説明

継手装置の閉塞部材及び継手装置

【課題】シール性を一定にできるとともに、ボールジョイントのトルクを安定させることができるボールジョイントのプラグを提供する。
【解決手段】ボールスタッド側の荷重を弾性変形により制御する変形部41の厚みに対して、変形部41の外縁に連続する無変形部42の厚みを、変形部41を変形させるボールスタッド側の荷重に対して変形しないように大きく設定する。無変形部42をソケットの一端側の内縁部にかしめ固定する際のソケットのかしめ変形量を抑制してシール性を一定にできる。変形部41の変形により荷重を制御してボールジョイントのトルクを安定させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車などの懸架装置、あるいは操舵装置などに用いられる継手装置の閉塞部材及びこれを備えた継手装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車などの車両の懸架装置、あるいは操舵装置などに用いられるこの種の継手装置としてのボールジョイントは、内室及びこの内室に連通する開口部を有する円筒状のハウジングであるソケットを備え、このソケットの一端部は、閉塞部材であるプラグによって閉塞されている。また、ソケットの内室には、接続部材としてのボールスタッドに備えられた回動部としてのボール部が回動可能に保持されている。また、ボールスタッドのスタッド部は、ソケットの他端部からこのソケットの外部へと突出して車体側に接続されている。
【0003】
このようなボールジョイントにおいて、ボールスタッドに加わった荷重をソケットの他端部に取り付けた樹脂製のクッションシートにより制御することでトルクを設定する構成がある。しかしながら、この構成の場合、クッションシートが樹脂製であるため、熱やクリープなどの要因による経時劣化を抑制することが容易でない。
【0004】
また、ソケットの内部に別体のコイルばねを取り付けて、ボールスタッドに加わった荷重を制御することでトルクを設定する構成がある。しかしながら、この構成の場合、部品点数が増加するだけでなく、コイルばねの組み付けが容易でなく、ソケットの内部にスペースが必要となる。
【0005】
そこで、ソケットの一端部を閉塞するプラグを皿ばねとすることで省スペース化し、この皿ばねによって水分及び塵埃のソケットの内部への侵入を防止しつつ、ボールスタッドに加わった荷重を皿ばねの弾性変形によって制御してトルクを設定する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2000−500851号公報(第8−9頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようにボールスタッドに加わる軸方向荷重により皿ばねを弾性変形させる構成の場合に、シール性の確保が望まれている。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、シール性を一定にできるとともに、トルクを安定させることができる継手装置の閉塞部材及びこれを備えた継手装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の継手装置の閉塞部材は、金属により形成され、金属製の筒状のハウジング、及び、このハウジングに回動可能に収容される回動部を有する接続部材を備えた継手装置の前記ハウジングの一端側を閉塞する継手装置の閉塞部材であって、前記接続部材側の荷重を弾性変形により制御する変形部と、この変形部の外縁に連続して形成され、この変形部を変形させる前記接続部材側の荷重に対して変形しないようにこの変形部よりも厚みが大きく設定されているとともに、前記ハウジングの一端側の内縁部にかしめ固定される固定部とを備えているものである。
【0010】
請求項2記載の継手装置の閉塞部材は、請求項1記載の継手装置の閉塞部材において、固定部は、折り返し形成によって変形部よりも厚みが大きく設定されているものである。
【0011】
請求項3記載の継手装置の閉塞部材は、請求項1または2記載の継手装置の閉塞部材において、変形部は、少なくとも一部が複数の山部と谷部とを有する波状に形成されているものである。
【0012】
請求項4記載の継手装置は、金属製の筒状のハウジングと、このハウジングに回動可能に収容される回動部を有する接続部材と、前記ハウジングの一端側に固定部がかしめ固定されることでこのハウジングの一端側を閉塞する請求項1ないし3いずれか一記載の閉塞部材とを具備したものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の継手装置の閉塞部材によれば、接続部材側の荷重を弾性変形により制御する変形部の厚みに対して、この変形部の外縁に連続する固定部の厚みを、変形部を変形させる接続部材側の荷重に対して変形しないように大きく設定することで、固定部をハウジングの一端側の内縁部にかしめ固定する際のハウジングのかしめ変形量を抑制してシール性を一定にできるとともに、変形部の変形により荷重を制御して継手装置のトルクを安定させることができる。
【0014】
請求項2記載の継手装置の閉塞部材によれば、請求項1記載の継手装置の閉塞部材の効果に加えて、固定部を折り返し形成することにより変形部よりも厚みを大きくすることで、固定部の厚みを変形部の厚みに対して容易に大きく設定できる。
【0015】
請求項3記載の継手装置の閉塞部材によれば、請求項1または2記載の継手装置の閉塞部材の効果に加えて、変形部の少なくとも一部を複数の山部と谷部とを有する波状に形成することで、変形部を接続部材側からの荷重に対してより変形しやすくでき、接続部材側の荷重をより効果的に制御して継手装置のトルクをより安定させることができる。
【0016】
請求項4記載の継手装置によれば、請求項1ないし3いずれか一記載の閉塞部材を備えることで、ハウジングの一端側のシール性を一定にでき、接続部材側の荷重を効果的に制御してトルクを安定させることができるとともに、部品点数を増加させることなく容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態の閉塞部材を示す縦断面図である。
【図2】同上閉塞部材を備えた継手装置を示す縦断面図である。
【図3】同上継手装置の閉塞部材の変形部近傍を拡大して示す縦断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の閉塞部材を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の閉塞部材を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成を図1ないし図3を参照して説明する。
【0019】
図2において、11は継手装置としてのボールジョイントを示し、このボールジョイント11は、例えば自動車などの車両の懸架装置、あるいは操舵装置などに用いられるものである。そして、ボールジョイント11は、接続部材としての連結部であるボールスタッド16と、このボールスタッド16の一部を摺動(回動)可能に保持するベアリングシートであるボールシート17と、このボールシート17とともにボールスタッド16の一部を収容するハウジングであるソケット18と、このソケット18の外周面からボールスタッド16の外周面に亘って配置された図示しないダストカバーとを備えている。
【0020】
ボールスタッド16は、例えば鋼鉄製などであり、回動部としての球状のボール部21と、このボール部21に連結された軸状のスタッド部22とを一体に備えている。
【0021】
ボール部21は、外周面の一部がボールシート17に摺動(回動)可能に保持されている。すなわち、ボール部21は、ボールシート17とともにソケット18の内室31に収容されている。また、このボール部21とボールシート17との間には、図示しないが、例えば潤滑剤(グリース)が保持されている。
【0022】
スタッド部22は、図示しない外部の被接続部材に接続されて荷重が加わる部分であり、ソケット18から外方(図2中の上方)へと突出している。また、このスタッド部22の先端側の外周には、車体側の被接続部材に接続するための雄ねじ部24が形成されている。なお、このスタッド部22は、ボール部21と一体に成形してもよいし、ボール部21と別体で成形した後、ボール部21に溶接などにより一体化してもよい。
【0023】
また、ボールシート17は、例えば耐摩耗性に優れ弾性率が高い合成樹脂製などであり、本実施の形態では一端側と他端側とで一方及び他方のシート部17a,17bに分割されており、ソケット18の内部に嵌着保持されている。これらシート部17a,17bは、ボール部21の外周面に沿う一方及び他方の摺動面26a,26bを内部に備え、これら摺動面26a,26bによりボール部21を回動可能に保持している。なお、ボールシート17は、1つの部材によって形成してもよい。
【0024】
一方のシート部17aは、略有底円筒状に形成されており、一方の摺動面26aによって、ボール部21の赤道(径寸法が最大となる位置)近傍から一端側に亘る部分を保持している。
【0025】
また、他方のシート部17bは、円筒状に形成されており、他方の摺動面26bによって、ボール部21の赤道近傍から他端側に亘る部分を保持している。
【0026】
そして、ソケット18は、例えば(冷間)鍛造、あるいは鋳造などにより形成された金属製であり、ボールスタッド16のボール部21を回動可能に保持したボールシート17のシート部17a,17bが嵌着される内室31を内部に備えているとともに、一端部(図2中の下端部)に、内室31をソケット18の外部と連通する一方の開口部である円形状の第1ソケット開口部32が形成され、他端部(図2中の上端部)に、内室31をソケット18の外部と連通するとともにボールスタッド16のスタッド部22がソケット18の外部へと突出する他方の開口部である円形状の第2ソケット開口部33が形成されて、円筒状となっている。また、ソケット18の一端部には、内室31と第1ソケット開口部32との連続部に、段差状の保持部35が形成され、内室31と第2ソケット開口部33との連続部に、中心軸方向へと突出する突出部36が形成されている。さらに、ソケット18の他端部の外周面には、ダストカバーの端部を取り付け固定するカバー取付部としてのカバー固定溝37が周方向に沿って円環溝状に形成されている。そして、第1ソケット開口部32は、閉塞部材としての金属製のプラグ38により閉塞されている。
【0027】
第1ソケット開口部32は、内室31と略等しい径寸法を有している。
【0028】
また、第2ソケット開口部33は、内室31側である突出部36から他端側(図2中の上端側)に向けて、徐々に拡径状に形成されている。
【0029】
そして、プラグ38は、図1及び図2に示すように、ソケット18の内室に対して、突出部36との間でボールシート17及びボール部21を抜け止め保持するためのものであり、例えばばね鋼により平面視で円形状に形成されている。さらに、このプラグ38は、平面視で円形の皿ばね状の変形部41の外周縁部に連続して、フランジ状の固定部である無変形部42が一体形成されている。すなわち、変形部41はプラグ38の中央側を構成し、無変形部42はプラグ38の外縁側を構成している。そして、このプラグ38は、無変形部42がソケット18の保持部35に保持された状態でソケット18の一端側を中央側へとかしめ変形させたかしめ固定部44により、内室31の一端側、すなわち第1ソケット開口部32を閉塞している。
【0030】
変形部41は、プラグ38をソケット18に固定した状態で、(ボールシート17(の一方のシート部17a)を介して)ボールスタッド16のボール部21に対向する位置に配置される部分であり、中心側を構成する平坦な円板状の接触部41aと、この接触部41aの外周と無変形部42の内周との間に亘って連続する円環状の連続部41bとを有しており、無変形部42と同心状に形成されている。
【0031】
接触部41aは、ボールシート17の一方のシート部17aの底部(一端部)に接触しており、ソケット18の突出部36との間でボールシート17とともにボールスタッド16のボール部21を、予圧を与えた状態で保持する。
【0032】
連続部41bは、変形部41の変形時に軸方向に沿って弾性的に撓む部分であり、一端側である無変形部42側から他端側である接触部41a側へと徐々に縮径されるように形成されている。すなわち、この連続部41bは、接触部41a及び無変形部42に対して傾斜状に形成されており、断面視でハ字状となっている。
【0033】
そして、この変形部41は、連続部41bの弾性変形により、ボールスタッド16側の荷重F(図3)を制御するように構成されている。
【0034】
また、無変形部42は、連続部41bの外周全体に亘って連続する円環状に形成されており、変形部41よりも材質自体の板厚が大きく形成されている。この無変形部42の厚みは、変形部41に対して例えば2倍以上に設定されており、変形部41を変形させるボールスタッド16側の荷重Fに対して変形しないように構成されている。
【0035】
そして、ダストカバーは、ダストシール、あるいはブーツなどとも呼ばれ、ボールスタッド16の揺動に拘らずソケット18の第2ソケット開口部33を覆い、ソケット18あるいはボールシート17の内部への水分及び塵埃などの侵入を阻止するものである。このダストカバーは、例えば合成樹脂により略円筒状に形成され、一端側(図2中の下端側)がソケット18のカバー固定溝37に固定され、他端側(図2中の上端側)がボールスタッド16のスタッド部22の外周面に固定される。
【0036】
次に、上記第1の実施の形態のボールジョイント11の組み立て作業について説明する。
【0037】
まず、例えばボール部21を摺動面26a,26bにより摺動(回動)可能に保持したボールシート17(シート部17a,17b)を、ソケット18の内室31に第1ソケット開口部32から突出部36に当接するまで挿入し、スタッド部22を第2ソケット開口部33に挿通する。
【0038】
次いで、プラグ38の無変形部42を保持部35に保持した状態で、ソケット18のかしめ固定部44を中心軸方向へとかしめ変形させることにより、プラグ38をソケット18に一体的に固定する。
【0039】
この結果、ボールシート17及びボール部21をソケット18の内部に収容する。この状態で、プラグ38は、接触部41aがボールシート17の一方のシート部17aの底部に当接している。
【0040】
さらに、ダストカバーにスタッド部22を挿通し、ダストカバーの一端側をソケット18のカバー固定溝37に嵌着するとともに、ダストカバーの他端側をスタッド部22の外周に嵌着する。
【0041】
そして、ダストカバーの一端側の外周を、固定部材により締め付け固定することで、ダストカバーの一端側をソケット18に固定する。
【0042】
次に、上記第1の実施の形態のボールジョイント11の動作について説明する。
【0043】
車体側からの荷重がボールスタッド16に加わると、ボールスタッド16が軸方向、特に図2中の下方向へと荷重Fを受ける。
【0044】
このとき、プラグ38は、ボールシート17(の一方のシート部17a)の底部を介して荷重Fを受けることにより、図3の想像線に示すように、接触部41aがボールシート17(の一方のシート部17a)の底部に密着した状態を保ったまま、連続部41bが一端側、すなわち図中の下側へと弾性的に撓んでこの荷重Fを吸収し、トルクを一定に保つ。
【0045】
一方で、プラグ38の無変形部42は、変形部41が変形した荷重Fにより変形することなく、ソケット18の保持部35にかしめ固定部44によって固定された状態を維持する。
【0046】
したがって、上記第1の実施の形態によれば、ボールスタッド16側の荷重Fを弾性変形により制御する変形部41の厚みに対して、この変形部41の外縁に連続する無変形部42の厚みを、変形部41を変形させるボールスタッド16側の荷重Fに対して変形しないように大きく設定することで、無変形部42をソケット18の第1ソケット開口部32の保持部35にかしめ固定部44でかしめ固定する際のソケット18のかしめ変形量を抑制してシール性を一定にでき、水分及び塵埃などのソケット18の内室31及びボールシート17などへの侵入を防止できる。すなわち、無変形部42は、厚みが相対的に大きい分、かしめ固定部44にて変形されるソケット18のかしめ変形量が最小限に抑制されるため、かしめ変形量のばらつき、すなわちシール性のばらつきを抑制できる。
【0047】
また、変形部41の変形により荷重Fを制御するので、ボールジョイント11のトルクを安定させることができる。
【0048】
しかも、プラグ38を金属により形成したことで、例えばプラグを樹脂などにより形成する場合と比較して、熱、あるいはクリープなどの影響を抑制でき、経時劣化を抑制できる。
【0049】
さらに、プラグ38は、無変形部42の板厚自体を変形部41の板厚よりも大きくすることにより無変形部42の厚みを変形部41の厚みよりも大きく設定しているので、無変形部42に折り曲げなどの加工が不要となり、プラグ38をより容易に製造できる。
【0050】
そして、形状を最適化し、かしめ固定部44のかしめ段高さを最適に設定できるプラグ38をボールジョイント11に備えることで、ソケット18の第1ソケット開口部32のシール性を一定にでき、ボールスタッド16側の荷重Fをプラグ38で効果的に制御してトルクを安定させることができるとともに、プラグ38はソケット18への組み付け性も良好であり、さらに、第1ソケット開口部32を閉塞するためのプラグ38を、荷重Fを制御する手段として共用するので、部品点数を増加させることなくボールジョイント11を容易に製造できる。
【0051】
また、プラグ38は、内室31において占有するスペースが、ソケットの内室にコイルばねなどを配置する場合と比較して少ないため、ボールジョイント11の小型化にも寄与する。
【0052】
次に、第2の実施の形態を図4を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態の無変形部42が、材質の一部を折り返して形成されているものである。
【0054】
すなわち、無変形部42は、板厚自体は変形部41と略等しいが、外縁部が折り返しされた折り返し部42aとなっており、この折り返し部42aを例えば二重に形成しているので、無変形部42全体としての厚みが変形部41よりも大きく設定され、変形部41を変形させる荷重に対して変形しないように構成されている。なお、本実施の形態では、無変形部42は、折り返し部42aを他端側(図3中の上側)へと折り返して形成しているが、例えば一端側(図3中の下側)へと折り返して形成してもよい。また、無変形部42を構成する折り返しは二重とするだけでなく、必要に応じて三重以上としてもよい。
【0055】
そして、プラグ38は、ボールシート17(の一方のシート部17a)の底部を介して荷重Fを受けることにより、接触部41aがボールシート17(の一方のシート部17a)の底部に密着した状態を保ったまま、連続部41bが一端側、すなわち図中の下側へと撓んで荷重Fを吸収し、トルクを一定に保つ。
【0056】
このとき、上記第2の実施の形態によれば、無変形部42を折り返し形成することにより変形部41よりも厚みを大きくすることで、無変形部41の厚みを変形部41の厚みに対して容易に大きく設定できる。
【0057】
次に、第3の実施の形態を図5を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0058】
この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態の変形部41が、波状に形成されているものである。
【0059】
すなわち、変形部41は、接触部41aが、複数の山部41cと複数の谷部41dとが同心円状に交互に形成されて構成されており、ボールスタッド16側の荷重Fによって、より変形しやすくなっている。
【0060】
そして、プラグ38は、ボールシート17(の一方のシート部17a)の底部を介して荷重Fを受けることにより、接触部41aがボールシート17(の一方のシート部17a)の底部に密着した状態を保ったまま、連続部41bが一端側、すなわち図中の下側へと撓んで荷重Fを吸収し、トルクを一定に保つ。
【0061】
このとき、上記第3の実施の形態によれば、変形部41の一部である接触部41aを複数の山部41cと谷部41dとを有する波状に形成することで、変形部41をボールスタッド16側からの荷重Fに対してより変形しやすくでき、ボールスタッド16側の荷重をより効果的に制御してボールジョイント11のトルクをより安定させることができる。
【0062】
なお、上記第3の実施の形態において、無変形部42は、上記第2の実施の形態と同様に、折り返して形成したものでもよい。
【0063】
また、変形部41は、全体を山部41cと谷部41dとにより波状に形成してもよい。
【0064】
さらに、上記各実施の形態において、ボールジョイント11は、車両の操舵装置あるいは懸架装置に限らず、任意の接続箇所に用いることができる。
【0065】
そして、上記プラグ38は、ボールジョイント11に限らず、接続部材の回動部をハウジングに回動可能に収容する任意の継手装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
11 継手装置としてのボールジョイント
16 接続部材としてのボールスタッド
18 ハウジングであるソケット
21 回動部としてのボール部
38 閉塞部材であるプラグ
41 変形部
41c 山部
41d 谷部
42 固定部としての無変形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属により形成され、金属製の筒状のハウジング、及び、このハウジングに回動可能に収容される回動部を有する接続部材を備えた継手装置の前記ハウジングの一端側を閉塞する継手装置の閉塞部材であって、
前記接続部材側の荷重を弾性変形により制御する変形部と、
この変形部の外縁に連続して形成され、この変形部を変形させる前記接続部材側の荷重に対して変形しないようにこの変形部よりも厚みが大きく設定されているとともに、前記ハウジングの一端側の内縁部にかしめ固定される固定部とを備えている
ことを特徴とする継手装置の閉塞部材。
【請求項2】
固定部は、折り返し形成によって変形部よりも厚みが大きく設定されている
ことを特徴とする請求項1記載の継手装置の閉塞部材。
【請求項3】
変形部は、少なくとも一部が複数の山部と谷部とを有する波状に形成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の継手装置の閉塞部材。
【請求項4】
金属製の筒状のハウジングと、
このハウジングに回動可能に収容される回動部を有する接続部材と、
前記ハウジングの一端側に固定部がかしめ固定されることでこのハウジングの一端側を閉塞する請求項1ないし3いずれか一記載の閉塞部材と
を具備したことを特徴とする継手装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−92884(P2012−92884A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239793(P2010−239793)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000198271)株式会社ソミック石川 (91)
【Fターム(参考)】