線路状態検出装置、通信装置、平衡伝送システム、及び通信方法
【課題】平衡伝送システムにおける伝送線路の平衡状態を簡単に精度良く検出することが可能な線路状態検出装置を提供する。
【解決手段】第1の通信装置100は、パイロット信号生成部14で生成したパイロット信号を所定のタイミングで送信し、パイロット信号伝送時の伝送線路300の不平衡成分を不平衡成分検出部13で検出し、検出した不平衡成分に基づいて送信制御部12によって不平衡成分が減少するように送信信号を制御する。
【解決手段】第1の通信装置100は、パイロット信号生成部14で生成したパイロット信号を所定のタイミングで送信し、パイロット信号伝送時の伝送線路300の不平衡成分を不平衡成分検出部13で検出し、検出した不平衡成分に基づいて送信制御部12によって不平衡成分が減少するように送信信号を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムにおける伝送線路の状態を検出する線路状態検出装置、及びこれを備える通信装置並びに平衡伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、平衡状態にある一対の伝送線路を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムが広く用いられている。この種の平衡伝送システムでは、例えば電話回線などのように、専用の通信線などによる伝送線路が用いられることが多く、通常、ある程度の平衡度が保たれている。
【0003】
従来の平衡伝送装置の送信部及び伝送線路の一例を図25に示す。この平衡伝送装置は、送信部91から伝送用トランスT92を介して一対の導体W1、W2からなる伝送線路に信号を送出する構成となっている。このとき、送信部91から送出する送信信号の電流は送信部91及び伝送線路W1、W2の特性に依存する。
【0004】
送信部から受信部に至る伝送線路は、本来完全に平衡であることが要求されるが、実際には、送信部及び受信部における不平衡要素や、伝送線路の配線の状況や途中に接続される機器による不平衡成分等があり、伝送線路の導体W1、W2に流れる電流は、完全に平衡しているとはいえないのが実情である。このように伝送線路に流れる電流が不平衡であると、送信電力の一部が伝送線路から外部へ漏洩し、データの伝送特性が劣化したり、干渉などの不具合が生じる。
【0005】
最近では、商用電源などの電力を搬送する電力線に高周波信号を重畳してデータ伝送を行う平衡伝送システムが提案されている。特にこのような電力線は、本来は通信用の線路ではないため、個々の宅内での配線状況、電源に接続される機器などによって、平衡度がばらつくことがある。このため、電力線を伝送線路として用いた場合に、個々の環境によって平衡度が変化し、伝送特性が大きく異なってしまうおそれがある。
【0006】
特許文献1には、送信側又は受信側の導体の電圧又は電流から不平衡成分を検出し、検出した不平衡成分が小さくなるように送信制御を行う平衡伝送装置が記載されている。
【0007】
しかし、特許文献1には、不平衡成分を検出するための具体的な方法については記載されていない。
【0008】
【特許文献1】特開2004−140565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、平衡伝送システムにおける伝送線路の平衡状態を簡単に精度良く検出することが可能な線路状態検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、伝送線路の平衡状態を検出結果に基づいて制御でき、平衡度を向上させることが可能な平衡伝送システムの通信装置、通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の線路状態検出装置は、一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムにおける伝送線路の状態を検出する線路状態検出装置であって、前記一対の導体間の不平衡成分を検出する不平衡成分検出部を備え、前記不平衡成分検出部は、前記不平衡成分を検出するためのパイロット信号を伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出するものである。
【0012】
本発明によれば、伝送線路で伝送されるパイロット信号としてその素性(レベル、質等)が既知ものを利用することができるので、平衡伝送システムにおける伝送線路の平衡状態を簡単に精度良く検出することができる。
【0013】
本発明の線路状態検出装置は、前記不平衡成分検出部が、前記一対の導体間の不平衡成分を直接検出するものを含む。
【0014】
本発明の線路状態検出装置は、前記不平衡成分検出部が、前記導体に流れる電流又は前記導体の電圧又はその両方を、各々の導体別に検出し、前記導体別の電流の差分又は前記導体別の電圧の差分又はその両方を求めることによって前記不平衡成分を算出するものを含む。
【0015】
本発明の線路状態検出装置は、前記一対の導体が、電力線であるものを含む。
【0016】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、信号レベルが既知の単一キャリア信号であるものを含む。
【0017】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、信号レベルが既知でかつ通信周波数帯域にわたりスィープする単一キャリア信号であるものを含む。本発明によれば、通信帯域全体の平衡状態を確実に検出することができる。
【0018】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、送信フレーム毎に異なる周波数の信号であるものを含む。本発明によれば、通信に対する影響を大きくせずに伝送線路の平衡状態を検出することができ、データ転送レートを高くすることができる。なお、ここで、不平衡成分を検出するためのパイロット信号は、単一キャリア信号に限定されない。
【0019】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、通信周波数帯域において使用する全てのキャリア信号であって信号レベルが既知のキャリア信号であるものを含む。本発明によれば、必要な周波数帯域における平衡状態を同時に、短時間で検出することができる。
【0020】
本発明の線路状態検出装置は、前記複数のキャリア信号のうちの隣接したキャリア信号が、互いに直交した信号であるものを含む。本発明によれば、複数のキャリア信号が互いに干渉せず、パイロット信号の振幅が大きくならない。したがって、データの送信に大きな影響を与えずに、伝送線路の平衡状態を検出することができる。
【0021】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、通信周波数帯域において使用する全てのキャリア信号のうちの離散的に選択した複数のキャリア信号であって信号レベルが既知のキャリア信号であるものを含む。本発明によれば、少ないキャリア数で通信帯域全域の平衡状態を、短時間で検出することができる。また、既知の妨害がある周波数を避けることができるので、平衡状態の検出精度を向上させることができる。
【0022】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号の周波数以外の通信帯域の前記不平衡成分を、前記不平衡成分検出部の出力に基づいて算出する算出部を備えるものを含む。
【0023】
本発明の線路状態検出装置は、前記算出部が、前記パイロット信号の周波数以外の通信帯域の前記不平衡成分を、前記不平衡成分検出部の出力のうちの隣接する周波数帯域の出力の相加平均によって算出するものを含む。
【0024】
本発明の線路状態検出装置は、前記算出部が、前記パイロット信号の周波数以外の通信帯域の前記不平衡成分を、前記不平衡成分検出部の出力のうちの隣接する周波数帯域の出力の重み付け平均によって算出するものを含む。
【0025】
本発明の線路状態検出装置は、前記算出部が、前記不平衡成分検出部が出力する周波数帯域の外側の帯域の前記不平衡成分を、最隣接の周波数帯域の前記パイロット信号から得られる前記不平衡成分で代用するものを含む。
【0026】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、通信周波数帯域において使用する複数キャリア信号であって信号レベルが既知の第1のキャリア信号と、前記第1のパイロット信号として送信後、更に送信される信号レベルが既知の特定周波数の単一キャリア信号であるものを含む。本発明によれば、通信帯域全域の平衡状態を短時間で検出するとともに、特定の周波数帯域の状態を精度良く検出することができる。
【0027】
本発明の線路状態検出装置は、前記特定周波数の単一キャリア信号が、前記第1のキャリア信号を利用して検出した不平衡成分が大きい周波数帯域のキャリア信号であるものを含む。本発明によれば、不平衡成分の検出を短時間で精度良く行うことができ、処理負担を大きくすることなく、高精度の平衡状態の監視が可能となる。例えば、通信帯域全域の平衡状態を検出することにより、平衡状態を監視する必要性が高い周波数帯域を抽出した後は、その周波数帯域の監視のみで平衡状態の変化を検出することができる。
【0028】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、伝送すべきデータの伝送停止期間に送信されるものであるものを含む。本発明によれば、通信中であっても通信停止中であっても同様の方法で平衡状態を検出することができる。
【0029】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、伝送すべきデータの信号列内の一部又は複数の部分に含まれて送信されるものであるものを含む。本発明によれば、特別の検出時間を割り当てることなく通信中に平衡状態の検出が可能となる。
【0030】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、通信システム共通の基準タイミング信号から一定の時間内に送信されるものであるものを含む。本発明によれば、平衡状態検出のための処理タイミングを簡単に認識することができる。
【0031】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、通信システム共通の基準タイミング信号から一定の時間内に、当該通信システムを構成する各通信装置に対応したタイミングで時分割で送信されるものであるものを含む。本発明によれば、平衡状態検出のための処理タイミングを各通信装置毎に簡単に認識することができる。
【0032】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、当該通信システムを構成する通信装置毎に割り当てられ、割り当てられたそれぞれのパイロット信号は、通信周波数帯域内で、互いに異なる帯域で送信されるものであるものを含む。本発明によれば、複数の端末で同時にパイロット信号を検出することができる。
【0033】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、受信側でのAGC(Auto Gain Control)のために送信されるAGC基準信号であるものを含む。本発明によれば、AGCの動作点を決めるために挿入されるリファレンス信号であるAGC基準信号を、前記不平衡成分を検出するためのパイロット信号として使用するので、検出用の信号を作成するための手段が不要になる。また、パイロット信号送信のための時間が不要となり、データ伝送レートが向上する。
【0034】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、伝送線路の伝送特性を推定するための特性推定用基準信号であるものを含む。本発明によれば、伝送線路の伝送特性を推定して通信に適する使用可能な帯域を決めるためのリファレンス信号である特性推定用基準信号を、前記不平衡成分を検出するためのパイロット信号として使用するので、検出用の信号を作成するための手段が不要になる。また、パイロット信号送信のための時間が不要となり、データ伝送レートが向上する。
【0035】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、受信側での復調のための復調用基準信号であるものを含む。本発明によれば、復調同期のために挿入されるリファレンス信号である復調基準信号を、前記不平衡成分を検出するためのパイロット信号として使用するので、検出用の信号を作成するための手段が不要になる。また、パイロット信号送信のための時間が不要となり、データ伝送レートが向上する。
【0036】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、通信信号の先頭を示すヘッダ信号であるものを含む。本発明によれば、通信信号の先頭を示すために挿入されるヘッダ信号を、前記不平衡成分を検出するためのパイロット信号として使用するので、検出用の信号を作成するための手段が不要になる。また、パイロット信号送信のための時間が不要となり、データ伝送レートが向上する。
【0037】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、商用電源のゼロクロス点又はその近傍で送信されるものであるものを含む。本発明によれば、電力線を伝送線路とする場合に、その電力線に接続される整流器付きの機器、特に半波整流器付きの機器の影響を確実に検出することができる。
【0038】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、商用電源のゼロクロス点から90度となる位相又はその近傍又は前記ゼロクロス点から−90度となる位相又はその近傍で送信されるものであるものを含む。
【0039】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、商用電源のゼロクロス点から一定の期間内に送信されるものであるものを含む。本発明によれば、複数の通信装置のためのパイロット信号を、基準タイミング信号を利用することなく送信することができる。
【0040】
本発明の通信装置は、一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムに用いる通信装置であって、上記したパイロット信号を含む送信信号を送信する送信部と、上記した線路状態検出装置からなる送信時線路状態検出装置を備え、前記送信時線路状態検出装置における前記不平衡成分検出部は、前記送信部から送信される前記パイロット信号伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出するものである。
【0041】
本発明の通信装置は、前記送信側線路状態検出装置の出力に基づき、前記導体に対し出力する送信信号を制御する送信信号制御部を備えるものを含む。
【0042】
本発明の通信装置は、前記送信信号制御部が、前記伝送線路の不平衡成分を低減させる制御を行うものを含む。
【0043】
本発明の通信装置は、前記送信信号制御部が、前記送信信号の送信電力を制御するものを含む。
【0044】
本発明の通信装置は、前記送信信号制御部が、通信に利用するキャリアの選択を行うものを含む。
【0045】
本発明の通信装置は、一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムに用いる通信装置であって、上記した線路状態検出装置からなる受信時線路状態検出装置を備え、前記受信時線路状態検出装置における前記不平衡成分検出部は、他の通信装置から送信される前記パイロット信号伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出するものを含む。
【0046】
本発明の通信装置は、前記受信時線路状態検出装置の出力に基づき、前記導体に対し出力する送信信号を制御する送信信号制御部を備えるものを含む。
【0047】
本発明の通信装置は、前記送信信号制御部が、前記伝送線路の不平衡成分を低減させる制御を行うものを含む。
【0048】
本発明の通信装置は、前記送信信号制御部が、前記送信信号の送信電力を制御するものを含む。
【0049】
本発明の通信装置は、前記送信信号制御部が、通信に利用するキャリアの選択を行うものを含む。
【0050】
本発明の伝送システムは、一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムであって、上記した送信時線路状態検出装置を含む通信装置を備えるものである。
【0051】
本発明の伝送システムは、さらに上記した受信時線路状態検出装置を含む通信装置を備えるものである。
【0052】
本発明の通信方法は、一対の導体を用いてデータ伝送を行う通信方法であって、前記一対の導体間の不平衡成分を検出するためのパイロット信号を送信する工程と、前記パイロット信号を伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出する工程を備えるものである。
【発明の効果】
【0053】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、平衡伝送システムにおける伝送線路の平衡状態を簡単に精度良く検出することが可能な線路状態検出装置を提供することができる。また、伝送線路の平衡状態を検出結果に基づいて制御でき、平衡度を向上させることが可能な通信装置及び平衡伝送システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0055】
(第1の実施の形態)
図1に、本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムの一例の概略構成を示す。図1の平衡伝送システムは、第1通信装置100と第2の通信装置200との間で、電力線等の一対の導体からなる伝送線路300を介して通信を行うものである。
【0056】
第1通信装置100は、送信信号生成部11、送信制御部12(送信部)、不平衡成分検出部13、パイロット信号生成部14を含んで構成され、第2通信装置200は、送信信号生成部21、送信制御部22、不平衡成分検出部23を含んで構成される。なお、図1においては信号の送信に関係する要素のみを示し、信号の受信に関係する要素等の他の要素を省略して示してある。また、伝送線路300には、第1通信装置100と第2通信装置200の2つの通信装置のみが接続されているが、さらに別の通信装置が接続される場合もある。伝送線路300に接続される複数の通信装置は、第1の通信装置100であっても第2の通信装置200であってもよいが、少なくとも1つの通信装置は第1の通信装置100である。
【0057】
送信信号生成部11は、伝送線路300を介して送信すべき送信信号、複数のサブキャリアを用いた伝送を行うための送信信号(マルチキャリア送信信号)を生成するものである。複数のサブキャリアを用いた伝送方式は、例えば、ウェーブレット変換を利用するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式である。送信信号生成部11は、パイロット信号生成部14で生成されたパイロット信号を合わせて送信する。パイロット信号の送信タイミング等の情報は、不平衡成分検出部13に送られる。なお、パイロット信号は、伝送線路の不平衡成分を検出するために送信される信号であり、詳細は後述する。
【0058】
送信制御部12は、送信信号生成部11で生成された送信信号を伝送線路の状態に応じて制御するもので、例えば、送信信号の平衡度制御、送信電力制御を行う。これらの制御は、不平衡成分検出部13で検出された伝送線路300の不平衡成分(伝送線路300を構成する一対の導体間の不平衡成分)を減少させるための制御である。
【0059】
送信信号の平衡度制御を行う場合、例えば、不平衡成分に基づいて算出した補償信号を一対の送信信号それぞれに加算する。図2は、平衡度制御の一例の概念図である。図2において、送信信号生成部11からの送信信号e、−eは、補償信号ecが加算されて、それぞれ導体31、32に送信される。また、送信信号の送信電力制御を行う場合、例えば、伝送線路300の一対の導体31、32それぞれに接続された増幅器(図示せず)の増幅度を制御する。
【0060】
なお、図1の例では送信制御部12の制御により、主としてアナログ処理により不平衡成分を減少させるようにしたが、送信信号生成部11に不平衡成分の情報を送り、デジタル処理により不平衡成分を減少させた送信信号を生成するようにしてもよい。また、不平衡成分が大きい周波数帯域のサブキャリアを不使用とすることによって、伝送線路300の不平衡成分を減少させるようにしてもよい。
【0061】
不平衡成分検出部13は、伝送線路300を構成する一対の導体間の不平衡成分を検出するものであり、パイロット信号を伝送時の不平衡成分を検出する。図3に、不平衡成分検出部13の一例の概略構成を示す。図3に示すものは、一対の導体間の不平衡成分を直接検出するもので、カレントトランス41が導体31、32に直列に接続される。カレントトランス41の2次巻線を図3に示すように導体31、32の同一方向の電流を検出するように接続すると、2次巻線電流は、導体31、32間の不平衡成分を示すことになる。不平衡成分検出部13は、この2次巻線電流に基づいて導体31、32間の不平衡成分信号を出力する。
【0062】
図4に、不平衡成分検出部13の他の例の概略構成を示す。図4に示すものは、一対の導体間の不平衡成分を間接的に検出するもので、伝送線路を構成する導体31、32に流れる電流を別々に検出し、それらの差分を求めることによって、不平衡成分を算出する。 導体31、32に流れる電流は、導体31、32に直列に接続されたインピーダンス51a、51bの両端電圧を電圧検出器52a、52bで検出することにより求める。不平衡成分検出部13は、電圧検出器52a、52bの電圧値に基づいて導体31、32間の不平衡成分信号を出力する。なお、図4の例では、導体31、32に流れる電流の差分を求めることにより不平衡成分を算出したが、導体31,32の電圧を個別に検出し、それたの差分を求めることによって算出することも可能である。また、電流の差分と電圧の差分の両方を利用してもよい。
【0063】
パイロット信号生成部14は、伝送線路300の不平衡成分を検出するために伝送線路300に送信されるパイロット信号を生成するものである。伝送線路300の不平衡成分は、伝送線路300に信号を伝送中の不平衡成分を検出するものであるので、伝送中の信号が既知で良質のものであることが好ましい。具体的には、周波数帯域が使用する帯域全体にわたっており、信号の素性(レベル、質等)が既知であり、パイロット信号を送信することによって通常の通信動作を妨げないものであることが好ましい。また、パイロット信号の生成に特殊な回路等を付加する必要がなく、短時間の送信で不平衡成分の検出が可能であり、さらに適切な周期で送信でき、状況の変化に対応して変更できるものであることが好ましい。パイロット信号の具体例については、後述する。
【0064】
以上のような構成を有する第1の通信装置100は、パイロット信号生成部14で生成したパイロット信号を所定のタイミングで送信し、パイロット信号伝送時の伝送線路300の不平衡成分を不平衡成分検出部13で検出し、検出した不平衡成分に基づいて送信制御部12によって不平衡成分が減少するように送信信号を制御する。
【0065】
第2の通信装置200の送信信号生成部21、送信制御部22、不平衡成分検出部23は、第1の通信装置100の送信信号生成部11、送信制御部12、不平衡成分検出部13と同様であるので詳細な説明は省略する。ただし、不平衡成分検出部23は、上記したパイロット信号を受信中の伝送線路300の不平衡成分を検出する。送信制御部22は、検出した不平衡成分に基づいて送信信号生成部21からの送信信号を制御する。
【0066】
次に、パイロット信号生成部14が生成するパイロット信号の種類、及びパイロット信号の信号タイミングについて説明する。
【0067】
(単一キャリア信号)
単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の一例を、図5を用いて説明する。図5(a)に、パイロット信号と通信帯域との関係を示し、図5(b)及び(c)にパイロット信号の送信タイミングを示す。
【0068】
図5(a)に示すように、パイロット信号501は、通信帯域内の任意の周波数のキャリア信号であり、その信号レベルは既知である。パイロット信号501は、送信信号の始まりを示すヘッダ信号(以下、単にヘッダ信号)、データ信号、送信信号の終わりを示す終了信号(以下、単に終了信号)からなる送信データに先立って送信されてもよいし(図5(b)参照)、ヘッダ信号とデータ信号の間に送信されてもよい(図5(c)参照)。 この場合、不平衡成分検出部13、23は、伝送線路300の特定の周波数帯域における不平衡成分を検出することになり、この不平衡成分信号によって、送信制御部12、22を制御する。
【0069】
単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の他の例を、図6を用いて説明する。図6(a)に、パイロット信号と通信帯域との関係を示し、図6(b)にパイロット信号の送信タイミングを示す。図6のパイロット信号601は、通信周波数帯域にわたりスィープした単一キャリア信号である。このパイロット信号601を送信すると、通信帯域全体における不平衡成分を確実に検出することができる。
【0070】
単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作のさらに別の例を、図7に示すパイロット信号の送信タイミングを用いて説明する。図7のパイロット信号701、702は、異なる周波数のキャリア信号であり、送信フレーム毎に変えて送信する。図7の例では、n番目の信号列中にパイロット信号701を送信し、n+1番目の信号列中にパイロット信号702を送信している。このようなパイロット信号を送信すると、一定のフレーム送信後には、通信帯域全体の不平衡成分を検出することができる。また、通信に対する影響が大きくせずに伝送線路の平衡状態を検出することができ、データ転送レートを高くすることができる。
【0071】
なお、図7例では送信するパイロット信号を単一キャリア信号として説明したが、マルチキャリア信号でも問題ない。その場合使用するキャリアをフレーム毎に選択することにより、通信帯域全体の不平衡成分を短時間で検出することができる。
【0072】
(マルチキャリア信号)
複数のキャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の一例を、図8を用いて説明する。図8(a)に、パイロット信号と通信帯域との関係を示し、図8(b)にパイロット信号の送信タイミングを示す。
【0073】
図8(a)に示すように、パイロット信号801は、通信帯域内の全ての周波数のキャリア信号であり、その信号レベルは既知である。パイロット信号801は、図8(b)の例ではヘッダ信号とデータ信号の間に送信される。このようなパイロット信号を送信すると、必要な周波数帯域における不平衡成分を同時に、短時間で検出することができる。また、複数のキャリア信号のうちの互いに隣接したキャリア信号は、互いに直交したキャリア信号とすることにより、互いに干渉せず、パイロット信号の振幅が大きくならないので、データの送信に大きな影響を与えずに、伝送線路の平衡状態を検出することができる。
【0074】
複数のキャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の他の例を、図9を用いて説明する。図9(a)に、パイロット信号と通信帯域との関係を示し、図9(b)にパイロット信号の送信タイミングを示す。
【0075】
図9(a)に示すように、パイロット信号901は、通信帯域において使用する全てのキャリア信号のうちの離散的に選択した複数のキャリア信号である(図9(a)における破線は、通信に使用するキャリアであるがパイロット信号に含まれないキャリアを示す。)。パイロット信号901は、図9(b)の例ではヘッダ信号とデータ信号の間に送信される。
【0076】
このようなパイロット信号901を送信すると、少ないキャリア数で離散的ではあるが通信帯域全域にわたる不平衡成分を、短時間で検出することができる。また、既知の妨害がある周波数(図9(a)における番号902)を避けることができるので、平衡状態の検出精度を向上させることができる。
【0077】
通信帯域全体の全キャリアに対応する領域の不平衡成分を検出する際には、パイロット信号に含まれる領域の不平衡成分に基づいて所定の演算を行って算出を行う。この算出を行う算出部は、不平衡成分検出部13、23が兼ねてもよいし、不平衡成分検出部13、23の外部に算出部(図示せず)を設けてもよい。このような演算としては、例えば、隣接する周波数帯域の不平衡成分出力の相加平均や重み付け平均が採用できる。また、不平衡成分検出部13、23が出力する周波数帯域の外側の帯域の不平衡成分については、最隣接の周波数帯域の不平衡成分で代用する。
【0078】
(単一キャリア信号とマルチキャリア信号)
複数のキャリア信号をパイロット信号として利用した後、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の一例を、図10を用いて説明する。図10(a)に、複数のキャリア信号である第1のパイロット信号1001と通信帯域との関係を示し、図10(b)に単一キャリア信号である第2のパイロット信号1002と通信帯域との関係を示す。
【0079】
第1のキャリア信号1001は、図8(a)に示すパイロット信号801と同様、通信帯域内の全ての周波数のキャリア信号であり、その信号レベルは既知である。また、第2のキャリア信号1002は、図5(a)に示すパイロット信号501と同様特定周波数の単一キャリア信号である。第2のキャリア信号1002は、特定の周波数における伝送線路の平衡状態を検出するためのもので、例えば、不平衡成分の詳細データを把握したり、運用環境等に応じた特定の監視周波数における不平衡成分を検出したりする目的等で利用される。
【0080】
この例では、第1のパイロット信号1001を短時間送信して通信帯域全体の不平衡成分を同時に検出した後、第2のパイロット信号1002を送信して選択された周波数帯域における不平衡成分を高精度で検出する。
【0081】
複数のキャリア信号をパイロット信号として利用した後、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の他の例を、図11を用いて説明する。図11(a)に、複数のキャリア信号である第1のパイロット信号1101と通信帯域との関係を示し、図11(c)に単一キャリア信号である第2のパイロット信号1102と通信帯域との関係を示す。また、図11(b)は、第1のパイロット信号1101を送信して検出した不平衡成分1103を示す。
【0082】
第1のキャリア信号1101は、図8(a)に示すパイロット信号801と同様、通信帯域内の全ての周波数のキャリア信号であり、その信号レベルは既知である。また、第2のキャリア信号1102は、図5(a)に示すパイロット信号501と同様特定周波数の単一キャリア信号である。第2のキャリア信号1102は、図11(b)に示す不平衡成分の大きさに基づいて選択した周波数の単一キャリア信号である。
【0083】
この例では、第1のパイロット信号1101を短時間送信して通信帯域全体の不平衡成分を同時に検出した後、不平衡成分が大きい周波数帯域(つまり不平衡成分1103のピークを含む帯域)に第2のパイロット信号1102を送信して平衡状態がよくない領域の不平衡成分を高精度で検出する。不平衡成分の検出を短時間で精度良く行うことができ、処理負担を大きくすることなく、高精度の平衡状態の監視が可能となる。
【0084】
(パイロット信号の送信タイミング)
パイロット信号の送信タイミングについて、図12から図19を用いて説明する。
【0085】
図12は、伝送すべきデータの伝送停止期間に送信される場合の送信タイミングを示す図である。図12に示すようにパイロット信号1201は、n番目の信号列とn+1番目の信号列との間に送信され、パイロット信号1202は、n+1番目の信号列と図示しないn+2番目の信号列との間に送信される。このタイミングで送信するようにすると、通信中であっても通信停止中であっても同様の方法で平衡状態を検出することができる。
【0086】
図13は、伝送すべきデータの信号列内に含まれて送信される場合の送信タイミングを示す図である。図13に示すようにパイロット信号1301は、ヘッダ信号とデータ信号との間に送信される。このタイミングで送信するようにすると、特別の検出時間を割り当てることなく通信中に平衡状態の検出が可能となる。なお、図13の例では、1つの信号列中の1箇所にパイロット信号を挿入したが複数箇所に挿入してもよい。
【0087】
図14、図15は、通信システム共通の基準タイミング信号(以下、ビーコン信号と記述する。)を基準としたタイミングで送信される場合の送信タイミングを示す図である。
【0088】
図14は、ビーコン信号送出から一定の時間t後にパイロット信号1401を送信する場合を示すものである。このタイミングでパイロット信号を送信すると、不平衡成分検出部13、23は平衡状態検出のための処理タイミングを簡単に認識することができる。なお、図14における一定の時間tは、ビーコン信号の前縁からの時間としたが、後縁からの時間としてもよい。
【0089】
図15は、ビーコン信号送出から一定の時間t後に、各通信装置に対応したパイロット信号1501〜150nを時分割で送信する場合を示すものである。このタイミングでパイロット信号を送信すると、各通信装置毎の不平衡成分検出部13、23は平衡状態検出のための処理タイミングを簡単に認識することができる。なお、図15における一定の時間tは、ビーコン信号の前縁からの時間としたが、後縁からの時間としてもよい。
【0090】
図16は、通信システムを構成する複数の通信装置毎に割り当てられたパイロット信号を送信する場合の動作を説明するための図である。図16(a)は、通信帯域を示し、図16(b)は、パイロット信号1601、1602の異なる周波数帯域を示す。すなわち、パイロット信号1601は領域Aのキャリア信号であり、パイロット信号1602は領域Bのキャリア信号である。また、図16(c)及び図16(d)は、異なる通信装置でのパイロット信号検出タイミングを示す。この場合、パイロット信号が、通信システムを構成する通信装置毎に割り当てられ、割り当てられたそれぞれのパイロット信号は、通信周波数帯域内で、互いに異なる帯域で送信される。このタイミングでパイロット信号を送信すると、複数の端末で同時にパイロット信号を検出することができる。また、各パイロット信号をさらに時間分割で送信することも可能である。
【0091】
電力線通信等に適用する場合のパイロット信号の送信タイミングについて、図17から図19を用いて説明する。
【0092】
図17は、パイロット信号を商用電源のゼロクロス点の近傍で送信する場合の送信タイミングを示すものである。図17に示すようにパイロット信号1701は、商用電源のゼロクロス点1702の近傍で送信される。商用電源は、期間1703で周辺機器、特に半波整流器付きの機器の影響を受け易いので、ゼロクロス点1702の近傍で送信することにより周辺機器の影響を受けることなく、不平衡成分を確実に検出することができる。なお、パイロット信号をゼロクロス点で送信することも可能である。
【0093】
図18は、パイロット信号を商用電源のゼロクロス点から90度の近傍で送信する場合の送信タイミングを示すものである。図18に示すようにパイロット信号1801は、商用電源のゼロクロス点1802から90度となる位相で送信される。この期間1803は周辺機器、特に半波整流器付きの機器の影響を受け易いので、周辺機器の影響を確実に検出することができる。なお、図18では、商用電源のゼロクロス点1802から90度となる位相で送信したが、ゼロクロス点から−90度となる位相で送信しても効果は同様である。
【0094】
図19は、パイロット信号を商用電源のゼロクロス点を基準として一定期間内に送信する場合の送信タイミングを示すものである。図19の例では、複数の通信装置に対応した複数のパイロット信号1901、1902、・・190nを送信する例が示されている。 このようなタイミングでパイロット信号を送信すると、ビーコン信号を利用することなく正確なタイミングで送信することができる。
【0095】
(第2の実施の形態)
図20に、本発明の第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムの一例の概略構成を示す。第1の実施の形態と異なる点は、パイロット信号生成部14が省略されている点である。パイロット信号としては、データの送信列に含まれる通信制御用の信号を利用する。具体的には、受信側でのAGC(Auto Gain Control)のために送信されるAGC基準信号(例えば、受信回路の利得を制御する基準信号)、伝送線路の伝送特性を推定するための特性推定用基準信号、受信側での復調のための復調用基準信号(例えば位相や振幅の基準信号)、通信信号の先頭を示すヘッダ信号等を利用する。
【0096】
図20に示される第2通信装置200は、さらに信号増幅回路241、AGC回路242、復調回路243を備える受信部24、データ処理部25を含んでおり、AGC制御、伝送特性推定等を行う。信号増幅回路のAGC制御、伝送特性推定処理は、周知であるので説明を省略する。
【0097】
第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおけるパイロット信号の送信タイミングについて、図21〜図24を用いて説明する。
【0098】
図21は、AGC基準信号2101を利用する場合を示す。図21に示すように、AGC基準信号2101はデータ信号に先立って送信される。
【0099】
図22は、伝送線路の伝送特性を推定するための特性推定用基準信号2201を利用する場合を示す。図22に示すように、特性推定用基準信号2201はヘッダ信号とデータ信号の間に送信される。
【0100】
図23は、受信側での復調のための復調用基準信号2301を利用する場合を示す。図23に示すように、復調用基準信号2301はヘッダ信号とデータ信号の間に送信される。
【0101】
図24は、通信信号の先頭を示すヘッダ信号2401を利用する場合を示す。図24に示すように、ヘッダ信号2401は通信信号の先頭に送信される。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムにおいて、平衡伝送システムにおける伝送線路の平衡状態を簡単に精度良く検出することができる線路状態検出装置等として有用である。また、伝送線路の平衡状態を検出結果に基づいて制御でき、平衡度を向上させることが可能な平衡伝送システムの通信装置、通信方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムの一例の概略構成を示す図
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおける平衡度制御の一例の概念図
【図3】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおける不平衡成分検出部の一例の概略構成を示す図
【図4】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおける不平衡成分検出部の他の例の概略構成を示す図
【図5】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の一例を説明する図
【図6】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の他の例を説明する図
【図7】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作のさらに別の例を説明する図
【図8】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、複数のキャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の一例を説明する図
【図9】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、複数のキャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の他の例を説明する図
【図10】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、複数のキャリア信号をパイロット信号として利用した後、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の一例を説明する図
【図11】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、複数のキャリア信号をパイロット信号として利用した後、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の他の例を説明する図
【図12】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、伝送すべきデータの伝送停止期間にパイロット信号を送信する場合の送信タイミングを示す図
【図13】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、伝送すべきデータの信号列内に含めてパイロット信号を送信する場合の送信タイミングを示す図
【図14】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、ビーコン信号送出から一定の時間後にパイロット信号を送信する場合の送信タイミングを示す図
【図15】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、ビーコン信号送出から一定の時間後に、各通信装置に対応したパイロット信号を時分割で送信する場合の送信タイミングを示す図
【図16】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、通信システムを構成する複数の通信装置毎に割り当てられたパイロット信号を送信する場合の動作を説明するための図
【図17】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、パイロット信号を商用電源のゼロクロス点の近傍で送信する場合の送信タイミングを示す図
【図18】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、パイロット信号を商用電源のゼロクロス点から90度の近傍で送信する場合の送信タイミングを示す図
【図19】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、パイロット信号を商用電源のゼロクロス点を基準として一定期間内に送信する場合の送信タイミングを示す図
【図20】本発明の第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおける平衡度制御の一例の概念図
【図21】第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおけるパイロット信号の送信タイミングを説明する図
【図22】第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおけるパイロット信号の送信タイミングを説明する図
【図23】第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおけるパイロット信号の送信タイミングを説明する図
【図24】第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおけるパイロット信号の送信タイミングを説明する図
【図25】従来の平衡伝送装置の送信部及び伝送線路の一例を示す図
【符号の説明】
【0104】
100・・・第1通信装置
200・・・第2通信装置
300・・・伝送線路
11、21・・・送信信号生成部
12、22・・・送信制御部
13、23・・・不平衡成分検出部
14・・・パイロット信号生成部
24・・・受信部
25・・・データ処理部
241・・・信号増幅回路
242・・・AGC回路
243・・・復調回路
31、32・・・導体
41・・・カレントトランス
51a、51b・・・インピーダンス
52a、52b・・・電圧検出器
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムにおける伝送線路の状態を検出する線路状態検出装置、及びこれを備える通信装置並びに平衡伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、平衡状態にある一対の伝送線路を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムが広く用いられている。この種の平衡伝送システムでは、例えば電話回線などのように、専用の通信線などによる伝送線路が用いられることが多く、通常、ある程度の平衡度が保たれている。
【0003】
従来の平衡伝送装置の送信部及び伝送線路の一例を図25に示す。この平衡伝送装置は、送信部91から伝送用トランスT92を介して一対の導体W1、W2からなる伝送線路に信号を送出する構成となっている。このとき、送信部91から送出する送信信号の電流は送信部91及び伝送線路W1、W2の特性に依存する。
【0004】
送信部から受信部に至る伝送線路は、本来完全に平衡であることが要求されるが、実際には、送信部及び受信部における不平衡要素や、伝送線路の配線の状況や途中に接続される機器による不平衡成分等があり、伝送線路の導体W1、W2に流れる電流は、完全に平衡しているとはいえないのが実情である。このように伝送線路に流れる電流が不平衡であると、送信電力の一部が伝送線路から外部へ漏洩し、データの伝送特性が劣化したり、干渉などの不具合が生じる。
【0005】
最近では、商用電源などの電力を搬送する電力線に高周波信号を重畳してデータ伝送を行う平衡伝送システムが提案されている。特にこのような電力線は、本来は通信用の線路ではないため、個々の宅内での配線状況、電源に接続される機器などによって、平衡度がばらつくことがある。このため、電力線を伝送線路として用いた場合に、個々の環境によって平衡度が変化し、伝送特性が大きく異なってしまうおそれがある。
【0006】
特許文献1には、送信側又は受信側の導体の電圧又は電流から不平衡成分を検出し、検出した不平衡成分が小さくなるように送信制御を行う平衡伝送装置が記載されている。
【0007】
しかし、特許文献1には、不平衡成分を検出するための具体的な方法については記載されていない。
【0008】
【特許文献1】特開2004−140565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、平衡伝送システムにおける伝送線路の平衡状態を簡単に精度良く検出することが可能な線路状態検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、伝送線路の平衡状態を検出結果に基づいて制御でき、平衡度を向上させることが可能な平衡伝送システムの通信装置、通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の線路状態検出装置は、一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムにおける伝送線路の状態を検出する線路状態検出装置であって、前記一対の導体間の不平衡成分を検出する不平衡成分検出部を備え、前記不平衡成分検出部は、前記不平衡成分を検出するためのパイロット信号を伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出するものである。
【0012】
本発明によれば、伝送線路で伝送されるパイロット信号としてその素性(レベル、質等)が既知ものを利用することができるので、平衡伝送システムにおける伝送線路の平衡状態を簡単に精度良く検出することができる。
【0013】
本発明の線路状態検出装置は、前記不平衡成分検出部が、前記一対の導体間の不平衡成分を直接検出するものを含む。
【0014】
本発明の線路状態検出装置は、前記不平衡成分検出部が、前記導体に流れる電流又は前記導体の電圧又はその両方を、各々の導体別に検出し、前記導体別の電流の差分又は前記導体別の電圧の差分又はその両方を求めることによって前記不平衡成分を算出するものを含む。
【0015】
本発明の線路状態検出装置は、前記一対の導体が、電力線であるものを含む。
【0016】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、信号レベルが既知の単一キャリア信号であるものを含む。
【0017】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、信号レベルが既知でかつ通信周波数帯域にわたりスィープする単一キャリア信号であるものを含む。本発明によれば、通信帯域全体の平衡状態を確実に検出することができる。
【0018】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、送信フレーム毎に異なる周波数の信号であるものを含む。本発明によれば、通信に対する影響を大きくせずに伝送線路の平衡状態を検出することができ、データ転送レートを高くすることができる。なお、ここで、不平衡成分を検出するためのパイロット信号は、単一キャリア信号に限定されない。
【0019】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、通信周波数帯域において使用する全てのキャリア信号であって信号レベルが既知のキャリア信号であるものを含む。本発明によれば、必要な周波数帯域における平衡状態を同時に、短時間で検出することができる。
【0020】
本発明の線路状態検出装置は、前記複数のキャリア信号のうちの隣接したキャリア信号が、互いに直交した信号であるものを含む。本発明によれば、複数のキャリア信号が互いに干渉せず、パイロット信号の振幅が大きくならない。したがって、データの送信に大きな影響を与えずに、伝送線路の平衡状態を検出することができる。
【0021】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、通信周波数帯域において使用する全てのキャリア信号のうちの離散的に選択した複数のキャリア信号であって信号レベルが既知のキャリア信号であるものを含む。本発明によれば、少ないキャリア数で通信帯域全域の平衡状態を、短時間で検出することができる。また、既知の妨害がある周波数を避けることができるので、平衡状態の検出精度を向上させることができる。
【0022】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号の周波数以外の通信帯域の前記不平衡成分を、前記不平衡成分検出部の出力に基づいて算出する算出部を備えるものを含む。
【0023】
本発明の線路状態検出装置は、前記算出部が、前記パイロット信号の周波数以外の通信帯域の前記不平衡成分を、前記不平衡成分検出部の出力のうちの隣接する周波数帯域の出力の相加平均によって算出するものを含む。
【0024】
本発明の線路状態検出装置は、前記算出部が、前記パイロット信号の周波数以外の通信帯域の前記不平衡成分を、前記不平衡成分検出部の出力のうちの隣接する周波数帯域の出力の重み付け平均によって算出するものを含む。
【0025】
本発明の線路状態検出装置は、前記算出部が、前記不平衡成分検出部が出力する周波数帯域の外側の帯域の前記不平衡成分を、最隣接の周波数帯域の前記パイロット信号から得られる前記不平衡成分で代用するものを含む。
【0026】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、通信周波数帯域において使用する複数キャリア信号であって信号レベルが既知の第1のキャリア信号と、前記第1のパイロット信号として送信後、更に送信される信号レベルが既知の特定周波数の単一キャリア信号であるものを含む。本発明によれば、通信帯域全域の平衡状態を短時間で検出するとともに、特定の周波数帯域の状態を精度良く検出することができる。
【0027】
本発明の線路状態検出装置は、前記特定周波数の単一キャリア信号が、前記第1のキャリア信号を利用して検出した不平衡成分が大きい周波数帯域のキャリア信号であるものを含む。本発明によれば、不平衡成分の検出を短時間で精度良く行うことができ、処理負担を大きくすることなく、高精度の平衡状態の監視が可能となる。例えば、通信帯域全域の平衡状態を検出することにより、平衡状態を監視する必要性が高い周波数帯域を抽出した後は、その周波数帯域の監視のみで平衡状態の変化を検出することができる。
【0028】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、伝送すべきデータの伝送停止期間に送信されるものであるものを含む。本発明によれば、通信中であっても通信停止中であっても同様の方法で平衡状態を検出することができる。
【0029】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、伝送すべきデータの信号列内の一部又は複数の部分に含まれて送信されるものであるものを含む。本発明によれば、特別の検出時間を割り当てることなく通信中に平衡状態の検出が可能となる。
【0030】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、通信システム共通の基準タイミング信号から一定の時間内に送信されるものであるものを含む。本発明によれば、平衡状態検出のための処理タイミングを簡単に認識することができる。
【0031】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、通信システム共通の基準タイミング信号から一定の時間内に、当該通信システムを構成する各通信装置に対応したタイミングで時分割で送信されるものであるものを含む。本発明によれば、平衡状態検出のための処理タイミングを各通信装置毎に簡単に認識することができる。
【0032】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、当該通信システムを構成する通信装置毎に割り当てられ、割り当てられたそれぞれのパイロット信号は、通信周波数帯域内で、互いに異なる帯域で送信されるものであるものを含む。本発明によれば、複数の端末で同時にパイロット信号を検出することができる。
【0033】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、受信側でのAGC(Auto Gain Control)のために送信されるAGC基準信号であるものを含む。本発明によれば、AGCの動作点を決めるために挿入されるリファレンス信号であるAGC基準信号を、前記不平衡成分を検出するためのパイロット信号として使用するので、検出用の信号を作成するための手段が不要になる。また、パイロット信号送信のための時間が不要となり、データ伝送レートが向上する。
【0034】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、伝送線路の伝送特性を推定するための特性推定用基準信号であるものを含む。本発明によれば、伝送線路の伝送特性を推定して通信に適する使用可能な帯域を決めるためのリファレンス信号である特性推定用基準信号を、前記不平衡成分を検出するためのパイロット信号として使用するので、検出用の信号を作成するための手段が不要になる。また、パイロット信号送信のための時間が不要となり、データ伝送レートが向上する。
【0035】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、受信側での復調のための復調用基準信号であるものを含む。本発明によれば、復調同期のために挿入されるリファレンス信号である復調基準信号を、前記不平衡成分を検出するためのパイロット信号として使用するので、検出用の信号を作成するための手段が不要になる。また、パイロット信号送信のための時間が不要となり、データ伝送レートが向上する。
【0036】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、通信信号の先頭を示すヘッダ信号であるものを含む。本発明によれば、通信信号の先頭を示すために挿入されるヘッダ信号を、前記不平衡成分を検出するためのパイロット信号として使用するので、検出用の信号を作成するための手段が不要になる。また、パイロット信号送信のための時間が不要となり、データ伝送レートが向上する。
【0037】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、商用電源のゼロクロス点又はその近傍で送信されるものであるものを含む。本発明によれば、電力線を伝送線路とする場合に、その電力線に接続される整流器付きの機器、特に半波整流器付きの機器の影響を確実に検出することができる。
【0038】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、商用電源のゼロクロス点から90度となる位相又はその近傍又は前記ゼロクロス点から−90度となる位相又はその近傍で送信されるものであるものを含む。
【0039】
本発明の線路状態検出装置は、前記パイロット信号が、商用電源のゼロクロス点から一定の期間内に送信されるものであるものを含む。本発明によれば、複数の通信装置のためのパイロット信号を、基準タイミング信号を利用することなく送信することができる。
【0040】
本発明の通信装置は、一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムに用いる通信装置であって、上記したパイロット信号を含む送信信号を送信する送信部と、上記した線路状態検出装置からなる送信時線路状態検出装置を備え、前記送信時線路状態検出装置における前記不平衡成分検出部は、前記送信部から送信される前記パイロット信号伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出するものである。
【0041】
本発明の通信装置は、前記送信側線路状態検出装置の出力に基づき、前記導体に対し出力する送信信号を制御する送信信号制御部を備えるものを含む。
【0042】
本発明の通信装置は、前記送信信号制御部が、前記伝送線路の不平衡成分を低減させる制御を行うものを含む。
【0043】
本発明の通信装置は、前記送信信号制御部が、前記送信信号の送信電力を制御するものを含む。
【0044】
本発明の通信装置は、前記送信信号制御部が、通信に利用するキャリアの選択を行うものを含む。
【0045】
本発明の通信装置は、一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムに用いる通信装置であって、上記した線路状態検出装置からなる受信時線路状態検出装置を備え、前記受信時線路状態検出装置における前記不平衡成分検出部は、他の通信装置から送信される前記パイロット信号伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出するものを含む。
【0046】
本発明の通信装置は、前記受信時線路状態検出装置の出力に基づき、前記導体に対し出力する送信信号を制御する送信信号制御部を備えるものを含む。
【0047】
本発明の通信装置は、前記送信信号制御部が、前記伝送線路の不平衡成分を低減させる制御を行うものを含む。
【0048】
本発明の通信装置は、前記送信信号制御部が、前記送信信号の送信電力を制御するものを含む。
【0049】
本発明の通信装置は、前記送信信号制御部が、通信に利用するキャリアの選択を行うものを含む。
【0050】
本発明の伝送システムは、一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムであって、上記した送信時線路状態検出装置を含む通信装置を備えるものである。
【0051】
本発明の伝送システムは、さらに上記した受信時線路状態検出装置を含む通信装置を備えるものである。
【0052】
本発明の通信方法は、一対の導体を用いてデータ伝送を行う通信方法であって、前記一対の導体間の不平衡成分を検出するためのパイロット信号を送信する工程と、前記パイロット信号を伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出する工程を備えるものである。
【発明の効果】
【0053】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、平衡伝送システムにおける伝送線路の平衡状態を簡単に精度良く検出することが可能な線路状態検出装置を提供することができる。また、伝送線路の平衡状態を検出結果に基づいて制御でき、平衡度を向上させることが可能な通信装置及び平衡伝送システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0055】
(第1の実施の形態)
図1に、本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムの一例の概略構成を示す。図1の平衡伝送システムは、第1通信装置100と第2の通信装置200との間で、電力線等の一対の導体からなる伝送線路300を介して通信を行うものである。
【0056】
第1通信装置100は、送信信号生成部11、送信制御部12(送信部)、不平衡成分検出部13、パイロット信号生成部14を含んで構成され、第2通信装置200は、送信信号生成部21、送信制御部22、不平衡成分検出部23を含んで構成される。なお、図1においては信号の送信に関係する要素のみを示し、信号の受信に関係する要素等の他の要素を省略して示してある。また、伝送線路300には、第1通信装置100と第2通信装置200の2つの通信装置のみが接続されているが、さらに別の通信装置が接続される場合もある。伝送線路300に接続される複数の通信装置は、第1の通信装置100であっても第2の通信装置200であってもよいが、少なくとも1つの通信装置は第1の通信装置100である。
【0057】
送信信号生成部11は、伝送線路300を介して送信すべき送信信号、複数のサブキャリアを用いた伝送を行うための送信信号(マルチキャリア送信信号)を生成するものである。複数のサブキャリアを用いた伝送方式は、例えば、ウェーブレット変換を利用するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式である。送信信号生成部11は、パイロット信号生成部14で生成されたパイロット信号を合わせて送信する。パイロット信号の送信タイミング等の情報は、不平衡成分検出部13に送られる。なお、パイロット信号は、伝送線路の不平衡成分を検出するために送信される信号であり、詳細は後述する。
【0058】
送信制御部12は、送信信号生成部11で生成された送信信号を伝送線路の状態に応じて制御するもので、例えば、送信信号の平衡度制御、送信電力制御を行う。これらの制御は、不平衡成分検出部13で検出された伝送線路300の不平衡成分(伝送線路300を構成する一対の導体間の不平衡成分)を減少させるための制御である。
【0059】
送信信号の平衡度制御を行う場合、例えば、不平衡成分に基づいて算出した補償信号を一対の送信信号それぞれに加算する。図2は、平衡度制御の一例の概念図である。図2において、送信信号生成部11からの送信信号e、−eは、補償信号ecが加算されて、それぞれ導体31、32に送信される。また、送信信号の送信電力制御を行う場合、例えば、伝送線路300の一対の導体31、32それぞれに接続された増幅器(図示せず)の増幅度を制御する。
【0060】
なお、図1の例では送信制御部12の制御により、主としてアナログ処理により不平衡成分を減少させるようにしたが、送信信号生成部11に不平衡成分の情報を送り、デジタル処理により不平衡成分を減少させた送信信号を生成するようにしてもよい。また、不平衡成分が大きい周波数帯域のサブキャリアを不使用とすることによって、伝送線路300の不平衡成分を減少させるようにしてもよい。
【0061】
不平衡成分検出部13は、伝送線路300を構成する一対の導体間の不平衡成分を検出するものであり、パイロット信号を伝送時の不平衡成分を検出する。図3に、不平衡成分検出部13の一例の概略構成を示す。図3に示すものは、一対の導体間の不平衡成分を直接検出するもので、カレントトランス41が導体31、32に直列に接続される。カレントトランス41の2次巻線を図3に示すように導体31、32の同一方向の電流を検出するように接続すると、2次巻線電流は、導体31、32間の不平衡成分を示すことになる。不平衡成分検出部13は、この2次巻線電流に基づいて導体31、32間の不平衡成分信号を出力する。
【0062】
図4に、不平衡成分検出部13の他の例の概略構成を示す。図4に示すものは、一対の導体間の不平衡成分を間接的に検出するもので、伝送線路を構成する導体31、32に流れる電流を別々に検出し、それらの差分を求めることによって、不平衡成分を算出する。 導体31、32に流れる電流は、導体31、32に直列に接続されたインピーダンス51a、51bの両端電圧を電圧検出器52a、52bで検出することにより求める。不平衡成分検出部13は、電圧検出器52a、52bの電圧値に基づいて導体31、32間の不平衡成分信号を出力する。なお、図4の例では、導体31、32に流れる電流の差分を求めることにより不平衡成分を算出したが、導体31,32の電圧を個別に検出し、それたの差分を求めることによって算出することも可能である。また、電流の差分と電圧の差分の両方を利用してもよい。
【0063】
パイロット信号生成部14は、伝送線路300の不平衡成分を検出するために伝送線路300に送信されるパイロット信号を生成するものである。伝送線路300の不平衡成分は、伝送線路300に信号を伝送中の不平衡成分を検出するものであるので、伝送中の信号が既知で良質のものであることが好ましい。具体的には、周波数帯域が使用する帯域全体にわたっており、信号の素性(レベル、質等)が既知であり、パイロット信号を送信することによって通常の通信動作を妨げないものであることが好ましい。また、パイロット信号の生成に特殊な回路等を付加する必要がなく、短時間の送信で不平衡成分の検出が可能であり、さらに適切な周期で送信でき、状況の変化に対応して変更できるものであることが好ましい。パイロット信号の具体例については、後述する。
【0064】
以上のような構成を有する第1の通信装置100は、パイロット信号生成部14で生成したパイロット信号を所定のタイミングで送信し、パイロット信号伝送時の伝送線路300の不平衡成分を不平衡成分検出部13で検出し、検出した不平衡成分に基づいて送信制御部12によって不平衡成分が減少するように送信信号を制御する。
【0065】
第2の通信装置200の送信信号生成部21、送信制御部22、不平衡成分検出部23は、第1の通信装置100の送信信号生成部11、送信制御部12、不平衡成分検出部13と同様であるので詳細な説明は省略する。ただし、不平衡成分検出部23は、上記したパイロット信号を受信中の伝送線路300の不平衡成分を検出する。送信制御部22は、検出した不平衡成分に基づいて送信信号生成部21からの送信信号を制御する。
【0066】
次に、パイロット信号生成部14が生成するパイロット信号の種類、及びパイロット信号の信号タイミングについて説明する。
【0067】
(単一キャリア信号)
単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の一例を、図5を用いて説明する。図5(a)に、パイロット信号と通信帯域との関係を示し、図5(b)及び(c)にパイロット信号の送信タイミングを示す。
【0068】
図5(a)に示すように、パイロット信号501は、通信帯域内の任意の周波数のキャリア信号であり、その信号レベルは既知である。パイロット信号501は、送信信号の始まりを示すヘッダ信号(以下、単にヘッダ信号)、データ信号、送信信号の終わりを示す終了信号(以下、単に終了信号)からなる送信データに先立って送信されてもよいし(図5(b)参照)、ヘッダ信号とデータ信号の間に送信されてもよい(図5(c)参照)。 この場合、不平衡成分検出部13、23は、伝送線路300の特定の周波数帯域における不平衡成分を検出することになり、この不平衡成分信号によって、送信制御部12、22を制御する。
【0069】
単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の他の例を、図6を用いて説明する。図6(a)に、パイロット信号と通信帯域との関係を示し、図6(b)にパイロット信号の送信タイミングを示す。図6のパイロット信号601は、通信周波数帯域にわたりスィープした単一キャリア信号である。このパイロット信号601を送信すると、通信帯域全体における不平衡成分を確実に検出することができる。
【0070】
単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作のさらに別の例を、図7に示すパイロット信号の送信タイミングを用いて説明する。図7のパイロット信号701、702は、異なる周波数のキャリア信号であり、送信フレーム毎に変えて送信する。図7の例では、n番目の信号列中にパイロット信号701を送信し、n+1番目の信号列中にパイロット信号702を送信している。このようなパイロット信号を送信すると、一定のフレーム送信後には、通信帯域全体の不平衡成分を検出することができる。また、通信に対する影響が大きくせずに伝送線路の平衡状態を検出することができ、データ転送レートを高くすることができる。
【0071】
なお、図7例では送信するパイロット信号を単一キャリア信号として説明したが、マルチキャリア信号でも問題ない。その場合使用するキャリアをフレーム毎に選択することにより、通信帯域全体の不平衡成分を短時間で検出することができる。
【0072】
(マルチキャリア信号)
複数のキャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の一例を、図8を用いて説明する。図8(a)に、パイロット信号と通信帯域との関係を示し、図8(b)にパイロット信号の送信タイミングを示す。
【0073】
図8(a)に示すように、パイロット信号801は、通信帯域内の全ての周波数のキャリア信号であり、その信号レベルは既知である。パイロット信号801は、図8(b)の例ではヘッダ信号とデータ信号の間に送信される。このようなパイロット信号を送信すると、必要な周波数帯域における不平衡成分を同時に、短時間で検出することができる。また、複数のキャリア信号のうちの互いに隣接したキャリア信号は、互いに直交したキャリア信号とすることにより、互いに干渉せず、パイロット信号の振幅が大きくならないので、データの送信に大きな影響を与えずに、伝送線路の平衡状態を検出することができる。
【0074】
複数のキャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の他の例を、図9を用いて説明する。図9(a)に、パイロット信号と通信帯域との関係を示し、図9(b)にパイロット信号の送信タイミングを示す。
【0075】
図9(a)に示すように、パイロット信号901は、通信帯域において使用する全てのキャリア信号のうちの離散的に選択した複数のキャリア信号である(図9(a)における破線は、通信に使用するキャリアであるがパイロット信号に含まれないキャリアを示す。)。パイロット信号901は、図9(b)の例ではヘッダ信号とデータ信号の間に送信される。
【0076】
このようなパイロット信号901を送信すると、少ないキャリア数で離散的ではあるが通信帯域全域にわたる不平衡成分を、短時間で検出することができる。また、既知の妨害がある周波数(図9(a)における番号902)を避けることができるので、平衡状態の検出精度を向上させることができる。
【0077】
通信帯域全体の全キャリアに対応する領域の不平衡成分を検出する際には、パイロット信号に含まれる領域の不平衡成分に基づいて所定の演算を行って算出を行う。この算出を行う算出部は、不平衡成分検出部13、23が兼ねてもよいし、不平衡成分検出部13、23の外部に算出部(図示せず)を設けてもよい。このような演算としては、例えば、隣接する周波数帯域の不平衡成分出力の相加平均や重み付け平均が採用できる。また、不平衡成分検出部13、23が出力する周波数帯域の外側の帯域の不平衡成分については、最隣接の周波数帯域の不平衡成分で代用する。
【0078】
(単一キャリア信号とマルチキャリア信号)
複数のキャリア信号をパイロット信号として利用した後、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の一例を、図10を用いて説明する。図10(a)に、複数のキャリア信号である第1のパイロット信号1001と通信帯域との関係を示し、図10(b)に単一キャリア信号である第2のパイロット信号1002と通信帯域との関係を示す。
【0079】
第1のキャリア信号1001は、図8(a)に示すパイロット信号801と同様、通信帯域内の全ての周波数のキャリア信号であり、その信号レベルは既知である。また、第2のキャリア信号1002は、図5(a)に示すパイロット信号501と同様特定周波数の単一キャリア信号である。第2のキャリア信号1002は、特定の周波数における伝送線路の平衡状態を検出するためのもので、例えば、不平衡成分の詳細データを把握したり、運用環境等に応じた特定の監視周波数における不平衡成分を検出したりする目的等で利用される。
【0080】
この例では、第1のパイロット信号1001を短時間送信して通信帯域全体の不平衡成分を同時に検出した後、第2のパイロット信号1002を送信して選択された周波数帯域における不平衡成分を高精度で検出する。
【0081】
複数のキャリア信号をパイロット信号として利用した後、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の他の例を、図11を用いて説明する。図11(a)に、複数のキャリア信号である第1のパイロット信号1101と通信帯域との関係を示し、図11(c)に単一キャリア信号である第2のパイロット信号1102と通信帯域との関係を示す。また、図11(b)は、第1のパイロット信号1101を送信して検出した不平衡成分1103を示す。
【0082】
第1のキャリア信号1101は、図8(a)に示すパイロット信号801と同様、通信帯域内の全ての周波数のキャリア信号であり、その信号レベルは既知である。また、第2のキャリア信号1102は、図5(a)に示すパイロット信号501と同様特定周波数の単一キャリア信号である。第2のキャリア信号1102は、図11(b)に示す不平衡成分の大きさに基づいて選択した周波数の単一キャリア信号である。
【0083】
この例では、第1のパイロット信号1101を短時間送信して通信帯域全体の不平衡成分を同時に検出した後、不平衡成分が大きい周波数帯域(つまり不平衡成分1103のピークを含む帯域)に第2のパイロット信号1102を送信して平衡状態がよくない領域の不平衡成分を高精度で検出する。不平衡成分の検出を短時間で精度良く行うことができ、処理負担を大きくすることなく、高精度の平衡状態の監視が可能となる。
【0084】
(パイロット信号の送信タイミング)
パイロット信号の送信タイミングについて、図12から図19を用いて説明する。
【0085】
図12は、伝送すべきデータの伝送停止期間に送信される場合の送信タイミングを示す図である。図12に示すようにパイロット信号1201は、n番目の信号列とn+1番目の信号列との間に送信され、パイロット信号1202は、n+1番目の信号列と図示しないn+2番目の信号列との間に送信される。このタイミングで送信するようにすると、通信中であっても通信停止中であっても同様の方法で平衡状態を検出することができる。
【0086】
図13は、伝送すべきデータの信号列内に含まれて送信される場合の送信タイミングを示す図である。図13に示すようにパイロット信号1301は、ヘッダ信号とデータ信号との間に送信される。このタイミングで送信するようにすると、特別の検出時間を割り当てることなく通信中に平衡状態の検出が可能となる。なお、図13の例では、1つの信号列中の1箇所にパイロット信号を挿入したが複数箇所に挿入してもよい。
【0087】
図14、図15は、通信システム共通の基準タイミング信号(以下、ビーコン信号と記述する。)を基準としたタイミングで送信される場合の送信タイミングを示す図である。
【0088】
図14は、ビーコン信号送出から一定の時間t後にパイロット信号1401を送信する場合を示すものである。このタイミングでパイロット信号を送信すると、不平衡成分検出部13、23は平衡状態検出のための処理タイミングを簡単に認識することができる。なお、図14における一定の時間tは、ビーコン信号の前縁からの時間としたが、後縁からの時間としてもよい。
【0089】
図15は、ビーコン信号送出から一定の時間t後に、各通信装置に対応したパイロット信号1501〜150nを時分割で送信する場合を示すものである。このタイミングでパイロット信号を送信すると、各通信装置毎の不平衡成分検出部13、23は平衡状態検出のための処理タイミングを簡単に認識することができる。なお、図15における一定の時間tは、ビーコン信号の前縁からの時間としたが、後縁からの時間としてもよい。
【0090】
図16は、通信システムを構成する複数の通信装置毎に割り当てられたパイロット信号を送信する場合の動作を説明するための図である。図16(a)は、通信帯域を示し、図16(b)は、パイロット信号1601、1602の異なる周波数帯域を示す。すなわち、パイロット信号1601は領域Aのキャリア信号であり、パイロット信号1602は領域Bのキャリア信号である。また、図16(c)及び図16(d)は、異なる通信装置でのパイロット信号検出タイミングを示す。この場合、パイロット信号が、通信システムを構成する通信装置毎に割り当てられ、割り当てられたそれぞれのパイロット信号は、通信周波数帯域内で、互いに異なる帯域で送信される。このタイミングでパイロット信号を送信すると、複数の端末で同時にパイロット信号を検出することができる。また、各パイロット信号をさらに時間分割で送信することも可能である。
【0091】
電力線通信等に適用する場合のパイロット信号の送信タイミングについて、図17から図19を用いて説明する。
【0092】
図17は、パイロット信号を商用電源のゼロクロス点の近傍で送信する場合の送信タイミングを示すものである。図17に示すようにパイロット信号1701は、商用電源のゼロクロス点1702の近傍で送信される。商用電源は、期間1703で周辺機器、特に半波整流器付きの機器の影響を受け易いので、ゼロクロス点1702の近傍で送信することにより周辺機器の影響を受けることなく、不平衡成分を確実に検出することができる。なお、パイロット信号をゼロクロス点で送信することも可能である。
【0093】
図18は、パイロット信号を商用電源のゼロクロス点から90度の近傍で送信する場合の送信タイミングを示すものである。図18に示すようにパイロット信号1801は、商用電源のゼロクロス点1802から90度となる位相で送信される。この期間1803は周辺機器、特に半波整流器付きの機器の影響を受け易いので、周辺機器の影響を確実に検出することができる。なお、図18では、商用電源のゼロクロス点1802から90度となる位相で送信したが、ゼロクロス点から−90度となる位相で送信しても効果は同様である。
【0094】
図19は、パイロット信号を商用電源のゼロクロス点を基準として一定期間内に送信する場合の送信タイミングを示すものである。図19の例では、複数の通信装置に対応した複数のパイロット信号1901、1902、・・190nを送信する例が示されている。 このようなタイミングでパイロット信号を送信すると、ビーコン信号を利用することなく正確なタイミングで送信することができる。
【0095】
(第2の実施の形態)
図20に、本発明の第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムの一例の概略構成を示す。第1の実施の形態と異なる点は、パイロット信号生成部14が省略されている点である。パイロット信号としては、データの送信列に含まれる通信制御用の信号を利用する。具体的には、受信側でのAGC(Auto Gain Control)のために送信されるAGC基準信号(例えば、受信回路の利得を制御する基準信号)、伝送線路の伝送特性を推定するための特性推定用基準信号、受信側での復調のための復調用基準信号(例えば位相や振幅の基準信号)、通信信号の先頭を示すヘッダ信号等を利用する。
【0096】
図20に示される第2通信装置200は、さらに信号増幅回路241、AGC回路242、復調回路243を備える受信部24、データ処理部25を含んでおり、AGC制御、伝送特性推定等を行う。信号増幅回路のAGC制御、伝送特性推定処理は、周知であるので説明を省略する。
【0097】
第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおけるパイロット信号の送信タイミングについて、図21〜図24を用いて説明する。
【0098】
図21は、AGC基準信号2101を利用する場合を示す。図21に示すように、AGC基準信号2101はデータ信号に先立って送信される。
【0099】
図22は、伝送線路の伝送特性を推定するための特性推定用基準信号2201を利用する場合を示す。図22に示すように、特性推定用基準信号2201はヘッダ信号とデータ信号の間に送信される。
【0100】
図23は、受信側での復調のための復調用基準信号2301を利用する場合を示す。図23に示すように、復調用基準信号2301はヘッダ信号とデータ信号の間に送信される。
【0101】
図24は、通信信号の先頭を示すヘッダ信号2401を利用する場合を示す。図24に示すように、ヘッダ信号2401は通信信号の先頭に送信される。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムにおいて、平衡伝送システムにおける伝送線路の平衡状態を簡単に精度良く検出することができる線路状態検出装置等として有用である。また、伝送線路の平衡状態を検出結果に基づいて制御でき、平衡度を向上させることが可能な平衡伝送システムの通信装置、通信方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムの一例の概略構成を示す図
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおける平衡度制御の一例の概念図
【図3】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおける不平衡成分検出部の一例の概略構成を示す図
【図4】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおける不平衡成分検出部の他の例の概略構成を示す図
【図5】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の一例を説明する図
【図6】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の他の例を説明する図
【図7】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作のさらに別の例を説明する図
【図8】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、複数のキャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の一例を説明する図
【図9】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、複数のキャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の他の例を説明する図
【図10】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、複数のキャリア信号をパイロット信号として利用した後、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の一例を説明する図
【図11】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、複数のキャリア信号をパイロット信号として利用した後、単一キャリア信号をパイロット信号として利用する場合の動作の他の例を説明する図
【図12】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、伝送すべきデータの伝送停止期間にパイロット信号を送信する場合の送信タイミングを示す図
【図13】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、伝送すべきデータの信号列内に含めてパイロット信号を送信する場合の送信タイミングを示す図
【図14】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、ビーコン信号送出から一定の時間後にパイロット信号を送信する場合の送信タイミングを示す図
【図15】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、ビーコン信号送出から一定の時間後に、各通信装置に対応したパイロット信号を時分割で送信する場合の送信タイミングを示す図
【図16】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、通信システムを構成する複数の通信装置毎に割り当てられたパイロット信号を送信する場合の動作を説明するための図
【図17】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、パイロット信号を商用電源のゼロクロス点の近傍で送信する場合の送信タイミングを示す図
【図18】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、パイロット信号を商用電源のゼロクロス点から90度の近傍で送信する場合の送信タイミングを示す図
【図19】本発明の第1の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおいて、パイロット信号を商用電源のゼロクロス点を基準として一定期間内に送信する場合の送信タイミングを示す図
【図20】本発明の第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおける平衡度制御の一例の概念図
【図21】第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおけるパイロット信号の送信タイミングを説明する図
【図22】第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおけるパイロット信号の送信タイミングを説明する図
【図23】第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおけるパイロット信号の送信タイミングを説明する図
【図24】第2の実施の形態を説明するための平衡伝送システムにおけるパイロット信号の送信タイミングを説明する図
【図25】従来の平衡伝送装置の送信部及び伝送線路の一例を示す図
【符号の説明】
【0104】
100・・・第1通信装置
200・・・第2通信装置
300・・・伝送線路
11、21・・・送信信号生成部
12、22・・・送信制御部
13、23・・・不平衡成分検出部
14・・・パイロット信号生成部
24・・・受信部
25・・・データ処理部
241・・・信号増幅回路
242・・・AGC回路
243・・・復調回路
31、32・・・導体
41・・・カレントトランス
51a、51b・・・インピーダンス
52a、52b・・・電圧検出器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムにおける伝送線路の状態を検出する線路状態検出装置であって、
前記一対の導体間の不平衡成分を検出する不平衡成分検出部を備え、
前記不平衡成分検出部は、前記不平衡成分を検出するためのパイロット信号を伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出する線路状態検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の線路状態検出装置であって、
前記不平衡成分検出部は、前記一対の導体間の不平衡成分を直接検出する線路状態検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の線路状態検出装置であって、
前記不平衡成分検出部は、前記導体に流れる電流又は前記導体の電圧又はその両方を、各々の導体別に検出し、前記導体別の電流の差分又は前記導体別の電圧の差分又はその両方を求めることによって前記不平衡成分を算出する線路状態検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記一対の導体は、電力線である線路状態検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、信号レベルが既知の単一キャリア信号である線路状態検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、信号レベルが既知でかつ通信周波数帯域にわたりスィープする単一キャリア信号である線路状態検出装置。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、送信フレーム毎に異なる周波数の信号である線路状態検出装置。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、通信周波数帯域において使用する全てのキャリア信号であって信号レベルが既知のキャリア信号である線路状態検出装置。
【請求項9】
請求項8記載の線路状態検出装置であって、
前記複数のキャリア信号のうちの隣接したキャリア信号は、互いに直交した信号である線路状態検出装置。
【請求項10】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、通信周波数帯域において使用する全てのキャリア信号のうちの離散的に選択した複数のキャリア信号であって信号レベルが既知のキャリア信号である線路状態検出装置。
【請求項11】
請求項10記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号の周波数以外の通信帯域の前記不平衡成分を、前記不平衡成分検出部の出力に基づいて算出する算出部を備える線路状態検出装置。
【請求項12】
請求項11記載の線路状態検出装置であって、
前記算出部は、前記パイロット信号の周波数以外の通信帯域の前記不平衡成分を、前記不平衡成分検出部の出力のうちの隣接する周波数帯域の出力の相加平均によって算出する線路状態検出装置。
【請求項13】
請求項11記載の線路状態検出装置であって、
前記算出部は、前記パイロット信号の周波数以外の通信帯域の前記不平衡成分を、前記不平衡成分検出部の出力のうちの隣接する周波数帯域の出力の重み付け平均によって算出する線路状態検出装置。
【請求項14】
請求項11記載の線路状態検出装置であって、
前記算出部は、前記不平衡成分検出部が出力する周波数帯域の外側の帯域の前記不平衡成分を、最隣接の周波数帯域の前記パイロット信号から得られる前記不平衡成分で代用する線路状態検出装置。
【請求項15】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、通信周波数帯域において使用する複数キャリア信号であって信号レベルが既知の第1のキャリア信号と、前記第1のパイロット信号として送信後、更に送信される信号レベルが既知の特定周波数の単一キャリア信号である線路状態検出装置。
【請求項16】
請求項15記載の線路状態検出装置であって、
前記特定周波数の単一キャリア信号は、前記第1のキャリア信号を利用して検出した不平衡成分が大きい周波数帯域のキャリア信号である線路状態検出装置。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、伝送すべきデータの伝送停止期間に送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項18】
請求項1ないし16のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、伝送すべきデータの信号列内の一部又は複数の部分に含まれて送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項19】
請求項1ないし16のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、通信システム共通の基準タイミング信号から一定の時間内に送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項20】
請求項19記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、通信システム共通の基準タイミング信号から一定の時間内に、当該通信システムを構成する各通信装置に対応したタイミングで時分割で送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項21】
請求項1ないし16のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、当該通信システムを構成する通信装置毎に割り当てられ、割り当てられたそれぞれのパイロット信号は、通信周波数帯域内で、互いに異なる帯域で送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項22】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、受信側でのAGCのために送信されるAGC基準信号である線路状態検出装置。
【請求項23】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、伝送線路の伝送特性を推定するための特性推定用基準信号である線路状態検出装置。
【請求項24】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、受信側での復調のための復調用基準信号である線路状態検出装置。
【請求項25】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、通信信号の先頭を示すヘッダ信号である線路状態検出装置。
【請求項26】
請求項1ないし25のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、商用電源のゼロクロス点又はその近傍で送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項27】
請求項1ないし25のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、商用電源のゼロクロス点から90度となる位相又はその近傍又は前記ゼロクロス点から−90度となる位相又はその近傍で送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項28】
請求項1ないし25のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、商用電源のゼロクロス点から一定の期間内に送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項29】
一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムに用いる通信装置であって、
請求項1ないし28のいずれか1項記載のパイロット信号を含む送信信号を送信する送信部と、
請求項1ないし28のいずれか1項記載の線路状態検出装置からなる送信時線路状態検出装置を備え、
前記送信時線路状態検出装置における前記不平衡成分検出部は、前記送信部から送信される前記パイロット信号伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出する通信装置。
【請求項30】
請求項29記載の通信装置であって、
前記送信側線路状態検出装置の出力に基づき、前記導体に対し出力する送信信号を制御する送信信号制御部を備える通信装置。
【請求項31】
請求項30記載の通信装置であって、
前記送信信号制御部は、前記伝送線路の不平衡成分を低減させる制御を行う通信装置。
【請求項32】
請求項30又は31記載の通信装置であって、
前記送信信号制御部は、前記送信信号の送信電力を制御する通信装置。
【請求項33】
請求項30ないし32のいずれか1項記載の通信装置であって、
前記送信信号制御部は、通信に利用するキャリアの選択を行う通信装置。
【請求項34】
一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムに用いる通信装置であって、
請求項1ないし28のいずれか1項記載の線路状態検出装置からなる受信時線路状態検出装置を備え、
前記受信時線路状態検出装置における前記不平衡成分検出部は、他の通信装置から送信される前記パイロット信号伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出する通信装置。
【請求項35】
請求項34記載の送信装置であって、
前記受信時線路状態検出装置の出力に基づき、前記導体に対し出力する送信信号を制御する送信信号制御部を備える通信装置。
【請求項36】
請求項35記載の通信装置であって、
前記送信信号制御部は、前記伝送線路の不平衡成分を低減させる制御を行う通信装置。
【請求項37】
請求項35又は36記載の通信装置であって、
前記送信信号制御部は、前記送信信号の送信電力を制御する通信装置。
【請求項38】
請求項35ないし37のいずれか1項記載の通信装置であって、
前記送信信号制御部は、通信に利用するキャリアの選択を行う通信装置。
【請求項39】
一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムであって、
前記請求項30ないし33のいずれか1項記載の通信装置を備える平衡伝送システム。
【請求項40】
請求項39記載の平衡伝送システムであって、
さらに前記請求項35ないし38のいずれか1項記載の通信装置を備える平衡伝送システム。
【請求項41】
一対の導体を用いてデータ伝送を行う通信方法であって、
前記一対の導体間の不平衡成分を検出するためのパイロット信号を送信する工程と、
前記パイロット信号を伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出する工程を備える通信方法。
【請求項1】
一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムにおける伝送線路の状態を検出する線路状態検出装置であって、
前記一対の導体間の不平衡成分を検出する不平衡成分検出部を備え、
前記不平衡成分検出部は、前記不平衡成分を検出するためのパイロット信号を伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出する線路状態検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の線路状態検出装置であって、
前記不平衡成分検出部は、前記一対の導体間の不平衡成分を直接検出する線路状態検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の線路状態検出装置であって、
前記不平衡成分検出部は、前記導体に流れる電流又は前記導体の電圧又はその両方を、各々の導体別に検出し、前記導体別の電流の差分又は前記導体別の電圧の差分又はその両方を求めることによって前記不平衡成分を算出する線路状態検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記一対の導体は、電力線である線路状態検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、信号レベルが既知の単一キャリア信号である線路状態検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、信号レベルが既知でかつ通信周波数帯域にわたりスィープする単一キャリア信号である線路状態検出装置。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、送信フレーム毎に異なる周波数の信号である線路状態検出装置。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、通信周波数帯域において使用する全てのキャリア信号であって信号レベルが既知のキャリア信号である線路状態検出装置。
【請求項9】
請求項8記載の線路状態検出装置であって、
前記複数のキャリア信号のうちの隣接したキャリア信号は、互いに直交した信号である線路状態検出装置。
【請求項10】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、通信周波数帯域において使用する全てのキャリア信号のうちの離散的に選択した複数のキャリア信号であって信号レベルが既知のキャリア信号である線路状態検出装置。
【請求項11】
請求項10記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号の周波数以外の通信帯域の前記不平衡成分を、前記不平衡成分検出部の出力に基づいて算出する算出部を備える線路状態検出装置。
【請求項12】
請求項11記載の線路状態検出装置であって、
前記算出部は、前記パイロット信号の周波数以外の通信帯域の前記不平衡成分を、前記不平衡成分検出部の出力のうちの隣接する周波数帯域の出力の相加平均によって算出する線路状態検出装置。
【請求項13】
請求項11記載の線路状態検出装置であって、
前記算出部は、前記パイロット信号の周波数以外の通信帯域の前記不平衡成分を、前記不平衡成分検出部の出力のうちの隣接する周波数帯域の出力の重み付け平均によって算出する線路状態検出装置。
【請求項14】
請求項11記載の線路状態検出装置であって、
前記算出部は、前記不平衡成分検出部が出力する周波数帯域の外側の帯域の前記不平衡成分を、最隣接の周波数帯域の前記パイロット信号から得られる前記不平衡成分で代用する線路状態検出装置。
【請求項15】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、通信周波数帯域において使用する複数キャリア信号であって信号レベルが既知の第1のキャリア信号と、前記第1のパイロット信号として送信後、更に送信される信号レベルが既知の特定周波数の単一キャリア信号である線路状態検出装置。
【請求項16】
請求項15記載の線路状態検出装置であって、
前記特定周波数の単一キャリア信号は、前記第1のキャリア信号を利用して検出した不平衡成分が大きい周波数帯域のキャリア信号である線路状態検出装置。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、伝送すべきデータの伝送停止期間に送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項18】
請求項1ないし16のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、伝送すべきデータの信号列内の一部又は複数の部分に含まれて送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項19】
請求項1ないし16のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、通信システム共通の基準タイミング信号から一定の時間内に送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項20】
請求項19記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、通信システム共通の基準タイミング信号から一定の時間内に、当該通信システムを構成する各通信装置に対応したタイミングで時分割で送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項21】
請求項1ないし16のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、当該通信システムを構成する通信装置毎に割り当てられ、割り当てられたそれぞれのパイロット信号は、通信周波数帯域内で、互いに異なる帯域で送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項22】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、受信側でのAGCのために送信されるAGC基準信号である線路状態検出装置。
【請求項23】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、伝送線路の伝送特性を推定するための特性推定用基準信号である線路状態検出装置。
【請求項24】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、受信側での復調のための復調用基準信号である線路状態検出装置。
【請求項25】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、通信信号の先頭を示すヘッダ信号である線路状態検出装置。
【請求項26】
請求項1ないし25のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、商用電源のゼロクロス点又はその近傍で送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項27】
請求項1ないし25のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、商用電源のゼロクロス点から90度となる位相又はその近傍又は前記ゼロクロス点から−90度となる位相又はその近傍で送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項28】
請求項1ないし25のいずれか1項記載の線路状態検出装置であって、
前記パイロット信号は、商用電源のゼロクロス点から一定の期間内に送信されるものである線路状態検出装置。
【請求項29】
一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムに用いる通信装置であって、
請求項1ないし28のいずれか1項記載のパイロット信号を含む送信信号を送信する送信部と、
請求項1ないし28のいずれか1項記載の線路状態検出装置からなる送信時線路状態検出装置を備え、
前記送信時線路状態検出装置における前記不平衡成分検出部は、前記送信部から送信される前記パイロット信号伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出する通信装置。
【請求項30】
請求項29記載の通信装置であって、
前記送信側線路状態検出装置の出力に基づき、前記導体に対し出力する送信信号を制御する送信信号制御部を備える通信装置。
【請求項31】
請求項30記載の通信装置であって、
前記送信信号制御部は、前記伝送線路の不平衡成分を低減させる制御を行う通信装置。
【請求項32】
請求項30又は31記載の通信装置であって、
前記送信信号制御部は、前記送信信号の送信電力を制御する通信装置。
【請求項33】
請求項30ないし32のいずれか1項記載の通信装置であって、
前記送信信号制御部は、通信に利用するキャリアの選択を行う通信装置。
【請求項34】
一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムに用いる通信装置であって、
請求項1ないし28のいずれか1項記載の線路状態検出装置からなる受信時線路状態検出装置を備え、
前記受信時線路状態検出装置における前記不平衡成分検出部は、他の通信装置から送信される前記パイロット信号伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出する通信装置。
【請求項35】
請求項34記載の送信装置であって、
前記受信時線路状態検出装置の出力に基づき、前記導体に対し出力する送信信号を制御する送信信号制御部を備える通信装置。
【請求項36】
請求項35記載の通信装置であって、
前記送信信号制御部は、前記伝送線路の不平衡成分を低減させる制御を行う通信装置。
【請求項37】
請求項35又は36記載の通信装置であって、
前記送信信号制御部は、前記送信信号の送信電力を制御する通信装置。
【請求項38】
請求項35ないし37のいずれか1項記載の通信装置であって、
前記送信信号制御部は、通信に利用するキャリアの選択を行う通信装置。
【請求項39】
一対の導体を用いてデータ伝送を行う平衡伝送システムであって、
前記請求項30ないし33のいずれか1項記載の通信装置を備える平衡伝送システム。
【請求項40】
請求項39記載の平衡伝送システムであって、
さらに前記請求項35ないし38のいずれか1項記載の通信装置を備える平衡伝送システム。
【請求項41】
一対の導体を用いてデータ伝送を行う通信方法であって、
前記一対の導体間の不平衡成分を検出するためのパイロット信号を送信する工程と、
前記パイロット信号を伝送時の前記一対の導体の状態に基づき前記不平衡成分を検出する工程を備える通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2006−186734(P2006−186734A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378960(P2004−378960)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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