緑内障及び高眼圧症の治療のためのシチコリン
本発明は、緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のためのシチコリン並びにそれを含む組成物に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のためのシチコリン並びにそれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
緑内障は、網膜神経節細胞の進行性喪失及び視神経円板の構造変化を特徴とする慢性神経変性病態である。緑内障は、世界で失明原因の第2位を占める。最もよく見られるタイプである原発開放隅角緑内障には、主要な危険因子として眼圧(IOP)上昇があり、従って、第1の治療的アプローチは局所降圧剤で代表される。しかしながら、3分の1以上の患者においては、眼圧調節が十分であるにもかかわらず、視力障害の進行は遅れるが停止しないため、眼圧に依存しない他の機序の関与が考えられている(Grieb P et al. J Neurosci Res 2002)。特に、高血圧性の初回発作に続いて神経細胞アポトーシスが引き起こされ、それによって、この構造の毛細血管領域レベルにおいて正常な血液供給が妨げられ、神経節細胞の生存に不可欠な代謝物及びニューロトロフィンの正規な順行性及び逆行性軸索輸送に障害が生じる。アポトーシスによって、アポトーシス細胞から放出されるグルタミン酸によるNMDA受容体の過剰刺激による局所興奮毒性機序と関連する二次発作が説明できる。実際、グルタミン酸は、細胞外間隙に過剰濃度で存在する場合、周囲のニューロンの表面のNMDA受容体を過剰刺激し、それによりCa++チャネルが開口する。これらの細胞におけるCa++イオンの過剰流入は、神経細胞自身のアポトーシスをもたらす生化学的カスケードの引き金となり、初回発作の非存在下においても自給できる機序を構成する。アポトーシス過程における細胞損傷機序のもう1つの重要なステップは、その主要成分であるホスファチジルコリンというリン脂質の細胞膜を異化作用によって不安定化し分解することができる酵素であるホスホリパーゼA2の過剰活性化で説明される(Burgoyne F C et al ., Prog Retin Eye Res 2005;24)。損傷の進行を説明できる真の死のカスケードである二次発作に対して、眼圧低下は不十分な効果しか示さないことは明らかである。神経保護の分野においては、シチコリン(シチジン−5’−ジホスホコリン)分子に対して、その作用機序及び、実験的研究から緑内障患者に対する臨床試験に移る科学的根拠のために、特別な興味が向けられている。
【0003】
シチコリン(シチジン−5’−ジホスホコリン)は、神経膜及びミトコンドリア膜の主要成分であるホスファチジルコリンの天然前駆体である。経口摂取されると、シチコリンは迅速に吸収されて、その1%未満が便中に排出される。摂取1時間後に血漿ピークに達し、次いで24時間後により大きなピークに達する。シチコリンは腸壁及び肝臓で代謝される。その分子の加水分解に由来するコリン及びシチジンは、体循環によって吸収され、別々に血液脳関門(BBB)を通過して脳レベルでシチコリン(シチジン−5’−ジホスホコリン)に再合成される。排出は、主として呼吸経路及び尿中排出によって行われ、これらは2つの血漿ピーク、すなわち最初の迅速な排出及びそれに続くより緩慢な排出に反映されている(Citicoline, monograph Altern Med Rev 2008)。
【0004】
脳レベルにおいては、シチコリンは、主としてホスファチジルコリン生成の基質及びホスホリパーゼA2阻害薬として機能し、従ってその時でもまだ生存している神経細胞の膜損傷に対して直接作用を有する。さらに、この分子は、主にドーパミン作動系レベルにおいて神経調節作用を示し、そのことがパーキンソン病の治療ばかりではなく、緑内障の治療においてもシチコリンの使用の理論的根拠を与えている。なぜなら、ドーパミンは、網膜及び網膜後部レベルの両方において視覚シグナルの伝達に関与する主要な神経伝達物質の1つだからである。
【0005】
文献中の多数の研究において、視野に関してはコンピュータ中心視野測定(Pecori Giraldi et al 1989)によって、全視覚路に関してはパターン網膜電図(PERG)及び視覚誘発電位(VEP)の使用(Parisi et al 1999, 2005, 2008, Rejadak et al 2003)によって、共に緑内障患者に対するシチコリンのプラス効果が明らかにされている。
【0006】
特に、Parisi及び共同研究者による試験によって、眼圧低下療法のみで治療した緑内障患者に対して眼圧低下療法に加えてシチコリンを筋肉内(1000mg/日(die))及び経口(1600mg/日)の両方で投与した緑内障患者において同様な結果と、視覚機能を維持するためにその処置を周期的に繰り返す必要性が確認された(全試験期間;8年間)。
【0007】
Chanらは、2009年に、ラットにおける緑内障の実験モデルに対する磁気共鳴分光法(プロトン磁気共鳴分光法 1H MRS)のin vivoでの使用結果を公表し、緑内障はまた、視覚皮質レベルにおけるコリン代謝の変化を特徴とし、これは神経膜の構造的完全性の侵害を反映していることを明らかにした。
【0008】
緑内障を治療するためのシチコリンの筋肉内投与は、明らかに患者にとって大変不快であり、試験によって陽性結果を得るために必要な長期間にわたってその物質を使用することは可能ではない。筋肉内投与は、自己投与ではない不便のほかにも、患者に自分で筋注できるようにするために伴う要求は、とりわけ老齢の患者には満たすことは困難であり、長期治療後の感染合併症のリスクにさらされる恐れがある。
【0009】
緑内障を治療するためのシチコリンの経口投与は、筋注療法に対しては一歩前進であるが、胃又は腸に病態を有する被験者に使用することが不可能であることによる問題点と、肝臓における代謝によって、緑内障病態によって主として損傷を受ける神経構造である視神経円板のレベルに到達する濃度が低いという問題点がある。
【0010】
Oshitariら(Neuroreport 2002)は、外稙されたマウス網膜由来の培養網膜神経節細胞(RGC)にシチコリンを添加することによって得られたin vitroでの神経突起再生効果を評価した。
【0011】
従って、前述を考慮して、緑内障を治療するための神経保護タイプの新規な治療戦略を提案する必要性を痛切に感じた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らによって行われたin vivo実験モデルでの試験によって、驚くべきことに、眼表面へのシチコリン投与は、活性成分の後眼部(硝子体眼房)への移動と、網膜及び視神経円板への到達を確実にするのに理想的であることが明らかとなった。
【0013】
本発明の本質的特徴の1つは、網膜及び視神経に対して神経保護活性を有するシチコリンのような物質は、局所に用いられたことがないという事実で示される。実際、今日まで、シチコリンはもっぱらIM(筋肉内)、IV(静脈内)又は経口投与されてきただけであり、眼表面に投与されたシチコリンが、角膜上皮、結膜、強膜及び線維柱帯の細胞を相互に連結しているギャップ結合の存在によって多くの活性成分が不透過性にされている角膜内のバリアを横切ることができ、それによって網膜及び視神経円板に到達することは決して予見できなかったことは、考慮されなければならない。
【0014】
従って、本発明の目的は、緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のためのシチコリンである。
【0015】
本発明の目的はまた、シチコリン並びに1以上の担体及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤を含む、緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のための組成物である。
【0016】
本発明は、緑内障(世界で主要な失明原因の1つである)及び高眼圧症に対する治療において一連の利点をもたらす:
・シチコリンに関して現在知られている製剤と比較して投与が容易であること;
・治療標的である網膜及び視神経に到達させるために低い濃度の活性成分しか必要としないこと(共に、作用部位に直接に到達するため、特に、この方法によって、活性成分の大部分が代謝されそれによって顕著に薬理活性が低下する肝臓及び腎臓フィルターを避けられるため)。
・本発明のさらなる利点は、1日に活性成分を複数回投与できることであり、それによって、活性成分を網膜レベルに高い数値で到達させることができるばかりでなく、そこに容易に維持することもでき、その数値はまた、今日用いられている投与経路では達成することが不可能であることで示される。実際、筋肉内経路では、1日の間に反復注射によって長期持続性治療を行うことは考えられないことは容易に理解できることであるし、経口経路では、患者のコンプライアンスの問題以外にも、長期治療による消化管合併症の恐れに関連する問題がある。
【0017】
本発明の利点、特徴及び使用方法は、その実施形態に関する以下の詳細な説明において明らかにされるが、それらは例としてのみ与えられるものであって、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面の詳細な説明
【図1】実施例に記載されているシチコリン(2%)、ヒアルロン酸(0.2%)及びBAK(0.01%)に基づく溶液で処置したマウスの右眼試料を分析することによって得られたHPLCプロフィールである。分析された試料のプロフィールは、溶出時間1.36分にシチコリンに対応するピークの存在を示している。本実験において、処置された眼の後房においてかなりな量のシチコリンが存在することが明らかにされた。
【図2】実施例に記載されているシチコリン(2%)、ヒアルロン酸(0.2%)及びBAK(0.01%)に基づく溶液で処置したマウスの左(対側の)眼試料の分析によって得られたHPLCプロフィールである。分析された試料のプロフィールは、溶出時間0.95分にシチコリンに対応するピークの存在を示している。本実験において、対側の眼の後房のおけるかなりな量のシチコリンの存在が明らかにされ、それによって、線維柱帯を介した全身吸収が想定された。
【図3】実施例に記載されているシチコリン(1%)、ヒアルロン酸(0.2%)及びBAK(0.01%)に基づく溶液で処置されたマウスの(処置された)右眼試料の分析によって得られたHPLCプロフィールである。分析された試料のプロフィールは、溶出時間1.04分にシチコリンに対応するピークの存在を示す。本実験において、処置された眼の後房にかなりな量のシチコリンが存在することが明らかにされた。
【図4】実施例に記載されているシチコリン(1%)、ヒアルロン酸(0.2%)及びBAK(0.01%)に基づく溶液で処置されたマウスの(対側の)左眼試料を分析することによって得られたHPLCプロフィールである。分析された試料のプロフィールではシチコリンの存在が強調されず、従って、本実験においては、全身経路を介して対側の眼に通過することができない。
【図5】陰性対照(未処置)として用いたマウスの左眼(対側の、右眼は失った)の試料を分析することによって得られたHPLCプロフィールである。シチコリンは観察されない。
【図6】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療前の患者1の視野測定結果を示す図である。
【図7】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療後の患者1の視野測定結果を示す図である。
【図8】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療前の患者2の視野測定結果を示す図である。
【図9】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療後の患者2の視野測定結果を示す図である。
【図10】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療前の患者3の視野測定結果を示す図である。
【図11】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療後の患者3の視野測定結果を示す図である。
【図12】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療前の患者1の視野測定において得られた平均偏差(MD)(左側パネルにおいて標準偏差で示される)及びパターン標準偏差(PSD)(右側パネルにおいてパターンからの偏差で示される)である。
【図13】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療後の患者1の視野測定において得られた平均偏差(MD)(左側パネルにおいて標準偏差で示される)及びパターン標準偏差(PSD)(右側パネルにおいてパターンからの偏差で示される)である。
【図14】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療前の患者2の視野測定において得られた平均偏差(MD)(左側パネルにおいて標準偏差で示される)及びパターン標準偏差(PSD)(右側パネルにおいてパターンからの偏差で示される)である。
【図15】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療後の患者1の視野測定において得られた平均偏差(MD)(左側パネルにおいて標準偏差で示される)及びパターン標準偏差(PSD)(右側パネルにおいてパターンからの偏差で示される)である。
【図16】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療前の患者3の視野測定において得られた平均偏差(MD)(左側パネルにおいて標準偏差で示される)及びパターン標準偏差(PSD)(右側パネルにおいてパターンからの偏差で示される)である。
【図17】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療後の患者3の視野測定において得られた平均偏差(MD)(左側パネルにおいて標準偏差で示される)及びパターン標準偏差(PSD)(右側パネルにおいてパターンからの偏差で示される)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明によれば、シチコリン(シチジン−5’−ジホスホコリン)−購入するか、又は公知技術に記載されているプロトコル、例えばKyowaの製造プロトコル(Drug Master File シチコリン Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd)などによって製造する−が、緑内障及び/又は高眼圧症を患っている患者の眼表面に投与される。
【0020】
局所使用のためのシチコリンは、すべての種々の緑内障の形、例えば先天性緑内障、開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障及び正常眼圧緑内障などの治療に用いることができる。
【0021】
本発明の目的は、緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のためのシチコリンを含む組成物である。
【0022】
このような組成物は、もちろん、眼科用組成物の製造に適した1以上の担体、希釈剤及び/又は賦形剤を含まなければならない。眼に認容性のすべての担体、希釈剤又は賦形剤は眼科用組成物の製造に適している。前記組成物に使用できる賦形剤の例は、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール(例えば、PEG200、PEG400)デキストランなどである。
【0023】
前記組成物は、活性成分のバイオアベイラビリティー、安定性及び認容性を増加させやすい担体を含むこともできる。例えば、ヒアルロン酸、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの増粘剤を用いることができる。
【0024】
前記組成物は、角膜透過性を増加させることによってシチコリンのバイオアベイラビリティーを改善する担体、例えばジメチルスルホキシド、膜リン脂質及び界面活性剤などを含むことができる。
【0025】
汚染を防ぐために、前記組成物は、例えば塩化ベンザルコニウム(短縮形でBAK)などの抗菌活性を有する1以上の防腐薬を含むことができる。
【0026】
前記組成物におけるシチコリン濃度は、好ましくは、組成物1グラム又は1ml当たり5〜30mgで含まれる。
【0027】
本発明によれば、シチコリンは、好ましくは、約0.0035〜約1.5mg/日の投薬単位当たり濃度で用いられる。
【0028】
「投薬単位」とは、毎回患者に投与される1回量を意味し、1日複数回投与に分割された単位であることもでき、1日1回の単位であることもでき、数日間隔の単位であることもできる。
【0029】
ここで説明する組成物は、シチコリン以外にも、緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のための他の活性成分、例えば局所降圧薬などを含むこともできる。
【0030】
局所使用のための前記組成物は、眼表面に直接に塗布するのに適切であると当業者によって考えられる任意の形態、例えば溶液、軟膏、懸濁液、点眼剤、ゲル、クリーム、フォーム、スプレー、リニメント剤、粉末などであることができる。
【0031】
このような組成物は、当業者に公知の技術に従って製造することができる。
【0032】
点眼剤は、リン酸二水素ナトリウム・1水和物、リン酸水素二ナトリウム・12水和物、塩化ナトリウム又はそれらの組み合わせなどの塩を含むことができ、好ましくは、NaClを0.9%含み、生理学的なpH(pH7.0〜7.4)及び生理学的浸透圧(290〜310mOsm)を有する生理学的溶液であることができる。
【0033】
好ましい実施形態において、点眼剤は、シチコリンを0.5%〜3%w/v、好ましくは2%で、ヒアルロン酸を0.1%〜0.3%に含まれる濃度で、好ましくは0.2%の濃度で、塩化ベンザルコニウムを0.005〜0.02%に含まれる濃度で、好ましくは0.01%の濃度で含む。
【0034】
本発明者らは、実施例のセクションに詳細に説明されているように、驚くべきことに、好ましくは点眼剤の形態で、かつここで説明する濃度で、ヒアルロン酸及び塩化ベンザルコニウムと共にシチコリンを眼表面に投与することによって、後眼部(硝子体眼房)において活性成分の最適の吸収が引き起こされることを見出した。
【0035】
エマルションの形態の組成物は、O/W(油/水)又はW/O又はW/O/W及びO/W/Oであることができ、マイクロエマルション又はナノエマルションが好ましいが、コロイド分散液又はコロイド溶液であることもできる。ゲル、クリーム又はフォームの形態までものマイクロエマルションを提案することができる。すべての既知の界面活性剤、例えばシリコーン界面活性剤、グルコシド界面活性剤及びリン脂質界面活性剤などをエマルションの製造のために使用することができる。
【0036】
本発明はまた、本明細書記載の組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、緑内障及び/又は高眼圧症の治療方法を提供する。
【0037】
前記緑内障の形は、先天性緑内障、開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障及び正常眼圧緑内障からなる群から選択することができる。
【0038】
この治療方法において、正確な1回量及び組成物の投与頻度は、治療される特定の疾患の重症度、特定の患者の年齢、体重及び一般身体状態によって決まり、これは当業者に公知である。
【0039】
投与できる有効量の一部を以下に示す。有効量は、場合により緑内障を治療するための1以上の化合物、例えば投薬単位が緑内障の療法に一般的に用いられる投薬単位に対して約100%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%又はそれ以下であることができる局所降圧薬などと組み合わせて、約0.0035〜約1.5mg/日に含まれる投薬単位で投与できる
【0040】
下文において、以下の実施例で詳細な説明を行うが、それらは単に例示を目的として示されるものであって、付与される保護の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0041】
例1.シチコリンを1%w/v含む点眼剤の製造プロトコル
以下の濃度で成分を適当量の水に溶解した:リン酸二水素ナトリウム・1水和物(0.01%)、リン酸水素二ナトリウム・12水和物(0.1%)、塩化ナトリウム(0.7%)、ヒアルロン酸(0.2%)、精製水(適当量、100%にする)。各成分を、前の成分の溶解後に加え、次いで、シチコリンを1%加えた。70℃に加熱した少量の蒸留水にBAK(塩化ベンザルコニウム)を0.01%溶解し、この溶液を、前もって調製した溶液に加えた。自然pHを調節した。このpHは所望の数値内、すなわち7.0〜7.2で安定した。次いでこの溶液を所定の量にした。
【0042】
例2.シチコリンを2%w/v含む点眼剤の製造プロトコル
以下の濃度で成分を適当量の水に溶解した:リン酸二水素ナトリウム・1水和物(0.01%)、リン酸水素二ナトリウム・12水和物(0.1%)、塩化ナトリウム(0.65%)、ヒアルロン酸(0.2%)、精製水(適当量、100%にする)。各成分を、前の成分の溶解後に加え、次いで、シチコリンを2%加えた。70℃に加熱した少量の蒸留水にBAK(塩化ベンザルコニウム)を0.01%溶解し、この溶液を、前もって調製した溶液に加えた。自然pHを調節した。このpHは所望の数値内、すなわち7.0〜7.2で安定した。次いでこの溶液を所定の量にした。
【0043】
例3.シチコリンの眼組織通過に関する研究
マウスへのシチコリン投与
以下のように分割したCD−1系マウス5匹(各マウスの体重:約30g)に関して本実験を行った:
a)シチコリンを1%含む、例1の記載に従って製造した点眼剤でマウス2匹を処置した。
b)シチコリンを2%含む、例2の記載に従って製造した点眼剤でマウス2匹を処置した。
c)1匹を無処置対照マウスとした。
各マウスの右眼を、1日2回、3日間、点眼液2滴で処置した。
【0044】
分析試料の調製
4日目に、動物を屠殺後、その動物の眼を採取し、生理学的溶液ですすぎ、次いで氷冷保存した:
群a):マウス1:全RE(RE=右眼)/PBS(リン酸緩衝液)溶液;全LE(LE=左眼)/PBS溶液;マウス2:RE/懸濁液(PBS1,5mLで洗浄);LE/懸濁液(PBS1,5mLで洗浄)。
群b):マウス1:全RE/PBS溶液;全LE/PBS溶液;マウス2:RE/懸濁液(PBS1,5mLで洗浄);LE/懸濁液(PBS1.5mLで洗浄)。
群c)全RE/PBS溶液;全LE/PBS溶液。
実験室では、懸濁液は、過度の希釈を要するため分析には役に立たないと考えられたため、次のとおりに全眼のみを用いた:
・100μL SGEタイプシリンジで目の硝子体液を吸出し、蒸留水20μLで希釈した;
・希釈した目の硝子体液を遠心分離した;
・採取した上清に水50%/メタノール50%溶液50μLを加えた;
・ボルテックスを行った;
次いで、このように調製した試料を液体クロマトグラフィー及び質量分析法(LC−MS/MS)によって分析した。
【0045】
試料中でのシチコリンの存在の質量分析法(LC−MS/MS)による分析
試料を質量分析法(LC−MS/MS)によって分析し、以下の結果を得た:
試料1)シチコリン2%で処置したマウスのRE=分子が認識できる(図1)
試料2)シチコリン2%で処置したマウスのLE=分子が認識できる(図2)
試料3)シチコリン1%で処置したマウスのRE=分子が認識できる(図3)
試料4)シチコリン1%で処置したマウスのLE=分子が認識できない(図4)
試料5)対照LE(REは失った)=分子が認識できない(図5)。
HPLCプロフィールにおけるシチコリン−マッチングピークの同定は、質量分析法を用い、得られたHPLCプロフィール(図1〜5)と標準シチコリン試料を用いて得られたものとを比較することによって行った。
得られた結果:
・用いた4つの条件のすべてにおいて、シグナルが常に同じ時間に存在するため、この機械はこの分子を高い精度で測定している;
・汚染を防ぐために、試料の間で常にブランクの測定を行った;
・1%と2%の濃度の間で、全身吸収に関して差異があり、左眼においては認識できなかったため、低い方の濃度ではより低い。
・溶液で組織に塗布された分子は目の硝子体液に到達する。
【0046】
臨床試験
慢性単性緑内障を患っており、眼圧低下療法を行っている患者に局所経眼経路により投与したシチコリンベース組成物の作用を評価した。これらの患者において、標準的な眼圧低下療法に、点眼1回を1日3回、少なくとも1ヶ月という用法・用量で例2に記載の点眼剤におけるシチコリンベース組成物を加えた。眼圧は何ら変化しなかったにもかかわらず、治療わずか1ヶ月後に、治療を受けたすべての患者において視野の著明改善が見られた。特に、治療を受けた3例のすべてにおいて著明改善が見られたが、これは感度スケール(グレースケール、図6〜11参照)の視野測定、平均偏差(MD)及びパターン標準偏差(PSD)(表1及び図12〜17参照)の結果から明らかである。これらのパラメータの定義及び解釈は当業者に公知である。
【0047】
【表1】
【0048】
臨床試験により得られたデータに関する議論
眼圧の変化は認められなかったので、視野の顕著な変化は、視神経に対するシチコリンの直接作用によるものと考えられる。このデータは、全身経路よりも40倍高い1回量でこの薬物が投与されたときに観察されたもので、点眼剤による局所投与ではこれまで認められたことのないデータである。要約すれば、これらの患者における点眼剤によるシチコリンの投与は、緑内障を患っている患者の視野を改善し、このような臨床上の有用性は、視神経円板に対するその作用に起因するということことができる。この作用は、IM投与、IV投与及び経口投与に関して文献中に見られる1回量/効果比を著しく超えるものであり、その効果はより迅速である。
【0049】
リファレンス
1. Grieb P. et al, Pharmacodynamics of citicoline relevant to the treatment of glaucoma. J Neurosci Res 2002;67:143−148
2. Burgoyne FC et al, The optic nerve head as a biomechanical structure: a new paradigm for understanding the role of IOP−related stress and strain in the pathophysiology of glaucomatous optic nerve head damage. Prog Retin Eye Res 2005;24(1):39−73
3. Citicoline, monograph Altern Med Rev 2008;13(1):50−57
4. Oshitari T, Fujimoto N, Adachi−Usami E., Citicoline has a protective effect on damaged retinal ganglion cells in mouse culture retina. Neuroreport 2002;13(16):2109−2111
5. Pecori Giraldi J et al, Therapeutic value of citicoline in the treatment of glaucoma (computerized and automated perimetric investigation). Intern Ophth 1989;13:109−112
6. Parisi V et al, Cytidine−5’−diphosphocholine (citicoline) improve retinal and cortical responses in patients with glaucoma. Ophth 1999;106:1126−1134
7. Rejadak R et al, Oral citicoline treatment improve visual pathway function in glaucoma. Med Sci Monit 2003;9(3):P124−28
8. Parisi V, Electrophysiological assessment of glaucomatous visual dysfunction during treatment with cytidine−5’−diphosphocholine (citicoline): a study of 8 years of follow−up.
9. Parisi V et al, Evidence of the neuroprotective role of citicoline in glaucoma patients. Prog in Brain Res 2008;173:541−54
10. Rejadak R, Citicoline treatment increases retinal dopamine content in rabbits. Ophthalmic Res 2002;34:146−49
11. Chan KC et al, Proton magnetic resonance spectroscopy revealed choline reduction in the visual cortex in an experimental model of chronic glaucoma. Exp Eye Res 2009;88:65−70
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のためのシチコリン並びにそれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
緑内障は、網膜神経節細胞の進行性喪失及び視神経円板の構造変化を特徴とする慢性神経変性病態である。緑内障は、世界で失明原因の第2位を占める。最もよく見られるタイプである原発開放隅角緑内障には、主要な危険因子として眼圧(IOP)上昇があり、従って、第1の治療的アプローチは局所降圧剤で代表される。しかしながら、3分の1以上の患者においては、眼圧調節が十分であるにもかかわらず、視力障害の進行は遅れるが停止しないため、眼圧に依存しない他の機序の関与が考えられている(Grieb P et al. J Neurosci Res 2002)。特に、高血圧性の初回発作に続いて神経細胞アポトーシスが引き起こされ、それによって、この構造の毛細血管領域レベルにおいて正常な血液供給が妨げられ、神経節細胞の生存に不可欠な代謝物及びニューロトロフィンの正規な順行性及び逆行性軸索輸送に障害が生じる。アポトーシスによって、アポトーシス細胞から放出されるグルタミン酸によるNMDA受容体の過剰刺激による局所興奮毒性機序と関連する二次発作が説明できる。実際、グルタミン酸は、細胞外間隙に過剰濃度で存在する場合、周囲のニューロンの表面のNMDA受容体を過剰刺激し、それによりCa++チャネルが開口する。これらの細胞におけるCa++イオンの過剰流入は、神経細胞自身のアポトーシスをもたらす生化学的カスケードの引き金となり、初回発作の非存在下においても自給できる機序を構成する。アポトーシス過程における細胞損傷機序のもう1つの重要なステップは、その主要成分であるホスファチジルコリンというリン脂質の細胞膜を異化作用によって不安定化し分解することができる酵素であるホスホリパーゼA2の過剰活性化で説明される(Burgoyne F C et al ., Prog Retin Eye Res 2005;24)。損傷の進行を説明できる真の死のカスケードである二次発作に対して、眼圧低下は不十分な効果しか示さないことは明らかである。神経保護の分野においては、シチコリン(シチジン−5’−ジホスホコリン)分子に対して、その作用機序及び、実験的研究から緑内障患者に対する臨床試験に移る科学的根拠のために、特別な興味が向けられている。
【0003】
シチコリン(シチジン−5’−ジホスホコリン)は、神経膜及びミトコンドリア膜の主要成分であるホスファチジルコリンの天然前駆体である。経口摂取されると、シチコリンは迅速に吸収されて、その1%未満が便中に排出される。摂取1時間後に血漿ピークに達し、次いで24時間後により大きなピークに達する。シチコリンは腸壁及び肝臓で代謝される。その分子の加水分解に由来するコリン及びシチジンは、体循環によって吸収され、別々に血液脳関門(BBB)を通過して脳レベルでシチコリン(シチジン−5’−ジホスホコリン)に再合成される。排出は、主として呼吸経路及び尿中排出によって行われ、これらは2つの血漿ピーク、すなわち最初の迅速な排出及びそれに続くより緩慢な排出に反映されている(Citicoline, monograph Altern Med Rev 2008)。
【0004】
脳レベルにおいては、シチコリンは、主としてホスファチジルコリン生成の基質及びホスホリパーゼA2阻害薬として機能し、従ってその時でもまだ生存している神経細胞の膜損傷に対して直接作用を有する。さらに、この分子は、主にドーパミン作動系レベルにおいて神経調節作用を示し、そのことがパーキンソン病の治療ばかりではなく、緑内障の治療においてもシチコリンの使用の理論的根拠を与えている。なぜなら、ドーパミンは、網膜及び網膜後部レベルの両方において視覚シグナルの伝達に関与する主要な神経伝達物質の1つだからである。
【0005】
文献中の多数の研究において、視野に関してはコンピュータ中心視野測定(Pecori Giraldi et al 1989)によって、全視覚路に関してはパターン網膜電図(PERG)及び視覚誘発電位(VEP)の使用(Parisi et al 1999, 2005, 2008, Rejadak et al 2003)によって、共に緑内障患者に対するシチコリンのプラス効果が明らかにされている。
【0006】
特に、Parisi及び共同研究者による試験によって、眼圧低下療法のみで治療した緑内障患者に対して眼圧低下療法に加えてシチコリンを筋肉内(1000mg/日(die))及び経口(1600mg/日)の両方で投与した緑内障患者において同様な結果と、視覚機能を維持するためにその処置を周期的に繰り返す必要性が確認された(全試験期間;8年間)。
【0007】
Chanらは、2009年に、ラットにおける緑内障の実験モデルに対する磁気共鳴分光法(プロトン磁気共鳴分光法 1H MRS)のin vivoでの使用結果を公表し、緑内障はまた、視覚皮質レベルにおけるコリン代謝の変化を特徴とし、これは神経膜の構造的完全性の侵害を反映していることを明らかにした。
【0008】
緑内障を治療するためのシチコリンの筋肉内投与は、明らかに患者にとって大変不快であり、試験によって陽性結果を得るために必要な長期間にわたってその物質を使用することは可能ではない。筋肉内投与は、自己投与ではない不便のほかにも、患者に自分で筋注できるようにするために伴う要求は、とりわけ老齢の患者には満たすことは困難であり、長期治療後の感染合併症のリスクにさらされる恐れがある。
【0009】
緑内障を治療するためのシチコリンの経口投与は、筋注療法に対しては一歩前進であるが、胃又は腸に病態を有する被験者に使用することが不可能であることによる問題点と、肝臓における代謝によって、緑内障病態によって主として損傷を受ける神経構造である視神経円板のレベルに到達する濃度が低いという問題点がある。
【0010】
Oshitariら(Neuroreport 2002)は、外稙されたマウス網膜由来の培養網膜神経節細胞(RGC)にシチコリンを添加することによって得られたin vitroでの神経突起再生効果を評価した。
【0011】
従って、前述を考慮して、緑内障を治療するための神経保護タイプの新規な治療戦略を提案する必要性を痛切に感じた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らによって行われたin vivo実験モデルでの試験によって、驚くべきことに、眼表面へのシチコリン投与は、活性成分の後眼部(硝子体眼房)への移動と、網膜及び視神経円板への到達を確実にするのに理想的であることが明らかとなった。
【0013】
本発明の本質的特徴の1つは、網膜及び視神経に対して神経保護活性を有するシチコリンのような物質は、局所に用いられたことがないという事実で示される。実際、今日まで、シチコリンはもっぱらIM(筋肉内)、IV(静脈内)又は経口投与されてきただけであり、眼表面に投与されたシチコリンが、角膜上皮、結膜、強膜及び線維柱帯の細胞を相互に連結しているギャップ結合の存在によって多くの活性成分が不透過性にされている角膜内のバリアを横切ることができ、それによって網膜及び視神経円板に到達することは決して予見できなかったことは、考慮されなければならない。
【0014】
従って、本発明の目的は、緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のためのシチコリンである。
【0015】
本発明の目的はまた、シチコリン並びに1以上の担体及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤を含む、緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のための組成物である。
【0016】
本発明は、緑内障(世界で主要な失明原因の1つである)及び高眼圧症に対する治療において一連の利点をもたらす:
・シチコリンに関して現在知られている製剤と比較して投与が容易であること;
・治療標的である網膜及び視神経に到達させるために低い濃度の活性成分しか必要としないこと(共に、作用部位に直接に到達するため、特に、この方法によって、活性成分の大部分が代謝されそれによって顕著に薬理活性が低下する肝臓及び腎臓フィルターを避けられるため)。
・本発明のさらなる利点は、1日に活性成分を複数回投与できることであり、それによって、活性成分を網膜レベルに高い数値で到達させることができるばかりでなく、そこに容易に維持することもでき、その数値はまた、今日用いられている投与経路では達成することが不可能であることで示される。実際、筋肉内経路では、1日の間に反復注射によって長期持続性治療を行うことは考えられないことは容易に理解できることであるし、経口経路では、患者のコンプライアンスの問題以外にも、長期治療による消化管合併症の恐れに関連する問題がある。
【0017】
本発明の利点、特徴及び使用方法は、その実施形態に関する以下の詳細な説明において明らかにされるが、それらは例としてのみ与えられるものであって、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面の詳細な説明
【図1】実施例に記載されているシチコリン(2%)、ヒアルロン酸(0.2%)及びBAK(0.01%)に基づく溶液で処置したマウスの右眼試料を分析することによって得られたHPLCプロフィールである。分析された試料のプロフィールは、溶出時間1.36分にシチコリンに対応するピークの存在を示している。本実験において、処置された眼の後房においてかなりな量のシチコリンが存在することが明らかにされた。
【図2】実施例に記載されているシチコリン(2%)、ヒアルロン酸(0.2%)及びBAK(0.01%)に基づく溶液で処置したマウスの左(対側の)眼試料の分析によって得られたHPLCプロフィールである。分析された試料のプロフィールは、溶出時間0.95分にシチコリンに対応するピークの存在を示している。本実験において、対側の眼の後房のおけるかなりな量のシチコリンの存在が明らかにされ、それによって、線維柱帯を介した全身吸収が想定された。
【図3】実施例に記載されているシチコリン(1%)、ヒアルロン酸(0.2%)及びBAK(0.01%)に基づく溶液で処置されたマウスの(処置された)右眼試料の分析によって得られたHPLCプロフィールである。分析された試料のプロフィールは、溶出時間1.04分にシチコリンに対応するピークの存在を示す。本実験において、処置された眼の後房にかなりな量のシチコリンが存在することが明らかにされた。
【図4】実施例に記載されているシチコリン(1%)、ヒアルロン酸(0.2%)及びBAK(0.01%)に基づく溶液で処置されたマウスの(対側の)左眼試料を分析することによって得られたHPLCプロフィールである。分析された試料のプロフィールではシチコリンの存在が強調されず、従って、本実験においては、全身経路を介して対側の眼に通過することができない。
【図5】陰性対照(未処置)として用いたマウスの左眼(対側の、右眼は失った)の試料を分析することによって得られたHPLCプロフィールである。シチコリンは観察されない。
【図6】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療前の患者1の視野測定結果を示す図である。
【図7】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療後の患者1の視野測定結果を示す図である。
【図8】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療前の患者2の視野測定結果を示す図である。
【図9】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療後の患者2の視野測定結果を示す図である。
【図10】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療前の患者3の視野測定結果を示す図である。
【図11】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療後の患者3の視野測定結果を示す図である。
【図12】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療前の患者1の視野測定において得られた平均偏差(MD)(左側パネルにおいて標準偏差で示される)及びパターン標準偏差(PSD)(右側パネルにおいてパターンからの偏差で示される)である。
【図13】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療後の患者1の視野測定において得られた平均偏差(MD)(左側パネルにおいて標準偏差で示される)及びパターン標準偏差(PSD)(右側パネルにおいてパターンからの偏差で示される)である。
【図14】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療前の患者2の視野測定において得られた平均偏差(MD)(左側パネルにおいて標準偏差で示される)及びパターン標準偏差(PSD)(右側パネルにおいてパターンからの偏差で示される)である。
【図15】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療後の患者1の視野測定において得られた平均偏差(MD)(左側パネルにおいて標準偏差で示される)及びパターン標準偏差(PSD)(右側パネルにおいてパターンからの偏差で示される)である。
【図16】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療前の患者3の視野測定において得られた平均偏差(MD)(左側パネルにおいて標準偏差で示される)及びパターン標準偏差(PSD)(右側パネルにおいてパターンからの偏差で示される)である。
【図17】例2に記載されているシチコリンベース組成物を用いた治療後の患者3の視野測定において得られた平均偏差(MD)(左側パネルにおいて標準偏差で示される)及びパターン標準偏差(PSD)(右側パネルにおいてパターンからの偏差で示される)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明によれば、シチコリン(シチジン−5’−ジホスホコリン)−購入するか、又は公知技術に記載されているプロトコル、例えばKyowaの製造プロトコル(Drug Master File シチコリン Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd)などによって製造する−が、緑内障及び/又は高眼圧症を患っている患者の眼表面に投与される。
【0020】
局所使用のためのシチコリンは、すべての種々の緑内障の形、例えば先天性緑内障、開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障及び正常眼圧緑内障などの治療に用いることができる。
【0021】
本発明の目的は、緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のためのシチコリンを含む組成物である。
【0022】
このような組成物は、もちろん、眼科用組成物の製造に適した1以上の担体、希釈剤及び/又は賦形剤を含まなければならない。眼に認容性のすべての担体、希釈剤又は賦形剤は眼科用組成物の製造に適している。前記組成物に使用できる賦形剤の例は、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール(例えば、PEG200、PEG400)デキストランなどである。
【0023】
前記組成物は、活性成分のバイオアベイラビリティー、安定性及び認容性を増加させやすい担体を含むこともできる。例えば、ヒアルロン酸、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの増粘剤を用いることができる。
【0024】
前記組成物は、角膜透過性を増加させることによってシチコリンのバイオアベイラビリティーを改善する担体、例えばジメチルスルホキシド、膜リン脂質及び界面活性剤などを含むことができる。
【0025】
汚染を防ぐために、前記組成物は、例えば塩化ベンザルコニウム(短縮形でBAK)などの抗菌活性を有する1以上の防腐薬を含むことができる。
【0026】
前記組成物におけるシチコリン濃度は、好ましくは、組成物1グラム又は1ml当たり5〜30mgで含まれる。
【0027】
本発明によれば、シチコリンは、好ましくは、約0.0035〜約1.5mg/日の投薬単位当たり濃度で用いられる。
【0028】
「投薬単位」とは、毎回患者に投与される1回量を意味し、1日複数回投与に分割された単位であることもでき、1日1回の単位であることもでき、数日間隔の単位であることもできる。
【0029】
ここで説明する組成物は、シチコリン以外にも、緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のための他の活性成分、例えば局所降圧薬などを含むこともできる。
【0030】
局所使用のための前記組成物は、眼表面に直接に塗布するのに適切であると当業者によって考えられる任意の形態、例えば溶液、軟膏、懸濁液、点眼剤、ゲル、クリーム、フォーム、スプレー、リニメント剤、粉末などであることができる。
【0031】
このような組成物は、当業者に公知の技術に従って製造することができる。
【0032】
点眼剤は、リン酸二水素ナトリウム・1水和物、リン酸水素二ナトリウム・12水和物、塩化ナトリウム又はそれらの組み合わせなどの塩を含むことができ、好ましくは、NaClを0.9%含み、生理学的なpH(pH7.0〜7.4)及び生理学的浸透圧(290〜310mOsm)を有する生理学的溶液であることができる。
【0033】
好ましい実施形態において、点眼剤は、シチコリンを0.5%〜3%w/v、好ましくは2%で、ヒアルロン酸を0.1%〜0.3%に含まれる濃度で、好ましくは0.2%の濃度で、塩化ベンザルコニウムを0.005〜0.02%に含まれる濃度で、好ましくは0.01%の濃度で含む。
【0034】
本発明者らは、実施例のセクションに詳細に説明されているように、驚くべきことに、好ましくは点眼剤の形態で、かつここで説明する濃度で、ヒアルロン酸及び塩化ベンザルコニウムと共にシチコリンを眼表面に投与することによって、後眼部(硝子体眼房)において活性成分の最適の吸収が引き起こされることを見出した。
【0035】
エマルションの形態の組成物は、O/W(油/水)又はW/O又はW/O/W及びO/W/Oであることができ、マイクロエマルション又はナノエマルションが好ましいが、コロイド分散液又はコロイド溶液であることもできる。ゲル、クリーム又はフォームの形態までものマイクロエマルションを提案することができる。すべての既知の界面活性剤、例えばシリコーン界面活性剤、グルコシド界面活性剤及びリン脂質界面活性剤などをエマルションの製造のために使用することができる。
【0036】
本発明はまた、本明細書記載の組成物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、緑内障及び/又は高眼圧症の治療方法を提供する。
【0037】
前記緑内障の形は、先天性緑内障、開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障及び正常眼圧緑内障からなる群から選択することができる。
【0038】
この治療方法において、正確な1回量及び組成物の投与頻度は、治療される特定の疾患の重症度、特定の患者の年齢、体重及び一般身体状態によって決まり、これは当業者に公知である。
【0039】
投与できる有効量の一部を以下に示す。有効量は、場合により緑内障を治療するための1以上の化合物、例えば投薬単位が緑内障の療法に一般的に用いられる投薬単位に対して約100%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%又はそれ以下であることができる局所降圧薬などと組み合わせて、約0.0035〜約1.5mg/日に含まれる投薬単位で投与できる
【0040】
下文において、以下の実施例で詳細な説明を行うが、それらは単に例示を目的として示されるものであって、付与される保護の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0041】
例1.シチコリンを1%w/v含む点眼剤の製造プロトコル
以下の濃度で成分を適当量の水に溶解した:リン酸二水素ナトリウム・1水和物(0.01%)、リン酸水素二ナトリウム・12水和物(0.1%)、塩化ナトリウム(0.7%)、ヒアルロン酸(0.2%)、精製水(適当量、100%にする)。各成分を、前の成分の溶解後に加え、次いで、シチコリンを1%加えた。70℃に加熱した少量の蒸留水にBAK(塩化ベンザルコニウム)を0.01%溶解し、この溶液を、前もって調製した溶液に加えた。自然pHを調節した。このpHは所望の数値内、すなわち7.0〜7.2で安定した。次いでこの溶液を所定の量にした。
【0042】
例2.シチコリンを2%w/v含む点眼剤の製造プロトコル
以下の濃度で成分を適当量の水に溶解した:リン酸二水素ナトリウム・1水和物(0.01%)、リン酸水素二ナトリウム・12水和物(0.1%)、塩化ナトリウム(0.65%)、ヒアルロン酸(0.2%)、精製水(適当量、100%にする)。各成分を、前の成分の溶解後に加え、次いで、シチコリンを2%加えた。70℃に加熱した少量の蒸留水にBAK(塩化ベンザルコニウム)を0.01%溶解し、この溶液を、前もって調製した溶液に加えた。自然pHを調節した。このpHは所望の数値内、すなわち7.0〜7.2で安定した。次いでこの溶液を所定の量にした。
【0043】
例3.シチコリンの眼組織通過に関する研究
マウスへのシチコリン投与
以下のように分割したCD−1系マウス5匹(各マウスの体重:約30g)に関して本実験を行った:
a)シチコリンを1%含む、例1の記載に従って製造した点眼剤でマウス2匹を処置した。
b)シチコリンを2%含む、例2の記載に従って製造した点眼剤でマウス2匹を処置した。
c)1匹を無処置対照マウスとした。
各マウスの右眼を、1日2回、3日間、点眼液2滴で処置した。
【0044】
分析試料の調製
4日目に、動物を屠殺後、その動物の眼を採取し、生理学的溶液ですすぎ、次いで氷冷保存した:
群a):マウス1:全RE(RE=右眼)/PBS(リン酸緩衝液)溶液;全LE(LE=左眼)/PBS溶液;マウス2:RE/懸濁液(PBS1,5mLで洗浄);LE/懸濁液(PBS1,5mLで洗浄)。
群b):マウス1:全RE/PBS溶液;全LE/PBS溶液;マウス2:RE/懸濁液(PBS1,5mLで洗浄);LE/懸濁液(PBS1.5mLで洗浄)。
群c)全RE/PBS溶液;全LE/PBS溶液。
実験室では、懸濁液は、過度の希釈を要するため分析には役に立たないと考えられたため、次のとおりに全眼のみを用いた:
・100μL SGEタイプシリンジで目の硝子体液を吸出し、蒸留水20μLで希釈した;
・希釈した目の硝子体液を遠心分離した;
・採取した上清に水50%/メタノール50%溶液50μLを加えた;
・ボルテックスを行った;
次いで、このように調製した試料を液体クロマトグラフィー及び質量分析法(LC−MS/MS)によって分析した。
【0045】
試料中でのシチコリンの存在の質量分析法(LC−MS/MS)による分析
試料を質量分析法(LC−MS/MS)によって分析し、以下の結果を得た:
試料1)シチコリン2%で処置したマウスのRE=分子が認識できる(図1)
試料2)シチコリン2%で処置したマウスのLE=分子が認識できる(図2)
試料3)シチコリン1%で処置したマウスのRE=分子が認識できる(図3)
試料4)シチコリン1%で処置したマウスのLE=分子が認識できない(図4)
試料5)対照LE(REは失った)=分子が認識できない(図5)。
HPLCプロフィールにおけるシチコリン−マッチングピークの同定は、質量分析法を用い、得られたHPLCプロフィール(図1〜5)と標準シチコリン試料を用いて得られたものとを比較することによって行った。
得られた結果:
・用いた4つの条件のすべてにおいて、シグナルが常に同じ時間に存在するため、この機械はこの分子を高い精度で測定している;
・汚染を防ぐために、試料の間で常にブランクの測定を行った;
・1%と2%の濃度の間で、全身吸収に関して差異があり、左眼においては認識できなかったため、低い方の濃度ではより低い。
・溶液で組織に塗布された分子は目の硝子体液に到達する。
【0046】
臨床試験
慢性単性緑内障を患っており、眼圧低下療法を行っている患者に局所経眼経路により投与したシチコリンベース組成物の作用を評価した。これらの患者において、標準的な眼圧低下療法に、点眼1回を1日3回、少なくとも1ヶ月という用法・用量で例2に記載の点眼剤におけるシチコリンベース組成物を加えた。眼圧は何ら変化しなかったにもかかわらず、治療わずか1ヶ月後に、治療を受けたすべての患者において視野の著明改善が見られた。特に、治療を受けた3例のすべてにおいて著明改善が見られたが、これは感度スケール(グレースケール、図6〜11参照)の視野測定、平均偏差(MD)及びパターン標準偏差(PSD)(表1及び図12〜17参照)の結果から明らかである。これらのパラメータの定義及び解釈は当業者に公知である。
【0047】
【表1】
【0048】
臨床試験により得られたデータに関する議論
眼圧の変化は認められなかったので、視野の顕著な変化は、視神経に対するシチコリンの直接作用によるものと考えられる。このデータは、全身経路よりも40倍高い1回量でこの薬物が投与されたときに観察されたもので、点眼剤による局所投与ではこれまで認められたことのないデータである。要約すれば、これらの患者における点眼剤によるシチコリンの投与は、緑内障を患っている患者の視野を改善し、このような臨床上の有用性は、視神経円板に対するその作用に起因するということことができる。この作用は、IM投与、IV投与及び経口投与に関して文献中に見られる1回量/効果比を著しく超えるものであり、その効果はより迅速である。
【0049】
リファレンス
1. Grieb P. et al, Pharmacodynamics of citicoline relevant to the treatment of glaucoma. J Neurosci Res 2002;67:143−148
2. Burgoyne FC et al, The optic nerve head as a biomechanical structure: a new paradigm for understanding the role of IOP−related stress and strain in the pathophysiology of glaucomatous optic nerve head damage. Prog Retin Eye Res 2005;24(1):39−73
3. Citicoline, monograph Altern Med Rev 2008;13(1):50−57
4. Oshitari T, Fujimoto N, Adachi−Usami E., Citicoline has a protective effect on damaged retinal ganglion cells in mouse culture retina. Neuroreport 2002;13(16):2109−2111
5. Pecori Giraldi J et al, Therapeutic value of citicoline in the treatment of glaucoma (computerized and automated perimetric investigation). Intern Ophth 1989;13:109−112
6. Parisi V et al, Cytidine−5’−diphosphocholine (citicoline) improve retinal and cortical responses in patients with glaucoma. Ophth 1999;106:1126−1134
7. Rejadak R et al, Oral citicoline treatment improve visual pathway function in glaucoma. Med Sci Monit 2003;9(3):P124−28
8. Parisi V, Electrophysiological assessment of glaucomatous visual dysfunction during treatment with cytidine−5’−diphosphocholine (citicoline): a study of 8 years of follow−up.
9. Parisi V et al, Evidence of the neuroprotective role of citicoline in glaucoma patients. Prog in Brain Res 2008;173:541−54
10. Rejadak R, Citicoline treatment increases retinal dopamine content in rabbits. Ophthalmic Res 2002;34:146−49
11. Chan KC et al, Proton magnetic resonance spectroscopy revealed choline reduction in the visual cortex in an experimental model of chronic glaucoma. Exp Eye Res 2009;88:65−70
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のためのシチコリン。
【請求項2】
緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のための請求項1に記載のシチコリン並びに1以上の担体及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤を含む組成物。
【請求項3】
前記シチコリンが、組成物1グラム又は1ml当たり5〜30mgの濃度を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記シチコリンが、投薬単位当たり0.0035〜1.5mg/日の濃度を有する、請求項2〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
前記担体がヒアルロン酸である、請求項2〜4のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項6】
前記賦形剤が塩化ベンザルコニウムである、請求項2〜5のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のための1以上の活性成分をさらに含む、請求項2〜6のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項8】
溶液、軟膏、懸濁液、点眼剤、ゲル、クリーム、フォーム、スプレー、リニメント剤、粉末の群から選択される形態である、請求項2〜7のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項9】
前記シチコリンが、0.5〜3%w/vに含まれる濃度を有する、請求項8に記載の点眼剤の形態の組成物。
【請求項10】
塩化ベンザルコニウムを0.005〜0.02%w/vの濃度で、ヒアルロン酸を0.1%〜0.3%w/vの濃度で含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項1】
緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のためのシチコリン。
【請求項2】
緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のための請求項1に記載のシチコリン並びに1以上の担体及び/又は希釈剤及び/又は賦形剤を含む組成物。
【請求項3】
前記シチコリンが、組成物1グラム又は1ml当たり5〜30mgの濃度を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記シチコリンが、投薬単位当たり0.0035〜1.5mg/日の濃度を有する、請求項2〜3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
前記担体がヒアルロン酸である、請求項2〜4のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項6】
前記賦形剤が塩化ベンザルコニウムである、請求項2〜5のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
緑内障及び/又は高眼圧症の治療における局所使用のための1以上の活性成分をさらに含む、請求項2〜6のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項8】
溶液、軟膏、懸濁液、点眼剤、ゲル、クリーム、フォーム、スプレー、リニメント剤、粉末の群から選択される形態である、請求項2〜7のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項9】
前記シチコリンが、0.5〜3%w/vに含まれる濃度を有する、請求項8に記載の点眼剤の形態の組成物。
【請求項10】
塩化ベンザルコニウムを0.005〜0.02%w/vの濃度で、ヒアルロン酸を0.1%〜0.3%w/vの濃度で含む、請求項9に記載の組成物。
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2013−520406(P2013−520406A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553433(P2012−553433)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050663
【国際公開番号】WO2011/101802
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512216931)オミクロン イターリア エス.アール.エル. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050663
【国際公開番号】WO2011/101802
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(512216931)オミクロン イターリア エス.アール.エル. (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]