説明

維持回復方法、維持回復装置及び画像形成装置

【課題】 本発明は、非常にシンプルなシステムで、記録ヘッドの負圧が破壊されて記録ヘッド内の記録液等がノズル保護部材に漏出し貯留した場合でも漏出した記録液に泡が発生することを防止できると共に、ノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化を防止することができる。
【解決手段】 ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドに記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから記録液が補充供給されるサブタンクと、該サブタンク内に収納した記録液の量に応じて変位し、サブタンクに設けられた負圧レバーとを有する記録ヘッドユニットを1つ又は複数具備する画像形成装置であって、記録ヘッドの性能を維持回復する本発明の維持回復方法によれば、記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態からキャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御することに特徴がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は維持回復方法、維持回復装置及び画像形成装置に関し、詳細には記録ヘッドにインクを供給させる前にインクを貯蔵しておくサブタンクの負圧が保たれていない場合キャップへ漏れた記録液での泡の発生を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インク容量が多いインクカートリッジを搭載したインクジェット記録装置において、キャリッジに搭載された記録ヘッドに直接インクカートリッジを搭載し記録ヘッドにインク供給を行なおうとすると、インクカートリッジの重さが原因でキャリッジ動作に支障を来たし、画像品質が下がってしまう。そこで、従来より、インクカートリッジを本体側に、キャリッジ内の記録ヘッドには印字に用いるインクを一時的に貯蔵しておくサブタンクを搭載させるようなインクジェット記録装置が存在している。
【0003】
図6は画像形成装置としてのインクジェット記録装置を前方から見た斜視図である。同図に示す画像形成装置としてのインクジェット記録装置100は、装置本体101と、装置本体101に装着された用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103とを備えている。また、装置本体101の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体101の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部104を有し、このカートリッジ装填部104の上面には操作ボタンや表示器などの操作/表示部105が設けられている。
【0004】
このカートリッジ装填部104には、色の異なる色材である記録液(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液収容手段としての記録液カートリッジであるインクカートリッジ110k、110c、110m、110y(色を区別しないときは「インクカートリッジ110」という。)を、装置本体101の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部104の前面側には、インクカートリッジ110を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)106が開閉可能に設けられている。また、インクカートリッジ110k、110c、110m、110yは縦置き状態で横方向に並べて装填する構成となっている。
【0005】
また、操作/表示部105には、各色のインクカートリッジ110k、110c、110m、110yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ110k、110c、110m、110yの残量がニアーエンド及びエンドになったことを表示するための各色の残量表示部111k、111c、111m、111yを配置している。更に、この操作/表示部105には、電源ボタン112、用紙送り/印刷再開ボタン113、キャンセルボタン114も配置されている。
【0006】
次に、このインクジェット記録装置の機構部について図7及び図8を参照して説明する。なお、図7は同機構部の概要を示す側面図、図8は同じく要部平面図である。
【0007】
インクジェット記録装置の機構部において、フレームを構成する左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド121とステー122とでキャリッジ123を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図8で矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0008】
このキャリッジ123には、前述したようにイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド124を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0009】
記録ヘッド124を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0010】
この記録ヘッド124にはドライバICを搭載し、図示しない制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル)を介して接続している。また、キャリッジ123には、記録ヘッド124に各色のインクを供給するための各色のサブタンク125を搭載している。この各色のサブタンク125には各色のインク供給チューブを介して、前述したように、図6のカートリッジ装填部104に装着された各色のインクカートリッジ110から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジ装填104にはインクカートリッジ110内のインクを送液するための供給ポンプユニットが設けられ、またインク供給チューブは這い回しの途中でフレームを構成する後板に係止部材にて保持されている。
【0011】
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)126上に積載した用紙127を給紙するための給紙部として、用紙積載部126から用紙127を1枚ずつ分離給送する半月コロである給紙コロ128及び給紙コロ128に対向して摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド129を備え、この分離パッド129は給紙コロ128側に付勢されている。
【0012】
そして、この給紙部から給紙された用紙127を記録ヘッド124の下方側に送り込むために、用紙127を案内するガイド部材130と、カウンタローラ131と、搬送ガイド部材132と、先端加圧コロ134を有する押さえ部材133とを備えるとともに、給送された用紙127を静電吸着して記録ヘッド124に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト135を備えている。
【0013】
この搬送ベルト135は、無端状ベルトであり、搬送ローラ136とテンションローラ137との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト135の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ138を備えている。この帯電ローラ138は、搬送ベルト135の表層に接触し、搬送ベルト135の回動に従動して回転するように配置されている。更に、搬送ベルト135の裏側には、記録ヘッド124による印写領域に対応してガイド部材139が配置されている。
【0014】
この搬送ベルト135は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ136が回転駆動されることによって図8のベルト搬送方向に周回移動する。
【0015】
更に、記録ヘッド124で記録された用紙127を排紙するための排紙部として、搬送ベルト135から用紙127を分離するための分離爪140と、排紙ローラ141及び排紙コロ142とを備え、排紙ローラ141の下方に排紙トレイ103を備えている。
【0016】
また、装置本体101の背面部には両面ユニット143が着脱自在に装着されている。この両面ユニット143は搬送ベルト135の逆方向回転で戻される用紙127を取り込んで反転させて再度カウンタローラ131と搬送ベルト135との間に給紙する。また、この両面ユニット143の上面は手差しトレイ144が設けられている。
【0017】
更に、図8に示すように、キャリッジ123の走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド124のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復装置145を配置している。
【0018】
この維持回復装置145には、記録ヘッド124の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)146a〜146d(区別しないときは「キャップ146」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード147と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け148などを備えている。ここでは、キャップ146aを吸引及び保湿用キャップとし、他のキャップ146b〜146dは保湿用キャップとしている。
【0019】
そして、この維持回復装置145による維持回復動作で生じる記録液の廃液、キャップ146に排出されたインク、あるいはワイパーブレード147に付着してワイパークリーナ149で除去されたインク、空吐出受け148に空吐出されたインクは図示しない廃液タンクに排出されて収容される。
【0020】
また、図8に示すように、キャリッジ123の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け150を配置し、この空吐出受け150には記録ヘッド124のノズル列方向に沿った開口151などを備えている。
【0021】
このような構成を有する画像形成装置としてのインクジェット記録装置においては、給紙トレイ102から用紙127が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙127はガイド部材130で案内され、搬送ベルト135とカウンタローラ131との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイドで案内されて先端加圧コロ133で搬送ベルト135に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0022】
このとき、後述する制御部のACバイアス供給部から帯電ローラ138に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト135が交番する帯電電圧パターン、すなわち周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト135上に用紙127が給送されると、用紙127が搬送ベルト135に吸着され、搬送ベルト135の周回移動によって用紙127が副走査方向に搬送される。
【0023】
そこで、リニアエンコーダ152による主走査位置情報に基づいてキャリッジ123を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動することにより、停止している用紙127にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙127を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙127の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙127を排紙トレイ103に排紙する。
【0024】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ123は維持回復装置145側に移動されて、キャップ146で記録ヘッド124がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ146で記録ヘッド124をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド124の安定した吐出性能を維持する。
【0025】
次に、従来の維持回復装置の構成の概要について図9を参照して説明する。なお、図9は従来の維持回復装置の要部構成を示す平面図である。
【0026】
同図に示すように、維持回復装置200におけるフレーム201には、キャップ保持機構である2つのキャップホルダ202a、202b(区別しないときはキャップホルダ202と称す)と、清浄化手段としての弾性体を含むワイピング部材であるワイパーブレード203と、キャリッジロック204とがそれぞれ昇降可能(上下動可能)に保持されている。また、ワイパーブレード203とキャップホルダ202aとの間には空吐出受け205が配置され、ワイパーブレード203のクリーニングを行うために、図示していないフレームの外側からワイパーブレード203を空吐出受け205の清掃部材であるワイパークリーナ側に押し付けるための清掃部材であるクリーナコロ206を含むクリーナ手段であるワイパークリーナ207が揺動可能に保持されている。また、キャップホルダ202a、202bには、それぞれ、2つの記録ヘッドのノズル面をそれぞれキャッピングする2つのキャップ部材208aと208b、キャップ部材208cと208dを保持している。
【0027】
ここで、印字領域に最も近い側のキャップホルダ202aに保持したキャップ部材208aには可撓性チューブ209を介して吸引手段であるチュービングポンプ(吸引ポンプ)210を接続し、その他のキャップ部材208b、208c、208dはチュービングポンプ210を接続していない。すなわち、キャップ部材208aのみを吸引(回復)及び保湿用キャップとし、その他のキャップ部材208b、208c、208dはいずれも単なる保湿用キャップとしている。したがって、記録ヘッドの回復動作を行うときには、回復動作を行う記録ヘッドをキャップ部材208aによってキャッピング可能な位置に選択的に移動させる。
【0028】
また、これらのキャップホルダ202a、202bの下方にはフレーム201に回転自在に支持したカム軸211を配置し、このカム軸211にはキャップホルダ202a、202bを昇降させるためのキャップカム212a、212bと、ワイパーブレード203を昇降させるためのワイパーカム213、キャリッジロック204をキャリッジロックアーム214を介して昇降させるためのキャリッジロックカム215と、空吐出受け205内で空吐出される液滴がかかる空吐出着弾部材である回転体としてのコロ216と、ワイパークリーナ207を揺動させるためのクリーナカム217をそれぞれ設けている。
【0029】
ここで、キャップ部材208はキャップカム212a、212bにより昇降させられる。ワイパーブレード203はワイパーカム213により昇降させられ、下降時にワイパークリーナ207が進出して、このワイパークリーナ207のクリーナコロ206と空吐出受け205のワイパークリーナ207とに挟まれながら下降することで、ワイパーブレード203に付着したインクが空吐出受け205内に掻き落とされる。また、キャリッジロック204は図示しない圧縮バネによって上方(ロック方向)に付勢されて、キャリッジロックカム215で駆動されるキャリッジロックアーム214を介して昇降させられる。
【0030】
そして、チュービングポンプ210及びカム軸211を回転駆動するために、モータ218の回転をモータ軸218aに設けたモータギヤ219に、チュービングポンプ210のポンプ軸210aに設けたポンプギヤ220を噛み合わせ、更にこのポンプギヤ220と一体の中間ギヤ221に中間ギヤ222を介して一方向クラッチ223付きの中間ギヤ224を噛み合わせ、この中間ギヤ224と同軸の中間ギヤ225に中間ギヤ226を介してカム軸211に固定したカムギヤ227を噛み合わせている。なお、クラッチ223付きの中間ギヤ224、225の回転軸である中間軸228はフレーム201にて回転可能に保持している。
【0031】
また、カム軸211にはホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ用カム229を設け、この維持回復装置200に設けた図示しないホームポジションセンサにてキャップ部材208が最下端に来たときにホームポジションレバー(図示せず)を作動させ、センサが開状態になってモータ218(チュービングポンプ210以外)のホームポジションを検知する。なお、電源オン時には、キャップ部材208(キャップホルダ202)の位置に関係なく上下(昇降)し、移動開始までは位置検出を行わず、キャップ部材208のホーム位置(上昇途中)を検知した後に、定められた量を移動して最下端へ移動する。その後、キャリッジが左右に移動して位置検知後キャップ位置に戻り、記録ヘッドがキャッピングされる。
【0032】
次に、従来の維持回復動作について概説すると、図示していない制御部からの制御信号に基づいてモータ218が正転することによってモータギヤ219、中間ギヤ221、ポンプギヤ220、中間ギヤ222、224までが回転し、チュービングポンプ210の軸210aが回転することで、チュービングポンプ210が作動して、吸引用のキャップ部材208a内を吸引する(この動作を「キャップ内吸引」または「ヘッド吸引」という)。その他のギヤ225以降は一方向クラッチ223によって回転が遮断されるので、回転(作動)しない。また、図示していない制御部からの制御信号に基づいてモータ218が逆転することによって、一方向クラッチ223が連結されるので、モータ218の回転がモータギヤ219、中間ギヤ221、ポンプギヤ220、中間ギヤ222、224、225、226を経てカムギヤ227に伝達され、カム軸211が回転する。このとき、チュービングポンプ210はポンプ軸210aの逆転では作動しない構造となっている。このカム軸211の回転によってキャップカム212a、212b及びワイパーカム213がそれぞれ所定のタイミングで上昇、下降する。なお、記録ヘッドのノズル面を清掃する時は、ワイパーブレード203を上昇させた状態にして、記録ヘッドをワイパーブレード203に相対的に移動させることによってノズル面をワイピングする。
【0033】
図10はインクジェット記録装置のサブタンクの構造を示す斜視図である。同図に示すサブタンク300における負圧レバー301は、サブタンク300内部に設けられ、フィルム302に付勢を与えるバネ(図示せず)によって負圧を生じているサブタンク内に収納されるインクの消費量に応じて変位するフィルム302に追随して動作するレバーである。供給口303は図6のインクカートリッジ110k〜110yからインク供給チューブを経てインクが供給される供給口である。また、大気開放ピン304はサブタンク内部を必要に応じて大気状態に開放するピンである。更に、このようなサブタンクの下方にはインク滴を噴射する記録ヘッド305が取り付けられている。
【0034】
このようなインクジェット記録装置におけるサブタンクにおいて、サブタンク内の負圧が何らかの原因で破壊された時に、維持回復装置のキャップ内に記録ヘッドから記録液等が漏出してしまうことになる。保湿用のキャップ内に記録液等の液体が漏出して溜まってしまうと、保湿用のキャップの下に微小な穴が開いているため、保湿用のキャップを下降させて記録ヘッドから外すときにその微小な穴から空気が入り込む。そして、保湿用のキャップの上昇、下降等の動作を行う際、入り込んだ空気によって保湿用のキャップ内に漏出した記録液が泡立ち、その泡が記録ヘッドのノズル面に接触することにより、ノズル抜けやインク流出等の画像品質低下に繋がってしまう。
【0035】
そこで、これらの問題点を解決するために、従来よりいくつか提案がなされている。その一つとして、特許文献1はインクカートリッジと記録ヘッドの間に中間インクタンクとその中間インクタンクから離れた場所に圧力センサを搭載させ、記録ヘッド内部の負圧状態をセンスし、必要に応じて中間タンクを上下動させることにより、所望の負圧を維持するインクジェットプリンタが提案されている。また、特許文献2では、インクを貯蔵しておく主タンク室に付随したメニスカス構成部材を有した副タンク室から、主タンク室の圧力がインクを消費することにより低下した場合、低下した圧力分副タンク室からインクが自動的に供給され、所望の負圧を保つインク供給装置が提案されている。更に、特許文献3では、密閉したインクタンク内にインクを充填し、このインクタンクに一端が大気に開放された小穴を設け、インクタンク内のインクが消費されると、小穴を通じて空気がインクタンク内に供給されインクタンク内を所望の負圧に保つインクジェットペンが提案されている。
【特許文献1】特開2003−341028号公報
【特許文献2】特許第3,269,268号公報
【特許文献3】特許第2,898,746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
しかしながら、上記特許文献1では、記録ヘッド、中間インクタンク、圧力センサとそれぞれが離れた場所に配置されているために、システムが煩雑、かつ厖大になり得る。また、中間インクタンクを上下動させることによる負圧維持機構において、上下動させる機構を持たせることもシステムが煩雑、かつ厖大になる要因である。更に、何らかの原因により、負圧が破壊された場合は記録液等が漏出し、ノズル面を保護するキャップ等に溜まり、ある要因でそれが泡になることでノズル面に接触しノズル抜け、インク漏れ等の画像品質劣化を引き起こす。
【0037】
また、特許文献2では、メニスカス構成部材の劣化により、所望の負圧を維持することが困難になることや、何らかの要因でタンク自体がリークした場合、記録ヘッドから記録液が漏出し、ノズル面を保護するキャップ等に溜まり、ある要因でそれが泡になることでノズル面に接触し、ノズル抜け、インク漏れ等の画像品質劣化を引き起こす。
【0038】
更に、特許文献3では、常に大気に開放されているため、インクの変性が起こるような何らかの要因でタンクがリークした場合記録ヘッドから記録液が漏出し、ノズル面を保護するキャップ等に溜まり、ある要因でそれが泡になることでノズル面に接触し、ノズル抜け、インク漏れ等の画像品質劣化を引き起こす。
【0039】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、非常にシンプルなシステムで、記録ヘッドの負圧が破壊されて記録ヘッド内の記録液等がノズル保護部材に漏出し貯留した場合でも漏出した記録液に泡が発生することを防止できると共に、ノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化を防止することができる、維持回復方法、維持回復装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0040】
前記問題点を解決するために、ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドに記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから記録液が補充供給されるサブタンクと、該サブタンク内に収納した記録液の量に応じて変位し、サブタンクに設けられた負圧レバーとを有する記録ヘッドユニットを1つ又は複数具備する画像形成装置であって、記録ヘッドの性能を維持回復する本発明の維持回復方法によれば、記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態からキャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御することに特徴がある。また、記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態からキャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御するタイミングは、キャップ部材がノズル面から離脱する時である。よって、記録ヘッドから記録ヘッドを保護するキャップ部材に記録液が漏出、貯留した際にも、その後のキャップ部材の離脱動作の速度を通常よりも遅くすることにより、キャップ部材の内部の圧力変化を緩やかにすることで漏出した記録液が泡を形成することが防止できるので、形成した泡がノズル面に接触することにより発生するノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することができる。
【0041】
また、記録液を記録ヘッドに初めて充填する初期充填動作の時に、記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態からキャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御する。よって、初期充填動作以外の通常動作使用時にはキャップ部材の離脱時の動作時間が余計にかからないようにすると同時に、漏出した記録液が泡を形成することが防止できるので、形成した泡がノズル面に接触することにより発生するノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することができる。
【0042】
更に、サブタンク内の圧力値が所定の圧力値以下となったときに、記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態からキャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御する。よって、キャップ部材の内部の圧力変化を緩やかにすることで漏出した記録液が泡を形成することが防止できるので、形成した泡がノズル面に接触することにより発生するノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することができる。
【0043】
また、キャップ部材に記録ヘッドから記録液が漏出した可能性のあるときに、記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態からキャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御する。よって、キャップ部材の内部の圧力変化を緩やかにすることで漏出した記録液が泡を形成することが防止できるので、形成した泡がノズル面に接触することにより発生するノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することができる。
【0044】
更に、記録ヘッドのサブタンク内の負圧が破壊された時に、記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態からキャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御する。よって、キャップ部材の内部の圧力変化を緩やかにすることで漏出した記録液が泡を形成することが防止できるので、形成した泡がノズル面に接触することにより発生するノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することができる。
【0045】
また、別の発明としての維持回復装置は、ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドに記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから記録液が補充供給されるサブタンクと、該サブタンク内に収納した記録液の量に応じて変位し、サブタンクに設けられた負圧レバーとを有する記録ヘッドユニットを1つ又は複数具備する画像形成装置であって、記録ヘッドの性能を維持回復する。そして、本発明の維持回復装置は、記録ヘッドのノズル面を覆うキャップ部材と、該キャップ部材をノズル面に対して着脱させるキャップ部材駆動手段と、該キャップ部材駆動手段を駆動させる駆動手段と、キャップ部材駆動手段の駆動速度を可変するために駆動手段に供給する制御信号を出力する制御部とを有している。更には、制御部は、記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態からキャップ部材をノズル面から取り外す速度に相当するキャップ部材駆動手段の駆動速度を所定の速度以下に可変するための制御信号を出力する。よって、記録ヘッドからキャップ部材に記録液が漏出、貯留した際にも、その後のキャップ部材の離脱動作の速度を通常よりも遅くすることにより、キャップ部材の内部の圧力変化を緩やかにすることで漏出した記録液が泡を形成することが防止できるので、形成した泡がノズル面に接触することにより発生するノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することができる。
【0046】
更に、サブタンク内の圧力を検出する圧力センサをサブタンクに設け、該圧力センサによって検出されたサブタンク内の圧力値が所定の圧力値以下となったときに、制御部はキャップ部材駆動手段の駆動速度を所定の速度以下に可変するための制御信号を出力する。よって、キャップ部材の内部の圧力変化を緩やかにすることで漏出した記録液が泡を形成することが防止できるので、形成した泡がノズル面に接触することにより発生するノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することができる。
【0047】
また、サブタンク内に備えた1対またはそれ以上の電極ピンが記録液に浸っている時にかかる電圧と、電極ピンが空気にさらされている時にかかる電圧とを比較することによって記録ヘッド内の負圧が破壊されたと検出したときに、制御部はキャップ部材駆動手段の駆動速度を所定の速度以下に可変するための制御信号を出力する。よって、キャップ部材の内部の圧力変化を緩やかにすることで漏出した記録液が泡を形成することが防止できるので、形成した泡がノズル面に接触することにより発生するノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することができる。
【0048】
更に、負圧レバーの開き量を検出する負圧レバー位置検出手段を設け、該負圧レバー位置検出手段によって検出された負圧レバーの開き量が所定値より大きいときに、制御部はキャップ部材駆動手段の駆動速度を所定の速度以下に可変するための制御信号を出力する。よって、キャップ部材の内部の圧力変化を緩やかにすることで漏出した記録液が泡を形成することが防止できるので、形成した泡がノズル面に接触することにより発生するノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することができる。
【0049】
また、装置全体を輸送する輸送手段の種別に応じて制御部はキャップ部材駆動手段の駆動速度を所定の速度以下に可変するための制御信号を出力する。よって、記録液が漏れるリスクのある場合以外はキャップ部材の離脱動作時間が余計にかからないようにすると同時に、漏出した記録液が泡を形成することが防止できるので、形成した泡がノズル面に接触することにより発生するノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することができる。更に、輸送手段の種別は圧力センサの圧力変化で検知される。あるいは、輸送手段の種別は制御部に予め設定される。
【0050】
更に、別の発明としての画像形成装置は、上記の維持回復装置を具備することに特徴がある。よって、ノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化を防止できる画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0051】
本発明の維持回復方法によれば、何らかの理由により記録ヘッドから記録ヘッドを保護するキャップ部材に記録液が漏出、貯留した際にも、その後のキャップ部材の離脱動作の速度を通常よりも遅くすることにより、キャップ部材の内部の圧力変化を緩やかにすることで漏出した記録液が泡を形成することが防止できるので、形成した泡がノズル面に接触することにより発生するノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
図1は本発明の一実施の形態に係る維持回復装置の構成を示す平面図である。同図において、図9と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の維持回復装置10は、モータ218にステッピングモータを用い、制御部12からの制御信号に基づいて駆動パルスを生成し、モータ218に供給する駆動パルス生成部11と、装置全体又は各センサからの検出信号に基づいた制御信号を駆動パルス生成部11に供給してモータ218の速度を制御する制御部12とを含んで構成されている。
【0053】
このような構成を有する本発明の維持回復装置における維持回復方法によれば、記録ヘッドから維持回復装置に備えられた保湿用のキャップに記録液が漏出したとしても、維持回復装置における保湿用のキャップの上昇・下降時の速度を所定の速度に制御することにより、空気が保湿用のキャップ内に入り込むことを防ぐことができる。詳細には、本発明の維持回復方法において、ステッピングモータであるモータ218を低パルスで駆動させ、具体的には制御部12からの制御信号に基づいて駆動パルス生成部11によって1パルスずつパルスをモータ218に送り、コマ送りのような動きで保湿用のキャップ208b〜208dを下降させ、空気が保湿用のキャップ内に入り込むことを防ぐ。よって、泡がノズル面に接触することで発生するノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化を防止できるばかりか、そのリスクを考えてその後ノズル面の清浄化のための無駄なインク消費も防止することができる。なお、本発明の維持回復装置をインクジェット記録装置などの画像形成装置に搭載することにより、ノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化を防止できる画像形成装置を提供することができる。
【0054】
また、別の維持回復方法の動作フローである図2に示すように、インクジェット記録装置で記録ヘッドの状態の維持回復を目的にした維持回復動作を実行する時に、当該維持回復動作が初期充填に該当するかを判断し(ステップS101,S102)、初期充填に該当した場合は装置内に設置された圧力センサの検出結果又はフラグに設定された内容に基づいて輸送ルートが空輸であるかを判断する(ステップS102;YES、ステップS103)。その判断結果輸送ルートが空輸であれば、図1の制御部12からの制御信号に基づいて維持回復装置における保湿用のキャップの上昇・下降時の速度を所定の低速度に制御する速度制御処理を行う(ステップS104;YES、ステップS105)。一方、初期充填に該当しない場合(ステップS102;NO)や輸送ルートが空輸でなければ(ステップS104;NO)図1の制御部12からの制御信号に基づいて保湿用のキャップの下降速度は通常の速度とする(ステップS106)。
【0055】
このように、例えば輸送ルートが空輸であった場合等で記録ヘッド内に充填されていた記録液が気圧の変化でキャップへ漏出しても泡の発生を防止できるので、その後のノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化を防止することが可能となる。
【0056】
更に、別の維持回復方法の動作フローである図3に示すように、サブタンクに設けられているインク検知電極ピンにおいてエアを検知した際には、図1の制御部12からの制御信号に基づいて維持回復装置における保湿用のキャップの上昇・下降時の速度を所定の低速度に制御する速度制御処理を行う(ステップS201;YES、ステップS202)。一方、エアを検知していない場合図1の制御部12からの制御信号に基づいて保湿用のキャップの下降速度は通常の速度とする(ステップS101;NO、ステップS203)。
【0057】
このように、例えば通常使用している間にインク検知電極ピンによってエアを検知した場合保湿用のキャップに記録液が漏出している可能性があっても、無雑作に保湿用のキャップを下降させるのではなく、維持回復装置における保湿用のキャップの上昇・下降時の速度を所定の速度に制御することができるので、泡を発生させずに、ノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することが可能となる。
【0058】
また、別の維持回復方法の動作フローである図4に示すように、サブタンクに設けられている圧力センサの値が所定の負圧以下であった場合には、図1の制御部12からの制御信号に基づいて維持回復装置における保湿用のキャップの上昇・下降時の速度を所定の低速度に制御する速度制御処理を行う(ステップS301;YES、ステップS302)。一方、圧力センサの値が所定の負圧より大きい場合図1の制御部12からの制御信号に基づいて保湿用のキャップの下降速度は通常の速度とする(ステップS301;NO、ステップS303)。
【0059】
このように、例えば通常使用している間に圧力センサによってエアリークを検知した場合保湿用のキャップに記録液が漏出している可能性があっても、無雑作に保湿用のキャップを下降させるのではなく、維持回復装置における保湿用のキャップの上昇・下降時の速度を所定の速度に制御することができるので、泡を発生させずに、ノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することが可能となる。
【0060】
更に、別の維持回復方法の動作フローである図5に示すように、図10のサブタンクに設けられている負圧レバー301の開き量が所定値以上であった場合には、図1の制御部12からの制御信号に基づいて維持回復装置における保湿用のキャップの上昇・下降時の速度を所定の低速度に制御する速度制御処理を行う(ステップS401;YES、ステップS402)。一方、負圧レバーの開き量が所定値より小さい場合図1の制御部12からの制御信号に基づいて保湿用のキャップの下降速度は通常の速度とする(ステップS401;NO、ステップS403)。
【0061】
このように、例えば通常使用している間にサブタンク内の負圧状態に応じて変化する負圧レバーによってエアリークを検知した場合保湿用のキャップに記録液が漏出している可能性があっても、無雑作に保湿用のキャップを下降させるのではなく、維持回復装置における保湿用のキャップの上昇・下降時の速度を所定の速度に制御することができるので、泡を発生させずに、ノズル抜けやインク漏れ等の画像品質劣化不良を防止することが可能となる。
【0062】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施の形態に係る維持回復装置の構成を示す平面図である。
【図2】別の維持回復方法の動作を示すフローチャートである。
【図3】別の維持回復方法の動作を示すフローチャートである。
【図4】別の維持回復方法の動作を示すフローチャートである。
【図5】別の維持回復方法の動作を示すフローチャートである。
【図6】画像形成装置としてのインクジェット記録装置を前方から見た斜視図である。
【図7】インクジェット記録装置の機構部の概要を示す側面図である。
【図8】インクジェット記録装置の機構部の概要を示す平面図である。
【図9】従来の維持回復装置の要部構成を示す平面図である。
【図10】インクジェット記録装置のサブタンクの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
10;維持回復装置、11;駆動パルス生成部、12;制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドに前記記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから前記記録液が補充供給されるサブタンクと、該サブタンク内に収納した前記記録液の量に応じて変位し、前記サブタンクに設けられた負圧レバーとを有する記録ヘッドユニットを1つ又は複数具備する画像形成装置であって、前記記録ヘッドの性能を維持回復する維持回復方法において、
前記記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態から前記キャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御することを特徴とする維持回復方法。
【請求項2】
前記記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態から前記キャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御するタイミングは、前記キャップ部材がノズル面から離脱する時であることを特徴とする請求項1記載の維持回復方法。
【請求項3】
記録液を前記記録ヘッドに初めて充填する初期充填動作の時に、前記記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態から前記キャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の維持回復方法。
【請求項4】
前記サブタンク内の圧力値が所定の圧力値以下となったときに、前記記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態から前記キャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の維持回復方法。
【請求項5】
前記キャップ部材に前記記録ヘッドから前記記録液が漏出した可能性のあるときに、前記記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態から前記キャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の維持回復方法。
【請求項6】
前記記録ヘッドの前記サブタンク内の負圧が破壊された時に、前記記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で覆った状態から前記キャップ部材をノズル面から取り外す速度を所定の速度以下に制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の維持回復方法。
【請求項7】
ノズルから記録液の液滴を吐出する記録ヘッドに前記記録液を供給し、装置本体側のメインタンクから前記記録液が補充供給されるサブタンクと、該サブタンク内に収納した前記記録液の量に応じて変位し、前記サブタンクに設けられた負圧レバーとを有する記録ヘッドユニットを1つ又は複数具備する画像形成装置であって、前記記録ヘッドの性能を維持回復する維持回復装置において、
前記記録ヘッドのノズル面を覆うキャップ部材と、該キャップ部材を前記ノズル面に対して着脱させるキャップ部材駆動手段と、該キャップ部材駆動手段を駆動させる駆動手段と、前記キャップ部材駆動手段の駆動速度を可変するために前記駆動手段に供給する制御信号を出力する制御部とを有し、
前記制御部によって、前記記録ヘッドのノズル面を前記キャップ部材で覆った状態から前記キャップ部材をノズル面から取り外す速度に相当する前記キャップ部材駆動手段の駆動速度を所定の速度以下に可変するための前記制御信号を出力することを特徴とする維持回復装置。
【請求項8】
前記サブタンク内の圧力を検出する圧力センサを前記サブタンクに設け、該圧力センサによって検出された前記サブタンク内の圧力値が所定の圧力値以下となったときに、前記制御部は前記キャップ部材駆動手段の駆動速度を所定の速度以下に可変するための前記制御信号を出力することを特徴とする請求項7記載の維持回復装置。
【請求項9】
前記サブタンク内に備えた1対またはそれ以上の電極ピンが記録液に浸っている時にかかる電圧と、前記電極ピンが空気にさらされている時にかかる電圧とを比較することによって前記記録ヘッド内の負圧が破壊されたと検出したときに、前記制御部は前記キャップ部材駆動手段の駆動速度を所定の速度以下に可変するための前記制御信号を出力することを特徴とする請求項7記載の維持回復装置。
【請求項10】
前記負圧レバーの開き量を検出する負圧レバー位置検出手段を設け、該負圧レバー位置検出手段によって検出された前記負圧レバーの開き量が所定値より大きいときに、前記制御部は前記キャップ部材駆動手段の駆動速度を所定の速度以下に可変するための前記制御信号を出力することを特徴とする請求項7記載の維持回復装置。
【請求項11】
装置全体を輸送する輸送手段の種別に応じて前記制御部は前記キャップ部材駆動手段の駆動速度を所定の速度以下に可変するための前記制御信号を出力することを特徴とする請求項7記載の維持回復装置。
【請求項12】
前記輸送手段の種別は前記圧力センサの圧力変化で検知されることを特徴とする請求項8記載の維持回復装置。
【請求項13】
前記輸送手段の種別は前記制御部に予め設定されることを特徴とする請求項11記載の維持回復装置。
【請求項14】
請求項7〜13のいずれか1項に記載の維持回復装置を具備することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−274332(P2009−274332A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127804(P2008−127804)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】