説明

線材成形機

【課題】従来より長い線材成形品を成形することが可能な線材成形機の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の線材成形機10では、メインツールテーブル30Aとは反対側にサブツールテーブル30Bを備えている。このサブツールテーブル30Bの後方には、回転ヘッド32が位置することはないので、その分、サブツールテーブル30Bの後方スペースは、メインツールテーブル30A側より広く(奥行きが深く)なっている。従って、従来は、回転ヘッドと干渉するが故に成形することができなかった比較的長いコイルばねCS2を、サブツールテーブル30B側で成形することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材送給装置が送給した線材を、ツール駆動機構が保持したツールにて成形する線材成形機に関し、特に、ティーチングモードで所望の動作をツール駆動機構に行わせて記憶し、その記憶した動作をプレイバックモードで再現可能な線材成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の線材成形機に備えたツール駆動機構は、線材送給方向と平行な軸回りに回転可能な回転ヘッドを備えている。その回転ヘッドにおける線材送給装置との対向面の外縁部からは、ヘッド端面突部が突出しており、そのヘッド端面突部における回転ヘッドの回転中心を向いた面にはツールテーブルが備えられている。また、ツールテーブルは、回転ヘッドの回転中心と直交した軸回りに回転駆動される。そして、例えば、成形ツールをツールテーブルに固定して、その成形ツールを回転ヘッドの回転中心軸上に配置すると共に、回転ヘッドの回転中心軸と線材送給装置の線材送給軸とを一致させ、線材送給装置が送給した線材を成形ツールに衝合させて成形していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3839338号公報(段落[0021]〜[0036]、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述した従来の線材成形機では、ツールテーブルの後方に回転ヘッドの本体部が位置しており、その回転ヘッドとの干渉を避けつつ線材を成形していたために、比較的短い線材成形品しか成形することができなかった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来より長い線材成形品を成形することが可能な線材成形機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る線材成形機は、水平方向に延びた線材送給軸に沿って線材を送給可能な線材送給装置と、線材を成形するためのツールを保持しかつ任意の位置に移動するためのツール駆動機構と、ティーチングモードで所望の動作をツール駆動機構に行わせてその動作を記憶し、その記憶した動作をプレイバックモードでツール駆動機構に繰り返して再現させることが可能な制御装置とを備え、プレイバックモードで線材から複数の成形品を成形可能な線材成形機において、ツール駆動機構には、線材送給軸の軸方向で線材送給装置に対向したベース部材と、ベース部材を、線材送給軸と直交した水平横方向で往復駆動するためベース左右直動駆動軸と、ベース部材を、上下方向で往復駆動するためベース上下直動駆動軸と、ベース部材に対して、線材送給軸と平行なヘッド回転中心軸の回りに回転可能な回転ヘッドと、回転ヘッドを回転駆動するヘッド回転駆動軸と、回転ヘッドにおける線材送給装置との対向面のうちヘッド回転中心軸より離れた外縁部から突出したヘッド端面突部と、ヘッド回転中心軸と直交するテーブル回転中心軸の方向でヘッド端面突部を貫通し、ヘッド端面突部に回転可能に軸支されたテーブルシャフトと、テーブルシャフトのうちヘッド回転中心軸側を向いた端部に設けられて、ツールを固定可能なメインツールテーブルと、テーブルシャフトのうちメインツールテーブルと反対側の端部に設けられ、回転ヘッドの外側面より側方に突出し、ツールを固定可能なサブツールテーブルと、テーブルシャフトと共にメイン及びサブのツールテーブルを回転駆動するテーブル回転駆動軸とが備えられ、制御装置には、テーブル回転中心軸と任意の位置で直交しかつヘッド回転中心軸から平行にずれた仮想回転中心軸を、線材送給軸に対する任意の位置に設定するための仮想軸設定手段と、ティーチングモードで、仮想回転中心軸を中心にしてテーブル回転中心軸を旋回させるようにベース左右直動駆動軸とベース上下直動駆動軸とヘッド回転駆動軸とを制御する仮想軸制御手段とが備えられたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の線材成形機において、サブツールテーブルには、平行に延びた第1と第2の円柱突部を有する折り曲げ成形ツールが固定され、第1の円柱突部の中心軸を仮想回転中心軸に一致させ、第1と第2の円柱突部の間を線材が横切った状態で、仮想回転中心軸の回りに第2の円柱突部を旋回させて線材を折り曲げ可能としたところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の線材成形機において、ツール駆動機構には、ベース部材を線材送給軸と平行な方向に往復駆動するためベース前後駆動軸が備えられたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
[請求項1の発明]
請求項1の構成では、回転ヘッドのヘッド端面突部に回転可能に軸支されたテーブルシャフトのうちヘッド回転中心軸側を向いた端部にメインツールテーブルが配置される一方、その反対側にサブツールテーブルが配置されている。そして、サブツールテーブルが回転ヘッドの外側面より側方に突出しているので、ツールをサブツールテーブルに固定した場合には、そのツールの後方には回転ヘッドが位置しなくなり、従来より長い線材成形品を成形することが可能になる。また、メインツールテーブルとサブツールテーブルとの2つを備えたことで、従来より多くのツールを保持可能となり、従来より複雑な形状も成形可能となる。
【0009】
また、本発明の構成によれば、メインツールテーブルのツールを使用する際に、そのツールをヘッド回転中心軸上に配置すると共に、ヘッド回転中心軸と線材送給軸とを一致させれば、ティーチングを行う際には、回転ヘッドを回転駆動することで、ツールのうち線材との衝合点を一定位置に保持してツールの姿勢のみを変更する作業を容易に行うことができる。さらに、サブツールテーブルのツールを使用する際に、仮想回転中心軸をツールに貫通させるように設定し、仮装回転中心軸と線材送給軸とを一致させれば、ティーチングを行う際に、ツールをメインツールテーブルに固定した場合と同様に、ツールのうち線材との衝合点を一定位置に保持してツールの姿勢のみを変更する作業を容易に行うことができる。その上、本発明では、必要に応じて、仮想回転中心軸を、線材送給軸からずれた位置に設定したり、ツールから離れた位置に設定することができるので、ティーチング作業を行う際の回転軸の配置の自由度が高くなり、ティーチング作業の効率を上げることができる。
【0010】
[請求項2の発明]
請求項2の構成によれば、折り曲げ成形ツールのうち第1の円柱突部の回りに線材を巻き付けるようにして線材を折り曲げることができる。これにより、折り曲げ部分の曲率半径が第1の円柱突部の半径に対応した一定の大きさになり、線材成形品の品質が安定する。
【0011】
[請求項3の発明]
請求項3の構成では、ベース部材を線材送給軸と平行な方向に往復駆動するためベース前後駆動軸を備えたので、線材の成形の自由度が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図1〜図13に基づいて説明する。図1に示すように本実施形態の線材成形機10は、ベースプレート11上に、ツール駆動機構20と線材送給装置12とを水平方向で対峙させて備えている。また、これらツール駆動機構20と線材送給装置12は、コントローラ70(本発明の「制御装置」に相当する)によって制御されている。
【0013】
まず、線材送給装置12について説明する。図3に示すように、線材送給装置12には、上下に並んで対をなした送りローラ13,13が水平方向に3対設けられている。これら各対の送りローラ13,13の間に線材90を挟み、上下の送りローラ13,13を対称回転させることで線材90を水平方向に延びた架空の線材送給軸J1に沿って進退させることができる。また、各送りローラ13は、サーボモータ16によって駆動されるようになっており、これにより線材90の送給量を制御することができる。
【0014】
図1に示すように線材送給装置12のうち、ツール駆動機構20との対向面(以下、線材送給装置12の前面12Aという)には、クイル14が固定されている。クイル14には、線材90の断面形状に対応した、例えば、断面円形の線材挿通孔が貫通形成されている。そして、線材送給装置12により送給された線材90はこの線材挿通孔を通してツール駆動機構20側に送給される。
【0015】
図2に示すように、線材送給装置12の前面12Aのうちクイル14の側方には、切断ツール駆動機構50が設けられている。切断ツール駆動機構50は、クイル14側を向いた前面に切断ツール54を備え、図4に示した第1直動部51Aによって、切断ツール54を上下方向に往復動し、図示しない第2直動部によって、切断ツール54を水平方向に往復動させる構成になっている。なお、第1直動部51は、ボールネジ機構52とスライダ機構53とからなり、駆動源としてのサーボモータ51M1が、ボールネジ機構52のボールネジ52Bの一端部に連結されている。第2直動部51Bも同様に構成になっており、サーボモータ51M2を駆動源として備えている。そして、切断ツール駆動機構50は、線材90の成形中は、切断ツール54を線材送給装置12の側方に退避させており、成形が完了すると切断ツール54をクイル14の前方領域に進入させる。また、切断ツール54は、サーボモータ55により駆動されて、線材90の基端部を切断する。
【0016】
次に、ツール駆動機構20について詳説する。図5及び図6に示すように、ツール駆動機構20は、ベースプレート11に固定された固定フレーム11Hと、その内側で左右方向(線材送給軸J1と直交する水平方向)に直動可能な横可動フレーム40と、さらにその内側で上下方向に直動可能な上下可動フレーム41と、さらにその内側で前後方向(線材送給軸J1の方向)に直動可能な可動ベース42(本発明の「ベース部材」に相当する)とを備えている。これにより、可動ベース42は、ベースプレート11に対して、上下、左右、前後の3方向に直動可能になっている。そして、ツール駆動機構20には、可動ベース42を上下、左右、前後の各可動方向の任意の位置に移動するための駆動軸としてベース左右直動駆動軸Bx,ベース上下直動駆動軸By,ベース前後直動駆動軸Bzが設けられている。
【0017】
ベース左右直動駆動軸Bxは、以下のように構成されている。即ち、図5及び図6に示すように、ベースプレート11の上面及び固定フレーム11Hの上壁下面には、左右方向(図5における紙面に直交する方向、図6における左右方向)に延びたレール22S1,22S1が備えられ、横可動フレーム40には、レール22S1,22S1に直動可能に係合したスライダ22S2,22S2が備えられている。また、ベースプレート11にはレール22S1と平行に延びたボールネジ22B1が回転可能に支持され、横可動フレーム40には、ボールネジ22B1に螺合したボールナット22B2が備えられている。さらに、ベースプレート11には、左右直動機構の駆動源であるサーボモータ22M(図6のみに示されている)が取り付けられ、そのサーボモータ22Mの出力回転軸にボールネジ22B1の一端部がギヤ連結されている。これらにより、ベース左右直動駆動軸Bxが構成されて、可動ベース42が、横可動フレーム40と共にベースプレート11に対して左右方向に直動可能になると共に、その直動範囲における任意の位置に位置決め制御することができる。
【0018】
ベース上下直動駆動軸Byは、以下のように構成されている。即ち、図6に示すように、横可動フレーム40の両側辺には、上下方向に延びたレール23S1,23S1が備えられており、上下可動フレーム41の両側辺には、レール23S1,23S1に直動可能に係合したスライダ23S2,23S2が備えられている。また、横可動フレーム40の一側辺には、レール23S1と平行に延びたボールネジ23B1が回転可能に支持されており、上下可動フレーム41の一側辺にはボールネジ23B1に螺合したボールナット23B2が備えられている。また、横可動フレーム40には、サーボモータ23Mが取り付けられ、そのサーボモータ23Mの出力回転軸にボールネジ23B1の一端部が連結されている。さらに、上下可動フレーム41の上壁には、1対の直動シリンダ60,60(油圧シリンダ、エアシリンダなど)から延びたシリンダロッド61,61の先端部が連結されており、これら直動シリンダ60,60とサーボモータ23Mとが協働して、上下可動フレーム41を上下動させるようになっている。これらにより、ベース上下直動駆動軸Byが構成され、そのベース上下直動駆動軸Byによって、可動ベース42が、上下可動フレーム41と共にベースプレート11に対して上下方向に直動可能になると共に、その直動範囲における任意の位置に位置決め制御することができる。
【0019】
ベース前後直動駆動軸Bzは、以下のように構成されている。即ち、上下可動フレーム41の上壁41Aと下壁41Bとには、それぞれ線材90の送給方向に延びて平行に並んだレール21S1,21S1が備えられ、可動ベース42の上壁及び下壁にそれぞれ設けられたスライダ21S2,21S2が、それらレール21S1,21S1に直動可能に係合している。また、図5に示すように上下可動フレーム41の下壁41Bから起立して線材90の送給方向で対向した1対の壁部の間には、レール21S1,21S1と平行に延びたボールネジ21B1が差し渡されて回転可能に支持されている。そして、可動ベース42から垂下した支持壁42A(図6を参照)にボールナット21B2が固定され、そのボールナット21B2とボールネジ21B1とが螺合している。さらに、上下可動フレーム41には、サーボモータ21Mが取り付けられ、そのサーボモータ21Mの出力回転軸にボールネジ21B1の一端部が連結されている。これらにより、ベース前後直動駆動軸Bzが構成され、そのベース前後直動駆動軸Bzによって、可動ベース42が、ベースプレート11に対して前後方向に直動可能になると共に、その直動範囲における任意の位置に位置決め制御することができる。
【0020】
上記した3つの直動駆動軸Bx,By,Bzによって可動ベース42は、3次元空間の任意の位置に位置決め制御することができる。
【0021】
図7に示すように、可動ベース42には、線材送給軸J1と平行なヘッド回転中心軸J2の回りに回転可能な回転ヘッド32が備えられ、ヘッド回転駆動軸Raによって回転ヘッド32が回転駆動される。具体的には、可動ベース42には、線材送給軸J1の方向に延びた円筒シャフト31Sがベアリングによって回転可能に軸支され、その円筒シャフト31Sのうちクイル14側の端部に回転ヘッド32が固定されている。また、可動ベース42のうち、クイル14とは反対側の後面には、サーボモータ24Mが取り付けられ、そのサーボモータ24Mの出力回転軸と円筒シャフト31Sとが平ギヤ24G1,24G2を介して連結されている。これらにより、ヘッド回転駆動軸Raが構成され、回転ヘッド32が、線材送給軸J1と平行なヘッド回転中心軸J2の回りに回転駆動されて、任意の回転位置決め制御することができる。
【0022】
回転ヘッド32における線材送給装置12との対向面のうちヘッド回転中心軸J2より離れた外縁部には、線材送給装置12側に向かってヘッド端面突部34が突出形成されている。また、ヘッド端面突部34を含む回転ヘッド32の内部は空洞になっている。そして、ヘッド端面突部34には、ヘッド回転中心軸J2と直交するテーブル回転中心軸J3の方向にテーブルシャフト36が貫通して回転可能に軸支されている。また、テーブルシャフト36のうちヘッド回転中心軸J2側を向いた一端部には、メインツールテーブル30Aが固定され、その反対側の他端部には、サブツールテーブル30Bが固定されている。そして、これらメインとサブのツールテーブル30A,30Bが、ヘッド端面突部34に備えたテーブル回転駆動軸Rbによってテーブルシャフト36と共に回転駆動される。
【0023】
具体的には、回転ヘッド32のうち円筒シャフト31S寄りの本体部分の内部には、テーブルシャフト36と平行に延びた中継シャフト35が収容されて回転可能に軸支されている。そして、中継シャフト35とテーブルシャフト36との間は、ヘッド端面突部34の内部で平ギヤ35G2,36G1により連結されている。また、円筒シャフト31Sの軸芯部には、インナーシャフト33Sが回転可能に軸支されており、そのインナーシャフト33Sと中継シャフト35との間が、回転ヘッド32の内部で1対のベベルギヤ33G1,35G1により連結されている。さらに、可動ベース42の後面側には、サーボモータ25Mが固定され、その出力回転軸がインナーシャフト33Sの後端部に連結されている。これらにより、テーブル回転駆動軸Rbが構成され、そのテーブル回転駆動軸Rbによって、メインとサブの両ツールテーブル30A,30Bが、ヘッド回転中心軸J2と直交するテーブル回転中心軸J3を中心にしてテーブルシャフト36と共に回転駆動される。
【0024】
メインとサブのツールテーブル30A,30Bは、図8に示すように、平板を正三角形にカットしかつその正三角形の各角部を面取りした形状になっている。また、メインとサブのツールテーブル30A,30Bにおいて、テーブル回転中心軸J3を法線とした面は、平坦なツール固定面30P1,30P2(図7参照)になっている。そして、前記正三角形の図心をテーブル回転中心軸J3に一致させた状態にして、図7に示すように、両メインとサブのツールテーブル30A,30Bがテーブルシャフト36に固定されている。
【0025】
図8に示すように、ツール(図8の符号T1,T2,T3)は、各ツールテーブル30A,30Bにおける三角形の各角部に交換可能にボルト固定されている。そして、線材90を成形する際に何れかのツールが選択されると、選択されたツールが取り付けられた三角形の頂点と三角形の図心とを結ぶ線が、ヘッド回転中心軸J2と平行になるように配置される。これにより、選択されたツールが「使用位置」に位置決めされる。
【0026】
メインツールテーブル30Aには、第1のコイルばね成形ツールT1と、第2のコイルばね成形ツールT2と、折り曲げツールT3とが取り付けられている。以下、各ツールT1,T2,T3が前記「使用位置」に配置されていると仮定して形状を説明する。まず、第1のコイルばね成形ツールT1は、線材送給装置12に向かって延びた角柱形状部を先端部に備え、その先端面T11は、ヘッド回転中心軸J2に対して斜めにカットされている。その先端面T11には、ヘッド回転中心軸J2が貫通すると共に、先端面T11のうちヘッド回転中心軸J2との交点を含む位置に成形溝T12が形成されてヘッド回転中心軸J2に対して傾斜する方向に延びている。
【0027】
第2のコイルばね成形ツールT2は、線材送給装置12に向かって延びた角柱形状部を先端部に備え、その先端面T21とヘッド回転中心軸J2とが垂直に交差している。また、先端面T21のうち一側縁部は、45度に面取り加工された傾斜面T22になっている。
【0028】
折り曲げツールT3は、線材送給装置12に向かって延びた角柱形状部を先端部に備え、その先端面T33とヘッド回転中心軸J2とが垂直に交差している。その先端面T33からは、第1円柱突部T31と第2円柱突部T32とが突出形成されている。それら第1と第2の円柱突部T31,T32は共に円柱状をなし、それらの先端部は半球状に丸みを帯びている。そして、第1円柱突部T31の軸心に、丁度、ヘッド回転中心軸J2が重なっており、第1円柱突部T31と第2円柱突部T32との間隔は、線材90が通過可能な大きさになっている。
【0029】
サブツールテーブル30Bにも、上記した第1のコイルばね成形ツールT1と、第2のコイルばね成形ツールT2と、折り曲げツールT3とが取り付けられている。そして、ヘッド回転中心軸J2から所定距離だけ平行移動した架空の中心軸が、各ツールT1,T2,T3の先端面T11,T21,T33と第1円柱突部T31とを貫通するように配置されている。
【0030】
次に、線材送給装置12及びツール駆動機構20を駆動制御するためのコントローラ70について説明する。図9に示すように、コントローラ70は、前述した全てのサーボモータ16,51M,52M,・・・のサーボアンプ72と、それらサーボアンプ72を介して各サーボモータを制御するための制御部73とを、ケース71に収容して備えている。また、制御部73には、メモリ73A、CPU73Bが備えられると共に、例えば、ケース71を貫通したケーブルを介して操作ボックス74(本発明の「仮想軸設定手段」に相当する)が接続されている。その操作ボックス74には、図10に示すように、例えば、シャトルジョグ74J、モニタ74C及びテンキーボタン74A等が備えられている。そして、線材成形機10は、例えば、操作ボックス74のティーチングモードボタン74U又はプレイバックモードボタン74Vを押圧操作することでティーチングモードとプレイバックモード(自動運転モード)との何れかに切り替えられ、各モードに対応したプログラムがメモリ73Aからロードされて、CPU73Bにて実行される。そして、ティーチングモードにした場合には、操作ボックス74を用いてティーチング作業を行うことができる。
【0031】
さて、操作ボックス74に備えた仮想軸設定ボタン74Wを押圧操作すると、仮想回転中心軸J4を設定することができる。ここで、仮想回転中心軸J4は、図7及び図11に示すように、テーブル回転中心軸J3と任意の位置で直交しかつヘッド回転中心軸J2から平行にずれた所望の位置に設定可能な回転中心軸であって、この仮想回転中心軸J4を設定すると、ティーチングモードにした際に、メイン又はサブのツールテーブル30A,30Bに固定されたツールT1,T2,T3を仮想回転中心軸J4を中心に旋回させることができる。
【0032】
より具体的には、仮想回転中心軸J4は、図11に示すように、旋回オフセット量Lr、X座標オフセット量Lx及びY座標オフセット量Lyの3つのデータによって特定される。旋回オフセット量Lrは、ヘッド回転中心軸J2に対し、仮想回転中心軸J4がテーブル回転中心軸J3の方向にオフセットした量である。ここで、例えば、旋回オフセット量Lrが「0」の場合は、仮想回転中心軸J4とヘッド回転中心軸J2とが一致した設定になる。また、旋回オフセット量Lrを負の値にすると、例えば、仮想回転中心軸J4はテーブル回転中心軸J3と直交した状態を維持しつつ、ヘッド回転中心軸J2よりヘッド端面突部34から離れた側(図11における上方側)にオフセット(平行移動)した位置に設定される。一方、旋回オフセット量Lrを正の値にすると、例えば、仮想回転中心軸J4はテーブル回転中心軸J3と直交した状態を維持しつつ、ヘッド回転中心軸J2からヘッド端面突部34側にオフセットした位置に設定される。さらに、旋回オフセット量Lrを、ヘッド回転中心軸J2とツールテーブル30Bのツール固定面30P2との間の距離より大きな正の値にすることで、仮想回転中心軸J4をツールテーブル30Bのツール固定面30P2よりさらにヘッド回転中心軸J2から離れた位置に設定することができる。
【0033】
また、X座標オフセット量Lxは、線材送給軸J1に対し、仮想回転中心軸J4が水平方向でオフセットした量であり、Y座標オフセット量Lyは、線材送給軸J1に対し、仮想回転中心軸J4が上下方向でオフセットした量である。
【0034】
操作ボックス74の仮想軸設定ボタン74Wを押圧すると、メモリ73Aに記憶されている仮想回転中心軸J4の旋回オフセット量Lrと、X座標オフセット量Lxと、Y座標オフセット量Lyとが図10に示すように、モニタ74Cに表示される。初期状態では、これら全てのオフセット量Lr,Lx,Lyは「0」になっている。即ち、初期状態では、仮想回転中心軸J4がヘッド回転中心軸J2と線材送給軸J1とに一致している。そこで、操作ボックス74に備えたカーソル操作キー74Dを用いて、モニタ74C内でカーソルを、オフセット量Lr,Lx,Lyの何れかのデータ表示部分に移動し、テンキーボタン74Aにて各オフセット量Lr,Lx,Lyを変更することができる。そして、操作ボックス74に備えた確定キーを押すことで、オフセット量Lr,Lx,Lyを新規の値に設定し直すことができる。
【0035】
操作ボックス74に備えたティーチングモードボタン74Uを押圧すると、ティーチングモードになり、線材進退ボタン74S、X軸駆動ボタン74X、Y軸駆動ボタン74Y、Z軸駆動ボタン74Z、ヘッド回転ボタン74Ra、テーブル回転ボタン74Rb、仮想軸回転ボタン74Rcからなるピッチ送りボタン74Pの押圧操作が有効になる。また、これらピッチ送りボタン74Pに含まれる線材進退ボタン74S、X軸駆動ボタン74X等の全てのボタンは、「+」動作用と「−」動作用のセットになっている。そして、各ピッチ送りボタン74Pは、押し付けると所定の駆動軸が連続して作動し、ワンタッチ操作すると、所定の駆動軸が最小単位の1ピッチ毎、作動する。
【0036】
具体的には、線材進退ボタン74Sの「+」又は「−」の操作によって線材送給装置12が作動して線材90が進退する。また、X軸駆動ボタン74Xの「+」又は「−」の操作によってベース左右直動駆動軸Bxが作動して可動ベース42が左右に直動し、Y軸駆動ボタン74Yの「+」又は「−」の操作によってベース上下直動駆動軸Byが作動して可動ベース42が上下に直動し、Z軸駆動ボタン74Zの「+」又は「−」の操作によってベース前後直動駆動軸Bzが作動して可動ベース42が前後に直動する。さらに、ヘッド回転ボタン74Raの「+」又は「−」の操作によってヘッド回転駆動軸Raが作動して回転ヘッド32が正転又は逆転し、テーブル回転ボタン74Rbの「+」又は「−」の操作によってテーブル回転駆動軸Rbが作動してメイン及びサブのツールテーブル30A,30Bが正転又は逆転する。また、仮想軸回転ボタン74Rcの「+」又は「−」の操作を行ったときには、ベース左右直動駆動軸Bx(図6参照)とベース上下直動駆動軸By(図6参照)とヘッド回転駆動軸Ra(図7参照)とが共に作動し、図11に示すように、仮想回転中心軸J4を中心にしてテーブル回転中心軸J3が正転又は逆転する。
【0037】
ティーチングモードになると、操作ボックス74に備えたシャトルジョグ74Jも有効になる。シャトルジョグ74Jは、回転操作可能な摘み構造になっている。そして、左右何れかの方向に回転させると、その操作に連動して仮想回転中心軸J4を中心にしてテーブル回転中心軸J3が正転又は逆転する。
【0038】
上記したように、ピッチ送りボタン74Pのうち仮想軸回転ボタン74Rc以外のボタン74S,74X,74Y,74Z,74Ra,74Rbを操作すると、各駆動軸が互いに連動することなく単独で作動する。これに対し、仮想軸回転ボタン74Rcの操作を行ったときには、ベース左右直動駆動軸Bx(図6参照)とベース上下直動駆動軸By(図6参照)とヘッド回転駆動軸Ra(図7参照)とが共に作動する(即ち、連動する)。また、シャトルジョグ74Jを操作した場合も、仮想軸回転ボタン74Rcの操作と同様に、ベース左右直動駆動軸Bxとベース上下直動駆動軸Byとヘッド回転駆動軸Raとが連動する。
【0039】
そして、それらベース左右直動駆動軸Bxとベース上下直動駆動軸Byとヘッド回転駆動軸Raとを連動させるために、仮想軸回転ボタン74Rcが操作されたときには、制御部73のCPU73Bは、以下の仮想軸駆動演算プログラムPG1を実行して、ベース左右直動駆動軸Bxとベース上下直動駆動軸Byとヘッド回転駆動軸Raの移動目標位置を演算する。なお、仮想軸駆動演算プログラムPG1を実行しているCPU73Bが、本発明に係る「仮想軸制御手段」に相当する。
【0040】
ここで、上記仮想軸駆動演算プログラムPG1による演算を行うに当たり、図11に示すように、線材送給軸J1と直交する平面を設定すると共に、その平面において水平方向をX軸、鉛直方向をY軸としたXY座標系を設定する。そして、XY座標系の平面(以下、「XY平面」という)のうち線材送給軸J1との交点を座標原点(0,0)とする。
【0041】
仮想軸駆動演算プログラムPG1を実行すると、図12に示すように、CPU73Bは、仮想回転中心軸J4を特定するための旋回オフセット量Lrと、X座標オフセット量Lxと、Y座標オフセット量Lyのデータをメモリ73Aから取り込む(S10)。次いで、図11に示したXY座標系において、そのXY平面とヘッド回転中心軸J2との交点P2のXY座標位置と、XY平面と仮想回転中心軸J4とが交点P4のXY座標位置とを求める(図12のS11)。
【0042】
次いで、交点P4を始点とし、交点P2を終点としたテーブル法線ベクトルb(図11参照)と、座標原点(0,0)を始点とし、交点P4を終点とした仮想回転中心位置ベクトルaとを演算する(図12のS12)。これにより、現時点の交点P2の座標位置を示すヘッド回転中心位置ベクトルは、テーブル法線ベクトルbと仮想回転中心位置ベクトルaとの和によって求めることができる。
【0043】
次いで、図10に示した仮想軸回転ボタン74Rc又はシャトルジョグ74Jの操作に応じた所定角θpだけテーブル法線ベクトルbを交点P4の回りに回転させ、その回転後のテーブル法線ベクトルbと仮想回転中心位置ベクトルaとの和によって、所定角θp回転後の交点P2の座標位置を演算する(図12のS13)。
【0044】
そして、上記の如く演算した交点P2の座標位置におけるX座標値を目標位置にしてベース左右直動駆動軸Bxを位置決め制御し、交点P2の座標位置におけるY座標値を目標位置にしてベース上下直動駆動軸Byを位置決め制御し、さらに、所定角θpの回転方向を逆向きにした角度を目標移動角にしてヘッド回転駆動軸Raを位置決め制御して(図12のS14)、仮想軸駆動演算プログラムPG1から抜ける。そして、所定周期で仮想軸駆動演算プログラムPG1を繰り返して実行することで、仮想軸回転ボタン74Rcの操作に応じて、ベース左右直動駆動軸Bxとベース上下直動駆動軸Byとヘッド回転駆動軸Raとが連動し、図11に示すように、仮想回転中心軸J4を中心にしてテーブル回転中心軸J3が旋回する。
【0045】
本実施形態の線材成形機10の構成に関する説明は以上である。次に、本実施形態の線材成形機10の作用効果について説明する。例えば、図13(A)に示した比較的短いコイルばねCS1を線材成形機10で成形する場合には、メインツールテーブル30Aに取り付けられたツールT1,T2,T3を使用する。そのために、ティーチングモードで所定の動作をツール駆動機構20に実行させて記憶する。そして、その記憶した動作をプレイバックモード(自動運転モード)で繰り返して実行することで、線材90からコイルばねCS1を複数成形することができる。なお、コイルばねCS1を成形する際のツール駆動機構20の動作は、例えば、特開2003−290859号公報に開示されている。
【0046】
さて、図7に示すように、回転ヘッド32の本体部は、線材送給方向においてメインツールテーブル30Aの後方に位置している。このため、比較的長い線材成形品は、メインツールテーブル30AのツールT1,T2,T3にて成形中に、回転ヘッド32の本体部と干渉し、最後まで成形することができない。具体的には、例えば、図13(A)に示した比較的短いコイルばねCS1は、メインツールテーブル30AのツールT1,T2,T3を用いて成形することができるものの、図13(B)に示した比較的長いコイルばねCS2は、図7に示すように、成形途中で回転ヘッド32の本体部と干渉するため、成形することができない。しかしながら、サブツールテーブル30BのツールT1,T2,T3を用いれば、成形途中で回転ヘッド32の本体部と干渉しなくなり、比較的長いコイルばねCS2を成形することができる。
【0047】
ところで、比較的短いコイルばねCS1を成形するためのティーチングを行う際に、例えば、コイルばねのピッチを調整するには、線材送給軸J1をメインツールテーブル30Aの第1のコイルばね成形ツールT1における成形溝T12の一箇所と交差するように配置し、その交点を一定に保持するように線材送給軸J1の周りに第1のコイルばね成形ツールT1を回動させる作業を行う。このとき、線材送給軸J1とヘッド回転中心軸J2とを一致させて、図10に示した操作ボックス74におけるヘッド回転ボタン74Raを操作すれば、上記ティーチング作業を容易に行うことができる。ところが、サブツールテーブル30BのツールT1を使用する場合は、その第1のコイルばね成形ツールT1における成形溝T12の一箇所に線材送給軸J1が交差するように配置すると、線材送給軸J1とヘッド回転中心軸J2を一致させることはできない。このような場合、仮想回転中心軸J4を、サブツールテーブル30Bの第1のコイルばね成形ツールT1における成形溝T12の一箇所と交差しかつ線材送給軸J1と一致する位置に設定する。そして、操作ボックス74の仮想軸回転ボタン74Rcを操作することで、上記ティーチング作業を容易に行うことができる。即ち、本実施形態の線材成形機10によれば、メインツールテーブル30Aの第1のコイルばね成形ツールT1を使用する場合とサブツールテーブル30Bの第1のコイルばね成形ツールT1を使用する場合とで、同様の感覚で容易にティーチング作業を行うことができる。
【0048】
また、サブツールテーブル30Bの折り曲げツールT3を使用する場合は、その第1円柱突部T31の軸心に一致した位置に仮想回転中心軸J4を設定にすれば、メインツールテーブル30Aの折り曲げツールT3を使用する場合と同様の感覚で容易にティーチング作業を行うことができる。即ち、折り曲げツールT3がメイン又はサブの何れのツールテーブル30A,30Bに取り付けられたかに拘わらず、折り曲げ成形ツールT3のうち第1円柱突部T31の回りに線材90を巻き付けるようにして線材90を折り曲げる動作を、ティーチングにて実現することができる。そして、メイン又はサブの何れのツールテーブル30A,30Bの折り曲げツールT3を用いても、線材成形品における折り曲げ部分の曲率半径が第1円柱突部T31の半径に対応した一定の大きさになり、線材成形品の品質が安定する。
【0049】
このように、本実施形態の線材成形機10では、メインツールテーブル30Aに加えてサブツールテーブル30Bを備えたことで、従来より長い線材成形品を成形することが可能となる。また、コントローラ70に備えた操作ボックス74により、テーブル回転中心軸J3と任意の位置で直交しかつヘッド回転中心軸J2から平行にずれた仮想回転中心軸J4を、線材送給軸J1に対する任意の位置に設定することができるので、ツールT1,T2,T3をサブツールテーブル30Bに固定しても、メインツールテーブル30Aに固定した場合と同様の感覚でティーチング作業を行うことができる。しかも、本実施形態では必要に応じて仮想回転中心軸J4を、線材送給軸J1からずれた位置に設定したり、ツールT1,T2,T3から離れた位置に設定することができるので、仮想回転中心軸J4の配置の自由度が高く、種々の形状の線材成形品のティーチングを容易に行うことができる。
【0050】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0051】
(1)上記実施形態では、メインツールテーブル30Aとサブツールテーブル30Bとに、同じ成形ツールT1〜T3を固定していたが、各テーブル30A,30Bで異なる成形ツールを固定してもよい。そうすれば、従来より、線材成形品の形状のバリエーションを増やすことができる。なお、ツール固定テーブルに固定された成形ツールの数は3つに限るものではなく、1つ或いは3つ以外の複数の成形ツールを固定してもよい。
【0052】
(2)インナーシャフト33Sと中継シャフト35との間は、ベベルギヤ33G1,35G1によって連結されていたが、例えば、ウォームとウォームホイールによって連結してもよい。また、中継シャフト35とテーブルシャフト36との間は、平ギヤ35G2,36G1によって連結されていたが、例えば、プーリーとベルトで連結してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る線材成形機の側断面図
【図2】線材成形機の平面図
【図3】線材送給装置の部分断面図
【図4】線材切断装置の側面図
【図5】ツール駆動機構の側断面図
【図6】ツール駆動機構の背面図
【図7】可動ベースの拡大側断面図
【図8】ツールテーブルの平面図、
【図9】コントローラ(制御装置)の正面図
【図10】操作ボックス(仮想軸設定手段)の正面図
【図11】仮想回転中心軸を中心にして回転する回転ヘッドの正面図
【図12】仮想軸駆動演算プログラムのフローチャート
【図13】(A)メインツールテーブル側で成形されるコイルばねの側面図,(B)サブツールテーブル側で成形されるコイルばねの側面図
【符号の説明】
【0054】
10 線材成形機
12 線材送給装置
20 ツール駆動機構
30A メインツールテーブル
30B サブツールテーブル
31S 円筒シャフト
32 回転ヘッド
42 可動ベース
70 コントローラ(制御装置)
73B CPU(仮想軸制御手段)
74 操作ボックス(仮想軸設定手段)
90 線材
Bx ベース左右直動駆動軸
By ベース上下直動駆動軸
Bz ベース前後直動駆動軸
J1 線材送給軸
J2 ヘッド回転中心軸
J3 テーブル回転中心軸
J4 仮想回転中心軸
PG1 仮想軸駆動演算プログラム(仮想軸設定手段)
Ra ヘッド回転駆動軸
Rb テーブル回転駆動軸
T1,T2,T3 ツール
T31 第1円柱突部
T32 第2円柱突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びた線材送給軸に沿って線材を送給可能な線材送給装置と、
前記線材を成形するためのツールを保持しかつ任意の位置に移動するためのツール駆動機構と、
ティーチングモードで所望の動作を前記ツール駆動機構に行わせてその動作を記憶し、その記憶した動作をプレイバックモードで前記ツール駆動機構に繰り返して再現させることが可能な制御装置とを備え、前記プレイバックモードで前記線材から複数の成形品を成形可能な線材成形機において、
前記ツール駆動機構には、
前記線材送給軸の軸方向で前記線材送給装置に対向したベース部材と、
前記ベース部材を、前記線材送給軸と直交した水平横方向で往復駆動するためベース左右直動駆動軸と、
前記ベース部材を、上下方向で往復駆動するためベース上下直動駆動軸と、
前記ベース部材に対して、前記線材送給軸と平行なヘッド回転中心軸の回りに回転可能な回転ヘッドと、
前記回転ヘッドを回転駆動するヘッド回転駆動軸と、
前記回転ヘッドにおける前記線材送給装置との対向面のうち前記ヘッド回転中心軸より離れた外縁部から突出したヘッド端面突部と、
前記ヘッド回転中心軸と直交するテーブル回転中心軸の方向で前記ヘッド端面突部を貫通し、前記ヘッド端面突部に回転可能に軸支されたテーブルシャフトと、
前記テーブルシャフトのうち前記ヘッド回転中心軸側を向いた端部に設けられて、前記ツールを固定可能なメインツールテーブルと、
前記テーブルシャフトのうち前記メインツールテーブルと反対側の端部に設けられ、前記回転ヘッドの外側面より側方に突出し、前記ツールを固定可能なサブツールテーブルと、
前記テーブルシャフトと共に前記メイン及びサブのツールテーブルを回転駆動するテーブル回転駆動軸とが備えられ、
前記制御装置には、
前記テーブル回転中心軸と任意の位置で直交しかつ前記ヘッド回転中心軸から平行にずれた仮想回転中心軸を、前記線材送給軸に対する任意の位置に設定するための仮想軸設定手段と、
前記ティーチングモードで、前記仮想回転中心軸を中心にして前記テーブル回転中心軸を旋回させるように前記ベース左右直動駆動軸と前記ベース上下直動駆動軸と前記ヘッド回転駆動軸とを制御する仮想軸制御手段とが備えられたことを特徴とする線材成形機。
【請求項2】
前記サブツールテーブルには、平行に延びた第1と第2の円柱突部を有する折り曲げ成形ツールが固定され、
前記第1の円柱突部の中心軸を前記仮想回転中心軸に一致させ、前記第1と第2の円柱突部の間を前記線材が横切った状態で、前記仮想回転中心軸の回りに前記第2の円柱突部を旋回させて前記線材を折り曲げ可能としたことを特徴とする請求項1に記載の線材成形機。
【請求項3】
前記ツール駆動機構には、前記ベース部材を前記線材送給軸と平行な方向に往復駆動するためベース前後駆動軸が備えられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の線材成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−220133(P2009−220133A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65700(P2008−65700)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000116976)旭精機工業株式会社 (56)
【Fターム(参考)】