説明

緊急速報に対応した電話装置

【課題】大規模地震、津波発生時に発生する電気系統の異常、火災、ガス漏れ等による二次災害を防止し甚大な被害に至らない場合は、再度、災害発生前と同様の状態に戻すことのできる災害の緊急速報に対応した電話装置を提供する。
【解決手段】緊急速報受信部と、緊急速報から当該災害による自電話装置が設置された場所への影響が予め定められた規模以上であるか否かを判定する規模判定部と、サービス電源コンセントと、サービス電源コンセントから外部の電気機器への給電を制御する給電制御部と、を備えた電話装置であって、規模判定部が受信した緊急速報から当該災害による自電話装置が設置された場所への影響が予め定められた規模以上であると判定した場合に、給電制御部が前記サービス電源コンセントからの電力供給を自動的に停止し、一定期間経過後、各種センサに異常がない場合には給電を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震、津波等の災害発生時の非常事態に、地震の震度や津波の高さを示す緊急速報の情報、または、接続した各種センサの情報により、付属のサービス電源コンセントへの給電のオン/オフを自動的に制御する緊急速報に対応した電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
緊急速報に対応した緊急制御装置としては、ホームネットワーク(IEEE1394、ECHONET)を介して家庭内機器を接続し、放送局から放送された緊急警報放送の受信時に、例えば、家庭内機器について、テレビでは電源をスタンバイ状態から投入したり、視聴中の番組を緊急警報放送番組に切り替え、ステレオから緊急情報の音声やアラーム音を発生し、ガス器具の元栓を締め、照明器具の蛍光灯を点灯するといった制御を行う装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2003−18673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記提案は、地震、津波等が発生し、緊急警報放送を受信したときに、危険であることをホームネットワーク接続の家庭内機器から通知させ、危険回避行動を促すものであるが、大規模地震、津波発生時に考えられる被災は、電気系統の異常、火災、ガス漏れ等が考えられ、これらが原因による二次災害の危険性があり、この二次災害を防止することが重要である。また、甚大な被害に至らない場合は、再度、災害発生前と同様の状態に戻す必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の緊急速報に対応した電話装置は、災害に係る緊急速報を受信する緊急速報受信部と、緊急速報受信部が受信した緊急速報から当該災害による自電話装置が設置された場所への影響が予め定められた規模以上であるか否かを判定する規模判定部と、外部の電気機器へ電力を供給するサービス電源コンセントと、前記サービス電源コンセントから外部の電気機器への給電を制御する給電制御部と、を備え、緊急速報受信部が緊急速報を受信し、規模判定部が前記緊急速報から当該災害による自電話装置が設置された場所への影響が予め定められた規模以上であると判定した場合に、給電制御部が、サービス電源コンセントから外部の電気機器への電力供給を自動的に停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の緊急速報に対応した電話装置によれば、電話装置主装置内に供えられた緊急速報受信部と規模判定部により当該災害による自電話装置が設置された場所への影響が予め定められた規模以上となる場合を判定して、給電制御部の制御によりサービス電源コンセントへの電力供給を自動的に停止することができる。また、各種災害後、外部接続機器、及び、周辺環境に異常がない(火災、ガス漏れ等がない)、すなわち、火災、ガス漏れをセンサが検出しないことを確認次第、通電状態を自動で復旧させ、災害前と同様に動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例】
【0007】
図1は、本発明の実施例の緊急速報に対応した電話装置の全体構成を示している。図1において、本装置の緊急速報に対応した電話装置は、電話装置主装置1に複数のボタン電話機8、外部の電気機器12、各種センサ13が接続される。
【0008】
電話装置主装置1内には、電話機制御部2、緊急速報受信部3、規模判定部4、正常性判定部5、給電制御部6とサービス電源コンセント7と過大電流検出部14を有する電源部16が備えられており、電話機制御部2が、外線と複数のボタン電話機8との間の電話通信制御と、規模判定部4、正常性判定部5などの全体の制御を行う。
【0009】
ボタン電話機8は液晶表示部9、ボタン電話機制御部10、スピーカ11を備えており、電話機制御部2を介して外線に接続された電話機との通話を行う。ガスセンサ、火災センサなど各種センサ13は、ガスの発生異常や火災の発生異常などを監視し、電話装置主装置1内の正常性判定部5にセンサ情報を送信する。
【0010】
ファクシミリ、電気調理器、エアコンなどの外部の電気機器12は、電源部16内のサービス電源コンセント7から電源を供給されし、サービス電源コンセント7から外部の電気機器12への電源の供給のオン/オフを給電制御部6が制御する。
【0011】
緊急速報受信部3は、緊急速報センタ15からの災害に係る緊急速報(緊急地震速報や緊急津波速報など)を受信する。
【0012】
ここで、緊急速報センタ15からの災害に係る緊急速報とは、例えば、BSデジタル放送、地上デジタル放送、衛星通信、防災行政無線、無線基地局からの携帯電話による通信などの無線を介して受信した災害の緊急情報、あるいは、デジタル専用線によるオンライン配信サービス、インターネット通信によるインターネットプロバイダからの配信サービスなどの有線を介して受信した災害の緊急速報を意味する。また、ここで災害とは、地震、津波、竜巻等あらゆる自然災害を意味する。
【0013】
規模判定部4は、緊急速報受信部3が受信した緊急速報に含まれる地域情報と各地域の災害の規模を示す情報(例えば、各地域における予測震度)を解析して、自電話装置主装置1が設置された場所の地域に対応した場所の災害の規模を求めることができる。また、緊急速報に含まれる地域と規模の情報が、例えば、地震発生直後の1つの観測点での地震の大きさ(マグニチュード)といった限られた少ない情報の場合には、地震発生時の震源地の位置情報と自電話装置主装置1が設置されている位置情報から、地震の伝搬速度等をも考慮して自電話装置主装置1が設置されている場所での予想震度や到達予測時刻などの予測値を算出し、この予測結果を当該場所での災害規模の判定に用いてもよい。
【0014】
また、規模判定部4は、緊急速報の解析結果または予測値が予め定められた規模以上(例えば、震度5弱程度以上)の場合には、給電制御部6にサービス電源コンセント7から外部の電気機器12への給電停止の指示を行い、給電制御部6は給電を停止する。
【0015】
さらに、規模判定部4は、緊急速報の解析結果または予測値が予め定められた規模以上(例えば、震度5弱程度以上)の場合に、正常性判定部5に対して各種線センサ13の正常判定を指示する。
【0016】
正常性判定部5は、規模判定部4から正常判定の指示を受けると、各種センサ13からの正常/異常を示すセンサ情報を受信し、異常を検出した場合には、電話機制御部2を介して、予め設定しておいた外線の通報先17にセンサ異常の旨を緊急通報する。また、給電停止から一定時間経過後、各種のセンサ情報に異常を検出しなかった場合には、サービス電源コンセント7から外部の電気機器12への給電を再開させる。
【0017】
過大電流検出部14は、災害時に、外部の電気機器12にショート等の電気的異常により発生した過大電流を検出し、サービス電源コンセント7から外部の電気機器12への給電再開後、過大電流を検出した場合には、給電制御部6によりサービス電源コンセント7から外部の電気機器12への給電を停止する。
【0018】
図2は、本発明の実施例である緊急速報に対応した電話装置の地震、津波等の災害時の動作フローチャートを示している。図2のフローチャートにおいて、地震、津波等の災害が発生した場合、緊急警報受信部3は、緊急速報センタ15から発信された緊急速報が、受信されるのを待つ(S101)。
【0019】
規模判定部4で、電話装置主装置1が設置されている場所の災害規模が、震度5弱以上であると判定された場合(S102)、接続したボタン電話機8のスピーカ11から緊急メッセージを送出する(S103)。そして、給電制御部6により、サービス電源コンセント7から外部の電気機器12への給電を停止し(S104)、さらに、接続したボタン電話機8のスピーカ11から給電停止メッセージを送出する(S105)。津波、竜巻等の災害の場合でも、同様に一定規模以上と判定すれば、上記と同様の動作を行う。
【0020】
サービス電源コンセント7から外部の電気機器12への給電停止、及び、給電停止メッセージの送出後、センサ入力のための停止期間タイマをスタートさせ(S106)、一定の停止期間の経過後、正常性判定部5は電話装置主装置1に接続された火災、ガス等各種センサ13の正常/異常のセンサ情報を監視する(S107)。
【0021】
そして各種センサ情報に異常を検出した場合(火災、ガス漏れ等発生時)(S108:Yes)、予め設定しておいた通報先17にセンサ異常の緊急通報を行い(S113)、本フローを終了する。尚、このときサービス電源コンセントへの給電は停止し続ける。
【0022】
各種センサ情報に異常を検出せず(S108:No)、さらに一定の停止期間の経過すると(タイマが満了した状態)(S109:Yes)、正常性判定部5はサービス電源コンセント7から外部の電気機器12への給電を再開させる(S110)。
【0023】
また、サービス電源コンセント7から外部の電気機器12への給電再開後、過大電流検出部14は、外部の電気機器12の過大電流を監視する(S111)。ショート等の電気的異常が発生し、過大電流を検出した場合(S111:Yes)、給電制御部6に、給電の停止を指示する。そして給電制御部6はサービス電源コンセント7から外部の電気機器12への給電を再度停止する(S112)。
また過大電流を検出しなかった場合は、S101に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施例の緊急速報に対応した電話装置の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の実施例の緊急速報に対応した電話装置の地震、津波等の災害時の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0025】
1 電話装置主装置
2 電話機制御部
3 緊急速報受信部
4 規模判定部
5 正常性判定部
6 給電制御部
7 サービス電源コンセント
8 ボタン電話機
9 液晶表示部
10 ボタン電話機制御部
11 スピーカ
12 外部の電気機器
13 各種センサ
14 過大電流検出部
15 緊急速報センタ
16 電源部
17 通報先

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害に係る緊急速報を受信する緊急速報受信部と、前記緊急速報受信部が受信した緊急速報から当該災害による自電話装置が設置された場所への影響が予め定められた規模以上であるか否かを判定する規模判定部と、外部の電気機器へ電力を供給するサービス電源コンセントと、前記サービス電源コンセントから前記外部の電気機器への給電を制御する給電制御部と、を備えた電話装置であって、
前記緊急速報受信部が緊急速報を受信し、前記規模判定部が前記緊急速報から当該災害による自電話装置が設置された場所への影響が予め定められた規模以上であると判定した場合に、前記給電制御部は、前記サービス電源コンセントから外部の電気機器への給電を自動的に停止することを特徴とする緊急速報に対応した電話装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話装置において、
前記給電制御部が前記サービス電源コンセントから前記外部の電気機器への給電を停止した場合に、前記サービス電源コンセントから前記外部の電気機器への給電を停止したことを、自電話装置の表示部または所定の通報先に通知することを特徴とする緊急速報に対応した電話装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電話装置において、
自電話装置に接続された各種センサからセンサ情報を入力し、前記センサ情報から被災に伴う異常がないか否かを判定する正常性判定部をさらに有し、
前記給電制御部が前記サービス電源コンセントへの給電を停止してから所定の時間が経過すると共に、前記正常性判定部が異常なしと判定した場合に、前記給電制御部は前記サービス電源コンセントから外部の電気機器への給電を自動的に再開することを特徴とする緊急速報に対応した電話装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電話装置において、
前記サービス電源コンセントから受電する前記外部の電気機器のショート等による過大電流を検出する過大電流検出部をさらに有し、
前記給電制御部が前記サービス電源コンセントへの給電を再開した後に、前記過大電流検出部が過大電流を検出した場合、前記給電制御部は、前記サービス電源コンセントから前記外部の電気機器への給電を再度停止することを特徴とする緊急速報に対応した電話装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−10893(P2010−10893A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165796(P2008−165796)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】