説明

線維芽細胞増殖因子受容体の活性の計測方法

【課題】FGFRの活性を簡便且つ精度よく定量的に測定する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】線維芽細胞増殖因子受容体の活性を定量的に測定する方法であって、線維芽細胞増殖因子受容体を細胞内で発現させる工程と、該発現された線維芽細胞増殖因子受容体を活性化させる工程と、前記活性化された受容体の前記細胞内における分布を表す画像を取得する工程と、前記得られた画像を解析する工程とを具備する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の活性を計測する方法に関する。より詳細には、本発明は、FGFRの活性化状態を、画像解析装置を使用して定量的に計測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)は、細胞の増殖、分化、神経伝達など様々な生理作用に重要な関わりがあることが知られている。現在、細胞表面に存在するFGFRの活性化状態を測定するために様々な方法が開発されている。例えば非特許文献1では、ある種の線維芽細胞増殖因子(FGF)が、神経細胞の分化を誘導することを利用して、その活性化状態を定量することを開示している。また、非特許文献2では、リンパ球細胞系培養細胞株BaFを用いて新規DNA合成量或いは細胞数増加量を測定し、FGFのDNA合成促進活性と細胞増殖活性を測定することが開示されている。また、FGFRは活性化に伴って、細胞核(非特許文献3)あるいは細胞内小胞(非特許文献4)に局在移行することが報告されており、蛍光性色素等を使って受容体分子を標識し、顕微鏡で観察することが開示されている。
【0003】
しかしながら、従来の方法は、細胞の内在的なFGFR発現に大きく影響されるため、測定に利用できる細胞株がごく一部に限られるという問題があった。特に、接着性培養細胞の多くはこの計測に適していない。また従来方法は、操作が煩雑であり、熟練した実験技術を要し、さらに、多量の材料細胞が必要であった。さらに、結果を得るまでに多くの中間実験を行うため、多数の検体を処理するには適しておらず、定量的な測定にも適していなかった。
【0004】
非特許文献5及び6では、Gタンパク共役型受容体分子の活性を測定するために、該受容体が形成する顆粒状構造物の分布を連続的に撮像し、特定のアルゴリズムを用いて解析することを開示している。Gタンパク共役型受容体分子は、活性化のきっかけとして細胞内小胞などの小構造物に移行し、顆粒状のパターンを形成することが知られているものであるが、FGFRとは異なる群に属する細胞表面受容体であり、FGFRについてこのような方法で測定された例は従来報告されていない。
【非特許文献1】J. Biol. Chem. 273: 29262-29271 (1998)
【非特許文献2】J. Biol. Chem. 277: 42815-42820 (2002)
【非特許文献3】J. Biol. Chem. 16: 14-23 (2005)
【非特許文献4】J. Cell. Science. 111: 3517-3527 (1998)
【非特許文献5】Cytometry A 65: 69-76 (2005)
【非特許文献6】J. Biomol. Screen 10: 476-484 (2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、FGFRの活性を簡便且つ精度よく定量的に測定する方法を提供することを目的とする。より詳細には、本発明は、活性化したFGFRが細胞内で形成する顆粒状構造物を撮像し、画像解析装置を使用して解析することにより、FGFRの活性を定量的に測定する方法を提供する。またさらに、細胞に与えられる物理的あるいは化学的な作用の程度を評価する方法をも提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従って、線維芽細胞増殖因子受容体の活性を定量的に測定する方法であって、線維芽細胞増殖因子受容体を細胞内で発現させる工程と、該発現された線維芽細胞増殖因子受容体を活性化させる工程と、前記活性化された受容体の前記細胞内における分布を表す画像を取得する工程と、前記得られた画像を解析する工程とを具備する方法が提供される。
【0007】
ここで、前記線維芽細胞増殖因子受容体を細胞内で発現させる工程は、該受容体をコードする遺伝子を、遺伝子組換え技術によって前記細胞内に導入することが好ましい。また、前記線維芽細胞増殖因子受容体と、該受容体を活性化する物質とを接触させることによって、該受容体を活性化させることが好ましい。また、前記画像の取得は、前記受容体を免疫抗体染色又は蛍光標識によって標識し、顕微鏡画像を撮像することによって行われることが好ましい。
【0008】
一つの態様において、前記得られた画像を解析する工程は、前記細胞内に存在する顆粒状構造物を認識する工程と、該顆粒状構造物を、真円度、凝集度、蛍光強度及び面積から選択される少なくとも一つの性質によって分類する工程と、前記分類した顆粒状構造物のうち、所望の性質を有する顆粒状構造物の細胞あたりの数量を算出する工程を含む。
【0009】
本発明の他の側面から、線維芽細胞増殖因子受容体の機能を調節する物質をスクリーニングする方法であって、線維芽細胞増殖因子受容体を細胞内で発現させる工程と、前記受容体が発現した細胞に、試験物質を接触させる工程と、該細胞内における前記受容体の分布を表す画像を取得する工程と、前記得られた画像を解析する工程とを具備する方法が提供される。またさらに、前記細胞内における前記線維芽細胞増殖因子受容体の分布に基づいて、該受容体の活性を数値化することにより、前記物質の力価を定量的に推定する工程を具備する方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、任意の接着性細胞を用いて、線維芽細胞増殖因子受容体の活性を簡便且つ精度よく測定する方法を提供することができ、特に、所望のサブタイプの線維芽細胞増殖因子受容体を選択的に測定することが可能である。また、該受容体に対する作用物質のスクリーニング方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
線維芽細胞増殖因子(FGF)の受容体は、活性化すると神経分化を誘導し、また、細胞の増殖を促進する。よって従来は、増殖した細胞数を計測することによって受容体の活性化状態を評価する方法が一般に行われていた。
【0012】
これに対して本発明は、顕微鏡画像解析システムを用いることにより、簡便且つ精度よく線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の活性化状態を定量する方法を提供する。また、本発明の方法によれば、FGFRの機能を調節する物質を簡便にスクリーニングすることが可能である。
【0013】
一般に、受容体分子は細胞の表面に存在するが、因子と反応すると、受容体分子が集まって埋没し、細胞表面下で顆粒状になり、やがて細胞内に没入する。本明細書ではこれを顆粒状構造物と称する。FGFRも活性化すると細胞質の小胞に集積し、細胞内で顆粒状の分布を示す。
【0014】
本発明の測定方法では、まず、細胞において線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)を発現させる。細胞内でFGFRを発現させる方法は、遺伝子組換え操作によって行うことができる。具体的には、FGFRcDNAを発現させるための発現プラスミドベクターを構築し、このプラスミドベクターを細胞に導入する。プラスミドベクターの構築とその細胞への導入、及び細胞内での発現は、当該分野で周知の方法で行うことができる。
【0015】
次に、細胞表面に発現したFGFRを活性化させる。活性化は、細胞の培養液中に、FGFRを活性化する物質を添加して行ってもよく、或いは、例えば温度などの物理的な条件を変化させて行ってもよい。FGFRを活性化させた後、固定液で細胞を固定する。
【0016】
FGFRが活性化された場合、上記したように顆粒状構造を形成する。そこで、細胞内におけるFGFRの分布を観察することにより、FGFRの活性を推測することができる。よって、本発明では、FGFRの細胞内における分布を表す画像を取得する。画像の取得は、任意の方法で行ってよいが、特に顕微鏡による電子画像を取得することが好ましい。撮像は、通常用いられるCCDカメラなどを用いることができるが、これに限定されない。
【0017】
培養細胞中で発現したFGFRは、蛍光抗体法、酵素抗体法などにより染色又は蛍光標識し、顕微鏡で検出可能にすることが出来る。例えば、FGFRをコードする遺伝子の転写調節ユニットと蛍光性或いは発光性タンパク質等のレポーター遺伝子の融合遺伝子を、遺伝子組換え技術によって細胞内に予め導入しておき、その融合遺伝子の発現を検出してもよい。或いは、FGFR遺伝子に、タグ配列と称される特定のアミノ酸配列を挿入してもよい。該アミノ酸タグ配列は受容体の一部に出現し、これに該タグ配列を認識する、標識された抗体を反応させることにより、受容体分子を検出することができる。以上のような遺伝子組換え技術によれば、FGFR分子の特定のアミノ酸配列を識別することができ、これによって、所望のサブタイプの受容体を選択的に検出することが可能である。また或いは、培養細胞中で発現したFGFRは、透過光像、微分干渉像、光位相差像などを撮像して検出することもできる。
【0018】
次いで、得られた画像を解析し、FGFRの分布状態を解析する。この解析では、細胞内に存在する顆粒状構造物を認識する。次いで、認識された顆粒状構造物を、例えば真円度、凝集度、蛍光強度及び面積などから選択される少なくとも一つの性質によって分類する。この分類した顆粒状構造物のうち、所望の性質を有する顆粒状構造物の細胞あたりの数量を計数する。例えば、予め設定した閾値よりも大きい値を有する顆粒状構造物を計数してもよい。また、ある所定の値がある範囲内にあるものを計数してもよい。
【0019】
一つの態様において、FGFRの顕微鏡画像の解析は、FGFRが形成する顆粒状構造物をその大きさによって分類し、細胞あたりの特定の大きさの顆粒状構造物の数量を測定することを特徴とする。また或いは、各細胞の最大輝度の構造物が測定される。この方法によれば、測定が簡易化されスループットの向上につながるため、測定の自動化に適している。
【0020】
以上に記載した本発明の方法におけるそれぞれの工程は、細胞の画像取得と画像解析が可能な装置を使用して行うことができる。例えば、顕微鏡撮像装置と、画像解析ソフトウエアを備えた画像解析装置を一体化したシステムを使用することができる。特に、顕微鏡画像の取得と画像解析を連続的かつ自動的に行うシステムが好適に用いられる。
【0021】
上記方法は、いずれの画像取得装置および解析ソフトを使用してもよいが、例えば(CompuCyte社、Cambridge, MA, USA)の主力製品である顕微鏡ベースのサイトメータ(Laser Scanning Cytometer, LSC(登録商標))シリーズ(2,3)を基本として設計されたイメージングサイトメータiCyte(商標)が好適に用いられる。
【0022】
しかしながら、FGFRは、通常の受容体分子よりも顆粒状構造物の形状が明確ではないため、画像解析装置による自動的な認識が困難である。そこで本発明では、顕微鏡画像解析システムの設定値を変更し、FGFRが形成する顆粒状構造の認識を改善した。具体的には、FGFRの顆粒状構造物が比較的微細であるため、画像認識するための面積の閾値を小さめに設定し、その微細な構造を捉えることを可能にした。
【0023】
このようなシステムを使用して顆粒状構造物の測定を行うための解析アルゴリズムの例を説明する。まず、細胞に存在する全ての顆粒状構造物を認識する。顆粒状構造物は、上記のように、例えば顆粒状構造物を構成する分子を蛍光性色素や生物(ないし化学)発光性色素で標識しておき、標識からの生物(化学)発光/蛍光を検出することによって行うことができる。標識は、当業者に既知のいずれの方法を使用してもよく、例えば、顆粒状構造物を構成する分子を認識する抗体等のバインダーを用いて標識することができる。この場合、抗体の標識は、FITCなどの蛍光物質やルシフェラーゼなどの生物発光を直接的に抗体に結合させてもよく、または標識された2次抗体を使用して間接的に標識してもよい。あるいは、生物発光融合タンパク質やGFP融合タンパク質などの発光性あるいは蛍光性タンパクをあらかじめ結合させた任意の分子を細胞内に発現させ、その生物発光/蛍光による発光を検出してもよい。
【0024】
蛍光標識した細胞に適当な励起光を照射すると、固有の蛍光を生ずる。例えば、GFPによって標識した場合には、アルゴンイオンレーザー(488nm)で励起し、515〜545nmの蛍光を検出する。検出された蛍光の画像を取得し、一定の蛍光強度閾値を設定することによりって画像上に地図等高線様の線を描き、任意の分子の局部的な凝集を顆粒状構造物として認識する。このとき閾値は、細胞核の位置と形態を反映するように設定する(構造物輪郭)。これら認識した顆粒状構造物を個々に独立した事象と見なし、それらの性状(真円度、凝集度、蛍光強度、面積など)を画像解析装置を用いて自動的に計測し、統計的に解析する。なお、発光性の物質で標識した場合には、励起光を照射する必要はない。
【0025】
次いで、存在する構造物輪郭の例えば面積によって分類する。また、該面積、すなわち顆粒状構造物の大きさは、当業者であれば、種々の実験および経験に基づいて、所望の大きさを決定することができる。例えば、アッセイ系ごとに本発明の方法によって種々の大きさの顆粒状構造物の細胞あたりの数量を算出し、所望の細胞状態を反映する大きさの顆粒状構造物を選択してもよい。このように、細胞内の顆粒状構造物の大きさによって分類することにより、顆粒状構造物の生成と細胞状態との相関をより反映することができ、より正確に細胞状態を測定することができる。
【0026】
一般に、FGFRの活性化状態の亢進と顆粒状構造物の発生程度の間には正の相関関係が認められる。例えば、顆粒状構造物の細胞当りの数をFGFRの活性化状態として表すこともできる。それ故、以上のような解析によって得られた数値を指標として、FGFRの活性状態を推定することが可能である。
【0027】
本発明の方法で使用するFGFR発現細胞には、いずれの細胞を使用してもよい。例えば、培養細胞を使用することができ、末梢静脈血等の血液、臓器、および組織などに由来する細胞を使用してもよい。また、いずれの種に由来する細胞であってもよく、ヒト、ヒト以外の動物及び植物、並びにウイルス、細菌、バクテリア、酵母およびマイコプラズマ等の微生物であってもよい。特に、本発明に従って、顕微鏡画像解析システムを用いて計測することにより、任意の接着性細胞を用いることができる。接着性細胞は単層を形成する傾向があると共に、スライドガラスやシャーレ、マイクロプレートのような観察用支持体に扁平に接着して細胞が不動化されるため、顕微鏡での検出に特に適している。しかし、接着性細胞には内在的にFGFRを発現するものが多く、しかも表面に多種類のFGFR以外の受容体を有している場合もあり、それらは検出対象のFGFRと識別できないためにFGFRの検出試験に用いることができる細胞は限定されていた。しかしながら本発明の方法によれば、所望のサブタイプのFGFRを特異的に検出可能であるために、任意の接着性細胞を利用することができる。
【0028】
以上詳細に記載したように、本発明の方法によれば、所望のFGFRのみを活性化した細胞表面に対して調べたい薬剤等による刺激を与えることで、受容体のサブタイプを特異的に識別することが可能であるため、調査対象の所望のサブタイプの受容体のみを選択的に標識し観察することが可能である。また、化合物と反応しても活性化していない受容体は顆粒状にならないため、本発明の方法によれば、活性化した受容体のみを検出することができ、簡便且つ高精度な検出が可能である。
【0029】
また、本発明の他の態様において、FGFRの活性を測定することにより、FGFRの機能を調節する物質をスクリーニングすることができる。細胞に対して試験物質を接触させ、本発明の方法に従って該細胞内の顆粒状構造物を測定し解析する。試験物質の接触により、FGFRが活性化して顆粒状構造を形成した場合は、該試験物質は、FGFRに対する作用物質であると考えられる。このように、本発明の方法を利用して、試験物質がFGFRの作用物質であるか否かをスクリーニングすることができる。またさらに、細胞内におけるFGFRの分布に基づいて、該受容体の活性を数値化することにより、前記物質の力価を定量的に推定することができる。
【0030】
また本発明のさらに他の態様において、FGFRとそのリガンドの相互作用による機能を調節する物質をスクリーニングすることができる。まず、細胞に対して試験物質を接触させる。次いで、該試験物質を接触させた細胞にリガンドを投与する。次いで、本発明の方法によってFGFRが形成した顆粒状構造物を測定する。試験物質の接触により、顆粒状構造物が減少した場合は、該試験物質は、FGFR/リガンドを介した細胞機能のアンタゴニストであると考えられる。このように、試験物質がFGFRとそのリガンドの相互作用に影響を与えるか否かを精度よく測定することができる。
【実施例】
【0031】
マウスICR系統の胎児全RNAを鋳型としてRT−PCR法により(Quiagen RT-PCRキット使用)、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)のcDNAを取得した。マウスFGFRのcDNAの塩基配列はGenBankデータベースより受付番号NM_010207で取得し、この塩基配列を下に逆転写PCR用のプライマーDNAを合成した。続いて、このcDNAを動物細胞発現用ベクターpSI(プロメガ社)に挿入した発現プラスミドDNAを作製した。
【0032】
培養細胞(CHO細胞)をMcCoy's 5A培地を用いて通常の方法により培養し、Llpofectamine 2000 (Invltrogen社)を使用して上記プラスミドDNAを細胞内に導入した。継続的に培養した後、無血清培地で16時間培養し、細胞上のFGFRを非活性状態にした。
【0033】
大腸菌で産生させた線維芽細胞成長因子(FGF)(aFGF, Peprotech社)を段階的に希釈し、上記CHO細胞に添加し、30分間37℃で保温した。続いて、2%パラホルムアルデヒドを添加して細胞を固定した。固定した細胞に、FGFRに対する抗体(抗Bek抗体、SanteCruz社)を一次抗体として結合させ、過剰の抗体を洗浄した。続いて、Alexa488標識抗ウサギIgG抗体(インビトロジェン社)を結合させ、FGFRの存在を可視化した。過剰の抗体を洗浄した後、DAPI蛍光色素で細胞核を染色し、同時にRNA分解酵素で細胞中のRNAを消化した。
【0034】
以上のように作製した細胞検体を、顕微鏡画像取得・解析を一体化したシステムによって撮像し解析した(非特許文献5を参照されたい)。FGFR2 IIIc発現ベクターを導入したCHO細胞を、上記の手順により解析した結果を図1に示す。図1は、FGFRの凝集度を画像解析により数値化した結果である。細胞培養液中に添加したFGFRの濃度が上昇するにつれて、相対的な活性も上昇することが示された。よって、本発明に従う測定方法によって、FGFRの活性化状態を推定可能であることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】線維芽細胞増殖因子受容体の凝集度を自動化システムにより数値化したグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線維芽細胞増殖因子受容体の活性を定量的に測定する方法であって、
線維芽細胞増殖因子受容体を細胞内で発現させる工程と、
該発現された線維芽細胞増殖因子受容体を活性化させる工程と、
前記活性化された受容体の前記細胞内における分布を表す画像を取得する工程と、
前記得られた画像を解析する工程と、
を具備する方法。
【請求項2】
前記線維芽細胞増殖因子受容体を細胞内で発現させる工程は、該受容体をコードする遺伝子を、遺伝子組換え技術によって前記細胞内に導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記線維芽細胞増殖因子受容体と、該受容体を活性化する物質とを接触させることによって、該受容体を活性化させることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記画像の取得は、前記受容体を免疫抗体染色又は蛍光標識によって標識し、顕微鏡画像を撮像することによって行われる、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記得られた画像を解析する工程は、
前記細胞内に存在する顆粒状構造物を認識する工程と、
該顆粒状構造物を、真円度、凝集度、蛍光強度及び面積から選択される少なくとも一つの性質によって分類する工程と、
前記分類した顆粒状構造物のうち、所望の性質を有する顆粒状構造物の細胞あたりの数量を算出する工程を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
線維芽細胞増殖因子受容体の機能を調節する物質をスクリーニングする方法であって、
線維芽細胞増殖因子受容体を細胞内で発現させる工程と、
前記受容体が発現した細胞に、試験物質を接触させる工程と、
該細胞内における前記受容体の分布を表す画像を取得する工程と、
前記得られた画像を解析する工程と、
を具備する方法。
【請求項7】
さらに、前記細胞内における前記線維芽細胞増殖因子受容体の分布に基づいて、該受容体の活性を数値化することにより、前記物質の力価を定量的に推定する工程を具備する、請求項6に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−36681(P2009−36681A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202307(P2007−202307)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】