線材格子フェンスの施工法
【課題】線材格子フェンスの施工法を提供すること。
【解決手段】線材格子を備えた支柱に線材格子フェンスパネルを取り付けて構成する線材格子フェンスの施工法であって、支柱は、3本以上の柱縦線材に多数の環状柱横線材を接合した筒状支柱6とされ、線材格子フェンスパネル1は、リング状横線材3を備えその両端部は、左右両端部の縦線材から左右方向の外側に突出するように設けられ、リング状横線材の左右方向の端部に、上下の横線材部分と前記各上下の横線材部分とを接続する接続部分を有する継手部を備えた線材格子フェンスパネルであり、筒状支柱6の下端部を基礎に埋め込み固定した後、筒状支柱外側面の一つに線材格子フェンスパネルのリング状横線材の端部を当接して継手金物により接合し、筒状支柱外側面の他の側面に別の線材格子フェンスパネルのリング状横線材の端部を挿入して継手金物で接合する。
【解決手段】線材格子を備えた支柱に線材格子フェンスパネルを取り付けて構成する線材格子フェンスの施工法であって、支柱は、3本以上の柱縦線材に多数の環状柱横線材を接合した筒状支柱6とされ、線材格子フェンスパネル1は、リング状横線材3を備えその両端部は、左右両端部の縦線材から左右方向の外側に突出するように設けられ、リング状横線材の左右方向の端部に、上下の横線材部分と前記各上下の横線材部分とを接続する接続部分を有する継手部を備えた線材格子フェンスパネルであり、筒状支柱6の下端部を基礎に埋め込み固定した後、筒状支柱外側面の一つに線材格子フェンスパネルのリング状横線材の端部を当接して継手金物により接合し、筒状支柱外側面の他の側面に別の線材格子フェンスパネルのリング状横線材の端部を挿入して継手金物で接合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の庭や公園等に設置される線材格子フェンスの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線材格子からなるフェンスとしては、フェンスパネルと支柱とが、それぞれ別体とされて、フェンスパネルを支柱に固定する形態の支柱別体型のフェンスが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、線材格子からなるフェンスパネルの少なくとも一端側に支柱を一体に備えた支柱一体型フェンスパネルも知られている(例えば、特許文献3〜5参照)。
また、線材格子フェンスパネルの上端部を湾曲させて、線材格子フェンスパネルの上端部に、長手方向に連続した胴縁を形成するようにして線材格子フェンスパネルの剛性を高めるようにした形態のフェンス又はフェンスパネルも知られている(例えば、特許文献3〜5参照)。
また、線材格子フェンスパネルの上端部を湾曲させて胴縁を形成することなく、線材格子フェンスパネル自体の剛性を高めるために、横線材を縦線材の前後から挟みつけるようにした形態のフェンスパネルも知られている(例えば、特許文献6〜8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64−36877号公報
【特許文献2】実公平6−38893号公報
【特許文献3】特開平1−2232275号公報
【特許文献4】特公平5−39390号公報
【特許文献5】実公昭62−43093号公報
【特許文献6】実開昭58−19062号公報
【特許文献7】特公平2−58015号公報
【特許文献8】特公平1−37546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
住宅と住宅の敷地の境界にフェンスを設置する場合には、隣接する居住者または所有者の合意により境界線上に設置する場合と、境界線上に跨らず、いずれかの一方の敷地内に設置する場合とがある。
先行技術文献に示した例の場合に、敷地境界線上に設置する支柱及びフェンスパネルと敷地境界線上にでなく、敷地内にフェンスパネルと支柱を連続して設置する場合には、異なる支柱及びフェンスパネルを使用しなければならなかった。
敷地所有者が異なる隣接する敷地が2つの場合による一つの敷地境界線の場合、あるいは隣接する敷地が3以上の場合の複数の敷地境界線の場合等に、敷地境界線上にフェンスを立設する合意がある場合には、敷地境界線上に基礎及び支柱並びにフェンスパネルの中心軸線が位置するように連続して設置することができ、敷地境界線上にフェンスを立設する合意が得られない場合には、敷地境界線に接近して敷地内に基礎及び支柱並びにフェンスパネル設けるようになる。
このように敷地境界線上にフェンスパネルを設置する場合あるいは、敷地境界線に接近してフェンスパネルを設置する場合に、同じフェンスパネルと支柱とを用いると共に簡単な継手金物で対応可能なフェンスの施工方法になると、容易に施工でき、安価なフェンスを構築することができため、そのようなフェンスの施工法が要望される。
そこで、本発明は、そのような要望に対応可能な設置形態の選択の自由度の高く、同じ形状の線材格子フェンスパネルを複数用いて、筒状支柱における側面の環状柱横線材間に配置して継手金物により接合したり、筒状支柱における環状柱横線材間に挿入するように配置して継手金物により接合可能な線材格子フェンスの施工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明の線材格子フェンスの施工法では、
基礎上に立設した線材格子を備えた支柱に線材格子からなる線材格子フェンスパネルを取り付けて構成する線材格子フェンスの施工法であって、
前記支柱は、3本以上の柱縦線材にその上下方向に間隔をおいた多数の環状柱横線材を接合した筒状支柱とされ、
前記線材格子フェンスパネルは、上下に間隔をおいた横線材部分を有するリング状横線材を備え、上下方向に間隔をおいて配置されたリング状横線材の左右方向の両端部は、前記線材格子フェンスパネルにおける左右両端部の縦線材から左右方向の外側に突出するように設けられ、リング状横線材の左右方向の端部に、上下の横線材部分と前記各上下の横線材部分とを接続する接続部分を有する継手部を備えた線材格子フェンスパネルであり、
前記筒状支柱の下端部を基礎に埋め込み固定した後、
前記筒状支柱外側面の一つに前記線材格子フェンスパネルのリング状横線材の端部を当接して継手金物により接合し、
前記筒状支柱外側面の他の側面に別の線材格子フェンスパネルのリング状横線材の端部を挿入して継手金物で接合すること
を特徴とする。
第2発明の線材格子フェンスの施工法においては、
3者以上のそれぞれ所有者の異なる隣接する土地の敷地境界に、第1発明の線材格子フェンスパネルと筒状支柱からなるフェンスを設置するにあたり、
敷地境界線上にフェンスを設置することを合意していない敷地境界では、一方の敷地内に基礎及び筒状支柱を設置し、該筒状支柱の外側面にフェンスパネルの横線材端部を接合して前記一方の敷地内と同じ敷地内に設置し、
境界線上に設置することを合意した敷地境界では、前記筒状支柱の一つの側面から線材格子フェンスパネルのリング状横線材を挿入して接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、端部に継手部を備えた複数の線材格子フェンスパネルと、筒状支柱と、接合金物を組み合わせて、線材格子フェンスパネルの一端側の継手部を筒状支柱の外側面に配置したり、筒状支柱の外側面から差し込むように配置して少ない種類の接合金物により接合することにより、3つ以上の土地所有者の異なる敷地境界に的確に対応可能な線材格子フェンスを構築することができる等の効果が得られる。また、同じ形状の線材格子フェンスパネルと筒状支柱と接合金物を用いて線材格子フェンスを構築することができるため、施工も容易であり、熟練を要することなく、施工することができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】敷地境界部における一つの支柱に対して、支柱の前面側及び側面側に線材格子フェンスパネルを配置すると共に前記筒状支柱に対して線材格子フェンスパネルを差し込むように配置した形態を示す一部横断平面図、図2の一部を拡大して示す図である。
【図2】本発明の方法により線材格子フェンスパネルを筒状支柱に設置した線材格子フェンスを示す平面図である。
【図3】図2に示す線材格子フェンスの正面図である。
【図4】(a)は本発明のフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの上部の取り付け部を示す図(図3のA部を拡大して示す図)で、左側における手前側のリング状横線材の継ぎ手部を一部切欠いて示す正面図で、(b)は図1のa−a線断面図である。
【図5】(a)は本発明のフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの下部の取り付け部を示す図(図3のB部を拡大して示す図)で、左側における手前側のリング状横線材の継ぎ手部を一部切欠いて示す正面図で、(b)は(a)のb−b線断面図である。
【図6】(a)は、図4(a)又は図5(a)の縦断正面図、(b)は(a)のc−c−線断面図である。
【図7】(a)は本発明におけるフェンスに用いられる線材格子フェンスを示す正面図、(b)は平面図である。
【図8】(a)は図1に示す線材格子フェンスの側面図、(b)は本発明におけるフェンスに用いられる線材からなる筒状支柱を示す正面図、(c)は(b)の平面図である。
【図9】敷地境界部における一つの支柱に対して、線材格子フェンスパネルを支柱の前面側に配置すると共に筒状支柱の背面側及び側面側に線材格子フェンスパネルを差し込むように配置した形態を示す一部横断平面図、図10の一部を拡大して示す図である。
【図10】本発明の方法により線材格子フェンスパネルを筒状支柱に設置した線材格子フェンスを示す横断平面図である。
【図11】図10に示す線材格子フェンスの正面図である。
【図12】(a)は本発明のフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの上部の取り付け部を示す図(図11のA部を拡大して示す図)で、左側における手前側のリング状横線材の継ぎ手部を一部切欠いて示す正面図で、(b)は図9のb−b線断面図である。
【図13】(a)は本発明のフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの下部の取り付け部を示す図(図11のB部を拡大して示す図)で、左側における手前側のリング状横線材の継ぎ手部を一部切欠いて示す正面図で、(b)は図12(b)に対応した断面図である。
【図14】(a)は図9のc−c線断面図、(b)は(a)のd−d線断面図である。
【図15】(a)は線材格子フェンスパネルの中間部を筒状支柱の前面側に配置した形態を示す横断平面図、(b)は、線材格子フェンスパネルの端部を筒状支柱の前面側及び側面側に配置した形態を示す横断平面図である。
【図16】敷地境界部における一つの支柱に対して、一方の筒状支柱の前面側及び側面側に配置すると共に他方の筒状支柱に対して差し込むように配置すると共に側面に配置した形態を示す一部切り欠き横断平面図である。
【図17】フェンスにおいて用いる第2の継手金物の一形態を示す斜視図である。
【図18】(a)は本発明の線材格子フェンスを用いたフェンスにおいて用いる係止片の一方を示す斜視図、(b)は係止脚部を有する係止金具を示す斜視図である。
【図19】(a)は本発明の一実施形態の線材格子フェンスパネルを用いたフェンスの他の例を示す一部切欠き正面図、(b)は平面図である。
【図20】(a)は本発明の線材格子フェンスパネルを用いたフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの上部の取り付け部を示す正面図で、図19のA部付近を拡大して示す図であり、(b)は(a)の横断平面図、(c)は(a)のe−e線断面図である。
【図21】(a)は本発明の線材格子フェンスパネルを用いたフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの下部の取り付け部を示す正面図で、図19のB部付近を拡大して示す図であり、(b)は(a)の横断平面図、(c)は(a)のf−f線断面図である。
【図22】(a)は本発明のフェンスの端部側の筒状支柱と線材格子フェンスとの上部の取り付け部を示す正面図で、図19の端部の上部付近を拡大して示す図であり、(b)は(a)の横断平面図、(c)は(a)のg−g線断面図である。
【図23】(a)は本発明のフェンスの端部側の筒状支柱と線材格子フェンスとの他の取り付け形態を示す正面図であり、(b)は(a)の横断平面図、(c)は(a)のh−h線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
まず、図7及び図8(a)を参照して、本発明において用いる線材格子フェンスパネル1の一実施形態について説明すると、上端が半円状(図示の場合)又は弧状或はコ字状等に湾曲した湾曲接続部2aを介して、下方に平行に2本の縦線材2bが伸びる複数(図示の場合は多数)の湾曲縦線材2が横方向に間隔をおいて同じ高さで配置され、前記各湾曲縦線材2の片面側(前面側)に渡って、リング状横線材3が上下方向に間隔をおいて複数配置されて前記各湾曲縦線材2に溶接により接合されている。
また、少なくとも最上段の前面側のリング状横線材3の背面側には、各湾曲縦線材2を挟んで、後面側のリング状横線材3が前記各湾曲縦線材2に溶接により接合されて、剛性が高められている。
最上段の前後の前記各リング状横線材3は、湾曲縦線材2における上端から下方に離れた位置に設置されていることで、線材格子フェンスパネル1における上端が連続した水平部分を形成することなく、湾曲接続部2aが間隔をおいて形成された不連続状態としていることから、小動物(猫等)が乗る場所をなくし、小動物の歩行及び走行を困難にしている。湾曲縦線材2の上端は、コ字状よりも弧状或は半円状、半円状よりも逆V字状とする方が、小動物(猫等)が乗る場所がなくなる分、好ましいが、図示のように半円状とする方が怪我をする恐れがなく人にやさしい形状である。
【0010】
図示の形態では、最下段の前面側のリング状横線材3の背面側には、各湾曲縦線材2を挟んで、後面側のリング状横線材3が前記各湾曲縦線材2に溶接により接合されて、剛性が高められ、胴縁を必要としない形態の安価な線材格子フェンスパネル1としている。
前記の各リング状横線材3は、その両側端は、端部側の湾曲縦線材2よりも、横方向に突出するように設けられて継手部4を形成している。
図示の実施形態では、前記の継手部4は、リング状横線材3における上下の横線材端部による水平な横部分4aと、横部分4aを接続する垂直な縦部分4bとを備えている。
突出した継手部4の形態としては、図示のように、コ字状でも、弧状又は半円状でもよいが、縦部分4bを備え、上下の横線材相互を接続してリング状としていればよい。前記の縦部分4bは垂直である方が、隣り合う線材格子フェンスパネル1の縦部分4b間の間隙が小さくなり、網目が小さくなるから望ましい。
各リング状横線材3内には、リング状横線材3の横長さ寸法よりも短い短尺横線材5が、両側端の湾曲縦線材2に渡って配置されて、各湾曲縦線材2に溶接により固定されて、短尺横線材5がリング状横線材3から横長さ方向に突出しないように設けられている。
上下に間隔をおいたリング状横線材3間には、各湾曲縦線材2の後面側において、前記短尺横線材5と同様な、短尺横線材5がリング状横線材3から横長さ方向に突出しないように設けられている。
前記のリング状横線材3における横線材部分と短尺横線材5とが、上下方向に等間隔をおいて密に配置されていることで、網目を小さくして、小動物の侵入を防止可能にされている。短尺横線材5は、湾曲縦線材2の下部、又は下部と中間部に、接合されている線材格子フェンスパネル1とされていると、網目を小さくして、小動物の侵入を確実に防止することができる。
前記各短尺横線材5がリング状横線材3から横長さ方向に突出しないように設けられていることで、短尺横線材5の端部により怪我をしないようにされている。特に、リング状横線材3に同面状に配置された短尺横線材5に接触する前に、リング状横線材3に接触するようになるため、怪我をする恐れが少なく安全性が向上している線材格子フェンスパネル1とされている。
なお、前記の湾曲縦線材2又はリング状横線材3或は短尺横線材5としては、例えば、丸鋼棒が用いられる。
【0011】
次に、図8(b)(c)を参照して、本発明の線材格子フェンスに用いる筒状支柱6について説明する。
左右方向及び前後方向に間隔をおいて同じ高さ位置に配置された3本以上(図示の場合は、4本)の柱縦線材7に対して、各柱縦線材7を囲むように、前記各柱縦線材7の上下方向に間隔をおいて、長方形又は矩形環状等の環状柱横線材8を配置し、各柱縦線材7に環状柱横線材8を接合して、筒状鉄筋籠状の筒状支柱6が形成されている。前記の柱縦線材7が3本以上の筒状支柱6の場合に、平面視で柱縦線材7は少なくとも各コーナー部に配置される。
下端側の一つ又は複数の環状柱横線材8及び柱縦線材7の下端部は、基礎9に埋め込み固定され、下端側の一つ又は複数の環状柱横線材8は抜け出し防止用アンカー材として機能する。前記の環状柱横線材8及び柱縦線材7としては、丸鋼棒が用いられる。
上下間の各環状柱横線材8は、線材格子フェンスパネル1側におけるリング状横線材3及び短尺横線材5と高さ位置が異なるように設けられている。
最上段の環状柱横線材8とこれに間隔をおいて下側で隣接する下位の環状柱横線材8間の間隔を、リング状横線材3における端部の継手部4又は中間部の上下横線材間の高さ寸法よりも若干大きい寸法とされて、筒状支柱6の前面側における上下の環状柱横線材8間にリング状横線材3の端部の継手部4又は中間部を配置可能にされている。このようにすることで、筒状支柱6の前面側において横方向に隣り合う、線材格子フェンスパネル1の側端の継手部4相互を配置したり、リング状横線材3の中間部を配置できるようにされている。
【0012】
図1に3人の土地所有者の例を示す。KさんとLさんは、両者の敷地の境界にフェンスを設置するにあたり、境界線上に線材格子フェンスパネル1を設置することで合意ができた。LさんとMさんとの間でも境界線上に線材格子フェンスパネル1を設置することで合意ができた。ところが、KさんとMとの間では、合意ができなかったが、Kさんは、どうしても、Mさんとの境界にフェンスが必要なので、Kさんの敷地内に設置することとした事例を示す。
【0013】
(線材格子フェンス及びその構築方法について)
前記のフェンス設置条件を満足させるために、筒状支柱6を自分の敷地K内に設置した形態を図1に示す。図1に示す形態は、3つ以上の所有者の異なる敷地が隣り合う敷地境界付近のKの敷地に1つの筒状支柱6を配置して、その筒状支柱6に対して、複数枚(3枚以上)の線材格子フェンスパネル1を組み込んだ形態である。
前記のような形態を可能にするため、図4,5に示すように、線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6に取り付ける場合には、例えば、筒状支柱6の前面側又は側面側の上下の環状柱横線材8間に線材格子フェンスパネル1の継手部4を配置して継手金物により固定したり、筒状支柱6の前面(又は背面)側の上下の環状柱横線材8間に、線材格子フェンスパネル1の継手部4を差し込むように配置して継手金物により固定することで、同じ継手金物又は異なる継手金物を使用して、筒状支柱6に複数の線材格子フェンスパネル1を固定できるようにしている。
【0014】
次に、より具体的に、前記の線材格子フェンスパネル1を線材筒状支柱6に、第1の継手金物13、第2の継手金物53、前記第1の継手金物13又は第2の継手金物53を第3の箇所の継手金物として用いて固定して、フェンスを構築する形態について説明する。
【0015】
図1〜図6は、3つの敷地K,L,Mが隣接する、或は3つの敷地K,L,Mに分割する場合のフェンスの構築方法を説明するための説明図であり、図1に示すように、2点鎖線示す隣地K,L,Mとの敷地境界線X、Yがある場合に適用した形態である。
図2又は図3に示すように、敷地K,Mとの敷地境界X及び敷地K,Mとの敷地境界Yに沿って敷地K内に沿って立設された筒状支柱6は、横方向に間隔をおいて配置されて、各筒状支柱6の下端部が、地盤に構築されたコンクリート基礎又は中空部を有するコンクリートブロック積み基礎に充填されるモルタルにより埋め込み固定されて、基礎9に立設固定される。
また、敷地K,Lとの敷地境界線に線材格子フェンスパネル1の中心軸線が位置するように基礎及び筒状支柱6をK敷地内に寄せて設けた形態が示されている。
【0016】
前記のようにして各筒状支柱6の下端部を基礎9に固定した後、筒状支柱6に複数の線材格子フェンスパネル1が順次設置されて線材格子フェンスが構築されている。
【0017】
次に、図1における筒状支柱6の側周面のうちの前面側左に設置され、敷地境界線Xに線材格子フェンスパネル1の中心軸線が一致するように設置されている線材格子フェンスパネル1と筒状支柱6の取り付け形態について説明する。
図4〜図6に線材格子フェンスパネル1における最上段及び最下段のリング状横線材3の継手部4の取り付け構造を示すように、図1における筒状支柱6の前面側の左側に配置された線材格子フェンスパネル1は、その線材格子フェンスパネル1における最上段及び最下段のリング状横線材3の側端の継手部4が、筒状支柱6に対して第1の継手金物13により取り付けられている。
前記の第1の継手金物13は、継手ボルト挿通孔11を有する上下一対の係止片32(図18(a)参照)及びボルト17・ナット18を備えた継手金物で、これにより固定する構造とされている。
線材格子フェンスパネル1の端部の継手部4を筒状支柱6に固定する一端部側では、線材格子フェンスパネル1の一端部の各後部のリング状横線材3の継手部4を筒状支柱6に固定すればよいことから、継手部4の縦部分をボルト17よりも左右方向の外側(右側)に位置するように筒状支柱6の前面側に配置し、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、上下の環状柱横線材8とを囲むように、係止溝30を有すると共にボルト挿通孔31を有する上下一対の係止片32が、環状柱横線材8及び継手部4に嵌合され、各係止片32をボルト17及びこれにねじ込まれるナット18からなる第1の継手金物13により連結一体化することで、線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6の前面側に固定している。
前記のように線材格子フェンスパネル1の平面中心軸線を、敷地境界線Xに合致するように筒状支柱6に設置することができる。
図1における筒状支柱6の左側面に位置するように奥部側に設置されている線材格子フェンスパネル1(1C)は、前記の第1の継手金物13と同じものを第3の継手金物として用いて、線材格子フェンスパネル1(1C)の平面中心軸線を敷地境界線Yに合致するように配置して、継手金物13により筒状支柱6に固定している。
【0018】
図1における筒状支柱6の右側に設置された線材格子フェンスパネル1は、線材格子フェンスパネル1と筒状支柱6との上端部及び下端部の取り付け部をそれぞれ拡大して示す図4(a)及び図5(a)、又は一部を拡大して示す図6に示すように、筒状支柱6及び線材格子フェンスパネル1は、敷地K内に位置するように設置するべく、線材格子フェンスパネル1は、その各リング状横線材3における継手部4が筒状支柱6内に挿入配置される。
このように、各リング状横線材3における左右両端の継手部4を、隣り合う筒状支柱4内にそれぞれ挿入配置するために、平面視の左右方向で、リング状横線材3における左右方向一方の継手部4の先端から左右方向他方の湾曲縦線材2の端部の縦線材2b外側までの寸法L3(図7参照)が、間隔をおいて隣り合う筒状支柱6における環状柱横線材8間の距離L4(図2参照)より長いと、線材格子フェンスパネル1における一側部の各継手部4のほぼ全体を一方の筒状支柱6内に挿入配置するように線材格子フェンスパネル1を一方にスライド移動させると、他側部の各継手部4を他方の筒状支柱6の側面に対向するように配置することができ、その状態で、他方の各継手部4を他方の筒状支柱6内に挿入するように、線材格子フェンスパネル1を他方にスライド移動させることで、線材格子フェンスパネル1を、筒状支柱6間に配置することができる。この場合に、筒状支柱6における環状柱横線材8上に、リング状横線材3における下側の横部分4aを載置した状態でスライド移動することができるため、線材格子フェンスパネル1を容易に筒状支柱6間に配置し、筒状支柱6における環状柱横線材8上に載置することができる。
上端部及び下端部又は必要に応じ、中間部に位置するリング状横線材3における継手部4が筒状支柱6に継手金物を用いて取り付けられる。
なお、格子状フェンスパネル1側の各短尺横線材5と、筒状支柱6側の各環状柱横線材8とは、異なる高さ位置となるように設けられている。
【0019】
図示の形態では、右側の線材格子フェンスパネル1の左右両端は、上端部及び下端部が第2の継手金物53を用いて取り付けられている。
各筒状支柱6の各側面側における縦中心軸線(又は平面視の中心軸線)に対して、湾曲縦線材2の中心軸線が一致又は近接するように、各線材格子フェンスパネル1の継手部4が配置される。
また、線材格子フェンスパネル1における最上段の前後(正面側及び背面側)のリング状横線材3の継手部4と、最下段の前後のリング状横線材3の継手部4とが、それぞれ、上部の間隔をおいた上下一対の環状柱横線材8間、及び下部の上下一対の環状柱横線材8間における下側の環状柱横線材8上に載置されるように配置される。
そして、各前後のリング状横線材3の側端の各継手部4における上部の横部分4aと、間隔をおいた上下一対の環状柱横線材8における上部の環状柱横線材8とは、第2の継手金物53により接合されている。また、各継手部4における下部の横部分4aと、間隔をおいた上下一対の環状柱横線材8における下部の環状柱横線材8とは、反転配置された第2の継手金物53により接合されている。
前記の各第2の継手金物53は、前後のリング状横線材3の継手部4における横部分4aを把持固定する部分を備えている。前記の把持固定する部分は、図示の形態では、溝付き金具10(図17参照)における接続板部分11と座金12とボルト17及びナット18とにより形成されている。
図17にボルト17・ナット18を省略して分解して示すように、第2の継手金物53は、両側部に脚部14を有する断面溝形の接続板部分11にボルト挿通孔15を設け、脚部14と接続板部分11とにより形成される溝16内に挿入可能な巾寸法とされた座金12を備え、前記接続板部分11のボルト挿通孔15と座金12に挿通されるボルト17及びこれにねじ込まれるナット18を備えている。接続板部分11に雌ねじ孔を設けてボルトをねじ込むようにすれば、ナットを省略する形態とすることも可能である。
前記の接続板部分11に、環状柱横線材8の線材部分を嵌合係止するため溝19を備えた係止部20が一体に連設されている。
環状柱横線材8の線材部分を嵌合係止する係止部20の溝19は、環状柱横線材8の線材の断面半径よりも深い溝深さとするとよく、係止部20の溝側の内側面は先端に向かって溝が浅くなるように傾斜面21とされていることで、溝付き金具10の環状柱横線材8に対する嵌合係止を、傾斜面21を利用して確実にガイドして、配置可能にしている。
図示の形態では、前記の溝付き金具10と座金12とボルト・ナット等を備えた第2の継手金物53とされているが、環状柱横線材8の線材部分を把持するクランプ部を備えた継手金物としてもよい。
図示の実施形態では、前後のリング状横線材3における上部の各横線材部分を把持固定する第2の継手金物53は、リング状横線材3の上側に配置されて、筒状支柱6側の上下一対の環状柱横線材8における上側の環状柱横線材8にその上側から嵌合係止され、また、前後のリング状横線材3における下部の各横線材4a部分を把持固定する第2の継手金物53は、リング状横線材3の下側に配置されて、前記筒状支柱6側の上下一対の環状柱横線材8における下側の環状柱横線材8にその下側から嵌合係止されているので、上下の第2の継手金物53により、線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6に対して、上下方向及びフェンスパネル長手方向の横方向に拘束した状態で、筒状支柱6に取り付けることができる。
【0020】
ここで、図17を参照して、前記の第2の継手金物53についてさらに説明すると、継手金物53における前記の接続板部分11と係止部20とは、一枚の鋼板が折り曲げ加工されて形成されている。接続板部分11における脚部14間の寸法は、前後のリング状横線材3における継手部4の外側間の寸法よりも僅かに大きくされ、前後の継手部4間にボルト17を挿通可能にするために、接続板部分11のほぼ中央部にボルト挿通孔15を備えている。
また、前記の座金12は、矩形状鋼板にボルト挿通孔が設けられた形態とされ、接続板部分11の内側面に近接するように座金12の側面が配置されることで、座金12の回り止めを図っている。また、座金12により各継手部4の横線材4aによる横部分4aの下側を接続板部分11に向かって押圧するようにして、各横部分4aを把持固定するようにされている。
【0021】
前記のように、同じ線材格子フェンスパネル1と同じ筒状支柱6を用いて、敷地境界線XとYがある場合に、筒状支柱6を敷地境界付近に正確に設置すると共に、その筒状支柱6に対して、複数の線材格子フェンスパネル1を、敷地境界線X又はYに対して、平面中心軸線が一致(敷地K,L又は敷地L,Mとの関係)又は近接(敷地K,Mとの関係)するように正確に配置して、筒状支柱6に設置することができるようにされている。
【0022】
前記のような線材格子フェンスを構築する方法では、敷地境界付近の所定の位置に基礎15に固定するように筒状支柱6を立設し、少なくとも1枚の線材格子フェンスパネル1はその端部の継手部4を前記筒状支柱6の側面(前面側又は側面側)に配置して第1の継手金物13により前記筒状支柱6に接合し、少なくとも他の1枚の線材格子フェンスパネル1はその端部の継手部4を前記筒状支柱6における上下に隣り合う環状柱横線材8間に挿入するように配置して第2の継手金物53により前記筒状支柱6に接合することで、一つの筒状支柱6に対して集合させるようにして、線材格子フェンスを構築することができる。また、前記の第1の接合金物13と同じ接合金物を第3の接合金物として用いて、さらに他の線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6の奥部側面に接合することで、異なる敷地所有者の要望に確実に対応して、同じ線材格子フェンスパネル1及び筒状支柱6を用いて、熟練を必要としないで容易に施工することができるようにされている。
【0023】
(線材格子フェンスの構築方法の他の形態について)
次に、図9〜14に示されている他の形態の線材格子フェンスについて説明する。
前記の形態と異なる点は、この形態では、KさんとLさんとの間で筒状支柱6をその中心軸線を敷地境界線Yに一致させるように合意されている場合の設置形態で、Kさんの敷地Kと、Lさんの敷地Lとの敷地境界線上に線材格子フェンスパネル1と筒状支柱6の中心軸線が一致するように線材格子フェンスを構築した形態である。
【0024】
図9において、筒状支柱6における周側面のうち、前面側の左に設置されている線材格子フェンスパネル1は、前記と同様に第1の継手金物13により筒状支柱6に接合され、前記筒状支柱6における右側面側において、線材格子フェンスパネル1における各リング状横線材3の継手部4を、上下の環状柱横線材8間に差し込むように挿入配置して第2の接合金物53により固定するようにして設置している点は、前記と同様であるので、同様な要素には、同様な符号を付している。
また、図9に示す形態では、筒状支柱6の背面側において、線材格子状フェンスパネル1におけるリング状横線材3の端部の継手部4を、上下の環状柱横線材8間に差し込むように配置し、また、敷地境界線Yに線材格子フェンスパネル1の中心軸線を合致するように配置し、前記の第2の接合金物53と同じ金物を第3の接合金物として用いて、各線材格子状フェンスパネル1を敷地境界線X,Yに確実に設置するようにしている。
【0025】
KさんとMさんとの合意があり、線材格子フェンスパネル1の平面中心軸線を敷地境界線Xと一致させることができる場合には、筒状支柱6に対して、線材格子フェンスパネル1を前面側に左右対称に配置できる場合には、図19〜図21に示すように、さらに、第1の継手金物13にさらに図18(b)に示すような金物を付属させた第1の継手金物13とすることで、筒状支柱6に対して左右対称に線材格子フェンスパネル1を配置して、接合するようにしてもよい。
前記の形態についてさらに、図19におけるA部及びB部を拡大して示す図20及び図21を参照して説明する。
図示の形態では、線材格子フェンスパネル1は、その最上段及び最下段の継手部4が、それぞれ第1の継手金物13を用いて取り付けられている。
各筒状支柱6の前面側における縦中心軸線に対して、左右対称に、各線材格子フェンスパネル1の継手部4が配置される。
かつ、線材格子フェンスパネル1における最上段の後部(背面側)のリング状横線材3の継手部4と、最下段の後部のリング状横線材3の継手部4とが、それぞれ、上部の上下一対の環状柱横線材8間、及び下部の上下一対の環状柱横線材8間における下側の環状柱横線材8上に載置されるように配置される。そして、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、上下の環状柱横線材8とを囲むように、係止溝30を有すると共にボルト挿通孔31を有する上下一対の係止片32(図18a参照)を備えた第1の継手金物13における前記係止片32が前記環状柱横線材8及び継手部4に嵌合される。
また、前部側のリング状横線材3の継手部4における縦部分4bを利用して、隣り合うリング状横線材3の縦部分4b相互が離反しないように、ボルト挿通孔14を有する断面コ字状の係止金具35(図18a参照)における各係止脚部36間に各縦部分4bが位置し、各係止脚部36が係止片32側に向くように配置して、上下一対の係止片32のボルト挿通孔31と、係止金具35のボルト挿通孔34とに渡って、第1の継手金物13におけるボルト17の軸部が挿通されると共にナット18がねじ込まれて、左右の線材格子フェンスパネル1における継手部4は筒状支柱6に取り付けられている。また、隣り合う線材格子フェンスパネル1の継手部4を利用して、筒状支柱6の前面側においても、フェンスパネルの網目を形成するようにすることができる。
前記の係止金具35は、鋼板が折り曲げ形成されて、本体部の両側に各係止脚部36が形成されると共に本体部にボルト挿通孔34が形成されて、断面コ字状の係止金具とされ、係止脚部36の突出長さ寸法は、リング状横線材3の線径と同じか、僅かに小さい寸法とされ、リング状横線材3を係止片35に向かって押圧可能にされていることが望ましい。
【0026】
ここで、図18を参照して、前記の上下一対の係止片32についてさらに説明すると、各係止片32は、長方形の鋼板がその中間部で円弧状に折り曲げられて、円弧状接続部39を介して短尺脚部40と長尺脚部41が形成されていると共に各脚部の円弧状接続部39の内側に係止溝30が形成され、また、長尺脚部41の先端側には、ボルト挿通孔を備えている。
前記のような係止片32を、図に示すように、上下点対称になるように配置し、かつ上部の係止片32が、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、上側の環状柱横線材8とを囲むように配置される。
また、下部の係止片32が、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、下側の環状柱横線材8とを囲むように配置され、各係止片32の長尺脚部41に渡って、継手部4間においてボルト17を挿通して連結することで、隣り合う線材格子フェンスパネル1と筒状支柱6との前後方向の一体化を図るようにしている。
しかも前記実施形態では、筒状支柱6の前面側において、左右方向に隣り合う線材格子フェンスパネル1における前部のリング状横線材3の側部の継手部4の縦部分4bを、その前部側に配置された係止金具35の係止脚部36間に配置することで、さらに係止金具35を前記のボルト17を利用して前後一対の係止片32に取り付けることで、左右方向に隣り合う線材格子フェンスパネル1が左右方向に離反するのを防止し、しかも筒状支柱6との左右方向の一体化を図っている。
前記の係止片32の左右方向の巾寸法L1(図20参照)が、筒状支柱6における前面側の左右方向に隣り合う柱縦線材7間の寸法L2よりも若干小さい寸法とされていることで、また、ボルトにより締め付け固定することで、左右の線材格子フェンスパネル1の左右方向のずれをなくしている。
【0027】
前記実施形態の変形形態として、図示を省略するが、各係止片32の前面側に左右方向に間隔をおいて前方に突出する係止脚部を一体に設け、各係止脚部を、左右の線材格子フェンスパネル1の縦部分4bを拘束するように係合させることで、係止金具を省略することも可能である。この場合には、係止脚部を有する各係止片32を、前後の線材格子フェンスパネル1における継手部4間に挿入するようにすればよい。
【0028】
図19及び図22には、線材格子フェンスパネル1におけるリング状横線材3の側端の継手部4と、筒状支柱6との取り付け構造が示されている。ボルト挿通孔31を有する上下一対の係止片32及びボルト・ナットにより固定する構造とされている。
端部側では、線材格子フェンスパネル1の一端部の各後部のリング状横線材3の継手部4を筒状支柱6に固定すればよいことから、継手部4の縦部分をボルト17よりも左右方向の外側に位置するように筒状支柱6の前面側に配置し、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、上下の環状柱横線材8とを囲むように、係止溝30を有すると共にボルト挿通孔31を有する上下一対の係止片32が環状柱横線材8及び継手部4に嵌合され、各係止片32をボルト17及びこれにねじ込まれるナット18からなる第1の継手金物13により連結一体化することで、線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6の前面側に固定している。
【0029】
図23に示すように、線材格子フェンスパネル1におけるリング状横線材3の左右方向の他端側を筒状支柱6の前面に配置できない場合には、湾曲縦線材2における縦線材間のリング状横線材3を、上下一対の係止片32及びボルト17及びナット18による第1の継手金物13により、筒状支柱6に取り付けるようにしてもよい。
【0030】
フェンスの端部側において線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6に接合する場合には、筒状支柱6は柱縦線材7を前後方向及び左右方向に間隔をおいて配置されていることから、図15に示すように、筒状筒状支柱6の側面にも、前面側の線材格子フェンスパネル1と同じ高さ位置に、同様な側面の線材格子フェンスパネル1を配置して、第1の継手金物13により、前記と同様に筒状支柱6に取り付けることができる。この場合、敷地境界線上又はその近傍に線材格子フェンス1又は筒状支柱6を配置する。
【0031】
平面視で一辺が傾斜しているような特殊な敷地形状によっては、図16に示すように、筒状支柱6の前面側に線材格子フェンスパネル1の一端側の継手部4を、筒状支柱6の側面における上下の環状柱横線材8間に差し込むように挿入配置して、第2の継手金物53により継手部4を筒状支柱6に接合し、他端側の継手部4を筒状支柱6の前面側における上下の環状柱横線材8間に配置して第1の接合金物13(又は第3の接合金物33により継手部4を接合するようにしてもよい。
この場合に、間隔をおいて隣り合う筒状支柱6は、平面視で同じ敷地内又は敷地境界線上に配置して、線材格子フェンスパネル1を傾斜させて配置して、端部の継手部を接合するようにしてもよい。
【0032】
前記のように、本発明では、一端部に同じ形状の継手部4(図示の形態では、両端部に同じ形状の継手部4)を備えた複数の線材格子フェンスパネル1と、前記筒状支柱6と、接合金物を組み合わせて、フェンスを設置する場合の要望及び設置条件並びに敷地境界に的確に対応可能な線材格子フェンスを構築することができる。また、同様な線材格子フェンスパネル1と筒状支柱6と接合金物を用いて線材格子フェンスを構築することができるため、施工も容易であり、熟練を要することなく、施工することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 線材格子フェンスパネル
2 湾曲縦線材
2a 湾曲接続部
2b 縦線材
3 リング状横線材
4 継手部
4a 横部分
4b 縦部分
5 短尺横線材
6 筒状支柱
7 柱縦線材
8 環状柱横線材
9 基礎
10 溝付き金具
11 接続板部分
12 座金
13 継手金物(第1の継手金物)
14 脚部
15 ボルト挿通孔
16 溝
17 ボルト
18 ナット
19 溝
20 係止部
21 傾斜面
30 係止溝
31 ボルト挿通孔
32 係止片
34 ボルト挿通孔
35 係止金具
36 係止脚部
39 円弧状接続部
40 短尺脚部
41 長尺脚部
53 継手金物(第2の継手金物)
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の庭や公園等に設置される線材格子フェンスの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線材格子からなるフェンスとしては、フェンスパネルと支柱とが、それぞれ別体とされて、フェンスパネルを支柱に固定する形態の支柱別体型のフェンスが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、線材格子からなるフェンスパネルの少なくとも一端側に支柱を一体に備えた支柱一体型フェンスパネルも知られている(例えば、特許文献3〜5参照)。
また、線材格子フェンスパネルの上端部を湾曲させて、線材格子フェンスパネルの上端部に、長手方向に連続した胴縁を形成するようにして線材格子フェンスパネルの剛性を高めるようにした形態のフェンス又はフェンスパネルも知られている(例えば、特許文献3〜5参照)。
また、線材格子フェンスパネルの上端部を湾曲させて胴縁を形成することなく、線材格子フェンスパネル自体の剛性を高めるために、横線材を縦線材の前後から挟みつけるようにした形態のフェンスパネルも知られている(例えば、特許文献6〜8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭64−36877号公報
【特許文献2】実公平6−38893号公報
【特許文献3】特開平1−2232275号公報
【特許文献4】特公平5−39390号公報
【特許文献5】実公昭62−43093号公報
【特許文献6】実開昭58−19062号公報
【特許文献7】特公平2−58015号公報
【特許文献8】特公平1−37546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
住宅と住宅の敷地の境界にフェンスを設置する場合には、隣接する居住者または所有者の合意により境界線上に設置する場合と、境界線上に跨らず、いずれかの一方の敷地内に設置する場合とがある。
先行技術文献に示した例の場合に、敷地境界線上に設置する支柱及びフェンスパネルと敷地境界線上にでなく、敷地内にフェンスパネルと支柱を連続して設置する場合には、異なる支柱及びフェンスパネルを使用しなければならなかった。
敷地所有者が異なる隣接する敷地が2つの場合による一つの敷地境界線の場合、あるいは隣接する敷地が3以上の場合の複数の敷地境界線の場合等に、敷地境界線上にフェンスを立設する合意がある場合には、敷地境界線上に基礎及び支柱並びにフェンスパネルの中心軸線が位置するように連続して設置することができ、敷地境界線上にフェンスを立設する合意が得られない場合には、敷地境界線に接近して敷地内に基礎及び支柱並びにフェンスパネル設けるようになる。
このように敷地境界線上にフェンスパネルを設置する場合あるいは、敷地境界線に接近してフェンスパネルを設置する場合に、同じフェンスパネルと支柱とを用いると共に簡単な継手金物で対応可能なフェンスの施工方法になると、容易に施工でき、安価なフェンスを構築することができため、そのようなフェンスの施工法が要望される。
そこで、本発明は、そのような要望に対応可能な設置形態の選択の自由度の高く、同じ形状の線材格子フェンスパネルを複数用いて、筒状支柱における側面の環状柱横線材間に配置して継手金物により接合したり、筒状支柱における環状柱横線材間に挿入するように配置して継手金物により接合可能な線材格子フェンスの施工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明の線材格子フェンスの施工法では、
基礎上に立設した線材格子を備えた支柱に線材格子からなる線材格子フェンスパネルを取り付けて構成する線材格子フェンスの施工法であって、
前記支柱は、3本以上の柱縦線材にその上下方向に間隔をおいた多数の環状柱横線材を接合した筒状支柱とされ、
前記線材格子フェンスパネルは、上下に間隔をおいた横線材部分を有するリング状横線材を備え、上下方向に間隔をおいて配置されたリング状横線材の左右方向の両端部は、前記線材格子フェンスパネルにおける左右両端部の縦線材から左右方向の外側に突出するように設けられ、リング状横線材の左右方向の端部に、上下の横線材部分と前記各上下の横線材部分とを接続する接続部分を有する継手部を備えた線材格子フェンスパネルであり、
前記筒状支柱の下端部を基礎に埋め込み固定した後、
前記筒状支柱外側面の一つに前記線材格子フェンスパネルのリング状横線材の端部を当接して継手金物により接合し、
前記筒状支柱外側面の他の側面に別の線材格子フェンスパネルのリング状横線材の端部を挿入して継手金物で接合すること
を特徴とする。
第2発明の線材格子フェンスの施工法においては、
3者以上のそれぞれ所有者の異なる隣接する土地の敷地境界に、第1発明の線材格子フェンスパネルと筒状支柱からなるフェンスを設置するにあたり、
敷地境界線上にフェンスを設置することを合意していない敷地境界では、一方の敷地内に基礎及び筒状支柱を設置し、該筒状支柱の外側面にフェンスパネルの横線材端部を接合して前記一方の敷地内と同じ敷地内に設置し、
境界線上に設置することを合意した敷地境界では、前記筒状支柱の一つの側面から線材格子フェンスパネルのリング状横線材を挿入して接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、端部に継手部を備えた複数の線材格子フェンスパネルと、筒状支柱と、接合金物を組み合わせて、線材格子フェンスパネルの一端側の継手部を筒状支柱の外側面に配置したり、筒状支柱の外側面から差し込むように配置して少ない種類の接合金物により接合することにより、3つ以上の土地所有者の異なる敷地境界に的確に対応可能な線材格子フェンスを構築することができる等の効果が得られる。また、同じ形状の線材格子フェンスパネルと筒状支柱と接合金物を用いて線材格子フェンスを構築することができるため、施工も容易であり、熟練を要することなく、施工することができる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】敷地境界部における一つの支柱に対して、支柱の前面側及び側面側に線材格子フェンスパネルを配置すると共に前記筒状支柱に対して線材格子フェンスパネルを差し込むように配置した形態を示す一部横断平面図、図2の一部を拡大して示す図である。
【図2】本発明の方法により線材格子フェンスパネルを筒状支柱に設置した線材格子フェンスを示す平面図である。
【図3】図2に示す線材格子フェンスの正面図である。
【図4】(a)は本発明のフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの上部の取り付け部を示す図(図3のA部を拡大して示す図)で、左側における手前側のリング状横線材の継ぎ手部を一部切欠いて示す正面図で、(b)は図1のa−a線断面図である。
【図5】(a)は本発明のフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの下部の取り付け部を示す図(図3のB部を拡大して示す図)で、左側における手前側のリング状横線材の継ぎ手部を一部切欠いて示す正面図で、(b)は(a)のb−b線断面図である。
【図6】(a)は、図4(a)又は図5(a)の縦断正面図、(b)は(a)のc−c−線断面図である。
【図7】(a)は本発明におけるフェンスに用いられる線材格子フェンスを示す正面図、(b)は平面図である。
【図8】(a)は図1に示す線材格子フェンスの側面図、(b)は本発明におけるフェンスに用いられる線材からなる筒状支柱を示す正面図、(c)は(b)の平面図である。
【図9】敷地境界部における一つの支柱に対して、線材格子フェンスパネルを支柱の前面側に配置すると共に筒状支柱の背面側及び側面側に線材格子フェンスパネルを差し込むように配置した形態を示す一部横断平面図、図10の一部を拡大して示す図である。
【図10】本発明の方法により線材格子フェンスパネルを筒状支柱に設置した線材格子フェンスを示す横断平面図である。
【図11】図10に示す線材格子フェンスの正面図である。
【図12】(a)は本発明のフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの上部の取り付け部を示す図(図11のA部を拡大して示す図)で、左側における手前側のリング状横線材の継ぎ手部を一部切欠いて示す正面図で、(b)は図9のb−b線断面図である。
【図13】(a)は本発明のフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの下部の取り付け部を示す図(図11のB部を拡大して示す図)で、左側における手前側のリング状横線材の継ぎ手部を一部切欠いて示す正面図で、(b)は図12(b)に対応した断面図である。
【図14】(a)は図9のc−c線断面図、(b)は(a)のd−d線断面図である。
【図15】(a)は線材格子フェンスパネルの中間部を筒状支柱の前面側に配置した形態を示す横断平面図、(b)は、線材格子フェンスパネルの端部を筒状支柱の前面側及び側面側に配置した形態を示す横断平面図である。
【図16】敷地境界部における一つの支柱に対して、一方の筒状支柱の前面側及び側面側に配置すると共に他方の筒状支柱に対して差し込むように配置すると共に側面に配置した形態を示す一部切り欠き横断平面図である。
【図17】フェンスにおいて用いる第2の継手金物の一形態を示す斜視図である。
【図18】(a)は本発明の線材格子フェンスを用いたフェンスにおいて用いる係止片の一方を示す斜視図、(b)は係止脚部を有する係止金具を示す斜視図である。
【図19】(a)は本発明の一実施形態の線材格子フェンスパネルを用いたフェンスの他の例を示す一部切欠き正面図、(b)は平面図である。
【図20】(a)は本発明の線材格子フェンスパネルを用いたフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの上部の取り付け部を示す正面図で、図19のA部付近を拡大して示す図であり、(b)は(a)の横断平面図、(c)は(a)のe−e線断面図である。
【図21】(a)は本発明の線材格子フェンスパネルを用いたフェンスにおける筒状支柱と線材格子フェンスとの下部の取り付け部を示す正面図で、図19のB部付近を拡大して示す図であり、(b)は(a)の横断平面図、(c)は(a)のf−f線断面図である。
【図22】(a)は本発明のフェンスの端部側の筒状支柱と線材格子フェンスとの上部の取り付け部を示す正面図で、図19の端部の上部付近を拡大して示す図であり、(b)は(a)の横断平面図、(c)は(a)のg−g線断面図である。
【図23】(a)は本発明のフェンスの端部側の筒状支柱と線材格子フェンスとの他の取り付け形態を示す正面図であり、(b)は(a)の横断平面図、(c)は(a)のh−h線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
まず、図7及び図8(a)を参照して、本発明において用いる線材格子フェンスパネル1の一実施形態について説明すると、上端が半円状(図示の場合)又は弧状或はコ字状等に湾曲した湾曲接続部2aを介して、下方に平行に2本の縦線材2bが伸びる複数(図示の場合は多数)の湾曲縦線材2が横方向に間隔をおいて同じ高さで配置され、前記各湾曲縦線材2の片面側(前面側)に渡って、リング状横線材3が上下方向に間隔をおいて複数配置されて前記各湾曲縦線材2に溶接により接合されている。
また、少なくとも最上段の前面側のリング状横線材3の背面側には、各湾曲縦線材2を挟んで、後面側のリング状横線材3が前記各湾曲縦線材2に溶接により接合されて、剛性が高められている。
最上段の前後の前記各リング状横線材3は、湾曲縦線材2における上端から下方に離れた位置に設置されていることで、線材格子フェンスパネル1における上端が連続した水平部分を形成することなく、湾曲接続部2aが間隔をおいて形成された不連続状態としていることから、小動物(猫等)が乗る場所をなくし、小動物の歩行及び走行を困難にしている。湾曲縦線材2の上端は、コ字状よりも弧状或は半円状、半円状よりも逆V字状とする方が、小動物(猫等)が乗る場所がなくなる分、好ましいが、図示のように半円状とする方が怪我をする恐れがなく人にやさしい形状である。
【0010】
図示の形態では、最下段の前面側のリング状横線材3の背面側には、各湾曲縦線材2を挟んで、後面側のリング状横線材3が前記各湾曲縦線材2に溶接により接合されて、剛性が高められ、胴縁を必要としない形態の安価な線材格子フェンスパネル1としている。
前記の各リング状横線材3は、その両側端は、端部側の湾曲縦線材2よりも、横方向に突出するように設けられて継手部4を形成している。
図示の実施形態では、前記の継手部4は、リング状横線材3における上下の横線材端部による水平な横部分4aと、横部分4aを接続する垂直な縦部分4bとを備えている。
突出した継手部4の形態としては、図示のように、コ字状でも、弧状又は半円状でもよいが、縦部分4bを備え、上下の横線材相互を接続してリング状としていればよい。前記の縦部分4bは垂直である方が、隣り合う線材格子フェンスパネル1の縦部分4b間の間隙が小さくなり、網目が小さくなるから望ましい。
各リング状横線材3内には、リング状横線材3の横長さ寸法よりも短い短尺横線材5が、両側端の湾曲縦線材2に渡って配置されて、各湾曲縦線材2に溶接により固定されて、短尺横線材5がリング状横線材3から横長さ方向に突出しないように設けられている。
上下に間隔をおいたリング状横線材3間には、各湾曲縦線材2の後面側において、前記短尺横線材5と同様な、短尺横線材5がリング状横線材3から横長さ方向に突出しないように設けられている。
前記のリング状横線材3における横線材部分と短尺横線材5とが、上下方向に等間隔をおいて密に配置されていることで、網目を小さくして、小動物の侵入を防止可能にされている。短尺横線材5は、湾曲縦線材2の下部、又は下部と中間部に、接合されている線材格子フェンスパネル1とされていると、網目を小さくして、小動物の侵入を確実に防止することができる。
前記各短尺横線材5がリング状横線材3から横長さ方向に突出しないように設けられていることで、短尺横線材5の端部により怪我をしないようにされている。特に、リング状横線材3に同面状に配置された短尺横線材5に接触する前に、リング状横線材3に接触するようになるため、怪我をする恐れが少なく安全性が向上している線材格子フェンスパネル1とされている。
なお、前記の湾曲縦線材2又はリング状横線材3或は短尺横線材5としては、例えば、丸鋼棒が用いられる。
【0011】
次に、図8(b)(c)を参照して、本発明の線材格子フェンスに用いる筒状支柱6について説明する。
左右方向及び前後方向に間隔をおいて同じ高さ位置に配置された3本以上(図示の場合は、4本)の柱縦線材7に対して、各柱縦線材7を囲むように、前記各柱縦線材7の上下方向に間隔をおいて、長方形又は矩形環状等の環状柱横線材8を配置し、各柱縦線材7に環状柱横線材8を接合して、筒状鉄筋籠状の筒状支柱6が形成されている。前記の柱縦線材7が3本以上の筒状支柱6の場合に、平面視で柱縦線材7は少なくとも各コーナー部に配置される。
下端側の一つ又は複数の環状柱横線材8及び柱縦線材7の下端部は、基礎9に埋め込み固定され、下端側の一つ又は複数の環状柱横線材8は抜け出し防止用アンカー材として機能する。前記の環状柱横線材8及び柱縦線材7としては、丸鋼棒が用いられる。
上下間の各環状柱横線材8は、線材格子フェンスパネル1側におけるリング状横線材3及び短尺横線材5と高さ位置が異なるように設けられている。
最上段の環状柱横線材8とこれに間隔をおいて下側で隣接する下位の環状柱横線材8間の間隔を、リング状横線材3における端部の継手部4又は中間部の上下横線材間の高さ寸法よりも若干大きい寸法とされて、筒状支柱6の前面側における上下の環状柱横線材8間にリング状横線材3の端部の継手部4又は中間部を配置可能にされている。このようにすることで、筒状支柱6の前面側において横方向に隣り合う、線材格子フェンスパネル1の側端の継手部4相互を配置したり、リング状横線材3の中間部を配置できるようにされている。
【0012】
図1に3人の土地所有者の例を示す。KさんとLさんは、両者の敷地の境界にフェンスを設置するにあたり、境界線上に線材格子フェンスパネル1を設置することで合意ができた。LさんとMさんとの間でも境界線上に線材格子フェンスパネル1を設置することで合意ができた。ところが、KさんとMとの間では、合意ができなかったが、Kさんは、どうしても、Mさんとの境界にフェンスが必要なので、Kさんの敷地内に設置することとした事例を示す。
【0013】
(線材格子フェンス及びその構築方法について)
前記のフェンス設置条件を満足させるために、筒状支柱6を自分の敷地K内に設置した形態を図1に示す。図1に示す形態は、3つ以上の所有者の異なる敷地が隣り合う敷地境界付近のKの敷地に1つの筒状支柱6を配置して、その筒状支柱6に対して、複数枚(3枚以上)の線材格子フェンスパネル1を組み込んだ形態である。
前記のような形態を可能にするため、図4,5に示すように、線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6に取り付ける場合には、例えば、筒状支柱6の前面側又は側面側の上下の環状柱横線材8間に線材格子フェンスパネル1の継手部4を配置して継手金物により固定したり、筒状支柱6の前面(又は背面)側の上下の環状柱横線材8間に、線材格子フェンスパネル1の継手部4を差し込むように配置して継手金物により固定することで、同じ継手金物又は異なる継手金物を使用して、筒状支柱6に複数の線材格子フェンスパネル1を固定できるようにしている。
【0014】
次に、より具体的に、前記の線材格子フェンスパネル1を線材筒状支柱6に、第1の継手金物13、第2の継手金物53、前記第1の継手金物13又は第2の継手金物53を第3の箇所の継手金物として用いて固定して、フェンスを構築する形態について説明する。
【0015】
図1〜図6は、3つの敷地K,L,Mが隣接する、或は3つの敷地K,L,Mに分割する場合のフェンスの構築方法を説明するための説明図であり、図1に示すように、2点鎖線示す隣地K,L,Mとの敷地境界線X、Yがある場合に適用した形態である。
図2又は図3に示すように、敷地K,Mとの敷地境界X及び敷地K,Mとの敷地境界Yに沿って敷地K内に沿って立設された筒状支柱6は、横方向に間隔をおいて配置されて、各筒状支柱6の下端部が、地盤に構築されたコンクリート基礎又は中空部を有するコンクリートブロック積み基礎に充填されるモルタルにより埋め込み固定されて、基礎9に立設固定される。
また、敷地K,Lとの敷地境界線に線材格子フェンスパネル1の中心軸線が位置するように基礎及び筒状支柱6をK敷地内に寄せて設けた形態が示されている。
【0016】
前記のようにして各筒状支柱6の下端部を基礎9に固定した後、筒状支柱6に複数の線材格子フェンスパネル1が順次設置されて線材格子フェンスが構築されている。
【0017】
次に、図1における筒状支柱6の側周面のうちの前面側左に設置され、敷地境界線Xに線材格子フェンスパネル1の中心軸線が一致するように設置されている線材格子フェンスパネル1と筒状支柱6の取り付け形態について説明する。
図4〜図6に線材格子フェンスパネル1における最上段及び最下段のリング状横線材3の継手部4の取り付け構造を示すように、図1における筒状支柱6の前面側の左側に配置された線材格子フェンスパネル1は、その線材格子フェンスパネル1における最上段及び最下段のリング状横線材3の側端の継手部4が、筒状支柱6に対して第1の継手金物13により取り付けられている。
前記の第1の継手金物13は、継手ボルト挿通孔11を有する上下一対の係止片32(図18(a)参照)及びボルト17・ナット18を備えた継手金物で、これにより固定する構造とされている。
線材格子フェンスパネル1の端部の継手部4を筒状支柱6に固定する一端部側では、線材格子フェンスパネル1の一端部の各後部のリング状横線材3の継手部4を筒状支柱6に固定すればよいことから、継手部4の縦部分をボルト17よりも左右方向の外側(右側)に位置するように筒状支柱6の前面側に配置し、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、上下の環状柱横線材8とを囲むように、係止溝30を有すると共にボルト挿通孔31を有する上下一対の係止片32が、環状柱横線材8及び継手部4に嵌合され、各係止片32をボルト17及びこれにねじ込まれるナット18からなる第1の継手金物13により連結一体化することで、線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6の前面側に固定している。
前記のように線材格子フェンスパネル1の平面中心軸線を、敷地境界線Xに合致するように筒状支柱6に設置することができる。
図1における筒状支柱6の左側面に位置するように奥部側に設置されている線材格子フェンスパネル1(1C)は、前記の第1の継手金物13と同じものを第3の継手金物として用いて、線材格子フェンスパネル1(1C)の平面中心軸線を敷地境界線Yに合致するように配置して、継手金物13により筒状支柱6に固定している。
【0018】
図1における筒状支柱6の右側に設置された線材格子フェンスパネル1は、線材格子フェンスパネル1と筒状支柱6との上端部及び下端部の取り付け部をそれぞれ拡大して示す図4(a)及び図5(a)、又は一部を拡大して示す図6に示すように、筒状支柱6及び線材格子フェンスパネル1は、敷地K内に位置するように設置するべく、線材格子フェンスパネル1は、その各リング状横線材3における継手部4が筒状支柱6内に挿入配置される。
このように、各リング状横線材3における左右両端の継手部4を、隣り合う筒状支柱4内にそれぞれ挿入配置するために、平面視の左右方向で、リング状横線材3における左右方向一方の継手部4の先端から左右方向他方の湾曲縦線材2の端部の縦線材2b外側までの寸法L3(図7参照)が、間隔をおいて隣り合う筒状支柱6における環状柱横線材8間の距離L4(図2参照)より長いと、線材格子フェンスパネル1における一側部の各継手部4のほぼ全体を一方の筒状支柱6内に挿入配置するように線材格子フェンスパネル1を一方にスライド移動させると、他側部の各継手部4を他方の筒状支柱6の側面に対向するように配置することができ、その状態で、他方の各継手部4を他方の筒状支柱6内に挿入するように、線材格子フェンスパネル1を他方にスライド移動させることで、線材格子フェンスパネル1を、筒状支柱6間に配置することができる。この場合に、筒状支柱6における環状柱横線材8上に、リング状横線材3における下側の横部分4aを載置した状態でスライド移動することができるため、線材格子フェンスパネル1を容易に筒状支柱6間に配置し、筒状支柱6における環状柱横線材8上に載置することができる。
上端部及び下端部又は必要に応じ、中間部に位置するリング状横線材3における継手部4が筒状支柱6に継手金物を用いて取り付けられる。
なお、格子状フェンスパネル1側の各短尺横線材5と、筒状支柱6側の各環状柱横線材8とは、異なる高さ位置となるように設けられている。
【0019】
図示の形態では、右側の線材格子フェンスパネル1の左右両端は、上端部及び下端部が第2の継手金物53を用いて取り付けられている。
各筒状支柱6の各側面側における縦中心軸線(又は平面視の中心軸線)に対して、湾曲縦線材2の中心軸線が一致又は近接するように、各線材格子フェンスパネル1の継手部4が配置される。
また、線材格子フェンスパネル1における最上段の前後(正面側及び背面側)のリング状横線材3の継手部4と、最下段の前後のリング状横線材3の継手部4とが、それぞれ、上部の間隔をおいた上下一対の環状柱横線材8間、及び下部の上下一対の環状柱横線材8間における下側の環状柱横線材8上に載置されるように配置される。
そして、各前後のリング状横線材3の側端の各継手部4における上部の横部分4aと、間隔をおいた上下一対の環状柱横線材8における上部の環状柱横線材8とは、第2の継手金物53により接合されている。また、各継手部4における下部の横部分4aと、間隔をおいた上下一対の環状柱横線材8における下部の環状柱横線材8とは、反転配置された第2の継手金物53により接合されている。
前記の各第2の継手金物53は、前後のリング状横線材3の継手部4における横部分4aを把持固定する部分を備えている。前記の把持固定する部分は、図示の形態では、溝付き金具10(図17参照)における接続板部分11と座金12とボルト17及びナット18とにより形成されている。
図17にボルト17・ナット18を省略して分解して示すように、第2の継手金物53は、両側部に脚部14を有する断面溝形の接続板部分11にボルト挿通孔15を設け、脚部14と接続板部分11とにより形成される溝16内に挿入可能な巾寸法とされた座金12を備え、前記接続板部分11のボルト挿通孔15と座金12に挿通されるボルト17及びこれにねじ込まれるナット18を備えている。接続板部分11に雌ねじ孔を設けてボルトをねじ込むようにすれば、ナットを省略する形態とすることも可能である。
前記の接続板部分11に、環状柱横線材8の線材部分を嵌合係止するため溝19を備えた係止部20が一体に連設されている。
環状柱横線材8の線材部分を嵌合係止する係止部20の溝19は、環状柱横線材8の線材の断面半径よりも深い溝深さとするとよく、係止部20の溝側の内側面は先端に向かって溝が浅くなるように傾斜面21とされていることで、溝付き金具10の環状柱横線材8に対する嵌合係止を、傾斜面21を利用して確実にガイドして、配置可能にしている。
図示の形態では、前記の溝付き金具10と座金12とボルト・ナット等を備えた第2の継手金物53とされているが、環状柱横線材8の線材部分を把持するクランプ部を備えた継手金物としてもよい。
図示の実施形態では、前後のリング状横線材3における上部の各横線材部分を把持固定する第2の継手金物53は、リング状横線材3の上側に配置されて、筒状支柱6側の上下一対の環状柱横線材8における上側の環状柱横線材8にその上側から嵌合係止され、また、前後のリング状横線材3における下部の各横線材4a部分を把持固定する第2の継手金物53は、リング状横線材3の下側に配置されて、前記筒状支柱6側の上下一対の環状柱横線材8における下側の環状柱横線材8にその下側から嵌合係止されているので、上下の第2の継手金物53により、線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6に対して、上下方向及びフェンスパネル長手方向の横方向に拘束した状態で、筒状支柱6に取り付けることができる。
【0020】
ここで、図17を参照して、前記の第2の継手金物53についてさらに説明すると、継手金物53における前記の接続板部分11と係止部20とは、一枚の鋼板が折り曲げ加工されて形成されている。接続板部分11における脚部14間の寸法は、前後のリング状横線材3における継手部4の外側間の寸法よりも僅かに大きくされ、前後の継手部4間にボルト17を挿通可能にするために、接続板部分11のほぼ中央部にボルト挿通孔15を備えている。
また、前記の座金12は、矩形状鋼板にボルト挿通孔が設けられた形態とされ、接続板部分11の内側面に近接するように座金12の側面が配置されることで、座金12の回り止めを図っている。また、座金12により各継手部4の横線材4aによる横部分4aの下側を接続板部分11に向かって押圧するようにして、各横部分4aを把持固定するようにされている。
【0021】
前記のように、同じ線材格子フェンスパネル1と同じ筒状支柱6を用いて、敷地境界線XとYがある場合に、筒状支柱6を敷地境界付近に正確に設置すると共に、その筒状支柱6に対して、複数の線材格子フェンスパネル1を、敷地境界線X又はYに対して、平面中心軸線が一致(敷地K,L又は敷地L,Mとの関係)又は近接(敷地K,Mとの関係)するように正確に配置して、筒状支柱6に設置することができるようにされている。
【0022】
前記のような線材格子フェンスを構築する方法では、敷地境界付近の所定の位置に基礎15に固定するように筒状支柱6を立設し、少なくとも1枚の線材格子フェンスパネル1はその端部の継手部4を前記筒状支柱6の側面(前面側又は側面側)に配置して第1の継手金物13により前記筒状支柱6に接合し、少なくとも他の1枚の線材格子フェンスパネル1はその端部の継手部4を前記筒状支柱6における上下に隣り合う環状柱横線材8間に挿入するように配置して第2の継手金物53により前記筒状支柱6に接合することで、一つの筒状支柱6に対して集合させるようにして、線材格子フェンスを構築することができる。また、前記の第1の接合金物13と同じ接合金物を第3の接合金物として用いて、さらに他の線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6の奥部側面に接合することで、異なる敷地所有者の要望に確実に対応して、同じ線材格子フェンスパネル1及び筒状支柱6を用いて、熟練を必要としないで容易に施工することができるようにされている。
【0023】
(線材格子フェンスの構築方法の他の形態について)
次に、図9〜14に示されている他の形態の線材格子フェンスについて説明する。
前記の形態と異なる点は、この形態では、KさんとLさんとの間で筒状支柱6をその中心軸線を敷地境界線Yに一致させるように合意されている場合の設置形態で、Kさんの敷地Kと、Lさんの敷地Lとの敷地境界線上に線材格子フェンスパネル1と筒状支柱6の中心軸線が一致するように線材格子フェンスを構築した形態である。
【0024】
図9において、筒状支柱6における周側面のうち、前面側の左に設置されている線材格子フェンスパネル1は、前記と同様に第1の継手金物13により筒状支柱6に接合され、前記筒状支柱6における右側面側において、線材格子フェンスパネル1における各リング状横線材3の継手部4を、上下の環状柱横線材8間に差し込むように挿入配置して第2の接合金物53により固定するようにして設置している点は、前記と同様であるので、同様な要素には、同様な符号を付している。
また、図9に示す形態では、筒状支柱6の背面側において、線材格子状フェンスパネル1におけるリング状横線材3の端部の継手部4を、上下の環状柱横線材8間に差し込むように配置し、また、敷地境界線Yに線材格子フェンスパネル1の中心軸線を合致するように配置し、前記の第2の接合金物53と同じ金物を第3の接合金物として用いて、各線材格子状フェンスパネル1を敷地境界線X,Yに確実に設置するようにしている。
【0025】
KさんとMさんとの合意があり、線材格子フェンスパネル1の平面中心軸線を敷地境界線Xと一致させることができる場合には、筒状支柱6に対して、線材格子フェンスパネル1を前面側に左右対称に配置できる場合には、図19〜図21に示すように、さらに、第1の継手金物13にさらに図18(b)に示すような金物を付属させた第1の継手金物13とすることで、筒状支柱6に対して左右対称に線材格子フェンスパネル1を配置して、接合するようにしてもよい。
前記の形態についてさらに、図19におけるA部及びB部を拡大して示す図20及び図21を参照して説明する。
図示の形態では、線材格子フェンスパネル1は、その最上段及び最下段の継手部4が、それぞれ第1の継手金物13を用いて取り付けられている。
各筒状支柱6の前面側における縦中心軸線に対して、左右対称に、各線材格子フェンスパネル1の継手部4が配置される。
かつ、線材格子フェンスパネル1における最上段の後部(背面側)のリング状横線材3の継手部4と、最下段の後部のリング状横線材3の継手部4とが、それぞれ、上部の上下一対の環状柱横線材8間、及び下部の上下一対の環状柱横線材8間における下側の環状柱横線材8上に載置されるように配置される。そして、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、上下の環状柱横線材8とを囲むように、係止溝30を有すると共にボルト挿通孔31を有する上下一対の係止片32(図18a参照)を備えた第1の継手金物13における前記係止片32が前記環状柱横線材8及び継手部4に嵌合される。
また、前部側のリング状横線材3の継手部4における縦部分4bを利用して、隣り合うリング状横線材3の縦部分4b相互が離反しないように、ボルト挿通孔14を有する断面コ字状の係止金具35(図18a参照)における各係止脚部36間に各縦部分4bが位置し、各係止脚部36が係止片32側に向くように配置して、上下一対の係止片32のボルト挿通孔31と、係止金具35のボルト挿通孔34とに渡って、第1の継手金物13におけるボルト17の軸部が挿通されると共にナット18がねじ込まれて、左右の線材格子フェンスパネル1における継手部4は筒状支柱6に取り付けられている。また、隣り合う線材格子フェンスパネル1の継手部4を利用して、筒状支柱6の前面側においても、フェンスパネルの網目を形成するようにすることができる。
前記の係止金具35は、鋼板が折り曲げ形成されて、本体部の両側に各係止脚部36が形成されると共に本体部にボルト挿通孔34が形成されて、断面コ字状の係止金具とされ、係止脚部36の突出長さ寸法は、リング状横線材3の線径と同じか、僅かに小さい寸法とされ、リング状横線材3を係止片35に向かって押圧可能にされていることが望ましい。
【0026】
ここで、図18を参照して、前記の上下一対の係止片32についてさらに説明すると、各係止片32は、長方形の鋼板がその中間部で円弧状に折り曲げられて、円弧状接続部39を介して短尺脚部40と長尺脚部41が形成されていると共に各脚部の円弧状接続部39の内側に係止溝30が形成され、また、長尺脚部41の先端側には、ボルト挿通孔を備えている。
前記のような係止片32を、図に示すように、上下点対称になるように配置し、かつ上部の係止片32が、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、上側の環状柱横線材8とを囲むように配置される。
また、下部の係止片32が、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、下側の環状柱横線材8とを囲むように配置され、各係止片32の長尺脚部41に渡って、継手部4間においてボルト17を挿通して連結することで、隣り合う線材格子フェンスパネル1と筒状支柱6との前後方向の一体化を図るようにしている。
しかも前記実施形態では、筒状支柱6の前面側において、左右方向に隣り合う線材格子フェンスパネル1における前部のリング状横線材3の側部の継手部4の縦部分4bを、その前部側に配置された係止金具35の係止脚部36間に配置することで、さらに係止金具35を前記のボルト17を利用して前後一対の係止片32に取り付けることで、左右方向に隣り合う線材格子フェンスパネル1が左右方向に離反するのを防止し、しかも筒状支柱6との左右方向の一体化を図っている。
前記の係止片32の左右方向の巾寸法L1(図20参照)が、筒状支柱6における前面側の左右方向に隣り合う柱縦線材7間の寸法L2よりも若干小さい寸法とされていることで、また、ボルトにより締め付け固定することで、左右の線材格子フェンスパネル1の左右方向のずれをなくしている。
【0027】
前記実施形態の変形形態として、図示を省略するが、各係止片32の前面側に左右方向に間隔をおいて前方に突出する係止脚部を一体に設け、各係止脚部を、左右の線材格子フェンスパネル1の縦部分4bを拘束するように係合させることで、係止金具を省略することも可能である。この場合には、係止脚部を有する各係止片32を、前後の線材格子フェンスパネル1における継手部4間に挿入するようにすればよい。
【0028】
図19及び図22には、線材格子フェンスパネル1におけるリング状横線材3の側端の継手部4と、筒状支柱6との取り付け構造が示されている。ボルト挿通孔31を有する上下一対の係止片32及びボルト・ナットにより固定する構造とされている。
端部側では、線材格子フェンスパネル1の一端部の各後部のリング状横線材3の継手部4を筒状支柱6に固定すればよいことから、継手部4の縦部分をボルト17よりも左右方向の外側に位置するように筒状支柱6の前面側に配置し、各後部のリング状横線材3の側端の各継手部4と、上下の環状柱横線材8とを囲むように、係止溝30を有すると共にボルト挿通孔31を有する上下一対の係止片32が環状柱横線材8及び継手部4に嵌合され、各係止片32をボルト17及びこれにねじ込まれるナット18からなる第1の継手金物13により連結一体化することで、線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6の前面側に固定している。
【0029】
図23に示すように、線材格子フェンスパネル1におけるリング状横線材3の左右方向の他端側を筒状支柱6の前面に配置できない場合には、湾曲縦線材2における縦線材間のリング状横線材3を、上下一対の係止片32及びボルト17及びナット18による第1の継手金物13により、筒状支柱6に取り付けるようにしてもよい。
【0030】
フェンスの端部側において線材格子フェンスパネル1を筒状支柱6に接合する場合には、筒状支柱6は柱縦線材7を前後方向及び左右方向に間隔をおいて配置されていることから、図15に示すように、筒状筒状支柱6の側面にも、前面側の線材格子フェンスパネル1と同じ高さ位置に、同様な側面の線材格子フェンスパネル1を配置して、第1の継手金物13により、前記と同様に筒状支柱6に取り付けることができる。この場合、敷地境界線上又はその近傍に線材格子フェンス1又は筒状支柱6を配置する。
【0031】
平面視で一辺が傾斜しているような特殊な敷地形状によっては、図16に示すように、筒状支柱6の前面側に線材格子フェンスパネル1の一端側の継手部4を、筒状支柱6の側面における上下の環状柱横線材8間に差し込むように挿入配置して、第2の継手金物53により継手部4を筒状支柱6に接合し、他端側の継手部4を筒状支柱6の前面側における上下の環状柱横線材8間に配置して第1の接合金物13(又は第3の接合金物33により継手部4を接合するようにしてもよい。
この場合に、間隔をおいて隣り合う筒状支柱6は、平面視で同じ敷地内又は敷地境界線上に配置して、線材格子フェンスパネル1を傾斜させて配置して、端部の継手部を接合するようにしてもよい。
【0032】
前記のように、本発明では、一端部に同じ形状の継手部4(図示の形態では、両端部に同じ形状の継手部4)を備えた複数の線材格子フェンスパネル1と、前記筒状支柱6と、接合金物を組み合わせて、フェンスを設置する場合の要望及び設置条件並びに敷地境界に的確に対応可能な線材格子フェンスを構築することができる。また、同様な線材格子フェンスパネル1と筒状支柱6と接合金物を用いて線材格子フェンスを構築することができるため、施工も容易であり、熟練を要することなく、施工することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 線材格子フェンスパネル
2 湾曲縦線材
2a 湾曲接続部
2b 縦線材
3 リング状横線材
4 継手部
4a 横部分
4b 縦部分
5 短尺横線材
6 筒状支柱
7 柱縦線材
8 環状柱横線材
9 基礎
10 溝付き金具
11 接続板部分
12 座金
13 継手金物(第1の継手金物)
14 脚部
15 ボルト挿通孔
16 溝
17 ボルト
18 ナット
19 溝
20 係止部
21 傾斜面
30 係止溝
31 ボルト挿通孔
32 係止片
34 ボルト挿通孔
35 係止金具
36 係止脚部
39 円弧状接続部
40 短尺脚部
41 長尺脚部
53 継手金物(第2の継手金物)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎上に立設した線材格子を備えた支柱に線材格子からなる線材格子フェンスパネルを取り付けて構成する線材格子フェンスの施工法であって、
前記支柱は、3本以上の柱縦線材にその上下方向に間隔をおいた多数の環状柱横線材を接合した筒状支柱とされ、
前記線材格子フェンスパネルは、上下に間隔をおいた横線材部分を有するリング状横線材を備え、上下方向に間隔をおいて配置されたリング状横線材の左右方向の両端部は、前記線材格子フェンスパネルにおける左右両端部の縦線材から左右方向の外側に突出するように設けられ、リング状横線材の左右方向の端部に、上下の横線材部分と前記各上下の横線材部分とを接続する接続部分を有する継手部を備えた線材格子フェンスパネルであり、
前記筒状支柱の下端部を基礎に埋め込み固定した後、
前記筒状支柱外側面の一つに前記線材格子フェンスパネルのリング状横線材の端部を当接して継手金物により接合し、
前記筒状支柱外側面の他の側面に別の線材格子フェンスパネルのリング状横線材の端部を挿入して継手金物で接合すること
を特徴とする線材格子フェンスの施工法。
【請求項2】
3者以上のそれぞれ所有者の異なる隣接する土地の敷地境界に、請求項1に記載の線材格子フェンスパネルと筒状支柱からなるフェンスを設置するにあたり、
敷地境界線上にフェンスを設置することを合意していない敷地境界では、一方の敷地内に基礎及び筒状支柱を設置し、該筒状支柱の外側面にフェンスパネルの横線材端部を接合して前記一方の敷地内と同じ敷地内に設置し、
境界線上に設置することを合意した敷地境界では、前記筒状支柱の一つの側面から線材格子フェンスパネルのリング状横線材を挿入して接合することを特徴とする線材格子フェンスの施工法。
【請求項1】
基礎上に立設した線材格子を備えた支柱に線材格子からなる線材格子フェンスパネルを取り付けて構成する線材格子フェンスの施工法であって、
前記支柱は、3本以上の柱縦線材にその上下方向に間隔をおいた多数の環状柱横線材を接合した筒状支柱とされ、
前記線材格子フェンスパネルは、上下に間隔をおいた横線材部分を有するリング状横線材を備え、上下方向に間隔をおいて配置されたリング状横線材の左右方向の両端部は、前記線材格子フェンスパネルにおける左右両端部の縦線材から左右方向の外側に突出するように設けられ、リング状横線材の左右方向の端部に、上下の横線材部分と前記各上下の横線材部分とを接続する接続部分を有する継手部を備えた線材格子フェンスパネルであり、
前記筒状支柱の下端部を基礎に埋め込み固定した後、
前記筒状支柱外側面の一つに前記線材格子フェンスパネルのリング状横線材の端部を当接して継手金物により接合し、
前記筒状支柱外側面の他の側面に別の線材格子フェンスパネルのリング状横線材の端部を挿入して継手金物で接合すること
を特徴とする線材格子フェンスの施工法。
【請求項2】
3者以上のそれぞれ所有者の異なる隣接する土地の敷地境界に、請求項1に記載の線材格子フェンスパネルと筒状支柱からなるフェンスを設置するにあたり、
敷地境界線上にフェンスを設置することを合意していない敷地境界では、一方の敷地内に基礎及び筒状支柱を設置し、該筒状支柱の外側面にフェンスパネルの横線材端部を接合して前記一方の敷地内と同じ敷地内に設置し、
境界線上に設置することを合意した敷地境界では、前記筒状支柱の一つの側面から線材格子フェンスパネルのリング状横線材を挿入して接合することを特徴とする線材格子フェンスの施工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−202034(P2012−202034A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64971(P2011−64971)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【出願人】(593211636)株式会社ニッケンフェンスアンドメタル (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【出願人】(593211636)株式会社ニッケンフェンスアンドメタル (26)
【Fターム(参考)】
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