説明

絶縁検査装置および絶縁検査方法

【課題】各検査ポイントの間の絶縁状態を短時間で検査する。
【解決手段】第2検査処理(ステップ45)において、(Lc−1)回の第2処理のすべてにおいて良好と検査したときにLc回目の第2処理を実行することなく良好と検査すると共に、(Lc−1)回の第2処理のうちの1回だけにおいて不良と検査したときにLc回目の第2処理を実行することなく不良と検査し、第3検査処理(ステップ49)において、第2検査処理時に不良と検査した第2処理の回数が2回だけの検査グループを対象として第3処理を実行することなくその2回の第2処理において他方の電位に接続した検査ポイント同士が不良と検査すると共に、第2検査処理時に不良と検査した第2処理の回数が3回以上の検査グループを対象として第3処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の検査ポイントのうちの一部を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に他の一部を他方の電位に接続した状態において電気的パラメータを測定して絶縁状態を検査する絶縁検査装置および絶縁検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の導体パターンが形成された回路基板を対象として各導体パターンの間の絶縁状態を検査する検査方法として、各導体パターン上に少なくとも1箇所の検査ポイントを規定して、相互に絶縁されているべき導体パターン上の各検査ポイントの間の絶縁状態を個別的に検査する総当たりスキャン方式の検査方法(以下、「総当たりスキャン検査」ともいう)が知られている。しかしながら、この総当たりスキャン検査では、検査すべき導体パターンの数が多数の回路基板を対象としたときに、絶縁状態を検査すべき検査ポイントの組合わせの数が非常に多くなる結果、1枚の回路基板を検査するのに長い時間を要することとなる。このため、検査時間の短縮を図り得る各種の検査方法が提案されている。
【0003】
一例として、下記の非特許文献1には、検査時間の短縮を図り得る検査方法の例として、バルクショート方式の検査方法(以下、「バルクショート検査」ともいう)や、マルチプル方式の検査方法(以下、「マルチプル検査」ともいう)が開示されている。なお、バルクショート検査やマルチプル検査の内容については、同文献に記載されているため、その詳細な説明を省略する。この場合、バルクショート検査やマルチプル検査では、検査対象の回路基板内に絶縁状態が不良の箇所が存在するか否かを検査するのに要する検査回数を上記の総当たりスキャン検査よりも少数とすることが可能となっている。しかしながら、これらの検査方法では、いずれの導体パターンの間(いずれの検査ポイントの間)に絶縁不良が生じているかを特定することができないため、絶縁不良箇所を特定する必要がある場合、最終的には、総当たりスキャン検査と同様に個別検査を実行する必要が生じている。
【0004】
例えば、出願人が開発している絶縁検査装置(図示せず)では、図6に示す絶縁検査処理80を実行することにより、総当たりスキャン検査だけを実行する場合と比較して、絶縁不良箇所が存在しない良品の回路基板についての検査時間を短縮するだけでなく、絶縁不良箇所が存在する回路基板についても絶縁不良箇所の特定までに要する時間を短縮することが可能となっている。具体的には、この絶縁検査処理80では、まず、検査対象の回路基板上にX箇所の検査ポイント(Xは、2以上の整数)を規定してマルチプル検査を実行する(ステップ81)。この際には、logX以上であってlogXに最も近いY(端数切上げ)との条件を満たすY回の検査処理が実行される。この際に、検査対象の回路基板に絶縁不良箇所が存在しないときには(ステップ82)、その回路基板を良品の回路基板としてこの絶縁検査処理80を終了する。
【0005】
一方、絶縁不良箇所が存在したときには(ステップ82)、その回路基板を対象とするバルクショート検査を実行する(ステップ83)。この際には、1つの検査ポイントと、他の複数の検査ポイントとの間の絶縁状態を検査する(X−1)回の検査処理が実行され、いずれかの検査処理において、絶縁状態が不良と検査される。次いで、バルクショート検査において絶縁不良が生じていると検査された検査ポイントを対象として、上記の1つの検査ポイントと、他の複数の検査ポイントのうちの1つとの間の絶縁状態をそれぞれ検査する個別検査(総当たりスキャン検査と同様の検査)を実行する(ステップ84)。これにより、いずれの検査ポイントの間に絶縁不良が生じているかが特定されて、絶縁検査処理80が終了する。このように、出願人が開発している絶縁検査装置では、良品の回路基板については、Y回の検査処理を実行するだけで絶縁状態の検査が完了し、不良品の回路基板についても、比較的少数回の検査処理を実行することで絶縁不良箇所を特定することが可能となっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】編集委員長 原靖彦、「高密度実装における検査技術・装置ハンドブック」、社団法人国際都市コミュニケーションセンター編集事務局、2001年9月1日、p.87−88
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、出願人が開発している絶縁検査装置には、以下の改善すべき課題が存在する。すなわち、出願人が開発している絶縁検査装置では、最初にマルチプル検査を実行することによって、良品の回路基板については、Y回の検査処理を実行するだけで絶縁不良箇所が存在しないと検査することが可能となっている。しかしながら、不良品の回路基板については、絶縁不良箇所を特定するために、すべての検査ポイントを対象としてバルクショート検査を実行して、その検査結果に基づいて個別検査を実行する必要がある。このため、不良品の回路基板については、結果的には、最初に実行したマルチプル検査におけるY回の検査処理が絶縁不良箇所の特定には何ら寄与していないこととなる。したがって、検査対象の回路基板が複雑化して検査ポイントの数が増加する傾向がある今日、検査結果に寄与しない不要な検査処理の実行をなくして、1枚の回路基板の検査に要する時間を短縮すべきとの要望がある。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、各検査ポイントの間の絶縁状態を短時間で検査し得る絶縁検査装置および絶縁検査方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の絶縁検査装置は、1番目からN番目までのN箇所の検査ポイント(Nは、2以上の整数)のうちの一部を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該N箇所の検査ポイントのうちの他の一部を他方の電位に接続した状態において当該一方の電位に接続した当該検査ポイントと当該他方の電位に接続した当該検査ポイントとの間の電気的パラメータを測定して当該測定した電気的パラメータに基づいて当該各検査ポイントの絶縁状態を検査する検査部を備えた絶縁検査装置であって、前記検査部は、前記N箇所の検査ポイントをMa箇所の当該検査ポイントおよびMb箇所の当該検査ポイント(MaおよびMbは、Ma+Mb=Nとの条件を満たす整数)に分けて当該Ma箇所の検査ポイントを前記一方の電位に接続すると共に当該Mb箇所の検査ポイントを前記他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Ma箇所の検査ポイントおよび当該Mb箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第1処理をlog(Ma+Mb)=Mc(端数切り上げ)との条件を満たすMc回実行する第1検査処理と、前記Mc回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したときにいずれの当該第1処理において不良と検査したかに基づいてLa箇所の検査ポイント(Laは、2以上N以下の整数)が属する検査グループを規定して当該La箇所の検査ポイントのうちのLb箇所の検査ポイント(Lbは、(La−1)との条件を満たす整数)を前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該Lb箇所以外の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Lb箇所の検査ポイントおよび当該1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第2処理を当該検査グループ毎に2Md=Lc(Mdは、前記第1検査処理において絶縁状態が不良と検査した前記第1処理の回数)との条件を満たすLc回以下のLd回実行する第2検査処理と、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記検査グループを対象として前記La箇所の検査ポイントのうちの1箇所の検査ポイントを前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該La箇所の検査ポイントのうちの他の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該1箇所の検査ポイントおよび当該他の1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第3処理を当該検査グループ毎にLa(La−1)/2=Kaとの条件を満たすKa回以下のKb回実行する第3検査処理とを実行して前記N箇所の検査ポイントの絶縁状態を検査可能に構成され、前記第2検査処理時には、1回目から(Lc−1)回目までの(Lc−1)回の前記第2処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したときにLc回目の前記第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を良好と検査すると共に、当該(Lc−1)回の第2処理のうちの1回だけにおいて絶縁状態が不良と検査したときに当該Lc回目の第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を不良と検査し、前記第3検査処理時には、前記第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記第2処理の回数が2回だけの前記検査グループを対象として前記第3処理を実行することなく当該2回の第2処理において前記他方の電位に接続した前記1箇所の検査ポイント同士の絶縁状態が不良と検査すると共に、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した当該第2処理の回数が3回以上との条件を満たす前記検査グループを対象として前記第3処理を実行する。
【0010】
また、請求項2記載の絶縁検査装置は、1番目からN番目までのN箇所の検査ポイント(Nは、2以上の整数)のうちの一部を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該N箇所の検査ポイントのうちの他の一部を他方の電位に接続した状態において当該一方の電位に接続した当該検査ポイントと当該他方の電位に接続した当該検査ポイントとの間の電気的パラメータを測定して当該測定した電気的パラメータに基づいて当該各検査ポイントの絶縁状態を検査する検査部を備えた絶縁検査装置であって、前記検査部は、前記N箇所の検査ポイントをMa箇所の当該検査ポイントおよびMb箇所の当該検査ポイント(MaおよびMbは、Ma+Mb=Nとの条件を満たす整数)に分けて当該Ma箇所の検査ポイントを前記一方の電位に接続すると共に当該Mb箇所の検査ポイントを前記他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Ma箇所の検査ポイントおよび当該Mb箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第1処理をlog(Ma+Mb)=Mc(端数切り上げ)との条件を満たすMc回実行する第1検査処理と、前記Mc回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したときにいずれの当該第1処理において不良と検査したかに基づいてLa箇所の検査ポイント(Laは、2以上N以下の整数)が属する検査グループを規定して当該La箇所の検査ポイントのうちのLba箇所以下のLbb箇所の検査ポイント(Lbaは、(La−1)との条件を満たす整数)を前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該Lba箇所以外の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Lbb箇所の検査ポイントおよび当該1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第2処理を当該検査グループ毎に2Md=Lc(Mdは、前記第1検査処理において絶縁状態が不良と検査した前記第1処理の回数)との条件を満たすLc回以下のLd回実行する第2検査処理と、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記検査グループを対象として前記La箇所の検査ポイントのうちの1箇所の検査ポイントを前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該La箇所の検査ポイントのうちの他の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該1箇所の検査ポイントおよび当該他の1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第3処理を当該検査グループ毎にLa(La−1)/2=Kaとの条件を満たすKa回以下のKb回実行する第3検査処理とを実行して前記N箇所の検査ポイントの絶縁状態を検査可能に構成され、前記第2検査処理時には、絶縁状態が良好と検査した前記第2処理時に前記他方の電位に接続した前記1箇所の検査ポイントを当該1箇所の検査ポイントが属する前記検査グループを対象としてその後に実行する前記第2処理時に前記一方の電位に接続することなく絶縁状態を検査すると共に、1回目から(Lc−1)回目までの(Lc−1)回の前記第2処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したときにLc回目の前記第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を良好と検査すると共に、当該(Lc−1)回の第2処理のうちの1回だけにおいて絶縁状態が不良と検査したときに当該Lc回目の第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を不良と検査し、前記第3検査処理時には、前記第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記第2処理の回数が2回だけの前記検査グループを対象として前記第3処理を実行することなく当該2回の第2処理において前記他方の電位に接続した前記1箇所の検査ポイント同士の絶縁状態が不良と検査すると共に、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した当該第2処理の回数が3回以上との条件を満たす前記検査グループを対象として前記第3処理を実行する。
【0011】
さらに、請求項3記載の絶縁検査装置は、請求項1または2記載の絶縁検査装置において、前記検査部は、前記第1検査処理において、各Aa番目の前記各検査ポイント(Aaは、(Aa−1)をMc桁の2進数で表したときに右からB桁目(Bは、1からMcまでの各整数)の値が0との条件を満たすN以下の各整数)と、各Ab番目の前記各検査ポイント(Abは、(Ab−1)をMc桁の2進数で表したときに右からB桁目の値が1との条件を満たすN以下の各整数)とのいずれかを前記Ma箇所の検査ポイントとして前記一方の電位に接続すると共に他の前記各検査ポイントを前記Mb箇所の検査ポイントとして前記他方の電位に接続して絶縁状態を検査し、前記第2検査処理において、各Da番目の前記各検査ポイント(Daは、各AaのうちのいずれかのAa、および当該いずれかのAaから1を引いた数を表すMc桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足したN以下の各整数で、Cは、絶縁状態が不良と検査した前記各第1処理時に前記一方の電位に接続した前記各Aa番目の検査ポイントについての前記B桁目のBと同じ各整数)と、各Db番目の前記各検査ポイント(Dbは、各AbのうちのいずれかのAb、および当該いずれかのAbから1を引いた数を表すMc桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足したN以下の各整数)とのいずれかを前記La箇所の検査ポイントとして絶縁状態を検査する。なお、第1検査処理時に絶縁状態が不良と検査した各第1処理が2回以上で、該当する「B」が複数存在するときには、上記の「C」は、「各Bと同じ整数」と、「各Bを組み合わせた複数の数」を意味する。具体的には、一例として、「B」が「1」、「2」、「3」の3つの場合、「C」は、「1」、「2」、「3」、「1および2」、「2および3」、「1および3」、「1,2および3」の7つを意味する。
【0012】
また、請求項4記載の絶縁検査方法は、1番目からN番目までのN箇所の検査ポイント(Nは、2以上の整数)のうちの一部を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該N箇所の検査ポイントのうちの他の一部を他方の電位に接続した状態において当該一方の電位に接続した当該検査ポイントと当該他方の電位に接続した当該検査ポイントとの間の電気的パラメータを測定して当該測定した電気的パラメータに基づいて当該各検査ポイントの絶縁状態を検査する絶縁検査方法であって、前記N箇所の検査ポイントをMa箇所の当該検査ポイントおよびMb箇所の当該検査ポイント(MaおよびMbは、Ma+Mb=Nとの条件を満たす整数)に分けて当該Ma箇所の検査ポイントを前記一方の電位に接続すると共に当該Mb箇所の検査ポイントを前記他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Ma箇所の検査ポイントおよび当該Mb箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第1処理をlog(Ma+Mb)=Mc(端数切り上げ)との条件を満たすMc回実行する第1検査処理と、前記Mc回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したときにいずれの当該第1処理において不良と検査したかに基づいてLa箇所の検査ポイント(Laは、2以上N以下の整数)が属する検査グループを規定して当該La箇所の検査ポイントのうちのLb箇所の検査ポイント(Lbは、(La−1)との条件を満たす整数)を前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該Lb箇所以外の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Lb箇所の検査ポイントおよび当該1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第2処理を当該検査グループ毎に2Md=Lc(Mdは、前記第1検査処理において絶縁状態が不良と検査した前記第1処理の回数)との条件を満たすLc回以下のLd回実行する第2検査処理と、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記検査グループを対象として前記La箇所の検査ポイントのうちの1箇所の検査ポイントを前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該La箇所の検査ポイントのうちの他の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該1箇所の検査ポイントおよび当該他の1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第3処理を当該検査グループ毎にLa(La−1)/2=Kaとの条件を満たすKa回以下のKb回実行する第3検査処理とを実行して前記N箇所の検査ポイントの絶縁状態を検査する際に、前記第2検査処理時には、1回目から(Lc−1)回目までの(Lc−1)回の前記第2処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したときにLc回目の前記第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を良好と検査すると共に、当該(Lc−1)回の第2処理のうちの1回だけにおいて絶縁状態が不良と検査したときに当該Lc回目の第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を不良と検査し、前記第3検査処理時には、前記第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記第2処理の回数が2回だけの前記検査グループを対象として前記第3処理を実行することなく当該2回の第2処理において前記他方の電位に接続した前記1箇所の検査ポイント同士の絶縁状態が不良と検査すると共に、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した当該第2処理の回数が3回以上との条件を満たす前記検査グループを対象として前記第3処理を実行する。
【0013】
また、請求項5記載の絶縁検査方法は、1番目からN番目までのN箇所の検査ポイント(Nは、2以上の整数)のうちの一部を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該N箇所の検査ポイントのうちの他の一部を他方の電位に接続した状態において当該一方の電位に接続した当該検査ポイントと当該他方の電位に接続した当該検査ポイントとの間の電気的パラメータを測定して当該測定した電気的パラメータに基づいて当該各検査ポイントの絶縁状態を検査する絶縁検査方法であって、前記N箇所の検査ポイントをMa箇所の当該検査ポイントおよびMb箇所の当該検査ポイント(MaおよびMbは、Ma+Mb=Nとの条件を満たす整数)に分けて当該Ma箇所の検査ポイントを前記一方の電位に接続すると共に当該Mb箇所の検査ポイントを前記他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Ma箇所の検査ポイントおよび当該Mb箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第1処理をlog(Ma+Mb)=Mc(端数切り上げ)との条件を満たすMc回実行する第1検査処理と、前記Mc回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したときにいずれの当該第1処理において不良と検査したかに基づいてLa箇所の検査ポイント(Laは、2以上N以下の整数)が属する検査グループを規定して当該La箇所の検査ポイントのうちのLba箇所以下のLbb箇所の検査ポイント(Lbaは、(La−1)との条件を満たす整数)を前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該Lba箇所以外の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Lbb箇所の検査ポイントおよび当該1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第2処理を当該検査グループ毎に2Md=Lc(Mdは、前記第1検査処理において絶縁状態が不良と検査した前記第1処理の回数)との条件を満たすLc回以下のLd回実行する第2検査処理と、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記検査グループを対象として前記La箇所の検査ポイントのうちの1箇所の検査ポイントを前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該La箇所の検査ポイントのうちの他の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該1箇所の検査ポイントおよび当該他の1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第3処理を当該検査グループ毎にLa(La−1)/2=Kaとの条件を満たすKa回以下のKb回実行する第3検査処理とを実行して前記N箇所の検査ポイントの絶縁状態を検査する際に、前記第2検査処理時には、絶縁状態が良好と検査した前記第2処理時に前記他方の電位に接続した前記1箇所の検査ポイントを当該1箇所の検査ポイントが属する前記検査グループを対象としてその後に実行する前記第2処理時に前記一方の電位に接続することなく絶縁状態を検査すると共に、1回目から(Lc−1)回目までの(Lc−1)回の前記第2処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したときにLc回目の前記第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を良好と検査すると共に、当該(Lc−1)回の第2処理のうちの1回だけにおいて絶縁状態が不良と検査したときに当該Lc回目の第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を不良と検査し、前記第3検査処理時には、前記第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記第2処理の回数が2回だけの前記検査グループを対象として前記第3処理を実行することなく当該2回の第2処理において前記他方の電位に接続した前記1箇所の検査ポイント同士の絶縁状態が不良と検査すると共に、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した当該第2処理の回数が3回以上との条件を満たす前記検査グループを対象として前記第3処理を実行する。
【0014】
さらに、請求項6記載の絶縁検査方法は、請求項4または5記載の絶縁検査方法において、前記第1検査処理において、各Aa番目の前記各検査ポイント(Aaは、(Aa−1)をMc桁の2進数で表したときに右からB桁目(Bは、1からMcまでの各整数)の値が0との条件を満たすN以下の各整数)と、各Ab番目の前記各検査ポイント(Abは、(Ab−1)をMc桁の2進数で表したときに右からB桁目の値が1との条件を満たすN以下の各整数)とのいずれかを前記Ma箇所の検査ポイントとして前記一方の電位に接続すると共に他の前記各検査ポイントを前記Mb箇所の検査ポイントとして前記他方の電位に接続して絶縁状態を検査し、前記第2検査処理において、各Da番目の前記各検査ポイント(Daは、各AaのうちのいずれかのAa、および当該いずれかのAaから1を引いた数を表すMc桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足したN以下の各整数で、Cは、絶縁状態が不良と検査した前記各第1処理時に前記一方の電位に接続した前記各Aa番目の検査ポイントについての前記B桁目のBと同じ各整数)と、各Db番目の前記各検査ポイント(Dbは、各AbのうちのいずれかのAb、および当該いずれかのAbから1を引いた数を表すMc桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足したN以下の各整数)とのいずれかを前記La箇所の検査ポイントとして絶縁状態を検査する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の絶縁検査装置、および請求項4記載の絶縁検査方法では、N箇所の検査ポイントのうちのMa箇所の検査ポイントを一方の電位に接続すると共にN箇所の検査ポイントのうちのMb箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した電気的パラメータに基づいてMa箇所の検査ポイントおよびMb箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第1処理をMc回実行する第1検査処理と、Mc回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したときにいずれの第1処理において不良と検査したかに基づいてLa箇所の検査ポイントが属する検査グループを規定してLa箇所の検査ポイントのうちのLb箇所の検査ポイントを高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共にLb箇所以外の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した電気的パラメータに基づいてLb箇所の検査ポイントおよび1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第2処理を検査グループ毎にLc回以下のLd回実行する第2検査処理と、第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した検査グループを対象としてLa箇所の検査ポイントのうちの1箇所の検査ポイントを高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共にLa箇所の検査ポイントのうちの他の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した電気的パラメータに基づいて1箇所の検査ポイントおよび他の1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第3処理を検査グループ毎にKa回以下のKb回実行する第3検査処理とを実行してN箇所の検査ポイントの絶縁状態を検査する際に、第2検査処理時には、1回目から(Lc−1)回目までの(Lc−1)回の第2処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したときにLc回目の第2処理を実行することなくLc回目の第2処理の検査対象を良好と検査すると共に、(Lc−1)回の第2処理のうちの1回だけにおいて絶縁状態が不良と検査したときにLc回目の第2処理を実行することなくLc回目の第2処理の検査対象を不良と検査し、第3検査処理時には、第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した第2処理の回数が2回だけの検査グループを対象として第3処理を実行することなく、その2回の第2処理において他方の電位に接続した1箇所の検査ポイント同士の絶縁状態が不良と検査すると共に、第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した第2処理の回数が3回以上との条件を満たす検査グループを対象として第3処理を実行する。
【0016】
また、請求項2記載の絶縁検査装置、および請求項5記載の絶縁検査方法では、N箇所の検査ポイントのうちのMa箇所の検査ポイントを一方の電位に接続すると共にN箇所の検査ポイントのうちのMb箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した電気的パラメータに基づいてMa箇所の検査ポイントおよびMb箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第1処理をMc回実行する第1検査処理と、Mc回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したときにいずれの第1処理において不良と検査したかに基づいてLa箇所の検査ポイントが属する検査グループを規定してLa箇所の検査ポイントのうちのLba箇所以下のLbb箇所の検査ポイントを高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共にLba箇所以外の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した電気的パラメータに基づいてLbb箇所の検査ポイントおよび1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第2処理を検査グループ毎にLc回以下のLd回実行する第2検査処理と、第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した検査グループを対象としてLa箇所の検査ポイントのうちの1箇所の検査ポイントを高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共にLa箇所の検査ポイントのうちの他の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した電気的パラメータに基づいて1箇所の検査ポイントおよび他の1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第3処理を検査グループ毎にKa回以下のKb回実行する第3検査処理とを実行してN箇所の検査ポイントの絶縁状態を検査する際に、第2検査処理時には、絶縁状態が良好と検査した第2処理時に他方の電位に接続した1箇所の検査ポイントをその1箇所の検査ポイントが属する検査グループを対象としてその後に実行する第2処理時に一方の電位に接続することなく絶縁状態を検査すると共に、1回目から(Lc−1)回目までの(Lc−1)回の第2処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したときにLc回目の第2処理を実行することなくLc回目の第2処理の検査対象を良好と検査すると共に、(Lc−1)回の第2処理のうちの1回だけにおいて絶縁状態が不良と検査したときにLc回目の第2処理を実行することなくLc回目の第2処理の検査対象を不良と検査し、第3検査処理時には、第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した第2処理の回数が2回だけの検査グループを対象として第3処理を実行することなく、その2回の第2処理において他方の電位に接続した1箇所の検査ポイント同士の絶縁状態が不良と検査すると共に、第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した第2処理の回数が3回以上との条件を満たす検査グループを対象として第3処理を実行する。
【0017】
したがって、請求項1,2記載の絶縁検査装置、および請求項4,5記載の絶縁検査方法によれば、第1検査処理において絶縁状態が不良と検査した処理の回数が1回だけのときに、その検査結果に基づいて実行する第2検査処理が、実質的には第3検査処理の検査内容そのものとなるため(言い換えれば、第1検査処理の後に、第2検査処理を実行することなく第3検査処理を実行することとなるため)、このような例では、第1検査処理、第2検査処理および第3検査処理をこの順で実行する構成および検査方法と比較して、第3検査処理(または、第2検査処理)の分だけ、絶縁不良箇所が存在する検査対象の検査に要する時間を十分に短縮する(処理回数を十分に低減させる)ことができる。また、この絶縁検査装置および絶縁検査方法によれば、第1検査処理において絶縁状態が不良と検査した処理の回数が複数回となり、これに起因して、第2検査処理における各検査グループに属する検査ポイントの数が複数となって各検査グループ毎の処理回数が複数回となった場合においても、最後の1回を除く各処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したとき、および最後の1回を除く各処理のうちの1回だけで絶縁状態が不良と検査したときに、最後の1回の処理を実行することなく、その検査対象の絶縁状態が検査されるため、すべての検査ポイントを対象としてバルクショート検査を実行する構成および方法と比較して、第2検査処理において複数の検査グループ毎に検査することで、最後の1回の処理を実行しなくて済む可能性が高まる結果、絶縁不良箇所が存在する検査対象の検査に要する時間を十分に短縮する(処理回数を十分に低減させる)ことができる。さらに、この絶縁検査装置および絶縁検査方法によれば、第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した第2処理の回数が2回だけの検査グループを対象として第3処理を実行することなく、その2回の第2処理において他方の電位に接続した検査ポイント同士の絶縁状態が不良と検査することにより、このような検査結果となる検査対象については、第3検査処理における処理回数を十分に低減することができるため、絶縁不良箇所が存在する検査対象の検査に要する時間を十分に短縮することができる。
【0018】
また、請求項3記載の絶縁検査装置、および請求項6記載の絶縁検査方法によれば、第1検査処理において、各Aa番目の各検査ポイント(Aaは、(Aa−1)をMc桁の2進数で表したときに右からB桁目(Bは、1からMcまでの各整数)の値が0との条件を満たすN以下の各整数)と、各Ab番目の各検査ポイント(Abは、(Ab−1)をMc桁の2進数で表したときに右からB桁目の値が1との条件を満たすN以下の各整数)とのいずれかをMa箇所の検査ポイントとして一方の電位に接続すると共に他の各検査ポイントをMb箇所の検査ポイントとして他方の電位に接続して絶縁状態を検査し、第2検査処理において、各Da番目の各検査ポイント(Daは、各AaのうちのいずれかのAa、およびいずれかのAaから1を引いた数を表すMc桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足したN以下の各整数で、Cは、絶縁状態が不良と検査した各第1処理時に一方の電位に接続した各Aa番目の検査ポイントについてのB桁目のBと同じ各整数)各Db番目の各検査ポイント(Dbは、各AbのうちのいずれかのAb、およびいずれかのAbから1を引いた数を表すMc桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足したN以下の各整数)とのいずれかをLa箇所の検査ポイントとして絶縁状態を検査することにより、検査対象を検査するのに必要な検査手順データD1の生成を自動化することができるため、この検査手順データの生成に要する時間を含めた絶縁検査処理全体の時間を十分に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】絶縁検査装置1の構成を示す構成図である。
【図2】絶縁検査処理40のフローチャットである。
【図3】絶縁検査処理40における第1検査処理について説明するための説明図である。
【図4】絶縁検査処理40における第2検査処理について説明するための説明図である。
【図5】第2検査処理の他の形態について説明するための説明図である。
【図6】出願人が開発している絶縁検査装置によって実行される絶縁検査処理80のフローチャットである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、絶縁検査装置および絶縁検査方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0021】
図1に示す絶縁検査装置1は、複数の導体パターン(図示せず)が形成された検査対象基板20を対象として、各導体パターン間の絶縁状態を検査可能に構成された検査装置の一例であって、テストヘッド2、測定部4、接続切替え部5、操作部6、表示部7、制御部8および記憶部9を備えて構成されている。テストヘッド2は、検査対象基板20上に規定された複数の検査ポイントP−1〜P−N(以下、これらを区別しないときには「検査ポイントP」ともいう)に対してそれぞれ接触可能なプローブ3−1〜3−N(以下、これらを区別しないときには「プローブ3」ともいう)がプローブ保持部3aによって保持された検査用治具であって、各プローブ3は、接続切替え部5を介して測定部4の低電位接続部(同図において「L」と記した部位:以下、「L電位」ともいう)および高電位接続部(同図において「H」と記した部位:以下、「H電位」ともいう)のいずれかに接続される。
【0022】
なお、実際の検査対象基板20の検査時には、数百から数千箇所の検査ポイントPを規定して数百から数千本のプローブ3を用いて絶縁検査が実行されるが、以下の説明においては、絶縁検査装置の構成および絶縁検査方法についての理解を容易とするために、プローブ3−1〜3−16の16本を用いて1番目から16番目までの16箇所の検査ポイントP−1〜P−16の絶縁状態を検査する例(「N=16」の例)について説明する。
【0023】
測定部4は、図示しない電圧生成器および電流測定器を備えている。この測定部4は、後述するようにして、制御部8からの制御信号S2に従い、接続切替え部5によって電圧生成器のL電位に接続された検査ポイントP(L電位に接続されたプローブ3が接触している検査ポイントP)と電圧生成器のH電位に接続された検査ポイントP(H電位に接続されたプローブ3が接触している検査ポイントP)との間に検査用電圧(既知の一定電圧値)を印加した状態において、電流測定器によってL電位およびH電位の間を流れる電流を測定し、その測定結果を測定データD2として制御部8に出力する。接続切替え部5は、複数の切換スイッチおよびスイッチ制御回路(図示せず)を備え、制御部8からの制御信号S1に従って、スイッチ制御回路が各切換スイッチを切替え制御することにより、各プローブ3を測定部4における電圧生成器のL電位およびH電位のいずれかに接続するか、または、いずれにも接続しない(測定部4から切り離した状態の接続態様への切換制御する)。操作部6は、絶縁検査装置1の動作条件を設定するための各種の操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部8に出力する。表示部7は、制御部8の制御に従い、絶縁検査処理40の進行状況や、検査対象基板20についての検査結果を表示する。
【0024】
制御部8は、絶縁検査装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部8は、図2に示す絶縁検査処理40を実行して、検査対象基板20の良否を検査すると共に、絶縁不良箇所が存在する検査対象基板20については、いずれの導体パターン間(いずれの検査ポイントP間)に絶縁不良が生じているかを特定する。より具体的には、制御部8は、接続切替え部5に対して制御信号S1を出力して各プローブ3のうちの一部、または、すべてを測定部4のL電位およびH電位のいずれかに接続させると共に、測定部4に対して制御信号S2を出力して検査用電圧の出力、およびL電位とH電位との間を流れる電流の測定処理を実行させる。また、制御部8は、測定部4から出力された測定データD2に基づき、L電位に接続された検査ポイントPとH電位に接続された検査ポイントPとの間の絶縁状態が良好であるか否かを検査すると共に、その検査結果を検査結果データD3として記憶部9に記憶させる。
【0025】
記憶部9は、検査ポイントデータD0、検査手順データD1および検査結果データD3などを記憶する。検査ポイントデータD0は、検査対象基板20の各導体パターン上に規定された各検査ポイントPの数を特定可能に検査ポイントPの番号(この例では、1〜16)が記録されている。この場合、この検査ポイントデータD0については、一例として、検査対象基板20の設計データ等に基づき、絶縁検査装置1以外の情報処理装置(パーソナルコンピュータ等)によって生成される。また、検査手順データD1は、絶縁検査処理40における第1検査処理、第2検査処理および第3検査処理(ステップ42,45,49)の検査手順を示すデータであって、後述するようにして、検査ポイントデータD0、または、検査ポイントデータD0と検査結果データD3とに基づいて制御部8によって生成される。
【0026】
なお、この絶縁検査装置1では、テストヘッド2、測定部4、接続切替え部5、制御部8および記憶部9が相俟って検査部を構成する。また、この絶縁検査装置1では、テストヘッド2および検査対象基板20の少なくとも一方を他方に向けて移動させて各プローブ3を検査ポイントP(導体パターン)に接触させる移動機構(図示せず)を備えているが、絶縁検査装置の構成および絶縁検査方法についての理解を容易とするために、その図示および詳細な説明を省略する。
【0027】
この絶縁検査装置1では、操作部6の操作によって処理開始を指示されたときに、制御部8が、図2に示す絶縁検査処理40を開始する。この絶縁検査処理40では、制御部8は、まず、検査ポイントデータD0に基づいて第1検査処理用の検査手順データD1を生成する(ステップ41)。この場合、後に実行する第1検査処理は、出願人が開発している絶縁検査装置において実行される絶縁検査処理80のマルチプル検査(ステップ81)と同様の絶縁検査処理であって、log(Ma+Mb)=Mcとの条件を満たすMc回(この例では、「Ma+Mb=N=16」であるため、「Mc=4」回)の処理(第1処理の一例)によって検査対象基板20に絶縁不良箇所が存在するか否かが検査される。したがって、制御部8は、検査ポイントデータD0に基づき、上記のMc=4回の処理時に、いずれの検査ポイントP(いずれのプローブ3)をL電位に接続し、いずれの検査ポイントP(いずれのプローブ3)をH電位に接続するかを規定して検査手順データD1を生成する。
【0028】
具体的には、図3に示すように、制御部8は、一例として、各検査ポイントPのうちの検査ポイント番号を表す数(この例では、1〜16)から「1」を引いた数(この例では、0〜15)をMc=4桁の2進数で表したときに右から1桁目(「B桁目」の一例)が「0」との条件を満たす整数を検査ポイント番号とする検査ポイントP(「各Aa番目の検査ポイント」の一例:この例では、検査ポイントP−1,P−3,P−5,P−7,P−9,P−11,P−13,P−15)をL電位に接続すると共に、各検査ポイントPのうちの検査ポイント番号を表す数から「1」を引いた数をMc=4桁の2進数で表したときに右から1桁目が「1」との条件を満たす整数を検査ポイント番号とする検査ポイントP(「各Ab番目の検査ポイント」の一例:この例では、検査ポイントP−2,P−4,P−6,P−8,P−10,P−12,P−14,P−16)をH電位に接続した状態において実行する処理を、上記の「Mc=4」回の処理のうちの1回(1回目の処理)として規定する。
【0029】
また、制御部8は、検査ポイント番号を表す数から「1」を引いた数をMc=4桁の2進数で表したときに右から2桁目(「B桁目」の他の一例)が「0」との条件を満たす整数を検査ポイント番号とする検査ポイントP(「各Aa番目の検査ポイント」の他の一例:この例では、検査ポイントP−1,P−2,P−5,P−6,P−9,P−10,P−13,P−14)をL電位に接続すると共に、検査ポイント番号を表す数から「1」を引いた数をMc=4桁の2進数で表したときに右から2桁目が「1」との条件を満たす整数を検査ポイント番号とする検査ポイントP(「各Ab番目の検査ポイント」の他の一例:この例では、検査ポイントP−3,P−4,P−7,P−8,P−11,P−12,P−15,P−16)をH電位に接続した状態において実行する処理を、上記の「Mc=4」回の処理のうちの他の1回(2回目の処理)として規定する。
【0030】
さらに、制御部8は、検査ポイント番号を表す数から「1」を引いた数をMc=4桁の2進数で表したときに右から3桁目(「B桁目」の他の一例)が「0」との条件を満たす整数を検査ポイント番号とする検査ポイントP(「各Aa番目の検査ポイント」のさらに他の一例)をL電位に接続すると共に、検査ポイント番号を表す数から「1」を引いた数をMc=4桁の2進数で表したときに右から3桁目が「1」との条件を満たす整数を検査ポイント番号とする検査ポイントP(「各Ab番目の検査ポイント」のさらに他の一例)をH電位に接続した状態において実行する処理を、上記の「Mc=4」回の処理のうちのさらに他の1回(3回目の処理)として規定する。
【0031】
また、制御部8は、検査ポイント番号を表す数から「1」を引いた数をMc=4桁の2進数で表したときに右から4桁目(「B桁目」の他の一例)が「0」との条件を満たす整数を検査ポイント番号とする検査ポイントP(「各Aa番目の検査ポイント」のさらに他の一例)をL電位に接続すると共に、検査ポイント番号を表す数から「1」を引いた数をMc=4桁の2進数で表したときに右から4桁目が「1」との条件を満たす整数を検査ポイント番号とする検査ポイントP(「各Ab番目の検査ポイント」のさらに他の一例)をH電位に接続した状態において実行する処理を、上記の「Mc=4」回の処理のうちのさらに他の1回(4回目の処理)として規定する。
【0032】
次いで、制御部8は、上記の「Mc=4」回の各処理の接続態様を検査手順データD1として生成して記憶部9に記憶させる。これにより、N=16箇所の検査ポイントPについて、Ma=8箇所の検査ポイントPと、Mb=8箇所の検査ポイントPとに分けて絶縁状態を検査する第1検査処理用の検査手順データD1が記憶部9に記憶される。なお、後述する第1検査処理においては、「Mc=4」回の各処理をどのような順序で実行した場合においても、同一の検査対象基板20については、同一の検査結果を得られるが、一例として、上記の検査手順データD1では、図3において、各プローブ3のL電位およびH電位に対する接続態様を上側に図示した処理から順に実行するように検査手順が記録される。
【0033】
次いで、制御部8は、生成した検査手順データD1に基づき、検査対象基板20に対する第1検査処理を実行する(ステップ42)。この第1検査処理では、制御部8は、まず、図示しない移動機構を制御してテストヘッド2の各プローブ3を検査対象基板20の各検査ポイントP(各導体パターン)に接触させる。次いで、制御部8は、検査手順データD1に応じて接続切替え部5に制御信号S1を出力することにより、各プローブ3と測定部4(L電位およびH電位)との接続状態を1回目の処理に応じた接続態様に切り替えさせる。続いて、制御部8は、測定部4に制御信号S2を出力することにより、L電位およびH電位の間に検査用電圧を印加させると共に、電流値を測定させる。これに応じて、測定部4から測定データD2が出力され、制御部8は、出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントPの間に絶縁状態が不良の箇所(絶縁不良箇所)が存在するか否かを検査する。
【0034】
この際に、L電位に接続されている検査ポイントP−1,P−3,P−5,P−7,P−9,P−11,P−13,P−15のうちのいずれかと、H電位に接続されている検査ポイントP−2,P−4,P−6,P−8,P−10,P−12,P−14,P−16のうちのいずれかとの間に絶縁不良箇所が存在するときには、検査用電圧の印加によってL電位およびH電位の間を比較的大きな電流が流れる。したがって、制御部8は、測定部4から出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントPの間に絶縁不良箇所が存在すると検査して検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。一方、L電位に接続されている上記の各検査ポイントPのうちのいずれかと、H電位に接続されている上記の各検査ポイントPのうちのいずれかとの間に絶縁不良箇所が存在しないときには、検査用電圧の印加した際にL電位およびH電位の間を流れる電流の値がほぼ0となる。したがって、制御部8は、測定部4から出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントPの間に絶縁不良箇所が存在しないと検査して検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。
【0035】
次いで、制御部8は、検査手順データD1に応じて接続切替え部5に制御信号S1を出力することにより、各プローブ3と測定部4(L電位およびH電位)との接続状態を2回目の処理に応じた接続態様に切り替えさせる。続いて、制御部8は、測定部4に制御信号S2を出力して電流値を測定させると共に、測定部4から出力された測定データD2と検査用基準値とに基づいて、検査対象の検査ポイントPの間に絶縁不良箇所が存在するか否かを検査して、検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。次いで、制御部8は、上記の1回目の処理および2回目の処理と同様にして、3回目の処理および4回目の処理についても、検査手順データD1に基づく接続切替え部5の切替え制御(接続態様の切替え)、測定部4による測定処理の制御、測定部4から出力された測定データD2と検査用基準値とに基づく絶縁状態の検査、および記憶部9に対する検査結果データD3の記憶をそれぞれ実行する。これにより、「Mc=4」回の処理からなる第1検査処理が完了する。
【0036】
続いて、制御部8は、記憶部9に記憶させた検査結果データD3に基づき、上記の第1検査処理おいて絶縁状態が不良と検査した処理が存在するか否かを判別する(ステップ43)。この際に、第1検査処理における「Mc=4」回の各処理のすべてにおいて絶縁不良箇所が存在しないと検査したときには、制御部8は、検査対象の検査対象基板20が良品である旨のメッセージを表示部7に表示させて、この絶縁検査処理40を終了する。一方、第1検査処理における「Mc=4」回の各処理のうちのいずれかにおいて絶縁不良箇所が存在すると検査したときには、制御部8は、第1検査処理の検査結果に基づき、第2検査処理用の検査手順データD1を生成する(ステップ44)。
【0037】
具体的には、一例として、上記の「Mc=4」回の各処理のうちの2回目の処理時にだけ絶縁不良箇所が存在すると検査したとき(「Mc回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したとき」の一例)には、制御部8は、2回目の処理時に絶縁状態が不良と検査したとの結果に基づいて、検査手順データD1を生成する。より具体的には、制御部8は、一例として、2回目の処理時にL電位に接続した検査ポイントPの検査ポイント番号を表す各数(この例では、「1,2,5,6,9,10,13,14」)のうちのいずれかと、そのいずれか1つの数から「1」を引いた数を表すMc=4桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足した数を検査ポイント番号とする検査ポイントPを1つの検査グループに属する検査ポイントPとしてグループ分けする。
【0038】
この場合、上記の第1検査処理における2回目の処理時には、検査ポイント番号を表す数から「1」を引いた数をMc=4桁の2進数で表したときに右から2桁目の値が「0」との条件を満たす数を検査ポイント番号とする検査ポイントPをL電位に接続している(「B=2」の例)。したがって、制御部8は、図4の上図に示すように、例えば、「1」(各AaのうちのいずれかのAaの一例)を検査ポイント番号とする検査ポイントP−1と、「1」から「1」を引いた「0」を表すMc=4桁の「0000」との2進数における右から「C=B=2」桁目の値を反転させた「0010」との2進数で表される数の「2」に「1」を足した「3」を検査ポイント番号とする検査ポイントP−3とを1つの検査グループに属する「La=2個」の検査ポイントPとしてグループ分けする(「Da=1,3」の例)。また、制御部8は、グループ分けが完了した検査ポイントPの検査ポイント番号を表す「1」、「3」以外の整数のうちの最も小さい「2」(各AaのうちのいずれかのAaの他の一例)を検査ポイント番号とする検査ポイントP−2と、「2」から「1」を引いた「1」を表すMc=4桁の「0001」との2進数における右から「C=B=2」桁目の値を反転させた「0011」との2進数で表される数の「3」に「1」を足した「4」を検査ポイント番号とする検査ポイントP−4とを1つの検査グループに属する「La=2個」の検査ポイントPとしてグループ分けする(「Da=2,4」の例)。
【0039】
さらに、制御部8は、グループ分けが完了した検査ポイントPの検査ポイント番号を表す「1」〜「4」以外の整数のうちの最も小さい「5」(各AaのうちのいずれかのAaのさらに他の一例)を検査ポイント番号とする検査ポイントP−5と、「5」から「1」を引いた「4」を表すMc=4桁の「0100」との2進数における右から「C=B=2」桁目の値を反転させた「0110」との2進数で表される数の「6」に「1」を足した「7」を検査ポイント番号とする検査ポイントP−7とを1つの検査グループに属する「La=2個」の検査ポイントPとしてグループ分けする(「Da=5,7」の例)。この後、制御部8は、グループ分けが完了していない各検査ポイントPについても、上記の6つの検査ポイントPと同様にして、いずれかの検査グループに属するようにグループ分けする。これにより、この例では、8つの検査グループが規定される。
【0040】
次いで、制御部8は、各検査グループに属する各検査ポイントPのL電位およびH電位の接続態様を規定する。この場合、この例では、1つの検査グループに属する検査ポイントPの数が2つだけであるため(Lb=1の例)、一例として、検査ポイント番号が小さい検査ポイントPをL電位に接続し、検査ポイント番号が大きい検査ポイントPをH電位に接続するように規定する。また、制御部8は、各検査ポイントPがいずれの検査グループに属するか、および検査ポイントPをいずれの電位に接続するかを特定可能に検査手順データD1を生成して記憶部9に記憶させる。これにより、図4の上図に示すように、第1検査処理における2回目の処理時に絶縁状態が不良と検査された際に実行する第2検査処理用の検査手順データD1が記憶部9に記憶される。
【0041】
続いて、制御部8は、検査手順データD1に基づき、検査対象基板20に対する第2検査処理を実行する(ステップ45)。この第2検査処理では、制御部8は、検査手順データD1に応じて接続切替え部5に制御信号S1を出力することにより、各プローブ3と測定部4(L電位およびH電位)との接続状態を1つ目の検査グループに対する処理に応じた接続態様に切り替えさせる。具体的には、検査ポイントP−1をL電位に接続させると共に検査ポイントP−3をH電位に接続させ、検査ポイントP−2,P−4〜P16については、測定部4から切り離した状態に接続態様を切り替えさせる。続いて、制御部8は、測定部4に制御信号S2を出力することにより、L電位およびH電位の間に検査用電圧を印加させると共に、電流値を測定させる。これに応じて、測定部4から測定データD2が出力され、制御部8は、出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントP−1,P−3の間に絶縁不良が生じているか否かを検査して、検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。これにより、1つ目の検査グループに属する「La=2」箇所の検査ポイントP−1,P−3についての「2Md=2=Lc」回よりも少ない「Ld=1」回の処理(第2処理の一例)が完了する。
【0042】
この場合、この例では、例えば、検査ポイントP−1については、前述した第1検査処理における1回目の処理において検査ポイントP−2,P−4,P−6,P−8,P−10,P−12,P−14,P−16との間の絶縁状態が良好と検査され、第1検査処理における3回目の処理において検査ポイントP−5〜P−8,P−13〜P−16との間の絶縁状態が良好と検査され、第1検査処理における4回目の処理において検査ポイントP−9〜P−16との間の絶縁状態が良好と検査されている。したがって、この検査ポイントP−1については、第2検査処理における上記の処理によって検査ポイントP−3との間の絶縁状態を検査することで、他の検査グループに属する検査ポイントP−2,P−4〜P−16との間の絶縁状態を改めて検査することなく、その絶縁状態が良好であるか否かを確定することができる。同様にして、検査ポイントP−3についても、第2検査処理における上記の処理によって検査ポイントP−1との間の絶縁状態を検査することで、他の検査グループに属する検査ポイントP−2,P−4〜P−16との間の絶縁状態を改めて検査することなく、その絶縁状態が良好であるか否かを確定することができる。
【0043】
この後、制御部8は、2つ目の検査グループに属する検査ポイントP−2,P−4や、3つ目の検査グループに属する検査ポイントP−5,P−7についても、1つ目の検査グループに属する上記の検査ポイントP−1,P−3と同様に絶縁状態を検査して検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。また、制御部8は、8つ目の検査グループに属する検査ポイントP−14,P−16についての絶縁状態の検査を完了したときに、この第2検査処理を終了する。次いで、制御部8は、記憶部9に記憶させた検査結果データD3に基づき、第3検査処理を実行すべき対象が存在するか否かを判別する(ステップ46)。この際には、上記の第2検査処理における各検査グループに属する検査ポイントPの数が「2」で、この検査グループに属する各検査ポイントPに対する個別検査が不要であるため、制御部8は、第3検査処理を実行すべき対象(個別検査を実行する必要がある対象)が存在しないと判別する。続いて、制御部8は、記憶部9に記憶させた検査結果データD3に基づき、絶縁状態が不良の検査ポイントP(絶縁不良箇所)を特定して(ステップ47)、第3検査処理を実行することなく、この絶縁検査処理40を終了する。
【0044】
一方、第1検査処理における「Mc=4」回の各処理のうちの1回目の処理時、および3回目の処理時の2回に亘って絶縁不良箇所が存在すると検査したとき(「Mc回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したとき」の他の一例)には(ステップ43)、制御部8は、第1検査処理における1回目の処理時および3回目の処理時に絶縁状態が不良と検査したとの結果に基づいて、第2検査処理用の検査手順データD1を生成する(ステップ44)。この場合、上記の第1検査処理における1回目の処理時には、検査ポイント番号を表す数(この例では、「1,3,5,7,9,11,13,15」)から「1」を引いた数(この例では、「0,2,4,6,8,10,12,14」)をMc=4桁の2進数で表したときに右から1桁目の値が「0」との条件を満たす数を検査ポイント番号とする検査ポイントPをL電位に接続している(「B=1」の例)。また、上記の第1検査処理における3回目の処理時には、検査ポイント番号を表す数(この例では、「1〜4,9〜12」)から「1」を引いた数(この例では、「0〜3,8〜11」)をMc=4桁の2進数で表したときに右から3桁目の値が「0」との条件を満たす数を検査ポイント番号とする検査ポイントPをL電位に接続している(「B=3」の例)。
【0045】
したがって、制御部8は、図4の下図に示すように、例えば、「1」(各AaのうちのいずれかのAaの一例)を検査ポイント番号とする検査ポイントP−1と、「1」から「1」を引いた「0」を表すMc=4桁の「0000」との2進数における右から「C=B=1」桁目の値を反転させた「0001」との2進数で表される数の「1」に「1」を足した「2」を検査ポイント番号とする検査ポイントP−2と、上記の「0000」との2進数における右から「C=B=3」桁目の値を反転させた「0100」との2進数で表される数の「4」に「1」を足した「5」を検査ポイント番号とする検査ポイントP−5と、上記の「0000」との2進数における右から「C=B=1」桁目の値および「C=B=3」桁目の値を反転させた「0101」との2進数で表される数の「5」に「1」を足した「6」を検査ポイント番号とする検査ポイントP−6とを、1つの検査グループに属する「La=4個」の検査ポイントPとしてグループ分けする(「Da=1,2,5,6」の例)。
【0046】
また、制御部8は、グループ分けが完了した検査ポイントPの検査ポイント番号を表す「1」、「2」、「5」、「6」以外の整数のうちの最も小さい「3」(各AaのうちのいずれかのAaの他の一例)を検査ポイント番号とする検査ポイントP−3と、「3」から「1」を引いた「2」を表すMc=4桁の「0010」との2進数における右から「C=B=1桁目の値を反転させた「0011」との2進数で表される数の「3」に「1」を足した「4」を検査ポイント番号とする検査ポイントP−4と、上記の「0010」との2進数における右から「C=B=3」桁目の値を反転させた「0110」との2進数で表される数の「6」に「1」を足した「7」を検査ポイント番号とする検査ポイントP−7と、上記の「0010」との2進数における右から「C=B=1」桁目の値および「C=B=3」桁目の値を反転させた「0111」との2進数で表される数の「7」に「1」を足した「8」を検査ポイント番号とする検査ポイントP−8とを、1つの検査グループに属する「La=4個」の検査ポイントPとしてグループ分けする(「Da=3,4,7,8」の例)。この後、制御部8は、グループ分けが完了していない各検査ポイントPについても、上記の8つの検査ポイントPと同様にして、いずれかの検査グループに属するようにグループ分けする。これにより、この例では、4つの検査グループが規定される。
【0047】
次いで、制御部8は、各検査グループに属する各検査ポイントPのL電位およびH電位に対する接続態様を規定する。この場合、この例では、1つの検査グループに属する検査ポイントPの数が4つであるため(La=4で、Lb=4−1=3の例)、図4における下図に示すように、一例として、各検査グループ毎に、4つの検査ポイントPのうちのいずれか1つをL電位に接続すると共に、他の3つの検査ポイントPをH電位に接続する接続態様を、その組合わせを代えて「2Md=2=Lc=Ld=4」種類規定する。また、制御部8は、各検査ポイントPがいずれの検査グループに属するか、および検査ポイントPを「2Md=2=Lc=Ld=4」回の各処理においていずれの電位に接続するかを特定可能に検査手順データD1を生成して記憶部9に記憶させる。これにより、図4の下図に示すように、第1検査処理における1回目の処理時および3回目の処理時に絶縁状態が不良と検査された際に実行する第2検査処理用の検査手順データD1が記憶部9に記憶される。第2検査処理における各検査グループ毎の「2Md=4」回の各処理をどのような順序で実行した場合においても、同一の検査対象基板20については、同一の検査結果を得られるが、一例として、上記の検査手順データD1では、図4において、各プローブ3のL電位およびH電位に対する接続態様を上側に図示した処理から順に実行するように検査手順が記録される。
【0048】
続いて、制御部8は、検査手順データD1に基づき、検査対象基板20に対する第2検査処理を実行する(ステップ45)。この第2検査処理では、制御部8は、検査手順データD1に応じて接続切替え部5に制御信号S1を出力することにより、各プローブ3と測定部4(L電位およびH電位)との接続状態を1つ目の検査グループに対する1回目の処理に応じた接続態様に切り替えさせる。具体的には、検査ポイントP−1をL電位に接続させると共に検査ポイントP−2,P−5,P−6をH電位に接続させ、検査ポイントP−3,P−4,P−7〜P16については、測定部4から切り離した状態に接続態様を切り替えさせる。次いで、制御部8は、測定部4に制御信号S2を出力して、検査用電圧の印加および電流値の測定を実行させる。また、制御部8は、測定部4から出力される測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントP−1と検査ポイントP−2,P−5,P−6との間に絶縁不良が生じているか否かを検査して、検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。これにより、1つ目の検査グループに属する「La=4」箇所の検査ポイントP−1,P−2,P−5,P−6についての1回目の処理が完了する。
【0049】
次いで、制御部8は、検査手順データD1に応じて接続切替え部5に制御信号S1を出力することにより、各プローブ3と測定部4(L電位およびH電位)との接続状態を1つ目の検査グループに対する2回目の処理に応じた接続態様に切り替えさせる。具体的には、検査ポイントP−2をL電位に接続させると共に検査ポイントP−1,P−5,P−6をH電位に接続させ、検査ポイントP−3,P−4,P−7〜P16については、測定部4から切り離した状態に接続態様を切り替えさせる。次いで、制御部8は、測定部4に制御信号S2を出力して、検査用電圧の印加および電流値の測定を実行させる。また、制御部8は、測定部4から出力される測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントP−2と検査ポイントP−1,P−5,P−6との間に絶縁不良が生じているか否かを検査して、検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。これにより、1つ目の検査グループに属する「La=4」箇所の検査ポイントP−1,P−2,P−5,P−6についての2回目の処理が完了する。
【0050】
続いて、制御部8は、検査手順データD1に基づき、1つ目の検査グループに対する3回目の処理を実行する。この場合、1回目から「Lc−1=4−1=3」回目までの3回の処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したとき、すなわち、1回目の処理において検査ポイントP−1と検査ポイントP−2,P−5,P−6との間の絶縁状態が良好と検査され、2回目の処理において検査ポイントP−2と検査ポイントP−1,P−5,P−6との間の絶縁状態が良好と検査され、1回目の処理において検査ポイントP−5と検査ポイントP−1,P−2,P−6との間の絶縁状態が良好と検査されたときには、4回目の処理を実行するまでもなく、検査ポイントP−6と検査ポイントP−1,P−2,P−5との間の絶縁状態が良好であることがわかる。したがって、このような例においては、制御部8は、4回目の処理を実行することなく、1つ目の検査グループに属する「La=4」箇所の検査ポイントP−1,P−2,P−5,P−6のすべてについて絶縁状態が良好として、他の検査グループを対象とする処理に移行する。
【0051】
また、1回目から3回目までの3回の処理のうちのいずれか1回だけで絶縁状態が不良と検査したときには、4回目の処理を実行するまでもなく、その検査対象に絶縁不良箇所が存在することがわかる。具体的には、一例として、検査ポイントP−1,P−6の間に絶縁不良が生じて、1回目の処理だけ絶縁状態が不良と検査したときには、4回目を実行するまでもなく、検査ポイントP−6と検査ポイントP−1,P−2,P−5との間の絶縁状態が不良と検査されるのがわかる。これに対して、検査ポイントP−1,P−2の間に絶縁不良が生じていた場合には、1回目の処理時だけでなく、2回目の処理時にも絶縁状態が不良と検査される。したがって、1回目から3回目までの3回の処理のうちのいずれか1回だけで絶縁状態が不良と検査したときには、制御部8は、4回目の処理を実行することなく、4回目の処理の検査対象に絶縁不良が生じているとして、他の検査グループを対象とする処理に移行する。
【0052】
さらに、1回目から3回目までの3回の処理のうちのいずれか2回だけで絶縁状態が不良と検査したときと、1回目から3回目までの3回の処理のすべてで絶縁状態が不良と検査したときには、制御部8は、4回目の処理の検査対象に絶縁不良箇所が存在するか否かを確定することができないため、検査手順データD1に基づき、1つ目の検査グループに対する4回目の処理を実行する。これにより、各検査ポイントPの絶縁状態に応じて、1つ目の検査グループに属する「La=4」箇所の検査ポイントP−1,P−2,P−5,P−6を対象とするLd=3回の処理、または、Ld=Lc=4回の処理が完了する。
【0053】
この場合、1つ目の検査グループに属する4つの検査ポイントPについては、前述した第1検査処理(ステップ42)において、他の検査グループに属する検査ポイントPとの間の絶縁状態が良好であると検査されている。具体的には、例えば、検査ポイントP−1については、第1検査処理における2回目の処理において検査ポイントP−3,P−4,P−7,P−8,P−11,P−12,P−15,P−16との間の絶縁状態が良好と検査され、第1検査処理における4回目の処理において検査ポイントP−9〜P−16との間の絶縁状態が良好と検査されている。したがって、検査ポイントP−1については、この検査ポイントP−1が属する検査グループ内の検査ポイントP−2,P−5,P−6との間の絶縁状態を検査することで、他の検査グループに属する検査ポイントP−3,P−4,P−7〜P−16との間の絶縁状態を改めて検査する必要がないことが理解できる。同様にして、検査ポイントP−2,P−5,P−6についても、同じ検査グループに属する検査ポイントPとの間の絶縁状態を検査することで、他の検査グループに属する検査ポイントP−3,P−4,P−7〜P−16との間の絶縁状態を改めて検査する必要がないため、この1つ目の検査グループについてのすべての処理において絶縁状態が良好と検査されたときには、検査ポイントP−1,P−2,P−5,P−6については、以後の検査処理を行うことなく、絶縁状態が良好であると確定する。
【0054】
この後、制御部8は、2つ目の検査グループに属する検査ポイントP−3,P−4,P−7,P−8、3つ目の検査グループに属する検査ポイントP−9,P−10,P−13,P−14、および4つ目の検査グループに属する検査ポイントP−11,P−12,P−15,P−16についても、1つ目の検査グループに属する上記の検査ポイントP−1,P−2,P−5,P−6と同様にして、各検査ポイントPの絶縁状態に応じて、Ld=3回の処理、または、Ld=Lc=4回の処理を実行して絶縁状態を検査し、検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。これにより、この例における第2検査処理が完了する。
【0055】
次いで、制御部8は、記憶部9に記憶させた検査結果データD3に基づき、第3検査処理を実行すべき対象が存在するか否かを判別する(ステップ46)。この際に、一例として、1つ目の検査グループから3つ目の検査グループまでの3つの検査グループを対象とする検査時に絶縁不良が生じていると検査された場合、制御部8は、第3検査処理を実行すべき対象が存在すると判別し、記憶部9に記憶させた検査結果データD3に基づき、絶縁不良が生じていると検査した検査グループのうちから、個別検査を事項すべき対象が存在する検査グループについての第3検査処理用の検査手順データD1を生成する(ステップ48)。
【0056】
この場合、一例として、検査ポイントP−1,P−6の双方の絶縁状態が良好で、検査ポイントP−2,P−5間に絶縁不良が生じている検査対象基板20では、上記の第2検査処理における1つ目の検査グループを対象とする検査において、2回目の処理と、3回目の処理との2回だけで絶縁状態が不良と検査される。この例では、1回目の処理についての検査結果データD3は、検査ポイントP−1が検査ポイントP−2,P−5,P−6のいずれに対しても絶縁状態が良好であるとの検査結果を表し、2回目の処理についての検査結果データD3は、検査ポイントP−1,P−5,P−6のうちのいずれかと検査ポイントP−2との間に絶縁不良が生じているとの検査結果を表し、3回目の処理についての検査結果データD3は、検査ポイントP−1,P−2,P−6のうちのいずれかと検査ポイントP−5との間に絶縁不良が生じているとの検査結果を表し、4回目の処理についての検査結果データD3は、検査ポイントP−6が検査ポイントP−1,P−5,P−6のいずれに対しても絶縁状態が良好であるとの検査結果を表している。このため、第2検査処理に際して絶縁状態が不良と検査した処理の回数が2回だけの1つ目の検査グループについては、第3検査処理を実行するまでもなく、検査ポイントP−2,P−5間に絶縁不良が生じていると確定することができる。したがって、制御部8は、この1つ目の検査グループを対象とする個別検査(検査手順データD1の生成)を不要と判別する。
【0057】
また、一例として、検査ポイントP−3,P−7の双方の絶縁状態が良好で、検査ポイントP−4,P−8間に絶縁不良が生じている検査対象基板20では、上記の第2検査処理における2つ目の検査グループを対象とする検査に際して、2回目の処理において絶縁状態が不良と検査されると共に、電流値の測定処理などが実行されることなく、4回目の処理の対象に絶縁不良箇所が存在すると検査される。この結果、この2つ目の検査グループについては、絶縁不良が生じていると検査した処理が2回だけとなる。この例では、1回目の処理についての検査結果データD3は、検査ポイントP−3が検査ポイントP−4,P−7,P−8のいずれに対しても絶縁状態が良好であるとの検査結果を表し、2回目の処理についての検査結果データD3は、検査ポイントP−3,P−7,P−8のうちのいずれかと検査ポイントP−4との間に絶縁不良が生じているとの検査結果を表し、3回目の処理についての検査結果データD3は、検査ポイントP−7が検査ポイントP−3,P−4,P−8のいずれに対しても絶縁状態が良好であるとの検査結果を表し、4回目の処理についての検査結果データD3は、検査ポイントP−3,P−4,P−7のうちのいずれかと検査ポイントP−8との間に絶縁不良が生じているとの検査結果を表している。このため、第2検査処理に際して絶縁状態が不良と検査した処理の回数が2回だけの2つ目の検査グループについては、第3検査処理を実行するまでもなく、検査ポイントP−4,P−8間に絶縁不良が生じていると確定することができる。したがって、制御部8は、この2つ目の検査グループを対象とする個別検査(検査手順データD1の生成)を不要と判別する。
【0058】
一方、一例として、検査ポイントP−9,P−10間、および検査ポイントP−13,P−14間に絶縁不良が生じている検査対象基板20では、上記の第2検査処理における3つ目の検査グループを対象とする検査に際して、1回目から4回目までの4回の処理において絶縁状態が不良と検査される。この結果、この3つ目の検査グループについては、絶縁不良が生じていると検査した処理が4回となる(「第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した第2処理の回数が3回以上との条件を満たす検査グループ」の一例)。したがって、制御部8は、この3つ目の検査グループを対象とする個別検査(検査手順データD1の生成)が必要と判別し、検査手順データD1を生成する。
【0059】
具体的には、制御部8は、一例として、検査ポイントP−9,P−10間の個別検査、検査ポイントP−9,P−13間の個別検査、検査ポイントP−9,P−14間の個別検査、検査ポイントP−10,P−13間の個別検査、検査ポイントP−10,P−14間の個別検査、および検査ポイントP−13,P−14間の個別検査をこの順で実行すると共に、各個別検査に際して、検査ポイント番号が小さい検査ポイントPをL電位に接続し、検査ポイント番号が大きい検査ポイントPをH電位に接続するように検査手順データD1を生成する。これにより、3つ目の検査グループに属する検査ポイントP−9,P−10,P−13,P−14の絶縁状態を検査するための検査手順データD1が記憶部9に記憶される。なお、一例として、4つ目の検査グループについては、上記の第2検査処理において絶縁状態が不良と検査した処理が存在しないものとする。したがって、この4つ目の検査グループについては、第2検査処理の完了時点において絶縁状態が良好と検査されて、第3検査処理の対象から除外される。
【0060】
次いで、制御部8は、検査対象基板20に対する第3検査処理を実行する(ステップ49)。この第3検査処理では、制御部8は、まず、前述した第2検査処理において記憶部9に記憶させた検査結果データD3に基づき、1つ目の検査グループについては、検査ポイントP−2,P−5間に絶縁不良が生じていると検査して(確定して)検査結果データD3を記憶部9に記憶させ、2つ目の検査グループについては、検査ポイントP−4,P−8間に絶縁不良が生じていると検査して(確定して)検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。次いで、制御部8は、記憶部9に記憶させた検査手順データD1に基づき、3つ目の検査グループを対象として上記の6つの個別検査(「第3処理」の一例)を順次実行し(「La(La−1)/2=Kaとの条件を満たすKa回以下のKb回」が「4(4a−1)/2=6回」である例)、各個別検査毎の検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。
【0061】
この例では、検査ポイントP−9,P−10間の個別検査、および検査ポイントP−13,P−14間の個別検査において絶縁状態が不良と検査され、他の4回の個別検査において絶縁状態が良好と検査される。これにより、第3検査処理が完了する。なお、上記の例とは相違するが、上記の6つの個別検査の1回目から5回目までのすべてにおいて絶縁状態が良好と検査した場合には、6回目の個別検査(第3処理)を実行するまでもなく、6回目の個別検査の対象に絶縁不良が生じていると検査することができる。したがって、このような例においては、制御部8は、6回目の個別検査を実行することなく、その検査対象に絶縁不良が生じていると検査して検査結果データD3を記憶させる(「Ka=6、Kb=5」の例)。
【0062】
続いて、制御部8は、上記の一連の検査処理において記憶部9に記憶させたすべての検査結果データD3に基づき、絶縁不良箇所を特定して(ステップ47)、特定結果(検査結果)を表示部7に表示させて、この絶縁検査処理40を終了する。これにより、第2検査処理時に記憶部9に記憶させた検査結果データD3に基づいて検査ポイントP−2,P−5間、および検査ポイントP−4,P−8間に絶縁不良が生じていると特定されると共に、第3検査処理時に記憶部9に記憶させた検査結果データD3に基づいて検査ポイントP−9,P−10間、および検査ポイントP−13,P−14間に絶縁不良が生じていると特定されて、その結果が表示部7に表示される。
【0063】
この場合、上記したように、検査ポイントP−1〜P−16までの16箇所の検査ポイントPを有する検査対象基板20については、絶縁検査装置1、および出願人が開発している絶縁検査装置の双方で、第1検査処理(マルチプル検査)において、「log16=4」回の検査が実行される。また、検査ポイントP−2,P−4間の1箇所だけに絶縁不良が生じていたときに、出願人が開発している絶縁検査装置では、バルクショート検査において、すべての検査ポイントPを対象として「16−1=15」回の検査が実行された後に、バルクショート検査において絶縁不良が生じていると検査された処理(この例では、検査ポイントP−2をL電位に接続すると共に検査ポイントP−3〜P−16をH電位に接続した状態で行われる検査)の対象の検査ポイントPについて、14回の個別検査が実行されることで検査ポイントP−2,P−4間に絶縁不良が生じていると特定される。したがって、このような例において、出願人が開発している絶縁検査装置では、1枚の検査対象基板20に対して実行する総検査回数が「4+15+14=33」回となる。
【0064】
これに対して、この絶縁検査装置1では、前述したように、第2検査処理において、8つの検査グループ毎に「2Md=2=Lc=2>Ld=1」回の検査(第2処理)が実行されて、この第2検査処理における検査回数が8回となるだけでなく、第3検査処理を実行することなく、検査ポイントP−2,P−4間に絶縁不良が生じていると特定される。したがって、このような例において、絶縁検査装置1では、1枚の検査対象基板20に対して実行する総検査回数は「4+8=12」回だけとなる。この場合、この種の絶縁検査装置(絶縁検査方法)の対象の回路基板(検査対象基板20)では、絶縁不良箇所が存在しないか、または、存在したとしても数カ所程度となっている。このため、絶縁不良箇所が1箇所程度の検査対象基板20についての検査に要する時間を短縮し得る絶縁検査装置1では、数多くの検査対象基板20について、その検査に要する時間が短縮されることが理解できる。
【0065】
一方、検査ポイントP−2,P−5間、検査ポイントP−4,P−8間、検査ポイントP−9,P−10間、および検査ポイントP−13,P−14間の4箇所だけに絶縁不良が生じていたときに、出願人が開発している絶縁検査装置では、マルチプル検査において「log16=4」回の検査が実行され、バルクショート検査において「16−1=15」回の検査が実行された後に、バルクショート検査において絶縁不良が生じていると検査された処理(この例では、検査ポイントP−2をL電位に接続すると共に検査ポイントP−3〜P−16をH電位に接続した状態で行われる検査、検査ポイントP−4をL電位に接続すると共に検査ポイントP−5〜P−16をH電位に接続した状態で行われる検査、検査ポイントP−9をL電位に接続すると共に検査ポイントP−10〜P−16をH電位に接続した状態で行われる検査、および検査ポイントP−13をL電位に接続すると共に検査ポイントP−14〜P−16をH電位に接続した状態で行われる検査の4つ)の対象について、「14+12+7+3=36」回の個別検査が実行されることで上記の各検査ポイント間に絶縁不良が生じていると特定される。したがって、このような例において、出願人が開発している絶縁検査装置では、1枚の検査対象基板20に対して実行する総検査回数が「4+15+36=55」回となる。
【0066】
これに対して、絶縁検査装置1では、前述したように、第1検査処理において、4回の検査が実行された後に、第2検査処理において、1つ目の検査グループを対象とする4回の検査、2つ目の検査グループを対象とする3回の検査、3つ目の検査グループを対象とする4回の検査、および4つ目の検査グループを対象とする3回の検査の「4+3+4+3=14」回の検査が実行され、その後に、3つ目の検査グループを対象とする6回の検査が実行されることで上記の各検査ポイント間に絶縁不良が生じていると特定される。したがって、このような例において、絶縁検査装置1では、1枚の検査対象基板20に対して実行する総検査回数は「4+14+6=24」回だけとなる。したがって、絶縁不良箇所が複数存在する場合においても、1枚の検査対象基板20の検査時間が十分に短縮されるのを理解することができる。
【0067】
このように、この絶縁検査装置1、および絶縁検査装置1による絶縁検査方法では、例えば、N=16箇所の検査ポイントPのうちのMa=8箇所の検査ポイントPをL電位に接続すると共にN=16箇所の検査ポイントPのうちのMb=8箇所の検査ポイントPをH電位に接続した状態において測定した電流値に基づいてMa=8箇所の検査ポイントPおよびMb=8箇所の検査ポイントPの間の絶縁状態を検査する第1処理をMc=4回実行する第1検査処理と(絶縁検査処理40におけるステップ42)、Mc=4回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したときにいずれの第1処理において不良と検査したかに基づいて、例えばLa=4箇所の検査ポイントPが属する検査グループを規定してLa=4箇所の検査ポイントPのうちのLb=3箇所の検査ポイントPをH電位に接続すると共にLb=3箇所以外の1箇所の検査ポイントPをL電位に接続した状態において測定した電流値に基づいてLb=3箇所の検査ポイントPおよび1箇所の検査ポイントPの間の絶縁状態を検査する第2処理を検査グループ毎にLc=4回以下のLd回実行する第2検査処理と(絶縁検査処理40におけるステップ45)、第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した検査グループを対象としてLa=4箇所の検査ポイントPのうちの1箇所の検査ポイントPをL電位に接続すると共にLa=4箇所の検査ポイントPのうちの他の1箇所の検査ポイントPをH電位に接続した状態において測定した電流値に基づいて1箇所の検査ポイントPおよび他の1箇所の検査ポイントPの間の絶縁状態を検査する第3処理を検査グループ毎にKa回以下のKb回実行する第3検査処理とを実行して(絶縁検査処理40におけるステップ49)、N=16箇所の検査ポイントPの絶縁状態を検査する際に、第2検査処理時には、1回目から3回目までの3回の第2処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したときに4回目の第2処理を実行することなく4回目の第2処理の検査対象を良好と検査すると共に、3回の第2処理のうちの1回だけにおいて絶縁状態が不良と検査したときに4回目の第2処理を実行することなく4回目の第2処理の検査対象を不良と検査し、第3検査処理時には、第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した第2処理の回数が2回だけの検査グループを対象として第3処理を実行することなく、その2回の第2処理においてL電位に接続した1箇所の検査ポイントP同士の絶縁状態が不良と検査すると共に、第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した第2処理の回数が3回以上との条件を満たす検査グループを対象として第3処理を実行する。
【0068】
したがって、この絶縁検査装置1、および絶縁検査装置1による絶縁検査方法によれば、第1検査処理(ステップ42)において絶縁状態が不良と検査した処理の回数が1回だけのときに、その検査結果に基づいて実行する第2検査処理(ステップ45)が、実質的には第3検査処理(ステップ49)の検査内容そのものとなるため(言い換えれば、第1検査処理の後に、第2検査処理を実行することなく第3検査処理を実行することとなるため)、このような例では、第1検査処理(マルチプル検査)、第2検査処理(バルクショート検査)、および第3検査処理(個別検査)をこの順で実行する構成および検査方法と比較して、第3検査処理(または、第2検査処理)の分だけ、絶縁不良箇所が存在する検査対象基板20を対象とする検査に要する時間を十分に短縮する(処理回数を十分に低減させる)ことができる。また、この絶縁検査装置1、および絶縁検査装置1による絶縁検査方法によれば、第1検査処理(ステップ42)において絶縁状態が不良と検査した処理の回数が複数回となり、これに起因して、第2検査処理における各検査グループに属する検査ポイントPの数が複数となって各検査グループ毎の処理回数が複数回となった場合においても、最後の1回を除く各処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したとき、および最後の1回を除く各処理のうちの1回だけで絶縁状態が不良と検査したときに、最後の1回の処理を実行することなく、その検査対象の絶縁状態が検査されるため、すべての検査ポイントPを対象としてバルクショート検査を実行する構成および方法と比較して、第2検査処理において複数の検査グループ毎に検査することで、最後の1回の処理を実行しなくて済む可能性が高まる結果、絶縁不良箇所が存在する検査対象基板20を対象とする検査に要する時間を十分に短縮する(処理回数を十分に低減させる)ことができる。さらに、この絶縁検査装置1、および絶縁検査装置1による絶縁検査方法によれば、第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した第2処理の回数が2回だけの検査グループを対象として第3処理を実行することなく、その2回の第2処理においてL電位に接続した検査ポイントP同士の絶縁状態が不良と検査することにより、このような検査結果となる検査対象基板20については、第3検査処理における処理回数を十分に低減することができるため、絶縁不良箇所が存在する検査対象基板20を対象とする検査に要する時間を十分に短縮することができる。
【0069】
また、この絶縁検査装置1、および絶縁検査装置1による絶縁検査方法によれば、絶縁検査処理40における第1検査処理(ステップ42)において、各Aa番目の各検査ポイントP(Aaは、(Aa−1)をMc=4桁の2進数で表したときに右からB桁目(Bは、1からMc=4までの各整数)の値が0との条件を満たすN=16以下の各整数)と、各Ab番目の各検査ポイントP(Abは、(Ab−1)をMc=4桁の2進数で表したときに右からB桁目の値が1との条件を満たすN=16以下の各整数)とのいずれかをMa=8箇所の検査ポイントPとしてL電位に接続すると共に他の各検査ポイントPをMb=8箇所の検査ポイントPとしてH電位に接続して絶縁状態を検査し、絶縁検査処理40における第2検査処理(ステップ45)において、各Da番目の各検査ポイントP(Daは、各AaのうちのいずれかのAa、およびいずれかのAaから1を引いた数を表すMc=4桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足したN=16以下の各整数で、Cは、絶縁状態が不良と検査した各第1処理時にL電位に接続した各Aa番目の検査ポイントPについてのB桁目のBと同じ各整数)と、各Db番目の各検査ポイントP(Dbは、各AbのうちのいずれかのAb、およびいずれかのAbから1を引いた数を表すMc=4桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足したN=16以下の各整数)とのいずれかをLa=4箇所の検査ポイントPとして絶縁状態を検査することにより、検査対象基板20を検査するのに必要な検査手順データD1の生成を自動化することができるため、この検査手順データD1の生成に要する時間を含めた絶縁検査処理40全体の時間を十分に短縮することができる。
【0070】
なお、絶縁検査装置の構成および絶縁検査方法は、上記の絶縁検査装置1、およびその絶縁検査方法に限定されない。例えば、絶縁検査処理40における第2検査処理(ステップ45)において、1つの検査グループに属する4つの検査ポイントPのうちの1つをL電位に接続すると共に、他の3つの検査ポイントPのすべてをH電位に接続し、これらの接続対象の組合わせを変更して複数回の処理を実行する例について説明したが、絶縁検査装置の構成および絶縁検査方法は、これに限定されない。具体的には、図5に示すように、各検査グループ毎に実行する複数回の処理において、各処理の検査結果に応じて、H電位に接続する検査ポイントPの数を減少させる構成および方法を採用することができる。なお、同図に示す第2検査処理以外の各処理については、前述した絶縁検査処理40と同様であるため、その説明を省略する。また、同図では、検査ポイントP−2,P−5間、検査ポイントP−4,P−8間、検査ポイントP−9,P−10間、および検査ポイントP−13,P−14間に絶縁不良が生じている際に実行される第2検査処理を表している。
【0071】
この例では、第1検査処理におけるMc=4回の第1処理のうちの1回目の処理と3回目の処理との2回において絶縁状態が不良と検査したときに、前述した絶縁検査処理40における第1検査処理(ステップ42)の完了後と同様にして、4つの検査グループが制御部8によって規定されて、検査手順データD1が生成される。なお、同図に示す接続態様で実行される第2検査処理時においても、処理開始時点においては、前述した絶縁検査処理40における第2検査処理(ステップ45)用の検査手順データD1と同様の検査手順データD1が生成される。
【0072】
次いで、制御部8は、検査手順データD1に応じて接続切替え部5に制御信号S1を出力することにより、各プローブ3と測定部4(L電位およびH電位)との接続状態を1つ目の検査グループに対する2回目の処理に応じた接続態様に切り替えさせる。具体的には、検査ポイントP−1(「Lba箇所以外の1箇所の検査ポイント」の一例)をL電位に接続させると共に検査ポイントP−2,P−5,P−6(「Lba箇所以下のLbb箇所の検査ポイント」の一例:この例では、Lba=Lbb)をH電位に接続させ、検査ポイントP−3,P−4,P−7〜P16については、測定部4から切り離した状態に接続態様を切り替えさせる。続いて、制御部8は、測定部4に制御信号S2を出力して、検査用電圧の印加および電流値の測定を実行させると共に、測定部4から出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントP−1と検査ポイントP−2,P−5,P−6との間に絶縁不良が生じているか否かを検査する。これにより、1つ目の検査グループに属する「La=4」箇所の検査ポイントPについての1回目の処理が完了し、この例では、絶縁状態が良好と検査される。
【0073】
したがって、制御部8は、絶縁状態が良好と検査した上記の処理時にL電位に接続した検査ポイントP−1をその検査グループを対象としてその後に実行する処理時にH電位に接続することなく絶縁状態を検査する。具体的には、制御部8は、1つ目の検査グループを対象とする2回目の処理に際して、検査ポイントP−2(「Lba箇所以外の1箇所の検査ポイント」の他の一例)をL電位に接続させると共に検査ポイントP−5,P−6(「Lba箇所以下のLbb箇所の検査ポイント」の他の一例)をH電位に接続させ、検査ポイントP−1,P−3,P−4,P−7〜P16については、測定部4から切り離した状態に接続態様を切り替えさせる。続いて、制御部8は、測定部4に制御信号S2を出力して、検査用電圧の印加および電流値の測定を実行させると共に、測定部4から出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントP−2と検査ポイントP−5,P−6との間に絶縁不良が生じているか否かを検査する。これにより、1つ目の検査グループに属する「La=4」箇所の検査ポイントPについての2回目の処理が完了し、この例では、絶縁状態が不良と検査される。
【0074】
したがって、制御部8は、絶縁状態が良好と検査した1回目の処理の後の2回目の処理時とは異なり、3回目以降の処理時には、上記の処理時にL電位に接続した検査ポイントP−2をH電位に接続して絶縁状態を検査する。具体的には、制御部8は、1つ目の検査グループを対象とする3回目の処理に際して、検査ポイントP−5(「Lba箇所以外の1箇所の検査ポイント」のさらに他の一例)をL電位に接続させると共に検査ポイントP−2,P−6(「Lba箇所以下のLbb箇所の検査ポイント」のさらに他の一例)をH電位に接続させ、検査ポイントP−1,P−3,P−4,P−7〜P16については、測定部4から切り離した状態に接続態様を切り替えさせる。続いて、制御部8は、測定部4に制御信号S2を出力して、検査用電圧の印加および電流値の測定を実行させると共に、測定部4から出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントP−5と検査ポイントP−2,P−6との間に絶縁不良が生じているか否かを検査する。これにより、1つ目の検査グループに属する「La=4」箇所の検査ポイントPについての3回目の処理が完了し、この例では、絶縁状態が不良と検査される。
【0075】
この後、1つ目の検査グループに属する「La=4」箇所の検査ポイントPについての4回目の処理についても、上記の3回目の処理と同様に実行され、この例では、絶縁状態が良好と検査される。これにより、この検査グループを対象とする検査が完了する。このように、絶縁状態が良好と検査した上記の処理時にL電位に接続した検査ポイントPをその検査ポイントPが属する検査グループを対象としてその後に実行する処理時にH電位に接続することなく絶縁状態を検査する構成(方法)を採用した場合においても、前述した絶縁検査処理40を実行する絶縁検査装置1およびその絶縁検査方法と同様の検査回数(処理回数)で、同様の検査結果を得ることができる。したがって、このような絶縁検査処理を実行する構成を採用した絶縁検査装置1、および絶縁検査装置1による絶縁検査方法によれば、前述した絶縁検査処理40を実行する構成の絶縁検査装置1、およびその絶縁検査装置1による絶縁検査方法と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 絶縁検査装置
2 テストヘッド
3−1〜3−N プローブ
4 測定部
5 接続切替え部
8 制御部
9 記憶部
20 検査対象基板
40 絶縁検査処理
D0 検査ポイントデータ
D1 検査手順データ
D2 測定データ
D3 検査結果データ
P−1〜P−N 検査ポイント
S1,S2 制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1番目からN番目までのN箇所の検査ポイント(Nは、2以上の整数)のうちの一部を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該N箇所の検査ポイントのうちの他の一部を他方の電位に接続した状態において当該一方の電位に接続した当該検査ポイントと当該他方の電位に接続した当該検査ポイントとの間の電気的パラメータを測定して当該測定した電気的パラメータに基づいて当該各検査ポイントの絶縁状態を検査する検査部を備えた絶縁検査装置であって、
前記検査部は、前記N箇所の検査ポイントをMa箇所の当該検査ポイントおよびMb箇所の当該検査ポイント(MaおよびMbは、Ma+Mb=Nとの条件を満たす整数)に分けて当該Ma箇所の検査ポイントを前記一方の電位に接続すると共に当該Mb箇所の検査ポイントを前記他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Ma箇所の検査ポイントおよび当該Mb箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第1処理をlog(Ma+Mb)=Mc(端数切り上げ)との条件を満たすMc回実行する第1検査処理と、前記Mc回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したときにいずれの当該第1処理において不良と検査したかに基づいてLa箇所の検査ポイント(Laは、2以上N以下の整数)が属する検査グループを規定して当該La箇所の検査ポイントのうちのLb箇所の検査ポイント(Lbは、(La−1)との条件を満たす整数)を前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該Lb箇所以外の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Lb箇所の検査ポイントおよび当該1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第2処理を当該検査グループ毎に2Md=Lc(Mdは、前記第1検査処理において絶縁状態が不良と検査した前記第1処理の回数)との条件を満たすLc回以下のLd回実行する第2検査処理と、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記検査グループを対象として前記La箇所の検査ポイントのうちの1箇所の検査ポイントを前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該La箇所の検査ポイントのうちの他の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該1箇所の検査ポイントおよび当該他の1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第3処理を当該検査グループ毎にLa(La−1)/2=Kaとの条件を満たすKa回以下のKb回実行する第3検査処理とを実行して前記N箇所の検査ポイントの絶縁状態を検査可能に構成され、前記第2検査処理時には、1回目から(Lc−1)回目までの(Lc−1)回の前記第2処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したときにLc回目の前記第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を良好と検査すると共に、当該(Lc−1)回の第2処理のうちの1回だけにおいて絶縁状態が不良と検査したときに当該Lc回目の第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を不良と検査し、前記第3検査処理時には、前記第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記第2処理の回数が2回だけの前記検査グループを対象として前記第3処理を実行することなく当該2回の第2処理において前記他方の電位に接続した前記1箇所の検査ポイント同士の絶縁状態が不良と検査すると共に、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した当該第2処理の回数が3回以上との条件を満たす前記検査グループを対象として前記第3処理を実行する絶縁検査装置。
【請求項2】
1番目からN番目までのN箇所の検査ポイント(Nは、2以上の整数)のうちの一部を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該N箇所の検査ポイントのうちの他の一部を他方の電位に接続した状態において当該一方の電位に接続した当該検査ポイントと当該他方の電位に接続した当該検査ポイントとの間の電気的パラメータを測定して当該測定した電気的パラメータに基づいて当該各検査ポイントの絶縁状態を検査する検査部を備えた絶縁検査装置であって、
前記検査部は、前記N箇所の検査ポイントをMa箇所の当該検査ポイントおよびMb箇所の当該検査ポイント(MaおよびMbは、Ma+Mb=Nとの条件を満たす整数)に分けて当該Ma箇所の検査ポイントを前記一方の電位に接続すると共に当該Mb箇所の検査ポイントを前記他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Ma箇所の検査ポイントおよび当該Mb箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第1処理をlog(Ma+Mb)=Mc(端数切り上げ)との条件を満たすMc回実行する第1検査処理と、前記Mc回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したときにいずれの当該第1処理において不良と検査したかに基づいてLa箇所の検査ポイント(Laは、2以上N以下の整数)が属する検査グループを規定して当該La箇所の検査ポイントのうちのLba箇所以下のLbb箇所の検査ポイント(Lbaは、(La−1)との条件を満たす整数)を前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該Lba箇所以外の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Lbb箇所の検査ポイントおよび当該1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第2処理を当該検査グループ毎に2Md=Lc(Mdは、前記第1検査処理において絶縁状態が不良と検査した前記第1処理の回数)との条件を満たすLc回以下のLd回実行する第2検査処理と、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記検査グループを対象として前記La箇所の検査ポイントのうちの1箇所の検査ポイントを前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該La箇所の検査ポイントのうちの他の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該1箇所の検査ポイントおよび当該他の1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第3処理を当該検査グループ毎にLa(La−1)/2=Kaとの条件を満たすKa回以下のKb回実行する第3検査処理とを実行して前記N箇所の検査ポイントの絶縁状態を検査可能に構成され、前記第2検査処理時には、絶縁状態が良好と検査した前記第2処理時に前記他方の電位に接続した前記1箇所の検査ポイントを当該1箇所の検査ポイントが属する前記検査グループを対象としてその後に実行する前記第2処理時に前記一方の電位に接続することなく絶縁状態を検査すると共に、1回目から(Lc−1)回目までの(Lc−1)回の前記第2処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したときにLc回目の前記第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を良好と検査すると共に、当該(Lc−1)回の第2処理のうちの1回だけにおいて絶縁状態が不良と検査したときに当該Lc回目の第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を不良と検査し、前記第3検査処理時には、前記第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記第2処理の回数が2回だけの前記検査グループを対象として前記第3処理を実行することなく当該2回の第2処理において前記他方の電位に接続した前記1箇所の検査ポイント同士の絶縁状態が不良と検査すると共に、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した当該第2処理の回数が3回以上との条件を満たす前記検査グループを対象として前記第3処理を実行する絶縁検査装置。
【請求項3】
前記検査部は、前記第1検査処理において、各Aa番目の前記各検査ポイント(Aaは、(Aa−1)をMc桁の2進数で表したときに右からB桁目(Bは、1からMcまでの各整数)の値が0との条件を満たすN以下の各整数)と、各Ab番目の前記各検査ポイント(Abは、(Ab−1)をMc桁の2進数で表したときに右からB桁目の値が1との条件を満たすN以下の各整数)とのいずれかを前記Ma箇所の検査ポイントとして前記一方の電位に接続すると共に他の前記各検査ポイントを前記Mb箇所の検査ポイントとして前記他方の電位に接続して絶縁状態を検査し、前記第2検査処理において、各Da番目の前記各検査ポイント(Daは、各AaのうちのいずれかのAa、および当該いずれかのAaから1を引いた数を表すMc桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足したN以下の各整数で、Cは、絶縁状態が不良と検査した前記各第1処理時に前記一方の電位に接続した前記各Aa番目の検査ポイントについての前記B桁目のBと同じ各整数)と、各Db番目の前記各検査ポイント(Dbは、各AbのうちのいずれかのAb、および当該いずれかのAbから1を引いた数を表すMc桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足したN以下の各整数)とのいずれかを前記La箇所の検査ポイントとして絶縁状態を検査する請求項1または2記載の絶縁検査装置。
【請求項4】
1番目からN番目までのN箇所の検査ポイント(Nは、2以上の整数)のうちの一部を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該N箇所の検査ポイントのうちの他の一部を他方の電位に接続した状態において当該一方の電位に接続した当該検査ポイントと当該他方の電位に接続した当該検査ポイントとの間の電気的パラメータを測定して当該測定した電気的パラメータに基づいて当該各検査ポイントの絶縁状態を検査する絶縁検査方法であって、
前記N箇所の検査ポイントをMa箇所の当該検査ポイントおよびMb箇所の当該検査ポイント(MaおよびMbは、Ma+Mb=Nとの条件を満たす整数)に分けて当該Ma箇所の検査ポイントを前記一方の電位に接続すると共に当該Mb箇所の検査ポイントを前記他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Ma箇所の検査ポイントおよび当該Mb箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第1処理をlog(Ma+Mb)=Mc(端数切り上げ)との条件を満たすMc回実行する第1検査処理と、前記Mc回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したときにいずれの当該第1処理において不良と検査したかに基づいてLa箇所の検査ポイント(Laは、2以上N以下の整数)が属する検査グループを規定して当該La箇所の検査ポイントのうちのLb箇所の検査ポイント(Lbは、(La−1)との条件を満たす整数)を前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該Lb箇所以外の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Lb箇所の検査ポイントおよび当該1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第2処理を当該検査グループ毎に2Md=Lc(Mdは、前記第1検査処理において絶縁状態が不良と検査した前記第1処理の回数)との条件を満たすLc回以下のLd回実行する第2検査処理と、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記検査グループを対象として前記La箇所の検査ポイントのうちの1箇所の検査ポイントを前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該La箇所の検査ポイントのうちの他の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該1箇所の検査ポイントおよび当該他の1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第3処理を当該検査グループ毎にLa(La−1)/2=Kaとの条件を満たすKa回以下のKb回実行する第3検査処理とを実行して前記N箇所の検査ポイントの絶縁状態を検査する際に、前記第2検査処理時には、1回目から(Lc−1)回目までの(Lc−1)回の前記第2処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したときにLc回目の前記第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を良好と検査すると共に、当該(Lc−1)回の第2処理のうちの1回だけにおいて絶縁状態が不良と検査したときに当該Lc回目の第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を不良と検査し、前記第3検査処理時には、前記第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記第2処理の回数が2回だけの前記検査グループを対象として前記第3処理を実行することなく当該2回の第2処理において前記他方の電位に接続した前記1箇所の検査ポイント同士の絶縁状態が不良と検査すると共に、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した当該第2処理の回数が3回以上との条件を満たす前記検査グループを対象として前記第3処理を実行する絶縁検査方法。
【請求項5】
1番目からN番目までのN箇所の検査ポイント(Nは、2以上の整数)のうちの一部を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該N箇所の検査ポイントのうちの他の一部を他方の電位に接続した状態において当該一方の電位に接続した当該検査ポイントと当該他方の電位に接続した当該検査ポイントとの間の電気的パラメータを測定して当該測定した電気的パラメータに基づいて当該各検査ポイントの絶縁状態を検査する絶縁検査方法であって、
前記N箇所の検査ポイントをMa箇所の当該検査ポイントおよびMb箇所の当該検査ポイント(MaおよびMbは、Ma+Mb=Nとの条件を満たす整数)に分けて当該Ma箇所の検査ポイントを前記一方の電位に接続すると共に当該Mb箇所の検査ポイントを前記他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Ma箇所の検査ポイントおよび当該Mb箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第1処理をlog(Ma+Mb)=Mc(端数切り上げ)との条件を満たすMc回実行する第1検査処理と、前記Mc回の第1処理のいずれかにおいて絶縁状態が不良と検査したときにいずれの当該第1処理において不良と検査したかに基づいてLa箇所の検査ポイント(Laは、2以上N以下の整数)が属する検査グループを規定して当該La箇所の検査ポイントのうちのLba箇所以下のLbb箇所の検査ポイント(Lbaは、(La−1)との条件を満たす整数)を前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該Lba箇所以外の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該Lbb箇所の検査ポイントおよび当該1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第2処理を当該検査グループ毎に2Md=Lc(Mdは、前記第1検査処理において絶縁状態が不良と検査した前記第1処理の回数)との条件を満たすLc回以下のLd回実行する第2検査処理と、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記検査グループを対象として前記La箇所の検査ポイントのうちの1箇所の検査ポイントを前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該La箇所の検査ポイントのうちの他の1箇所の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した前記電気的パラメータに基づいて当該1箇所の検査ポイントおよび当該他の1箇所の検査ポイントの間の絶縁状態を検査する第3処理を当該検査グループ毎にLa(La−1)/2=Kaとの条件を満たすKa回以下のKb回実行する第3検査処理とを実行して前記N箇所の検査ポイントの絶縁状態を検査する際に、前記第2検査処理時には、絶縁状態が良好と検査した前記第2処理時に前記他方の電位に接続した前記1箇所の検査ポイントを当該1箇所の検査ポイントが属する前記検査グループを対象としてその後に実行する前記第2処理時に前記一方の電位に接続することなく絶縁状態を検査すると共に、1回目から(Lc−1)回目までの(Lc−1)回の前記第2処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したときにLc回目の前記第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を良好と検査すると共に、当該(Lc−1)回の第2処理のうちの1回だけにおいて絶縁状態が不良と検査したときに当該Lc回目の第2処理を実行することなく当該Lc回目の第2処理の検査対象を不良と検査し、前記第3検査処理時には、前記第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した前記第2処理の回数が2回だけの前記検査グループを対象として前記第3処理を実行することなく当該2回の第2処理において前記他方の電位に接続した前記1箇所の検査ポイント同士の絶縁状態が不良と検査すると共に、当該第2検査処理時に絶縁状態が不良と検査した当該第2処理の回数が3回以上との条件を満たす前記検査グループを対象として前記第3処理を実行する絶縁検査方法。
【請求項6】
前記第1検査処理において、各Aa番目の前記各検査ポイント(Aaは、(Aa−1)をMc桁の2進数で表したときに右からB桁目(Bは、1からMcまでの各整数)の値が0との条件を満たすN以下の各整数)と、各Ab番目の前記各検査ポイント(Abは、(Ab−1)をMc桁の2進数で表したときに右からB桁目の値が1との条件を満たすN以下の各整数)とのいずれかを前記Ma箇所の検査ポイントとして前記一方の電位に接続すると共に他の前記各検査ポイントを前記Mb箇所の検査ポイントとして前記他方の電位に接続して絶縁状態を検査し、前記第2検査処理において、各Da番目の前記各検査ポイント(Daは、各AaのうちのいずれかのAa、および当該いずれかのAaから1を引いた数を表すMc桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足したN以下の各整数で、Cは、絶縁状態が不良と検査した前記各第1処理時に前記一方の電位に接続した前記各Aa番目の検査ポイントについての前記B桁目のBと同じ各整数)と、各Db番目の前記各検査ポイント(Dbは、各AbのうちのいずれかのAb、および当該いずれかのAbから1を引いた数を表すMc桁の2進数における右からC桁目の値を反転させた2進数で表される数に1を足したN以下の各整数)とのいずれかを前記La箇所の検査ポイントとして絶縁状態を検査する請求項4または5記載の絶縁検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−112525(P2011−112525A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269541(P2009−269541)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】