説明

編成方法およびそれによって作られる編物

【課題】 習得が容易で、「機」のような特殊で大掛かりな機具を用いることも無い、新規な編成方法を提供すること。
【解決手段】
棒形状を有する複数の編糸案内部材10を並んで配設して、それら複数の編糸案内部材10に編糸14を交叉させることによって、該編糸14で該編糸案内部材10を編み込んで該編糸案内部材10の長手方向に延びる中間編物16を形成した後に、該編糸案内部材10を編み込んだ該編糸14の端部を該編糸案内部材10で該編糸案内部材10の長手方向に案内すると共に該編糸案内部材10を該中間編物16から取り除くことによって、該編糸案内部材10が編み込まれた部位に該編糸14を挿し通すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編物の編成方法と、かかる編成方法によって作られる編物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昔から、趣味の一つとして手で物を創る手芸が多くの人の間で楽しまれている。そのような手芸の一つとして、糸を組み合わせて、例えば、セーター等の衣服、マフラーや手袋、帽子などの服飾品、ハンカチやぬいぐるみ等の小物やテーブルクロス等の室内装飾品の手作りが行なわれている。
【0003】
ところで、糸からそれらの物を作る手芸としては、棒針や鉤針を用いて手で糸を編む編物か、織り機を用いて糸を織る手織による織物かの何れかの方法が用いられることが殆どである。
【0004】
しかし、編物は習得に時間がかかる。具体的には、編物の始めには先ず棒針上に編目を作る作り目を行なう必要があるが、この作り目の手順からして初心者にとっては難しい。また、編み方としてもメリヤス編、ゴム編、ガーター編などの複数の編み方がある。そして、一つの作品を完成させるのにそれら複数の編み方が必要とされることも多い。更に、セーター等の立体的なもの、筒状のものを作ろうとする場合には、マフラー等の平面的な物を作る平編みよりも困難な輪編みの技術などが要求される。従って、一つの作品を完成させようとするだけでも、複数の技術を習得する必要がある。また、糸で輪を作って、その輪の中に糸を通していくということは、それだけで手間を要することであって、編物が完成するまでに多くの時間を要するということは広く知られたことである。
【0005】
一方、織物は編物に比べれば短い時間で作品を完成することが出来る。しかし、織物は専用の織り機を用意する必要があって、趣味として始める際には道具を揃えるために相応の出費が必要となることから、気軽に始めることが困難である。特に、織り機としての「機」はサイズも大きく、部屋を占有してしまうことにもなりかねない。そこで、趣味として行なわれる織物においては、特許文献1や特許文献2に示されているような手織り機が用いられることが多い。このような手織り機は「機」に比べれば安価で、サイズも小さい。しかし、それでも編物に比べれば高価な出費であるし、手織り機を使わない時には手織り機を片付けておく場所を確保する必要があって、気軽に始められるものとまでは言い難かった。
【0006】
さらに、織物は、織り始めの際には多くの経糸を織り機の綜絖にセットする必要がある。そして、織り機にセットされた経糸の張りの善し悪しが織物の出来栄えを大きく左右することから、それら多くの経糸の一本一本を平行に真っ直ぐ張り付ける必要があって、織り始めの準備に手間がかかる。
【0007】
加えて、織物は、織り終わって織り機から取り外した後で、端縁部の解れを防止するために、特別の端縁処理を行なうことが必要とされる。端縁処理としては例えば、織物の端縁を折畳んで、端縁の経糸を織物の内側に巻き込むように固定したり、端縁の経糸を互いに撚り合わせたり、織物の端縁部に接着剤を塗り付けるなどして解れを防止することが行なわれている。しかし、これら特別の端縁処理は何れにしても面倒なことである。特に、端縁の経糸を撚り合わせたり端縁部に接着剤を塗り付けた場合には、織物の端縁部の触感や風合いが織物の本体部分と異なってしまって、織物自体の柔らかさや外観を損なってしまうおそれもあった。
【0008】
【特許文献1】特開2003−89947号公報
【特許文献2】特開2005−36347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、習得が容易で、「機」のような特殊で大掛かりな機具を用いることも無い、新規な編成方法を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明は、そのような編成方法によって編成された編物、およびそのような編成方法に用いる編み器具を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面の記載、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
(編物の編成方法に関する本発明の態様1)
すなわち、編物の編成方法に関する本発明の態様1は、棒形状を有する複数の編糸案内部材を並んで配設して、それら複数の編糸案内部材に編糸を交叉させることによって、該編糸で該編糸案内部材を編み込んで該編糸案内部材の長手方向に延びる中間編物を形成した後に、該編糸案内部材を編み込んだ該編糸の端部を該編糸案内部材で該編糸案内部材の長手方向に案内すると共に該編糸案内部材を該中間編物から取り除くことによって、該編糸案内部材が編み込まれた部位に該編糸を挿し通すことを、特徴とする。
【0013】
本態様に従う編成方法によれば、棒鉤針に目を作る編物のように習得に時間がかかる技術を要することもなく、誰でも簡単に編物を作成することが出来る。また、織物のように「機」等の大掛かりで特殊な織り機を用いることもないことから、始めるにあたって大きな費用を要することもなく、織り機の置き場所を確保するような必要もない。それ故、趣味として気軽に始めることが出来る。
【0014】
さらに、本態様に従う編成方法によれば、編糸案内部材が織物でいう経糸とされると共に、編糸案内部材に交叉せしめた編糸が織物でいう緯糸とされて中間編物が編成されている。そして、編糸案内部材が引き抜かれると共に、編糸案内部材が編み込まれた部位に編糸が挿し通されることによって、かかる編糸が中間編物の経糸方向に挿し通される。従って、ある編糸案内部材が編み込まれた部位に編糸を通した後に、かかる編糸を更に異なる位置に編み込まれた編糸案内部材の位置に連続して挿し通すことが出来る。これにより、複数本の経糸を1本の編糸で構成することが可能となって、経糸に相当する糸の本数を減らすことが可能となり、従来の織物のように多くの経糸を用いる煩わしさを軽減することが出来る。
【0015】
加えて、本態様に従う編成方法によれば、編糸が編物の全体に亘って繋がっている。即ち、互いに交叉する緯方向に延びる糸と経方向に延びる糸が何れも繋がった編糸によって構成されている。
【0016】
これにより、編物の経方向に延びる編糸が編物の端縁で折り返されて再び編物に挿し通されていることから、多くの経糸の端縁が互いに独立して編物の端縁部で散らばるようなことが防止されている。それ故、従来の織物において必要とされる特別な端縁処理も不要とされているのである。このことは、編物を完成させる際の手間が省けるという点に留まらず、特別な端縁処理によって編物の端縁部の硬さを本体部分と変えてしまうようなことを回避することが出来ることから、編物全体としての均一な触感や風合いを得ることが出来るという効果も奏するのである。
【0017】
なお、ここでいう編糸が編物の全体に亘って繋がるというのは、編物が編物の経緯方向の全体に亘って繋がっているという意味であって、1本の編糸のみによって編物の全体が構成されていることを意味するものではない。従って、複数本の編糸を用いたとしても、それら複数本の編み糸のそれぞれが経方向に延びる糸と緯方向に延びる糸の何れも構成しておれば良い。
【0018】
また、本編成方法に合わせて用いられる幾つかの好ましい編成方法を以下に示すが、本編成方法がこれらに限定されるものではなく、従来の編物や織物において用いられる技法を組み合わせて用いることも可能である。例えば、織物の経糸に相当する編糸案内部材に対して、編糸を交互に交叉させることによって平織りの組織を形成するのみならず、所定数の編糸案内部材に亘って編糸を「浮かせ」たり「沈め」たりすることによって、綾織りや朱子織り等の技法を本編成方法に組み合わせて用いることも可能であるし、編糸にビーズなどを通して装飾効果を高めること等も可能である。
【0019】
なお、以上の説明からも明らかなように、本発明に従う編成方法で作られる編物とは、棒鉤針上に編目を作る狭義の編物に限らず、経糸と緯糸を識別出来る織目を有する織物をも含む広義の編物を示すものである。
【0020】
加えて、本編成方法において用いられる編糸としては、糸のみに限定されるものではなく、例えば紙などのように、自由に変形して適当な長さを有するものであれば適宜に採用可能である。
【0021】
(編物の編成方法に関する本発明の態様2)
編物の編成方法に関する本発明の態様2は、前記態様1に係る編成方法であって、前記中間編物における前記編糸案内部材の少なくとも一つを前記編糸を案内することなく取り除くことによって、ループ状部を形成することを、特徴とする。
【0022】
本編成方法に従えば、容易にループ状部を形成することが出来る。即ち、従来の織り機を用いた織物においてこのようなループ状部を形成するには、一旦経糸を含んだ状態で織物を織り上げた後に、その織物から経糸を引き抜くことが考えられるが、本編成方法に従えば、編物を編み上げる過程でループ状部を形成することが出来る。このようなループ状部は、編物の装飾効果を高めたり、かかるループ状部に他の編物の糸を通すことによって編物同士を連結したりすることが出来る。なお、本編成方法としては、隣接する2つ以上の編物案内部材を引き抜いて、より大きなループ状部を形成することも可能であるし、複数箇所の編物案内部材を引き抜くことによって、ループ状部を編物の複数箇所に形成することも可能である。
【0023】
なお、本編成方法における一つの具体的な例としては、例えば、中間編物の端縁部において、編糸が折り返されて編まれた部位に位置する編糸案内部材を引き抜くことによって、該編糸案内部材に巻かれた編糸が一周弱のループ形状とされる編成方法等が挙げられる。
【0024】
(編物の編成方法に関する本発明の態様3)
編物の編成方法に関する本発明の態様3は、前記態様1又は2に係る編成方法であって、前記編糸が交叉する前記編糸案内部材の本数を、該編糸案内部材の長手方向で異ならせることによって、段差部を形成することを、特徴とする。
【0025】
本態様に従う編成方法によれば、段差部を容易に形成することが出来る。即ち、従来の織り機を用いた織物の場合、このような段差部を形成するには、緯糸を経糸に交叉せしめる際に、緯糸を織り幅全体に渡らせることなく、織り幅の途中で折り返すことが考えられるが、経糸と経糸の間はそれほど広くないことから、その間から杼を通して折り返すことは現実的でない。或いは、矩形の織物を一旦織り上げておいて、その後に織物を切り取って段差を形成することが考えられるが、切り込みの端縁部の糸が解れ易くなってしまう。特に経糸方向に切り込みを入れる際には、緯糸が途中で切断されることによって、緯糸方向の端縁部までもが解れ易くなってしまう。また、予め端縁処理を行なった後に切り込みを入れることも考えられるが、このようにすると、切り込みを入れた部位を再び端縁処理する必要が生じてしまう。しかし、本編成方法に従えば、編物を編み上げる過程で段差部を形成することが出来ると共に、段差部の端縁部を、編糸を折り返した状態で形成することが出来ることから、段差部の端縁部が解れ易くなることも有効に防止されて、特別な端縁処理を行なう必要も無く、段差部の形を崩すことも無いのである。
【0026】
なお、編糸が交叉する編糸案内部材の本数を、編糸が折り返される度に一つずつ異ならせて、小さな段差部を積み重ねて形成することによって実質的な斜線部を形成すること等も可能である。
【0027】
(編物の編成方法に関する本発明の態様4)
編物の編成方法に関する本発明の態様4は、前記態様1乃至3の何れか一つに係る編成方法であって、前記編糸を、既に前記編糸案内部材に交叉せしめた該編糸を跨いで該編糸案内部材に交叉せしめることによって、編糸交差部を形成することを、特徴とする。
【0028】
本態様に従う編成方法によれば、編糸を編糸案内部材の長手方向で交差せしめることが出来る。従来の織り機を用いてこのような交差部を形成することは困難である。即ち、従来の織り機で緯糸を経糸方向で交差せしめるには、既に織り終わった緯糸の間に隙間を設けて、かかる隙間に杼をくぐらせる必要があるが、前述のように、織り機にセットされた経糸の間隔は小さいことから、織り幅の途中で杼の向きを変えることは現実的ではない。しかし、本編成方法によれば、杼等の特別な器具を使用しないことから、編糸の端部を既に編糸案内部材に交叉せしめた編糸の間に容易にくぐらせることが出来る。これにより、従来は形成することが困難であった編糸交差部を容易に形成することが出来て、従来の織物には無い新たな修飾効果を得ることが出来るのである。
【0029】
なお、本編成方法における一つの具体的な例としては、例えば、編物案内部材に対して既に交叉させた編糸を、編糸案内部材の長手方向で跨いで(乗り越えて)編糸案内部材に掛け渡して交叉させる編成方法等が挙げられる。
【0030】
また、本編成方法において、編糸に跨がれる(乗り越えられる)こととなる既に編糸案内部材に交叉せしめられた編糸の本数や、編糸交差部が亘る編糸案内部材の本数等は限定されない。従って、例えば、複数本の編糸案内部材に亘って、複数本の編糸を跨ぐ編糸交差部を形成する等しても良い。
【0031】
(編物の編成方法に関する本発明の態様5)
編物の編成方法に関する本発明の態様5は、前記態様1乃至4の何れか一つに係る編成方法であって、前記中間編物から前記編糸案内部材の少なくとも一つを取り除くと共に、該編糸案内部材が取り除かれた部位に前記編糸を挿し通した後、この挿し通した編糸の端部を、該中間編物に残された該編糸案内部材に交叉せしめることによって、編み足し部を形成することを、特徴とする。
【0032】
本態様に従う編成方法によれば、編糸案内部材に編糸を交叉し終わった部位については、編み足しを行なう部位よりも早く編糸案内部材を取り除くことが出来る。これにより、取り扱う編糸案内部材の本数を早めに少なくして、作業を容易にすることが出来る。
【0033】
(編物の編成方法に関する本発明の態様6)
編物の編成方法に関する本発明の態様6は、前記態様1乃至5の何れか一つに係る編成方法であって、前記編糸案内部材を長手方向で分割した分割編糸案内部材を編み込んで前記中間編物を形成した後に、該分割編糸案内部材を取り除くと共に該分割編糸案内部材が取り除かれた部位に前記編糸を挿し通した後、この編糸の端部を、該分割編糸案内部材の分割部位において異なる位置に配設された該編糸案内部材に挿通せしめることを、特徴とする。
【0034】
本態様に従う編成方法によれば、例えば、経糸に相当する編糸を、編物の経糸方向の全体に挿し通す前に折り返して、編糸が経糸方向に連続しない部位を設けることによって、編物本体にボタンホール等に用いる穴を形成することが出来る。また、経糸方向で異なる部位に編み込まれた編糸案内部材間に編糸を挿し通すことによって、経糸方向に延びる編糸を交差させることも出来る。
【0035】
なお、分割編糸案内部材の個数や配設位置は何等限定されない。従って、複数の分割案内部材を隣合わせで配設しても良いし、或いは1つ以上の編糸案内部材を挟んで配設する等しても良い。
【0036】
また、本態様における分割編糸案内部材とは、中間編物における編糸案内部材の長手方向の途中で編糸案内部材を分割するものであればよいのであって、必ずしも編糸案内部材よりも短い長手方向寸法を有していなければならないものではない。従って、編糸案内部材と同じ部材を、その配設位置を他の編糸案内部材と長手方向で異ならせて、編糸を中間編物の経糸方向の途中で折り返し可能とすることによって、編糸案内部材と同じ部材を分割編糸案内部材として用いること等も可能である。
【0037】
(編物の編成方法に関する本発明の態様7)
編物の編成方法に関する本発明の態様7は、前記態様1乃至6の何れか一つに係る編成方法であって、前記編糸案内部材を、環状に配設したことを、特徴とする。
【0038】
本態様に従う編成方法によれば、立体的な編物を編成することが出来る。特に、例えば、環状に配設された編糸案内部材に対して、編糸を周方向に無端状態で連続的に螺旋状に交叉させてゆくことによって、筒形状を有する編物を容易に編成することが出来る。但し、本態様において環状に配設した編糸案内部材に対して編糸を交叉せしめる方向は、必ずしも周方向に限定されるものではない。従って、例えば3本の編糸案内部材を環状に配設して、編糸をそれら3本の編糸案内部材の中心で交差せしめるように編み込むなどしても良い。このようにすれば、略三角柱形状を有する編物を編成することが出来る。
【0039】
(編物の編成方法に関する本発明の態様8)
編物の編成方法に関する本発明の態様8は、前記態様1乃至7の何れか一つに係る編成方法であって、前記編糸案内部材を、重なり合う複数の面上で、それぞれ互いに所定間隔で並ぶように配設することにより、2段以上重ね合わせて配設したことを、特徴とする。
【0040】
本態様に従う編成方法においては、編糸案内部材を重ねることによって、より厚みのある立体的な編物を容易に編成することが出来る。なお、本編成方法においても、編糸案内部材に対して編糸を交叉せしめる態様や、編糸案内部材の編み込まれた位置に編糸を挿し通す態様としては、様々な態様が適宜に採用可能である。従って、例えば、一つの面上で並んで配設された1段の編物案内部材間だけでなく、異なる面上で並んで配設された他段の面上の編糸案内部材にまで編糸を巻き掛けて交叉させたり、異なる面上に編み込まれた編糸案内部材間で編糸を挿し通してもよい。これにより、複数段の面に対して繋がる経糸乃至は緯糸を構成することが出来る。
【0041】
(編物の編成方法に関する本発明の態様9)
編物の編成方法に関する本発明の態様9は、前記態様1乃至8の何れか一つに係る編成方法であって、前記編糸案内部材が編み込まれた位置に挿通せしめられた前記編糸の端部を、該編糸案内部材と隣接する編糸案内部材を跨いだ編糸案内部材が編み込まれた位置に挿通せしめることを、特徴とする。
【0042】
本態様に従う編成方法によれば、経糸に相当する編糸を、好みに応じて適宜の位置に挿し通すことが出来る。これにより、編物の本体から露出せしめられて、再び編糸の本体に折り返される編糸の編物端縁部で延びる長さを調節することが出来る。従って、例えば、先ず中間編物の中央部で隣接する編物案内部材間の位置で編糸を折り返しておいて、次にそれを跨いだ編糸案内部材間の位置で編糸を折り返して、次第に外方に向かって編糸を延ばしていくことによって、端縁部に延びる編糸を何重にも重ね合わせて、端縁部の強度を確保することが出来る。
【0043】
(編物の編成方法に関する本発明の態様10)
編物の編成方法に関する本発明の態様10は、前記態様1乃至9の何れか一つに係る編成方法であって、前記中間編物を折り曲げて、対向する前記編糸案内部材が編み込まれた位置の間に前記編糸を挿通せしめることを、特徴とする。
【0044】
本態様に従う編成方法によれば、中間編物を折り曲げた状態で対向する編糸案内部材の位置に編糸を挿し通すことによって、中間編物を折り曲げた状態を維持せしめて、立体的な編物を容易に構成することが出来る。
【0045】
なお、本編成方法における一つの具体的な例としては、例えば、前記中間編物を折り曲げて該中間編物の端縁部同士を重ね合わせ、それら互いに重なり合った端縁部間に跨って前記編糸を挿し通す編成方法が好適に採用される。このようにすれば、中間編物の折り曲げた部分が底部となって、両縁の重ね合わせ部分が閉じられて、袋状の編物を容易に編成することが出来る。
【0046】
(編物の編成方法に関する本発明の態様11)
編物の編成方法に関する本発明の態様11は、前記態様1乃至10の何れか一つに係る編成方法であって、前記編糸案内部材として筒状体を用いて前記中間編物を形成すると共に、前記編糸の端部を該筒状体に挿通せしめた後に該筒状体を該中間編物から引き抜くことによって、前記編糸を該筒状体が編み込まれた部位に挿し通すことを、特徴とする。
【0047】
本態様に従う編成方法によれば、筒状体によって通路が形成されており、かかる筒状体の中に編糸を挿し通すことによって、編糸をスムーズに中間編物の内部に挿し通すことが出来る。なお、本編成方法における筒状態としてはパイプ状のものであれば何等限定されることは無い。例えば、金属や合成樹脂材料等からなるパイプを用いることが可能であって、身近な物として、ストロー等を用いることも可能である。
【0048】
(編物の編成方法に関する本発明の態様12)
編物の編成方法に関する本発明の態様12は、前記態様1乃至10の何れか一つに係る編成方法であって、前記編糸案内部材として棒状体を用いて前記中間編物を形成すると共に、前記編糸の端部を該棒状体の端部に繋いだ状態で該棒状体を該中間編物から引き抜くことによって、前記編糸を該棒状体が編み込まれた部位に挿し通すことを、特徴とする。
【0049】
本態様に従う編成方法によれば、棒状体を中間編物から引き抜くと同時に編糸を中間編物に挿し通すことから、編糸を速やかに中間編物に挿し通すことが出来る。なお、編糸の端部を棒状体の端部に繋ぐ具体的な態様としては、例えば、棒状体の端部に貫通孔を形成して、かかる貫通孔に編糸の端部を結び付けたり、あるいは単に編糸の端部を貫通孔に挿し通したり、或いは、棒状体の端部を鉤針状に形成して、編み糸を引き込む等しても良い。
【0050】
(編物に関する本発明)
編物に関する本発明は、前記態様1乃至12の何れか一つに記載の編成方法を用いて編成された編物である。このような編物においては、前述の態様1乃至12の編成方法によって得られる効果を発揮する編物を得ることが出来る。
【0051】
(編み器具に関する本発明)
編み器具に関する本発明は、前記態様1乃至12の何れか一つに記載の編成方法に用いる編み器具であって、前記編糸案内部材を取り外し可能な状態で並んで配設した状態に維持することを、特徴とする。
【0052】
本態様に従う構造とされた編み器具を用いれば、前記態様1乃至12の何れか一つに記載の編成方法を容易に実施することが出来る。即ち、編糸案内部材を並んだ状態に維持して、その状態で編糸を交叉させて行くことが出来ると共に、編糸案内部材が取り外し可能とされていることから、編糸を編糸案内部材が編み込まれた部位に挿し通す際には編糸案内部材を取り除くことが出来る。
【発明の効果】
【0053】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う編成方法によれば、棒鉤針を用いる編物等に比べて容易に習得することが出来る。また、織機のような特殊で大掛かりな機具を用いることも不要とされることによって、始める際に要する費用も抑えられると共に、気軽に編物を楽しむことが出来る。更に、織物における経糸に相当する糸と緯糸に相当する糸が何れも繋がった編糸によって構成されていることから、編物の端縁部における解れの心配も軽減されて、特別な端縁処理を行なうことも不要とされている。これにより、作業をより簡単にすることが出来ると共に、編物全体の触感や風合いをより均一なものにすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0055】
先ず、図1乃至図5に、本発明の第一の実施形態としての編物の編成方法を示す。本実施形態における編成方法は、図1に示すように、編糸案内部材としての筒体10を複数本用意する。なお、本発明による編物とは、棒鉤針状に編目を作る狭義の編物に限るものでなく、広く織物を含むものであって、織物のみを対象とするものではないが、以下の説明においては、理解を容易とするために、筒体10の長手方向を経糸方向、筒体10が並べられる方向を緯糸方向と言うものとする。
【0056】
筒体10は、少なくとも、目的とする編地の縦横寸法の何れか小さい方よりも大きな長さ寸法を有する棒形状とされており、長さ方向に貫通する挿通孔12を有して直線上に延びる筒状の部材とされている。そして、挿通孔12の内径寸法が、編糸としての糸14の径寸法よりも大きくされており、糸14を挿通可能にされている。なお、筒体10は、上述の如き形状を有する部材であれば何等限定されることは無く、金属や合成樹脂材料からなるパイプが適宜に採用可能であって、容易に入手出来る物として、例えばストロー等を用いても良い。
【0057】
そして、これら複数の筒体10を、少なくとも糸14を間に通すことが出来る程度の適度な空隙を持った略平行状態で、一つの平面上に並べて配設する。ここにおいて、並べられた複数の筒体10によって形成される面の大きさが、目的とする編地よりも大きくなるように、筒体10の長さおよび本数を調節する。
【0058】
続いて、このように配設された複数の筒体10に対して、糸14を、配列された筒体10の端から、筒体10の配列方向(緯糸方向)に沿って、前後互い違いに筒体10の間に通して1段目を作成する。そして、糸14が配列方向の端に位置する筒体10に達した場合には、糸14を折り返して、2段目を作成する。2段目は、1段目とは前後が逆になるようにして、筒体10に交叉せしめて行く。これを、筒体10の長手方向に沿って、目的とする高さになるまで繰り返す。なお、必ずしも筒体10の長手方向の全体に亘って糸14を交叉せしめる必要はない。そして、これにより、糸14が並んで配設された複数の筒体10に交叉せしめられて、各段毎に筒体10の前後が逆になるようにされることによって、糸14で筒体10を編み込んで、筒体10の長手方向に延びる中間編物16が編成される。
【0059】
そして、図2に示すように、糸14の端部を、端に位置する筒体10の挿通孔12に挿し入れて、かかる糸14の端部が挿通孔12の反対側の端部から露出するまで糸14を筒体10に挿し通すことによって、糸14を筒体10の長手方向に案内する。糸14を筒体10に完全に通し終わったら、筒体10を糸14の挿通方向に引き抜いて、中間編物16から取り除く。これにより、筒体10が編み込まれていた部位に糸14が挿し通されて、筒体10の配列方向に編まれていた糸14が、筒体10の長手方向(経糸方向)にも編まれて交叉せしめられることとなる。なお、例えば、筒体10の挿通孔12と糸14の径寸法が略同じで、糸14をある程度挿通せしめることによって筒体10と糸14を一体的に引くことが可能であれば、必ずしも糸14を筒体10に完全に挿し通す必要は無く、糸14の端部を挿通孔12にある程度挿し通した状態で、筒体10を中間編物16から引き抜くのに併せて糸14を中間編物16に挿し通すこと等も出来る。
【0060】
次に、図3に示すように、筒体10が引き抜かれた糸14の端部を、隣接する筒体10の挿通孔12に挿し入れて、先とは反対の方向に挿し通す。そして、糸14を筒体10に完全に通し終わったら、筒体10を中間編物16から引き抜くことによって、中間編物16において筒体10が編み込まれた部位に糸14を挿し通す。これを筒体10の配列方向に向かって繰り返すことによって、図4に示す編物18を編成する。
【0061】
そして、全ての筒体10を中間編物16から取り除き、筒体10が位置せしめられた部位に糸14を挿し通し終わったら、図5に示すように、糸14の端部に結び目20を形成する等して抜け止めを形成する。これにより、編物18が完成する。なお、糸14の抜け止めとしては、結び目を形成する他、例えば、糸14の端部を接着剤で固定したり、熱溶着性を有する糸材を用いる場合には、加熱して糸14の端部を溶着せしめる等しても良い。
【0062】
以上のようにして、編物18を得ることが出来る。このような編成方法で編まれた編物18は、糸14が並んで配された筒体10に前後交互に交叉せしめられることから、糸14の緯糸方向に延びる部位と経糸方向に延びる部位が交互に重なり合わされて、織物に言う平織りと略同様の編組織を有する編物とされる。
【0063】
このような編成方法によれば、複数の筒体10に交互に糸14を交叉させた後に、筒体10に糸14を挿し通すという簡単な作業のみで編物18を編成することが可能となる。そして、棒鉤針を用いる編物のように予め作り目を作成したりする必要も無く、織物のように特殊で大掛かりな機具を用いることも不要とされて、誰もが気軽に編物を行なうことが出来るのである。
【0064】
さらに、特に本編成方法に従って編成された編物18は、一本の繋がった糸14から構成されており、その端縁部が経緯方向の何れにおいても不連続の自由端とされることがなく、繋がった状態で編物18側に折り返された状態とされている。これにより、端縁部の糸が解れるおそれがなく、特別な解れ止めの処理を行なうことも不要とされる。即ち、従来の織物においては、複数の経糸がそれぞれ独立して織り機に張り付けられており、織り終わった段階で、経糸を切断して織地を機から取り外さなければならない。それ故、機から織地を取り外したままでは、切断された経糸の端部がそれぞれ独立して、解れてしまうおそれがある。しかし、本編成方法によれば、連続した糸が端縁部に位置せしめられることから、解れてしまう心配もない。これにより、特別な端縁処理を行なうことが不要とされており、編成に要する手間を削減できるのみならず、編物18の端縁部を接着剤で固定する等のように、その触感や風合いを端縁部のみ異ならせてしまうようなことも回避されて、均一な触感と風合いを有する編物を得ることが出来るのである。
【0065】
そして、以上の如き編成方法を基本として、上述の編成方法を適宜に変更することによって、様々な形状を有する編物を編成することが可能である。以下に、本発明の更に異なる編成方法や、そのような編成方法によって編成される編物を示す。但し、以下に示す各態様はあくまでも例示であって、本発明が以下に記載の如き態様に限定されるものではない。なお、以下に記載の各編成方法において、前述の第一の実施形態としての編成方法と実質的に同様の構造とされた部材および部位には、前述の第一の実施形態としての編成方法と同一の符号を付することにより、その詳細な説明を省略する。
【0066】
先ず、図6に、本発明の第二の実施形態としての編物の編成方法を示す。本編成方法によれば、経糸方向に連続するリング状のループ状部を形成することが出来る。このようなループ状部を形成するには、先ず、前述の中間編物16を編成する。そして、中間編物16を編成した後に、中間編物16に編み込まれた筒体10に糸14を挿通することなく、かかる筒体10を中間編物16から引き抜く。これにより、糸14を挿通することなく引き抜いた筒体10の経糸方向には、糸14が挿し通されず、かかる部位の緯糸方向の糸がリング状のループ状部22とされる。
【0067】
なお、糸14を挿通することなく中間編物16から取り除く筒体10は、必ずしも中間編物16の最端に位置する筒体10のみならず、例えば、最端から連続する複数の筒体10に糸14を挿通することなく中間編物16から取り除くことによって、より大きなループ状部を形成する等しても良い。
【0068】
さらに、このようなループ状部は必ずしも編物の端縁部のみに形成される必要は無く、中間編物16の内方に位置する筒体10を糸14を挿通することなく取り除いて、編物の内方にループ状部を形成する等しても良い。加えて、図7に示すように、経糸方向に並んで形成されたループ状部を互いに編み込んで、経糸方向に延びる編部23を形成すること等も可能である。
【0069】
次に、図8に、本発明の第三の実施形態としての編物の編成方法を示す。本編成方法によれば、編物の端縁部の幅寸法が異ならされた段差部を形成することが出来る。
【0070】
本編成方法においては、中間編物16を編成して行く過程において、糸14が緯糸方向で交叉せしめられる筒体10の本数を、筒体10の長手方向(経糸方向で)で増加せしめたり、減少せしめたりする。これにより、編物の幅寸法が変化せしめられた段差部24を容易に形成することが出来る。
【0071】
そして、このような編成方法で編成された段差部24は、その端縁部においても糸14が繋がって折り返された状態とされている。これにより、糸14が段差部24の端縁部で解れることが防止されており、従来の織物のように、端縁部を接着したり、互いの糸を撚り合わせたりする等の特別な端縁処理を行うことが不要とされている。更に、端縁処理を行なう必要がないことから、かかる段差部24の端縁部を美しく形成することが出来る。
【0072】
続いて、図9に、本発明の第四の実施形態としての編物の編成方法を示す。本編成方法によれば、糸14の緯糸方向に延びる部位が、他の段に位置する緯糸方向に延びる部位と交差せしめられた編糸交差部を形成することが出来る。
【0073】
本編成方法においては、糸14を緯糸方向で筒体10に交叉せしめる際に、糸14の端部を、既に筒体10に交叉せしめて緯糸方向に延びる糸14を乗り越えて筒体10に交叉せしめる。これにより、緯糸方向に延びる糸14が経糸方向で交差せしめられた編糸交差部26を形成することが出来る。
【0074】
なお、編糸交差部26において糸14が交差せしめられる段数や、編糸交差部26の緯糸方向に延びる幅寸法などは何等限定されることはない。また、筒体10に既に交叉せしめられた糸14を乗り越えた糸14の端部が、必ず再び同じ段に戻される必要もなく、好みに応じて異なる段に戻すことも可能である。
【0075】
次に、図10に、本発明の第五の実施形態としての編物の編成方法を示す。本編成方法によれば、中間編物16から所定の筒体10を引き抜いた後に、余った糸14によって編成される編み足し部28を形成することが出来る。
【0076】
このような編み足し部28を形成するには、中間編物16を編成した後に、所定の筒体10に糸14を挿し通して、糸14を挿し通した筒体10を中間編物16から取り除く。これにより、中間編物16の一部には、経糸方向に糸14が挿し通される。そして、所定の筒体10を中間編物16から取り除いた後に、糸14の残りの部分を中間編物16に残された筒体10の緯糸方向に更に交叉せしめてゆくことによって、編み足し部28を形成することが出来る。
【0077】
このような編成方法によれば、糸14を交叉せしめ終わった筒体10を中間編物16から早い段階で取り除くことが出来て、中間編物16を取り扱い易くすることが出来る。
【0078】
次に、図11に、本発明の第六の実施形態としての編物の編成方法を示す。本編成方法によれば、編物の内部に、編物を貫通する中央穴30を形成することが出来る。
【0079】
このような中央穴30を形成するには、筒体10を長手方向に分割して、筒体10の半分弱の長さ寸法を有する分割編糸案内部材としての短尺筒体32を複数用意する。そして、かかる短尺筒体32を、内側に位置する開口部34が目的とする編物の経糸方向の途中に位置せしめられるように、筒体10と同様に並べて配設する。
【0080】
そして、短尺筒体32についても筒体10と同様に、緯糸方向に糸14を交叉せしめて行くことによって、筒体10および短尺筒体32が糸14によって編み込まれた中間編物16を編成する。
【0081】
続いて、糸14を筒体10および短尺筒体32に挿通せしめると共に、筒体10および短尺筒体32を中間編物16から引き抜いて行く。ここにおいて、短尺筒体32に挿し通されて、中間編物16の内側に位置する開口部34から露出せしめられた糸14の端部は、経糸方向の延長線上に位置せしめられた短尺筒体32ではなく、緯糸方向で隣接する短尺筒体32の開口部34に挿し通される。これにより、糸14は、経糸方向の途中で折り返されて、経糸方向に並べられた短尺筒体32の間で不連続とされており、それによって、編物の中央部分に中央穴30を形成することが出来るのである。
【0082】
なお、中央穴30を形成する場合には、糸14が中央穴30の縁に沿うように延びるように、短尺筒体32は偶数本が緯糸方向に並んで配設されていることが望ましい。例えば図11においては、上側と下側においてそれぞれ2本の短尺筒体32が緯糸方向に並べられている。このようにすれば、経糸方向の途中に開口せしめられた短尺筒体32の開口部34から露出せしめられた糸14の端部を、隣接する短尺筒体32の開口部34に折り返して挿し通すことが出来て、糸14によって中央穴30の縁部を美しく形成することが出来る。
【0083】
また、本編成方法における分割編糸案内部材は、その開口部が中間編物16の経糸方向寸法の途中に位置せしめられていれば良いのであって、その長さ寸法が必ずしも筒体10よりも短くされている必要はない。従って、例えば筒体10の開口部を経糸方向の途中に位置せしめることによって、筒体10を分割編糸案内部材として用いることも可能である。
【0084】
このような中央穴30は、編物の装飾部として用いるのみならず、例えばボタンホール等として用いることが出来る。なお、このような中央穴30の形成部位や形成個数が何等限定されないことは、勿論である。
【0085】
また、上述の編成方法においては、短尺筒体32に糸14を挿し通した後に、かかる糸14の端部を緯糸方向で隣接する短尺筒体32に挿し通していたが、その他の態様としては例えば、糸14を挿し通した短尺筒体32に対して経糸方向および緯糸方向の両方の位置が異ならされた短尺筒体32に糸14を挿し通すなどしても良い。このようにすれば、経糸方向に延びる糸14が斜めに延ばされることによって、経糸方向で糸14が交差する経糸交差編部を形成することが出来る。
【0086】
次に、図12に、本発明の第七の実施形態としての編物の編成方法を示す。本編成方法によれば、円筒形状を有する編物を編成することが出来る。このような編物を編成するには、先ず、複数の筒体10を所定の間隔をもって環状に配設する。そして、それら環状に配設された複数の筒体10に対して、糸14を周方向で無端状態で螺旋状に前後互いに交叉させてゆく。このようにして、円筒形状を有する中間編物16を編成した後に、筒体10に糸14を挿し通すとと共に、筒体10を中間編物16から取り除く。これにより、円筒形状を有する編物を編成することが出来る。なお、糸14を環状に配設された複数の筒体10の周方向に交互に交叉させる場合には、1つの筒体10の前側と後側の交互に糸14を交叉せしめるために、筒体10は奇数本とされていることが好ましい。
【0087】
このような編成方法によれば、棒鉤針を用いた編物のように、輪編み等の特殊な技術を習得する必要もなく、円筒形状を有する立体的な編物を容易に編成することが出来る。また、このようにして編成した円筒状の編物に対して、別途に編成した底部を接着する等して、有底円筒形状の編物を編成する等しても良い。
【0088】
なお、糸14を環状に配設された複数の筒体10に交叉せしめる方向は、必ずしも筒体10によって形成される円形領域の周方向に限定されるものではない。例えば、図13に示すように、糸14を、環状に配設された複数の筒体10によって囲まれた円形領域の中央で交差せしめるように編み込むこと等も可能である。なお、図13は、筒体10の上面視である。
【0089】
次に、図14に、本発明の第八の実施形態としての編物の編成方法を示す。本編成方法によれば、より厚みをもった編物を編成することが出来る。
【0090】
このような編物を編成するには、先ず、図14(a)に示すように、複数の筒体10を平面状に並べて配設して前列36を形成すると共に、前列36と同数の筒体10を、前列36と同様に平面状に並べて配設して後列38を形成する。そして、これら前列36と後列38を所定の間隔を隔てた状態で、緯糸方向と垂直方向に重ね合わせて配設する。なお、図14は、このように配設された複数の筒体10の上面視であり、図中下側に配設された筒体10を前列36とする。
【0091】
そして、図14(a)に示すように、糸14を、後列38の端に位置する筒体10から、後列38に位置する筒体10と前列36に位置する筒体10に亘って、緯糸方向で交互に交叉せしめて行く。そして、糸14が反対側の端部に位置する筒体10に達したら、糸14を折り返し、次は、前列36に位置する筒体10と後列38に位置する筒体10に亘って、先と反対の緯糸方向で交互に交叉せしめて行く。
【0092】
続いて、糸14が端部に位置する筒体10に達したら、糸14を折り返し、図14(b)に示すように、後列38に並べられた筒体10のみの間で、緯糸方向で前後互いに交叉せしめて行き、糸14が反対側の端部に達したら、糸14を前列36の側に折り返し、次は、前列36に並べられた筒体10のみの間で、先と反対の緯糸方向で交互に交叉せしめて行く。
【0093】
そして、このような前列36と後列38に亘る編み込み(図14(a))と、前列36乃至は後列38のみの編み込み(図14(b))を交互に繰り返すことによって、中間編物16を編成した後に、筒体10に糸14を挿し通すと共に筒体10を中間編物16から引き抜くことによって、より厚みのある、立体的な編物を容易に編成することが出来る。
【0094】
なお、筒体10の重ね合わせ態様については何等限定されることはなく、例えば重ね合わせる筒体10の配設態様として、上面視においてコの字状や三角形状に配設したりしても良いし、また、重ね合わせる数も何等限定されることはなく、3列以上重ね合わせても良い。そして、そのように配設された筒体10に対して糸14を交叉せしめる際には、好みに応じて適当な順序で交叉せしめることが出来る。
【0095】
特に本編成方法のように、筒体10を一つのみならず、異なる平面状にも配設した場合には、糸14を筒体10に挿し通す順序は、適宜に選択することが可能である。そして、糸14を筒体10に挿し通す順序を異ならせることによって、各種の端縁部を形成することが出来る。
【0096】
例えば、図15(a)に示すように、前列36、後列38の何れか一方において、緯糸方向で隣接する筒体10,10間に糸14を挿し通して、かかる列の緯糸方向で糸14を交叉せしめ終わった後に、他方の列の筒体10に糸14を挿し通したり、図15(b)に示すように、前列36と後列38に配設された筒体10,10の間で糸14を挿し通したり、あるいは、図15(c)に示すように、前列36、後列38の一方で隣接する筒体10,10に糸14を挿し通した後に、他方の列に配設された筒体10に糸14を挿し通すことによって、コの字状に挿し通して行くなどしても良い。
【0097】
また、上述の如き各実施形態における編成方法は、主に糸14を筒体10に対して緯糸方向に交叉せしめて中間編物16を編成する過程におけるものであったが、中間編物16に対して、糸14を経糸方向に挿通する態様としても、様々な態様を適宜に採用することが可能である。以下に、筒体10に糸14を挿通せしめる各種の態様を例示するが、これらについてもあくまでも例示であって、本発明は以下に記載の如き態様に限定されるものではない。
【0098】
例えば、図16に、本発明の第九の実施形態としての編物の編成方法に従って糸14を筒体10に挿通せしめる態様を示す。なお、図16および後述する図17、図18については、理解を容易とするために、緯糸方向に延びる糸14を省略すると共に、実際には、筒体10は糸14が挿し通された時点で中間編物16から取り除かれるが、図中においては、筒体10を含んだ状態で図示している。
【0099】
本態様においては、先ず、中間編物16の中央部分に位置せしめられた筒体10aに上側から糸14が挿し通されて下側に露出せしめられた後に、隣接する筒体10bに糸14が挿し通される。そして、筒体10bの上側から露出せしめられた糸14は、筒体10bと隣接して外側に位置する筒体10cに挿し入れられる。更に、かかる筒体10cに挿し通された糸14は、先に挿し通された中央部分に位置する筒体10a、10bを跨いで、反対側に位置する筒体10dに挿し通される。これにより、糸14は、中央部分に位置する筒体10a,10bの下側開口部の間に渡された糸14を跨ぐようにして、筒体10c、10dの下側開口部の間に渡されるようになっている。
【0100】
上述の如き編成方法によれば、編物の下側端縁部に位置する糸14を何重にも重ね合わせるようにして、編物の端縁部の強度を高めることが出来る。そして、このように、糸14は、ある筒体10に挿し通された後に、必ずしも隣接する筒体10に挿し通される必要はなく、好みに応じて適宜の位置の筒体10に挿し通すことが出来る。
【0101】
また、図17に、本発明の第十の実施形態としての編物の編成方法に従って糸14を筒体10に挿通せしめる態様を示す。本態様においては、平面状に形成した中間編物16を幅方向の略中央部分で折り曲げて、中間編物16の端縁部同士を重ね合わせる。そして、筒体10gに糸14を挿し通した後、かかる糸14の端部を筒体10gに重ね合わされて対向せしめられた筒体10hに挿し通す。続いて、筒体10hに挿し通された糸14の端部を、既に筒体10gに挿し込まれた糸14をくぐるようにして、筒体10gと同じ列で隣接する筒体10iに挿し通す。これを繰り返し、糸14を筒体10j、10k、10l、10m、10nの順に挿し通すことによって、重なり合った中間編物16の端縁部間に亘って糸14が挿し通されるようになっている。
【0102】
このようにすれば、中間編物16の端縁部が、筒体10に挿し通された糸14によって互いに閉じられて、折り曲げた中央部分を底部とする袋状の編物が編成される。従って、棒鉤針を用いる編物のように輪編み等の特別な技術を要することもなく、織物のように織り終わった後に織地を改めて袋状に成形することも不要とされて、編成の過程で一体的に、かつ容易に袋状の編物を形成することが出来る。
【0103】
また、糸14を筒体10へ挿し通す更に異なる態様としては、例えば、図18に示すように、糸14の端部を複数の筒体10の一方向から挿し入れることによって、経糸に相当する糸14をループ状に形成すること等も出来る。
【0104】
以上、幾つかの編成方法を例示してきたが、このような編成を行なう際には、以下に示す編み器具を好適に用いることが出来る。
【0105】
例えば、図19に、筒体10を平面状に配設した編成を行なう場合に好適に用いられる、編み器具としての平面状編み器具40を示す。平面状編み器具40は、所定の厚みをもった平板形状を有する板状保持部材42に対して、編糸案内部材としての複数の筒体10が取り外し可能に挿し通されて構成されている。
【0106】
板状保持部材42は、所定の厚さ寸法を有する平板形状とされており、一定の円形断面をもって上下方向に貫通する貫通孔44が、所定の間隔をもって複数形成されている。そして、かかる貫通孔44に対して、貫通孔44と略同じ外径寸法を有する編糸案内部材としての筒体10が挿し通されている。ここにおいて、筒体10は、貫通孔44の内周面との摩擦力によって板状保持部材42に保持されて、平面上に並んで配設されるようになっている。また、筒体10は、板状保持部材42から引き抜くことが可能とされている。
【0107】
このような平面状編み器具40を用いれば、板状保持部材42に筒体10を取り付けた状態で、筒体10を緯糸方向に編み込んで中間編物16を編成した後に、筒体10に糸14を挿し通して、筒体10を板状保持部材42から引き抜くことによって、平面形状を有する編物を容易に編成することが出来る。
【0108】
次に、図20に、筒体10を環状に配設した編成を行なう場合に好適に用いられる、編み器具としての環状編み器具46を示す。環状編み器具46は、円環板形状を有する環状保持部材48に対して、編糸案内部材としての複数の筒体10が取り外し可能に挿し通されて構成されている。
【0109】
環状保持部材48は、円環板形状の部材とされており、一定の円形断面をもって上下方向に貫通する貫通孔44が、周方向に所定の間隔をもって複数形成されている。そして、前述の平面状編み器具40と同様に、かかる貫通孔44に編糸案内部材としての筒体10が挿し通されて、取り外し可能に固定されており、これにより、複数の筒体10が環状に配設されている。
【0110】
このような環状編み器具46を用いれば、環状保持部材48に筒体10を取り付けた状態で、筒体10が並べられた周方向に糸14を編み込んで中間編物16を編成した後に、筒体10に糸14を挿し通して、筒体10を環状保持部材48から引き抜くことによって、円筒形状を有する編物を容易に編成することが出来る。
【0111】
なお、上述の如き平面状編み器具40や環状編み器具46はあくまでも例示であって、様々な構成が適宜に採用可能である。例えば、前述の平面状編み器具40における板状保持部材42において、複数列に亘って貫通孔44を形成しても良いし、環状編み器具46における環状保持部材48として、中空の円環形状ではなく、中実の円板を用いる等しても良い。また、前述の平面状編み器具40における板状保持部材42をゴム等の可撓性を有する部材で構成して、かかる板状保持部材42を環状に折り曲げられるようにすれば、平面状編み器具40と環状編み器具46の両方を同時に実現すること等も可能である。
【0112】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0113】
例えば、糸14を中間編物16の経糸方向に案内する編物案内部材は、必ずしも筒状体に限定されるものではなく、図21に示すように、端部に糸14を結びつけ可能とされた棒状体としてのロッド50を用いる等しても良い。このようなロッド50を用いる場合には、先の筒体10による編成方法と同様にして、先ずロッド50を緯糸方向に編み込んだ中間編物16を編成する。そして、中間編物16を形成した後に、ロッド50の端部に糸14を結び付けて、ロッド50を中間編物16から引き抜くことによって、ロッド50が編み込まれた経糸方向に糸14を挿通せしめることが出来る。なお、ロッド50を糸14と結び付け可能とする簡易な構成としては、例えば、ロッド50の両端部に糸通し孔52を貫設して、かかる糸通し孔52に糸14の端部を挿通せしめる等すれば良い。
【0114】
そして、前述の平面状編み器具40や、環状編み器具46における筒体10の代わりにロッド50を用いることによって、棒状体としてのロッド50を並んで配設した状態に維持する編み器具を構成することも可能である。
【0115】
また、筒体10やロッド50が編み込まれた部位に挿し通される糸14は必ずしも一本である必要はなく、例えば、複数の糸が束ねられた糸を用いて編成したり、あるいは経糸方向の一箇所に複数の筒体10やロッド50を挿し通しておいて、経糸方向の一箇所に複数の糸を挿し通す等しても良い。また、色の異なる糸を繋いで、複数の色を有する編物を編成すること等も可能である。
【0116】
また、本発明による編物は、経糸に相当する糸と緯糸に相当する糸を何れも一つの糸によって構成することが可能であることから、十分な長さを有する糸14を用いれば、一旦編物を完成した後に、糸14の余りの部分で更に編物を編成することも出来る。このようにすれば、複数の編物が糸14で連結されて一体的に構成された編物を編成すること等も出来る。
【0117】
また、編糸としては適当な長さを有した柔軟性のあるものであれば良く、例えば手芸糸、毛糸などの糸のみならず、紙紐、ビニール紐、リボン、テープ、裂き布、皮革、植物の繊維、テグス、針金など各種の材料が適宜に採用可能である。
【0118】
そして、以上に説明した各編成方法は、適宜に組み合わせて用いることが出来る。従って、例えば、一つの編物にループ状部と段差部を形成したり、円筒形状を有する編物に経糸交差部や中央穴を形成したりすること等が可能である。
【0119】
さらに、以上に説明した編成方法にあわせて、従来の編物や織物において用いられる手法を適宜に組み合わせて用いることが可能である。例えば、経糸方向に延びる糸や緯糸方向に延びる糸にビーズを挿通せしめたり、編物案内部材に糸を交叉せしめる際に、織物における綾織りや朱子織の技術等を組み合わせて適用することが出来る。また、糸にビーズを挿通した場合には、ビーズの位置を適当に設定することで、ビーズにより様々の模様を形成すること等も可能である。
【0120】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の第一の実施形態としての編成方法において、編糸案内部材に編糸を交叉せしめる手順を説明するための説明図である。
【図2】本発明の第一の実施形態としての編成方法において、編糸案内部材に編糸を挿し通す手順を説明するための説明図である。
【図3】本発明の第一の実施形態としての編成方法において、編糸案内部材を取り除いた後に、異なる編糸案内部材に編糸を挿し通す手順を説明するための説明図である。
【図4】本発明の第一の実施形態としての編成方法に従って編成される編物を示す正面図である。
【図5】本発明の第一の実施形態としての編成方法において、編糸の端部に形成される抜け止めを示す要部拡大図である。
【図6】本発明の第二の実施形態としての編成方法を説明するための説明図である。
【図7】本発明の第二の実施形態としての編成方法を用いて形成される編部を示す説明図である。
【図8】本発明の第三の実施形態としての編成方法を説明するための説明図である。
【図9】本発明の第四の実施形態としての編成方法を説明するための説明図である。
【図10】本発明の第五の実施形態としての編成方法を説明するための説明図である。
【図11】本発明の第六の実施形態としての編成方法を説明するための説明図である。
【図12】本発明の第七の実施形態としての編成方法を説明するための説明図である。
【図13】本発明の第七の実施形態としての編成方法の、異なる態様を説明するための説明図である。
【図14】本発明の第八の実施形態としての編成方法を説明するための説明図である。
【図15】図14に示した編成方法において、編糸案内部材に編糸を挿し通す態様を説明するための説明図である。
【図16】本発明の第九の実施形態としての編成方法を説明するための説明図である。
【図17】本発明の第十の実施形態としての編成方法を説明するための説明図である。
【図18】編糸を編糸案内部材に挿し通す態様として、更に異なる態様を説明するための説明図である。
【図19】本編成方法において用いられる編み器具を示す斜視図である。
【図20】本編成方法において用いられる編み器具の異なる態様を示す斜視図である。
【図21】本編成方法において用いられる編糸案内部材としての棒状体を示す説明図である。
【符号の説明】
【0122】
10 筒体
12 挿通孔
14 糸
16 中間編物
18 編物
20 結び目






【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒形状を有する複数の編糸案内部材を並んで配設して、それら複数の編糸案内部材に編糸を交叉させることによって、該編糸で該編糸案内部材を編み込んで該編糸案内部材の長手方向に延びる中間編物を形成した後に、該編糸案内部材を編み込んだ該編糸の端部を該編糸案内部材で該編糸案内部材の長手方向に案内すると共に該編糸案内部材を該中間編物から取り除くことによって、該編糸案内部材が編み込まれた部位に該編糸を挿し通すことを特徴とする編成方法。
【請求項2】
前記中間編物における前記編糸案内部材の少なくとも一つを前記編糸を案内することなく取り除くことによって、ループ状部を形成する請求項1に記載の編成方法。
【請求項3】
前記編糸が交叉する前記編糸案内部材の本数を、該編糸案内部材の長手方向で異ならせることによって、段差部を形成する請求項1又は2に記載の編成方法。
【請求項4】
前記編糸を、既に前記編糸案内部材に交叉せしめた該編糸を跨いで該編糸案内部材に交叉せしめることによって、編糸交差部を形成する請求項1乃至3の何れか一項に記載の編成方法。
【請求項5】
前記中間編物から前記編糸案内部材の少なくとも一つを取り除くと共に、該編糸案内部材が取り除かれた部位に前記編糸を挿し通した後、この挿し通した編糸の端部を、該中間編物に残された該編糸案内部材に交叉せしめることによって、編み足し部を形成する請求項1乃至4の何れか一項に記載の編成方法。
【請求項6】
前記編糸案内部材を長手方向で分割した分割編糸案内部材を編み込んで前記中間編物を形成した後に、該分割編糸案内部材を取り除くと共に該分割編糸案内部材が取り除かれた部位に前記編糸を挿し通した後、この編糸の端部を、該分割編糸案内部材の分割部位において異なる位置に配設された該編糸案内部材に挿通せしめる請求項1乃至5の何れか一項に記載の編成方法。
【請求項7】
前記編糸案内部材を、環状に配設した請求項1乃至6の何れか一項に記載の編成方法。
【請求項8】
前記編糸案内部材を、重なり合う複数の面上で、それぞれ互いに所定間隔で並ぶように配設することにより、2段以上重ね合わせて配設した請求項1乃至7の何れか一項に記載の編成方法。
【請求項9】
前記編糸案内部材が編み込まれた位置に挿通せしめられた前記編糸の端部を、該編糸案内部材と隣接する編糸案内部材を跨いだ編糸案内部材が編み込まれた位置に挿通せしめる請求項1乃至8の何れか一項に記載の編成方法。
【請求項10】
前記中間編物を折り曲げて、対向する前記編糸案内部材が編み込まれた位置の間に前記編糸を挿通せしめる請求項1乃至9の何れか一項に記載の編成方法。
【請求項11】
前記編糸案内部材として筒状体を用いて前記中間編物を形成すると共に、前記編糸の端部を該筒状体に挿通せしめた後に該筒状体を該中間編物から引き抜くことによって、前記編糸を該筒状体が編み込まれた部位に挿し通す請求項1乃至10の何れか一項に記載の編成方法。
【請求項12】
前記編糸案内部材として棒状体を用いて前記中間編物を形成すると共に、前記編糸の端部を該棒状体の端部に繋いだ状態で該棒状体を該中間編物から引き抜くことによって、前記編糸を該棒状体が編み込まれた部位に挿し通す請求項1乃至10の何れか一項に記載の編成方法。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の編成方法を用いて編成された編物。
【請求項14】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の編成方法に用いる編み器具であって、前記編糸案内部材を取り外し可能な状態で並んで配設した状態に維持する編み器具。



【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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