説明

線分および円弧検出装置

【課題】ノイズの影響を抑制し、高い精度で線分あるいは円弧の検出を行うことを課題とする。
【解決手段】ハフ変換部14は、輝度画像データ102に対して輪郭抽出処理を実行し、輪郭画像データ103を生成する。輪郭画像データ103の各画素は0〜255の画素値を有する。ハフ変換部14は、輪郭画像データ103の各点に対してハフ変換を実行する。ハフテーブル15には、輪郭画像データ103の各点の画素値、すなわち輪郭強度の値が加算値として集計される。検出部16は、集計値に基づき、線分あるいは円弧を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像に含まれる線分あるいは円弧を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像に含まれる線分を検出する技術として、ハフ(Hough)変換が用いられている。XY座標系を持つ画像の任意の点を通る直線(xcosθ+ysinθ=ρ)は、ハフ空間上の座標(θ、ρ)に変換される。ハフ空間の座標(θ、ρ)に変換される直線の数を2次元配列[θ][ρ]を用いて集計する。そして、2次元配列[θ][ρ]の中で所定の閾値を上回る集計値を有する座標(θ、ρ)から、XY座標系の直線を検出する。
【0003】
XY座標系を持つ画像の任意の点を通る円弧((x−a)+(y−b)=r)は、ハフ空間上の座標(a、b、r)に変換される。ハフ空間の座標(a、b、r)に変換される円弧の数を3次元配列[a][b][r]を用いて集計する。そして、3次元配列[a][b][r]の中で所定の閾値を上回る集計値を有する座標(a、b、r)から、XY座標系の円弧を検出する。
【0004】
下記特許文献1においては、画像を局所領域に分割するために、ハフ変換を用いて画像中の線分を検出している。下記特許文献2においては、直線の長さに応じてハフ空間上のパラメータθ、ρのサンプリング間隔を最適化することを試みている。下記特許文献3においても画像の中に含まれる線分を検出するためにハフ変換が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−283476号公報
【特許文献2】特開平11−66302号公報
【特許文献3】特開2006−107034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハフ変換を利用した線分の検出方法は、XY座標系における直線上に存在する点の数に着目する。同一直線上に存在する点の数が多ければ多いほど、直線として検出される可能性が高くなる。同様に、ハフ変換を利用した円弧(弦)の検出方法は、XY座標系における円弧上に存在する点の数に着目する。同一円弧上に存在する点の数が多ければ多いほど、円弧として検出される可能性が高くなる。つまり、線分あるいは円弧として検出されるか否かは、線分あるいは円弧上に存在する点の数にのみ依存する。
【0007】
画像に含まれる線分あるいは円弧を検出するためにはハフ空間を行う前に、たとえば輪郭抽出処理が行われる。輪郭抽出画像には、実際に線分あるいは円弧を構成する点以外にもノイズが含まれる。従来のハフ変換を利用した線分あるいは円弧の検出方法では、ノイズの影響を受けるため、線分あるいは円弧を誤検出する場合があった。
【0008】
本発明は、ノイズの影響を抑制し、高い精度で線分あるいは円弧を検出する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、対象画像内の線分を検出する線分検出装置であって、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量を求める特徴量算出部と、前記対象画像の基準点から前記対象画像内の任意の直線に下した垂線の長さρおよび前記垂線が前記基準点を通る基準軸となす角θを用いて、前記対象画像内の任意の直線を表現することにより、前記対象画像内の任意の点を通る直線をハフ空間内の座標(θ、ρ)に変換するハフ変換部と、前記対象画像内のそれぞれの点が前記ハフ変換部によってハフ空間内の座標(θ、ρ)に変換されたとき、変換された座標(θ、ρ)に対応する記憶領域に、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量の大きさによって重みづけされた値を加算する集計部と、集計値が第1の閾値を超える座標(θ、ρ)を特定することにより、前記対象画像における線分を検出する検出部と、を備える。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の線分検出装置であって、前記特徴量算出部は、輪郭抽出処理を実行することにより、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量として輪郭強度を求める。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の線分検出装置であって、前記集計部は、前記輪郭抽出処理後の前記対象画像内のそれぞれの点の輪郭強度を加算値として集計する。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項2に記載の線分検出装置であって、前記集計部は、前記輪郭抽出処理後の前記対象画像内のそれぞれの点の輪郭強度を量子化した上で集計する。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1に記載の線分検出装置であって、前記基準点は、前記対象画像内の任意の座標に設定される。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1に記載の線分検出装置であって、さらに、前記対象画像がカラー画像である場合、ハフ変換が行われる前にカラー画像から輝度画像を生成する輝度画像生成部、を含む。
【0015】
請求項7記載の発明は、対象画像内の円弧を検出する円弧検出装置であって、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量を求める特徴量算出部と、前記対象画像の基準点に対して直交座標を定義し、前記対象画像内の任意の円弧を直交座標系における中心座標(a、b)および半径rを用いて表現することにより、前記対象画像内の任意の点を通る円弧をハフ空間内の座標(a、b、r)に変換するハフ変換部と、前記対象画像内のそれぞれの点が前記ハフ変換部によってハフ空間内の座標(a、b、r)に変換されたとき、変換された座標(a、b、r)に対応する記憶領域に、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量の大きさによって重みづけされた値を加算する集計部と、集計値が第1の閾値を超える座標(a、b、r)を特定することにより、前記対象画像における円弧を検出する検出部と、を備える。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載の円弧検出装置であって、前記特徴量算出部は、輪郭抽出処理を実行することにより、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量として輪郭強度を求める。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項8に記載の円弧検出装置であって、前記集計部は、前記輪郭抽出処理後の前記対象画像内のそれぞれの点の輪郭強度を加算値として集計する。
【0018】
請求項10記載の発明は、請求項8に記載の円弧検出装置であって、前記集計部は、前記輪郭抽出処理後の前記対象画像内のそれぞれの点の輪郭強度を量子化した上で集計する。
【0019】
請求項11記載の発明は、請求項7に記載の円弧検出装置であって、前記基準点は、前記対象画像内の任意の座標に設定される。
【0020】
請求項12記載の発明は、請求項7に記載の円弧検出装置であって、さらに、前記対象画像がカラー画像である場合、ハフ変換が行われる前にカラー画像から輝度画像を生成する輝度画像生成部、を含む。
【0021】
請求項13記載の発明は、対象画像内の線分を検出する線分検出方法であって、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量を求める特徴量算出工程と、前記対象画像の基準点から前記対象画像内の任意の直線に下した垂線の長さρおよび前記垂線が前記基準点を通る基準軸となす角θを用いて、前記対象画像内の任意の直線を表現することにより、前記対象画像内の任意の点を通る直線をハフ空間内の座標(θ、ρ)に変換するハフ変換工程と、前記対象画像内のそれぞれの点が前記ハフ変換部によってハフ空間内の座標(θ、ρ)に変換されたとき、変換された座標(θ、ρ)に対応する記憶領域に、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量の大きさによって重みづけされた値を加算する集計工程と、集計値が第1の閾値を超える座標(θ、ρ)を特定することにより、前記対象画像における線分を検出する検出工程と、を備える。
【0022】
請求項14記載の発明は、対象画像内の円弧を検出する円弧検出方法であって、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量を求める特徴量算出工程と、前記対象画像の基準点に対して直交座標を定義し、前記対象画像内の任意の円弧を直交座標系における中心座標(a、b)および半径rを用いて表現することにより、前記対象画像内の任意の点を通る円弧をハフ空間内の座標(a、b、r)に変換するハフ変換工程と、前記対象画像内のそれぞれの点が前記ハフ変換部によってハフ空間内の座標(a、b、r)に変換されたとき、変換された座標(a、b、r)に対応する記憶領域に、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量の大きさによって重みづけされた値を加算する集計工程と、集計値が第1の閾値を超える座標(a、b、r)を特定することにより、前記対象画像における円弧を検出する検出工程と、を備える。
【発明の効果】
【0023】
本発明の線分あるいは円弧検出装置を用いることにより、ノイズの影響を抑制し、画像に含まれる線分あるいは円弧を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施の形態に係る検出装置のブロック図である。
【図2】輪郭画像データにおける直線の表現方法を示す図である。
【図3】ハフ空間を示す図である。
【図4】輪郭画像データにおける円弧の表現方法を示す図である。
【図5】画素値(輪郭強度)と加算値との関係を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る画素値(輪郭強度)と加算値との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
{第1の実施の形態}
<1−1.処理の全体の流れ>
図1は、第1の実施の形態に係る検出装置1のブロック図である。検出装置1は、輝度画像生成部11、輪郭抽出処理部12、ハフ(Hough)変換部14、ハフテーブル15および線分検出部16を備えている。
【0026】
本実施の形態の検出装置1は、線分あるいは円弧を検出することができる。
【0027】
本実施の形態においては、輝度画像生成部11、輪郭抽出処理部12、ハフ変換部14および検出部16は、ハードウェア回路により構成されている。しかし、これら機能部をCPUおよびCPU上で動作するソフトウェアにより構成してもよい。
【0028】
輝度画像生成部11は、カラー画像データ101を入力する。カラー画像データ101は、たとえば、図示せぬ撮像素子により取得された画像である。カラー画像データ101は、たとえば、YCbCr色空間やRGB色空間の画像データである。輝度画像生成部11は、カラー画像データ101から、輝度画像データ102を生成する。たとえば、カラー画像データ101がYCbCr色空間の画像データであれば、輝度画像生成部11は、Y信号を抽出することにより輝度画像データ102を生成する。
【0029】
輪郭抽出処理部12は、輝度画像データ102を入力する。輪郭抽出処理部12は、輝度画像データ102から輪郭画像データ103を生成する。本実施の形態においては、輪郭抽出処理部12は、ソーベル(Sobel)フィルタを利用して、輪郭抽出処理を行っている。ソーベルフィルタは、空間1次微分演算により、輪郭を検出するフィルタである。輪郭抽出処理部12は、フィルタの出力の絶対値を輪郭強度(線分あるいは円弧の強度)として出力する。つまり、輪郭画像データ102の各画素の画素値は、輪郭強度を表している。用いるフィルタは特に限定されるものではない。たとえば、ラプラシアンフィルタを用いてもよい。
【0030】
ハフ変換部14は、輪郭画像データ103を入力する。ハフ変換部14は、輪郭画像データ103をハフ変換し、変換後の結果をハフテーブル15に書き込む。具体的には、ハフ変換部14は、線分を検出する場合には、変換後の結果を2次元配列[θ][ρ]に格納する。ハフ変換部14は、円弧を検出する場合には、変換後の結果を3次元配列[a][b][r]に格納する。ハフ変換の処理の内容は後で詳しく説明する。
【0031】
検出部16は、ハフテーブル15を参照することで、輪郭画像データ103に含まれる線分あるいは円弧を検出する。検出部16の処理の内容は後で詳しく説明する。
【0032】
<1−2.ハフ変換(直線)>
ハフ変換部14の処理内容について詳しく説明する。ハフ変換部14は、輪郭画像データ103に含まれる任意の点について、各点を通る直線をハフ空間上の座標(θ、ρ)に変換する。
【0033】
図2は、輪郭画像データ103を示す図である。輪郭画像データ103には、図2に示すように、原点OとXY座標が定義されている。図2には、輪郭画像データ103に含まれる点のうち一部の点51〜55を図示している。輪郭画像データ103に含まれる各点は、様々な画素値を有する画素である。本実施の形態においては、輪郭画像データ103の画素値の分解能は8ビットである。つまり、輪郭画像データ103の各画素は、0〜255のいずれかの画素値を有している。言い換えると、輪郭画像データ103の各画素は、0〜255のいずれかの輪郭強度の情報を有している。点51を通る直線61は、θおよびρを用いて数1式のように表すことができる。
【0034】
【数1】

【0035】
数1式において、ρは、原点から直線61に下した垂線62の長さである。θは、垂線62がX軸の正の方向となす角である。
【0036】
点51を通る直線は、多数存在する。点51を通る直線の数は、θおよびρのサンプリング間隔に基づいて決まる。したがって、輪郭画像データ103上の1つの点に対して、複数のハフ空間上の座標(θ、ρ)が対応付けられる。
【0037】
図2に示すように、点51〜点53は、同一直線上に並んでいる。点52および点53を通る直線についても、それぞれ複数のハフ空間上の座標(θ、ρ)に変換される。そして、点51〜点53の全ての点について、直線61がハフ変換されて、同一の座標(θ、ρ)に対応付けられる。
【0038】
図3は、ハフ空間を示す図である。正弦曲線71〜75は、それぞれ、点51〜点55がハフ変換されることにより得られるハフ空間上の点の集合を示している。そして、正弦曲線71〜73の交わる座標(θ1、ρ1)が直線61に対応している。
【0039】
このように、輪郭画像データ103において同一の直線上に複数の点が存在する場合、輪郭画像上の複数の点がハフ空間上の同一の点に変換されることになる。ハフ空間上で各座標(θ、ρ)に変換される点を集計することで、直線を検出することができる。ハフテーブル15は、2次元配列T[θ][ρ]を有している。つまり、輪郭画像データ103の全ての点についてハフ変換を行い、その結果が2次元配列T[θ][ρ]において集計される。
【0040】
<1−3.ハフ変換(円弧)>
ハフ変換部14は、輪郭画像データ103に含まれる任意の点について、各点を通る円弧(弦)をハフ空間上の座標(a、b、r)に変換する。
【0041】
図4は、輪郭画像データ103を示す図である。輪郭画像データ103には、図4に示すように、原点OとXY座標が定義されている。図4には、輪郭画像データ103に含まれる点のうち一部の点81〜85を図示している。上述したように、輪郭画像データ103の各画素は、0〜255のいずれかの画素値を有している。言い換えると、輪郭画像データ103の各画素は、0〜255のいずれかの輪郭強度の情報を有している。点81を通る円弧91は、a、bおよびrを用いて数2式のように表すことができる。
【0042】
【数2】

【0043】
数2において、aは、円弧91の中心のX座標であり、bは、円弧91の中心のY座標である。rは、円弧91の半径である。
【0044】
点81を通る円弧は、多数存在する。点81を通る円弧の数は、a、bおよびrのサンプリング間隔に基づいて決まる。したがって、輪郭画像データ103上の1つの点に対して、複数のハフ空間上の座標(a、b、r)が対応付けられる。
【0045】
図4に示すように、点81〜点83は、同一円弧上に並んでいる。点82および点83を通る円弧についても、それぞれ複数のハフ空間上の座標(a、b、r)に変換される。そして、点81〜点83の全ての点について、円弧91がハフ変換されて、同一の座標(a、b、r)に対応付けられる。
【0046】
このように、輪郭画像データ103において同一の円弧上に複数の点が存在する場合、輪郭画像上の複数の点がハフ空間上の同一の点に変換されることになる。ハフ空間上で各座標(a、b、r)に変換される点を集計することで、円弧を検出することができる。ハフテーブル15は、3次元配列T[a][b][r]を有している。つまり、輪郭画像データ103の全ての点についてハフ変換を行い、その結果が3次元配列T[a][b][r]において集計される。
【0047】
<1−4.集計処理>
ハフ変換部14における集計処理方法について説明する。上述したように、輪郭画像データ103の各画素は0〜255の画素値を有している。ハフ変換部14は、輪郭画像データ103のある点がハフ空間上のある座標(θ、ρ)に変換された場合、2次元配列T[θ][ρ]には、輪郭画像データ103上の点の画素値を加算する。言い換えると、2次元配列T[θ][ρ]には、輪郭画像データ103上の点の輪郭強度の値が加算される。
【0048】
たとえば、画素値が10の画素がハフ空間上のある座標(θ、ρ)に変換された場合、対応する2次元配列T[θ][ρ]には、集計値に10が加算される。画素値が255であれば、集計値に255が加算される。これにより、輪郭強度に応じた重みづけを行った上で、直線検出のための集計を行うことができる。
【0049】
画素値が0の点については、輪郭画像データ103において点として認識されない。したがって、輪郭画像データ103に含まれる画素値が0の点についてはハフ変換を行う必要はない。2次元配列T[θ][ρ]に加算される値は、1〜255のいずれかの値である。ただし、理論的には、輪郭画像データ103に含まれる画素値0の点については、2次元配列T[θ][ρ]に0が加算されると拡張して考えてもよい。
【0050】
同様に、ハフ変換部14は、輪郭画像データ103のある点がハフ空間上のある座標(a、b、r)に変換された場合、3次元配列T[a][b][r]には、輪郭画像データ103上の点の画素値を加算する。つまり、3次元配列T[a][b][r]に1〜255のいずれかの値が加算される。言い換えると、3次元配列T[a][b][r]には、輪郭画像データ103上の点の輪郭強度の値が加算される。
【0051】
<1−5.線分あるいは円弧検出処理>
検出部16は、ハフテーブル15を参照し、輪郭画像データ103に含まれる線分あるいは円弧を検出する。検出部16は、ハフテーブル15に格納されている2次元配列T[θ][ρ]の集計値を参照することで、線分の検出を行う。あるいは、検出部16は、ハフテーブル15に格納されている3次元配列T[a][b][r]の集計値を参照することで、円弧の検出を行う。
【0052】
検出部16は、予め直線検出用の閾値あるいは円弧検出用の閾値を記憶している。検出部16は、2次元配列T[θ][ρ]を参照し、直線検出用の閾値を超える集計値を有する座標(θ、ρ)を検出する。あるいは、検出部16は、3次元配列T[a][b][r]を参照し、円弧検出用の閾値を超える集計値を有する座標(a、b、r)を検出する。検出部16は、これら検出した座標から、線分あるいは円弧を検出する。検出部16は、線分あるいは円弧の検出情報を出力する。
【0053】
図5は、輪郭画像データ103における各画素の輪郭強度と加算値との関係を示す図である。このように本実施の形態においては、各画素の画素値である輪郭強度をそのままハフテーブル15に加算する。輪郭強度の小さい点については、線分あるいは円弧の検出に対する貢献度を低く評価できる。一方、輪郭強度の大きい点については、線分あるいは円弧の検出に対する貢献度が高く評価されるので、ノイズなどの影響を排除して、精度の高い線分あるいは円弧検出を行うことができる。
【0054】
{第2の実施の形態}
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態における検出装置1の構成は図1で示した構成と同様である。第2の実施の形態では、ハフ変換部14により集計方法が第1の実施の形態と異なる。第1の実施の形態においては、ハフ変換部14は、輪郭画像データ103の各画素の輪郭強度をそのままハフテーブル15に加算した。言い換えると、ハフ変換部14は、輪郭画像データ103の各画素の画素値を、画素値の分解能を維持したままハフテーブル15に加算した。
【0055】
第2の実施の形態においては、ハフ変換部14は、輪郭画像データ103の各画素の輪郭強度を、画素値の分解能よりも低い分解能で量子化した上でハフテーブル15に加算する。
【0056】
図6は、第2の実施の形態における各画素の輪郭強度と加算値との関係を示す図である。この例では、輪郭画像データ103の各画素の輪郭強度は、量子化により4段階の加算値に対応付けられている。
【0057】
具体的には、輪郭画像データ103の画素の画素値が128以下のときには、加算値0が対応付けられる。輪郭画像データ103の画素の画素値が129以上かつ170以下のときには、加算値1が対応付けられる。輪郭画像データ103の画素の画素値が171以上かつ212以下のときには、加算値2が対応付けられる。輪郭画像データ103の画素の画素値が213以上かつ255以下のときには、加算値3が対応付けられる。
【0058】
このように、本実施の形態においては、輪郭画像データ103の画素の輪郭強度に応じて、ハフ変換部14は、ハフテーブル15に1〜3までの値を加算する。検出部16の処理内容は第1の実施の形態と同様である。つまり、検出部16は、予め直線検出用の閾値あるいは円弧検出用の閾値を記憶している。第1の実施の形態と異なり、加算値は量子化されているので、閾値は、量子化の程度に合わせて設定すればよい。検出部16は、2次元配列T[θ][ρ]あるいは3次元配列T[a][b][r]を参照し、直線あるいは円弧検出用の閾値を超える集計値を有する座標を検出する。検出部16は、これら検出した座標から、線分あるいは円弧を検出する。これにより、輪郭強度の値に応じて重みづけを行った上で、線分あるいは円弧の検出を行うことができる。また、第1の実施の形態に比べて、集計値のレンジを狭くすることにより演算量を削減することができる。
【0059】
図6で示した例では、加算値として0が割り当てられるのは画素値0〜128であり、画素値の全体レンジの中で比較的広い範囲が加算値0に対応付けられている。これは、画素値が半分に満たないような点はノイズとみなし、線分あるいは円弧の検出には考慮に入れないという趣旨である。しかし、いずれの画素値の範囲を、いずれの加算値に割り当てるかなど、対応付けの設定は自由である。図6の例では、0〜3の4段階の加算値に割り当てたが、加算値の段階も自由に設定することができる。たとえば、非常に鮮明な線分あるいは円弧だけを検出し、極力ノイズの影響を抑制したいのであれば、画素値0〜200までに加算値0を割り当て、画素値201以上の場合だけ加算値1を割り当てるといった方法をとってもよい。
【0060】
従来のハフ変換による線分あるいは円弧検出方法は、本願の実施の形態にあてはめると、画素値0に対して加算値0を割り当て、画素値1〜255に対して加算値1を割り当てる、という形態になる。従来の方法では、あらゆる濃度の点を対等に評価してハフテーブルに対する集計を行っていたため、ノイズの影響を受けやすいという問題があった。これに対して、本実施の形態においては、画素値1〜255の範囲内でも、濃度の違いによって加算値に重みづけをしている。これによって、ノイズの影響を抑制し、精度の高い線分あるいは円弧検出が可能となった。
【0061】
{変形例}
第1および第2の実施の形態においては、輪郭画像データ103の中心を原点として、輪郭画像データ103内の直線をθおよびρを用いて表現した。あるいは、輪郭画像データ103の中心を原点として、円弧の中心座標(a、b)を定義した。しかし、原点は画像の任意の場所に設定することができる。あるいは、原点を輪郭画像データ103のフレームの外に設定してもよい。
【0062】
第1および第2の実施の形態においては、輪郭抽出処理を行った。輪郭抽出処理は、画像の特徴量を抽出する処理の一例である。他の方法によって画像の特徴量を抽出した後にハフ変換を行ってもよい。この場合にも、ハフテーブルに対する集計は、画像の特徴量を加味した上で加算値を決定すればよい。
【符号の説明】
【0063】
11 輝度画像生成部
12 輪郭抽出処理部
14 ハフ変換部
15 ハフテーブル
16 検出部
101 カラー画像データ
102 輝度画像データ
103 輪郭画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象画像内の線分を検出する線分検出装置であって、
前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量を求める特徴量算出部と、
前記対象画像の基準点から前記対象画像内の任意の直線に下した垂線の長さρおよび前記垂線が前記基準点を通る基準軸となす角θを用いて、前記対象画像内の任意の直線を表現することにより、前記対象画像内の任意の点を通る直線をハフ空間内の座標(θ、ρ)に変換するハフ変換部と、
前記対象画像内のそれぞれの点が前記ハフ変換部によってハフ空間内の座標(θ、ρ)に変換されたとき、変換された座標(θ、ρ)に対応する記憶領域に、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量の大きさによって重みづけされた値を加算する集計部と、
集計値が第1の閾値を超える座標(θ、ρ)を特定することにより、前記対象画像における線分を検出する検出部と、
を備える線分検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の線分検出装置であって、
前記特徴量算出部は、輪郭抽出処理を実行することにより、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量として輪郭強度を求める、線分検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の線分検出装置であって、
前記集計部は、前記輪郭抽出処理後の前記対象画像内のそれぞれの点の輪郭強度を加算値として集計する、線分検出装置。
【請求項4】
請求項2に記載の線分検出装置であって、
前記集計部は、前記輪郭抽出処理後の前記対象画像内のそれぞれの点の輪郭強度を量子化した上で集計する、線分検出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の線分検出装置であって、
前記基準点は、前記対象画像内の任意の座標に設定される線分検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の線分検出装置であって、さらに、
前記対象画像がカラー画像である場合、ハフ変換が行われる前にカラー画像から輝度画像を生成する輝度画像生成部、
を含む線分検出装置。
【請求項7】
対象画像内の円弧を検出する円弧検出装置であって、
前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量を求める特徴量算出部と、
前記対象画像の基準点に対して直交座標を定義し、前記対象画像内の任意の円弧を直交座標系における中心座標(a、b)および半径rを用いて表現することにより、前記対象画像内の任意の点を通る円弧をハフ空間内の座標(a、b、r)に変換するハフ変換部と、
前記対象画像内のそれぞれの点が前記ハフ変換部によってハフ空間内の座標(a、b、r)に変換されたとき、変換された座標(a、b、r)に対応する記憶領域に、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量の大きさによって重みづけされた値を加算する集計部と、
集計値が第1の閾値を超える座標(a、b、r)を特定することにより、前記対象画像における円弧を検出する検出部と、
を備える円弧検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の円弧検出装置であって、
前記特徴量算出部は、輪郭抽出処理を実行することにより、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量として輪郭強度を求める、円弧検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の円弧検出装置であって、
前記集計部は、前記輪郭抽出処理後の前記対象画像内のそれぞれの点の輪郭強度を加算値として集計する、円弧検出装置。
【請求項10】
請求項8に記載の円弧検出装置であって、
前記集計部は、前記輪郭抽出処理後の前記対象画像内のそれぞれの点の輪郭強度を量子化した上で集計する、円弧検出装置。
【請求項11】
請求項7に記載の円弧検出装置であって、
前記基準点は、前記対象画像内の任意の座標に設定される円弧検出装置。
【請求項12】
請求項7に記載の円弧検出装置であって、さらに、
前記対象画像がカラー画像である場合、ハフ変換が行われる前にカラー画像から輝度画像を生成する輝度画像生成部、
を含む円弧検出装置。
【請求項13】
対象画像内の線分を検出する線分検出方法であって、
前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量を求める特徴量算出工程と、
前記対象画像の基準点から前記対象画像内の任意の直線に下した垂線の長さρおよび前記垂線が前記基準点を通る基準軸となす角θを用いて、前記対象画像内の任意の直線を表現することにより、前記対象画像内の任意の点を通る直線をハフ空間内の座標(θ、ρ)に変換するハフ変換工程と、
前記対象画像内のそれぞれの点が前記ハフ変換部によってハフ空間内の座標(θ、ρ)に変換されたとき、変換された座標(θ、ρ)に対応する記憶領域に、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量の大きさによって重みづけされた値を加算する集計工程と、
集計値が第1の閾値を超える座標(θ、ρ)を特定することにより、前記対象画像における線分を検出する検出工程と、
を備える線分検出方法。
【請求項14】
対象画像内の円弧を検出する円弧検出方法であって、
前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量を求める特徴量算出工程と、
前記対象画像の基準点に対して直交座標を定義し、前記対象画像内の任意の円弧を直交座標系における中心座標(a、b)および半径rを用いて表現することにより、前記対象画像内の任意の点を通る円弧をハフ空間内の座標(a、b、r)に変換するハフ変換工程と、
前記対象画像内のそれぞれの点が前記ハフ変換部によってハフ空間内の座標(a、b、r)に変換されたとき、変換された座標(a、b、r)に対応する記憶領域に、前記対象画像内のそれぞれの点の特徴量の大きさによって重みづけされた値を加算する集計工程と、
集計値が第1の閾値を超える座標(a、b、r)を特定することにより、前記対象画像における円弧を検出する検出工程と、
を備える円弧検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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