説明

緑茶葉の漬物及びその製法

【課題】食品の栄養強化の他、視覚作用、成長促進生殖作用、皮膚正常保持作用等の健康に有効な作用を促進する緑茶葉の漬物を提供する。
【解決手段】緑茶の生葉を蒸す工程と、竹篭の側面にバナナの皮を敷き、そこへ蒸した後冷ました茶葉を敷き詰めて重石をして嫌気状態で漬込む工程と、この漬込工程で乳酸菌及び酵母を使用する緑茶葉の漬物の製法であって、前記乳酸菌がラクトバチルス属、ロイコノストック属、ペディオコッカス属、ラクトコッカス属及びそれらの変異株(一種の菌の変異によるものの他に融合微生物も含む)から選ばれる一種以上であり、前記酵母がサッカロミセス属、ピヒア属、デバリオマイセス属、キャンディダ属、トルロプシスから選ばれる一種以上とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は緑茶葉に豊富に含まれるカロテンを有効利用した健康食品として提供できる緑茶葉の漬物及びその製法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開平10−248504公報には、一番茶を採取し、採取した茶葉を蒸気により蒸し、蒸した茶葉を揉捻した後、揉捻した茶葉を嫌気性雰囲気にて圧力を加えて漬け込むことにより醗酵させ、次に醗酵した茶葉を包装することにより茶ジャム原料を得、また醗酵した茶葉を粉砕した茶ジャム原料にジャムとしての添加物を混合し、混合しながら煮詰めた後、包装することにより茶ジャムを得る茶ジャム原料の製造方法及び該製造方法による原料を用いた茶ジャムの製造方法が記載されている。
【0003】
そして、この発明では、原料としての茶葉を利用することにより、多量の植物繊維と健康維持に非常に有効な成分を含み、かつ緑茶特有の緑色を有し見た目に美しく、好ましい香りを備えた茶ジャム原料及び茶ジャムの製造方法を提供できる旨が記載されている。
【0004】
しかしながら、この発明においては、漬物ではなくジャムであり、茶葉の揉捻等の複雑な工程を要し、また茶汁を排出するため有効成分を逃がし、粉砕するため繊維成分が壊れ、乳酸菌、酵母を使用しないため短期間に充分醗酵できないと共に、有効成分及びうまみ成分を充分ひき出すことができない。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、食品の栄養強化の他、視覚作用、成長促進生殖作用、皮膚正常保持作用等の健康に有効な作用を促進する緑茶葉の漬物を提供する一方、緑茶葉の醗酵を促進し、有効成分を逃がさず、繊維成分を壊さず、短期間に充分醗酵させることができると共に、有効成分及びうまみ成分をひき出すことができる緑茶葉の漬物の製法を提供することを課題とする。
【課題を解決する手段】
【0006】
請求項1の発明は、レチノール当量で450〜650μg/100g、カロテン2500〜5000μg/100g、ビタミンC5μg/100g以下、カフェイン3μg/100g以下からなる緑茶葉の漬物を提供するものである。
【0007】
この発明においては、食品の栄養強化の他、視覚作用、成長促進生殖作用、皮膚正常保持作用等の健康に有効な作用を促進する緑茶葉の漬物を提供することができる。
【0008】
請求項2の発明は、緑茶の生葉を蒸す工程と、竹篭の側面にバナナの皮を敷き、そこへ蒸した後冷ました茶葉を敷き詰めて重石をして嫌気状態で漬込む工程と、この漬込工程で乳酸菌及び酵母を使用する緑茶葉の漬物の製法であって、前記乳酸菌がラクトバチルス属、ロイコノストック属、ペディオコッカス属、ラクトコッカス属及びそれらの変異株(一種の菌の変異によるものの他に融合微生物も含む)から選ばれる一種以上であり、前記酵母がサッカロミセス属、ピヒア属、デバリオマイセス属、キャンディダ属、トルロプシスから選ばれる一種以上であることを特徴とする緑茶葉の漬物の製法を提供するものである。
【0009】
この発明においては、上記のような健康に有効な作用を促進する緑茶葉の醗酵を促進し、有効成分を逃がさず、繊維成分を壊さず、短期間に充分醗酵させることができると共に、有効成分及びうまみ成分を充分ひき出すことができる緑茶葉の漬物の製法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の製造方法の一実施形態を説明する。本発明においては、緑茶の生葉を蒸し器で3〜5分間蒸す工程と、竹篭の側面にバナナの皮を敷き、そこへ蒸した後冷ました前記茶葉を敷き詰め、その上面に竹皮またはバナナの葉を被せ(出来ればその上に板を敷いてから)、それにビニールで被せ密封し、それに重石をして嫌気状態で10ヶ月間漬込む工程と、この漬込工程で乳酸菌及び酵母を使用する工程と、10ヵ月後に塩、レモン、ごま油等を混ぜ好みの味に仕上げる工程とからなる。バナナの皮は茶葉の醗酵を促進すると共に、快い香りを付ける。
【0011】
前記乳酸菌はラクトバチルス属(例えば、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus casei、Lactobacillus carvatusなど)、ロイコノストック属(例えば、Leuconostoc mesenteroidesなど)、ペディオコッカス属(例えば、Pediopcoccus halophilusなど)、ラクトコッカス属(例えば、Lactococcus faecalisなど)及びそれらの変異株(一種の菌の変異によるものの他に融合微生物も含む)から選ばれる一種以上を使用する。
【0012】
前記酵母がサッカロミセス属(例えば、Saccharomyces rouxiiなど)、ピヒア属(例えば、Pichia membranaefaciensなど)、デバリオマイセス属(例えば、Debaryomyces hanseniiなど)、キャンディダ属(例えば、Candida brumptiiなど)、トルロプシス(例えば、Torulopsis holmiiなど)から選ばれる一種以上を使用する。尚、麹菌、酵素等も使用することができる。
【0013】
このようにして得られた緑茶葉の漬物中の成分はレチノール当量〔レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/6β−カロテン当量(μg)〕で約597μg/100g、カロテン約3584μg/100g、ビタミンC約1μg/100g未満、カフェイン約0.9μg/100gであった。
【0014】
前記緑茶葉の漬物中の成分はレチノール当量で450〜650μg/100g、カロテン2500〜5000μg/100g、ビタミンC5μg/100g以下、カフェイン3μg/100g以下でることが好ましい。
【0015】
尚、レチノールはビタミンAであり、食品の栄養強化の他、視覚作用、成長促進生殖作用、皮膚正常保持作用等の健康に有効な作用を促進する。また、カロテンは動物の体内で酸化され2分子のビタミンAに変化し、さらに、ビタミンAアルデヒド(レチナールretinal)となり視覚の光受容に重要な機能をもっている。また、補助色素として光合成に関与し、光の破壊作用からの保護機能などを有している。
【0016】
本発明の緑茶葉の漬物と共にピーナッツ、フライドガーリック、干しエビ、シラス干、煎り大豆など好みのものと混ぜて食べる。
【0017】
本発明の緑茶葉の漬物に添加する調味料としては、塩、レモン、ごま油の他に、塩類(例えば、食塩、グルタミン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム)、糖類(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース等の単糖類)、二糖類(例えば、乳糖、ショウ糖)、多糖類(例えば、デキストリン、デンプン)オリゴペプチド(例えば、蛋白加水分解物など)、蛋白質(例えば、デキストリン、デンプンなど)、旨味調味料(例えば、かつおパウダー、昆布パウダー)、香料(ガーリック粉末、唐辛子、乾燥しそ、コショウ等)を使用することができる。
【0018】
オリゴ糖類及び澱粉分解物を使用することもできる。オリゴ糖類としては、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、コージビオース、ガラクトオリゴ糖、ラクトスクロースなどがあげられる。澱粉分解物は、澱粉と酵素や酸で加水分解したデキストリン類であり、オリゴ糖と同様の作用の他に作業性を向上させる作用がある。
【発明の効果】
【0019】
上記の如く本発明においては、食品の栄養強化の他、視覚作用、成長促進生殖作用、皮膚正常保持作用等の健康に有効な作用を促進する緑茶葉の漬物を提供することができ、またこのような健康に有効な作用を促進する緑茶葉の醗酵を促進し、有効成分を逃がさず、繊維成分を壊さず、短期間に充分醗酵させることができると共に、有効成分及びうまみ成分を充分ひき出すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチノール当量で450〜650μg/100g、カロテン2500〜5000μg/100g、ビタミンC5μg/100g以下、カフェイン3μg/100g以下からなる緑茶葉の漬物。
【請求項2】
緑茶の生葉を蒸す工程と、竹篭の側面にバナナの皮を敷き、そこへ蒸した後冷ました茶葉を敷き詰めて重石をして嫌気状態で漬込む工程と、この漬込み工程で少なくとも乳酸菌及び酵母を使用する緑茶葉の漬物の製法であって、前記乳酸菌がラクトバチルス属、ロイコノストック属、ペディオコッカス属、ラクトコッカス属及びそれらの変異株(一種の菌の変異によるものの他に融合微生物も含む)から選ばれる一種以上であり、前記酵母がサッカロミセス属、ピヒア属、デバリオマイセス属、キャンディダ属、トルロプシスから選ばれる一種以上であることを特徴とする緑茶葉の漬物の製法。

【公開番号】特開2008−22842(P2008−22842A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222771(P2006−222771)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(593205875)日本有機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】