループ経路を構成する磁心とは一体的に形成されていることを特徴とする。
【0019】
上記発明では、第1ループ経路を構成する磁心と第2ループ経路を構成する磁心との一対の磁心に関し、それらを小型化することが容易となる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記第1ループ経路は、前記第1コイルおよび前記第2コイルの双方を貫通して且つ前記第3コイルを貫かないループ経路と共通する部分において局所的に透磁率が小さい部分を有し、前記第2ループ経路は、前記第1コイルおよび前記第2コイルの双方を貫通して且つ前記第3コイルを貫かないループ経路と共通する部分において局所的に透磁率が小さい部分を有することを特徴とする。
【0021】
上記発明では、第1コイルや第2コイルを鎖交する磁束が必ず透磁率が小さい部分を通過することとなるため、この部分に効果的にエネルギを蓄えることができ、ひいては磁心の磁気飽和を好適に抑制することができる。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載の発明において、前記磁心は、前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルのいずれをも貫かない追加ループ経路をさらに構成するものであり、前記追加ループ経路が貫く第4コイルおよび第5コイルをさらに備え、前記第4コイルおよび前記第5コイルのそれぞれによって生じる磁束の大きさおよび方向が前記追加ループ経路において互いに等しくなるように結線されていることを特徴とする。
【0023】
上記発明では、第4コイルおよび第5コイルのそれぞれによって生じる磁束が、第1コイルや第2コイルを貫かないようにすることができる。このため、入力電圧の変換処理との干渉を回避しつつ、第4コイルおよび第5コイルのための磁心と、第1コイル、第2コイル、第3コイルのための磁心とを一体的に構成することで、磁心の小型化が容易となる。
【0024】
請求項7記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、第1ループ経路を構成する磁心と前記第2ループ経路を構成する磁心とが各別の磁心であることを特徴とする。
【0025】
上記発明では、一対の磁心をトロイダルコア等によって構成することも可能である。
【0026】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、第1ループ経路と前記第2ループ経路とのそれぞれは、局所的に透磁率が小さい部分を有することを特徴とする。
【0027】
上記発明では、第1ループ経路と第2ループ経路とのそれぞれに透磁率が小さい部分を有することで、この部分に大きなエネルギを蓄えることができることから、磁心の磁気飽和を好適に抑制することができる。
【0028】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発明において、前記第1流通規制要素および前記第2流通規制要素または第3流通規制要素および第4流通規制要素に並列接続されるソフトスイッチング用コンデンサと、前記第1流通規制要素および前記第3流通規制要素の接続点と前記ソフトスイッチング用コンデンサとの間に接続されて且つ、前記第1流通規制要素の閉状態への切り替えに際して前記ソフトスイッチング用コンデンサに充電電流が流れることを許容して且つ逆方向の電流の流れを阻止する整流機能、および前記接続点と前記ソフトスイッチング用コンデンサとの間を開閉する開閉機能の少なくとも一方を有する第1ソフトスイッチング用流通規制要素と、前記第2流通規制要素および前記第4流通規制要素の接続点と前記ソフトスイッチング用コンデンサとの間に接続されて且つ、前記第4流通規制要素を閉状態に切り替えるに際して、前記ソフトスイッチング用コンデンサからの放電電流が流れることを許容して且つ逆方向の電流の流れを阻止する整流機能、および前記ソフトスイッチング用コンデンサと前記接続点との間を開閉する開閉機能の少なくとも一方を有する第2ソフトスイッチング用流通規制要素と、をさらに備えることを特徴とする。
【0029】
上記発明では、第1流通規制要素や第4流通規制要素の閉操作をソフトスイッチングとすることができる。
【0030】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発明において、前記第2流通規制要素および前記第3流通規制要素は、いずれも前記開閉機能を有するものであることを特徴とする。
【0031】
上記発明では、第2流通規制要素と第3流通規制要素とを流れる電流を双方向とすることができるため、第2コイル、第1コイル、第3流通規制要素、および第4流通規制要素を備えるループ経路に還流電流が流れる事態を回避する制御が容易となる。
【0032】
請求項11記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の発明において、前記第1流通規制要素および前記第4流通規制要素の双方が開状態となる期間と、前記第1流通規制要素および前記第4流通規制要素の双方が閉状態となる期間とを同一に設定したことを特徴とする。
【0033】
第1流通規制要素および前記第4流通規制要素の双方が開状態となる期間と、第1流通規制要素および前記第4流通規制要素の双方が閉状態となる期間とで、第3コイルを貫通する磁束量の増減が逆であり、増減量の絶対値は等しくなる。このため、これら一対の期間を同一とすることで、第3コイルを貫く部分を交流磁束とすることが容易となり、ひいては、この部分の磁心を小型化することができる。
【0034】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の発明において、前記入力電圧は、交流電源の出力する交流電力を整流する整流回路の出力電圧であることを特徴とする。
【0035】
上記絶縁型コンバータは、整流回路の出力電圧を取り込みこれを所定の出力電圧に高効率で変換して出力することができる。このため、整流回路の出力電圧を昇圧回路およびフルブリッジ回路を用いて変換する場合と比較して、スイッチング素子の数を低減することなどが容易となる。
【0036】
請求項13記載の発明は、請求項12記載の発明において、前記入力電流の位相を前記入力電圧の位相に同期させるべく、前記第1流通規制要素および前記第4流通規制要素を操作する操作手段をさらに備えることを特徴とする。
【0037】
上記発明では、力率を1に近い状態に制御することができるため、電力変換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1の実施形態にかかるシステム構成図。
【図2】同実施形態にかかる入力電力の制御手法を示すタイムチャート。
【図3】同実施形態にかかる入力電流波形を示すタイムチャート。
【図4】同実施形態の原理を説明するための図。
【図5】第2の実施形態にかかるシステム構成図。
【図6】第3の実施形態にかかるコンバータを示す図。
【図7】第4の実施形態にかかるシステム構成図。
【図8】第5の実施形態にかかるシステム構成図。
【図9】第6の実施形態にかかるシステム構成図。
【図10】第7の実施形態にかかるシステム構成図。
【図11】上記各実施形態の変形例にかかる整流回路を示す図。
【図12】上記各実施形態の変形例にかかる整流回路を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる絶縁型コンバータを車載システムに適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0040】
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
【0041】
図示される交流電源10は、車両の外部にある商用電源である。交流電源10の交流電力は、整流回路RC1によって整流され、コンバータCNVに取り込まれる。コンバータCNVでは、入力電力を、整流回路RC2および平滑用コイル12を介して出力用コンデンサ14に出力する。出力用コンデンサ14の端子電圧は、コンバータCNVの出力する直流の出力電圧Voutとして、図示しないバッテリに印加される。
【0042】
上記コンバータCNVは、整流回路RC1の出力端子に接続される一対の1次側コイルW1,W2を備えている。1次側コイルW1の他方の端子は、スイッチング素子M1,M3の接続点に接続されており、1次側コイルW2の他方の端子は、スイッチング素子M2,M4の接続点に接続されている。ここで、スイッチング素子M1〜M4は、NチャネルMOS電界効果トランジスタであり、これらのそれぞれには、ダイオードD1〜D4がそれぞれ逆並列に接続されている。なお、ダイオードD1〜D4は、スイッチング素子M1〜M4の寄生ダイオードであってもよい。
【0043】
上記スイッチング素子M1,M3の直列接続体と、スイッチング素子M2,M4の直列接続体とは、平滑コンデンサ19に並列接続されている。
【0044】
一方、上記1次側コイルW1,W2は、上記整流回路RC2に接続される2次側コイルW3と、コア20によって磁気結合されている。ここで、コア20は、足21,22,23が接続部24,25によって結合されたEEコアである。詳しくは、1次側コイルW1と1次側コイルW2とのそれぞれは、接続部24のうちの足22が接続される部分の両側のそれぞれによって貫かれており、2次側コイルW3は、足22によって貫かれている。なお、足21,23には、低透磁率部材Lμがはめ込まれている。ここで、低透磁率部材Lμは、コア20を構成する部材(たとえばフェライト)と比較して透磁率の小さい部材であり、たとえばプラスチックや樹脂等とすればよい。
【0045】
なお、本実施形態では、上記1次側コイルW1の巻数(ターン数N1)と1次側コイルW2のターン数N2とを互いに等しいターン数Nに設定している。ここで、ターン数とは、コイルの鎖交磁束をコイル内の磁束で割った値のことである。
【0046】
制御装置30は、スイッチング素子M1〜M4に操作信号ms1〜ms4を出力することで、これらスイッチング素子M1〜M4をオン・オフ操作し、これにより、上記出力電圧を制御する。以下、これについて詳述する。
【0047】
スイッチング素子M1〜M4の操作によって、1次側コイルW1,W2に電流を流すためには、スイッチング素子M1,M3のうちのいずれか一方と、スイッチング素子M2,M4のうちのいずれか一方とをオン操作することが要求される(ただし、ここでは、ダイオードD1〜D4に順方向電流が流れる場合であっても、対応するスイッチング素子をオンするとしている)。この場合、スイッチング素子M1〜M4のオン・オフ操作の組み合わせは、4通りとなる。以下、これらを状態A〜状態Dとして、順に説明した後、状態A〜状態Dの切り替え処理について説明する。なお、1次側コイルW1,W2や平滑用コイル12を流れる電流I1,I2,I3の向きは、図中、矢印で示した向きを正とする。また、足21,22,23の磁束φ1,φ3,φ2の方向についても、図中、矢印で示した向きを正とする。
【0048】
「状態A:スイッチング素子M1,M2がオン、スイッチング素子M3,M4がオフ」
この状態では、1次側コイルW1に入力電圧Vinが印加されるため、以下の式(c1)が成立する。
【0049】
dφ1/dt=Vin/N …(c1)
一方、1次側コイルW2にも入力電圧Vinが印加されるため、図に示した磁束の向きに注意すると、以下の式(c2)が成立する。
【0050】
dφ2/dt=−Vin/N …(c2)
ここで、図示される向きに定めた磁束φ1〜φ3の間には「φ3=φ1+φ2」の関係が成立することに注意すると、以下の式(c3)が成立する。
【0051】
dφ3/dt=0 …(c3)
上記の式(c3)によれば、この状態においては、2次側コイルW3には電圧が誘起されない。このため、2次側コイルW3を介して出力される電流の変化は、平滑用コイル12のインダクタンスLと、出力電圧Voutとに応じて以下の式(c4)にて表現される。
【0052】
dI3/dt=−Vout/L …(c4)
また、この間、平滑コンデンサ19に電流は流れないため、以下の式(c5)が成立する。
【0053】
dVs/dt=0 …(c5)
「状態B:スイッチング素子M1,M4がオン、スイッチング素子M2,M3がオフ」
この場合、磁束φ1については、状態Aと同様に以下の式(c1)が成立する。
【0054】
dφ1/dt=Vin/N …(c1)
一方、1次側コイルW2には、入力電圧Vinと平滑コンデンサ19の電圧Vsとの差圧が印加されるため、以下の式(c6)が成立する。
【0055】
dφ2/dt=(Vs−Vin)/N …(c6)
ここで、「φ3=φ1+φ2」を用いると、以下の式(c7)が成立する。
【0056】
dφ3/dt=Vs/N …(c7)
また、平滑用コイル12に、出力電圧Voutと2次側コイルW3の電圧との差圧が印加されることから、平滑用コイル12を流れる電流I3は、2次側コイルW3のターン数N3を用いると、以下の式(c8)によって表現される。
【0057】
dI3/dt=(N3・Vs/N−Vout)/L …(c8)
また、平滑コンデンサ19を介して流れる電流が「C・dVs/dt」であることと、上記の式(c7)に示す磁束φ3の変化に伴いレンツの規則に従って2次側コイルW3を流れる電流の極性が定まることとに鑑みれば、1次側コイルW2および2次側コイルW3の双方を貫通するループ経路にアンペールの法則を適用することで、以下の式(c9)が成立する。ただし、この際、足22の磁気抵抗R3と、足23のうちの低透磁率部材Lμの磁気抵抗R2を用いた。これは、1次側コイルW2および2次側コイルW3の双方を貫くループ経路のうち足22以外の部分の磁気抵抗にとって、低透磁率部材Lμの磁気抵抗R2が支配的であることに鑑みた近似である。
【0058】
R2・φ2+R3・φ3=−C・N・dVs/dt−N3・I3
dVs/dt=−(R2・φ2+R3・φ3+N3・I3)/(C・N) …(c9)
「状態C:スイッチング素子M2,M3がオン、スイッチング素子M1,M4がオフ」
この場合、1次側コイルW1に入力電圧Vinと平滑コンデンサ19の電圧Vsとの差圧が印加され、1次側コイルW2に入力電圧Vinが印加されることに注意すると、以下の式が成立する。
【0059】
dφ1/dt=(Vin−Vs)/N …(c10)
dφ2/dt=−Vin/N …(c11)
dφ3/dt=−Vs/N …(c12)
dI3/dt=(N3・Vs/N―Vout)/L …(c13)
dVs/dt=(R1・φ1+R3・φ3+N3・I3)/(C・N) …(c14)
「状態D:スイッチング素子M3,M4がオン、スイッチング素子M1,M2がオフ」
この場合、1次側コイルW1,W2の双方に入力電圧Vinと平滑コンデンサ19の電圧Vsとの差圧が印加されることに注意すると、以下の式が成立する。
【0060】
dφ1/dt=(Vin−Vs)/N …(c15)
dφ2/dt=(Vs−Vin)/N …(c16)
dφ3/dt=0 …(c17)
dI3/dt=(―Vout)/L …(c18)
dVs/dt=(R1・φ1―R2・φ2)/(C・N) …(c19)
「状態A〜状態Dの切り替え処理」
状態A,状態B,状態C,状態Dのそれぞれの継続時間の和に対する各時間の時比率を時比率Da,Db,Dc,Ddとする。ここで、「Da+Db+Dc+Dd=1」である。本実施形態では、これら時比率Da,Db,Dc,Ddの操作によって、図2に示すように、入力電圧Vinと入力電流Iinとの位相を同期させる処理を行なう。これは、力率を「1」に制御することで、電力変換効率を向上させるための設定である。以下、これについて説明する。
【0061】
磁束φ1,φ2,φ3や電流I3、電圧Vsの時間変化についての状態A〜状態Dの一周期に渡る平均値は、以下の式で表現される。ただし、A(x)は、xの平均値のこととする。
【0062】
A(dφ1/dt)={Vin−(Dc+Dd)・Vs}/N …(c20)
A(dφ2/dt)={(Db+Dd)・Vs−Vin}/N …(c21)
A(dφ3/dt)=(Db−Dc)・Vs/N …(c22)
A(dI3/dt)
={(Db+Dc)・N3・Vs/(N・L)}―Vout/L …(c22)
A(dVs/dt)
={(Dc+Dd)・R1・φ1−(Db+Dd)・R2・φ2
+(Db−Dc)・R3・φ3−(Db+Dc)・N3・I3}/(C・N)
…(c23)
ここで本実施形態では、制御の簡素化のため、「R1=R2」、「Db=Dc=D」とする。ここで、磁気抵抗R1と磁気抵抗R2とを等しくするためには、足21,23の形状や寸法を同一とし、低透磁率部材Lμを同一としたうえで、接続部24,25の経路の断面積を一定とすることで実現することができる。以下では、「Dc+Dd=m」とし、時比率Dと和比率mとを操作することとする。ちなみに、「m=Db+Dd」でもある。
【0063】
入力電流Iinは、1次側コイルW1,W2の双方を鎖交するループ経路にアンペールの法則を適用することで、以下の式(c24)にて表現される。
【0064】
Iin=(R1・φ1−R2・φ2)/N=R・(φ1−φ2)/N …(c24)
上記の式(c24)を時間で微分し、上記の式(c20)、(c21)を用いると、以下の式(c25)が得られる。
【0065】
dIin/dt=2・R・(Vin−m・Vs)/(N・N) …(c25)
また、上記の式(c23)に上記の式(c24)を適用すると、以下の式(c26)が得られる。
【0066】
dVs/dt=(m・Iin−2D・N3・I3/N)/C …(c26)
上記の式(c22)は、以下の式(c27)に変形できる。
【0067】
dI3/dt=2・D・N3・Vs/(N・L)−Vout/L …(c27)
ここで、平滑コンデンサ19の静電容量Cを、交流電源10の交流電圧Vの周期にわたってその電圧Vsの変動が十分に小さくなるように十分に大きく設定する。この場合、電圧Vsを一定とすることができることから、上記の式(c25)によれば、和比率mの操作によって、入力電流Iinを増減制御することができることがわかる。このため、和比率mの操作によって、入力電圧Vinと入力電流Iinとの位相を同期させる力率1の制御が可能となる。また、上記の式(c27)によれば、時比率Dの操作によって、出力電流(電流I3)を増減制御することができることがわかる。
【0068】
上記の式(c26)の両辺を時間平均する場合、入力電力と出力電力とが一致する定常状態においては、A(dVs/dt)=0となることから、以下の式(c28)が成立する。
【0069】
A(mIin)=2・N3・A(D・I3)/N …(c28)
ここで、説明の簡素化のため、出力用コンデンサ14に接続される負荷が準定常的であると仮定する。すなわち、交流電源10の交流電圧Vの周期程度では要求電力の変動がゼロとみなせるものとする。この場合、上記の式(c27)の時間平均を取ると、左辺がゼロとなることから、以下の式(c29)が成立する。
【0070】
A(D)=N・Vout/(2・N3・Vs) …(c29)
上記の式(c29)を、上記の式(c28)に代入することで、以下の式(c30)が得られる。
【0071】
A(m・Iin)=Vout・A(I3)/Vs …(c30)
一方、上記の式(c25)の両辺の時間平均を取ると、負荷が準定常と仮定されるために、入力電力の平均値も一定となることから、以下の式(c31)が得られる。
【0072】
A(m)=A(Vin)/Vs …(c31)
ここで、入力電圧Vinを、以下の式(c32)によって表現する。
【0073】
Vin=π・A(Vin)・|sinωt|/2 …(c32)
上記の式(c31),(c32)を、上記の式(c25)に代入することで、以下の式(c33)が得られる。
【0074】
dIin/dt
=2・R・A(Vin)・(π・|sinωt|/2−m/A(m))/(N・N)
…(c33)
ここで、力率1制御の場合、入力電流Iinは、入力電圧Vinに比例するため、以下の式(c34)が成立する。
【0075】
Iin=π・A(Iin)・|sinωt|/2 …(c34)
これを時間微分して以下の式(c35)が得られる。
【0076】
dIin/dt=(d|sinωt|/dt)・π・A(Iin)・ω/2
…(c35)
上記の式(c35)を上記の式(c33)に代入すると、以下の式が成立する。
【0077】
m/A(m)
=π・|sinωt|/2
−(d|sinωt|/dt)・π・N・N・A(Iin)ω/{4・R・A(Vin)}
…(c36)
上記の式(c36)の右辺第2項のうち「N・N/2R」は、1次側コイルW1,W2の双方を貫通するループ経路と1次側コイルW1とで構成されるリアクトルのもつインダクタンスであり、これは、通常、「数百μH」程度となり十分小さい。したがって、通常右辺第2項は、右辺第1項と比較して無視しうる。このため、上記の式(c36)は、以下の式(c37)によって近似される。
【0078】
m=π・A(m)・|sinωt|/2 …(c37)
上記の式(c37)からわかるように、入力電圧Vinに応じて和比率mを脈動させることで、力率を「1」に制御することができる。なお、実際には、この制御は、入力電流Iinの位相を制御量とし、これを入力電圧Vinの位相にフィードバック制御することで実現してもよい。
【0079】
このように、本実施形態では、和比率mによって力率を制御することができる。また、時比率Dによって出力電流(電流I3)を制御することができる。このとき、平滑コンデンサ19の電圧Vsは、和比率mの平均値に応じて、上記の式(c31)によって定まる値に落ち着く。また、出力電圧Voutは、時比率Dに応じて、上記の式(c29)によって定まる値に落ち着く。
【0080】
なお、上記スイッチング素子M1〜M4の操作は、図3に示すように、状態B,状態A,状態C,状態Dの順に行われる。なお、図3には、1次側コイルW1,W2を流れる電流I1,I2の挙動を併せ示している。
【0081】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0082】
(1)4つのスイッチング素子M1〜M4を備えるコンバータCNVを用いることで、交流電源10の交流電圧Vを直流の出力電圧Voutとして出力することができる。この際、磁心としては、コア20および平滑用コイル12の磁心の2つで済む。
【0083】
(2)入力電流Iinのリップルを低減することができる。これは、入力電流Iinが1次側コイルW1、W2のそれぞれに流入する場合に、1次側コイルW1,W2の双方を鎖交するループ経路(図4の破線)において、1次側コイルW1,W2のそれぞれに生じる磁束が同一方向となるように設定したためである。すなわち、この場合、図4に破線にて示す経路にアンペールの法則を適用すると、上記の式(c24)が成立する。上記の式(c24)の右辺は、図4に破線にて示す経路の磁束に磁気抵抗を乗算したものである。ここで、磁束は連続量であるため、右辺は、連続量である。このため、左辺も連続量となるため、入力電流Iinを連続量とすることができる。このため、入力電流Iinが不連続となる場合と比較して、入力電流Iinのリップルを低減することができる。
【0084】
(3)足21,23に低透磁率部材Lμを設けた。これにより、低透磁率部材Lμに大きなエネルギを蓄えることができることから、コア20の磁気飽和を好適に抑制することができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0085】
図5に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図5において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0086】
図示されるように、本実施形態では、1次側コイルW1および2次側コイルW3の双方を貫いて且つ1次側コイルW2を貫かないトロイダルコア(コア20a)と、1次側コイルW2および2次側コイルW3の双方を貫いて且つ1次側コイルW1を貫かないトロイダルコア(コア20b)とを備える。この場合、コア20a,20bが円環状であることにより、発熱が起こりやすい角部が存在しないため、コンバータCNVの放熱性を向上させることができる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0087】
図6に、本実施形態にかかるコンバータCNVの構成を示す。なお、図6において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0088】
図示されるように、本実施形態では、先の図1に示した平滑用コイル12を、互いに同一の電圧が印加される一対のコイルW4,W5として且つ、それらの磁心を、1次側コイルW1,W2や2次側コイルW3の磁心と一体的に構成する。これは、コア20に、コイルW4,W5のそれぞれを鎖交する足26,27を追加することで実現される。
【0089】
ここで、コイルW4,W5によって生じる磁束と1次側コイルW1,W2や2次側コイルW3の磁束とが干渉しないためには、第1に、コイルW4,W5の双方を鎖交するループ経路におけるコイルW4によって生じる磁束の方向および大きさとコイルW5によって生じる磁束の方向および大きさとを同一とすることが必要である。第2に、コイルW4,W5の双方を鎖交するループ経路と1次側コイルW1,W2の双方を鎖交するループ経路との共通領域に、1次側コイルW1,W2や低透磁率部材Lμを設けないことが必要である。上記第1の条件は、コイルW4,W5の両端を互いに接続した上で、ターン数を互いに等しくするとともに、コイルW4,W5の巻き方によって実現されている。ここでは、コイルW4,W5に印加される電圧の絶対値が互いに等しいことを利用している。また、第2の条件は、低透磁率部材Lμを、足21,23,26,27に設けて且つ、足21,22のそれぞれが1次側コイルW1,W2を鎖交するようにすることで実現されている。
【0090】
特に、本実施形態では、コイルW4,W5に電圧が印加されることで生じる磁束の直流成分の方向と、コイルW1、W2に電圧が印加されることで生じる磁束の直流成分の方向とが、1次側コイルW1,W2の双方を鎖交するループ経路とコイルW4,W5の双方を鎖交するループ経路との共通領域上で逆方向となるように設定している。これにより、本実施形態において共通領域となる接続部24,25の磁束を低減することできるため、コア20を小型化することができる。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0091】
図7に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図7において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0092】
図示されるように、本実施形態では、平滑コンデンサ19に、これを電源とする負荷39を並列接続した。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0093】
図8に、本実施形態にかかるコンバータCNVの構成を示す。なお、図8において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0094】
本実施形態では、ソフトスイッチングを行なうべく、スイッチング素子M1,M3の接続点と、スイッチング素子M2,M4の接続点との間に補助回路を追加した。すなわち、スイッチング素子M1には、ソフトスイッチング用ダイオードDc、ソフトスイッチング用スイッチング素子Saを介して、ソフトスイッチング用コンデンサ40が並列接続されている。ここで、ソフトスイッチング用ダイオードDcは、ソフトスイッチング用コンデンサ40側からスイッチング素子M1側への電流の流れを阻止するための整流手段である。また、ソフトスイッチング用コンデンサ40は、ソフトスイッチング用スイッチング素子Sbおよびソフトスイッチング用ダイオードDdを介してスイッチング素子M2に並列接続されている。ここで、ソフトスイッチング用ダイオードDdは、スイッチング素子M2側からソフトスイッチング用コンデンサ40側への電流の流れを阻止するための整流手段である。なお、上記ソフトスイッチング用スイッチング素子Sa,Sbには、寄生ダイオード(ダイオードDa,Db)が逆並列に接続されている。
【0095】
こうした構成によれば、ソフトスイッチング用スイッチング素子Saがオンされて且つソフトスイッチング用スイッチング素子Sbがオフされた状態でスイッチング素子M1をオフ操作することで、スイッチング素子M1の入力端子および出力端子間の電圧の上昇速度をソフトスイッチング用コンデンサ40によって制限することができる。また、ソフトスイッチング用スイッチング素子Saがオフされて且つソフトスイッチング用スイッチング素子Sbがオンされた状態でスイッチング素子M4をオフ操作することで、スイッチング素子M4の入力端子および出力端子間の電圧の上昇速度を、ソフトスイッチング用コンデンサ40の放電速度によって制限することができる。
<第6の実施形態>
以下、第6の実施形態について、先の第5の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0096】
図9(A)に、本実施形態にかかるコンバータCNVの構成を示す。なお、図9(A)において、先の図8に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0097】
図9(A)に示されるように、本実施形態では、ソフトスイッチング用スイッチング素子Saを削除し、これに対応して、図9(B)に示すように、スイッチング素子M1がオンした状態でスイッチング素子M4のオフ操作を行なうスイッチングパターンとする。これにより、スイッチング素子M4のオフ操作に伴ってソフトスイッチング用コンデンサ40が放電するに際し、スイッチング素子M1側からソフトスイッチング用ダイオードDcを介してソフトスイッチング用コンデンサ40へと電流が流入する事態を回避することができる。
<第7の実施形態>
以下、第7の実施形態について、先の第5の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0098】
図10(A)に、本実施形態にかかるコンバータCNVの構成を示す。なお、図10(A)において、先の図8に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
【0099】
図10(A)に示されるように、本実施形態では、スイッチング素子M2,M3を削除し、スイッチング素子M1およびダイオードD3の直列接続体と、ダイオードD2およびスイッチング素子M4の直列接続体との並列接続体を平滑コンデンサ19に並列接続する。
【0100】
これにより、1次側コイルW2,W1、ダイオードD3およびスイッチング素子M4を備えるループ経路に還流電流が流れることで、電力変換効率は上記第1の実施形態にかかるものと比較して低下しやすくなるものの、スイッチング素子の数を低減することができる。
【0101】
さらに、本実施形態では、ソフトスイッチングを行なうための補助回路から、ソフトスイッチング用スイッチング素子Sbを削除し、これに対応して、図10(B)に示すように、スイッチング素子M4がオンした状態でスイッチング素子M1のオフ操作を行なうスイッチングパターンとする。これにより、スイッチング素子M1がオフするに際し、ソフトスイッチング用コンデンサ40からソフトスイッチング用ダイオードDbを介して電流が出力されることを回避することができる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0102】
「一体磁心における各コイルが鎖交する足の配置について」
上記各実施形態において例示したものに限らず、たとえば、図6において、1次側コイルW1,W2を鎖交する足21,23を足26,27の外側に配置してもよい。またたとえば、先の図1に示した構成において、足21,23のそれぞれに1次側コイルW1,W2のそれぞれを貫かせて且つ、足22と足21との幾何学的な配置を入れ替えてもよい。また、たとえばこの構成において、2次側コイルW3が足21,23の双方によって貫かれるようにしてもよい。
「第1〜第4流通規制要素について」
スイッチング素子M1〜M4としては、MOS電界効果トランジスタに限らず、たとえば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)であってもよい。
【0103】
「1次側コイルW1,W2のターン数の設定について」
1次側コイルW1,W2のターン数N1,N2が互いに等しい設定に限らない。ただし、等しい設定とすることで、入力電流Iinの連続性を保ちやすい。
【0104】
「低透磁率部材Lμについて」
低透磁率部材Lμとしては、プラスチックや樹脂等、コア20と一体的に構成される部材に限らない。また低透磁率部材Lμを設ける代わりに、ギャップを設けてもよい。なお、2次側コイルW3を貫く足22にもギャップ等を設けてもよい。
【0105】
「コイルW4,W5について」
たとえば磁束φ4,φ5の方向を上記第3の実施形態とは逆としてもよい。この場合であっても、磁束φ1,φ2,φ3との干渉を回避しつつも、コア20の一体化に伴う小型化のメリットを享受することはできる。
【0106】
また、コイルW4,W5としては、平滑用コイル12の機能を持つものに限らない。別の用途のコイルであっても、1次側コイルW1,W2や2次側コイルW3と磁心を共有することで、体格を低減することはできる。
【0107】
「操作手段について」
上記第1の実施形態において例示した手法によってスイッチング素子M1〜M4を操作するものに限らない。たとえば、上記の式(c20)〜(c23)に基づく状態方程式を直接扱ってもよい。
【0108】
「コンバータの用途について」
交流電圧を直流電流に変換するために用いるものに限らない。たとえば、昇圧コンバータを構成してもよい。この場合であっても、たとえば、1次側コイルW1,W2のターン数N1,N2を等しくすることで、入力電流Iinの連続性を保つことができることから、入力電流のリップルを低減することが容易となる。
【0109】
ちなみに、昇圧コンバータ等とする場合については、定常状態において、上記の式(c20)〜(c23)の左辺はゼロとなる。このため、以下の式が導出される。
【0110】
Vs=Vin/(Dc+Dd) …(c38)
Db=Dc …(c39)
Vout=(Db+Dc)・N3・Vs/N …(c40)
上記の式(c38)において、入力電圧Vinが直流の場合、平滑コンデンサ19の電圧Vsは、時比率Dc,Ddが変動しない限り変動しない。このため、上記の式(c39)を満足するように時比率を操作することで、上記の式(c40)に示すように、出力電圧Voutを直流電圧として出力することができる。
【0111】
「整流回路について」
整流回路RC1,RC2については、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば、図11(a)〜図11(d)に、2次側コイルW3に接続される整流回路として例示されるような回路であってもよい。
「分岐点を流れる電流について」
1次側コイルW1,W2の接続点からそれら1次側コイルW1,W2側に電流が流入する構成に限らない。たとえば図12に示すように、スイッチング素子M1,M4側から入力電流が流入し、上記接続点から流出するようにしてもよい。なお、図12において、先の図1に示した部材に対応する部材については、便宜上同一の符号を付している。図12に示す構成においても、先の図9に示した構成のように、スイッチング素子M2,M3を削除してもよい。ただし、ソフトスイッチングを行なう場合、ダイオードDc,Ddの向きは逆となる。
「ソフトスイッチング用コンデンサについて」
スイッチング素子M1,M2に並列接続する代わりに、スイッチング素子M3,M4に並列接続してもよい。
【0112】
「そのほか」
1次側コイルW1,W2に、整流回路RC1の出力電圧を印加するものに限らない。たとえば整流回路RC1と1次側コイルW1,W2との間に、フィルタとしてのインダクタを備えてもよい。
【0113】
なお、絶縁型コンバータとしては、車両に搭載されるものにも限らない。
【符号の説明】
【0114】
10…商用電源、19…平滑コンデンサ、20…コア、30…制御装置、RC1,RC2…整流回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を変換して出力電圧として出力する絶縁型コンバータにおいて、
分岐点に接続された第1コイルおよび第2コイルと、
前記第1コイルおよび前記第2コイルのうち前記分岐点側でないそれぞれの端子同士を接続する一対の電気経路と、
該一対の電気経路の一方を開閉する開閉機能を有して且つ前記第1コイルに接続される第1流通規制要素と、
前記一対の電気経路の一方を流れる電流の方向を一方向に制限する整流機能を有して且つ前記第2コイルに接続される第2流通規制要素と、
前記一対の電気経路の他方に関して前記整流機能を有して且つ前記第1コイルに接続される第3流通規制要素と、
前記一対の電気経路の他方に関して前記開閉機能を有して且つ前記第2コイルに接続される第4流通規制要素と、
前記第1流通規制要素および前記第3流通規制要素の直列接続体、ならびに前記第2流通規制要素および前記第4流通規制要素の直列接続体に並列接続された平滑コンデンサと、
前記第1コイルを貫いて且つ、前記第2コイルを貫かない第1ループ経路を構成する磁心と、
前記第2コイルを貫いて且つ、前記第1コイルを貫かない第2ループ経路を構成する磁心と、
前記第1ループ経路および前記第2ループ経路の双方によって貫かれる第3コイルとを備え、
前記分岐点と前記一対の電気経路のいずれかとの間に入力電流を流すことで、前記第3コイルを介して電圧を出力することを特徴とする絶縁型コンバータ。
【請求項2】
前記入力電流が前記分岐点を介して前記第1コイルおよび前記第2コイルの双方に流入した場合に前記第1コイルおよび前記第2コイルのそれぞれに生じる磁束について、前記第3コイルを鎖交する方向が互いに逆となるようにしたことを特徴とする請求項1記載の絶縁型コンバータ。
【請求項3】
前記第1コイルおよび前記第2コイルのターン数が互いに等しいことを特徴とする請求項2記載の絶縁型コンバータ。
【請求項4】
前記第1ループ経路を構成する磁心と前記第2ループ経路を構成する磁心とは一体的に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁型コンバータ。
【請求項5】
前記第1ループ経路は、前記第1コイルおよび前記第2コイルの双方を貫通して且つ前記第3コイルを貫かないループ経路と共通する部分において局所的に透磁率が小さい部分を有し、
前記第2ループ経路は、前記第1コイルおよび前記第2コイルの双方を貫通して且つ前記第3コイルを貫かないループ経路と共通する部分において局所的に透磁率が小さい部分を有することを特徴とする請求項4記載の絶縁型コンバータ。
【請求項6】
前記磁心は、前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルのいずれをも貫かない追加ループ経路をさらに構成するものであり、
前記追加ループ経路が貫く第4コイルおよび第5コイルをさらに備え、
前記第4コイルおよび前記第5コイルのそれぞれによって生じる磁束の大きさおよび方向が前記追加ループ経路において互いに等しくなるように結線されていることを特徴とする請求項4または5記載の絶縁型コンバータ。
【請求項7】
第1ループ経路を構成する磁心と前記第2ループ経路を構成する磁心とが各別の磁心であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁型コンバータ。
【請求項8】
第1ループ経路と前記第2ループ経路とのそれぞれは、局所的に透磁率が小さい部分を有することを特徴とする請求項7記載の絶縁型コンバータ。
【請求項9】
前記第1流通規制要素および前記第2流通規制要素または第3流通規制要素および第4流通規制要素に並列接続されるソフトスイッチング用コンデンサと、
前記第1流通規制要素および前記第3流通規制要素の接続点と前記ソフトスイッチング用コンデンサとの間に接続されて且つ、前記第1流通規制要素の閉状態への切り替えに際して前記ソフトスイッチング用コンデンサに充電電流が流れることを許容して且つ逆方向の電流の流れを阻止する整流機能、および前記接続点と前記ソフトスイッチング用コンデンサとの間を開閉する開閉機能の少なくとも一方を有する第1ソフトスイッチング用流通規制要素と、
前記第2流通規制要素および前記第4流通規制要素の接続点と前記ソフトスイッチング用コンデンサとの間に接続されて且つ、前記第4流通規制要素を閉状態に切り替えるに際して、前記ソフトスイッチング用コンデンサからの放電電流が流れることを許容して且つ逆方向の電流の流れを阻止する整流機能、および前記ソフトスイッチング用コンデンサと前記接続点との間を開閉する開閉機能の少なくとも一方を有する第2ソフトスイッチング用流通規制要素と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁型コンバータ。
【請求項10】
前記第2流通規制要素および前記第3流通規制要素は、いずれも前記開閉機能を有するものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の絶縁型コンバータ。
【請求項11】
前記第1流通規制要素および前記第4流通規制要素の双方が開状態となる期間と、前記第1流通規制要素および前記第4流通規制要素の双方が閉状態となる期間とを同一に設定したことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の絶縁型コンバータ。
【請求項12】
前記入力電圧は、交流電源の出力する交流電力を整流する整流回路の出力電圧であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の絶縁型コンバータ。
【請求項13】
前記入力電流の位相を前記入力電圧の位相に同期させるべく、前記第1流通規制要素および前記第4流通規制要素を操作する操作手段をさらに備えることを特徴とする請求項12記載の絶縁型コンバータ。
【請求項1】
入力電圧を変換して出力電圧として出力する絶縁型コンバータにおいて、
分岐点に接続された第1コイルおよび第2コイルと、
前記第1コイルおよび前記第2コイルのうち前記分岐点側でないそれぞれの端子同士を接続する一対の電気経路と、
該一対の電気経路の一方を開閉する開閉機能を有して且つ前記第1コイルに接続される第1流通規制要素と、
前記一対の電気経路の一方を流れる電流の方向を一方向に制限する整流機能を有して且つ前記第2コイルに接続される第2流通規制要素と、
前記一対の電気経路の他方に関して前記整流機能を有して且つ前記第1コイルに接続される第3流通規制要素と、
前記一対の電気経路の他方に関して前記開閉機能を有して且つ前記第2コイルに接続される第4流通規制要素と、
前記第1流通規制要素および前記第3流通規制要素の直列接続体、ならびに前記第2流通規制要素および前記第4流通規制要素の直列接続体に並列接続された平滑コンデンサと、
前記第1コイルを貫いて且つ、前記第2コイルを貫かない第1ループ経路を構成する磁心と、
前記第2コイルを貫いて且つ、前記第1コイルを貫かない第2ループ経路を構成する磁心と、
前記第1ループ経路および前記第2ループ経路の双方によって貫かれる第3コイルとを備え、
前記分岐点と前記一対の電気経路のいずれかとの間に入力電流を流すことで、前記第3コイルを介して電圧を出力することを特徴とする絶縁型コンバータ。
【請求項2】
前記入力電流が前記分岐点を介して前記第1コイルおよび前記第2コイルの双方に流入した場合に前記第1コイルおよび前記第2コイルのそれぞれに生じる磁束について、前記第3コイルを鎖交する方向が互いに逆となるようにしたことを特徴とする請求項1記載の絶縁型コンバータ。
【請求項3】
前記第1コイルおよび前記第2コイルのターン数が互いに等しいことを特徴とする請求項2記載の絶縁型コンバータ。
【請求項4】
前記第1ループ経路を構成する磁心と前記第2ループ経路を構成する磁心とは一体的に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁型コンバータ。
【請求項5】
前記第1ループ経路は、前記第1コイルおよび前記第2コイルの双方を貫通して且つ前記第3コイルを貫かないループ経路と共通する部分において局所的に透磁率が小さい部分を有し、
前記第2ループ経路は、前記第1コイルおよび前記第2コイルの双方を貫通して且つ前記第3コイルを貫かないループ経路と共通する部分において局所的に透磁率が小さい部分を有することを特徴とする請求項4記載の絶縁型コンバータ。
【請求項6】
前記磁心は、前記第1コイル、前記第2コイルおよび前記第3コイルのいずれをも貫かない追加ループ経路をさらに構成するものであり、
前記追加ループ経路が貫く第4コイルおよび第5コイルをさらに備え、
前記第4コイルおよび前記第5コイルのそれぞれによって生じる磁束の大きさおよび方向が前記追加ループ経路において互いに等しくなるように結線されていることを特徴とする請求項4または5記載の絶縁型コンバータ。
【請求項7】
第1ループ経路を構成する磁心と前記第2ループ経路を構成する磁心とが各別の磁心であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁型コンバータ。
【請求項8】
第1ループ経路と前記第2ループ経路とのそれぞれは、局所的に透磁率が小さい部分を有することを特徴とする請求項7記載の絶縁型コンバータ。
【請求項9】
前記第1流通規制要素および前記第2流通規制要素または第3流通規制要素および第4流通規制要素に並列接続されるソフトスイッチング用コンデンサと、
前記第1流通規制要素および前記第3流通規制要素の接続点と前記ソフトスイッチング用コンデンサとの間に接続されて且つ、前記第1流通規制要素の閉状態への切り替えに際して前記ソフトスイッチング用コンデンサに充電電流が流れることを許容して且つ逆方向の電流の流れを阻止する整流機能、および前記接続点と前記ソフトスイッチング用コンデンサとの間を開閉する開閉機能の少なくとも一方を有する第1ソフトスイッチング用流通規制要素と、
前記第2流通規制要素および前記第4流通規制要素の接続点と前記ソフトスイッチング用コンデンサとの間に接続されて且つ、前記第4流通規制要素を閉状態に切り替えるに際して、前記ソフトスイッチング用コンデンサからの放電電流が流れることを許容して且つ逆方向の電流の流れを阻止する整流機能、および前記ソフトスイッチング用コンデンサと前記接続点との間を開閉する開閉機能の少なくとも一方を有する第2ソフトスイッチング用流通規制要素と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁型コンバータ。
【請求項10】
前記第2流通規制要素および前記第3流通規制要素は、いずれも前記開閉機能を有するものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の絶縁型コンバータ。
【請求項11】
前記第1流通規制要素および前記第4流通規制要素の双方が開状態となる期間と、前記第1流通規制要素および前記第4流通規制要素の双方が閉状態となる期間とを同一に設定したことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の絶縁型コンバータ。
【請求項12】
前記入力電圧は、交流電源の出力する交流電力を整流する整流回路の出力電圧であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の絶縁型コンバータ。
【請求項13】
前記入力電流の位相を前記入力電圧の位相に同期させるべく、前記第1流通規制要素および前記第4流通規制要素を操作する操作手段をさらに備えることを特徴とする請求項12記載の絶縁型コンバータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−62936(P2013−62936A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199511(P2011−199511)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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