説明

締結具

【課題】部品点数を削減することができるとともに製作プロセスを簡略化することができ、製品コストを飛躍的に低減することができる締結具を提供する。
【解決手段】金属平板から成形され、雄ねじと螺合する雌ねじ3sを有した締結具であって、雌ねじ3sをプレス成形により形成した円筒状の締結部3bを有し、雌ねじ3sは、円筒状の締結部3bの円周方向に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械部品、建築部品、電気部品等の各種部品を固定したり、支持したり、又は部品同士を締結したりするために用いる締結具に係り、特にドラム缶用締付バンド、蝶番(ヒンジ)、配管支持金具、電柱用取付バンド等に好適に用いられる締結具に関する。
【背景技術】
【0002】
機械部品、建築部品、電気部品等の各種部品を固定したり、支持したり、又は部品同士を締結したりするために用いる締結具として、ボルトおよびナットの組み合わせが用いられている。これらボルトおよびナットを用いて、各種部品を固定したり、部品同士を締結したりする場合に、市販品のボルトおよびナットは安価であるため好適に用いることができる。
【0003】
次に、ドラム缶用締付バンドに適用された従来の締結具について図14乃至図16を参照して説明する。
図14は、従来の天板取り外しタイプのドラム缶を示す斜視図である。図14に示すように、ドラム缶100は、有底円筒状の胴体101と、胴体101の上端開口部を閉塞する天蓋102と、天蓋102を胴体101に締付けて固定するためのリング状の締付バンド103とを備えている。
図15は、図14に示す締付バンド103の締結部を示す斜視図である。図15に示すように、締付バンド103の両端部には、締結具104,104がスポット溶接等によって固定されている。締結具104,104には、U字状の係合部105aを有する特殊なボルト105が挿通されており、ボルト105のネジ部105bには、ナット106が螺合されている。
【0004】
図16は、図15のA−A線断面図である。図16に示すように、締結具104は、スポット溶接等によって締付バンド103に固定される固定部104aと、ボルト105が挿通される円筒状の締結部104bとから構成されている。そして、ボルト105のU字状の係合部105aは、締結具104の締結部104bの外周面に係合して、ボルトの廻り止めをしている。すなわち、ナット106をボルト105のネジ部105bに締め込む際に、ボルトの頭部をスパナ等により保持する必要がないように、U字状の係合部105aによりボルトの廻り止めをしている。
【0005】
次に、締付バンド103を用いて天蓋102を胴体101に締付けて固定する手順について説明する。
まず、胴体101の上端に天蓋102を載せ、天蓋102の外周縁にリング状の締付バンド103を嵌める。次に、ボルト105の軸部を2つの締結具104,104の締結部104b,104bに挿通する。このとき、ボルト105の係合部105aは、一方の締結具104の締結部104bに係合する。そして、ナット106をボルト105のネジ部105bに締め込む。ナット106を締め込む際に、ボルト105のU字状の係合部105aが締結具104の締結部104bに係合して、ボルト105の廻り止めがなされる。以上の手順により、締付バンド103を用いて天蓋102を胴体101に締付けて固定することができる。
【0006】
次に、配管吊り金具に適用された従来の締結具について図17乃至図19を参照して説明する。
図17は、配管を配管吊り金具により支持した状態を示す斜視図である。図17に示すように、配管110は、複数の配管吊り金具111と、各配管吊り金具111に螺合された吊りボルト112と、吊りボルト112の上端に固定されたハンガー113を介して支持板114に支持されている。なお、図17においては、ハンガー113として、種々のタイプのものが図示されている。
【0007】
図18は配管吊り金具111の詳細を示す斜視図であり、図19は配管吊り金具111の断面図である。図18および図19に示すように、配管吊り金具111は、吊りボルト112が螺合されるナット121を固定した平板状のナット固定部122aと、平板状のナット固定部122aの両端から下方に延びるとともにボルト挿通孔122hを有する連結部122b,122bとからなる吊り金具122と、配管110の周囲に巻回されて配管110を支持するリング状のバンド部123aと、リング状のバンド部123aの両端から上方に折曲されるとともにボルト挿通孔123hを有する連結部123b,123bとからなる吊りバンド123とを備えている。吊り金具122のボルト挿通孔122hおよび吊りバンド123のボルト挿通孔123hには、ボルト124が挿通されている。そして、ボルト124には、ナット125が螺合されている。吊りバンド123の一方の連結部123bには、ボルト124の頭部に係合してボルトの廻り止めを行うための凸部123cが形成されている。すなわち、ナット125をボルト124のねじ部に締め込む際に、ボルトの頭部をスパナ等により保持する必要がないように、凸部123cによりボルトの廻り止めをしている。
【0008】
次に、配管吊り金具111を用いて配管110を吊り下げ支持する手順について説明する。
まず、支持板114から吊り下げられた吊りボルト112に吊り金具122のナット121をねじ込むことにより、吊りボルト112に吊り金具122を固定する。次に、配管110を支持した吊りバンド123の連結部123b,123bと、吊り金具122の連結部122b,122bとを合わせ、ボルト挿通孔122h,123hにボルト124を挿通した後に、ボルト124にナット125を締め込む。ナット125を締め込む際に、ボルト124の頭部が吊りバンド123の凸部123cに係合して、ボルト124の廻り止めがなされる。以上の手順により、配管吊り金具111を用いて配管110を吊り下げ支持することができる。
【0009】
次に、従来の蝶番(ヒンジ)について図20および図21を参照して説明する。
図20は、従来の平型蝶番の一例を示す斜視図である。図20に示すように、蝶番130は、概略矩形の形状を有する二つの蝶番片131,132と、これら二つの蝶番片131,132を結合するシャフト133とから構成されている。蝶番片131の一側端には、中央部に概略円筒状の枢支部131aが形成され、蝶番片132の一側端には、上下部に概略円筒状の枢支部132a,132aが形成されており、これら枢支部131a,132aにシャフト133を挿通することにより、二つの蝶番片131,132は結合されている。
図21は、図20のB部の拡大断面図である。図21に示すように、シャフト133を枢支部131a,132aに挿通した後に、シャフト133の上端をかしめる(コーキング)ことによりシャフト133の抜け止めを行っている。なお、シャフト133の下端も、同様にかしめることによりシャフト133の抜け止めを行っている(図示せず)。シャフトの抜け止めは、かしめ以外にも、シャフトの上下端に止め輪を嵌める等の方法がある。
【0010】
図14乃至図19に示す締結具においては、ボルトとナットの組み合わせを用いる例を説明したが、ナットの一種として高ナットと称されるナットが市販されている。この高ナットは、一般の六角ナットより長尺の(丈が高い)ナットであり、両側からネジを差し込み、ジョイントや嵩上げ用の部材として用いている。
次に、高ナットを用いた一例を図22を参照して説明する。図22は、天井から物品を吊り下げるときに上側の吊り部材と下側の吊り部材とを連結するジョイント(連結部)として高ナットを用いた例を示す図である。
【0011】
図22に示すように、天井140に埋設された上側吊り部材141と、物品(図示せず)を下端に保持した下側吊り部材142とは、高ナット143によって連結されている。高ナット143は、上側と下側のねじサイズが異なる異径高ナットから構成されている。高ナット143は、上側吊り部材141の下端部に形成された雄ねじ141sと下側吊り部材142に形成された雄ねじ142sのサイズが異なる異径ねじを連結するジョイントとして用いられている。なお、上側吊り部材141の雄ねじ141sと下側吊り部材142の雄ねじ142sが同一サイズの場合には、高ナット143は、上端から下端まで同一サイズの雌ねじを形成したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した従来の締結具には、以下に列挙するような種々の問題点がある。
すなわち、図14乃至図16に示すドラム缶用締付バンドに適用された締結具においては、ナットは市販品のものを使用できるが、ボルトは、廻り止め用の係合部105aを有した特殊なボルト105を用いている。この特殊なボルトは、特注品であるために、高価であり、ドラム缶用締付バンド全体のコストを押し上げる要因となっている。なお、係合部等の廻り止め部を有した特殊なボルトに代えて、市販品のボルトを用いることもできるが、ナットを締め込む際に、ボルトの頭部をスパナ等で押さえ、ボルトの廻り止めを行う必要があり、作業者に過大な作業負担を強いることになり、作業性が悪いという問題点がある。また、ナットには、内周面に切削加工により雌ねじを螺設するが、その場合、防錆処理を施す必要があり、それだけ加工性が悪く、コストも高くなるという問題がある。
【0013】
一方、図17乃至図19に示す配管吊り金具に適用された吊り金具122においては、吊りボルト112を螺合するためのナット121をかしめや溶接等により固定しなければならず、製作工程が煩雑であり、製作コストが上昇する要因となっていた。
また、吊りバンド123には、ボルトの廻り止め用の凸部等の廻り止め部を形成しなければならず、吊りバンドの製作コストが上昇するという問題点がある。なお、この場合も、吊りバンドに廻り止め部を形成しないで、ナットを締め込むこともできるが、ナットを締め込む際に、ボルトの頭部をスパナ等で押さえ、ボルトの廻り止めを行う必要があり、作業者に過大な作業負担を強いることになり、作業性が悪いという問題点がある。
【0014】
また、図20および図21に示す従来の蝶番(ヒンジ)においては、二つの蝶番片131,132を結合するシャフト133の一端をかしめることにより、シャフト133の抜け止めを行っている。このシャフトのかしめは、専用の機械を用いて行う必要があり、製作コストが上昇する要因となっていた。なお、シャフトの抜け止めは、かしめ以外にも、シャフトの上下端に止め輪を嵌める等の方法があるが、いずれの方法も部品点数や加工プロセスが増えるという問題点がある。
【0015】
さらに、図22に示すような高ナットを用いた締結具においては、高ナットは市販品ではあるが、一般の六角ナットに比べて高価であるという問題点がある。また、市販品の高ナットは、予め高さ(長さ)が決まっており、現場に適合した所望の高さの高ナットを選択することができないという問題点がある。
【0016】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたもので、部品点数を削減することができるとともに製作プロセスを簡略化することができ、製品コストを飛躍的に低減することができる締結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した目的を達成するため、本発明の締結具は、金属平板から成形され、雄ねじと螺合する雌ねじを有した締結具であって、前記雌ねじをプレス成形により形成した円筒状の締結部を有し、前記雌ねじは、前記円筒状の締結部の円周方向に形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、雌ねじを有した円筒状の締結部をプレス成形により形成できるため、製作プロセスを量産品に好適なものとすることができ、製品コストを低減できる。
【0018】
本発明の一態様によれば、前記雌ねじは、前記雄ねじのピッチの複数倍のピッチで形成されていることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、前記金属平板にプレス成形することにより凸部を形成した後に、該金属平板を円筒状に成形し、前記凸部により前記雌ねじを形成したことを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様によれば、前記金属平板から、前記円筒状の締結部を形成するとともに該円筒状の締結部から延びる延長部を形成することを特徴とする。
本発明によれば、雌ねじを有した円筒状の締結部に連続した延長部を形成できるため、この延長部を利用して他の部材を取り付けたり、他の部材を保持したりできる。すなわち、延長部に種々の機能を持たせることができる。
本発明の一態様によれば、前記延長部に他の部材を取り付けて固定するための固定部を形成することを特徴とする。
本発明の一態様によれば、前記延長部に他の部材を支持する支持部を形成することを特徴とする。
【0020】
本発明の配管吊り金具は、上記締結具の前記円筒状の締結部に吊りボルトを螺合し、前記支持部に配管を支持させるか又は配管を支持する部材を支持させるようにしたことを特徴とするものである。
本発明の配管吊り金具によれば、吊り金具に雌ねじを形成することができるため、吊りボルトに螺合するためのナットを固定する必要がなく、部品点数を削減することができるとともに製作プロセスを簡略化することができ、コストを低減できる。また、吊りバンドに雌ねじを形成することができるため、ナットを用いることなく、吊りバンドを締付けることができるので、部品点数を削減することができ、コストを低減できる。しかも、吊りバンドには、ボルトの廻り止め用の凸部等の廻り止め部を形成する必要がなく、吊りバンドの製作コストを低減できる。
【0021】
本発明の蝶番は、上記締結具の前記延長部を平板状にして第一の蝶番片を形成し、雌ねじを有さない円筒状の締結部と該円筒状の締結部から延びる延長部とを備えた第二の蝶番片を形成し、該第二の蝶番片の円筒状の締結部にボルトを挿通するとともに該ボルトの雄ねじを前記第一の蝶番片の雌ねじに螺合させるようにしたことを特徴とするものである。
本発明の蝶番によれば、一方の蝶番片に、内面に雌ねじを有した円筒状の締結部を形成し、円筒状の締結部にボルトをねじ込むことにより、二つの蝶番片を結合することができるため、従来のように二つの蝶番片を結合するシャフトの上下端をかしめてシャフトの抜け止めを行う必要がなく、製作プロセスを簡略化することができ、コストを低減できる。
【0022】
本発明の高ナットは、上記締結具により構成したことを特徴とするものである。
本発明の締結具を高ナットとして用いれば、簡単な製作プロセスで製造できるため、製作コストを低減できる。また、現場に適合した所望の高さ(長さ)の雌ねじを形成した締結具を得ることができる。
【0023】
本発明の電柱用取付バンドは、上記締結具の前記延長部をリング状のバンド部とし、該バンド部の一端部にボルト挿通孔を形成し、該ボルト挿通孔にボルトを挿通するとともに該ボルトの雄ねじを前記締結具の雌ねじに螺合させるようにしたことを特徴とするものである。
本発明の電柱用取付バンドによれば、取付バンドに雌ねじを形成することができるため、ナットを用いることなく、市販品のボルトを用いて取付バンドを締付けることができるので、部品点数を削減することができ、コストを低減できる。そして、取付バンドには、ボルトの廻り止め用の凸部等の廻り止め部を形成する必要がなく、取付バンドの製作コストを低減できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、締結具にプレス成形により雌ねじを形成したため、ナットを使用する必要がなく、部品点数を削減することができるとともに製作プロセスを簡略化することができ、製品コストを飛躍的に低減することができる。また、圧印加工(コイニング)により雌ねじを形成しているため、金属平板として表面処理鋼板を使用する場合には雌ねじ形成後に防錆処理を施す必要もなく、この点においてもコストを抑えることができる。さらに、圧印加工(コイニング)により引張強度が高められる。
より具体的には、本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
1) 本発明の配管吊り金具によれば、吊り金具に雌ねじを形成することができるため、吊りボルトに螺合するためのナットを固定する必要がなく、部品点数を削減することができるとともに製作プロセスを簡略化することができ、コストを低減できる。また、吊りバンドに雌ねじを形成することができるため、ナットを用いることなく、吊りバンドを締付けることができるので、部品点数を削減することができ、コストを低減できる。しかも、吊りバンドには、ボルトの廻り止め用の凸部等の廻り止め部を形成する必要がなく、吊りバンドの製作コストを低減できる。
2) 本発明の蝶番によれば、一方の蝶番片に、内面に雌ねじを有した円筒状の締結部を形成し、円筒状の締結部にボルトをねじ込むことにより、二つの蝶番片を結合することができるため、従来のように二つの蝶番片を結合するシャフトの上下端をかしめてシャフトの抜け止めを行う必要がなく、製作プロセスを簡略化することができ、コストを低減できる。
3) 本発明の締結具を高ナットとして用いれば、簡単な製作プロセスで製造できるため、製作コストを低減できる。また、現場に適合した所望の高さ(長さ)の雌ねじを形成した締結具を得ることができる。
4) 本発明の電柱用取付バンドによれば、取付バンドに雌ねじを形成することができるため、ナットを用いることなく、市販品のボルトを用いて取付バンドを締付けることができるので、部品点数を削減することができ、コストを低減できる。そして、取付バンドには、ボルトの廻り止め用の凸部等の廻り止め部を形成する必要がなく、取付バンドの製作コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、ドラム缶用締付バンドの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、締付バンドの端部に固定された締結具を示す図であり、図2(a)は締結具の斜視図であり、図2(b)は図2(a)のII矢視図である。
【図3】図3(a)は締結具の円筒状の締結部の断面図であり、図2(b)のIII−III線断面図であり、図3(b)は図3(a)に示す締結部の雌ねじにボルトの雄ねじが螺合している状態を示す図である。
【図4】図4は、締結具の製造工程を示す模式的な斜視図である。
【図5】図5は、締結具の加工工程を示す模式的な断面図である。
【図6】図6は、配管吊り金具の全体構成を示す斜視図である。
【図7】図7(a)は配管吊り金具の吊り金具の斜視図であり、図7(b)は図7(a)に示す吊り金具の要部を示す斜視図であり、図7(c)は吊り金具の他の例を示す斜視図である。
【図8】図8は、配管吊り金具の吊りバンドの斜視図である。
【図9】図9は、蝶番(ヒンジ)の全体構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9のC−C線断面図である。
【図11】図11は、本発明の締結具を上側の吊り部材と下側の吊り部材とを連結するジョイント(連結部)に適用した一例を示す図である。
【図12】図12は、電柱用取付バンドの使用例を示す斜視図である。
【図13】図13は、電柱用取付バンドの斜視図である。
【図14】図14は、従来の天板取り外しタイプのドラム缶を示す斜視図である。
【図15】図15は、図14に示す締付バンドの締結部を示す斜視図である。
【図16】図16は、図15のA−A線断面図である。
【図17】図17は、配管を配管吊り金具により支持した状態を示す斜視図である。
【図18】図18は、配管吊り金具の詳細を示す斜視図である。
【図19】図19は、配管吊り金具の断面図である。
【図20】図20は、従来の平型蝶番の一例を示す斜視図である。
【図21】図21は、図20のB部の拡大断面図である。
【図22】図22は、天井から物品を吊り下げるときに上側の吊り部材と下側の吊り部材とを連結するジョイント(連結部)として高ナットを用いた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る締結具の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3は、本発明の締結具の第1の実施形態を示す図であり、本発明の締結具をドラム缶用締付バンドに適用した一例を示す図である。図1はドラム缶用締付バンドの全体構成を示す斜視図である。図2は締付バンドの端部に固定された締結具を示す図であり、図2(a)は締結具の斜視図であり、図2(b)は図2(a)のII矢視図である。
【0027】
図1に示すように、ドラム缶用締付バンド1は、リング状の締付バンド2と、締付バンド2の両端に固定された締結具3,4と、締結具3,4を締め付けるためのボルト5とから構成されている。なお、締付バンド2は、図14に示す締付バンド103と同一構造のものである。図1においては、締付バンド2は、リング状バンドの両端部の近傍のみを図示している。締結具4は、図15に示す締結具104と同一構造であり、締付バンド2の端部にスポット溶接等により固定するための固定部4aと、ボルト5を挿通するための締結部4bとからなっている。
【0028】
図2(a)に示すように、締結具3は、締付バンド2の端部にスポット溶接等で固定するための固定部3aと、ボルト5を螺合するための円筒状の締結部3bとからなっている。固定部3aは、締付バンド2の外形状に合わせて断面円弧状に屈曲している。固定部3a(4a)には、被溶接側の内側板面に、プロジェクション溶接(突起溶接)用に複数の突起(プロジェクション)6が突設されている。図2(a)および図2(b)に示すように、円筒状の締結部3bには、締結部3bの外側よりプレス成形(コイニング加工)することにより、締結部3bの一部を内側に突出させてボルト5の雄ねじに螺合するための雌ねじ3sを形成している。円筒状の締結部3bの内周面7には、円周方向に所定間隔を置いて複数箇所(3箇所)に連続的に雌ねじ3sが形成されている。
図3(a)は、締結具3の円筒状の締結部3bの断面図であり、図2(b)のIII−III線断面図である。図3(a)に示すように、円筒状の締結部3bに形成された雌ねじ3sは、プレス成形(コイニング加工)により締結部3bの一部を内側に突出させた凸部8により構成したものである。雌ねじ3sの山の径D1は、ボルトの雄ねじ(図示せず)の谷の径と略同一に形成されており、雌ねじ3sの谷の径D2は、円筒状の締結部3bの内径と一致している。
【0029】
図3(b)は、図3(a)に示す締結部3bの雌ねじ3sにボルト5の雄ねじ5sが螺合している状態を示す図である。図3(b)に示すように、雌ねじ3sは、ボルト5の雄ねじ5sの1ピッチ置きに形成されている。すなわち、ボルト5の雄ねじ5sのピッチをPとすると、締結部3bの雌ねじ3sのピッチは2Pに設定されている。これは、雌ねじ3sをプレス成形(コイニング加工)により形成しているため、雌ねじ3sをボルト5の雄ねじ5sと同一ピッチとすると、雌ねじ3sの隣接する山と山との間隔が短くなって加工が難しいためである。すなわち、締結部3bの雌ねじ3sは、ボルト5の雄ねじ5sのピッチPの複数倍のピッチ(2P,3P等)で形成されている。
【0030】
図4は締結具3の製造工程を示す模式的な斜視図であり、図5は締結具3の加工工程を示す模式的な断面図である。
図4(a)に示すように、所定サイズの矩形状に形成された鋼板等からなる金属平板Hにコイニング加工を施すことにより、上面側をへこませて下面側に突出した3列の凸部(上面側から見ると凹部)tを形成する。3列の凸部tにおける一行目の凸部t1は、雄ねじ5sの1ピッチ分のねじ山と係合するように、雄ねじ5sの1ピッチ分のねじ山の螺旋を平面に展開した直線上に位置している。また、二行目の凸部t2は、一行目の凸部t1が係合する雄ねじ5sのねじ山から2ピッチ分だけ離間した1ピッチ分のねじ山と係合するように、雄ねじ5sの1ピッチ分のねじ山の螺旋を平面に展開した直線上に位置している。さらに、三行目の凸部t3は、二行目の凸部t2が係合する雄ねじ5sのねじ山から2ピッチ分だけ離間した1ピッチ分のねじ山と係合するように、雄ねじ5sの1ピッチ分のねじ山の螺旋を平面に展開した直線上に位置している。すなわち、三行の凸部tは、雄ねじ5sの1ピッチ置きのねじ山と係合することができ、例えば、雄ねじ5sの1ピッチ目のねじ山、3ピッチ目のねじ山、5ピッチ目のねじ山とそれぞれ係合することができるようになっている。ここでは、凸部tが三行の場合を説明したが、凸部tの行数は二行以上であればよい。なお、各凸部tは連続的でなく途中で途切れた部分があってもよい。
【0031】
図5(a)はコイニング加工の工程を示す図であり、図5(a)に示したように金属平板Hをパンチ201とダイ202により押圧し、金属平板Hの下面側に突出した凸部(上面側から見ると凹部)tを形成する。なお、図では省略しているが、コイニング加工時に金属平板Hの固定部3aにプロジェクション溶接用の複数の突起を形成する。
次に、図4(b)に示すように、凸部tを形成した金属平板Hに先曲げ加工を施すことにより、金属平板Hの先端部Haを湾曲させる。
図5(b)は先曲げ加工の工程を示す図であり、図5(b)に示すように、金属平板Hをパンチ211、ダイ212およびパッド213により押圧し、金属平板Hの先端部Haを湾曲させる。
次に、図4(c)に示すように、先端部を湾曲させた金属平板Hにカーリング加工を施し、3列の凸部tが内側に配列された円筒状の締結部3bを形成する。この段階で、前記3列の凸部tは、雌ねじ3sを形成する。
図5(c)はカーリング加工の工程を示す図であり、図5(c)に示すように、円弧状の凹部221aを有したカムスライダ221とパッド222とにより金属平板Hの先端部側を挟み、カムドライバ223によりカムスライダ221をパッド222に向かって徐々に移動させて円筒状の締結部3bを形成する。締結部3bの両端部(3b−p,3b−e)は、互いに接触して円筒形状を形成しており、両端部は接触させた状態のままでもよいし、両端部を溶接等により結合してもよい。
【0032】
次に、図4(d),図4(e),図4(f)に示すように、円筒状の締結部3bに連なる金属平板部に成形加工(1)〜(3)を順次施し、締付バンド2の略円弧状の断面に倣った形状の固定部3aを形成する。以上の工程を経て、図2(a)に示す締結具3が製作される。ここでは、図4(d),図4(e),図4(f)に示す成形加工(1)〜(3)を3工程で説明したが、成形加工(1)〜(3)を一工程とし、一回で加工してもよい。
【0033】
図4および図5に示す工程を経て製作された締結具3は、固定部3aを締付バンド2の端部にスポット溶接等により固定することにより、締付バンド2に装着固定される。
【0034】
次に、図1乃至図3に示すように構成されたドラム缶用締付バンド1を用いて天蓋102を胴体101に締付けて固定する手順について説明する。
まず、胴体101の上端に天蓋102を載せ(図14参照)、天蓋102の外周縁にリング状の締付バンド2を嵌める。次に、ボルト5の軸部を締結具4に挿通した後に、ボルト5のねじ部5sを締結具3の円筒状の締結部3bにねじ込む。これにより、締結具3,4を互いに接近させて、締付バンド2により天蓋102を胴体101に締付けて固定することができる。締結具3の締結部3bの開口端は、ボルト5のねじ部5sの山の径より大きな直径のガイド部になっているため、ボルト5の先端の挿入が容易である。
【0035】
図1乃至図3に示すように構成された締結具3,4によれば、締結具3に雌ねじ3sを形成することができるため、ナットを用いることなく、締付バンドを締付けることができるので、部品点数を削減することができ、コストを低減できる。
また、ボルトには、廻り止め部を有した特殊なボルトを用いる必要がなく、安価な市販品を用いることができるため、コストを低減できる。
通常、切削加工でねじを立てる場合には、防錆のため、後工程でめっき等の防錆処理を施しているが、本発明によれば、プレス成形で雌ねじを形成しているので、金属平板として表面処理鋼板を使用する場合、被加工材をそのまま加工し、加工後、例えば電気亜鉛めっき等の防錆処理を施す必要がないので、コストを低減できる。
【0036】
図6乃至図8は、本発明の締結具の第2の実施形態を示す図であり、本発明の締結具を配管吊り金具に適用した一例を示す図である。図6は配管吊り金具の全体構成を示す斜視図である。
図6に示すように、配管吊り金具11は、吊りボルト112(図17の吊りボルト112と同一)が螺合される吊り金具12と、配管110(図17の配管110と同一)の周囲に巻回されて配管110を支持する吊りバンド13とを備えている。
【0037】
図7(a)は配管吊り金具11の吊り金具12の斜視図である。図7(a)に示すように、吊り金具12は、平板状の支持部12aと、平板状の支持部12aの両端から下方に延びるとともにボルト挿通孔12hを有する連結部12b,12bと、平板状の支持部12aから上方に延びるとともに内面に断続的な雌ねじ12sを形成した円筒状の締結部12cとから構成されている。吊り金具12は、一枚の金属平板にコイニング加工、カーリング加工、曲げ加工などを施して形成したものである。すなわち、図4(a)乃至図4(c)に示す工程と同様に、所定形状およびサイズに形成された鋼板等からなる金属平板に、コイニング加工、先曲げ加工、およびカーリング加工等を施し、内面に断続的な雌ねじ12sを形成した円筒状の締結部12cを形成する。その後、曲げ加工等を行って、平板状の支持部12aと、平板状の支持部12aの両端から下方に延びる連結部12b,12bとを形成する。
なお、ボルト挿通孔12hは、円筒状の締結部12cを形成する前の平板の状態の時に形成しておいてもよいし、図7(a)の形状になった後に形成してもよい。
【0038】
図7(b)は、図7(a)に示す吊り金具12の要部を示す斜視図である。図7(b)に示すように、内面に断続的な雌ねじ12sを形成した円筒状の締結部12cは、平板状の支持部12aの一端から上方に延びている。図7(c)は、吊り金具12の他の例を示す斜視図であり、図7(b)に対応した図である。
図7(c)に示す例においては、内面に断続的な雌ねじ12sを形成した円筒状の締結部12cは、平板状の支持部12aの一端から下方に延びている。図7(c)に示す吊り金具12においては、平板状の支持部12aにボルト112の挿通用の孔12ahが形成されている。図7(c)に示す吊り金具12によれば、ボルト112から円筒状の締結部12cに加わる上方への力は、平板状の支持部12aにより支持されるため、配管110が重量物である場合に適している。
【0039】
図8は配管吊り金具11の吊りバンド13の斜視図である。図8に示すように、吊りバンド13は、配管110の周囲に巻回されて配管110を支持するリング状のバンド部13aと、リング状のバンド部13aの一端から上方に折曲されるとともにボルト挿通孔13hを有する連結部13b、リング状のバンド部13aの他端に形成された締結部13cとから構成されている。吊りバンド13は、一枚の鋼板等からなる金属平板にコイニング加工、カーリング加工、曲げ加工などを施して形成したものである。すなわち、図4(a)乃至図4(c)に示す工程と同様に、所定形状およびサイズに形成された金属平板に、コイニング加工、先曲げ加工、およびカーリング加工等を施し、内面に断続的な雌ねじ13sを形成した円筒状の締結部13cを形成する。その後、曲げ加工等を行って、リング状のバンド部13aと、リング状のバンド部13aの一端から上方に折曲された連結部13bを形成する。
なお、ボルト挿通孔13hは、円筒状の締結部13cを形成する前の金属平板の状態の時に形成しておいてもよいし、図8の形状になった後に形成してもよい。
【0040】
次に、図6乃至図8に示すように構成された配管吊り金具11を用いて配管110を吊り下げ支持する手順について説明する。
まず、支持板114(図17参照)から吊り下げられた吊りボルト112(図17参照)に吊り金具12の締結部12cをねじ込むことにより、吊りボルト112に吊り金具12を固定する。次に、配管110を支持した吊りバンド13の連結部13bおよび円筒状の締結部13cと、吊り金具12の連結部12b,12bとを合わせ、ボルト挿通孔13h,12hにボルト14を挿通した後に、ボルト14を吊りバンド13の締結部13cにねじ込む。これにより、吊り金具12に配管110を支持した吊りバンド13を締付け固定する。以上の手順により、配管吊り金具11を用いて配管110を吊り下げ支持することができる。
【0041】
図6乃至図8に示すように構成された配管吊り金具11によれば、吊り金具12に雌ねじ12sを形成することができるため、吊りボルト112に螺合するためのナットを固定する必要がなく、部品点数を削減することができるとともに製作プロセスを簡略化することができ、コストを低減できる。
また、吊りバンド13に雌ねじ13sを形成することができるため、ナットを用いることなく、吊りバンドを締付けることができるので、部品点数を削減することができ、コストを低減できる。しかも、吊りバンド13には、ボルトの廻り止め用の凸部等の廻り止め部を形成する必要がなく、吊りバンドの製作コストを低減できる。
【0042】
図9および図10は、本発明の締結具の第3の実施形態を示す図であり、本発明の締結具を蝶番(ヒンジ)に適用した一例を示す図である。図9は蝶番(ヒンジ)の全体構成を示す斜視図である。
図9に示すように、蝶番21は、概略矩形の形状を有する二つの蝶番片22,23と、これら二つの蝶番片22,23を結合するボルト24とから構成されている。蝶番片22の一側端には、中央部に概略円筒状の枢支部22aが形成されている。また、蝶番片23の一側端には、上部に概略円筒状の枢支部23aが形成されており、下部に内面に断続的な雌ねじ23sを形成した円筒状の締結部23bが形成されている。そして、これら枢支部22a,23aにボルト24を挿通するとともに、円筒状の締結部23bにボルト24をねじ込むことにより、二つの蝶番片22,23は結合されている。ボルト24には、市販品の平頭ボルトを用いている。
【0043】
蝶番片23は、一枚の鋼板等からなる金属平板にコイニング加工、カーリング加工、曲げ加工などを施して形成したものである。すなわち、図4(a)乃至図4(c)に示す工程と同様に、所定形状およびサイズに形成された金属平板に、コイニング加工、先曲げ加工、およびカーリング加工等を施し、内面に断続的な雌ねじ23sを形成した円筒状の締結部23bを形成する。その後、曲げ加工等を行って、円筒状の枢支部23aを形成する。
【0044】
図10は、図9のC−C線断面図である。図10に示すように、ボルト24を枢支部22a,23aに挿通した後に、ボルト24を円筒状の締結部23bの雌ねじ23sに螺合することにより、二つの蝶番片22,23はボルト24によって結合されている。蝶番片23の円筒状の締結部23bは、ボルト24を螺合する雌ねじとしての機能ばかりではなく、蝶番片23を開閉可能に支持する枢支部としての機能も有している。
【0045】
図9および図10に示すように構成された蝶番21によれば、蝶番片23に、内面に雌ねじ23sを有した円筒状の締結部23bを形成し、円筒状の締結部23bにボルト24をねじ込むことにより、二つの蝶番片22,23を結合することができるため、従来のように二つの蝶番片を結合するシャフトの一端をかしめてシャフトの抜け止めを行う必要がなく、製作プロセスを簡略化することができ、コストを低減できる。
【0046】
図11は、本発明の締結具の第4の実施形態を示す図であり、本発明の締結具を上側の吊り部材と下側の吊り部材とを連結するジョイント(連結部)に適用した一例を示す図である。
図11に示すように、天井140に埋設された上側吊り部材41と、物品(図示せず)を下端に保持した下側吊り部材42とは、本発明の締結具43によって連結されている。締結具43は、上側と下側のねじサイズが異なる異径の上側雌ねじ43s1と、下側雌ねじ43s2とを有している。締結具43は、上側吊り部材41の下端部に形成された雄ねじ41sと下側吊り部材42に形成された雄ねじ42sのサイズが異なる異径ねじを連結するジョイントとして用いられている。すなわち、締結具43は、従来の異径高ナットと同様に高ナットとして用いられている。なお、上側吊り部材41の雄ねじ41sと下側吊り部材42の雄ねじ42sが同一サイズの場合には、締結具43は、上端から下端まで同一サイズの雌ねじを形成したものである。
【0047】
締結具43は、一枚の鋼板等からなる金属平板にコイニング加工、カーリング加工などを施して形成したものである。すなわち、図4(a)乃至図4(c)に示す工程と同様に、所定形状およびサイズに形成された金属平板に、コイニング加工、先曲げ加工、およびカーリング加工等を施し、内面に断続的な異径の上側雌ねじ43s1,下側雌ねじ43s2を形成した円筒状の締結具43を形成する。なお、サイズが異なる異径の雌ねじは、コイニング加工時に、押し出し高さを、高低の二段階にすることにより形成できる。
図11に示すように構成された締結具43によれば、簡単な製作プロセスで製造できるため、製作コストを低減できる。また、現場に適合した所望の高さ(長さ)の雌ねじを形成した締結具を得ることができる。
【0048】
図12および図13は、本発明の締結具の第5の実施形態を示す図であり、本発明の締結具を電柱用取付バンドに適用した一例を示す図である。図12は電柱用取付バンドの使用例を示す斜視図である。
図12に示すように、共架柱50には、電柱用取付バンド51が固定されている。電柱用取付バンド51には、ケーブル支持用バー52が保持されており、ケーブル支持用バー52にケーブル53が吊架されている。このように、電柱用取付バンド51は、障害物(看板、樹木等)とケーブル53との接触をさけるため、共架柱50から離隔してケーブル53を吊架するために用いられる。なお、電柱用取付バンド51は、ケーブル支持用バー52以外にも、電柱に締め付けることにより、種々のタイプのケーブル支持部材等を支持することができる。
【0049】
図13は電柱用取付バンドの斜視図である。図13に示すように、電柱用取付バンド51は、共架柱50の周囲に巻回されるリング状のバンド部51aと、リング状のバンド部51aの一端から折曲されるとともにボルト挿通孔51hを有する固定部51bと、リング状のバンド部51aの他端に形成された締結部51cとから構成されている。電柱用取付バンド51は、一枚の鋼板等からなる金属平板にコイニング加工、カーリング加工、曲げ加工などを施して形成したものである。すなわち、図4(a)乃至図4(c)に示す工程と同様に、所定形状およびサイズに形成された金属平板に、コイニング加工、先曲げ加工、およびカーリング加工等を施し、内面に断続的な雌ねじ51sを形成した円筒状の締結部51cを形成する。その後、曲げ加工等を行って、リング状のバンド部51aと、リング状のバンド部51aの一端から折曲された固定部51bを形成する。
なお、ボルト挿通孔51hは、円筒状の締結部51cを形成する前の金属平板の状態の時に形成しておいてもよいし、図13の形状になった後に形成してもよい。
【0050】
図12および図13に示すように構成された電柱用取付バンド51によれば、取付バンド51に雌ねじ51sを形成することができるため、ナットを用いることなく、市販品のボルト55を用いて取付バンド51を締付けることができるので、部品点数を削減することができ、コストを低減できる。そして、取付バンド51には、ボルトの廻り止め用の凸部等の廻り止め部を形成する必要がなく、取付バンドの製作コストを低減できる。
【0051】
これまで本発明について、図1乃至図13に示す実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1 ドラム缶用締付バンド
2 締付バンド
3,4 締結具
3a 固定部
3b 締結部
3e 領域
3s 雌ねじ
4a 固定部
4b 締結部
5 ボルト
5s 雄ねじ
6 突起
7 内周面
8 凸部
11,12 金具の吊り金具
12a 支持部
12b 連結部
12c 締結部
12h ボルト挿通孔
12s 雄ねじ
13 吊りバンド
13a バンド部
13b 連結部
13c 締結部
13h ボルト挿通孔
13s 雌ねじ
21 蝶番
22,23 蝶番片
22a 枢支部
23a 枢支部
23b 締結部
23s 雌ねじ
24 ボルト
41 上側吊り部材
41s 雄ねじ
42 下側吊り部材
42s 雄ねじ
43 締結具
43s1 上側雌ねじ
43s2 下側雌ねじ
50 共架柱
51 電柱用取付バンド
51a バンド部
51b 固定部
51c 締結部
51h ボルト挿通孔
51s 雌ねじ
52 ケーブル支持用バー
53 ケーブル
55 ボルト
100 ドラム缶
101 胴体
102 天蓋
103 締付バンド
104 締結具
104a 固定部
104b 締結部
105 ボルト
105a 係合部
105b ネジ部
106 ナット
110 配管
111 配管吊り金具
112 吊りボルト
113 ハンガー
114 支持板
121 ナット
122 吊り金具
122a ナット固定部
122b 連結部
122h ボルト挿通孔
123 吊りバンド
123a バンド部
123b 連結部
123c 凸部
123h ボルト挿通孔
124 ボルト
125 ナット
140 天井
201,211 パンチ
202,212 ダイ
213 パッド
221 カムスライダ
221a 凹部
222 パッド
223 カムドライバ
t 凸部
H 金属平板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属平板から成形され、雄ねじと螺合する雌ねじを有した締結具であって、
前記雌ねじをプレス成形により形成した円筒状の締結部を有し、
前記雌ねじは、前記円筒状の締結部の円周方向に形成されていることを特徴とする締結具。
【請求項2】
前記雌ねじは、前記雄ねじのピッチの複数倍のピッチで形成されていることを特徴とする請求項1記載の締結具。
【請求項3】
前記金属平板にプレス成形することにより凸部を形成した後に、該金属平板を円筒状に成形し、前記凸部により前記雌ねじを形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の締結具。
【請求項4】
前記金属平板から、前記円筒状の締結部を形成するとともに該円筒状の締結部から延びる延長部を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の締結具。
【請求項5】
前記延長部に他の部材を取り付けて固定するための固定部を形成することを特徴とする請求項4記載の締結具。
【請求項6】
前記延長部に他の部材を支持する支持部を形成することを特徴とする請求項4記載の締結具。
【請求項7】
請求項6記載の締結具の前記円筒状の締結部に吊りボルトを螺合し、前記支持部に配管を支持させるか又は配管を支持する部材を支持させるようにした配管吊り金具。
【請求項8】
請求項4記載の締結具の前記延長部を平板状にして第一の蝶番片を形成し、雌ねじを有さない円筒状の締結部と該円筒状の締結部から延びる延長部とを備えた第二の蝶番片を形成し、該第二の蝶番片の円筒状の締結部にボルトを挿通するとともに該ボルトの雄ねじを前記第一の蝶番片の雌ねじに螺合させるようにした蝶番。
【請求項9】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の締結具により構成した高ナット。
【請求項10】
請求項4記載の締結具の前記延長部をリング状のバンド部とし、該バンド部の一端部にボルト挿通孔を形成し、該ボルト挿通孔にボルトを挿通するとともに該ボルトの雄ねじを前記締結具の雌ねじに螺合させるようにした電柱用取付バンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−196463(P2011−196463A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64143(P2010−64143)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(592143666)株式会社タカハシテクノ (9)
【Fターム(参考)】